JP2011103811A - 肝実質細胞に特異的なrnaデリバリー試薬 - Google Patents

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Abstract

【課題】肝実質細胞に特異的にRNAを送達することができる遺伝子導入剤を提供すること。
【解決手段】シクロデキストリンとデンドリマーとの結合体であって、さらにラクトースで修飾されている上記結合体からなる、肝実質細胞に特異的なRNA導入剤。
【選択図】なし

Description

本発明は、ラクトシル基で修飾したシクロデキストリン・デンドリマー結合体からなる肝実質細胞に特異的なRNA導入剤、及び該結合体を用いて細胞にRNAを導入する方法に関する。
現在、shRNA発現DNAベクター、siRNA、デコイ核酸、アンチセンス核酸などの機能性核酸医薬は様々な病気の革新的治療薬になり得ることから、医薬品分野での期待は大きい。しかし、これらを医薬品化するためには、ドラッグデリバリーシステム(DDS)技術が不可欠である。本発明者らは、これまでに、シクロデキストリンとデンドリマーとの結合体(CDE結合体)が、DNAやRNAのキャリアとして有用であることを明らかにしてきている(特許文献1及び2)。
これまで肝実質細胞特異的に薬物・DNA・RNAを送達するためのキャリアとして、ガラクトースを修飾したリポソーム、同高分子ミセル、同ポリエチレンイミン(JetPEI-hepatocyte)や肝炎ウイルスの表面抗原を修飾したバイオナノカプセルなどが知られているが、これらは調製が煩雑、キャリアの安定性が低い、細胞障害性を有する、エンドソーム透過促進効果を有さず、作用部位へのデリバリー効率が低い、抗体産生などの免疫原性を有するなどの欠点を有する。また、米国のME Davisらはシクロデキストリンを含有するポリマーとトランスフェリン修飾アダマンタン複合体を用いて肝臓胞選択的に、DNAやRNAをデリバリーできる技術を開発し、現在、米国にて臨床試験が進められているが、この複合体の構造は非常に複雑であり、体内環境が変化した場合に、その送達機能を維持できるか否か不明である。
WO2006/093108号公報 WO2005/007850号公報
本発明は、上記した従来技術の問題点を解消することを解決すべき課題とした。即ち、本発明は、肝実質細胞に特異的にRNAを送達することができる遺伝子導入剤を提供することを解決すべき課題とした。さらに本発明は、調製が容易で、キャリアの安定性が高く、細胞障害性が低く、エンドソーム透過促進効果を示し、肝実質細胞へのデリバリー効率が高い遺伝子導入剤を提供することを解決すべき課題とした。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、肝実質細胞に特異的なデリバリーを目的として、シクロデキストリンとデンドリマーとの結合体(CDE結合体)にさらにラクトース(ラクトシル基)を修飾した結合体(Lac-α-CDE結合体)を調製した。Lac-α-CDE結合体は、RNAとの複合体を形成し、肝実質細胞に選択的かつ高効率でsiRNAなどの機能性RNA医薬を導入できることから、遺伝病、ウイルス性肝疾患などへの治療効果が期待できることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明によれば、以下の発明が提供される。
(1) シクロデキストリンとデンドリマーとの結合体であって、さらにラクトースで修飾されている上記結合体からなる、肝実質細胞に特異的なRNA導入剤。
(2) シクロデキストリンが、α−シクロデキストリンである、(1)に記載のRNA導入剤。
(3) デンドリマーが、ジェネレーション2のデンドリマー(G2)又はジェネレーション3のデンドリマー(G3)である、(1)又は(2)に記載のRNA導入剤。
(4) RNAがsiRNAである、(1)から(3)の何れかに記載のRNA導入剤。
(5) 導入すべきRNAと、(1)から(4)の何れかに記載のRNA導入剤の存在下で細胞をインキュベーションする工程を含む、肝実質細胞にRNAを導入する方法。
(6) RNAがsiRNAである、(5)に記載の方法。
