JP2011070062A - 誘導加熱装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、通紙領域に応じた加熱幅制御が行え、発熱ローラの非通紙部分の温度上昇抑制能力を向上させ、かつ小サイズの記録紙が通紙する時に省電力化できる誘導加熱装置を提供することを目的とする。
【解決手段】電磁誘導発熱する発熱ローラと、発熱ローラを発熱させる第1励磁コイル20と、第1励磁コイル20の磁界を減少させる第1消磁コイル40A,40Bと、磁束を導いて発熱ローラとの間に磁気回路を形成する第1軸方向コア31を備え、第1励磁コイル20が発熱ローラの軸方向に平行に延びる平行部とその両端の2つの折り返し部を備え、また第1消磁コイル40A,40Bが発熱ローラの軸方向に平行に延びる平行部とその両端の2つの折り返し部を備え、各コイルの2つの折り返し部の一方と平行部が互いにそれぞれ重ね合わされ、第1軸方向コア31が第1消磁コイル40A,40Bの2つの折り返し部の他方側に配置される。
【選択図】図3

Description

本発明は、記録紙上に形成されたトナー像を記録紙に加熱定着する画像形成装置の定着装置等に用いられ、特に加熱方式として電磁誘導方式(IH方式)を用いる誘導加熱装置に関する。
プリンタ・複写機・ファクシミリ等の画像形成装置に対し、近年、省エネルギー化・高速化についての市場要求が強くなってきている。これらの要求性能を達成するためには、画像形成装置に用いられる定着装置の熱効率の改善が重要である。
電磁誘導加熱方式の定着装置として、交番磁界により磁性金属部材に発生した渦電流でジュール熱を生じさせ、金属部材を含む加熱体を電磁誘導発熱させる技術が提案されている(特許文献1等)。しかし、画像形成装置では記録紙の大きさが一定ではなく複数の記録紙幅に対応しなければならないという問題があった。
この問題に対応するため、励磁コイルと副誘導コイルから構成された電磁誘導加熱方式の定着装置が提案されている(特許文献2)。この励磁コイルとこのコイルの内側に置かれた副誘導コイルは同一面内に形成される。(特許文献2)の副誘導コイルは、スイッチで回路がスイッチ閉とされてショートさせられると、静電容量切替手段を介して励磁コイルと電磁結合される。逆にスイッチを開として回路をオープンにすると、副誘導コイルと励磁コイルは電磁的に非結合とされるものである。
同様に、様々な記録紙幅に対応するために、励磁コイル上に消磁コイルを段状に積み重ねて磁束を打ち消す方式の電磁誘導加熱方式の定着装置も提案されている(特許文献3)。(特許文献3)においては、定着装置には励磁コイルが定着ローラ1に沿って巻回され、励磁コイル上に第1消磁コイルが置かれ、さらにその第1消磁コイル上に第2消磁コイルがそれぞれ積み重ねられた状態で配置されている。励磁コイルと消磁コイルの幅は同じ幅にされている。
ところで、電磁誘導加熱方式の励磁コイルの折り返し部においては発熱ローラの発熱分布で温度低下が起こり易い。このため折り返し部に磁束集中部材を設けることで、折り返し部の温度落込みを抑制する定着装置も提案されている(特許文献4)。発熱ローラの長手方向に平行に延びる平行領域部とその両端に折り返し部を有する環状の励磁コイルを用い、折り返し部において発生する磁界の向きが一方向に揃っている領域に磁束集中部材を設けることで折り返し部の内側部分の温度落込みを抑制するものである。これにより、加熱部材の長手方向における温度均一性を改善する。
特開2003−223063号公報 特開2009−128551号公報 特開2008−139475号公報 特開2005−235637号公報
現在主流となっている紙幅制御方式では、励磁コイル上に様々な記録紙幅に適用できる消磁コイルを設け、記録紙サイズに合わせて消磁コイルをショートして励磁コイルの磁束を打ち消し合わせ、非通紙部分の温度上昇を抑制している。一方、近年画像形成装置は益々スピード化が要求されており、ウォームアップタイム短縮のための定着装置の熱容量は年々削減されている。熱容量の低下は発熱ローラがきわめて加熱し易い構成になったことを意味する。このため利用されていない非通紙部分の温度上昇を抑える抑制能力(温度上昇抑制能力)の向上が求められている。
しかし、(特許文献2)の電磁誘導加熱方式の定着装置の場合、副誘導コイルが静電容量切替手段を介して励磁コイルに結合される構成を有しており、副誘導コイルは磁束抑制のため同一平面の励磁コイルの内側に配置される。このため副誘導コイルと励磁コイルの間には隙間ができ易く、静電容量切替手段による切替をしても磁束の打ち消しが十分でなく磁束が一部残ってしまう問題があった。すなわち、この方式では非通紙部分の温度上昇の抑制を十分には行えなかった。また通紙部分の両端部付近では逆に必要な熱量が不足する問題もあった。つまり、通紙部分の温度だけが均一になる好ましい温度分布にならずに、通紙部分の両端に近づくと次第に温度が低下し、またこれから非通紙部分になるに従って更に温度低下するような緩慢な温度分布となる。
また、(特許文献3)の電磁誘導加熱方式の定着装置は、励磁コイル上に消磁コイルを積み重ねて様々な記録紙幅の記録紙を定着する。しかし、この方式も励磁コイル上に消磁コイルを段重ねする必要があり、励磁コイルと消磁コイルの間に隙間ができ易く、消磁コイルによる磁束の打ち消しが不十分で磁束が一部残ってしまう。この方式でも非通紙部分の温度上昇の抑制は十分には行えず、通紙部分の両端部では熱量が不足しがちであった。すなわち温度分布が通紙部分で均一にならず、両端で落ち込む分布となっていた。
そこで、本発明は、通紙領域に応じた加熱幅制御が行え、発熱ローラの非通紙部分の温度上昇抑制能力を向上させ、かつ小サイズの記録紙が通紙する時に省電力化できる誘導加熱装置を提供することを目的とする。
本発明の誘導加熱装置は上記課題を解決するために、電磁誘導発熱する円筒形状の発熱ローラと、発熱ローラを発熱させる励磁コイルと、発熱ローラの軸方向の長さが励磁コイルより短く形成され励磁コイルの磁界を減少させる消磁コイルと、磁性材料から構成され励磁コイル及び/又は消磁コイルの磁束を導いて発熱ローラとの間に磁気回路を形成する磁性部材とを備えた誘導加熱装置であって、励磁コイルが発熱ローラの軸方向に平行に延びる平行部と該平行部の両端の2つの折り返し部を備えると共に、消磁コイルが発熱ローラの軸方向に平行に延びる平行部と該平行部の両端の2つの折り返し部を備え、励磁コイルと消磁コイルの2つの折り返し部の一方と平行部が互いにそれぞれ重ね合わせ可能な共通の構成を有し、かつ、磁性部材が消磁コイルの2つの折り返し部の他方側に配置されることを主な特徴とする。
本発明の誘導加熱装置によれば、通紙領域に応じた加熱幅制御が行え、発熱ローラの非通紙部分の温度上昇抑制能力を向上させ、かつ小サイズの記録紙が通紙する時に省電力化できる。
本発明の誘導加熱装置が定着装置として適用される複写機の構成図 本発明の誘導加熱装置が適用された図1に示した定着装置の断面図 本発明の実施例1に係る誘導加熱装置の概観図 (a)本発明の実施例1に係る誘導加熱装置を構成するコイルユニットの配置の上面図、(b)本発明の実施例1に係る誘導加熱装置を構成するコイルユニットの配置の図4(a)に示した線A−A断面図 (a)本発明の実施例1に係る誘導加熱装置を構成する第1消磁コイルの説明図、(b)本発明の実施例1に係る誘導加熱装置を構成する第2消磁コイルの説明図 本発明の実施例1に係る誘導加熱装置を構成するコイルユニットの要部を拡大した説明図 本発明の実施例1に係る誘導加熱装置を構成するコイルユニットの基本回路構成図 本発明の実施例1に係る誘導加熱装置による発熱ローラの温度分布を示すグラフ (a)本発明の実施例2に係る誘導加熱装置を構成するコイルユニットの配置の上面図、(b)本発明の実施例2に係る誘導加熱装置を構成するコイルユニットの配置の図9(a)に示した線A−A断面図 (a)本発明の実施例3に係る誘導加熱装置を構成するコイルユニットの配置の上面図、(b)本発明の実施例3に係る誘導加熱装置を構成するコイルユニットの配置の図10(a)に示した線A−A断面図 本発明の実施例3に係る誘導加熱装置を配置する発熱ローラの図10(b)に示した線B−Bの位置の断面図
