JP2011168024A - 画像形成装置及び画像形成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、転写性に優れ、処理液を付与しなくても滲みの発生を抑制することが可能な画像形成装置及び画像形成方法を提供することを目的とする。
【解決手段】画像形成装置100は、顔料が水を含む溶媒中に分散されている導電性インクを吐出するノズルを有する記録ヘッド21と、ノズルとの間に導電性インクからなる液柱のブリッジを一時的に形成することによりインク画像を形成することが可能な、カーボンナノチューブを含む弾性層が表面に形成されている中間転写ドラム10と、弾性層と導電性インクとの間に、液柱のブリッジに含まれる水が電気分解することが可能な電圧を印加する電源30と、中間転写ドラム10に形成されたインク画像を記録紙Sに転写する転写ローラ40を有する。
【選択図】図1
【解決手段】画像形成装置100は、顔料が水を含む溶媒中に分散されている導電性インクを吐出するノズルを有する記録ヘッド21と、ノズルとの間に導電性インクからなる液柱のブリッジを一時的に形成することによりインク画像を形成することが可能な、カーボンナノチューブを含む弾性層が表面に形成されている中間転写ドラム10と、弾性層と導電性インクとの間に、液柱のブリッジに含まれる水が電気分解することが可能な電圧を印加する電源30と、中間転写ドラム10に形成されたインク画像を記録紙Sに転写する転写ローラ40を有する。
【選択図】図1
Description
本発明は、画像形成装置及び画像形成方法に関する。
ピエゾ方式に代表される可動アクチュエータ方式、サーマル方式に代表される加熱膜沸騰方式等により、ノズルからインクを吐出する記録ヘッドを備えるインクジェット記録方式の画像形成装置が知られている。
このような画像形成装置は、記録ヘッドから記録紙にインクを直接吐出する構成において、記録ヘッドと記録紙が近接するため、紙粉、埃等がノズルに付着しやすい。その結果、ノズルから吐出される液滴の飛翔方向が乱れたり、ノズルが閉塞したりして、画像品質や信頼性が低下する。また、ノズルからの吐出性を優先して、粘度が小さいインクを使用するのが一般的であるが、記録紙に着弾する際にインクの滲みが発生しやすい。
そこで、特許文献1には、インク像を担持する中間転写体と、中間転写体上に処理液を付与する処理液付与部と、処理液上にインクを吐出するインク吐出部と、中間転写体上に形成されたインク像の溶媒を除去する溶媒除去部と、溶媒が除去されたインク像を記録媒体に転写する転写部と、を備える画像形成装置が開示されている。このとき、インクは、色材とイオン性基を有する樹脂エマルジョンを含み、処理液は、インクと接触することによりpH変化を引き起こし、色材及びイオン性基を有する樹脂エマルジョンに凝集作用を生じさせるとともに、インクと処理液とのpH差が3以上である。
しかしながら、インク像を形成するために処理液を付与しなければならないことに加え、転写性が低いという問題がある。
本発明は、上記従来技術が有する問題に鑑み、転写性に優れ、処理液を付与しなくても滲みの発生を抑制することが可能な画像形成装置及び画像形成方法を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、画像形成装置において、顔料が水を含む溶媒中に分散されている導電性インクを吐出するノズルを有する記録ヘッドと、前記ノズルとの間に前記導電性インクからなる液柱のブリッジを一時的に形成することによりインク画像を形成することが可能な、カーボンナノチューブを含む弾性層が表面に形成されている中間転写体と、前記弾性層と前記導電性インクとの間に、前記液柱のブリッジに含まれる水が電気分解することが可能な電圧を印加する電圧印加手段と、前記中間転写体に形成されたインク画像を記録媒体に転写する転写手段を有することを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記弾性層中の前記カーボンナノチューブの含有量が0.1質量%以上1.0質量%以下であることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の画像形成装置において、前記弾性層は、体積抵抗率が1×103Ω・cm未満であることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の画像形成装置において、前記弾性層は、水に対する