JP2011157261A - 合成非晶質シリカ粉末及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高温及び減圧の環境下での使用においても、気泡の発生又は膨張が少ない合成シリカガラス製品のための原料に適する、合成非晶質シリカ粉末及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の合成非晶質シリカ粉末は、造粒されたシリカ粉末に球状化処理を施した後、洗浄し乾燥して得られた平均粒径D50が10〜2000μmの合成非晶質シリカ粉末であって、BET比表面積を平均粒径から算出した理論比表面積で割った値が1.35を超え1.75以下、真密度が2.10g/cm3〜2.20g/cm3、粒子内空間率が0〜0.05以下、円形度が0.50以上0.75以下及び球状化率が0.20以上0.55未満であることを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】本発明の合成非晶質シリカ粉末は、造粒されたシリカ粉末に球状化処理を施した後、洗浄し乾燥して得られた平均粒径D50が10〜2000μmの合成非晶質シリカ粉末であって、BET比表面積を平均粒径から算出した理論比表面積で割った値が1.35を超え1.75以下、真密度が2.10g/cm3〜2.20g/cm3、粒子内空間率が0〜0.05以下、円形度が0.50以上0.75以下及び球状化率が0.20以上0.55未満であることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、半導体産業等において高温及び減圧の環境下で使用される配管やルツボ等の合成シリカガラス製品を製造する原料として好適な高純度の合成非晶質シリカ粉末及びその製造方法に関する。
従来、半導体用途の単結晶製造に用いるルツボや治具類は、天然石英やケイ砂を粉砕し、精製することにより得られた石英粉を原料として製造されていた。しかし、天然石英やケイ砂は種々の金属不純物を含んでおり、上記精製処理を行っても金属不純物を完全には取除くことができないため、純度において十分に満足できるものではなかった。また、半導体の高集積化が進むに従って、材料となる単結晶に対する品質要求が高まり、その単結晶の製造に使用されるルツボや治具類も高純度品が要望されるようになった。そのため、天然石英やケイ砂の代わりに、高純度の合成非晶質シリカ粉末を原料とした合成シリカガラス製品が注目されている。
この高純度の合成非晶質シリカ粉末を製造する方法としては、高純度の四塩化珪素を水で加水分解させ、生成したシリカゲルを乾燥、整粒、焼成して合成非晶質シリカ粉末を得る方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。また、珪酸エステル等のアルコキシシランを酸とアルカリの存在下で加水分解してゲル化させ、得られたゲルを乾燥、粉砕後、焼成することにより合成非晶質シリカ粉末を得る方法が開示されている(例えば、特許文献2,3参照。)。上記特許文献1〜3に記載された方法で製造した合成非晶質シリカ粉末は、天然石英やケイ砂に比べて高純度であり、これらを原料として製造されたルツボや治具類等の合成シリカガラス製品からの不純物混入低減や高性能化が可能となった。
しかしながら、上記特許文献1〜3に記載された方法で製造した合成非晶質シリカ粉末を原料として製造された合成シリカガラス製品は、合成シリカガラス製品の使用される環境が高温及び減圧の環境下である場合、気泡が発生又は膨張し、その合成シリカガラス製品の性能を大幅に低減させるという欠点を有していた。
例えば、シリコン単結晶引上げ用ルツボは、1500℃付近及び7000Pa付近の高温及び減圧の環境下で使用されており、前述の気泡の発生又は膨張によるルツボの大幅な性能の低減が、引上げる単結晶の品質を左右する問題となっていた。
このような上記高温及び減圧の環境下での使用において生じる問題に対しては、四塩化珪素の加水分解によって得られる合成非晶質シリカ粉末に熱処理を施して、合成非晶質シリカ粉末中の水酸基と塩素の濃度をそれぞれ減少させる、またアルコキシシランのゾルゲル法によって得られる合成非晶質シリカ粉末に熱処理を施して、合成非晶質シリカ粉末中の水酸基と炭素の濃度をそれぞれ減少させることにより、合成非晶質シリカ粉末中のガス成分になり得る不純物濃度の低減を行う対応が考えられる。
しかし、上記対応でも、高温及び減圧の環境下で使用される合成シリカガラス製品の気泡の発生又は膨張を十分に抑制することができていない。
本発明の目的は、このような上記従来の課題を克服し、高温及び減圧の環境下での使用においても、気泡の発生又は膨張が少ない合成シリカガラス製品のための原料に適する、合成非晶質シリカ粉末及びその製造方法を提供することにある。
本発明の第1の観点は、造粒されたシリカ粉末に球状化処理を施した後、洗浄し乾燥して得られた平均粒径D50が10〜2000μmの合成非晶質シリカ粉末であって、BET比表面積を平均粒径D50から算出した理論比表面積で割った値が1.35を超え1.75以下、真密度が2.10〜2.20g/cm3、粒子内空間率が0〜0.05、円形度が0.50以上0.75以下及び球状化率が0.20以上0.55未満であることを特徴とする。
本発明の第2の観点は、四塩化珪素を加水分解させてシリカ質のゲルを生成させ、このシリカ質のゲルを乾燥して乾燥粉とし、この乾燥粉を粉砕した後、分級することにより平均粒径D50が10〜3000μmのシリカ粉末を得る造粒工程と、所定の高周波出力でプラズマを発生させたプラズマトーチ内に所定の供給速度で上記造粒工程で得られたシリカ粉末を投入し、2000℃から二酸化珪素の沸点までの温度で加熱し、溶融させる熱プラズマによる球状化工程と、上記球状化工程後の球状化シリカ粉末表面に付着している微粉を取り除く洗浄工程と、上記洗浄工程後のシリカ粉末を乾燥する乾燥工程とをこの順に含み、上記球状化工程における高周波出力(W)をA、シリカ粉末の供給速度(kg/hr)をBとするとき、A/B(W・hr/kg)の値が3.0×103以上1.0×104未満になるように調整して行われ、平均粒径D50が10〜2000μm、BET比表面積を平均粒径D50から算出した理論比表面積で割った値が1.35を超え1.75以下、真密度が2.10〜2.20g/cm3、粒子内空間率が0〜0.05、円形度が0.50以上0.75以下及び球状化率が0.20以上0.55未満である合成非晶質シリカ粉末を得ることを特徴とする合成非晶質シリカ粉末の製造方法である。
本発明の第3の観点は、有機系シリコン化合物を加水分解させてシリカ質のゲルを生成させ、このシリカ質のゲルを乾燥して乾燥粉とし、この乾燥粉を粉砕した後、分級することにより平均粒径D50が10〜3000μmのシリカ粉末を得る造粒工程と、所定の高周波出力でプラズマを発生させたプラズマトーチ内に所定の供給速度で上記造粒工程で得られたシリカ粉末を投入し、2000℃から二酸化珪素の沸点までの温度で加熱し、溶融させる熱プラズマによる球状化工程と、上記球状化工程後の球状化シリカ粉末表面に付着している微粉を取り除く洗浄工程と、上記洗浄工程後のシリカ粉末を乾燥する乾燥工程とをこの順に含み、上記球状化工程における高周波出力(W)をA、シリカ粉末の供給速度(kg/hr)をBとするとき、A/B(W・hr/kg)の値が3.0×103以上1.0×104未満になるように調整して行われ、平均粒径D50が10〜2000μm、BET比表面積を平均粒径D50から算出した理論比表面積で割った値が1.35を超え1.75以下、真密度が2.10〜2.20g/cm3、粒子内空間率が0〜0.05、円形度が0.50以上0.75以下及び球状化率が0.20以上0.55未満である合成非晶質シリカ粉末を得ることを特徴とする合成非晶質シリカ粉末の製造方法である。
