JP2011084660A - 洗浄用溶剤組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】引火性が無く危険物に該当しない安全で取扱性の良好なものであって、保管上又は使用上において、様々な法的規制の適用から免れることができ、非常に簡単かつ便利に使用することが可能であると共に、発錆や排水の問題もなく、しかもこれまでにない優れた洗浄力を発揮し得る洗浄用溶剤組成物を提供する。
【解決手段】ドデシルベンゼンスルホン酸を0.1重量%〜60重量%、及びノルマルプロピルブロマイドを40重量%〜99.9重量%、含有するものである。又は、ドデシルベンゼンスルホン酸を0.1重量%〜60重量%、ノルマルプロピルブロマイドを40重量%〜99.9重量%、並びに、1種又は2種以上の有機溶剤からなる引火点20℃以上の希釈剤を0重量%〜89.9重量%、含有するものである。
【選択図】なし
【解決手段】ドデシルベンゼンスルホン酸を0.1重量%〜60重量%、及びノルマルプロピルブロマイドを40重量%〜99.9重量%、含有するものである。又は、ドデシルベンゼンスルホン酸を0.1重量%〜60重量%、ノルマルプロピルブロマイドを40重量%〜99.9重量%、並びに、1種又は2種以上の有機溶剤からなる引火点20℃以上の希釈剤を0重量%〜89.9重量%、含有するものである。
【選択図】なし
Description
本発明は、引火性が無く危険物に該当しない安全で取扱性の良好なものであって、保管上又は使用上において、様々な法的規制の適用から免れることができ、非常に簡単かつ便利に使用することが可能であると共に、発錆や排水の問題もなく、しかもこれまでにない優れた洗浄力を発揮し得る洗浄用溶剤組成物に関する。
洗浄用溶剤組成物としては各種のものが公知であり、その一例として、特許文献1が知られている。洗浄対象として、例えば水溶性油剤は、切削やプレス、引き抜きなどの機械加工に用いられる機械加工油や水溶性油脂、水溶性オイルとして、広範に使用されている。このような水溶性油剤は、一般に、水により洗浄が行われる場合や炭化水素系洗浄剤により洗浄が行われる場合があった。
しかしながら、水で洗浄した場合には、洗浄による水分が金属機械部品等に残留し、発錆などの問題が発生した。また、水で洗浄した場合には、排水処理設備などが必要となり、コストアップを招いていた。
他方、炭化水素系洗浄剤で洗浄した場合には、発錆などの問題は回避できるものの、引火性があり、危険物に該当するため、保管上又は使用上において、様々な法的規制の適用を受けるといった問題があった。
本発明は上記従来の課題に鑑みて創案されたものであって、引火性が無く危険物に該当しない安全で取扱性の良好なものであって、保管上又は使用上において、様々な法的規制の適用から免れることができ、非常に簡単かつ便利に使用することが可能であると共に、発錆や排水の問題もなく、しかもこれまでにない優れた洗浄力を発揮し得る洗浄用溶剤組成物を提供することを目的とする。
本発明にかかる洗浄用溶剤組成物は、ドデシルベンゼンスルホン酸を0.1重量%〜60重量%、及びノルマルプロピルブロマイドを40重量%〜99.9重量%、含有することを特徴とする。
また、本発明にかかる洗浄用溶剤組成物は、ドデシルベンゼンスルホン酸を0.1重量%〜60重量%、ノルマルプロピルブロマイドを40重量%〜99.9重量%、並びに、1種又は2種以上の有機溶剤からなる引火点20℃以上の希釈剤を0重量%〜89.9重量%、含有することを特徴とする。
本発明にかかる水溶性加工油の洗浄用溶剤組成物は、水溶性加工油を洗浄するための溶剤組成物であって、ドデシルベンゼンスルホン酸を0.1重量%〜60重量%、及びノルマルプロピルブロマイドを40重量%〜99.9重量%、含有することを特徴とする。
また、本発明にかかる水溶性加工油の洗浄用溶剤組成物は、水溶性加工油を洗浄するための溶剤組成物であって、ドデシルベンゼンスルホン酸を0.1重量%〜60重量%、ノルマルプロピルブロマイドを40重量%〜99.9重量%、並びに、1種又は2種以上の有機溶剤からなる引火点20℃以上の希釈剤を0重量%〜89.9重量%、含有することを特徴とする。
本発明にかかる洗浄用溶剤組成物にあっては、ドデシルベンゼンスルホン酸に、ノルマルプロピルブロマイドを添加することで、引火性が無く危険物に該当しない安全で取扱性の良好なものであって、発錆や排水の問題もなく、しかもこれまでにない優れた洗浄力を発揮する洗浄用溶剤組成物を得ることができる。これによって、保管上又は使用上において、様々な法的規制の適用から免れることができ、非常に簡単かつ便利に使用することができる。