後退接触角が60°より大きいことを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の画像形成装置において、前記顔料は、アニオン性分散剤により分散されており、前記電圧印加手段は、前記弾性層前記弾性層がアノードとして機能するように電圧を印加することを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、顔料が水を含む溶媒中に分散されている導電性インクを記録ヘッドのノズルから吐出して、中間転写体にインク画像を形成する工程と、該中間転写体に形成されたインク画像を記録媒体に転写する工程を有する画像形成方法であって、前記中間転写体は、カーボンナノチューブを含む弾性層が表面に形成されており、前記導電性インクと前記弾性層との間に電圧が印加されている状態で、前記ノズルと前記中間転写体の間に前記導電性インクからなる液柱のブリッジを一時的に形成すると共に、前記液柱のブリッジに含まれる水を電気分解することにより、前記中間転写体にインク画像を形成することを特徴とする。
本発明によれば、転写性に優れ、処理液を付与しなくても滲みの発生を抑制することが可能な画像形成装置及び画像形成方法を提供することができる。
次に、本発明を実施するための形態を図面と共に説明する。
図1に、本発明で用いられる画像形成装置の一例を示す。画像形成装置100は、インクジェットプリンタであり、外部から受信した画像情報に対応する画像信号に基づいて、記録紙Sの片面にフルカラー画像を形成する。
なお、記録紙Sの片面にフルカラー画像を形成する代わりに、記録紙Sの両面にフルカラー画像を形成する構成としてもよい。
記録紙Sとしては、シート状であれば、特に限定されないが、一般にコピー等に用いられる普通紙;カード、ハガキ等の厚紙;封筒等が挙げられる。
なお、記録紙Sの代わりに、OHPシート等を用いてもよい。
画像形成装置100は、中間転写ドラム10の周囲に、導電性インクを吐出して中間転写ドラム10にインク画像を形成する吐出装置20、電源30、中間転写ドラム10に形成されたインク画像を記録紙Sに転写する転写ローラ40、インク画像が転写された中間転写ドラム10をクリーニングするクリーニングブレード50、記録紙Sを搬送する搬送ユニット60及びCPU、メモリ等を有する制御部(不図示)を有する。
中間転写ドラム10は、図2に示すように、導電性基体11上に弾性層12が形成されており、モータ等の駆動手段(不図示)により、図中、A1の向きに回転駆動される。
導電性基体11を構成する材料としては、特に限定されないが、アルミニウム、アルミ合金、銅、ステンレス等の金属が挙げられる。
なお、導電性基体11の代わりに、絶縁性基体を用いてもよい。
弾性層12は、弾性体中にカーボンナノチューブが分散されている。これにより、弾性層12は、導電性が優れるため、弾性層12の近傍で、後述する液柱のブリッジに含まれる水を電気分解することができる。また、弾性層12は、インク画像に対する離型性が優れるため、転写性に優れる。
弾性体としては、特に限定されないが、シリコーンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム、ニトリルブタジエンゴム等が挙げられる。
弾性体のゴム硬度は、通常、60°以下である。弾性体のゴム硬度が60°を超えると、転写性が低下することがある。
カーボンナノチューブは、単層ナノチューブ及び多層ナノチューブのいずれであってもよい。
弾性層12中のカーボンナノチューブの含有量は、通常、0.1〜1.0質量%であり、0.1〜0.5質量%が好ましい。弾性層12中のカーボンナノチューブの含有量が0.1質量%未満であると、弾性層12中のカーボンナノチューブの分布が不均一になって、弾性層12の近傍で、後述する液柱のブリッジに含まれる水を電気分解できない領域が形成されることがあり、1.0質量%を超えると、弾性層12の硬度、水に対する後退接触角、算術平均粗さRa等の物性が不均一になって、転写性が低下することがある。
弾性層12の体積抵抗率は、導電性インクの体積抵抗率よりも小さいが、1×103Ω・cm未満であることが好ましい。弾性層12の体積抵抗率が1×103Ω・cm以上であると、弾性層12の近傍で、後述する液柱のブリッジに含まれる水を電気分解することが困難になることがある。
弾性層12の水に対する後退接触角は、通常、60°より大きく、80°より大きいことが好ましい。弾性層12の水に対する後退接触角が60°以下であると、転写性が低下することがある。