本発明の第4の観点は、ヒュームドシリカを用いてシリカ質のゲルを生成させ、このシリカ質のゲルを乾燥して乾燥粉とし、この乾燥粉を粉砕した後、分級することにより平均粒径D50が10〜3000μmのシリカ粉末を得る造粒工程と、所定の高周波出力でプラズマを発生させたプラズマトーチ内に所定の供給速度で上記造粒工程で得られたシリカ粉末を投入し、2000℃から二酸化珪素の沸点までの温度で加熱し、溶融させる熱プラズマによる球状化工程と、上記球状化工程後の球状化シリカ粉末表面に付着している微粉を取り除く洗浄工程と、上記洗浄工程後のシリカ粉末を乾燥する乾燥工程とをこの順に含み、上記球状化工程における高周波出力(W)をA、シリカ粉末の供給速度(kg/hr)をBとするとき、A/B(W・hr/kg)の値が3.0×103以上1.0×104未満になるように調整して行われ、平均粒径D50が10〜2000μm、BET比表面積を平均粒径D50から算出した理論比表面積で割った値が1.35を超え1.75以下、真密度が2.10〜2.20g/cm3、粒子内空間率が0〜0.05、円形度が0.50以上0.75以下及び球状化率が0.20以上0.55未満である合成非晶質シリカ粉末を得ることを特徴とする合成非晶質シリカ粉末の製造方法である。
本発明の第1の観点の合成非晶質シリカ粉末は、造粒されたシリカ粉末に球状化処理を施した後、洗浄し乾燥して得られた平均粒径D50が10〜2000μmの合成非晶質シリカ粉末であって、BET比表面積を平均粒径D50から算出した理論比表面積で割った値が1.35を超え1.75以下、真密度が2.10〜2.20g/cm3、粒子内空間率が0〜0.05、円形度が0.50以上0.75以下及び球状化率が0.20以上0.55未満である。このため、この合成非晶質シリカ粉末を用いて合成シリカガラス製品を製造すれば、原料粉末の表面に吸着するガス成分が少なくなり、また粉末の内部のガス成分が少なくなるため、気泡の発生又は膨張を低減することができる。
本発明の第2〜第4の観点の合成非晶質シリカ粉末の製造方法は、四塩化珪素を加水分解させてシリカ質のゲルを生成させるか、テトラメトキシシラン等の有機系シリコン化合物を加水分解させてシリカ質のゲルを生成させるか、或いはヒュームドシリカを用いてシリカ質のゲルを生成させ、このシリカ質のゲルを乾燥して乾燥粉とし、この乾燥粉を粉砕した後、分級することにより平均粒径D50が10〜3000μmのシリカ粉末を得る造粒工程と、所定の高周波出力でプラズマを発生させたプラズマトーチ内に所定の供給速度で上記造粒工程で得られたシリカ粉末を投入し、2000℃から二酸化珪素の沸点までの温度で加熱し、溶融させる熱プラズマによる球状化工程と、上記球状化工程後の球状化シリカ粉末表面に付着している微粉を取り除く洗浄工程と、上記洗浄工程後のシリカ粉末を乾燥する乾燥工程とをこの順に含み、上記球状化工程における高周波出力(W)をA、シリカ粉末の供給速度(kg/hr)をBとするとき、A/B(W・hr/kg)の値が3.0×103以上1.0×104未満になるように調整して行われ、平均粒径D50が10〜2000μm、BET比表面積を平均粒径D50から算出した理論比表面積で割った値が1.35を超え1.75以下、真密度が2.10〜2.20g/cm3、粒子内空間率が0〜0.05、円形度が0.50以上0.75以下及び球状化率が0.20以上0.55未満である合成非晶質シリカ粉末を得ることを特徴とする。上記工程を経ることで、不可避のガス吸着量が少なく、また粉末の内部のガス成分が少ないために、合成シリカガラス製品の原料として好適に用いることが可能な合成非晶質シリカ粉末を簡便に製造することができる。
次に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
本発明の合成非晶質シリカ粉末は、シリカ粉末に球状化処理を施した後、洗浄し乾燥することによって得られる。そして、BET比表面積を平均粒径D50から算出した理論比表面積で割った値が1.35を超え1.75以下、真密度が2.10〜2.20g/cm3、粒子内空間率が0〜0.05、円形度が0.50以上0.75以下及び球状化率が0.20以上0.55未満であることを特徴とする。
高温及び減圧下においてシリコン単結晶引上げ用ルツボ等の合成シリカガラス製品に気泡が発生又は膨張する主な原因としては、製品の製造に用いた原料粉末の表面に吸着しているガスが考えられる。即ち、合成シリカガラス製品を製造するに際し、その一工程である溶融の際に、原料粉末の表面に吸着していたガス成分が離脱する。そして、このガス成分が合成シリカガラス製品中に残留し、これが気泡の発生又は膨張の原因となる。
合成シリカガラス製品の原料となるシリカ粉末は、通常、粉砕工程を経るため、図5に示すように不定形(粉砕粉形状)の粒子を多く含む。そのため、比表面積が大きくなり、不可避のガス吸着量が大きくなると考えられる。
そこで、本発明の合成非晶質シリカ粉末は、粉末に球状化処理を施すことにより、BET比表面積を平均粒径D50から算出した理論比表面積で割った値を上記範囲としたものである。BET比表面積とは、BET3点法により測定した値をいう。また、粒子の理論比表面積は、粒子が真球体であり、表面が平滑であると仮定した場合、次の式(1)から算出される。なお、式(1)中、Dは粒子の直径、ρは真密度を示す。
理論比表面積=6/(D×ρ) (1)
本明細書中、粉末の理論比表面積とは、上記式(1)において、Dを粉末の平均粒径D50、ρを真密度2.20g/cm3と仮定した理論真密度から算出した値である。即ち、粉末の理論比表面積は、次の式(2)から算出される。
本明細書中、粉末の理論比表面積とは、上記式(1)において、Dを粉末の平均粒径D50、ρを真密度2.20g/cm3と仮定した理論真密度から算出した値である。即ち、粉末の理論比表面積は、次の式(2)から算出される。
粉末の理論比表面積=2.73/D50 (2)
BET比表面積を平均粒径D50から算出した理論比表面積で割った値が大きくなると、比表面積が大きくなり、不可避のガス吸着量が大きくなる。この値が1.35以下では、石英ルツボ等の合成シリカガラス製品の成形性が低下する。一方、1.75を超えると、気泡の発生又は膨張の低減効果が小さい。このうち、BET比表面積を平均粒径D50から算出した理論比表面積で割った値は、1.40〜1.60の範囲が好ましい。
BET比表面積を平均粒径D50から算出した理論比表面積で割った値が大きくなると、比表面積が大きくなり、不可避のガス吸着量が大きくなる。この値が1.35以下では、石英ルツボ等の合成シリカガラス製品の成形性が低下する。一方、1.75を超えると、気泡の発生又は膨張の低減効果が小さい。このうち、BET比表面積を平均粒径D50から算出した理論比表面積で割った値は、1.40〜1.60の範囲が好ましい。
