JP2011150813A - 電解質・電極接合体及びその製造方法 - Google Patents

電解質・電極接合体及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】アノード側電極とカソード側電極で電解質を挟んで構成される電解質・電極接合体(MEA)において、層間剥離が起こることや、カソード側電極の表面にクラックが発生することを回避する。
【解決手段】MEA10を構成するカソード側電極14は、固体電解質16に積層された中間層18上に形成される。このカソード側電極14は、中間層18に臨む第1層20aから、最上層である第n層20nを有する積層体である。このMEA10においては、線熱膨張係数が固体電解質16、中間層18、第1層20a〜第n層20nの順序で大きくなる。また、第1層20aは、固体電解質16との熱膨張係数の差が6×10-6/K以内であるもので形成され、且つ第n層20nは、第1層20aとの熱膨張係数の差が5×10-6/K以内であるもので形成される。第1層20aから第n層20nにかけて、各層の導電率が高くなるようにすることが一層好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、電解質・電極接合体及びその製造方法に関し、一層詳細には、1組のセパレータ間に介装された燃料電池の単位セルを構成するに好適な電解質・電極接合体及びその製造方法に関する。
固体電解質型燃料電池(以下、SOFCとも表記する)は、固体電解質をアノード側電極とカソード側電極とで挟んで構成される電解質・電極接合体(以下、MEAとも表記する)を有し、このMEAが1組のセパレータ間に介装されることでSOFCの単位セルが構成される。前記固体電解質の材質としては、酸化物イオン(O2-)伝導度が高いものが採用され、特に、Y23安定化ZrO2(以下、YSZとも表記する)が好適に選定される。
また、カソード側電極には、イオン伝導度及び電子伝導度の双方が高いこと、酸素のカソード側電極で起こる電極反応、すなわち、酸素の解離反応に対して触媒活性を有すること、熱力学的に安定で他の物質(酸化剤ガスや固体電解質等)に対して反応を起こし難いこと、酸化剤ガスを十分に流通させるために多孔性であり発電中に焼結し難いこと、機械的強度が高いことが求められる。この観点から、カソード側電極の材質として、LaMO3(M=Mn、Co、Fe)で表されるペロブスカイト系化合物が選定されることがある。
この種のペロブスカイト系化合物の中、LaCoO3や、Laの一部をSrで置換した(La,Sr)CoO3(以下、LSCとも表記する)、Coの一部をFeで置換した(La,Sr)(Co,Fe)O3(以下、LSCFとも表記する)を用いてカソード側電極を形成した場合、SOFCの過電圧を低減し得る。しかしながら、LSCやLSCFは、固体電解質であるYSZと反応し、その結果、高抵抗の反応生成物層を形成して導電性の低下と過電圧の増大を招く可能性があると懸念されている。しかも、この場合、固体電解質とカソード側電極との線熱膨張係数の不整合が大きくなるので、固体電解質とカソード側電極との界面でクラックや剥離が生じることもある。
反応生成物が形成されるのを防止するために、反応防止層としての中間層を介装することも行われている。この場合、中間層の材質としてはCeO2系酸化物(例えば、Sm23をドープしたCeO2)が選定されるのが一般的である。
このような中間層を介装することにより、固体電解質とカソード側電極とが互いに反応することを回避することが可能となる。しかしながら、CeO2系酸化物の線熱膨張係数はYSZ(固体電解質)と概ね整合するものの、LSCやLSCF(カソード側電極)とはさほど整合しない。このため、中間層とカソード側電極との界面でクラックや剥離が生じる懸念がある。
この観点から、固体電解質とカソード側電極の線熱膨張係数を整合させる試みがなされている。例えば、特許文献1には、線熱膨張係数が固体電解質に近似する第1中間層と、線熱膨張係数がカソード側電極に近似する第2中間層とを固体電解質とカソード側電極との間にこの順序で介装することが提案され、特許文献2には、固体電解質からカソード側電極に向かって互いの組成を傾斜的に変化させることが提案されている。また、特許文献3には、固体電解質及び中間層の材質をともにランタンガレート系酸化物とすることが提案されている。
ここで、MEAには、製造を行う過程で不可避的に反りが発生する。特に、アノード側電極を基板として固体電解質、中間層、カソード側電極を順次積層する場合、アノード側電極に比してカソード側電極の厚みが著しく小さいため、アノード側電極がカソード側電極に指向して湾曲する。その結果、カソード側電極に引っ張り荷重が作用した状態となる。このようなMEAを用いた単位セルを複数個積層・緊締してスタックを構成しようとした場合、過度の外部応力がカソード側電極に加わるのでカソード側電極の表面にクラックが発生してしまう。この不具合は、特許文献1〜3に記載された技術を採用するのみでは回避することが困難である。
そこで、反りを除去するべく、スタックを構成する前のMEAに重錘を載置して熱処理を施すことが想起されるが、この場合においても、カソード側電極の表面にクラックが発生する。
また、特許文献4、5に記載されているように、カソード側電極を分割した電極群として構成することも考えられる。この場合、電極群同士の間には溝が存在する。従って、MEAに作用した外部応力が電極群にのみ作用することになるので、カソード側電極(電極群)が変形することが回避される。このため、カソード側電極の表面にクラックが発生することができるようになると予想されるからである。