本発明により提供される、シクロデキストリンとデンドリマーとの結合体であって、さらにラクトースで修飾されている上記結合体からなる肝実質細胞に特異的なRNA導入剤は、溶液中においてRNAと攪拌するだけで容易に複合体を調製でき、その複合体は肝実質細胞特異性を有する。また、細胞内導入後、シクロデキストリンの働きにより、細胞内バリアーとして働くエンドソーム膜からRNAの放出を促進し、RNAを効率よく細胞内の作用部位に送達させることができる特性を有する。さらに、本発明で用いる結合体は、従来のキャリアに比べて、細胞障害性や赤血球溶血作用が極めて低いことが特徴である。その上、デンドリマーの種類を変更することにより、細胞タイプに適合したキャリアを構築でき、遊離の環状オリゴ糖(シクロデキストリンなど)の添加により、RNAの徐放性を付与できるという利点を有する。また、本発明のRNA導入剤は、in vivo 遺伝子導入用キャリアとしても利用可能であり、静脈内投与が可能である。
図1は、遺伝子安定発現細胞におけるCarrier/siRNA 複合体の遺伝子発現抑制効果を示す。 図2は、遺伝子安定発現細胞におけるCarrier/siRNA 複合体の遺伝子発現抑制効果を示す。 図3は、一過性遺伝子発現細胞におけるCarrier/siRNA 複合体の遺伝子発現抑制効果を示す。 図4は、一過性遺伝子発現細胞におけるCarrier/siRNA 複合体の遺伝子発現抑制効果を示す。 図5は、一過性遺伝子発現細胞におけるCarrier/siRNA 複合体の遺伝子発現抑制効果を示す。 図6は、Alexa Fluor(登録商標)Red Fluorescent Oligo(Invitrogen)を用いてCarrier(JET-PEI-Hepatocyte)による導入効率を確認した結果を示す。 図7は、Alexa Fluor(登録商標)Red Fluorescent Oligo(Invitrogen)を用いてCarrier(Lipofectamine2000)による導入効率を確認した結果を示す。 図8は、Alexa Fluor(登録商標)Red Fluorescent Oligo(Invitrogen)を用いてCarrier(α-CDE(G3))による導入効率を確認した結果を示す。 図8は、Alexa Fluor(登録商標)Red Fluorescent Oligo(Invitrogen)を用いてCarrier(Lac-α-CDE(G3))による導入効率を確認した結果を示す。 図10は、Alexa Fluor(登録商標)Red Fluorescent Oligo(Invitrogen)を用いてCarrierによる導入効率を確認した結果を示す。 図11は、Carrier/BLOCK-itTM Alexa Fluor(登録商標)Red Fluorescent Oligo (invitrogen製) Complex をトランスフェクションし、蛍光を有する細胞をフローサイトメーターにて測定し、Mean Fluorescence Intensity (MFI) 値を算出した結果を示す。
本発明の実施の形態について詳細に説明する。
(1)シクロデキストリン・デンドリマー結合体
本発明の結合体は、シクロデキストリンとデンドリマーとの結合体であって、さらにさらにラクトース(ラクトシル基)で修飾されていることを特徴とする。
シクロデキストリン・デンドリマー結合体は、デンドリマーとシクロデキストリンを溶媒中で加熱・混合することにより容易に製造することができる。
(シクロデキストリン)
シクロデキストリン・デンドリマー結合体を構成するシクロデキストリンは、α、β、またはγシクロデキストリンである。これらα、β、またはγシクロデキストリンは、化学修飾型または非修飾型のシクロデキストリンであることもできる。これらα、β、またはγシクロデキストリンは市販品を容易に入手できる。本発明ではこれらのうちα−シクロデキストリンを用いることが、その導入剤としての効果が最も優れているため、好ましい。
シクロデキストリンはその水酸基の一部もしくは全部がアセチル化されていてもよく、またはグルコース、マンノース、サッカロース等の糖で修飾されていてもよい。これらの修飾剤と、シクロデキストリンとの反応は、両者を例えば水溶液にし、加熱・攪拌することにより製造することができる。導入剤として用いる場合は、変性しない方が導入効率が高いため好ましい。
(デンドリマー)