弾性層12の算術平均粗さRaは、通常、1以下である。弾性層12の算術平均粗さRaが1を超えると、転写性が低下することがある。
弾性層12の厚さは、通常、0.1〜1mmであり、0.2〜0.6mmが好ましい。
弾性層12は、カーボンナノチューブ、イオン液体及び弾性体を含む分散液を導電性基体11に塗布することにより形成することができる(特開2009−5536号公報参照)。
分散液を製造する際に用いるカーボンナノチューブは、アスペクト比が1×104以上であることが好ましい。カーボンナノチューブのアスペクト比が1×104未満であると、カーボンナノチューブ同士が接触しにくくなって、弾性層12の導電性と離型性を両立させることが困難になることがある。
なお、アスペクト比は、平均径に対する平均長さの比である。
分散液を製造する際に用いるカーボンナノチューブの平均長さは、通常、1μm以上であり、50μm以上が好ましく、500μm以上がさらに好ましい。
イオン液体を構成するカチオンとしては、特に限定されないが、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、化学式
(CH3)2(CH3CH2)(CH2CH2OCH2CH2OCH3)N+
で表される4級アンモニウム塩等が挙げられる。また、イオン液体を構成するアニオンとしては、特に限定されないが、テトラフルオロホウ酸イオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸イオン等が挙げられる。このとき、カチオン及び/又はアニオンを二種以上併用してもよい。
(CH3)2(CH3CH2)(CH2CH2OCH2CH2OCH3)N+
で表される4級アンモニウム塩等が挙げられる。また、イオン液体を構成するアニオンとしては、特に限定されないが、テトラフルオロホウ酸イオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸イオン等が挙げられる。このとき、カチオン及び/又はアニオンを二種以上併用してもよい。
なお、中間転写ドラム10の代わりに、弾性層12が形成されている無端ベルト又はシートを用いてもよい。
吐出装置20は、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの各色の導電性インクを吐出する記録ヘッド21Y、21M、21C及び21BKが、図中、紙面に垂直な方向に複数個並設されている固定式のフルライン型である。記録ヘッド21Y、21M、21C及び21BKは、中間転写ドラム10の外周面に対向する位置に、A1の向きの上流側から順次設けられている。このとき、制御部は、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの各色の画像領域が中間転写ドラム10上で重なるように、A1の向きの上流側から下流側に向けて、タイミングをずらして、各色の導電性インクを吐出するように、記録ヘッド21Y、21M、21C及び21BKを制御する。
吐出装置20は、記録ヘッド21Y、21M、21C及び21BKに供給される各色の導電性インクを収容するインクカートリッジ22Y、22M、22C及び22BKと、インクカートリッジ22Y、22M、22C及び22BKに収容された各色の導電性インクを移送するポンプ(不図示)と、ポンプにより移送された各色の導電性インクを記録ヘッド21Y、21M、21C及び21BKに分配して供給する供給タンク(不図示)を有する。なお、インクカートリッジ22Y、22M、22C及び22BKと、供給タンクの間は、ポンプを介して、パイプ(不図示)で接続されており、供給タンクと、記録ヘッド21Y、21M、21C及び21BKの間は、パイプ(不図示)で接続されている。また、インクカートリッジ22Y、22M、22C及び22BKは、導電性インクが少なくなったとき、又は、無くなったときに交換できるように、また、メンテナンスを容易にするために、着脱可能となっている。
吐出装置20は、供給タンク内の導電性インクの量を検知するセンサ(不図示)をさらに有する。センサが供給タンク内の導電性インクの量が所定量未満であることを検出すると、制御部は、供給タンク内の導電性インクの量が所定量以上になるまでポンプを駆動し、インクカートリッジ22Y、22M、22C及び22BKに収容されている導電性インクを供給タンクに移送する。
