JP2011078327A - 糖溶液からの発酵阻害物質の分離方法 - Google Patents

糖溶液からの発酵阻害物質の分離方法 Download PDF

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Abstract

【課題】リグノセルロースなど多糖類系バイオマスを加水分解して得られる糖溶液など、発酵阻害物質を含む糖溶液から発酵阻害物質を効率よく分離できる方法を提供すること。
【解決手段】糖と発酵阻害物質を含む溶液から発酵阻害物質を分離して糖溶液を得る方法であって、発酵阻害物質をポリスチレン系の樹脂に吸着または保持させて分離することを特徴とする方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、発酵阻害物質を含む糖溶液からの発酵阻害物質の分離方法および当該方法を用いて得られる糖溶液によるエタノールやキシリトールなどの有用物質の製造方法に関する。
日本は国土の70%が森林であり、リグノセルロースなど多糖類系バイオマスが豊富に存在する。近年、国策としてバイオエタノールの試験的生産が開始されており、廃木材や間伐材などを用いてバイオエタノール生産を行えば、コスト的にも非常に有利になると思われる。多糖類系バイオマスからバイオエタノールを生産するためには、バイオマスを加水分解物して酵母など発酵微生物に利用可能な単糖または二糖類の形にする必要があるが、酸性処理や超臨界水処理過程において必ずフルフラール類やフェノール類などの発酵阻害物が発生してしまう。また、キシリトールは甘味料などとして有用な物質であり、多糖類系バイオマスからの発酵生産も試みられているが、この際にも発酵阻害物質の発生による収率低下の問題がある。
従来は、これら発酵阻害物質をイオン交換樹脂や蒸留、最近では活性炭などで除去してきたが(例えば、特許文献1)、どれも一長一短があり経済的とはいえなかった。例えば、イオン交換樹脂では選択性がありヒドロキシメチルフルフラール(HMF)に関しては50%前後しか除去できない。蒸留法は熱量が膨大に必要でありコスト的に合わない。活性炭はその生成に700℃の高温処理を必要とし、その生産そして再生にコストが非常にかかる、といった問題点を抱えている。
また、本発明者は疎水性クロマト樹脂を用いて糖蜜又は廃糖蜜から着色物質を除去したエタノール発酵用原料の生成方法を開示しているが(特許文献2)、リグノセルロースなど多糖類系バイオマスからもより効率よくHMFなどの発酵阻害物質を除去できる方法が求められていた。
特開2005-270056号公報 特開2009-95282号公報
本発明は、リグノセルロースなどの多糖類系バイオマスを加水分解して得られる糖溶液など、発酵阻害物質を含む糖溶液から発酵阻害物質を効率よく分離できる方法を提供することを課題とする。
本発明者は上記課題を解決するために鋭意検討を行った。その結果、ポリスチレン系の樹脂を用いてカラムクロマトグラフィーを行うことにより、発酵阻害物質を含む糖溶液から発酵阻害物質を効率よく除くことができ、このようにして得られた糖溶液を用いることでエタノールやキシリトールなどの発酵生産効率が向上することを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下を提供する。
(1)糖と発酵阻害物質を含む溶液から発酵阻害物質を分離して糖溶液を得る方法であっ
て、発酵阻害物質をポリスチレン系の樹脂に吸着または保持させて分離することを特
徴とする方法。
(2)前記糖と発酵阻害物質を含む溶液が、多糖類系バイオマス加水分解物である、(1
)に記載の方法。
(3)多糖類系バイオマスがリグノセルロースである、(2)に記載の方法。
(4)ポリスチレン系の樹脂がアンバーライト(登録商標)XAD4樹脂である、(1)
〜(3)のいずれかに記載の方法。
(5)前記発酵阻害物質が、フルフラール、HMF及びバニリンからなる群より選ばれる