また、合成非晶質シリカ粉末の円形度は0.50以上0.75以下である。円形度は、1.00に近づく程、粉末粒子が真球に近くなることを意味し、次の式(3)によって算出される。
円形度=4πS/L2 (3)
式(3)中、Sは撮影した粒子投影図の面積、Lは粒子投影図の周囲長を表す。本明細書中、粉末の円形度とは、上記式(3)から算出された粉末粒子200個の平均値である。粉末の円形度が0.50未満では、気泡の発生又は膨張の低減効果が小さい。また、粉末の円形度が0.75を超えると、石英ルツボ等の合成シリカガラス製品の成形性が低下する。このうち、粉末の円形度は、0.60〜0.70の範囲が好ましい。また、合成非晶質シリカ粉末の球状化率は0.20以上0.55未満である。粉末の球状化率とは、所定量の粉末中に円形度が0.80〜1.00である粒子が含まれる割合を示す。球状化率が0.20未満では、気泡の発生又は膨張の低減効果が小さい。また球状化率が0.55以上では、石英ルツボ等の合成シリカガラス製品の成形性が低下する。このうち、粉末の球状化率は、0.30〜0.50の範囲であることが好ましい。
式(3)中、Sは撮影した粒子投影図の面積、Lは粒子投影図の周囲長を表す。本明細書中、粉末の円形度とは、上記式(3)から算出された粉末粒子200個の平均値である。粉末の円形度が0.50未満では、気泡の発生又は膨張の低減効果が小さい。また、粉末の円形度が0.75を超えると、石英ルツボ等の合成シリカガラス製品の成形性が低下する。このうち、粉末の円形度は、0.60〜0.70の範囲が好ましい。また、合成非晶質シリカ粉末の球状化率は0.20以上0.55未満である。粉末の球状化率とは、所定量の粉末中に円形度が0.80〜1.00である粒子が含まれる割合を示す。球状化率が0.20未満では、気泡の発生又は膨張の低減効果が小さい。また球状化率が0.55以上では、石英ルツボ等の合成シリカガラス製品の成形性が低下する。このうち、粉末の球状化率は、0.30〜0.50の範囲であることが好ましい。
また、合成非晶質シリカ粉末の1個の粒子について着目すると、粒子内に空孔や閉塞したクラック等の内部空間が存在しないことが好ましい。即ち、合成非晶質シリカ粉末の内部に、空間が存在すると、合成シリカガラス製品中の気泡の発生又は膨張の原因となるからである。このため、真密度は2.10g/cm3以上であり、2.15〜2.20g/cm3であることが好ましい。真密度とはJIS R7212 カーボンブロックの測定方法(d)真比重測定に準じて、真密度測定を3回行い、この平均値をいう。また、粒子内空間率は0.05以下であり、0.01以下が好ましい。粒子内空間率とは、50個の粉末粒子について、断面をSEM(走査型電子顕微鏡)により観察した際の粒子の断面積と、粒子内に空間があればその空間の面積を測定し、次の式(4)から算出した値の平均値である。
粒子内空間率=粒子内空間総面積/粒子断総面積 (4)
また、合成非晶質シリカ粉末の平均粒径D50は、10〜2000μmであり、50〜1000μmの範囲内であることが好ましい。下限値未満では、粉末粒子間の空間が小さく、この空間に存在している気体が抜けにくいため、小さな気泡が残りやすく、一方、上限値を越えると、粉末粒子間の空間が大きすぎて、大きな気泡が残りやすいためである。このうち、平均粒径D50は、80〜600μmの範囲内であることが特に好ましい。なお、本明細書中、平均粒径D50とは、レーザー回折散乱式粒子分布測定装置(型式名:HORIBA LA-950)によって測定した粒子分布(直径)の中央値を3回測定し、この平均値をいう。合成非晶質シリカ粉末のかさ密度は、1.00g/cm3以上であることが好ましい。下限値未満では、粉末粒子間の空間が大きすぎて、大きな気泡が残りやすく、一方、上限値を越えると、粉末粒子間の空間が小さいために、この空間に存在している気体が抜けにくく、小さな気泡が残りやすいからである。このうち、かさ密度は、1.20〜1.50g/cm3範囲内であることが特に好ましい。
また、合成非晶質シリカ粉末の平均粒径D50は、10〜2000μmであり、50〜1000μmの範囲内であることが好ましい。下限値未満では、粉末粒子間の空間が小さく、この空間に存在している気体が抜けにくいため、小さな気泡が残りやすく、一方、上限値を越えると、粉末粒子間の空間が大きすぎて、大きな気泡が残りやすいためである。このうち、平均粒径D50は、80〜600μmの範囲内であることが特に好ましい。なお、本明細書中、平均粒径D50とは、レーザー回折散乱式粒子分布測定装置(型式名:HORIBA LA-950)によって測定した粒子分布(直径)の中央値を3回測定し、この平均値をいう。合成非晶質シリカ粉末のかさ密度は、1.00g/cm3以上であることが好ましい。下限値未満では、粉末粒子間の空間が大きすぎて、大きな気泡が残りやすく、一方、上限値を越えると、粉末粒子間の空間が小さいために、この空間に存在している気体が抜けにくく、小さな気泡が残りやすいからである。このうち、かさ密度は、1.20〜1.50g/cm3範囲内であることが特に好ましい。
粉末の溶融性を均一にさせるために、CuKα線を用いて粉末X線回折法で測定した場合に回折ピークがブロードな、結晶質シリカ粉末が認められない粉末であることが好ましい。非晶質と結晶質のシリカでは、溶融における挙動が異なっており、結晶質のシリカの溶融が遅れて始まる傾向にある。このため、非晶質と結晶質のシリカが混在している合成非晶質シリカ粉末を使用して、合成シリカガラス製品等の製造を行うと、合成シリカガラス製品中に、気泡が残りやすいためである。
合成シリカガラス製品の不純物混入の低減や高性能化のため、合成非晶質シリカ粉末の不純物濃度は、水素原子を除く1A族、2A〜8族、1B〜3B族、炭素及び珪素を除く4B族、5B族、酸素を除く6B族、塩素を除く7B族の濃度が1ppm未満であることが好ましい。このうち、これらの不純物濃度は0.05ppm未満であることが特に好ましい。また、高温及び減圧下における合成シリカガラス製品中の気泡の発生又は膨張を抑制するため、ガス成分となり得る水酸基が60ppm以下、塩素濃度が5ppm以下、炭素濃度が5ppm以下であることが好ましい。
本発明の合成非晶質シリカ粉末は、球状化処理を施した後、洗浄し乾燥することによって、図1に示すように、溶融して球状化された粒子が複数凝集した粒子を多く含むものである。このように、本発明の合成非晶質シリカ粉末は凝集した粒子を多く含むため、粉末の円形度、球状化率は上記範囲を示し、必ずしも真球に近い粒子を多く含むものではないが、溶融により粉末表面が平滑になることにより、不可避のガス吸着量は低減される。なお、溶融して球状化された粒子が複数凝集した粒子について、本明細書では、凝集した粒子1つが1粒子を構成する。
続いて、本発明の合成非晶質シリカ粉末の製造方法について説明する。本発明の合成非晶質シリカ粉末の製造方法は、図2に示すように、原料となるシリカ粉末に、球状化処理を施した後、洗浄し乾燥することにより得られる。各工程について、以下、詳細に説明する。
