JP2011068740A - 低温難燃化剤および難燃材 - Google Patents

低温難燃化剤および難燃材 Download PDF

Info

Publication number
JP2011068740A
JP2011068740A JP2009219912A JP2009219912A JP2011068740A JP 2011068740 A JP2011068740 A JP 2011068740A JP 2009219912 A JP2009219912 A JP 2009219912A JP 2009219912 A JP2009219912 A JP 2009219912A JP 2011068740 A JP2011068740 A JP 2011068740A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
silver
medium
alkylamine
oxalate
ultrafine particles
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2009219912A
Other languages
English (en)
Inventor
Daisuke Yoshimitsu
大輔 吉満
Masato Kurihara
正人 栗原
Masaomi Sakamoto
政臣 坂本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Yamagata University NUC
Original Assignee
Yamagata University NUC
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Yamagata University NUC filed Critical Yamagata University NUC
Priority to JP2009219912A priority Critical patent/JP2011068740A/ja
Publication of JP2011068740A publication Critical patent/JP2011068740A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Manufacture Of Metal Powder And Suspensions Thereof (AREA)
  • Fireproofing Substances (AREA)

Abstract

【課題】可燃性の建築物資材、家財、衣類等に低温で簡単に難燃化できるヒトに安全な難燃化剤およびそれを被着した難燃材を提供する。
【解決手段】シュウ酸銀、沸点が100℃〜250℃である中短鎖アルキルアミンおよび沸点が100℃〜250℃である中短鎖アルキルジアミンとを反応させることにより、銀、アルキルアミン、アルキルジアミンおよびシュウ酸イオンを含む錯化合物を調製し、該錯化合物を熱分解させることにより得られる銀超微粒子を含有する難燃化剤。該銀超微粒子を、極性溶剤を含む有機溶剤中に分散させ、可燃性基材に塗布後、焼結させた銀被着難燃物。
【選択図】なし

