JP2011085587A - 蛍光分析装置のための機器セットアップシステム - Google Patents
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Abstract
【課題】 蛍光分析装置のための機器セットアップシステムを提供する。
【解決手段】 本発明は、複数の蛍光色素を分析するための複数の検出器チャネルを有する機器をセットアップするための試薬および方法を提供する。本発明は、特に、フローサイトメトリ分野において適用可能である。
【選択図】 なし
【解決手段】 本発明は、複数の蛍光色素を分析するための複数の検出器チャネルを有する機器をセットアップするための試薬および方法を提供する。本発明は、特に、フローサイトメトリ分野において適用可能である。
【選択図】 なし
Description
関連出願の相互参照
本出願は、いずれも参照により本明細書に援用されている、2009年10月15日に出願された米国特許仮出願第61/252,001号、2008年11月13日に出願された米国特許仮出願第61/199,312号の優先権を主張するものである。
本出願は、いずれも参照により本明細書に援用されている、2009年10月15日に出願された米国特許仮出願第61/252,001号、2008年11月13日に出願された米国特許仮出願第61/199,312号の優先権を主張するものである。
本発明は、複数の光検出器を使用して複数の蛍光色素を分析する機器に関する。本発明は、特に、血球計算(cytometry)分野、さらに詳細にはフローサイトメトリ(flow cytometry)または走査型サイトメトリに適用可能である。
フローサイトメトリおよび走査型サイトメトリなどの粒子分析装置が、当技術分野において周知である。これらのシステムでは、分子、分析物結合ビーズ(analyte−bound bead)、または個々の細胞などの蛍光標識粒子は、通常は1つまたは複数のレーザである励起光に各粒子を暴露し、色素標識の各々から得られた蛍光を測定することにより、個別に分析される。各粒子は、複数のスペクトル的に異なる蛍光色素で標識されてもよい。通常、検出は、検出される異なる色素の1つずつに対して、複数の光検出器を使用して実施される。フローサイトメトリおよび走査型サイトメトリはいずれも、例えばBD Biosciences社(San Jose、CA)から、市販されている。
他の機器システムが、複数の光検出器を使用して複数の蛍光色素を検出することができることが既知である。例えば、複数の標的配列からの核酸増幅反応生成物は、蛍光標識プローブを使用して検出し、区別することができ、各標的特異的プローブは、スペクトル的に異なる蛍光色素に結合されている。通常、核酸増幅産物を分析する機器は、反応生成物からの総蛍光を測定し、各標的種の周波数は、各色素からの測定蛍光から決定される。
複数の色素を検出するために複数の光検出器を使用するフローサイトメータ(flow cytometer)および他の機器において、特定の光検出器により検出された光が、検出チャネルと呼ばれる所定の波長範囲に限定されるように、通常は周波数依存性のフィルタおよび二色性ミラーのシステムによって集められた光が、特定の波長範囲に分離される。各色素の発光スペクトルのピークが、異なる検出チャネルの周波数範囲内にあるように、すなわち各検出チャネルが主として1つの色素からの発光を検出するように、検出チャネルおよび色素は選択される。しかし、蛍光色素の発光スペクトルの幅が原因で、通常、色素は1つより多い検出チャネルで蛍光発光するため、色素蛍光の測定は独立していない。他の色素の検出を目的とした諸検出チャネルでの1つの色素の発光は、スピルオーバ(spillover)、蛍光スペクトルの重なり、クロストーク(crosstalk)などの複数の用語で呼ばれる。
色素蛍光測定へのスピルオーバまたはクロストークの影響を減少させる方法が、当技術分野で既知である。そのような方法は、検出される一次色素以外の色素からの寄与を補正するために算出される量だけ、各光検出器により測定される信号を調整することを含む。フローサイトメトリ分野における例があり(例えば、非特許文献1、非特許文献2、および非特許文献3参照。)、その各々は参照により本明細書に援用されている。WinList(商標)(Verity Software House社、Topsham、Maine)、FlowJo(Tree Star, Inc.社、Ashland、OR)、およびFCS Express(De Novo Software社、Los Angeles、CA)などの市販のデータ分析ソフトウェアパッケージにより、フローサイトメータによって生成された格納データファイルに対するソフトウェア補正が可能になる。また、参照により本明細書に援用されている、BD FACSVantage SE FlowサイトメータのためのBD FACSDiVa(商標)Option(BD Biosciences社、San Jose、CA;www.bdbiosciences.comで利用可能)を記載している白書を参照されたい。
通常のフローサイトメトリ分析では、液体培地中に懸濁されている標識粒子が、1つずつ検査領域(interrogation region)を通り過ぎて狭い流路を通過させられる。粒子は、識別を容易にするために、1つまたは複数の蛍光色素で標識されている。検査領域を通過しながら、標識粒子は、通常は1つまたは複数のレーザからの励起光に暴露され、得られた粒子の蛍光が測定される。通常、粒子により散乱する励起光量も測定される。結合した標識の各々からの散乱光の量および発せられた蛍光の強度は、標識粒子の特性決定を実現する。フローサイトメトリは、多数の粒子を分析する迅速な手段を提供し、重要なことには、全体としての粒子集団に関してのみでなく、各個別粒子に関するデータを提供する。しかし、単一の粒子に結合した色素分子により発せられる低レベルの光の検出は、通常、検出信号の増幅を必要とする。そのような低レベルの放出光を検出するために、現時のフローサイトメータは、106またはそれより大きい倍数で信号を増幅することができる光電子増倍管(PMT:photomultiplier tube)およびアバランシェフォトダイオード(APD:avalanche photodiode)などの光検出器を使用する。PMTまたはAPDの増幅利得は、検出器への入力電圧を調整することにより、または下流の増幅器の利得を調整することにより、または両方により、変化し得る。
標識核酸増幅産物の検出のための機器は、通常、個別粒子レベルではなく集団レベルで標識産物を測定し、必要な信号増幅の程度は、分析される試料の体積によって決まる。信号増幅は、もし使用されるならば、検出出力と直列の増幅器を使用して達成することができる。PMTまたはAPDと同様に、増幅利得は通常、調整可能である。
フローサイトメータを使用して特定の分析を実施する前に、試料測定値が検出システムのダイナミックレンジ(dynamic range)内にあるように、光検出器信号増幅(利得)および検出される信号領域は、検出されることになる色素の輝度/量に基づいて調整される。試料蛍光レベルの最高分解能を実現するために、光検出器利得および検出される信号範囲は、試料蛍光の期待範囲が検出可能範囲の大部分に亘るように設定されることが所望される。試料蛍光の期待範囲が試料特異的であるので、これらの機器パラメータは、各種の試料を分析する前に決定され、設定されなければならない。さらに、個々の機器の性能が異なるので、これらのパラメータは、その機器に特異的である。
光検出器利得および検出信号範囲は、通常、標準物質の試料を分析することにより、フローサイトメータにおいて設定される。標準物質の試料は、次いで分析される未知の試料を指す。例えば、細胞含有試料を分析する前に、明るく染色された細胞の期待輝度を表す、ある量の色素で染色されたビーズまたは細胞の試料を使用して、検出範囲の上限を設定するか、または、非標識試料細胞のレベルで蛍光発光する非標識ビーズまたは非標識細胞の試料を使用して、検出範囲の下限を設定する。この適切な設定の決定は、同種の分析が毎日実施されるとしても、1つには機器および光検出器の性能における日常的変化の理由で、通常は毎日実施される。
複数の光検出器の各々の光検出器利得のレベルが、各チャネルの光の測定に影響を及ぼすため、測定されるスピルオーバ蛍光量は、光検出器利得に依存する。現時のフローサイトメータを使用して、色素の各々からの相対スピルオーバ蛍光量が、光検出器利得が選択された後に実験的に決定される。最初のセットアップによるスピルオーバ測定実施後の、機器の光検出器利得設定に対する任意の変更、および延いては補正は、現時の機器設定に対してもはや適用できない。通常、光検出器利得設定に対する任意の変更後、色素からのスピルオーバは、現時の機器設定を使用して実験的に再決定される。
フローサイトメータなどの、複数の増幅光検出器を使用して複数の蛍光色素を分析する機器が記載されており(例えば、特許文献1参照。)、参照により本明細書に援用される。該複数の増幅光検出器は、光検出器増幅の変化を受けて、スピルオーバ値および補正値を含む機器パラメータを自動的に再設定することができる。光検出器増幅の変化を受けてパラメータの再計算を可能にするために、機器は、光検出器の各々について、かつ蛍光色素の各々について、測定蛍光と光検出器の信号増幅(光検出器利得)との間の対関数関係の表現を記憶する。
Bagwell, C.B.; Adams, E.G. "Fluorescence Spectral Overlap Compensation for any Number of Flow Cytometer Parameters", Ann. N.Y. Acad. Sci. 677, 167-184 (1993)
Roederer, M. et al., "Eight Color, 10-Parameter Flow Cytometry to Elucidate Complex Leukocyte Hetrogeneity", Cytometry 29, 328-339 (1997)
