JP2011168369A - エスカレータ - Google Patents

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Jun Okumura
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Abstract

【課題】乗客をのせて上昇運転する踏段が緊急停止するときに、乗客への体力的な負担を軽減することのできるエスカレータを得る。
【解決手段】踏段と、踏段を駆動する電動機と、移動手摺20と、移動手摺20を加圧挟持する駆動ローラ62及び加圧ローラ63を有し、移動手摺20を踏段16に同期させて移動させる手摺駆動装置50と、を備えるエスカレータにおいて、手摺駆動装置50は、手摺押圧機構70A,70B、及び手摺押圧機構70A,70Bを制御する手摺駆動制御手段27と、を備え、手摺駆動制御手段27は、踏段の緊急停止信号を検出し、踏段に荷重がかけられていると判断すると、移動手摺20への駆動力の伝達を解除するとともに、移動手摺20の減速度を、踏段の減速度より小さい所定の範囲内に保つように手摺押圧機構70A,70Bを制御する。
【選択図】図4

Description

この発明は、踏段の移動に連動させて移動手摺を移動させる手摺駆動装置を有するエスカレータに関する。
一般に、エスカレータは、無端状に連結されて主枠内を循環移動する踏段と、踏段の両側に立設された欄干の周縁に沿って、循環移動可能に配設された移動手摺と、踏段を移動させる駆動力を発生する駆動装置と、駆動装置の駆動力が伝達され、移動手摺を踏段の循環移動に同期させて循環移動させる手摺駆動装置と、を備えている(例えば、特許文献1参照)。
また、特許文献1には記載されていないが、エスカレータは、駆動装置に制動をかけて踏段及び移動手摺を停止させる制動装置を備えている。また、エスカレータは、異物が欄干と踏段の間の挟まれたことを検出するスカートガードスイッチや、欄干の端部に設けられたインレットガード内への異物の引き込まれを検出するインレットスイッチなどの各種安全スイッチを備えている。
ここで、エスカレータの運用において、安全スイッチの作動時に駆動装置に制動をかけ、踏段及び移動手摺の移動を緊急停止させることが義務付けられている。
定格速度で移動していた踏段を緊急停止させる場合、踏段の停止距離、及び減速度(絶対値)は、平成12年建設省告示第1424号に規定されている。
踏段の減速度は、荷重がかけられていない状態で上昇(以下、無負荷上昇(NLU)という)運転している踏段を停止させるときに、平均1.25m/s以下とし、停止距離は、以下の式(1)により設定させる数値以上としている。
S=V /9,000・・・(1)
ここで、Sは停止距離(m)、Vは定格速度(m/min)である。
例えば、一般的な定格速度である30m/minで移動する踏段を停止させる場合、停止距離は0.1m以上となる。なお、乗降口間の勾配が15度を超えるものや踏段と踏段の段差が4mmを超えるものについては、停止距離は0.6m以下とする条件が追加される。
ここで、乗客が踏段に乗車したとき、踏段にかかる荷重は、停止距離を変動させる要因となる。踏段への乗客の荷重は、踏段が上昇運転しているときには、踏段の停止距離を短くする方向に作用し、踏段が下降運転しているときには、停止距離を長くする方向に作用する。このとき、踏段が、仕様で定められる定格荷重(許容される最大の荷重)がかけられた状態で上昇(定格負荷上昇(FLU))運転しているときに、停止距離が最も短くなる。
通常、日本国内で使用されるエスカレータの踏段の停止距離は、上記の建設省告示の内容を順守する他、ヨーロッパ及びアメリカの法規も参考にして設定されている。
例えば、ヨーロッパ法規では、定格速度が30m/minで、NLU運転や定格荷重がかけられた状態で下降(定格負荷下降(FLD))運転させた踏段の停止距離は、0.2〜1.0mの範囲に入るように規定されている。また、アメリカ法規では、NLU運転やFLD運転させた踏段を緊急停止させるときに、減速度を0.91m/m以下とするように規定されている。
このような規定を鑑み、日本国内に設置されるエスカレータでは、例えば、踏段の停止距離は、図17のように設定されることも多い。
図17はエスカレータの停止距離と踏段にかけられた荷重との関係を説明する図である。
図17において、NLU運転中や無負荷下降(NLD)運転中の踏段を停止させる場合、踏段の停止距離を0.23mに設定している。また、FLD運転中の踏段を停止させる場合の踏段の停止距離を0.6mに、FLU運転中の踏段を停止させる場合の踏段の停止距離を0.1mになるように設定している。従って、荷重がかけられた状態で下降運転中の踏段を停止させるときの停止距離が、0.23〜0.6mに設定され、荷重がかけられて上昇運転する踏段の停止距離が、0.1〜0.23mに設定されている。
ここで、踏段の停止距離S(m)とエスカレータの定格速度V(m/sec)及び停止時間t(sec)の関係は以下の式(2)により表わされる。
S=V+1/2Vt・・・(2)
但し、t(sec)は、安全装置の作動から、制動装置の制動力が発揮されるまでの時間である。
は、非常に小さな値にすることが可能であるので0とみなし、FLD運転していた踏段、NLDまたはNLU運転していた踏段、及びFLU運転していた踏段のそれぞれの停止距離SFLD=0.6m、SNLD=NLU=0.23m、及びSFLU=0.1mをSに代入すれば、FLD運転していた踏段、NLD運転していた踏段、及びFLU運転していた踏段のそれぞれの停止時間tFLD、tNLD=NLU、tFLUが求められる。
FLDは2.4sec、tNLD=NLUは0.92sec、tFLUは0.4secとなる。
また、踏段の停止距離S(m)と踏段の減速度α(m/sec)及び停止時間t(sec)との関係は、以下の式(3)により表わされる。
S=1/2αt・・・(3)
FLD=0.6mとtFLD=2.4sec、SNLD=NLU=0.23mとtNL=0.92sec、及びSFLU=0.1mとtFLU=0.4secのそれぞれを(3)式に代入すれば、FLD運転していた踏段、NLD運転またはNLU運転していた踏段、及びFLU運転していた踏段のそれぞれが停止するときの減速度αFLD、αNLD=NLU、及びαFLUが求められる。
即ち、αFLD=0.21m/sec、αNLD=NLU=0.54m/sec、αFLU=1.25m/secとなる。
次いで、減速度αFLUの大きさ1.25m/secについて考察する。
通常、人間の歩行速度は4Km/hour=1.1m/sec程度である。歩行者が、初速1.1m/sで0.5〜1sec(平均0.75sec)後に立ち止まることを考えると、歩行者の速度Vと減速度α及び歩行者が減速し始めてからの時間tとの関係は、V=α×tであるので、歩行していた人間が立ち止まるときの減速度αは、1.47m/sec程度となる。
次いで、一般的に30m/minで移動している踏段から乗客が降車する場合について考える。例えば、踏段の奥行寸法を400mm程度として、乗客が奥行き方向の中央部に乗っていたとする。乗客が踏段から降り口の床に移るときには、おおよそ250mm程度の距離を、例えば、0.5secの程度の間に移動することになる。
この場合、乗客の減速度は2m/sec程度となる。
以上のように、踏段を緊急停止させる場合、FLU運転している踏段を停止するときが最も減速度αFLUが大きくなるが、減速度αFLUは、歩行やエスカレータの降車など、人間の日常の動作で体験する減速度に比べて小さい。