吐出装置20は、記録ヘッド21Y、21M、21C及び21BKを一体に支持し、着脱可能なキャリッジ23を有する。このとき、記録ヘッド21Y、21M、21C及び21BKは、それぞれ独立に、着脱可能である。これにより、記録ヘッド21Y、21M、21C及び21BKを交換することができる。
記録ヘッド21は、図2に示すように、ノズル21aが形成されている導電性のノズル板21b、各ノズル21aに対応したインク室21c及びインク吐出手段(不図示)を有する。このとき、ノズル板21bは、複数のノズル21aが形成されており、各記録ヘッド21は、単数のノズル21aを有する。即ち、複数の記録ヘッド21がノズル板21bを共有している。また、インク室21cには、供給タンク(不図示)を用いて供給された導電性インクIが充填されている。インク吐出手段は、圧電素子を有し、圧電素子に印加される電圧パルスに応じて、ノズル21aから導電性インクIが吐出される。
ノズル板21bは、カソードとして機能する。ノズル板21bを構成する材料としては、特に限定されないが、金属、カーボン等が挙げられる。
中間転写ドラム10と、ノズル板21bのギャップは50〜200μmであることが好ましい。ギャップが50μm未満であると、回転する中間転写ドラム10と、ノズル板21bのギャップを維持することが困難になることがあり、200μmを超えると、ノズル21aと中間転写ドラム10の間に、液柱のブリッジを形成しにくくなることがある。
なお、導電性のノズル板21bを用いる代わりに、導電性インクIと接触する内面のみが導電処理されている絶縁性のノズル板を用いてもよいし、導電性インクIと接触する内面のみが絶縁処理されている導電性のノズル板を用いてもよいし、絶縁層及び導電層が積層されているノズル板を用いてもよい。このとき、導電性インクIと接触する面を絶縁性とすることにより、後述する電気分解による気泡の発生を抑制できる。
また、記録ヘッド21は、ピエゾ方式等の形状変形素子方式であってもよいし、サーマル方式等の加熱ヒータ方式等の他の方式であってもよい。
さらに、吐出装置20は、中間転写ドラム10の表面が移動する方向に対して垂直な方向(主走査方向)に記録ヘッドが移動するシャトル型であってもよい。このとき、記録ヘッドの数は、複数であってもよい。
また、各記録ヘッド21Y、21M、21C及び21BKに対応する中間転写ドラム10及び転写ローラ40を、それぞれ4個ずつ設けてもよい。
導電性インクIは、アニオン性分散剤により顔料が水を含む溶媒中に分散されている。
顔料としては、特に限定されないが、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185等のオレンジ又はイエロー用の顔料;C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等のレッド又はマゼンタ用の顔料;C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等のグリーン又はシアン用の顔料;C.I.ピグメントブラック1、C.I.ピグメントブラック6、C.I.ピグメントブラック7等のブラック用の顔料が挙げられる。
導電性インクI中の顔料の含有量は、通常、0.1〜40質量%であり、1〜30質量%が好ましく、2〜20質量%がさらに好ましい。
アニオン性分散剤としては、特に限定されないが、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
導電性インクIは、転写性の点から、カルボキシル基、スルホン酸基、ホスホン酸基等の酸性基を有する樹脂を、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の塩基を用いて中和することにより得られるアニオン性基を有する樹脂をさらに含むことが好ましい。酸性基を有する樹脂としては、特に限定されないが、ポリアクリル酸、ポリアミド、ポリビニルアルコール等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
導電性インクI中のアニオン性基を有する樹脂の含有量は、通常、0.5〜10質量%であり、0.5〜5質量%が好ましい。