一種類以上の物質である、(1)〜(4)のいずれかに記載の方法。
(6)さらに、樹脂に吸着または保持された発酵阻害物質を樹脂から溶出させて回収す
る工程を含む、(1)〜(5)のいずれかに記載の方法。
(7)炭素数1〜3のアルコールを用いて発酵阻害物質を溶出させる、(6)に記載の方
法。
(8)前記アルコールがイソプロパノールまたはメタノールである、(7)に記載の方法

(9)前記アルコールを用いて発酵阻害物質を溶出させた後に樹脂を再生して再利用する
、(7)または(8)に記載の方法。
(10)前記溶出が垂直方向に設置したカラムの上方から下方へ前記アルコールを通液す
ることによって行われ、前記樹脂の再生が、前記アルコールを通液した後、カラムの
下方から上方へカラム洗浄液を通液させることにより行われる、(9)に記載の方法

(11)(1)〜(10)のいずれかに記載の方法により糖溶液を得る工程、得られた糖
溶液を用いて糖を有用物質に変換する微生物を培養することにより有用物質の発酵生
産を行う工程を含む、有用物質の製造方法。
(12)前記有用物質がエタノールまたはキシリトールである、(11)に記載の方法。

(13)フルフラール、HMF及びバニリンからなる群より選ばれる一種類以上の物質を
含む溶液から前記物質を精製する方法であって、ポリスチレン系の樹脂を用いて精製
を行うことを特徴とする方法。
(14)ポリスチレン系の樹脂がアンバーライト(登録商標)XAD4樹脂である、(1
3)に記載の方法。
本発明によると、これまで最も除去が難しく、しかも最も発酵阻害能力が高いHMFをほぼ完全に多糖類系バイオマスの加水分解溶液から除去することができる。これにより、非常に高効率でアルコール発酵をおこなうことができる。
またカラムに吸着または保持された発酵阻害物質の溶出も少量のアルコールで可能であり、樹脂の再生もカラムに充填したままで簡単にできる。回収されたバニリン、フルフラール、HMFなどの発酵阻害物質も、各種産業で香料、合成ゴム、フラン樹脂、ナイロン、バイオ燃料等の原料として利用できる。
アンバーライトXAD4樹脂25mlを用い、発酵阻害物質を70%メタノールで溶出させたときのクロマトグラム。 アンバーライトXAD4樹脂25mlを用い、発酵阻害物質を70%イソプロパノールで溶出させたときのクロマトグラム。 アンバーライトXAD4樹脂100mlを用い、発酵阻害物質を70%メタノールで溶出させたときのクロマトグラム。
本発明の方法は、糖と発酵阻害物質を含む溶液から発酵阻害物質を分離して糖溶液を得
る方法であって、発酵阻害物質をポリスチレン系の樹脂に相互作用により吸着または保持させて分離することを特徴とする。
糖としては、ガラクトース、グルコース、フルクトース、マンノース、キシロース等の単糖類、シュークロース、マルトース、ラクトース等の二糖類およびこれらの組合せが例示される。この中では、セルロース系バイオマスを加水分解することによって生じる糖がより好ましい。
発酵阻害物質としては、炭素源(糖)を含む培地で微生物を培養することによって有用物質を生産させる発酵過程において、微生物の生育を阻害したり、物質生産効率を低下させたりする物質を意味する。その中では、リグノセルロースなど多糖類系バイオマスを酸性処理や超臨界水処理する過程で生じる発酵阻害物質が好ましく、具体的には、フルフラール、HMF、バニリンなどが挙げられる。
糖と発酵阻害物質を含む溶液としては、糖と発酵阻害物質を溶解して得られる液体(好ましくは水溶液または緩衝液)であればよいが、リグノセルロースなど多糖類系バイオマスを加水分解物することによって得られる糖とフルフラール、HMF、バニリンなどの発酵阻害物質を含む溶液であることが好ましい。
リグノセルロースなど多糖類系バイオマスの加水分解は、亜臨界状態または超臨界状態の水による加水分解処理、酸による加水分解処理、および酵素糖化法など、公知の方法によって行うことができる。
