JP2011178786A - 粘膜保護用医薬としてのホスファチジルコリン - Google Patents

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Abstract

【課題】大腸炎の局所治療薬および結腸癌に対する予防薬の提供。
【解決手段】治療上有効量のホスファチジルコリンを含有する医薬。ホスファチジルコリンは、大腸において粘膜に有利な保護効果を有する。ホスファチジルコリンは、遅延放出型での経口投与に加えて、(直腸または回腸嚢における)炎症の局所治療用直腸導入剤として投与することができる。ホスファチジルコリンの経口投与される遅延型は、早すぎる吸収を防ぎ、小腸または大腸の下部における標的とした放出される錠剤、カプセル剤の形の製剤。
【選択図】なし

Description

本発明は、結腸および終末回腸(terminal ileum)(回腸嚢粘膜を含む)でのホスファチジルコリンの粘膜保護効果が有利となるような、疾患治療上、充分な量で、活性物質としてホスファチジルコリンを含む医薬に関する。該医薬は、潰瘍性大腸炎、回腸嚢炎、結腸粘膜の他の炎症性疾患(クローン病、分流大腸炎(diversion colitis)、感染性腸炎/大腸炎、放射線照射、抗生物質、化学療法剤、医薬品または化学薬品による炎症)の治療並びに結腸癌の予防に適している。
慢性炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、およびクローン病は、高い程度で若年および中年の成人に頻度を増しながら影響を与えている(ともに1〜2%の罹患率)。急性炎症発作を伴う慢性の経過(course)および多数の合併症(瘻孔および膿瘍の発生、狭窄、急性炎症、出血、結腸粘膜の機能障害、腸外発現(extraintestinal manifestations))は、これら疾患の自然の経過を特徴付ける。特に、長期間経過後の潰瘍性大腸炎が、結腸癌を発生させる危険性の増大に関連することが重視される。徹底的な調査にかかわらず、今日までこれら疾患の病原を決定できなかった。したがって、対症療法だけが可能であるが、これは疾患の原因に向けられたものではなく、しばしば所望の成果を提供できない。
潰瘍性大腸炎とクローン病の間には大きな違いがあるので、2つの異なる病原機構を想定することができる。クローン病は、完全な胃腸管(終末回腸での小腸の末端の主に局在)に、主に影響を与え得る。炎症の変化は、他の健康な粘膜に限局的に局在することができ、時間とともに変化することができる。主な合併症は、腸管断片の炎症性狭窄、並びに瘻孔または膿瘍の発生である。胃腸管外部の発現の可能性がある。対照的に、潰瘍性大腸炎は、結腸(肛門、直腸)の末端ではじまる連続的な炎症を示す。炎症の重篤さに従い、結腸炎は上方へ広がり、最終的に全結腸が影響を受ける可能性がある。高い割合で、小腸の端部も影響を受ける可能性がある(「逆流性回腸炎」)。主な合併症は、頻繁な下痢、粘膜潰瘍性の出血および完全な粘膜壁の例外的な劇症炎症(中毒性巨大結腸)に関連した結腸粘膜の機能的欠陥である。驚くことに、該疾患の長期間の経過の後に、結腸癌の頻繁な発生がある。両方の慢性炎症腸疾患の間で、病徴の重複は、識別がしばしば極めて困難であるように観察され得る。
潰瘍性大腸炎での、しばしば不充分な対症療法に加えて、悪化して、深刻な臨床的な徴候または癌腫発生の脅威的な危険から、全結腸を除去することが頻繁に必要である。この方法は、最後の回腸ループの外側のリザーバ(回腸嚢)の構築、その肛門管への位置付け、この位置での固定、および自然肛門への連結(直腸粘膜除去の後)を含む。これは、自然の出口を維持する利点(回腸嚢の構築を維持する自制)とともに、腸の内容物のための新しいリザーバの創出を可能にする。潰瘍性大腸炎の患者の約30%において、回腸嚢は炎症を起こす(回腸炎)可能性があり、重大な病気につながる可能性がある。このような回腸嚢の構築が、他の基礎疾患(例えば、家族性大腸腺腫症)で行なわれる場合、例外的な場合だけ炎症が発生する。