本発明の請求項1の発明は、電磁誘導発熱する円筒形状の発熱ローラと、発熱ローラを発熱させる励磁コイルと、発熱ローラの軸方向の長さが励磁コイルより短く形成され励磁コイルの磁界を減少させる消磁コイルと、磁性材料から構成され励磁コイル及び/又は消磁コイルの磁束を導いて発熱ローラとの間に磁気回路を形成する磁性部材とを備えた誘導加熱装置であって、励磁コイルが発熱ローラの軸方向に平行に延びる平行部と該平行部の両端の2つの折り返し部を備えると共に、消磁コイルが発熱ローラの軸方向に平行に延びる平行部と該平行部の両端の2つの折り返し部を備え、励磁コイルと消磁コイルの2つの折り返し部の一方と平行部が互いにそれぞれ重ね合わせ可能な共通の構成を有し、かつ、磁性部材が消磁コイルの2つの折り返し部の他方側に配置されることを特徴とする誘導加熱装置である。
この構成によって、通紙領域に応じた加熱幅制御が行え、発熱ローラの非通紙部分の温度上昇抑制能力を向上させ、かつ小サイズの記録紙が通紙する時に省電力化できる。
本発明の請求項2の発明は、請求項1の発明に従属する発明であって、磁性部材が略コの字形状を有しており、該磁性部材の両端部が発熱ローラに近接して設けられることを特徴とする誘導加熱装置である。
この構成によって、折り返し部では磁界の向きが一方向に揃っていないが、略コの字形状でその両端部が近接位置の方が磁束密度をより高めることができる。
本発明の請求項3の発明は、請求項1または請求項2の発明に従属する発明であって、磁性材料から構成された磁性部材が励磁コイルの平行部の内側にこの平行部に沿って互いに磁気結合できる間隙を置いて連続して配置されたことを特徴とする誘導加熱装置である。
この構成によって、大部分の磁束を磁性部材内に留めて、磁気回路の磁束密度を高めることができる。
以下、本発明に係る実施例1を、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の誘導加熱装置が定着装置として適用される複写機の構成図である。図1に示す複写機(画像形成装置)はタンデム型のカラーの画像形成装置であり、原稿の画像を読み取る原稿読取部1と、読み取った原稿の画像を感光体ドラム7上に像形成し、トナーによってトナー像を形成して更にこれを記録紙(一般的には画像形成媒体)上に転写する画像形成部2と、この記録紙上のトナー像を定着させる定着装置3とを備えている。画像形成部2には給紙部4から記録紙が供給され、定着装置3において定着処理が終わった記録紙が排紙部5に排出される。
画像形成部2では、帯電器6により一様に帯電された感光体ドラム7に対してLSU(Laser Scanning Unit)8からレーザ光が照射されて感光体ドラム7の感光体の層の面上に静電潜像が形成された後、現像ユニット9内のトナーが現像ローラ11を介して感光体ドラム7に供給されて、像形成された静電潜像が現像される。中間転写ベルトに沿ってイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の感光体ドラム7が配置され、それぞれの静電潜像が各色の現像ローラ11から供給されたトナーでそれぞれトナー像を形成し、これが順に中間転写ベルト12に一次転写され、この各色トナーが中間転写ベルト12上に積み重なって形成されたトナー像を転写装置13の転写ローラ14により記録紙に二次転写する。
図2は、本発明の誘導加熱装置が適用された図1に示した複写機の定着装置の断面図である。図2に示すように、定着装置3は、電磁誘導発熱により記録紙(画像形成媒体)上のトナー像を溶融させる円筒形の発熱ローラ10と、発熱ローラ10に圧接するように付勢された加圧ローラ15とから構成される。発熱ローラ10と加圧ローラ15のニップ部に二次転写された記録紙が搬送されてくると、ニップ部での熱と圧力で記録紙上のトナーが溶融し、記録紙のトナーが熱定着される。
なお、以上の実施例1の説明では、発熱ローラ10に加圧ローラ15を直接圧接させる構成を説明したが、ローラより熱容量が小さくなる加熱ベルトを用いる構成でも基本的に同様である。この場合、無端帯状の加熱ベルトを発熱ローラと定着ローラとに巻き掛け、定着ローラに対峙して配置された加圧ローラと搬送される加熱ベルトとの間に記録紙を通すことで、記録紙上のトナーが熱と圧力の作用で記録紙に定着される。
発熱ローラ10には、図2のように、ステンレスなどの磁性体の金属材料からなる発熱ローラ本体10aが設けられ、その表面にフッ素樹脂などからなる離型層10bがコーティングされている。また、発熱ローラ本体10aの内部には芯金10cが配置され、芯金10cと発熱ローラ本体10aの間にはシリコンゴムなどを使って弾性層10dが形成される。
これに対し、加圧ローラ15は、アルミニウム合金などからなる芯金15aと、この芯金15aの周りにシリコンゴムなどの弾性層15bが形成されている。発熱ローラ10と加圧ローラ15のニップ部に記録紙が搬送され、トナーの定着が行われる。
発熱ローラ10の外周には、発熱ローラ本体10aを発熱させるための誘導加熱装置16が発熱ローラ10に接近した位置に装備される。この誘導加熱装置16は励磁コイルと共振コンデンサからなるLC共振回路を備えており(図2には図示しない。なお図7参照)、このLC共振回路により高周波の交番磁界を発生する。この発生した交番磁界に沿って形成される磁束が発熱ローラ本体10aと鎖交すると、発熱ローラ本体10aに渦電流が流れる。この渦電流と発熱ローラ本体10a自身の抵抗により発熱ローラ10がジュール熱で発熱し、記録紙上のトナー像を熱定着させるものである。
さて、図3は、本発明の実施例1に係る誘導加熱装置の概観図であり、これは図2で説明した発熱ローラ10の外周側に装備された誘導加熱装置16の背面から視た時の概観を示すものである。また、図2は図3の線A’−A’断面を一部含んでいる。図4(a)は、本発明の実施例1に係る誘導加熱装置を構成するコイルユニットの配置の上面図、図4(b)は、本発明の実施例1に係る誘導加熱装置を構成するコイルユニットの配置の図4(a)に示した線A−A断面図、図5(a)は、本発明の実施例1に係る誘導加熱装置を構成する第1消磁コイルの説明図、図5(b)は、本発明の実施例1に係る誘導加熱装置を構成する第2消磁コイルの説明図である。ここで、実施例1の誘導加熱装置16は発熱ローラ10の外周側から磁気回路を形成して発熱を行う方式であり、同時に、各種サイズの記録紙に対して両側の端線を基準にして発熱ローラ10の発熱を行う両側基準の誘導加熱装置である。
図2、図3、図4(a),(b)において、20は誘導加熱装置16の第1励磁コイルであり、発熱ローラ10の軸と直交する半径方向の軸を中心として発熱ローラ10の長手方向と短手方向にそれぞれ平行に略矩形をなすような形態で巻回され、直流の電源に接続される。21は、この第1励磁コイル20の内周側に囲まれるようにこれよりひとまわり小さい大きさで、かつ4辺がこのコイルと平行になるように巻回された第2励磁コイルであり、第2励磁コイル21も直流の電源に接続される。第1励磁コイル20は一番大きな記録紙幅、例えばA3サイズの記録紙に対応して加熱を行うもので、このサイズとほぼ同じ軸方向幅を有し、第2励磁コイル21は三番目に大きな記録紙幅、例えばA4サイズの記録紙に対応するもので、三番目のサイズの記録紙とほぼ同じ幅の軸方向幅を有する。