Description

本発明は、銀超微粒子を含む難燃化剤およびそれを被着させた難燃性材料に関する。
建築物、家財等には難燃性材料が使用されることが望まれているが、ヒトに対して安全で、しかも簡単に低温で難燃化できる材料は、まだ十分なものがなく、そのような材料の出現が望まれている。
特許文献1には、銀ナノ粒子と粘土を混合した難燃性組成物が開示されている。請求項には5ナノメートル以上500ナノメートル以下である銀のナノ粒子という表現が用いられているが、実際に粒子サイズを測定したデータもなく、さらに銀は銀イオンであり、銀ナノ粒子ではなく、銀ナノ粒子を用いた難燃性材料は今までに全く開示されていない。
特開2005−248161
建築物や家財に利用可能なヒトに対して安全で、簡単に低温で難燃化できる材料の出現が望まれている。
上記の問題点を鑑みて、鋭意研究した結果、驚くべきことに、本発明者らはエレクトロニクス分野で用いられる銀ナノ粒子を開発してきたが、その過程で本発明者らの銀ナノ粒子は紙、プラスチックス、木材との可燃物にも容易に被着し、さらに安定に被着状態を保つことを見いだし、直火で難燃性の確認をし、本発明に到達した。すなわちシュウ酸銀と沸点が100℃〜250℃の中短鎖アルキルジアミンおよび/または中短鎖アルキルアミンを用いることによって、無溶媒、低温、短時間で錯化合物が合成でき、さらに低温焼結可能な銀超微粒子を製造することができ、本発明に到達した。銀、アルキルアミン、アルキルジアミン、およびシュウ酸イオンを含む錯化合物を調製し、これを熱分解することにより低温焼結可能な銀超微粒子を高収率で調製することができた。
中短鎖アルキルジアミンを使用せず、中短鎖アルキルアミンのみでも、中短鎖アルキルジアミンを使用したときよりより高い熱分解温度、より長い反応時間および分散溶剤の適切な選択が必要であるが、実用的なレベルの低温焼結性を有する銀超微粒子を高収率で調製することができた。ここで、前記錯化合物の熱分解とは、シュウ酸イオンの脱炭酸を伴う銀イオンの還元反応を言う。さらに、得られた銀超微粒子は極性溶剤を含む有機溶剤に良好に分散し、この分散液を用いてプラスチック、紙、繊維等に銀超微粒子を塗布し、120℃以下で銀超微粒子同士が低温焼結することにより良好な難燃性膜を得ることができた。
120℃以下でも焼結可能な銀超微粒子を製造することができ、可燃性の天然紙、合成紙、木材、天然繊維、合成繊維やPETなどのポリエステルおよびポリオレフィンのような可燃性のプラスチックシートでも難燃性材料を作製することが可能となる。また消防士の防火服のような衣類等のヒトに装着する可燃性の製品になった状態でも、含浸等で銀超微粒子を被着させ、それを焼結して難燃性を付与することもできる。
また、無溶媒、低温(室温)でも上記錯化合物を合成することができ、さらに、上記錯化合物を100℃近辺の低温で熱分解し、直接、銀超微粒子を得ることができ、さらに他の方法のように、別途、還元剤を加える必要もなく、エネルギー・物質の消費量を大きく削減でき、本発明の方法は工業的生産に適している。
実施例1で得られた銀超微粒子の粉末X線回折パターンを示す。シグナルピーク位置は金属銀のパターンと一致している。シグナルがブロードであるためナノサイズの結晶であることが分かる、そのシグナルの半値幅から単結晶子サイズを計算できる。 実施例1で得られた銀超微粒子の熱重量示差熱分析結果を示す。熱重量減少(重量%)から銀超微粒子中に含まれる保護分子(アルキルアミンおよびアルキルジアミン)の重量%が求められ、同時に保護分子の脱離温度が分かる。また、示差熱の結果から、その保護分子の脱離が発熱反応か吸熱反応かが分かる。示唆熱プロファイルが上向きの場合、発熱、下向きの場合、吸熱であることから、実施例1で得られた銀超微粒子の保護分子の脱離は発熱反応である。 実施例1で得られた銀超微粒子のn−ブタノールとn−オクタンの混合溶媒分散液を基板(銅メッシュ・コロジオン膜)に垂らし、乾燥後、観察した銀超微粒子の透過型電子顕微鏡像を示す。 実施例1で得られた銀超微粒子のn−ブタノールとn−オクタンの混合溶媒分散液の動的光散乱粒度測定による粒度分布を示す。 実施例7で得られた銀超微粒子の粉末X線回折パターンを示す。 実施例7で得られた銀超微粒子のn−ブタノールとn−オクタンの混合溶媒分散液を基板(銅メッシュ・コロジオン膜)に垂らし、乾燥後、観察した銀超微粒子の透過型電子顕微鏡像を示す。 実施例7で得られた銀超微粒子のn−ブタノールとn−オクタンの混合溶媒分散液の動的光散乱粒度測定による粒度分布を示す。