本発明で用いられるシクロデキストリン・デンドリマー結合体のひとつの構成成分であるデンドリマー (Dendrimer)は、アンモニアあるいはエチレンジアミンをコア分子とし、その分子にマイケル付加反応でアクリル酸メチルおよびエチレンジアミンを付加し、この反応を繰り返すこと (Generation) により得られる高度に枝分かれした樹枝状構造を特徴とし、その末端に多数の一級アミノ基を有した新しいタイプの合成ポリマーである。本発明で用いるデンドリマーとしては、ポリアミドアミン型であることが好ましい。
ポリアミドアミン型デンドリマーは、アンモニアにアクリル酸メチルとエチレンジアミンとを反応させて(アンモニア:アクリル酸メチル:エチレンジアミン=1:3:3(モル比))、ジェネレーション0(G0)と呼ばれる中心核を合成する。ジェネレーション0はアンモニアに由来する窒素の周りに、アクリル酸メチルとエチレンジアミンの縮合体(アミドアミン)が3つ結合した形を有する。ジェネレーション0(G0)のアミドアミンの末端にエチレンジアミンの一方のアミノ基が存在する。そこで、この中心核(ジェネレーション0(G0))にアクリル酸メチル:エチレンジアミン=3:3(モル比)を反応させることで、上記アミドアミンの末端のアミノ基に2つのアクリル酸メチルとエチレンジアミンの縮合体(アミドアミン)が結合する。このようにG0のアミノ基由来の窒素に2つのアクリル酸メチルとエチレンジアミンの縮合体(アミドアミン)が結合したものは、ジェネレーション1(G1)と呼ばれる。このようにして順次、アクリル酸メチルとエチレンジアミンの縮合体を結合させていくことで、ジェネレーション2、3、4、5、6(G2、G3、G4、G5、G6)が得られる。この状態を下記の反応スキームに示す。
ポリアミドアミン型デンドリマーは、市販さており、市販品を容易に入手できる。本発明の結合体に用いるデンドリマーは、ポリアミドアミン型デンドリマーであれば特に制限はないが、例えば、G2又はG3に属するものであることができる。
デンドリマー・シクロデキストリン結合体は、デンドリマーとシクロデキストリンとを混合し、水性媒体の存在下で加熱攪拌するというわずか2段階の反応で合成できることから、市販のRNA導入剤に比べコスト的に有利であると考えられる。
本発明で用いるシクロデキストリン・デンドリマー結合体におけるシクロデキストリンとデンドリマーとのモル比は通常1:1〜10:1、好ましくは1:1〜5:1程度であることが好ましい。
シクロデキストリン・デンドリマー結合体は、後述の実施例で示すように、トシル化シクロデキストリンとデンドリマーとを加温条件下で数時間反応させることで合成できる。トシル化(トルエンスルホニル化)シクロデキストリンは、p−トルエンスルホニルクロライドとシクロデキストリンとをピリジン中で反応させることで得られる。
本発明で用いるラクトシル基で修飾したシクロデキストリン・デンドリマー結合体は、上記のようにして得られたシクロデキストリン・デンドリマー結合体を、さらに、ラクトース(ラクトシル基)で修飾することによって製造することができる。また、ラクトシル基で修飾したシクロデキストリン・デンドリマー結合体におけるデンドリマーとラクトシル基とのモル比はデンドリマーのジェネレーション数が高くなると上昇するため、一概に規定できないが、例えばG3の場合、通常1:1〜10:1、好ましくは1:1〜1:5程度であることが好ましい。
シクロデキストリン・デンドリマー結合体を、ラクトース(ラクトシル基)で修飾するためには、シクロデキストリン・デンドリマー結合体とラクトース1水和物と水素化シアノほう素ナトリウムをホウ酸緩衝液(pH 7.5)に溶解後、室温で攪拌し、反応物をゲル濾過する。ラクトシル基で修飾したシクロデキストリン・デンドリマー結合体を含む画分を濃縮後、濃縮液を水に再溶解した後、エタノール沈殿を行い、最後にエタノールを留去後本品を得る。
本発明で用いるラクトシル基で修飾したシクロデキストリン・デンドリマー結合体の構造の一例を以下に示す。
(2)RNA導入剤及びRNA導入方法
上記したシクロデキストリンとデンドリマーとの結合体であって、さらにラクトースで修飾されている上記結合体は、細胞にRNAを効率的に導入するためのRNA導入剤として用いることができる。