特許第3434883号公報 特開平9−266000号公報 特許第3777903号公報 特開2006−310132号公報 実開平6−70162号公報
特許文献4、5には、線熱膨張係数の不整合を解消することについては何ら記載されていない。従って、特許文献4、5記載の技術を採用したとしても、カソード側電極が固体電解質から剥離することを回避することは困難である。さらに、特許文献4、5には、カソード側電極と固体電解質の相互反応を防止することについての記載もない。
以上のように、カソード側電極が固体電解質から剥離することやカソード側電極と固体電解質の相互反応が起こること、及び、カソード側電極の表面にクラックが発生することを同時に防止することを試みた従来技術は存在しない。
本発明は上記した問題を解決するためになされたもので、カソード側電極が固体電解質から剥離することとカソード側電極と固体電解質の相互反応が起こることを防止し得、しかも、カソード側電極の表面にクラックが発生することをも防止し得る電解質・電極接合体及びその製造方法を提供することを目的とする。
前記の目的を達成するために、本発明は、アノード側電極とカソード側電極とで固体電解質を挟んで形成される電解質・電極接合体であって、
前記カソード側電極は、複数個の層が積層されて形成された積層体であり、
前記積層体中の前記固体電解質に最近接する最下層と、前記固体電解質との線熱膨張係数の差が6×10-6/K以内であり、
且つ前記最下層と、前記積層体中の最上に位置する最上層との線熱膨張係数の差が5×10-6/K以内であり、
前記最上層が、互いに離間して形成された複数個の電極群からなることを特徴とする。
すなわち、本発明においては、カソード側電極の線熱膨張係数を、固体電解質に近接する側では該固体電解質に近似させて整合を図っている。このため、固体電解質とカソード側電極の線熱膨張係数の不整合に起因してカソード側電極と固体電解質との間で層間剥離が起こることを回避することができる。
また、カソード側電極の各層間での線熱膨張係数も整合させているので、カソード側電極内で層間剥離が起こることも回避し得る。
さらに、カソード側電極の最上層を分割しているので、電解質・電極接合体が撓み、その結果としてカソード側電極に応力が作用したとしても、この応力が分割溝によって緩和される。従って、仮に反りが生じた電解質・電極接合体を用いてSOFCを組み立てる際にカソード側電極に応力が作用する場合であっても、カソード側電極の表面にクラックが発生することを回避することができる。
なお、カソード側電極を構成する層の導電率は、最下層から最上層に向かうにつれて大きくなることが好ましい。これにより、カソード側電極と、該カソード側電極に接触するセパレータとの間の電荷の授受が阻害されることがない。上記したように、この場合、最上層の導電率が最大であるからである。
従って、電極反応が容易に進行する。このため、SOFCの電気化学的特性を確保することができる。
固体電解質の材質の好適な例としては、安定化ジルコニアが挙げられる。そして、カソード側電極の各層は、例えば、構成元素の組成比が互いに相違するLaSrCo系ペロブスカイト型複合酸化物又はLaSrCoFe系ペロブスカイト型複合酸化物で構成することができる。
カソード側電極と固体電解質との間、より具体的には、カソード側電極を構成する最下層と固体電解質との間には、中間層を介装することが好ましい。これにより、カソード側電極と固体電解質との相互反応が生じることを回避することができる。
この場合には、中間層の線熱膨張係数を、固体電解質の線熱膨張係数と、最下層の線熱膨張係数との間とする。すなわち、固体電解質、中間層、最下層の順で線熱膨張係数を相違させる。これにより、これらの層間で線熱膨張係数を整合させることができ、結局、層間剥離が発生することを回避することができる。
なお、中間層の好適な材質の例としては、セリウム系酸化物を挙げることができる。
以上のように構成された電解質・電極接合体は、例えば、熱が加えられた際にアノード側電極がカソード側電極に指向して湾曲するように反る。
また、本発明は、アノード側電極とカソード側電極とで固体電解質を挟んで形成される電解質・電極接合体の製造方法であって、
前記固体電解質の一端面に直接、又は中間層を介してアノード側電極又はカソード側電極の一方を設けた後、前記固体電解質の残余の他端面に直接、又は中間層を介してカソード側電極又はアノード側電極の残余の一方を設ける工程を行うか、あるいは、アノード側電極の一端面に直接、又は中間層を介して前記固体電解質を設けた後、該固体電解質上に直接、又は中間層を介してカソード側電極を設ける工程を有し、
前記カソード側電極を、複数個の層を積層した積層体として形成するとともに、
前記固体電解質に最近接する最下層を、前記固体電解質との線熱膨張係数の差が6×10-6/K以内として設け、
且つ前記積層体中の最上に位置する最上層を、前記最下層との線熱膨張係数の差を5×10-6/K以内として設け、
さらに、該最上層を、互いに離間した複数個の電極群として形成することを特徴とする。
このような過程を経ることで、固体電解質からカソード側電極の最上層に至るまでの線熱膨張係数を整合させることができ、その結果、電解質・電極接合体に層間剥離が起こることを回避することができる。
その上、カソード側電極を分割しているので、カソード側電極に応力が作用しても該カソード側電極の表面にクラックが発生することを回避することも可能である。
