JP2011114859A - 圧電発振器の温度補償方法、圧電発振器 - Google Patents
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Abstract
【課題】圧電発振器の温度補償方法、及び圧電発振器を提供する。
【解決手段】周波数温度特性にヒステリシス特性を有する圧電振動子12と、前記圧電振動子12を発振させて発振信号58を出力する発振回路14と、を備え、前記圧電振動子12の発振周波数の温度特性を示す周波数温度情報76と、前記発振信号58の発振時の前記圧電振動子12の温度情報と、を用いて温度補償量80を算出可能な温度補償回路40に、前記発振信号58と前記周波数温度情報76を出力する圧電発振器10の温度補償方法であって、前記圧電振動子12の周囲温度を上昇させた場合に生成される前記圧電振動子12の昇温周波数温度情報77aと、前記周囲温度を下降させた場合に生成される前記圧電振動子12の降温周波数温度情報77bと、の中間値を前記周波数温度情報76として算出することを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】周波数温度特性にヒステリシス特性を有する圧電振動子12と、前記圧電振動子12を発振させて発振信号58を出力する発振回路14と、を備え、前記圧電振動子12の発振周波数の温度特性を示す周波数温度情報76と、前記発振信号58の発振時の前記圧電振動子12の温度情報と、を用いて温度補償量80を算出可能な温度補償回路40に、前記発振信号58と前記周波数温度情報76を出力する圧電発振器10の温度補償方法であって、前記圧電振動子12の周囲温度を上昇させた場合に生成される前記圧電振動子12の昇温周波数温度情報77aと、前記周囲温度を下降させた場合に生成される前記圧電振動子12の降温周波数温度情報77bと、の中間値を前記周波数温度情報76として算出することを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、GPS(Grobal Positioning System)衛星からの測位信号に基づいて位置計測を行う圧電発振器の温度補償に係り、特に温度補償機能を外部に委ねる圧電発振器であるTSXO(Temperature Sensor Xtal Oscillator)に搭載され、外部の温度補償回路に供される圧電発振器の温度補償に関する。
GPS機能を備えた携帯電話機等の受信装置、及びGPS受信機能を備えた携帯電話器等は、複数のGPS衛星から送信される測位信号を復調・解析して現在位置を測定するものである。これらの受信装置に使用される基準発振器としては、温度による周波数変化の小さい温度補償型圧電発振器TCXO(Temperature Compensated Xtal Oscilalator)が、広く使用されている。その理由は、受信装置に内蔵された発振器の周波数精度が高いほど、GPS衛星から送信される測位信号を捕捉するためのサーチ範囲を狭めることができ、結果的にサーチ時間を短縮して、すなわちGPS衛星の測位信号を捕捉する時間を短縮して、短時間で測位を行うことができる。
一方、上述の受信装置等は装置の電源投入時等の立ち上げ時において、装置全体で温度が短時間に上昇したり、携帯電話等においては屋外から屋内、屋内から屋外に移動したときに温度が急激に変動するため、発振器内での温度が安定するまで温度補償が不安定になる問題があった。この問題を解決するため、ユーザー側で温度変化に対して高速で応答できる温度補償回路を独自に構築し、発振器側から発振器に搭載された圧電振動子の温度情報を取得して、これにより温度補償を適切に行なう要請がなされている。よって、これに対応するため、発振回路側として温度補償回路を不要とするTSXOが適用され、TSXOは、搭載された圧電振動子の温度をユーザー側に出力する温度センサーと、搭載された圧電振動子の周波数温度情報(温度係数)を記憶し、ユーザー側に周波数温度情報を出力する記憶回路を搭載している(特許文献1参照)。
厚みすべり振動を利用した水晶振動子を使用する場合、発振器から出力される発振信号は、正の3次曲線を描く温度依存性を有するが、上述のTSXOを搭載しユーザー側でTSXOに接続した温度補償回路を有するGPSシステム等においては、温度センサーから得た温度情報と、記憶回路から得た周波数温度情報をもとに、どの温度においても周波数が一定となるように温度補償回路において温度補償量を算出して周波数補正を掛けている。
ここで、記憶回路に記憶している周波数温度情報は製造検査工程時に取得したものであるため、製造時のスループットの観点から、温度上昇時、または温度下降時のいずれか一方の温度変化した際の周波数温度情報を取得し、記憶回路に記憶するのが一般的である。
ところで、水晶振動子の周波数温度特性は、ヒステリシス特性を有している。ヒステリシス特性を有するとは、温度上昇時と下降時において水晶振動子の温度依存性が異なることを意味する。この原因は、温度変化に対する水晶振動子の歪み応力の変化が実際の温度変化に追従できないことや、発振器中の支持構造・接着剤・溶着合金・電極等の熱歪変化等によるもので、水晶振動子を小型化するほど顕著に現れる。
ところで、上述のGPS機能を搭載した携帯電話端末などの高精度の電子機器の分野においては、周波数偏差(Δf/f0)の許容範囲が非常に狭く、例えば、−30℃〜85℃の温度範囲では周波数偏差(Δf/f0)は±0.5ppm以内であることが要求される。
そのため、従来のように、温度上昇時、または温度下降時のどちらか一方に温度変化した際の周波数温度情報を取得して、記憶回路に記憶する方法では、一方向の周波数温度情報しか保存されていないため、周波数温度情報を取得する際と逆方向に温度が変化した場合、システムとして周波数補正をかけてもヒステリシス特性に起因する発振周波数の差分についてはそのまま補正誤差として残ることになる。したがって、これが原因となって、測位にかかる時間が長くなり、結果的に測位誤差が生じたり、GPS衛星との同調が不調となる虞がある、といった問題があった。
そこで本発明は、上記問題点に着目し、圧電振動子の発振周波数のヒステリシス特性の影響を小さくして、安定した発振周波数で発振可能な圧電発振器の温度補償方法、圧電発振器を提供することを目的とする。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の適用例として実現することが可能である。
[適用例1]周波数温度特性にヒステリシス特性を有する圧電振動子と、前記圧電振動子を発振させて発振信号を出力する発振回路と、を備え、前記圧電振動子の発振周波数の温度特性を示す周波数温度情報と、前記発振信号の発振時の前記圧電振動子の温度情報と、を用いて温度補償量を算出可能な温度補償回路に、前記発振信号と前記周波数温度情報を出力する圧電発振器の温度補償方法であって、前記圧電振動子の周囲温度を上昇させた場合に生成される前記圧電振動子の昇温周波数温度情報と、前記周囲温度を下降させた場合に生成される前記圧電振動子の降温周波数温度情報と、の中間値を前記周波数温度情報として算出することを特徴とする圧電発振器の温度補償方法。
[適用例1]周波数温度特性にヒステリシス特性を有する圧電振動子と、前記圧電振動子を発振させて発振信号を出力する発振回路と、を備え、前記圧電振動子の発振周波数の温度特性を示す周波数温度情報と、前記発振信号の発振時の前記圧電振動子の温度情報と、を用いて温度補償量を算出可能な温度補償回路に、前記発振信号と前記周波数温度情報を出力する圧電発振器の温度補償方法であって、前記圧電振動子の周囲温度を上昇させた場合に生成される前記圧電振動子の昇温周波数温度情報と、前記周囲温度を下降させた場合に生成される前記圧電振動子の降温周波数温度情報と、の中間値を前記周波数温度情報として算出することを特徴とする圧電発振器の温度補償方法。
