JP2011147403A - 細菌検査装置及び細菌検査方法 - Google Patents

細菌検査装置及び細菌検査方法 Download PDF

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司 師子鹿
Muneo Maejima
宗郎 前嶋
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浩子 藤田
Toshiyuki Hiyama
俊幸 檜山
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Abstract

【課題】試料中に複数の細菌が混在する場合、薬剤耐性を正確に測定する方法、複数の薬剤耐性を同時に測定する方法の提供。
【解決手段】イオン化部が、複数の細菌が含まれる試料221と少なくとも1つの薬液とを混合した混合液をイオン化する処理と、質量分析装置が、イオン化された前記混合液を質量分析する処理と、データ解析部が、質量分析の結果に基づいて、前記試料に含まれる細菌を同定し、同定された各細菌に対する前記薬液に対する耐性を判定する処理とを有する細菌検査方法。
【選択図】図5

Description

本発明は、細菌検査装置及び方法に関する。例えば細菌の同定及び薬剤感受性を検査可能な質量分析システムに関する。
微生物の生化学的識別を目的とした細菌検査は長年にわたって利用されている。例えば初期頃の出版物には、腸内細菌を識別する方法として、試薬を浸透させたペーパーディスクの使用方法やmicro-tube方法等が紹介されている。さらに、1960年代後半には、小型化された細菌識別システムの確立により、いくつかの商業体系が構築された。これらの小型細菌識別システムにより、保管場所の縮小化、貯蔵寿命の延長、基準品質管理が可能になり、取り扱いも容易になった。
今日使用されている液体微量希釈テストは、1942年頃に使用されていた試験管希釈テストに起源し、それは管内での抗菌性の感受性テスト(AST) によって臨床材料から細菌分離株を取り出すことである。液体希釈法とは、液状媒体に入っている抗菌剤濃度を、2の倍数で希釈させ、その媒体の中に細菌を顕在化させることを伴う。細菌の培養が起こらない最低の抗菌剤濃度は、最小発育阻止濃度(MIC)と定義される。MICは、感受性テスト(AST)の標準測定値である。
1956年に微量滴定装置システムが導入された。微量滴定装置システムは、較正されたらせん状ワイヤループと、常に一定の希釈を実現するためのドロッパー(又はスポイト)を使用し、 ASTテストの継続稼動を発展させた。微量滴定装置システムは正確で、さらに必要な抗菌剤の量が減少した。「微量希釈(microdilution)」という単語が出現したのは1970年で、抗菌性溶液0.1[ml]以下の液量で実施された MICテストについて説明する時が始まりであった。
現在商用化されているシステムでは、 MICテストや AST用の微量希釈を自動化している。例えば本発明者は、100ASTテストと細菌識別テストを1度で実施できるシステムを提供する。このようなシステムは密閉(シール)され、自己採取する成型ポリマートレイから成る。このポリマートレイには、使い捨ての乾燥した試薬を含んだmicro wellsが入っている。このトレイは、1)細菌ID用乾燥基質を含む細菌ID部と、2)変動濃度の抗菌剤を有する AST部とを有し、さらには適当な位置での細菌の増殖と蛍光性のコントロールとを行うことができる。
このようなIDシステムや ASTシステムでは、細菌の生態系を明らかにするために、ID側では一連の色原体・蛍光性生化学テストを利用している。培養型の基質と酵素基質ともにサンプル中に含まれる細菌分類群の異なる反応度タイプを測定するのに使用される。これらのIDテストは、微生物利用と、それから生じた基質の分解を多様なインジケータシステムによって検知することが元となっている。酸生産は、分離株が炭水化物基質を利用できるときに変化するフェノール赤インジケータによって示される。さらに、色原体基質は、p-nitrophenylかp-nitroanilide化合物の酵素hydrolosisにより、黄色に変化する。フルオレン遺伝基質の酵素hydrolosisは、蛍光性のクマリン誘導体を発生させる。特定の炭水化物源を利用する細菌の生態系は、レザズリンベースのインジケータを減少させる。それに加えて、他のテストをID側で実施し、細菌生物が加水分解する、又は分解する、又は減少させる能力を有するかを検出する。分解又は減少が検出されなければ、細菌生物がID側の基質を利用していることになる。
