JP2011132282A - 液晶性ポリエステル組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、液晶性ポリエステル分子末端と反応し、自己架橋しうる化合物を配合した、低ガス性に優れる液晶性ポリエステル組成物、およびそれから得られる剛性、耐熱性に優れる射出成形品に関するものである。
近年、液晶性ポリエステルは、その耐熱性、流動性、寸法安定性、難燃性などを活かし、電気・電子分野で用いられ、その需要が拡大している。
液晶性ポリエステルは、工業化されているものは芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジオールのフェノール性水酸基を低級脂肪酸無水物によってアシル化し、芳香族ジカルボン酸などと脱低級脂肪酸重縮合することにより製造されている。
そのために、その分子末端にはアセチル基が存在しており、アセチル基が脱離して生じた酢酸ガスにより、リレーなどの用途においては、金属端子の接点腐食が発生するという問題があった。
また、分子末端には、p−ヒドロキシ安息香酸由来のカルボキシル基が存在しており、加熱下で脱炭酸反応によって炭酸ガスを発生するために、成形加工時に成形品表層にガスによるふくれが生じるという問題があった。
また、脱炭酸によって生成したフェノキシ末端が、成形品中に存在していると、脱離してフェノールガスが発生するために、フェノールガスによる金属端子の接点腐食が発生するという問題があった。
また、脱炭酸によって生成したフェノキシ末端が、成形品中に存在していると、脱離してフェノールガスが発生するために、フェノールガスによる金属端子の接点腐食が発生するという問題があった。
このような課題に対して、ガス量を低減しようとする試みがなされている。(例えば、特許文献1、2参照)。
特許文献1は、ジカルボン酸成分を過剰とすることで、末端のアセチル基濃度を低減した液晶ポリエステルアミドに関するものであるが、200℃程度で発生するアセチル基由来の酢酸ガスは確かに低減するが、カルボキシル基末端が多くなるために、300℃に近い加工温度域における脱炭酸によるふくれの発生や、フェノールガスによる腐食を抑制できないという問題がある。
また、特許文献2は、芳香族ジオールのアシル化を完全に行わずに、水酸基を残存させることにより、アセチル基、カルボキシル基の両方を低減した液晶性ポリエステルに関するものであるが、確かにガス量は低減するものの、水酸基を残存させすぎるとポリエステルの重合が進まなくなるために、民生用リレーや自動車用ランプベゼルなどのより高度な低ガス性が要求される用途では十分ではなかった。
本発明は、低ガス性、剛性に優れ、かつ耐熱性が向上した射出成形品に好適な液晶性ポリエステル組成物を提供するものである。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、液晶性ポリエステル分子の末端官能基と反応しうる官能基と自己架橋性の官能基を同一分子内に有する化合物を液晶性ポリエステルに配合することで、液晶性ポリエステル分子末端が部分架橋できることを見出し、本発明に到達した。
即ち、本発明は
(1)液晶性ポリエステル(a)100重量部に対して下記構造式の化合物(b)を0.01〜10重量部配合してなる液晶性ポリエステル組成物、
(1)液晶性ポリエステル(a)100重量部に対して下記構造式の化合物(b)を0.01〜10重量部配合してなる液晶性ポリエステル組成物、
(ただし、Rは水素原子、炭化水素基、脂肪族環もしくは芳香環である)
(2)化合物(b)が4−エチニルフタル酸無水物である上記(1)記載の液晶性ポリエステル組成物、
(3)液晶性ポリエステル(a)が、構造単位(I)、(II)、(III)、(V)、(VI)からなる上記(1)または(2)に記載の液晶性ポリエステル組成物、
(4)液晶性ポリエステル(a)が、下記構造単位(I)、(II)、(III)、(V)、(VI)からなり、構造単位(I)は構造単位(I)、(II)および(V)の合計に対して65〜80モル%であり、構造単位(II)は構造単位(II)および(V)の合計に対して60〜75モル%であり、構造単位(III)は構造単位(III)および(VI)の合計に対して60〜92モル%であり、構造単位(II)および(V)の合計と(III)および(VI)の合計は等モルである液晶性ポリエステルである上記(1)〜(3)のいずれかに記載の液晶性ポリエステル組成物、
(2)化合物(b)が4−エチニルフタル酸無水物である上記(1)記載の液晶性ポリエステル組成物、
(3)液晶性ポリエステル(a)が、構造単位(I)、(II)、(III)、(V)、(VI)からなる上記(1)または(2)に記載の液晶性ポリエステル組成物、
(4)液晶性ポリエステル(a)が、下記構造単位(I)、(II)、(III)、(V)、(VI)からなり、構造単位(I)は構造単位(I)、(II)および(V)の合計に対して65〜80モル%であり、構造単位(II)は構造単位(II)および(V)の合計に対して60〜75モル%であり、構造単位(III)は構造単位(III)および(VI)の合計に対して60〜92モル%であり、構造単位(II)および(V)の合計と(III)および(VI)の合計は等モルである液晶性ポリエステルである上記(1)〜(3)のいずれかに記載の液晶性ポリエステル組成物、
(5)上記(1)〜(4)のいずれかに記載の液晶性ポリエステル組成物100重量部に対して充填材10〜100重量部を配合してなる液晶性ポリエステル組成物、
(6)上記(1)〜(5)のいずれかに記載の液晶性ポリエステル組成物を射出成形してなる成形品を提供するものである。
(6)上記(1)〜(5)のいずれかに記載の液晶性ポリエステル組成物を射出成形してなる成形品を提供するものである。
本発明によって、剛性、低ガス性に優れる液晶性ポリエステル組成物、およびそれから得られるリレーケースやランプハウジングなどに好適な射出成形品が提供できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の液晶性ポリエステル組成物は、液晶性ポリエステル(a)100重量部に対して下記構造式の化合物(b)を0.01〜10重量部配合してなるものである。
(ただし、Rは水素原子、炭化水素基、脂肪族環もしくは芳香環である)。
液晶性ポリエステル(a)は、溶融時に光学的異方性を示すサーモトロピック液晶ポリマーと呼ばれるポリエステルである。
液晶性ポリエステル(a)は、例えば芳香族オキシカルボニル単位、芳香族および/または脂肪族ジオキシ単位、芳香族および/または脂肪族ジカルボニル単位などから選ばれた構造単位からなり、かつ異方性溶融相を形成する液晶性ポリエステルである。
