JP2011162717A - 発泡シール材 - Google Patents

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純二 吉田
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Abstract

【課題】落下に伴う衝撃吸収性と動的防塵性の優れた発泡シール材を提供する。
【解決手段】本発明の発泡シール材は、発泡構造体の少なくとも片面側に、ポリオキシアルキレン系重合体を主成分とする粘着剤層が設けられていることを特徴とする。前記の粘着剤層は、下記の(A)〜(C)の成分を含む粘着剤組成物により形成されていることが好ましい。
(A):1分子中に少なくとも1個のアルケニル基を有するポリオキシアルキレン系重合体
(B):1分子中に2個以上のヒドロシリル基を有する化合物
(C):ヒドロシリル化触媒
【選択図】なし

Description

本発明は、発泡シール材に関する。より詳細には、電気・電子機器(携帯電話、携帯端末、デジタルカメラ、ビデオムービー、パーソナルコンピューター、その他家電製品など)用の定型シール材として用いられる発泡シール材に関する。
電気・電子機器(携帯電話、携帯端末、デジタルカメラ、ビデオムービー、パーソナルコンピューター、その他家電製品など)では、液晶ディスプレイ(LCD)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、プラズマディスプレイ等の画像表示装置(ディスプレイ)に固定された画像表示部材や、カメラやレンズなどの光学部材を、所定の部位(固定部など)に固定する際に、フォーム材[発泡構造体(発泡体)の少なくとも片面側に粘着剤層を積層させた積層物、発泡シール材]が使用されている。
フォーム材の使用形態として、例えば、携帯電話のディスプレイ(例えば、LCDなど)周りの衝撃吸収材(ガスケット)(携帯電話用衝撃吸収材)が挙げられる。例えば、携帯電話用衝撃吸収材は、シートの厚みが1mm程度で、1〜2mm幅の枠形状に打ち抜かれ、容器(筐体、ケース)側に両面テープで固定され、30〜50%程度圧縮され、使用される。
このような使用形態では、フォーム材は、本来的に必要とされている携帯電話落下時のディスプレイの破損を保護する衝撃吸収材としての機能だけではなく、ディスプレイ部(例えば、LCD部など)への粉塵の侵入を防止する防塵性や気密機能も要求されている(特許文献1参照)。
しかし、携帯電話の落下時のように大衝撃を受ける場合、衝撃吸収性と、衝撃時の防塵性(以下、「動的防塵性」と称する場合がある)は、相反する要求特性となっており衝撃吸収性を有しながら動的防塵性を維持することは難しい状況にあった。すなわち、ディスプレイの割れ防止のために、フォーム材における衝撃吸収性を考慮すると、ディスプレイとフォーム材間との発生応力を小さくするために、フォーム材として柔らかい材料を使用し、フォーム材の変形を生じさせながら圧縮荷重を緩和していく必要がある。そのため、衝撃吸収性能からは、フォーム材の応力緩和性が要求されるが、緩和性能の良い材料は変形後の歪回復性が遅くなる傾向がある。フォーム材の歪回復性が遅いと、フォーム材の変形がディスプレイの変形に追随できずに、フォーム材とディスプレイの間に空隙を生ずることになり、粉塵等が存在する場合にはディスプレイ内に粉塵が侵入することになる。結果として、ディスプレイの画面表示に異物が存在し、外乱となる。すなわち、結果として、ディスプレイ上に異物が存在し、ディスプレイの視認性の低下を生じる場合がある。
そのため、携帯電話のディスプレイ周りのフォーム材(携帯電話の額縁状フォーム材、携帯電話の窓枠状フォーム材)は、落下に伴う衝撃吸収性並びに動的防塵性が要求されている。
特開2005−97566号公報
前記のように、落下時の衝撃吸収性と動的防塵性は、フォーム材にとって、トレードオフの関係にあり、例えば、応力緩和性を向上させると歪回復性が悪くなる傾向にある。フォーム材の歪回復性が悪いと、ディスプレイ、あるいは容器(筐体、ケース)の変形の回復に、フォーム材の変形が追随できず、フォーム材とディスプレイとの間に空隙が生ずることになる。
そのため、本発明者は、衝撃時のフォーム材とディスプレイの間の空隙を防止するために、(1)フォーム材とディスプレイの間を両面テープで貼り付け、フォーム材の変形を落下衝撃時のディスプレイの変形に追随させることや、(2)フォーム材とディスプレイの間に適切な粘着材料(接合材料)を挿入し、粘着材料の変形により落下衝撃時のディスプレイの変形に追随させることなどの対策を検討した。なお、「両面テープ」は、「両面粘着テープ又はシート」の意味であり、「両面テープ」や「両面シート」を含む概念である。
前記(1)と前記(2)との違いは、前記(1)の場合は両面テープ等の使用する材料の変形は期待しておらず、圧縮されたフォーム材をディスプレイの変形回復時の粘着力で追随させる方法である。落下時のディスプレイの回復速度が大きいため、ディスプレイ界面、あるいは容器面(筐体面、ケース面)からの両面テープの剥離やフォーム材の破壊を生じる可能性がある。また、両面テープの粘着力を大きくすると、フォーム材の貼り合わせの作業性の低下や、貼り合わせ時のリワーク性が困難となることも予想される。
前記(2)の方法は、落下時のディスプレイの回復速度が大きいため、フォーム材と粘着材料の界面に瞬間的な応力集中の発生が考えられる。そのため、応力集中を軽減するためフォーム材とディスプレイの間に使用する接合材料に衝撃後の歪回復時に伸び変形を伴うように粘弾性を付与する方法である。
一般に用いられるアクリル系の粘着剤の場合、前記(1)に該当し、応力緩和性に乏しく、衝撃吸収性を高める効果を期待できない。さらに、高い接着力を得ることはできるが、逆にリワーク性に劣る場合があった。
また、ゴム系粘着剤の場合、前記(2)に該当し、粘弾性により、衝撃吸収性を高めることはできるが、接着力が弱く、発泡体や被着体からの剥離によるリワークにより防塵性が低下するおそれがあった。
従って、本発明の目的は、落下に伴う衝撃吸収性と動的防塵性の優れた発泡シール材を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、発泡シール材において、発泡構造体の少なくとも片面側に、ポリオキシアルキレン系重合体を主成分とする粘着剤層を設けられている構造とすると、落下時の衝撃吸収性と動的防塵性との両方の特性が優れた発泡シール材が得られることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、発泡構造体の少なくとも片面側に、ポリオキシアルキレン系重合体を主成分とする粘着剤層が設けられていることを特徴とする発泡シール材を提供する。
さらに、前記の粘着剤層が、下記の(A)〜(C)の成分を含む粘着剤組成物により形成されている前記の発泡シール材を提供する。
(A):1分子中に少なくとも1個のアルケニル基を有するポリオキシアルキレン系重合体
(B):1分子中に2個以上のヒドロシリル基を有する化合物
(C):ヒドロシリル化触媒
さらに、発泡構造体とポリオキシアルキレン系重合体を主成分とする粘着剤層との間に、粘着性中間層が設けられている前記の発泡シール材を提供する。
さらに、前記の発泡構造体が、熱可塑性ポリマーを含む樹脂組成物に、高圧の不活性ガスを含浸させた後、減圧する工程を経て形成されている前記の発泡シール材を提供する。
さらに、前記の発泡構造体が、熱可塑性ポリマーを含む樹脂組成物からなる未発泡樹脂成形物に、高圧の不活性ガスを含浸させた後、減圧する工程を経て形成されている前記の発泡シール材を提供する。
さらに、前記の発泡構造体が、減圧後、さらに加熱することにより形成されている前記の発泡シール材を提供する。
さらに、前記の不活性ガスが、二酸化炭素である前記の発泡シール材を提供する。
さらに、前記の不活性ガスが、超臨界状態である前記の発泡シール材を提供する。
さらに、ディスプレイ周りのシール用に使用される前記の発泡シール材を提供する。
本発明の発泡シール材は、前記構成を有しているので、落下時の衝撃吸収性と動的防塵性との両方の特性について、優れている。
動的防塵性を評価する際に使用される評価用サンプルを表した概略図である。 評価用サンプルを装着した動的防塵性評価用の評価容器の切断部端面図である。 評価用サンプルを装着した動的防塵性評価用の評価容器の上面図である。 マイクロサーボ装置による引き剥がし強度の測定結果を示すグラフである。
本発明の発泡シール材(フォーム材)は、発泡構造体(発泡体)の少なくとも片面側に、ポリオキシアルキレン系重合体を主成分とする粘着剤層が設けられている構造を有する。このように、本発明の発泡シール材は、発泡体の少なくとも一方の面側に、直接的に又は他の層を介して、粘着剤層を積層させた構造を有する積層物である。
(発泡構造体)
本発明の発泡シール材における発泡構造体は、気泡構造(発泡構造)を有する発泡体のことである。本発明の発泡シール材を構成する発泡構造体としては、樹脂組成物を発泡・成形することより得られる樹脂発泡体が好適に用いられる。本発明の発泡シール材は、発泡構造体(特に樹脂発泡体)を有するので、発泡構造体が元来有する衝撃吸収性、段差追従性、防塵性、柔軟性、シール性、防音性などの特性に優れる。
なお、上記樹脂組成物は、樹脂発泡体を形成する組成物であり、下記の熱可塑性ポリマーを少なくとも含む組成物である。また、樹脂組成物は、必要に応じて添加剤が含まれていてもよい。樹脂組成物としては、例えば、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂と、エチレン−プロピレン共重合体などのオレフィン系エラストマーとの混合物を少なくとも含む組成物などが挙げられる。
上記発泡構造体(特に樹脂発泡体)の気泡構造は、特に制限されないが、独立気泡構造、半連続半独立気泡構造(独立気泡構造と連続気泡構造とが混在している気泡構造であり、その割合は特に制限されない)が好ましく、特に、樹脂発泡体の気泡構造中に独立気泡構造部が柔軟性の点から40%以下、好ましくは30%以下となっている気泡構造が好適である。気泡構造は、例えば、後述の樹脂発泡体の作製の際に、含浸させるガスの量や圧力により発泡倍率を調節することにより、制御することができる。