シュウ酸銀、中短鎖アルキルアミン、および中短鎖アルキルジアミンで生成したシュウ酸イオン・アルキルアミン・アルキルジアミン・銀錯化合物は加熱により二酸化炭素を発生しながら熱分解し、同時に銀イオンが還元されることで、数nm〜数十nmの粒子径の銀超微粒子を高収率で得ることができる。一般に、銀に対して過剰量のアルキルアミンを必要とする他の銀超微粒子の合成法に比べて、本発明では、銀:アルキルアミンやアルキルジアミンの総量が1:1(モル比)でも銀超微粒子が高収率で合成できるため、アルキルアミンやアルキジアミンの使用量を削減できる。また、シュウ酸イオンの熱分解で生じる二酸化炭素は、反応系外に容易に除去されるため、還元剤に由来する副生成物等がなく、反応系から銀超微粒子の分離も簡単にでき、銀超微粒子の純度も高く、廃棄物の削減や反応原料のリサイクルが容易になり、環境に負荷の少ない生産工程となる。
オレイルアミンなどの長鎖アルキルアミンと比較して、オクチルアミンなどの中短鎖アルキルアミンやN,N−ジメチル−1,3−ジアミノプロパンなどの中短鎖アルキルジアミンはシュウ酸銀との反応速度が速く、メタノールや水などの反応溶媒を必要とせず無溶媒で反応が短時間で完結し、シュウ酸イオン・アルキルアミン・アルキルジアミン・銀錯化合物が得られる。なお中短鎖アルキルジアミンは反応性が高いので、適切な比率で中短鎖アルキルアミンと反応させることが好ましい。反応させるアミンの中でアルキルジアミンの含有率はモル比で90%以下が好ましい。より好ましくは70%以下が好ましい。さらに好ましくは50%以下が好ましい。無溶媒で実施できるため、銀超微粒子の製造において物質消費量を大きく削減できる。
これまで、オレイルアミンを多量に含む脂肪族アミン銀錯化合物は、100℃よりも低温では、その熱分解速度が遅く不十分になるため、銀超微粒子の収量の低下や得られた銀超微粒子の溶剤への分散性が低下する恐れがあった。実際に、長鎖オレイルアミンを大量に含む脂肪族アミン銀錯化合物の最適な熱分解温度は150℃であり、積極的な加熱工程が必要であるのみならず、150℃近辺、あるいは、それ以下の沸点の脂肪族アミンとを組み合わせた銀超微粒子を合成するには加圧容器を使用しなければいけない等の課題がある。非極性溶剤への分散性が良好な銀超微粒子を得るために、オレイルアミン:脂肪族アミン=1:2よりもオレイルアミンの混合モル比を多くする必要がある。一方で、高沸点のオレイルアミン(沸点349℃)を多量に含んだ銀超微粒子は非極性溶剤への分散性は向上するが、逆に、銀超微粒子どうしの120℃以下の低温焼結は困難になる。
種々検討した結果、N,N−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン(沸点136℃)などの中短鎖アルキルジアミンとオクチルアミン(176℃)などの中短鎖アルキルアミンを用いることにより、シュウ酸イオン・アルキルアミン・アルキルジアミン・銀錯化合物は100℃より低温でも、短時間でその熱分解反応が進行し、銀超微粒子が90%を超える高収率で合成できるようになった。この低温・短時間の熱分解反応が可能になったことから、沸点が100℃〜250℃の多様な中短鎖アルキルアミン及び中短鎖アルキルジアミン類で保護された銀超微粒子の高効率合成が実現できる。また、従来よりも、更に、銀超微粒子の合成における加熱等のエネルギー消費量が低減できる。
ナノサイズの銀超微粒子が凝集しないようにする保護分子として、長鎖アルキルアミンのみ、あるいは、これを大量に含有した銀超微粒子では、極性溶媒に対する分散性が著しく減少する。一方で、本発明におけるシュウ酸イオン・中短鎖アルキルアミン・中短鎖アルキルジアミン・銀錯化合物の低温熱分解で生じた銀超微粒子は、特に、中短鎖アルキルアミンより極性が強い中短鎖アルキルジアミンを含むことにより極性溶剤への親和性が増大するため、ブタノール等のアルコール溶剤、あるいはオクタンなどの非極性溶剤との混合溶剤にも良好に分散できるようになる。極性溶剤、あるいは極性と非極性の混合溶剤への分散性に優れた銀超微粒子は、その分散媒の種類、その組み合わせおよび混合比等の豊富なバリエーションの適切な選択により、その揮発性や粘度の調整などが容易となり、噴霧器を利用した被着に好適である。
銀超微粒子が150℃以下の低温でもその保護分子が除去され、お互いが焼結し良好な導電性を発現するためには、主に、250℃以下の沸点である中短鎖アルキルアミン及び中短鎖アルキルジアミンの組み合わせで銀超微粒子を合成することが望まれる。中短鎖アルキルアミン単独でも銀超微粒子を製造する熱分解の反応温度は、アルキルジアミンと組み合わせた時よりも高い温度が必要、及び、長い反応時間が必要であるが、分散溶剤の選択により、低温焼結可能な銀被着物を得ることができる。120℃以下で焼結可能な銀超微粒子を得るための中短鎖アルキルアミンとしては、ドデシルアミン(沸点248℃)やオクチルアミン(沸点176℃)などが挙げられる。このように100℃〜250℃の沸点の中短鎖アルキルアミンや中短鎖アルキルジアミンを用いて合成された銀超微粒子は、低温で難燃化が可能な難燃性材料として優れている。なお、銀が十分に焼結しないと十分な難燃性は得られないので十分焼結する必要がある。焼結の目安としては適切な導電性を示すことで判断できる。この段階では、金属銀になっているので銀食器などと同様に安全なものと考えられる。
