JP2011101596A - さえずり変異マウス - Google Patents

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Abstract

【課題】マウスの感情を,マウスが発する音声により容易に把握でき、ヒトが聞き取ることができる音域で音声を発生するマウスの提供。
【解決手段】DNAポリメラーゼδの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性が欠失したマウス同士を交配する工程を繰り返すことで、ヒトの非可聴音域における声量に比べて,ヒトの可聴音域における声量が多いマウスを得ることができる。DNAポリメラーゼδの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性が欠失したマウスは、特定のアミノ酸配列の400番目のアスパラギン酸が他のアミノ酸に変異したタンパク質を有するマウス同士を交配させて得られる。上記のマウス同士を交配させることで、さえずり変異マウスを得ることができる。
【選択図】図6

Description

本発明は,ヒトが聞き取ることができる音域で鳴くマウスなどに関する。
マウスは,哺乳類の実験モデルとして幅広く利用されている。しかしながら,マウスをヒトの高次神経活動の実験モデルとしての利用するためには,多くの限界がある。たとえば,従来,マウスの感情を計測することは難しかった。
一方,成体のマウスが超音波音域で発する音声には,時間的な構造があることが明らかにされている(Timothy E. Holy, Zhongsheng Guo / PLoS biology 2005)。すなわち,マウスは,何らかの意味のある鳴き声を発している可能性がある。よって,マウスの感情を実験的に計測することが検討された。すなわち,マウスが発する音声を適切に把握できれば,脳神経系に関わる新薬の開発などにも有効であると考えられる。しかしながら,超音波音域を解析するためには,特別な装置が必要とされる。このことは,マウスの発する音声について多面的な研究を進める上で,大きな障害になる。
成体マウスは,ヒトが聞き取れる音域でも音声を発する。しかしながら,このような音声は,マウス同士が喧嘩するなど,平常時とは異なる状況に置かれた際に発される音声のみである。よって,通常の成体マウスからは,時間的な構造を持った音声を直接観察することができない。このため,通常の成体マウスを用いても,マウスの感情を適切に把握できない。
Timothy E. Holy, Zhongsheng Guo / PLoS biology 2005
本発明は,ヒトが聞き取ることができる音域で音声を発生するマウスを提供することを目的とする。
本発明は,マウスの感情を,マウスが発する音声により容易に把握できるマウスを提供することを目的とする。
本発明は,基本的には,DNAポリメラーゼδの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性が欠失したマウス同士を交配する工程を繰り返すことで,ヒトの可聴音域において音声を発する,マウス(以下,「さえずり変異マウス」ともよぶ)を得ることができるという知見に基づくものである。
すなわち,本発明の第1の側面は,ヒトの可聴音域において音声を発するマウスに関する。具体的には,本発明の第1の側面は,ヒトの非可聴音域における声量に比べて,ヒトの可聴音域における声量が多いマウスに関する。このマウスを用いることで,マウスの感情を容易に把握できる。また,このマウスを用いることで,所定の条件が哺乳類にもたらす感情への影響を測定できる。さらに,このマウスを,脳神経系における新薬の開発に有効に利用できると考えられる。本発明のマウスは,平常時にヒトの可聴音域における音声を発する。また,本発明のマウスは,特に重篤な疾患に罹患している様子は見られなかった。このため,本発明のマウスは,1年以上の寿命を有し,正常な生殖能力をも有していた。よって,本発明によれば,マウスの感情を,マウスが発する音声により容易に把握できることとなる。さらに,そのような研究を,遺伝的に均質なマウス系統を用いて,体系的に行なうことができる。
第1の側面の好ましい態様は,20Hz以上10kHz以下の音域における声量が,低周波領域及び高周波領域における声量より多いマウスに関する。
第1の側面の好ましい態様は,20Hz以上10kHz以下の音域における声量が,高周波領域における声量の1.5倍以上であるマウスに関する。
第1の側面の好ましい態様は,配列番号1で示されるアミノ酸配列の400番目のアスパラギン酸が他のアミノ酸に変異したタンパク質を有するマウスを交配して得られるマウスに関する。このようにして,ヒトの非可聴音域における声量に比べて,ヒトの可聴音域における声量が多いマウスを得ることができる。また,第1の側面の好ましい態様は,DNAポリメラーゼδの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性が欠失したマウスを交配して得られるマウスに関する。すなわち,DNAポリメラーゼδの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性が欠失したマウスを交配する。このようにして,ヒトの非可聴音域における声量に比べて,ヒトの可聴音域における声量が多いマウスを得ることができる。特に,そのようなマウス同士を交配させることで,ヒトの非可聴音域における声量に比べて,ヒトの可聴音域における声量が多いマウスを得ることができる。
第1の側面の好ましい態様は,配列番号1(DNAポリメラーゼδのアミノ酸配列)で示されるアミノ酸配列の400番目のアスパラギン酸が他のアミノ酸に変異したタンパク質を有するマウスを交配させて得られるマウスである。すなわち,DNAポリメラーゼδの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性が欠失したマウスのうち,実施例で示された上記のマウスを交配させることで,さえずり変異マウスを得ることができる。また,さえずり変異マウス同士を交配させることで,さえずり変異マウス系統を効率的に得ることができる。
本発明の第2の側面は,さえずり変異マウスの製造方法に関する。本発明の第2の側面は,たとえば,配列番号1で示されるアミノ酸配列の400番目のアスパラギン酸が他のアミノ酸に変異したタンパク質を有するマウスを交配させる工程を含む。これにより,ヒトの可聴音域において音声を発するマウスを製造できる。また,ヒトの非可聴音域における声量に比べて,ヒトの可聴音域における声量が多い,マウスを製造できる。
本発明の第2の側面の別の態様は,DNAポリメラーゼδの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性が欠失したマウスを交配させる工程を含む。これにより,ヒトの可聴音域において音声を発するマウスを製造できる。後述する実施例に示されたとおり,本発明のさえずり変異マウスを得るためには,交配するマウスの一方がDNAポリメラーゼδの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性が欠失したマウスであり,もう一方が野生型であってもよい。
