JP2011159697A - 薄膜トランジスタ搭載基板、その製造方法及び画像表示装置 - Google Patents

薄膜トランジスタ搭載基板、その製造方法及び画像表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】活性層として用いた酸化物薄膜の安定化と高品質化を実現した薄膜トランジスタをプラスチック基板上に搭載した薄膜トランジスタ搭載基板の製造方法を提供する。
【解決手段】プラスチック基板10の上又はその上方に活性層となるアモルファス酸化物薄膜13を形成する工程と、そのアモルファス酸化物薄膜13をパターニングする工程と、そのアモルファス酸化物薄膜13をジュール加熱する工程とをその順で少なくとも有する。ジュール加熱工程は、プラスチック基板10にプラスチック基板10のガラス転移温度以上の温度を一定時間与えず、且つアモルファス酸化物薄膜13をアモルファス相のままで所定の抵抗率に制御する工程である。
【選択図】図1

Description

本発明は、薄膜トランジスタ搭載基板、その製造方法及び画像表示装置に関し、さらに詳しくは、活性層として用いたアモルファス酸化物薄膜の安定化と高品質化を実現した薄膜トランジスタ搭載基板及びその製造方法等に関する。
薄膜トランジスタ(TFT)を搭載する薄膜トランジスタ搭載基板は、液晶ディスプレイ(LCD)及び有機ELディスプレイ等の駆動素子基板として用いられている。薄膜トランジスタには、逆スタガ型(トップゲート)及びスタガ型(ボトムゲート)等の構造形態があり、また、薄膜トランジスタを構成する半導体薄膜としては、アモルファスシリコン膜又はポリシリコン膜が一般的に適用されている。しかし、アモルファスシリコン半導体薄膜は、特性が安定しているものの移動度が小さく、一方、ポリシリコン半導体薄膜は、移動度が高いものの高温(例えば600℃以上)の熱処理工程を必要とする。
こうした中、有機EL素子又は電気泳動素子を利用したフレキシブルな表示装置(有機ELディスプレイ、電気泳動ディスプレイ)についての研究開発が活発に行われている。フレキシブルな表示装置に使用するTFT搭載基板の構成部材として、耐熱性に乏しいが柔軟性に優れたプラスチック基板又は汎用ガラス基板等が検討されている。表示装置を構成する基板には、駆動素子である薄膜トランジスタを直接形成するため、そうしたプラスチック基板には、薄膜トランジスタを製造する際の工程温度が加わる。しかしながら、プラスチック基板は耐熱性が乏しく、薄膜トランジスタの製造工程中に、プラスチック基板にダメージを与える高温の熱処理工程を含ませることはできない。
一方で、近年、酸化物薄膜を半導体膜に用いた薄膜トランジスタの研究が活発に行われている。特許文献1では、In、Ga、Znからなる酸化物(「IGZO」と略す。)の多結晶薄膜をTFTの半導体膜に用いた例が提案され、非特許文献1と特許文献2では、IGZOのアモルファス薄膜をTFTの半導体膜に用いた例が提案されている。これらのIGZOを半導体膜に用いたTFTは、室温での成膜が可能であり、プラスチック基板にダメージを与えることなく形成が可能であるとされている。
しかしながら、上記IGZO薄膜を半導体膜として用いたTFTは、連続通電時の閾電圧の変化が非常に大きく、安定性に欠けるという問題があった。この安定性の問題に対し、特許文献3では、IGZO半導体薄膜を保護膜で覆って安定性を高めることを提案している。一方、特許文献4では、IGZO半導体薄膜に対し、酸化ガス雰囲気中において200℃以上600℃以下、通常400℃の熱処理を行うことにより、安定性に欠けるという問題を解決できることを提案している 。
なお、関連する先行技術として、特許文献5には、非晶質シリコンを結晶化させる手段として、非晶質シリコン上に伝熱層を介してカーボン層を形成し、そのカーボン層に電流を流して加熱し、その熱で結晶化させる手段が提案されている。
K.Nomura et.al., Nature, vol.432, p.488-492(2004)
特開2004−103957号公報 特表2005−88726号公報 特開2007−311404号公報 特開2007−73705号公報 特表2006−98513号公報
しかしながら、上記特許文献3に記載の保護膜を設けただけでは連続通電時の閾電圧の変化が依然として存在し、安定性を向上させることはできていない。また、上記特許文献4の実施例では基板としてシリコンウエハを用いているので、200℃以上600℃以下(通常400℃)の熱処理を適用できるが、耐熱性の乏しいプラスチック基板を用いる場合には、基板への熱ダメージが大きく、こうした手段は適用できないという問題がある。例えば、フレキシブル基板として好ましく用いるポリエチレンナフタレート基板は、ガラス転移温度が150℃以下である。
本発明は、上記の現況に鑑みてなされたものであって、その目的は、活性層として用いた酸化物薄膜の安定化と高品質化を実現した薄膜トランジスタをプラスチック基板上に搭載した薄膜トランジスタ搭載基板の製造方法を提供することにある。また、本発明の他の目的は、そうした製造方法で得られる薄膜トランジスタ搭載基板を提供することにある。また、本発明のさらに他の目的は、そうした薄膜トランジスタ搭載基板を有する画像表示装置を提供することにある。
本発明者は、アモルファス酸化物薄膜の安定化と高品質化についての研究過程で、成膜したアモルファス酸化物薄膜に電流を流してジュール熱を発生させたところ、プラスチック基板にダメージを与えることなく、高い安定性と高い品質を示す薄膜トランジスタ搭載基板が得られることを発見し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明に係る薄膜トランジスタ搭載基板の製造方法は、プラスチック基板の上又はその上方に活性層となるアモルファス酸化物薄膜を形成する工程と、前記アモルファス酸化物薄膜をパターニングする工程と、前記アモルファス酸化物薄膜に電流を流してジュール熱を発生させるジュール加熱工程と、をその順で少なくとも有し、前記ジュール加熱工程は、前記プラスチック基板に該プラスチック基板のガラス転移温度以上の温度を一定時間与えず、且つ前記アモルファス酸化物薄膜をアモルファス相のままで所定の抵抗率に制御する工程であることを特徴とする。
この発明によれば、アモルファス酸化物薄膜について、アモルファス相のままで所定の抵抗率に制御するジュール加熱を行う。ジュール加熱による抵抗率の制御は、アモルファス酸化物薄膜が「ジュール熱が発生する程度に導電性のある半導体相の抵抗率」から「ジュール熱の発生が抑制される程度に導電性が低下した半導体相の抵抗率」への移行によって生じること、言い換えれば「キャリア濃度が高い導体に近い半導体」から「キャリア濃度が低い半導体」への移行によって生じることを意味している。そして、アモルファス酸化物薄膜が「導電性が低下した半導体相の抵抗率(キャリア濃度が低い半導体)」になると、そのアモルファス酸化物薄膜には電流が流れにくくなって発熱が抑制されて温度が低下し、実質的にジュール加熱が終了する。こうした特徴を有する本発明によれば、アモルファス酸化物薄膜をジュール加熱することにより、アモルファス酸化物薄膜の抵抗率は、電流が流れにくくなる「キャリア濃度が低い半導体相の抵抗率」に収束することになるので、半導体特性は安定で高品質なものとなり、得られた薄膜トランジスタ搭載基板は安定で高品質な駆動素子基板として利用できる。