以下、本発明に係る銀超微粒子の製造方法について詳細に説明する。
(シュウ酸銀)
銀超微粒子の原料として用いるシュウ酸銀は、銀含有率が高く、通常200℃で分解する。熱分解すると、シュウ酸イオンが二酸化炭素として除去され金属銀がそのまま得られるため、還元剤を必要とせず、不純物が残留しにくい点で有利である。
シュウ酸銀として制限はなく、例えば、市販のシュウ酸銀を用いることができる。また、シュウ酸銀のシュウ酸イオンに20モル%以下の炭酸イオン、硝酸イオン、酸化物イオンの1種以上で置換しても良い。特に、シュウ酸イオンの20モル%以下を炭酸イオンで置換した場合、シュウ酸銀の熱的安定性を高める効果がある。置換量が20モル%を超えると前記錯化合物が熱分解しにくくなる場合がある。
(中短鎖アルキルジアミン、中短鎖アルキルアミン)
特に、沸点が250℃以下のアルキルアミン及びアルキルジアミンを含んだシュウ酸イオン・アルキルアミン・アルキルジアミン・銀錯化合物は、100℃よりも低い温度での熱分解で銀超微粒子を高効率で得るために好適となる。
中短鎖アルキルジアミンは、特に、その構造に制限がないが、シュウ酸銀と反応して、前記錯化合物を形成するため(銀イオンに配位するため)、少なくとも1つのアミノ基が一級アミノ基であるRNH(Rは炭化水素鎖)または二級アミノ基であるRNH(R1、Rは炭化水素鎖で同じであっても異なっていても良い)であることが望ましい。中短鎖アルキルジアミンとしては、前記錯化合物の熱分解温度を考慮すれば100℃以上の沸点であること、また、得られた銀超微粒子の低温焼結性を考慮すれば、250℃以下の沸点であることが望ましく、例えば、エチレンジアミン(118℃)、N,N-ジメチルエチレンジアミン(105℃)、N,N’-ジメチルエチレンジアミン(119℃)、N,N-ジエチルエチレンジアミン(146℃)、N,N’-ジエチルエチレンジアミン(153℃)、1,3-プロパンジアミン(140℃)、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン(153℃)、N,N-ジメチル-1,3-ジアミノプロパン(136℃)、N,N’ -ジメチル-1,3-ジアミノプロパン(145℃)、N,N-ジエチル-1,3-ジアミノプロパン(171℃)、1,4-ジアミノブタン(159℃)、1,5-ジアミノ-2-メチルペンタン(193℃)、1,6-ジアミノヘキサン(204℃)、N,N’ -ジメチル-1,6-ジアミノヘキサン(228℃)、1,7-ジアミノヘプタン(224℃)、1,8-ジアミノオクタン(225℃)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
中短鎖アルキルアミンは、特に、その構造に制限がないが、シュウ酸銀と反応して、前記錯化合物を形成するため(銀イオンに配位するため)、一級アミノ基であるRNH(Rは炭化水素鎖)または二級アミノ基であるRNH(R、Rは炭化水素鎖で同じであっても異なっていても良い)であることが望ましい。また、中短鎖アルキルアミンとしては、前記錯化合物の熱分解温度を考慮すれば100℃以上の沸点であること、また、得られた銀超微粒子の低温焼結性を考慮すれば、250℃以下の沸点であることが望ましく、例えば、ジプロピルアミン(107℃)、ジブチルアミン(159℃)、ヘキシルアミン(131℃)、シクロヘキシルアミン(134℃)、ヘプチルアミン(155℃)、オクチルアミン(176℃)、ノニルアミン(201℃)、デシルアミン(217℃)、ドデシルアミン(248℃)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
中短鎖アルキルジアミン及び中短鎖アルキルアミンの脂肪族炭化水素鎖において飽和脂肪族アミンおよび不飽和脂肪族アミンが挙げられるが、いずれかに限定されるものではない。
複数の異なる中短鎖アルキルアミン及び中短鎖アルキルジアミンを同時にシュウ酸銀と反応させ、生成したシュウ酸イオン・アルキルアミン・アルキルジアミン・銀錯化合物の熱分解を行えば、複数の異なるアルキルアミン及びアルキルジアミンで保護された銀超微粒子が得られる。その中短鎖アルキルアミンおよび中短鎖アルキルジアミンの種類、数および混合比等を適切に選択することにより、非極性または極性溶剤への分散性を調整することができる。