上記方法により、温度補償回路においては、圧電振動子の周囲温度を上昇させた場合に生成される昇温周波数温度情報と、周囲温度を下降させた場合の降温周波数温度情報との中間値となる周波数温度情報が入力され、周波数温度情報と圧電振動子の発振時の圧電振動子の温度情報とを用いて基準周波数からの周波数偏差を算出し、これにより温度補償量を算出することになる。よって、周囲温度が上昇している場合でも、下降している場合でも圧電振動子のヒステリシス特性に起因する補正誤差を一定の範囲に抑制することができる。
[適用例2]前記周波数温度情報を、前記昇温周波数温度情報から算出され、前記発振周波数の連続的な温度特性を示す第1の近似曲線情報と、前記降温周波数温度情報から算出され、前記発振周波数の連続的な温度特性を示す第2の近似曲線情報と、の中間値として算出された第3の近似曲線情報から抽出することを特徴とする適用例1に記載の圧電発振器の温度補償方法。
上記方法により、周波数温度情報は温度変化に対して連続的に変化する中間近似曲線情報から抽出する。一方、温度補償回路では周波数温度情報を元に温度変化に対して連続的に変化する発振周波数の近似曲線を形成している。したがって温度補償回路で算出される近似曲線は第3の近似曲線となるので、温度補償を高精度に行うことができる。また、昇温周波数温度情報と降温周波数情報は同一の温度位置で測定する必要はないので、周波数温度情報の生成の歩留を高め、コストを抑制することができる。
[適用例3]前記周波数温度情報を、温度情報と、前記温度情報に対応した発振周波数の情報、若しくは前記温度情報に対応した基準周波数からの周波数偏差の情報により生成することを特徴とする適用例1または2に記載の圧電発振器の温度補償方法。
これにより、圧電発振器側で温度係数を生成する演算が不要となるため圧電発振器形成時の作業負担を抑制してコストを抑制することができる。この場合、ユーザー側で温度情報のプロットに重なるべき級数の温度係数を演算して温度補償量を算出することになるが、ユーザー側で独自に正確な温度係数を演算することができる。
[適用例4]前記周波数温度情報を、前記第3の近似曲線情報から抽出される温度係数の情報により生成することを特徴とする適用例2に記載の圧電発振器の温度補償方法。
これにより、温度補償回路においては温度係数を算出するための演算が不要となるため、ユーザー側の負担を軽減して圧電発振器を搭載したシステムの構築を容易に行うことができる。
[適用例5]前記昇温周波数温度情報を、前記降温周波数温度情報と前記周囲温度を基準温度領域に上昇させて測定した温度と周波数の情報と、を用いて近似的に算出することを特徴とする適用例1乃至4のいずれか1例に記載の圧電発振器の温度補償方法。
昇温周波数温度情報と降温周波数温度情報との周波数成分の差分をとると基準温度領域において差分が最も大きくなり、基準温度から離れるほど小さくなる。よって昇温周波数温度情報は、降温周波数温度情報と、圧電振動子の周囲温度を基準温度領域に上昇させて測定した温度と周波数の情報と、を用いて近似的に算出することができる。したがって、温度上昇時の温度と周波数との情報は基準温度領域のみ取得すればよく、基準温度より高い高温領域まで温度を上昇させる工程が不要になる。したがって昇温周波数温度情報の取得時間を短縮することができるため、作業負担を削減してコストを抑制することができる。
[適用例6]前記降温周波数温度情報を、前記昇温周波数温度情報と前記周囲温度を基準温度領域に下降させて測定した温度と周波数の情報と、を用いて近似的に算出することを特徴とする適用例1乃至4のいずれか1例に記載の圧電発振器の温度補償方法。
適用例5と同様の理由により、降温周波数温度情報は昇温周波数温度情報と圧電振動子の周囲温度を基準温度領域に下降させて測定した温度と周波数の情報とを用いて近似的に算出することができる。さらに温度下降時は基準温度領域を測定すればよく、基準温度より低い低温領域を測定する必要はない。したがって降温周波数温度情報の取得時間を短縮することができるため、作業負担を削減してコストを抑制することができる。
[適用例7]前記周囲温度に対応した検出電圧を出力する温度検出手段を前記圧電振動子に隣接して配設し、前記昇温周波数温度情報及び前記降温周波数温度情報を、前記検出電圧の関数として生成し、前記周波数温度情報を、前記昇温周波数温度情報及び前記降温周波数温度情報に基づいて算出し、前記周波数温度情報と前記検出電圧とに基づいて温度補償量を算出可能な温度補償回路に前記発振信号を出力し、前記温度検出手段から前記温度補償回路に前記検出電圧を出力することを特徴とする適用例1乃至6のいずれか1例に記載の圧電発振器の温度補償方法。
上記方法により、温度検出手段は圧電振動子の周囲温度を測定誤差を抑制して測定することができるので、昇温周波数温度情報及び降温周波数温度情報を高精度に生成して、周波数温度情報を高精度に算出することができる。さらに圧電振動子の温度情報をリアルタイムでかつ高精度に測定できるので、温度補償回路における補正誤差を抑制して、温度補償を高精度に行なうことができる。
[適用例8]周波数温度特性にヒステリシス特性を有する圧電振動子と、前記圧電振動子を発振させて発振信号を出力する発振回路と、記憶回路と、を有し、前記記憶回路には、前記ヒステリシス特性の影響を受けて表れた前記発振信号の2つの周波数温度特性に囲まれた領域にある周波数温度特性を示す周波数温度情報が記憶されていることを特徴とする圧電発振器。
2つの周波数温度特性とは、圧電振動子の温度上昇時の周波数温度特性と、温度下降時の周波数温度特性とを言う。上記構成において、圧電発振器を温度補償回路に接続した場合、温度補償回路においては、圧電振動子の2つの周波数温度特性に囲まれた領域にある周波数温度情報と、圧電振動子の発振時の圧電振動子の温度情報とを用いて基準周波数からの周波数偏差を算出し、これにより温度補償量を算出することになる。よって、周囲温度が上昇している場合でも、下降している場合でも圧電振動子のヒステリシス特性に起因する補正誤差を一定の範囲に抑制することが可能な圧電発振器となる。さらに記憶回路には昇温周波数温度情報、降温周波数温度情報、またはこれらから抽出した温度情報を格納する必要はないので記憶回路の容量負担の増大を回避することができる。
[適用例9]前記周波数温度情報は、温度情報と、前記温度情報に対応した発振周波数の情報、若しくは前記温度情報に対応した基準周波数からの周波数偏差の情報により生成したものであることを特徴とする適用例8に記載の圧電発振器。
これにより、圧電発振器側で温度係数を生成する演算が不要となるため圧電発振器形成時の作業負担を抑制してコストを抑制することが可能な圧電発振器となる。特に周波数偏差を記憶する場合は、桁が小さくなるためデータの容量を小さくすることが可能であり、記憶回路を小型化してコストを抑制することができる。
[適用例10]前記周波数温度情報は、前記周波数温度特性に対応したべき級数による近似曲線情報から抽出した温度係数であることを特徴とする適用例8に記載の圧電発振器。
これにより、圧電発振器を温度補償回路に接続した場合、温度補償回路においては温度係数を生成する演算が不要となるため、ユーザー側の負担を軽減して発振回路を搭載したシステムの構築を容易に行うことが可能な圧電発振器となる。
[適用例11]前記周囲温度に対応した検出電圧を出力する温度検出手段が前記圧電振動子に隣接して設けられるとともに、前記周波数温度情報は、前記検出電圧の関数として表された前記昇温周波数温度情報及び前記降温周波数温度情報に基づいて算出して前記記憶回路に記憶され、前記発振回路は、前記周波数温度情報と前記検出電圧を用いて温度補償量を算出する温度補償回路に発振信号を出力し、前記温度検出手段は、前記温度補償回路に前記検出電圧を出力することを特徴とする適用例8乃至10のいずれか1例に記載の圧電発振器。
