JP2011136298A - インクジェットヘッドの調整方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】吐出孔列の加工精度や着弾誤差、体積ばらつきなどの影響を受けることがなく、均一な描画を実現する。
【解決手段】本発明のインクジェットヘッドの調整方法は、複数の吐出孔11が直線状に配列した吐出孔11の列を通じて基板に液滴を吐出するインクジェットヘッド10について、インクジェットヘッド10の1走査分で描画する規定描画幅Wを設定し、誤差を含めて吐出孔11の列の長さm1 ,m2 を計測し、この計測値m1 ,m2 に基づく走査方向に垂直な副走査方向における吐出孔11の列の長さm1 ’,m2 ’が規定描画幅Wになるように、インクジェットヘッド10の走査方向に対する角度を調整する。
【選択図】図1
【解決手段】本発明のインクジェットヘッドの調整方法は、複数の吐出孔11が直線状に配列した吐出孔11の列を通じて基板に液滴を吐出するインクジェットヘッド10について、インクジェットヘッド10の1走査分で描画する規定描画幅Wを設定し、誤差を含めて吐出孔11の列の長さm1 ,m2 を計測し、この計測値m1 ,m2 に基づく走査方向に垂直な副走査方向における吐出孔11の列の長さm1 ’,m2 ’が規定描画幅Wになるように、インクジェットヘッド10の走査方向に対する角度を調整する。
【選択図】図1
Description
本発明は、インクジェットヘッドの調整方法に関する。
インクジェット法により描画するに際し、インクジェット描画装置におけるインクジェットヘッドの取り付け角度を調整することで、描画幅が調整される。インクジェットヘッドの取り付け角度の調整方法としては、従来、インクジェットヘッドの走査方向に対するノズル列の角度が規定値になるように取り付け角度を調整する方法、走査方向におけるノズルピッチが規定値になるように取り付け角度を調整する方法が一般的である。
例えば特許文献1には、n個のノズル孔をノズルピッチPoで列状に配置し、このノズル列と直角方向の幅がtの複数のリニア記録ヘッドモジュールを印刷すべきm種類の色に対応する数だけ備えて配置すると共に、記録用紙上に各色とも走査ピッチPsの走査線を記録する多色印刷用インクジェット記録ヘッドが開示されている。そして、この多色印刷用インクジェット記録ヘッドにおいては、リニア記録ヘッドモジュールの幅tを(n−1)A/2m<t≦(n/m)Aとし、かつリニア記録ヘッドモジュールのノズル列を主走査方向に対してθ=Sin−1(Ps/Po)に傾けている。また、同色のリニア記録ヘッドモジュールを主走査方向と垂直な方向に間隔nPsで複数個配置し、該間隔nPsの間に他の(m−1)色のリニア記録ヘッドモジュールを順次配列させている。但し、n,mは自然数、A=Ps/Po(Po2 −Ps2 )1/2としている。
また、特許文献2には、記録ヘッドユニットが被記録媒体の搬送方向に対して傾斜して配設されているインクジェット記録装置が開示されている。そして、被記録媒体の搬送速度をV、インク吐出口のピッチをNp、インク吐出口に対応する記録素子の最大応答周波数をfmax、記録ヘッドユニットの被記録媒体に対する搬送方向と垂直方向のなす角度をθとしたとき、これらが、
V=fmax・cosθ/(2のm乗) m;自然数m
の関係を有している。
V=fmax・cosθ/(2のm乗) m;自然数m
の関係を有している。
また、特許文献3には、記録ヘッドのノズルを所定方向に傾斜して配設し、記録速度或いは解像度に応じて、ノズルの吐出タイミングを変更するインクジェット記録装置が開示されている。
また、特許文献4には、印字方向に対するヘッドのなす所定の角度θ°が、
tan−1{(S×(N÷n−1)×p)÷L}≦θ°≦tan−1{(S×(N÷n−1)×t)÷L}
但し、(N÷n)×p≦(N÷n)×t≦T
で示される式の範囲内に設定されているインクジェットプリンタが開示されている。なお、引用文献4に開示されたインクジェットヘッドプリンタにおいては、S:キャリッジ速度(m/sec)、N:全ノズル数、n:同時駆動ノズル数、p:駆動パルス幅(sec)、t:隣接ノズル印字周期(sec)、T:同一ノズル印字周期(sec)、L:全ノズル間長(m)である。
tan−1{(S×(N÷n−1)×p)÷L}≦θ°≦tan−1{(S×(N÷n−1)×t)÷L}
但し、(N÷n)×p≦(N÷n)×t≦T
で示される式の範囲内に設定されているインクジェットプリンタが開示されている。なお、引用文献4に開示されたインクジェットヘッドプリンタにおいては、S:キャリッジ速度(m/sec)、N:全ノズル数、n:同時駆動ノズル数、p:駆動パルス幅(sec)、t:隣接ノズル印字周期(sec)、T:同一ノズル印字周期(sec)、L:全ノズル間長(m)である。
なお、特許文献1〜4に開示された技術は、吐出する対象である記録媒体が紙や布であり、該記録媒体にインクジェット法により印字を行うインクジェットヘッド記録装置(プリンタ)に関する技術である。
しかしながら、上述のような従来技術では、ノズル列の加工精度や着弾誤差、体積ばらつきなどを吸収しきれず、インクジェットヘッド間または各走査間で描画のばらつきが発生するという問題がある。