250℃以下の沸点の中短鎖アルキルアミンや中短鎖アルキルジアミンで保護された銀超微粒子は、耐熱性の弱い樹脂基板上でも、例えば、120℃以下の加熱で、その保護分子が除去され、銀超微粒子どうしが焼結し、良好な導電性を発現させることが可能である。
120℃以下の低温焼結性と溶媒への分散性に優れた銀超微粒子が得られる限りにおいては、シュウ酸イオン・アルキルアミン・アルキルジアミン・銀錯化合物の熱分解反応において、長鎖アルキルアミンを添加して実施することは特に制限を設けないが、使用する中短鎖アルキルアミン及び中短鎖アルキルジアミンの総計に対する長鎖アルキルアミンのモル含有率が20%以下であれば、低温焼結で得られた銀被着材は実用的な導電性を示したので、アルキルアミンおよびアルキルジアミンの総計に対して20%以下の長鎖アルキルアミンを使用する場合も、本発明の範囲内である。
本発明における、シュウ酸イオン・アルキルアミン・アルキルジアミン・銀錯化合物の調製においては、シュウ酸銀とアルキルアミン及びアルキルジアミンの総量のモル比は1:2〜1:4でることが望ましいが、それに限定されるものではない。シュウ酸銀にアルキルアミン及びアルキルジアミンのアミノ基が、銀:アミノ基=1:1で結合し、前記シュウ酸イオン・アルキルアミン・アルキルジアミン・銀錯化合物が生成する。従って、シュウ酸銀と中短鎖アルキルアミン及び中短鎖アルキルジアミンの総量の化学量論比(モル比)は1:2となる。シュウ酸銀と中短鎖アルキルアミンのみを使用する場合にも化学量論比(モル比)は1:2となる。そのため、シュウ酸銀に対して中短鎖アルキルアミン及び中短鎖アルキルジアミンのモル比が2倍以下になると、未反応のシュウ酸銀が残るため、均一な前記錯化合物の低温分解が阻害され、銀超微粒子の収率が低下する場合がある。シュウ酸銀と中短鎖アルキルアミンのみを使用する場合にも、同様である。逆に、2倍以上であっても、前記錯化合物の均一熱分解は進むが、中短鎖アルキルアミンおよび中短鎖アルキルジアミンを無駄に使用するばかりか、廃棄物の増大に繋がるため経済性の面で好ましくない。シュウ酸銀と中短鎖アルキルアミンのみを使用する場合にも、同様である。
シュウ酸イオン・アルキルアミン・アルキルジアミン・銀錯化合物を生成させるために、メタノールや水などの反応溶媒を用いることは特に制限はないが、沸点が250℃以下の中短鎖アルキルアミンや中短鎖アルキルジアミンを用いた場合、メタノールなどの溶媒を用いることなく無溶媒でも、前記錯化合物が生成する。また、こうして生じた前記錯化合物は、その低温熱分解で直接、銀超微粒子へ変換できる。このように、本発明による銀超微粒子の製造は無溶媒で実施できるため、物質消費を低減した製造が可能である。作製した銀超微粒子の単離法は、特に制限はないが、例えば、熱分解後の反応混合物に、メタノールや水などを少量加え、銀超微粒子を余剰のアルキルアミン及びアルキルジアミンから遠心分離により粉体として単離できる。大量の有機溶媒中で銀超微粒子を合成する方法に比べ、本発明では、無溶媒合成であり、さらに還元剤を使用しないため、銀超微粒子の単離作業に用いるメタノール等の有機溶媒の量を大幅に削減できる特長がある。
以上のように、本発明の銀超微粒子の製造方法は、シュウ酸銀と中短鎖アルキルジアミンと中短鎖アルキルアミンとを反応させてその錯化合物を生成させた後、この錯化合物を低温熱分解させることで、溶剤への分散性と低温焼結性に優れた銀超微粒子を高収率で得ることができる。また、極めて単純な製造プロセスで銀超微粒子を製造することができる。さらには、得られた銀超微粒子は粉体でも、溶剤に分散した状態でも長期に安定に保存できる。
以下に、実施例として銀超微粒子の製造法及びその溶媒への分散性、低温焼結性などの評価を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
N,N−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン(東京化成、特級)2.04 g (20.0 mmol)、n−オクチルアミン(花王、純度98%)1.94 g (15.0 mmol)と、n−ドデシルアミン(関東化学、特級)0.93 g (5.0 mmol)を混合し、この混合溶液にシュウ酸銀(硝酸銀(関東化学、一級)とシュウ酸アンモニウム一水和物(関東化学、特級)から合成したもの)6.08 g (20.0 mmol)を加え、3分間撹拌し、シュウ酸イオン・アルキルアミン・アルキルジアミン銀錯化合物を調製した。これを95℃で20〜30分加熱撹拌すると、青色光沢を呈する懸濁液へと変化した。これにメタノール(関東化学、一級)10 mLを加え、遠心分離により得られた沈殿物を自然乾燥すると、青色光沢の銀超微粒子の固体物4.62 g(銀基準収率97.0%)が得られた。
