JP2011068085A - インクジェット記録用メンテナンス液、インクセット及び画像形成方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも水、有機溶媒、塩基性化合物及び酸性化合物を含有し、pH6.0〜pH8.5であるインクジェット記録用メンテナンス液である。
【選択図】なし
Description
<1> 少なくとも水、有機溶媒、塩基性化合物及び酸性化合物を含有し、pH6.0〜pH8.5であるインクジェット記録用メンテナンス液である。
<2> 前記塩基性化合物のpKa値が6.0〜8.5の範囲にある<1>に記載のインクジェット記録用メンテナンス液である。
<3> 前記塩基性化合物を5mmol/L以上含有する<1>又は<2>に記載のインクジェット記録用メンテナンス液である。
<4> 前記塩基性化合物が有機塩基性化合物であり、前記酸性化合物が無機酸である<1>〜<3>のいずれか1つに記載のインクジェット記録用メンテナンス液である。
<5> 前記有機溶媒が下記一般式(1)で表される水溶性有機溶媒である<1>〜<4>のいずれか1つに記載のインクジェット記録用メンテナンス液である。
<6> 前記水溶性有機溶媒のSP値が27.5以下である<1>〜<5>のいずれか1つに記載のインクジェット記録用メンテナンス液。
<7> 前記酸性化合物を酸当量で前記塩基性化合物の0.05当量〜0.95当量含有する<1>〜<6>のいずれか1つに記載のインクジェット記録用メンテナンス液。
<8> pHが7〜pH10である水性インク組成物と、<1>〜<7>のいずれか1つに記載のインクジェット記録用メンテナンス液とを有するインクジェット記録用インクセットである。
<9> 前記水性インク組成物が少なくとも顔料とポリマー粒子とを含有する<8>に記載のインクジェット記録用インクセットである。
<10> 前記顔料が顔料分散剤により分散されたものである<9>に記載のインクジェット記録用インクセットである。
<11> 更に、前記水性インク組成物中の成分を凝集させる凝集剤を含む凝集液を有する<8>〜<10>のいずれか1つに記載のインクジェット記録用インクセットである。
<12> <8>〜<11>のいずれか1つに記載のインクセットを用いて、水性インク組成物をインクジェットヘッドから吐出して記録媒体にインクを付与するインク付与工程とメンテナンス液により前記インクジェットヘッドに付着したインク組成物を除去するインク除去工程とを有する画像形成方法。
<13> 更に、前記水性インク組成物中の成分を凝集させる凝集剤を含む凝集液を前記記録媒体に付与する凝集液付与工程を有する<12>に記載の画像形成方法。
本発明のメンテナンス液は、少なくとも水、有機溶媒、塩基性化合物及び酸性化合物を含有し、pH6.0〜8.5として構成されたものである。pHが8.5を超えると、吐出ヘッド金属あるいは撥水処理膜に損傷を与えるなどの影響が懸念されるため好ましくない。また、pHが6.0を下まわると洗浄力が低下し、特に凝集系顔料インクを用いた場合に、インクの凝集を促進するために著しく洗浄性が悪化するため好ましくない。
本発明におけるメンテナンス液に含有される塩基性化合物と酸性化合物は、メンテナンス液のpHを安定に保つ効果を有する。酸性化合物を含有せずに塩基性化合物のみを含有する場合、塩基性化合物によりpHが上昇するので、pH6.0〜8.5に保つためには塩基性化合物の添加量が低く制限される。そのため、pH緩衝能を高くすることができず、十分な保存安定性を確保することが困難になる。
例えば、メンテナンス液に水溶性有機溶剤としてアルキレングリコール類やアルキレングリコールエーテル類を用いた場合に上記pH緩衝能を有するメンテナンス液が有効である。従来、アルキレングリコール類やアルキレングリコールエーテル類は、インク洗浄性の点で優れているが、保存中にpHが低下する問題を有していた。原因は明確ではないが、アルキレングリコール類やアルキレングリコールエーテル類は、酸化により過酸化物を生じ、更に後続反応により酸を発生するためと推測される。この点については、例えば特開2009−190232号公報に記載のようなポリマー微粒子、色材及び水を含有するインクジェットインクと該インクと接触することで凝集体を形成し得る反応液とを含むインクセットを用いた記録形態では、画質や定着性向上の点からインクを高速凝集させようとするがために、低pH側への液物性変化が凝集に大きく影響しやすく、したがってpH変化で凝集させて画像形成するインクジェットインクでは、メンテナンス液のpH低下が洗浄中にインクの凝集を招来し、洗浄性を悪化させる一因となる。
上記状況に対して本発明においては、酸性化合物を併用することによりpH緩衝能を高く保つことができる。特に、pKa値が6.0〜8.5の範囲にある塩基性化合物と酸性化合物を併用することにより、好ましいpH領域で緩衝能が高く、pH安定効果に特に優れるメンテナンス液が得られる。
(塩基性化合物)
本発明のメンテナンス液に用いられる塩基性化合物は、上記pH範囲にpH緩衝能を有する化合物であれば、特に限定されるものではない。好ましくは、メンテナンス液の溶媒である水及び有機溶媒の混合溶媒に5mmol/L以上の溶解度を有するものである。
塩基性化合物は、無機化合物及び有機化合物のいずれでもよいが、所望の範囲のpKaが得やすいこと、メンテナンス溶液への溶解性の点から、より好ましくは有機塩基性化合物である。一塩基化合物であっても多塩基化合物であってもよい。有機塩基性化合物の場合のpKa値は、共役酸のpKa値である。