本発明の第2の側面の好ましい態様は,DNAポリメラーゼδの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性が欠失したマウス同士を交配させる工程を行う。これにより,ヒトの可聴音域において音声を発するマウスを製造できる。また,ヒトの非可聴音域における声量に比べて,ヒトの可聴音域における声量が多いマウスを作出できる。交配させるマウスは,配列番号1で示されるアミノ酸配列の400番目のアスパラギン酸が他のアミノ酸に変異したタンパク質を有するマウスであることが好ましい。実施例で示されたように,DNAポリメラーゼδの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性が欠失したマウス同士の交配を繰り返していくことで,効率的にヒト非可聴音域における音量に比べて,ヒト可聴音域における音量が多いマウス系統を製造することができる。
本発明によれば,ヒトが聞き取ることができる音域で音声を発生するマウスを提供することができる。
本発明によれば,マウスの感情を,マウスが発する音声により容易に把握できるマウスを提供することができる。
本発明の第1の側面は,ヒトの可聴音域において音声を発する,マウスに関する。具体的には,ヒトの非可聴音域における声量に比べて,ヒトの可聴音域における声量が多いマウスに関する。非特許文献1では,30kHz以上の音域で音声を発生するマウスが作出された。しかし,30kHzはヒトの可聴領域ではない。よって,この文献に基づいて作出されたマウスを用いても,マウスの鳴き声を直接ヒトが観測できない。よって,このマウスでは,マウスの感情や,マウスの言語メカニズムなどを把握することは難しい。
一方,本発明のマウスは,ヒトの可聴音域において音声を発するマウス(さえずり変異マウス)に関する。このマウスを用いることで,マウスの感情を容易に把握できる。換言すると,本発明のマウスは,平常時にヒトの可聴音域における音声を発するマウスに関する。平常時とは,マウスを安静にした状態においてという意味である。後述する実施例で示された様に,本発明のマウスは,平常時にヒトの可聴音域における音声を発する。特に図6に示されるように,このマウスは,平常時にヒトの可聴音域における音声を恒常的に(連続的に)発する。通常であれば,マウスは平常時にヒトが聞こえる声を発生しない。一方,マウスは,ヒトの非可聴音域における超音波を用いてコミュニケーションをとっていると考えられる。本発明のマウスは,ヒトの可聴音域において恒常的に音声を発する。これは,コミュニケーションをとるための音声の周波数が,低くシフトしたものと考えられる。よって,本発明のマウスを用いれば,マウスの感情を的確に把握できることとなる。これにより,本発明のマウスは,脳神経系に関わる新薬の開発などにも有効であると考えられる。また,本発明の製造方法により作出されたマウスは,一般に重篤な疾患に罹患していない。病的な表現形を有する変異マウスなど,疾患を抱えているマウスには,平常時にヒト可聴音域における奇声を発するものがある。このようなマウスは,重篤な疾患に罹患している,あるいは行動異常を来たしたマウスなので,健康な状態においてマウスの感情を把握する目的で使用できない。一方,本発明のマウスは,特に重篤な疾患に罹患している様子は見られなかった。このため,本発明のマウスは,健常なマウス同様に1年以上の寿命を有していた。よって,本発明のマウスは,声が低い以外は,通常のマウスであると考えられる。さらに,さきに述べた,疾患あるいは異常により可聴音域における発声をするマウスは,一般に短命であるほか正常な生殖能力を欠いている。一方で,本発明のマウスは,正常な生殖能力を有しており,通常の交配操作により同等の形質を有するマウスを,任意の時期および数で容易に得ることができる。すなわち,本発明のマウスを用いれば,健康なマウスの感情を的確に把握できることとなる。また,そのような研究を,遺伝的に均質なマウス系統を用いて,体系的に行なうことができる。一般に,ヒトの可聴音域は,20Hz以上20kHz以下とされる。よって,このマウスは,20Hz以上20kHz以下の音域においてよく鳴くマウスである。また,DNAポリメラーゼδの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性が欠失したマウスは,DNAポリメラーゼδが有するDNA複製時の校正機能が欠失している。このため,DNA複製時の突然変異の発生率が上昇するので,腫瘍などに罹患しやすい。よって,DNAポリメラーゼδの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性が欠失したマウスを交配させて得られるマウスは,一般的には短命である。一方,本発明によれば,腫瘍に罹患せず,比較的長寿命なマウスを得ることができる。本発明のマウスの寿命として,1年以上があげられる。よって,DNAポリメラーゼδの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性が欠失したマウス同士を交配させることができるので,DNAポリメラーゼδの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性が欠失したマウス系統を効率的に製造することができる。このようなマウス系統は,交配ごとに突然変異が蓄積していくので,本発明のマウス同士の交配を繰り返すことで,突然変異が蓄積したマウス系統を作製することができる。
マウスの音域を評価するためには,たとえば以下の様にすればよい。単独のマウスを安静にさせ,1分間その音声を録音する。録音した音声の周波数分布を測定する。複数の時間における周波数成分毎の声量を足し合わせる。この作業を3回繰り返し,平均値を求める。このようにして,マウスの音域を評価できる。本発明におけるマウスの種類は,どのような種類のマウスであってもよい。なお,ラットは,ねずみの一種であって,本発明のマウスに含まれる。
第1の側面の好ましい態様は,20Hz以上10kHz以下の音域における声量が,低周波領域及び高周波領域における声量より多いマウスに関する。低周波領域とは,20Hz以下の周波数領域である。この低周波領域の音は,通常のヒトには聞こえない。一方,高周波領域とは,20kHzよりも高い周波数領域を意味する。この高周波領域の音は,通常のヒトには聞こえない。実施例により実証されたとおり,以下に説明する製造方法を用いて作出したマウスは,特に10kHz以下の音域において大きな鳴き声を発する。第1の側面の好ましい態様は,20Hz以上10kHz以下の音域における声量が,高周波領域における声量の1.5倍以上であるマウスに関する。