Bigos et al., 1999, Cytometry 36: 36-45
本発明は、複数の光検出器を使用して複数の蛍光色素を分析する機器で使用するために、スピルオーバ値および補正値を決定し、蛍光試薬の蛍光発光(輝度)を予測する方法および試薬を提供する。
本方法は、機器のセットアップを簡単化するために、本明細書において定義されている。所定の「較正スピルオーバ」値を使用する。これらの較正スピルオーバ値は、各検出器チャネルで色素から測定される蛍光発光から、異なる蛍光色素で標識された各蛍光試薬に対して予め決められ、チャネルの各々で発する「広帯域」基準物質の蛍光発光を使用して較正される。機器セットアップ中、分析に使用されることになる特定の機器設定に適用可能なスピルオーバ値または補正値は、所定の較正スピルオーバ値または較正補正値を得るために使用されるものとは異なっていてもよく、特定の機器設定下で同一または同等の基準物質の蛍光発光を測定し、測定基準物質の蛍光発光と所定の較正スピルオーバ値または較正補正値とからスピルオーバ値または補正値を計算することにより得られる。同様に、所定の較正蛍光発光値を有する蛍光試薬の期待輝度は、特定の機器設定下で基準物質の蛍光発光を測定し、測定基準物質の発光と所定の較正試薬輝度とから期待試薬輝度を計算することにより得られる。
蛍光色素の較正スピルオーバ値は、対応する検出器チャネルで測定された基準物質の蛍光発光を使用して各発光値を較正することにより、二次(スピルオーバ)チャネルでかつ一次チャネルで測定される色素からの蛍光発光から得られ、両者は同一の機器設定下で測定される。本発明の較正スピルオーバ値は、補正を決定するのに使用される、直接測定される未較正スピルオーバ値とは異なり、光検出器利得から独立している。この利得独立性により、最後の分析に使用されるものとは大幅に異なる可能性がある光検出器利得設定を使用して、特定の分析のために機器をセットアップする前に、較正スピルオーバ値を常時得ることが可能になる。
分析中に測定されるデータの補正は、分析に使用される特定の光検出器利得設定に特異的な未較正スピルオーバ値を必要とする。本発明の方法では、これらの未較正スピルオーバ値は、分析に使用される光検出器利得設定下で基準物質の検出器チャネルの各々の蛍光発光を測定し、所定の較正スピルオーバ値と基準物質から測定された蛍光発光とから未較正スピルオーバ値を計算することにより得られる。次いで、補正値が、スピルオーバ値から得られる。分析に特化した機器の光検出器利得設定下で、基準物質のみを分析すれば十分なので、これにより、エンドユーザのための機器セットアップが簡単化される。
分析試薬の未較正蛍光強度(輝度)値は、試薬から得られるデータが「尺度上にある」かまたは機器のダイナミックレンジ内にあるように、光検出器利得設定の設定を補助するのに有用であり得る。所与の光検出器利得設定下での分析試薬の輝度は、利得依存性の未較正蛍光測定値と所与の光検出器利得設定下で測定される基準物質の蛍光とにより推定される。本発明の本態様を使用して、試薬の輝度が所定の目標輝度値に合致するように、光検出器利得設定を設定することができる。機器セットアップ中、光検出器利得は、試薬の期待輝度が目標値に合致するように、基準物質の測定後に再調整される。製造された試薬の各ロットに特定の所定の目標値は、機器セットアップを簡単化するために試薬製造者により提供され得る。
基準物質は、検出チャネルの各々で一緒に発光する、1つまたは複数の粒子集団で構成されている(したがって「広帯域」)。好適な実施形態では、基準物質は、各微小粒子が、検出チャネルの各々で発光するように、複数の蛍光色素で染色された微小粒子の単一の集団で構成されている。あるいは、基準物質は、各々が1つまたは複数の蛍光色素で染色されている複数の集団を含んでいてもよい。種々の集団の蛍光を、集団を別個に分析するか、または集団を合体させてその混合物を分析するかのいずれかにより、独立して測定することができる。フローサイトメータを使用して、例えば、異なる集団からの微小粒子を、測定強度または散乱特性に基づく適切なゲーティング(gating)により、区別することができる。
本発明は、フローサイトメトリ試薬などの蛍光試薬の商業生産および流通に特に有利な、複数の有用で新規な特徴を可能にする。これらの新規な特徴は、以下を含む。
光検出器利得設定の任意の所与の設定に対する補正の計算を、所与の光検出器利得設定下での基準物質のみの測定から得ることができる。
1つまたは複数の光検出器利得設定の変更後の補正の計算を、新しい設定下での基準物質のみの測定から得ることができる。
試薬から得られたデータが「尺度上にある」かまたは機器のダイナミックレンジ内にあるような、特定の試薬の所望の輝度を得るためのPMT利得の設定を、基準物質のみの測定から得ることができる。較正蛍光値に加えて、所定の目標輝度値を試薬と共に提供して、機器セットアップを容易にすることができる。
較正スピルオーバ値を得るために使用される、複数の分析における各色素の較正発光値は、その時々において種々の光検出器利得設定下で決定することができる。各色素に対して、較正値は、同一の光検出器利得設定下で測定される色素の蛍光と基準物質の蛍光とから得られるが、1つの色素の較正値を得るために使用される光検出器利得設定は、別の色素に使用される設定と同じである必要がない。本発明の本態様は、複数の分析に使用するために染色された試薬を合体させることを簡単化する。
複数の分析に使用される既存の色素セットのうちの色素の1つの、新しい色素での置換に必要なのは、新しい色素の較正発光値の測定のみであり、該新しい色素の較正発光値は、同一の光検出器利得設定下で測定される新しい色素の蛍光と基準物質の蛍光とから得られる。これらの光検出器利得設定は、その他の色素の各々に対する較正値を得るのに使用される設定と同一の設定である必要はない。本発明の本態様は、複数の分析における色素の置換を簡単化する。
以前の試薬ロットの新しい試薬ロットでの置換が簡単化される。新しい試薬ロットは、種々のスピルオーバ値を有していてもよく、いくつかの場合には特にそうである。新しい試薬ロットのために得られた較正スピルオーバ値は、試薬をさらに再確認する必要がなく、古いロットの新しいロットでの直接置換を可能にする。
新しい基準物質の置換または同一基準物質のロットの置換が簡単化される。古い基準物質に対する新しい基準物質の較正発光は、新しい基準物質に対する較正試薬および未較正試薬両方の発光値およびスピルオーバ値の直接計算または再計算を可能にする。したがって、新しい基準物質の置換または基準物質のロットの置換には、分析試薬の較正スピルオーバ値の再計算は必要ない。
好適な実施形態では、機器はサイトメータであり、より好ましくは、走査型サイトメータまたはフローサイトメータである。但し、本発明は、複数の検出器チャネルの複数の蛍光色素を分析する任意の機器に適用可能であり、該任意の機器では、補正が所望される、すなわち色素発光スペクトルのスペクトルの重なりが、結果的に1つより多い色素からの光を測定する検出器チャネルの1つまたは複数を生じさせる。本発明は、利得調整可能な光検出器、例えば光電子倍増管(PMT)を有する機器に最も適用可能であるが、本発明はまた、プリセット利得を備えた光検出器または利得のない光検出器を有する機器に適用可能である。一般に、調整不能な光検出器利得を有するようになされた機器は、必要な補正に影響を及ぼす、光検出器の応答における機器間変動を、依然として示すであろう。さらに、機器が古くなるにつれて、光検出器の応答が経時的に変化する可能性があり、それにより、必要な補正に影響が及ぶことが予測される。
以下の定義は、明確にするために提供するものである。別途指示がない限り、全ての用語は、当技術分野で一般的である通りに使用されている。本明細書に引用されている全ての参考文献は、上記および下記のいずれも、参照により本明細書に援用されている。
本明細書に使用されている「システム」および「機器」は、ハードウェア(例えば、機械的かつ電子的)および関連するソフトウェア(例えば、コンピュータプログラム)をどちらも包含するものである。
本発明は、利得とも呼ばれる調整可能な信号増幅を各々が有する複数の光検出器を有する機器に最も適用可能である。光検出器利得が光検出器のみによってもたらされるか、または光検出器の出力を増幅する信号増幅器によりもたらされるかは重大ではない。この理由から、「光検出器」は、もし存在するのであれば、単独の光検出器、または付随する(単数または複数の)信号増幅器を備えた光検出器のいずれかを指して、本明細書で使用されている。例えば、一定の固有応答を有するフォトダイオード、または調整可能な増幅を有するが、通常は一定の増幅レベルで使用されるアバランシェフォトダイオードからの信号は、線形信号増幅器または対数信号増幅器のいずれかを通過させられ、調整可能な利得をもたらす。この場合の光検出器利得は、フォトダイオードと信号増幅器との組合せによりもたらされた増幅を指す。好適な実施形態では、信号増幅をもたらす光電子倍増管が使用される。但し、光検出器の出力の付加的な増幅が使用されてもよい。例えば、BD FACSVantage(商標)SE FlowサイトメータのためのBD FACSDiVa(商標)Option(共にBD Biosciences社製、San Jose、CA)では、光電子倍増管からの信号は、アナログデジタルコンバータ(analog−digital converter)によりデジタル信号に変換される前に、前置増幅器を通過させられる。
光検出器の信号増幅(利得)は、1つまたは複数のパラメータを調整することにより、機器セットアップ中に調整される。例えば、PMTの入力電圧レベルは、PMTの信号増幅を設定するのに使用されるパラメータであり、機器セットアップ中に調整されるパラメータである。別の例として、フォトダイオードまたはアバランシェフォトダイオードが下流の調整可能な増幅器に接続されている場合、下流の増幅器の信号増幅を設定するのに使用されるパラメータは、機器セットアップ中に調整されるパラメータである。便宜上、当技術分野での慣習である通り、光検出器利得を設定するのに使用されるパラメータの値は、光検出器利得と同じ意味に見做される。したがって、例えば、PMTの入力電圧(または簡単にPMT電圧)は、PMT利得の尺度として使用される。
