JP2011142149A - 変圧器 - Google Patents

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Hidemasa Yamaguchi
英正 山口
Katsutoshi Inagaki
勝敏 稲垣
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Abstract

【課題】小型機種に限定されているアモルファス変圧器の機会強度を増加することで、低損失な大容量変圧器を製造可能とする。
【解決手段】非晶質金属を巻きまわして製作するトロイダル状のコアユニット3を複数個磁化方向に積み重ねることで鉄心脚部2を構成し、鉄心脚部2の周囲に巻き付けるコイル8の断面を円形にする。コイル8はその断面が円形となれば機械強度があがり、大容量機種が製造可能となり、低損失な大容量変圧器が実現できる。薄帯板状の非晶質金属を巻きまわして形成されるコアユニット3はその帯板の幅方向にずらして巻まわすことで、積み重ねたときの中心安定性を増すことができる。
【選択図】図3

Description

本発明は、変圧器、特に低損失な特性を有するアモルファス変圧器に関する。
近年、鉄心に非晶金属を使用したアモルファス変圧器が普及している。アモルファス材は薄帯であることから、アモルファス変圧器は、薄帯のアモルファス材を積み重ねて構成した巻鉄心構造を用いる型式の変圧器としてのみ実用化されている。
変圧器において、ケイ素鋼板を用いて構成した鉄心構造としては、巻鉄心構造と積鉄心構造がある。巻鉄心構造は、幅寸法が一様なケイ素鋼板を巻いて鉄心を構成しているため、そうした鉄心に巻き付けられるコイルの形状が矩形断面となる。そのため、変圧器の作動において、コイルは、拡縮するような変形を受けるときに周方向に作用する電磁機械力を受けるが、コイルには、特に四隅のコーナー部においてそうした電磁機械力に対する機械強度の確保が難しい。
一方、ケイ素鋼板を積み重ねた積鉄心構造は、鉄心に使用する鉄心材質の板幅を積み重ねられる板に応じて変更することで、円形断面にすることが可能である。こうした積鉄心構造を取り巻くコイルの断面も円形とすることができるため、コイルの電磁機械力に対する強度を確保することができる。
一般的な変圧器では、大容量になるにつれ短絡時の電磁機械力が大きくなる。そのため数千KVA以上の大容量変圧器では積鉄心構造を採用することが一般的である。それ以下の容量では短絡時の電磁機械力がそれほど大きくないため、矩形断面でも機械強度を確保できので、アモルファス変圧器が実用化されている。
非晶質金属を用い、単純な鉄心構造でもフリンジングなどによる鉄損悪化を抑制し、低コストで高効率かつ大容量なリアクトル装置が提案されている(特許文献1参照)。リアクトル装置は、リング状のコアユニット及びスペーサを複数個磁化方向に積み重ねた脚部と、これを上下から挟み込むヨーク部とにより構成されている鉄心と、この鉄心の周りに巻かれた巻線(コイル)とを備えている。コアユニットは、その一部又は全部が非晶質金属にて構成されており、好ましくは、非晶質金属を連続で巻きまわしたトロイダル状に形成されている。
鎖損の原因となる隣接した非晶質金属ストリップ断片間の短絡が生じないようにする非晶質金属鉄心の製造方法であって、切断型、及び非切断型の変圧器用非晶質金属鉄心を製造する際に、一対の楔部材を鉄心成形物の一方の縁部に配置して、ストリップ断片を層間移動させることにより、縁端が傾斜した鉄心成形物を製造可能とする工程が開示されている(特許文献2)。最終行程で縁端を再整列する工程までが含められているが、層間移動の工程ではストリップ断片が材料幅方向にずらしている状態が形成されている。
特開2008−218660号公報 特開平05−217776号公報
従来技術のうち、けい素鋼板を用いることで低鉄損化を図る場合、鉄心の磁束密度を低く抑えた設計を行うことが一般的な方法として考えられるが、この方法では低損失化の限界があり、機器の寸法、質量も著しく増大する。
また、鉄心に非晶質金属を採用した場合、著しい低損失化が図れるが、巻鉄心構造となり、可能な容量が限られてしまい大容量機種では実現不可能である。
以上のことより、大容量機種では低損失な変圧器を製造することは難しい状況となっている。
そこで、非晶質金属を用いて、リング状のコアユニットを複数個に積み重ねた若しくは巻回して構成した単純な鉄心構造でも、積み重ね状態を一層安定にする点で解決すべき課題がある。
この発明は、リング状のコアユニットを複数個に積み重ねたときに、上下間で安定して積み重ねられた鉄心を備えた変圧器を提供することである。
本発明による変圧器は、上記課題を解決するため、非晶質金属を巻きまわして製作するリング状のコアユニットを複数個磁化方向に積み重ねることで鉄心脚部を構成し、コイル断面を円形にしたものである。
コイル断面が円形となれば機械強度があがり、大容量機種が製造可能となり、低損失な大容量変圧器が実現できる。
本変圧器において、前記非晶質金属を巻き回した前記コアユニットは、中心から離れるに従って材料幅方向にずらして形成することができる。
また、本変圧器において、前記非晶質金属を巻き回した前記コアユニットは、巻回途中でずらし方向を反転させている。隣り合うユニットは、中心孔部よりも径方向に離れ且つ、特に、ずらし方向が反転する前後の環状部分で嵌合が規制されるので、両ユニットの嵌合状態が中心安定するとともに、鉄心の巨大化を防ぎ、したがってコアユニットの高さを抑制することができる。
本発明に係る変圧器によれば、非晶質金属を用いたトロイダル状のコアユニットを製作することにより、低コストで、低損失、大容量の変圧器の製作が可能となる。