インクジェットヘッドの多ノズル化および長尺化に伴い、1つのインクジェットヘッドにおいて、ノズル列全長の誤差も大きくなる。例えば、全長が50mm程度のノズル列を有するインクジェットヘッドでは、±20μm程度の誤差が生じる。それゆえ、ノズル列全長が所定の値に設計されたインクジェットヘッドであっても、設計値よりも僅かに長い、あるいは僅かに短いインクジェットヘッドが存在する。
例えば特許文献1〜4に開示された技術のように、吐出する対象である記録媒体が紙や布といったインク浸透メディアである場合、それほど高い描画精度が要求されない。これに対し、吐出する対象である記録媒体がガラスや金属といった非浸透メディアである場合、±10μm程度の描画精度が要求される。このような場合、インクジェットヘッドののノズル列長の加工誤差をも考慮する必要がある。
従来の技術では、ノズル列の加工精度や着弾誤差、体積ばらつきなどを吸収するために、複数のインクジェットヘッドを有する描画装置を用いた場合には、副走査方向におけるインクジェットヘッド間の距離を変更させる必要がある。また、インクジェットヘッドによる走査動作を複数行う描画装置を用いた場合には、インクジェットヘッドの副走査方向への移動距離を変更する必要がある。しかし、このように副走査方向のインクジェットヘッド間距離またはインクジェットヘッドの移動距離を変更すると、ノズル列長の加工誤差が蓄積する。このため、例えばライン&スペース等の細線パターンを描画する場合、各細線パターンで線の密度が異なることになり、均一な描画幅を実現することができない。また、例えばベタ膜パターンを描画する場合、各パターンで膜厚が異なり、均一な膜厚を実現することができない。
この点について、図7を参照して、さらに詳細に説明する。図7は、従来の方法でインクジェットヘッドの取り付け角度を調整したときの問題点を説明するための模式図であり、図7(a)は、複数のインクジェットヘッドを用いてベタ膜の描画を行った場合を示し、図7(b)は、単一のインクジェットヘッドを複数回走査させてベタ膜の描画を行った(複走査方式)場合を示す。
特許文献1〜4に記載された技術は、インクジェットヘッド10の取り付け角度が一定になるように調整する方法である。吐出孔11の列の長さに誤差を含むインクジェットヘッド10を取り付けた場合、図7(a)に示されるように、複数のインクジェットヘッド10について誤差を相殺するように、インクジェットヘッド10間の取付間隔を変更する必要がある。また、図7(b)に示されるように、単一のインクジェットヘッド10を複数回走査させてベタ膜の描画を行った(複走査方式)場合には、インクジェットヘッド10について誤差を相殺するように、副走査方向の移動距離を変更させる必要がある。ベタ膜の描画を行う場合、上記の方法を行うことで、ベタ膜の白抜けもしくは膜厚ムラを回避することができる。しかしながら、取り付け間隔や副走査方向の移動距離を変更させて描画を行うと、吐出孔11の密度(単位長さ当たりに含まれると出孔11の数)が、インクジェットヘッド10毎(若しくは走査操作毎)で異なってしまい、その誤差は、描画を行うに従い蓄積されていく。
例えば、比較的面積が大きい基板(例えば、寸法3000mm□程度の液晶パネル製造用ガラス基板)に等ピッチの細線パターンを全面塗布する場合、インクジェットヘッド10一つ当たりの細線の密度が異なり、均一なピッチの細線を描画することができなくなる。すなわち、吐出孔11の列が設計値よりも短いインクジェットヘッド10で描画すると、描画される細線の本数が目的の本数よりも多くなる。また、吐出孔11の列が設計値よりも長いインクジェットヘッド10で描画すると、描画される細線の本数が目的の本数よりも少なくなる。インクジェットヘッド10の取り付け角度が一定になるように調整する方法は、例えば等ピッチの細線パターンといった高精度なパターンを描画するには、不向きであるといえる。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、吐出孔列の加工精度や着弾誤差、体積ばらつきなどの影響を受けることがなく、均一な描画が可能なインクジェットヘッドの調整方法を提供することにある。
本発明のインクジェットヘッドの調整方法は、上記の課題を解決するために、複数の吐出孔が直線状に配列した吐出孔列を通じて基板に液滴を吐出するインクジェットヘッドについて、インクジェットヘッド1走査分で描画する規定描画幅を設定し、誤差を含めて上記吐出孔列の長さを計測し、この計測値に基づく走査方向に垂直な副走査方向における吐出孔列の長さが上記規定描画幅になるように、インクジェットヘッドの走査方向に対する角度を調整することを特徴としている。
一般的にインクジェットヘッドの吐出孔列は、その加工誤差、着弾誤差、または吐出体積誤差といった寸法上、吐出性能上のばらつきが生じている。上記の構成によれば、このようにばらつきが生じている吐出孔列について、これら誤差を含めた吐出孔列の長さを計測する。そして、これら計測値に基づく主走査方向に垂直な副走査方向における吐出孔列の長さが規定描画幅になるように、インクジェットヘッドの主走査方向に対する角度を調整する。すなわち、上記の構成によれば、インクジェットヘッドの吐出孔列の加工精度、着弾制度、吐出体積誤差までを含めて、「インクジェットヘッドの1走査分の描画幅」を考慮している。そして、誤差を含めた「インクジェットヘッドの1走査分の描画幅」が設定した規定描画幅になるように、インクジェットヘッドの取り付け角度を調整している。