上記構成により、温度検出手段は圧電振動子の周囲温度を測定誤差を抑制して測定することができるので、昇温周波数温度情報及び降温周波数温度情報を高精度に算出して、周波数温度情報を高精度に得ることができる。さらに圧電振動子の温度情報をリアルタイムでかつ高精度に測定できるので、温度補償回路における補正誤差を抑制して、温度補償を高精度に行なうことが可能な圧電発振器となる。
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
図1に発振回路システムであり、温度補償回路に接続された本実施形態に係る圧電発振器を示す。本実施形態に係る圧電発振器10は、周波数温度特性にヒステリシス特性を有する圧電振動子12と、前記圧電振動子12を発振させて発振信号58を出力する発振回路14と、記憶回路20と、を有し、前記記憶回路20には、前記ヒステリシス特性の影響を受けて表れた前記発振信号の2つの周波数温度特性に囲まれた領域にある周波数温度特性を示す周波数温度情報76が記憶されたものである。ここで、2つの周波数温度特性とは、圧電振動子12の温度上昇時の周波数温度特性と温度下降時の周波数温度特性とを言い、基準温度を中心として2つの特性曲線に囲まれた領域が現れる。また圧電発振器10は動作時には温度補償回路40に接続される。
よって、本実施形態にかかる圧電発振器10を、より詳細に述べると、周波数温度特性にヒステリシス特性を有する圧電振動子12と、前記圧電振動子12を発振させて発振信号58を出力し、前記圧電振動子12の発振周波数の温度特性を示す周波数温度情報76と、前記発振信号58の発振時の前記圧電振動子12の温度情報と、を用いて温度補償量80を算出可能な温度補償回路40に前記発振信号58を出力する発振回路14と、前記圧電振動子12の周囲温度を上昇させた場合に生成される前記圧電振動子12の昇温周波数温度情報77aと、前記周囲温度を下降させた場合に生成される前記圧電振動子12の降温周波数温度情報77bと、の中間値を前記周波数温度情報76として記憶し前記温度補償回路40に前記周波数温度情報76を出力する記憶回路20と、を有するものである。
さらに、前記周囲温度に対応した検出電圧66を出力する温度検出手段(温度センサー16)が前記圧電振動子12に隣接して設けられるとともに、前記周波数温度情報76は、前記検出電圧66の関数として表された昇温周波数温度情報77a及び降温周波数温度情報77bに基づいて算出して前記記憶回路20に記憶され、前記発振回路14は、前記周波数温度情報76と前記検出電圧66を用いて温度補償量80を算出する温度補償回路40に発振信号58を出力し、前記温度検出手段は、前記温度補償回路40に前記検出電圧66を出力するものである。
したがって上記構成を用いた圧電発振器10の温度補償方法は、周波数温度特性にヒステリシス特性を有する圧電振動子12と、前記圧電振動子12を発振させて発振信号58を出力する発振回路14と、を備え、前記圧電振動子12の発振周波数の温度特性を示す周波数温度情報76と、前記発振信号58の発振時の前記圧電振動子12の温度情報と、を用いて温度補償量80を算出可能な温度補償回路40に、前記発振信号58と前記周波数温度情報76を出力する圧電発振器10の温度補償方法であって、前記圧電振動子12の周囲温度を上昇させた場合に生成される前記圧電振動子12の昇温周波数温度情報77aと、前記周囲温度を下降させた場合に生成される前記圧電振動子12の降温周波数温度情報77bと、の中間値を前記周波数温度情報76として算出するものである。
さらに、前記周囲温度に対応した検出電圧66を出力する温度検出手段(温度センサー16)を前記圧電振動子12に隣接して配設し、前記昇温周波数温度情報77a及び前記降温周波数温度情報77bを、前記検出電圧66の関数として生成し、前記周波数温度情報76を、前記昇温周波数温度情報77a及び前記降温周波数温度情報77bに基づいて算出し、前記周波数温度情報76と前記検出電圧66とに基づいて温度補償量80を算出可能な温度補償回路40に前記発振信号58を出力し、前記温度検出手段から前記温度補償回路40に前記検出電圧66を出力するものである。
本実施形態の圧電発振器の構成を説明する前に本実施形態の圧電発振器10の温度補償の仕方について図を用いて説明する。周波数温度情報76は、発振回路14の発振信号58にヒステリシス特性を伴い現れる2つの周波数温度特性の中間値の周波数温度特性に関わるデータである。すなわち、図5は周波数温度情報76について説明した図である。
図5に示す昇温周波数温度情報77aは、ATカット水晶振動子である圧電振動子12の周囲温度を圧電振動子12の基準温度(例えば25℃)を跨ぐように−30℃から+85℃へと上昇させた間における所定温度ごとの発振回路14の発振信号58の周波数のプロットである。また降温周波数温度情報77bは、圧電振動子12の周囲温度を+85℃から−30℃へと下降させた間における所定温度ごとの発振回路14の発振信号58の周波数のプロットである。
第1の近似曲線情報70は、昇温周波数温度情報77aに対応して後述の数式1の温度係数を算出して生成されたものであり、温度変化に対して連続的に周波数が算出可能となる曲線である。第2の近似曲線情報72は、降温周波数温度情報77bに対応して後述の数式1の温度係数を算出して生成されたものであり、温度変化に対して連続的に周波数が算出可能となる曲線である。第3の近似曲線情報74は、第1の近似曲線情報70と第2の近似曲線情報72との中間値として生成されたものである。よって第3の近似曲線情報74から周波数温度情報76で必要となる温度情報及び前記温度情報における周波数を抽出することにより、周波数温度情報76を生成することができる。ここで、中間値とは、2つの周波数温度特性、すなわち第1の近似曲線情報70、第2の近似曲線情報72(昇温周波数温度情報77a、降温周波数温度情報77b)の一の温度位置において、加算平均等して得られる周波数方向の中間の値のみならず、ヒステリシス特性によって囲まれた領域内において周波数方向に変位した値も含むものとする。
このようにして生成された周波数温度情報76は、後述する温度補償用の多項式(数式1)のパラメータ(係数)を近似計算して求める際に利用される。
このようにして生成された周波数温度情報76は、後述する温度補償用の多項式(数式1)のパラメータ(係数)を近似計算して求める際に利用される。
温度補償回路40は、周波数温度情報76を使った近似計算により周波数温度補償用の多項式形成に必要な係数を算出し、周波数温度補償用の多項式を決定する。そして更に温度補償回路40は、発振回路14の発振信号58の発振周波数に対して周波数温度補償用の多項式と温度センサー16によって検出された温度の情報(検出電圧66)を用いて決定された温度補償量80(周波数補正量)に応じた周波数の補正を行い温度補償された発振信号68を出力する。
したがって、本実施形態に係る圧電発振器10を備えた発振回路システムの温度補償方法においては、周波数温度情報76に基づいて温度変化に対して連続的周波数温度特性を有する周波数温度特性の情報またはこれを補正する周波数温度補償用の多項式(第3の近似曲線情報74)に必要な係数を算出する。そして前記周波数温度特性の情報または係数によって決定される多項式と温度センサー16により検出された温度の情報(検出電圧66)を用いて温度補償量80を算出して得られた情報に基づき発振回路14からの発振信号58に分周などの周波数制御を行い温度補償が行なわれた発振信号68を出力する。そしてこのような温度補償方法を実現するため、圧電発振器10においては少なくとも圧電振動子12と、発振回路14と、温度センサー16と、記憶回路20を備える必要がある。