[解析と評価]
得られた青色光沢の固体物について、粉末X線回折計(リガク MiniFlex II )により解析を行ったところ、粉末X線回折パターン(図1)から金属銀が生成していることが確認された。また、そのシグナル半値幅から、単結晶子サイズが4.0 nmの銀超微粒子であることが分かった。
FT−IRスペクトル(日本分光 FT/IR−4100)から得られた固体物にはアルキルアミンが含有していることが確認された。熱重量分析から得られた固体物には、9.30 重量%アルキルアミンが保護分子として含有しており(図2)、銀基準収率は97.0%であった。また、100℃以下でも保護分子であるアルキルアミンおよびアルキルジアミンの脱離に由来する大きな重量減少が見られるため、低温焼結による難燃性発現が十分期待できる試料であることが明らかである。
得られた銀超微粒子を透過型電子顕微鏡(FEI Co.,Model TECNAI−G2)で観察した。5〜15 nm程度の球状粒子が観察された(図3)
実施例1で得られた銀超微粒子の溶媒への分散性を調べた結果、n−ブタノール(関東化学、特級)及びn−ブタノールとn−オクタン(関東化学、特級)の混合溶媒に良好に分散した。そのn−ブタノールとn−オクタン混合溶媒分散溶液の動的光散乱粒度測定(大塚電子 ELS−Z2M)により、得られた銀超微粒子は数平均粒子径18 nmで良好に分散できることが分かった(図4)。また、得られた固体物から、30 重量%あいはそれ以上の銀超微粒子の分散液も調製できる。その分散液の紫外可視吸収スペクトル(島津UV3150)から、400 nmよりも短波長の吸収極大を有する銀超微粒子に由来する表面プラズモン吸収も観測された。
また、その分散液、例えば、40 重量%の分散液は、室温で1ヶ月以上安定に保存できる。同様に粉体でも1ヶ月以上安定に保存できる。
実施例1で得られた銀超微粒子の低温難燃性を調べた。実施例2で調製した銀超微粒子のn−ブタノール分散液を用いて、PET(ポリエチレンテレフタレート)基板(富士フィルムアクシア(株)OHPシート)に銀超微粒子のスピンコート膜を作製し、60℃加熱で焼結は進み、焼結完了後に実験用ライターで直火をあてたがシートは熱で収縮したが燃焼しなかった。
実施例2で調製した銀超微粒子の分散液を薬包紙に筆で塗布し、室温で24時間放置し、実験用ライターで直火をあてたが、紙は熱で収縮したが、銀は酸化もされず(黒くならなかった)、燃焼しなかった。コートしていない紙に同様に実験用ライターで直火をあてたが黒く焦げ、燃焼してしまった。
実施例2で作製した銀超微粒子の分散液にメッシュ状ポリエステル生地(糸の太さ; 12.5 mm、糸と糸の間隔;150 mm、光透過率;80%)に浸し、分散媒を乾燥後、銀超微粒子が付着した生地を100℃で1時間加熱すると銀光沢のメッシュ生地が得られた。上記と同様に実験用ライターで直火をあてたが燃焼はしなかった。
n−オクチルアミン2.16g(16.7 mmol)とn−ドデシルアミン0.624g(3.37 mmol)を混合し、この混合液にシュウ酸銀3.04 g (10.0 mmol)を加え、10分間撹拌し、シュウ酸イオン・アルキルアミン・銀錯化合物を調製した。これを100℃で60分加熱撹拌すると、青色光沢を呈する懸濁液へと変化した。これにメタノール5 mLを加え、遠心分離により得られた沈殿物を自然乾燥すると、青色光沢の銀超微粒子の固体物2.25g(銀基準収率94.5%)が得られた。
[解析と評価]
得られた青色光沢の固体物について、粉末X線回折計により解析を行ったところ、粉末X線回折パターン(図6)から金属銀が生成していることが確認された。また、そのシグナル半値幅から、単結晶子サイズが4.1 nmの銀超微粒子であることが分かった。
得られた銀超微粒子を透過型電子顕微鏡で観察した。10〜20 nm程度の球状粒子が観察された(図7)。
FT−IRスペクトルから得られた固体物にはアルキルアミンが含有していることが確認された。熱重量分析から得られた固体物には、9.30 重量%アルキルアミンが保護分子として含有しており、銀基準収率は94.5%であった。
実施例7で得られた銀超微粒子の溶媒への分散性を調べた結果、n−ブタノールとn−オクタンの混合溶媒に良好に分散した。その分散溶液の動的光散乱粒度測定により、得られた銀超微粒子は数平均粒子径18nmで良好に分散できることが分かった(図7)。また、得られた固体物から、30 重量%あいはそれ以上の銀超微粒子の分散液も調製できる。その分散液の紫外可視吸収スペクトルから、400 nmよりも短波長の吸収極大を有する銀超微粒子に由来する表面プラズモン吸収も観測された。その分散液、例えば、40 重量%の分散液は、室温で1ヶ月以上安定に保存できる。同様に粉体でも1ヶ月以上安定に保存できる。