本発明の合成非晶質シリカ粉末の原料となるシリカ粉末は、例えば、次のような方法によって得られる。第1の方法としては、先ず四塩化珪素1molに対して、45〜80molに相当する量の超純水を準備する。準備した超純水を容器内に入れ、窒素、アルゴン等の雰囲気にて、温度を20〜45℃に保持して攪拌しながら、四塩化珪素を添加して加水分解させる。四塩化珪素を添加してから0.5〜6時間攪拌を継続し、シリカ質のゲルを生成させる。このとき、攪拌速度は100〜300rpmの範囲にするのが好ましい。次に、上記シリカ質のゲルを乾燥用容器に移しこれを乾燥機に入れ、乾燥機内に好ましくは10〜20L/minの流量で窒素、アルゴン等を流しながら、200℃〜300℃の温度で12〜48時間乾燥させて乾燥粉を得る。次に、この乾燥粉を乾燥機から取り出し、ロールクラッシャー等の粉砕機を用いて、粉砕する。ロールクラッシャーを用いる場合は、ロール隙間0.2〜2.0mm、ロール回転数3〜200rpmに適宜調整して行う。最後に、粉砕した乾燥粉を振動フルイ等を用いて分級することにより、平均粒径D50が10〜3000μm、好ましくは70〜1300μmのシリカ粉末が得られる。
第2の方法としては、有機系シリコン化合物としてテトラメトキシシラン1molに対して、超純水0.5〜3mol、エタノール0.5〜3molを準備する。準備した超純水、エタノールを容器内に入れ、窒素、アルゴン等の雰囲気にて、温度を60℃に保持して攪拌しながら、テトラメトキシシランを添加して加水分解させる。テトラメトキシシランを添加してから5〜120分間、撹拌した後、テトラメトキシラン1molに対して1〜50molの超純水を更に添加し、1〜12時間攪拌を継続し、シリカ質のゲルを生成させる。このとき、攪拌速度は100〜300rpmの範囲にするのが好ましい。次に、上記シリカ質のゲルを乾燥用容器に移しこれを乾燥機に入れ、乾燥機内に好ましくは10〜20L/minの流量で窒素、アルゴン等を流しながら、200℃〜300℃の温度で6〜48時間乾燥させて乾燥粉を得る。次に、この乾燥粉を乾燥機から取り出し、ロールクラッシャー等の粉砕機を用いて、粉砕する。ロールクラッシャーを用いる場合は、ロール隙間0.2〜2.0mm、ロール回転数3〜200rpmに適宜調整して行う。最後に、粉砕した乾燥粉を振動フルイ等を用いて分級することにより、平均粒径D50が10〜3000μm、好ましくは70〜1300μmのシリカ粉末が得られる。
第3の方法としては、先ず、平均粒径D50が0.007〜0.030μm、比表面積が50〜380m2/gのヒュームドシリカ1molに対して、超純水3.0〜35.0molを準備する。準備した超純水を容器内に入れ、窒素、アルゴン等の雰囲気にて、温度を10〜30℃に保持して攪拌しながら、ヒュームドシリカを添加する。ヒュームドシリカを添加してから0.5〜6時間攪拌を継続し、シリカ質のゲルを生成させる。このとき、攪拌速度は10〜50rpmの範囲にするのが好ましい。次に、上記シリカ質のゲルを乾燥用容器に移しこれを乾燥機に入れ、乾燥機内に好ましくは1〜20L/minの流量で窒素、アルゴン等を流しながら、200℃〜300℃の温度で12〜48時間乾燥させて乾燥粉を得る。次に、この乾燥粉を乾燥機から取り出し、ロールクラッシャー等の粉砕機を用いて、粉砕する。ロールクラッシャーを用いる場合は、ロール隙間0.5〜2.0mm、ロール回転数3〜200rpmに適宜調整して行う。最後に、粉砕した乾燥粉を振動フルイ等を用いて分級することにより、平均粒径D50が10〜3000μm、好ましくは70〜1300μmのシリカ粉末が得られる。
上記第1〜第3の方法によって得られたシリカ粉末の球状化は、熱プラズマによる球状化処理で行う。熱プラズマによる球状化処理では、例えば、図3に示す装置を用いることができる。この装置30は、プラズマを発生させるプラズマトーチ31と、このプラズマトーチ31の下部に設けられた反応筒であるチャンバ32と、このチャンバ32の下部に設けられた処理後の粉末を回収する回収部33とを備える。プラズマトーチ31は、チャンバ32に連通する頂部が封止された石英管34と、この石英管34を巻回する高周波誘導コイル36を有する。石英管34の上部には原料供給管37が貫通して設けられ、かつガス導入管38が接続される。チャンバ32の側方にはガス排気口39が設けられる。プラズマトーチ31では、高周波誘導コイル36に通電するとプラズマ40を発生し、ガス導入管38から石英管34にアルゴン、酸素等のガスが供給される。原料粉末は原料供給管37を介してプラズマ40中に供給される。また、チャンバ32内のガスは、チャンバ32側方に設けられたガス排気口39から排気される。先ず、装置30のガス導入管38から作動ガスのアルゴンを、15〜40L/minの流量で導入して、周波数3〜5MHz、出力30〜80kWの高周波をプラズマトーチ31に印加させ、プラズマを発生させる。プラズマが安定した後に、酸素を35〜110L/minの流量で徐々に導入して、アルゴン−酸素プラズマを発生させる。次に上記の第1〜第3の方法で得られたシリカ粉末を、原料供給管37から供給速度3.0〜20.5kg/hrで、アルゴン−酸素プラズマ中に投入して、シリカ粉末を溶融させ、融体となった粒子を落下させて、落下した粒子を回収部33で回収することにより、球状化されたシリカ粉末41を得ることができる。合成非晶質シリカ粉末における円形度や球状化率等の調整は、高周波出力やシリカ粉末の供給速度等の調整により行うことができる。例えば、上記範囲のうち、高周波出力(W)をA、シリカ粉末の供給速度(kg/hr)をBとするとき、高周波出力A及びシリカ粉末の供給速度Bを、A/B(W・hr/kg)の値が3.0×103以上1.0×104未満の範囲になるように調整することで所望の円形度、球状化率が得られる。
球状化処理後のシリカ粉末は、その表面に、アルゴン−酸素プラズマ中に蒸発したシリカ粉末の微粉が付着しているため、洗浄容器に球状工程後の球状化シリカ粉末と超純水を入れて、超音波洗浄を行う。超音波洗浄後、このシリカ粉末の微粉は、超純水中に移動するために、目の粗いフィルターにてろ過を行う。シリカ粉末の微粉が、なくなるまでこの作業を繰り返し行う。
洗浄工程後のシリカ粉末の乾燥は、先ず、粉末を乾燥用容器に入れて、この乾燥用容器を乾燥機に入れる。そして、乾燥機内に窒素、アルゴン等を1〜20L/minの流量で流しながら、100℃〜400℃の温度で3〜48時間保持することにより行うのが好ましい。
以上の工程により、本発明の合成非晶質シリカ粉末が得られる。この合成非晶質シリカ粉末は、不可避のガス吸着量が少なく、合成シリカガラス製品の原料として好適に用いることができる。
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。
<実施例1>
先ず、四塩化珪素1molに対して、55.6molに相当する量の超純水を準備した。この超純水を容器内に入れ、窒素雰囲気にて、温度を25℃に保持して攪拌しながら、四塩化珪素を添加して加水分解させた。四塩化珪素を添加してから3時間攪拌を継続して、シリカ質のゲルを生成させた。このとき、攪拌速度は150rpmとした。次に、上記シリカ質のゲルを乾燥用容器に移しこれを乾燥機に入れ、乾燥機内に15L/minの流量で窒素を流しながら、250℃の温度で18時間乾燥させて乾燥粉を得た。この乾燥粉を乾燥機から取り出し、ロールクラッシャーを用いて粉砕した。このときロール隙間を0.2mm、ロール回転数を50rpmに調整して行った。粉砕した乾燥粉を目開き100μm及び目開き150μmの振動フルイを用いて分級し、平均粒径D50が121μmのシリカ粉末を得た。
