JP2011183417A - スプリングバック安定性評価方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】プレス成形品のスプリングバックの安定性を評価する方法を提供する。
【解決手段】プレス成形品の成形データを得る成形解析ステップ(S1)と、前記プレス成形品の一部の領域の物性値及び物理量のデータの少なくとも1つを制御因子として選定し、前記制御因子に対して演算処理を行うステップ(S2)と、前記成形データと前記演算処理後の成形データとに基づいて、スプリングバック量を算出するステップ(S3)と、選定したすべての制御因子に対して、S2及びS3を繰り返し計算するステップ(S4)と、前記成形条件とは異なる成形条件に対してS1〜S4を実行し、算出されたすべての前記スプリングバック量について、前記成形条件の差異に対するスプリングバック量のSN比を算出するステップ(S5)と、算出された前記SN比に基づきスプリングバックの安定性を判断するステップ(S6)によりスプリングバックの安定性を評価する。
【選択図】図2

Description

本発明は、自動車用部材等を、鋼板や棒鋼などからプレス成形した際にプレス成形品に発生するスプリングバックの安定性を評価する方法に関する。詳しくは、数値解析を用いた、スプリングバック量のばらつきを評価する方法に関する。
ドアや足回り、車体部品などの多くの自動車用部材、家電部材、建材等は、鋼板や棒鋼をプレス成形することにより製造されている。近年、これらの部材に対する軽量化要求に応えるため、高強度の鋼板や棒鋼をプレス成形の素材とすることにより、プレス成形品の薄肉化が進められている。
しかしながら、鋼板や棒鋼の高強度化に伴い、プレス成形後のプレス成形品中に存在する残留応力に起因して、鋼板や棒鋼の弾性変形分が弾性回復することによるスプリングバックが発生し易くなっている。
一方、プレス成形品、特に自動車に使用されるプレス成形品については、設計・開発に要するコストと期間を削減するために、コンピュータを用いたCAE(Computer Aided Engineering)が積極的に活用されている。
また、プレス成形品の設計・開発の初期段階から、製造時の品質ばらつきを考慮するコンカレントエンジニアリングが一般的になっている。
特許文献1には、プレス成形品のスプリングバック発生の原因として解析対象となる特定部位を変更し、かつ、その特定部位の物性値・物理量を数値演算しながら、スプリングバック量を最小化することにより、スプリングバック発生の原因部位を特定し、かつ、その原因部位の物性値・物理量を正確に導き出す方法が提案されている。
特開2008−55476号公報
しかしながら、特許文献1に記載された方法は、スプリングバック量を最小にすることができる、プレス成形品の形状やプレス成形方法を探索することを目的としているため、実際にプレス成形品を製造したときのスプリングバック量のばらつきを検討することは、プレス成形品の設計・開発の初期段階において、十分ではなかった。
実際にプレス成形品を製造する際には、トリムラインの形状や、プレス成形の方法などがばらつくため、これらのばらつきについて管理範囲を設定して製造するが、この管理範囲内でのばらつきのうち、プレス成形品のスプリングバックに大きな影響を与える因子となるものがある。
プレス成形品のスプリングバックに大きな影響を与える因子は、対象とするプレス成形品を成形する金型が完成してから、テスト成形をすることにより調査され、トリムラインの形状を変更するためにプレス金型の形状を修正したり、プレス成形の方法を変更したりして、スプリングバック量のばらつきを低減して、製造時におけるプレス成形品の合格率を改善することが一般的であった。
したがって、上記のコンカレントエンジニアリングの達成には、プレス成形品の設計・開発の初期段階においても、製造時におけるプレス成形品のスプリングバック量のばらつきを低減する検討を行うことが望まれていたが、その検討方法は確立されていなかった。
本発明は、プレス成形品の設計・開発の初期段階においても、製造時におけるプレス成形品のスプリングバック量のばらつきを低減し、スプリングバックの安定性を検討することができる、プレス成形品のスプリングバック安定性評価方法を提供することを目的とする。