本発明は、利得調整可能な光検出器を有する機器に最も適用可能であるが、本発明はまた、プリセット利得を備えた光検出器または利得のない光検出器を有する機器に適用可能である。一般に、調整不能な光検出器利得を有するようになされた機器は、必要な補正に影響を及ぼす、光検出器の応答における機器間変動を、依然として示す。さらに、機器が古くなるにつれて、光検出器の応答は経時的に変化する可能性があり、それにより、必要な補正に影響が及ぶことが予測される。本方法は、各場合における必要な補正を決定することに一様に適している。
「検出器チャネル」、「検出チャネル」、または「チャネル」は、特定の光検出器により検出される波長範囲を指す。通常は、複数のスペクトル的に異なる蛍光色素の独立した測定を容易にするために、複数の重なりのない検出器チャネルが測定される。検出される波長範囲は、通常、当技術分野で周知の周波数依存性のフィルタおよび/または二色性ミラーを使用して決定される。明確にするために、用語「チャネル」の本明細書での使用は、フローサイトメトリ分野における二次使用とは区別され、単一の検出器により検出可能な強度値範囲の離散した部分を指す。
通常、色素および検出器チャネルは、実現可能な程度に各色素の発光最大値が異なる検出器チャネル内であるように、すなわち各色素がその色素からの光を検出するのに最適化された検出器チャネルに適合するように選択される。しかし、その発光スペクトルの幅が原因で、所与の色素からの光は、1つまたは複数の他の検出器チャネル内で発せられる可能性がある。色素の発光最大値に最も厳密に適合する検出器チャネル以外の検出器チャネル内で色素により発せられる光は、本明細書では「スピルオーバ」と呼ばれる。
色素の発光最大値に最も厳密に適合する検出器チャネルは、本明細書では、所与の色素に対して、色素検出チャネルまたは一次チャネルと呼ばれる。全ての他の検出器チャネルは、所与の色素に対して、スピルオーバチャネル(spillover channel)または二次チャネルと呼ばれる。色素とその色素検出チャネルとは、「対応する」または「適合した」と言われる。ある検出チャネルに対して、その検出チャネルに対応する色素は、一次色素と呼ばれる。その検出チャネル内にスピルオーバを発する他の色素は、二次色素と呼ばれる。
当然のことながら、一次色素と検出器チャネルとの対応は、分析に使用される色素のセットと使用される検出器チャネルとによって決まる。通常、複数の分析では、各色素が、明確な波長範囲上の光を測定する特定の一次検出器において測定される。しかし、いくつかの実施形態では、色素の発光が空間的に分離可能である場合、2つの異なる色素の一次検出器は、周波数の重複範囲の光を、または同一範囲上の光をも測定する可能性がある。例えば、フロー流の空間的に離れた領域に焦点を合わせられた複数の励起レーザを有するフローサイトメータなど、複数の励起光源を有する機器を使用する際には、検出器の別個のセットが使用されて、レーザの各々による励起後に発せられる蛍光を測定する。そのような機器では、種々のレーザを使用して励起可能な、色素が同じ発光スペクトルを有するが異なる励起スペクトルを有するように、異なるストロークシフト(stroke shift)を有する色素が使用されてもよい。
本明細書で使用されている用語「粒子」は、微小粒子またはビーズなどの合成粒子と、真核細胞、細菌、ウィルス、または高分子などの生物学的起源由来の粒子の両方を指す。
本明細書で使用されている用語「微小粒子」、「微粒子」、および「ビーズ」は、同じ意味で使用されている。これらの用語は、ナノメートルからミクロンまでの範囲の、通常は約0.01から1,000μmまで、好ましくは約0.1から100μmまで、より好ましくは約1から100μmまで、およびフローサイトメトリにおける使用には、通常約1から10μmまで、の直径を有する小粒子を指す。微小粒子は任意の形状とすることができるが、通常は、略球形(「微小球体」)である。微小粒子は、通常は合成粒子であるが、真核細胞、細菌、ウィルス、または高分子などの生物学的粒子由来とすることもできる。
本明細書で使用されている粒子の「集団」は、測定されるパラメータに対して本質的に同じ視覚的特性を持つ粒子群を指す。該粒子群には、同種の細胞(細胞集団)、または実際の製作公差内で同じサイズ、形状、および組成の合成ビーズ(ビーズ集団)などがある。ビーズは任意の形状の粒子で構成されていることが可能であり、球形である必要はない。
本明細書で使用されている用語「MFI」は、蛍光粒子集団の平均蛍光強度または中央蛍光強度を指す。当然のことながら、切断分布の平均(truncated mean)蛍光または切断分布の中央(truncated median)蛍光などの集団蛍光の他の統計的尺度が使用されてもよい。
基準物質
本明細書で使用されている「基準物質」は、測定応答と測定されている物質の値との間に既知の関係を確立するのに使用することができる任意の物質を指す。基準物質は、既知の特性を有する物質に対する機器の応答を確立するのに使用することができる既知の蛍光特性を有する標準物質である。
本明細書で使用されている「基準物質」は、測定応答と測定されている物質の値との間に既知の関係を確立するのに使用することができる任意の物質を指す。基準物質は、既知の特性を有する物質に対する機器の応答を確立するのに使用することができる既知の蛍光特性を有する標準物質である。
本方法では、所与の検出チャネルの色素または色素標識粒子の測定蛍光は、本明細書では広帯域基準物質とも呼ばれる、検出器チャネルの各々で発光する基準物質の測定蛍光を使用して較正される。基準物質は、一粒子当たりの相対蛍光値を測定するのに十分な、一定であるが未知の数の色素分子を含んでもよいか、または既知の数の色素分子を含んでもよい。後者の場合、基準物質により、一色素分子当たりの蛍光を計算することがさらに可能になる。
基準物質は、検出チャネルの各々で一緒に発光する1つまたは複数の粒子集団で構成されている。好適な実施形態では、各微小粒子が検出チャネルの各々で発光するように、基準物質は複数の蛍光色素で染色された微小粒子の単一の集団で構成されている。あるいは、基準物質は、各々が1つまたは複数の蛍光色素で染色されている複数の集団を含んでもよい。異なる集団の蛍光を、集団を別個に分析するか、または集団を合体させてその混合物を分析するかのいずれかにより、独立して測定することができる。フローサイトメータを使用して、例えば、測定強度または散乱特性に基づく適切なゲーティングにより、異なる集団からの微小粒子を区別することができる。
基準物質として使用するための微小粒子を、ポリスチレンなどのポリマー;ジビニルベンゼンなどの他の共重合体を含むポリスチレン;ポリメチルメタクリレート(PMMA);ポリビニルトルエン(PVT);スチレン/ブタジエン、スチレン/ビニルトルエンなどの共重合体;ラテックス;またはシリカ(例えばSiO2)などの他の物質を含むがそれらに限定されない、任意の適切な材料(またはその組合せ)で生成することができる。
本発明での使用に適した微小粒子は、当技術分野で周知であり、複数の製造業者から市販されている。種々のサイズの染色されていない微小粒子、および蛍光微小粒子の調製に適したポリマーの組成は、Bangs Laboratories社(Carmel、Ind.)、Interfacial Dynamics Corporation社(Portland、Oreg.)、Dynal社(Great Neck、N.Y.)、Polysciences社(Warrington、Pa.)、Seradyne社(Indianapolis、Ind.)、Magsphere社(Pasadena、Calif.)、Duke Scientific Corporation社(Palo Alto、Calif.)、Spherotech Inc.社(Libertyville、Ill.)、およびRhone−Poulenc社(Paris、France)を含む種々の製造業者から入手可能である。微小粒子の調製用の化学的モノマーは、多数の製造業者から入手可能である。
蛍光色素は、例えば、製造中に微小粒子内へ色素を共重合することによるもの(例えば、共に参照により援用されている、Schwartzらの特許文献2(1975年)、Rembaumの特許文献3(1982年)参照。)、重合過程中に微小粒子内に蛍光色素を封入することによるもの、または予め調製されている微小粒子内に蛍光色素を非共有結合で取り込むことによるもの(例えば、各々が参照により組み込まれている、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、および特許文献8参照。)を含む、種々の方法で微小粒子内に組み込まれてきた。微小粒子を標識する方法は、本発明の重大な態様ではない。制御可能な量の色素を用いて微小粒子の標識化を可能にする任意の方法を、使用することができる。
好適な実施形態では、蛍光標識微小粒子は、周知の方法によるバス染色法により調製される。バス染色(bath dyeing)法は記載されている(例えば、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、および特許文献8参照。)。バス染色法により調製されるそのような微小粒子は、ハードダイビーズ(hard−dyed beads)とも呼ばれる。
好適な実施形態では、各微小粒子が検出チャネルの各々で発光するように、基準物質は、複数の蛍光色素で染色された微小粒子の単一集団で構成されている。複数の蛍光色素で染色されており、複数の検出器チャネルで発光するようになされた市販のビーズには、BD(商標)Cytometer SetupおよびTrackingビーズ(CS&T beads社、BD Biosciences社、San Jose、CA)、ならびにSpherotech, Inc.社、Lake Forrest、IL)製のRainbow and Ultra Rainbowアラインメントビーズ(alignment beads)および較正粒子が含まれる。