なお、本発明で適用するジュール加熱は、パターニングされたアモルファス酸化物薄膜に電圧印加端子を接続又は接触させて交流電圧又はパルス電圧を印加することにより、そのアモルファス酸化物薄膜に電流が流れてジュール熱が発生し、そのジュール熱でアモルファス酸化物薄膜を加熱処理するというものである。このジュール加熱によれば、電圧印加端子に電圧を印加できるようになっていれば、アモルファス酸化物薄膜が表面に露出していても露出していなくても加熱することができる。しかも、薄膜トランジスタ搭載基板は、導電性が良いゲート電極、ソース・ドレイン電極等の良導電性材料は抵抗が小さくてジュール熱が生じず、さらに、プラスチック基板及びゲート絶縁膜のように絶縁性材料は抵抗が高くて電流が流れないのでジュール熱が生じず、いずれも加熱せず、主にアモルファス酸化物薄膜のみが選択的且つ短時間でジュール加熱される。そのため、プラスチック基板に対して該プラスチック基板のガラス転移温度以上の温度を一定時間与えることがなく、耐熱性に乏しいプラスチック基板等を問題なく用いることができる。その結果、フレキシブルな表示装置に好ましく用いることができる薄膜トランジスタ搭載基板とすることができる。
本発明に係る薄膜トランジスタ搭載基板の製造方法の好ましい態様は、前記ジュール加熱工程において、前記アモルファス酸化物薄膜を、導電性のある半導体相から所定範囲の抵抗率又はキャリア濃度を持つ半導体相に変化させる、ように構成する。この場合において、前記アモルファス酸化物薄膜が所定範囲の抵抗率又はキャリア濃度を持つ半導体相に到達したとき、当該アモルファス酸化物薄膜の温度が低下する。
これらの発明によれば、ジュール加熱を行うことにより、アモルファス酸化物薄膜を、導電性のある低抵抗の半導体相からの所定範囲の抵抗率又はキャリア濃度を持つ半導体相に変化させる。このようにして半導体相になったアモルファス酸化物薄膜には電流が流れにくくなるので、発熱が抑制されて温度が低下し、実質的にジュール加熱が終了する。こうしたことは、アモルファス酸化物薄膜をキャリア濃度が低い半導体相の抵抗率に収束させることになるので、半導体特性を安定で高品質なものとすることができる。
本発明に係る薄膜トランジスタ搭載基板の製造方法の好ましい態様は、前記アモルファス酸化物薄膜の温度が低下したときを前記ジュール加熱工程の終点とする、ように構成する。
この発明によれば、アモルファス酸化物薄膜の温度が低下したときをジュール加熱工程の終点とするので、ジュール加熱時にアモルファス酸化物薄膜の温度をモニタリングすることにより、均一な半導体特性を示すアモルファス酸化物薄膜が得られた時点を認定できる。その結果、効率的で低コストなジュール加熱を行うことができる。
上記課題を解決するため本発明に係る薄膜トランジスタ搭載基板は、プラスチック基板と、ゲート電極と、ゲート絶縁膜と、活性層と、ソース電極と、ドレイン電極とを少なくとも有する薄膜トランジスタ搭載基板において、前記活性層が、前記プラスチック基板に該プラスチック基板のガラス転移温度以上の温度を一定時間与えないジュール熱によって加熱処理されてなるアモルファス酸化物薄膜であることを特徴とする。
活性層であるアモルファス酸化物薄膜は、プラスチック基板に該プラスチック基板のガラス転移温度以上の温度を一定時間与えないジュール熱によって加熱処理されてなるものであるが、そうしたアモルファス酸化物薄膜は抵抗率とキャリア濃度が安定化していることから、安定で高品質な駆動素子基板として好ましく利用できる。しかも、ジュール加熱は、主にアモルファス酸化物薄膜のみを加熱し、プラスチック基板に該プラスチック基板のガラス転移温度以上の温度を一定時間与えないので、耐熱性に乏しいプラスチック基板等に熱ダメージが無く、その結果、フレキシブルな表示装置に好ましく用いることができる。
本発明に係る薄膜トランジスタ搭載基板の好ましい態様は、前記アモルファス酸化物薄膜が、InGaZnO系酸化物薄膜である、ように構成する。
この発明によれば、アモルファス酸化物薄膜として、ジュール加熱する前の状態で低い抵抗率と高いキャリア濃度を有する導体特性を示すInGaZnO系酸化物薄膜を適用したので、ジュール加熱によって、アモルファス酸化物薄膜の抵抗率は、電流が流れにくくなる程度の抵抗率、すなわち「キャリア濃度が低い半導体相の抵抗率」に収束する。その結果、半導体特性は安定で高品質なものとなり、得られた薄膜トランジスタ搭載基板は安定で高品質な駆動素子基板として利用できる。
上記課題を解決するための本発明に係る画像表示装置は、上記本発明に係る薄膜トランジスタ搭載基板をアクティブマトリックス型スイッチング素子基板として用いることを特徴とする。
この発明によれば、薄膜トランジスタ素子搭載基板には、抵抗率が安定化し且つ高い移動度のアモルファス酸化物薄膜が活性層として設けられ、且つプラスチック基板も熱ダメージがないので、安定で高品質なアクティブマトリックス型スイッチング素子基板を有する画像表示装置となる。
本発明に係る薄膜トランジスタ搭載基板の製造方法によれば、アモルファス酸化物薄膜をジュール加熱することにより、アモルファス酸化物薄膜の抵抗率を、電流が流れにくくなる「キャリア濃度が低い半導体相の抵抗率」に収束することができるので、半導体特性は安定で高品質なものとなり、得られた薄膜トランジスタ搭載基板を安定で高品質な駆動素子基板として利用できる。しかも、この薄膜トランジスタ搭載基板において、抵抗が小さいゲート電極、ソース・ドレイン電極等の良導電性材料はジュール熱が生じないので加熱されることはなく、一方、プラスチック基板及びゲート絶縁膜のような高抵抗の絶縁性材料は電流が流れないのでジュール熱が生じないため、主にアモルファス酸化物薄膜のみが選択的且つ短時間にジュール加熱される。そのため、プラスチック基板に対して該プラスチック基板のガラス転移温度以上の温度を一定時間与えることがなく、耐熱性に乏しいプラスチック基板等を問題なく用いることができる。その結果、フレキシブルな表示装置に好ましく用いることができる薄膜トランジスタ搭載基板とすることができる。
本発明に係る薄膜トランジスタ搭載基板によれば、抵抗率とキャリア濃度が安定化したアモルファス酸化物薄膜を有するので、安定で高品質な駆動素子基板として好ましく利用できる。しかも、ジュール熱は、主にアモルファス酸化物薄膜のみを加熱し、プラスチック基板に該プラスチック基板のガラス転移温度以上の温度を一定時間与えないので、耐熱性に乏しいプラスチック基板等に熱ダメージが無く、その結果、フレキシブルな表示装置に好ましく用いることができる。
本発明に係る画像表示装置によれば、安定で高品質なアクティブマトリックス型スイッチング素子基板を有する画像表示装置となる。
本発明の第1形態に係る薄膜トランジスタ素子搭載基板とその製造方法の例を示す説明図である。 本発明の第2形態に係る薄膜トランジスタ素子搭載基板とその製造方法の例を示す説明図である。 本発明の第3形態に係る薄膜トランジスタ素子搭載基板とその製造方法の例を示す説明図である。