第1の側面の好ましい態様は,DNAポリメラーゼδの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性が欠失したマウスを交配して得られるマウスに関する。すなわち,DNAポリメラーゼδの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性が欠失したマウスを交配する。このようにして,ヒトの可聴音域において音声を発する,マウスを製造できる。また,ヒトの非可聴音域における声量に比べて,ヒトの可聴音域における声量が多いマウスを得ることができる。なお,得られるマウスは,20Hz以上10kHz以下の音域における声量が,高周波領域における声量の多い(たとえば,1.5倍以上である)マウスであってもよい。後述する実施例に示されたとおり,本発明のさえずり変異マウスを得るためには,交配するマウスの一方がDNAポリメラーゼδの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性が欠失したマウスであり,もう一方が野生型であってもよい。この場合は,メスがDNAポリメラーゼδの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性が欠失したマウスであることが好ましい。さらに,後述する実施例に示されたとおり,上記DNAポリメラーゼδの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性が欠失したマウスと野生型のマウスを交配して出生したメスの子孫を野生型又はヘテロ接合型(相同染色体の一方のエキソヌクレアーゼ活性が欠失)マウスと交配させても「さえずり変異マウス」を得ることができる。交配させる一方が野生型又はヘテロ接合型マウスである場合,DNAポリメラーゼδの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する「さえずり変異マウス」を得ることができる。また,このようにして得たDNAポリメラーゼδの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する「さえずり変異マウス」同士の交配を繰り返すことで,DNAポリメラーゼδの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有する「さえずり変異マウス」系統を作製することができる。
DNAポリメラーゼδの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性が欠失したマウスを得る方法は公知である。たとえば,特開2007−143562号公報に開示された方法を用いてこのようなマウスを得ても良い。また,たとえば,ゴルスビーらの文献(Goldsby, R. E., L. E. Hays, X. Chen, E. A. Olmsted, W. B. Slayton, G. J. Spangrude, and B. D. Preston. 2002. High incidence of epithelial cancers in mice deficient for DNA polymerase delta proofreading. Proc Natl Acad Sci U S A 99:15560−5.)に記載された方法に基づいて,このようなマウスを得ても良い。DNAポリメラーゼδの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性が欠失したマウスとして,DNAポリメラーゼδの3’−5’エキソヌクレアーゼドメイン(配列番号1の128番目〜475番目)内のアミノ酸が変異したマウスがあげられる。具体的には,配列番号1で示されるアミノ酸配列の400番目のアスパラギン酸が他のアミノ酸に変異したタンパク質を有するマウス同士を交配させればよい。「他のアミノ酸」としてグリシン,アラニン,バリン,ロイシン,イソロイシン,リシン,アルギニン,グルタミン酸が好ましく,さらに好ましくはアラニンである。「アスパラギン酸」を「アラニン」に変異させる塩基配列の変異として,配列番号3(DNAポリメラーゼδの塩基配列(エキソンのみ))の1118番目から1120番目の配列(GAC)(配列番号1の400番目のアスパラギン酸に相当するコドン)をGCT,GCC,GCA,又はGCGとする変異があげられる。すなわち,DNAポリメラーゼδの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性が欠失したマウスのうち,実施例で示された上記のマウス同士を交配させることで,さえずり変異マウスを得ることができる。さらに,さえずり変異マウス同士の交配を繰り返すことによって,効率的にさえずり変異マウス系統を作製することができる。
さらに,配列番号1で示されるアミノ酸配列と相同性の高いアミノ酸配列の400番目のアスパラギン酸が他のアミノ酸に変異したタンパク質を有するマウス同士を交配させてもよい。相同性が高い配列として,90%以上の相同性を有する配列があげられ,好ましくは98%以上の相同性を有する配列があげられる。配列番号1で示されるアミノ酸配列から,1又は2個のアミノ酸残基が置換した配列の400番目のアスパラギン酸が他のアミノ酸に変異したタンパク質を有するマウス同士を交配させてもよい。配列番号1で示されるアミノ酸配列から,1又は2個のアミノ酸残基が決失した配列の400番目のアスパラギン酸が他のアミノ酸に変異したタンパク質を有するマウス同士を交配させてもよい。配列番号1で示されるアミノ酸配列に,1又は2個のアミノ酸残基が付加したタンパク質を有するマウス同士を交配させてもよい。配列番号1で示されるアミノ酸配列に,1又は2個のアミノ酸残基が挿入されたたタンパク質を有するマウス同士を交配させてもよい。
本発明の第2の側面は,さえずり変異マウスの製造方法に関する。具体的には,この方法は,DNAポリメラーゼδの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性が欠失したマウス同士を交配させる工程を,1回または2回以上含む。これにより,ヒトの可聴音域において音声を発する,マウスを作出できる。また,これにより,ヒトの非可聴音域における声量に比べて,ヒトの可聴音域における声量が多いマウスを作出できる。交配させるマウスは,配列番号1で示されるアミノ酸配列の400番目のアスパラギン酸が他のアミノ酸に変異したタンパク質を有するマウスであることが好ましい。実施例に示されたとおり,さえずり変異マウス同士を交配させることによって,効率的にさえずり変異マウス系統を作製することができる。
遺伝子ターゲティングベクターの構築
ターゲティングベクターは,pBlueScriptII(Invitrogen)に4つの遺伝子フラグメントをクローニングして構築した。バクテリア人工染色体(BAC)クローンRP23−406H21は,マウスのpold1遺伝子をコードする領域(配列番号2)を含んでいる。相同組換えのための3’側のフラグメント(6.9kb)は,エキソン10(配列番号2:4240〜4380)・11(配列番号2:4578〜4688)間のイントロン(配列番号2:4381〜4578)からエキソン25(配列番号2:10436〜10533)までをEcoRIとSacIでBACから切り出した。5’側のフラグメント(1.6kb)は,エキソン5(配列番号2:1930〜2098)からエキソン10(配列番号2:4240〜4380)・11(配列番号2:4578〜4688)間のイントロン(配列番号2:4381〜4578)までの配列で,配列番号1の400番目のアスパラギン酸に相当するコドンがアラニンになるように置換されている。変異遺伝子断片は,5’−CAGAACTTTGCCCTCCCATACCTC−3’(アラニンのコドンは下線を付した)(配列番号4)とその相補配列のオリゴヌクレオチド(プライマー)を用いたPCRを繰り返して作製した。800bpのSV40スプライシング/ポリアデニル化シグナルとポジティブ選抜(薬剤選抜)のためのネオマイシン(G418)耐性遺伝子カセットを含むFloxフラグメントは,pold1との相同組換えのための5’および3’配列の間に挿入されている。ネガティブ選抜のためのジフテリア毒素A(DT−A)遺伝子フラグメントは,相同組換えのための5’配列の外側に配置されている。ターゲティングベクターは,制限酵素処理とシークエンシング(塩基配列解読)によって,構築の成否を確認した。