これにより、インクジェットヘッドの個体差に影響を受けることが少なく、誤差により性能にばらつきがあるインクジェットヘッドであっても均一な描画を実現することができる。したがって、上記の構成によれば、吐出孔列の加工精度や着弾誤差、体積ばらつきなどの影響を受けることがなく、均一な描画が可能なインクジェットヘッドの調整方法を実現することができる。
本発明のインクジェットヘッドの調整方法では、上記誤差は、上記吐出孔列の加工誤差であって、上記吐出孔列の全長を実測し、この第1の実測値を上記計測値とすることが好ましい。
これにより、例えば等ピッチの細線パターンを描画する場合、上記吐出孔列の全長を実測し、この第1の実測値を上記計測値とすることで、単位面積当たりの線密度を均一にすることができる。
本発明のインクジェットヘッドの調整方法では、上記誤差は、上記吐出孔による液滴の着弾誤差であって、上記吐出孔列の両端に配置された2つの吐出孔により吐出された各液滴の着弾位置中心を結ぶ直線の長さを実測し、この第2の実測値を上記計測値とすることが好ましい。
これにより、例えばベタ膜を含むパターンを描画する場合、インクジェットヘッド間で白抜け領域や膜厚が大きくなった領域が発生しない、均一な描画パターンを実現することができる。
本発明のインクジェットヘッドの調整方法では、上記誤差は、上記吐出孔による液滴の吐出体積誤差であって、上記吐出孔列により吐出された液滴の基板に対する濡れ広がり範囲を含めた実描画幅を実測し、この第3の実測値を上記計測値とすることが好ましい。
上記の構成のように、より実際の描画に近い状態で、インクジェットヘッドによる描画幅(すなわち、副走査方向における吐出孔の列の長さ)を実測し、この描画幅を規定描画幅に調整することで、インクジェットヘッドの個体差により生じる各種誤差を吸収し得るインクジェットヘッドの調整が可能になる。
本発明のインクジェットヘッドの調整方法では、インクジェットヘッドの仕様値から、加工精度の誤差、吐出孔による液滴の着弾誤差、及び吐出孔による液滴の吐出体積誤差を加味したときの吐出孔列の長さの最小値を算出し、当該最小値よりも小さくなるように、上記規定描画幅を設定することが好ましい。
上記の構成のように、各種ばらつき(吐出孔列の加工精度、着弾精度、及び吐出体積のばらつき)を加味した上で、規定描画幅を設定することで、吐出孔の列を副走査方向に平行に配置する場合も含めて、多様な吐出孔列の長さを有するインクジェットに対して、その副走査方向における吐出孔列の長さを規定描画幅に合わせることが可能になる。
本発明のインクジェットヘッドの調整方法は、以上のように、複数の吐出孔が直線状に配列した吐出孔列を通じて基板に液滴を吐出するインクジェットヘッドについて、インクジェットヘッド1走査分で描画する規定描画幅を設定し、誤差を含めて上記吐出孔列の長さを計測し、この計測値に基づく走査方向に垂直な副走査方向における吐出孔列の長さが上記規定描画幅になるように、インクジェットヘッドの走査方向に対する角度を調整する構成である。
それゆえ、吐出孔列の加工精度や着弾誤差、体積ばらつきなどの影響を受けることがなく、均一な描画が可能なインクジェットヘッドの調整方法を実現することができる。
本発明の実施の一形態について、図1〜図6に基づいて詳細に説明すると以下の通りである。
図1は、本実施形態のインクジェットヘッドの調整方法(以下、本調整方法と記す)を説明するための模式図である。図2は、本調整方法に用いられるインクジェット描画装置の一例を示す斜視図である。
まず、本調整方法に用いられるインクジェット描画装置について、説明する。図2に示されるように、インクジェットヘッド描画装置20は、基体21を備えている。基体21上には、基板22の搬入及び搬出時に移動する基板載置台23が搭載されている。また、ヘッドガントリーユニット25は、基板載置台23の上方を該基板載置台23に接触することなく横断して配置されている。ガントリースライド機構24は、基体21に連結されており、ヘッドガントリーユニット25を、主走査方向(図2のY方向に平行な方向)に沿って往復移動する構成になっている。
ヘッドガントリーユニット25の側面には、複数個のインクジェットヘッド10が設けられている。各インクジェットヘッド10は、ヘッドガントリーユニット25の移動方向(図1のY方向に平行な方向;主走査方向)とは異なる方向(図1のX方向に平行な方向;副走査方向)にインクジェットヘッド10を移動させることのできる吐出ユニットスライド機構27の上に搭載されている。インクジェットヘッド10は、吐出ユニットスライド機構27上の移動可能領域の範囲内で、ヘッドガントリーユニット25の移動方向と異なる方向(図1のX方向に平行な方向)にスライド可能となっている。
インクジェットヘッド10は、ヘッドガントリーユニット25の側面に、複数個(図2では9個)搭載され、それぞれに個別の吐出ユニットスライド機構27を有している。そして、複数のインクジェットヘッド10は、それぞれの吐出ユニットスライド機構27上を、個別に独立して図2のX方向に平行な方向にスライドする。
また、インクジェットヘッド10は、その下側にヘッド吐出面を有している。ヘッド吐出面は、基板載置台21に略平行であって、かつ、ヘッド吐出面には液滴を吐出するためのノズル孔が形成されている。インクジェットヘッド10は、制御指令に基づいて、基板載置台23上に載置した対象となる基板22にヘッド吐出面から液滴を滴下する。