以下、本発明に係る薄膜トランジスタ素子搭載基板及びその製造方法、並びに画像表示装置について詳細に説明するが、本発明は図面の形態及び以下の実施形態に限定されるものではない。
[薄膜トランジスタ素子搭載基板]
本発明に係る薄膜トランジスタ素子搭載基板1(1A〜1C)は、図1(B)、図2(B)及び図3(B)に示すように、プラスチック基板10と、ゲート電極15gと、ゲート絶縁膜14と、活性層13と、ソース電極15sと、ドレイン電極15dとを少なくとも有している。そして、本発明は、活性層13が、プラスチック基板10に該プラスチック基板のガラス転移温度以上の温度を一定時間与えないジュール熱によって加熱処理されてなるアモルファス酸化物薄膜(以下、活性層と同じ符号13を用いる。)であることに特徴がある。
こうした活性層13を有する薄膜トランジスタ素子搭載基板(以下、「TFT基板」と略す。)であれば、その形態は特に限定されず、図1(B)に示す形態(第1形態)のボトムゲートボトムコンタクト構造であってもよいし、図2(B)に示す形態(第2形態)のボトムゲートトップコンタクト構造であってもよいし、図3(B)に示す形態(第3形態)のトップゲートトップコンタクト構造であってもよいし、トップゲートボトムコンタクト構造(図示しない)であってもよい。
図1(B)に示す第1態様に係るボトムゲートボトムコンタクト構造のTFT基板1Aは、プラスチック基板10と、プラスチック基板10上に必要に応じて形成された第1下地膜11と、第1下地膜11上に必要に応じて形成された第2下地膜12と、第2下地膜12(又はプラスチック基板10若しくは第1下地膜11)上に形成されたゲート電極15gと、ゲート電極15gを覆うように形成されたゲート絶縁膜14と、ゲート絶縁膜14上であってゲート電極15gの中央部直上以外に離間して形成されたソース電極15s及びドレイン電極15dと、ゲート絶縁膜14g上であってソース電極15s及びドレイン電極15dに両側で接触するとともに該ソース電極15s及びドレイン電極15dを跨ぐように形成されたアモルファス酸化物薄膜13と、それら全体を覆うように必要に応じて形成された保護膜18とを有している。本願において、「ゲート電極を覆うように」とは、図1に示す態様のことであり、ゲート電極上に形成されているとともに、ゲート電極の周りは第2下地膜12(又はプラスチック基板10若しくは第1下地膜11)上にも形成されていることを意味する。
図2(B)に示す第2態様に係るボトムゲートトップコンタクト構造のTFT基板1Bは、プラスチック基板10と、プラスチック基板10上に必要に応じて形成された第1下地膜11と、第1下地膜11上に必要に応じて形成された第2下地膜12と、第2下地膜12(又はプラスチック基板10若しくは第1下地膜11)上に形成されたゲート電極15gと、ゲート電極15gを覆うように形成されたゲート絶縁膜14と、ゲート絶縁膜14上であってゲート電極15gの直上に形成されたアモルファス酸化物薄膜13と、アモルファス酸化物薄膜13上の中央部を開けて離間して形成されたソース電極15s及びドレイン電極15dと、それらを覆うようにして必要に応じて形成された保護膜18とを有している。
図3(B)に示す第3形態に係るトップゲートトップコンタクト構造のTFT基板1Cは、プラスチック基板10と、プラスチック基板10上に必要に応じて形成された第1下地膜11と、第1下地膜11上に必要に応じて形成された第2下地膜12と、第2下地膜12(又はプラスチック基板10若しくは第1下地膜11)上に形成されたアモルファス酸化物薄膜13(ソース側拡散領域13s、チャネル領域13c及びドレイン側拡散領域13d)と、アモルファス酸化物薄膜13の主にチャネル領域13cの上に形成されたゲート絶縁膜14gと、ゲート絶縁膜14gとの間にコンタクトホールを有するようにアモルファス酸化物薄膜13上に形成された絶縁膜14と、ゲート絶縁膜14g上に形成されたゲート電極15gと、コンタクトホールに形成されたソース電極15s及びドレイン電極15dと、さらに全体を覆うように必要に応じて形成された保護膜18とを有している。
なお、図示しないが、トップゲートボトムコンタクト構造のTFT基板は、プラスチック基板(10)と、プラスチック基板(10)上に必要に応じて形成された第1下地膜(11)と、第1下地膜(11)上に必要に応じて形成された第2下地膜(12)と、第2下地膜(12)(又はプラスチック基板若しくは第1下地膜)上の所定領域を開けて離間して形成されたソース電極(15s)及びドレイン電極(15d)と、ソース電極(15s)及びドレイン電極(15d)の間の前記所定領域を埋めるように形成された絶縁層と、それら(ソース電極−絶縁層−ドレイン電極)の上に形成されたアモルファス酸化物薄膜13と、アモルファス酸化物薄膜13上に形成されたゲート絶縁膜(14g)と、ゲート絶縁膜(14g)上に形成されたゲート電極(15g)と、それらを覆うようにして必要に応じて形成された保護膜(18)とを有している。
アモルファス酸化物薄膜13へのジュール加熱は、アモルファス酸化物薄膜13に交流電圧又はパルス電圧を電圧印加端子から供給するため、アモルファス酸化物薄膜13は活性層としてパターニングされた後であることが望ましい。パターニングした後であれば、パターニング直後であっても他の層を形成した後であってもよい。ただし、電圧印加端子の除去又は処理の関係からいえば、アモルファス酸化物薄膜13をパターニングした直後であることが好ましい。
以下、TFT基板1の構成要素について詳しく説明する。
(プラスチック基板)
プラスチック基板10は、TFT基板1の支持基板をなす絶縁性のものであり、耐熱性に乏しい非耐熱性基板である。言い換えると、プラスチック基板10は、そのプラスチック基板10のガラス転移温度以上の温度が一定時間加わることを一般的に嫌う基板である。具体的には、例えば、ポリエチレンナフタレート(ガラス転移温度:120℃)、ポリブチレンテレフタレート(75℃)、ポリエチレンテレフタレート(75℃)、ポリフェニレンサルファイド(90℃)、ポリエーテルエーテルケトン(143℃)、ポリカーボネート(145℃)、ポリサルホン(190℃)、ポリアリレート(193℃)、ポリエーテルサルホン(225℃)、ポリアミド(200℃)、ポリエーテルイミド(215℃)、ポリアミドイミド(280℃)、熱可塑性ポリイミド(280℃)等からなるプラスチック基板、又はそれらの複合基板を挙げることができる。また、液晶ポリマー、フッ素樹脂、ポリノルボルネン系樹脂も、基本的には高温が加わることを避けたいので、本願でいうプラスチック基板10に概念として含めることができる。
プラスチック基板は、剛性を有するものであってもよいし、厚さが5μm以上300μm以下程度の薄いフレキシブルなフィルム状のものであってもよい。フレキシブルなプラスチック基板の使用は、TFT基板1をフレキシブル基板とすることができるので、フレキシブルな表示装置等に適用できる。
また、無機基板としては、例えば耐熱性の点ではやや劣るが安価な無アルカリガラス基板等を挙げることができる。ガラス基板の厚さは特に限定されないが、通常、0.05mm以上3.0mm以下程度である。