第1励磁コイル20、第2励磁コイル21に電源から直流の電流が供給されると、この両コイルが各々LC共振回路を構成しているために、第1励磁コイル20、第2励磁コイル21には交番磁界が発生する。そして制御回路(図7参照)がこの時の電流波形のデューティ比を制御する。これにより電流量に応じた磁束を発生させることができる。なお、第1励磁コイル20、第2励磁コイル21などコイルには何れも絶縁した銅線材を複数本束ねたリッツ線を用いるのがよい。
ところで、図3、図4(a),(b)に示すように、この第1励磁コイル20の長手方向の両端には第1励磁コイル20に対応した2つの消磁コイル(第1消磁コイル40a,40b)がそれぞれ2段に重ねて配置される。また、第1励磁コイル20が囲んだ第2励磁コイル21の両端には第2励磁コイル21に対応した2つの消磁コイル(第2消磁コイル41a,41b)がそれぞれ重ねて配置される。ここで添え字“a”はコイル長手方向において一端側(図4(a),(b)においてはコイルの左側)を表すもので、“b”は他端側(図4(a),(b)においてはコイルの右側)を表すものである。この4つの消磁コイルは各コイルの磁束により第1励磁コイル20と第2励磁コイル21の磁束を一部キャンセルするためのコイルである。なお、対応させる記録紙幅の数を増そうと思えば、励磁コイルと消磁コイルの数を増せばよい。
実施例1の第1消磁コイル40a,40bは、第1励磁コイル20による誘導加熱を磁束の打ち消しで抑え、二番目のサイズの記録紙を加熱する時に利用するコイルである。例えば実施例1においては第1励磁コイル20を使ってA3サイズの記録紙を定着させるが、B4サイズの記録紙を定着させるためには第1励磁コイル20のほかに第1消磁コイル40a,40bを短絡する。同様に、第2消磁コイル41a,41bは第2励磁コイル21による誘導加熱を抑制して四番目のサイズの記録紙の加熱を行う。A5サイズの記録紙を定着させる時に短絡するものである。ここで第1消磁コイル40a,40bと第2消磁コイル41a,41bもリッツ線を用いるのがよい。なお、以下、実施例においては励磁コイルと消磁コイルを使って磁束を打ち消すと説明するが、これは励磁コイルと消磁コイルを使って重なった領域の磁束を十分に減少させることである。発熱ローラの温度上昇を抑制できる磁束密度の範囲に磁束を減少することを意味する。
次に、磁気回路を形成するために用いる4種類の磁性部材について説明する。図2、図3、図4(a),(b)において、30は磁性材料から構成される二脚部分を備えた概ね略コの字の板状の搬送方向コアであり、発熱ローラ10の軸と直交する周方向(記録紙の搬送方向)に第1励磁コイル20の長手方向を跨いで複数設置される。これに対し、31は発熱ローラ10の軸方向(第1励磁コイル20の長手方向)を向いて搬送方向コア30と直交するような向きに配置され、発熱ローラ10の一端側(左側)では第1消磁コイル40aの短手方向の部分だけを跨ぐように設置される略コの字の板状の第1軸方向コアであり、32も発熱ローラ10の軸方向を向いて搬送方向コア30と直交するような向きに配置され、第1励磁コイル20と第1消磁コイル40aの2つのコイルの短手方向の部分を同時に跨ぐように設置される略コの字の板状の第2軸方向コアである。また、この一端側(左端側)の配置と軸対称に、発熱ローラ10の他端側(右端側)においても、第1軸方向コア31が第1消磁コイル40bの短手方向の部分だけを跨ぐように設置され、第2軸方向コア32が第1励磁コイル20と第1消磁コイル40bの短手方向の部分を同時に跨ぐように設置される。なお、上記略コというのはコの字の形状にあるいは脚の開き具合に様々な態様があるため略コと称する。搬送方向コア30は第1軸方向コア31、第2軸方向コア32と二次元的には直交関係にあり、これらは互いに直交する方向の磁束を導く。三次元的には搬送方向コア30は第1軸方向コア31、第2軸方向コア32、及び以下説明する第3軸方向コア33の上を跨って交差する。なお、第1軸方向コア31と第2軸方向コア32は、第2励磁コイル21、第2消磁コイル41a,41bに対しても、上記第1励磁コイル20、第1消磁コイル40a,40bと同様に設置される。
図2、図3、図4(a),(b)において、33は第1励磁コイル20、第2励磁コイル21の長手方向(発熱ローラ10の軸方向)に沿って設けられた板状の第3軸方向コアである。これは第1軸方向コア31、第2軸方向コア32が設置された空隙を埋めるように挿入される磁性材であり、第1軸方向コア31、第2軸方向コア32の磁束を有効に導き、発熱ローラ10との間で強い磁気回路を形成するためのものである。
搬送方向コア30、第1軸方向コア31、第2軸方向コア32、第3軸方向コア33は何れもフェライトなどの磁性材料からつくられ、各励磁コイル、消磁コイルで発生した磁界の磁束を磁性部材から漏らさないように内部に留める。そして高磁束密度の磁束の流れを形成する。磁束は透磁率の低い空気中はあまり通過しないので磁性部材の部分に集中する。コイルで発生した大部分の磁束は、第1軸方向コア31、第2軸方向コア32、第3軸方向コア33内を導かれて、発熱ローラ10の方に向かい、磁性体である発熱ローラ本体10aと鎖交する。この磁束によって発熱ローラ本体10a内に渦電流が発生し、コイルの内側領域が発熱する。
この3種類の磁性部材(第1軸方向コア31、第2軸方向コア32、第3軸方向コア33)は、磁気回路を貫通する磁束の流れをよくし発熱ローラ10で発生する渦電流を均等に発生させるためのものであり、励磁コイルの内側で発熱ローラ軸心に沿って一列に点在するように配置される。これらは励磁コイルの平行部と平行な向きに板の向きを揃えて置かれ、互いに磁気結合可能な所定間隙を措いて複数個連続して配置される。3種類の磁性部材(第1軸方向コア31、第2軸方向コア32、第3軸方向コア33)は各コイルの短手方向に跨るか、非交差とされるかのどちらかとなるが、3種類のどれを配置するかは各コイルの交差の状況で決定される。第1軸方向コア31は1つのコイルだけを跨ぐ時のコアであり、第2軸方向コア32は2つのコイルを同時に跨ぐ時のコアとなる。また、第3軸方向コア33はコイルと非交差の場合に配置される。
図2、図3、図4(a),(b)において、36は誘導加熱装置16のコイル保持部材である。コイル保持部材36は非磁性材料からなり、発熱ローラ10の円筒状面と対向してこの凸面を受け容れる凹面を備えている。この円筒状の凹面が磁気回路を形成するため発熱ローラ10の凸面から所定間隙離して配置される。コイル保持部材31には凹面の背面側に樋状の長尺の空間が設けられ、この空間内に第1励磁コイル20、第2励磁コイル21、第1消磁コイル40a,40b、第2消磁コイル41a,41b、搬送方向コア30、第1軸方向コア31、第2軸方向コア32、第3軸方向コア33が取り付けられる。
ここで、実施例1の誘導加熱装置のコイルユニットが備える励磁コイルと消磁コイル、磁性部材の構造と設置方法について図5(a),(b)に基づいてより具体的に説明する。まず、励磁コイルと消磁コイルについて説明する。
第1励磁コイル20、第2励磁コイル21は、図5(a)のように発熱ローラ10の軸Mに沿う2つの平行部と、この平行部の両端部を架け渡す2つの折り返し部とから構成される。同様に、第1消磁コイル40a,40b、第2消磁コイル41a,41bも図5(b)に示すように平行部と折り返し部を有している。従って第1励磁コイル20、第2励磁コイル21は略矩形形状のコイルになる。