仮にFLU運転している踏段が緊急停止したとしても、踏段は日常生活で体験する減速度の範囲内で減速されるために、エスカレータの乗客は、手摺をしっかりつかむなどの冷静な対応をとることができ、減速度αFLUを1.25(m/sec)は、安全上問題ない数値であるといえる。
特開2007−45537号公報
ここで、エスカレータにおいて、踏段が緊急停止するとき、乗客は、踏段の減速に伴って自身に働く慣性力に抗するように手摺を強くつかんで体勢を保持する必要がある。このとき、体勢を保持するのに必要な力は、踏段の減速度に比例する。
FLU運転している踏段が緊急停止するときは、FLD運転している踏段が緊急停止する場合に対して踏段の減速度が大きく、安全上問題ないとはいえ、乗客が姿勢を保つのに必要な腕の力は大きなものとなる。特に、腕力の弱いお年寄りなどの乗客に対しては、体力的に大きな負担を強いることになる。
この発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、乗客をのせて上昇運転する踏段を緊急停止させるとときに、踏段の減速度より小さく、かつ所定の範囲内の減速度で移動手摺を停止させるように構成し、乗客への体力的な負担を軽減することのできるエスカレータを得ることを目的とする。
この発明のエスカレータは、一対の乗降口間を循環移動可能に設けられた踏段と、踏段にかけられた荷重に応じた荷重情報値を出力する荷重情報取得手段と、踏段を駆動する駆動手段と、駆動手段に制動をかける制動装置と、制動装置を制御する制動制御手段と、踏段を挟むように対向して立設された一対の欄干の周縁に沿って移動可能に設けられた一対の移動手摺と、駆動手段の駆動力が伝達されて回転する駆動ローラ、及び駆動ローラとの間に移動手摺を加圧挟持する加圧ローラを有し、駆動ローラを介して移動手摺に伝達される駆動力により、移動手摺を踏段に同期させて移動させる手摺駆動装置と、移動手摺の移動速度を検出する手摺速度検出手段と、を備えている。手摺駆動装置は、駆動ローラと移動手摺との間の駆動力の伝達及び伝達解除を切り替える駆動力制限手段と、移動手摺に制動をかける手摺制動手段と、駆動力制限手段、及び手摺制動手段を制御する手摺駆動制御手段と、を備えている。制動制御手段は、踏段の緊急停止信号を検出すると、制動装置の制動力を制御して、踏段を所定の減速度で減速させ、手摺駆動制御手段は、踏段の緊急停止信号を検出し、さらに荷重情報値に基づいて踏段に荷重がかけられていると判断すると、移動手摺への駆動力の伝達を解除するように駆動力制限手段を制御するとともに、手摺速度検出手段の出力に基づいて算出される移動手摺の減速度を、踏段の減速度より小さい所定の範囲内に保つように手摺制動手段を制御する。
この発明に係るエスカレータによれば、手摺駆動制御手段は、踏段が上昇運転しているときに踏段の緊急停止信号を検出すると、駆動ローラから移動手摺への駆動力の伝達を解除するように駆動力制限手段を制御するので、移動手摺の踏段に同期した移動が解除される。踏段の緊急停止動作時、踏段の減速によって乗客にかかる慣性力は、乗客がつかんでいた移動手摺を進行方向にスリップさせるように働くので、移動手摺の減速度は、踏段の減速度より小さくなる。このため、乗客と移動手摺との間の相対的な減速度の大きさが小さくなるので、乗客が、慣性力に抗して移動手摺をつかんで自重を支えようとする力が小さくなる。また、手摺駆動制御手段は、移動手摺の減速度を、踏段の減速度より小さい所定の範囲内に保つように手摺制動手段を制御するので、乗客の立ち位置と乗客がつかんでいる移動手摺の部位との間の距離は、移動手摺及び踏段が停止される前後で著しく変動することはなく、乗客は無理な姿勢を強いられることもない。
以上により、踏段が緊急停止するときに、移動手摺をつかんで自重を支えようとする乗客への体力的な負担を軽減することができる。
この発明の実施の形態1に係るエスカレータの模式図に示す断面図である。 この発明の実施の形態1に係るエスカレータのシステム構成図である。 図1のIII−III矢視要部断面図である。 図1のA部拡大図である。 図4のV−V矢視断面図である。 図4のB部拡大図である。 この発明の実施の形態1に係るエスカレータの手摺押圧機構の側面図である。 この発明の実施の形態1に係るエスカレータの手摺押圧機構の上面図である。 この発明の実施の形態1に係るエスカレータの手摺駆動装置の動作を説明する側面図である。 この発明の実施の形態1に係るエスカレータにおいて、踏段が上昇運転中に、安全スイッチが作動したときの手摺押圧機構の動作制御を説明するフロー図である。 この発明の実施の形態1に係るエスカレータにおいて、上昇運転している踏段に乗車した乗客が移動手摺をつかんだ状態を示す図である。 この発明の実施の形態2に係るエスカレータの手摺駆動装置周りの正面図である。 図12のXIII−XIII矢視断面図である。 図12のC部拡大図である。 図14のXV−XV矢視断面図である。 この発明の実施の形態2に係るエスカレータにおいて、踏段が上昇運転しているときに安全スイッチが作動したときのベルト押圧機構の動作制御を説明するフロー図である。 エスカレータの停止距離と踏段にかけられた荷重との関係を説明する図である。
以下、この発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係るエスカレータの模式図に示す断面図、図2はこの発明の実施の形態1に係るエスカレータのシステム構成図、図3は図1のIII−III矢視要部断面図、図4は図1のA部拡大図、図5は図4のV−V矢視断面図、図6は図4のB部拡大図、図7はこの発明の実施の形態1に係るエスカレータの手摺押圧機構の側面図、図8はこの発明の実施の形態1に係るエスカレータの手摺押圧機構の上面図、図9はこの発明の実施の形態1に係るエスカレータの手摺駆動装置の動作を説明する側面図である。
エスカレータ1の構成について説明する。
図1において、エスカレータ1は、上下階床間に架設された主枠2と、主枠2の上下階側のそれぞれに設置された上部機械室3及び下部機械室4と、上部機械室3に配設された駆動手段としての電動機5と、電動機5に一体に取り付けられて、電動機5に制動をかける制動装置13と、上部機械室3に配設された駆動スプロケット6と、電動機5と駆動スプロケット6とを連結し、電動機5の駆動に連動させて駆動スプロケット6を回転せしめる駆動鎖8と、駆動スプロケット6と同軸に配設された上部スプロケット10と、下部機械室4に配設された下部スプロケット11と、を備えている。
また、エスカレータ1は、上部スプロケット10及び下部スプロケット11に無端状に巻き掛けられた踏段鎖12と、踏段鎖12に連結されて無端状に連なり、上下階に設けられた一対の乗降口15a,15b間を電動機5の駆動に連動して循環移動する複数の踏段16と、主枠2の両側に踏段16を挟むように対向して立設された一対の欄干18と、一対の欄干18のそれぞれの周縁を踏段16と同期して移動する一対の移動手摺20と、を備えている。
また、エスカレータ1は、上部スプロケット10に同軸に固定された第1動力伝達用スプロケット21と、第1動力伝達用スプロケット21より下階側よりに設けられた第2動力伝達用スプロケット22と、第1及び第2動力伝達用スプロケット21,22に無端状に巻き掛けられ、第1動力伝達用スプロケット21の回転力を第2動力伝達用スプロケット22に伝達する動力伝達用鎖23と、動力伝達用鎖23から電動機5の駆動力が伝達され、移動手摺20を駆動する手摺駆動装置50と、移動手摺20の移動速度を検出する手摺速度検出手段40と、上部機械室3に配設され、エスカレータ1のシステム全般を制御するエスカレータ制御盤25と、を備えている。