本発明では、特にガラス転移温度が200℃未満のプラスチック基板を用いた場合に効果がある。ガラス転移温度が200℃未満のプラスチック基板に200℃以上の温度が一定時間加わると、そのプラスチック基板が撓んだり、変色したり、収縮したりし易く、したがって、ガラス転移温度が200℃未満のプラスチック基板は、200℃以上の温度が一定時間加わることを嫌う基板である。そうした基板としては、上述したプラスチック基板のほとんどが含まれるが、特に好ましく用いられるプラスチック基板としては、ポリエーテルサルホン、ポリエチレンナフタレート等が挙げられる。なお、一定時間とは、プラスチック基板のガラス転移温度によっても異なるので一概に言えないが、例えばPENの場合は、例えば200℃の雰囲気に例えば1分間程度連続して晒されると撓みが生じてくる。ガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)によって測定したものである
(第1下地膜と第2下地膜)
第1下地膜11と第2下地膜12は、プラスチック基板10上に必要に応じて形成される膜であり、その機能又は目的に応じて必要な領域のみに形成されてもよいし全面に形成されてもよい。第1下地膜11と第2下地膜12は、クロム、チタン、アルミニウム、ケイ素、酸化クロム、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、窒化ケイ素、及び酸窒化ケイ素の群から選択されるいずれかの材料で形成される。例えば密着膜として用いる場合には、クロム、チタン、アルミニウム、又はケイ素等からなる金属系の無機膜が好ましく用いられ、応力緩和膜又はバッファ膜(熱緩衝膜)として用いる場合には、酸化クロム、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、窒化ケイ素、又は酸窒化ケイ素等からなる化合物膜が好ましく用いられ、バリア膜として用いる場合には、酸化ケイ素又は酸窒化ケイ素等からなる化合物膜が好ましく用いられる。これらの膜は、その機能又は目的に応じて、単層で設けてもよいし、2層以上を積層してもよい。
好ましい例としては、図1〜図3に示すように、第1下地膜11を密着膜として、クロム、チタン、アルミニウム、又はケイ素等からなる金属系の無機膜を形成し、第2下地膜12をバッファ膜として、酸化クロム、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、窒化ケイ素、又は酸窒化ケイ素等からなる化合物膜を積層することが好ましい。
第1下地膜11を密着膜として形成する場合の厚さは、膜を構成する材質によってその範囲は若干異なるが、通常1nm以上200nm以下程度の範囲内であることが好ましく、3nm以上50nm以下程度の範囲内であることがより好ましい。一方、第2下地膜12をバッファ膜として形成する場合の厚さも実際に形成する膜の材質によってその範囲は若干異なるが、その厚さとしては、通常、100nm以上1000nm以下程度の範囲内であることが好ましく、成膜時間の点からは100nm以上500nm以下程度の範囲内であることがより好ましい。
第1下地膜11と第2下地膜12は、各種の蒸着法、DCスパッタリング法、RFマグネトロンスパッタリング法、プラズマCVD法等の各種の方法で形成することができるが、実際には、膜を構成する材質に応じた好ましい方法が採用される。通常は、DCスパッタリング法及びRFマグネトロンスパッタリング法等が好ましく用いられる。
(アモルファス酸化物薄膜)
本発明で適用するアモルファス酸化物薄膜13は、TFT基板1を構成する活性膜(チャネル膜)として使用できる程度の移動度を有するものであって、ジュール加熱の前後でアモルファス状態(アモルファス相)を維持し、且つジュール加熱の前よりも後の方が抵抗率が上昇し且つ安定化するものである。こうした特徴を有するアモルファス酸化物薄膜13であればその種類は特に限定されず、現在知られているアモルファス酸化物薄膜であっても、今後発見される酸化物で成膜してなるアモルファス酸化物薄膜であってもよい。なお、「抵抗率が安定化する」とは、TFT基板1に多数形成されるTFTの活性層であるアモルファス酸化物薄膜13の抵抗率のバラツキを小さくする(例えば±5%以内)ことを意味する。
アモルファス酸化物薄膜13を構成するアモルファス酸化物としては、例えば、InMZnO(MはGa,Al,Feのうち少なくとも1種)を主たる構成元素とするアモルファス酸化物を挙げることができる。特に、MがGaであるInGaZnO系のアモルファス酸化物が好ましく、この場合、In:Ga:Znの比が1:1:m(m<6)であることが好ましい。また、Mgをさらに含む場合においては、In:Ga:Zn1-xMgxの比が1:1:m(m<6)で0<x≦1であることが好ましい。なお、組成割合は、蛍光X線(XRF)装置によって測定したものである。
なお、InGaZnO系のアモルファス酸化物については、InとGaとZnの広い組成範囲でアモルファス相を示す。この三元系でアモルファス相を安定して示す組成範囲としては、InGaZn(3x/2+3y/2+z)で比率x/yが0.4〜1.4の範囲であり、比率z/yが0 .2〜12の範囲にあるように表すことができる。なお、ZnOに近い組成とInに近い組成で結晶質を示す。
また、アモルファス酸化物が、InxGa1-x酸化物(0≦x≦1)、InxZn1-x酸化物(0.2≦x≦1)、InxSn1-x酸化物(0.8≦x≦1)、Inx(Zn,Sn)1-x酸化物(0.15≦x≦1)から選ばれるいずれかのアモルファス酸化物であってもよい。
本発明では、後述の実施例で用いたInGaZnO系(以下「IGZO」と略す。)酸化物薄膜を好ましく挙げることができる。また、このIGZO系酸化物薄膜には、必要に応じて、Al、Fe、Sn等を構成元素として与えたものであってもよい。このIGZO系酸化物薄膜は、可視光を透過して透明膜又は半透明膜となるので、液晶又は有機ELを駆動するTFTの半導体膜として用いれば、その半導体膜を開口部領域にも設けることができ、光開口部を拡大することができる。その結果、液晶表示装置、有機EL表示装置、電子ペーパー等の駆動用TFT基板を構成する半導体膜に利用可能である。特に、このIGZO系酸化物薄膜は、室温から150℃程度の低温での成膜が可能であることから、耐熱性に乏しいガラス転移温度が200℃未満のプラスチック基板に対して好ましく適用できる。
なお、酸化物薄膜13がアモルファスであるか否かは、測定対象となる酸化物薄膜に入射角度0.5°程度の低入射角によるX線回折を行った場合に、結晶質の存在を示す明瞭な回折ピークが検出されないこと、すなわち所謂ハローパターンが見られることで確認できる。ハローパターンは、微結晶状態の酸化物薄膜でも見られるので、このアモルファス酸化物薄膜13には、そのような微結晶状態の酸化物薄膜も含まれるものとする。