・2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−2,2’,2”−ニトリロトリエタノール(pKa:6.5)
・ピペラジン−N,N’−ビス−(2−エタン硫酸)(pKa:6.8)
・リン酸(pKa2:6.86)
・イミダゾール(pKa:7.0)
・N’−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’,2−エタン硫酸(pKa:7.6)
・N−メチルモルホリン(pKa:7.8)
・トリエタノールアミン(pKa:7.8)
・ヒドラジン(pKa:8.11)
・トリスヒドロキシメチルアミノメタン(pKa:8.3)
本発明のメンテナンス液に用いられる酸性化合物は、特に限定されるわけではなく、無機酸、有機酸のいずれも用いることが出来る。無機酸としては、塩酸、硫酸、亜硫酸、硝酸、リン酸等が挙げられる。有機酸としては、酢酸、酒石酸、サリチル酸、スルホサリチル酸、安息香酸等が挙げられる。本発明の酸性化合物は好ましくは無機酸である。また、強酸、弱酸のいずれも用いることが出来るが、高いpH緩衝能の観点から、好ましくは強酸である。
酸性化合物は、1種でも2種以上併用しても良い。
本発明のメンテナンス液は有機溶媒を含有する。有機溶媒としては水溶性有機溶媒が好ましい。本発明における水溶性とは25℃で水に対する溶解度が1質量%以上を意味する。
水溶性有機溶媒としては、メンテナンス液用の水溶性有機溶媒、或いは水性インク用水溶性有機溶媒として従来知られている中から適宜選択して用いることができる。
例えば、水溶性有機溶媒として、アルコール類、多価アルコール類、エーテル類等が挙げられる。アルコールの具体例として、エタノール、ブタノール、イソプロパノールなどの直鎖又は分岐アルキルアルコール類がある。多価アルコールの具体例として、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ジプロピレングリコール、2−ブテン−1,4−ジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,2−オクタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ペンタンジオール、4−メチル−1,2−ペンタンジオール等のアルカンジオール類、グリセリン、1,2,4−ブタントリオール、1,2,6−ヘキサントリトリオールなどのトリオール類が挙げられる。エーテル類としては、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、エチルメチルエーテル、ジヘキシルエーテル、フラン等のアルキルエーテル類、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールt−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル等のグリコールエーテル類、グリセリンのエチレンオキシド又はプロピレンオキシド付加物などのグリセリンエーテルが挙げられる。
その他、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルスルホキシド、ソルビット、ソルビタン、アセチン、ジアセチン、トリアセチン、スルホラン等も水溶性有機溶剤として用いることが出来る。
これらの水溶性有機溶剤は、1種類を単独で用いても、複数を併用して用いても良い。
炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基である。
メンテナンス液がSP値27.5以下の溶剤を全有機溶媒中50質量%以上含有することにより、メンテナンス液におけるインクジェットヘッドへのインク固着物の溶解性が向上することにより洗浄性が向上させることができる。
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル(21.5)
・トリエチレングリコールモノブチルエーテル(21.1)
・ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(21.3)
・ジプロピレングリコール(27.2)
・nC4H9O(AO)10−H(AO=EO又はPO;比率はEO:PO=1:1)(18.8)
・HO(A’O)40−H(A’O=EO又はPO;比率はEO:PO=1:3)(18.7)
・HO(A’’O)55−H(A’’O=EO又はPO;比率はEO:PO=5:6)(18.8)
・HO(PO)3−H(24.7)
・HO(PO)7−H(21.2)
・1,2−ヘキサンジオール(27.4)
EO、POはエチレンオキシ基、プロピレンオキシ基を表す。
これらは1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
また、有機溶剤の全質量中50質量%以上がポリアルキレンオキシアルキルエーテルであることがより好ましい態様である。
前記ポリアルキレンオキシアルキルエーテルを有機溶剤の全質量中50質量%以上含有することにより、インクジェットヘッドにおけるインク固着物のメンテナンス液への溶解性が向上し、洗浄性が向上する。
上記有機溶剤全質量中におけるポリアルキレンオキシアルキルエーテルの含有量は、上記の中でも、インク固着物の溶解性向上の観点から、60質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましい。なお、上限は特に制限されない。