次に、昇温周波数温度情報77aと降温周波数温度情報77bの生成プロセスについて説明する。
本実施形態の圧電発振器10(圧電振動子12)を、例えば温度設定可能なチャンバー(不図示)内に収めた後、圧電発振器10(圧電振動子12)の周囲温度を低温から高温へ向かって変化させるとともに、温度変化の途中で複数の温度点における発振回路14の発振信号58の周波数を測定する第1の温度試験を行なう。
本実施形態の圧電発振器10(圧電振動子12)を、例えば温度設定可能なチャンバー(不図示)内に収めた後、圧電発振器10(圧電振動子12)の周囲温度を低温から高温へ向かって変化させるとともに、温度変化の途中で複数の温度点における発振回路14の発振信号58の周波数を測定する第1の温度試験を行なう。
すなわち、第1の温度試験において、圧電振動子12がATカット水晶振動子の場合を例に説明すると、圧電振動子12の周囲温度を例えば−30℃から+85℃に向かって上昇させるとともに、この間において複数の温度点における発振回路14の発振信号58の周波数を測定することにより昇温周波数温度情報77aを生成する。複数の温度点として例えば、図5(a)に示す例では、設定温度範囲の端の温度になる−30℃(設定最低温度)、+85℃(設定最高温度)及び周波数温度特性の曲線の情報(第3の近似曲線情報74と同様)の変曲点近くの+25℃(基準温度)の他に、前記曲線の極大値または極小値の発生する付近の温度点またはこの極値と端の温度の間や極値と基準温度の間の温度点などからなる7つの温度点(昇温周波数温度情報77a)としている。ここで昇温周波数温度情報77aは、圧電発振器10の設定温度(或いは測定温度)の情報と、その設定温度(或いは測定温度)における発振回路14の発振信号58の周波数の情報とから構成されている。
第1の温度試験の後、この試験とは逆方向の温度変化傾向となるよう圧電発振器10(圧電振動子12)の周囲温度を高温から低温に向かって変化させるとともに、温度変化の途中で複数の温度点における発振回路14の発振信号58の周波数を測定する第2の温度試験を行なう。
第2の温度試験においても、圧電振動子12がATカット水晶振動子の場合を例に説明すると、圧電発振器10(圧電振動子12)の周囲温度を+85℃から−35℃へ向かって下降させるとともに、この間において複数の温度点における発振回路14の発振信号58の周波数を測定することによって降温周波数温度情報77bを生成する。
複数の温度点として例えば、図5(a)に示す例では、可変温度範囲の端の温度になる−30℃(設定最低温度)、+85℃(設定最高温度)及び周波数温度特性の情報の曲線(第3の近似曲線情報74と同様)の変曲点近くの+25℃(基準温度)の他に、前記曲線の極大値または極小値の発生する付近の温度点またはこの極値と端の温度の間や極値と基準温度の間の温度点などからなる7つの温度点(降温周波数温度情報77b)としている。ここで降温周波数温度情報77bは、圧電発振器10の設定温度(或いは測定温度)の情報と、その設定温度(或いは測定温度)における発振回路14の発振信号58の周波数の情報とから構成されている。
そして昇温周波数温度情報77aに対応した第1の近似曲線情報70、及び降温周波数温度情報77bに対応した第2の近似曲線情報72を算出し、第1の近似曲線情報70と第2の近似曲線情報72の各温度係数の加算平均等により生成された中間値となる温度係数により第3の近似曲線情報74を生成する。そして第3の近似曲線情報74から周波数温度情報76が要求する温度の情報と、温度の情報に対応する周波数を抽出することにより周波数温度情報76を生成する。そしてこのように得られた周波数温度情報76を記憶回路20に記憶する。
このとき図5(a)に示す例において、周波数温度情報76が示す温度点としては、可変温度範囲の端の温度になる−35℃、+85℃、第1の近似曲線情報70及び第2の近似曲線情報72の変曲点近くの+25℃(基準温度)、第1の近似曲線情報70及び第2の近似曲線情報72の極大値または極小値となる極値付近の温度点、またはこの極値と端の温度との間や極値と基準温度の間の温度点などからなる7つの温度点としている。
また設定最低温度と設定最高温度の設定値については、少なくとも圧電発振器10に求められる動作可能な温度範囲から決定すればよく、測定点となる温度点においても周波数温度特性の情報である曲線を近似計算にて求められるような周波数情報が得られる位置であればよい。
また、可変温度範囲の端の温度点など、昇温周波数温度情報77aと降温周波数温度情報77bが示す周波数の値が比較的近いような温度点では、周波数温度情報76の周波数に関わる情報と昇温周波数温度情報77aまたは降温周波数温度情報77bの周波数に関わる情報とが一致しても構わない。すなわち、上述の温度点においては、周波数温度情報76の周波数の情報として、昇温周波数温度情報77aまたは降温周波数温度情報77bの周波数の情報をそのまま取り入れてもよい。
次に本実施形態の具体的構成について説明する。本実施形態の圧電発振器10の具体的構成は、シリコン基板(不図示)上にパターニングにより、発振回路14、温度センサー16、バッファー18、記憶回路20、シリアルインターフェース回路22、電源端子36、グランド端子38等の各端子が形成された半導体回路基板を備え、発振回路14と圧電振動子12が接続された構造を有している。さらに図1に示すように、圧電発振器10の接続対象となる温度補償回路40は、周波数補正回路42、演算処理回路であるCPU44、記憶装置であるメモリ46、アナログ/デジタル変換器であるA/D変換器48を有し、上述したシリコン基板上またはこれとは別のシリコン基板上に集積回路構成されている。また周波数温度情報76を算出する際には図2に示すように、圧電発振器10は測定器50に接続され、測定器50は、周波数カウンタ52、PC(パーソナルコンピューター)54、電圧マルチメータ56を有する。
圧電振動子12は、水晶、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム等の圧電材料から形成されるが、比較的周波数温度特性に優れ、周波数の温度補償量を抑制可能なATカット水晶振動子を用いることが好適である。このATカットによる厚みすべり振動を用いた圧電振動子の共振周波数は、基準温度(25℃)を中心として正の3次曲線、または図5(a)に示すように基準温度よりも低温側に極大値、高温側に極小値を有する多項式関数にて表される温度依存性を有している。
発振回路14は、圧電振動子12を発振源とする例えばコルピッツ型の発振回路であり、発振周波数出力端子24を介して温度補償回路40、または測定器50に発振信号58を出力する。
温度センサー16は、ダイオード構造を有しており、順方向電流を流し、温度によって変化するダイオードの端子間電位である検出電圧66を、バッファー18を介して温度センサー電圧出力端子34から温度補償回路40または測定器50に出力するものである。また温度センサー16は電源電圧(VDD)から電力が供給される限り常時検出電圧66を出力するものとする。ここで検出電圧66は温度上昇とともに1次関数的に減少し、出力される検出電圧66は測定される温度に対応したものとなっている。なお、温度センサー16は圧電振動子12に隣接して配置することが望ましい、これにより圧電振動子12の周囲温度を正確に測定することができ、後述の昇温周波数温度情報77a、降温周波数温度情報77b、第1の近似曲線情報70、第2の近似曲線情報72、第3の近似曲線情報74、周波数温度情報76において、温度と周波数、若しくは周波数偏差との対応を正確に行なうことができる。
シリアルインターフェース回路22は、外部からの指令を受けて記憶回路20に周波数温度情報76を記憶したり、記憶回路20に記憶された周波数温度情報76を外部に出力するものである。シリアルインターフェース回路22は記憶回路20、温度センサー16に接続されており、データ入出力端子26、第1制御クロック入力端子28、第2制御クロック入力端子30を有している。