そして、カソード側電極を構成する層の導電率を、最下層から最上層に向かうにつれて大きくなるように各層を形成することが好ましい。上記したように、電極反応が十分に進行するからである。
上記したように、固体電解質は、例えば、安定化ZrO2を用いて形成することができる。一方、カソード側電極を構成する各層は、例えば、構成元素の組成比が相違するLaSrCo系ペロブスカイト型複合酸化物又はLaSrCoFe系ペロブスカイト型複合酸化物を用いて形成するようにすればよい。
さらにまた、最下層と固体電解質との間に中間層を介装するときには、中間層の線熱膨張係数が、固体電解質の線熱膨張係数と、最下層の線熱膨張係数との間となるように中間層を形成することが好ましい。これにより、固体電解質から中間層を経てカソード側電極の最上層に至るまで、各層の線熱膨張係数を整合させることができるからである。
なお、中間層は、例えば、CeO2系酸化物を用いて形成することができる。
本発明によれば、カソード側電極を積層体とするとともに、該積層体中の固体電解質に最近接する最下層の線熱膨張係数を、固体電解質に近似させるようにしている。このため、固体電解質とカソード側電極の線熱膨張係数が整合するようになるので、カソード側電極と固体電解質との間で層間剥離が起こることを回避することができる。
しかも、カソード側電極の最上層を分割しているので、カソード側電極に応力が作用したとしても、この応力が分割溝によって緩和される。反りが生じた電解質・電極接合体を用いてSOFCを組み立てる場合には、カソード側電極に応力が作用することになるが、この応力が上記したように緩和されるため、カソード側電極の表面にクラックが発生することを回避することができる。
本発明の実施の形態に係る電解質・電極接合体(MEA)の概略全体断面説明図である。 図1のMEAを構成するカソード側電極の平面図である。 MEAが撓んだ状態を示す概略全体断面図である。 別の実施の形態に係るMEAの概略全体断面説明図である。 電極群の別の一具体例を示す平面図である。 電極群のまた別の一具体例を示す平面図である。 電極群のさらに別の一具体例を示す平面図である。 実施例1、2のMEAにおける固体電解質からカソード側電極の最上層に至る各層の線熱膨張係数、導電率と、層間剥離及びクラックの有無との関係を示した図表である。 実施例1のMEAにおける固体電解質からカソード側電極の最上層に至る各層の線熱膨張係数を示したグラフである。 実施例2のMEAにおける固体電解質からカソード側電極の最上層に至る各層の線熱膨張係数を示したグラフである。 比較例1〜4のMEAにおける固体電解質からカソード側電極の最上層に至る各層の線熱膨張係数、導電率と、層間剥離及びクラックの有無との関係を示した図表である。
以下、本発明に係る電解質・電極接合体及びその製造方法につき好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施の形態に係る電解質・電極接合体(MEA)10の概略全体断面説明図である。このMEA10は、アノード側電極12とカソード側電極14との間に固体電解質16が介装されて構成されており、アノード側電極12の厚みが最大であるアノード側電極支持型(以下、ASCとも表記する)のものである。なお、カソード側電極14と固体電解質16との間には、中間層18が介装されている。
アノード側電極12の材質としては、好適には、Niと、Y23安定化ZrO2(YSZ)とのサーメットが選定される。又は、NiとSc23安定化ZrO2(SSZ)とのサーメット、NiとY23ドープCeO2(YDC)とのサーメット、NiとSm23ドープCeO2(SDC)とのサーメット、NiとGd23ドープCeO2(GDC)とのサーメット等であってもよい。
このような材質からなるASCのアノード側電極12の厚みは、200〜800μm程度、好ましくは600μm程度に設定される。
また、固体電解質16は、例えば、Y23が8mol%添加されたY23安定化ZrO2(8YSZ)からなる。
中間層18は、カソード側電極14に含まれる元素が固体電解質16中に拡散すること、換言すれば、カソード側電極14と固体電解質16が相互反応を起こすことを防止する役割を果たす。すなわち、中間層18は、反応防止層として機能する。中間層18の厚みは、この反応防止機能を営める程度であればよく、具体的には0.2〜10μm程度で十分である。
中間層18の材質は、このような機能を営むものであれば特に限定されるものではないが、その具体例としては、Sm23ドープCeO2(SDC)、Y23ドープCeO2(YDC)、Gd23ドープCeO2(GDC)、La23ドープCeO2(LDC)等のCeO2系酸化物が挙げられる。
中間層18上には、カソード側電極14が積層される。ここで、カソード側電極14は、固体電解質16側から第1層20a、第2層20b……第n層20nがこの順序で積層された積層体からなる。勿論、第1層20aが最下層に相当し、第n層20nが最上層に相当する。なお、カソード側電極14の層数は、3層又は4層程度でも十分であるが、最下層と最上層の2層のみであってもよい。すなわち、カソード側電極14は、2層以上であればよい。
カソード側電極14の厚み、すなわち、第1層20aにおける中間層18の界面から第n層20nにおける上端面に至るまでの距離は、好適には15〜50μmに設定される。各層の厚みは、例えば、この合計厚みを層数(n個)で除して求めればよいが、各層の厚みを均等にする必要は特にない。