また、エスカレータ1は、図2に示されるように、電動機5の給電経路にシリーズに設けられて、電動機5の電流を検出する荷重情報取得手段としての電流計30と、踏段16と欄干18を構成するスカートガード(図示せず)との間の異物の挟み込みを検出して作動するスカートガードスイッチ29a、インレット(図示せず)と移動手摺20との間の異物の挟み込みを検出して作動するインレットスイッチ29b、踏段鎖12の異常な伸びや踏段鎖12の切断を検出して作動する踏段鎖用スイッチ29c、及び踏段16が踏段16をガイドする踏段レール(図示せず)に対して浮き上がったことを検出して作動する踏段用スイッチ29dなどの各種安全スイッチと、を備えている。
移動手摺20は、図3及び図5に示されるように、断面C状に形成され、欄干18の上部、及び欄干18の下方に設けられた図示しない手摺ガイドレールに案内されて一対の乗降口15a,15b間を踏段16の循環移動と同期して循環移動する。なお、手摺駆動装置50及び手摺速度検出手段40の配置部位では、手摺ガイドレールは省略されている。
制動装置13は、エスカレータ1の電動機5の制動用として一般的に用いられる周知の電磁ブレーキであり、その詳細については省略する。
エスカレータ制御盤25は、図2に示されるように、制動装置13を制御する制動制御手段26、移動手摺20の移動を制御する手摺駆動制御手段27、及び電動機5を制御する電動機制御手段28を有する。制動制御手段26、手摺駆動制御手段27、及び電動機制御手段28は、各種演算を行うCPU(図示せず)、各種データを一時的に記憶する記憶領域を有し、CPUの演算処理時にワーキングスペースに使用されるRAM(図示せず)、及びCPUに演算させる各種プログラムが格納されたROM(図示せず)等により構成される。
また、手摺速度検出手段40は、図3に示されるように、速度検出用ローラ41、速度検出用ローラ41の回転速度を検出するエンコーダ42を有する。エンコーダ42は、周知であるので詳細には説明しないが、パルス円板42a、及び回転検出部42bを有する。パルス円板42aは、速度検出用ローラ41と同軸に設けられて、速度検出用ローラ41の回転に連動して回転する。回転検出部42bはパルス円板42aの回転角に応じた回転情報をパルス信号として出力する。
手摺駆動装置50は、図4〜図6に示されるように、一対の欄干18下部の主枠2内に配設され、第2動力伝達用スプロケット22に連結されて、第2動力伝達用スプロケット22の回転力により一対の移動手摺20を駆動させる一対の手摺駆動ユニット60Aと、手摺駆動ユニット60Aによる移動手摺20の駆動力を制御する手摺駆動制御手段27と、を備えている。
なお、第2動力伝達用スプロケット22は、図5に示されるように、両端を主枠2に固定されたカウンタシャフト14に回転自在に支持されている。
手摺駆動ユニット60Aのそれぞれは、固定板61と、4つの駆動ローラ62と、4つの加圧ローラ63と、第1及び第2手摺駆動用スプロケット64,65と、張力調整用スプロケット67と、第1及び第2手摺駆動用スプロケット64,65と張力調整用スプロケット67に巻き掛けられる手摺駆動用鎖68と、駆動ローラ62に加圧ローラ63を押し付ける駆動力制限手段、及び手摺制動手段としての手摺押圧機構70A,70Bと、を備えている。
手摺押圧機構70Aは、図6〜図8に示されるように、矩形平板形状を有し、長手方向の両端に一対の回転軸72が取り付けられた第1付勢手段としての矩形平板状の板ばね71と、板ばね71を弾性変形させるように付勢する第2付勢手段としてのコイルばね73、及び板ばね71を弾性変形させる電磁力を発生する第1電磁力発生手段74と、第1電磁力発生手段74を固定板61に支持する取付部材80と、を備えている。なお、回転軸72は、軸方向を板ばね71の短手方向に一致させて取り付けられている。
板ばね71は、応力が加えられないときには、長手方向の中間部が最深部となるように湾曲された形状を有する。
第1電磁力発生手段74は、一面が開口する箱状の鉄ケース75、鉄ケース75の底部内壁と相対して配置されるばね支持板76、鉄ケース75の開口面に垂直な側部外壁に巻回されるソレノイド77、及びソレノイド77に電流を供給する電流供給回路78を有する。なお、鉄ケース75の底部及びばね支持板76の中央部には、孔中心の一致する一対のボルト挿通孔が形成されている。
そして、コイルばね73が、鉄ケース75とばね支持板76との間に配設されている。
また、板ばね71が、凸側の面を鉄ケース75の底部外壁に向け、長手方向の中間部を鉄ケース75の底部外壁に固定されている。
取付部材80は、固定板61に支持される支持部材81と、第1電磁力発生手段74を支持部材81に支持するボルト82及びナット83と、を備えている。
支持部材81は、L字状に形成されている。
なお、手摺押圧機構70Bは、手摺押圧機構70Aと同様の構成を有している。
次いで、手摺駆動ユニット60Aの各構成の一体化構造について説明する。
図4〜図6において、4つの駆動ローラ62は、軸方向を固定板61の表面に直交させ、同一方向に互いに略等間隔に離間するように固定板61の表面に軸回りに回転自在に取り付けられている。第2手摺駆動用スプロケット65は、4つの駆動ローラ62の配列方向の中間部から、固定板61の表面に平行、かつ駆動ローラ62の配列方向直交する面内離間方向に所定距離だけ離れた固定板61の部位に、駆動ローラ62の軸に平行な軸まわりに回転自在に取り付けられている。
また、張力調整用スプロケット67は、4つの駆動ローラ62の配列方向の中間部と第2手摺駆動用スプロケット65の間の固定板61の表面に、駆動ローラ62の軸に平行な軸まわりに回転自在に取り付けられている。
手摺駆動用鎖68は、第1及び第2手摺駆動用スプロケット64,65を囲むように巻き掛けられ、さらに、配列方向の内側の一対の駆動ローラ62の間に延在される部位が、張力調整用スプロケット67に巻き掛けられている。
手摺駆動用鎖68の張力が所望の張力となるように張力調整用スプロケット67の固定板61への取り付け位置が設定されている。第2手摺駆動用スプロケット65が回転されると、回転力は、手摺駆動用鎖68を介して第1手摺駆動用スプロケット64及び張力調整用スプロケット67に伝達され第1手摺駆動用スプロケット64及び張力調整用スプロケット67が回転される。
また、手摺押圧機構70A及び手摺押圧機構70Bは、図4に示されるように、一側に位置する一対の駆動ローラ62及び他側に位置する一対の駆動ローラ62に対応させて配設される。
以下、手摺押圧機構70Aの配設構造について説明する。
支持部材81は、一片を一対の駆動ローラ62の間に位置する固定板61の部位に固定されている。このとき、支持部材81の他片は、一対の駆動ローラ62と第2手摺駆動用スプロケット65の間に位置する固定板61の部位に、表裏両面が、面内離間方向に直交するように向けられている。
そして、ボルト82が、支持部材81の他片に駆動ローラ62側から挿通されている。
また、加圧ローラ63は、板ばね71の長手方向の両端に取り付けられた一対の回転軸72に、軸まわりに回転自在に取り付けられている。