アモルファス酸化物薄膜13は、例えば図1のボトムゲートボトムコンタクト構造のTFT基板1Aにおいては、ソース・ドレイン電極15s、15dをパターニングした後の全面に、DCスパッタリング法、RFマグネトロンスパッタリング法、プラズマCVD法等の各種の方法で形成することができる。スパッタリングターゲットしては、所定のスパッタリング条件下で目的の成膜組成が得られるように調整されたスパッタリングターゲットを用いることが好ましい。通常、目的とする成膜組成と同じ組成のスパッタリングターゲットが好ましく用いられる。なお、図2に示すボトムゲートトップコンタクト構造のTFT基板1Bにおいては、ゲート絶縁膜14上に、前記同様の方法でアモルファス酸化物薄膜13を形成でき、図3に示すトップゲートトップコンタクト構造のTFT基板1Cにおいては、プラスチック基板10上、又は、下地膜(第1下地膜11又は第2下地膜12)上に、前記同様の方法でアモルファス酸化物薄膜13を形成できる。
アモルファス酸化物薄膜13の厚さは、成膜条件によって任意に設計されるために一概には言えないが、通常10nm以上150nm以下の範囲内であることが好ましく、30nm以上100nm以下の範囲内であることがより好ましい。
アモルファス酸化物薄膜13は、成膜後にジュール加熱されてなるものであり、ジュール加熱によって抵抗率が上昇し且つ安定化するアモルファス薄膜である。なお、ここでいう「抵抗率が上昇し且つ安定化する」とは、TFT基板1上に多数形成したアモルファス酸化物薄膜13の抵抗率が、その全てにおいてある一定範囲(所定のバラツキの範囲)であることを意味する。このとき、一定範囲の抵抗率とは、成膜したアモルファス酸化物の種類にもよるが、例えば、IGZO系のアモルファス酸化物半導体の場合には、10cm/(V・s)以上で、そのバラツキが±5%以内である場合を例示できる。
このように、TFT基板1、特に大面積の表示装置の駆動装置として機能するTFT基板においては、個々のTFTを構成する半導体膜の移動度の高低も確かに重要ではあるが、それよりも、個々の半導体膜の抵抗率が所望の範囲内で且つそのバラツキが大面積のTFT基板内の全てで一定のバラツキの範囲内であることの方が、駆動素子として安定駆動を実現させるために重要である。本発明は、成膜後のアモルファス酸化物薄膜13をジュール加熱することによって、半導体膜の移動度も向上させることができるが、特に有効なのは、半導体膜の抵抗率をその半導体に適した抵抗率の範囲にするとともに、そのバラツキを小さくすることができる点である。抵抗率の値とそのバラツキの低減(所謂安定化)は、連続通電時の閾電圧の変化を抑制することができる。抵抗率のバラツキの範囲は、後述する実施例でも示すように、±10%以内、好ましくは±5%以内とすることができる。なお、ジュール加熱を行わなかったアモルファス酸化物薄膜13では、抵抗率のバラツキは±20%程度であり、ジュール加熱によってバラツキを小さくすることができる。こうした挙動を示す理由として、ジュール加熱によってアモルファス構造に何らかの変化が生じているものと考えられ、一部でそれらしきデータはとれてはいるが現時点では明らかではない。しかし、少なくとも結果としては再現性のよい結果(抵抗率の安定化)が得られている。なお、移動度はホール効果測定装置で測定し、比抵抗は4探針法で測定したものである。
ジュール加熱は、パターニングされたアモルファス酸化物薄膜13に電圧印加端子を接続又は接触させて交流電圧又はパルス電圧を印加することにより、そのアモルファス酸化物薄膜13に電流が流れてジュール熱が発生し、そのジュール熱でアモルファス酸化物薄膜13を加熱処理するというものである。ジュール加熱の一例としては、例えば、電圧印加端子部分を含むパターンでアモルファス酸化物薄膜13をパターニングし、形成した電圧印加端子に供給側の端子を接続又は接触して、交流電圧又はパルス電圧を電源装置から供給する方法等を挙げることができる。電圧印加端子部分は、TFT基板の周辺部又は周縁部に形成することが好ましい。電圧印加端子への供給側の端子の接続又は接触は、ろう付けで接続する方法、プローブで接触する方法等を挙げることができる。
ここで、パターニングされたアモルファス酸化物薄膜13の電圧印加端子に印加する交流電圧又はパルス電圧は、アモルファス酸化物薄膜の抵抗率に基づいて決定されるものであるが、例えばその抵抗率が1×10−2〜10×10−2のIGZO系酸化物薄膜の場合には、10kHz〜500kHz程度であることが好ましい。IGZO系アモルファス酸化物薄膜以外の加熱対象に係るアモルファス酸化物薄膜13において、その抵抗率が低い場合には交流電圧又はパルス電圧を高くすることが好ましい。なお、電圧印加端子に印加する交流電圧又はパルス電圧は、通常、50〜150Vの範囲である。電圧の大小はジュール加熱による温度上昇速度に影響するので、その速度が速すぎる場合には電圧を低くし、その速度が遅すぎる場合には電圧を高くすることが好ましい。
本発明においては、ジュール加熱前は導電性のあるアモルファス酸化物薄膜13について、アモルファス相を維持させつつ抵抗率を上昇させるジュール加熱を行う。このときの抵抗率の上昇は、アモルファス酸化物薄膜13が「ジュール熱が発生する程度に導電性のある半導体相の抵抗率」から「ジュール熱の発生が抑制される程度に導電性が低下した半導体相の抵抗率」への移行によって生じること、言い換えれば「キャリア濃度が高い状態」から「キャリア濃度が低い状態」への移行によって生じることを意味している。
このとき、「ジュール熱が発生する程度に導電性のある半導体相」を「導電体領域」といい、「ジュール熱の発生が抑制される程度に導電性が低下した半導体相」を「半導体領域」というと、本発明でのジュール加熱は、アモルファス酸化物薄膜13の抵抗率又はキャリア濃度を「導電体領域」から「半導体領域」に変化させるものということができる。このとき、ジュール加熱されたアモルファス酸化物薄膜13の抵抗率又はキャリア濃度が半導体領域に到達してその抵抗率(キャリア濃度が低い状態)になると、そのアモルファス酸化物薄膜13には電流が流れにくくなって発熱が抑制されて温度が低下し、実質的にジュール加熱が終了する現象が起こる。
ここで、「ジュール熱が発生する程度に導電性のある半導体相の抵抗率」(「抵抗率A」という。)とは、10−5〜10−1Ω・cmの範囲内であり、一方、「ジュール熱の発生が抑制される程度に導電性が低下した半導体相の抵抗率」(「抵抗率B」という。)とは、10−1〜10Ω・cmの範囲内である。したがって、ジュール加熱によって導電性が低下して抵抗率が上昇し、前記抵抗率Bの範囲に入ると、ジュール加熱が終了することになる。
ここで、抵抗率Aの範囲は、通常、アモルファス酸化物薄膜13のキャリア濃度が高い状態と良く相関することから、その抵抗率Aの範囲では、キャリア濃度は1017/cm〜1020/cmの範囲と言うことができる。一方、抵抗率Bの範囲は、通常、アモルファス酸化物薄膜13のキャリア濃度が低い状態と良く相関することから、その抵抗率Bの範囲では、キャリア濃度は1017/cm〜1020/cmの範囲と言うことができる。
本発明では、アモルファス酸化物薄膜13の温度が低下した時点をジュール加熱の終点とすることができる。例えば、ジュール加熱時にアモルファス酸化物薄膜13の温度をモニタリングすることにより、均一な半導体特性を示すアモルファス酸化物薄膜13が得られた時を過不足無く認定できる。こうしたことは、効率的で低コストなジュール加熱を行う点で有利である。