さらに、 AST側では、培養液での微量希釈を使用する。例えば抗菌剤中の生物の成長を検出する酸化還元(レドックス)インジケータを使用する。インジケータの変更の継続測定により又は細菌の濁度測定により、細菌の成長を計る。ASTの各パネル構成は、広範囲の2倍希釈濃度の抗菌剤を幾つか有している。各抗菌剤の MIC値を解釈するのに生物IDが使われる。
このようなシステムは、通常、 ID/ASTシステムの消耗品として提供される。このようなシステムでは、使い捨てパネルを、設定した生物濃度のサンプル(例えば、McFarland scale(McF)により測定された濁度)に使用する。例えば、予め設定された濁度が0.25[McF]か0.5[McF]の生物を摂取されたパネルを利用する。
つまり、 ID/ASTシステムには、規定の粒子濃度を摂取したパネルを人の手によって準備する必要があり(例えば、濁度などで示す)、McFarland scaleによって測定された値に応じて標準化される。つまり、摂取準備やハンドリングの向上が望まれる。
また、コロニーが一定の大きさになってから分類を行わないと、複数の菌が混在した場合に、上記測定法では、菌の同定および ASTについて判断ができなくなる現象が生じていた。特に、菌の同定においては、複数の菌が混ざり合う場合に、混ざり合った菌以外の菌として分類されていることが知られている(非特許文献1を参照)。
また、近年における質量分析機器の発展により、質量分析装置を用いた細菌の同定が発展してきており、実際の細菌同定にも用いられるようになってきている(特許文献1を参照)。
現状の質量分析装置を用いたIDでは、MALDI/TOF/MSが用いられている。本方式を用いた場合、検出手段に人が介在する方式よりも高速で高信頼性を得ることができることが報告されている。実際のIDの際には、細菌の色、つや、形状及び細菌のグラム染色による結果と質量分析装置での結果を組み合わせることによりデータの信頼性を向上することが可能である。一方、MALDI質量分析法を用いた方式においても、薬物に対する耐性については、前述した生物学的方式が用いられている。このことは、MALDIを用いた場合、イオン化を行う際にMatrixの影響があり、低質量数イオンの定量測定に問題があることに由来している。このため、現状菌の ASTは、蛍光方式の測定方法が用いられている。
また、IDをMALDI法で行うと共に、かつ、生物学的方式を用いて薬物耐性を測定する場合、IDで複数の細菌が同定された場合に、正確な薬物耐性を測れなくなることが問題である。このことは、細菌同定を行う場合に、菌とサンプルの濃度を調整する際に、一種類の菌を選択する必要が生じる。このことは、コロニーが一種類の菌だと特定できる大きさになるまで、IDの測定ができないことを意味している。
一方、別の大気圧イオン化法であるエレクトロスプレーイオン化(ESI)法を用いれば、複数に組み合わされた抗菌剤と菌との相互作用を一度に測定できる。また、複数成分が同時に測定された場合に、蛍光が発生する成分の誤測定を低減できる。このため、菌を一種類であることを確認するために長くなっていた処理時間を飛躍的に早くすることが可能となる。一般的には、現状菌の培養時に108個まで培養している細菌の量を105個以下の培養で識別可能となる。この際に短縮できる時間は、2から5時間程度になる。
国際公開第2007/003343号
臨床と細菌 10:327-336、1984
従来方法には、培養から測定までの時間がかかる問題がある。また、従来方法では、薬剤の感受性を光学式検出手段により測定を行っていた。また、従来方法では、形状及び形態の質等の情報からIDを人間が判定する。また、従来方法では、複数の菌が交じり合った状態において、誤検知が生じることが知られている。従って、従来方法では、単一の細菌であることが確認できる大きさにコロニーが十分大きくなる必要があった。結果的に、従来方法の場合には、培養時間が長くなり、測定結果のフィードバックが遅れることがある。
また、従来方法では、複数の薬剤との感受性については十分な解析が行われず、複数の薬剤の同時投与等が難しかった。現状では、薬剤についても複数の細菌が混じった状態では、発色及び濁度に関する同時分析が難しかった。細菌検査の分野では、一種類の強力な薬剤を投与した場合、一部の細菌に耐性が起こる現象が確認されている。細菌検査の被検査者によっては、特定の薬剤に対する薬剤投与量の調整が必要な場合もあり、近年では微量薬物カクテルによる治療が用いられることがある。また、微量薬物カクテルによる治療の方が、被検査者に対する体の負担を軽減するとの報告もある。