BD(商標)Cytometer SetupおよびTrackingビーズは、蛍光色素の混合物で染色されたポリスチレンビーズ(polystyrene beads)である。該ビーズは、400から800nmまでの範囲に亘る検出器チャネルで蛍光を発する。該範囲は、例えばIndo1、DAPI、Hoechst、Pacific Blue(商標)、AmCyan、Qdot655、Qdot700、Alexa Fluor(登録商標)405、FITC、PE、PE−Texas Red(登録商標)、PerCP、PerCP−Cy(商標)5.5、PE−Cy(商標)7、PE、PE−Texas Red(登録商標)、PerCP、PerCP−Cy5.5、PE−Cy7、APC、APC−Cy7、APC−HL750、Alexa Fluor(登録商標)700を含む種々の一般的に使用される蛍光色素からの発光を測定する、通常はBDデジタルフローサイトメータ(digital flow cytometer)で使用される範囲を包含する。ビーズは、列挙された蛍光色素、またはこれらもしくは同様に定義された検出チャネルを使用して検出可能な他の蛍光色素のいずれかからの発光を較正する基準物質として有用である。記述の通り、BD Cytometer SetupおよびTrackingビーズは、各ビーズが蛍光色素の混合物で染色されている、明るいビーズ(3μm)、中間のビーズ(3μm)、および暗いビーズ(2μm)と等しい濃度の混合物で構成されている。本発明で基準物質として使用するために、単一発光強度のビーズのみを使用する。異なるビーズ集団は、それらのサイズおよび強度により区別することができる。
代替の実施形態では、基準物質は、各々が1つまたは複数の蛍光色素で染色されている複数の集団を含んでいてもよい。例えば、基準物質は、各検出器チャネルに1つ、基準集団のセットを含んでいてもよく、該セットの各々は、その検出器チャネルの一次色素で標識されている。複数の検出チャネルの蛍光発光を較正するために、各チャネルについて、そのチャネルの発光が、そのチャネルの一次色素で標識されている基準粒子からの発光により較正されるように、基準集団のセットが使用される。各々が単一色素で染色されている市販のビーズセットには、共にBD Biosciences社(San Jose、California)から入手可能なBD FACS(商標)7色セットアップビーズ(setup beads)およびBD Calibrite(商標)ビーズが含まれる。
BD FACS7色セットアップビーズは、標識されていないか、またはそれぞれ1つのフルオロフォア(fluorophore)で標識されているかのいずれかである、別個に容器に入れられたビーズ集団を含む。集合的に、ビーズ集団は以下の色素で標識されている。フルオレセイン(FITC)、R−フィコエリトリン(PE)、ペリジニンクロロフィル蛋白質(PerCP)、PerCPシアニン5.5タンデム(PerCP(商標)Cy5.5)、PEシアニン7タンデム(PE−Cy7);アロフィコシアニン(APC)、またはAPCシアニン7タンデム(APC−Cy7)。BD Calibrite(商標)ビーズ(BD Biosciences社、San Jose、California)は、FITCで標識されたビーズ、PEで標識されたビーズ、PerCPで標識されたビーズ、およびAPCで標識されたビーズを含む。
複数の色素で染色された合成微小粒子が好適であるが、生物学的粒子を含む他の粒子種類を使用して基準物質を生成することができる。例えば、基準物質は、一細胞につき結合した一定平均数の抗体で細胞が標識化されるように、一定レベルで表される細胞表面マーカに特異的な色素標識抗体で染色された細胞集団で構成されていてもよい。各所与の検出チャネルについて、基準集団が、細胞の試料をそのチャネルの一次色素で標識された抗体で染色することにより、そのチャネルに対応して調製される。このように、1つが各検出チャネルに対応する、基準集団のセットで較正されている基準物質は、細胞の試料を、検出チャネルの1つに対する一次色素で標識された抗体で別個に染色することにより、生成される。
一般に、基準物質は、一粒子当たり一定数の色素分子を含むか、またはそれで染色されている、機器を使用して測定されるのに適した、任意の種類の粒子を含んでいてもよい。フローサイトメータの用途には、種々の細胞ベースまたは合成ビーズベースの粒子を使用することができる。基準物質は通常、本方法では、最初は測定スピルオーバ値を較正するために、次いで前に決定された較正スピルオーバ値から未較正スピルオーバ値を計算するために、複数回使用される。基準物質の使用の間に相当な時間が経過するので、基準物質の蛍光発光の安定性または再現性は、所望の特性である。
蛍光一致標準物質(fluorescence−matched standards)
以下により十分に記載されている通り、色素標識分析試薬のスピルオーバ値および他の蛍光特性は、通常、同じ色素で標識された標準粒子を使用して実験的に決定される。一般に、色素が検出試薬に結合されるか、または粒子を標識するのに使用される場合、色素の発光スペクトル、および延いてはスピルオーバは変更し、分析に使用される場合の色素の実際のスピルオーバは、標準粒子を使用して決定されるスピルオーバとは異なる。分析に使用される場合、すなわち抗体に結合する、つまりは細胞に結合する場合、最後の分析条件下で色素の蛍光特性に極めて近似する蛍光特性を示す標準粒子を使用することが望ましい。色素標識分析試薬の蛍光特性に極めて近似する蛍光特性を示すようになされた標準粒子は、本明細書では「スペクトル一致」標準物質(spectrally matched standard)または「蛍光一致」標準物質と呼ばれる。そのような標準物質は、当技術分野で周知である。例には、色素標識合成ビーズまたは染色された細胞から生成された蛍光一致標準物質が含まれる。
以下により十分に記載されている通り、色素標識分析試薬のスピルオーバ値および他の蛍光特性は、通常、同じ色素で標識された標準粒子を使用して実験的に決定される。一般に、色素が検出試薬に結合されるか、または粒子を標識するのに使用される場合、色素の発光スペクトル、および延いてはスピルオーバは変更し、分析に使用される場合の色素の実際のスピルオーバは、標準粒子を使用して決定されるスピルオーバとは異なる。分析に使用される場合、すなわち抗体に結合する、つまりは細胞に結合する場合、最後の分析条件下で色素の蛍光特性に極めて近似する蛍光特性を示す標準粒子を使用することが望ましい。色素標識分析試薬の蛍光特性に極めて近似する蛍光特性を示すようになされた標準粒子は、本明細書では「スペクトル一致」標準物質(spectrally matched standard)または「蛍光一致」標準物質と呼ばれる。そのような標準物質は、当技術分野で周知である。例には、色素標識合成ビーズまたは染色された細胞から生成された蛍光一致標準物質が含まれる。
色素標識合成微小粒子から生成される蛍光一致標準物質は、広く使用されている。例えば、ハードダイビーズで構成されている標準粒子、および色素標識抗原特異的抗体が結合している抗原で被覆されている合成ビーズで構成されている標準粒子、が使用されている。ハードダイビーズは、安定した蛍光特性を示すという利点を有するが、測定スピルオーバは、分析条件下で使用される色素からの実際のスピルオーバを、厳密に表さない可能性がある。いずれの場合も色素は抗体に結合しているので、色素標識抗原特異的抗体が結合している抗原で被覆されている合成ビーズで構成されている標準粒子は、分析試薬により厳密に一致し得る。しかし、抗原を発現する細胞ではなく、抗原で被覆されている合成微小粒子の使用は、結果的に、依然として、最後の分析条件下で示されるスピルオーバとは異なる測定スピルオーバ値をもたらし得る。
ある分析に使用される色素標識分析試薬の蛍光特性により厳密に一致させるために、染色された細胞の集団で構成されている蛍光一致標準物質を使用することが好ましく、細胞は、発現された細胞表面抗原を色素で標識された抗原特異的な抗体で標識することにより染色されている。複数の分析に使用される種々の蛍光色素の各々に1つの、蛍光一致標準物質のセットは、同じ抗体であるが色素の異なる1つで標識されている抗体で細胞の試料を別個に染色することにより、生成される。
より好適な実施形態では、蛍光一致標準物質は、好ましくはヒトの、色素標識CD4特異的抗体で標識された、固定全血中のCD4+リンパ球で構成されている。蛍光一致標準物質のセットは、CD4特異的抗体の種々の群を使用して生成され、各群は、検出チャネルの1つの一次色素で標識されている。全血は容易に入手可能であるため、蛍光一致標準物質の調製における固定全血の使用により、エンドユーザが、所定の較正スピルオーバ値を得るために使用される蛍光一致標準物質と同等の蛍光一致標準物質を、独立して生成することが可能になる。
色素標識CD4特異的抗体で標識された、固定ヒト血液中のCD4+リンパ球で構成されている蛍光一致標準物質を使用することの有利な特徴は、CD4の発現レベルの一貫性である。PE標識抗CD4抗体およびBD Quantibrite(商標)標準物質(BD Biosciences社、San Jose、CA)を使用する入念な分析により、固定ヒト血液中のCD4+リンパ球1個につき結合した約40,000個の抗体があること、およびこの数字は試料間で一定であることが示されている。固定ヒト血液中のCD4+リンパ球におけるCD4発現のこの一定レベルにより、一定数の色素分子を含み、それにより一定の輝度レベルを示す、蛍光一致標準粒子の生成が可能になる。標準物質のこの特性により、蛍光強度値が該粒子に割り当てられることが可能になる。