導電性インクIは、水に可溶な溶媒をさらに含んでもよい。水に可溶な溶媒としては、特に限定されないが、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1、5−ペンタンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、グリセリン等の多価アルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジグリセリンのエチレンオキサイド付加物等の多価アルコール誘導体;ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、トリエタノールアミン等の含窒素溶媒;エタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ベンジルアルコール等のアルコール類;チオジエタノール、チオジグリセロール、スルフォラン、ジメチルスルホキシド等の含硫黄溶媒;炭酸プロピレン、炭酸エチレン等の炭酸アルキレンが挙げられ、二種以上併用してもよい。
導電性インクIは、保存安定性の点から、アルカリ性であることが好ましい。
電源30は、図2に示すように、ノズル板21b及び導電性基体11の間に接続されており、制御部は、導電性インクIと弾性層12の間に、所定のタイミングで所定の電圧が印加されるように電源30を制御する。このため、ノズル21aと弾性層12の間に、導電性インクIからなる液柱のブリッジを一時的に形成することにより、液柱のブリッジに含まれる水を電気分解することができる。その結果、中間転写ドラム10にインク画像を形成することができる。このとき、アノードとして機能する弾性層12の表面で、液柱のブリッジに含まれる水が酸化してプロトン(H+)が生成するため、図3に示すように、アニオン性分散剤Dにより分散されている顔料Pを、プロトンを介して凝集させることができる。これにより、隣接するドット間の滲みの発生を抑制することができ、高精細な画像を形成することができる。また、ノズル21aの目詰まりを抑制することができる。
なお、制御部は、圧電素子に印加する電圧パルスのピーク電圧とパルス幅を変化させることにより、液柱のブリッジを形成する時間を制御する。
図4に、インク画像が形成されるメカニズムを示す。まず、ノズル21aには、インク室21cに充填された導電性インクIのメニスカスが形成されており、電源30には、所定の電圧が印加されている(図4(a)参照)。次に、圧電素子に電圧パルスが印加されることにより、導電性インクIがノズル21aから吐出され、ノズル21aと弾性層12の間に、導電性インクIからなる液柱のブリッジが一時的に形成される(図4(b)参照)。このとき、ノズル板21b及び弾性層12は、それぞれカソード及びアノードとして機能し、ノズル板21b及び弾性層12の表面で、それぞれ反応式
4H2O+4e−→2H2+4OH−
で示される電極反応及び反応式
2H2O→4H++O2+4e−
で示される電極反応が起こり、液柱のブリッジに含まれる水が電気分解される。さらに、液柱のブリッジが分断されて、中間転写ドラム10にインク画像I'が形成される(図4(c)参照)。
4H2O+4e−→2H2+4OH−
で示される電極反応及び反応式
2H2O→4H++O2+4e−
で示される電極反応が起こり、液柱のブリッジに含まれる水が電気分解される。さらに、液柱のブリッジが分断されて、中間転写ドラム10にインク画像I'が形成される(図4(c)参照)。
ここで、図5を用いて、カソード及びアノードの間に形成される液柱のブリッジについて説明する。液柱のブリッジBの内部では、カチオン及びアニオンは、それぞれカソードC及びアノードAの近傍に移動する。その結果、カソードC及びアノードAの表面に、それぞれ電気二重層EC及びEAが形成されるが、電気二重層EC及びEAの充電速度は、液柱のブリッジBの抵抗RB、導電性インクIに含まれるイオンの濃度でほぼ決定される。このとき、電気二重層EAの電圧が数Vに達すると、水が電気分解してファラデー電流が流れる。その結果、アノードAの表面では、水が酸化してプロトンが生成し、アニオン性分散剤により分散されている顔料が凝集する。一方、電気二重層ECの容量CECは、電気二重層EAの容量CEAよりも十分に大きいため、カソードCの表面では、水が還元しにくい。これは、カソードCとしての、導電性インクIが接触するノズル板21bの面積は、アノードAとしての、液柱が接触する弾性層12の面積よりも十分に大きいためである。
なお、制御部は、プロトンの生成量、即ち、液柱のブリッジを形成する時間、電源30に印加する電圧を変化させることにより、顔料の凝集の度合いを制御することができる。