芳香族オキシカルボニル単位としては、例えば、p−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸などから生成した構造単位が挙げられ、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸が好ましい。芳香族および/または脂肪族ジオキシ単位としては、例えば、4,4´−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、t−ブチルハイドロキノン、フェニルハイドロキノン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンおよび4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオールなどから生成した構造単位が挙げられ4,4´−ジヒドロキシビフェニルが好ましい。芳香族および/または脂肪族ジカルボニル単位としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸、1,2−ビス(2−クロロフェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸および4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸などから生成した構造単位が挙げられ、2,6−ナフタレンジカルボン酸が好ましい。
液晶性ポリエステルの具体例としては、p−ヒドロキシ安息香酸および6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸から生成した構造単位、芳香族ジヒドロキシ化合物、芳香族ジカルボン酸および/または脂肪族ジカルボン酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、4,4’−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位、テレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸および/またはアジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、4,4’−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位、ハイドロキノンから生成した構造単位、テレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸および/またはアジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、エチレングリコールから生成した構造単位、テレフタル酸および/またはイソフタル酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、エチレングリコールから生成した構造単位、4,4’−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位、テレフタル酸および/またはアジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボンから生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、エチレングリコールから生成した構造単位、芳香族ジヒドロキシ化合物から生成した構造単位、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸から生成した構造単位、4,4’−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位、2,6−ナフタレンジカルボン酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステルなどが挙げられる。
特に好ましいのは、下記構造単位(I)、(II)、(III)、(IV)および(V)から構成される液晶性ポリエステルである。
この液晶性ポリエステルは、アシル化反応速度の異なる2種類の芳香族ジオール由来の構造単位を有しているため、アシル化反応速度の小さい芳香族ジオールを過剰に加え、アシル化条件を選択することにより、水酸基末端濃度の高い液晶性ポリエステルとすることができ、化合物(b)と反応しやすいために好ましい。
上記構造単位(I)は、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位であり、構造単位(II)は4,4´−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位を、構造単位(III)はハイドロキノンから生成した構造単位を、構造単位(IV)はテレフタル酸から生成した構造単位を、構造単位(V)はイソフタル酸から生成した構造単位を各々示す。
構造単位(I)は、構造単位(I)、(II)および(III)の合計に対して65〜80モル%である場合に低ガス性、耐熱性に優れた液晶性ポリエステル組成物が得られ好ましく、より好ましくは68〜75モル%であり、この範囲においては、特に剛性の高い液晶性ポリエステル組成物が得られるために好ましい。
また、構造単位(II)は、構造単位(II)および(III)の合計に対して60〜75モル%である場合に、アシル化の制御による低ガス化効果の高い液晶性ポリエステル組成物となるために好ましく、65〜73モル%では特に本発明の効果である比重の小さい液晶性ポリエステル組成物が得られ好ましい。
また、構造単位(IV)は構造単位(IV)および(V)の合計に対して60〜92モル%である場合に耐熱性に優れた液晶性ポリエステル組成物が得られるため好ましく、60〜70モル%である場合には、高剛性な液晶性ポリエステル組成物が得られるためより好ましい。
構造単位(II)および(III)の合計と(IV)および(V)の合計は等モルであるが、ポリマーの末端基を調節するためにカルボン酸成分またはヒドロキシル成分を過剰に加えてもよく、より好ましくはヒドロキシル成分である(II)および(III)を過剰に加えることが好ましい。
過剰率としては、(IV)および(V)の合計に対して、(II)および(III)の合計を1.000〜1.05倍となるように加えることができる。過剰率がこの範囲においては、重合速度の低下が問題にならず、かつ液晶性ポリエステルの分子末端が水酸基になるために、化合物(b)との反応性が良くなり、本発明の効果である低ガス性、高剛性、高耐熱性などの効果が顕著に得られ好ましい。
構造単位(II)および(III)の合計と(IV)および(V)の合計は等モルであるが、ポリマーの末端基を調節するためにカルボン酸成分またはヒドロキシル成分を過剰に加えてもよく、より好ましくはヒドロキシル成分である(II)および(III)を過剰に加えることが好ましい。
過剰率としては、(IV)および(V)の合計に対して、(II)および(III)の合計を1.000〜1.05倍となるように加えることができる。過剰率がこの範囲においては、重合速度の低下が問題にならず、かつ液晶性ポリエステルの分子末端が水酸基になるために、化合物(b)との反応性が良くなり、本発明の効果である低ガス性、高剛性、高耐熱性などの効果が顕著に得られ好ましい。
ここでいう「実質的に等モル」とは、末端を除くポリマー主鎖を構成するユニットとしては等モルであるが、末端を構成するユニットとしては必ずしも等モルとは限らないことを意味する。
本発明において使用する上記液晶性ポリエステル(a)の製造方法は、特に制限がなく、公知のポリエステルの重縮合法に準じて製造できる。
例えば、上記液晶性ポリエステルの製造において、次の製造方法が好ましく挙げられる。