上記の実情に鑑み、本発明者らは、プレス成形品のスプリングバック量を数値解析で算出するにあたり、トリムライン形状や、成形方法などの成形条件ごとに算出されるスプリングバック量について、品質工学で用いられるスプリングバック量のSN比を算出することを検討した。
その結果、プレス成形後のプレス成形品に発生するひずみや応力は、プレス成形品全体について数値解析(成形解析)し、プレス成形品のうち、スプリングバックの原因となることが予想される一部の領域については、その一部領域における物性値及び物理量のデータのうちの少なくとも1つを制御因子として、その制御因子について演算処理し、かつ、その演算処理結果に基づいて算出されたスプリングバック量すべてについて、成形条件の差異に対するスプリングバック量のSN比を算出・評価することが、正確かつ短期間でスプリングバックの安定性を評価する方法として良いことを知見した。
本発明は、上記の知見に基づき、さらに改良を加えて完成されたもので、その要旨は次の通りである。
(1)プレス成形の成形条件を数値解析して、プレス成形品の成形データを得る成形解析ステップと、
前記プレス成形品の成形データのうち、前記プレス成形品の一部の領域の物性値及び物理量のデータの少なくとも1つを制御因子として選定し、前記制御因子に対して演算処理を行う演算処理ステップと、
前記成形データと、前記プレス成形品の一部の領域については、前記演算処理後の成形データとに基づいて、スプリングバック量を算出するスプリングバック量算出ステップと、
選定したすべての制御因子に対して、前記演算処理ステップ及び前記スプリングバック量算出ステップを実行するまで、前記演算処理ステップ及び前記スプリングバック量算出ステップを繰り返し実行する、繰り返し計算ステップと、
前記成形条件とは異なる1又は2以上の成形条件それぞれに対して、前記プレス成形解析ステップ、前記演算処理ステップ、前記スプリングバック量算出ステップ及び前記繰り返し計算ステップを実行し、算出されたすべての前記スプリングバック量について、前記成形条件の差異に対するスプリングバック量のSN比を算出するSN比算出ステップと、
算出された前記SN比の大きさに基づき、スプリングバックの安定性を判断するスプリングバック安定性判断ステップと、
を有することを特徴とする、スプリングバック安定性評価方法。
(2)実験計画法の直交表が有する列数と同じ数の前記制御因子を選定し、前記直交表の列に割り付けられた前記制御因子に対して、前記演算処理ステップを行わない水準1と、前記演算処理ステップを行う水準2との組合せを割り付けられた前記直交表の各行の条件に従って、前記演算処理ステップを実行することを特徴とする、上記(1)記載のスプリングバック安定性評価方法。
(3)直交表としてL12の混合型直交表を用いることを特徴とする、上記(2)記載のスプリングバック安定性評価方法。
(4)前記成形解析ステップを陽解法で、前記スプリングバック量算出ステップを陰解法で数値解析することを特徴とする、上記(1)〜(3)のいずれかに記載のスプリングバック安定性評価方法。
本発明によれば、通常の鋼板や棒鋼をプレス成形する場合はもちろんのこと、高張力鋼のような高強度の鋼板や棒鋼をプレス成形する場合であっても、鋼板や棒鋼をプレス成形した際に発生するスプリングバック量のばらつきを、プレス成形品の設計・開発段階で検討・評価することができ、製造時におけるプレス成形品のスプリングバック量のばらつきを低減することができる。
本発明によれば、SN比を算出するために、繰り返し計算を実行しなければならないスプリングバック量算出ステップを陰解法で数値解析し、数値解析に長時間を要する、成形データを得る成形解析ステップのみを陽解法で数値解析することにより、より短期間でプレス成形品のスプリングバックの安定性を評価することができ、プレス成形品の設計・開発工数をさらに低減することができる。