本発明によるRNAの導入方法は、導入すべきRNAと、シクロデキストリンとデンドリマーとの結合体であってさらにラクトースで修飾されている結合体とを、細胞とともにインキュベーションすることによって行うことができる。
本発明のRNA導入剤は、特に、肝実質細胞に対して、RNAを導入する働きを有する。本発明のRNA導入剤は、特にsiRNAの導入剤として有効である。siRNA(small interfering RNA)とは、重合度が20前後(例えば、18〜23塩基程度)の低重合度のRNAで、そのRNAを導入することによりRNAの発現を阻害する働きを有するRNAである。siRNAは通常、二本鎖からなっている。なお、siRNAは、哺乳動物細胞系でも細胞毒性を示さずにRNAiを誘導できることが実証されている(Elbashir SM et al:Nature(2001)411:494-498)。
本発明のRNA導入方法では、導入すべきRNAと、シクロデキストリンとデンドリマーとの結合体であってさらにラクトースで修飾されている結合体の存在下で細胞をインキュベーションする。例えば、RNAを導入すべき細胞を含有する培地0.5〜1ml(細胞量約2×105個)に、導入すべきRNAを含有する溶液と上記結合体を含有する溶液を添加する。導入すべきRNAを含有する溶液は、例えば、siRNA濃度が5nM〜10μM、好ましくは10nM〜1μM、より好ましくは20nM〜500nMとなるように添加し、上記結合体含有溶液は、例えば、上記結合体が1mMとなるように添加することができる。添加後、約24時間インキュベートすることにより、トランスフェクションすることができる。RNAを導入すべき細胞を含有する培地の種類や量は、使用する細胞に応じて適宜決定することができ、また、RNA、及びラクトースで修飾されているシクロデキストリン・デンドリマー結合体の添加量やインキュベーション時間も適宜変化させることができる。
以下に実施例を挙げて本発明につき更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例になんら制約されるものではない。
(使用材料)
(1)pGL3はプロメガ(株)製を用いた。
(2)siRNA
siGL2はB-Bridge International, Inc.製を使用した。
sense : 5'-CGUACGCGGAAUACUUCGA dTdT -3'(配列番号1)
antisense :5'-dTdT GCAUGCGCCUUAUGAAGCU -3' (配列番号2)
siGL3はB-Bridge International, Inc. 製を使用した。
sense : 5'-CUUACGCUGAGUACUUCGA dTdT -3' (配列番号3)
antisense :5'-dTdT GAAUGCGACUCAUGAAGCU -3' (配列番号4)
(3)α-CDE (G2)の製造
α-シクロデキストリンは日本食品化工(株)から恵与されたものを使用した。デンドリマーはSigma-Aldrich Chemical, Inc. 製のStarburst(登録商標) (PAMAM)dendrimerを使用した。メタノールで水分を共沸除去した乾燥α−シクロデキストリン8 gを無水ピリジン500 mL に溶解後、冷却、攪拌しながらp−トルエンスルホニルクロライド12 gを加え、室温で2時間攪拌した。反応溶液に水を注ぎ込み反応を停止させた後、減圧濃縮し、アセトン1 L を添加して析出した沈殿物濾取し、吸着クロマトグラフィーを用いて分離、精製し、トシル化α-シクロデキストリンを得た。(多孔質ポリスチレン樹脂 (MITSUBISHI CHEMICAL 製 DIAION(登録商標)HP-20); 溶離液:メタノール/水=0/100 → 100/0)。得られたトシル化α−シクロデキストリン 26 mg およびDMSO 0.5 mL を減圧下でメタノールを除去したデンドリマー 0.5 mL に添加し、窒素置換後、60℃で24時間攪拌した。反応物をTOYOPERL HW−55S を用いてゲルろ過した。α−CDE を含むフラクションを濃縮後、濃縮液を 0.5 mL の水に再溶解し、メタノール 3 mL を加えて十分に白濁するまで混和した。沈殿物を含む溶液を 10,000 rpm (9,840 x g) 、30 分間遠心後、上清のエタノールを取り除き、再びエタノール 10 mL を添加してよく混和した。同様に遠心分離し、上清を取り除いた後、水に再溶解させ、凍結乾燥し、α−CDE (G2)を得た。