(1)p−アセトキシ安息香酸および4,4´−ジアセトキシビフェニル、ジアセトキシベンゼンとテレフタル酸、イソフタル酸から脱酢酸縮重合反応によって液晶性ポリエステルを製造する方法。
(2)p−ヒドロキシ安息香酸および4,4´−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンとテレフタル酸、イソフタル酸に無水酢酸を反応させて、フェノール性水酸基をアシル化した後、脱酢酸重縮合反応によって液晶性ポリエステルを製造する方法。
(3)p−ヒドロキシ安息香酸のフェニルエステルおよび4,4´−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンとテレフタル酸、イソフタル酸のジフェニルエステルから脱フェノール重縮合反応により液晶性ポリエステルを製造する方法。
(4)p−ヒドロキシ安息香酸およびテレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸に所定量のジフェニルカーボネートを反応させて、それぞれジフェニルエステルとした後、4,4´−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物を加え、脱フェノール重縮合反応により液晶性ポリエステルを製造する方法。
(1)p−アセトキシ安息香酸および4,4´−ジアセトキシビフェニル、ジアセトキシベンゼンとテレフタル酸、イソフタル酸から脱酢酸縮重合反応によって液晶性ポリエステルを製造する方法。
(2)p−ヒドロキシ安息香酸および4,4´−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンとテレフタル酸、イソフタル酸に無水酢酸を反応させて、フェノール性水酸基をアシル化した後、脱酢酸重縮合反応によって液晶性ポリエステルを製造する方法。
(3)p−ヒドロキシ安息香酸のフェニルエステルおよび4,4´−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンとテレフタル酸、イソフタル酸のジフェニルエステルから脱フェノール重縮合反応により液晶性ポリエステルを製造する方法。
(4)p−ヒドロキシ安息香酸およびテレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸に所定量のジフェニルカーボネートを反応させて、それぞれジフェニルエステルとした後、4,4´−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物を加え、脱フェノール重縮合反応により液晶性ポリエステルを製造する方法。
なかでもp−ヒドロキシ安息香酸および4,4´−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、テレフタル酸、イソフタル酸に無水酢酸を反応させて、フェノール性水酸基をアシル化した後、脱酢酸重縮合反応によって液晶性ポリエステルを製造する方法が、アセチル化率の制御の点から好ましい。
無水酢酸の使用量は、p−ヒドロキシ安息香酸、4,4´−ジヒドロキシビフェニルおよびハイドロキノンのフェノール性水酸基の合計の1.00〜1.10モル当量であることが好ましく、1.03〜1.09モル当量がより好ましく、1.05〜1.08モル当量がさらに好ましい。無水酢酸の使用量が、p−ヒドロキシ安息香酸、4,4´−ジヒドロキシビフェニルおよびハイドロキノンのフェノール性水酸基の合計の1.00〜1.10モル当量であると、アセチル化反応速度の小さいヒドロキノンのアセチル化率の制御性が向上し、低ガス性に優れた液晶性ポリエステル組成物が得られるため好ましい。
本発明の液晶性ポリエステル(a)を脱酢酸重縮合反応により製造する際に、液晶性ポリエステルが溶融する温度で減圧下反応させ、重縮合反応を完了させる溶融重合法が好ましい。溶融重合法は均一なポリマーを製造するために有利な方法であり、ガス発生量がより少ない優れたポリマーを得ることができ好ましい。
例えば、所定量のp−ヒドロキシ安息香酸および4,4´−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、テレフタル酸、イソフタル酸、無水酢酸を攪拌翼、留出管を備え、下部に吐出口を備えた反応容器中に仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら加熱し水酸基をアセチル化させた後、液晶性ポリエステルの溶融温度まで昇温し、減圧により重縮合し、反応を完了させる方法が挙げられる。
アセチル化させる条件は、通常140〜150℃の範囲で2.1〜2.9時間反応させることで、アセチル化反応速度の小さいヒドロキノンのアセチル化率を95〜99.2%に制御することができ、化合物(b)との反応性の良い液晶性ポリエステルとなり、結果として低ガス性に優れた液晶性ポリエステル組成物が得られるため好ましい。
重縮合させる温度は、液晶性ポリエステルの溶融温度、例えば、250〜365℃の範囲であり、好ましくは液晶性ポリエステルの融点+10℃以上の温度である。重縮合させるときの減圧度は通常0.1mmHg(13.3Pa)〜20mmHg(2660Pa)であり、好ましくは10mmHg(1330Pa)以下、より好ましくは5mmHg(665Pa)以下である。なお、アセチル化と重縮合は同一の反応容器で連続して行っても良いが、アセチル化と重縮合を異なる反応容器で行っても良い。
得られたポリマーは、それが溶融する温度で反応容器内を例えば、およそ1.0kg/cm2(0.1MPa)に加圧し、反応容器下部に設けられた吐出口よりストランド状に吐出することができる。
本発明の液晶性ポリエステル(a)を製造する際に、固相重合法により重縮合反応を完了させることも可能である。例えば、本発明の液晶性ポリエステルのポリマーまたはオリゴマーを粉砕機で粉砕し、窒素気流下、または、減圧下、液晶性ポリエステルの融点−5℃〜融点−50℃(例えば、200〜300℃)の範囲で1〜50時間加熱し、所望の重合度まで重縮合し、反応を完了させる方法が挙げられる。
液晶性ポリエステル(a)の重縮合反応は無触媒でも進行するが、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸カリウムおよび酢酸ナトリウム、三酸化アンチモン、金属マグネシウムなどの金属化合物を使用することもできる。
本発明の液晶性ポリエステル(a)は、数平均分子量は3,000〜25,000であることが好ましく、より好ましくは5,000〜20,000、より好ましくは8,000〜18,000の範囲である。
なお、この数平均分子量は液晶性ポリエステルが可溶な溶媒を使用してGPC−LS(ゲル浸透クロマトグラフ−光散乱)法により測定することが可能である。
また、本発明における液晶性ポリエステル(B)の溶融粘度は1〜200Pa・sが好ましく、10〜200Pa・sがより好ましく、さらには10〜100Pa・sが特に好ましい。
なお、この溶融粘度は液晶性ポリエステルの融点+10℃の条件で、ずり速度1,000/sの条件下で高化式フローテスターによって測定した値である。