本発明による変圧器に用いられる鉄心構造の一例を示す斜視図である。 図1に示す鉄心構造のコアユニットを示す斜視図である。 図1に示す鉄心構造にコイルを装着して構成した大容量変圧器の一実施例を示す斜視図である。 本発明による変圧器に用いられる鉄心構造を構成するコアユニットの別例を示す斜視図である。 図4に示すコアユニットを積み重ねて形成した鉄心脚部の断面図である。 本発明による変圧器に用いられる鉄心構造を構成するコアユニットの更に別の例を示す斜視図である。 図6に示すコアユニットを積み重ねて形成した鉄心脚部の断面図である。
以下、本発明の実施例について、図を用いながら説明する。
図1に本発明による変圧器の鉄心構造の一例を示す。図1に示す鉄心1は、リング状のコアユニット3とスペーサ4を複数個磁化方向に積み重ねて形成された3つの脚部鉄心2,2,2と、これを上下から挟み込むヨーク部5,5とを備えている。脚部鉄心2,2,2は、三相交流(U相、V相、W相)に対応して3本の鉄心から成っている。
鉄心1に用いられているコアユニット3は、一部又は全部がアモルファス(非晶質)金属にて構成される。コアユニット3は、図2に示す通り薄帯状の非晶質金属を連続で巻きまわした円筒(トロイダル)状の鉄心であって、最内周には鉄心締め付け用のスタッド7を通すスペース6が設けられている。スペーサ4は絶縁物から構成されている。また、各ヨーク部5は、アモルファスを積層した、又はケイ素鋼板を積層して成る略三角形状の厚板材から構成されている。
鉄心1の各脚部鉄心2は、このように構成された複数のコアユニット3を、スペーサ4を介して中心にスタッド7に通して積み重ねることによって組み立てられる。スタッド7をその両端でヨーク部5,5に対して締めつけて、スタッド7を介してヨーク部5,5を引き寄せることで、積み重ねられた複数のコアユニット3がヨーク部5,5間で締め付けられる。
図3は、図1に示した鉄心にコイルを装着することで構成した本発明による大容量変圧器の一実施例を示す斜視図である。コイル8(一次コイル及び二次コイル)は、各脚部鉄心2の周囲に巻かれて構成されている。このように円形の鉄心脚部2にコイルを組み込むことで、各脚部鉄心2の断面が円形となり、コイル8断面も円形にすることができる。コイル形状が円形となることで、機械強度が大幅に増加している。機械強度が増加していることから、大きな短絡電流に耐えることが可能となり、アモルファス変圧器の大容量化が可能となる。
図4は本発明による変圧器に用いられる鉄心脚部を構成するコアユニットの別の例を示す斜視図であり、図5は図4に示すコアユニットを複数個積み重ねて構成した鉄心脚部の断面図である。図4に示すとおり、コアユニット13は、巻き付ける薄帯材を中心部分から外周部分に向かうに従って材料幅方向に少しずつずらして巻き回すことによって、筍(竹の子)状とする。このように構成した複数のコアユニット13を、スペーサ14を介して中心にスタッド7に通して積み重ねることによって、鉄心脚部12が組み立てられる。
鉄心脚部12の断面は図5に示すように、各コアユニット13が上下間で安定して積み重ねられる。図示の例では、各コアユニット13は、中心部分が外周部分よりも背が高くなっているが、逆であっても構わない。
上下間で各ユニット13が対向する面が円錐面となっており、その面積が図1、図2に示される実施例の場合の各ユニット3の対向面積よりも増加しているので、磁束が伝搬しやすくなり、その結果、変圧器としての低損失化が図れる。このようなコアユニットを使用することで、低損失な大容量アモルファス変圧器が可能となる。
図6は、本発明による変圧器に用いられる鉄心脚部を構成するコアユニットの更に別の例を示す斜視図であり、図7は、図5に示すコアユニットを複数個積み重ねて構成した鉄心脚部の断面図である。鉄心脚部22に使用するコアユニット23は、図6に示すとおり、巻き付ける薄帯材を中心部分から外周部分に向かうに従って、材料幅方向にずらして巻き回し、巻回途中でずらし方向を反転させる。鉄心脚部22の断面は、図7に示す形状のようになり、各ユニット23の接する面積が増加して磁束が伝搬しやすくなる。更に、巻回途中で逆側にずらすことで、デッドスペースが少なくなってコアユニットの高さを抑制することができる。また、そうすることで、隣り合うユニット23の嵌合状態が中心孔部よりも径方向に離れた環状部で規制されるので、嵌合状態が中心安定するとともに、鉄心の巨大化を防ぎ、変圧器が大型化しないようにする。小型で低損失な大容量アモルファス変圧器が可能となる。
本発明によれば、非晶質金属を用いたトロイダル状のコアユニットを使用することにより、簡単な構造でありながら、機械的強度が高く、且つコアユニットの積重ね状態が安定して、大容量のアモルファス変圧器を提供することができる。
1 鉄心
2,12,22 鉄心脚部 3,13,23 コアユニット
4,14 スペーサ 5 ヨーク部
6,16,26 スペース 7 スタッド
8 コイル

Claims (3)

  1. リング状のコアユニットを複数個に積み重ねた若しくは巻回した脚部を有する鉄心の一部又は全体が非晶質金属にて構成される変圧器であって、非晶質金属を用いるコアユニットは非晶質金属を巻き回したトロイダル状鉄心で構成されることを特徴とする変圧器。
  2. 請求項1の変圧器において、前記非晶質金属を巻き回した前記コアユニットは、中心から離れるに従って材料幅方向にずらされていることを特徴とする変圧器。
  3. 請求項2の変圧器において、前記非晶質金属を巻き回した前記コアユニットは、巻回途中でずらし方向を反転させ、コアユニットの高さを抑制することを特徴とする変圧器。
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