なお、最上層である第n層20nは、分割電極として形成されている。すなわち、第n層20nは、複数個の電極群22がパターン化されたものとして設けられている。
図2に示すように、電極群22の各々は略正6角形状をなし、隣接する電極群22、22間の離間距離、すなわち、分割溝24の幅寸法D1は略同等である。また、図1に示す電極群22の高さ(厚み)方向寸法Tも略同等であり、好ましくはおよそ10μmに設定される。
第n層20nを構成する電極材料で分割溝24を充填した場合、第n層20nが単一層状となる。このときのカソード側電極14の端面面積を100としたとき、電極群22の端面面積の総和は75〜95となる。換言すれば、分割溝24は、単一層の第n層20nの端面面積を5〜25%低減する量で形成されている。
なお、単一層状の第n層20nの端面面積に対する電極群22の端面面積の割合が75未満である場合、第n層20nの有効面積が低減するために発電特性を向上させることが容易ではない。また、95を超えると、クラックが発生することを回避することは容易ではない。
以上のように構成されたMEA10では、固体電解質16から中間層18、第1層20a〜第n層20nの順序で線熱膨張係数が徐々に大きくなる。
例えば、8YSZからなる固体電解質16の線熱膨張係数は50〜1000℃の温度域で10.3×10-6/Kである。この場合、先ず、中間層18の材質の好適な例としては、上記したCeO2系酸化物中、Gd23が10mol%ドープされたCeO2(10GDC)が挙げられる。なお、10GDCの線熱膨張係数は、25〜900℃の温度域で12×10-6/Kである。
そして、カソード側電極14における第1層20a〜第n層20nに至るまでの各層は、例えば、組成が互いに相違するLSCFで構成することができる。例えば、(La1-aSra)(Co0.2Fe0.8)Oxを採用する場合、第1層20aから第n層20nに向かうにつれてaの値を相違させればよい。(La0.6Sr0.4)(Co1-bFeb)Oxを採用する場合も同様に、第1層20aから第n層20nに向かうにつれてbの値を相違させればよい。勿論、LSCFからなる層の上にLSCからなる層を積層するようにしてもよい。
ここで、本実施の形態において、第1層20aの線熱膨張係数は、固体電解質16の線熱膨張係数との差が6×10-6/K以内となるように設定される。また、第1層20aと第n層20nとの膨張率との差は、5×10-6/K以内とされる。さらに、第1層20aから第n層20nにかけて各層の導電率が大きくなる。
カソード側電極14を2層構造とし、且つ最下層である第1層20aと最上層である第2層20bとをともにLSCFから形成する場合において、上記した条件を満足させるには、第1層20aを(La0.7Sr0.3)(Co0.2Fe0.8)Ox、第2層20bを(La0.6Sr0.4)(Co0.2Fe0.8)Oxでそれぞれ形成すればよい。この場合、第1層20a、第2層20bの熱膨張係数は、それぞれ、14.6×10-6/K、15.3×10-6/Kであり、導電率は、それぞれ、230S/cm、320S/cmである。
また、カソード側電極14を3層構造とし、且つ最下層である第1層20a、中間となる層である第2層20bをLSCF、最上層である第3層をLSCで形成する場合、第1層20a及び第2層20bを上記の通りとし、且つ第3層を(La0.8Sr0.2)CoOxとすればよい。この場合、第1層20a、第2層20b、第3層の熱膨張係数は、それぞれ、14.6×10-6/K、15.3×10-6/K、19.6×10-6/Kであり、導電率は、それぞれ、230S/cm、320S/cm、1320S/cmである。
勿論、固体電解質16、中間層18及びカソード側電極14の材質の組み合わせはこれに特に限定されるものではなく、線熱膨張係数が固体電解質16、中間層18、カソード側電極14の順序で大きくなり、且つ固体電解質16とカソード側電極14の線熱膨張係数との差が6×10-6/K以内となる組み合わせであればよい。
また、カソード側電極14の材質も上記のものに特に限定されるものではなく、最下層である第1層20aと、最上層である第n層20nとの膨張率との差が5×10-6/K以内となり、且つ第1層20aから第n層20nにかけて各層の導電率が大きくなる組み合わせであればよい。
本実施の形態に係るMEA10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次に、その作用効果につき、該MEA10の製造方法との関係で説明する。
このMEA10は、以下のようにして製造することができる。すなわち、はじめに、アノード側電極12を形成する。この場合、例えば、NiO粒子とYSZ粒子とが体積比で1:1の割合で混合された混合粒子と、ポリビニルブチラール系やアクリル系等のバインダと、PMMA樹脂やカーボン等の造孔材とを添加することでペーストを調製する。なお、この調製に際しては、シート状成形体として形成されたアノード側電極12の焼成処理に伴う収縮率が所定の範囲内となるように、NiO粒子及びYSZ粒子として所定の粒径、BET比表面積を有するものが選定されるとともに、バインダの添加量が設定される。
例えば、NiO粒子の粒径、BET比表面積が1〜2μm、6〜9m2/gであり、YSZ粒子の粒径、BET比表面積が0.5〜3μm、4〜8m2/gであるときには、バインダの添加割合を40〜65体積%とすることが好ましい。この場合、焼成処理に伴うアノード側電極12の収縮率を8〜30%に制御することができる。