pold1ターゲティングマウスの作製
SacIで直鎖化したターゲティングベクターをC57BL/6J(マウスの標準的な系統)の胚性幹細胞(ES細胞)に電気穿孔法で導入した。組換えクローンの候補はG418(ネオマイシン)存在下で生育させることで選抜した。適当な相同組換え体を,PCR,サザンブロット,及びDNAシークエンシングで検証した。PCRは,プライマーP0(5’−TTGACCTCCGCACTCATCAG−3’)(配列番号5)とP2(5’−CACCAGACCAACTGGTAATGG−3’)(配列番号6),LA Taqポリメラーゼを用いて行なった。サザンブロットは,ゲノムDNAをDraIとNheIで完全に消化(切断)し,図1(B)に示すように,[32P]dCTP標識したDNAフラグメントをプローブとして用い行った。組換えES細胞をBalb/c(マウス系統)の胞胚に注入し,キメラマウスを作製した。キメラマウスをC57BL/6Jマウスのメスと交配することによって,ヘテロ型(pold1+/−)マウスを作製した。pold1exo/+マウスは,pold1+/−マウスとSycp1−Creトランスジェニックマウスを交配させて作製した。本研究で用いた全ての変異は,同系繁殖系統上で維持した。これらpold1ターゲティングマウスのジェノタイピング(遺伝子型の判別)のために,P1(5’−GGAGTCCAGGTGTGCGTTAC−3’)(配列番号7),P2(5’−CACCAGACCAACTGGTAATGG−3’)(配列番号8),P3(5’−CAGATTCCCCTCTGTGCATC−3’)(配列番号9)の3つのプライマーを用いたPCRを行った。PCRはEX Taqポリメラーゼを用い,94℃で1分間の後,94℃にて1分間,60℃で30秒間,及び72℃で40秒間を30サイクル繰り返すことによって行なった。
pold1 exo/+ ES細胞系の構築
pold1exo/+ES細胞系を得るために,環状pCre−Pacプラスミドをpold1+/−ES細胞に電気穿孔法で導入した。候補ES細胞は,一時的にピューロマイシンに曝すことによって選抜し,その後通常のES細胞用培地によるサブカルチャー(暫定的な培養)に供した。Creを介した組換え体の遺伝子型は,PCRとサザンブロットによって確認した。
Sycp1−Creトランスジェニックマウスの構築
Sycp1−Creトランスジェニックマウス構築のためのプラスミドは,2つの遺伝子フラグメントから構築した。ひとつ目のフラグメントはマウスのオスの生殖細胞で発現するsycp1遺伝子のプロモーター配列で,転写開始点上流737番目から下流87番目までの塩基配列(配列番号16)を含む。もう一方は,核移行シグナル配列(NLS)とCre組み換え酵素をコードする配列(配列番号17)にポリアデニル化シグナル配列(pA)(配列番号18)を付加したフラグメントである。両フラグメントは,pBluescriptIIのSpeIとHindIIIサイトの間に挿入した。プラスミドをSalIとNotIで消化したあと精製したフラグメントをC57BL/6マウスの受精卵に微小注入(マイクロインジェクト)した。得られた子孫から,Creに特異的なプライマー(5’−CTGAGAGTGATGAGGTTC−3’)(配列番号10)と(5’−CTAATCGCCATCTTCCAGCAG−3’)(配列番号11)を用いてゲノムPCRによって,トランスジーンが挿入された子孫を選別した。
RT−PCRと3’RACE分析
全RNAは,TRIzol試薬を用いてES細胞から抽出し,ゲノムDNAの混入を除くためにDNaseI処理した。cDNAはオリゴ(dT)25プライマーを用いてSuperscriptIII Reverse Transcriptase(Invitrogen)により調製した。PCRはpold1の5’末端プライマー(5’−GGCGTATCTTGTGGCGGGAA−3’(配列番号12))および3’末端プライマー(5’−CCTTGTCCCGTGTCAGGTCA−3’(配列番号13))を用いて行なった。3’RACEはアダプター配列つきオリゴdTプライマーを用いて逆転写を行なった後,P4(5’−TCATGGCCCTTCTCCATTTC−3’(配列番号14)),P5(5’−TGGAGCTGCCAGCTGGAAAG−3’(配列番号15))(図1(G))および2種類のアダプタープライマーを用いたPCRを繰り返すことにより行なった。
ウエスタンブロッティング
E12.5全胚を氷***解バッファー(0.1%NP−40,50mM Tris−HCl[pH7.2],250mM NaCl,2mM EDTA,10%グリセロール,1mM PMSF,3μg/mLロイペプチン,3μg/mLペプスタチンA,10μg/mLアプロチニン)で溶解し,ポリトロン(Polytron)でホモジナイズし,その後,一時的に超音波処理を行った。ライセートは遠心分離(20,000×g,20分間)によって清澄化した。その上清を回収し,ウエスタンブロッティングに使用した。等量を10%ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動にかけ,ニトロセルロース膜に転写した。膜はanti−Pold1 C−terminal regionポリクローナル抗体(C−20,Santa Cruz)とanti−β−actinモノクローナル抗体(AC−15,Sigma)で検出した。
Pold1遺伝子ターゲティングマウスの作製
全Polδ及びその3’−5’エキソヌクレアーゼ活性の生理学的機能を分析するために,2種類のpold1変異マウスを開発した。pold1遺伝子は,Polδ複合体の触媒サブユニットp125をコードしている。このサブユニットはDNAポリメラーゼドメインと3’−5’エキソヌクレアーゼドメインを含む。機能的なマウスのPold1タンパク質を破壊するために,SV40由来のスプライシング/ポリアデニル化(poly(A))シグナルを,Polδポリメラーゼドメインをコードする上流領域に挿入した(図1(A))(配列番号3)。GC(野生型)からGCの点変異を用い,3’−5’エキソヌクレアーゼ活性欠損マウスをD400A置換によって開発した。D400A置換は,エキソヌクレアーゼ活性部位(ExoII)に位置し,腫瘍感受性が高いマウスが有している。マウスのD400A変異は,インビトロの生化学分析によって,3’−5’エキソヌクレアーゼ活性の阻害が引き起こされることが確認されている。遺伝子ターゲティング戦略においてCreを介するloxP組換えシステムを用いて,2種のpold1変異マウス:Polδ−ヌル(pold1−/−)マウスと3’−5’エキソヌクレアーゼ活性欠損(pold1exo/exo)マウスを作製した(図1(B))。