ここで融点とは示差熱量測定において、重合を完了したポリマを室温から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1 )の観測後、Tm1 +20℃の温度で5分間保持した後、20℃/分の降温条件で室温まで一旦冷却し、再度20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm2 )を指す。
本発明の化合物(b)は、下記構造式の化合物であり、
Rは、水素原子、炭化水素基、脂肪族環、もしくは芳香環である。炭化水素基としては、好ましくは、炭素数1〜12の直鎖もしくは分岐アルキル基が挙げられ、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ドデシル基、t−ブチル基などが挙げられる。脂肪族環としては、好ましくは、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基などが挙げられ、芳香族環としては、フェニル基、トルイル基、キシリル基、メシチル基、ベンジル基、フェネチル基、ナフチル基、アントリル基などが挙げられる。
化合物(b)の具体例としては、例えば、4−エチニルフタル酸無水物、3−プロピニルフタル酸無水物、3−ブチニルフタル酸無水物、3−ヘキシニルフタル酸無水物、3−ドデシルエチニルフタル酸無水物、3−t−ブチルエチニルフタル酸無水物、3−シクロヘキシルエチニルフタル酸無水物、3−フェニルエチニルフタル酸無水物、3−ナフチルエチニルフタル酸無水物などが挙げられ、反応性の点から4−エチニルフタル酸無水物が好ましい。
化合物(b)は、好ましくは、無水酸部分で液晶性ポリエステル(a)の末端のフェノール性水酸基もしくはその誘導体と反応し、液晶性ポリエステルの分子末端に結合する。
また、化合物(b)は、三重結合部分で分子間で反応することで、液晶性ポリエステル分子間を架橋する。
すなわち、液晶性ポリエステル(a)と化合物(b)を配合することで、好ましくは、液晶性ポリエステルの末端が化合物(b)由来の構造を介して架橋された組成物が得られる。
液晶性ポリエステル(a)に対する化合物(b)の配合量は、液晶性ポリエステル(a)100重量部に対して化合物(b)0.01〜10重量部であり、より好ましくは0.05〜5重量部であり、更に好ましくは、0.1〜2重量部であり、特に、液晶性ポリエステル(a)100重量部に対して化合物(b)が0.05〜5重量部であると、本発明の効果が顕著に得られるものである。
化合物(b)の配合量が、液晶性ポリエステル(a)100重量部に対して0.01重量部未満の場合には、本発明の効果が得られず、化合物(b)の配合量が、液晶性ポリエステル(a)100重量部に対して10重量部より多い場合には、液晶性ポリエステルの特徴である流動性が低下するだけでなく、本発明の効果である低ガス性、剛性、耐熱性などの効果も得られない。
液晶性ポリエステル(a)に化合物(b)を配合する方法としては、化合物(b)を液晶性ポリエステル(a)の重合時に添加する方法、液晶性ポリエステル(a)と化合物(b)を溶融混練する方法、液晶性ポリエステル(a)の溶融成形時に化合物(b)を添加する方法などが挙げられ、液晶性ポリエステル(a)と化合物(b)を溶融混練する方法が好ましい。
化合物(b)を液晶性ポリエステル(a)の重合時に添加する方法においては、化合物(b)の添加時期は、液晶性ポリエステルの原料とともに添加しても、重合中に添加しても、重合終了後、吐出前に添加してもいずれでもよいが、ハンドリング性の点から、原料とともに添加して化合物(b)の存在下で液晶性ポリエステル(a)を重合することが好ましい。
液晶性ポリエステル(a)と化合物(b)を溶融混練する方法においては、公知の方法を用いることができる。たとえば、バンバリーミキサー、ゴムロール機、ニーダー、単軸もしくは二軸押出機などを用い、液晶性ポリエステルの融点以上融点+50℃以下で溶融混練して樹脂組成物とすることができる。中でも、二軸押出機が反応の均一進行性の点から好ましい。
本発明の液晶性ポリエステル組成物には充填材を用いることができる。
充填材は、例えば繊維状、板状、粉末状、粒状などの充填材を使用することができる。具体的には、ガラス繊維、PAN系やピッチ系の炭素繊維、ステンレス繊維、アルミニウム繊維や黄銅繊維などの金属繊維、芳香族ポリアミド繊維や液晶性ポリエステル繊維などの有機繊維、石膏繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、ジルコニア繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、酸化チタン繊維、炭化ケイ素繊維、ロックウール、チタン酸カリウムウィスカー、チタン酸バリウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー、窒化ケイ素ウィスカー、酸化チタンウィスカーなどの繊維状、ウィスカー状充填材、マイカ、タルク、カオリン、シリカ、ガラスビーズ、ガラスフレーク、クレー、二硫化モリブデン、ワラステナイト、酸化チタン、酸化亜鉛、ポリリン酸カルシウムおよび黒鉛などの粉状、粒状あるいは板状の充填材が挙げられる。本発明に使用される上記の充填材は、その表面を公知のカップリング剤(例えば、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤など)、その他の表面処理剤で処理して用いることもできる。
これら充填材のなかで特にガラス繊維、酸化チタン繊維が入手性、機械的強度のバランスの点から好ましく使用される。ガラス繊維の種類は、一般に樹脂の強化用に用いるものならば特に限定はなく、例えば、長繊維タイプや短繊維タイプのチョップドストランドおよびミルドファイバーなどから選択して用いることができる。また、これらのうち2種以上を併用して使用することもできる。本発明で使用されるガラス繊維としては、弱アルカリ性のものが機械的強度の点で優れており、好ましく使用できる。特に酸化ケイ素含有量が50〜80重量%のガラス繊維が好ましく用いられ、より好ましくは65〜77重量%のガラス繊維である。また、ガラス繊維はエポキシ系、ウレタン系、アクリル系などの被覆あるいは収束剤で処理されていることが好ましく、エポキシ系が特に好ましい。またシラン系、チタネート系などのカップリング剤、その他表面処理剤で処理されていることが好ましく、エポキシシラン、アミノシラン系のカップリング剤が特に好ましい。
酸化チタン繊維としては、ルチル型の針状酸化チタンが剛性の点から好ましく、繊維経は0.05〜0.5μmφ、繊維長は1〜10μmが好ましく、更に好ましくは、繊維経は0.1〜0.3μmφ、繊維長は3〜7μmである。
酸化チタン繊維は、シラン系、チタネート系などのカップリング剤、その他表面処理剤で処理することができ、エポキシシラン、アミノシラン系のカップリング剤が好ましい。
なお、ガラス繊維は、エチレン/酢酸ビニル共重合体などの熱可塑性樹脂や、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂で被覆あるいは集束されていてもよい。
充填材の配合量は、液晶性ポリエステル組成物100重量部に対し、通常10〜100重量部である場合に充分な補強効果が得られ、20〜80重量部である場合には、本発明の効果である剛性と耐熱性が顕著に得られ好ましい。