また、水が酸化してプロトンが生成する際に、酸素も発生するが、微量であることに加え、水に溶解すると考えられるため、インク画像I'の形成を阻害しない。
液柱のブリッジBが形成されてから分断されるまでの時間は、通常、数マイクロ秒〜数十マイクロ秒であり、導電性インクIの導電率は、通常、数十mS/m〜数百mS/mである。このため、中間転写ドラム10にインク画像I'を形成するためには、電源30の電圧は、水の理論分解電圧である1.23Vや一般的な水の電気分解の条件である数V〜十数Vでは不十分であり、数十V〜数百Vであることが好ましい。
なお、アニオン性分散剤により分散されている顔料を、アノードとして機能する弾性層12の表面で生成したプロトンを介して、凝集させる代わりに、カチオン性分散剤により分散されている顔料を、カソードとして機能する弾性層の表面で生成した水酸化物イオンを介して、凝集させてもよい。
転写ローラ40は、A2の向きに従動回転し、中間転写ドラム10との間に搬送された記録紙Sに、インク画像を転写する。
なお、転写ローラ40は、ヒータを内蔵していてもよい。また、記録紙Sに転写されたインク画像を定着させるために、定着ローラをさらに設けてもよい。
クリーニングブレード50は、インク画像を記録紙Sに転写した後の中間転写ドラム10をクリーニングし、カウンター方式で中間転写ドラム10に当接する。これにより、インク画像を繰り返し形成しても、オフセットによる地肌汚れを抑制することができ、インク画像を良好に形成することができる。
クリーニングブレード50を構成する材料としては、特に限定されないが、シリコーンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム、ニトリルブタジエンゴム等の弾性体が挙げられる。
なお、クリーニングブレード50の代わりに、又は、クリーニングブレード50と共に、クリーニングローラを設けてもよい。
搬送ユニット60は、記録紙Sを多数枚積載することが可能な給紙トレイ61と、多数枚積載された記録紙Sのうち、最上位の記録紙Sのみを中間転写ドラム10と転写ローラ40の間に給紙する給紙ローラ62と、給紙トレイ61及び給紙ローラ62を支持した筐体63と、給紙ローラ62により給紙された記録紙Sを案内する案内板64と、案内板64により案内された記録紙Sが排紙される排紙トレイ65を有する。給紙ローラ62は、モータ等の駆動手段(不図示)により、A3の向きに回転駆動される。このとき、制御部は、記録紙Sにインク画像が転写されるように、駆動手段の回転駆動を制御する。
画像形成装置100を用いて、記録紙Sに形成されたインク画像は、アニオン性分散剤により分散されている顔料が凝集しているため、記録紙Sが普通紙である場合でも、フェザリングやブリーディングを抑制しながら、高画像濃度で、高画質のインク画像を高速で形成することができる。
本発明の画像形成装置は、複写機、ファクシミリの単体、これらの複合機、これらに関するモノクロ機等の複合機、電気回路の形成に用いられる画像形成装置、バイオテクノロジー分野において用いられる画像形成装置であってもよい。
[導電性インクの調製]
ケッチェンブラックEC−600JD(ケッチェン・ブラック・インターナショナル社製)4質量%、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホン酸ナトリウム2質量%、尿素15質量%、グリセリン5質量%、2−ピロリドン0.5質量%、1,2−オクタンジオール0.5質量%、硝酸テトラメチルアンモニウム15重量%、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール0.1質量%及び蒸留水(残余)からなる混合液を調整した後、平均孔径が0.8μmのメンブレンフィルターを用いて加圧濾過し、ブラックの導電性インクを得た。
ケッチェンブラックEC−600JD(ケッチェン・ブラック・インターナショナル社製)4質量%、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホン酸ナトリウム2質量%、尿素15質量%、グリセリン5質量%、2−ピロリドン0.5質量%、1,2−オクタンジオール0.5質量%、硝酸テトラメチルアンモニウム15重量%、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール0.1質量%及び蒸留水(残余)からなる混合液を調整した後、平均孔径が0.8μmのメンブレンフィルターを用いて加圧濾過し、ブラックの導電性インクを得た。