さらに、手摺押圧機構70Aは、鉄ケース75の底部を駆動ローラ62側に向け、加圧ローラ63が駆動ローラ62と面内離間方向に相対するように配置されている。このとき、加圧ローラ63の軸方向を駆動ローラ62の軸方向に一致させている。そして、ボルト82が、鉄ケース75の底部、及びばね支持板76に形成されたボルト挿通孔に挿通されている。
さらに、ナット83が、ボルト82の先端に螺合されている。そして、ばね支持板76がナット83の端面に固定されて第1電磁力発生手段74、板ばね71、及び加圧ローラ63が取付部材80を介して固定板61に支持される。これにより、鉄ケース75、板ばね71、及び加圧ローラ63は、コイルばね73を伸縮させる力を働かせた時に、ボルト82の軸方向に移動される。
電流供給回路78は、後述するように、エスカレータ制御盤25に電気的に接続され、手摺駆動制御手段27から出力される指令値に基づいた電流をソレノイド77に供給するようになっている。なお、電流供給回路78の配設箇所は特に限定されない。
また、同様に、手摺押圧機構70Bが配設されている。
以上のように手摺駆動ユニット60Aが構成されている。
次いで、手摺駆動ユニット60A、手摺速度検出手段40の主枠2内への配設構造について説明する。
手摺駆動ユニット60Aは、駆動ローラ62と加圧ローラ63の間に、主枠2内の第2動力伝達用スプロケット22の近傍を移動する移動手摺20を挟みこむように配置されている。このとき、駆動ローラ62および加圧ローラ63の軸方向を水平、かつ移動手摺20の延在方向に直交する方向に一致させている。また、手摺駆動ユニット60Aは、第2動力伝達用スプロケット22に第2手摺駆動用スプロケット65が同軸に位置するように配置され、第2手摺駆動用スプロケット65は、カウンタシャフト14に軸支されている。
なお、固定板61が、図示しない主枠2に支持されている。
ソレノイド77への給電が遮断されている場合、コイルばね73は、鉄ケース75の底部とばね支持板76との間に縮設され、図4に示されるように、板ばね71は、コイルばね73の付勢力により、加圧ローラ63を駆動ローラ62に向けて付勢する復元力を発揮するように弾性変形している。これにより、移動手摺20は、駆動ローラ62と加圧ローラ63の間に所定の加圧力で挟持されている。
また、ソレノイド77に給電されると、図9に示されるように、鉄ケース75の底部側をコイルばね73の付勢力に抗してばね支持板76に引き寄せる電磁力が発生し、コイルばね73が縮む。これにより、板ばね71を弾性変形させる方向のコイルばね73の付勢力が減少する。従って、加圧ローラ63が移動手摺20を付勢する力も減少するので、駆動ローラ62に伝達された電動機5の駆動力の移動手摺20への伝達量が小さくなり、移動手摺20の踏段16と同期した移動が解除される。
また、手摺速度検出手段40の速度検出用ローラ41は、軸方向を、移動手摺20の移動方向に直交、かつ水平な方向に一致させ、速度検出用ローラ41の外周面が移動手摺20の裏面を押圧するように軸支されている。また、速度検出用ローラ41は、移動手摺20との間の摩擦力により、移動手摺20の移動に連動して回転される。そして、パルス円板42aは、速度検出用ローラ41の回転に連動して回転するので、パルス円板42aの回転角速度は、移動手摺20の移動速度に応じて変化する。
次いで、エスカレータ1のシステム構成について説明する。
スカートガードスイッチ29a及びインレットスイッチ29b、踏段鎖用スイッチ29c、及び踏段用スイッチ29dなどの安全スイッチが、エスカレータ制御盤25に電気的に接続されている。各安全スイッチが作動したときの出力信号が、踏段16を緊急停止させるための緊急停止信号としてエスカレータ制御盤25に入力される。
また、電動機5が、エスカレータ制御盤25に電気的に接続され、電動機制御手段28が、電動機5の駆動力(トルク)の制御を行う。また、前述したように電流計30が、シリーズに電動機5の通電経路に組み込まれて、電動機5に流れる電流を検出する。また、電流計30が、エスカレータ制御盤25に電気的に接続され、電流計30が出力する電動機5の電流値が、エスカレータ制御盤25に入力される。
また、回転検出部42bが、エスカレータ制御盤25に電気的に接続され、回転検出部42bから出力される回転情報がエスカレータ制御盤25に入力される。パルス円板42aの回転角速度は、移動手摺20の移動速度に応じて変化するので、エスカレータ制御盤25は、回転検出部42bの出力に基づいて、移動手摺20の移動速度、及び移動手摺20の減速度を算出することができる。
また、制動装置13がエスカレータ制御盤25に電気的に接続され、制動制御手段26が、制動装置13の制動を行う。
ここで、電動機制御手段28は、踏段16の移動時、踏段16の速度が一定になるように、電動機5の駆動力を制御する。
このとき、踏段16への荷重(kg)に応じて、電動機5の駆動力、言い換えれば、電動機5に流れる電流値が変化する。
例えば、踏段16が上昇運転している場合、踏段16への荷重が大きい程、電動機5に流れる電流値は大きくなる。このように、電動機5に流れる電流値に対して、踏段16にかけられている荷重は一義的に決まる。つまり、電流計30が出力する電流値は、踏段16にかけられた荷重に応じた荷重情報値として出力される。手摺駆動制御手段27は、荷重情報値に基づいて、踏段16にかかる荷重を算出可能である。
また、予め、踏段16への荷重と電動機5に供給される電流との関係を測定した結果が、エスカレータ制御盤25のROMに格納されている。手摺駆動制御手段27は、電動機5に流れる電流値から、踏段16への荷重を算出することが可能になっている。
なお、詳細には図示しないが、安全スイッチのいずれかが作動したときに、電動機5の給電経路が遮断されるようになっている。このとき、電動機5は、制動がかけられなければ、慣性力によりまわり続けるので、給電が遮断されるだけでは、すぐに回転トルクが小さくなることはない。
また、前述したようにソレノイド77が、電流供給回路78を介して、エスカレータ制御盤25に電気的に接続されている。手摺駆動制御手段27は、電流供給回路78を制御してソレノイド77に流す電流を可変させることが可能になっている。
次いで、エスカレータ1の動作について説明する。
まず、踏段16及び移動手摺20の駆動動作について説明する。
手摺駆動制御手段27は、安全スイッチの作動有無、言い換えれば緊急停止信号の検出有無を常時監視している。
手摺駆動制御手段27は、緊急停止信号の検出していない場合、ソレノイド77への給電を遮断するように電流供給回路78を制御し、移動手摺20は、駆動ローラ62と加圧ローラ63の間に所定の加圧力で挟持されている。
そして、電動機制御手段28が、電動機5を駆動すると、電動機5の駆動力が駆動鎖8を介して上部スプロケット10に伝達され、上部スプロケット10の回転力により、踏段鎖12が一対の乗降口15a,15b間を循環移動する。このとき、電動機制御手段28は、エスカレータ1の管理者により指定される上昇及び下降のいずれかに踏段16を所定の速度で移動させるように、電動機5の駆動トルクを制御する。
また、上部スプロケット10の回転に連動して、第1動力伝達用スプロケット21が回転し、これにともない、動力伝達用鎖23が循環移動し、第2動力伝達用スプロケット22が回転される。また、第2動力伝達用スプロケット22の回転に連動して第2手摺駆動用スプロケット65が回転し、手摺駆動用鎖68が循環移動する。これに伴って、第1手摺駆動用スプロケット64及び張力調整用スプロケット67が回転する。そして、第1手摺駆動用スプロケット64に同軸に連結固定された駆動ローラ62も回転し、駆動ローラ62と加圧ローラ63との間に加圧挟持された移動手摺20は、この回転力と、駆動ローラ62との間の摩擦力によって循環移動する。