第1制御クロック入力端子28に第1の制御クロック60を入力すると、データ入出力端子26に入力されるシリアル化された周波数温度情報76を、第1の制御クロック60をトリガとして(第1の制御クロック60に同期して)記憶回路20に記憶する(書き込む)ことができる。第2制御クロック入力端子30に第2の制御クロック62を入力すると、記憶回路20に記憶された周波数温度情報76を、データ入出力端子26を介して第2の制御クロック62をトリガとしてシリアル化して出力することができる。
記憶回路20は、EEPROM等で形成され、シリアルインターフェース回路22を介して周波数温度情報76が記憶され(書き込まれ)、または周波数温度情報76を出力することができる。周波数温度情報76は、有限個のデータにより構成されているが、それぞれ測定器50中の演算機であるPC54、及び温度補償回路40中のCPU44が共通に認識できるアドレスが設けられている。
周波数温度情報76としては、後述の温度係数とオフセット係数との組み合わせ、または圧電振動子12の使用温度範囲から任意に選択した複数の温度情報と、前記複数の温度情報のそれぞれに対応した周波数の情報、若しくは前記複数の温度情報に対応する基準周波数からの周波数偏差の情報との組み合わせを用いることができる。このうち、複数の温度情報と、前記複数の温度情報のそれぞれに対応した基準周波数からの周波数偏差の情報との組み合わせは、発振周波数の絶対値を用いた場合より情報の桁数を小さくすることができるので、周波数温度情報76の容量が最も小さくなる。また周波数温度情報76として温度係数を記憶する場合は、温度そのものを記憶する必要はないので周波数温度情報76の容量を小さくすることができる。なお、周波数温度情報76として、上述の複数の温度情報と、前記複数の温度情報のそれぞれに対応した周波数の情報との組み合わせとした場合には、基準温度と基準温度における周波数の情報を取得するとともに、その組み合わせについて、PC54及びCPU44が他の情報と識別できるアドレスを付す必要がある。
図2に圧電発振器10と測定器50との接続図を示す。測定器50は、発振回路14に搭載された圧電振動子12の発振周波数の温度特性から温度補償回路40で用いられる周波数温度情報76を算出して記憶回路20に書き込むものであり、周波数カウンタ52、PC54、電圧マルチメータ56により構成される。周波数カウンタ52は、発振回路14に接続され、所定時間間隔ごとに発振回路14から出力される発振信号58の周波数を測定してPC54に出力することができる。電圧マルチメータ56は、温度センサー16からの検出電圧66をデジタルデータに変換してPC54に出力することができる。
PC54は、データ入出力端子26、第1制御クロック入力端子28、周波数カウンタ52、電圧マルチメータ56に接続されている。PC54は、キー操作等により周波数カウンタ52や電圧マルチメータ56を起動可能であるとともに、温度センサー16から電圧マルチメータ56を介して常時検出電圧66(周囲温度の情報)を入力している。またPC54は、インストールされたプログラムに従って所定の温度ごとに周波数を周波数カウンタ52から入力し、検出電圧66(周囲温度の情報)と周波数をPC内の記憶領域(不図示)に記憶する。
ここで、A、B、C、Dは周波数温度情報の近似曲線を決定する温度係数、Eは周波数温度情報のオフセットを決定するオフセット係数であり、温度係数に属するものである。そして温度補償回路40においては数式1に示すような温度変化に対して連続的に変化する周波数温度情報を算出する必要がある。
ところで、数式1においては変数が5つあるため、例えば、周波数温度情報76として、測定された周囲温度の情報(検出電圧66)と、周囲温度の情報に対応した基準周波数からの周波数偏差の情報との組み合わせが少なくとも5つあれば、これらをそれぞれ数式1に代入して、連立5元1次方程式を解くことにより数式1における変数を全て算出し近似曲線情報を算出することができる。さらに、上述のように7点の温度点における周波数の情報に基づき、最小二乗法等により数式1を満たす温度係数を算出することにより、より高精度な近似曲線を生成することが可能となる。しかし、圧電振動子はヒステリシス特性を有するため、温度上昇時の温度情報、及び温度下降時の温度情報を考慮する必要がある。
そこで圧電振動子12の周囲温度を、設定最低温度(−30℃)から基準温度(+25℃)を挟んで上昇させて設定最高温度(+85℃)に至るまでの間に、PC54はプログラム等により所定の温度間隔で周波数を測定(昇温周波数温度情報77a)し、その後設定最高温度から基準温度を挟んで低下させて設定最低温度に至るまで所定の温度間隔で周波数を測定(降温周波数温度情報77b)する。
そしてPC54は、温度上昇時に生成される昇温周波数温度情報77a(例えば、7点の温度と、温度に対応する周波数偏差)と数式1を用いて第1の近似曲線情報70(図5参照)を算出し、温度下降時に生成される降温周波数温度情報77b(例えば、7点の温度と、温度に対応する周波数偏差)と数式1を用いて第2の近似曲線情報72(図5参照)を算出する。
次に、例えば第1の近似曲線情報70と第2の近似曲線情報72の周波数の成分の加算平均をとる演算を行い、第1の近似曲線情報70と第2の近似曲線情報72の周波数成分の中間値となる第3の近似曲線情報74(図5参照)を算出する。同様にこれを他の温度(例えば−30℃〜+85℃の任意の温度)に対しても行なう。そして第3の近似曲線情報74から、温度補償回路40が第3の近似曲線情報74を算出しやすい複数の温度情報と前記温度情報に対応する周波数の組み合わせを適宜抽出し、温度補償回路40中のCPU44が認識できるアドレスを付して周波数温度情報76を生成する。
上述のようにPC54において周波数温度情報76を構築したのち、PC54は、第1制御クロック入力端子28に第1の制御クロック60を出力し、第1の制御クロック60に同期させてシリアルデータ化させた周波数温度情報76をデータ入出力端子26に出力し、シリアルインターフェース回路22を介して記憶回路20に周波数温度情報76を記憶させる。
図1に示すように、温度補償回路40は、圧電発振器10とは分離した外部システムの一部である。温度補償回路40は、PC54から記憶回路20に入力された周波数温度情報76を用いて、圧電振動子12の発振周波数の連続的な温度変化に対応した近似曲線情報(第3の近似曲線情報74と同様)を算出し、近似曲線情報と温度センサー16から常時入力される検出電圧66(周囲温度の情報)に基づいて温度補償量80を算出するものであり、周波数補正回路42、CPU44、メモリ46等から構成される。周波数補正回路42は、CPU44から出力される温度補償量80に対応して、発振信号58の周波数を可変させる回路であって、発振回路14に接続されて発振信号58が入力され、CPU44の制御のもと温度補償を行った発振信号68を出力するものである。
CPU44は、温度補償回路40の中核をなすものであって、記憶回路20から入力した周波数温度情報76から近似曲線情報(第3の近似曲線情報74と同じ)を算出し、近似曲線情報と温度センサー16から入力される検出電圧66(周囲温度の情報)に基づいて温度補償量80を算出して周波数補正回路42に出力するものである。なお、仮に記憶回路20に昇温周波数温度情報77aが記憶されるとCPU44は第1の近似曲線情報70と同様の近似曲線情報を算出し、降温周波数温度情報77bが記憶されるとCPU44は第2の近似曲線情報72と同様の近似曲線情報を算出することになる。