ここでコイルの水平部をHと表し、折り返し部をSと表すことにすると、第1励磁コイル20、第2励磁コイル21(図5(a)においては第2励磁コイル21を図示しない)の平行部は20−H,21−Hであり、折り返し部は20−S,21−Sと表せる。また、第1消磁コイル40a,40bの平行部は40a−H,40b−Hと表され、第1消磁コイル40a,40bの折り返し部は40a−S,40b−Sと表される(図5(b)においては第1消磁コイル40bを図示しない)。同じく、第2消磁コイル41a,41bの平行部は41a−H,41b−Hと表され、第2消磁コイル41a,41bの折り返し部は41a−S,41b−Sと表せる(図5(b)においては第2消磁コイル41a,41bを図示しない)。
図2、図3、図4(a),(b)に示すように、第1励磁コイル20は長手方向が発熱ローラ10の軸に沿うような形態でコイル保持部材36に取り付けられる。また、実施例1の誘導加熱装置16は両側基準の加熱方式であるから、発熱ローラ10の両端付近で第1消磁コイル40a,40bと第1励磁コイル20が各端のコの字の一辺と上下の位置をそれぞれ揃えることにより、第1励磁コイル20の上に第1消磁コイル40a,40bの三辺を一致させた状態で2段に積み重ねる。
すなわち、一端側の第1消磁コイル40aと第1励磁コイル20とは、平行な2本の平行部H(40a−Hと20−Hのそれぞれの2本)と一端側の折り返し部S(一方側(左側)の40a−Sと20−Sの各1本のみ)が位置を揃えられ、2段に重ね合わされて配置される。これに対して他端側の第1消磁コイル40bと第1励磁コイル20とは、平行な2本の平行部H(40b−Hと20−Hのそれぞれの2本)と他端側の折り返し部S(他方側(右側)の40b−Sと20a−Sの各1本のみ)が位置を揃えられ、2段に重ね合わされて配置される。
さらに、第2励磁コイル21が第1励磁コイル20の内部でこれに取り囲まれるように設けられる。第2励磁コイル21の平行部H、折り返し部Sは第1励磁コイル20の平行部H、折り返し部Sから等距離のところにそれぞれ配置される。ただし、等距離である必要はない。そして第2消磁コイル41a,41bのそれぞれの端部の一方が、第1消磁コイル40a,40bと同様に第2励磁コイル21の両端部と三辺を重ねて配置される。すなわち、一端側の第2消磁コイル41aは第2励磁コイル21と平行な2本の平行部H(41a−Hと21−Hのそれぞれの2本)と一端側の折り返し部S(一方の41a−Sと21−Sの各1本のみ)を一致させた状態で2段に積み重ねられる。これに対して他端側の第2消磁コイル41bは第2励磁コイル21と2本の平行部H(41b−Hと21−Hのそれぞれの2本)と他端側の折り返し部S(他方の41b−Sと21−Sの各1本のみ)を一致させた状態で2段に積み重ねられる。
第1励磁コイル20と第1消磁コイル40a,40bの2つの折り返し部Sの一方と平行部Hは互いにそれぞれ重ね合わせて積層できるように電磁的若しくは物理的に共通の構成を備えている。同様に、第2励磁コイル21と第2消磁コイル41a,41bの2つの折り返し部Sの一方と平行部Hも互いにそれぞれ重ね合わせて積層できるように電磁的若しくは物理的に共通の構成を備えている。すなわち、第1励磁コイル20と第1消磁コイル40a,40bは同一巻線数の導線を巻回したコイルであり、共通な断面のコイル同士が三辺を重ね合わせて2段に積層される。また、第2励磁コイル21と第2消磁コイル41a,41bも同一巻線数の導線を巻回したコイルであって、共通な断面のコイル同士が三辺を揃えて2段に積層される。従って、第1励磁コイル20と第1消磁コイル40a,40bに対して、また、第2励磁コイル21と第2消磁コイル41a,41bとにそれぞれ反対方向の向きの等しい電流値の電流を流すと、励磁コイルと消磁コイルでコイルが重なった部分を通過する磁束が打ち消し合う。従って、2種類の励磁コイル(第1励磁コイル20、第2励磁コイル21)と、4種類の消磁コイル(第1消磁コイル40a,40b、第2消磁コイル41a,41b)を組み合わすと、様々な記録紙幅で発熱ローラ10を発熱させることができ、紙幅に対する発熱幅の制御を行うことが可能になる。なお、励磁コイルと消磁コイルを使って磁束を打ち消すと説明したが、上述したとおりこれは励磁コイルと消磁コイルを使って磁束を十分に減少させることである。
ところで、磁束を打ち消すには磁性部材の作用が重要になる。図6は、本発明の実施例1に係る誘導加熱装置を構成するコイルユニットの要部を拡大した説明図である。図6に示すように第1軸方向コア31は発熱ローラ10の左端の右側部分において第1消磁コイル40aの一辺(短手方向)の折り返し部40a−Sの部分だけを跨ぐように設置されている。これに対し、第2軸方向コア32は第1励磁コイル20と第1消磁コイル40aの2つのコイルの各一辺(折り返し部20−S,40a−S)を跨いで設置される。第1軸方向コア31、第2軸方向コア32の形状は二脚を備えた略コの字形状を備えており、略コ字の二脚の両端部が発熱ローラ10の円筒面の方を向き、これに接近して設けられる。さらに、第1軸方向コア31、第2軸方向コア32の間に、隙間を補うように第3軸方向コア33を設けると、大部分の磁束を磁性部材内に留めることができ、磁気回路を貫く磁束密度を高めることができる。
交番電流の通電によって、ある時点に第1励磁コイル20で形成された磁束の一部を図6に示すと、図6のように磁性体である第2軸方向コア32と第3軸方向コア33、第1軸方向コア31を通過してほとんど漏れなく実線の向きに導かれる。すなわち、第1励磁コイル20が生成した磁束は(図4、図6参照)、第1軸方向コア31、第2軸方向コア32、第3軸方向コア33をそれぞれ導かれ、発熱ローラ本体10aと鎖交して磁気回路を構成し、渦電流によって発熱ローラ本体10aを発熱させる。これにより第1励磁コイル20により、第1励磁コイル20の軸方向長さを有する記録紙を定着することができる。
更に、第1励磁コイル20と共に第1消磁コイル40aに交番電流を通電すると、第1消磁コイル40aによって形成される磁束は、第2軸方向コア32と第3軸方向コア33、第1軸方向コア31を通過して図6の破線の向きに導かれる。図6には図示しないが、他端側の第1消磁コイル40bにおいても同様の現象が起きる。この時第1消磁コイル40a,40bの磁束は第1軸方向コア31、第2軸方向コア32、第3軸方向コア33を導かれ(図4(a),(b)、図6参照)、発熱ローラ本体10aと鎖交する。そして、第2軸方向コア32、第3軸方向コア33の内部では、図6に示すように、第1励磁コイル20によって生成された磁束と、第1消磁コイル40aによって生成された磁束とが互いに逆方向となり、キャンセルされる。
しかし、第1励磁コイル20に第1消磁コイル40aが2段に積み重ねられていない第1消磁コイル40aの折り返し部40a−S(図6の折り返し部)が存在し、ここでは磁束は打ち消されない。打ち消されなかった磁束は第1軸方向コア31内を導かれ、発熱ローラ本体10aと鎖交し、渦電流によって発熱ローラ本体10aを加熱する。なお、これは第1消磁コイル40bの折り返し部40b−S(図示しない)においてもまったく同様である。
つまり、第1励磁コイル20と第1消磁コイル40a,40bを同時に短絡した場合、第1消磁コイル40a,40bの励磁コイルの中心側の折り返し部40a−S,40b−Sの2つが第1励磁コイル20の両端の折り返し部20−Sの2つに代わって加熱を行う。第1消磁コイル40a,40bの囲む領域の磁束はキャンセルされることになる。従って、第1消磁コイル40a,40bを用い、第1励磁コイル20の両端に2段に重ねて配置することによって消磁作用だけでなく、第1消磁コイル40a,40bに第1励磁コイル20の発熱作用の代替機能(発熱作用)を持たせることができ、第1励磁コイル20の長さより第1消磁コイル40a,40bの分だけ短い幅の記録紙を定着することができる。