上記発泡構造体(特に樹脂発泡体)の平均気泡径は、特に制限されないが、落下時の衝撃吸収性及び動的防塵性の点から、10〜180μmが好ましく、より好ましくは20〜150μmであり、さらにより好ましくは30〜120μmである。
なお、上記の平均気泡径(平均セル径)は、デジタルマイクロスコープ(商品名「VH−8000」キーエンス株式会社製)により、気泡構造部の拡大画像を取り込み、画像解析ソフト(商品名「Win ROOF」三谷商事株式会社製)を用いて、画像解析することにより求められる。
樹脂発泡体の素材である熱可塑性ポリマー(熱可塑性樹脂)としては、熱可塑性を示すポリマーであって、発泡可能なものであれば特に制限されない。このような熱可塑性ポリマーとして、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンとプロピレンとの共重合体、エチレン又はプロピレンと他のα−オレフィン(例えば、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、4−メチルペンテン−1など)との共重合体、エチレンと他のエチレン性不飽和単量体(例えば、酢酸ビニル、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、ビニルアルコールなど)との共重合体などのポリオレフィン系樹脂;ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)などのスチレン系樹脂;6−ナイロン、66−ナイロン、12−ナイロンなどのポリアミド系樹脂;ポリアミドイミド;ポリウレタン;ポリイミド;ポリエーテルイミド;ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系樹脂;ポリ塩化ビニル;ポリフッ化ビニル;アルケニル芳香族樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂;ビスフェノールA系ポリカーボネートなどのポリカーボネート;ポリアセタール;ポリフェニレンスルフィドなどが挙げられる。なお、熱可塑性ポリマーが共重合体である場合、ランダム共重合体、ブロック共重合体のいずれの形態の共重合体であってもよい。
熱可塑性ポリマーとしては、ポリオレフィン系樹脂を好適に用いることができる。ポリオレフィン系樹脂としては、分子量分布が広く且つ高分子量側にショルダーを持つタイプの樹脂、微架橋タイプの樹脂(若干架橋されたタイプの樹脂)、長鎖分岐タイプの樹脂などを用いることが好ましい。
また、熱可塑性ポリマーには、常温ではゴムとしての性質を示し、高温では熱可塑性を示すゴム成分や熱可塑性エラストマーも含まれる。ゴム成分及び熱可塑性エラストマーは、ガラス転移温度が室温以下(例えば20℃以下)であるため、例えば、発泡シール材において、柔軟性及び形状追随性を著しく向上させることができる。
ゴム成分及び熱可塑性エラストマーとしては、ゴム弾性を有し、発泡可能なものであれば特に制限はなく、例えば、天然ゴム、ポリイソブチレン、ポリイソプレン、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ニトリルブチルゴムなどの天然又は合成ゴム;エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリブテン、塩素化ポリエチレンなどのオレフィン系エラストマー;スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体、及びそれらの水素添加物などのスチレン系エラストマー;ポリエステル系エラストマー;ポリアミド系エラストマー;ポリウレタン系エラストマーなどの各種熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。なお、本願において、「ゴム成分及び熱可塑性エラストマー」を、単に、「熱可塑性エラストマー」と称する場合がある。
樹脂組成物において、熱可塑性ポリマーは、単独で又は2種以上組み合わせて用いられてる。樹脂組成物では、熱可塑性ポリマーとして、熱可塑性エラストマー、熱可塑性エラストマー以外の熱可塑性ポリマー、熱可塑性エラストマー及び熱可塑性エラストマー以外の熱可塑性ポリマーの混合物の何れが用いられていてもよい。
上記の熱可塑性エラストマー及び熱可塑性エラストマー以外の熱可塑性ポリマーの混合物としての熱可塑性ポリマーとしては、例えば、エチレン−プロピレン共重合体等のオレフィン系エラストマーとポリプロピレン等のオレフィン系重合体との混合物などが挙げられる。
熱可塑性ポリマーとして、熱可塑性エラストマー及び熱可塑性エラストマー以外の熱可塑性ポリマーとの混合物を用いる場合、その混合比率(重量%)は、前者/後者=1/99〜99/1(好ましくは10/90〜90/10、さらに好ましくは20/80〜80/20)であってもよい。熱可塑性エラストマーの割合が、1重量%未満であると、樹脂発泡体のクッション性が低下しやすく、一方、99重量%を超えると、発泡時にガス抜けが生じやすくなり、高発泡性の樹脂発泡体を得ることが困難になる。
樹脂発泡体は、さらに、パウダー粒子を含んでいてもよい。パウダー粒子は、発泡成形時の発泡核剤としての機能を発揮する。そのため、パウダー粒子を配合することにより、良好な発泡状態の樹脂発泡体を得ることができる。パウダー粒子としては、例えば、パウダー状のタルク、シリカ、アルミナ、ゼオライト、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、酸化亜鉛、酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、マイカ、モンモリナイト等のクレイ、カーボン粒子、グラスファイバー、カーボンチューブなどを用いることができる。パウダー粒子は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
樹脂発泡体では、パウダー粒子としては、平均粒子径(粒径)が0.1〜20μm程度のパウダー状の粒子を好適に用いることができる。パウダー粒子の平均粒子径が0.1μm未満では核剤として十分機能しない場合があり、粒径が20μmを超えると発泡成形時にガス抜けの原因となる場合があり好ましくない。
パウダー粒子の配合量としては、特に制限されないが、例えば、熱可塑性ポリマー100重量部に対して、0.1〜150重量部(好ましくは1〜130重量部、さらに好ましくは2〜120重量部)の範囲から適宜選択することができる。パウダー粒子の配合量が0.1重量部未満であると、均一な発泡体を得ることが困難になり、一方、150重量部を超えると、樹脂組成物としての粘度が著しく上昇するとともに、発泡形成時にガス抜けが生じてしまい、発泡特性を損なう恐れがある。
また、樹脂発泡体は、熱可塑性ポリマーにより構成されているため、燃えやすいという特性を有している。そのため、本発明の樹脂発泡体が用いられている発泡シール材を、電気・電子機器用途などの難燃性の付与が不可欠な用途に利用する場合、パウダー粒子として、難燃性を有しているパウダー粒子(例えば、パウダー状の各種の難燃剤など)が配合されていることが好ましい。なお、難燃剤は、難燃剤以外のパウダー粒子とともに用いることができる。
本発明では、パウダー状の難燃剤において、難燃剤としては無機難燃剤が好適である。無機難燃剤としては、例えば、臭素系難燃剤、塩素系難燃剤、リン系難燃剤、アンチモン系難燃剤などであってもよいが、塩素系難燃剤や臭素系難燃剤は、燃焼時に人体に対して有害で機器類に対して腐食性を有するガス成分を発生し、また、リン系難燃剤やアンチモン系難燃剤は、有害性や爆発性などの問題があるため、ノンハロゲン−ノンアンチモン系無機難燃剤を好適に用いることができる。ノンハロゲン−ノンアンチモン系無機難燃剤としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム・酸化ニッケルの水和物、酸化マグネシウム・酸化亜鉛の水和物等の水和金属化合物などが挙げられる。なお、水和金属酸化物は表面処理されていてもよい。なお、難燃剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
難燃剤を用いる場合、難燃剤の使用量としては、特に制限されず、例えば、熱可塑性ポリマー100重量部に対して、5〜130重量部(好ましくは10〜120重量部)の範囲から適宜選択することができる。難燃剤の使用量が少なすぎると、難燃化効果が小さくなり、逆に多すぎると、高発泡の発泡体を得ることが困難になる。
また、本発明では、樹脂発泡体を形成する樹脂組成物に、滑剤が含まれていてもよい。滑剤は熱可塑性ポリマーの流動性を向上させるとともに、熱可塑性ポリマーの熱劣化を抑制する作用を有する。このような滑剤としては、熱可塑性ポリマーの流動性の向上に効果を示すものであれば特に制限されず、例えば、流動パラフィン、パラフィンワックス、マイクロワックス、ポリエチレンワックスなどの炭化水素系滑剤;ステアリン酸、ベヘニン酸、12−ヒドロキシステアリン酸などの脂肪酸系滑剤;ステアリン酸ブチル、ステアリン酸モノグリセリド、ペンタエリスリトールテトラステアレート、硬化ヒマシ油、ステアリン酸ステアリルなどのエステル系滑剤などが挙げられる。なお、滑剤は、単独で又は2種以上組み合わせて用いられる。
滑剤の添加量としては、例えば、熱可塑性ポリマー100重量部に対して、0.5〜10重量部(好ましくは0.8〜8重量部、より好ましくは1〜6重量部)である。添加量が10重量部を超えると、流動性が高くなりすぎて発泡倍率が低下するおそれがある。また、0.5重量部未満であると、流動性の向上が図れず、発泡時の延伸性が低下して発泡倍率が低下するおそれがある。