装置基体21上には、基板載置台23の他に、インクジェットヘッド10に対して、非使用時に吐出面をキャップする機構、不良吐出口を検出する機構、不良吐出口を回復する機構、などを有するメンテナンス機構26が設けられている。メンテナンス時は、ガントリースライド機構24により、ヘッドガントリーユニット25が、メンテナンス機構18の直上に移動し、インクジェットヘッド10に対して各種メンテナンス動作を行う。
図1に示されるように、本調整方法においては、まず、インクジェットヘッド10の1走査分で描画する規定描画幅Wを設定する。この規定描画幅Wは、基板22上に形成すべき描画パターンの寸法とインクジェットヘッド10の寸法(設計値)との関係などを加味して適宜設定することができる。
例えば、基板22に形成すべき描画領域がベタ領域を含む場合(基板22に矩形等の所定の形状の描画領域を形成する場合)、このベタ膜パターンの面積とインクジェットヘッド10の寸法・個数とを加味して規定描画幅Wを設定する。ベタ領域を、例えば2個のインクジェットヘッド10を走査させて形成する場合、ベタ領域の副走査方向の幅の1/2を規定描画幅Wとする。また、ベタ膜を描画する場合、描画すべきベタ膜の膜厚の条件を満たすために必要な吐出孔11の密度の下限値Gが規定される。また、隣接する吐出孔11から吐出される液滴同士が重なり合うのに必要な吐出孔11間の距離Hが規定される。吐出孔11の密度の下限値G、及び吐出孔11間の距離Hは、設計値に基づき規定することができる。ベタ膜の描画においては、吐出孔11の密度が、規定された下限値G以上になるようにインクジェットヘッド10を傾ける必要がある。また、隣接する吐出孔11の距離が、規定された距離H以下になるようにインクジェットヘッド10を傾ける必要がある。このように傾けたときのインクジェットヘッド10の副走査方向における長さを規定描画幅Wとすることができる。
また、基板22に形成すべき描画パターンが等ピッチの細線パターンである場合、細線のピッチとインクジェットヘッド10の吐出孔11のピッチとが合うように規定描画幅Wを設定する。
次に、各吐出孔11が直線状に配列された吐出孔列の長さを計測する。このとき、誤差を含めて吐出孔列の長さを計測する。一般的にインクジェットヘッド10の吐出孔列は、その加工誤差、着弾誤差、または吐出体積誤差といった寸法上、吐出性能上のばらつきが生じている。図1に示されるように、本調整方法では、このようにばらつきが生じている個々の吐出孔列について、これら誤差を含めた吐出孔列の長さm1 、m2 を計測する。例えば、吐出孔列の長さm1 が設計値Tよりも誤差δ1 だけ僅かに小さい値である場合、T−δ1 として計測する。また、吐出孔列の長さm2 が設計値Tよりも誤差δ2 だけ僅かに大きい値である場合、T+δ2 として計測する。
そして、これら計測値m1 、m2 に基づく主走査方向に垂直な副走査方向における吐出孔列の長さm1 ’、m2 ’が規定描画幅Wになるように、インクジェットヘッド10の主走査方向に対する角度(以下、インクジェットヘッド10の取り付け角度と記す)を調整する。その結果、長さm1 の吐出孔列を有するインクジェットヘッド10では、インクジェットヘッド10の取り付け角度は、角度θ1 に調整される。また、長さm2 の吐出孔列を有するインクジェットヘッド10では、インクジェットヘッド10の取り付け角度は、角度θ2 に調整される。そして、角度θ1 及び角度θ2 はそれぞれ、異なる値になる。
このように、本調整方法では、インクジェットヘッド10における吐出孔11の列の長さを、誤差を含めた長さm1 、m2 として計測し、この計測値m1 、m2 に基づく主走査方向に垂直な副走査方向における吐出孔列の長さm1 ’、m2 ’が規定描画幅Wになるように、インクジェットヘッド10の取り付け角度を調節している。すなわち、本調整方法では、インクジェットヘッド10の吐出孔11の列の加工精度、着弾制度、吐出体積誤差までを含めて、「インクジェットヘッドの1走査分の描画幅」を考慮している。そして、誤差を含めた「インクジェットヘッドの1走査分の描画幅」が設定した規定描画幅になるように、インクジェットヘッド10の取り付け角度を調整している。こうすることで、インクジェットヘッド10の個体差に影響を受けることが少なく、誤差により性能にばらつきがあるインクジェットヘッド10であっても均一な描画を実現することができる。
また、本調整方法において、計測する「誤差を含む吐出孔列の長さ」は、加工誤差、吐出孔11間の着弾精度誤差、または吐出孔間の吐出体積誤差を含む吐出孔11の列の長さを包含する。すなわち、「誤差を含む吐出孔列の長さ」は、吐出孔11の列の実測値の他に、吐出孔11の列の両端に配置された吐出孔11により吐出された各液滴の着弾位置中心を結ぶ直線の長さ、吐出孔11の列により吐出された液滴の基板22に対する濡れ広がり範囲を含めた実描画幅も含まれる。
また、本調整方法は、等ピッチの細線パターンを描画する場合、及びベタ膜パターンを描画する場合を含め、多数の吐出孔11を同時に使用して所定幅のパターンを描画する場合に、総じて均一な描画を実現することができる。