本発明が対象とするプレス成形品の一例を示す。図1(a)は斜視図、図1(b)は平面図、図1(c)は正面図である。 本発明のスプリングバック安定性評価方法を説明するフローチャートである。 プレス成形品のトリムラインを示し、図3(a)は通常型トリムライン、図3(b)は拡大型トリムラインを示す斜視図である。 実施例1の制御因子である残留応力除去部位を示す。図4(a)は正面図、図4(b)は正面図である。 実施例2の制御因子である残留応力除去部位を示す。図5(a)は正面図、図5(b)は正面図である。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明が対象とするプレス成形品の一例を示す。図1(a)は斜視図、図1(b)は平面図、図1(c)は正面図である。図1中、符号10は、プレス成形品を示す。
プレス成形品10は、キャンバー部12、ハット部13、フランジ部14、縦壁部16、トリムライン18を有する。プレス成形品10は、プレス成形時に、スプリングバックによって、図1(a)中のA−A線を境に、キャンバー部13側が矢印の方向に反りΔZを生じる。なお、図1(b)中、符号20はスプリングバック前のプレス成形品10を、符号21はスプリングバック後のプレス成形品を示す。
図2は、本発明のスプリングバック安定性評価方法を説明するフローチャートである。以下、本発明のスプリングバック安定性評価方法を、プレス成形品10に適用した場合を例に、図2に示したステップごとに説明する。なお、上記実施形態において、図2中のスプリングバック量は、上記のΔZとする。
プレス成形品10は、高張力鋼板のブランク材をプレス成形したものであるが、本発明のスプリングバック安定性評価方法の適用に関し、ブランク材は、高張力鋼板に限られず、通常の鋼板はもちろんのこと、鉄鋼材料以外の金属板でも良い。
(ステップS1)
ステップS1は、有限要素法を用いて、プレス成形品10の形状データ(板厚、長さ、幅、トリムラインなど)及び、使用するブランク材(金属板)の性状(強度、伸びなどの材質、板厚などの形状等)を成形条件として設定して数値解析し、プレス成形品10の成形データを得る成形解析を行うステップである。
ここでいう、成形データとは、プレス成形後における、プレス成形品10の変位、応力(残留応力)、ひずみなどの数値データを意味するものとする。
また、必要に応じて、成形条件として、金型形状(ダイの形状、ポンチの幅、曲率、径などの形状、ダイとポンチのクリアランス)、プレス圧力、プレス時のブランク材の温度や潤滑条件などを設定しても良い。
これらの成形条件は、有限要素法のソフトウェアの入力ファイル中に記述しておいても良いし、ステップS1の前に、これらの成形条件を入力するステップを別途設けても良い。
なお、有限要素法のソフトウェアは、市販のソルバーを使用することができ、ソルバーの仕様に応じて、成形プレス品10の有限要素法モデルは、シェル要素で定義しても良いし、ソリッド要素で定義しても良い。
(ステップS2)
ステップS1で得られた成形データのうち、プレス成形品の一部の領域の物性値及び物理量のうちから、少なくとも1つを制御因子として選定し、選定した制御因子に対して演算処理を行う。
ここでいう物性値とは、成形プレス品10を成形する前のブランク材の板厚、弾性係数、塑性係数などを意味するものとする。また、ここでいう物理量とは、ステップS1で得られた、ブランク材を成形した後の成形プレス品10の変位、応力(残留応力)、ひずみの数値データ(成形データ)と、これらのx、y、zの各方向成分または剪断方向成分などを意味するものとする。
上記実施形態において、物理量は、例えば、ステップS1で得られたプレス成形後のプレス成形品の応力、即ち、プレス成形品10の残留応力である。
そして、ステップS2における演算処理は、プレス成形品10の一部の領域、例えば、フランジ部14における上記の物性値及び物理量を係数倍すること、ゼロを含む一定値にすること、四則演算をすること、関数に基づいて計算をすること、一定ではない任意の値にすることをいう。
上記実施形態において、演算処理は、例えば、プレス成形品10のフランジ部14に発生した残留応力を0にする処理である。なお、フランジ部14の残留応力を0にすることは、実製品では、フランジ部14に切り欠き部又は貫通穴を設ける対策等に相当する。
(ステップS3)