さらに、本発明では、樹脂発泡体を形成する樹脂組成物に、収縮防止剤が含まれていてもよい。収縮防止剤は、樹脂発泡体の気泡(セル)膜の表面に分子膜を形成して発泡剤ガス(特に、後述の不活性ガス)の透過を効果的に抑制する作用を有する。このような収縮防止剤としては、気泡の透過を抑制する効果を示すものであれば特に限定されず、例えば、脂肪酸金属塩(例えば、ステアリン酸、ベヘニン酸、12−ヒドロキシステアリン酸などの脂肪酸のアルミニウム、カルシウム、マグネシウム、リチウム、バリウム、亜鉛、鉛の塩など);脂肪酸アミド[脂肪酸の炭素数12〜38程度(好ましくは12〜22程度)の脂肪酸アミド(モノアミド、ビスアミドのいずれであってもよいが、微細セル構造を得るためにはビスアミドが好適に用いられる。)、例えば、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、ラウリン酸ビスアミドなど]等が挙げられる。なお、収縮防止剤は、単独で又は2種以上組み合わせて用いられる。
収縮防止剤の添加量としては、例えば、熱可塑性ポリマー100重量部に対して、0.5〜10重量部(好ましくは0.7〜8重量部、さらに好ましくは1〜6重量部)である。添加量が10重量部を超えると、セル成長過程においてガス効率を低下させてしまうため、セル径は小さいものが得られるものの未発泡部分も多くなり、発泡倍率が低下するおそれがある。また、0.5重量部未満であると、被膜の形成が十分ではなく、発泡時にガス抜けが発生して、収縮がおこり、発泡倍率が低下するおそれがある。
なお、添加剤としては、特に制限されないが、例えば前記滑剤と前記収縮防止剤を組み合わせて用いてもよい。例えば、ステアリン酸モノグリセリドなどの滑剤と、エルカ酸アミド、ラウリン酸ビスアミドなどの収縮防止剤を組み合わせて用いてもよい。
上記の他に、必要に応じて添加される添加剤としては、特に限定されず、例えば、結晶核剤、可塑剤、着色剤(顔料、染料等)、紫外線吸収剤、酸化防止剤、老化防止剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、界面活性剤、張力改質剤、流動性改質剤、クレイ、加硫剤、表面処理剤、パウダー状以外の各種形態の難燃剤などが挙げられる。添加剤の添加量は、気泡の形成等を損なわない範囲で適宜選択することができ、通常の樹脂成形の際に用いられる添加量を採用することができる。
樹脂組成物は、例えば、前記熱可塑性ポリマーと、必要に応じて添加される添加剤等とを、混合することにより得ることができる。
樹脂組成物を発泡・成形して樹脂発泡体を得る際に用いられる発泡方法としては、特に制限されず、例えば、物理的方法、化学的方法等の通常用いられる方法が挙げられる。一般的な物理的方法は、クロロフルオロカーボン類又は炭化水素類などの低沸点液体(発泡剤)を熱可塑性ポリマーに分散させ、次に加熱し発泡剤を揮発することにより気泡を形成させる方法である。また、一般的な化学的方法は、熱可塑性ポリマーに添加した化合物(発泡剤)の熱分解により生じたガスにより気泡を形成させる方法である。しかし、一般的な物理的方法は、発泡剤として用いられる物質の可燃性や毒性、及びオゾン層破壊などの環境への影響が懸念される。また、一般的な化学的方法では、発泡ガスの残渣が発泡体中に残存ずるため、特に低汚染性の要求が高い電子機器用途においては、腐食性ガスやガス中の不純物による汚染が問題となる。しかも、これらの物理的方法及び化学的方法では、いずれにおいても、微細な気泡構造を形成することは難しく、特に300μm以下の微細気泡を形成することは極めて困難であるといわれている。
このため、樹脂組成物を発泡・成形して樹脂発泡体を得る際に用いられる発泡方法としては、セル径が小さく且つセル密度の高い発泡体を容易に得ることができる点から、発泡剤として高圧のガスを用いる方法が好ましく、特に発泡剤として高圧の不活性ガスを用いる方法が好ましい。なお、不活性ガスとは、樹脂組成物中の熱可塑性ポリマーに対して不活性なガスを意味する。すなわち、本発明のシール材を構成する樹脂発泡体の気泡構造は、発泡剤として高圧の不活性ガスを用いる方法により形成されることが特に好ましい。
発泡剤として高圧のガスを用いる方法により樹脂組成物を発泡・成形して樹脂発泡体を得る方法としては、具体的には、樹脂組成物(熱可塑性ポリマーを含む樹脂組成物)に高圧のガスを含浸させた後、減圧する工程を経て形成する方法、樹脂組成物(熱可塑性ポリマーを含む樹脂組成物)からなる未発泡樹脂成形物に高圧のガスを含浸させた後、減圧する工程を経て形成される方法、または溶融した樹脂組成物(溶融した熱可塑性ポリマーを含む樹脂組成物)にガス(例えば、不活性ガスなど)を加圧状態下で含浸させた後、減圧とともに成形に付して形成される方法などが好適な方法として挙げられる。すなわち、樹脂発泡体の気泡構造(発泡構造)は、高圧のガスを含浸させた後、減圧する工程を経て形成されることが好ましい。
不活性ガスとしては、熱可塑性ポリマーに対して不活性で且つ含浸可能なものであれば特に制限されず、例えば、二酸化炭素、窒素ガス、空気等が挙げられる。これらのガスは混合して用いてもよい。これらのうち、樹脂発泡体の素材として用いる熱可塑性ポリマーへの含浸量が多く、含浸速度の速い点から、二酸化炭素を好適に用いることができる。
さらに、樹脂組成物への含浸速度を速めるという観点から、前記高圧のガス(特に不活性ガス、さらには二酸化炭素)は、超臨界状態であることが好ましい。超臨界状態では、熱可塑性ポリマーへのガスの溶解度が増大し、高濃度の混入が可能である。また、含浸後の急激な圧力降下時には、前記のように高濃度で含浸することが可能であるため、気泡核の発生が多くなり、その気泡核が成長してできる気泡の密度が気孔率が同じであっても大きくなるため、微細な気泡を得ることができる。なお、二酸化炭素の臨界温度は31℃、臨界圧力は7.4MPaである。
樹脂組成物に、高圧のガスを含浸させることにより、樹脂発泡体を製造する際には、予め樹脂組成物を、例えば、シート状などの適宜な形状に成形して未発泡樹脂成形物(未発泡樹脂成形体)とした後、この未発泡樹脂成形物に、高圧のガスを含浸させ、圧力を解放することにより発泡させるバッチ方式で行ってもよく、樹脂組成物を加圧下、高圧のガスと共に混錬し、成形すると同時に圧力を解放し、成形と発泡を同時に行う連続方式で行ってもよい。このように、予め成形した未発泡樹脂成形物を高圧のガスに含浸させてもよく、また、溶融した樹脂組成物に高圧のガスを加圧状態下で含浸させた後、減圧の際に成形に付してもよい。
すなわち、本発明の発泡シール材における発泡構造体としての樹脂発泡体は、熱可塑性ポリマーを含む樹脂組成物からなる未発泡樹脂成形物に、高圧のガス(特に不活性ガス)を含浸させた後、減圧する工程を経て形成されていてもよく、また溶融した熱可塑性ポリマーを含む樹脂組成物に、ガス(特に不活性ガス)を加圧状態下で含浸させた後、減圧とともに成形に付すことにより形成されていてもよい。
具体的には、バッチ方式で樹脂発泡体を製造する際、未発泡樹脂成形物を製造する方法としては、例えば、熱可塑性ポリマーと、必要に応じて用いられるパウダー粒子やその他の添加剤とを含む樹脂組成物を、単軸押出機、二軸押出機等の押出機を用いて成形する方法、前記と同様の樹脂組成物を、ローラ、カム、ニーダ、バンバリ型等の羽根を設けた混錬機を使用して均一に混錬しておき、熱板のプレスなどを用いて所定の厚みにプレス成形する方法、射出成形機を用いて成形する方法などが挙げられる。所望の形状や厚みの成形体が得られる適宜な方法により成形すればよい。こうして得られた未発泡樹脂成形物(樹脂組成物による成形体)を耐圧容器(高圧容器)中に入れて、高圧のガス(特に不活性ガス、さらには二酸化炭素)を注入(導入)し、未発泡樹脂成形物中に高圧のガスを含浸させるガス含浸工程、十分に高圧のガスを含浸させた時点で圧力を解放し(通常、大気圧まで)、熱可塑性ポリマー中に気泡核を発生させる減圧工程、場合によっては(必要に応じて)、加熱することによって気泡核を成長させる加熱工程を経て、熱可塑性ポリマー中に気泡を形成させる。なお、加熱工程を設けずに、室温で気泡核を成長させてもよい。このようにして気泡を成長させた後、必要により冷水などにより急激に冷却し、形状を固定化することにより、樹脂発泡体を得ることができる。なお、未発泡樹脂成形物の形状は特に限定されず、ロール状、板状等の何れであってもよい。また、高圧のガスの導入は連続的に行ってもよく不連続的に行ってもよい。さらに、気泡核を成長させる際の加熱の方法としては、ウォーターバス、オイルバス、熱ロール、熱風オーブン、遠赤外線、近赤外線、マイクロ波などの公知乃至慣用の方法を採用できる。さらにまた、発泡に供する未発泡樹脂成形物(未発泡成形物)は、シート状物に限らず、用途に応じて種々の形状(例えば、角柱状など)のものを使用することができる。また、発泡に供する未発泡樹脂成形物は、押出成形、プレス成形、射出成形以外に、他の成形方法により作製することもできる。
一方、連続方式で樹脂発泡体を製造する場合は、例えば、熱可塑性ポリマーと、必要に応じて用いられるパウダー粒子やその他の添加剤とを含む樹脂組成物を、単軸押出機、二軸押出機等の押出機を使用して混錬しながら、高圧のガス(特に不活性ガス、さらには二酸化炭素)を注入(導入)し、十分に高圧のガスを樹脂組成物に含浸させる混錬含浸工程、押出機の先端に設けられたダイスなどを通して樹脂組成物を押し出すことにより圧力を解放し(通常、大気圧まで)、成形と発泡を同時に行う成形減圧工程により製造することができる。また、場合によっては(必要に応じて)、加熱することによって気泡を成長させる加熱工程を設けてもよい。このようにして気泡を成長させた後、必要により冷水などにより急激に冷却し、形状を固定化することにより、樹脂発泡体を得ることができる。なお、上記混錬含浸工程及び成形減圧工程では、押出機のほか、射出成形機などを用いて行うこともできる。また、シート状、角柱状、その他の任意の形状の樹脂発泡体を得られる方法を適宜選択すればよい。
ガスの混合量は、特に制限されないが、例えば、樹脂組成物中の熱可塑性ポリマー全量に対して2〜10重量%程度である。所望の密度や発泡倍率が得られるように、適宜調節して混合すればよい。