先ず、四塩化珪素1molに対して、55.6molに相当する量の超純水を準備した。この超純水を容器内に入れ、窒素雰囲気にて、温度を25℃に保持して攪拌しながら、四塩化珪素を添加して加水分解させた。四塩化珪素を添加してから3時間攪拌を継続して、シリカ質のゲルを生成させた。このとき、攪拌速度は150rpmとした。次に、上記シリカ質のゲルを乾燥用容器に移しこれを乾燥機に入れ、乾燥機内に15L/minの流量で窒素を流しながら、250℃の温度で18時間乾燥させて乾燥粉を得た。この乾燥粉を乾燥機から取り出し、ロールクラッシャーを用いて粉砕した。このときロール隙間を0.2mm、ロール回転数を50rpmに調整して行った。粉砕した乾燥粉を目開き100μm及び目開き150μmの振動フルイを用いて分級し、平均粒径D50が121μmのシリカ粉末を得た。
続いて、図3に示す装置30を用い、次の表1に示す条件にて、上記得られたシリカ粉末に球状化処理を施した。具体的には、先ず、装置30のガス導入管38から作動ガスのアルゴンを導入して、高周波をプラズマトーチ31に印加させ、プラズマを発生させた。プラズマが安定した後に、酸素を徐々に導入して、アルゴン−酸素プラズマを発生させた。上記得られたシリカ粉末を、原料供給管37からアルゴン−酸素プラズマ中に投入して、シリカ粉末を溶融させ、融体となった粒子を落下させて、落下した粒子を回収部33で回収することにより、球状化されたシリカ粉末41を得た。
球状化処理後、洗浄容器に上記粉末と超純水を入れて、超音波洗浄を行った。超音波洗浄を行った後、目開き50μmのフィルターでろ過した。シリカ粉末の粒子表面に付着する微粉末がなくなるまで、この操作を繰り返し行った。
最後に、洗浄した粉末を乾燥用容器に入れ、乾燥機内に窒素を10L/minの流量で流しながら、200℃の温度で48時間保持することにより、合成非晶質シリカ粉末を得た。
<実施例2>
先ず、テトラメトキシシラン1molに対して、超純水1mol、エタノール1molを準備した。準備した超純水、エタノールを容器内に入れ、窒素雰囲気にて、温度を60℃に保持して攪拌しながら、テトラメトキシシランを添加して加水分解させた。テトラメトキシシランを添加してから60分間、撹拌した後、テトラメトキシラン1molに対して25molの超純水を更に添加し、6時間攪拌を継続し、シリカ質のゲルを生成させた。このとき、攪拌速度は100rpmとした。次に、上記シリカ質のゲルを乾燥用容器に移しこれを乾燥機に入れ、乾燥機内に20L/minの流量で窒素を流しながら、200℃の温度で24時間乾燥させて乾燥粉を得た。この乾燥粉を乾燥機から取り出し、ロールクラッシャーを用いて粉砕した。このときロール隙間を0.2mm、ロール回転数を55rpmに調整して行った。粉砕した乾燥粉を目開き100μm及び目開き150μmの振動フルイを用いて分級し、平均粒径D50が130μmのシリカ粉末を得た。
先ず、テトラメトキシシラン1molに対して、超純水1mol、エタノール1molを準備した。準備した超純水、エタノールを容器内に入れ、窒素雰囲気にて、温度を60℃に保持して攪拌しながら、テトラメトキシシランを添加して加水分解させた。テトラメトキシシランを添加してから60分間、撹拌した後、テトラメトキシラン1molに対して25molの超純水を更に添加し、6時間攪拌を継続し、シリカ質のゲルを生成させた。このとき、攪拌速度は100rpmとした。次に、上記シリカ質のゲルを乾燥用容器に移しこれを乾燥機に入れ、乾燥機内に20L/minの流量で窒素を流しながら、200℃の温度で24時間乾燥させて乾燥粉を得た。この乾燥粉を乾燥機から取り出し、ロールクラッシャーを用いて粉砕した。このときロール隙間を0.2mm、ロール回転数を55rpmに調整して行った。粉砕した乾燥粉を目開き100μm及び目開き150μmの振動フルイを用いて分級し、平均粒径D50が130μmのシリカ粉末を得た。
続いて、図3に示す装置30を用い、次の表1に示す条件にて、上記得られたシリカ粉末に球状化処理を施した。具体的には、先ず、装置30のガス導入管38から作動ガスのアルゴンを導入して、高周波をプラズマトーチ31に印加させ、プラズマを発生させた。プラズマが安定した後に、酸素を徐々に導入して、アルゴン−酸素プラズマを発生させた。上記得られたシリカ粉末を、原料供給管37からアルゴン−酸素プラズマ中に投入して、シリカ粉末を溶融させ、融体となった粒子を落下させて、落下した粒子を回収部33で回収することにより、球状化されたシリカ粉末41を得た。
球状化処理後、洗浄容器に上記粉末と超純水を入れて、超音波洗浄を行った。超音波洗浄を行った後、目開き50μmのフィルターでろ過した。シリカ粉末の粒子表面に付着する微粉末がなくなるまで、この操作を繰り返し行った。
最後に、洗浄後の粉末を乾燥用容器に入れ、乾燥機内にアルゴンを10L/minの流量で流しながら、300℃の温度で12時間保持することにより、合成非晶質シリカ粉末を得た。
<実施例3>
先ず、平均粒径D50が0.020μm、比表面積が90m2/gのヒュームドシリカ1molに対して、超純水13molを準備した。準備した超純水を容器内に入れ、窒素雰囲気にて、温度を25℃に保持して攪拌しながら、ヒュームドシリカを添加した。ヒュームドシリカを添加してから3時間攪拌を継続し、シリカ質のゲルを生成させた。このとき、攪拌速度は30rpmとした。次に、上記シリカ質のゲルを乾燥用容器に移しこれを乾燥機に入れ、乾燥機内に10L/minの流量で窒素を流しながら、300℃の温度で12時間乾燥させて乾燥粉を得た。この乾燥粉を乾燥機から取り出し、ロールクラッシャーを用いて粉砕した。このときロール隙間を0.5mm、ロール回転数を30rpmに調整して行った。粉砕した乾燥粉を目開き375μm及び目開き450μmの振動フルイを用いて分級し、平均粒径D50が426μmのシリカ粉末を得た。
先ず、平均粒径D50が0.020μm、比表面積が90m2/gのヒュームドシリカ1molに対して、超純水13molを準備した。準備した超純水を容器内に入れ、窒素雰囲気にて、温度を25℃に保持して攪拌しながら、ヒュームドシリカを添加した。ヒュームドシリカを添加してから3時間攪拌を継続し、シリカ質のゲルを生成させた。このとき、攪拌速度は30rpmとした。次に、上記シリカ質のゲルを乾燥用容器に移しこれを乾燥機に入れ、乾燥機内に10L/minの流量で窒素を流しながら、300℃の温度で12時間乾燥させて乾燥粉を得た。この乾燥粉を乾燥機から取り出し、ロールクラッシャーを用いて粉砕した。このときロール隙間を0.5mm、ロール回転数を30rpmに調整して行った。粉砕した乾燥粉を目開き375μm及び目開き450μmの振動フルイを用いて分級し、平均粒径D50が426μmのシリカ粉末を得た。
続いて、図3に示す装置30を用い、次の表1に示す条件にて、上記得られたシリカ粉末に球状化処理を施した。具体的には、先ず、装置30のガス導入管38から作動ガスのアルゴンを導入して、高周波をプラズマトーチ31に印加させ、プラズマを発生させた。プラズマが安定した後に、酸素を徐々に導入して、アルゴン−酸素プラズマを発生させた。上記得られたシリカ粉末を、原料供給管37からアルゴン−酸素プラズマ中に投入して、シリカ粉末を溶融させ、融体となった粒子を落下させて、落下した粒子を回収部33で回収することにより、球状化されたシリカ粉末41を得た。