WO95/18622には、結腸の癌疾患の治療のための化学保護物質としての2−ヒドロキシ−5−フェニルアゾ安息香酸誘導体の使用が記載されている。
本発明の課題は、腸疾患の治療のためのさらなる医薬を提供することであった。驚くことに、ホスファチジルコリンが粘膜保護物質として機能することが見出された。保護膜同様、ホスファチジルコリンは粘膜細胞を覆い、従って、潰瘍性大腸炎、回腸嚢炎、他の炎症性腸疾患(クローン病、分流大腸炎、感染性腸炎/大腸炎、放射線照射、抗生物質、化学療法剤、医薬品または化学薬品による炎症)の治療ためまたは結腸癌を予防するための治療用物質として適している。
MDR3に対して特異的で適切なプライマーの例を示している。 MDR3に対して特異的で適切なプライマーの例を示している。 MDR3に対して特異的で適切なプライマーの例を示している。 MDR3に対して特異的で適切なプライマーの例を示している。 MDR3に対して特異的で適切なプライマーの例を示している。 MDR3に対して特異的で適切なプライマーの例を示している。
ホスファチジルコリン(PC)(同義的に、用語レシチンも用いられる)は、以下の概略の構造式:
Figure 2011178786


を有する、脂質(リン脂質)を含むリン含有化合物である。
潰瘍性大腸炎、回腸炎および他の前記腸炎の治療のために、ホスファチジルコリンの、下部の回腸および結腸において特異的または遅延して基質を放出する経口製剤、および/または、例えば、浣腸、座剤または泡沫(foam)などの直腸適用形態が適している。特に、潰瘍性大腸炎に関連して、結腸癌の予防には、経口製剤が好ましい。経口製剤は、小腸の最初の3分の2から吸収されることを防ぎ、結腸の下部の部分で特異的に放出されるように導かれる、例えば、錠剤、カプセル剤などの適した製剤の形で提供されることができる。
ホスファチジルコリンを含む医薬は、直腸適用(例えば、座薬、泡沫、または浣腸)として局所的に、または経口的に提供され得る。ホスファチジルコリンの適用によって、下部の回腸部分および結腸において、主に、細菌感染に対して結腸粘膜を保護することが起きる。経口の適用では、このような遅らせる形態で活性物質を放出する(遅延製剤)医薬が、特に適している。この活性物質放出の遅延は、胃酸に耐性で、活性物質をpH依存形態で下部の回腸または結腸に放出するカバーシールドおよび/または担体マトリックスによって、最も有効に達成される。技術的観点から、下部の回腸または結腸での活性物質の指向性放出のために、例えば、Eudragit(登録商標)アクリルポリマーを含む被覆カバーシールド(例えば、ドイツ国、ダルムシュタット、ローム社からの商品名、Eudragit(登録商標)LおよびEudragit(登録商標)Sの製品)が適している。
経口で適用するホスファチジルコリンの製剤のために、近位の小腸での吸収を防ぐために遅延放出型を用いることが有利である。ホスファチジルコリンは、大きい容量の(例えば、0.88ml含量)カプセル(例えば、ゼラチン製)に詰め込むことができる。これらを、例えば前述のEudragit(登録商標)製剤などのアリールポリマーで被覆してもよい。Eudragit(登録商標)SおよびL製剤の組み合わせ(例えば、Eudragit(登録商標)L/S 100)によって、終末回腸においてそうであるようなpH>6.4での遅延放出が保証される。Eudragit(登録商標)製剤およびそれらの混合物(L、S、およびR製剤)の使用は、ずいぶん前から確立されている。加えて、課題に対する最良の解決を提供することが示される場合、終末回腸でのホスファチジルコリンの特異的な放出のために、他のカバーシールド材料または適用剤形が(新開発も)用いられ得る。