CPU44は、データ入出力端子26、第2制御クロック入力端子30、周波数補正回路42に接続され、さらに温度センサー16にA/D変換器48を介して接続されている。CPU44は、起動時に、プログラムにより第2制御クロック入力端子30に第2の制御クロック62を入力し、第2の制御クロック62に同期して記憶回路20内の周波数温度情報76を、シリアルインターフェース回路22を介してデータ入出力端子26から出力させ、CPU44に付属するメモリ46に記憶する。
記憶回路20に記憶された周波数温度情報76が圧電振動子12の使用温度範囲の複数の温度情報と、前記複数の温度情報のそれぞれに対応した周波数偏差との組み合わせである場合、CPU44は、周波数温度情報76と数式1を用いて、数式1における温度係数と、オフセット係数を上述の方法により算出し、付属のメモリ46に記憶可能な構成を有するものを用いる。また周波数温度情報76が上述の複数の温度情報と各温度情報に対応した周波数(絶対値)の情報である場合は、CPU44は周波数温度情報76中の基準温度の情報と基準温度で測定した周波数の情報のアドレスを識別可能とし、周波数温度情報76と数式1を用いて、数式1における温度係数と、オフセット係数を上述の方法により算出し、付属のメモリ46に記憶可能な構成を有するものを用いる。また記憶回路20に記憶された周波数温度情報76が温度係数とオフセット係数であれば、CPU44は、そのまま付属のメモリ46に記憶する構成を有するものを用いる。
またCPU44は、プログラム等により所定時間ごとに温度センサー16からの検出電圧66(周囲温度の情報)をA/D変換器48を介してデジタル化して入力し、付属のメモリ46に記憶する。そしてメモリ46から温度係数とオフセット係数を読み出して近似曲線(第3の近似曲線情報74)を算出し、さらにメモリ46から温度センサー16からの検出電圧66を読み出して、近似曲線(第3の近似曲線情報74)と検出電圧66から温度補償量80を算出し、温度補償量80を周波数補正回路42に出力する。よってCPU44は所定時間ごとに温度補償量80を算出して周波数補正回路42に出力する。これにより周波数補正回路42からは所定時間ごとに温度補償が行われた発振信号68が出力される。
上記実施形態においては、昇温周波数温度情報77aと降温周波数温度情報77bにおける周波数測定時の温度情報が互いに異なる場合、または周波数温度情報76において必要とする温度情報が昇温周波数温度情報77a及び降温周波数温度情報77bの温度情報と異なる場合は、数式1で表現される複数の近似曲線情報を用いて周波数温度情報76を生成する、ことを前提として述べてきた。
しかし、昇温周波数温度情報77a及び降温周波数温度情報77bの温度情報が互いに一致し、周波数温度情報76の要求する温度情報と一致する場合には、PC54は、昇温周波数温度情報77aと降温周波数温度情報77bにおいて同一の温度情報に対応する周波数の情報の加算平均等により周波数の中間値の情報を算出し、温度情報と前記中間値の情報との組み合わせにより周波数温度情報76を生成することが可能となる。この場合PC54は、第1の近似曲線情報70及び第2の近似曲線情報72を算出する必要はなく、圧電発振器10の製造工程を簡略化できるのでコストを抑制することができる。
また本実施形態において、周波数温度情報76は、圧電振動子12(または発振回路14)の周波数の温度特性を近似するための情報としたが、本発明にあってはこれに限られず、例えば、周波数補正回路42で出力すべき目標の周波数と圧電振動子12(または発振回路14)の周波数との差に係る情報として、前記差の情報、若しくは前記差の情報に目標の周波数の情報を加算した情報を記憶回路20に記憶しておき、この情報に基づき前記温度補償量80をCPU44で算出するようにしても良い。このとき、記憶回路20に記憶される情報は、目標の周波数と圧電振動子12(または発振回路14)の周波数との差の情報と、温度の情報とから構成されたものであり、或いは目標の周波数の圧電振動子12(または発振回路14)の周波数との差を近似するための近似式の情報(温度係数とオフセット係数)であっても良い。このようにすればCPU44における温度補償量80の計算を簡略化できる。
次に、本実施形態に係る圧電発振器10の作用効果について述べる。図3(a)に圧電振動子のヒステリシス特性、図3(b)は図3(a)の部分拡大図を示す。図4(a)に温度上昇時の昇温周波数温度情報を用いて温度補償を行った場合の温度補償回路から出力される発振信号の周波数偏差(温度上昇時、温度下降時)、図4(b)に温度下降時の降温周波数温度情報を用いて温度補償を行った場合の温度補償回路から出力される発振信号の周波数偏差(温度上昇時、温度下降時)を示す。図5(a)は本実施形態の周波数温度情報を示す図、図5(b)は図5(a)の部分拡大図、図5(c)は本実施形態の周波数温度情報を用いて温度補償を行った場合の温度補償回路から出力される発振信号の周波数偏差を示す。
従来技術でも述べたように、圧電振動子には図3に示すように温度上昇時、温度下降時において同一の周波数温度特性を有さずヒステリシス特性を有している。そこで、図3(a)、(b)に示すように温度補償回路40において温度上昇時の昇温周波数温度情報77aを用いた近似曲線(第1の近似曲線70)を算出し、これに基づいて温度補償を行うと、図4(a)に示すように、圧電発振器10の温度を上昇させたときの温度補償は良好に行われているが、逆に温度を下降させたときの温度補償は良好には行われず周波数偏差が0.5ppmを超えたものとなっている。
また図3(a)、(b)に示すように、温度補償回路40において温度下降時の降温周波数温度情報77bを用いた近似曲線(第2の近似曲線情報72)を算出し、これに基づいて温度補償を行うと、図4(b)に示すように、圧電振動子12の温度を下降させたときの温度補償は良好に行われているが、逆に温度を上昇させたときの温度補償は良好には行われず周波数偏差が0.5ppmとなっている。本実施形態が想定するGPS機能を有する機器にこのような周波数偏差が生じると、従来技術で述べたように測位性能に悪影響を及ぼすことになる。
一方、本実施形態の周波数温度情報76は、図5(a)、(b)に示すように、昇温周波数温度情報77aに対応して算出された第1の近似曲線情報70と、降温周波数温度情報77bに対応して算出された第2の近似曲線情報72と、の周波数方向の中間値として算出された第3の近似曲線情報74から抽出して形成されたものである。よって温度補償回路40においては、第3の近似曲線情報74と周囲温度の情報(検出電圧66)とを用いて基準周波数からの周波数偏差を算出し、これにより温度補償量80を算出することになる。よって、周囲温度が上昇している場合でも、下降している場合でも圧電振動子12のヒステリシス特性に起因する補正誤差を一定の範囲に抑制することができる。そして図5(c)に示すように、本実施形態においては、温度上昇時、温度下降時共に周数偏差を0.3ppm程度に抑えることができ、ヒステリシス特性を有する圧電振動子12に対して良好な温度補償を行うことができることがわかる。
ところで、本実施形態に係る圧電振動子12のヒステリシス特性は、基準温度近傍で最も顕著に現れ、基準温度から離れるほど小さくなり、設定最低温度(−30℃)、設定最高温度(+85℃)においては殆ど検出されない。よって昇温周波数温度情報77a及び降温周波数温度情報77bのいずれか一方の測定範囲を限定した上で近似的に算出し、本実施形態の周波数温度情報76を構築する時間を短縮することができる。
図6に圧電振動子の発振周波数の温度上昇時の周波数温度情報と、温度下降時の周波数温度情報の差分(ヒステリシス量)を示す。図6(a)に示すように、圧電振動子の発振周波数の温度上昇時の周波数温度情報77a(第1の近似曲線情報70、図3等参照)と温度下降時の周波数温度情報77b(第2の近似曲線情報72、図3等参照)の差分は、基準温度を中心として上に凸の2次関数的な形状を有していることが分かった。そこで、本発明は、基準温度におけるヒステリシス量から全体のヒステリシス特性を簡易的に算出している。