バッチ方式におけるガス含浸工程や連続方式における混錬含浸工程で、ガスを未発泡樹脂成形物や樹脂組成物に含浸させるときの圧力は、ガスの種類や操作性等を考慮して適宜選択できるが、例えば、ガスとして不活性ガスを、特に二酸化炭素を用いる場合には、6MPa以上(例えば、6〜100MPa程度)、好ましくは8MPa以上(例えば、8〜100MPa程度)とするのがよい。ガスの圧力が6MPaより低い場合には、発泡時の気泡成長が著しく、気泡径が大きくなりすぎ、例えば、防塵効果が低下するなどの不都合が生じやすくなり、好ましくない。これは、圧力が低いとガスの含浸量が高圧時に比べて相対的に少なく、気泡核形成速度が低下して形成される気泡核数が少なくなるため、1気泡あたりのガス量が逆に増えて気泡径が極端に大きくなるからである。また、6MPaより低い圧力領域では、含浸圧力を少し変化させるだけで気泡径、気泡密度が大きく変わるため、気泡径及び気泡密度の制御が困難になりやすい。
バッチ方式におけるガス含浸工程や連続方式における混錬含浸工程で、高圧のガスを未発泡樹脂成形物や樹脂組成物に含浸させるときの温度は、用いるガスや熱可塑性ポリマーの種類等によって異なり、広い範囲で選択できるが、操作性等を考慮した場合、例えば、10〜350℃程度である。例えば、バッチ方式において、シート状の未発泡樹脂成形物に高圧のガスを含浸させる場合の含浸温度は、10〜250℃(好ましくは40〜230℃)程度である。また、連続方式において、樹脂組成物に高圧のガスを注入し混練する際の温度は、60〜350℃程度が一般的である。なお、高圧のガスとして二酸化炭素を用いる場合には、超臨界状態を保持するため、含浸時の温度(含浸温度)は32℃以上(特に40℃以上)であることが好ましい。
なお、前記減圧工程において、減圧速度は、特に限定されないが、均一な微細気泡を得るため、好ましくは5〜300MPa/秒程度である。また、前記加熱工程における加熱温度は、例えば、40〜250℃(好ましくは60〜250℃)程度である。
また、このような樹脂発泡体の製造方法によれば、高発泡倍率の樹脂発泡体を製造することができるので、厚い樹脂発泡体を製造することが出来るという利点を有する。例えば、連続方式で樹脂発泡体を製造する場合、混錬含浸工程において押出し機内部での圧力を保持するためには、押出し機先端に取り付けるダイスのギャップを出来るだけ狭く(通常0.1〜1.0mm)する必要がある。従って、厚い樹脂発泡体を得るためには、狭いギャップを通して押出された樹脂組成物を高い倍率で発泡させなければならないが、従来は、高い発泡倍率が得られないことから、形成される発泡体の厚みは薄いもの(例えば0.5〜2.0mm程度)に限定されてしまっていた。これに対して、高圧のガスを用いて製造される樹脂発泡体は、最終的な厚みで0.50〜5.00mmの発泡体を連続して得ることが可能である。なお、このような厚い樹脂発泡体を得るためには、樹脂発泡体の相対密度(発泡後の密度/未発泡状態での密度)が0.02〜0.30(好ましくは0.05〜0.25)であることが望ましい。前記相対密度が0.30を超えると発泡が不十分であり、柔軟性の点で不具合を生じる場合があり、また0.02未満では樹脂発泡体の強度が著しく低下する場合があり好ましくない。
本発明の発泡シール材では、発泡構造体の密度(見掛け密度)は特に制限されないが、発泡構造体として樹脂発泡体を用いる場合における該樹脂発泡体の密度は、衝撃吸収性、段差追従性などの点から、0.20g/cm3以下(好ましくは0.15g/cm3以下、さらに好ましくは0.13g/cm3以下)であることが好ましい。なお、樹脂発泡体の見掛け密度の下限としては、0.02g/cm3以上(好ましくは0.03g/cm3以上)であることが好ましい。
樹脂発泡体の密度は、例えば、樹脂発泡体作製の際に、樹脂組成物に含浸させるガスの量や圧力により発泡倍率を調節することにより、制御することができる。
発泡構造体の密度は、以下のようにして求められる。40mm×40mmの打抜き刃型にて、発泡構造体を打抜き、打抜いた試料の寸法を測定する。また、測定端子の直径(φ)20mmである1/100ダイヤルゲージにて厚みを測定する。これらの値から発泡構造体の体積を算出する。次に、発泡構造体の重量を最小目盛り0.01g以上の上皿天秤にて測定する。これらの値より発泡構造体の見掛け密度(g/cm3)を算出する。
なお、樹脂発泡体の厚み、相対密度及び密度(見掛け密度)などは、用いるガス、熱可塑性ポリマーの種類に応じて、例えば、ガス含浸工程や混錬含浸工程における温度、圧力、時間などの操作条件、減圧工程や成形減圧工程における減圧速度、温度、圧力などの操作条件、減圧後又は成形減圧後の加熱工程における加熱温度などを適宜選択、設定することにより調整することができる。
また、発泡構造体(特に樹脂発泡体)の厚みは、所望の厚みより厚いものを得てから、所望の厚みとなるように切断加工(例えばスライス加工など)等を行うことでも調整できる。
発泡シール材における発泡構造体(特に樹脂発泡体)の厚みは、衝撃吸収性の点から、0.1〜2.0mmが好ましく、より好ましくは0.2〜1.5mmであり、さらにより好ましくは0.5〜1.2mmである。
(粘着剤層)
本発明の発泡シール材の粘着剤層は、発泡構造体の少なくとも片面側に設けられる粘着剤層であり、ポリオキシアルキレン系重合体を主成分として含有する粘着剤層である。本発明の発泡シール材の粘着剤層は、ポリオキシアルキレン系重合体を主成分として含有する粘着剤組成物により形成される。なお、本明細書において、「粘着剤組成物」には、「粘着剤層を形成するための組成物」という意味を含むものとする。また、「ポリオキシアルキレン系重合体を主成分として含有する粘着剤組成物」を、単に「粘着剤組成物」と称する場合がある。
本発明の発泡シール材の粘着剤層は、ポリオキシアルキレン系重合体を主成分として含有するので、応力緩和性に富み、柔軟であり、薄い厚みでの段差吸収性性能や衝撃吸収性能に優れる。
ポリオキシアルキレン系重合体は、重合体の主鎖に、下記の一般式(1)で示される繰り返し単位を有する限り特に制限されないが、ヒドロシリル化によりポリオルガノシロキサン構造を導入でき、架橋構造を形成できる点から、1分子中に少なくとも1個のアルケニル基を有するポリオキシアルキレン系重合体が好ましい。
一般式(1):−R1−O−
(式中、R1はアルキレン基である)
1は、炭素数1〜14の直鎖状又は分岐状のアルキレン基が好ましく、さらには炭素数2〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基が好ましい。
一般式(1)で示される繰り返し単位の具体例としては、−CH2O−、−CH2CH2O−、−CH2CH(CH3)O−、−CH2CH(C25)O−、−CH2C(CH32O−、−CH2CH2CH2CH2O−等が挙げられる。ポリオキシアルキレン系重合体の主鎖骨格は、1種類だけの繰り返し単位からなってもよいし、2種類以上の繰り返し単位からなってもよい。特に、入手性、作業性の点から、−CH2CH(CH3)O−を主たる繰り返し単位とする重合体が好ましい。また、重合体の主鎖にはオキシアルキレン基以外の繰り返し単位が含まれていてもよい。この場合、重合体中のオキシアルキレン単位の総和は、80重量%以上が好ましく、特に好ましくは90重量%以上である
ポリオキシアルキレン系重合体は、直鎖状の重合体でも分岐を有する重合体でもよく、それらの混合物であってもよいが、良好な粘着性を得るために、直鎖状の重合体を50重量%以上含有していることが好ましい。
ポリオキシアルキレン系重合体の分子量としては、数平均分子量で500〜50,000が好ましく、5,000〜30,000がさらに好ましい。数平均分子量が500未満のものでは、得られる粘着剤層(硬化物)が脆くなりすぎる傾向があり、逆に数平均分子量が50,000を超えるものは、高粘度になりすぎて作業性が著しく低下する傾向となるために好ましくない。ここでいう数平均分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法により求められる値のことである。
また、ポリオキシアルキレン系重合体は、重量平均分子量と数平均分子量との比(Mw/Mn)が1.6以下であり、分子量の分布が比較的狭いものが好ましい。Mw/Mnが1.6以下であると、ポリオキシアルキレン系重合体を含む粘着剤組成物の粘度が低くなり、作業性が向上する。よって、Mw/Mnは、より好ましくは1.5以下であり、さらに好ましくは1.4以下である。なお、ここでいう、Mw/Mnは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法により求められる値のことである。
ここで、GPC法による分子量の測定は、東ソー株式会社製GPC装置(HLC−8120GPC)を用いて測定される、ポリスチレン換算値であり、測定条件は以下のとおりである。
サンプル濃度:0.2重量%(THF溶液)
サンプル注入量:10μl
溶離液:THF
流速:0.6ml/min
測定温度:40℃
カラム:サンプルカラム TSKgel GMH−H(S)
検出器:示差屈折計
1分子中に少なくとも1個のアルケニル基を有するポリオキシアルキレン系重合体において、アルケニル基は特に制限はないが、下記の一般式(2)で示されるアルケニル基が好適である。
一般式(2):H2C=C(R2
(式中、R2は水素又はメチル基である)
アルケニル基のポリオキシアルキレン系重合体への結合様式は、特に制限はないが、例えば、アルケニル基の直接結合、エーテル結合、エステル結合、カーボネート結合、ウレタン結合、ウレア結合等が挙げられる。
1分子中に少なくとも1個のアルケニル基を有するポリオキシアルキレン系重合体の具体例としては、
一般式(3):{H2C=C(R3a)−R4a−O}a15a
(式中、R3aは水素又はメチル基、R4aは炭素数1〜20の2価の炭化水素基であって、1個以上のエーテル基が含まれていてもよい、R5aはポリオキシアルキレン系重合体残基であり、a1は正の整数である。)
で示される重合体が挙げられる。式中のR4aは、具体的には、−CH2−、−CH2CH2−、−CH2CH2CH2−、−CH2CH(CH3)CH2−、−CH2CH2CH2CH2−、−CH2CH2OCH2CH2−、または−CH2CH2OCH2CH2CH2−などを挙げることができるが、合成の容易さからは−CH2−が好ましい。