pold1遺伝子ターゲティングベクターは,C57BL/6J胚幹(ES)細胞に電気穿孔法で導入した。相同組み換え体を得るためにG418耐性クローンをPCR(図1(C))とサザンブロッティングでスクリーニングを行った。点変異(D400A)はDNAシークエンシングで検証した。ターゲティングES細胞クローンは,生殖細胞系列によって標的対立遺伝子を伝達したキメラマウスを作製するために,Balb/c胚盤胞にマイクロインジェクションを行った。キメラはC57BL/6Jのメスに交配し,pold1+/−マウスを産出した。Polδ3’−5’エキソヌクレアーゼ活性欠損マウスは,pold1+/−マウスと,生殖系列細胞にCreリコンビナーゼを発現させるマウスSycp1遺伝子プロモーター−Cre導入遺伝子を含むCre発現トランスジェニック動物とを交配させることで作製した。Pold1+/−とPold1exo/+マウスの両方をPCR及びサザンブロティングで確認した(図1(D),図1(E))。
これらの標的対立遺伝子からpold1遺伝子の発現を確認するために,ターゲティングES細胞のmRNAを分析した。pold1exo/+ES細胞は環状Cre−pacプラスミドをpold1+/−ES細胞に電気穿孔法で導入し,適当なクローンを選択することで得た。RT−PCRは,全長のpold1をコードする領域をカバーする2つのプライマーを用いて,Pold1+/−とPold1exo/+ES細胞から転写を行った。これらのRT−PCR産物のダイレクトシークエンシングによって,置換された対立遺伝子(GC→GC)はpold1exo/+ES細胞には発現するが,pold1+/−ES細胞には発現しないことが示された(図1(F))。これらの結果から,全長mRNAはpold1対立遺伝子からは発現しないことが明らかになった。変異対立遺伝子からの発現を詳しく調べるために,3’RACE分析によってpold1対立遺伝子の転写末端位置を決定した。pold1+/−ES細胞からの3’RACE産物では,全長のpold1をコードするフラグメントと切断されたフラグメントが観察され;pold1exo/+ES細胞からの産物は全長のフラグメントのみが観察された。これらのフラグメントをサブクローニングした後,DNAシークエンシングを行った。DNAシークエンシングから,pold1+/−ES細胞からの切断されたフラグメントは置換された配列(GC)を含み,3’末端は挿入したSV40 ポリ(A)配列によって途中で止まり,これらの切断されたフラグメントは2つの異常なスプライシング型からなることが分かった(図1(G))。pold1+/−ES細胞からの全長フラグメント配列は,野生型の配列(GC)とpold1遺伝子由来の内因性のポリ(A)シグナル配列を含むのみであった。pold1exo/+ES細胞では,mRNAは正常に終結し,置換された配列と野生型の配列両方を含んでいた(それぞれサブクローン5個のうち2個と3個)。これらの結果は,挿入したSV40ポリ(A)シグナルによって終結したmRNAはpold対立遺伝子で発現し,D400A(GAC→GCC)置換を持つ全長の転写物はpold1exo対立遺伝子で発現することを示唆する。pold1対立遺伝子ではPold1タンパク質の発現を損なわれることを確認するために,Pold1タンパク質をウエスタンブロッティングで分析した。anti−Pold1 C−terminal region抗体を用いるpold1+/+及びpold1exo/exoのE12.5全胚から調整した抽出物のウエスタンブロッティングによって,Pold1タンパク質量はpold1+/−胚では約半分に減少しているが,pold1+/+及びpold1exo/exo及のE12.5の胚抽出物のPold1タンパク質量は同程度であることが示された(図1(H))。これらの結果は,pold1対立遺伝子は途中で終結したポリメラーゼドメインのため適切に機能しないこと,およびpold1exo対立遺伝子は3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を欠失しているにもかかわらず野生型対立遺伝子と同様のPolδ量を発現することを示唆している。
胚盤胞の培養及びジェノタイピング
全胚は自然交配によって作製した。膣栓が検出された日をE0.5として設定した。胚はM2培地(Sigma)を用いて子宮を灌流することでE3.5又はE4.5を回収した。培養の際には,回収した胚は白血病抑制因子を含む完全ES培地で培養した。
ジェノタイピングのために,それぞれの胚は5μlPCR Lysis buffer(10mM Tris−HCl[pH8.0],50mM KCl,2mM MgCl,0.45% NP−40,0.45% Tween20,0.2mg/mL プロテイナーゼK)中,55℃で一晩インキュベーションすることによって溶解させた。それぞれの変異対立遺伝子を検出するために,それぞれのPCRはマウスのジェノタイピングに利用したのと同じ3つのプライマー:P1,P2,およびP3を用いて行った。PCRはLA Taqポリメラーゼを用い,94℃で1分間の後,94℃で1分間−58℃で30秒間−72℃で50秒間を35サイクル繰り返すことによって行った。
子孫死亡率の算定
このモデルでは,劣性致死性変異のみの影響を扱った。S(n.i)は正常のエラーフリー条件と比較したときのF(n)世代子孫の生存頻度であり;nは経た世代数を示し,iは致死性変異の発生頻度を示す。F(0)はミューテーターマウスの交配する最初の対として定義する。S(n,i)は以下の式(n>2のとき)によって得られる。
Figure 2011101596
Pold1欠損は着床期前後での胎生致死を引き起こす
ヘテロ接合型pold1+/−マウスは18月を超えても検出可能な発達異常は見られず,外観上正常で繁殖することができた。これらの動物からの胎児繊維芽細胞の増殖に異常は見られなかった(データは示さず)。対照的に,ホモ接合型pold1−/−マウスは,pold1+/−マウスとの交雑受精から生まれた256匹の中には存在せず(表1),機能的なpold1対立遺伝子1つは胚及び出生後の発達に重要であるが,両対立遺伝子の不活性化は胎生致死につながることが示された。
Figure 2011101596
pold1−/−胚の発達中に死に至る時期を調べるために,妊娠期間が異なるpold1+/−マウスの交雑受精から胚を集め,それぞれの胚についてPCRでジェノタイピングを行った。ホモ接合型pold1欠損胚は,E7.5又はそれ以上では検出されなかった(表1)。妊娠したメスの子宮を灌流することで日数E3.5及びE4.5の胚を採取した。ホモ接合型pold1−/−変異胚盤胞は,野生型およびヘテロ接合型の胚と形態学的に区別ができなかった(図2(A))。これらの観察はpold1−/−マウスはE4.5とE7.5の間に死亡することを示している。
pold1欠損胚の発達異常をさらに明らかにするために,pold1+/−交雑受精由来のE3.5胚盤胞を採取し,それぞれをインビトロで数日培養し,写真を撮影し,その後PCRでそれらをジェノタイピングした。pold1+/+及びpold1+/−胚盤胞では,3日間培養後,栄養膜は透明帯から孵化した後培養ディッシュ上に広がり,さらに内部細胞塊(ICM)が栄養膜層上に成長した。pold1−/−胚では,栄養膜は再度付着し,ディッシュ上に広がったが,栄養膜層の広がりはゆっくりで,ICMは増殖することができず,出現後すぐに退化した(図2(B))。インビトロで1日培養したPold1−ヌル胚盤胞は,インビボでの約E4.5に相当し,野生型とヘテロ接合型の胚で明らかな違いは認められなかった。3日間培養したpold1−/−胚盤胞は,約E6.5に相当し,細胞の増殖は見られなかった。
免疫細胞化学とアポトーシス細胞の検出方法