球状化処理後、洗浄容器に上記粉末と超純水を入れて、超音波洗浄を行った。超音波洗浄を行った後、目開き200μmのフィルターでろ過した。シリカ粉末の粒子表面に付着する微粉末がなくなるまで、この操作を繰り返し行った。
最後に、洗浄後の粉末を乾燥用容器に入れ、乾燥機内に窒素を20L/minの流量で流しながら、200℃の温度で36時間保持することにより、合成非晶質シリカ粉末を得た。
<実施例4>
平均粒径D50が860μmのシリカ粉末を得たこと、及びこのシリカ粉末に、次の表1に示す条件で球状化処理を行ったこと以外は、実施例1と同様に、合成非晶質シリカ粉末を得た。
平均粒径D50が860μmのシリカ粉末を得たこと、及びこのシリカ粉末に、次の表1に示す条件で球状化処理を行ったこと以外は、実施例1と同様に、合成非晶質シリカ粉末を得た。
<比較例1>
次の表1に示す条件で球状化処理を施したこと以外は、実施例1と同様に、合成非晶質シリカ粉末を得た。
次の表1に示す条件で球状化処理を施したこと以外は、実施例1と同様に、合成非晶質シリカ粉末を得た。
<比較例2>
次の表1に示す条件で球状化処理を施したこと以外は、実施例1と同様に、合成非晶質シリカ粉末を得た。
次の表1に示す条件で球状化処理を施したこと以外は、実施例1と同様に、合成非晶質シリカ粉末を得た。
<比較例3>
次の表1に示す条件で球状化処理を施したこと以外は、実施例2と同様に、合成非晶質シリカ粉末を得た。
次の表1に示す条件で球状化処理を施したこと以外は、実施例2と同様に、合成非晶質シリカ粉末を得た。
<比較例4>
次の表1に示す条件で球状化処理を施したこと以外は、実施例3と同様に、合成非晶質シリカ粉末を得た。
次の表1に示す条件で球状化処理を施したこと以外は、実施例3と同様に、合成非晶質シリカ粉末を得た。
<比較例5>
次の表1に示す条件で球状化処理を施したこと以外は、実施例3と同様に、合成非晶質シリカ粉末を得た。
次の表1に示す条件で球状化処理を施したこと以外は、実施例3と同様に、合成非晶質シリカ粉末を得た。
<比較例6>
次の表1に示す条件で球状化処理を施したこと以外は、実施例3と同様に、合成非晶質シリカ粉末を得た。
次の表1に示す条件で球状化処理を施したこと以外は、実施例3と同様に、合成非晶質シリカ粉末を得た。
<比較例7>
次の表1に示す条件で球状化処理を施したこと以外は、実施例4と同様に、合成非晶質シリカ粉末を得た。
次の表1に示す条件で球状化処理を施したこと以外は、実施例4と同様に、合成非晶質シリカ粉末を得た。
<比較例8>
次の表1に示す条件で球状化処理を施したこと以外は、実施例4と同様に、合成非晶質シリカ粉末を得た。
次の表1に示す条件で球状化処理を施したこと以外は、実施例4と同様に、合成非晶質シリカ粉末を得た。
<比較例9>
先ず、四塩化珪素1molに対して、55.6molに相当する量の超純水を準備した。この超純水を容器内に入れ、窒素雰囲気にて、温度を25℃に保持して攪拌しながら、四塩化珪素を添加して加水分解させた。四塩化珪素を添加してから3時間攪拌を継続して、シリカ質のゲルを生成させた。このとき、攪拌速度は150rpmとした。次に、上記シリカ質のゲルを乾燥用容器に移しこれを乾燥機に入れ、乾燥機内に15L/minの流量で窒素を流しながら、250℃の温度で18時間乾燥させて乾燥粉を得た。この乾燥粉を乾燥機から取り出し、ロールクラッシャーを用いて粉砕した。このときロール隙間を0.2mm、ロール回転数50rpmに調整して行った。粉砕した乾燥粉を目開き50μm及び目開き150μmの振動フルイを用いて分級し、平均粒径D50が100μmのシリカ粉末を得た。
先ず、四塩化珪素1molに対して、55.6molに相当する量の超純水を準備した。この超純水を容器内に入れ、窒素雰囲気にて、温度を25℃に保持して攪拌しながら、四塩化珪素を添加して加水分解させた。四塩化珪素を添加してから3時間攪拌を継続して、シリカ質のゲルを生成させた。このとき、攪拌速度は150rpmとした。次に、上記シリカ質のゲルを乾燥用容器に移しこれを乾燥機に入れ、乾燥機内に15L/minの流量で窒素を流しながら、250℃の温度で18時間乾燥させて乾燥粉を得た。この乾燥粉を乾燥機から取り出し、ロールクラッシャーを用いて粉砕した。このときロール隙間を0.2mm、ロール回転数50rpmに調整して行った。粉砕した乾燥粉を目開き50μm及び目開き150μmの振動フルイを用いて分級し、平均粒径D50が100μmのシリカ粉末を得た。
最後に、粉砕した粉末を焼成用容器に入れ、この焼成用容器を焼成炉に投入し、焼成炉内に窒素10L/minの流量で流しながら、1200℃の温度で48時間保持することにより、合成非晶質シリカ粉末を得た。この球状化処理を施さないシリカ粉末を比較例9とした。
<比較例10>
先ず、テトラメトキシシラン1molに対して、超純水1mol、エタノール1molを準備した。準備した超純水、エタノールを容器内に入れ、窒素雰囲気にて、温度を60℃に保持して攪拌しながら、テトラメトキシシランを添加して加水分解させた。テトラメトキシシランを添加してから60分間、撹拌した後、テトラメトキシラン1molに対して25molの超純水を更に添加し、6時間攪拌を継続し、シリカ質のゲルを生成させた。このとき、攪拌速度は100rpmとした。次に、上記シリカ質のゲルを乾燥用容器に移しこれを乾燥機に入れ、乾燥機内に20L/minの流量で窒素を流しながら、200℃の温度で24時間乾燥させて乾燥粉を得た。この乾燥粉を乾燥機から取り出し、ロールクラッシャーを用いて粉砕した。このときロール隙間を0.6mm、ロール回転数を100rpmに調整して行った。粉砕した乾燥粉を目開き550μm及び目開き650μmの振動フルイを用いて分級し、平均粒径D50が590μmのシリカ粉末を得た。
先ず、テトラメトキシシラン1molに対して、超純水1mol、エタノール1molを準備した。準備した超純水、エタノールを容器内に入れ、窒素雰囲気にて、温度を60℃に保持して攪拌しながら、テトラメトキシシランを添加して加水分解させた。テトラメトキシシランを添加してから60分間、撹拌した後、テトラメトキシラン1molに対して25molの超純水を更に添加し、6時間攪拌を継続し、シリカ質のゲルを生成させた。このとき、攪拌速度は100rpmとした。次に、上記シリカ質のゲルを乾燥用容器に移しこれを乾燥機に入れ、乾燥機内に20L/minの流量で窒素を流しながら、200℃の温度で24時間乾燥させて乾燥粉を得た。この乾燥粉を乾燥機から取り出し、ロールクラッシャーを用いて粉砕した。このときロール隙間を0.6mm、ロール回転数を100rpmに調整して行った。粉砕した乾燥粉を目開き550μm及び目開き650μmの振動フルイを用いて分級し、平均粒径D50が590μmのシリカ粉末を得た。
最後に、粉砕した粉末を焼成用容器に入れ、この焼成用容器を焼成炉に投入し、焼成炉内にアルゴン10L/minの流量で流しながら、1200℃の温度で48時間保持することにより、合成非晶質シリカ粉末を得た。この球状化処理を施さないシリカ粉末を比較例10とした。
<比較例11>