ただ、このように第1消磁コイル40a,40bによって消磁する時に、第1消磁コイル40a,40bだけを使ったのでは発熱ローラ10の温度分布が均一になりにくく、第1励磁コイル20の両端で落ち込む温度分布となり易い。すなわち第1消磁コイル40a,40bの折り返し部40a−S,40b−Sの間で、発熱ローラ10の温度が均一にならずに、しかも折り返し部40a−S,41a−S付近で鋭敏な温度降下を示さない。これでは非通紙部分で温度が高くなることを意味する。
従って、第1消磁コイル40a,40bの第1励磁コイル20と重なっていない側の折り返し部40a−S,40b−Sの磁束密度を高め、磁束の大部分を磁性部材内に留めて発熱ローラ本体10aに導き、鎖交させることが重要である。このため、実施例1においては折り返し部40a−S,40b−Sに第1軸方向コア31を設置している。これにより第1消磁コイル40a,40bによって消磁する時の折り返し部40a−S,40b−Sでの磁束密度が格段に高まり、温度上昇抑制能力を向上させるため非通紙部分で温度が大幅に下がり、小サイズの記録紙が通紙する時に省電力化することができる。更に、第1軸方向コア31だけでなく、第2軸方向コア32、第3軸方向コア33、また更に合わせて搬送方向コア30を励磁コイル周りに設けるのが温度分布をより均一化し、省電力化するのに奉仕する。
ここで、電磁誘導加熱を実行する駆動回路について説明する。図7は、本発明の実施例1に係る誘導加熱装置を構成するコイルユニットの基本回路構成図である。
図7に示すように実施例1においては、第1励磁コイル20と共振コンデンサ50、第2励磁コイル21と共振コンデンサ51は何れも並列に接続され、それぞれがLC共振回路を構成し、駆動回路80,81によってスイッチング素子70,71を制御してそれぞれON−OFFされる。そして、第1励磁コイル20と共振コンデンサ50の間にはリレー接点(RL1)60が設けられており、リレー接点60を閉にするとLC共振回路を共振させることができ、開にするとは開回路となって第1励磁コイル20は励磁されない。同様に、第2励磁コイル21と共振コンデンサ51の間にはリレー接点(RL2)61が設けられており、リレー接点61を閉にした時のみLC共振回路を共振させることができ、開にすると開回路となって第2励磁コイル21は励磁されない。
これに対して第1消磁コイル40a,40bは条件に応じて変成器のように第1励磁コイル20と電磁気的に結合される回路である。すなわち、第1消磁コイル40a,40bにはそれぞれリレー接点62a,62bが設けられており、リレー接点62a,62bが閉にされると結合される回路が短絡されて第1消磁コイル40a,40bと第1励磁コイル20は電磁結合され、リレー接点62a,62bが開にされると開回路となって第1励磁コイル20から電磁気的に切り離される。同様に、第2消磁コイル41a,41bも条件により第2励磁コイル21と電磁気的に結合される。すなわち、第2消磁コイル41a,41bにはそれぞれリレー接点63a,63bと設けられ、リレー接点63a,63bが閉にされると結合される回路が短絡されて変成器のように電磁気的に結合され、リレー接点63a,63bが開にされると開回路となって第1励磁コイル20から切り離される。
リレー接点60,61は、記録紙のサイズの指定が行われると、制御回路94が通電制御するリレーコイル(図示しない)の励磁によって開閉される。制御回路94は、図示しないリレー回路によって、リレー接点60(以下記号で略しAという)、リレー接点61(以下Bという)、リレー接点62a,62b(以下Cという)、リレー接点63a,63b(以下Dという)の開閉を組み合わせて次の4つの励磁組み合わせ(1),(2),(3),(4)を実現する。
この中で(1)はA閉、B開、C開、D開として形成される回路による励磁形態であり、(2)の励磁組み合わせはA閉、B開、C閉、D開とした時の励磁形態となる。また、(3)の励磁組み合わせはA開、B閉、C開、D開として形成される回路による励磁形態であり、(4)の励磁組み合わせはA開、B閉、C開、D閉として実現される励磁形態である。このようにA、B、C、Dの開閉をそれぞれ独立して各別に制御するのは、各コイル間の電磁誘導作用に配慮したためである。
すなわち、例えばA(リレー接点60)閉の状態のままで、B(リレー接点61)開からB閉に切り替えると、共振コンデンサ50が接続されていることによりスイッチング素子70がOFFになったとしても、第2励磁コイル21に電流が流れた時、電磁誘導で第1励磁コイル20と共振コンデンサ50に消磁電流が流れてしまうからである。この時共振コンデンサ50による位相ずれが発生し、第1励磁コイル20によって発熱することも起きる。従って、紙幅制御に当たってはA、B、C、Dにより上記励磁組み合わせ(1),(2),(3),(4)を確実に切り替えることが重要である。
A3サイズの記録紙を加熱する時には、リレー回路の制御によってリレー接点60を閉にし、リレー接点61、リレー接点62a,62b、リレー接点63a,63bをすべて開とする。B4の記録紙を加熱する時には、リレー接点60を閉とすると共にリレー接点62a,62bも閉として第1消磁コイル40a,40bを短絡させる。この時リレー接点61、リレー接点63a,63bは開とする。次に、A4の記録紙を加熱する時には、リレー接点61を閉とし、リレー接点60、リレー接点62a,62b、リレー接点63a,63bを開とする。A5の記録紙を加熱する時には、リレー接点61を閉とすると共にリレー接点63a,63bも閉として第2消磁コイル41a,41bを短絡し、リレー接点60、リレー接点62a,62bは開とする。
さて、以上説明したコイルユニットにおいて、電磁誘導加熱を実行するための駆動回路の回路動作について説明をする。電源は商用電源(AC)であり、これが整流回路90で整流され、フィルター回路91を経て、各LC共振回路に電力供給される。各コイルのインダクタンスL、共振コンデンサのキャパシタンスCによって高周波電源の周波数が定まる。
整流回路90の出力はカレントトランスからなるAC電流検出部93で電流検出、さらに電圧変換トランスからなるAC電圧検出部92で電圧検出される。各検出信号は制御回路94に入力される。制御回路94はコンピュータなどであって、ハードウェアとしてのCPUが制御プログラムを実行することで各機能の処理を行う。制御回路94は外部とのインターフェイス95を介して外部(画像形成装置)から制御の指令を受け、記録紙のサイズの指定があった時はインターフェイス95からの指令信号により、リレーコイルを動作させて各励磁コイル、消磁コイルを切り替えると共に、スイッチング素子70,71をそれぞれON−OFFする。
例えばA3サイズの記録紙の定着の場合、リレー回路によってリレー接点60を閉にすると共にリレー接点61、リレー接点62a,62b、リレー接点63a,63bを開とする。この状態でスイッチング素子70をONにすると第1励磁コイル20に鋸歯状波電流が流れ、第1励磁コイル20にエネルギーが蓄積される。スイッチング素子70がOFFになると第1励磁コイル20に蓄積されたエネルギーが並列接続された共振コンデンサ50に放電され、そのエネルギーは共振コンデンサ50に蓄積される。第1励磁コイル20の蓄積エネルギーがなくなると、今度は逆方向に共振コンデンサ50から放電が始まり共振動作を行うこととなる。共振コンデンサ50が放電したエネルギーがなくなると、再度蓄積された第1励磁コイル20のエネルギーによる電流が、共振コンデンサ50、スイッチング素子70の内蔵ダイオードを経由して、電源に回生される。ここで、次にスイッチング素子70をONにすると再び第1励磁コイル20に電流が流れ上記サイクルが繰り返される。