本発明の方法に用いられるポリスチレン系樹脂としては、ポリスチレンを骨格とする樹脂であればよく、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体など、スチレンと他のモノマーとの共重合体でもよい。例えば、具体的には、アンバーライト(登録商標)XAD4、XAD1180N、XAD1600、XAD2000、アンバーライト(登録商標)FPX66、FPX68、アンバーライト(登録商標)EX4が例示される。この中ではアンバーライトXAD4がより好ましい。この樹脂は巨大網目構造の共重合体で、平均孔径が小さくて半透明の外観を呈する。そのため平均孔径が大きいものに比べて、樹脂の表面積が大きくなっている。
分離はカラムクロマトグラフィーにより行うことが好ましい。
ポリスチレン系樹脂を用いたカラムクロマトグラフィーは通常の疎水性吸着樹脂を用いたカラムクロマトグラフィーの手順に従って行うことができる。
例えば、まず、ポリスチレン系樹脂を充填したカラムを水や緩衝液などで平衡化する。次いで、糖と発酵阻害物質を含む溶液をカラムに通液し、カラムを通過させる。ここで、糖はカラムを素通りするのに対し、フルフラールやバニリンなどの発酵阻害物質はカラム樹脂に吸着され、一方、HMFはそこで一定時間保持されるので、この吸着と保持時間の違いを利用して糖と発酵阻害物質を分離することができる。
すなわち、素通り画分を回収することで精製された糖を得ることができる。糖の存在はブリックス度や195 nmの吸光度(A195)などでモニターすることができる。
なお、糖と発酵阻害物質を含む溶液が多糖類系バイオマスの加水分解物である場合、そのままカラムに負荷してもよいが、不溶物が含まれる場合は樹脂の目詰まりを防ぐために、遠心分離や膜分離法で不溶物を除いた後にカラムに負荷することが好ましい。
糖を精製する目的だけであればバニリンなど樹脂に吸着された発酵阻害物質は特に回収する必要はないが、HMFはカラムに通液した後、一定時間後に非常にブロードなピーク画分として溶出してくる。従って、吸着または保持された発酵阻害物質と共にカラムから溶出させ、次回の糖の分離操作に備えなくてはならない。またバニリンや、フルフラール、HMFなどの発酵阻害物質は香料、合成ゴム、フラン樹脂、ナイロン、バイオ燃料製造
の原料などとして有用であるため、カラムから溶出させて回収することが好ましい。
発酵阻害物質の溶出に用いる溶媒は、発酵阻害物質をポリスチレン系樹脂から溶出できる溶媒であれば特に制限されない。特に、HMFの場合は樹脂に対する吸着力が弱いので、水を通液することによってカラムから溶出させることができる。一方、樹脂と完全に吸着したフルフラールとバニリンの場合は、なるべく少ない画分として得るために炭素数1〜3のアルコールを用いて溶出させることが好ましい。ここで、炭素数1〜3のアルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノールおよびイソプロパノールが挙げられるが、イソプロパノールがより好ましい。溶出に用いる炭素数1〜3のアルコールは含水アルコールでもよく、その場合、アルコール濃度は50%以上が好ましく、70%以上がより好ましい。
発酵阻害物質の溶出は例えば、280 nmの吸光度(A280)などでモニターすることができる。
炭素数1〜3のアルコールを用いて発酵阻害物質を回収した場合において、発酵阻害物質が複数種類存在するときは、沸点の差を利用してそれぞれの発酵阻害物質を蒸留によって得ることが好ましい。例えば、フルフラール、HMF、バニリンの沸点は、それぞれ、162℃、115℃、285℃である。
また、発酵阻害物質の溶出のために使用した炭素数1〜3のアルコールは、蒸留などの方法によって回収して再利用することもできる。
また、炭素数1〜3のアルコールを回収した後のカラムは、水などのカラム洗浄液を用いて再生させ、再利用することができる。