以上のことから、上記現象を生じさせる例えばIGZO系アモルファス酸化物半導体のようなアモルファス酸化物薄膜13に対してジュール加熱を行うことにより、アモルファス酸化物薄膜13の抵抗率は、電流が流れにくくなる「キャリア濃度が低い半導体相の抵抗率B」に収束することになるので、半導体特性は安定で高品質なものとなる。
(保護膜)
保護膜18は、図1(B)、図2(B)及び図3(B)に示すように、TFT基板1を構成するTFTを保護するように作用する膜である。保護膜18を設けることにより、TFTの動作が雰囲気(例えば、水分、真空、温度)による影響を受けず、雰囲気の変化による不安定動作が生じずに、安定に動作させることができるという効果が得られる。したがって、保護膜18は、TFTの基本構造が形成された後にその全体を覆うように設けられている。
保護膜18の形成材料としては、少なくとも1種の金属元素を含む金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属酸窒化物等を挙げることができる。金属としては、ケイ素、アルミニウム等が好ましく、具体的には、金属酸化物としては、SiO、Al等を挙げることができ、金属窒化物としては、Si、AlN等を挙げることができ、金属炭化物としては、SiC、TiC等を挙げることができ、金属酸窒化物としては、SiON、SiAlON等を挙げることができる。これらの材料で形成した保護膜18は抵抗が高く、磁束変動場で渦電流が流れないので、アモルファス酸化物薄膜13に対するジュール加熱を行う際に加熱されることがない。
保護膜18の形成方法としては、スパッタリング法、抵抗加熱蒸着法、レーザー蒸着法、電子ビーム蒸着法、化学気相成長法(CVD法)等を挙げることができる。これら保護膜18の成膜手段も、プラスチック基板10に熱ダメージを与えないガラス転移温度未満(望ましくは200℃未満)の温度で成膜されることが望ましい。保護膜18の厚さは、成膜条件によって任意に設計されるために一概には言えないが、通常10nm以上200nm以下の範囲内であることが好ましく、50nm以上150nm以下の範囲内であることがより好ましい。
(他のTFT基板の構成要素)
図1〜図3に示すゲート絶縁膜14gと図3に示す絶縁膜14の形成材料としては、絶縁性が高く、誘電率が比較的高く、ゲート絶縁膜として適しているものであれば各種の材料を用いることができる。例えば、酸化イットリウム、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化スカンジウムのうち少なくとも1種又は2種以上を挙げることができる。また、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素等のケイ素の酸化物、窒化物、酸窒化物等も好ましく挙げることができる。また、チタン酸バリウムストロンチウム等の複合酸化物であってもよい。これらの材料で形成した絶縁膜(14g、14)は抵抗が高く、電流が流れないので、アモルファス酸化物薄膜13に対するジュール加熱を行う際に加熱されることがない。
ゲート電極15gの形成材料としては、金、銀、銅、チタン、クロム、コバルト、ニッケル、アルミニウム、ニオブ、タンタル、モリブデン、ITO等を挙げることができる。ソース電極15sとドレイン電極15dの形成材料としては、アモルファス酸化物薄膜13とのエネルギー準位を合わせることができる材料であることが好ましく、チタン、金、クロム、鉄、モリブデン、タングステン、銅、ルテニウム、レニウム、ITO、IZO等を挙げることができる。特にIZO、ITO、Tiは、半導体薄膜13と良好なオーミックコンタクトを取ることができるため、好ましい。これらの材料で形成したゲート電極15gとソース・ドレイン電極15s、15dは抵抗が小さく、ジュール熱が生じないので、アモルファス酸化物薄膜13に対するジュール加熱を行う際に加熱されることがない。
なお、本発明に係るTFT基板1は、上記以外の構成要素であっても、本発明の趣旨の範囲内であれば、その他の膜を含んでいてもよい。
以上説明したように、活性層であるアモルファス酸化物薄膜13は、プラスチック基板13に該プラスチック基板13のガラス転移温度以上の温度を一定時間与えないジュール熱によって加熱処理されてなるものであるが、そうしたアモルファス酸化物薄膜13は抵抗率とキャリア濃度が安定化していることから、安定で高品質な駆動素子基板として好ましく利用できる。しかも、ジュール加熱は、主にアモルファス酸化物薄膜13のみを加熱し、プラスチック基板10に該プラスチック基板10のガラス転移温度以上の温度を一定時間与えないので、耐熱性に乏しいプラスチック基板等に熱ダメージが無く、その結果、フレキシブルな表示装置に好ましく用いることができる。本発明では、アモルファス酸化物薄膜として、ジュール加熱する前の状態で低い抵抗率と高いキャリア濃度を有する半導体特性を示すInGaZnO系酸化物薄膜を適用することが好ましいが、このアモルファス酸化物薄膜13は、ジュール加熱によって、電流が流れにくくなる程度の抵抗率、すなわち「キャリア濃度が低い半導体相の抵抗率」に収束することになるので、半導体特性は安定で高品質なものとなり、得られた薄膜トランジスタ搭載基板は安定で高品質な駆動素子基板として利用できる。
[TFT基板の製造方法]
本発明に係る薄膜トランジスタ素子搭載基板(TFT基板)の製造方法は、プラスチック基板10の上又はその上方に活性層となるアモルファス酸化物薄膜13を形成する工程と、そのアモルファス酸化物薄膜13をパターニングする工程と、そのアモルファス酸化物薄膜13をジュール加熱する工程と、をその順で少なくとも有する。以下に、各工程について説明する。
(ジュール加熱工程)
ジュール加熱工程は、プラスチック基板10に該プラスチック基板10のガラス転移温度以上の温度を一定時間与えず、且つアモルファス酸化物薄膜13をアモルファス相のままで所定の抵抗率に制御する工程である。ジュール加熱の条件等については、上記「薄膜トランジスタ搭載基板」の説明欄で記載した通りである。ジュール加熱は、パターニングされたアモルファス酸化物薄膜13に電圧印加端子を接続又は接触させて交流電圧又はパルス電圧を印加することにより、そのアモルファス酸化物薄膜13に電流が流れてジュール熱を発生させることができるので、図1〜図3に示す各構造のいずれにおいても、アモルファス酸化物薄膜13をパターニングした後であって、電源からの供給側端子が接続又は接触できるように構成されていれば、その後の各膜を形成した後であってもよい。
この工程を経たアモルファス酸化物薄膜13は、抵抗率が上昇するが、その抵抗率の上昇は、アモルファス酸化物薄膜13が「ジュール熱が発生する程度に導電性のある半導体相の抵抗率」から「ジュール熱の発生が抑制される程度に導電性が低下した半導体相の抵抗率」への移行によって生じること、言い換えれば「キャリア濃度が高い半導体」から「キャリア濃度が低い半導体」への移行によって生じることを意味している。そして、アモルファス酸化物薄膜が「導電性が低下した半導体相の抵抗率(キャリア濃度が低い半導体)」になると、そのアモルファス酸化物薄膜には電流が流れにくくなって発熱が抑制されて温度が低下し、実質的にジュール加熱が終了する。したがって、このジュール加熱工程では、ジュール加熱を行っている過程で、自動的に加熱が終了する終点を持つことになり、その終点以降では温度が低下する。