本発明においては、複数の細菌と一つ以上の薬剤とが混合された溶液(混合液)をイオン化して質量分析し、その分析結果に基づいて細菌の同定と薬液に対する耐性を判定する。
本発明によれば、試料に複数の細菌が含まれていたとしても、細菌を同定することができる。このため、培養時間を大幅に短縮できる。また、同定された細菌に対して1つ以上の薬剤に対する耐性を判定できるため、複数の薬剤を組み合わせる場合の効果的な組み合わせの検討にも効果的である。
実施の形態で使用する検査システムの基本構成を示す図。 成分分析のプロトコルを示す図。 成分分析の詳細例を説明する図。 薬剤耐性に対する測定例(方法)を示す図。 薬剤耐性に対する他の測定例(方法)を示す図。 薬剤の選択プロトコルを示す図。 測定結果の表示例を示す図。
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態を説明する。なお、後述する装置構成や処理動作の内容は一例であり、実施の形態と既知の技術との組み合わせや置換により実現することができる様々な形態も、本発明の形態例に含まれる。
(操作ステップ)
まず、実際の操作ステップを説明する。
(1) 細菌をシャーレの上で培養する。
(2) グラム陽性及び陰性の判定のためグラム培養を行う。
(3) 培養した細菌を光学式測定器により分類する。すなわち、一次分類を行う。
(4) 一次分類の情報に基づいて釣菌を行い、菌液調整されたモジュールに導入する。この際、釣菌情報のID化を行う。ID化には、μチップ、RFID及びバーコード等を使用し、釣菌された細菌を物理的に区別する。なお、モジュールは、細菌をIDする(同定する)ための消化酵素入りスポット、薬剤が導入されたスポットの二種類以上で構成される。このうち、消化酵素については、一次分類情報に基づいて例えばトリプシン、LysC及びV8等の消化酵素を選択的に使用する。また、薬剤については、薬剤濃度及び種類の組み合わせにより解析することが可能である。
(5) 前述したモジュールにおいて消化酵素及び薬剤との相互作用が行われた成分を、質量分析装置に直接導入する。もっとも、液体クロマトグラフィ(LC)及びキャピラリー電気泳動(CE)により分離することも可能である。
(6) 分離された成分を例えばエレクトロスプレーイオン化(ESI)法等を用いてイオン化した後、質量分析部(装置)で質量分析する。
(7) 質量分析のうち、ID用の測定では、例えばタンデム質量分析計(MS/MS)を用いて試料(サンプル)を解析し、薬剤感受性の測定では、薬剤及び薬剤によって生じる細菌からの代謝物を測定する。
(実施例1)
(検査システム)
図1に、細菌の ASTテストに使用して好適な検査システム100の構成例を示す。図1に示すように、実施例に係る検査システム100は、イオン源(イオン化部)101、質量分析部102及び解析部103の3つの部分で構成される。なお、以下の説明では、イオン源101と質量分析部102の2つを合わせて「質量分析装置」ともいう。 ASTテストでは、被験者から抽出して培養した細菌と複数の薬剤を混合した試料(サンプル)を測定対象とする。なお、実際の装置では、複数の細菌と複数の薬剤との相互作用を同時にモニタリングすることにより、薬物投与設計の効率化を実現する。
質量分析部102には、例えば四重極型質量分析装置、イオントラップ型質量分析装置、飛行時間型質量分析装置、多連四重極型質量分析装置を使用することができる。また、データ解析部103の処理機能は、コンピュータで実行されるアプリケーションソフトウェアの1つとして実現として実現する。
(成分分析のプロトコル)
図2に、成分分析のプロトコル(シーケンス例)の概要を示す。前処理で使用する流体工学システムは、一定濃度の薬剤に希釈液を加えたり、又は一定量の仮サンプルをサンプル容器から取り除いたりする構成を持つ。また、流体工学システムは、サンプル容器とテスト容器のうち少なくとも一つに希釈剤を吐き出す機構と流体連結のための機構とを持つ。なお、流体工学システムは、複数のヘッドを用いることにより、サンプルの釣菌及び希釈液(一定濃度の薬剤)を提供する。さらに、流体工学システムは、システムのオペレーション中に、指定された濃度の細菌サンプルを吸い出したり攪拌したりできる。さらに、流体工学システムは、使い捨てチップを1つ以上使用する。
(成分分析の詳細例)
図3に、成分分析の詳細例を示す。なお、図3に示す (1)〜 (9)は、図2に示す (1)〜 (9)に対応する。