カラム内に残った炭素数1〜3のアルコールを水などのカラム洗浄液で回収する際、残存アルコールの上、つまりカラム上部から水を通液すると水の比重の方が大きいので、カラム内で対流が生じ、効率のよい残存アルコールの回収が困難になることがある。そこで、カラムを垂直方向に設置し、サンプル溶液およびアルコールの場合とは逆方向、すなわち、カラムの下方から上方へと水などの洗浄液を流すことが好ましい。
本発明の方法により得られた糖溶液は発酵阻害物質がほとんど含まれないため、エタノールなどのアルコール、キシリトールなどの糖アルコール、カルボン酸、アミノ酸などの有用物質の発酵生産に好適に用いることができる。
すなわち、本発明は、上記方法により発酵阻害物質が除去された糖溶液を取得し、得られた糖溶液を用いて糖を有用物質に変換する微生物を培養して有用物質を得ることを特徴とする、有用物質の製造原料を提供する。
以下、エタノールの発酵生産について説明する。
生成したエタノール発酵用原料である糖液に、酵母を添加し、嫌気的条件でエタノール発酵させる。30℃で静地培養することにより、発酵が促進される。通常、1〜72時間の反応により、エタノールが培地中に蓄積するので、これを蒸留等によって回収することでエタノールが得られる。なお、エタノール発酵微生物としては公知のいずれのエタノール生産微生物を用いることができるが、具体的には酵母(Saccharomyces cerevisiae)又はザイモモナス菌(Zymomonas mobilis)が例示される。これらの微生物は野生株でも変異株でも遺伝子組み換え株でもよい。
Saccharomyces cerevisiaeを用いる場合、スラントや凍結などで保存されているものを使用して良いが、市販のパン酵母を用いても良い。スラントなどで保存してある状態の酵母を用いる場合は、発酵に用いる前に液体培地を用いて前培養を行い、酵母の量や活性を上げることが望ましい。
以上、糖をエタノールに変換する微生物を用いたエタノールの製造について説明したが
、他の有用物質も公知の有用物質を生産する微生物を用い、公知の方法に従って製造することができる。例えば、甘味料などとして有用なキシリトールも本発明の方法によって得られる発酵阻害物質の除去された糖溶液を用いて効率よく製造できる。
リグノセルロースにはセルロースとヘミセルロースが存在し、草木系バイオマスでは後者の存在比が高いことが知られている。そして、ヘミセルロースを多く含む草木系バイオマスを希硫酸分解などにより分解した場合、キシロースもグルコースと同様に生成する。したがって、本発明の方法により得られたキシロースを含む溶液を用いてキシリトールを発酵生産することも可能である。キシリトールの発酵生産の方法としては、特開平11-192095などに記載された方法が例示される。
なお、本発明はフルフラール、HMF及びバニリンからなる群より選ばれる一種類以上の物質を含む溶液から前記物質を精製する方法であって、ポリスチレン系の樹脂を用いて精製を行うことを特徴とする方法も提供する。フルフラール、HMF及びバニリンからなる群より選ばれる一種類以上の物質を含む溶液は上記の糖とこれらの物質を含む溶液には限定されず、これらの物質と他の物質を含む溶液であればよい。精製方法は上記分離方法の項目で説明したとおりである。
以下に実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
表1に示す糖と発酵阻害物質を含む水溶液を調製した。なお、この組成は超臨界水によるリグノセルロース加水分解溶液の組成を疑似したものである。
Figure 2011078327
ポリスチレン系クロマト樹脂として25 mlのアンバーライトXAD4(オルガノ社)をカラム管(直径1.4 cm×16 cm)に充填し、イオン交換水で平衡化した。
得られたカラムに、上方から、pH4.7である上記水溶液を354 ml通液し(流速11.5μl/秒)、その後、さらにイオン交換水を流した。カラム通過液を2.1 mlずつのフラクションに分けて分取し、各フラクションにつき、A280とブリックス度をモニターした。そして、ブリックス度が0.1以下になってから(溶出量354 mlの時点から)、通液を70%メタノールに切り替えた。全カラム通液操作は室温で行った。