(4)α-CDE (G3)の製造
α-シクロデキストリンは日本食品化工(株)から恵与されたものを使用した。デンドリマーはSigma-Aldrich Chemical, Inc. 製のStarburst(登録商標) (PAMAM)dendrimerを使用した。メタノールで水分を共沸除去した乾燥α−シクロデキストリン8 gを無水ピリジン500 mL に溶解後、冷却、攪拌しながらp−トルエンスルホニルクロライド6 gを加え、室温で2時間攪拌した。反応溶液に水を注ぎ込み反応を停止させた後、減圧濃縮し、アセトン1 L を添加して析出した沈殿物濾取し、吸着クロマトグラフィーを用いて分離、精製し、トシル化α-シクロデキストリンを得た。(多孔質ポリスチレン樹脂 (MITSUBISHI CHEMICAL 製 DIAION(登録商標)HP-20); 溶離液:メタノール/水=0/100 → 100/0)。得られたトシル化α−シクロデキストリン 26 mg およびDMSO 0.5 mL を減圧下でメタノールを除去したデンドリマー 0.5 mL に添加し、窒素置換後、60℃で24時間攪拌した。反応物をTOYOPERL HW−55S を用いてゲルろ過した。α−CDE を含むフラクションを濃縮後、濃縮液を 0.5 mL の水に再溶解し、エタノール 10 mL を加えて十分に白濁するまで混和した。沈殿物を含む溶液を 10,000 rpm (9,840 x g) 、30 分間遠心後、上清のエタノールを取り除き、再びエタノール 10 mL を添加してよく混和した。同様に遠心分離し、上清を取り除いた後、水に再溶解させ、凍結乾燥し、α−CDE (G3) を得た。
(5)Lac-α-CDE (G2)の製造
α-CDE (G2) 22.1 mg を試験管に加えた後、lactose monohydrate 9 mg と sodium cyanotrihydroborate 15.7 mg を 0.2 M borate buffer (pH 7.5) に溶解後、室温で 3 時間攪拌した。反応物を TOSOH TskGel HW-40S (5.3 cm2 x 70 cm、溶出液: 0.1M ammonium hydroxycarbonate) を用いてゲルろ過した。Lac-a-CDE 結合体 (G2) を含むフラクションを濃縮後、濃縮液を 0.5 mL の水に再溶解し、エタノール 3 mL を加えて十分に白濁するまで混和した。沈殿物を含む溶液を 1,500 rpm、15 分間遠心分離後、上清のエタノールを取り除き、再びエタノール 3 mL を添加してよく混和した。同様に遠心分離し、上清を取り除いた後、残渣中のエタノールを試験管エバポレーターにより完全に留去し、Lac-α-CDE (G2) を得た。
(6)Lac-α-CDE (G3)の製造
α-CDE (G3) 20.6 mg を試験管に加えた後、lactose monohydrate 4 mg と sodium cyanotrihydroborate 7.1 mg を 0.2 M borate buffer (pH 7.5) に溶解後、室温で 3 時間攪拌した。反応物を TOSOH TskGel HW-40S (5.3 cm2 x 70 cm、溶出液: 0.1M ammonium hydroxycarbonate) を用いてゲルろ過した。Lac-a-CDE 結合体 (G3) を含むフラクションを濃縮後、濃縮液を 0.5 mL の水に再溶解し、エタノール 3 mL を加えて十分に白濁するまで混和した。沈殿物を含む溶液を 1,500 rpm、15 分間遠心分離後、上清のエタノールを取り除き、再びエタノール 3 mL を添加してよく混和した。同様に遠心分離し、上清を取り除いた後、残渣中のエタノールを試験管エバポレーターにより完全に留去し、Lac-α-CDE (G3) を得た。
実施例1:
細胞 : NIH3T3-luc
プレート : 24 well plate
検討キャリア : α-CDE(G2), α-CDE(G3), Lac-α-CDE(G3)
チャージ比 : 50
siRNA 量 : 400 ng, 800 ng
最終 siRNA 濃度 : 100 nM, 200 nM
(方法)