浣腸の製剤のために、ホスファチジルコリン(レシチン)製剤は、親油性溶媒(例えば、大豆油)に溶かしてもよい。適用する投与量は、例えば、100ml大豆油に5〜20gの範囲でよい。100mlの該溶液は、浣腸として直腸に適用できる。加えて、座剤または泡沫製剤を、適用剤形として用いることができる。
本発明の主題は、結腸で粘膜保護効果を達成するのに充分な治療上の有効量でのホスファチジルコリンを含む医薬である。最終製剤の活性物質の含量は、1〜500mgであり、100〜300mgが好ましい。経口の適用のために適した剤形は、錠剤、顆粒剤、カプセル剤、ペレット剤、または粒剤(pellet tablets)である。製剤の形は、さらに、支持体または担体物質などの通常の医薬的添加剤を含むことができる。直腸の適用のために、おもに適した製剤は、浣腸、泡沫剤、軟膏、ゲル剤、ローション剤、および座剤である。これらは活性物質を10mg〜10gの量で含み、好ましくは、5gまでである。疾患の重篤度に従って、剤は、1日に1回または数回適用される。
本発明の問題は、さらに、腸内のルーメンでホスファチジルコリンの分泌の減少に関連する疾患、例えば、潰瘍性大腸炎、回腸嚢炎(潰瘍性大腸炎患者における)、または分流大腸炎などを検出するための診断方法である。これに関連して、本発明は、結腸粘膜の粘液のホスファチジルコリン濃度を測定する方法に関し、ここで分析すべきプローブは、直腸の粘液のダブサンプル(dab sample)により得ることもできる。その後、プローブは、例えば、脂質化合物の分析用質量分光法によるなど、適切な脂質化学測定によって分析される。
驚くことに、腸におけるホスファチジルコリンの粘膜保護効果に対する指標として、MDR3類似タンパク質の測定が診断に有意であることが見出された(MDR=多剤耐性(multi drug resistance))。終末回腸におけるMDR3類似タンパク質の欠損によって、結腸粘液成分の間接的変化および局在する細菌に対する増大した感受性をともなう腸内のルーメンへの不充分なホスファチジルコリン分泌に対する指標について、説明することができる。したがって、MDR3類似タンパク質の不充分な産生によって、腸内のルーメンのホスファチジルコリンの減少した量を説明することができる。本発明の意味において、潰瘍性大腸炎の患者の終末回腸または回腸嚢の粘膜上皮において、MDR3類似タンパク質は存在しないということが示され得る。従って、バイオプシープローブを用いたインキュベーション実験に示されるように、ホスファチジルコリンの分泌は有意に減じられている。従って、本発明のもう1つの問題は、潰瘍性大腸炎の診断のために、終末回腸および回腸嚢におけるMDR3類似タンパク質の測定である。これは、MDR3類似タンパク質の存在の減少に関連するすべての疾患を含む。
MDR3類似タンパク質の濃度または量の測定によって、医薬に関する本発明を用いた治療の経過の間、ホスファチジルコリンの要求される最適用量についての結論を可能にする。従って、この診断方法によって、患者の治療のための、ホスファチジルコリンの要求される用量の個別の適用が可能にある。
さらに、腸のルーメンでのホスファチジルコリンの測定は、患者のコンプライアンスの状況下での治療の制御によっても可能となり得る。
MDR3類似タンパク質の測定は、コーディングRNA(遺伝情報)のRT−PCR増幅の使用によって間接的に行なわれる。