Claims (5)

  1. シュウ酸銀、沸点が100℃〜250℃である中短鎖アルキルアミンおよび沸点が100℃〜250℃である中短鎖アルキルジアミンとを反応させることにより、銀、アルキルアミン、アルキルジアミンおよびシュウ酸イオンを含む錯化合物を調製し、該錯化合物を熱分解させることにより得られる銀超微粒子を含有する難燃化剤。
  2. 前記アルキルジアミンの2コのアミノ基のうち1コのアミノ基が1級または2級のアミノ基である、請求項1に記載の銀超微粒子を含有する難燃化剤。
  3. シュウ酸銀、沸点が100℃〜250℃である中短鎖アルキルアミンとを反応させることにより、銀、アルキルアミンおよびシュウ酸イオンを含む錯化合物を調製し、該錯化合物を熱分解させることにより得られる銀超微粒子を含有する難燃化剤。
  4. 請求項1、請求項2または請求項3のいずれか1項に記載の銀超微粒子を、極性溶剤を含む有機溶剤中に分散させ、可燃性基材に塗布後、焼結させた銀被着難燃物。
  5. 前記可燃性基材が紙、プラスチック、木材、およびそれらの製品(壁紙、衣類、家具等)からなる群から選択される、請求項4に記載の銀被着難燃物。
