結果を図1に示す。溶出量0〜336 mlまでのカラム通過液(素通り画分)では、ブリックス度が0.1となり糖が検出され、その一方でA280の値は小さく、HMF、フルフラールおよびバニリンはほとんど含まれないことがわかった。素通り画分における糖の回収率を計算すると、90%以上であった。
これに対し、70%メタノール溶出画分(360〜460 ml)ではA280の値が大きく、HMF、フルフラールおよびバニリンが70%メタノールで溶出されたことがわかった。70%メタノール
溶出画分におけるこれらの発酵阻害物質の回収率を計算すると、99%以上であった。なお、360 ml以降ブリックス度が大きくなっているが、これは70%メタノールのブリックス度が5〜6であることによるもので、糖はこの画分には含まれていない。
以上より、ポリスチレン系樹脂を用いることで、糖と発酵阻害物質を分離することができ、さらに樹脂に吸着した発酵阻害物質は70%メタノールで溶出できることがわかった。なお、70%メタノールで溶出された発酵阻害物質のピーク画分の半値幅は50 mlであった。
なお、70%メタノールを流した後、下方から上方へイオン交換水を流して、カラムを再生させた。
[実施例2]
上記ポリスチレン系樹脂カラムに表2の水溶液(pHは4.8)を300 ml通液し(流速12.2μl/秒)、その後、イオン交換水を流した。通過液を4.4 mlずつのフラクションに分けて分取し、各フラクションにつき、A280とA195(ブリックス度より糖濃度に関して非常に感度が高い)をモニターした。そして、A195が0.01以下になってから(溶出量352mlの時点から)、通液を70%イソプロパノールに切り替えた。全カラム通液操作は室温で行った。
Figure 2011078327
結果を図2に示す。溶出量0〜330 mlまでのカラム通過液(素通り画分)ではA195の値が0.01以上となり糖が検出され(A195は図示せず)、その一方でA280の値は小さく、HMF、フルフラールおよびバニリンはほとんど含まれないことがわかった。素通り画分における糖の回収率を計算すると、約97%であった。
これに対し、イソプロパノール溶出画分(374〜414 ml)ではA280の値が大きく、HMF、フルフラールおよびバニリンが70%イソプロパノールで溶出されたことがわかった。これらの発酵阻害物質の回収率を計算すると、約98%であった。
以上より、ポリスチレン系樹脂を用いることで、糖と発酵阻害物質を分離することができ、さらに樹脂に吸着した発酵阻害物質は70%イソプロパノールで溶出できることがわかった。なお、70%イソプロパノールで溶出された発酵阻害物質のピーク画分の半値幅は20
mlであり、70%メタノールを用いる時と比べて70%イソプロパノールを用いた方がより少ない量で全ての発酵阻害物質が溶出されることがわかった。
なお、70%イソプロパノールを流した後も、カラムの下方から上方へイオン交換水を流して、カラムを再生させた。
[実施例3]
上記ポリスチレン系樹脂をラージカラム(XAD4樹脂は100 ml、カラムサイズは直径2.2 cm×40 cm)に充填し、表2の水溶液(pHは4.9)を745 mL通液し(流速11.3μl/秒)
、その後、イオン交換水を流した。通過液を4.5 mlずつのフラクションに分けて分取し、各フラクションにつきA280とブリックス度をモニターした。そして、ブリックス度が0になってから(溶出量892 mlの時点から)、通液を70%イソプロパノールに切り替えた。全カラム通液操作は室温で行った。
結果を図3に示す。素通り画分ではブリックス度を指標にして糖が検出され(ブリックス度は図示せず)、その一方でA280の値は小さく、HMF、フルフラールおよびバニリンはほとんど含まれないことがわかった。
これに対し、70%イソプロパノール溶出画分(896〜1011 ml)ではA280の値が大きく、HMF、フルフラールおよびバニリンが70%イソプロパノールで溶出されたことがわかった。これらの発酵阻害物質の回収率を計算すると、約94%であった。