特に等ピッチの細線パターンを描画する場合、吐出孔11の列の全長を実測し、この実測値(第1の実測値)を「誤差を含む吐出孔列の長さ」(計測値)とすることで、単位面積当たりの線密度を均一にすることができる。本調整方法を用いて等ピッチの細線パターンを描画する場合の効果について、さらに詳述する。図3は、本調整方法を用いて等ピッチの細線パターンを描画する場合の効果について説明するための模式図である。なお、図3に示す例では、主走査方向に2つ並んだ、合計6つのインクジェットヘッド10を用いて、等ピッチの細線Lで構成されたパターンを描画している。図3に示す領域A〜Fのうち、領域A〜C、Fは、設計値通りのピッチ及び長さで形成された吐出孔11の列により描画された領域である。また、領域Dは、設計値Tよりも僅かに小さい長さm1 (すなわちT−δ1 )の吐出孔11の列により描画された領域である。また、領域Eは、設計値Tよりも僅かに大きい長さm2 (すなわちT+δ2 )の吐出孔11列により描画された領域である。
また、図3においては、従来の調整方法で取り付けられたインクジェットヘッド10の吐出孔11列を実線で示し、本調整方法で取り付けられたインクジェットヘッド10の吐出孔11列を点線で示している。
図3に示されるように、従来の調整方法では、6つのインクジェットヘッド10について、取り付け角度を規定角度θに設定していた。それゆえ、設計値通りのピッチ及び長さで形成された吐出孔11の列を規定角度θ通りに傾斜させた領域A〜C、Fでは、インクジェットヘッド間のピッチPを維持し、描画ムラがない等ピッチの細線パターンが形成される。
一方、設計値Tよりも僅かに小さい長さm1 の吐出孔11の列を規定角度θ通りに傾斜させた領域Dは、その描画幅が領域A〜Cよりも短くなる。このため、インクジェットヘッド間(領域Dと領域Eとの間)のピッチP1 は、ピッチPよりも大きくなる。その結果、インクジェットヘッド間で、線ピッチが広がってしまう。
また、設計値Tよりも僅かに大きい長さm2 の吐出孔11の列を規定角度θ通りに傾斜させた領域Eは、その描画幅が領域A〜Cよりも長くなる。このため、インクジェットヘッド間(領域Eと領域Fとの間)のピッチP2 は、ピッチPよりも小さくなる。その結果、インクジェットヘッド間で、線ピッチが狭まってしまう。
したがって、従来のようにインクジェットヘッドの取り付け角度を一律角度θに規定した調整方法では、インクジェットヘッド間で線ピッチを維持することができず、線ピッチが不均一な描画パターンになる。
これに対し、本調整方法では、まず、インクジェットヘッド10の1走査分で描画する規定描画幅Wを設定する。この設定は、細線LのピッチPと吐出孔11のピッチの関係から設定することができる。例えば細線LのピッチPと吐出孔11のピッチ(設計値)とが一致していれば、規定描画幅Wを設計値Tに設定する。また、細線のピッチPが吐出孔11のピッチ(設計値)と異なる場合、細線のピッチPと吐出孔11のピッチ(設計値)とが一致するように設計値Tの吐出孔列を傾けたときの、副走査方向の吐出孔列の長さが規定描画幅Wになる。
そして、各インクジェットヘッド10における吐出孔11の列の全長を実測する。このとき、設計値Tと誤差がある吐出孔11の列についても、実測値m1 、m2 として実測される。そして、この実測値m1 、m2 に基づく吐出孔11の列の副走査方向における長さが規定描画幅Wになるように、インクジェットヘッドの取り付け角度θを角度θ1 、θ2 に調整する。これにより、領域A〜Dにおいて、インクジェットヘッド10の描画幅が一定になる。その結果、インクジェットヘッド間で線ピッチを維持することができ、線ピッチが均一な描画パターンを実現することができる。
このように、本調整方法においては、吐出孔11の列の角度θを規定するのではなく、また、一部の吐出孔11のピッチを規定するのではなく、吐出孔11の列の全長を計測し、この計測値に基づく副走査方向の長さを規定値(規定描画幅W)に合わせることが必要である。
また、本調整方法においては、誤差を含めた吐出孔11の列の長さを計測していることにより、ベタ膜パターンを描画する場合においても、均一な描画を実現することができる。この場合、吐出孔11の列の長さは、着弾誤差、または吐出体積誤差といった誤差を含む計測値であることが好ましい。以下、本調整方法を用いてベタ膜パターンを描画する場合の効果について、さらに詳述する。図4は、本調整方法を用いてベタ膜パターンを描画する場合の効果について説明するための模式図である。なお、図4は、図3と同様の6つのインクジェットヘッド10を用いて、ベタ膜パターンを描画している。図4に示す領域A〜Fのうち、領域A〜C、Fは、設計値通りのピッチ及び長さで形成された吐出孔11の列により描画された領域である。また、領域Dは、設計値Tよりも僅かに小さい長さm1 (すなわちT−δ1 )の吐出孔11の列により描画された領域である。また、領域Eは、設計値Tよりも僅かに大きい長さm2 (すなわちT+δ2 )の吐出孔11列により描画された領域である。
また、図4においては、図3と同様に、従来の調整方法で取り付けられたインクジェットヘッド10の吐出孔11列を実線で示し、本調整方法で取り付けられたインクジェットヘッド10の吐出孔11列を点線で示している。
図4に示されるように、従来の調整方法では、6つのインクジェットヘッド10について、取り付け角度を規定角度θに設定していた。それゆえ、設計値通りのピッチ及び長さで形成された吐出孔11の列を規定角度θ通りに傾斜させた領域A〜C、Fでは、インクジェットヘッド間のピッチを維持し、描画ムラがないベタ膜パターンが形成される。
一方、設計値Tよりも僅かに小さい長さm1 の吐出孔11の列を規定角度θ通りに傾斜させた領域Dは、その描画幅が領域A〜Cよりも短くなる。このため、インクジェットヘッド間(領域Dと領域Eとの間)で白抜け領域aが発生してしまう。