本発明の液晶性ポリエステル組成物には、酸化防止剤および熱安定剤(たとえばヒンダードフェノール、ヒドロキノン、ホスファイト類およびこれらの置換体など)、紫外線吸収剤(たとえばレゾルシノール、サリシレート)、亜リン酸塩、次亜リン酸塩などの着色防止剤、滑剤および離型剤(モンタン酸およびその金属塩、そのエステル、そのハーフエステル、ステアリルアルコール、ステアラミドおよびポリエチレンワックスなど)、染料および顔料を含む着色剤、導電剤あるいは着色剤としてカーボンブラック、結晶核剤、可塑剤、難燃剤(臭素系難燃剤、燐系難燃剤、赤燐、シリコーン系難燃剤など)、難燃助剤、および帯電防止剤などの通常の添加剤、熱可塑性樹脂以外の重合体を配合して、所定の特性をさらに付与することができる。
本発明の液晶性ポリエステル組成物に任意の充填材、添加剤を配合する方法としては、特に限定されるものではなく、ドライブレンドや溶液配合法、液晶性ポリエステルの重合時添加、溶融混練などが用いることができ、溶融混練が好ましい。
溶融混練には公知の方法を用いることができる。たとえば、バンバリーミキサー、ゴムロール機、ニーダー、単軸もしくは二軸押出機などを用い、液晶性ポリエステルの融点以上融点+50℃以下で溶融混練して樹脂組成物とすることができる。中でも、二軸押出機が好ましい。
混練方法としては、1)液晶性ポリエステル、任意成分である充填材、その他の添加剤との一括混練法、2)まず液晶性ポリエステルにその他の添加剤を高濃度に含む液晶性ポリエステル組成物(マスターペレット)を作成し、次いで規定の濃度になるように液晶性ポリエステル、任意成分である充填材およびその他の添加剤を添加する方法(マスターペレット法)、3)液晶性ポリエステルと任意成分であるその他の添加剤の一部を一度混練し、ついで残りの任意成分である充填材、その他の添加剤を添加する分割添加法、4)液晶性ポリエステル組成物を製造した後、液晶性ポリエステル組成物ペレットと任意成分である充填材、その他の添加剤との一括混練方法、5)液晶性ポリエステル組成物を製造した後、液晶性ポリエステル組成物にその他の添加剤を高濃度に含む液晶性ポリエステル組成物(マスターペレット)を作成し、次いで規定の濃度になるように液晶性ポリエステル組成物、任意成分である充填材、その他の添加剤とを添加する方法(マスターペレット法)、6)液晶性ポリエステル組成物を製造した後、液晶性ポリエステル組成物と任意成分であるその他の添加剤の一部を一度混練し、ついで残りの任意成分である充填材、その他の添加剤を添加する分割添加法など、どの方法を用いてもかまわない。
かくして得られる本発明の液晶性ポリエステル組成物は、特に低ガス性に優れている。
本発明の液晶性ポリエステル組成物は、通常の射出成形、押出成形、プレス成形などの成形方法によって、優れた表面外観(色調)および機械的性質、耐熱性、難燃性を有する成形品に加工することが可能である。
本発明の液晶性ポリエステル組成物は、通常の射出成形、押出成形、プレス成形などの成形方法によって、優れた表面外観(色調)および機械的性質、耐熱性、難燃性を有する成形品に加工することが可能である。
ここでいう成形品としては、射出成形品、押出成形品、プレス成形品、シート、パイプ、フィルム、繊維などが挙げられ、特に射出成形とした場合に高剛性や耐熱性などの本発明の効果が顕著に得られ好ましい。
このようにして得られた液晶性ポリエステル組成物からなる成形品は、例えば、各種ギヤー、各種ケース、センサー、LEDランプ、コネクター、ソケット、抵抗器、リレーケース、スイッチ、コイルボビン、コンデンサー、バリコンケース、光ピックアップ、発振子、各種端子板、変成器、プラグ、プリント配線板、チューナー、スピーカー、マイクロフォン、ヘッドフォン、小型モーター、磁気ヘッドベース、パワーモジュール、ハウジング、半導体、液晶ディスプレー部品、FDDキャリッジ、FDDシャーシ、HDD部品、モーターブラッシュホルダー、パラボラアンテナ、コンピューター関連部品などに代表される電気・電子部品;VTR部品、テレビ部品、アイロン、ヘアードライヤー、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、オーディオ・レーザーディスク・コンパクトディスクなどの音声機器部品、照明部品、冷蔵庫部品、エアコン部品、タイプライター部品、ワードプロセッサー部品などに代表される家庭、事務電気製品部品、オフィスコンピューター関連部品、電話機関連部品、ファクシミリ関連部品、複写機関連部品、洗浄用治具、オイルレス軸受、船尾軸受、水中軸受などの各種軸受、モーター部品、ライター、タイプライターなどに代表される機械関連部品、顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計などに代表される光学機器、精密機械関連部品;オルタネーターターミナル、オルタネーターコネクター、ICレギュレーター、ライトディヤー用ポテンショメーターベース、排気ガスバルブなどの各種バルブ、燃料関係・排気系・吸気系各種パイプ、エアーインテークノズルスノーケル、インテークマニホールド、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイント、キャブレターメインボディー、キャブレタースペーサー、排気ガスセンサー、冷却水センサー、油温センサー、スロットルポジションセンサー、クランクシャフトポジションセンサー、エアーフローメーター、ブレーキバット磨耗センサー、エアコン用サーモスタットベース、エアコン用モーターインシュレーター、暖房温風フローコントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシュホルダー、ウォーターポンプインペラー、タービンべイン、ワイパーモーター関係部品、デュストリビュター、スタータースィッチ、スターターリレー、トランスミッション用ワイヤーハーネス、ウィンドウオッシャーノズル、エアコンパネルスィッチ基板、燃料関係電磁弁用コイル、ヒューズ用コネクター、ホーンターミナル、電装部品絶縁板、ステップモーターローター、ランプベゼル、ランプソケット、ランプリフレクター、ランプハウジング、ブレーキピストン、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルター、点火装置ケースなどの自動車・車両関連部品などに用いることができ、特にリレーケースやランプハウジングなどに有用である。
以下、実施例により本発明をさらに詳述するが、本発明の骨子は以下の実施例のみに限定されるものではない。
液晶性ポリエステル(a)
製造例1
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸907重量部、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を457重量部、および無水酢酸1011重量部(フェノール性水酸基合計の1.10当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら145℃で2時間反応させた後、325℃まで4時間で昇温した。その後、重合温度を325℃に保持し、0.1MPaに窒素加圧し、20分間加熱撹拌した。その後、放圧し1.0時間で133Paに減圧し、更に20分間反応を続け、トルクが20kg・cmに到達したところで重縮合を完了させた。次に反応容器内を0.1MPaに加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズした。