ステップS1で得られた成形データと、プレス成形品10の一部の領域については、演算処理後の成形データに基づいて、有限要素法を用いてスプリングバック量を算出する。なお、スプリングバック量は、有限弾塑性変形の基礎式や離散化手法に沿って計算され、短時間にスプリングバック量を算出することができる。
(ステップS4)
ステップS2において、少なくとも1つの制御因子を選定しているが、制御因子を2以上選定している場合には、それらすべての制御因子に対して、ステップS2及びステップS3を実行する必要がある。
上記実施形態のプレス成形品10の場合、制御因子として、例えば、フランジ部14の残留応力と、縦壁部18の残留応力との2つである。これら2つの制御因子に対して、ステップS2及びステップS3を実行する。
したがって、図2に示すように、1回目のステップS2及びステップS3の実行が完了した時点で、ステップS2及びステップS2を実行していない制御因子の有無を判断する。
ステップS2及びステップS3を実行していない制御因子が有る場合には、ステップS2に戻り、一方、ステップS2及びステップS3を実行していない制御因子が無い場合(すべての制御因子に対してステップS2及びステップS3の実行が完了した場合)には、ステップS5へ進む。
(ステップS5)
本発明のスプリングバック安定性評価方法は、成形条件の差異に対するスプリングバック量のSN比で、スプリングバックの安定性を評価する。成形条件は、異なる2以上の条件を選定する必要があり、かつ、それら2以上の成形条件をそれぞれに対して、ステップS1、ステップS2、ステップS3、ステップS4を実行し、それぞれの成形条件と、それぞれの制御因子とについてスプリングバック量を算出し、これらのスプリングバック量すべてについて、成形条件の差異に対するスプリングバック量のSN比を算出する。
したがって、ステップS4の実行が完了して、ステップS5に進んだ際、図2に示されるように、選定されたすべての成形条件について、ステップS1、ステップS2、ステップS3、ステップS4が実行されたかを判断する。
選定されたすべての成形条件についてステップS1、ステップS2、ステップS3、ステップS4が実行されていない場合、ステップS1に戻り、一方、選定されたすべての成形条件についてステップS1、ステップS2、ステップS3、ステップS4が実行されている場合には、それまでに算出されたすべてのスプリングバック量に基づき、成形条件の差異によるSN比を算出する。
上記実施形態のプレス成形品10において、成形条件として、例えば、トリムライン18の形状を、通常型トリムライン18aと拡大型トリムライン18bの2条件を設定した場合について説明する。
図3は、プレス成形品10のトリムライン18を示し、図3(a)は通常型トリムライン18a、図3(b)は拡大型トリムライン18bを示す斜視図である。
図3(b)の拡大型トリムライン18bは、図3(a)の通常型トリムラインと比較して、プレス成形品10の長手方向に、斜線で示した拡大部19だけ拡大されたトリムラインである。
トリムラインの形状、特に、図3で示した長手方向の長さは、プレス成形品10の製造時に、ばらつきを生じやすい。このトリムラインが、プレス成形品10の設計図通りの形状、即ち、通常型トリムライン18aの形状に対して、斜線で示された拡大部19だけ拡大されて成形されたとき、即ち、拡大型トリムライン18bを有するプレス成形品10となって成形されたとき、トリムラインの形状の差異(通常型トリムライン18aと拡大型トリムライン18bの形状の差異)が、プレス成形品10のスプリングバック量のばらつきに与える影響を調査するために、拡大型トリムライン18bとなる場合の成形条件を設定した。
成形条件を、通常型トリムライン18aと拡大型トリムライン18bとした2条件それぞれについて、ステップS1、ステップS2、ステップS3、ステップS4、ステップS5を実行し、トリムラインの形状が、通常型トリムライン18aと拡大型トリムライン18bとで異なることに対する、スプリングバック量のSN比を算出する。
(ステップS6)