こうした特徴を有する本発明によれば、アモルファス酸化物薄膜をジュール加熱することにより、アモルファス酸化物薄膜の抵抗率は、電流が流れにくくなる「キャリア濃度が低い半導体相の抵抗率」に収束することになるので、半導体特性は安定で高品質なものとなり、得られた薄膜トランジスタ搭載基板は安定で高品質な駆動素子基板として利用できる。
しかも、薄膜トランジスタ搭載基板13は、導電性が良いゲート電極15g、ソース・ドレイン電極15s,15d等の良導電性材料は抵抗が小さくてジュール熱が生じず、さらに、プラスチック基板10及びゲート絶縁膜14gのように絶縁性材料は抵抗が高くて電流が流れないのでジュール熱が生じないので、いずれも発熱せず、主にアモルファス酸化物薄膜13のみが選択的且つ短時間でジュール加熱される。そのため、プラスチック基板10に対して該プラスチック基板10のガラス転移温度以上の温度を一定時間与えることがなく、耐熱性に乏しいプラスチック基板等を問題なく用いることができる。
(アモルファス酸化物薄膜の形成工程)
ジュール加熱工程の前には、アモルファス酸化物薄膜13の形成工程を備える。このアモルファス酸化物薄膜13の形成工程は、プラスチック基板10の上又はその上方に活性層となるアモルファス酸化物薄膜13を形成する工程である。ここで、アモルファス酸化物薄膜13を、プラスチック基板10の上又はその上方としているのは、アモルファス酸化物薄膜13をプラスチック基板10上に直接成膜する場合があるためである。なお、通常は、図1〜図3に示すように、プラスチック基板10上に、第1下地膜11又は第2下地膜12が形成され、その上にアモルファス酸化物薄膜13が形成されることが望ましい。
(アモルファス酸化物薄膜のパターニング工程)
アモルファス酸化物薄膜13を形成した後においては、そのアモルファス酸化物薄膜13をパターニングする。このパターニングは、アモルファス酸化物薄膜13に交流電圧又はパルス電圧を印加した際に、そのアモルファス酸化物薄膜13が発熱するために必要であり、仮にアモルファス酸化物薄膜13をパターニングしないで交流電圧又はパルス電圧を印加した場合には、アモルファス酸化物薄膜13が面状のままであるため、電圧印加時の抵抗値が低くない。その結果、ジュール熱が生じにくく、効果的なジュール加熱を行うことができない。
このときのパターンは、TFTの活性層としてのパターンであればよいが、電源の供給側端子を接続又は接触させ易いような電圧印加端子を有するパターンであってもよい。
(その他の工程)
本発明に係るTFT基板の製造方法は、上記の工程の他、図1〜図3に示す各膜の形成工程を含む。例えば、第1下地膜11の形成工程、第2下地膜12の形成工程、ゲート電極15gの形成工程、ゲート絶縁膜14gの形成工程、ソース電極15sとドレイン電極15dの形成工程、絶縁膜14の形成工程(図3参照)、及びそれらのパターニング工程、洗浄工程、イオン注入工程、保護膜18の形成工程等を、製造するTFT基板の構造形態にしたがって任意に含む。これらの各工程は、上述の「TFT基板」の欄で説明した構成材料と成膜手段を用いて行う。
以上説明したように、本発明に係るTFT基板1の製造方法によれば、アモルファス酸化物薄膜13をジュール加熱することにより、アモルファス酸化物薄膜13の抵抗率を、電流が流れにくくなる「キャリア濃度が低い半導体相の抵抗率」に収束することができるので、半導体特性は安定で高品質なものとなり、得られた薄膜トランジスタ搭載基板を安定で高品質な駆動素子基板として利用できる。しかも、この薄膜トランジスタ搭載基板において、抵抗が小さいゲート電極、ソース・ドレイン電極等の良導電性材料はジュール熱が生じないので加熱されることはなく、一方、プラスチック基板及びゲート絶縁膜のような高抵抗の絶縁性材料は電流が流れないのでジュール熱が生じないため、主にアモルファス酸化物薄膜のみが選択的且つ短時間にジュール加熱される。そのため、プラスチック基板に対して該プラスチック基板のガラス転移温度以上の温度を一定時間与えることがなく、耐熱性に乏しいプラスチック基板等を問題なく用いることができる。その結果、フレキシブルな表示装置に好ましく用いることができる薄膜トランジスタ搭載基板とすることができる。
[画像表示装置]
本発明に係る画像表示装置は、上述した本発明に係る薄膜トランジスタ搭載基板を、液晶表示装置、有機EL発光表示装置、電子ペーパー等のアクティブマトリックス型スイッチング素子基板として用いる。本発明に係る画像表示装置として有機EL発光表示装置で説明すれば、マトリクス状に配置された本発明に係る多数のTFT基板1を有し、例えば、ゲート電極15gのゲートバスラインとソース電極15sのソースバスラインが縦横に延び、各TFTのドレイン電極15dには出力素子が接続される。この出力素子は有機EL素子であり、抵抗とコンデンサからなる等価回路で構成される。出力素子毎の領域は、有機EL発光表示装置の画素を構成する。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。
[実施例1]
(TFT基板の作製)
一例として、図1に示すボトムゲートボトムコンタクト構造のTFTをプラスチック基板上に複数(72個)のTFTを形成したTFT基板を製造した。先ず、厚さ100μmでガラス転移温度が150℃のポリエチレンナフタレート(PEN)をプラスチック基板10として準備し、そのプラスチック基板10上の全面に厚さ5nmのクロム膜(密着膜)を第1下地膜11としてスパッタ法で形成し、さらにその第1下地膜11上の全面に厚さ300nmの酸化ケイ素膜(バッファ膜)を第2下地膜12としてスパッタ法で形成した。次に、その第2下地膜12上の全面に厚さ200nmのアルミニウム膜をゲート電極膜として蒸着した後、レジストパターンをフォトリソグラフィで形成した後に燐酸溶液でウェットエッチングし、アルミニウム膜を所定パターンにパターニングしてゲート電極15gを形成した。次に、そのゲート電極15gを覆うように厚さ100nmの酸化ケイ素をゲート絶縁膜14として全面に形成した。このゲート絶縁膜14は、RFマグネトロンスパッタリング装置を用い、8インチのSiOターゲットに投入電力:1.0kW(=3W/cm)、圧力:1.0Pa、ガス:アルゴン+O(50%)の成膜条件で形成した。次に、ゲート絶縁膜14上の全面に厚さ200nmのアルミニウム膜をソース電極15s及びドレイン電極15dとするために蒸着した後、レジストパターンをフォトリソグラフィで形成した後に燐酸溶液でウェットエッチングし、アルミニウム膜を所定パターンにパターニングしてソース電極15s及びドレイン電極15dを形成した。このとき、ソース電極15s及びドレイン電極15dは、ゲート絶縁膜14上であってゲート電極15gの中央部直上以外に離間したパターンとなるように形成した(図1を参照)。