一定の蛍光強度レベルを実現するCD4+リンパ球ベースの標準粒子を生成するために、抗CD4抗体は、一抗体当たり一定平均数の色素分子で標識される。後述の通り、蛍光強度レベルを使用して、試薬の蛍光強度の任意のしかし確立した測定を実現することができる。この目的には、通常は色素と蛋白質の比率として特徴決定される一抗体当たりの実数の色素分子は重大ではない。さらに、種々の色素の発光を測定するために使用される蛍光一致標準粒子は、一抗体当たり同数の色素分子を有する抗体で標識される必要がない。
補正
補正とは、一次色素以外の色素からのスピルオーバに因る寄与、すなわち二次色素からの寄与を、検出器チャネル内で検出された総光量から効率的に除去する行程を指す。したがって、補正後、単一の検出器チャネルから検出される光量は、単一の色素、具体的には一次色素により発せられた光の測定値を表す。補正は、独立した色素の各々の測定を実施することにより、複数の染色された粒子からのデータの分析を容易にする。
補正とは、一次色素以外の色素からのスピルオーバに因る寄与、すなわち二次色素からの寄与を、検出器チャネル内で検出された総光量から効率的に除去する行程を指す。したがって、補正後、単一の検出器チャネルから検出される光量は、単一の色素、具体的には一次色素により発せられた光の測定値を表す。補正は、独立した色素の各々の測定を実施することにより、複数の染色された粒子からのデータの分析を容易にする。
本発明の理解を助けるために、n個の色素を検出するn個のチャネルを有する機器について、補正の一般的原理を記載する。n個のチャネルおよびn個の色素は、各色素の一次検出チャネルが色素と同じ番号を有するように(例えば、チャネル2は色素2を検出するのに使用される)番号を付けられると仮定する。そのように番号を付けられたので、スピルオーバは、異なる番号を有する検出器チャネルによって測定される色素蛍光である。この番号付けスキームは、提示の便宜および正確さのために選択され、本発明にとって重大な態様ではない。
Oiは、i番の検出器チャネルで測定された(観察された)総蛍光を示すものとし、これは、各色素から測定された個々の蛍光の合計である。Djは、検出器j内で測定された色素jの蛍光、すなわち対応した検出器チャネルにより測定された蛍光を示す。次いで、i番のチャネルで測定されたj番の色素の蛍光を、(Sij・Dj)のように表すことができ、ここで、スピルオーバ係数を指すSijは、チャネルiで測定されたDjの相対分率である。定義により、Sii=1である。i番の検出器チャネルで測定された総蛍光は、
Oi=ΣSij・Dj(1)
と表すことができる。ここで、合計は、検出されるn個の色素全体に亘るものである。式(1)は、各検出器チャネルにつき1個の、n個の連立方程式をもたらす。
Oi=ΣSij・Dj(1)
と表すことができる。ここで、合計は、検出されるn個の色素全体に亘るものである。式(1)は、各検出器チャネルにつき1個の、n個の連立方程式をもたらす。
補正を使用して、色素のスピルオーバからの寄与を含む、各チャネルで測定される総蛍光から、その対応した色素検出器チャネル(各Dj)での各色素の蛍光を決定する。補正は、Djに関する連立方程式を同時に解くことにより実施される。各色素の発光がその色素検出チャネルのみにより検出される、スピルオーバのない系では、式(1)が、全てのiについてOi=Diに簡約化し、補正が必要ないことに留意すべきである。
簡潔にするために、上記連立方程式および補正修正の計算は、本明細書では行列代数を使用して記載される。しかし、この表現が、便宜上の、提示を明確にするためのものであること、連立方程式の他の表現が使用されてもよく、同等であることは、明らかであろう。特に、ソフトウェア実行は等価の計算を実施してさえいれば十分であるが、ソフトウェア実行の詳細が本発明の重大な態様でないことは明らかであろう。
Oを、n個のチャネルの各々での蛍光測定のn×1列ベクトルとする。すなわちO=[O1,....On]Tである。Oは、観察された非補正測定のベクトルを示す。Dを、n個の色素の各々の色素蛍光のn×1列ベクトルとする。すなわちD=[D1,....Dn]Tである。Dは、補正測定のベクトルを示す。Sを、スピルオーバ係数Sijのn×n行列とする。次に、式(1)で示された連立方程式を、行列形式で
O=S・D (2)
と表すことができ、補正蛍光値Dが、上記式の両辺をスピルオーバ行列の逆数で左乗算すること
S-1・O=D (3)
により得られる。
スピルオーバ行列の逆数は、補正行列と呼ばれる。
O=S・D (2)
と表すことができ、補正蛍光値Dが、上記式の両辺をスピルオーバ行列の逆数で左乗算すること
S-1・O=D (3)
により得られる。
スピルオーバ行列の逆数は、補正行列と呼ばれる。
スピルオーバ行列は、各検出器チャネルの単一色素の蛍光を測定し、これを各色素について繰り返すことにより推定することができる。各検出器チャネルでの、通常は蛍光一致標準物質を使用して測定される同一色素の測定値は、スピルオーバ行列の一列に対応する。各列の蛍光測定値は、相対スピルオーバ係数を得るために、一次検出チャネルで測定された蛍光で除することにより標準化される。選択されたチャネルおよび色素の順序付けを仮定すると、得られたスピルオーバ行列は、対角線上に1(Sii=1)と、他の色素の測定を目的とする検出器チャネル内への相対スピルオーバに対応する非対角係数とを有する。
上記補正の記載では、各色素の蛍光が直接測定されることを仮定している。しかし、特に機器がフローサイトメータであるいくつかの実施形態では、所与のサイズ範囲内の粒子のみが測定可能であり、色素分子は、測定可能な適切なサイズの粒子に結合されなければならない。実際には、色素の蛍光は、均一量の色素で標識されているビーズ集団または細胞集団で構成されている蛍光一致標準物質を使用し、蛍光一致標準物質の蛍光を測定して、フローサイトメータ内で測定される。しかし、非標識ビーズまたは非標識細胞は、1つまたは複数の検出器チャネルで蛍光発光する可能性がある。自己蛍光と呼ばれる、非標識ビーズまたは非標識細胞のこの蛍光は、各チャネルで検出される蛍光のバックグラウンドレベルを上昇させる。自己蛍光は、各検出器チャネルの非標識粒子集団の蛍光を測定することにより決定することができる。各色素からの真の蛍光の正確な推定を得るために、スピルオーバ行列が推定される前に、色素が結合している粒子からの自己蛍光を、測定蛍光強度から差し引くことができる。自己蛍光を考慮している補正は記載されており(例えば、特許文献1参照。)、参照により本明細書に援用されている。フローサイトメトリでは、自己蛍光は通常、試料からのデータの獲得中は無視される。
スピルオーバ行列の検討を容易にするために、スピルオーバ行列の一列内の係数は、チャネルの各々で同一の染色された粒子集団から測定される蛍光に対応するので、スピルオーバ行列の一列は、特定の色素に対応すると見做される。同様に、スピルオーバ行列の一行内の係数は、単一チャネルで種々の染色された粒子集団から測定される蛍光に対応するので、スピルオーバ行列の一行は、光検出器に対応すると見做される。補正行列も同様に見做される。したがって、補正行列およびスピルオーバ行列の同一列は、同一の特定の色素に対応すると見做され、補正行列およびスピルオーバ行列の同一行は、同一の特定の光検出器に対応すると見做される。
スピルオーバ値を測定する
フローサイトメータをセットアップする通常の方法には、光検出器利得が設定された後に決定される、各色素に対するスピルオーバ値(係数)の実験的決定が含まれる。実際には、この実験的決定は、通常、分析に使用される色素の蛍光特性に極めて近似するようになされた蛍光一致標準物質を使用して行われる。文脈から明らかな場合、色素で均一に標識された(染色された)粒子またはビーズの集団を使用して測定される、色素からのスピルオーバおよび色素のスピルオーバは、本明細書では同じ意味で使用される。
フローサイトメータをセットアップする通常の方法には、光検出器利得が設定された後に決定される、各色素に対するスピルオーバ値(係数)の実験的決定が含まれる。実際には、この実験的決定は、通常、分析に使用される色素の蛍光特性に極めて近似するようになされた蛍光一致標準物質を使用して行われる。文脈から明らかな場合、色素で均一に標識された(染色された)粒子またはビーズの集団を使用して測定される、色素からのスピルオーバおよび色素のスピルオーバは、本明細書では同じ意味で使用される。
所与の色素のスピルオーバ値を決定するために、色素で均一に標識された粒子集団の試料の蛍光は、各検出チャネルで測定される。二次検出チャネル内への色素のスピルオーバ値は、一次チャネルの測定発光に対する二次チャネルの標識粒子の測定発光の比率、すなわち一次チャネルのMFIに対する二次チャネルの標識粒子のMFIの比率として計算される。
上記で導入された記数法を使用して、i番の(二次)検出チャネル内へのj番の色素のスピルオーバSijは
のように計算される。式中、MFIijは、i番の(二次)検出器チャネルでj番の色素で染色された粒子集団から測定される平均蛍光強度であり、MFIjjは、j番の(一次)検出器チャネルで同一集団から測定される平均蛍光強度である。
色素の発光スペクトルは、色素自体の特性である。各検出チャネル内に入る色素の総発光の相対的比率(すなわち固有のスピルオーバ)は、色素の発光スペクトルの特性である。原則として、各検出チャネルでの蛍光測定が直接比較できた場合、色素の測定スピルオーバは、固有のスピルオーバを反映するであろう。しかし、光検出器からの信号は、通常は調整可能であり、かつ各検出チャネルに対して独立して設定される光検出器利得に依存しており、各検出チャネルからの蛍光測定値は直接比較できない。この理由から、式(4)により定義される実験的に決定されたスピルオーバ値は、光検出器利得に依存している。光検出器利得の変更には、通常、スピルオーバ値の実験的決定を繰り返すことが必要である。
較正蛍光測定値
MFIと記される色素の測定蛍光強度は、光検出器利得に依存している。蛍光強度の利得独立性の較正測定値は、同一の機器設定および条件下で測定される基準物質に対して、いずれも同一検出器チャネルで測定される、基準物質の測定蛍光強度に対する色素の測定蛍光強度の比率として定義される。