以下に、本発明にかかる洗浄用溶剤組成物の好適な実施形態について詳細に説明する。ドデシルベンゼンスルホン酸(CnH2n+1−C6H4−SO3H:n=10〜14)は、アルキルベンゼンスルホン酸に属する物質の1つで、毒性も少なく環境に優しいことから、現在、家庭用洗剤の主成分として主に使用されている。ただし、ドデシルベンゼンスルホン酸自体、他のアルキルベンゼンスルホン酸と並んで、家庭用洗剤としての用途以外に、他の用途は考えられておらず、また、家庭用洗剤で使用される場合には、人体等に影響を及ぼさないように中和剤が混入されて中性化されてその洗浄力が弱められていたことから、その洗浄力についてはほとんど注目されていない。
本発明に係る洗浄用溶剤組成物では、ドデシルベンゼンスルホン酸を含有することによって、後述するノルマルプロピルブロマイド単体では十分に洗浄し得なかった各種汚れ等についても、十分な洗浄を行えるようになった。特に、切削や押し出し、引き抜き等の機械加工に用いられる水溶性加工油(水溶性オイル)に対して、十分な洗浄性能を発揮させることができるようになった。
他方、ドデシルベンゼンスルホン酸は引火性があって可燃物であると共に、これに希釈剤として混合し得る有機溶剤もすべて可燃物であるため、混合物は危険物に該当し、保管上又は使用上において様々な法的規制を受けることになる。
ノルマルプロピルブロマイド(別名:n−臭化プロピル、1−ブロモプロパン:以下、単にNPBともいう)は、引火性がなく不燃である上、オゾン破壊係数や温暖化係数がきわめて小さく、環境に対し優しいクリーンな溶剤である。NPBを、ドデシルベンゼンスルホン酸を含有する組成物に混合することで、これを不燃化することができると共に、環境に対し与える影響を可及的に小さくすることができる。
さらに、ドデシルベンゼンスルホン酸は、非常に粘性が高く、流動性が悪い。このため、作業をスムーズに進められないなどの様々な問題が発生するおそれがある。この問題は、ノルマルプロピルブロマイドを混合することにより解消できるが、ノルマルプロピルブロマイドは極めて高価であることから、あまり大量に使用することは好ましくない。そこで、1種又は2種以上の有機溶剤を希釈剤として併せて混合することが好ましい。
ここで、希釈剤としては、引火点20℃以上のものを混合する。引火点20℃以上の希釈剤を使用するのは、希釈剤の引火点が低すぎると、ノルマルプロピルブロマイドで全体を非引火物にするのは困難だからである。
このような条件を満たす洗浄用溶剤組成物を得るためには、前述した各成分を次のような割合で混合する。なお、希釈剤については、混合されていても、混合されていなくても、どちらでも良い。
(a)ドデシルベンゼンスルホン酸:0.1重量%〜60重量%
(b)ノルマルプロピルブロマイド:40重量%〜99.9重量%
(c)1種又は2種以上の有機溶剤からなる引火点20℃以上の希釈剤:
0重量%〜89.9重量%
(a)ドデシルベンゼンスルホン酸:0.1重量%〜60重量%
(b)ノルマルプロピルブロマイド:40重量%〜99.9重量%
(c)1種又は2種以上の有機溶剤からなる引火点20℃以上の希釈剤:
0重量%〜89.9重量%
すなわち、本発明に係る洗浄用溶剤組成物は、(a)ドデシルベンゼンスルホン酸と、(b)ノルマルプロピルブロマイドとを含有する。また、これら(a)及び(b)に対し、(c)1種又は2種以上の有機溶剤からなる引火点20℃以上の希釈剤を混合しても良い。
ドデシルベンゼンスルホン酸としては、直鎖型ドデシルベンゼンスルホン酸(以下、略してDMS−1ともいう)又は分枝型ドデシルベンゼンスルホン酸(以下、略してDMS−2ともいう)のどちらを使用しても良い。もちろん、両方とも使用しても良いが、どちらかと言えば、DMS−2に比べ、水分解性に優れ、水洗したときに被洗浄物から落ちやすく使い勝手のよいDMS−1を使用することが好ましい。
NPBは毒性が少なく、使用に適している。NPBをドデシルベンゼンスルホン酸に混合する場合には、安定剤として、ニトロアルカン類、エーテル類、エポキシド類及びアミン類からなる群から選ばれる少なくとも1種の物質も併せて添加することが好ましい。NPBは、アルミニウム等の金属と反応しやすいため、これを防止するために安定剤を混合する必要がある。