また、1分子中に少なくとも1個のアルケニル基を有するポリオキシアルキレン系重合体の具体例としては、
一般式(4):{H2C=C(R3b)−R4b−OCO}a25b
(式中、R3bは水素又はメチル基、R4bは炭素数1〜20の2価の炭化水素基であって、1個以上のエーテル基が含まれていてもよい、R5bはポリオキシアルキレン系重合体残基であり、a2は正の整数である。)
で示されるエステル結合を有する重合体が挙げられる。
また、1分子中に少なくとも1個のアルケニル基を有するポリオキシアルキレン系重合体の具体例としては、
一般式(5):{H2C=C(R3c)}a35c
(式中、R3cは水素又はメチル基、R5cはポリオキシアルキレン系重合体残基であり、a3及びa3は正の整数である。)
で示される重合体も挙げられる。
さらに、1分子中に少なくとも1個のアルケニル基を有するポリオキシアルキレン系重合体の具体例としては、
一般式(6):{H2C=C(R3d)−R4d−O(CO)O}a45d
(式中、R3dは水素又はメチル基、R4dは炭素数1〜20の2価の炭化水素基であって、1個以上のエーテル基が含まれていてもよい、R5dはポリオキシアルキレン系重合体残基であり、a4は正の整数である。)
で示されるカーボネート結合を有する重合体も挙げられる。
1分子中に少なくとも1個のアルケニル基を有するポリオキシアルキレン系重合体において、アルケニル基は、1分子中に少なくとも1個、好ましくは1〜5個、より好ましくは、1.5〜3個存在するのがよい。1分子中に含まれるアルケニル基の数が1個未満になると、硬化性が不充分になり、また5個より多くなると網目構造があまりに密となるため、良好な粘着特性を示さなくなる場合がある。
ポリオキシアルキレン系重合体(特に1分子中に少なくとも1個のアルケニル基を有するポリオキシアルキレン系重合体)は、特開2003−292926号に記載の方法に従って、合成することができ、また、市販されているものについては、市販品をそのまま使用することができる。
本発明の発泡シール材の粘着剤層では、ポリオキシアルキレン系重合体(特に1分子中に少なくとも1個のアルケニル基を有するポリオキシアルキレン系重合体)が主成分として含まれていることから、粘着剤層中のポリオキシアルキレン系重合体(特に1分子中に少なくとも1個のアルケニル基を有するポリオキシアルキレン系重合体)の含有量は、粘着剤層全量に対して50重量%以上(例えば、50〜100重量%)であることが好ましく、より好ましくは60重量%以上(例えば、60〜100重量%)である。含有量が50重量%未満であると、応力緩和性や柔軟性が低下し、段差吸収性性能や衝撃吸収性能の点で、不具合を生じる場合がある。
上述のように、本発明の発泡シール材の粘着剤層は、ポリオキシアルキレン系重合体を主成分として含有する粘着剤組成物により形成されるが、適度な凝集力を付与するために、好適には、下記(A)〜(C)成分を含む粘着剤組成物を硬化せしめた硬化物より構成されることが好ましい。つまり、本発明の発泡シール材の粘着剤層は、下記の(A)〜(C)の成分を含む粘着剤組成物により形成されていることが好ましい。
(A):前記のポリオキシアルキレン系重合体(特に1分子中に少なくとも1個のアルケニル基を有するポリオキシアルキレン系重合体)
(B):1分子中に2個以上のヒドロシリル基を含有する化合物
(C):ヒドロシリル化触媒
(B)1分子中に2個以上のヒドロシリル基を含有する化合物としては、ヒドロシリル基(Si−H結合を有する基)を有するものであれば特に制限無く使用できるが、原材料の入手の容易さや(A)成分への相溶性の面から、特に有機成分で変性されたオルガノハイドロジェンポリシロキサンが好ましい。上記有機成分で変性されたポリオルガノハイドロジェンシロキサンは、1分子中に平均して2〜8個のヒドロシリル基を有するものがより好ましい。なお、(B)1分子中に2個以上のヒドロシリル基を含有する化合物は、単独で又は2種以上組み合わせて用いられる。
ポリオルガノハイドロジェンシロキサンの構造を具体的に示すと、例えば、
Figure 2011162717
(式中、2≦m1+n1≦50、2≦m1、0≦n1である。R6aは、主鎖の炭素数が2〜20の炭化水素基で1個以上のフェニル基を含有してもよい)、
Figure 2011162717
(式中、0≦m2+n2≦50、0≦m2、0≦n2である。R6bは、主鎖の炭素数が2〜20の炭化水素基で1個以上のフェニル基を含有してもよい)、
Figure 2011162717
(式中、3≦m3+n3≦20、2≦m3≦19、0≦n3<18である。R6cは、主鎖の炭素数が2〜20の炭化水素基で1個以上のフェニル基を含有してもよい)等で示される鎖状又は環状のものが挙げられる。
さらには、ポリオルガノハイドロジェンシロキサンの構造の具体例としては、前記のユニットを2個以上有する、以下の
Figure 2011162717
(式中、1≦m4+n4≦50、1≦m4、0≦n4である。R6dは、主鎖の炭素数が2〜20の炭化水素基で1個以上のフェニル基を含有してもよい。2≦b1である。R8aは2〜4価の有機基であり、R7aは2価の有機基である。ただし、R7aは、R8aの構造によってはなくても構わない。)、
Figure 2011162717
(式中、0≦m5+n5≦50、0≦m5、0≦n5である。R6eは、主鎖の炭素数が2〜20の炭化水素基で1個以上のフェニル基を含有してもよい。2≦b2である。R8bは2〜4価の有機基であり、R7bは2価の有機基である。ただし、R7bは、R8bの構造によってはなくても構わない。)、又は
Figure 2011162717
(式中、3≦m6+n6≦50、1≦m6、0≦n6である。R6fは、主鎖の炭素数が2〜20の炭化水素基で1個以上のフェニル基を含有してもよい。2≦b3である。R8cは2〜4価の有機基であり、R7cは2価の有機基である。ただし、R7cは、R8cの構造によってはなくても構わない。)
で示されるもの等が挙げられる。
(B)成分は、(A)成分及び(C)成分との相溶性、又は、系中での分散安定性が良好なものが好ましい。特に系全体の粘度が低い場合には、(B)成分として上記各成分との相溶性の低いものを使用すると、相分離が起こり硬化不良を引き起こすことがある。
(A)成分及び(C)成分との相溶性、又は、分散安定性が比較的良好な(B)成分を具体的に示すと、以下のものが挙げられる。
Figure 2011162717
(式中、n7は4以上10以下の整数である、)
Figure 2011162717
(式中、2≦m8≦10、0≦n8≦5であり、R6gは炭素数8以上の炭化水素基である。)
当該(B)成分の好ましい具体例としては、ポリメチルハイドロジェンシロキサンが挙げられ、また、(A)成分との相溶性確保と、SiH量の調整のために、α−オレフィン、スチレン、α−メチルスチレン、アリルアルキルエーテル、アリルアルキルエステル、アリルフェニルエーテル、アリルフェニルエステル等により変性した化合物が例示され、一例として、以下の構造があげられる。
Figure 2011162717
(式中、2≦m9≦20、1≦n9≦20である。)
(B)成分は、公知の方法により合成することができ、市販されているものについては、市販品をそのまま使用することができる。
本発明において、(C)成分の「ヒドロシリル化触媒」は特に限定されず、任意のものを使用できる。具体的に例示すれば、塩化白金酸;白金の単体;アルミナ、シリカ、カーボンブラック等の担体に固体白金を担持させたもの;白金−ビニルシロキサン錯体{例えば、Ptn(ViMe2SiOSiMe2Vi)m、Pt〔(MeViSiO)4m等};白金−ホスフィン錯体{例えば、Pt(PPh34、Pt(PBu34等};白金−ホスファイト錯体{例えば、Pt〔P(OPh)34、Pt〔P(OBu)34等};Pt(acac)2;Ashbyらの米国特許第3159601及び3159662号に記載された白金−炭化水素複合体;Lamoreauxらの米国特許第3220972号に記載された白金アルコラート触媒等が挙げられる。(上記式中、Meはメチル基、Buはブチル基、Viはビニル基、Phはフェニル基、acacはアセチルアセトナートを表し、n、mは整数を表す。)
また、白金化合物以外の触媒の例としては、RhCl(PPh33、RhCl3、Rh/Al23、RuCl3、IrCl3、FeCl3、AlCl3、PdCl2・2H2O、NiCl2、TiCl4等が挙げられる。
これらの触媒は単独で使用してもよく、2種以上併用しても構わない。触媒活性の点から、塩化白金酸、白金−ホスフィン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体、Pt(acac)2等が好ましい。
(A)〜(C)成分を含む粘着剤組成物において、(C)成分の配合量は、特に制限はないが、該粘着剤組成物のポットライフの確保の点から、(A)成分中のアルケニル基1molに対して一般に1×10-1mol以下、好ましくは5.3×10-2mol以下であるが、特により好ましくは3.5×10-2mol以下、とりわけ好ましくは1.4×10-3mol以下である。(A)成分中のアルケニル基1molに対して1×10-1molを超えると、最終的に得られる粘着剤層が黄変しやすく、汚染の原因となる。なお、(C)成分の配合量が少なすぎる場合、該粘着剤組成物の硬化速度が遅く、また硬化性が不安定になる傾向となるため、(C)成分の配合量は8.9×10-5mol以上が好ましく、1.8×10-4mol以上がより好ましい。
(A)〜(C)成分を含む粘着剤組成物においては、(B)成分のヒドロシリル基が、(A)成分のアルケニル基に対して官能基比が0.3以上、2未満となるように含有(配合)されることが好ましく、より好ましくは0.4以上、1.8未満の範囲であり、さらに一層好ましくは0.5以上、1.5未満の範囲である。前記官能基比が2を超えるように含有されると、形成される粘着剤層の架橋密度が高くなり、粘着特性を得ることはできなくなる場合がある。また、官能基比が0.3未満になると、形成される粘着剤層の架橋が緩くなりすぎて、再剥離時の糊残りの発生や高温で特性保持が低下する場合がある。