また、B4サイズの記録紙の定着の場合、リレー回路によりリレー接点60を閉、リレー接点62a,62bも閉とする。リレー接点61、リレー接点63a,63bは開とする。この状態でスイッチング素子70をONにすると、第1励磁コイル20に電流が流れ、短絡された第1消磁コイル40a,40bが第1励磁コイル20と電磁気的に結合され、第1消磁コイル40a,40bに消磁電流が流れる。これにより第1励磁コイル20によって形成される磁束が第1消磁コイル40a,40bの作用で一部打ち消される。
同様に、A4の記録紙の定着の場合、リレー接点61を閉としてリレー接点60、リレー接点62a,62b、リレー接点63a,63bを開とする。この状態でスイッチング素子71をON、OFFする。また、A5の記録紙を加熱する時には、リレー接点61を閉とすると共にリレー接点63a,63bも閉とし、リレー接点60、リレー接点62a,62bを開とする。この状態でスイッチング素子71をON、OFFする。これにより短絡された第2消磁コイル41a,41bが第2励磁コイル21と電磁気的に結合され、第2消磁コイル41a,41bに消磁電流が流れ、第2励磁コイル21によって形成される磁束が第2消磁コイル41a,41bの作用で一部打ち消される。
以上説明したように本発明の実施例1においては、消磁コイルと励磁コイルを共通の構成とし、三辺を一致させて2段に重ね合わせると共に、消磁コイルの残りの一辺の折り返し部に磁性部材を設けている。これにより通紙領域に応じた加熱幅制御が可能になり、消磁コイルで消磁する時の温度上昇抑制能力を向上させることができる。また、励磁コイルを1個とするのではなく、第1励磁コイルと第2励磁コイルに分け、それぞれにおいて消磁コイルを2段に重ねてこの第2励磁コイルによってひとまわり小さいサイズの記録紙を定着するという構成を採用したため、1個の励磁コイルに対して複数種類の消磁コイルで消磁するような構成よりも、小さいサイズの記録紙が通紙する時に省電力化できる。図8は、本発明の実施例1に係る誘導加熱装置による発熱ローラの温度分布を示すグラフである。図8において、(I),(II),(III),(IV)は図4(a),(b)のような第1軸方向コア31、第2軸方向コア32、第3軸方向コア33を設けた誘導加熱装置の温度分布である。これに対し、(V),(VI)はこれらが設けられていない誘導加熱装置の温度分布である。なお、図8では搬送方向コア30を設けていない。
図8の(I)と(V)の曲線は第1励磁コイル20のみに通電し、A3の記録紙を縦に加熱した時の温度分布である。これによれば、(V)の場合には記録紙の両端部で温度降下の勾配は緩慢であるが、(I)の場合は両端部で急速、シャープに温度降下している。これは第1軸方向コア31、第2軸方向コア32、第3軸方向コア33が第1励磁コイル20の内部に設置されていることにより、温度上昇抑制能力が向上したことを示すものである。
図8の(II)の曲線は第1励磁コイル20と第1消磁コイル40a,40bに通電し、B4の記録紙を縦に加熱した時の温度分布である。
次に、(III)と(VI)の曲線は第2励磁コイル21に通電し、A4の記録紙を縦に加熱した時の温度分布である。これによれば、(VI)の場合には記録紙の両端部で温度降下が著しく、しかも周辺の勾配と温度降下作用は緩慢である。これに対し、(III)はA4のサイズの両端部で急速、鋭敏に温度降下している。この違いは第2軸方向コア32が第2励磁コイル21に取り付けられているためである。(VI)ではA4ではなくA5に近い温度分布になってしまっている。また、第2励磁コイル21と合わせて第2消磁コイル41a,41bに通電すると、(IV)のようにA5のサイズの両端部において急速に温度降下する。各記録紙のサイズに応じて折り返し部の間の温度分布をほぼ均一にすることができ、この折り返し部からは鋭角的に温度降下させることができる。温度上昇抑制効果はきわめて鋭敏である。
このように第1軸方向コア31を第1消磁コイル40a,40b、あるいは第2消磁コイル41a,41bに設け、第2軸方向コア32を第1励磁コイル20あるいは第2励磁コイル21に設けることにより、誘導加熱装置16の非通紙部分の温度上昇抑制能力を向上させることができ、小さいサイズの記録紙が通紙する時周囲に伝熱される熱のために費消されていた電力を削減できる。
本発明の実施例2に係る誘導加熱装置は、実施例1と同様に発熱ローラ10の外周側から磁気回路を形成して発熱を行う方式である。しかし、実施例2に係る誘導加熱装置は実施例1と異なり、記録紙の片側の端線のみを基準にして発熱ローラ10の発熱を行う片側基準の誘導加熱装置である。なお、実施例2も実施例1の構成と基本的構成において一致するので、実施例2においても図1〜図8を参照する。実施例2の構成は基本的に実施例1の構成に対して百番台の付番を行っている。例えば、実施例1の第1励磁コイル20に対して実施例2では第1励磁コイル120のように付番している。
図9(a)は、本発明の実施例2に係る誘導加熱装置を構成するコイルユニットの配置の上面図、図9(b)は、本発明の実施例2に係る誘導加熱装置を構成するコイルユニットの配置の図9(a)に示した線A−A断面図である。図9において、120は実施例2の第1励磁コイルである。第1励磁コイル120は実施例1と同様に発熱ローラ10の長手方向と短手方向にそれぞれ平行に略矩形をなすように巻回され、直流の電源に接続される(図7参照)。次に121は、この第1励磁コイル120の内周側に位置して一辺が重ねられ、4辺がこのコイルと平行になるように巻回された第1励磁コイル120よりもひとまわり小さい大きさの第2励磁コイルであり、この第2励磁コイル121も上記電源に接続される。第1励磁コイル120、第2励磁コイル121も実施例1と同様にリッツ線である。第1励磁コイル120、第2励磁コイル121が実施例1の第1励磁コイル20、第2励磁コイル21にそれぞれ対応する。
実施例2の第2励磁コイル121は定着に際して片側を基準にする片側基準の加熱方式である。このため、図9(a),(b)のように第1励磁コイル120の折り返し部120−Sと第2励磁コイル121の折り返し部121−Sが一方に偏って置かれ(図9では右端側)、端部で2段に重ねて配置される。第1励磁コイル120は一番大きな記録紙幅、ここではA3サイズの記録紙に対応して加熱を行うもので、このA3サイズの軸方向幅を有しており、また、第2励磁コイル121は三番目に大きな記録紙幅、ここではA4サイズの記録紙に対応するもので、三番目の大きさの記録紙幅と同じ軸方向幅を有する。
第1励磁コイル120、第2励磁コイル121に電源から直流の電流が供給されると、実施例1と同様、両コイルが共振コンデンサと共に各々LC共振回路を構成し、第1励磁コイル120、第2励磁コイル121の周りに交番磁界を発生する。この時制御回路(図示しない)がデューティ比の制御を行う。これにより電流量に応じた磁束を発生する。なお、使用時には第1励磁コイル120と第2励磁コイル121はどちらかが選ばれて通電される。
第1励磁コイル120の一端側(図9では左端側)の折り返し部120−Sに第1消磁コイル140の140−S(左端側)が2段に積み重ねられ、第2励磁コイル121の一端側(同じく左端側)の折り返し部121−Sにも第2消磁コイル141の折り返し部141−S(左端側)が2段に積み重ねられる。第1消磁コイル140、第2消磁コイル141は、第1励磁コイル120と第2励磁コイル121が発生する磁束を一部キャンセルし、所定幅の磁束を発熱ローラ本体10a(実施例1と同様であり図2参照)と鎖交させるためのものである。第1消磁コイル140、第2消磁コイル141が実施例1の第1消磁コイル40a、第2消磁コイル41aにそれぞれ対応する。