また、NPBは、不快な臭いを発する。そこで、NPBの臭いを和らげるために、リモネン等の香料を添加することが好ましい。
また、希釈剤として混合する有機溶剤としては、炭化水素系溶剤や臭素系溶剤等を使用することが好ましい。なお、希釈剤は、引火点20℃以上になるように炭化水素系溶剤や臭素系溶剤等の中から適宜選択する。また、その中でも特に、沸点の高い有機溶剤を選択することが好ましい。
沸点の低い有機溶剤は、時間が経過するにつれて次々に揮発してしまい、流動性の悪化を招くおそれがあるからである。沸点の高い有機溶剤を使用することで、そのまま常温で放置しても揮発し難く、流動性が損なわれることはないからである。特に有機溶剤の中でも、危険物第2類石油類、第3石油類、第4石油類に属するものが好ましい。
具体的には、炭素数が10以上の飽和脂肪族炭化水素が好ましい。炭素数9以下の飽和脂肪族炭化水素では、引火点が40℃以下となり、十分な難燃性を発現させるために、NPBを大量に混合する必要が生じる。
本発明に係る洗浄用溶剤組成物の洗浄対象の例を具体的に挙げる。この洗浄用溶剤組成物は、プレスや引き抜き、押し出しなどの加工に用いられる加工油の洗浄剤として使用することができる他に、フラックス洗浄剤や油脂類等の脱脂洗浄剤、バフ研磨洗浄剤、ドライクリーニング用溶剤、グリース・油・ワックス・インキ等の洗浄剤、塗料の洗浄剤、ガラス・セラミックス・ゴム・各種金属製部品の洗浄剤、光学レンズの洗浄剤、水切り剤などとしても使用することができる。
本発明に係る洗浄用溶剤組成物の収容容器については、ポリエチレン製又はポリプロピレン製の容器を使用すると良い。これは、金属製の収容容器を用いると、水を含むと、酸性となって腐食させるおそれがあるからである。また、本洗浄用溶剤組成物にあっては、スプレー缶等の適当な噴霧容器に封入して、適宜噴霧して使用することにより、簡便に利用することができる。このような噴霧による他、手拭き、浸漬、超音波洗浄、蒸気洗浄、接着剤(ウレタンやエポキシ、シリコン等)の充填装置の場合などではノズル洗浄、その他各種一般の洗浄方法を適用することができる。この他、刷毛等を使って塗布して使用するようにしても良い。
以下に説明する試験概要にて、下記《洗浄試験》及び《希釈試験》を実施した。
《試験概要》
・軟鋼板(50×100×0.3mm)を用意した。
・軟鋼板に、水溶性切削油(日本グリース社製「サンカットSM−80」(商品名))を塗布した。
・水溶性切削油を塗布した軟鋼板を室温で3日間放置し、試験片を作成した。
・本発明に係る下記洗浄用溶剤組成物の液中に試験片を約2分間浸漬し、その後乾燥させたときの洗浄具合を調べた。
《試験概要》
・軟鋼板(50×100×0.3mm)を用意した。
・軟鋼板に、水溶性切削油(日本グリース社製「サンカットSM−80」(商品名))を塗布した。
・水溶性切削油を塗布した軟鋼板を室温で3日間放置し、試験片を作成した。
・本発明に係る下記洗浄用溶剤組成物の液中に試験片を約2分間浸漬し、その後乾燥させたときの洗浄具合を調べた。
《洗浄試験》
DMS−1に対して、NPBを混合したときの粘性、引火性及び洗浄力を調べる試験を行った。引火性についてはタグ密閉方式により調べた。粘性については、高粘度のものについては×、低粘度のものについては○を付した。洗浄力については、悪いものについては×、良いものについては○を付した。次の表1は、その結果をまとめたものである。
DMS−1に対して、NPBを混合したときの粘性、引火性及び洗浄力を調べる試験を行った。引火性についてはタグ密閉方式により調べた。粘性については、高粘度のものについては×、低粘度のものについては○を付した。洗浄力については、悪いものについては×、良いものについては○を付した。次の表1は、その結果をまとめたものである。
表1から理解されるように、DMS−1に対して、NPBを混合する割合を徐々に増やしてゆくと、DMS−1が90重量%、NPBが10重量%のときに、当該洗浄用溶剤組成物自体の引火性が無くなり、非引火物となる。さらに、NPBを混合する割合を増やし、DMS−1が60重量%以下になるようにして、NPBを40重量%以上にすると、当該洗浄用溶剤組成物全体の粘性が良好(低粘度)となり、十分な作業性が確保できる。
ただし、NPBの混合割合を増やしすぎると、洗浄力が低下し、好ましくない。DMS−1が0.05重量%以下となって、NPBの混合量が99.95重量%以上になると、十分に洗浄処理することはできない。