(1) 支持体201には、PDMS製の反応槽シート202を予め貼付した。反応槽シート202は、お面のような形状を有しており、お面側の中央部に反応槽を形成する楕円状の窪みを設けている。そこで、反応槽シート202を支持体201に密着させると、その空間に溶液を導入できる固定化反応槽203が形成される。支持体201とシート202を密着させるために専用ホルダ205によって両者を固定する。これを固定化支持体220という。本実施例における固定化反応槽203の容量は40[μL]である。
(2)支持体201上の固定化反応槽203の内部に細菌を添加する工程では、一定の濃度の細菌を釣菌すると共に、マイクロピペッター209を用いて3種類の薬剤206、207、208を40[μL]ずつ固定化反応槽203に注入した。なお、細菌や薬剤は、固定化反応槽203に形成された溶液注入口204より注入する。
(3) 細菌と薬剤を反応させる工程では、固定化支持体220を密封容器210中に置き、密封容器210中の4隅に溶液211を 200[μL]ずつ添加して蓋をし、湿度を保った状態で恒温槽212に載置し、一定温度にて反応させる。
(4) 必要な場合、支持体を洗浄して反応しきれなかった成分を除去する。固定化支持体220から反応槽シート202を剥がした支持体201を洗浄溶液213(PBS(pH 7.4))を満たした容器中に浸漬し、シェーカーで10分間振盪して洗浄する操作を2回行った後、50[mM](M:mol/L)重炭酸アンモニウムを用いて2回すすいだ。濾紙により、支持体201上の水分を除去する。
(5) 次に、細菌とイオン化促進剤を反応させるための試料反応槽231を形成する。このために、洗浄済みの支持体201上に工程(1) で使用したのと同形状のPDMS製の反応槽シート202を貼付し、専用ホルダ205によって固定し、試料反応槽231を持つ反応用支持体230を作成する。
(6) 次に、試料反応槽231の内部に試料を添加する。この工程では、予め0.1[mg/mL]に希釈した試料214(還元アルキル化済みBSA又は還元アルキル化済みオボアルブミン又はβカゼイン)を各試料反応槽231の内部に溶液注入口204から30[μL]注入し、封入シールを溶液注入口204に貼って塞ぎ、各試料反応槽231を密封状態にする。
(7) 次に、タンパク質の分解反応工程を行う。この工程では、固定化支持体220を密閉容器210中に置き、密閉容器210中の4隅に溶液211を 200[μL]ずつ添加して蓋をし、湿度を保った状態にて恒温槽212に載置し、一定温度で反応させる。なお、反応時には、振動モーター215により固定化支持体220を振動させ、分解反応を促進させる。
(8) この後、分解反応の終わった試料を、マイクロピペッター209を用いて回収する。
(9) 回収した試料を質量分析装置216で測定する。測定の際には、イオン源(イオン化部)101で、理想的には1種類の細菌と複数の薬剤についてイオン化を行い、イオン化されたサンプルについて、特定の質量数をモニタリングする。ただし、実際の AST測定では、事前にIDされた細菌(複数の細菌を含む。)に対して、複数種類の薬剤に対する耐性を確認する。
流体工学システムの幾つかの例では、ロボット機器と流体連結を行って運ばれた1つ目のヘッドは、予め定められた薬剤濃度のサンプルが入ったIDサンプル容器から指定された量を取り出して ASTテスト容器に入れる。流体工学システムの幾つかの例では、複数の薬剤を ASTテスト容器に吐出し、少なくとも一種類以上の細菌をサンプル容器の中で攪拌する。この例の場合、試料は、ロボット機器によって運ばれた流体工学ヘッドや自動ピペッタにより質量分析部102に吐出される。
試料(サンプル)の吐出において、質量分析器102は、ロボット機器でのサンプル調整機構で調整された少なくとも1つ以上の薬剤成分濃度、ID部分で分類された少なくとも1つ以上の細菌量及び細菌により代謝の予測される代謝物の情報に基づいて、細菌の AST測定を行う。耐性確認は、特定の質量数のモニタリングを行い、細菌量の減少量と特定薬剤の減少量から定量を行う。実際の投薬時には、細菌の培養時間、測定までの経過時間から細菌量を割り出し、投与薬剤量を決定する。
(測定例)
図4に、薬剤耐性の測定例を示す。具体的には、薬剤に対応する特定の質量数のイオンをモニタリングする。図4は、個別の薬剤の減少量と複数の薬剤の減少量とを比較することにより、薬剤耐性を測定する例を示している。ここで、薬剤の減少は試料(サンプル)中の細菌と反応したことを示し、減少量の大きさは試料(サンプル)中の細菌との反応量が多いことを意味する。従って、薬剤耐性を有する細菌の場合には、薬剤の減少自体が確認されないか、薬剤の減少量が少なくなる。データ解析部103は、測定条件の比較により個別及び複数の薬剤の効果を計算し、投与量を算出する。なお、図4に示す4つの試料(サンプル)221は、1つの試料に対して異なる薬剤の組み合わせを反応させたものに対応する。なお、試料221は、試料プレート222の表面に配置されている。