先ず、平均粒径D50が0.020μm、比表面積が90m2/gのヒュームドシリカ1molに対して、超純水13molを準備する。準備した超純水を容器内に入れ、窒素雰囲気にて、温度を25℃に保持して攪拌しながら、ヒュームドシリカを添加した。ヒュームドシリカを添加してから3時間攪拌を継続し、シリカ質のゲルを生成させた。このとき、攪拌速度は30rpmとした。次に、上記シリカ質のゲルを乾燥用容器に移しこれを乾燥機に入れ、乾燥機内に10L/minの流量で窒素を流しながら、300℃の温度で12時間乾燥させて乾燥粉を得た。この乾燥粉を乾燥機から取り出し、ロールクラッシャーを用いて粉砕した。このときロール隙間を0.9mm、ロール回転数を150rpmに調整して行った。粉砕した乾燥粉を目開き850μm及び目開き950μmの振動フルイを用いて分級し、平均粒径D50が895μmのシリカ粉末を得た。
先ず、平均粒径D50が0.020μm、比表面積が90m2/gのヒュームドシリカ1molに対して、超純水13molを準備する。準備した超純水を容器内に入れ、窒素雰囲気にて、温度を25℃に保持して攪拌しながら、ヒュームドシリカを添加した。ヒュームドシリカを添加してから3時間攪拌を継続し、シリカ質のゲルを生成させた。このとき、攪拌速度は30rpmとした。次に、上記シリカ質のゲルを乾燥用容器に移しこれを乾燥機に入れ、乾燥機内に10L/minの流量で窒素を流しながら、300℃の温度で12時間乾燥させて乾燥粉を得た。この乾燥粉を乾燥機から取り出し、ロールクラッシャーを用いて粉砕した。このときロール隙間を0.9mm、ロール回転数を150rpmに調整して行った。粉砕した乾燥粉を目開き850μm及び目開き950μmの振動フルイを用いて分級し、平均粒径D50が895μmのシリカ粉末を得た。
最後に、粉砕した粉末を焼成用容器に入れ、この焼成用容器を焼成炉に投入し、焼成炉内にアルゴン10L/minの流量で流しながら、1200℃の温度で48時間保持することにより、合成非晶質シリカ粉末を得た。この球状化処理を施さないシリカ粉末を比較例11とした。
実施例1〜4及び比較例1〜11で得られた粉末について、平均粒径D50、BET比表面積、理論比表面積、BET比表面積/理論比表面積、真密度、粒子内空間率及び球状化率を測定した。これらの結果を次の表2に示す。
(1) 平均粒径D50:レーザー回折散乱式粒子分布測定装置(型式名:HORIBA LA-950)によって測定した粒子分布(直径)の中央値を3回測定し、この平均値を算出した。
(2) BET比表面積:測定装置(QUANTACHROME AUTOSORB-1 MP)を用いたBET3点法により測定した。BET3点法は、相対圧力3点に対する窒素吸着量から傾きAを求め、BET式から比表面積値を求めた。窒素吸着量の測定は、150℃、60分の条件下で行った。
(3) 理論比表面積:次の式(1)において、Dを粉末の平均粒径D50、ρを真密度2.2g/cm3と仮定し、次の式(2)から算出した。
理論比表面積=6/(D×ρ) (1)
粉末の理論比表面積=2.73/D50 (2)
(3) BET比表面積/理論比表面積:上記測定した比表面積及び理論比表面積から算出した。
粉末の理論比表面積=2.73/D50 (2)
(3) BET比表面積/理論比表面積:上記測定した比表面積及び理論比表面積から算出した。
(4) 真密度:JIS R7212 カーボンブロックの測定方法(d)真比重測定に準じて、真密度測定を3回行い、この平均値を算出した。
(5) 粒子内空間率:得られた粉末を樹脂に埋め込みを行い、それを研磨して粉末断面を出す。粉末断面をSEM(走査型電子顕微鏡)により観察した。50個の粉末粒子について断面積と、粒子内に空間があればその空間の面積を測定し、次の式(4)から算出した。
粒子内空間率=粒子内空間総面積/粒子断総面積 (4)
(6) 球状化率及び円形度:図4に示す粒度・形状分布測定器(株式会社セイシン企業 PITA−1)にて2回測定し、この平均値を算出した。具体的には、先ず、粉末を液体に分散させて、この液体を平面伸張流動セル51へ流した。平面伸張流動セル51内に移動する粉末粒子52の200個を、対物レンズ53にて画像として記録し、この記録画像及び次の式(3)から円形度を算出した。式(3)中、Sは撮影した記録画像の粒子投影図における面積、Lは粒子投影図の周囲長を表す。このようにして算出された粒子200個の平均値を粉末の円形度とした。
(6) 球状化率及び円形度:図4に示す粒度・形状分布測定器(株式会社セイシン企業 PITA−1)にて2回測定し、この平均値を算出した。具体的には、先ず、粉末を液体に分散させて、この液体を平面伸張流動セル51へ流した。平面伸張流動セル51内に移動する粉末粒子52の200個を、対物レンズ53にて画像として記録し、この記録画像及び次の式(3)から円形度を算出した。式(3)中、Sは撮影した記録画像の粒子投影図における面積、Lは粒子投影図の周囲長を表す。このようにして算出された粒子200個の平均値を粉末の円形度とした。
円形度=4πS/L2 (3)
球状化率は、粉末粒子200個中に含まれる、円形度が0.60〜1.00の範囲に分類された粉末粒子の割合である。
球状化率は、粉末粒子200個中に含まれる、円形度が0.60〜1.00の範囲に分類された粉末粒子の割合である。
実施例1〜4及び比較例1〜11で得られた粉末について、不純物濃度を測定した。その結果を次の表3に示す。
(1) Na,K,Ca,Fe,Al,P:粉末をフッ化水素酸及び硫酸で加熱分解し、加熱凝縮後に希硝酸を用いて定容液体を作製した。この定容液体について、高周波誘導結合プラズマ質量分析計(型式名:エスアイアイ・ナノテクノロジー SPQ9000)により分析を行った。
(2) B:粉末をフッ化水素酸で加熱分解し、加熱凝縮後に超純水を用いて定容液体を作製した。この定容液体について、高周波誘導結合プラズマ質量分析計(型式名:エスアイアイ・ナノテクノロジー SPQ9000)により分析を行った。
(3) C:粉末に助燃剤として鉄、タングステン、すずを添加し、酸素雰囲気にて高周波炉燃焼−赤外線吸収法(型式名:HORIBA EMIA-920V)にて分析を行った。
(4) Cl:合成非晶質シリカ粉末に超純水を混合し、超音波下にてClを浸出させる。遠心分離機により合成非晶質シリカ粉末と浸出液を分離して、浸出液をイオンクロマトグラフィー(型式名:ダイオネクス DX-500)により分析を行った。
(5) OH:フーリエ変換型赤外線分光分析計(型式名:サーモフィッシャー Nicolet 4700FT-IR)により、3660cm-1付近のピーク高さにより測定した。
<比較試験及び評価3>
実施例1〜4及び比較例1〜11で得られた粉末を用いて、縦20mm×横20mm×高さ40mmの直方体のブロック材をそれぞれ製造し、ブロック材に発生した気泡の個数を評価した。この結果を次の表4に示す。具体的には、カーボンルツボに、粉末を入れ、これを2.0×104Pa真空雰囲気下でカーボンヒータにて2200℃に加熱し、48時間保持することによりブロック材を製造した。このブロック材を、5.0×102Pa真空雰囲気下で1600℃の温度で48時間の熱処理を行った。熱処理後、ブロック材の高さ20mmの位置で20mm×20mm角の断面に切り出し、研磨を行い、ブロック材の表面(断面)から、深さ2mm、幅2mm領域で観察された気泡の個数を評価した。