第1消磁コイル140は第1励磁コイル120の長さより小さい二番目のサイズの記録紙の加熱を行うために磁束を打ち消し合わせる消磁コイルである。例えばA3サイズの記録紙を定着する時には第1励磁コイル120を使って定着する。しかし、B4サイズの記録紙を定着する時には第1励磁コイル120と第1消磁コイル140に通電し、後者の磁束で前者の磁束を一部打ち消して定着する。同様に、A4の記録紙を定着する時には第2励磁コイル121で定着し、A5サイズの記録紙を定着させる時には第2励磁コイル121と第2消磁コイル141とに通電し、後者の磁束で前者の磁束を一部打ち消してA5の大きさで定着する。
図9(a),(b)において第2軸方向コア132は3箇所の2つのコイルを跨ぐコアである。すなわち(1)第1励磁コイル120の折り返し部120−Sと第1消磁コイル140の折り返し部140−Sの重なった部分、(2)第2励磁コイル121の折り返し部121−Sと第2消磁コイル141の折り返し部141−Sの重なった部分、(3)第1励磁コイル120の折り返し部120−Sと第2励磁コイル121の折り返し部121−Sの重なった部分、の(1),(2),(3)の3箇所において、それぞれ2つの折り返し部を跨ぐように設置される。
また、第1軸方向コア131は、2箇所で1つのコイルを跨ぐコアである。すなわち(1)第1消磁コイル140の折り返し部140−S、(2)第2消磁コイル141の折り返し部141−S、の(1),(2)において、それぞれ1つの折り返し部を跨ぐように設けられる。そして第3軸方向コア133は第1軸方向コア131、第2軸方向コア132の間を互いに磁気結合できる所定間隙を措いて一列をなすように点在して配置される。搬送方向コア(図示しない)は実施例1と同様にこれらに直交して配置される。第1軸方向コア131、第2軸方向コア132、第3軸方向コア133が、実施例1の第1軸方向コア31、第2軸方向コア32、第3軸方向コア33にそれぞれ対応する。これらの作用は実施例1と同様である。
第1励磁コイル120に通電すると、第1励磁コイル120によって生成された磁束が第1軸方向コア131、第2軸方向コア132、第3軸方向コア133内をそれぞれ導かれ、発熱ローラ本体10aと鎖交して磁気回路を構成し、渦電流によって発熱ローラ本体10aを発熱させる。これによりA3の記録紙を定着することができる。
この状態で第1励磁コイル120と共に更に第1消磁コイル140に交番電流を通電すると、その磁束は第1軸方向コア131、第2軸方向コア132、第3軸方向コア133を導かれ、発熱ローラ本体10aと鎖交し、図6のように磁気回路を構成する。第2軸方向コア132、第3軸方向コア133の内部では、第1励磁コイル120の磁束と第1消磁コイル140の磁束とが互いに打ち消し合う。しかし、第1消磁コイル140の折り返し部140−S(右側の折り返し部)によって発生する磁束は打ち消されることなく残存し、第1軸方向コア131内を導かれ、に発熱ローラ本体10aと鎖交して、発熱ローラ本体10aを加熱する。
つまり、第1消磁コイル140の折り返し部140−Sの一方が発熱ローラ10の発熱に寄与する。このように第1消磁コイル140を使うことによって、消磁作用だけでなく発熱作用も行わせ、第1励磁コイル120より第1消磁コイル140の分だけ短いB4の軸方向幅を有する記録紙を定着することができる。
なお、実施例2の誘導加熱装置のコイルユニットを駆動する制御回路は実施例1と同様であり、実施例1の説明に譲ってここでは詳細な説明を省略する。すなわち、図7において第1励磁コイル20に変えて第1励磁コイル120を配し、また、第2励磁コイル21に変えて第2励磁コイル121を配し、更に第1消磁コイル40a,40bに変えて1個の第1消磁コイル140を配し、第2消磁コイル41a,41bに変えて第2消磁コイル141を配する。言い換えれば、図7における実施例1の第1消磁コイル40bと第2消磁コイル41bの部分を除いて、第1消磁コイル40aを第1消磁コイル140に変え、かつ、第2消磁コイル41aを第2消磁コイル141に変えた構成となる。従って、図7のリレー接点62a,62b、リレー接点63a,63bに変えて、第1消磁コイル40aと第2消磁コイル41aのそれぞれに1個のリレー接点(第1消磁コイル40aのリレー接点、第2消磁コイル41aのリレー接点)が設けられることになる。制御回路94に相当する制御回路が、このリレー回路を制御することにより、駆動回路80,81に相当する駆動回路を駆動し、スイッチング素子70,71に相当するスイッチング素子のON時間をコントロールすることでデューティ制御する。これらの動作の詳細は、第1及び第2消磁コイルと、これらを短絡するリレー接点がそれぞれ1個になったという違いだけで、実施例1と同様である。
次に、第2励磁コイル121を使った、小さいサイズの記録紙の定着をする時の説明をする。第2励磁コイル121に通電すると、発生した磁束が第1軸方向コア131、第2軸方向コア132、第3軸方向コア133内を導かれ、発熱ローラ本体10aと鎖交し、渦電流を発生する。これにより第2励磁コイル121の軸方向長さを有するA4の記録紙を定着することができる。
続いて、更に第2消磁コイル141に交番電流を通電すると、第2消磁コイル141の磁束は第1軸方向コア131、第2軸方向コア132、第3軸方向コア133を導かれ、発熱ローラ本体10aと鎖交する。磁性部材の内部では、第2励磁コイル121の磁束と第2消磁コイル141の磁束とが打ち消し合う(図6参照)。しかし、第2消磁コイル141の折り返し部141−S(右側の折り返し部)によって発生する磁束はキャンセルされることはなく、第1軸方向コア131内を導かれ、発熱ローラ本体10aと鎖交して発熱ローラ本体10aを加熱する。これにより第2励磁コイル121の軸方向長さより第2消磁コイル141の軸方向長さ分だけ短いA5の記録紙を定着することができる。
このように本発明の実施例2の誘導加熱装置においては、2つの励磁コイルと2つの消磁コイルを設け、2つの励磁コイルの一辺を重ねて置き、2つの励磁コイルの三辺ではこの三辺にそれぞれ消磁コイルの三辺を2段に重ねて設置し、2段に重なっていない残りの一辺に磁性部材を設けている。これにより片側基準で加熱幅制御が可能になり、消磁コイルを使用した時の温度上昇抑制能力を向上させ、小さいサイズの記録紙を通紙する時に省電力化することができる。励磁コイルを1個でなく第1励磁コイル120と第2励磁コイル121に分け、それぞれに第1消磁コイル140、第2消磁コイル141を重ねることにより、小さいサイズの加熱を行うという構成を採用したため、1個の励磁コイルに対して複数種類の消磁を行う構成より、小さいサイズの記録紙を通紙する時に省電力化できる。
実施例2の誘導加熱装置は、消磁コイル1個に減らして定着することができ、また片側基準であるため、加熱ローラの軸方向長さも短くなり、小型で安価な誘導加熱装置にすることができる。
本発明の実施例3に係る誘導加熱装置も実施例1と同様に中央基準で発熱ローラ10の発熱を行う。しかし、発熱ローラ10の外部に誘導加熱装置を設けるのではなく、内部に磁気回路を形成して発熱を行う方式である。なお、実施例3も実施例1の構成と基本的構成において一致するので、実施例3においても図1〜図8を参照する。実施例3の構成は基本的に実施例1の構成に対して二百番台の付番を行っている。例えば、実施例1の第1励磁コイル20に対して実施例3では第1励磁コイル220のように付番している。