図5に、薬剤耐性の他の測定例を示す。図5は、より効果的な測定例である。すなわち、薬剤濃度、細菌量及び代謝物の情報を時間経過に沿って同時に測定する方法に対応する。このため、図5の場合には、4つの試料(サンプル)221は全て同じ試料であり、時間の経過(図中太線矢印で示す)に従って反応時間が異なる試料221について同じ測定を行い、測定結果の変化を調べる。具体的には、図5の場合、特定の質量数のイオンをモニタリングする。データ解析部103は、モニタリング結果の時間的変化、薬剤種類による変化及び薬剤濃度変化に基づいて薬剤に対する耐性を解析する。
また、図5の場合には、特定の質量数に着目して測定を行うため、試料(サンプル)中に複数の細菌が含まれる場合でも、測定条件(薬剤種類の組み合わせ)や過去の検出結果を保存するデータベースと照合することにより、細菌の同定と各細菌に対する薬剤の耐性を一度に測定することができる。
(薬剤の選択プロトコル)
図6に、図3の測定工程(工程(2) )で使用するプロトコルを示す。事前に細菌のIDが完了している場合、用いられる薬剤の種類(同一の薬剤でも濃度が違うものは、異なる薬剤として扱う。以下、同じ。)を複数準備する。これに対し、複数の細菌が特定(ID)されている場合、複数種類の薬剤の組み合わせを事前に登録する。薬剤と細菌の組み合わせが決定されれば、モニタリングする代謝物が決定される。なお、二次分類結果は、質量分析装置による過去の分類結果である。因みに、細菌の特定(ID)や特定された細菌に対して使用する複数の薬剤の組み合わせの選択は、作業者自身が行っても良いし、不図示の処理装置(コンピュータ)による信号処理を通じて実現しても良い。
(測定結果の表示例)
データ解析部103は、細菌の種類及び使用される薬剤の種類に関する情報を操作部や不図示の処理装置を通じて入力し、入力された情報に基づいて測定条件を決定し、決定された測定質量数に関する情報に基づいて各細菌に対する薬剤の効用を決定する。この効用については、図7に示すような測定結果画面として表示される。この測定結果を用いれば、複数の薬剤量をモニタすることにより、複数の投薬条件を効率的にシミュレーションすることができる。なお、シミュレーションは、不図示の処理装置(コンピュータ)を用いて実現できる。
(まとめ)
以上のように、実施例1を用いれば、1つ又は複数の細菌に対する複数の薬剤の効用を同時に分析することができる。例えば現在、複数の遺伝子型が存在することが分かってきており、薬剤に対する実際の感受性は患者間での個人差が大きいことが知られている。また、MRSA(methicillin‐resistant Staphylococcus aureus)等の院内感染を引き起こす細菌についても、薬物耐性菌等の存在が知られている。従って、一度に複数の薬剤に対する効用を調べることができる実施例1に示すシステムや方法は、複数の薬剤を同時に投与する上で重要な方式となる。実際、実施例1に示すシステムや方法は、複数の薬剤の組み合わせに対する耐性についても考慮できる。このため、複数の薬剤を同時に投与する場合には、できるだけ濃度を抑えつつ最大限の効果が得られる組み合わせをシミュレーション結果として求めることもできる。
(実施例2)
次に、2つ目の実施例を説明する。2つ目の実施例に係る検査システムの構成や処理動作についても、基本的に実施例1(図1)と同じものを使用する。すなわち、イオン源(イオン化部)101、質量分析部102及び解析部103の3つの部分で構成される検査システム100を使用し、前述した手順と同様の手順により測定動作を実行する。
ただし、この実施例の場合には、イオン源101に、大気圧エレクトロスプレーイオン化法を適用し、薬物だけでなく、細菌由来の薬物代謝物及び細菌の同時測定を可能とする。この実施例の場合も、測定時には、特定薬剤の質量数をモニタリングする。この実施例の場合には、質量分析の結果のうち低質量領域に出現するスペクトルパターンをモニタリングすることができる。従って、この実施例に係るデータ解析部103は、低質量領域に出現するスペクトルパターンをデータベースと照合し、細菌の同定と混合された薬液に対する耐性を判定する。もっとも、モニタリング範囲は、低質量領域以外も含めることができる。