例えば、昇温周波数温度情報77aは、前述同様に圧電振動子12の周囲温度を基準温度を挟んで上昇させた場合の所定温度ごとの温度情報と周波数の情報とを組み合わせて生成する。このとき昇温周波数温度情報77aは、基準温度より低い温度領域で測定した低温領域情報82(設定最低温度を含む)と、基準温度を包含する基準温度領域で測定した第1の基準温度領域情報84と、基準温度領域より高い高温領域で測定した高温領域情報86(設定最高温度を含む)と、を有する。さらにこの昇温周波数温度情報77aに対応した第1の近似曲線情報70を算出する。
そして近似的に算出する第2の降温周波数温度情報(不図示)は、周囲温度を基準温度を挟んで低下させた場合の基準温度領域において測定した第2の基準温度領域情報88と第1の基準温度領域情報84との差分と、低温領域情報82と、高温領域情報86と、を用いて算出することができる。ここで低温領域と、高温領域において昇温周波数温度情報77aと降温周波数温度情報77bの差分(ヒステリシス量)をゼロと近似することにより、図6(b)に示すように3つのプロット点からヒステリシス量を近似する2次関数の2次の温度係数を算出することができる。この2次の温度係数を第1の近似曲線情報70を構成する2次の温度係数から引くことにより第2の近似曲線情報(不図示)を算出することができる。この第2の近似曲線情報(不図示)から所定温度ごとの温度情報と温度情報に対応した周波数の情報を抽出することにより降温周波数温度情報(不図示)を近似的に生成することができる。
なお基準温度領域にて2点以上を測定して、これに対応したべき級数を用いてフィッティングさせて、これにより得られる温度係数を、対応する第1の近似曲線情報70を構成する温度係数から引くことにより第2の近似曲線情報(不図示)を算出することができる。以上の演算は全てPC54上で行なうことになる。そして図6(c)に示すように、昇温周波数温度特性77aと近似的に算出された降温周波数温度特性(不図示)との差分73aは、昇温周波数温度特性77aと降温周波数温度特性77bとの差分73bと遜色のないヒステリシス特性を有していることがわかる。なお、本実施形態においては、第2の基準温度領域情報88を先に生成し、その後昇温周波数温度情報77aを生成してもよい。
逆に昇温周波数温度情報77aの算出において上述の近似を用いる場合、降温周波数温度情報77bは、前述同様に圧電振動子12の周囲温度を基準温度を挟んで下降させた場合の所定温度ごとの温度情報と周波数の情報とを組み合わせて生成する。このとき降温周波数温度情報77bは、周囲温度を基準温度を挟んで上昇させた場合の基準温度より高い温度領域で測定した高温領域情報(高温領域情報86と同一であると近似)と、基準温度を包含する基準温度領域において測定した第3の基準温度領域情報90(第2の基準温度領域情報88と同一)と、前記基準温度領域より低い低温領域で測定した低温領域情報(低温領域情報82と同一であると近似)と、を有する。そしてこの降温周波数温度情報77bに対応した第2の近似曲線情報72を算出する。
一方、近似的に算出する昇温周波数温度情報(不図示)は、周囲温度を基準温度を挟んで上昇させたときの基準温度領域において測定した第4の基準温度領域情報92(第1の基準温度領域情報84と同一)と第3の基準温度領域情報90との差分と、低温領域情報82と、高温領域情報86と、を用いて算出することができる。ここで低温領域と、高温領域において昇温周波数温度情報77aと降温周波数温度情報77bの差分(ヒステリシス量)をゼロと近似することにより、図6(b)に示すように3つのプロット点からヒステリシス量を近似する2次関数の2次の温度係数を算出することができる。この2次の温度係数を第2の近似曲線情報72を構成する2次の温度係数から引くことにより第1の近似曲線情報(不図示)を算出することができる。この第1の近似曲線情報(不図示)から所定温度ごとの温度情報と温度情報に対応した周波数の情報を抽出することにより昇温周波数温度情報(不図示)を近似的に生成することができる。
図7に記憶回路に記憶する周波数温度情報の容量を比較する表を示す。図7に示すように、周波数温度情報として周波数の絶対値の情報を記憶する場合は11桁必要とするが、基準周波数からの周波数偏差の情報を記憶する場合は5桁で済むので周波数の情報に関する容量を約45パーセント削減することができる。また仮に昇温周波数温度情報77a、降温周波数温度情報77bを周波数の絶対値の情報を用いて構成した場合の容量を100とすると、周波数温度情報76を周波数の絶対値の情報を用いて構成したときは容量を50%削減でき、周波数温度情報76を周波数偏差の情報を用いて構成したときは容量を73%削減することができる。なお、周波数温度情報として記憶するアドレスの情報において必要な桁数は、測定温度が7点である場合は、3桁(最大8個のアドレスを許容)で充分であり、周囲温度の情報(検出電圧66)はその分解能に従って必要な桁数が決定される。さらに周波数温度情報が温度係数の情報である場合、温度係数については有効数字に従って必要な桁数が決定されるが、温度情報は不要であるので、その分の容量を削減することができる。
以上述べたように、本実施形態に係る圧電発振器10の温度補償方法、及び圧電発振器10によれば、第1には、圧電振動子12の周囲温度を上昇させた場合に生成される昇温周波数温度情報77aと、周囲温度を下降させた場合の降温周波数温度情報77bとの中間値となる周波数温度情報76が入力され、周波数温度情報76と圧電振動子12の発振時の圧電振動子12の温度情報とを用いて基準周波数からの周波数偏差を算出し、これにより温度補償量80を算出することになる。よって、周囲温度が上昇している場合でも、下降している場合でも圧電振動子のヒステリシス特性に起因する補正誤差を一定の範囲に抑制することができる。さらに記憶回路20には昇温周波数温度情報77a、降温周波数温度情報77b、またはこれらから抽出した温度係数を記憶する必要はないので記憶回路20の容量負担の増大を回避することができる。
第2には、周波数温度情報76を、昇温周波数温度情報77aから算出され、発振周波数の連続的な温度特性を示す第1の近似曲線情報70と、降温周波数温度情報77bから算出され、発振周波数の連続的な温度特性を示す第2の近似曲線情報72と、の中間値として算出された第3の近似曲線情報74から抽出している。これにより、周波数温度情報76は温度変化に対して連続的に変化する第3の近似曲線情報74から抽出する。一方、温度補償回路40では周波数温度情報76を元に温度変化に対して連続的に変化する発振周波数の近似曲線を形成している。したがって温度補償回路40で算出される近似曲線は第3の近似曲線情報74となるので、温度補償を高精度に行うことができる。また、昇温周波数温度情報77aと降温周波数温度情報77bは同一の温度位置で測定する必要はないので、周波数温度情報76の生成の歩留を高め、コストを抑制することができる。
第3には、周波数温度情報76を、温度情報と、前記温度情報に対応した発振周波数の情報、若しくは前記温度情報に対応した基準周波数からの周波数偏差の情報により生成することにより、圧電発振器10側で温度係数の演算が不要となるため圧電発振器10形成時の作業負担を抑制してコストを抑制することができる。特に周波数偏差の情報を記憶する場合は、桁数が小さくなるためデータの容量を小さくすることが可能であり、記憶回路20を小型化してコストを抑制することができる。この場合、ユーザー側で周波数温度情報76のプロットに重なるべき級数の温度係数を演算して第3の近似曲線情報74を算出することになるが、ユーザー側で独自に正確な温度係数を演算することができる。