また、設計値Tよりも僅かに大きい長さm2 の吐出孔11の列を規定角度θ通りに傾斜させた領域Eは、その描画幅が領域A〜Cよりも長くなる。このため、インクジェットヘッド間(領域Eと領域Fとの間)で膜厚が大きくなった領域bが発生してしまう。
したがって、従来のようにインクジェットヘッドの取り付け角度を一律角度θに規定した調整方法では、インクジェットヘッド間で白抜け領域aや膜厚が大きくなった領域bが発生してしまい、不均一な描画パターンになる。
これに対し、本調整方法では、まず、インクジェットヘッド10の1走査分で描画する規定描画幅Wを設定する。この設定は、描画すべきベタ膜の副走査方向の幅と吐出孔11の長さ(設計値)の関係から設定することができる。また、規定描画幅Wは、描画すべきベタ膜の膜厚と、インクジェットヘッド10の吐出体積、走査速度、及び吐出周波数との関係から、設定することができる。すなわち、ベタ膜パターンの描画においては、描画すべきベタ膜の膜厚と、ベタ膜描画時のインクジェットヘッド10の吐出体積、走査速度、及び吐出周波数との関係から、ベタ膜の描画に必要な吐出孔11の密度の下限値Gが定まる。ここでいう吐出孔11の密度は、単位dpiで表わされ、1インチの描画幅で何個の吐出孔11があるかを示すパラメータである。ベタ膜の描画においては、吐出孔11の密度が上記下限値G以上になるように、インクジェットヘッド10を傾ける必要がある。例えば、吐出孔11の列の長さが50mm(設計値)であるインクジェットヘッド10であっても、吐出孔11の密度を大きくするために、副走査方向における吐出孔11の列の長さが35mmになるまで、インクジェットヘッド10を傾けることがある。本調整方法においては、このようにインクジェットヘッド10を傾けたとき、1走査分で描画する描画幅を規定描画幅Wとして設定してもよい。
また、例えば描画すべきベタ膜の副走査方向の幅と吐出孔11の列の長さT(設計値)とが一致していれば、規定描画幅Wを設計値Tに設定する。また、描画すべきベタ膜の副走査方向の幅が吐出孔11の列の長さT(設計値)と異なる場合、描画すべきベタ膜の副走査方向の幅と吐出孔11の列の長さT(設計値)とが一致するように傾けたときの、副走査方向の吐出孔列の長さが規定描画幅Wになる。
そして、各インクジェットヘッド10における吐出孔11の列の誤差を含めた長さを、着弾誤差、または吐出体積誤差といった誤差を含めて、実測する。このとき、設計値Tと誤差がある吐出孔11の列についても、実測値m1 、m2 として実測される。そして、この実測値m1 、m2 に基づく吐出孔11の列の副走査方向における長さが規定描画幅Wになるように、インクジェットヘッドの取り付け角度θを角度θ1 、θ2 に調整する。これにより、領域A〜Dにおいて、インクジェットヘッド10の描画幅が一定になる。その結果、インクジェットヘッド間で均一なベタ膜を有する描画パターンを実現することができる。
本調整方法においては、ベタ膜パターンを描画する場合、インクジェットヘッド10で描画したときの「濡れ広がり」を含めた描画幅を「吐出孔10の列の長さ」として捉えることが好ましい。そして、この「濡れ広がり」を含めた描画幅、すなわち着弾誤差、または吐出体積誤差といった誤差を含めた計測値に基づく副走査方向の長さを規定値(規定描画幅W)に合わせることが必要である。
また、ベタ膜パターンを描画する場合、インクジェットヘッド10の吐出周波数を上げる、あるいはインクジェットヘッド10の走査速度を下げることにより、単位面積当たりの塗布量(≒膜厚)が増加する。そして、同一のインクジェットヘッドであっても、1走査分の描画幅が増加する。それゆえ、本調整方法においては、ベタ膜の描画パターンや目標となるベタ膜の膜厚に合わせて、インクジェットヘッド10の取り付け角度を最適化することが好ましい。
上述したように、「誤差を含む吐出孔列の長さ」は、吐出孔11の列の実測値の他に、吐出孔11間の着弾精度誤差、または吐出孔間の吐出体積誤差を含む吐出孔11の列の長さを包含する。
以下、吐出孔11間の着弾精度誤差、吐出孔間の吐出体積誤差を含む吐出孔11の列の長さについて、図5を参照して説明する。図5は、本調整方法における「誤差を含む吐出孔列の長さ」を説明するための模式図であり、図5(a)は、着弾精度誤差及び吐出体積誤差がないインクジェットヘッド10を用いて描画した場合を示し、図5(b)は、着弾精度誤差があるインクジェットヘッド10を用いて描画した場合を示し、図5(c)は、吐出体積誤差があるインクジェットヘッド10を用いて描画した場合を示す。
図5(a)に示されるように、着弾精度誤差及び吐出体積誤差がないインクジェットヘッド10を用いて描画した場合、各吐出孔11から吐出される液滴の着弾精度及び吐出体積は一定になり、均一な描画幅を実現することができる。これに対し、図5(b)に示されるように、着弾精度誤差があるインクジェットヘッド10を用いて描画した場合、各吐出孔11から吐出される液滴に着弾精度のばらつきが発生してしまい、インクジェットヘッド10個々で描画幅が変化する。また、図5(c)に示されるように、吐出体積誤差があるインクジェットヘッド10を用いて描画した場合、各吐出孔11から吐出される液滴に吐出体積のばらつきが発生してしまい、インクジェットヘッド10個々で描画幅が変化する。