このように、(A)〜(C)成分を含む粘着剤組成物において、(A)成分と(B)成分の配合比率を特定の範囲で選択することで、形成される粘着剤層で良好な粘着特性が発現でき、しかも、実用上充分に速いライン速度にて硬化させて粘着剤層を得ることができる。
なお、粘着剤組成物(特に(A)〜(C)成分を含む粘着剤組成物)には保存安定性を改良する目的で、保存安定性改良剤が添加されていてもよい。この保存安定性改良剤としては、上記(B)成分の保存安定剤として知られている公知の化合物を制限なく使用できる。例えば、脂肪族不飽和結合を含有する化合物、有機リン化合物、有機硫黄化合物、窒素含有化合物、スズ系化合物、有機過酸化物等を好適に用いることができる。より具体的には、2−ベンゾチアゾリルサルファイド、ベンゾチアゾール、チアゾール、ジメチルアセチレンダイカルボキシレート、ジエチルアセチレンダイカルボキシレート、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、ブチルヒドロキシアニソール、ビタミンE、2−(4−モルフォリニルジチオ)ベンゾチアゾール、3−メチル−1−ブテン−3−オール、2−メチル−3−ブテン−2−オール、アセチレン性不飽和基含有オルガノシロキサン、アセチレンアルコール、3−メチル−1−ブチル−3−オール、ジアリルフマレート、ジアリルマレエート、ジエチルフマレート、ジエチルマレエート、ジメチルマレエート、2−ペンテンニトリル、2,3−ジクロロプロペン等が挙げられる。
粘着剤層には、必要に応じて、粘着性(接着性)を向上させるための接着付与剤が添加されていてもよい。接着付与剤の例としては、各種シランカップリング剤やエポキシ樹脂等が挙げられる。中でも、エポキシ基、メタクリロイル基、ビニル基等の官能基を有するシランカップリング剤は、粘着剤組成物の硬化性(特に特に(A)〜(C)成分を含む粘着剤組成物の硬化性)に及ぼす影響も小さく、粘着剤層の接着性の発現にも効果が大きいため、好ましい。
また、上記接着付与剤としてのシランカップリング剤やエポキシ樹脂と併用して、シリル基やエポキシ基を反応させるための触媒を添加することができる。なお、これらの使用にあたっては、ヒドロシリル化反応に対する影響を考慮しなければならない。
さらに、粘着剤層には、各種充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、界面活性剤、シリコン化合物が適宜添加されていてもよい。
充填剤の具体例としては、シリカ微粉末、炭酸カルシウム、クレイ、タルク、酸化チタン、亜鉛華、ケイソウ土、硫酸バリウム等が挙げられる。特にシリカ微粉末、とりわけ粒子径が50〜70nm(BET比表面積が50〜380m2/g)程度の微粉末シリカが好ましく、その中でも表面処理を施した疎水性シリカが、強度を好ましい方向に改善する働きが大きいので特に好ましい。
さらにまた、タック等の特性を上げるため、粘着剤層には、必要に応じて粘着付与樹脂が添加されていてもよい。粘着付与樹脂としては、例えば、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、石油樹脂、ロジンエステル等が例示され、用途に合わせて自由に選択することができる。
また、特性改善の面から、粘着剤層には、フェノール樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、キシレン樹脂等の樹脂類が添加されていてもよい。また、アクリル粘着剤、スチレンブロック系粘着剤、オレフィン系粘着剤等の粘着剤成分が同様の目的から添加されていてもよい。
また、粘着剤組成物には、作業性の点から溶剤(有機溶剤)が添加されていてもよい。特に、(A)〜(C)成分を含む粘着剤組成物には、トルエン、キシレン、酢酸エチル、メチルエチルケトン等の有機溶剤が添加されていてもよいが、(A)成分であるポリオキシアルキレン系重合体の分子量、及び/又は(B)成分のヒドロシリル基含有化合物の分子量若しくは構造を適宜選択することにより、溶剤を実質的に無添加又は少量添加で、常温で流動可能な組成物を得ることができる。
すなわち、組成物中の有機溶剤含有量が20重量%未満、好ましくは5重量%未満であり、かつ、230℃における粘着剤組成物の粘度が100Pa・s以下、好ましくは50Pa・s以下である粘着剤組成物(特に(A)〜(C)成分を含む粘着剤組成物)を得ることができる。粘着剤組成物の粘度が100Pa・sを越える場合、ロールコーター法、リバースコーター法、ドクターブレード法等、通常の塗工装置での塗布が困難となる場合がある。
このように、粘着剤組成物(特に(A)〜(C)成分を含む粘着剤組成物)は、有機溶剤を配合しなくても、または、少量の有機溶剤のみで、常温でも流動性を有するから、環境への溶剤揮散及び粘着剤層中の含有溶剤による室内環境や皮膚刺激問題の対策としても有効である。また、常温で流動性を有すると、ホットメルト粘着剤等を粘着塗布する時に問題であった温度コントロールやタンク加熱等の問題も発生しない。さらに、粘着剤組成物として(A)〜(C)成分を含む粘着剤組成物を用いる場合、該粘着剤組成物は、加熱のみにより、すみやかに硬化するため、UV硬化や電子線硬化のような新たな設備は不要である。また、粘着剤組成物として(A)〜(C)成分を含む粘着剤組成物を用いる場合、該粘着剤組成物は、ヒドロシリル化触媒を用いたアルケニル基に対するSi−H基の付加反応によって硬化するので、硬化速度が非常に速く、ライン生産を行う上で好都合である。
粘着剤組成物は、ポリオキシアルキレン系重合体と、必要に応じて、各種添加剤等を公知の手法を用いて混合することにより調製することができる。例えば、(A)〜(C)成分を含む粘着剤組成物は、(A)〜(C)の各成分と、必要に応じて、各種添加剤等を公知の手法を用いて混合することにより調製することができる。
粘着剤層の形成方法は、特に制限されないが、例えば、所定の面に、粘着剤組成物を塗布して形成する方法が挙げられる。該形成方法では、必要に応じて加熱や乾燥、光照射、前処理等を行ってもよい。
代表的な粘着剤層の形成方法としては、粘着剤組成物(特に(A)〜(C)成分を含む粘着剤組成物)を、必要に応じて有機溶剤とともに、真空機能を備えた攪拌装置に仕込み、真空状態(真空下)で攪拌することにより脱泡を行い、該真空脱泡後の粘着剤組成物を各種の支持体上に塗布(流延)し、熱処理してシート化することが挙げられる。
支持体への塗布は、例えば、グラビア、キス、コンマ等のロールコーター、スロット、ファンテン等のダイコーター、スクイズコーター、カーテンコーター等の公知の塗布装置を用いることができる。
熱処理条件(特に(A)〜(C)成分を含む粘着剤組成物の熱処理条件)は、粘着剤層を得ることができる限り特に制限されないが、50〜200℃(好ましくは100〜160℃)で、0.01〜24時間(好ましくは0.05〜4時間)程度加熱するのが好ましい。
なお、上記の真空機能を備えた攪拌装置としては、公知の真空装置付攪拌装置を使用すればよく、具体的には遊星式(公転/自転方式)攪拌脱泡装置やディスパー付き脱泡装置等が挙げられる。また、真空脱泡を行う際の減圧の程度としては、10kPa以下が好ましく、3kPa以下がより好ましい。また、攪拌時間は、攪拌装置や流動物の処理量によっても異なるが、0.5〜2時間程度が好ましい。
粘着剤層の厚みは、特に限定されないが、接着性、応力緩和性、及びクリアランス(間隙)への装てん性などの点から、5〜1000μmが好ましく、より好ましくは10〜400μmである。また、粘着剤層は、単層、多層のいずれの形態を有していてもよい。
(剥離ライナー)
本発明の発泡シール材の粘着剤層表面(粘着面)は、使用時まで剥離ライナー(セパレーター)により保護されていてもよい。剥離ライナーは、粘着剤層の保護材として用いられており、発泡シール材を使用する際に剥がされる。なお、剥離ライナーは必ずしも設けられていなくてもよい。
このような剥離ライナーとしては、慣用の剥離紙などを使用でき、特に限定されないが、例えば、剥離処理層を有する基材、フッ素系ポリマーからなる低接着性基材、無極性ポリマーからなる低接着性基材などを用いることができる。上記剥離処理層を有する基材としては、例えば、シリコーン系、長鎖アルキル系、フッ素系、硫化モリブデン等の剥離処理剤により表面処理されたプラスチックフィルムや紙等が挙げられる。フッ素系ポリマーからなる低接着性基材におけるフッ素系ポリマーとしては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロフルオロエチレン・フッ化ビニリデン共重合体等が挙げられる。無極性ポリマーからなる低接着性基材の無極性ポリマーとしては、例えば、オレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなど)等が挙げられる。なお、剥離ライナーは公知乃至慣用の方法により形成することができる。また、剥離ライナーの厚み等も特に制限されない。
(他の層)
本発明の発泡シール材は、本発明の効果を損なわない範囲で、他の層(例えば、中間層、下塗り層など)を有していてもよい。例えば、発泡構造体と粘着剤層との間に他の層が設けられていてもよい。
本発明の発泡シール材において、発泡構造体と粘着剤層との間に他の層を設ける場合の他の層の代表的な例として、中間層としての粘着層(粘着性中間層)が挙げられる。本発明の発泡シール材において、このような粘着性中間層を有していると、発泡構造体とポリオキシアルキレン系重合体を主成分とする粘着剤層との接着力が低い場合でも十分な投錨力を付与できる。
このような粘着性中間層を形成する粘着剤としては、特に制限されず、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤(天然ゴム系粘着剤、合成ゴム系粘着剤など)、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、エポキシ系粘着剤、フッ素系粘着剤などの公知の粘着剤を適宜選択して用いることができる。粘着剤は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。なお、粘着剤は、エマルジョン系粘着剤、溶剤系粘着剤、ホットメルト型粘着剤、オリゴマー系粘着剤、固系粘着剤などのいずれの形態の粘着剤であってもよい。