実施例1〜4及び比較例1〜11で得られた粉末を用いて、縦20mm×横20mm×高さ40mmの直方体のブロック材をそれぞれ製造し、ブロック材に発生した気泡の個数を評価した。この結果を次の表4に示す。具体的には、カーボンルツボに、粉末を入れ、これを2.0×104Pa真空雰囲気下でカーボンヒータにて2200℃に加熱し、48時間保持することによりブロック材を製造した。このブロック材を、5.0×102Pa真空雰囲気下で1600℃の温度で48時間の熱処理を行った。熱処理後、ブロック材の高さ20mmの位置で20mm×20mm角の断面に切り出し、研磨を行い、ブロック材の表面(断面)から、深さ2mm、幅2mm領域で観察された気泡の個数を評価した。
<比較試験及び評価4>
直径16インチの石英ルツボ製造用モールドに天然石英粉を約8mm、実施例1〜4及び比較例1〜11で得られた粉末をそれぞれ約2.5mm充填した。モールドの中心軸上であって、モールドの底面より400mm上方の位置(モールド上端面と同一レベル)に電極先端部が配置されるようにアーク電極を設置した。モールドを所定の速度で回転させながら、アーク電極に200kwの電力で5分間通電して石英粉を溶融した。次いでアーク電極を200mm降下し、同じ電力で8分間通電してモールド内の底部中央付近の石英を重点的に加熱し、通電中にモールド側より6分間減圧した。
直径16インチの石英ルツボ製造用モールドに天然石英粉を約8mm、実施例1〜4及び比較例1〜11で得られた粉末をそれぞれ約2.5mm充填した。モールドの中心軸上であって、モールドの底面より400mm上方の位置(モールド上端面と同一レベル)に電極先端部が配置されるようにアーク電極を設置した。モールドを所定の速度で回転させながら、アーク電極に200kwの電力で5分間通電して石英粉を溶融した。次いでアーク電極を200mm降下し、同じ電力で8分間通電してモールド内の底部中央付近の石英を重点的に加熱し、通電中にモールド側より6分間減圧した。
得られた石英ルツボを切断し、断面の研磨を行った。実施例1〜4及び比較例1〜11で得られた粉末によって形成された非晶質シリカ層について、石英ルツボ上端から10cmの部分の厚さをそれぞれ顕微鏡にて測定した。これらの結果を次の表4に示す。なお、表4において、非晶質シリカ層の厚さは2.5mmに近いほど好ましい。
また、実施例1〜4と比較例1〜8を比較すると、いずれも球状化処理を施しているにもかかわらず、実施例1〜4では、比較例2〜4、比較例6,8に比べ、発生した気泡の数が大幅に低減されていることが判る。一方、比較例1,5,7では、実施例1〜4に比べ、気泡の数は大幅に低減されているものの、非晶質シリカ層の厚さが極めて薄く、所望の厚さの非晶質シリカ層を形成することができなかった。
本発明の合成非晶質シリカ粉末は、半導体用途の単結晶製造に用いるルツボや治具類等の合成シリカガラス製品を製造する原料として使用される。
Claims (4)
- 造粒されたシリカ粉末に球状化処理を施した後、洗浄し乾燥して得られた平均粒径D50が10〜2000μmの合成非晶質シリカ粉末であって、
BET比表面積を平均粒径D50から算出した理論比表面積で割った値が1.35を超え1.75以下、真密度が2.10〜2.20g/cm3、粒子内空間率が0〜0.05、円形度が0.50以上0.75以下及び球状化率が0.20以上0.55未満である合成非晶質シリカ粉末。 - 四塩化珪素を加水分解させてシリカ質のゲルを生成させ、このシリカ質のゲルを乾燥して乾燥粉とし、この乾燥粉を粉砕した後、分級することにより平均粒径D50が10〜3000μmのシリカ粉末を得る造粒工程と、
所定の高周波出力でプラズマを発生させたプラズマトーチ内に所定の供給速度で前記造粒工程で得られたシリカ粉末を投入し、2000℃から二酸化珪素の沸点までの温度で加熱し、溶融させる熱プラズマによる球状化工程と、
前記球状化工程後の球状化シリカ粉末表面に付着している微粉を取り除く洗浄工程と、
前記洗浄工程後のシリカ粉末を乾燥する乾燥工程と
をこの順に含み、
前記球状化工程における高周波出力(W)をA、シリカ粉末の供給速度(kg/hr)をBとするとき、A/B(W・hr/kg)の値が3.0×103以上1.0×104未満になるように調整して行われ、
平均粒径D50が10〜2000μm、BET比表面積を平均粒径D50から算出した理論比表面積で割った値が1.35を超え1.75以下、真密度が2.10〜2.20g/cm3、粒子内空間率が0〜0.05、円形度が0.50以上0.75以下及び球状化率が0.20以上0.55未満である合成非晶質シリカ粉末を得る
ことを特徴とする合成非晶質シリカ粉末の製造方法。 - 有機系シリコン化合物を加水分解させてシリカ質のゲルを生成させ、このシリカ質のゲルを乾燥して乾燥粉とし、この乾燥粉を粉砕した後、分級することにより平均粒径D50が10〜3000μmのシリカ粉末を得る造粒工程と、
所定の高周波出力でプラズマを発生させたプラズマトーチ内に所定の供給速度で前記造粒工程で得られたシリカ粉末を投入し、2000℃から二酸化珪素の沸点までの温度で加熱し、溶融させる熱プラズマによる球状化工程と、
前記球状化工程後の球状化シリカ粉末表面に付着している微粉を取り除く洗浄工程と、
前記洗浄工程後のシリカ粉末を乾燥する乾燥工程と
をこの順に含み、
前記球状化工程における高周波出力(W)をA、シリカ粉末の供給速度(kg/hr)をBとするとき、A/B(W・hr/kg)の値が3.0×103以上1.0×104未満になるように調整して行われ、
平均粒径D50が10〜2000μm、BET比表面積を平均粒径D50から算出した理論比表面積で割った値が1.35を超え1.75以下、真密度が2.10〜2.20g/cm3、粒子内空間率が0〜0.05、円形度が0.50以上0.75以下及び球状化率が0.20以上0.55未満である合成非晶質シリカ粉末を得る
ことを特徴とする合成非晶質シリカ粉末の製造方法。 - ヒュームドシリカを用いてシリカ質のゲルを生成させ、このシリカ質のゲルを乾燥して乾燥粉とし、この乾燥粉を粉砕した後、分級することにより平均粒径D50が10〜3000μmのシリカ粉末を得る造粒工程と、
所定の高周波出力でプラズマを発生させたプラズマトーチ内に所定の供給速度で前記造粒工程で得られたシリカ粉末を投入し、2000℃から二酸化珪素の沸点までの温度で加熱し、溶融させる熱プラズマによる球状化工程と、
前記球状化工程後の球状化シリカ粉末表面に付着している微粉を取り除く洗浄工程と、
前記洗浄工程後のシリカ粉末を乾燥する乾燥工程と
をこの順に含み、
前記球状化工程における高周波出力(W)をA、シリカ粉末の供給速度(kg/hr)をBとするとき、A/B(W・hr/kg)の値が3.0×103以上1.0×104未満になるように調整して行われ、
平均粒径D50が10〜2000μm、BET比表面積を平均粒径D50から算出した理論比表面積で割った値が1.35を超え1.75以下、真密度が2.10〜2.20g/cm3、粒子内空間率が0〜0.05、円形度が0.50以上0.75以下及び球状化率が0.20以上0.55未満である合成非晶質シリカ粉末を得る
ことを特徴とする合成非晶質シリカ粉末の製造方法。
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