製造例1
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸907重量部、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を457重量部、および無水酢酸1011重量部(フェノール性水酸基合計の1.10当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら145℃で2時間反応させた後、325℃まで4時間で昇温した。その後、重合温度を325℃に保持し、0.1MPaに窒素加圧し、20分間加熱撹拌した。その後、放圧し1.0時間で133Paに減圧し、更に20分間反応を続け、トルクが20kg・cmに到達したところで重縮合を完了させた。次に反応容器内を0.1MPaに加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズした。
この液晶性ポリエステル(a−1)のTm(液晶性ポリエステルの融点)は283℃、ペンタフルオロフェノール/クロロホルム=50/50混合溶媒を使用してGPC−LS(ゲル浸透クロマトグラフ−光散乱)法により測定した数平均分子量が13300であり、高化式フローテスター(オリフィス0.5φ×10mm)を用い、温度293℃、剪断速度1000/sで測定した溶融粘度が38Pa・sであった。
1H−核磁気共鳴スペクトル(ペンタフルオロフェノール溶媒、500MHz)により、末端構造を調べた結果、アセチル基とカルボキシル基の比率が45/55であった。
製造例2
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸994重量部、4,4´−ジヒドロキシビフェニル126重量部、テレフタル酸112重量部、固有粘度が約0.6dl/gのポリエチレンテレフタレ−ト216重量部及び無水酢酸960重量部(フェノール性水酸基合計の1.10当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら145℃で2時間反応させた後、325℃まで4時間で昇温した。その後、重合温度を325℃に保持し、0.1MPaに窒素加圧し、20分間加熱撹拌した。その後、放圧し1.0時間で133Paに減圧し、更に120分間反応を続け、トルクが20kg・cmに到達したところで重縮合を完了させた。次に反応容器内を0.1MPaに加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズした。
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸994重量部、4,4´−ジヒドロキシビフェニル126重量部、テレフタル酸112重量部、固有粘度が約0.6dl/gのポリエチレンテレフタレ−ト216重量部及び無水酢酸960重量部(フェノール性水酸基合計の1.10当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら145℃で2時間反応させた後、325℃まで4時間で昇温した。その後、重合温度を325℃に保持し、0.1MPaに窒素加圧し、20分間加熱撹拌した。その後、放圧し1.0時間で133Paに減圧し、更に120分間反応を続け、トルクが20kg・cmに到達したところで重縮合を完了させた。次に反応容器内を0.1MPaに加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズした。
この液晶性ポリエステル(a−2)のTm(液晶性ポリエステルの融点)は314℃、ペンタフルオロフェノール/クロロホルム=50/50混合溶媒を使用してGPC−LS(ゲル浸透クロマトグラフ−光散乱)法により測定した数平均分子量が12000であり、高化式フローテスター(オリフィス0.5φ×10mm)を用い、温度324℃、剪断速度1000/sで測定した溶融粘度が20Pa・sであった。
1H−核磁気共鳴スペクトル(ペンタフルオロフェノール溶媒、500MHz)により、末端構造を調べた結果、アセチル基とカルボキシル基の比率が46/54であった。また、テレフタル酸由来の構造単位に対する、エチレングリコール由来の構造単位と4,4´−ジヒドロキシビフェニル由来の構造単位の和の比は1.001であった。
製造例3
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸870重量部、4,4´−ジヒドロキシビフェニル351重量部、ハイドロキノン89重量部、テレフタル酸292重量部、イソフタル酸157重量部および無水酢酸1433重量部(フェノール性水酸基合計の1.08当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら145℃で2時間反応させた後、320℃まで4時間で昇温した。その後、重合温度を320℃に保持し、1.0時間で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に90分間反応を続け、トルクが20kg・cmに到達したところで重縮合を完了させた。次に反応容器内を1.0kg/cm2(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズした。
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸870重量部、4,4´−ジヒドロキシビフェニル351重量部、ハイドロキノン89重量部、テレフタル酸292重量部、イソフタル酸157重量部および無水酢酸1433重量部(フェノール性水酸基合計の1.08当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら145℃で2時間反応させた後、320℃まで4時間で昇温した。その後、重合温度を320℃に保持し、1.0時間で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に90分間反応を続け、トルクが20kg・cmに到達したところで重縮合を完了させた。次に反応容器内を1.0kg/cm2(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズした。
この液晶性ポリエステル(a−3)のTm(液晶性ポリエステルの融点)は314℃、ペンタフルオロフェノール/クロロホルム=50/50混合溶媒を使用してGPC−LS(ゲル浸透クロマトグラフ−光散乱)法により測定した数平均分子量が12200であり、高化式フローテスター(オリフィス0.5φ×10mm)を用い、温度324℃、剪断速度1000/sで測定した溶融粘度が27Pa・sであった。
1H−核磁気共鳴スペクトル(ペンタフルオロフェノール溶媒、500MHz)により、末端構造を調べた結果、アセチル基と水酸基とカルボキシル基の比率が4/68/28であった。また、テレフタル酸由来の構造単位とイソフタル酸由来の構造単位の和に対する、ヒドロキノン由来の構造単位と4,4´−ジヒドロキシビフェニル由来の構造単位の和の比は1.000であった。
製造例4