MFIと記される色素の測定蛍光強度は、光検出器利得に依存している。蛍光強度の利得独立性の較正測定値は、同一の機器設定および条件下で測定される基準物質に対して、いずれも同一検出器チャネルで測定される、基準物質の測定蛍光強度に対する色素の測定蛍光強度の比率として定義される。
ABDijと称される、j番の色素で標識された粒子集団のi番の検出器チャネルの較正平均蛍光強度は、本明細書では、
と定義される。式中、MFIijは、j番の色素で標識された粒子集団のi番の検出器チャネルの平均蛍光強度であり、MFIirefは、基準物質のi番の検出器チャネルの平均蛍光強度であり、Ciは定数である。
諸数値は任意であるが、一度割り当てられたCiの値は固定される。便宜上、Ciは、各基準粒子に結合した色素標識抗体の平均数を反映するように、またはそれに比例するように選択されてもよい。例えば、CD4+リンパ球ベースの蛍光一致標準粒子を使用して、固定ヒト血液中のCD4+リンパ球1個につき結合した色素標識抗CD4抗体の平均数である、Ci=40,000に設定すると都合がよい。定数Ciは、検出器チャネルiで測定される蛍光発光の諸単位に尺度を提供する。但し、絶対値は本発明の重大な態様ではなく、Ciの別の値が使用されてもよい。例えば、Ciは1に設定されてもよく、その場合、ABD値は、基準物質の平均蛍光が1である尺度で測定される蛍光であるか、または同等に、ABD値は、基準蛍光の比率としての蛍光である。
光検出器出力信号が、検出される光子の実数に比例するように、色素標識粒子集団および基準物質がいずれも、光検出器の線形範囲で測定される限り、ABD単位で示される色素標識粒子集団の較正蛍光は、光検出器利得に依存していない。光検出器利得の変化は、結果的に、粒子集団および基準集団の両方からの測定蛍光強度に変化をもたらすが、その両者の比率は一定のままである。
基準蛍光設定
特定の光検出器利得設定で集団から測定される未較正MFIは、式(5)を変換して、
特定の光検出器利得設定で集団から測定される未較正MFIは、式(5)を変換して、
を得ることにより較正平均蛍光強度から得ることができる。したがって、光検出器利得設定に依存する未較正蛍光測定値(MFIij)は、所与の光検出器利得設定下で測定される基準物質の蛍光から得られる倍率と乗算することにより、利得独立性の較正蛍光測定値(ABDij)から得られる。i番の光検出器の倍率
は、本明細書では、「基準蛍光強度」RFIiと称される。
基準蛍光強度は、任意の所与の光検出器利得設定に対する、標識粒子集団の未較正蛍光強度を得る便利な方法を実現する。標識粒子の較正蛍光強度は、一度測定されるだけで十分である。さらに、較正蛍光強度は光検出器利得独立性であるので、最後の分析で使用される設定とは無関係に、任意の適切な光検出器利得設定下で、較正蛍光強度を測定することができる。ある分析のための特定の光検出器利得設定の選択後、RFIを得るために、基準物質は選択された設定下で測定される。選択された光検出器利得設定に特異的な染色された粒子の未較正蛍光強度値は、次いで、予め決められた較正蛍光強度および現在の条件下で測定されたRFIから計算される。
利得独立性の較正スピルオーバ値
二次チャネル内へのj番の色素の較正スピルオーバは、本明細書では、ABD単位で測定された一次チャネルの較正発光に対する、ABD単位で測定された二次チャネルの色素標識粒子集団の較正発光の比率、すなわちいずれもABD単位で較正され示される、一次チャネルのMFIに対する二次チャネルの色素標識粒子集団のMFIの比率と定義される。したがって、i番の検出器チャネル内へのj番の色素の較正スピルオーバNSijは、
二次チャネル内へのj番の色素の較正スピルオーバは、本明細書では、ABD単位で測定された一次チャネルの較正発光に対する、ABD単位で測定された二次チャネルの色素標識粒子集団の較正発光の比率、すなわちいずれもABD単位で較正され示される、一次チャネルのMFIに対する二次チャネルの色素標識粒子集団のMFIの比率と定義される。したがって、i番の検出器チャネル内へのj番の色素の較正スピルオーバNSijは、
である。式中、ABDijは、i番の(二次)検出器チャネルでj番の色素で標識された粒子集団から測定される較正平均蛍光強度であり、ABDjjは、j番の(一次)検出器チャネルで粒子集団から測定される較正平均蛍光強度である。
上記で定義された、較正スピルオーバ値および基準蛍光強度の定義から、較正スピルオーバは、
逆に言えば、
に関連している。
利得設定は、利得独立性の標準化ABD単位で示される測定蛍光と、利得依存性の較正スピルオーバ値で示される測定蛍光との間で変換するために倍数をもたらす。本明細書では、利得設定が、利得依存性のスピルオーバ値と利得独立性の較正スピルオーバ値との間で変換するために使用される。
行列形式
NS=RFI-1・S・RFI (11)
および
S=RFI・NS・RFI-1 (12)
で示されており、式中、Sは、スピルオーバ係数Sijのn×n行列であり、NSは、較正スピルオーバ係数NSijのn×n行列であり、RFIは、i番の対角要素上に基準蛍光強度値RFIiを、かつ全非対角要素上にゼロを有するn×n行列である。
NS=RFI-1・S・RFI (11)
および
S=RFI・NS・RFI-1 (12)
で示されており、式中、Sは、スピルオーバ係数Sijのn×n行列であり、NSは、較正スピルオーバ係数NSijのn×n行列であり、RFIは、i番の対角要素上に基準蛍光強度値RFIiを、かつ全非対角要素上にゼロを有するn×n行列である。
機器セットアップ
本発明の方法を使用して、機器セットアップは、以下のステップの1つまたは複数を含む。
本発明の方法を使用して、機器セットアップは、以下のステップの1つまたは複数を含む。
1.蛍光分析試薬の較正スピルオーバ値を予め決定するステップ
2.光検出器利得設定を含む最初の機器設定を選択するステップ
3.選択された機器設定下で基準物質の蛍光を測定するステップ
4.選択された機器設定を調整するステップ
5.利得依存性の未較正スピルオーバ値を計算するステップ
6.選択された機器設定の補正を計算するステップ
ステップ2および3は、基準物質の蛍光の最初の測定後に、機器設定の調整を可能にするために繰り返されてもよい。これらのステップの各々は、以下により詳細に記載されている。
2.光検出器利得設定を含む最初の機器設定を選択するステップ
3.選択された機器設定下で基準物質の蛍光を測定するステップ
4.選択された機器設定を調整するステップ
5.利得依存性の未較正スピルオーバ値を計算するステップ
6.選択された機器設定の補正を計算するステップ
ステップ2および3は、基準物質の蛍光の最初の測定後に、機器設定の調整を可能にするために繰り返されてもよい。これらのステップの各々は、以下により詳細に記載されている。
1.所定の較正発光値および較正スピルオーバ値
蛍光分析試薬の較正発光値および較正スピルオーバ値は、本明細書に記載の通り、各検出チャネルで、同一の機器設定下で、蛍光一致標準物質などの基準物質のMFIおよび色素標識集団のMFIを測定することにより得られる。較正値は、上記の通り計算される。
蛍光分析試薬の較正発光値および較正スピルオーバ値は、本明細書に記載の通り、各検出チャネルで、同一の機器設定下で、蛍光一致標準物質などの基準物質のMFIおよび色素標識集団のMFIを測定することにより得られる。較正値は、上記の通り計算される。
所定の較正スピルオーバ値は、通常、各試薬ロットにつき一度決定される。所定の較正値は、所与の機器に対して決定される。フィルタセットまたはレーザの変更などにより機器が再構成された場合、較正値は再決定されるべきである。
2.最初の機器設定
光検出器利得設定の最初の設定を含む最初の機器設定は、検討される分析に有用である可能性がある設定の近似として選択されることが好ましい。最初の設定は、その特定の分析に使用される試薬の期待蛍光に基づいて推定されたか、または恐らく以前に実施された実験で得られたデータを使用して実験的に決定された、機器に記憶されている初期値である可能性がある。光検出器利得設定の最初の設定を選択する方法は、当技術分野で周知である。
光検出器利得設定の最初の設定を含む最初の機器設定は、検討される分析に有用である可能性がある設定の近似として選択されることが好ましい。最初の設定は、その特定の分析に使用される試薬の期待蛍光に基づいて推定されたか、または恐らく以前に実施された実験で得られたデータを使用して実験的に決定された、機器に記憶されている初期値である可能性がある。光検出器利得設定の最初の設定を選択する方法は、当技術分野で周知である。
3.基準物質の蛍光
最初の機器設定を使用して、各検出器チャネルで基準物質の平均蛍光強度(MFI)が測定される。これらの測定値は、選択された検出器利得設定下で基準物質から観察される蛍光を示す、利得依存性の未較正測定値である。
最初の機器設定を使用して、各検出器チャネルで基準物質の平均蛍光強度(MFI)が測定される。これらの測定値は、選択された検出器利得設定下で基準物質から観察される蛍光を示す、利得依存性の未較正測定値である。
各検出器チャネルの基準物質のMFIは、予め決められた較正値に基づいて分析試薬の各々の未較正発光値および/または未較正スピルオーバ値を計算するために使用される。予め決められた較正値に基づいて分析試薬の未較正値を決定するには、利得依存性の基準物質の蛍光のみを測定すれば十分である。
基準物質が各チャネルで発光する好適な実施形態では、基準物質の発光は、各検出器チャネルで同時に測定される。基準物質が複数の集団を含み、各集団がそのチャネルの一部でのみ発光するいくつかの実施形態では、各集団の測定は、別個に行われてもよい。フローサイトメータなどのいくつかの機器を使用して、測定は、基準物質集団の混合物を使用して行われてもよく、別個の集団は、集団粒子の蛍光特性および散乱特性に基づいてゲーティングにより区別される。
4.最初の機器設定の調整