次いで、安全スイッチのいずれかが作動した時のエスカレータ1の動作について説明する。
まず、踏段16が下降運転しているときの動作について説明する。
制動装置13の制動制御について説明する。
初期条件として、踏段16は、30m/minの速度で運転しているものとする。
制動制御手段26は、安全スイッチからエスカレータ制御盤25に入力される緊急停止信号の有無を常時監視している。
制動制御手段26は、緊急停止信号を検出すると、予め、規定されている所定の制動力で、電動機5に制動をかけて踏段16を所定の減速度で減速させるように制動装置13を制御する。なお、所定の制動力は、背景技術で説明したように、例えば、NLD運転している踏段16を停止させる時の停止距離を0.23mにする制動力である。
このとき、上述したように、踏段16が上昇運転しているときに比べて、踏段16の停止距離は長いために、踏段16は、小さな減速度(絶対値)で停止される。このため、乗客には、それほど大きな慣性力が働くことはない。
次いで、踏段16が上昇運転している場合について説明する。
制動装置13の制動制御について説明する。
制動制御手段26は、緊急停止信号を検出したと判断すると、予め、規定されている所定の制動力で、電動機5に制動をかけて踏段16を所定の減速度で減速させるように制動装置13を制御する。
踏段16が減速されると、乗客は慣性により前方に移動しようとする。このとき、乗客の慣性力は、つかんでいる移動手摺20を移動方向の前方にスリップさせる方向に働き、踏段16の減速度より移動手摺20の減速度の大きさが大きくなることはない。
次いで、手摺駆動装置50の動作について説明する。
手摺駆動制御手段27は、緊急停止信号の有無を常時監視している。また、手摺駆動制御手段27は、現在の移動手摺20の減速度を算出し、算出した値をRAMに上書き更新している。減速度の算出は、瞬時に行われ、RAMに上書き更新される移動手摺20の減速度は、現在の移動手摺20の減速度とみなせる。
次いで、手摺押圧機構70A,70Bの制御動作について説明する。
図10はこの発明の実施の形態1に係るエスカレータにおいて、踏段が上昇運転中に、安全スイッチが作動したときの手摺押圧機構の動作制御を説明するフロー図、図11はこの発明の実施の形態1に係るエスカレータにおいて、上昇運転している踏段に乗車した乗客が移動手摺をつかんだ状態を示す図である。
なお、図10において、ステップ101〜ステップ114を説明の便宜上S101〜S114と記載する。
ステップ101で、手摺駆動制御手段27は、緊急停止信号を検出したか否かを判断する。
ステップ101で、手摺駆動制御手段27は、緊急停止信号を検出したと判断すると、ステップ102に進み、検出していないと判断すると、ステップ101を繰り返す。
ステップ102で、手摺駆動制御手段27は、乗車率βが0でないか、言い換えれば、踏段16に荷重がかけられているか否かを判断する。乗車率βは、定格荷重に対し、現在、踏段16にかけられている合計の荷重の割合(%)をいう。この計算は瞬時に行われる。
ステップ102、手摺駆動制御手段27は、踏段16に荷重がかけられていないと判断すると、通常の制動動作で踏段16及び移動手摺20を停止(ステップ103)して、制御を終了する。なお、通常の制動動作とは、踏段16と移動手摺20の同期させたまま、言い換えれば、加圧ローラ63の移動手摺20への付勢力を保持させたまま踏段16に制動をかけるものをいう。
ステップ102で、手摺駆動制御手段27は、踏段16に荷重がかけられていると判断すると、ソレノイド77に以下に説明する同期解除電流を流すように電流供給回路78を制御する(ステップ104)。
同期解除電流は、例えば、加圧ローラ63の移動手摺20への加圧を0とするのに、ソレノイド77に流すのに必要な電流の値である。これにより、駆動ローラ62の駆動力の移動手摺20への伝達が解除される。このように、手摺押圧機構70A,70Bは、駆動ローラ62の駆動力の移動手摺20への伝達及び伝達解除を切り替える駆動力制限手段として機能する。
また、ソレノイド77への給電と同時に、制動制御手段26が制動装置13を制御して、踏段16を制動がかけている。このとき、加圧ローラ63と駆動ローラ62の間に移動手摺20を挟み込む力がなくなっているので、移動手摺20はソレノイド77への給電を遮断している時に比べて、スリップしやすい。
ステップ105で、手摺駆動制御手段27は、乗車率βに基づいて、減速度規定値γを計算し、減速度規定値から減速度下限値γ1、及び減速度上限値γ2を瞬時に算出する。
減速度規定値γは、後述する減速度制限標準値γm、NLDまたはNLU運転していた踏段16を緊急停止させるときの減速度αNLD=NLU、として、以下の式(3)のように設定する。
γ=αNLD=NLU+(γm−αNLD=NLU)×β/100・・・(3)
ここで、移動手摺20の減速度は、小さいほど移動手摺20の停止距離が長くなることを意味する。しかし、踏段16との減速度の差が、あまりに大きいと、踏段16の停止距離と移動手摺20の停止距離の差が大きくなりすぎてしまう。踏段16が停止したときの、乗客の立ち位置と、移動手摺20の把持位置との位置が極端に隔たるのは好ましくない。
減速度制限標準値γmは、安全上問題のないような踏段16と移動手摺20の停止距離の差となるように、移動手摺20を減速停止させるための移動手摺20の減速度の指標に用いるものである。
ここで、前述したように、ヨーロッパ法規やアメリカ法規を鑑みて、αNLD=NLU、及びFLU運転している踏段16を停止させるときの減速度αFLUが、0.54m/sec、及び1.25m/secに設定されているものとする。この場合、減速度αFLUの半分の0.625を減速度制限標準値γmとして設定する。
(3)式にαNLD=NLU及びαFLUの値を代入すると、
γ=0.54+(0.085)×β/100
となる。
そして、減速度規定値γに対し、0.02などの定数を引いた値を減速度下限値γ1、足した値を減速度上限値γ2とし、以下に説明するように、減速度がγ1未満に向かう方向に移動手摺20に慣性力が働く場合には、減速度下限値γ1と減速度上限値γ2の範囲内に移動手摺20の減速度が入るように制御する。
ステップ106で、手摺駆動制御手段27は、現在の減速度が、減速度下限値γ1より小さいか否かを判断し、減速度下限値γ1より小さくないと判断すると、ステップ107に進む。
乗客の慣性力が、移動手摺20に最初に加えられたときに、移動手摺20の減速度が減速度下限値γ1より小さくならなければ、その後、移動手摺20が停止されるまで、移動手摺20の減速度が、減速度下限値γ1を下回ることはない。
ステップ107で、手摺駆動制御手段27は、移動手摺20の速度が0m/secになったか否か、言い換えれば移動手摺20が停止したか否かを判断し、移動手摺20が停止していないと判断すると、ステップ107を繰り返す。
ステップ107で、手摺駆動制御手段27は、移動手摺20が停止したと判断すると、ステップ114に進む。