次に、上記のように調製したペーストを用い、ドクターブレード法によってシート状成形体としてのアノード側電極12を形成する。このシート状成形体の厚みは、ホットプレス等による圧着、及び焼成処理を経た後のアノード側電極12の厚みが好適には200〜800μmとなるように設定される。焼成処理後の厚みが200μmよりも小さいと、支持基板としての強度が十分でなくなるとともに、該アノード側電極12に供給された燃料ガスが拡散することが容易でなくなる。一方、800μmよりも大きいと、MEA10の積層方向(厚み方向)寸法が大きくなってしまい、このためにSOFCが大型化してしまう。また、SOFCの運転時にアノード側電極12の厚み方向に沿う燃料ガスの流通距離が長くなることから、この厚み方向に沿う燃料ガスのリーク量が増加する懸念がある。
その後、必要に応じ、アノード側電極12に対して脱脂処理を行う。この脱脂処理によって造孔材が消失し、その消失跡に、造孔材の平均粒径に応じた径の閉気孔及び開気孔が形成される。なお、脱脂処理を行わない場合には、焼成処理時に造孔材が消失する。
この時点では、アノード側電極12はNiO−YSZからなる。
その一方で、固体電解質16及び中間層18の出発材料であるペーストを調製する。固体電解質16のペーストは、8YSZの粉末を上記したようなバインダとともに溶媒に添加して調製することができ、中間層18のペーストは、10GDCの粉末を上記したようなバインダとともに溶媒に添加して調製することができる。
その後、例えば、ドクターブレード法によって固体電解質16のシート状成形体、及び中間層18のシート状成形体を各々成形する。なお、ドクターブレード法に代え、押出し成形法やロール塗工法等を行うことによっても、所望の厚みの各シート状成形体を形成することが可能である。
次に、これらのシート状成形体、すなわち、固体電解質16及び中間層18をこの順序でアノード側電極12に順次積層する。その後、ホットプレス等によって各層を圧着することにより、アノード側電極12、固体電解質16及び中間層18からなる積層体が得られる。
次に、この積層体に対して焼成処理を施す。この際の温度は、例えば、1100〜1450℃に設定すればよい。この焼成処理により、アノード側電極12、固体電解質16及び中間層18が熱収縮を起こす。
本実施の形態では、シート状成形体を積層した後、各層に対して温度や圧力を付与することで圧着するようにしている。これにより隣接する層同士が堅牢に密着し合うので、焼成処理時に層同士の剥離が生じ難くなる。
次に、このようにして得られた積層体の中間層18上に、カソード側電極14を積層する。
すなわち、第1層20a、第2層20b……第n層20nの出発材料となるペーストを各々調製する。カソード側電極14を3層構造とする場合、例えば、第1層20a、第2層20b及び第3層のペーストは、(La0.8Sr0.2)(Co0.2Fe0.8)Ox、(La0.4Sr0.6)(Co0.2Fe0.8)Ox、(La0.8Sr0.2)CoOxの粉末を上記したようなバインダとともに溶媒に添加して調製することができる。
そして、第1層20aとなるペーストを、スクリーン印刷法によって中間層18上に印刷する。ここで、第1層20aの厚みは、スクリーンメッシュ板の厚みに対応する。すなわち、スクリーンメッシュ板としては、所望の厚みの第1層20aが得られる厚みのものが選定される。
その後、常温にて放置し、ペーストのレベリング(平坦化)を行う。放置時間は、如何なる程度平坦化させるかにも依存して設定されるが、概ね1〜2時間程度でペーストが略平坦化する。
さらに、適切な温度、例えば、90〜120℃でペーストを乾燥させることにより、概ね平坦な第1層20aが形成される。
以上の作業を繰り返し、最上層(第n層20n)の直下である第(n−1)層までを形成する。その後、焼成処理を施す。この焼成処理に際しては、100〜200℃/時間の昇温速度で昇温した後、800〜1100℃で1〜4時間保持を行えばよい。その後は、常温に到達するまで自然放冷する。
次に、最上層、すなわち、第n層20nのペーストを、例えば、スクリーン印刷によってパターン化した状態で第(n−1)層上に印刷する。ここで、第n層20nを電極群22として形成するべく、予めパターンが形成されたスクリーンを用いる。これにより、例えば、図2に示すようなパターンで電極群22が形成される。
以降は、上記と同様の条件下で乾燥・焼成処理を施す。これにより、ペーストが固化・焼結した第n層20nが積層体の最上に形成され、MEA10が形成される。
なお、上述のアノード側電極12、固体電解質16及び中間層18を同時に焼成処理し、次に、カソード側電極14をスクリーン印刷等によって形成した後に乾燥・焼成処理を施すことに代替し、アノード側電極12及び固体電解質16を同時に焼成処理し、次に、中間層18をスクリーン印刷等によって形成して焼成処理を行い、さらに、カソード側電極14をスクリーン印刷等によって形成した後に乾燥・焼成処理を施すようにしてもよい。
ここで、本実施の形態では、上記したように、固体電解質16、中間層18、第1層20a〜第n層20nの順序で線熱膨張係数が大きくなるように設定し、且つ、第1層20aと固体電解質16との熱膨張係数の差を6×10-6/K以内、第1層20aと第n層20nとの熱膨張係数の差を5×10-6/K以内に設定している。すなわち、固体電解質16から第n層20nに向かうにつれて線熱膨張係数が徐々に大きくなり、また、著しい差がない。換言すれば、各層の線熱膨張係数が整合している。従って、以上の過程において、固体電解質16と中間層18との間、該中間層18と第1層20aとの間に剥離が起こることが防止される。