ステップS5で算出されたSN比に基づき、プレス成形品のスプリングバックの安定性を判断する。算出されたSN比が大きいほど、製造時におけるプレス成形品10のスプリングバック量のばらつきは小さく、スプリングバックの安定性は高いと判断することができる。
次に、制御因子の選定及び選定された制御因子に対する水準について説明する。制御因子は、実験計画法の直交表の列に割り付けられるもので、直交表の列数と同じ数の制御因子を選定する。
本発明のスプリングバック安定性評価方法では、ステップS2において、制御因子に対する水準を設定することができる。
上記実施形態のプレス成形品10において、制御因子として、フランジ部14の残留応力を設定し、水準1として残留応力除去処理なし、水準2として残留応力除去処理ありとした場合、水準1については、ステップS2を実行せず、ステップS1で算出された応力(残留応力)の成形データに基づきステップS3を実行してスプリングバックを算出し、水準2については、ステップS2を実行して、プレス成形品10の一部の領域であるフランジ部14について、ステップS1で算出された応力(残留応力)をゼロとする演算処理を行い、この演算処理後の成形データに基づきスプリングバック量を算出する。
なお、制御因子に対する水準を2水準とした場合、直交表は、L12などの混合系直交表を用いることが、交互作用を排除する観点から好ましい。
また、制御因子に対する水準は、例えば、水準1を残留応力除去処理なし、水準2を残留応力除去処理あり、水準3を残留応力除去処理一部あり、として、水準2の場合は、ステップS1で算出された応力(残留応力)をゼロにする演算処理を行い、完全残留応力除去処理とし、水準3の場合は、ステップS1で算出された応力(残留応力)を、例えば、1/3にする演算処理を行い、一部残留応力除去処理とすることもできる。
なお、制御因子に対する水準を3水準とした場合、直交表は、L18などの混合系直交表を用いることが、交互作用を排除する観点から好ましい。
そして、実際のプレス成形品10では、完全残留応力除去は、例えば、貫通穴付与、一部残留応力除去は、非貫通穴付与などである。
次に、本発明のスプリングバック安定性評価方法において、数値解析を行うステップに要する解析時間について説明する。
ステップS1で行うプレス成形の成形条件の数値解析は、ブランク材をプレス成形する際に、時間経過とともにプレス成形が進み、ブランク材が変形していく現象を数値解析するものであるから、現在の時刻tにおける値を基にして時刻t+Δtの値を代数的に求め、それを繰り返していく陽解法とすることが好ましい。
一方、ステップS3で行うスプリングバック量の算出は、有限弾塑性変形の基礎式や、離散化手法に沿った内容で算出するので、陰解法で十分な解析精度が得られる。
ステップS1で行うプレス成形の成形条件の数値解析に要する時間は、長時間となることが多いが、1つの成形条件に対して1回行えば良いので、計算時間が長くても、それ程問題とならない。例えば、上記実施形態においては、通常型トリムライン18aと拡大型トリムライン18bの2条件について、それぞれ1回行えば良い。
これに対し、ステップS3で行うスプリングバック量の算出は、制御因子の水準の組合せ数、例えば、L12直交表に基づいて本発明のスプリングバック安定性評価方法を行う場合には、1つの成形条件について12回実行する。そして、上記実施形態においては、通常型トリムライン18aと拡大型トリムライン18bの2条件それぞれについてステップS3を12回実行するため、本発明のスプリングバック安定性評価方法を行うためには、ステップS3を24回実行する必要がある。
したがって、繰り返し回数の多いステップS3は、1回の実行時間を短時間で完了することができる陰解法とすることが好ましい。そして、上述したように、スプリングバック量の算出を陰解法としても、スプリングバック量の解析精度が低下することはない。
よって、本発明のスプリングバック安定性評価方法では、ステップS1は陽解法で、ステップS3は陰解法で数値解析することにより、長時間の解析時間を要するステップS1のみが陽解法であるため、高い解析精度を維持したまま、より短時間でスプリングバックの安定性を評価することができる。