また、ステップ106で、手摺駆動制御手段27は、移動手摺20の現在の減速度が、減速度下限値γ1より小さいと判断すると、ソレノイド77の電流値を制動基準電流値I0まで下げる(ステップ108)。制動基準電流値I0は、加圧ローラ63が移動手摺20を、所定の加圧力で加圧させるのに必要な電磁力を第1電磁力発生手段74に発生させるための電流値である。所定の加圧力は、一義的に決める必要はないが、例えば、ソレノイド77に流れる電流が遮断された時に、加圧ローラ63が移動手摺20を加圧する力に比べて1〜3割程度の力で移動手摺20を加圧するものでよい。
駆動ローラ62の単位時間当たりの回転量は、移動手摺20の単位時間当たりの移動量に対して小さくなっているので、ソレノイド77の電流値を制動基準電流値I0まで下げ、加圧ローラ63を移動手摺20に押し付ければ、移動手摺20に制動がかかる。つまり、手摺押圧機構70A,70Bは、移動手摺20に制動をかける手摺制動手段として機能する。
ステップ109で、手摺駆動制御手段27は、移動手摺20の現在の減速度が減速度上限値γ2より大きいか否かを判断する。
ステップ109で、手摺駆動制御手段27は、移動手摺20の現在の減速度が減速度上限値γ2より大きくないと判断すると、移動手摺20の現在の減速度が減速度下限値γ1より小さいか否かを判断する(ステップ110)。
ステップ110で、手摺駆動制御手段27は、移動手摺20の現在の減速度が減速度下限値γ1より小さくないと判断すると、ステップ113に進む。
ステップ110で、手摺駆動制御手段27は、移動手摺20の現在の減速度が減速度下限値γ1より小さいと判断すると、ソレノイド77の電流値を所定量減少させて加圧ローラ63の移動手摺20への加圧力を増大させ、移動手摺20への制動力を上げ(ステップ111)、ステップ113に進む。
ステップ109で、手摺駆動制御手段27は、移動手摺20の現在の減速度が減速度上限値γ2より大きいと判断すると、ソレノイド77の電流値を所定量増加させて加圧ローラ63の移動手摺20への加圧力を減少させ、移動手摺20への制動力を下げる(ステップ112)。
ステップ113で、手摺駆動制御手段27は、移動手摺20が停止したか否かを判断し、移動手摺20が停止していないと判断すると、ステップ109に戻る。
ステップ113で、手摺駆動制御手段27は、移動手摺20が停止したと判断すると、ソレノイド77の給電を遮断し(ステップ114)、制御を終了する。
以上のステップ106、108〜113の制御は、移動手摺20の現在の減速度が減速度下限値γ1より小さくなった場合に、移動手摺20に制動をかけて、移動手摺20の現在の減速度を減速度下限値γ1以上に保つとともに、制動をかけすぎた場合、言い換えれば、移動手摺20の減速度が減速度上限値γ2を超えた場合に、移動手摺20への制動力を減じる、またはなくすものである。また、前述したように、ステップ106で現在の減速度が、減速度下限値γ1より小さくなかった場合では、その後、移動手摺20が停止されるまで何も制御しないが、移動手摺20の減速度が、減速度下限値を下回ることはない。
つまり、ステップ106、108〜113では、手摺駆動制御手段27は、減速度を、踏段16の減速度より小さい所定の範囲内に保つように、手摺押圧機構70A,70Bを制御している。
また、図11に示されるように、上昇運転中の踏段16を緊急停止する場合、乗客19の姿勢は、図中の実線で示した状態から、点線で示した状態に移行する。つまり、乗客19の胴体に対して、移動手摺20をつかんでいる手が前方に適度に移動されることになり、乗客19にかかる慣性力に対し、自身を支えやすくなる。また、踏段16と移動手摺20の停止距離の差が著しく大きくなることが防止されているので、踏段16が停止したときに、乗客の立ち位置と、移動手摺20に把持位置とが極端に離れることがなくなる。
この実施の形態1のエスカレータ1は、電動機5の駆動力が伝達される駆動ローラ62、及び駆動ローラ62との間に移動手摺20を加圧挟持する加圧ローラ63を有し、駆動ローラ62を介して移動手摺20に伝達される駆動力により、移動手摺20を踏段16に同期させて移動させる手摺駆動装置50を備えている。
手摺駆動装置50は、加圧ローラ63を、移動手摺20を介して駆動ローラ62に押し付ける方向に付勢し、加圧ローラ63の移動手摺20への付勢力を調整可能に構成された手摺押圧機構70A,70Bと、手摺押圧機構70A,70Bを制御する手摺駆動制御手段27と、を備えている。そして、加圧ローラ63の移動手摺20への付勢力によって、駆動ローラ62と移動手摺20との間の駆動力の伝達及び伝達解除を切り替えたり、移動手摺20に制動をかけたりすることができるようになっている。
また、制動制御手段26は、踏段16の緊急停止信号を検出すると、制動装置13の制動力を制御して、踏段16を所定の減速度で減速させ、手摺駆動制御手段27は、踏段16の緊急停止信号を検出し、さらに踏段16に荷重がかけられていると判断すると、駆動ローラ62から移動手摺20への駆動力の伝達を解除した後、移動手摺20の減速度を、踏段16の減速度より小さい所定の範囲内に保つように加圧ローラ63の移動手摺20への付勢力を制御している。
以上のように、手摺駆動制御手段27は、踏段16の緊急停止信号を検出すると、駆動ローラ62から移動手摺20への駆動力の伝達を解除するように加圧ローラ63の付勢力を制御するので、踏段16の緊急停止動作の開始時、移動手摺20の踏段16に同期した移動が解除される。これにより、踏段16の減速によって、踏段16に乗って移動手摺20につかまっていた乗客にかかる慣性力は、移動手摺20を進行方向にスリップさせるように働き、移動手摺20の減速度は、踏段16の減速度より小さくなる。このため、乗客と移動手摺20との間の相対的な減速度が小さくなり、乗客が、慣性力に抗して移動手摺20をつかんで自重を支えようとする力が小さくなる
また、手摺駆動制御手段27は、移動手摺20の減速度を、踏段16の減速度より小さい所定の範囲内に保つように加圧ローラ63の移動手摺20への付勢力を制御するので、乗客の立ち位置と乗客がつかんでいる移動手摺20の部位との距離は、移動手摺20及び踏段16が停止される前後で極端に変動せず、乗客が無理な姿勢を強いられることもない。
これにより、踏段16が緊急停止するときに、移動手摺20につかまって自重を支えようとする乗客の体力的な負担を軽減することができる。
手摺押圧機構70A,70Bは、さらに具体的には、加圧ローラ63を軸まわりに回転自在に支持し、弾性変形して加圧ローラ63を移動手摺20に向けて付勢する板ばね71と、板ばね71を弾性変形させるように付勢するコイルばね73と、給電時、板ばね71を付勢するコイルばね73の付勢力を減じる方向に作用する電磁力を発生する第1電磁力発生手段74と、により構成されている。そして、手摺駆動制御手段27は、第1電磁力発生手段74が発生する電磁力を制御することにより、加圧ローラ63の移動手摺への付勢力を制御する。
このように手摺押圧機構70A,70Bは、板ばね71及びコイルばね73と第1電磁力発生手段74という汎用されている部品で構成可能であるので、安価に構成できる。
なお、この実施の形態1では、手摺押圧機構70A,70Bが、駆動力制限手段と手摺制動手段を兼ねるものと説明したが、駆動力制限手段と手摺制動手段は別々に設けてもよい。例えば、駆動ローラ62から移動手摺20への駆動力の伝達及び伝達解除を切り替える駆動力制限手段として手摺押圧機構70A,70Bを用い、手摺押圧機構70A,70Bとは別に、移動手摺20を加圧挟持するなどして移動手摺20に制動をかける機構を手摺制動手段として用意してもよい。
ただし、手摺押圧機構70A,70Bが、駆動力制限手段と手摺制動手段を兼ねることで、手摺駆動装置50のコストを削減できる。
実施の形態2.