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸932重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル419重量部、テレフタル酸344重量部、イソフタル酸30重量部および無水酢酸1240重量部(フェノール性水酸基合計の1.08当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら145℃で2時間反応させアセチル化を終了した後、375℃まで4時間で昇温した。その後、重合温度を375℃に保持し、1時間加熱撹拌した。その後、1.0時間で133Paに減圧し、更に12分間反応を続け、トルクが20kg・cmに到達したところで重縮合を完了させた。次に反応容器内を0.1MPaに加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズした。
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸932重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル419重量部、テレフタル酸344重量部、イソフタル酸30重量部および無水酢酸1240重量部(フェノール性水酸基合計の1.08当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら145℃で2時間反応させアセチル化を終了した後、375℃まで4時間で昇温した。その後、重合温度を375℃に保持し、1時間加熱撹拌した。その後、1.0時間で133Paに減圧し、更に12分間反応を続け、トルクが20kg・cmに到達したところで重縮合を完了させた。次に反応容器内を0.1MPaに加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズした。
この液晶性樹脂(a−4)のTm(液晶性ポリエステルの融点)は355℃、ペンタフルオロフェノール/クロロホルム=50/50混合溶媒を使用してGPC−LS(ゲル浸透クロマトグラフ−光散乱)法により測定した数平均分子量が12300であり、高化式フローテスター(オリフィス0.5φ×10mm)を用い、温度365℃、剪断速度1000/sで測定した溶融粘度が22Pa・sであった。
1H−核磁気共鳴スペクトル(ペンタフルオロフェノール溶媒、500MHz)により、末端構造を調べた結果、アセチル基とカルボキシル基の比率が60/40であった。また、テレフタル酸由来の構造単位とイソフタル酸由来の構造単位の和に対する、4,4´−ジヒドロキシビフェニル由来の構造単位の和の比は1.000であった。
製造例5
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸870重量部、4,4´−ジヒドロキシビフェニル351重量部、ハイドロキノン93重量部、テレフタル酸292重量部、イソフタル酸157重量部および無水酢酸1433重量部(フェノール性水酸基合計の1.08当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら145℃で2時間反応させた後、320℃まで4時間で昇温した。その後、重合温度を320℃に保持し、1.0時間で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に90分間反応を続け、トルクが20kg・cmに到達したところで重縮合を完了させた。次に反応容器内を1.0kg/cm2(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズした。
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸870重量部、4,4´−ジヒドロキシビフェニル351重量部、ハイドロキノン93重量部、テレフタル酸292重量部、イソフタル酸157重量部および無水酢酸1433重量部(フェノール性水酸基合計の1.08当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら145℃で2時間反応させた後、320℃まで4時間で昇温した。その後、重合温度を320℃に保持し、1.0時間で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に90分間反応を続け、トルクが20kg・cmに到達したところで重縮合を完了させた。次に反応容器内を1.0kg/cm2(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズした。
この液晶性ポリエステル(a−5)のTm(液晶性ポリエステルの融点)は312℃、ペンタフルオロフェノール/クロロホルム=50/50混合溶媒を使用してGPC−LS(ゲル浸透クロマトグラフ−光散乱)法により測定した数平均分子量が11800であり、高化式フローテスター(オリフィス0.5φ×10mm)を用い、温度322℃、剪断速度1000/sで測定した溶融粘度が25Pa・sであった。
1H−核磁気共鳴スペクトル(ペンタフルオロフェノール溶媒、500MHz)により末端構造を調べた結果、アセチル基と水酸基とカルボキシル基の比率が6/86/8であった。また、テレフタル酸由来の構造単位とイソフタル酸由来の構造単位の和に対する、ヒドロキノン由来の構造単位と4,4´−ジヒドロキシビフェニル由来の構造単位の和の比は1.013であった。
化合物(b)
(b−1)4−エチニルフタル酸無水物 東京化成製
(b−2)3−フェニルエチニルフタル酸無水物 和光純薬製。
(b−1)4−エチニルフタル酸無水物 東京化成製
(b−2)3−フェニルエチニルフタル酸無水物 和光純薬製。
充填材(C)
(c−1) 日本電気硝子製 Eガラスチョップドストランド(ECS−03T747H)
(c−2) 石原産業製 針状酸化チタン(FTL−300)。
(c−1) 日本電気硝子製 Eガラスチョップドストランド(ECS−03T747H)
(c−2) 石原産業製 針状酸化チタン(FTL−300)。
添加剤(d)
(d−1)無水フタル酸 東京化成製
(d−2)エチニルベンゼン 東京化成製。
(d−1)無水フタル酸 東京化成製
(d−2)エチニルベンゼン 東京化成製。
実施例1
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸870重量部、4,4´−ジヒドロキシビフェニル351重量部、ハイドロキノン89重量部、テレフタル酸292重量部、イソフタル酸157重量部および無水酢酸1433重量部(フェノール性水酸基合計の1.08当量)、4−エチニルフタル酸無水物3.1重量部(液晶性ポリエステル理論収量100重量部に対して0.2重量部)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら145℃で2時間反応させた後、320℃まで4時間で昇温した。その後、重合温度を320℃に保持し、1.0時間で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に90分間反応を続け、トルクが20kg・cmに到達したところで重縮合を完了させた。次に反応容器内を1.0kg/cm2(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズした。