次に、本発明を実施例でさらに説明するが、実施例での条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例であり、本発明は、この一条件例に限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
(実施例1)
図1に示したプレス成形品10に、本発明のスプリングバック安定性評価方法を適用し、プレス成形時のスプリングバック量のばらつきを数値解析によって評価した。
成形条件は、図3(a)及び(b)に示した、通常型トリムライン18aと拡大型トリムライン18bの2条件とした。
制御因子は、図4に示したフランジ部14の応力(残留応力)除去と、縦壁部16の応力(残留応力)除去とし、水準1は応力(残留応力)除去なし、水準2は応力(残留応力)除去ありとした。
表1に(実施例1)の制御因子と水準を示す。また、表2に(実施例1)の直交表を示す。
Figure 2011183417
Figure 2011183417
表2の直交表に基づき、図2に示したフローチャートに沿って、プレス成形品10に本発明のスプリングバック安定性評価方法を適用した。
表3に、成形条件ごと、即ち、通常型トリムライン18aと拡大型トリムライン18bごとのスプリングバック量を示す。また、表3に、成形条件の差異、即ち、通常型トリムライン18aと拡大型トリムライン18bの差異に対するSN比を併記した。
Figure 2011183417
表3から明らかなように、スプリングバック量を最小にしたい場合には、通常型トリムライン18a及び拡大型トリムライン18aのいずれにおいても、No.2の組合せ、即ち、フランジ部14は応力(残留応力)除去処理をせず、縦壁部16のみを応力(残留応力)除去することが最も良い。
これに対して、スプリングバック量のばらつきを小さくしたい場合には、通常型トリムライン18a及び拡大型トリムライン18aの差異に対するSN比が最も大きいNo.4の組合せ、即ち、フランジ部14及び縦壁部16のいずれについても応力(残留応力)除去処理をしないことが最も良い。
つまり、トリムライン18が、通常型トリムライン18aと拡大型トリムライン18bの範囲でばらつきが生じた場合には、フランジ部14及び縦壁部16のいずれについても応力(残留応力)除去処理をしないときに、スプリングバック量のばらつきがNo.1〜No.4の組合せの中では最も小さくなる。
このことは、即ち、スプリングバック量を最小にするには、縦壁部16のみ、残留応力が存在しないようにする対策、例えば、縦壁部16のみについて切り欠きを設ける形状とすることが良いが、一方で、スプリングバック量のばらつきは、大きくなることを意味する。つまり、プレス成形品10の製造時において、プレス成形品10の寸法が、寸法公差内に入らないことが多い(不良品が発生することが多い)ことを意味する。
これに対し、フランジ部14及び縦壁部16のいずれについても応力(残留応力)除去処理を行わない、即ち、フランジ部14及び縦壁部16のいずれについても、切り欠きや貫通穴を設けない形状とすることが、スプリングバック量のばらつきを小さくする。このことは、プレス成形品10の製造時において、プレス成形品10が寸法公差内に入ることが多い(不良品が発生することが少ない)ことを意味する。
このように、成形プレス品10に本発明を適用して、プレス成形品10のスプリングバックの安定性を評価することができることを確認した。
(実施例2)
L12の混合型直交表を用いること以外は、(実施例1)と同様に、プレス成形品10のスプリングバック安定性を評価した。
表4に(実施例2)の制御因子と水準を示す。また、表5に(実施例2)の直交表を示す。なお、(実施例2)では、制御因子となる残留応力除去部位を、フランジ部14について、フランジ部14−1〜14−5まで5分割し、縦壁部16について、縦壁部16−1〜16−6まで6分割した。
Figure 2011183417
Figure 2011183417
表6に結果を示す。
Figure 2011183417