なお、70%イソプロパノールを流した後、カラムの下方から上方へイオン交換水を流して、カラムを再生させた。
以上より、実験のスケールアップも十分可能であることがわかった。
なお、アクリル系樹脂であるアンバーライトXAD7HP(オルガノ社)を用いて実施例1と同様の実験を行ったところ、発酵阻害物質、特にHMFは保持時間が短く(溶出量50〜55 mlの時点で溶出された)、発酵阻害物質を含まない糖溶液を十分な量、得ることが難しいことがわかった。
本発明によれば、エタノール発酵などに用いることのできる多糖類系バイオマスの加水分解溶液から、糖類の収率を損なうことなく発酵阻害物質を室温でほぼ完全に吸着樹脂によって除去することができる。これにより加水分解溶液に含まれる発酵阻害物質を発酵に影響を与えない濃度まで除去できるので、日本で豊富な多糖類系バイオマスから大量のバイオエタノールを生産することができ、2012年の京都議定書の二酸化炭素削減枠目標達成に大きな貢献ができると考えられる。
また、樹脂に吸着または保持されたバニリンや、フルフラール、HMFなどの発酵阻害物質はアルコールを用いて回収することができ、これらの物質は香料、合成ゴム、フラン樹脂、ナイロン、バイオ燃料などの原料として有用である。

Claims (14)

  1. 糖と発酵阻害物質を含む溶液から発酵阻害物質を分離して糖溶液を得る方法であって、発酵阻害物質をポリスチレン系の樹脂に吸着または保持させて分離することを特徴とする方法。
  2. 前記糖と発酵阻害物質を含む溶液が、多糖類系バイオマス加水分解物である、請求項1に記載の方法。
  3. 多糖類系バイオマスがリグノセルロースである、請求項2に記載の方法。
  4. ポリスチレン系の樹脂がアンバーライト(登録商標)XAD4樹脂である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記発酵阻害物質が、フルフラール、ヒドロキシメチルフルフラール及びバニリンからなる群より選ばれる一種類以上の物質である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. さらに、樹脂に吸着または保持された発酵阻害物質を樹脂から溶出させて回収する工程を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 炭素数1〜3のアルコールを用いて発酵阻害物質を溶出させる、請求項6に記載の方法。
  8. 前記アルコールがイソプロパノールまたはメタノールである、請求項7に記載の方法。
  9. 前記アルコールを用いて発酵阻害物質を溶出させた後に樹脂を再生して再利用する、請求項7または8に記載の方法。
  10. 前記溶出が垂直方向に設置したカラムの上方から下方へ前記アルコールを通液することによって行われ、前記樹脂の再生が、前記アルコールを通液した後、カラムの下方から上方へカラム洗浄液を通液させることにより行われる、請求項9に記載の方法。
  11. 請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法により糖溶液を得る工程、得られた糖溶液を用いて糖を有用物質に変換する微生物を培養することにより有用物質の発酵生産を行う工程を含む、有用物質の製造方法。
  12. 前記有用物質がエタノールまたはキシリトールである、請求項11に記載の方法。
  13. フルフラール、ヒドロキシメチルフルフラール及びバニリンからなる群より選ばれる一種類以上の物質を含む溶液から前記物質を精製する方法であって、ポリスチレン系の樹脂を用いて精製を行うことを特徴とする方法。
  14. ポリスチレン系の樹脂がアンバーライト(登録商標)XAD4樹脂である、請求項13に記載の方法。
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