DMS−1が0.1重量%〜90重量%、並びにNPBが10重量%〜99.9重量%の範囲内では、NPBの混合により流動性が良くなったことによって、洗浄力が増したものと考えられる。
次に、DMS−2に対して、NPBを混合した場合についても、前述と同様に調べた。次の表2は、その結果をまとめたものである。
このことから、DMS−2に対して、NPBを混合した場合でも、同様な結果が得られることが分かった。
以上の試験結果から、ドデシルベンゼンスルホン酸(DMS−1,DMS−2)と、NPBとの混合量については、次の範囲が好ましいことが判明した。
(a)ドデシルベンゼンスルホン酸:0.1重量%〜60重量%
(b)ノルマルプロピルブロマイド:40重量%〜99.9重量%
(a)ドデシルベンゼンスルホン酸:0.1重量%〜60重量%
(b)ノルマルプロピルブロマイド:40重量%〜99.9重量%
《希釈試験》
NPBは非常に高価な溶剤である。できる限り、NPBの使用量を最小限に抑えることが好ましい。そこで、NPBに代替可能な希釈剤として、有機溶剤を混合していったときの各特性(引火性、洗浄力)を調べる試験を行った。
NPBは非常に高価な溶剤である。できる限り、NPBの使用量を最小限に抑えることが好ましい。そこで、NPBに代替可能な希釈剤として、有機溶剤を混合していったときの各特性(引火性、洗浄力)を調べる試験を行った。
希釈剤である有機溶剤の最大許容混合量を調べるために、ドデシルベンゼンスルホン酸(DMS−1,DMS−2)に対するNPBの混合量が最も多い、ドデシルベンゼンスルホン酸が0.1重量%、NPBが99.9重量%配合される場合を基準に、NPBの代わりに希釈剤の混合量を徐々に増やしたときの特性について調べた。
希釈剤としては、N・デカン(引火点53℃)とプロピレングリコールモノメチルエーテル(MP)(引火点32℃)を使用した。引火性については、タグ密閉方式により調べ、洗浄力については、悪いものについては×、良いものについては○を付した。次の表3〜表6は、その結果をまとめたものである。
上記結果によれば、希釈剤を混合しすぎると、NPBを混合しても、引火性が生じることが分かる。また、洗浄力も低下する。このことから、希釈剤の混合量としては、次の範囲が好ましいことが判明した。
(c)1種又は2種以上の有機溶剤からなる引火点20℃以上の希釈剤:
0重量%〜89.9重量%
(c)1種又は2種以上の有機溶剤からなる引火点20℃以上の希釈剤:
0重量%〜89.9重量%
以上説明した本発明にかかる洗浄用溶剤組成物は、ドデシルベンゼンスルホン酸に、ノルマルプロピルブロマイドを添加することで、引火性が無く危険物に該当しない安全で取扱性の良好なものであって、水系ではないので発錆が生じることはなく、また排水の問題もなく、しかもこれまでにない優れた洗浄力を発揮する洗浄用溶剤組成物を得ることができる。殊に、高い洗浄作用で効果的に水溶性加工油(水溶性オイル)を洗浄することができる。これによって、保管上又は使用上において、様々な法的規制の適用から免れることができ、非常に簡単かつ便利に使用することができる。
Claims (4)
- ドデシルベンゼンスルホン酸を0.1重量%〜60重量%、及びノルマルプロピルブロマイドを40重量%〜99.9重量%、含有することを特徴とする洗浄用溶剤組成物。
- ドデシルベンゼンスルホン酸を0.1重量%〜60重量%、ノルマルプロピルブロマイドを40重量%〜99.9重量%、並びに、1種又は2種以上の有機溶剤からなる引火点20℃以上の希釈剤を0重量%〜89.9重量%、含有することを特徴とする洗浄用溶剤組成物。
- 水溶性加工油を洗浄するための溶剤組成物であって、ドデシルベンゼンスルホン酸を0.1重量%〜60重量%、及びノルマルプロピルブロマイドを40重量%〜99.9重量%、含有することを特徴とする水溶性加工油の洗浄用溶剤組成物。
- 水溶性加工油を洗浄するための溶剤組成物であって、ドデシルベンゼンスルホン酸を0.1重量%〜60重量%、ノルマルプロピルブロマイドを40重量%〜99.9重量%、並びに、1種又は2種以上の有機溶剤からなる引火点20℃以上の希釈剤を0重量%〜89.9重量%、含有することを特徴とする水溶性加工油の洗浄用溶剤組成物。
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2009
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