胚は1.5%のウシ血清アルブミン(BSA)を含むリン酸緩衝生理食塩水(PBS)洗浄し,4%パラホルムアルデヒド−PBSに4℃で30分間おき固定し,その後0.3% TritonX−100及び1.5%BSAを含むPBS中に室温で20分間透過させた。胚をBrd−U処理するために,0.25N HClおよび0.5% TritonX−100で室温で20分間透過し,DNAを変性させ,1.5%BSAを含むPBSで十分に洗浄した。胚は特異的な一次抗体と4℃で一晩インキュベートした。この研究で使用した一次抗体はマウスanti−Brd−U(Dako Cytomation)とrabbit anti−phosphohistone H3(Ser−10)(Cell Singnaling)であった。蛍光ラベルされた2次抗体はモレキュラープローブから購入した。アポトーシス細胞を検出するためにTUNEL(terminal deoxynucleotidyltransferase−mediated dUTP−biotin nick end labeling)アッセイはIn Situ Cell Death Detection Kit(Roche)を用いて行った。
Pold1欠損はDNA合成欠損及びアポトーシスの頻出を引き起こす
培養したPold1−/−胚盤胞の増殖欠損がPolδ破壊によって引き起こされるDNA合成阻害によるものかどうかを調べるため,ブロモデオキシウリジン(BrdU)取り込みアッセイによって培養した胚盤胞中のDNA合成を評価した。通常のES培地で1または3日間胚盤胞を培養し,その後3時間BrdUの存在下で培養した。これらの培養した胚盤胞はBrdUに特異的な抗体で免疫染色を行った。全胚が広範囲にわたって標識されており,1日培養した胚盤胞の核へのBrdUの取り込みはそれぞれのジェノタイプ間で違いはなかった(図3(A))。1日培養したPold1−/−胚盤胞の胚細胞が***期に入るかどうかを検証するために,M期細胞をマークするために使用される共通の***マーカ−であるphoshohistone H3(Ser−10)に対する抗体を用いて同時に免疫染色を行った。ジェノタイプにかかわらず全胚においてphosphohistoneH3陽性細胞が認められた(図3(A))。これらの結果から,pold1−/−胚は新しいDNA鎖を合成することができ,これは細胞周期のS期に相当し,培養胞胚期の1日後に***期に入ることができることが示唆された。対照的に3日後の培養胚盤胞増生物(outgrowth)は,pold1+/+とpold1+/−の増生物(outgrowth)のどちらもICMおよび栄養膜巨(TG)細胞へのBrdUの強い取り込みを示したが,pold1−/−の増生物(outgrowth)はほとんど取り込みを示さなかった(図3(B))。TG細胞では,DNA合成は核内倍加によっておこり,そのためG及びS期の一連の周期(round)は***なしで進行することがこれまでに示されている。結果として,endocycling giant細胞は核内にDNAを大量に獲得し,そのため倍数体となる。このようなpold1−/−増生物(outgrowth)中の欠損は,Polδの破壊がTG細胞の核内倍加欠損を含み明らかなDNA合成欠損を引き起こすことを示している。
DAPIで染色した3日間培養したpold1−/−の増生物(outgrowth)では,アポトーシス細胞死を示している可能性がある,凝縮および断片化した小核が検出された(図3(B))。これらの小核はヘテロ接合体および野生型の増生物(outgrowth)ではめったに検出されなかった。このアポトーシスの可能性を確認するために,TUNELアッセイを3日間培養した胚盤胞の増生物(outgrowth)で行った。pold1−/−の増生物(outgrowth)のうちこれらの異常な核はすべてTUNEL陽性であったが,TUNEL陽性細胞はまれにpold1+/+およびpold1+/−増生物(outgrowth)中にも存在した(図3(C))。回収したE3.5胚盤胞中のアポトーシス細胞死をさらに調べた。pold1−/−胚盤胞(n=4)と他のジェノタイプをもつ胚盤胞(n=17)との間に明らかな違いは観察されなかった(データは示さず)。これらのデータは,pold1−/−の増生物(outgrowth)における増殖欠損は少なくともある程度,着床前後のアポトーシスの発生によるものであったことを示している。
3’−5’エキソヌクレアーゼの1欠損pold1 exo 対立遺伝子は胚発生が可能であるが,腫瘍感受性が増大する。
Polδの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性の生理学的な役割を調べるために,マウスの発達においてその破壊が与える影響について検討した。Polδの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性欠損マウスにおいて,変異対立遺伝子が胚の生存能力に影響を与えないこと,およびホモ接合型変異マウスは繁殖力があることが示されている。しかしながら,劣性突然変異体は癌になりやすく,そして死亡しやすい。pold1exo/exo及びpold1exo/+マウスは正常に成長し,繁殖することができることが分かった(表2)。胚形成期E12.5では,pold1exo/exoと野生型の胚の間での形態学的違いは見つからなかった。さらにpold1exo/−マウスは,pold1exo/exoおよびpold1+/−マウス間の交配で作製されるが,出産することができ,そして明らかに正常で繁殖力もあった(表2)。これらの結果から,マウスの発達のためにPolδの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性は重要ではなく,pold1exo対立遺伝子1つで十分であることが示された。
Figure 2011101596
pold1exo/exoとpold1exo/−マウスは発達上は正常であるけれども,3〜8月の間に異常な胸腺肥大により高頻度で死亡する(pold1exo/exo動物10匹中4匹,pold1exo/−動物12匹中4匹)(図4(A))。そして,胸腺肥大のない生存マウスの多くは12月後に尾に瘤が発現した(図4(B))。これらの観察はPolδの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性の欠如による典型的な癌症状と一致する。胸腺肥大の組織学的分析では核対細胞質の比率が高い及び有糸***の頻度が高い,リンパ芽球性リンパ腫の典型的な形態学的特徴を有する,細胞の均質集団が明らかとなった(データは示さず)。pold1exo/+マウスおよび野生型マウスは肥大や尾にそのような表現型を発現しなかった(各表現型で動物20匹以上観察した)。このように,Polδの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性の欠失はC57BL/6マウスの癌感受性をも増大したが,以前見られていたようなC57BL/6J及び129SvJを交配したマウスではなかった。さらに,pold1exo/−マウスは同様の腫瘍を発現させた。
pold1 exo/exo マウスを用いる変異蓄積モデルの作製