上記粘着剤としては、被着体への汚染防止などの観点から、アクリル系粘着剤が好適である。
つまり、本発明の発泡シール材においては、発泡構造体とポリオキシアルキレン系重合体を主成分とする粘着剤層とが接着しにくい場合、発泡構造体と粘着剤層(ポリオキシアルキレン系重合体を主成分とする粘着剤層)との間に粘着性中間層を設けることが好ましく、特に粘着性中間層としてアクリル系粘着剤により形成される粘着層を設けることが好ましい。
前記の粘着性中間層の厚さとしては、落下時の衝撃吸収性及び動的防塵性に悪影響を与えないようにする点から、1〜100μmが好ましく、より好ましくは2〜50μmである。
また、粘着性中間層の厚さは、前記の粘着剤層の厚さに対して、5〜100%が好ましく、より好ましくは10〜75%である。粘着性中間層の厚さが前記の粘着剤層の厚さに対して薄すぎると、発泡構造体と粘着剤層との間の投錨力が発揮できないおそれがあり、一方、厚すぎると落下時の衝撃吸収性及び動的防塵性に悪影響を及ぼすおそれがある。
(発泡シール材)
本発明の発泡シール材は、発泡構造体(発泡体)の片面側又は両面側に、前記のポリオキシアルキレン系重合体を主成分とする粘着剤層(特に、前記の(A)〜(C)成分を含む粘着剤組成物を硬化せしめた硬化物より構成される粘着剤層)を有している。なお、本発明の発泡シール材は、シート状のものが積層された形態を有していてもよく、ロール状に巻回された形態を有していてもよい。また、発泡シール材は、用いられる装置や部材、筐体等に合わせて、種々の形状に加工されていてもよい。
発泡シール材は、例えば、発泡構造体の少なくとも片側の面に、粘着剤組成物を塗布して粘着剤層を形成することや、発泡構造体の少なくとも片側の面に、別途所定の面上に作製した粘着剤層を転写すること等により作製される。また、発泡シール材が中間層として上記粘着層を有する場合、このような発泡シール材は、例えば、発泡構造体の少なくとも片側の面に、前記の粘着性中間層(中間層としての粘着層)を設け、該粘着性中間層上に、別途所定の面上に作製した粘着剤層(ポリオキシアルキレン系重合体を主成分とする粘着剤層)を転写すること等により作製される。
発泡シール材の厚みは、特に制限されないが、衝撃吸収性、段差追従性などの点から、0.1mm〜5.0mm程度が好ましく、より好ましくは0.2mm〜4.0mm程度である。発泡シール材の厚みには、前記の粘着性中間層の厚みは含まれる。また、発泡シール材の厚みには、前記の剥離ライナーの厚みは含まれない。
発泡シール材は、発泡構造体を有するので、発泡構造体が元来有する特性(例えば、衝撃吸収性、柔軟性、段差追従性、シール性、防塵性、防音性など)を備える。
発泡シール材は、また、ポリオキシアルキレン系重合体を主成分とする粘着剤層(特に(A)〜(C)の成分を含む粘着剤組成物により形成されている粘着剤層)を有し、該粘着剤層は粘弾性に富むので、応力緩和性や衝撃吸収性が良好であり、被着体に対して適度な接着力を発揮する。また、被着体からのリワーク性も良好である。
発泡シール材は、発泡構造体に特定の粘着剤層が積層されている構造を有するので、落下時の衝撃吸収性と動的防塵性に優れる。これは、落下等により大衝撃を受けて、瞬間的な応力集中が発生しても、特定の粘着剤が上記の特徴を有するので、衝撃吸収性を維持しつつ、動的防塵性の低下を防ぐことができるからである。なお、動的防塵性とは、落下時のように大きな衝撃を受けた時の防塵性をいう。
具体的な例としては、発泡シール材が、携帯電話や液晶テレビなどのディスプレイ部窓枠(LCD部窓枠)に衝撃吸収材(ガスケット材)として使用される場合が挙げられる。発泡シール材は、発泡構造体に特定の粘着剤層が直接的に又は間接的に積層されている構造を有するので、発泡シール材が大きな衝撃を受けたとしても、防塵性能を維持するとともに、衝撃吸収性を発揮する。
より具体的には、発泡シール材が携帯電話に衝撃吸収材として装着されている場合、この携帯電話の落下等により、発泡シール材が大きな衝撃を受けたとしても、防塵性能を維持するとともに、衝撃吸収性を発揮する。このため、携帯電話(特に携帯電話のディスプレイ部)の破損やディスプレイ部への粉塵の侵入を防止できる。
このように、本発明の発泡シール材は、ディスプレイ周りのシール材として好適に用いられる。
発泡シール材の発泡構造体が発泡剤として二酸化炭素等の不活性ガスを用いる発泡法により作製されている場合、かかる発泡シール材は、発泡構造体に有害物質が発生したり汚染物質が残存することがなく、クリーンであるので、特に電子機器等の内部に好適に利用される。
また、本発明の発泡シール材は、各種部材又は部品(例えば、光学部材など)を、所定の部位に取り付ける(装着する)際に用いられるシール材や衝撃吸収材等として有用である。特に、発泡シール材は、小型の部材又は部品(例えば、小型の光学部材など)を、薄型化の製品に装着する際であっても好適に用いることができる。
発泡シール材を利用して取付(装着)可能な光学部材としては、例えば、液晶ディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、プラズマディスプレイ等の画像表示装置に装着される画像表示部材(特に、小型の画像表示部材)や、いわゆる「携帯電話」や「携帯情報端末」等の移動体通信の装置に装着されるカメラやレンズ(特に、小型のカメラやレンズ)などが挙げられる。
さらに、本発明の発泡シール材は、トナーカードリッジからトナーが漏れることを防ぐ際のシール材として用いることができる。このように、発泡シール材を利用して取付可能なトナーカードリッジとしては、複写機やプリンターなどの画像形成装置に使用されるトナーカードリッジなどが挙げられる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
実施例1
(発泡構造体)
密度が0.9g/cm3、230℃のメルトフローレートが4であるポリプロピレン:50重量部、JIS−A硬度が69のエチレンプロピレン系エラストマー:50重量部、水酸化マグネシウム(平均粒径:0.7μm):10重量部、及びカーボン:10重量部を、日本製鋼所社製の二軸混錬機にて、200℃の温度で混錬した後、ストランド状に押出し、水冷後ペレット状に成形した。このペレットを、日本製鋼所社製の単軸混錬機に投入し、220℃の雰囲気下、13(注入後12)MPaの圧力で、二酸化炭素ガスを注入した。二酸化炭素ガスは、ポリマー全量に対して5重量%の割合で注入した。二酸化炭素ガスを十分に飽和させた後、発泡に適した温度まで冷却後、ダイから押出して、平均気泡径100μmの発泡構造体を得て、これを厚み1mmにスライスした。
(粘着剤層)
(A)成分としてのポリオキシアルキレン系重合体(数平均分子量:約20,000)、(B)成分としてのヒドロシリル化合物(そのヒドロシリル基量が(A)成分のポリオキシアルキレン基重合体のアルケニル基量に対して官能基比で0.62となる量)、及び(C)成分としてのヒドロシリル化触媒(A成分中のアルケニル基1molに対して0.62mol)を含む組成物を、真空装置付攪拌装置(装置名「ミニダッポー」、(株)シーテック製)に投入し、真空状態(100Pa)で、1時間攪拌して脱泡を行った。次いで、真空脱泡された組成物を室温下でロールコーターを用い、離型処理が施されたポリエステルフィルム(厚み:50μm)上に、組成物の厚みが200μmになるように塗布(流延)した。加熱オーブンで、130℃で5分間加熱することで組成物を硬化させ、粘着剤層(厚み125μm)を得た。
次に、こうして得られたシートの粘着剤層に、離型処理が施されたポリエステルフィルム(厚み:50μm)を貼り合わせることにより粘着シート(離型処理が施されたポリエステルフィルム/粘着剤層/離型処理が施されたポリエステルフィルムの構成)を得た。
(発泡シール材)
前記発泡構造体の両面に、極薄両面アクリル系粘着テープ(商品名「No.5601」、日東電工株式会社製、両面粘着テープ/剥離ライナーの構成、厚み:30μm)を貼り合わせて、剥離ライナー/両面アクリル系粘着テープ/前記発泡構造体/両面アクリル系粘着テープ/剥離ライナーの積層体を得た。
次に、前記の積層体の一方の剥離ライナーを剥がして露出させた粘着面に、離型処理が施されたポリエステルフィルムを剥がして粘着剤層が露出した前記の粘着シートを、粘着剤層が接する形態で貼り合わせて、発泡シール材1(離型処理が施されたポリエステルフィルム/粘着剤層(厚み:125μm)/両面アクリル系粘着テープ(厚み:30μm)/発泡構造体(厚み:1mm)/両面アクリル系粘着テープ(厚み:30μm)/剥離ライナー)を作製した。
比較例1
前記の発泡構造体(実施例1の発泡構造体)の両面に、極薄両面アクリル系粘着テープ(商品名「No.5601」、日東電工株式会社製、両面粘着テープ/剥離ライナーの構成、厚み:30μm)を貼り合わせて、発泡シール材2(剥離ライナー/両面アクリル系粘着テープ(厚み:30μm)/発泡構造体(厚み:1mm)/両面アクリル系粘着テープ(厚み:30μm)/剥離ライナーの構成)を作製した。
比較例2
熱可塑性エラストマー樹脂(商品名「SIS5405」、JSR社製、スチレン−イソプレン−スチレン系熱可塑性エラストマー樹脂、スチレン成分の含有比率:18モル%)に、トルエン溶剤を加えて、固形分濃度が20重量%の希釈液を得た。
前記希釈液を、メイヤバーにより、前記の発泡構造体(実施例1の発泡構造体)の一方の面に、乾燥重量(固形分重量)で15g/m2となる塗布量で塗布し、その後、80℃で3分間、加熱乾燥して、発泡構造体の表面に熱可塑性エラストマー樹脂層(コート層)を形成した。
次に、発泡構造体の熱可塑性エラストマー樹脂層を設けた面の反対側の面に、極薄両面アクリル系粘着テープ(商品名「No.5601」、日東電工株式会社製、両面粘着テープ/剥離ライナーの構成、厚み:30μm)を貼り合わせて、発泡シール材3(熱可塑性エラストマー樹脂層/発泡構造体(厚み:1mm)/両面アクリル系粘着テープ(厚み:30μm)/剥離ライナーの構成)を作製した。