ケッチェンブラックEC−600JD(ケッチェン・ブラック・インターナショナル社製)の代わりに、ピグメントイエロー152を用いて、イエローの導電性インクを得た。
ケッチェンブラックEC−600JD(ケッチェン・ブラック・インターナショナル社製)の代わりに、ビグメントブルー15を用いて、シアンの導電性インクを得た。
ケッチェンブラックEC−600JD(ケッチェン・ブラック・インターナショナル社製)の代わりに、ピグメントレッド83を用いて、マゼンタの導電性インクを得た。
[実施例1]
吐出装置20として、インクジェットプリンタIPSiO GX5000(リコー社製)の吐出装置を有する画像形成装置100を用いて、インク画像を形成した。中間転写ドラム10は、体積抵抗率が1Ω・cm、水に対する後退接触角が75°、厚さが0.2mmの、シリコーンゴム層(弾性層12)が形成されており、モータ(不図示)により、外周の線速が100mm/秒で、図中、A1の向きに回転駆動される。このとき、シリコーンゴム層は、アスペクト比が1×104、平均長さが1mmのカーボンナノチューブLS-CNT(独立行政法人産業技術総合研究所ナノカーボン研究センター製)が分散されている。また、記録ヘッド21Y、21M、21C及び21BKは、金属製のノズル板21bを有し、インク室21cには、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの導電性インクが充填されている。このとき、ノズル板21bと、導電性基体11との間に、120Vの電源30が接続されている。また、中間転写ドラム10の弾性層12と、記録ヘッド21Y、21M、21C及び21BKのノズル板21bのギャップを100μmとした。さらに、転写ローラ40は、金属製の芯金に厚さが1mmのゴム層が形成されている。また、クリーニングブレード50は、フッ素ゴムからなるブレードである。さらに、記録紙Sとして、上質紙TYPE6200(リコー社製)を用いた。
吐出装置20として、インクジェットプリンタIPSiO GX5000(リコー社製)の吐出装置を有する画像形成装置100を用いて、インク画像を形成した。中間転写ドラム10は、体積抵抗率が1Ω・cm、水に対する後退接触角が75°、厚さが0.2mmの、シリコーンゴム層(弾性層12)が形成されており、モータ(不図示)により、外周の線速が100mm/秒で、図中、A1の向きに回転駆動される。このとき、シリコーンゴム層は、アスペクト比が1×104、平均長さが1mmのカーボンナノチューブLS-CNT(独立行政法人産業技術総合研究所ナノカーボン研究センター製)が分散されている。また、記録ヘッド21Y、21M、21C及び21BKは、金属製のノズル板21bを有し、インク室21cには、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの導電性インクが充填されている。このとき、ノズル板21bと、導電性基体11との間に、120Vの電源30が接続されている。また、中間転写ドラム10の弾性層12と、記録ヘッド21Y、21M、21C及び21BKのノズル板21bのギャップを100μmとした。さらに、転写ローラ40は、金属製の芯金に厚さが1mmのゴム層が形成されている。また、クリーニングブレード50は、フッ素ゴムからなるブレードである。さらに、記録紙Sとして、上質紙TYPE6200(リコー社製)を用いた。
以上のような画像形成装置100を用いて、中間転写ドラム10に、ドット径が50μmの孤立ドットからなる100mm角のイエローの網点画像PA及びマゼンタの網点画像PBを35mm間隔で形成した(図6参照)。さらに、ドット径が50μmの孤立ドットからなる100mm角のブラックのベタ画像を形成した。
[比較例1]
弾性層12として、体積抵抗率が5Ω・cm、水に対する後退接触角が45°、厚さが0.2mmの、10質量%の炭素粉末が分散されているシリコーンゴム層を用いた以外は、実施例1と同様にして、網点画像及びベタ画像を形成した。
弾性層12として、体積抵抗率が5Ω・cm、水に対する後退接触角が45°、厚さが0.2mmの、10質量%の炭素粉末が分散されているシリコーンゴム層を用いた以外は、実施例1と同様にして、網点画像及びベタ画像を形成した。
[比較例2]
弾性層12として、体積抵抗率が1×103Ω・cm、水に対する後退接触角が60°、厚さが0.2mmの、5質量%の炭素粉末が分散されているシリコーンゴム層を用いた以外は、実施例1と同様にして、網点画像及びベタ画像を形成した。