表6から明らかなように、スプリングバック量を最小にしたい場合には、通常型トリムライン18a及び拡大型トリムライン18aのいずれにおいても、No.2の組合せが最も良い。これに対して、スプリングバック量のばらつきを小さくしたい場合には、通常型トリムライン18a及び拡大型トリムライン18aの差異に対するSN比が最も大きいNo.10の組合せが最も良い。このように、L12の混合型直交表を用いた場合においても、プレス成形品10のスプリングバックの安定性を評価することができることを確認した。
なお、上述したところは、本発明の実施形態を例示したものにすぎず、本発明は、特許請求の範囲の記載範囲内において種々変更を加えることができる。
前述したように、本発明によれば、通常の鋼板や棒鋼をプレス成形する場合はもちろんのこと、高張力鋼のような高強度の鋼板や棒鋼をプレス成形する場合であっても、鋼板や棒鋼をプレス成形した際に発生するスプリングバック量のばらつきを、プレス成形品の設計・開発段階で検討・評価することができ、製造時におけるプレス成形品のスプリングバック量のばらつきを低減することができる。本発明は、工業上、利用価値の高いものである。
また、本発明によればSN比を算出するために、繰り返し計算を実行しなければならないスプリングバック量算出ステップを陰解法で数値解析し、数値解析に長時間を要する、成形データを得る成形解析ステップのみを陽解法で数値解析することにより、より短期間でプレス成形品のスプリングバックの安定性を評価することで、プレス成形品の設計・開発工数をさらに低減することができ、工業上、顕著な効果を奏するものである。
10 プレス成形品
12 キャンバー部
14、14−1、14−2、14−3、14−4、14−5 フランジ部
16、16−1、16−2、16−3、16−4、16−5、16−6 縦壁部
18 トリムライン
18a 通常型トリムライン
18b 拡大型トリムライン
19 拡大部
20 スプリングバック前のプレス成形品
21 スプリングバック後のプレス成形品

Claims (4)

  1. プレス成形の成形条件を数値解析して、プレス成形品の成形データを得る成形解析ステップと、
    前記プレス成形品の成形データのうち、前記プレス成形品の一部の領域の物性値及び物理量のデータの少なくとも1つを制御因子として選定し、前記制御因子に対して演算処理を行う演算処理ステップと、
    前記成形データと、前記プレス成形品の一部の領域については、前記演算処理後の成形データとに基づいて、スプリングバック量を算出するスプリングバック量算出ステップと、
    選定したすべての制御因子に対して、前記演算処理ステップ及び前記スプリングバック量算出ステップを実行するまで、前記演算処理ステップ及び前記スプリングバック量算出ステップを繰り返し実行する、繰り返し計算ステップと、
    前記成形条件とは異なる1又は2以上の成形条件それぞれに対して、前記プレス成形解析ステップ、前記演算処理ステップ、前記スプリングバック量算出ステップ及び前記繰り返し計算ステップを実行し、算出されたすべての前記スプリングバック量について、前記成形条件の差異に対するスプリングバック量のSN比を算出するSN比算出ステップと、
    算出された前記SN比の大きさに基づき、スプリングバックの安定性を判断するスプリングバック安定性判断ステップと、
    を有することを特徴とする、スプリングバック安定性評価方法。
  2. 実験計画法の直交表が有する列数と同じ数の前記制御因子を選定し、前記直交表の列に割り付けられた前記制御因子に対して、前記演算処理ステップを行わない水準1と、前記演算処理ステップを行う水準2との組合せを割り付けられた前記直交表の各行の条件に従って、前記演算処理ステップを実行することを特徴とする、請求項1記載のスプリングバック安定性評価方法。
  3. 直交表としてL12の混合型直交表を用いることを特徴とする、請求項2記載のスプリングバック安定性評価方法。
  4. 前記成形解析ステップを陽解法で、前記スプリングバック量算出ステップを陰解法で数値解析することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のスプリングバック安定性評価方法。
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