Polδはインビボでの哺乳動物のDNA複製に必須であり,3’−5’エキソヌクレアーゼ活性が欠失したPolδは頻発するDNA複製エラーの結果,マウスにおいて癌感受性が増大することが示唆されてきた。加えて,pold1exo/exoマウスは繁殖力があり,マウスの多くは次の世代に継代するのに十分な期間を生存することができる。さらにC57BL/6系統でpold1exo/exoマウスを作製した。本発明では,pold1exo/exoマウスの同胞交配を繰り返すことによって,同じC57BL/6系統由来し及びそれぞれ多数の変異を蓄積した複数のマウス系統を作製することを試みた。分析によって,マウスの生殖系列に蓄積した変異の影響および蓄積の過程を評価した。
pold1 exo/exo マウスからの新規表現型の取得
pold1exo/exoマウス系統から新規表現型を取得するために,およそ1カ月齢の時点で目に見える異常がないかどうかすべてのマウスをチェックし,マウスの尾を切りマウスのゲノムDNAを保存した。次に異常行動を観察するためそれらのケージを周期的に観察した。新規表現型が認められた場合は,その遺伝率について算定した。マウスの新規表現型は複数の遺伝子変異によってもたらされると予想された。したがって,以下の手順によって遺伝率を算出した。最初に,子孫(G1世代)を得るために,新規表現型のマウス(G0世代)を野生型のC57BL/6Jマウスと交配した。G1世代のマウスは,G2世代のマウスを得るために再度G0世代のマウスと戻し交配した(図7(E))。確率論的には,その表現型関係する遺伝子変異の数が多くて4つまででありその浸透度がほぼ完全である場合,24匹のG2世代のマウスのうち何匹かが同様の表現型を示すと予想された。それに当てはまらない場合は,非遺伝性の表現型あると判断した。表現型に遺伝性が認められた場合,C57BL/6JとDBA2多型間のリンケージ解析による遺伝変異の同定を行なうため,DBA2系統のマウスと交配して,新規変異マウス系統を樹立した。
これまでに,2種類の遺伝性の表現型を含む,いくつかの新しい表現型を得た。遺伝性の表現型のうちひとつは,鳥のように人間の可聴周波数帯で明瞭な鳴き声を発する「さえずり(chirping)変異体」である。歌の録音の分析は,歌が一連の発生から構成されていることを示した(図6(A))。子孫の遺伝性の観察から,この表現型はPolδの改変とは独立の,おそらくX染色体上の劣性遺伝形質であることが示された(図6(B)〜図6(E))。現在,DBA2マウス系統であるこれらのマウスを交配することによって,リンケージ解析を用いて,突然変異(mutation)の同定を試みている。マウスがある種の超音波発声をし,これらの発生のひとつは複数の異なる音節から構成されていることが知られている。さえずり(chirping)変異体が発する発声音がそのような超音波発声と関係があるか否かについては,興味深い問題である。
歌を録音し,音域を分析した結果,得られたマウスは,ヒトの非可聴音域における声量に比べて,ヒトの可聴音域における声量が多いマウスであった。特に図6(A)に示される20Hz以上10kHz以下の音域における声量が,多いマウスであった。
別の遺伝性の表現型は足の変異体であり,足の数が5(図7(D))から4(図7(A)〜図7(C))へ減少していた。子孫の遺伝性の観察によると(図7(E)),9匹のG1世代マウスのうち0匹,18匹のG2世代マウスのうち5匹が異常な足の表現型を発現した。このことにより,足変異体は独立した2つの変異が関係する劣性遺伝形質であることが示される。加えて,毛色表現型(図8(A)),下顎が不完全な表現型(図8(B)),回転行動をする表現型(図8(C)),2種類の尾の表現型(図8(D),図8(E))を含む他の変異遺伝型を得た。これらのマウスの遺伝パターンは評価されていなかった。
マウス生殖系列での変異蓄積の影響と過程
均一な遺伝的背景(C57BL/6)由来の自然変異を独立して蓄積した5つのマウス系列を開発し,繁殖をつづけた。コントロールとして,野生型のC57BL/6マウス系列も同じように繁殖した。先祖から子孫へ生殖系列での変異の発生と淘汰の過程を調べるために,すべてのマウスの遺伝DNAを−80℃で保存してきた。変異蓄積マウスは交雑受精による最初の子孫から5世代を経過している。
蓄積変異の有害な影響を見積もるために,生殖系列自然変異率と劣性致死変異を考慮することのみによって得た実験データに該当する1つの数理モデルを用いて子孫間の死亡頻度間の関係を算定した(図9)。このモデルに従えば,標準を10倍上回る変異率の増加(Drake,J.W.,B.Charlesworth,D.Charlesworth,and J.F.Crow. 1998を標準と定義した)は,子孫数の重大な減少を引き起こすことが推測される。
本発明は,実験用マウスを製造する実験用器材などの産業において好適に利用されうる。また,本発明のマウスは,医薬開発にも有用であるので,医薬産業においても好適に利用されうる。
図1は,遺伝子ターゲティングストラテジーによる2種類のpold1変異マウスの作製方法を示す。図1(A)は,pold1遺伝子ターゲティング法での,Pold1ドメイン構造および変異の位置を示す概略図である。 図1(B)は,ターゲティングベクターと相同組換え及びCreを介した組換えの前後のマウスpold1遺伝子座の部分制限酵素マップを示す。エキソンは垂直の黒塗の四角,イントロンは横線を間に入れることで表している。*はD400A置換を示す。サザンブロッティング用のプローブとして使用した遺伝子フラグメントは,Pold1遺伝子座のエキソンとイントロンを示す図の下に横線で示した。制限酵素:DはDraIを示す;NはNheIを示す。PCRプライマーであるP0及びP2は相同組み換えES細胞のスクリーニングに用いた。PCRプライマーであるP1,P2,及びP3は,ジェノタイピングに用いた。 図1(C)は,相同組み換え体のPCRスクリーニングの結果を示すアガロースゲルの図面にかわる写真である。2430bpのバンドは,P0−P2のプライマーの組み合わせで増幅し,相同組み換え体に特異的なバンドである。レーン1〜3は別々の相同組み換えES細胞である;レーン4は野生型ES細胞である。 図1(D)は,マウスの尾のDNAのPCRジェノタイピングの結果を示すアガロースゲルの図面にかわる写真である。499bpの野生型のバンドと654bpのpold1exoバンドは,P1−P3のプライマーの組み合わせで増幅し,334bpのpold1のバンドはP1−P2のプライマーの組み合わせで増幅した。これらのプライマーは,図1(B)に示す。 図1(E)は,マウスの尾のDNAを用いて,それぞれのpold1対立遺伝子を同定するためにサザンブロッティング分析を行った結果を示す図面にかわる写真である。DraI消化では,15.9kbのフラグメントは野生型の対立遺伝子に相当し,16.0kbのフラグメントはpold1exo対立遺伝子(2本が重複している)に相当し,6.4kbのフラグメントはpold対立遺伝子に相当する。NheI消化では,14.6kbのフラグメントは野生型対立遺伝子を示すが,6.0kbのフラグメントはpold1及びpold1exo対立遺伝子の両方を示す。 図1(F)は,ヘテロ接合体のpold1+/−及びpold1exo/+ES細胞から得たRT−PCT産物のDNAシークエンスの結果を示す。pold1exo対立遺伝子では,アミノ酸Dがアミノ酸Aに置換されている。 図1(G)は,pold1+/−中のPold1対立遺伝子から得た3’RACE産物のヌクレオチドシークエンスの結果の概略図を示す。プライマーP4及びP5は増幅を繰り返す3’RACEで用いた。pold−対立遺伝子から得た3’RACE産物はD400Aの置換をシークエンスによって区別した。 