また、固体電解質16とカソード側電極14との間に中間層18が介装されているので、固体電解質16とカソード側電極14との相互反応が起こることが防止される。
このようにして作製されたMEA10は、図3に示すように、アノード側電極12がカソード側電極14に指向して反った形状となる。従って、カソード側電極14には、引っ張り荷重が作用する。
SOFCを構成する場合、上記したMEA10をセパレータで挟んで単位セルを構成し、この単位セルを所定数積層してスタック化すればよい。その後、スタックの両端に位置する単位セルを1組のエンドプレートで挟み、さらに、これらエンドプレート同士をタイロッド等で緊締することによって、SOFCが構成される。
この緊締により、アノード側電極12の端部がカソード側電極14に向かうように押圧される。換言すれば、反りが矯正されて図1に示す状態となる。
上記したように、カソード側電極14では、第n層20nが分割された電極群22として形成されている。このため、前記の緊締の際、電極群22が変形することはなく、分割溝24が縮小されるのみである。すなわち、カソード側電極14における第n層20nは、電極群22として形成されているために外部応力に対して変形し得る。この変形により、該第n層20nにクラックが発生することを回避することができる。
そして、SOFCの運転に先んじて、アノード側電極12を構成するNiO−YSZに対して初期還元処理を施し、NiOをNiに変化させる。これに伴ってNi−YSZからなるアノード側電極12が得られ、MEA10が発電可能となる。
SOFCを運転するに際しては、該SOFCを所定温度に上昇させた後、各単位セルのアノード側電極12に水素を含む燃料ガスが供給されるとともに、カソード側電極14に酸素を含む酸化剤ガスが供給される。カソード側電極14では酸素の電離反応が起こり、これにより生じた酸化物イオンが固体電解質16を介してアノード側電極12側に移動する。
この際、カソード側電極14では、第1層20aから第n層20nにかけて各層の導電率が大きくなっている。従って、カソード側電極14と、該カソード側電極14に接触するセパレータとの間の接触抵抗が小さくなる。従って、カソード側電極14とセパレータ間で電荷が容易に授受されるので、カソード側電極14における電極反応が進行する。すなわち、SOFCの電気化学的特性が確保される。
SOFCを停止する場合には、燃料ガス及び酸化剤ガスの供給量を調整しながら、SOFCの温度を下降する。
以上の発電開始・停止において、MEA10には、発電中のレドックス反応による応力や、起動・停止に際しての温度変化に伴って膨張・収縮を起こすことによる熱応力が作用することがある。しかしながら、本実施の形態においては、上記したように固体電解質16、中間層18及びカソード側電極14の線熱膨張係数が整合しているので、この場合においても、固体電解質16と中間層18の間、中間層18とカソード側電極14との間で層間剥離が起こることが回避される。
また、カソード側電極14における第n層20nが上記同様に熱応力に応じて変形し得るので、該第n層20nにクラックが発生することを回避することができる。
なお、上記した実施の形態においては、アノード側電極12を基板とするASCを例示して説明しているが、固体電解質16を基板とする電解質支持型(ESC)であってもよい。この場合、図4に示すように、固体電解質16の厚みが最大(70〜100μm程度)である電解質支持型のMEA10が構成される。
このMEA10を作製する場合には、固体電解質16の一端面にアノード側電極12を設けるとともに、残余の一端面に中間層18、カソード側電極14をこの順序で設ければよい。勿論、カソード側電極14は、第1層20a〜第n層20nを有し、且つ第n層20nが分割された電極群22である積層体として形成される。なお、ESCにおいては、アノード側電極12の厚みは概ね50〜100μm程度、好適には90μm程度に設定される。
アノード側電極12を基板とするASCのMEA10の場合には、アノード側電極12と固体電解質16との間に中間層を介装してもよい。この中間層は、多孔質体であるアノード側電極12における固体電解質16に臨む側の凹凸を充填ないし埋没することで平坦化する役割を果たす。すなわち、この中間層は、平坦化層として機能する。
また、上記の製造方法は、シート体を作製する場合を例示して説明しているが、特にこれに限定されるものではない。例えば、アノード側電極12ないし固体電解質16を任意の公知手法で形成した後、プリント、CVD法ないしPVD法等による製膜、スピンコーティング等によるコーティング、ディップ等によって残余の層を設けるようにしてもよい。
さらに、電極群22のパターンは図2に示されるものに限定されるものではなく、図5に示すような同心円状に設けられた円環形状パターンの電極群30であってもよいし、図6に示すような扇形形状パターンに分割された電極群32であってもよい。又は、図7に示すように、格子状パターンに分割された電極群34であってもよい。
上記に従い、NiO−YSZからなる厚み100μmのシート状成形体、8YSZからなる厚み10μmのシート状成形体、及び10GDCからなる厚み1μmのシート状成形体をそれぞれ作製した後、この順序で積層して焼成処理を行うことによって、アノード側電極、固体電解質及び中間層の積層体を得た。