JP2009219912A 2009-09-25 2009-09-25 低温難燃化剤および難燃材 Pending JP2011068740A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009219912A JP2011068740A (ja) 2009-09-25 2009-09-25 低温難燃化剤および難燃材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009219912A JP2011068740A (ja) 2009-09-25 2009-09-25 低温難燃化剤および難燃材

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2011068740A true JP2011068740A (ja) 2011-04-07

Family

ID=44014322

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009219912A Pending JP2011068740A (ja) 2009-09-25 2009-09-25 低温難燃化剤および難燃材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2011068740A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2014024901A1 (en) * 2012-08-07 2014-02-13 Daicel Corporation Method for producing silver nano-particles and silver nano-particles
KR101758536B1 (ko) 2012-08-07 2017-07-14 다나카 기킨조쿠 고교 가부시키가이샤 은 미립자 잉크, 은 미립자 소결체 및 은 미립자 잉크의 제조 방법
JP2018044138A (ja) * 2016-09-14 2018-03-22 小林 博 不燃性塗料の製造方法

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2014024901A1 (en) * 2012-08-07 2014-02-13 Daicel Corporation Method for producing silver nano-particles and silver nano-particles
JP2015531022A (ja) * 2012-08-07 2015-10-29 株式会社ダイセル 銀ナノ粒子の製造方法及び銀ナノ粒子
KR101758536B1 (ko) 2012-08-07 2017-07-14 다나카 기킨조쿠 고교 가부시키가이샤 은 미립자 잉크, 은 미립자 소결체 및 은 미립자 잉크의 제조 방법
KR101758541B1 (ko) 2012-08-07 2017-07-26 다나카 기킨조쿠 고교 가부시키가이샤 나노 사이즈 은 미립자 잉크 및 은 미립자 소결체
US9776250B2 (en) 2012-08-07 2017-10-03 Daicel Corporation Method for producing silver nano-particles and silver nano-particles
JP2018044138A (ja) * 2016-09-14 2018-03-22 小林 博 不燃性塗料の製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5574761B2 (ja) 被覆銀超微粒子とその製造方法
Gotoh et al. Synthesis of titanium carbide from a composite of TiO2 nanoparticles/methyl cellulose by carbothermal reduction
Tamuly et al. Reduction of aromatic nitro compounds catalyzed by biogenic CuO nanoparticles
JP4504353B2 (ja) ナノスケールのインジウムスズ混合酸化物粉末
CN103338884B (zh) 包覆金属微粒及其制造方法
CN102202820A (zh) 金属薄片的制造方法
RO120143B1 (ro) Compoziţie apoasă de cerneală şi compoziţie apoasă de acoperire, care conţin un produs de carbon modificat şi utilizarea acestora
Sung et al. Preparation of ultrathin TiO2 coating on boron particles by thermal chemical vapor deposition and their oxidation-resistance performance
Hu et al. Montmorillonite-synergized water-based intumescent flame retardant coating for plywood
CN101784342A (zh) 具有可调节涂层的SiO2涂覆的二氧化钛颗粒的制备
Bano et al. Green synthesis of calcium oxide nanoparticles at different calcination temperatures
JP2011068740A (ja) 低温難燃化剤および難燃材
Eltepe et al. Effect of temperature and time on zinc borate species formed from zinc oxide and boric acid in aqueous medium
US20070033747A1 (en) Organic/Inorganic Lewis Acid Composite Materials
EP2566814B1 (en) Method of manufacturing silica nanopowders with fungicidal properties, especially for polymer composites
Deorsola et al. Synthesis of ZnO nanoparticles through the impregnated layer combustion synthesis process
Ashraf et al. Phase‐Controlled Deposition of Copper Sulfide Thin Films by Using Single‐Molecular Precursors
JP5822983B2 (ja) 被覆銀超微粒子とその製造方法
JP2011162467A (ja) 抗菌材およびその製造方法
US7186393B2 (en) Complex oxide, and production process therefor and applications thereof
KR20160090860A (ko) 은 나노입자를 포함하는 잉크
Alexandrescu et al. Development of TiO2 and TiO2/Fe-based polymeric nanocomposites by single-step laser pyrolysis
Mahajan et al. Self-assembled 3D zinc borate florets via surfactant assisted synthesis under moderate pressures: Process temperature dependent morphology study
JP4110833B2 (ja) 複合酸化物およびその製造方法と用途
Abdulkareem et al. Optimization of bi-metallic (Fe–Co) catalyst on kaolin support for carbon nanofiber growth in a CVD reactor.