参考例1
発泡シール材として、実施例1の発泡構造体をそのまま用いた。なお、厚みは、1mmとした。
参考例2
発泡シール材として、ウレタン発泡体(PET基材の片面側に発泡体が支持されている製品、厚み:0.4mm、商品名「PORON SRS−40P」、ロジャーアイノックス社製)を使用した。
評価
上記の実施例および比較例で得られた発泡シール材について、以下の評価を行った。評価結果は表1〜3に示した。
(動的防塵性)
動的防塵性の評価は、圧縮率が70%の場合と圧縮率が40%の場合について行い、圧縮率が70%の場合の評価結果を表1に示し、圧縮率が40%の場合の評価結果を表2に示した。
実施例及び比較例の発泡シール材を、図1に示す額縁状(窓枠状)(幅:2mm)に打ち抜き、評価用サンプルを作製した。なお、評価用サンプルでは、剥離ライナーは全て除いた。
この評価用サンプルを、図2に示すように、評価容器(後述の動的防塵性評価用の評価容器、図2及び図3参照)に装着した。図2に示すように、評価用サンプルは、フォーム圧縮板と、ベース板に固定されたアルミニウム板上の黒色アクリル板との間に設けられている。評価用サンプルを装着した評価容器では、評価用サンプルにより、内部の一定領域が閉じられた系となっている。
図2に示すように、評価用サンプルを評価容器に装着後、粉末供給部に粉塵としてのコーンスターチを0.1g入れて、評価容器をドラム式落下試験器(回転式落下装置)に入れ、3rpmの速度で回転させた。
そして、目的とする衝突回数が得られるように、所定回数を回転させた後、粉末供給部から、発泡シール材を通過して、アルミニウム板上の黒色アクリル板及びカバー板としての黒色アクリル板に付着した粒子を、マイクロスコープで観察した。アルミニウム板側の黒色アクリル板及びカバー板側の黒色アクリル板について静止画像を作成し、画像解析ソフトを用いて2値化処理を行い、粒子の個数として粒子総面積を計測した。なお、観察は、空気中の浮遊粉塵の影響を少なくするためクリーンベンチ内で行った。
アルミニウム板側の黒色アクリル板に付着している粒子及びカバー板側の黒色アクリル板に付着している粒子を合わせた粒子総面積が、1500[Pixel×Pixel]未満である場合を良好(○)と判定し、1500〜2000[Pixel×Pixel]である場合をやや不良(△)と判定し、2000[Pixel×Pixel]を越える場合を不良(×)と判定した。
図2は評価用サンプルを装着した評価容器(動的防塵性評価用の評価容器)の切断部端面図を示し、図3は評価用サンプルを装着した動的防塵性評価用の評価容器の上面図を示す。また、図2は、評価用サンプルを装着した評価容器A−A’線切断部端面図である。評価容器は、評価用サンプルを装着してから落下させることにより、評価用サンプルの衝撃吸収性と動的防塵性(衝撃時の防塵性)を評価できる。図2及び3において、2は評価用サンプルを装着した評価容器(動的防塵性評価用の評価容器)、211は黒色アクリル板(カバー板側の黒色アクリル板)、212は黒色アクリル板(アルミニウム板側の黒色アクリル板)、22は評価用サンプル(額縁状の発泡シール材)、23はアルミニウム板、24はベース板、25は粉末供給部、26はネジ、27はフォーム圧縮板、28はカバー板固定金具を示す。評価用サンプル22の圧縮率は、黒色アクリル板212の厚みを調整することにより、制御できる。
Figure 2011162717
Figure 2011162717
表1に示すように、圧縮率が70%の場合、粘着処理を行っていない参考例1を除き、実施例1、比較例1〜2、及び参考例2では、防塵性能について、良い結果が得られた。しかし、圧縮率70%付近では高圧縮状態になり、衝撃吸収性能が低下する場合がある。衝撃吸収性能と防塵性能の両方の性能を考慮すると圧縮率40%付近での防塵性能が重要である。
圧縮率が40%の場合、粘着処理を行っていない参考例1では、衝突回数が10回程度で、粉塵粒子が評価用サンプル(発泡シール材)を通過しており、20回程度の衝突回数で、粉塵粒子が、大量に、評価用サンプル(発泡シール材)を通過し、評価容器内部に入ってきていた。
また、参考例2において、圧縮率70%の場合では良い防塵性能が得られたが、圧縮率40%の場合では衝突回数が20回程度で防塵性は低下した。
比較例1は、衝突回数が10回であっても、20回であっても、良い防塵性を得ることはできなかった。これは、接着界面での応力集中が緩和されず、発泡構造体に貼り合わせた両面アクリル系粘着テープ(No.5601)の一部が剥離した可能性が考えられる。
ドラム式落下試験機では、評価容器(動的防塵性評価用の評価容器)の落下姿勢は、制御されておらず、ランダムになっていた。しかし、水平姿勢で落下するより、垂直姿勢で落下する場合が多かった。評価容器は、落下面と衝突することにより、曲げ変形を起こすと考えられるので、評価容器に固定されている評価用サンプル(額縁状の発泡シール材)については、短辺側が圧縮変形を受け易く、永久歪や粘着剤層の剥離(粘着処理の剥離)などが生じやすくなっている。
粘着処理をしていない参考例1の場合、評価用サンプルの両方の短辺側から粉塵が通過し、内部に侵入していた。衝突回数が増すと、さらに通過する粉塵粒子が多くなっていた。
比較例1の場合、粉塵は、片側のみから侵入しており、両面粘着テープ(No.5601)が部分的に剥離したものと推定される。衝撃を伴う防塵性向上対策としては、粘着力の調整だけでは対応を図ることができないことが確認できた。
実施例1の場合、比較例や参考例と比べて、通過する粉塵粒子が著しく少なく、良好な防塵性を有していた。比較例1と対比すると、実施例1の粘着剤層は応力緩和性があり、落下衝撃時に界面剥離が抑えられていると考えられる。
(引き剥がし強度)
実施例及び比較例の発泡シール材を、直径20mmの円状に打ち抜き、測定用サンプルを作製した。なお、評価用サンプルでは、剥離ライナーは全て除いた。測定装置として、マイクロサーボ装置(装置名「マイクロサーボMMT250」、島津製作所社製)を使用した。
測定用サンプルを、マイクロサーボ装置の支持台に固定し、マイクロサーボ装置の圧縮治具を用いて、垂直方向に、3mmの高さから、0.6mmのギャップまで圧縮し(0.6mm圧縮し)、0.6mmの位置で30秒間ホールド(保持)した。なお、実施例1の測定用サンプルは粘着剤層が圧縮治具と接しており、比較例1の測定用サンプルは両面アクリル系粘着テープ(No.5601)が圧縮治具と接しており、比較例2の測定用サンプルは熱可塑性エラストマー樹脂層が圧縮治具と接している。
ホールド後、圧縮治具を垂直方向に0.5mm/secの速度で移動させることにより、引張速度:0.5mm/secで引っ張りを開始し、引き剥がし強度(引張強度、引っ張り荷重、粘着力)を測定した。その結果を、表3及び図4に示した。
Figure 2011162717
図4より、引き剥がし強度は、1.1〜1.4mmの位置で、ピークを示した。なお、表3には、ピーク値が示されている。
表3より、引き剥がし強度のピーク値は、比較例1が65Nであり、最も大きい。しかし、比較例1は、図4に示されるように、0.6mm圧縮直後から引き剥がし強度が発生しているのに対し、実施例1及び比較例2では、1mm程度の位置から引き剥がし強度が発生し、比較例1と比較し、遅くなっている。このことは、粘着剤層及び熱可塑性エラストマー樹脂層の粘弾性効果が発現し、粘着処理の接合界面で応力が緩和されているためと推定される。
表3より、引き剥がし強度としては、防塵性及びリワーク性の点から、実施例1が適切であると考えられる。
2 評価用サンプルを装着した評価容器(動的防塵性評価用の評価容器)
211 黒色アクリル板(カバー板側の黒色アクリル板)
212 黒色アクリル板(アルミニウム板側の黒色アクリル板)
22 評価用サンプル(額縁状の発泡シール材)
23 アルミニウム板
24 ベース板
25 粉末供給部
26 ネジ
27 フォーム圧縮板
28 カバー板固定金具

Claims (9)

  1. 発泡構造体の少なくとも片面側に、ポリオキシアルキレン系重合体を主成分とする粘着剤層が設けられていることを特徴とする発泡シール材。
  2. 前記の粘着剤層が、下記の(A)〜(C)の成分を含む粘着剤組成物により形成されている請求項1記載の発泡シール材。
    (A):1分子中に少なくとも1個のアルケニル基を有するポリオキシアルキレン系重合体
    (B):1分子中に2個以上のヒドロシリル基を有する化合物
    (C):ヒドロシリル化触媒
  3. 発泡構造体とポリオキシアルキレン系重合体を主成分とする粘着剤層との間に、粘着性中間層が設けられている請求項1又は2記載の発泡シール材。
  4. 前記の発泡構造体が、熱可塑性ポリマーを含む樹脂組成物に、高圧の不活性ガスを含浸させた後、減圧する工程を経て形成されている請求項1〜3の何れかの項に記載の発泡シール材。
  5. 前記の発泡構造体が、熱可塑性ポリマーを含む樹脂組成物からなる未発泡樹脂成形物に、高圧の不活性ガスを含浸させた後、減圧する工程を経て形成されている請求項1〜3の何れかの項に記載の発泡シール材。
  6. 前記の発泡構造体が、減圧後、さらに加熱することにより形成されている請求項4又は5記載の発泡シール材。
  7. 前記の不活性ガスが、二酸化炭素である請求項4〜6の何れかの項に記載の発泡シール材。
  8. 前記の不活性ガスが、超臨界状態である請求項4〜7の何れかの項に記載の発泡シール材。
  9. ディスプレイ周りのシール用に使用される請求項1〜8の何れかの項に記載の発泡シール材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013213102A (ja) * 2012-03-30 2013-10-17 Sekisui Chem Co Ltd 発泡体
CN103436195A (zh) * 2013-08-06 2013-12-11 昆山上艺电子有限公司 粘合密封胶带

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