JP2011183753A - ロールスタンパ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】マンドレル10と、マンドレル10の先端側から基端側に向かってマンドレル10の外周に着脱可能に装着されるスリーブ40とを有し、スリーブ40の外周面に形成された微細凹凸構造を被転写体に転写するロールスタンパ1であって、スリーブ40の両端の開口部が、スリーブ40の端面に向かって拡径するテーパ部とされ、スリーブ40が、マンドレル10の先端側に設けられ、スリーブ40のテーパ部と当接する先端側係止部22と、マンドレル10の基端側に設けられ、スリーブ40のテーパ部と当接する基端側係止部24との間で挟持されたロールスタンパ1。
【選択図】図1
Description
複数の細孔を有する陽極酸化アルミナが表面に形成されたロールスタンパと、透明な基材フィルムとの間に、紫外線硬化性樹脂が介在した状態で、紫外線硬化性樹脂に紫外線を照射し、紫外線硬化性樹脂を硬化させた後、硬化樹脂とともに基材フィルムをロールスタンパから剥離する光インプリント法。
該ロールスタンパにおいては、スリーブとマンドレルとの間隙は、スリーブのがたつきを抑え、かつスリーブとマンドレルとのセンタリング性を高めるため、30〜160μm程度とされる。また、アルミニウム基材の外周面に、規則性が高く、かつサイズのばらつきの小さい複数の細孔を有する陽極酸化アルミナを形成するためには、アルミニウム基材として純度99%以上の高純度アルミニウムを用いる必要がある。
そして、スリーブとマンドレルとの間隙が30〜160μm程度しかないため、スリーブの中心軸がわずかにでも曲がってしまうと、スリーブをマンドレルに装着できなくなるという問題が生じることが分かった。なお、スリーブのマンドレルへの装着性をよくするために、スリーブの内周壁とマンドレルの外周壁との間の間隙を大きくすると、スリーブのがたつき、センタリング性不良、という別の問題が生じる。
前記スリーブは、純度99%以上の高純度アルミニウムからなる中空円柱状のアルミニウム基材の外周面に、複数の細孔を有する陽極酸化アルミナが形成されたものであることが好ましい。
図1は、本発明のロールスタンパの一例を示す断面図であり、図2は、マンドレルの先端側にあるスリーブのテーパ部付近の拡大断面図である。
ロールスタンパ1は、円柱状のマンドレル10と、該マンドレル10の先端側から基端側に向かって該マンドレル10の外周に着脱可能に装着される中空円柱状のスリーブ40とを有する。
スリーブ中間部46は、スリーブ40の両端部よりも外径が大きくされることが好ましく、スリーブ中間部46の外周面50には、微細凹凸構造が形成されている。
マンドレル本体部12の基端側には、マンドレル10の先端側に向かって縮径する、前記基端側テーパ部44のテーパ面と同じ傾斜のテーパ面を有するフランジ状の基端側係止部24がマンドレル本体部12と一体となって設けられている。
マンドレル本体部12の外周壁には、温調水が流れる水路26が形成されている。また、マンドレル10の先端側の水路26の端部には、温調水導入孔30が複数穿設され、マンドレル10の基端側の水路26の端部には、温調水導出孔32が複数穿設されている。
軸受け部14には、中心軸に沿って延びる温調水供給孔34が穿設され、該温調水供給孔34の終端は、マンドレル本体部12の温調水導入孔30に連通している。また、軸受け部16には、中心軸に沿って延びる温調水排出孔36が穿設され、該温調水排出孔36の始端は、マンドレル本体部12の温調水導出孔32に連通している。
スリーブ40としては、純度99%以上の高純度アルミニウムからなる中空円柱状のアルミニウム基材の外周面に、複数の細孔を有する陽極酸化アルミナ(アルミニウムの酸化皮膜(アルマイト))が形成されたものが好ましい。以下、該スリーブ40の製造方法の一例について説明する。