図5(a)〜(c)に示されるように、インクジェットヘッド10の個体差によって、着弾精度のばらつきや吐出体積のばらつきが発生する。そして、このようなばらつきによっても、インクジェットヘッド10による描画幅が変化する。
本調整方法では、「誤差を含む吐出孔列の長さ」を、吐出孔11間の着弾精度誤差、または吐出孔間の吐出体積誤差を含む吐出孔11の列の長さ(第2の実測値、第3の実測値)として実測している。そして、この実測値に基づいて、副走査方向の吐出孔11の列の長さが規定描画幅Wになるように、インクジェットヘッド10の取り付け角度を調整している。このように、「濡れ広がり」を含めた実測値を用いることにより、インクジェットヘッド10の個体差により生じる着弾精度ばらつきや吐出体積ばらつきを吸収して描画することができる。
誤差が吐出孔11による液滴の着弾誤差である場合、吐出孔11の列の両端に配置された2つの吐出孔11により吐出された各液滴の着弾位置中心を結ぶ直線の長さを実測し、この第2の実測値を「誤差を含む吐出孔列の長さ」の計測値とすることができる。この場合、吐出孔11により吐出された液滴の着弾精度は、公知の着弾精度測定法により測定することができる。具体的には、被吐出基板としての基板22に全吐出孔11から液滴を1滴吐出し、両端にある2つの吐出孔11の着弾をカメラで観察する。そして、観察された液滴の着弾中心座標を取得することで、中心間距離(着弾位置中心を結ぶ直線の長さ)を算出する。これにより、インクジェットヘッド10の個体差により生じる着弾精度ばらつきを吸収して、均一な描画を実現することができる。
また、誤差が吐出孔11による液滴の吐出体積誤差である場合、吐出孔11の列により吐出された液滴の基板22に対する濡れ広がり範囲を含めた実描画幅を実測し、この第3の実測値を「誤差を含む吐出孔列の長さ」の計測値とすることができる。この場合、実描画幅は、公知の描画幅測定法により測定することができる。これにより、インクジェットヘッド10の個体差により生じる吐出体積ばらつきを吸収することができる。この場合、副走査方向における吐出孔11の長さを、描画するパターンまたはベタ膜の膜厚に最適な長さに調整することが可能になる。
このように、本調整方法においては、より実際の描画に近い状態で、インクジェットヘッド10による描画幅(すなわち、副走査方向における吐出孔11の列の長さ)を実測している。そして、この描画幅を規定描画幅Wに調整する。これにより、インクジェットヘッド10の個体差により生じる各種誤差を吸収し得るインクジェットヘッド10の調整が可能になる。
次に、本調整方法における規定描画幅Wの設定について、図6(a)及び(b)を参照して、さらに詳述する。図6は、本調整方法における規定描画幅Wの設定を説明するための模式図であり、図6(a)は、吐出孔11の列の長さ(設計値T)と規定描画幅Wとが異なる場合の設定を示し、図6(b)は、吐出孔11の列を副走査方向に平行に配置する場合の設定を示す。
上述のように、規定描画幅Wは、細線パターンを描画する場合、描画すべき細線のピッチと、インクジェットヘッド10の吐出孔11のピッチ(設計値)とが合うように設定される。このとき、副走査方向に対して、吐出孔11の列が規定角度Δだけ僅かに傾斜した状態で、副走査方向における吐出孔11の列の長さと規定描画幅Wとが一致することが好ましい。すなわち、図6(a)に示されるように、規定描画幅Wは、描画すべき細線のピッチと吐出孔11のピッチ(設計値)とが合った状態で、設計値Tに基づく副走査方向における吐出孔11の長さよりも小さくなるように設定することが好ましい。
これにより、吐出孔11の列の長さが設計値Tよりも僅かに長いインクジェットヘッド10については、規定角度Δよりも大きい角度で傾けることで、副走査方向における吐出孔11の長さを規定描画幅Wに合わせることができる。また、吐出孔11の列の長さが設計値Tよりも僅かに短いインクジェットヘッド10については、規定角度Δよりも小さい角度で傾けることで、副走査方向における吐出孔11の長さを規定描画幅Wに合わせることができる。このように、規定描画幅Wを、設計値Tに基づく副走査方向における吐出孔11の列の長さよりも小さく設定することで、多様な吐出孔11の列の長さを有するインクジェット10に対して、その副走査方向における吐出孔11の列の長さを規定描画幅Wに合わせることができる。
また、副走査方向に対する出孔11の列の規定角度Δが大きい場合、インクジェットヘッド10の1走査分の描画幅が小さくなり、インクジェットヘッド10の数または走査回数が多くなってしまう。
また、規定角度Δが0°若しくは極端に小さい、すなわち、吐出孔11の列を副走査方向に平行に配置する場合、次の問題がある。すなわち、図6(b)に示されるように、吐出孔11の列の長さが設計値Tよりも短い(マイナス公差の)インクジェットヘッド10について、その副走査方向における吐出孔11の列の長さを規定描画幅Wに合わせることができない。
それゆえ、吐出孔11の列を副走査方向に平行に配置する場合、マイナス公差の長さを有する吐出孔11の列は使用することができない。この場合には、吐出孔11の列の長さがプラス交差のみとなるように、インクジェットヘッド10を製造する。吐出孔11の列を副走査方向に平行に配置する場合、予め設計値Tを規定描画幅Wよりも意図的に大きくした吐出孔11の列を有するインクジェットヘッド10を用いる。