図12はこの発明の実施の形態2に係るエスカレータの手摺駆動装置周りの正面図、図13は図12のXIII−XIII矢視断面図、図14は図12のC部拡大図、図15は図14のXV−XV矢視断面図である。
なお、図12〜図15において、上記実施の形態1と同一または相当部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
図12〜図15において、手摺駆動ユニット60Bは、手摺駆動用鎖68に変え手摺駆動用ベルト85を有し、手摺押圧機構70A,70Bに代え、駆動力制限手段及び手摺制動手段としてのベルト押圧機構90を有している。また、手摺駆動ユニット60Bは、第1及び第2手摺駆動用スプロケット64,65、及び張力調整用スプロケット67に代え、ローラ駆動用プーリとしての第1手摺駆動用プーリ101、第2手摺駆動用プーリ102、及び張力調整用プーリ103を有している。なお、手摺押圧機構70A,70Bのうち板ばね71が残されている。
他の構成は、上記実施の形態1と同様に構成されている。
板ばね71は、長手方向の中央を固定板61から突出する支持部材81の他片にボルト82及びナット83により固定されている。このとき、板ばね71は、加圧ローラ63を移動手摺20に向けて付勢する復元力を発揮するように弾性変形されている。これにより、移動手摺20が、駆動ローラ62と加圧ローラ63との間に加圧挟持される。
ベルト押圧機構90は、押圧部材としての押圧ローラ91と、押圧部材移動装置92と、により構成されている。
押圧部材移動装置92は、第2電磁力発生手段94、及び押圧部材付勢手段としてのコイルばね98を備える。
第2電磁力発生手段94は、長手方向に平行な一面が開口された断面コ字状のケース93、ケース93内におけるケース93の長手方向の中間部に配置された鉄心96、軸方向をケース93の長手方向に一致させ、鉄心96を囲繞するようにケース93に固定されたソレノイド95、鉄心96のケース93の長手方向の両側に、鉄心96と離間して配置される一対の鉄片97、及びソレノイド95に電流を供給する電流供給回路78により構成されている。
そして、コイルばね98が、鉄片97と鉄心96との間に縮設されている。
また、回転軸99が、軸方向をケース93の開口面に直交する方向に一致させて鉄片97に突設されている。押圧ローラ91は、軸まわりに回転自在に回転軸99に同軸に取り付けられている。
以上のように構成されたベルト押圧機構90において、ソレノイド95への給電が遮断されている場合、鉄片97は、コイルばね98の付勢力によりケース93の長手方向両端の内面に押し付けられ、ソレノイド95に給電されると、コイルばね98の付勢力に抗して鉄片97が鉄心96側に引き寄せられる。
ベルト押圧機構90は、張力調整用プーリ103と第2手摺駆動用プーリ102の間に位置する固定板61の表面の部位に、鉄片97の移動方向を駆動ローラ62および加圧ローラ63の配列方向に一致させて配置されている。このとき、ケース93が、固定板61に形成された穴に挿入固定され、ベルト押圧機構90が固定板61に支持されている。
そして、ソレノイド95への給電が遮断されているとき、コイルばね98に付勢され、ケース93の長手方向の両端の内面に押し付けられた押圧ローラ91のそれぞれは、第1及び第2手摺駆動用プーリ101,102の間に位置する手摺駆動用ベルト85の所定部位を、互いに離反させる方向に所定の大きさの力で押圧する押圧位置をとるようになっている。これにより、第1,第2手摺駆動用プーリ101,102、及び張力調整用プーリ103に巻きかけられた手摺駆動用ベルト85が緊張状態に保たれる。
また、ソレノイド95への給電時、コイルばね98の付勢力に抗して、押圧位置から鉄片97及び押圧ローラ91を鉄心96側に向けて付勢する電磁力が発生する。
このとき、ソレノイド95に流される電流の大きさが大きくなるにつれて、一対の押圧ローラ91は、手摺駆動用ベルト85の張力が、漸次弛緩されるように互いに接近する。例えば、ソレノイド95に所定の電流(同期解除電流)を流したときに、押圧ローラ91は、手摺駆動用ベルト85の緊張状態を弛緩させ、手摺駆動用ベルト85と第1手摺駆動用プーリ101の間の摩擦力を略0にする同期解除位置に移動するようになっている。
また、エスカレータ1のシステム構成は、ソレノイド95がソレノイド77に変え、エスカレータ制御盤25に接続されている他は、上記実施の形態1と同様である。
次いで、手摺駆動装置50の動作について説明する。
手摺駆動制御手段27は、緊急停止信号を検出していない場合、ソレノイド77への給電を遮断している。これにより、押圧ローラ91は、コイルばね98に付勢されて押圧位置に配置され、手摺駆動用ベルト85は緊張状態に保たれる。
そして、第2動力伝達用スプロケット22が、電動機5の駆動に連動して回転されると、第2動力伝達用スプロケット22に同軸に連結固定された第2手摺駆動用プーリ102が回転される。これにより、第1手摺駆動用プーリ101及び第2手摺駆動用プーリ102に巻き掛けられた手摺駆動用ベルト85は、第2手摺駆動用プーリ102との間に摩擦力により移動する。
さらに、第1手摺駆動用プーリ101と及び張力調整用プーリ103が、手摺駆動用ベルト85との間の摩擦力により回転する。これにより、手摺駆動用ベルト85の移動力が、第1手摺駆動用プーリ101に同軸に連結固定された駆動ローラ62に伝達されて駆動ローラ62が回転し、駆動ローラ62と加圧ローラ63との間に加圧挟持された移動手摺20は、駆動ローラ62の回転力と、駆動ローラ62との間の摩擦力により移動する。このように、電動機5の駆動力が、手摺駆動用ベルト85に伝達され、さらに、手摺駆動用ベルト85に伝達された駆動力が、駆動ローラ62に伝達されて、駆動ローラ62が回転する。
次いで、安全スイッチが作動したときの手摺駆動装置50の動作について説明する。
手摺駆動制御手段27は、安全スイッチの作動時に安全スイッチからエスカレータ制御盤25に入力される緊急停止信号の有無を常時監視している。また、手摺駆動制御手段27は、現在の移動手摺20の減速度を算出し、算出した値をRAMに上書き更新している。
次いで、ベルト押圧機構90の動作制御について説明する。
図16はこの発明の実施の形態2に係るエスカレータにおいて、踏段が上昇運転しているときに安全スイッチが作動したときのベルト押圧機構の動作制御を説明するフロー図である。
なお、図16において、ステップ201〜ステップ214を説明の便宜上S201〜S214と記載する。
ステップ201〜ステップ203はステップ101〜ステップ103と同様である。
ステップ102で、手摺駆動制御手段27は、乗客が乗車していると判断すると、電流供給回路78を制御してソレノイド95に同期解除電流を流す(ステップ204)。
これにより、手摺駆動用ベルト85と第1手摺駆動用プーリ101との間の摩擦力は略0となり、駆動ローラ62の駆動力の移動手摺20への伝達が解除される。従って、移動手摺20の踏段16に同期した移動が解除される。このように、ベルト押圧機構90は、駆動ローラ62の駆動力の移動手摺20への伝達及び伝達解除を切り替える駆動力制限手段として機能する。
ステップ205〜ステップ207は、ステップ105〜ステップ107と同様である。
また、ステップ206で、手摺駆動制御手段27は、移動手摺20の現在の減速度が、減速度下限値γ1より小さいと判断すると、ソレノイド95の電流値を制動基準電流値I1まで下げる(ステップ208)。制動基準電流値I1は、手摺駆動用ベルト85と第1手摺駆動用プーリ101との間の摩擦力を所定の大きさにするための電流である。
所定の大きさとは、一義的に決定されるものではないが、例えば、ソレノイド95への給電が遮断された時の手摺駆動用ベルト85と第2手摺駆動用プーリ102との間の摩擦力に比べて、1〜3割程度の摩擦力を発揮する大きさでよい。
踏段16は、制動をかけられて所定の減速度で減速されるとき、乗客の慣性力は、つかんでいる移動手摺20を移動方向の前方にスリップさせる方向に働くので、踏段16の減速度より移動手摺20の減速度の大きさが大きくなることはない。つまり、移動手摺20の移動速度は、踏段16の移動速度より大きな速度を有する。このため、駆動ローラ62の外周面の単位時間当たりの回転方向の移動量は、移動手摺20の単位時間当たりの移動量に対して小さい。そこで、ソレノイド95の電流値を制動基準電流値I1まで下げ、第1手摺駆動用プーリ101に手摺駆動用ベルト85を押し付ければ、移動手摺20に制動がかかる。このように、ベルト押圧機構90は、移動手摺20に制動をかける手摺制動手段として機能する。
ステップ209〜ステップ214はステップ109及び114と同様である。