(I)円柱状のアルミニウムを切削加工して、中空円柱状のアルミニウム基材を作製する工程。
(II)中空円柱状のアルミニウム基材の外周面に、複数の細孔を有する陽極酸化アルミナを形成する工程。
スリーブ40の中空部の加工法としては、中ぐりバイトによる切削加工法、BTA法等の公知の方法が挙げられる。本発明におけるスリーブ40については、チャックを反転することなくストレートな孔を1回で穿設でき、中心軸がずれにくい点から、BTA法が適している。BTA法によってストレートな孔を穿設した後、孔の両側からチャッキング治具を挿入し、テーパ部を公知の方法によって形成する。
陽極酸化アルミナの形成法としては、大面積化が可能であり、かつ簡便である点から、下記の工程(a)〜(f)を有する方法が好ましい。
(a)中空円柱状のアルミニウム基材を電解液中、定電圧下で陽極酸化して、外周面に酸化皮膜を形成する工程。
(b)酸化皮膜を除去し、陽極酸化の細孔発生点を形成する工程。
(c)前記工程(b)の後、電解液中、再度陽極酸化し、細孔発生点に細孔を有する酸化皮膜を形成する工程。
(d)前記工程(c)の後、細孔の径を拡大させる工程。
(e)前記工程(d)の後、電解液中、再度陽極酸化する工程。
(f)前記工程(d)と工程(e)を繰り返し行う工程。
図3に示すように、アルミニウム基材64を陽極酸化すると、細孔66を有する酸化皮膜68が形成される。アルミニウムの純度は、99%以上であり、99.5%以上が好ましく、99.8%以上がより好ましい。アルミニウムの純度が低いと、陽極酸化した時に、不純物の偏析により可視光線を散乱する大きさの凹凸構造が形成されたり、陽極酸化で得られる細孔の規則性が低下したりする。電解液としては、シュウ酸、硫酸等が挙げられる。
シュウ酸の濃度は、0.7M以下が好ましい。シュウ酸の濃度が0.7Mを超えると、電流値が高くなりすぎて酸化皮膜の表面が粗くなることがある。
化成電圧が30〜60Vの時、周期が100nmの規則性の高い細孔を有する陽極酸化アルミナを得ることができる。化成電圧がこの範囲より高くても低くても規則性が低下する傾向にある。
電解液の温度は、60℃以下が好ましく、45℃以下がより好ましい。電解液の温度が60℃を超えると、いわゆる「ヤケ」といわれる現象がおこり、細孔が壊れたり、表面が溶けて細孔の規則性が乱れたりすることがある。
硫酸の濃度は0.7M以下が好ましい。硫酸の濃度が0.7Mを超えると、電流値が高くなりすぎて定電圧を維持できなくなることがある。
化成電圧が25〜30Vの時、周期が63nmの規則性の高い細孔を有する陽極酸化アルミナを得ることができる。化成電圧がこの範囲より高くても低くても規則性が低下する傾向がある。
電解液の温度は、30℃以下が好ましく、20℃以下がよりに好ましい。電解液の温度が30℃を超えると、いわゆる「ヤケ」といわれる現象がおこり、細孔が壊れたり、表面が溶けて細孔の規則性が乱れたりすることがある。
図3に示すように、酸化皮膜68を一旦除去し、これを陽極酸化の細孔発生点70にすることで細孔の規則性を向上することができる。
図3に示すように、酸化皮膜を除去したアルミニウム基材64を再度、陽極酸化すると、円柱状の細孔66を有する酸化皮膜68が形成される。
陽極酸化は、工程(a)と同様な条件で行えばよい。陽極酸化の時間を長くするほど深い細孔を得ることができる。
図3に示すように、細孔66の径を拡大させる処理(以下、細孔径拡大処理と記す。)を行う。細孔径拡大処理は、酸化皮膜を溶解する溶液に浸漬して陽極酸化で得られた細孔の径を拡大させる処理である。このような溶液としては、例えば、5質量%程度のリン酸水溶液等が挙げられる。
細孔径拡大処理の時間を長くするほど、細孔径は大きくなる。
図3に示すように、再度、陽極酸化すると、円柱状の細孔66の底部から下に延びる、直径の小さい円柱状の細孔66がさらに形成される。