MDR3タンパク質またはMDR3関連タンパク質は、原形質膜において、リン脂質トランスポーターである。ヒトMDR(P−糖タンパク質)遺伝子ファミリーは、2つのメンバー(MDR1およびMDR3)からなる。系統発生的に、それらはABCトランスポーター(ATP−結合カセット(ATP-binding-cassette))の極めて古いスーパーファミリーに属する。これらのタンパク質は、非常に多種多様な基質(疎水性分子、オキシアニオン(oxyanion)、Clなど)を、細胞の内側から原形質膜を横切って外側へ、エネルギー(ATP)をかけることによって輸送する。ゲノムにおいて、双方の相同なMDR遺伝子は、互いに近くに位置し(MDR3はMDR1の約30kb下流)、そして両者で約230kbの距離になる。両方の遺伝子は28エクソンからなり、MDR3において、これらの27がコード領域を含む。MDR3遺伝子の4つのスプライス変異体が知られており、そのそれぞれが完全な読み枠を残している。変異体C−141では、完全なエクソン23が失われており、従って、141ヌクレオチド短いコード領域が導かれている。エクソン23は、膜貫通ドメイン11を含む。欠失は、全く異なる膜位相をもったタンパク質を導く可能性がある。MDR3発現器官では、正常な転写物とその変異体は、たいてい等しい存在量で存在する。
MDR1遺伝子の産物は、異なる細胞増殖抑制性薬剤に関する耐性発生の原因となり、従って、名称:多剤耐性(MDR)がファミリーにつけられた。MDR3は、膜関連、170kDで、異なる親油性物質に対するエネルギー依存流出ポンプである。ATPトランスポーターの他のメンバーに相当し、MDR1は半々の2つの類似のものからなり、それぞれが6つの膜貫通ドメインと1つのヌクレオチド結合部位を有する。
MDR3は、独立した構造であるが、「多剤耐性」を導かないので、もう1つの器官特異的な分配パターン並びにもう1つの機能を示す。対応するマウス特異的遺伝子(mdr2)が発現しなくしているマウス(ノックアウトマウスモデル)において、胆汁へホスファチジルコリンを分泌する肝臓が完全な不能であることが検出された。MDR3P−糖タンパク質も、肝細胞の外側から胆汁の中へのホスファチジルコリンの輸送の原因であることが結論づけられた。残りの胃腸管でのMDR3の存在について、いまだ文献での報告はない。
以下の例によって、代表的な形態で本発明を説明する。
例1
RT−PCRを用いた胃腸管のMDR3−RNAによるMDR3類似タンパク質の決定。
可能な発現の調査のため、MDR3特異的転写物の増幅用プライマーを合成した。プライマーデザインの目的は、所望のDNA断片の特異的かつ効果的な増幅である。
特異性を保証するために、プライマーの配列は、MDR3およびMDR1がほとんど相同性を示さないMDR3−cDNA配列の領域から選択している。これに関連して、プライマーはMDR3に特異的であると考えられ、これはMDR1に高い相同性を示すが、3’末端塩基がMDR1−cDNAのそれと異なる。所望のDNA断片の効果的な増幅を保証するために、他の因子を考慮しなければならない。プライマーの配列は、プライマーが分子内水素架橋ループ構造または分子間結合二量体構造を介して構築され得ないように選択されなければならない。オリゴヌクレオチドの長さには、20から25塩基対が優先的に含まれる。GC含量は、50〜60%の範囲であるべきである。可能であれば、1つのプライマー対の両方のプライマーは、PCR反応によるゲノムDNAの増幅を避けるか認識することができる異なるエクソンに位置するべきである。本発明によれば、プライマー配列は選択され、MDR3配列の確実で特異的な増幅を可能にする。MDR3に対して特異的で適切なプライマーの例は、添付図面において矢印を付している(図1、MDR1対MDR3)。
図1の図の説明:
MDR1のcDNA配列とMDR3のcDNA配列との間の相同性。上段はMDR1配列を示し、下段はMDR3配列を示す。同一の塩基は、配列の間を縦線で記す。プライマーが得られ得る配列は、太字でタイプされ、プライマーの方向は、矢印で記される(5’→3’、それぞれ3’←5’)。
代表例、MDR3特異的PCR:
5’プライマーとして、エクソン20のcDNAのbp2411〜2435の25bpのオリゴヌクレオチドを選択する。3’プライマーはbp3180〜3148の33bpのオリゴヌクレオチドで、エクソン25に位置する。創出されたPCR産物は769bpの長さである。このプライマー対でも、スプライス変異体C−141が、RNA中に検出され得る。なぜなら、ここでエクソン23は失われており、創出されたPCR産物によれば、141塩基対短いからである。RNA単離の原料として、胃鏡検査法または結腸内視術により得られるバイオプシーが用いられる。この際、1人の患者の2つのバイオプシーが、Fa.DianovaのファストRNAキットを用いてRNAの単離のために得られる。この方法で単離された全RNAの量は、70μgまでである。転写産物の量はPCR検出アッセイにすでに充分であるので、ポリ(A)RNAの単離は、打ち切ることができる。
ファーストストランドcDNA合成のために、5μgの全RNAが用いられる。cDNA合成およびPCRは、製造者の説明書に従って、レディートゥーゴー(ReadyToGo)システム(Pharmacia)で行なわれる。5μgの全RNAは、cDNAに逆転写される。PCRは、33μlのcDNAの2μlおよびそれぞれのプライマー10pmolで、全体積25μlにおいて処理される。増幅は以下のように行なわれる:最初に94℃で5分間のインキュベーション、次いで94℃で2秒、55℃で2秒、および72℃で45秒を33サイクル。RT−PCR産物はアガロース電気泳動で分析される。MDR3の良好な検出のための条件は、肝臓RNAで試験される。なぜなら、ここに特に高い転写産物の発生量が存在するからである。異なるアッセイでのcDNA量と比較するために、内在的な標準として、GAPDHを増幅する。用いた方法もまた、「ライトサイクラー(light cycler)」テクノロジー(Roche Diagnostic GmbH)または「タックマン(Tac Man)」PCRテクノロジー(Perkin Elmer Applied Biosystems)に適しており、これらによって多数の試料が、同時に、速く、そして(半)定量的に測定することができる。
食道、胃、十二指腸、終末回腸、横行結腸および直腸のバイオプシーが分析されるだろう。健康な発端者において、MDR3転写物は、胃、十二指腸、および終末回腸で検出され、一方、食道、横行結腸および直腸ではなかった。
前記のアプローチで、スプライス変異体C−141は、常にそして同じ量がともに増幅される。次いで、両方のPCR産物がpuc18にクローニングし、配列を決めた。このようにして、増幅された配列が実際にMDR3であったことが示すことができた。
前記の方法で、器官特異的MDR3類似タンパク質に加えて、回腸での他の相同タンパク質を検出することも、基本的に可能であり、これは一例として、MDR3類似タンパク質のアイソフォーム(例えば、肝臓または腸のMDR3タンパク質のアイソフォーム)であってもよい。
例2
MDR3類似タンパク質(RNA)の回腸嚢上皮における発現。
潰瘍性大腸炎の進行による結腸切除術の後に回腸嚢を受け取った患者を調査した。これら潰瘍性大腸炎患者の中で、回腸嚢上皮においてMDR3類似転写物を検出したものはなかった。したがって、転写物の欠失が、彼らが潰瘍性大腸炎患者であったという事実によるものなのか否かという問題が生じた。回腸嚢の導入自体、および終末回腸に対する細菌環境の付随的な変化によって、変化した発現が誘導され得ることが考えられる。このように、比較のため、家族性大腸腺腫症(FAP)による結腸切除術の後に回腸嚢を受け取った患者を調査した。これらの患者は、回腸嚢上皮にMDR3転写物を有していた。このことは、回腸嚢上皮でのMDR3の損失が、潰瘍性大腸炎に特異的であることを示していた。結果的に誘導される粘膜へのホスファチジルコリンの分泌傷害が、観察される回腸炎の発生に対する影響をもち得る。回腸嚢上皮が終末回腸の上皮と対応するので、この回腸断片の潰瘍性大腸炎においてMDR3も存在しないことは決定的であろう。