24 well plate に 1.0 x 105 cells/well で NIH3T3-luc 細胞を播種し、6時間インキュベーションした。
Carrier/siRNA Complex をトランスフェクション(チャージ比 50) (siRNA 400ng(最終siRNA濃度100nM)、又は800ng(最終siRNA濃度200nM))し、3時間インキュベーションした。その後、FCS 30 μL 添加し、21時間インキュベーションした。PBS(-) 300 μL で 洗浄し、5 倍希釈した細胞溶解剤(Reporter Lysis Buffer) 200 μLを添加し、15分間インキュベーション (室温)した。−80℃で凍結融解を3回行った、遠心 (10000 rpm, 5 min)し、上清100 μLを採取し、エッペンに添加し、Luciferase activityを 測定し、タンパク補正 (BCA protein assay)を行った。
(結果)
結果を図1及び図2に示す。図1の結果について、siGL2/carrier の RLU をそれぞれ 100% として計算し直した結果を図2に示す。図1及び図2の結果から分かるように、siGL2, siGL3 (各 800 ng)単独投与においても RLU の低下が観察されたが、本発明のキャリアを用いた系においてはより遺伝子抑制効果が観察された。
実施例2:
細胞 : HepG2
プレート : 24 well plate
検討キャリア : α-CDE(G2), Lac-α-CDE(G2), Lac-α-CDE(G3), Lipofectamine TM2000
チャージ比 : 50
siRNA 量 : 400 ng, 800 ng
最終 siRNA 濃度 : 100 nM, 200 nM
(方法)
24 well plate に 1.0 x 105 cells/well でHepG2細胞を播種し、6時間インキュベーションした。α-CDE (G2)/pGL3 Complex 200 μL をトランスフェクション (チャージ比 30, pGL3 2.0 μg/well)し、1時間インキュベーションした。無血清培地で洗浄し、1時間インキュベーションした。Carrier/siRNA Complex をトランスフェクション (siRNA 400ng(最終siRNA濃度100nM)、又は800ng(最終siRNA濃度200nM))し、3時間インキュベーションした。FCS 30 μL 添加し、21時間インキュベーションした。PBS(-) 300 μL で 洗浄し、5 倍希釈した細胞溶解剤(Reporter Lysis Buffer) 200 μLを添加し、15分間インキュベーション (室温)した。−80℃で凍結融解を3回行った、遠心 (10000 rpm, 5 min)し、上清100 μLを採取し、エッペンに添加し、Luciferase activityを 測定し、タンパク補正 (BCA protein assay)を行った。
(結果)
結果を図3及び図4に示す。図3及び図4の結果から分かるように、Lac-α-CDE(G2)、 Lac-α-CDE(G3)、及びLipofectamineTM2000において、 RNAi 効果が観察された。
実施例3:
細胞 : HepG2
プレート : 24 well plate
検討キャリア : α-CDE(G2), α-CDE(G3), Lac-α-CDE(G2), Lac-α-CDE(G3), Lipofectamine
チャージ比 : 50
siRNA 量 : 80 ng, 400 ng, 800 ng
最終 siRNA 濃度 : 20 nM, 100 nM, 200 nM
検討キャリアとしてα-CDE(G2), α-CDE(G3), Lac-α-CDE(G2), Lac-α-CDE(G3), Lipofectamine TM2000 を使用し、siRNA 量を80 ng、400 ng及び800 ngとして、実施例2と同様の方法で実験を行った。結果を図5に示す。
実施例4:
(方法)