分析試薬で染色された細胞集団の期待蛍光が、「尺度上に」または機器のダイナミックレンジ内にない場合、光検出器利得設定は調整されてもよい。色素標識分析試薬で染色された細胞集団のMFIは、対応する蛍光一致標準物質から測定されたMFIに比例すると考えられる。この比例は、実験的に決定することができるか、または細胞上または標準物質上の色素分子の相対平均数が既知であれば、推定することができる。選択された機器設定下で蛍光一致標準物質から測定されると考えられるMFIは、(所定の較正スピルオーバ値の一部として決定される)蛍光一致標準物質に対して決定される所定の較正蛍光値と、選択された機器設定下で測定される基準物質の蛍光値とから計算することができる。色素標識分析試薬で染色された細胞集団の期待MFIは、次いで、蛍光一致標準物質の計算されたMFIから推定される。期待データがデータ領域の所望の領域内に入らない場合は、1つまたは複数の光検出器利得を調整することができる。例えば、データが点のプロットで表示された場合、陰性試料からのデータは、軸に圧縮されていないことが望ましい。光検出器利得を増加させて、データを軸から離して移動させることができる。
分析試薬で染色された細胞集団の期待蛍光が、「尺度上に」または機器のダイナミックレンジ内にない場合、光検出器利得設定は調整されてもよい。色素標識分析試薬で染色された細胞集団のMFIは、対応する蛍光一致標準物質から測定されたMFIに比例すると考えられる。この比例は、実験的に決定することができるか、または細胞上または標準物質上の色素分子の相対平均数が既知であれば、推定することができる。選択された機器設定下で蛍光一致標準物質から測定されると考えられるMFIは、(所定の較正スピルオーバ値の一部として決定される)蛍光一致標準物質に対して決定される所定の較正蛍光値と、選択された機器設定下で測定される基準物質の蛍光値とから計算することができる。色素標識分析試薬で染色された細胞集団の期待MFIは、次いで、蛍光一致標準物質の計算されたMFIから推定される。期待データがデータ領域の所望の領域内に入らない場合は、1つまたは複数の光検出器利得を調整することができる。例えば、データが点のプロットで表示された場合、陰性試料からのデータは、軸に圧縮されていないことが望ましい。光検出器利得を増加させて、データを軸から離して移動させることができる。
1つまたは複数の光検出器利得設定が調整された場合、基準物質の蛍光は、現時の調整された機器設定で再度測定されるべきである。
5.利得依存性のスピルオーバ値の計算
前述の通り、利得依存性のスピルオーバ値は、所定の較正スピルオーバ値と利得設定とから計算される。特定の最初の光検出器利得設定下で、利得依存性の基準物質の蛍光のみを測定すれば十分である。
前述の通り、利得依存性のスピルオーバ値は、所定の較正スピルオーバ値と利得設定とから計算される。特定の最初の光検出器利得設定下で、利得依存性の基準物質の蛍光のみを測定すれば十分である。
6.補正の計算
補正は、計算された利得依存性のスピルオーバ値から計算される。補正行列は、スピルオーバ行列の値を計算し、次いでスピルオーバ行列を反転させて補正行列を得るか、または同等に、補正行列内の値を直接計算するかのいずれかにより決定される。補正行列は、後の使用のために、機器またはソフトウェア内に記憶されていることが好ましい。
補正は、計算された利得依存性のスピルオーバ値から計算される。補正行列は、スピルオーバ行列の値を計算し、次いでスピルオーバ行列を反転させて補正行列を得るか、または同等に、補正行列内の値を直接計算するかのいずれかにより決定される。補正行列は、後の使用のために、機器またはソフトウェア内に記憶されていることが好ましい。
補正行列は、当初の光検出器利得設定の場合と同じ方法で、光検出器利得設定の調整後に再計算されてもよい。光検出器利得設定の調整後、基準物質からの蛍光発光が測定される。通常は、全ての光検出器で発光を同時に再測定することが好都合であるが、調整された光検出器に対応する基準物質の発光のみを測定すれば十分である。調整されたスピルオーバ行列が、所定の較正スピルオーバ値と、基準物質から再測定された発光とから計算される。調整された設定に対する調整された補正行列は、上記の通り、調整されたスピルオーバ行列から計算される。調整された補正行列は、後の使用のために、機器またはソフトウェア内に記憶される。
以下の実施例は、本発明をいかに実施し使用するかに関する完全な開示および記載を当業者に提供するために記載されており、本発明の範囲を限定するものではない。
CD4+T細胞の蛍光一致標準物質の調製
本実施例は、蛍光色素のスピルオーバを測定するのに有用で、好適な蛍光一致標準物質の調製を記載する。標準物質は、蛍光標識CD4特異的抗体を使用して染色された、固定ヒト血液中のCD4+リンパ球を含む。
本実施例は、蛍光色素のスピルオーバを測定するのに有用で、好適な蛍光一致標準物質の調製を記載する。標準物質は、蛍光標識CD4特異的抗体を使用して染色された、固定ヒト血液中のCD4+リンパ球を含む。
抗体:
好適なCD4特異的抗体は、いずれもBD Biosciences社(San Jose、CA)から入手可能で、種々の色素標識で標識されている、クローンSK3とクローンRPA−T4とから生成されたものを含む。色素標識製剤に加えて、これらの抗体もまた、精製抗体としてかつビオチンで標識されて入手可能であり、そのいずれかを使用して、新しい抗体‐色素複合体を生成することができる。これら2つの抗体のためにBD Biosciences社から入手可能な抗体‐色素複合体の例を、以下の表に示す。
好適なCD4特異的抗体は、いずれもBD Biosciences社(San Jose、CA)から入手可能で、種々の色素標識で標識されている、クローンSK3とクローンRPA−T4とから生成されたものを含む。色素標識製剤に加えて、これらの抗体もまた、精製抗体としてかつビオチンで標識されて入手可能であり、そのいずれかを使用して、新しい抗体‐色素複合体を生成することができる。これら2つの抗体のためにBD Biosciences社から入手可能な抗体‐色素複合体の例を、以下の表に示す。
分析に使用される各色素に対する蛍光一致標準物質は、CD4特異的抗体‐色素複合体を使用して生成され、各抗体‐色素複合体は、分析試薬を標識するのに使用され、かつ検出器チャネルの1つに対応する色素の1つを含む。例えば、細胞表面マーカに特異的なPE標識抗体が分析に使用される場合、好適な蛍光一致標準物質は、PE標識CD4特異的抗体を使用して染色された、固定ヒト血液中のCD4+リンパ球で構成されていると考えられる。
細胞表面の染色:
(好ましくはEDTAで採取された)全血の試料(50〜200μL)が、30〜60分間、暗所で、血液0.1ml当たり1μg以下の色素複合体濃度で、抗体‐色素複合体で染色される。
(好ましくはEDTAで採取された)全血の試料(50〜200μL)が、30〜60分間、暗所で、血液0.1ml当たり1μg以下の色素複合体濃度で、抗体‐色素複合体で染色される。
染色後、2mLの1X FACS(商標)Lysing Solution(BD Biosciences社、San Jose、CA)が試料に添加され、試料が、製造業者の取扱説明書に従ってインキュベートされ、洗浄される。FACS(商標)Lysing Solutionは、赤血球を溶解させ、リンパ球を固定する。最終洗浄後、試料は、0.5mLの洗浄緩衝液(PBS中0.5%のBSA+0.1%のNaN3)、またはPBS中0.5〜2%のパラホルムアルデヒド中に再懸濁され、使用されるまで4℃に保たれる。
当然のことながら、使用される特定の抗体‐色素複合体、および特定の反応成分、および使用される特定の反応条件は、得られる結果に影響を及ぼす。通常の実験は、最適な抗体‐色素複合体濃度、緩衝液または溶解液などの好適な反応成分、ならびに染色時間および温度を含む反応条件を決定して、信号すなわち染色細胞のノイズを最大にするように実施されるべきである。そのような分析条件の日常的な最適化は、免疫染色ベースの分析の分野では標準的技法である。
基準物質の置換または交換
基準物質の新しい製品ロットは、または新しい基準物質も、例えば基準物質の古いロットが時間と共に使い尽くされた場合など、最初に配合された基準物質の交換が必要になる場合があることが予想される。本発明の方法により、最小限の労力で、古い基準物質を新しい基準物質と交換することが可能になる。
基準物質の新しい製品ロットは、または新しい基準物質も、例えば基準物質の古いロットが時間と共に使い尽くされた場合など、最初に配合された基準物質の交換が必要になる場合があることが予想される。本発明の方法により、最小限の労力で、古い基準物質を新しい基準物質と交換することが可能になる。
現時の機器設定を使用して測定された基準物質の蛍光発光は、予め決められた較正値から、その分析試料の未較正発光値および/または未較正スピルオーバ値を計算するのに使用される。これらの予め決められた較正値は、古い基準物質の蛍光を使用して較正されたので、予め決められた較正値からの未較正発光値および/または未較正スピルオーバ値の計算は、古い基準物質の蛍光の決定を必要とする。本方法では、古い基準物質の蛍光は、新しい基準物質の測定蛍光から得られる。このことは、古い基準物質の発光に対して新しい基準物質の発光を最初に較正することにより、または同等に、古い基準物質の発光に対する新しい基準物質の発光の比率を測定することにより可能になる。古い基準物質に対する新しい基準物質のこの比較は、通常、新しい基準物質が生成された時に実施される。新しい基準物質と古い基準物質の蛍光強度は、同一の光検出器利得設定下で測定されるが、これらは、任意の適切な光検出器設定とすることができる。
古い基準物質の発光に対する新しい基準物質の発光の比率を使用して、次に、予め決められた比率