例3
健康な対象、クローン病および潰瘍性大腸炎の患者の終末回腸におけるMDR3類似タンパク質(RNA)の発現
潰瘍性大腸炎の患者が終末回腸において、MDR3類似MDR3の発現を示すか否かについて調査した。31人の潰瘍性大腸炎の患者を、14人の健康な対象および6人のクローン病患者と比較して分析した。
潰瘍性大腸炎の患者の中で、適用した高い感受性の方法で、終末回腸においてMDR3類似RNAを検出したものはなく、一方で、すべての健康な対象において、並びにクローン病患者において検出することができた。この明確な結果は、潰瘍性大腸炎においてのみ、このようなMDR3類似体の発現の欠損が存在することを示す。このことから。これら患者において、腸においてリン脂質分泌が損なわれており、これにより細菌がより容易に上皮に攻撃することができるように粘液組成を乱していることが、結論づけることができる。

Claims (15)

  1. 結腸におけるホスファチジルコリンの粘膜保護効果が有利となるような、疾患治療のための有効濃度で、ホスファチジルコリンを活性物質として含む医薬。
  2. 潰瘍性大腸炎の治療のための、請求項1に記載の医薬。
  3. 回腸嚢炎の治療のための、請求項1に記載の医薬。
  4. 結腸の疾患または結腸炎(クローン病、分流大腸炎、感染性腸炎/大腸炎、放射線照射、抗生物質、化学療法剤または化学薬品による炎症)の治療のための、請求項1に記載の医薬。
  5. 結腸癌の治療または予防のための、請求項1に記載の医薬。
  6. 直腸または回腸嚢での炎症の局所治療のために、直腸に適用する剤形としての、請求項1〜5に記載の医薬。
  7. 下部の回腸および結腸において活性物質の遅延放出を伴う経口で適用する剤形としての、請求項1〜5に記載の医薬。
  8. 結腸におけるホスファチジルコリンの粘膜保護効果が有利となるような、疾患治療のための剤形製造へのホスファチジルコリンの使用。
  9. ホスファチジルコリンでの治療が保証される、胃腸の疾患の疑いのある患者のプローブにおいて、MDR3転写物の有無を検出する方法。
  10. 潰瘍性大腸炎の患者においてMDR3転写物を決定するための、請求項9に記載の方法。
  11. プローブが、食道、胃、十二指腸、終末回腸、横行結腸または直腸のバイオプシーから入手される、請求項9に記載の方法。
  12. 潰瘍性大腸炎、回腸嚢炎、結腸炎、クローン病、分流大腸炎、感染性腸炎/大腸炎、放射線照射、抗生物質、化学療法剤、医薬品または化学薬品による炎症、または結腸癌を診断するために、直腸(回腸嚢)の粘液から得られたプローブ中のホスファチジルコリンを決定する方法。
  13. 潰瘍性大腸炎、回腸嚢炎、結腸炎、クローン病、分流大腸炎、感染性腸炎/大腸炎、放射線照射、抗生物質、化学療法剤、医薬品または化学薬品による炎症、または結腸癌を決定する診断試験であって、MDR3遺伝子ファミリーおよびそれらの相互作用するパートナー(例えば、転写因子)の変異を検出するためのMDR3特異的プライマーを含む、前記診断試験。
  14. 以下のプライマー:
    Figure 2011178786


    の1または2以上を含む、請求項13に記載の診断試験。
  15. MDR3類似タンパク質の発現が失われているか障害がある患者の完全MDR3類似遺伝子での回腸における局所遺伝子治療用医薬の製造方法。
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JPN6013020590; Cell Vol.87, 1996, p.507-517 *
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