この実施の形態2のエスカレータは、駆動ローラ62に同軸に連結固定された第1手摺駆動用プーリ101に巻き掛けられ、電動機5の駆動力が伝達されて移動し、駆動力を駆動ローラ62に伝達する手摺駆動用ベルト85を備えている。また、エスカレータは、手摺駆動用ベルト85を所定の押圧力で押圧して手摺駆動用ベルト85を緊張させる押圧位置と手摺駆動用ベルト85の緊張状態を弛緩させる同期解除位置との間を移動するように設けられた押圧ローラ91、及び押圧ローラ91を押圧位置と同期解除位置との間の任意の位置に保持する押圧部材移動装置92を有するベルト押圧機構90と、ベルト押圧機構90を制御する手摺駆動制御手段27と、を備えている。そして、押圧ローラ91の配置位置によって、駆動ローラ62と移動手摺20との間の駆動力の伝達及び伝達解除を切り替えたり、移動手摺20に制動をかけたりすることができるようになっている。
手摺駆動制御手段27は、踏段16の緊急停止信号を検出すると、押圧ローラ91を同期解除位置に移動させて移動手摺20への駆動力の伝達を解除した後、移動手摺20の減速度が、所定の範囲内を保つように、押圧ローラ91の保持位置を制御している。
従って、この実施の形態2によれば、実施の形態1と同様、乗客が乗せられて上昇運転している踏段16が緊急停止するとき、乗客と移動手摺20の相対加速度が小さくなり、また、乗客の立ち位置と乗客がつかんでいる移動手摺20の部位の距離は、移動手摺20及び踏段16が停止される前後で極端に変動することもない。したがって、踏段16の緊急停止するときに、移動手摺20をつかんで自重を支えようとする乗客への体力的な負担を軽減することができる。
また、押圧部材移動装置92は、押圧ローラ91を押圧位置に向かって付勢し、手摺駆動用ベルト85を緊張させるコイルばね98と、給電時、コイルばね98の付勢力に抗して押圧ローラ91を同期解除位置に向かって移動させる方向の電磁力を発生する第2電磁力発生手段94と、を有している。そして、手摺駆動制御手段27が、第2電磁力発生手段94が発生する電磁力の大きさを制御することにより、押圧ローラ91の保持位置を制御している。
このようにベルト押圧機構90は、押圧ローラ91と第2電磁力発生手段94という汎用された部品で構成可能であるので、安価に構成できる。
なお、この実施の形態2では、ソレノイド95に同期解除電流を流したときに、押圧ローラ91は、手摺駆動用ベルト85と第1手摺駆動用プーリ101の間の摩擦力を略0にするように手摺駆動用ベルト85を所定の押圧力で押圧する同期解除位置をとるものとして説明した。
しかし、押圧ローラ91が同期解除位置に移動したときに、手摺駆動用ベルト85と第1手摺駆動用プーリ101の間の摩擦力を略0にするものに限定されず、踏段16と移動手摺20との同期が大きく解除されるものであれば、手摺駆動用ベルト85と第1手摺駆動用プーリ101の間の摩擦力はある程度残っていてもよい。
また、ベルト押圧機構90が、駆動力制限手段と手摺制動手段を兼ねるものと説明したが、駆動力制限手段と手摺制動手段は別々に設けてもよい。例えば、駆動ローラ62から移動手摺20への駆動力の伝達及び伝達解除を切り替える駆動力制限手段としてベルト押圧機構90を用い、ベルト押圧機構90とは別に、移動手摺20を加圧挟持するなどして移動手摺20に制動をかける機構を手摺制動手段として用意してもよい。
ただし、ベルト押圧機構90が、駆動力制限手段と手摺制動手段を兼ねることで、手摺駆動装置50のコストを削減できる。
1 エスカレータ、5 電動機(駆動手段)、15a,15b 乗降口、13 制動装置、16 踏段、18 欄干、20 移動手摺、26 制動制御手段、27 手摺駆動制御手段、30 電流計(荷重情報取得手段)、40 手摺速度検出手段、50 手摺駆動装置、62 駆動ローラ、63 加圧ローラ、70A,70B 手摺押圧機構(駆動力制限手段、手摺制動手段)、71 板ばね、73 コイルばね(第2付勢手段)、74 第1電磁力発生手段、90 ベルト押圧機構(駆動力制限手段、手摺制動手段)、91 押圧ローラ(押圧部材)、94 第2電磁力発生手段、98 コイルばね(押圧部材付勢手段)、101 第1手摺駆動用プーリ(ローラ駆動用プーリ)。

Claims (6)

  1. 一対の乗降口間を循環移動可能に設けられた踏段と、上記踏段にかけられた荷重に応じた荷重情報値を出力する荷重情報取得手段と、上記踏段を駆動する駆動手段と、上記駆動手段に制動をかける制動装置と、上記制動装置を制御する制動制御手段と、上記踏段を挟むように対向して立設された一対の欄干の周縁に沿って移動可能に設けられた一対の移動手摺と、上記駆動手段の駆動力が伝達されて回転する駆動ローラ、及び上記駆動ローラとの間に上記移動手摺を加圧挟持する加圧ローラを有し、上記駆動ローラを介して上記移動手摺に伝達される上記駆動力により、上記移動手摺を上記踏段に同期させて移動させる手摺駆動装置と、上記移動手摺の移動速度を検出する手摺速度検出手段と、
    を備えるエスカレータにおいて、
    上記手摺駆動装置は、上記駆動ローラと上記移動手摺との間の上記駆動力の伝達及び伝達解除を切り替える駆動力制限手段と、上記移動手摺に制動をかける手摺制動手段と、上記駆動力制限手段、及び上記手摺制動手段を制御する手摺駆動制御手段と、
    を備え、
    上記制動制御手段は、上記踏段の緊急停止信号を検出すると、上記制動装置の制動力を制御して、上記踏段を所定の減速度で減速させ、
    上記手摺駆動制御手段は、上記踏段の緊急停止信号を検出し、さらに上記荷重情報値に基づいて上記踏段に荷重がかけられていると判断すると、上記移動手摺への上記駆動力の伝達を解除するように上記駆動力制限手段を制御するとともに、上記手摺速度検出手段の出力に基づいて算出される上記移動手摺の減速度を、上記踏段の減速度より小さい所定の範囲内に保つように上記手摺制動手段を制御することを特徴とするエスカレータ。
  2. 上記駆動力制限手段が、上記手摺制動手段を兼ねることを特徴とする請求項1記載のエスカレータ。
  3. 上記駆動力制限手段は、上記加圧ローラを、上記移動手摺を介して上記駆動ローラに押し付ける方向に付勢し、かつ上記加圧ローラの上記移動手摺への付勢力を調整可能に構成され、
    上記手摺駆動制御手段は、上記踏段の緊急停止信号を検出すると、上記移動手摺への上記駆動力の伝達を解除した後、上記移動手摺の減速度が、上記所定の範囲内を保つように、上記加圧ローラの上記移動手摺への付勢力を制御することを特徴とする請求項2記載のエスカレータ。
  4. 上記駆動力制限手段は、上記加圧ローラを軸まわりに回転自在に支持し、弾性変形して上記加圧ローラを上記移動手摺に向けて付勢する第1付勢手段と、上記第1付勢手段を弾性変形させるように付勢する第2付勢手段と、給電時、上記第1付勢手段を付勢する上記第2付勢手段の付勢力を減じる方向に作用する電磁力を発生する第1電磁力発生手段と、
    を備え、
    上記手摺駆動制御手段は、上記第1電磁力発生手段が発生する上記電磁力を制御することにより、上記加圧ローラの上記移動手摺への付勢力を制御することを特徴とする請求項3記載のエスカレータ。
  5. 上記駆動ローラに同軸に連結固定されたローラ駆動用プーリと、
    上記ローラ駆動用プーリに巻き掛けられ、上記駆動力を上記駆動ローラに伝達する手摺駆動用ベルトを備え、
    上記駆動力制限手段は、上記手摺駆動用ベルトを所定の押圧力で押圧して上記手摺駆動用ベルトを緊張させる押圧位置と上記手摺駆動用ベルトの緊張状態を弛緩させる同期解除位置との間を移動するように設けられた押圧部材、及び上記押圧部材を上記押圧位置と同期解除位置との間の任意の位置に保持する押圧部材移動装置を備え、
    上記手摺駆動制御手段は、上記踏段の緊急停止信号を検出すると、上記押圧部材を上記同期解除位置に移動させて上記移動手摺への上記駆動力の伝達を解除した後、上記移動手摺の減速度が、上記所定の範囲内を保つように、上記押圧部材の保持位置を制御することを特徴とする請求項2記載のエスカレータ。
  6. 上記押圧部材移動装置は、
    上記押圧部材を上記押圧位置に向かって付勢し、上記手摺駆動用ベルトを緊張させる押圧部材付勢手段と、
    給電時、上記押圧部材付勢手段の付勢力に抗して上記押圧部材を上記押圧位置から上記同期解除位置に向かって移動させる方向の電磁力を発生する第2電磁力発生手段と、
    を備え、
    上記手摺駆動制御手段は、上記第2電磁力発生手段が発生する上記電磁力を制御することにより、上記押圧部材の保持位置を制御することを特徴とする請求項5記載のエスカレータ。
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