図10(a)は、本発明の実施例3に係る誘導加熱装置を構成するコイルユニットの配置の上面図、図10(b)は、本発明の実施例3に係る誘導加熱装置を構成するコイルユニットの配置の図10(a)に示した線A−A断面図、図11は、本発明の実施例3に係る誘導加熱装置を配置する発熱ローラの図10(b)に示した線B−Bの位置の断面図である。図10(a),(b)において、220は発熱ローラ10の長手方向と短手方向にそれぞれ平行に略矩形をなすように巻回される実施例3の第1励磁コイルであり、221はこの第1励磁コイル220の内側に囲まれるようにかつ4辺がこのコイルと平行になるように巻回された第2励磁コイルである。第1励磁コイル220、第2励磁コイル221が実施例1の第1励磁コイル20、第2励磁コイル21にそれぞれ対応する。
この第1励磁コイル220の長手方向の両端には2つの消磁コイル(第1消磁コイル240a,240b)がそれぞれ2段に重ねて配置され、第1励磁コイル220に囲まれて置かれる第2励磁コイル221の両端には2つの消磁コイル(第2消磁コイル241a,241b)がそれぞれ2段に重ねて配置される。この4つの消磁コイルは第1励磁コイル220と第2励磁コイル221の磁束を一部キャンセルするためのコイルである。第1消磁コイル240a,240b、第2消磁コイル241a,241bが実施例1の第1消磁コイル40a、40b、第2消磁コイル41a,41bにそれぞれ対応する。作用も変わらない。
次に、図10(a),(b)、図11において、231は発熱ローラ10の軸方向に向いて第1消磁コイル240a,240bの一方を跨いで設置される第1軸方向コアであり、232は発熱ローラ10の軸方向に向いて第1励磁コイル220と第1消磁コイル240a,240bの各組み合わせの2つのコイルを跨いで設置される第2軸方向コアである。また、233は実施例3の第3軸方向コアである。第1軸方向コア231、第2軸方向コア232は第1励磁コイル220、第2励磁コイル221の磁束を導き、発熱ローラ本体210a(図11参照)との間で強い磁気回路を形成するためのものである。第1軸方向コア231、第2軸方向コア232、第3軸方向コア233が、実施例1の第1軸方向コア31、第2軸方向コア32、第3軸方向コア33にそれぞれ対応する。
実施例3の搬送方向コア(図示しない)、第1軸方向コア231、第2軸方向コア232、第3軸方向コア233も、実施例1と同様の作用を有すものであり、磁性材料からつくられ、各コイルで発生した磁束を磁性部材から外部に漏らさず内部に留めるようにし、高い磁束密度の磁束の流れをつくる。コイルで発生した大部分の磁束が磁性部材内を導かれて、発熱ローラ本体210aと鎖交する。この磁束により発熱ローラ本体210a内に渦電流が発生し、発熱ローラ10を発熱させる。
図10(b)、図11において、210cは発熱ローラ10の芯金である。芯金210cは発熱ローラ本体210aと同心の円筒面を備えており、この芯金210cと発熱ローラ本体210aの間の空間に第1励磁コイル220、第1消磁コイル240a,240b、第2励磁コイル221、第2消磁コイル241a,241bが配置される。シリコンゴムなどを使った弾性層210dが芯金210cと発熱ローラ本体210aの間の空間に充填される。発熱ローラ10の軸方向の構成は実施例1のコイルユニットとまったく同様である。また、駆動回路も同様である。従って、これらは実施例1の説明と共通するので、その詳細な説明は実施例1に譲って省略する。
このように実施例3の誘導加熱装置によれば、実施例1では利用されていない発熱ローラ10の内部空間を利用し、実施例1と同様に2つの励磁コイルと4つの消磁コイルを設け、各励磁コイルに対して2つの消磁コイルを三辺において2段に重ね、2段に重なっていない残りの一辺に跨って磁性部材を設けている。これにより、誘導加熱装置16の非通紙部分の温度上昇抑制能力を向上させることができ、小さいサイズの記録紙が通紙する時周囲に伝熱される熱のために費消されていた電力を削減できる。
発熱ローラ10の外部ではなく、発熱ローラ10の内部に誘導加熱装置を設けて発熱を行うため、誘導加熱装置、定着装置がコンパクトになる。画像形成装置を小型化することができる。
本発明に係る誘導加熱装置は、トナー画像を形成した記録紙を定着する定着装置、定着装置を備えた画像形成装置そのほかこれらの機能を含んだ事務機器等に利用が可能である。
1 原稿読取部
2 画像形成部
3 定着装置
4 給紙部
5 排紙部
6 帯電器
7 感光体ドラム
8 LSU(Laser Scanning Unit)
9 現像ユニット
10 発熱ローラ
10a 発熱ローラ本体
10b 離型層
10c 芯金
10d 弾性層
11 現像ローラ
12 中間転写ベルト
13 転写装置
14 転写ローラ
15 加圧ローラ
15a 芯金
15b 弾性層
16 誘導加熱装置
20 第1励磁コイル
20−H,21−H,40a−H,40b−H,41a−H,41b−H 平行部
20−S,21−S,40a−S,40b−S,41a−S,41b−S 折り返し部
21 第2励磁コイル
30 搬送方向コア
31 第1軸方向コア
32 第2軸方向コア
33 第3軸方向コア
40a,40b 第1消磁コイル
41a,41b 第2消磁コイル
50,51 共振コンデンサ
60,61,62a,62b,63a,63b リレー接点
70,71 スイッチング素子
80,81 駆動回路
91 フィルター回路
90 整流回路
93 AC電流検出部
92 AC電圧検出部
95 インターフェイス
94 制御回路
120 第1励磁コイル
120−H,121−H,140−H,141−H 平行部
120−S,121−S,140−S,141−S 折り返し部
121 第2励磁コイル
131 第1軸方向コア
132 第2軸方向コア
133 第3軸方向コア
140 第1消磁コイル
141 第2消磁コイル
220 第1励磁コイル
221 第2励磁コイル
240a,240b 第1消磁コイル
241a,241b 第2消磁コイル
230 搬送方向コア
231 第1軸方向コア
232 第2軸方向コア
233 第3軸方向コア
C キャパシタンス
L インダクタンス

Claims (3)

  1. 電磁誘導発熱する円筒形状の発熱ローラと、前記発熱ローラを発熱させる励磁コイルと、前記発熱ローラの軸方向の長さが前記励磁コイルより短く形成され前記励磁コイルの磁界を減少させる消磁コイルと、磁性材料から構成され前記励磁コイル及び/又は前記消磁コイルの磁束を導いて前記発熱ローラとの間に磁気回路を形成する磁性部材とを備えた誘導加熱装置であって、
    前記励磁コイルが前記発熱ローラの軸方向に平行に延びる平行部と該平行部の両端の2つの折り返し部を備えると共に、前記消磁コイルが前記発熱ローラの軸方向に平行に延びる平行部と該平行部の両端の2つの折り返し部を備え、
    前記励磁コイルと前記消磁コイルの2つの折り返し部の一方と平行部が互いにそれぞれ重ね合わせ可能な共通の構成を有し、かつ、前記磁性部材が前記消磁コイルの2つの折り返し部の他方側に配置されることを特徴とする誘導加熱装置。
  2. 前記磁性部材が略コの字形状を有しており、該磁性部材の両端部が前記発熱ローラに近接して設けられることを特徴とする請求項1記載の誘導過熱装置。
  3. 磁性材料から構成された磁性部材が前記励磁コイルの平行部の内側にこの平行部に沿って互いに磁気結合できる間隙を置いて連続して配置されたことを特徴とする請求項1または2記載の誘導過熱装置。
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