を掛けることにより、i番の検出器チャネルの新しい基準物質の測定MFIであるMFIiref-newから、MFIiref-oldと称される、i番の検出器チャネルの古い基準物質のMFIが得られる。この計算された古い基準物質のMFIは、次いで、上記の通り、それらの予め決められた較正値から分析試薬の未較正発光値および/または未較正スピルオーバ値を計算するのに使用される。較正スピルオーバ値は、同様の調整により得ることができる。
あるいは、古い基準物質に対して較正された試薬の較正蛍光値を調整して、新しい基準物質に対して較正された値を示すことができる。新しい基準物質に対して較正された、ABDnew ijと称される、j番の色素で標識されたビーズ集団のi番の検出器チャネルの較正平均蛍光強度は、以下
(式中、MFIijは、j番の色素で標識されたビーズ集団のi番の検出器チャネルの平均蛍光強度であり、MFIiref-newは、新しい基準物質のi番の検出器チャネルの平均蛍光強度であり、MFIiref-oldは、古い基準物質のi番の検出器チャネルの平均蛍光強度であり、Ciは、古い基準物質との使用に割り当てられた検出器チャネルiの定数である。)、または同等に、
(式中、ABDiref-new/iref-oldは、古い基準物質に対して較正された新しい基準物質の較正蛍光である。)の通り、古い基準物質に対して較正された、ABDijと称される、予め決められた較正平均蛍光強度に関連している。
同等に、新しい基準物質に対して較正された較正蛍光値は、新しい基準物質の基準強度に対する古い基準物質の基準蛍光強度の比率すなわち、
を掛けることにより、古い基準物質に対して較正された較正蛍光値に等しい。
較正スピルオーバ値は、同様の調整により得ることができる。
Claims (25)
- 複数の検出器チャネルを使用して複数の蛍光色素を分析する機器において、一次検出チャネルで発光する蛍光色素の二次検出チャネル内へのスピルオーバを決定する方法であって、
a)前記一次検出チャネルおよび前記二次検出チャネルで発光する蛍光基準物質を提供するステップと、
b)較正スピルオーバ値を決定するステップであって、前記一次検出チャネルおよび前記二次検出チャネルでの前記色素からの発光と前記基準物質からの発光とを測定し、前記色素からの前記測定発光と前記基準物質からの前記測定発光とから前記較正スピルオーバ値を計算することにより、前記較正スピルオーバ値を決定するステップと、
c)続いて、第1の基準値を得るために前記一次検出チャネルで、第2の基準値を得るために前記二次検出チャネルで、前記基準物質の発光を測定するステップと、
d)前記較正スピルオーバ値と前記基準値とから、前記色素の前記二次検出チャネル内への前記スピルオーバを決定するステップと、
を含むことを特徴とする方法。 - 調整可能な光検出器利得を有する複数の検出器チャネルを使用して複数の蛍光色素を分析する機器において、一次検出チャネルで発光する蛍光色素の二次検出チャネル内への、光検出器利得設定の最後の設定に特異的なスピルオーバを決定する方法であって、
a)前記一次検出チャネルおよび前記二次検出チャネルで発光する蛍光基準物質を提供するステップと、
b)較正スピルオーバ値を決定するステップであって、光検出器利得設定の第1の設定に調整された前記機器を使用して、前記一次検出チャネルおよび前記二次検出チャネルでの前記色素の発光と前記基準物質の発光とを測定し、前記色素からの前記測定発光と前記基準物質からの前記測定発光とから前記較正スピルオーバ値を計算することにより、前記較正スピルオーバ値を決定するステップと、
c)続いて、光検出器利得設定の前記最後の設定に調整された前記機器を使用して、第1の基準値を得るために前記一次検出チャネルで、第2の基準値を得るために前記二次検出チャネルで、前記基準物質の発光を測定するステップと、
d)前記較正スピルオーバ値と前記基準値とから、前記色素の前記二次検出チャネル内への前記スピルオーバを決定するステップと、
を含むことを特徴とする方法。 - 光検出器利得設定の前記第1の設定と光検出器利得設定の前記最後の設定とは異なることを特徴とする請求項2に記載の方法。
- 前記蛍光色素からの前記発光の測定は、蛍光一致標準物質を使用して実施されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
- 前記蛍光一致標準物質は、前記蛍光色素で標識された粒子を含むことを特徴とする請求項4に記載の方法。
- 前記蛍光一致標準物質は、前記蛍光色素で標識されたハードダイ粒子を含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。
- 前記蛍光一致標準物質は、血液試料中の細胞を含み、前記細胞は、前記蛍光色素で標識された抗体で染色されていることを特徴とする請求項4に記載の方法。
- 前記細胞は、固定ヒト血液試料中のCD4+リンパ球であり、前記抗体は、CD4に結合していることを特徴とする請求項7に記載の方法。
- 前記基準物質は、複数の蛍光色素で標識された微小粒子を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 前記基準物質は、複数の蛍光色素で標識された微小粒子を含むことを特徴とする請求項2に記載の方法。
- 前記機器がフローサイトメータであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 前記機器がフローサイトメータであることを特徴とする請求項2に記載の方法。
- 調整可能な光検出器利得を有する複数の検出器チャネルを使用して複数の蛍光色素を分析する機器において、一次検出チャネルで発光する蛍光色素の二次検出チャネル内への、光検出器利得設定の最後の設定に特異的なスピルオーバ値を決定する方法であって、
所定の較正スピルオーバ値は、光検出器利得設定の第1の設定に調整された前記機器を使用して、前記一次検出チャネルおよび前記二次検出チャネルで発光する、前記一次検出チャネルおよび前記二次検出チャネルでの前記色素からの発光と前記蛍光基準物質からの発光とを測定し、前記色素からの前記測定発光と前記基準物質からの前記測定発光とから、前記所定の較正スピルオーバ値を計算することにより、前記色素に対して決定され、
前記方法は、
a)検出器利得設定の前記最後の設定に調整された前記機器を使用して、第1の基準値を得るために前記一次検出チャネルで、第2の基準値を得るために前記二次検出チャネルで、前記基準物質からの発光を測定するステップと、
b)前記所定の較正スピルオーバ値と前記基準値とから、前記蛍光色素の前記二次検出チャネル内への前記スピルオーバを決定するステップと、
を含むことを特徴とする方法。 - 光検出器利得設定の前記第1の設定と光検出器利得設定の前記最後の設定とは異なることを特徴とする請求項13に記載の方法。
- 前記蛍光色素からの前記発光の測定は、蛍光一致標準物質を使用して実施されることを特徴とする請求項13に記載の方法。
- 前記蛍光一致標準物質は、前記蛍光色素で標識された粒子を含むことを特徴とする請求項15に記載の方法。
- 前記蛍光一致標準物質は、前記蛍光色素で標識されたハードダイ粒子を含むことを特徴とする請求項16に記載の方法。
- 前記蛍光一致標準物質は、血液試料中の細胞を含み、前記細胞は、前記蛍光色素で標識された抗体で染色されていることを特徴とする請求項15に記載の方法。
- 前記細胞は、固定ヒト血液試料中のCD4+リンパ球であり、前記抗体はCD4に結合していることを特徴とする請求項18に記載の方法。
- 前記基準物質は、複数の蛍光色素で標識された微小粒子を含むことを特徴とする請求項13に記載の方法。
- 前記機器はフローサイトメータであることを特徴とする請求項13に記載の方法。
- 調整可能な光検出器利得を有する複数の検出器チャネルを使用して、複数の蛍光色素を分析する機器において、補正を決定する方法であって、前記光検出器の各々に対して、前記蛍光色素の1つは一次色素であり、前記方法は、
a)請求項1の方法を使用して、前記蛍光色素の各々に対する前記検出チャネルの各々内への、光検出器利得設定の前記最後の設定に特異的なスピルオーバ値を得るステップと、
b)前記スピルオーバ値から、光検出器利得設定の前記最後の設定に対する前記補正を計算するステップと、
を含むことを特徴とする方法。 - 調整可能な光検出器利得を有する複数の検出器チャネルを使用して、複数の蛍光色素を分析する機器において、補正を決定する方法であって、前記光検出器の各々に対して、前記蛍光色素の1つは一次色素であり、前記方法は、
a)請求項2の方法を使用して、前記蛍光色素の各々に対する前記検出チャネルの各々内への、光検出器利得設定の前記最後の設定に特異的なスピルオーバ値を得るステップと、
b)前記スピルオーバ値から、光検出器利得設定の前記最後の設定に対する前記補正を計算するステップと、
を含むことを特徴とする方法。 - 調整可能な光検出器利得を有する複数の検出器チャネルを使用して、複数の蛍光色素を分析する機器において、補正を決定する方法であって、前記光検出器の各々に対して、前記蛍光色素の1つは一次色素であり、前記方法は、
a)請求項3の方法を使用して、前記蛍光色素の各々に対する前記検出チャネルの各々内への、光検出器利得設定の前記最後の設定に特異的なスピルオーバ値を得るステップと、
b)前記スピルオーバ値から、光検出器利得設定の前記最後の設定に対する前記補正を計算するステップと、
を含むことを特徴とする方法。 - 調整可能な光検出器利得を有する複数の検出器チャネルを使用して、複数の蛍光色素を分析する機器において、補正を決定する方法であって、前記光検出器の各々に対して、前記蛍光色素の1つは一次色素であり、前記方法は、
a)請求項13の方法を使用して、前記蛍光色素の各々に対する前記検出チャネルの各々内への、光検出器利得設定の前記最後の設定に特異的なスピルオーバ値を得るステップと、
b)前記スピルオーバ値から、光検出器利得設定の前記最後の設定に対する前記補正を計算するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
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