実際の ASTテストでは、事前にIDされた細菌(複数細菌を含む)に対して、複数種類の薬剤に対する耐性を確認する。耐性確認の際には、細菌量と複数薬剤の減少量から定量を行う。減少した複数薬剤の量と細菌の量とともに、細菌による薬物代謝物の測定を行うことにより、複数薬剤のうちのどの薬剤が効果的であるかの判定が可能となる。
なお、薬剤及び薬剤の代謝物等の低分子化合物を測定する際には、本実施例のように、大気圧エレクトロスプレーイオン化方式が最適である。細菌自体のIDには、MALDI等の方法によるパターマッチングか、大気圧エレクトロスプレーイオン化法による細菌のプロテオーム解析を使用することが予測される。もっとも、IDと ASTテストを同時に分析することが可能となるため、エレクトロスプレーイオン化(ESI)法が最適だと思われる。
また、質量分析部102については、IDを行う場合に、MS/MS等の複数回の質量分析が行える装置である方が、より効率的な解析が可能となる。 ASTテストに関しては、サンプル量の減衰率の変化が分かる程度の定量性が必要となる。
以上説明したように、実施例2を用いれば、1つ又は複数の細菌に対する複数の薬剤の効果を同時に分析できるだけでなく、細菌由来の薬物代謝物及び細菌の同時測定も実現することができる。
201:支持体
202:反応槽シート
203:固定化反応槽
204:溶液注入口
205:ホルダ
206:薬剤A
207:薬剤B
208:薬剤C
209:マイクロピペッター
210:密封容器
211:水滴
212:恒温槽
213:洗浄溶液
214:試料
215:振動モーター
216:質量分析装置
220:固定化支持体
221:試料
222:試料プレート
230:反応用支持体
231:試料反応槽

Claims (10)

  1. 複数の細菌が含まれる試料と少なくとも1つの薬液とを混合した混合液をイオン化するイオン化部と、
    イオン化された前記混合液を質量分析する質量分析部と、
    質量分析の結果に基づいて、前記試料に含まれる細菌を同定し、同定された各細菌に対する前記薬液に対する耐性を判定するデータ解析部と
    を有する細菌検査装置。
  2. 請求項1に記載の細菌検査装置において、
    前記データ解析部は、前記質量分析の結果のうち低質量領域に出現するスペクトルパターンをデータベースと照合することにより、細菌の同定と混合された薬液に対する耐性を判定する
    ことを特徴とする細菌検査装置。
  3. 請求項1に記載の細菌検査装置において、
    前記データ解析部は、前記薬液だけを質量分析した場合におけるスペクトルピークと、前記試料を前記薬液に混合した後の混合液を質量分析した場合におけるスペクトルピークとの間の変化を検出し、検出結果に基づいて細菌の同定と混合された薬液に対する耐性を判定する
    ことを特徴とする細菌検査装置。
  4. 請求項1に記載の細菌検査装置において、
    前記イオン化部は、エレクトロスプレー大気圧イオン化法により、前記混合液をイオン化する
    ことを特徴とする細菌検査装置。
  5. 請求項1に記載の細菌検査装置において、
    前記イオン化部は、MALDI(Matrix Assisted Laser Desorption/Ionization)イオン化法により、前記混合液をイオン化する
    ことを特徴とする細菌検査装置。
  6. 請求項1に記載の細菌検査装置において、
    前記質量分析部は、四重極型質量分析装置である
    ことを特徴とする細菌検査装置。
  7. 請求項1に記載の細菌検査装置において、
    前記質量分析部は、イオントラップ型質量分析装置である
    ことを特徴とする細菌検査装置。
  8. 請求項1に記載の細菌検査装置において、
    前記質量分析部は、飛行時間型質量分析装置である
    ことを特徴とする細菌検査装置。
  9. 請求項1に記載の細菌検査装置において、
    前記質量分析部は、多連四重極型質量分析装置である
    ことを特徴とする細菌検査装置。
  10. イオン化部が、複数の細菌が含まれる試料と少なくとも1つの薬液とを混合した混合液をイオン化する処理と、
    質量分析装置が、イオン化された前記混合液を質量分析する処理と、
    データ解析部が、質量分析の結果に基づいて、前記試料に含まれる細菌を同定し、同定された各細菌に対する前記薬液に対する耐性を判定する処理と
    を有する細菌検査方法。
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