24 well plate に 1.0 x 105 cells/well でHepG2細胞を播種し、24時間インキュベーションした。無血清培地で洗浄し、Carrier/BLOCK-itTM Alexa Fluor(登録商標) Red Fluorescent Oligo (invitrogen製) Complex をトランスフェクション (siRNA 400 ng(最終siRNA濃度100nM)し、3時間インキュベーションした。FCS 30 μL 添加し、21時間インキュベーションした。その後、蛍光顕微鏡にて蛍光を観察した。Jet-PEI-Hepatocyte (PolyFect製)添加量は1.28μl, 2.56μl, 3.84μlを用いた。 Lipofectamine TM2000は1μl, 2μl, 3μlを用いた。a-CDE (G3)およびLac-a-CDE (G3) はチャージ比(carrier/siRNA)20, 50, 100を用いた。
(結果)
結果を図6から図10に示す。
Jet-PEI-Hepatocyte/siRNA複合体では3種の添加量のいずれにおいてもsiRNAの細胞取込みは観察されなかった(図6)。Lipofectamine TM2000/siRNA複合体は添加量の増加につれて、siRNAの細胞内への取り込みが観察された(図7)。a-CDE (G3)/siRNA複合体(図8)およびLac-a-CDE (G3)/siRNA複合体(図9)はチャージ比50において、siRNAの高い細胞取り込みが認められた。これらの結果をまとめたものを図10に示す。
実施例5:
(方法)
24 well plate に 1.0 x 105 cells/well でHepG2細胞を播種し、24時間インキュベーションした。無血清培地で洗浄し、Carrier/BLOCK-itTM Alexa Fluor(登録商標)Red Fluorescent Oligo (invitrogen製) Complex をトランスフェクション (siRNA 400 ng(最終siRNA濃度100nM)し、3時間インキュベーションした。FCS 30 μL 添加し、21時間インキュベーションした。その後、蛍光を有する細胞をフローサイトメーターにて測定し、Mean Fluorescence Intensity (MFI) 値を算出した。Jet-PEI-Hepatocyte (PolyFect製)添加量は1.28 μl, 2.56 μl, 3.84μlを用いた。 Lipofectamine TM2000は1μl, 2μl, 3μlを用いた。a-CDE (G3)およびLac-a-CDE (G3) はチャージ比(carrier/siRNA)20, 50, 100を用いた。
(結果)
結果を図11に示す。Jet-PEI-Hepatocyte/siRNA複合体では3種の添加量のいずれにおいても低いFMI値を示し、siRNAの細胞取込みは認められなかった。Lipofectamine TM2000/siRNA複合体は添加量の増加につれて、FMI値が増大し、siRNAの細胞内への取り込みが観察された。a-CDE (G3)/siRNA複合体(図8)およびLac-a-CDE (G3)/siRNA複合体(図9)はチャージ比50において、高いMFI値が得られ、siRNAの高い細胞取り込みが認められた。これらの結果は図6から図10に示す蛍光顕微鏡での観察結果とよく一致した。

Claims (6)

  1. シクロデキストリンとデンドリマーとの結合体であって、さらにラクトースで修飾されている上記結合体からなる、肝実質細胞に特異的なRNA導入剤。
  2. シクロデキストリンが、α−シクロデキストリンである、請求項1に記載のRNA導入剤。
  3. デンドリマーが、ジェネレーション2のデンドリマー(G2)又はジェネレーション3のデンドリマー(G3)である、請求項1又は2に記載のRNA導入剤。
  4. RNAがsiRNAである、請求項1から3の何れかに記載のRNA導入剤。
  5. 導入すべきRNAと、請求項1から4の何れかに記載のRNA導入剤の存在下で細胞をインキュベーションする工程を含む、肝実質細胞にRNAを導入する方法。
  6. RNAがsiRNAである、請求項5に記載の方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP7506378B2 (ja) 2018-12-27 2024-06-26 国立大学法人 熊本大学 脳移行性リガンド及び薬物担体

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