図1(H)は,E12.5の全胚から抽出した2対の抽出物のイムノブロッティング結果を示す図面にかわる写真である。1対は,同腹の胚のpold1+/−とpold1+/+を比較する。もう1対は,pold1+/−とpold1+/+の胚を比較する。抗体は,Anti−Plod1抗体とAnti−β−actin(コントロール)抗体を用いた。 図2は,胚盤胞の形態学的分析と胚盤胞の増生物(outgrowth)を示す図面にかわる写真である。図2(A)は,変異胚の外観を示す図面にかわる写真である。E3.5及びE4.5の胚は子宮から還流して得た。E4.5の胚は,M2培地で2時間培養した。明視野条件下写真を撮影した後,E3.5及びE4.5の胚はPCRでジェノタイピングを行った。図2(B)はインビトロでのPold1欠失胚盤胞の増生物(outgrowth)の増殖障害を示す図面にかわる写真である。胚盤胞はE3.5で採取し,インビトロで数日間培養し,その後,PCRでジェノタイピングを行った。黒横棒は50μmを示す。 図3は,Pold1欠損胚のDNA合成障害と自発的アポトーシスを示す図面にかわる写真である。図3(A)及び図3(B)は,インビトロで培養した胚盤胞のBrdU取り込みを測定し,DNA合成を観察した結果を示す図面にかわる写真である。E3.5の胚は24時間培養した後,BrdU存在下で3時間培養した。anti−BrdU抗体とanti−pHH抗体を用いて間接免疫蛍光を行い,DAPIによる対比染色を行った後,胚はPCRでジェノタイピングを行った(図3(A))。E3.5の胚は3日間培養し,BrdU存在下で3時間培養し,BrdUに対する免疫染色及びDAPI対比染色のための処理を行った。その後,各胚のジェノタイピングを行った(図3(B))。白い横棒は100μmを示す。図3(C)はTUNELアッセイによる自発的アポトーシスの分析結果を示す。TUNEL陽性細胞がpold1−ヌル胚盤胞の増生物(outgrowth)を表す図面にかわる写真である。写真撮影後,各胚のジェノタイプをPCRで調べた。白い横棒は100μmを示す。 図4は,Polδの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性欠損が引き起こす腫瘍を示す図面に代わる写真である。図4(A)は,4月齢のpold1exo/−マウスの腫脹した胸腺の写真である。Thは胸腺,Hは心臓を示す。図4(B)は14月齢のpold1exo/−マウスの小塊が形成された尾の写真である。 図5は,変異蓄積実験マウスの概略図である。変異マウスは,致死性変異を有するマウスはDNAを子孫に伝えることができないので,世代が繰り返される間に効果的に,中立突然変異を含む非致死性変異を多く蓄積する。 図6は,さえずり変異体(chirping mutant)を示す。図6(A)は,さえずり変異体(chirping mutant)が発する音の代表的なソノグラムを示す。縦軸は可聴周波数(kHz)を示し,横軸は時間(s)を示し,ドットの濃さは音の強さを示す。図6(B)〜図6(E)は,さえずり(chirping)の表現型の遺伝的形質を特性化した図である。丸はメス,四角はオス,黒塗の形状はさえずり(chirping)の表現型であることを示す。丸の中に番号1が記載されているものは,図6(B)型から得られたメスであることを示す。 図7は,足の変異体を示す。図7(A)〜図7(C)は,変異体の足の図面にかわる写真である。図7(D)は,野生型の足の図面にかわる写真である。図7(E)は足の表現型の遺伝形質を示す系統図である。丸はメス,四角はオス,黒塗は足の表現型が発現したマウスを示す。図7(E)の「loss」は,出生した仔の中で指数が減少している仔の数を示す。 図8は,可視的な表現型の図面に代わる写真である。図8(A)は,毛色の一部がブラウンであるマウスの図面にかわる写真である。図8(B)は,下顎が未成熟なマウスの図面にかわる写真である。図8(C)は,異常行動:継続的に右に回転をするマウスの図面にかわる写真である。図8(D)は,尾が巻いているマウスの図面にかわる写真である。図8(E)は,コントロールの通常の尾(下)に比べて尾が短い(上)マウスの図面にかわる写真である。 図9は,理論モデルによって得られるグラフを示す。図9(A)は,自然致死変異率,すなわち第一交配組から経た世代の数と,子孫間での死亡頻度との間の関係を示す。図9(B)は,無限に世代を経た後の自然致死変異率と子孫間での死亡頻度との関係を示す。

Claims (14)

  1. ヒトの非可聴音域における声量に比べて,ヒトの可聴音域における声量が多いマウス。
  2. 請求項1に記載のマウスであって,
    20Hz以上10kHz以下の音域における声量が,低周波領域及び高周波領域における声量より多いマウス。
  3. 請求項1に記載のマウスであって,
    20Hz以上10kHz以下の音域における声量が,高周波領域における声量の1.5倍以上であるマウス。
  4. 請求項1に記載のマウスであって,
    配列番号1で示されるアミノ酸配列の400番目のアスパラギン酸が他のアミノ酸に変異したタンパク質を有するマウスを交配して得られるマウス。
  5. 請求項1に記載のマウスであって,
    DNAポリメラーゼδの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性が欠失したマウスを交配して得られるマウス。
  6. 請求項1に記載のマウスであって,
    DNAポリメラーゼδの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性が欠失したマウス同士を交配して得られるマウス。
  7. 前記DNAポリメラーゼδの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性が欠失したマウスは,
    配列番号1で示されるアミノ酸配列の400番目のアスパラギン酸が他のアミノ酸に変異したタンパク質を有するマウスである,
    請求項5又は請求項6に記載のマウス。
  8. 配列番号1で示されるアミノ酸配列の400番目のアスパラギン酸が他のアミノ酸に変異したタンパク質を有するマウスを交配させる工程を含む,
    ヒトの可聴音域において音声を発する,マウスの製造方法。
  9. DNAポリメラーゼδの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性が欠失したマウスを交配させる工程を含む,
    ヒトの可聴音域において音声を発する,マウスの製造方法。
  10. 前記マウスを交配させる工程は,
    DNAポリメラーゼδの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性が欠失したマウス同士を交配させる工程である請求項9に記載のマウスの製造方法。
  11. 平常時にヒトの可聴音域における音声を発するマウス。
  12. 請求項11に記載のマウスであって,
    平常時にヒトの可聴音域における音声を恒常的に発するマウス。
  13. 請求項11に記載のマウスであって,
    1年以上の寿命を有するマウス。
  14. 請求項11に記載のマウスであって,
    疾患に罹患していないマウス。
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