第4には、周波数温度情報76を、第3の近似曲線情報74から抽出される温度係数の情報により生成することにより、温度補償回路40においては第3の近似曲線情報74を算出するための演算が不要となるため、ユーザー側の負担を軽減して圧電発振器10を搭載したシステムの構築を容易に行うことができる。
第5には、昇温周波数温度情報77aを、降温周波数温度情報77bと圧電振動子12の周囲温度を基準温度領域に上昇させて測定した温度と周波数の情報と、を用いて近似的に算出した。昇温周波数温度情報77aと降温周波数温度情報77bとの周波数成分の差分をとると基準温度領域において差分が最も大きくなり、基準温度から離れるほど小さくなる。よって昇温周波数温度情報77aは、降温周波数温度情報77bと、周囲温度を基準温度領域に上昇させて測定した温度と周波数の情報と、を用いて近似的に算出することができる。したがって、温度上昇時の温度と周波数との情報は基準温度領域のみ取得すればよく、基準温度より高い高温領域まで温度を上昇させる工程が不要になる。したがって昇温周波数温度情報77aの取得時間を短縮することができるため、作業負担を削減してコストを抑制することができる。
第6には、降温周波数温度情報77bを、昇温周波数温度情報77aと圧電振動子12の周囲温度を基準温度領域に下降させて測定した温度と周波数の情報と、を用いて近似的に算出した。上述同様の理由により、降温周波数温度情報77bは昇温周波数温度情報77aと周囲温度を基準温度領域に下降させて測定した温度と周波数の情報とを用いて近似的に算出することができる。さらに温度下降時は基準温度領域を測定すればよく、基準温度より低い低温領域を測定する必要はない。したがって降温周波数温度情報77bの取得時間を短縮することができるため、作業負担を削減してコストを抑制することができる。
第7には、前記周囲温度に対応した検出電圧66を出力する温度センサー16を圧電振動子12に隣接して配設し、昇温周波数温度情報77a及び前記降温周波数温度情報77bを、前記検出電圧66の関数として生成し、周波数温度情報76を、昇温周波数温度情報77a及び降温周波数温度情報77bに基づいて算出し、周波数温度情報76と検出電圧66とに基づいて温度補償量80を算出可能な温度補償回路40に発振信号58を出力し、温度センサー16から温度補償回路40に検出電圧66を出力する構成とした。
これにより、温度センサー16は圧電振動子12の周囲温度を測定誤差を抑制して測定することができるので、昇温周波数温度情報77a及び降温周波数温度情報77bを高精度に生成して、周波数温度情報76を高精度に算出することができる。さらに圧電振動子12の温度情報をリアルタイムでかつ高精度に測定できるので、温度補償回路40における補正誤差を抑制して、温度補償を高精度に行なうことができる。
なお、本実施形態において、圧電振動子は厚みすべり振動子を前提として述べてきたが、これに限定されず、双音叉型圧電振動子、シングルビーム型圧電振動子、SAW共振子等にも適用できる。また昇温周波数温度情報77a、降温周波数温度情報77b、第1の近似曲線情報70、第2の近似曲線情報72、第3の近似曲線情報74、周波数温度情報76は、それぞれ検出電圧66の関数として生成されるが、温度センサー16から出力される検出電圧66を実際の温度の値に変換して用いてもよい。よってこれに対応して、これらの情報を実際の温度の関数としてもよく、さらにPC54、及びCPU44も上述の情報を温度の関数として認識できるように構成してもよい。
10………圧電発振器、12………圧電振動子、14………発振回路、16………温度センサー、18………バッファー、20………記憶回路、22………シリアルインターフェース回路、24………発振周波数出力端子、26………データ入出力端子、28………第1制御クロック入力端子、30………第2制御クロック入力端子、34………温度センサー電圧出力端子、36………電源端子、38………グランド端子、40………温度補償回路、42………周波数補正回路、44………CPU、46………メモリ、48………A/D変換器、50………測定器、52………周波数カウンタ、54………PC、56………電圧マルチメータ、58………発振信号、60………第1の制御クロック、62………第2の制御クロック、66………検出電圧、68………発振信号、70………第1の近似曲線情報、72………第2の近似曲線情報、74………第3の近似曲線情報、76………周波数温度情報、77a………昇温周波数温度情報、77b………降温周波数温度情報、78………温度係数、80………温度補償量、82………低温領域情報、84………第1の基準温度領域情報、86………高温領域情報、88………第2の基準温度領域情報、90………第3の基準温度領域情報、92………第4の基準温度領域情報。
Claims (7)
- 周波数温度特性にヒステリシス特性を有する圧電振動子と、前記圧電振動子を発振させて発振信号を出力する発振回路と、を備え、
前記圧電振動子の発振周波数の温度特性を示す周波数温度情報と、前記発振信号の発振時の前記圧電振動子の温度情報と、を用いて温度補償量を算出可能な温度補償回路に、前記発振信号と前記周波数温度情報を出力する圧電発振器の温度補償方法であって、
前記圧電振動子の周囲温度を上昇させた場合に生成される前記圧電振動子の昇温周波数温度情報と、
前記周囲温度を下降させた場合に生成される前記圧電振動子の降温周波数温度情報と、
の中間値を前記周波数温度情報として算出することを特徴とする圧電発振器の温度補償方法。 - 前記周波数温度情報を、
前記昇温周波数温度情報から算出され、前記発振周波数の連続的な温度特性を示す第1の近似曲線情報と、
前記降温周波数温度情報から算出され、前記発振周波数の連続的な温度特性を示す第2の近似曲線情報と、の中間値として算出された第3の近似曲線情報から抽出することを特徴とする請求項1に記載の圧電発振器の温度補償方法。 - 前記周波数温度情報を、温度情報と、前記温度情報に対応した発振周波数の情報、若しくは前記温度情報に対応した基準周波数からの周波数偏差の情報により生成することを特徴とする請求項1または2に記載の圧電発振器の温度補償方法。
- 前記周波数温度情報を、前記第3の近似曲線情報から抽出される温度係数の情報により生成することを特徴とする請求項2に記載の圧電発振器の温度補償方法。
- 前記昇温周波数温度情報を、前記降温周波数温度情報と前記周囲温度を基準温度領域に上昇させて測定した温度と周波数の情報と、を用いて近似的に算出することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の圧電発振器の温度補償方法。
- 前記降温周波数温度情報を、前記昇温周波数温度情報と前記周囲温度を基準温度領域に下降させて測定した温度と周波数の情報と、を用いて近似的に算出することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の圧電発振器の温度補償方法。
- 前記周囲温度に対応した検出電圧を出力する温度検出手段を前記圧電振動子に隣接して配設し、
前記昇温周波数温度情報及び前記降温周波数温度情報を、前記検出電圧の関数として生成し、
前記周波数温度情報を、前記昇温周波数温度情報及び前記降温周波数温度情報に基づいて算出し、
前記周波数温度情報と前記検出電圧とに基づいて温度補償量を算出可能な温度補償回路に前記発振信号を出力し、
前記温度検出手段から前記温度補償回路に前記検出電圧を出力することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の圧電発振器の温度補償方法。
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