弾性層12として、体積抵抗率が1×103Ω・cm、水に対する後退接触角が60°、厚さが0.2mmの、5質量%の炭素粉末が分散されているシリコーンゴム層を用いた以外は、実施例1と同様にして、網点画像及びベタ画像を形成した。
[滲み]
マイクロスコープを用いて、記録紙Sに転写された網点画像のドットの形状を観察して、評価した。このとき、ドットが独立している場合を○、やや滲んでいる場合を△、滲んでいる場合を×として、判定した。
マイクロスコープを用いて、記録紙Sに転写された網点画像のドットの形状を観察して、評価した。このとき、ドットが独立している場合を○、やや滲んでいる場合を△、滲んでいる場合を×として、判定した。
[転写性]
X−riteを用いて、記録紙Sに転写されたベタ画像の濃度を測定して、評価した。このとき、ベタ画像の濃度が1.35以上である場合を○、1.25以上1.35未満である場合を△、1.25未満である場合を×として、判定した。
X−riteを用いて、記録紙Sに転写されたベタ画像の濃度を測定して、評価した。このとき、ベタ画像の濃度が1.35以上である場合を○、1.25以上1.35未満である場合を△、1.25未満である場合を×として、判定した。
評価結果を表1に示す。
これに対し、比較例1では、網点画像のドットが独立しているが、ベタ画像の濃度が低いことが確認された。このことから、実施例1と比較して、転写性が劣ることがわかった。
また、比較例2では、網点画像のドットがやや滲んでおり、ベタ画像の濃度がやや低いことが確認された。このことから、実施例1と比較して、滲み及び転写性が劣ることがわかった。
10 中間転写ドラム
11 導電性基体
12 弾性層
21 記録ヘッド
21a ノズル
21b ノズル板
21c インク室
30 電源
40 転写ローラ
50 クリーニングブレード
100 画像形成装置
I 導電性インク
I' インク画像
S 記録紙
11 導電性基体
12 弾性層
21 記録ヘッド
21a ノズル
21b ノズル板
21c インク室
30 電源
40 転写ローラ
50 クリーニングブレード
100 画像形成装置
I 導電性インク
I' インク画像
S 記録紙
Claims (6)
- 顔料が水を含む溶媒中に分散されている導電性インクを吐出するノズルを有する記録ヘッドと、
前記ノズルとの間に前記導電性インクからなる液柱のブリッジを一時的に形成することによりインク画像を形成することが可能な、カーボンナノチューブを含む弾性層が表面に形成されている中間転写体と、
前記弾性層と前記導電性インクとの間に、前記液柱のブリッジに含まれる水が電気分解することが可能な電圧を印加する電圧印加手段と、
前記中間転写体に形成されたインク画像を記録媒体に転写する転写手段を有することを特徴とする画像形成装置。 - 前記弾性層中の前記カーボンナノチューブの含有量が0.1質量%以上1.0質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
- 前記弾性層は、体積抵抗率が1×103Ω・cm未満であることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
- 前記弾性層は、水に対する後退接触角が60°より大きいことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
- 前記顔料は、アニオン性分散剤により分散されており、
前記電圧印加手段は、前記弾性層がアノードとして機能するように電圧を印加することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の画像形成装置。 - 顔料が水を含む溶媒中に分散されている導電性インクを記録ヘッドのノズルから吐出して、中間転写体にインク画像を形成する工程と、該中間転写体に形成されたインク画像を記録媒体に転写する工程を有する画像形成方法であって、
前記中間転写体は、カーボンナノチューブを含む弾性層が表面に形成されており、
前記導電性インクと前記弾性層との間に電圧が印加されている状態で、前記ノズルと前記中間転写体の間に前記導電性インクからなる液柱のブリッジを一時的に形成すると共に、前記液柱のブリッジに含まれる水を電気分解することにより、前記中間転写体にインク画像を形成することを特徴とする画像形成方法。
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