陽極酸化は、工程(a)と同様な条件で行えばよい。陽極酸化の時間を長くするほど深い細孔を得ることができる。
図3に示すように、工程(d)の細孔径拡大処理と、工程(e)の陽極酸化を繰り返すと、直径が開口部から深さ方向に連続的に減少する形状の細孔66を有する陽極酸化アルミナ(アルミニウムの多孔質の酸化皮膜(アルマイト))が形成され、外周面に微細凹凸構造を有するスリーブ40が得られる。最後は工程(d)で終わることが好ましい。
繰り返し回数は、合計で3回以上が好ましく、5回以上がより好ましい。繰り返し回数が2回以下では、非連続的に細孔の直径が減少するため、このような細孔を転写して製造され光学フィルムの反射率低減効果は不充分である。
細孔66間の平均周期は、可視光線の波長以下、すなわち400nm以下である。細孔66間の平均周期は、25nm以上が好ましい。
以上説明したロールスタンパ1にあっては、スリーブ40が、マンドレル10の先端側係止部22と基端側係止部24との間で挟持されているため、スリーブ40のがたつきが抑えられる。
また、スリーブ40の先端側テーパ部42とマンドレル10の先端側係止部22とが当接し、スリーブ40の基端側テーパ部44とマンドレル10の基端側係止部24とが当接しているため、スリーブ40とマンドレル10とのセンタリング性が良好である。
また、スリーブ40のテーパ部以外の内周壁とマンドレル10の外周壁との間の間隙が250μm以上であれば、スリーブ40のマンドレル10への装着性が良好となる。
〔実施例1〕
円柱状のアルミニウム(純度99.99%)を切削加工して、図1に示すスリーブ40と同じ、中空円柱状のアルミニウム基材(長さ:1000mm、外周面50における外径:202mm、スリーブ中間部46の内径:156mm、テーパ部の軸方向長さ:29.44mm、テーパ面の角度α:30°)を作製した。
さらに、工程(a)と同一条件下において、45秒間陽極酸化を行い、酸化皮膜を形成した(工程(e))。
さらに工程(d)と工程(e)を繰り返し、工程(d)を合計で5回、工程(e)を合計で4回行った(工程(f))。アルミニウム基材の外周面に、周期:100nm、深さ:190nmの略円錐形状のテーパ状の細孔を有する陽極酸化アルミナが形成されたスリーブ40を得た。
ついで、離型剤(ダイキン工業社製、オプツールDSX(商品名))の0.1質量%溶液にスリーブ40を10分間ディッピングし、24時間風乾して離型処理を行った。
10 マンドレル
22 先端側係止部
24 基端側係止部
40 スリーブ
42 先端側テーパ部
44 基端側テーパ部
50 外周面
64 アルミニウム基材
66 細孔
68 酸化皮膜(陽極酸化アルミナ)
Claims (3)
- 円柱状のマンドレルと、
該マンドレルの先端側から基端側に向かって該マンドレルの外周に着脱可能に装着される中空円柱状のスリーブとを有し、
該スリーブの外周面に形成された微細凹凸構造を被転写体に転写するロールスタンパであって、
前記スリーブの両端の開口部が、該スリーブの端面に向かって拡径するテーパ部とされ、
前記スリーブが、前記マンドレルの先端側に設けられ、前記スリーブのテーパ部と当接する先端側係止部と、前記マンドレルの基端側に設けられ、前記スリーブのテーパ部と当接する基端側係止部との間で挟持されたロールスタンパ。 - 前記スリーブのテーパ部以外の内周壁と前記マンドレルの外周壁との間の間隙が、250μm以上である、請求項1記載のロールスタンパ。
- 前記スリーブが、純度99%以上の高純度アルミニウムからなる中空円柱状のアルミニウム基材の外周面に、複数の細孔を有する陽極酸化アルミナが形成されたものである、請求項1または2に記載のロールスタンパ。
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