また、吐出孔11の列を副走査方向に平行に配置する場合、吐出孔11の列の長さがプラス交差であっても、吐出孔11による着弾精度や吐出体積のばらつきにより、副走査方向における吐出孔11の列の長さが規定描画幅Wよりも小さくなることがある。
それゆえ、本調整方法においては、各種ばらつき(吐出孔11の列の加工精度、着弾精度、及び吐出体積のばらつき)を加味した上で、規定描画幅Wを設定することが好ましい。すなわち、本調整方法では、まず、インクジェットヘッド10の仕様値から、加工精度の誤差、吐出孔による液滴の着弾誤差、及び吐出孔による液滴の吐出体積誤差を加味したときの吐出孔11の列の長さの最小値を算出する。
ここでいう「インクジェットヘッド10の仕様値」とは、製造前に予め設定したインクジェットヘッド10の仕様書に記載された値のことを意味する。この仕様書には、インクジェットヘッド10の寸法(吐出孔11の列の長さ(設計値T)mm等)、加工精度の誤差(±αμm)、着弾精度の誤差(±βμm)、吐出体積の誤差(±γpl)等が記載されている。本調整方法では、これら誤差を加味してインクジェットヘッド10の長さの最小値を算出する。この最小値は、設計値Tにマイナス公差(−α、−β、−γ)を加味した値になる。ただし、吐出体積の誤差は、通常体積(pl)で表わされるので、基板22に対する濡れ広がり径の誤差(±γ’μm)に変換して加味される。この変換方法については、従来公知の方法を適用することができる。最終的に、吐出孔11の列の長さの最小値は、加工精度の誤差、着弾精度の誤差、及び吐出体積の誤差を加味すると、T−α−β−γ’として算出される。本調整方法では、このように算出された最小値よりも小さくなるように、規定描画幅Wを設定する。
このように規定描画幅Wを設定することで、吐出孔11の列を副走査方向に平行に配置する場合も含めて、副走査方向における吐出孔11の列の長さを規定描画幅Wに合わせることが可能になる。
なお、上述した実施の形態では、複数のインクジェットヘッド10を用いて細線パターンまたはベタ膜パターンの描画を行った例について説明した。しかしながら、本調整方法は、単一のインクジェットヘッド10を複数回走査させて細線パターンまたはベタ膜パターンの描画を行う(複走査方式)場合にも適用することができる。このような複走査方式の描画に本調整方法を適用することにより、均一な描画パターンを実現することができる。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明は、均一な描画を実現することができるので、例えば、液滴描画装置を用いて、基板上に配線パターンを描画する、あるいはベタ膜パターンを形成する技術に利用することができる。
10 インクジェットヘッド
11 吐出孔
22 基板
θ,θ1 ,θ2 角度(インクジェットヘッドの走査方向に対する角度)
m1 ,m2 長さ(計測値)
m1 ’,m2 ’ 長さ(副走査方向における吐出孔列の長さ)
W 規定描画幅
11 吐出孔
22 基板
θ,θ1 ,θ2 角度(インクジェットヘッドの走査方向に対する角度)
m1 ,m2 長さ(計測値)
m1 ’,m2 ’ 長さ(副走査方向における吐出孔列の長さ)
W 規定描画幅
Claims (5)
- 複数の吐出孔が直線状に配列した吐出孔列を通じて基板に液滴を吐出するインクジェットヘッドについて、
インクジェットヘッド1走査分で描画する規定描画幅を設定し、
誤差を含めて上記吐出孔列の長さを計測し、この計測値に基づく走査方向に垂直な副走査方向における吐出孔列の長さが上記規定描画幅になるように、インクジェットヘッドの走査方向に対する角度を調整することを特徴とするインクジェットヘッドの調整方法。 - 上記誤差は、上記吐出孔列の加工誤差であって、
上記吐出孔列の全長を実測し、この第1の実測値を上記計測値とすることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットヘッドの調整方法。 - 上記誤差は、上記吐出孔による液滴の着弾誤差であって、
上記吐出孔列の両端に配置された2つの吐出孔により吐出された各液滴の着弾位置中心を結ぶ直線の長さを実測し、この第2の実測値を上記計測値とすることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットヘッドの調整方法。 - 上記誤差は、上記吐出孔による液滴の吐出体積誤差であって、
上記吐出孔列により吐出された液滴の基板に対する濡れ広がり範囲を含めた実描画幅を実測し、この第3の実測値を上記計測値とすることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットヘッドの調整方法。 - 上記インクジェットヘッドの仕様値から、加工精度の誤差、吐出孔による液滴の着弾誤差、及び吐出孔による液滴の吐出体積誤差を加味したときの吐出孔列の長さの最小値を算出し、当該最小値よりも小さくなるように、上記規定描画幅を設定することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のインクジェットヘッドの調整方法。
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- 2009-12-28 JP JP2009298766A patent/JP2011136298A/ja active Pending
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