その一方で、(La1-aSra)(Co0.2Fe0.8)Ox中のaが0.2、0.3、0.4、0.5のいずれかである粉末を含むペースト、及び(La0.6Sr0.4)(Co1-bFeb)Ox中のbが0.8、0.9いずれかである粉末を含むペーストを調製した。さらに、これとは別に、(La1-aSra)CoOx中のaが0.2、0.3、0.4、0.5のいずれかである粉末を含むペーストを調製した。
そして、(La1-aSra)(Co0.2Fe0.8)Oxのペースト、又は(La0.6Sr0.4)(Co1-bFeb)Oxのペーストのいずれかをスクリーン印刷によって中間層上に単一な平坦層として印刷した。これをレベリングした後に乾燥し、第1層とした。
次に、(La1-aSra)CoOxのペーストをスクリーン印刷によって図2に示すパターン、すなわち、互いに離間して点在する電極群として第1層上に印刷した。これをレベリングした後に乾燥し、さらに、焼成処理を施して、分割された形状の第2層とした。これにより、MEAを得た。
勿論、以上においては、固体電解質から第2層に至るまでの各層の線熱膨張係数がこの順序で大きくなるようにa、bの値を設定した。
この場合における固体電解質から第2層に至るまでの各層の線熱膨張係数の変化を図8及び図9に示す。なお、第1層及び第2層の線熱膨張係数は、a、bの値によって変化するので、図9においては、第1層及び第2層の線熱膨張係数の最低値〜最高値の幅を示すとともに、平均値を黒丸(●)で示している。
上記した製造過程を経たMEAには、層間剥離やクラックの発生は認められなかった。
さらに、このMEAから構成した単位セルを複数個積層し、SOFCを得た。このSOFCを所定時間運転した後に単位セルを分解してMEAを観察したところ、この時点でも、層間剥離やクラックの発生は認められなかった。
実施例1に準拠してアノード側電極、固体電解質及び中間層の積層体を得た後、(La1-aSra)(Co0.2Fe0.8)Oxのペースト、又は(La0.6Sr0.4)(Co1-bFeb)Oxのペーストのいずれかをスクリーン印刷によって中間層上に単一な平坦層として印刷した。これをレベリングした後に乾燥し、第1層とした。
次に、(La1-aSra)(Co0.2Fe0.8)Oxのペースト、又は(La0.6Sr0.4)(Co1-bFeb)Oxのペーストであって、第1層よりも線熱膨張係数が大きいものを選定し、スクリーン印刷によって中間層上に単一な平坦層として印刷した。これをレベリングした後に乾燥し、第2層とした。
次に、(La1-aSra)CoOxのペーストをスクリーン印刷によって図2に示すパターンをなす電極群として第2層上に印刷した。これをレベリングした後に乾燥し、さらに、焼成処理を施して、分割された形状の第3層とした。これにより、MEAを得た。
この場合における固体電解質から第2層に至るまでの各層の線熱膨張係数の変化を図8及び図10に示す。この場合も、第1層、第2層及び第3層の線熱膨張係数がa、bの値によって変化するので、図10においては、第1層及び第2層の線熱膨張係数の最低値〜最高値の幅を示すとともに、平均値を黒丸(●)で示している。
このMEAにも、層間剥離やクラックの発生は認められなかった。さらに、実施例1と同様に、このMEAから構成したSOFCを得た。このSOFCを所定時間運転した後のMEAにつき観察を行ったが、層間剥離やクラックの発生は認められなかった。
比較例1
(La1-aSra)CoOxの単一層(分割なし)からなるカソード側電極を設けたこと以外は実施例1に準拠して、MEAを得た。この場合、aが0.2、0.3、0.4、0.5のいずれであっても、多くのサンプルで中間層とカソード側電極の間の層間剥離が認められた。また、SOFCを構成した後に分解してMEAを観察したところ、カソード側電極の表面にクラックが発生していることが認められた。
比較例2
実施例1に準拠して、アノード側電極、固体電解質及び中間層の積層体を得た。次に、この積層体の中間層上に対し、(La1-aSra)CoOxのペーストを用いて実施例1と同一形状にパターン化された電極群を形成した。さらに、焼成処理を施してMEAを得た。
この場合も、aが0.2、0.3、0.4、0.5のいずれであっても、多くのサンプルで中間層とカソード側電極の間の層間剥離が認められた。この理由は、固体電解質である8YSZや、中間層である10GDCの線熱膨張係数に比して(La1-aSra)CoOxの線熱膨張係数が大きいため、すなわち、線熱膨張係数の不整合があるためであると考えられる。
比較例3
第2層を分割することなく設けた以外は実施例1と同様にして、MEAを得た。この場合、層間剥離は認められなかったが、SOFCを組み立てた後に分解してMEAを確認したところ、多くのサンプルでカソード側電極の表面にクラックが発生していることが確認された。
比較例4
実施例1に準拠して、アノード側電極、固体電解質及び中間層の積層体を得た。
次に、第1層を、aが0.6、0.7に設定された(La1-aSra)(Co0.2Fe0.8)Oxで形成するか、又は、bが0.6、0.7に設定された(La0.6Sr0.4)(Co1-bFeb)Oxで形成することにより、固体電解質及び中間層の線熱膨張係数と、第1層の線熱膨張係数の差を大きくした。さらに、この第1層上に、第2層を分割することなく設けてMEAを構成した。
この場合、a、bが0.6、0.7のいずれであっても、多くのサンプルで中間層とカソード側電極の間の層間剥離が認められた。また、SOFCを構成した後に分解してMEAを観察したところ、カソード側電極の表面にクラックが発生していることが認められた。
比較例5