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸870重量部、4,4´−ジヒドロキシビフェニル351重量部、ハイドロキノン89重量部、テレフタル酸292重量部、イソフタル酸157重量部および無水酢酸1433重量部(フェノール性水酸基合計の1.08当量)、4−エチニルフタル酸無水物3.1重量部(液晶性ポリエステル理論収量100重量部に対して0.2重量部)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら145℃で2時間反応させた後、320℃まで4時間で昇温した。その後、重合温度を320℃に保持し、1.0時間で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に90分間反応を続け、トルクが20kg・cmに到達したところで重縮合を完了させた。次に反応容器内を1.0kg/cm2(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズした。
この液晶性ポリエステル組成物のTm(液晶性ポリエステルの融点)は311℃、ペンタフルオロフェノール/クロロホルム=50/50混合溶媒を使用してGPC−LS(ゲル浸透クロマトグラフ−光散乱)法により測定した数平均分子量が14800であり、高化式フローテスター(オリフィス0.5φ×10mm)を用い、温度324℃、剪断速度1000/sで測定した溶融粘度が31Pa・sであった。
1H−核磁気共鳴スペクトル(ペンタフルオロフェノール溶媒、500MHz)により末端構造を調べた結果、アセチル基と水酸基とカルボキシル基の比率が1/58/41であった。また、テレフタル酸由来の構造単位とイソフタル酸由来の構造単位の和に対する、ヒドロキノン由来の構造単位と4,4´−ジヒドロキシビフェニル由来の構造単位の和の比は1.001であった。
実施例2〜16、比較例1〜9
東芝機械製TEM35B型2軸押出機(噛み合い型同方向)に、シリンダーC1(元込めフィーダー側ヒーター)〜C6(ダイ側ヒーター)の、C3部にサイドフィーダーを設置し、C5部に真空ベントを設置した。
東芝機械製TEM35B型2軸押出機(噛み合い型同方向)に、シリンダーC1(元込めフィーダー側ヒーター)〜C6(ダイ側ヒーター)の、C3部にサイドフィーダーを設置し、C5部に真空ベントを設置した。
ニーディングブロックをC2部、C4部に組み込んだスクリューアレンジを用い、液晶性ポリエステル(a−1〜a−4)および化合物(b−1、b−2)を表1に示す配合量でホッパーから投入し、場合によって充填材(c−1、c−2)、添加剤(d−1、d−2)を液晶性ポリエステル組成物の合計100重量部に対して表1に示す配合量でサイドから投入し、シリンダー温度を液晶性ポリエステル(a)の融点+10℃に設定し、溶融混練してペレットとした。
得られた液晶性ポリエステル組成物のペレットを熱風乾燥後、ファナックα30C射出成形機(ファナック製)に供し、射出圧力を下限圧×1.1(MPa)、射出速度を120mm/sの一速一圧の条件で成形し、成形品(3.2mm厚×12.7mm巾×127mm)を得て、下記(1)〜(3)の評価を行った。結果は表1、2に示す。
(1)ガス量
上記成形品を融点+10℃、窒素雰囲気下において60分間保持した際の重量減少率(重量%)を評価した。
上記成形品を融点+10℃、窒素雰囲気下において60分間保持した際の重量減少率(重量%)を評価した。
(2)剛性
上記成形品の比重をASTM D 792−08規格に準拠して測定し、また曲げ弾性率をASTM D 790−03規格(スパン間距離L/板厚D=16)に準拠した曲げ弾性率にて評価し、剛性(GPa)=曲げ弾性率(GPa)/比重を算出した。
上記成形品の比重をASTM D 792−08規格に準拠して測定し、また曲げ弾性率をASTM D 790−03規格(スパン間距離L/板厚D=16)に準拠した曲げ弾性率にて評価し、剛性(GPa)=曲げ弾性率(GPa)/比重を算出した。
(3)耐熱性
上記成形品の荷重たわみ温度(℃)をASTM D648−06(1.82MPa)に従って測定した。
上記成形品の荷重たわみ温度(℃)をASTM D648−06(1.82MPa)に従って測定した。
表1、2から、本発明の液晶性ポリエステル組成物は、低ガス性に優れ、高剛性であり、耐熱性が向上していることがわかる。また、その効果は水酸基末端基濃度の高い液晶性ポリエステル(a−3、5)を用いた場合に高いことがわかる。
化合物(b)は、4−エチニルフタル酸無水物(b−1)を用いると効果が高く、配合量としては、液晶性ポリエステル100重量部に対して0.2重量部を配合した場合に最も高い効果が得られることがわかる。
添加方法としては、重合時添加よりも溶融混練の方が高い効果が得られていることがわかる。
本発明の液晶性ポリエステル組成物は、低ガス性や高剛性、耐熱性が要求されるリレーケースやランプハウジングなどに有用である。
Claims (6)
- 化合物(b)が4−エチニルフタル酸無水物である請求項1記載の液晶性ポリエステル組成物。
- 液晶性ポリエステル(a)が、構造単位(I)、(II)、(III)、(V)、(VI)からなる請求項1または2に記載の液晶性ポリエステル組成物。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の液晶性ポリエステル組成物100重量部に対して充填材10〜100重量部を配合してなる液晶性ポリエステル組成物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の液晶性ポリエステル組成物を射出成形してなる成形品。
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JP2009290316A Pending JP2011132282A (ja) | 2009-12-22 | 2009-12-22 | 液晶性ポリエステル組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2011132282A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013224424A (ja) * | 2012-04-20 | 2013-10-31 | Samsung Electro-Mechanics Co Ltd | 基板絶縁層組成物、これを用いるプリプレグ及び基板 |
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2009
- 2009-12-22 JP JP2009290316A patent/JP2011132282A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2013224424A (ja) * | 2012-04-20 | 2013-10-31 | Samsung Electro-Mechanics Co Ltd | 基板絶縁層組成物、これを用いるプリプレグ及び基板 |
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