次に、ソース電極15s及びドレイン電極15dを覆うように、全面に、In:Ga:Znが1:1:1のInGaZnO系アモルファス酸化物薄膜13(InGaZnO)を厚さ100nmとなるように形成した。アモルファス酸化物薄膜13は、RFマグネトロンスパッタリング装置を用い、室温(25℃)、Ar:Oを30:50とした条件下で、8インチのInGaZnO(In:Ga:Zn=1:1:1)ターゲットを用いて形成した(図1(A)参照)。次に、アモルファス酸化物薄膜13上にレジストパターンをフォトリソグラフィで形成した後、シュウ酸溶液でウェットエッチングしてアモルファス酸化物薄膜13をパターニングし、所定パターン(アイランド形状)からなるアモルファス酸化物薄膜13を形成した。こうして得られたアモルファス酸化物薄膜13は、ゲート絶縁膜14g上であってソース電極15s及びドレイン電極15dに両側で接触するとともに該ソース電極15s及びドレイン電極15dを跨ぐように形成されている。その後、パターニングされたアモルファス酸化物薄膜13をジュール加熱した。ジュール加熱は、電源側の電源端子をパターニングされたアモルファス酸化物薄膜13の電圧印加端子部にプローブを用いて接触させ、表1に示すように、100kHz、120V、10分間の条件で行った。最後に、全体を覆うように、厚さ20nmの酸化ケイ素を保護膜18としてRFマグネトロンスパッタリング法で形成した。こうして実施例1に係るTFT基板1を作製した(図1(B)参照)。
[比較例1]
実施例1において、ジュール加熱を行う代わりに200℃・60分間・大気18雰囲気下でのアニールを行った他は、実施例1と同様にして、比較例1のTFT基板を作製した。なお、アニールは、保護膜18を形成した後に行った。
[比較例2]
実施例1において、ジュール加熱を行う代わりに300℃・60分間・大気雰囲気下でのアニールを行った他は、実施例1と同様にして、比較例2のTFT基板を作製した。なお、アニールは、保護膜18を形成した後に行った。
[特性評価と結果]
得られたTFT基板について以下の各特性を評価した。その結果を表1に示した。表1中、「前」はジュール加熱前又はアニール前を表し、「後」はジュール加熱後又はアニール後を表している。
(結晶構造)
ジュール加熱の前後におけるIGZO酸化物薄膜の結晶構造をX線回折装置(リガク社製、装置名:RINT−2500)で測定した。X線回折測定は、Cu−Kα特性X線、スキャン軸2θ、入射角0.5°の条件で行った。表1中、「a」はアモルファス相を表し、「p」は結晶相を表している。実施例1と比較例1では、加熱前後でいずれもハローが見られ、結晶構造がアモルファス相であることを確認した。一方、比較例2では、加熱後に結晶性のピークが見られ、結晶構造が結晶相であることを確認した。
(抵抗率)
ジュール加熱の前後におけるIGZO酸化物薄膜の抵抗率(Ω・cm)を4探針法測定装置を用いて測定した。ジュール加熱前は5.7×10−2Ω・cmであったが、ジュール加熱後においては、表1に示すように、実施例1が最も高い値になった。
(キャリア濃度)
ジュール加熱の前後におけるTFT基板のHall測定を行い、キャリア濃度(cm/V/s)を測定した。測定には、東洋テクニカ株式会社製の比抵抗/ホール測定システム装置を用いた。ジュール加熱前は4.0×1018cm/V/sであったが、ジュール加熱後においては、表1に示すように、実施例1と比較例2はキャリア濃度が小さくなった。
(ON/OFF測定)
得られたTFT基板について、ドレイン電流のON/OFF特性を評価した。測定は、半導体パラメータアナライザ装置(アジレント・テクノロジー株式会社製、4156C型)を用い、TFTのトランスファー特性を評価し、ドレイン電流のON/OFF特性をグラフ化し、ON時とOFF時のドレイン電流の桁数の差を評価した。ジュール加熱前のON/OFF比は0桁であったが、ジュール加熱後においては、表1に示すように、実施例1と比較例2はON/OFF比が7桁となった。
(プラスチック基板の外観評価)
得られたTFT基板を構成するプラスチック基板(PEN)の外観や撓み等を観察した。表1中、「○」は撓みも変色もない場合であり、「×」は撓み又は変色がある場合である。実施例1と比較例1では、撓み又は変色等の悪影響は見られなかったが、比較例2では外観が劣った。
Figure 2011159697
表1の実施例の結果からも分かるように、実施例1では、ガラス転移温度が150℃のPENフィルムを用いた場合であっても、アモルファスIGZO酸化物薄膜13に所定の条件でジュール加熱を行うことにより、抵抗率を上昇させ(同時にキャリア濃度を低下させ)ることができた。ジュール加熱を行ったIGZO酸化物薄膜13は、アモルファス相を維持したまま、抵抗率を上昇させることができた。そして、そのアモルファス酸化物薄膜13には電流が流れにくくなって発熱が抑制されて温度が低下し、ジュール加熱を自動的に終了させることができた。一方、表1の比較例1では、プラスチック基板へのダメージは生じなかったが、ON/OFF比を高めるには不十分であった。また、比較例2では、ON/OFF比は高まったが、高温(300℃)処理によるプラスチック基板にダメージが生じた。
1,1A,1B,1C TFT基板
10 プラスチック基板
11 第1下地膜
12 第2下地膜
13 アモルファス酸化物薄膜(活性層)
13s ソース側拡散領域
13c チャネル領域
13d ドレイン側拡散領域
14 絶縁膜
14g ゲート絶縁膜
15s ソース電極
15g ゲート電極
15d ドレイン電極
18 保護膜

Claims (7)

  1. プラスチック基板の上又はその上方に活性層となるアモルファス酸化物薄膜を形成する工程と、前記アモルファス酸化物薄膜をパターニング工程と、前記アモルファス酸化物薄膜をジュール加熱する工程と、をその順で少なくとも有し、
    前記ジュール加熱工程は、前記プラスチック基板に該プラスチック基板のガラス転移温度以上の温度を一定時間与えず、且つ前記アモルファス酸化物薄膜をアモルファス相のままで所定の抵抗率に制御する工程であることを特徴とする薄膜トランジスタ搭載基板の製造方法。
  2. 前記ジュール加熱工程において、前記アモルファス酸化物薄膜を、導電性のある半導体相から所定範囲の抵抗率又はキャリア濃度を持つ半導体相に変化させる、請求項1に記載の薄膜トランジスタ搭載基板の製造方法。
  3. 前記アモルファス酸化物薄膜が所定範囲の抵抗率又はキャリア濃度を持つ半導体相に到達したとき、当該アモルファス酸化物薄膜の温度が低下する、請求項2に記載の薄膜トランジスタ搭載基板の製造方法。
  4. 前記アモルファス酸化物薄膜の温度が低下したときを前記ジュール加熱工程の終点とする、請求項3に記載の薄膜トランジスタ搭載基板の製造方法。
  5. プラスチック基板と、ゲート電極と、ゲート絶縁膜と、活性層と、ソース電極と、ドレイン電極とを少なくとも有する薄膜トランジスタ搭載基板において、前記活性層が、前記プラスチック基板に該プラスチック基板のガラス転移温度以上の温度を一定時間与えないジュール熱によって加熱処理されてなるアモルファス酸化物薄膜であることを特徴とする薄膜トランジスタ搭載基板。
  6. 前記アモルファス酸化物薄膜が、InGaZnO系酸化物薄膜である、請求項5に記載の薄膜トランジスタ搭載基板。
  7. 請求項5又は6に記載の薄膜トランジスタ搭載基板をアクティブマトリックス型スイッチング素子基板として用いることを特徴とする画像表示装置。
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