実施例1に準拠して、アノード側電極、固体電解質及び中間層の積層体を得た。
次に、第1層を、aが0.6、0.7に設定された(La1-aSra)(Co0.2Fe0.8)Oxで形成するか、又は、bが0.6、0.7に設定された(La0.6Sr0.4)(Co1-bFeb)Oxで形成することにより、固体電解質及び中間層の線熱膨張係数と、第1層の線熱膨張係数の差を大きくした。さらに、この第1層上に、実施例1と同一形状にパターン化された電極群、すなわち、分割された第2層を設けてMEAを構成した。
この場合、a、bが0.6、0.7のいずれであっても、多くのサンプルで中間層とカソード側電極の間の層間剥離が認められた。
以上の比較例1〜5における第1層、第2層の各線熱膨張係数の値と、層間剥離又はクラックの発生の有無の関係を図11に併せて示す。図8と図11を対比し、カソード側電極の線熱膨張係数を固体電解質及び中間層の線熱膨張係数に整合させることによって層間剥離を回避し得ること、また、カソード側電極の最上層を分割することによってクラックが発生することを回避し得ることが明らかである。
10…電解質・電極接合体(MEA) 12…アノード側電極
14…カソード側電極 16…固体電解質
18…中間層 20a…第1層(最下層)
20n…第n層(最上層) 22、30、32、34…電極群
24…分割溝

Claims (11)

  1. アノード側電極とカソード側電極とで固体電解質を挟んで形成される電解質・電極接合体であって、
    前記カソード側電極は、複数個の層が積層されて形成された積層体であり、
    前記積層体中の前記固体電解質に最近接する最下層と、前記固体電解質との線熱膨張係数の差が6×10-6/K以内であり、
    且つ前記最下層と、前記積層体中の最上に位置する最上層との線熱膨張係数の差が5×10-6/K以内であり、
    前記最上層が、互いに離間して形成された複数個の電極群からなることを特徴とする電解質・電極接合体。
  2. 請求項1記載の電解質・電極接合体において、前記カソード側電極を構成する層の導電率が、前記最下層から前記最上層に向かうにつれて大きくなることを特徴とする電解質・電極接合体。
  3. 請求項1又は2記載の電解質・電極接合体において、前記固体電解質が安定化ジルコニアからなり、且つ前記カソード側電極を構成する各層が、構成元素の組成比が互いに相違するLaSrCo系ペロブスカイト型複合酸化物又はLaSrCoFe系ペロブスカイト型複合酸化物からなることを特徴とする電解質・電極接合体。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の電解質・電極接合体において、前記最下層と前記固体電解質との間に中間層が介装されるとともに、前記中間層の線熱膨張係数が、前記固体電解質の線熱膨張係数と、前記最下層の線熱膨張係数との間であることを特徴とする電解質・電極接合体。
  5. 請求項4記載の電解質・電極接合体において、前記中間層がセリウム系酸化物からなることを特徴とする電解質・電極接合体。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の電解質・電極接合体において、熱が加えられた際に前記アノード側電極が前記カソード側電極に指向して湾曲するように反ることを特徴とする電解質・電極接合体。
  7. アノード側電極とカソード側電極とで固体電解質を挟んで形成される電解質・電極接合体の製造方法であって、
    前記固体電解質の一端面に直接、又は中間層を介してアノード側電極又はカソード側電極の一方を設けた後、前記固体電解質の残余の他端面に直接、又は中間層を介してカソード側電極又はアノード側電極の残余の一方を設ける工程を行うか、あるいは、アノード側電極の一端面に直接、又は中間層を介して前記固体電解質を設けた後、該固体電解質上に直接、又は中間層を介してカソード側電極を設ける工程を有し、
    前記カソード側電極を、複数個の層を積層した積層体として形成するとともに、
    前記固体電解質に最近接する最下層を、前記固体電解質との線熱膨張係数の差が6×10-6/K以内として設け、
    且つ前記積層体中の最上に位置する最上層を、前記最下層との線熱膨張係数の差を5×10-6/K以内として設け、
    さらに、該最上層を、互いに離間した複数個の電極群として形成することを特徴とする電解質・電極接合体の製造方法。
  8. 請求項7記載の製造方法において、前記カソード側電極を構成する層の導電率を、前記最下層から前記最上層に向かうにつれて大きく設定することを特徴とする電解質・電極接合体の製造方法。
  9. 請求項7又は8記載の製造方法において、前記固体電解質を安定化ジルコニアで形成するとともに、前記カソード側電極を構成する各層を、構成元素の組成比が相違するLaSrCo系ペロブスカイト型複合酸化物又はLaSrCoFe系ペロブスカイト型複合酸化物で形成することを特徴とする電解質・電極接合体の製造方法。
  10. 請求項7〜9のいずれか1項に記載の製造方法において、前記最下層と前記固体電解質との間に中間層を介装するとき、前記中間層の線熱膨張係数を、前記固体電解質の線熱膨張係数と、前記最下層の線熱膨張係数との間に設定することを特徴とする電解質・電極接合体の製造方法。
  11. 請求項10記載の製造方法において、前記中間層をセリウム系酸化物で形成することを特徴とする電解質・電極接合体の製造方法。
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