ポリアルキレンオキシアルキルエーテルの具体例としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングルコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテルなどが挙げられる。
本発明におけるメンテナンス液は、表面張力調整剤として界面活性剤の少なくとも1種を含むことができる。
界面活性剤としては、例えば、脂肪酸塩、アルキルカルボン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等のアニオン系界面活性剤や、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アセチレンジオール誘導体、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー等のノニオン系界面活性剤が好ましい。
中でも、インクとの凝集反応を起こさない等の点で、アセチレンジオール誘導体やアルキルカルボン酸ナトリウムやアルキルスルホン酸ナトリウムがより好ましい。
メンテナンス液は、水を含有するものであるが、水の量には特に制限はない。中でも、水の好ましい含有量は、メンテナンス液全質量に対して50質量%〜99質量%である。
メンテナンス液は、上記の成分に加え、必要に応じて、例えば、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤(ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、ベタイン系界面活性剤等)、消泡剤、粘度調整剤などのその他の添加剤を含むことができる。
本発明におけるメンテナンス液は、本発明におけるインク組成物と混合した際に凝集を起こさない液であることが好ましい。凝集を起こしてしまうと、インク組成物中の顔料等の成分が更にインクジェットヘッド等に固着して本発明の効果を低減させてしまうためである。
本発明における粘度の測定は、反応液の項に記載の測定方法と同様である。
また、メンテナンス液における固形分(25℃)の含量としては、特に限定されるものではないが、洗浄後の固形物残留を防ぐ観点から、5質量%以下であることが好ましく、2質量%以下であることがより好ましい。
併用できる水溶性有機溶媒は、先に水溶性有機溶剤として記載した中から適宜選択して用いることが出来る。
本発明におけるインク組成物は、水性インク組成物であり、好ましくは少なくとも顔料とポリマー粒子とを含有する水性インク組成物である。
以下、インク組成物に含まれる各成分について説明する。
本発明におけるインク組成物は、顔料の少なくとも1種を含む。
本発明において用いられる顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、有機顔料、無機顔料のいずれであってもよい。
前記有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、多環式顔料、染料キレート、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、などが挙げられる。これらの中でも、アゾ顔料、多環式顔料などがより好ましい。前記アゾ顔料としては、例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、などが挙げられる。前記多環式顔料としては、例えば、フタロシアニン顔料、ぺリレン顔料、ぺリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料、などが挙げられる。前記染料キレートとしては、例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート、などが挙げられる。
前記無機顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエロー、カーボンブラック、などが挙げられる。これらの中でも、カーボンブラックが特に好ましい。なお、前記カーボンブラックとしては、例えば、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたものが挙げられる。
(1)カプセル化顔料、即ち、水不溶性樹脂微粒子に顔料を含有させてなるポリマーエマルジョンであり、より詳しくは、親水性水不溶性の樹脂で顔料を被覆し顔料表面の樹脂層にて親水化することで顔料を水に分散したものである。
(2)自己分散型顔料、即ち、表面に少なくとも1種の親水基を有し、分散剤の不存在下で水分散性及び水溶性の少なくともいずれかを示す顔料、より詳しくは、主にカーボンブラックなどを表面酸化処理して親水化し、顔料単体が水に分散するようにしたものである。
(3)樹脂分散顔料、即ち、重量平均分子量50,000以下の水溶性高分子化合物により分散された顔料。
(4)界面活性剤分散顔料、即ち、界面活性剤により分散された顔料。
好ましい例として、(1)カプセル化顔料と(2)自己分散型顔料と(3)樹脂分散顔料を挙げることができ、特に好ましい例として、(1)カプセル化顔料、(3)樹脂分散顔料を挙げることができる。
顔料と顔料分散剤の比率は、質量比(顔料:顔料分散剤)で100:25〜100:140が好ましく、さらに好ましくは100:25〜100:50である。顔料分散剤が100:25以上の場合は分散安定性と耐擦性が良化する傾向となる。顔料分散剤が100:140以下の場合も、分散安定性が良化する傾向となる。
カプセル化顔料について詳述する。
カプセル化顔料の樹脂は、限定されるものではないが、水と水溶性有機の混合溶媒中で自己分散能または溶解能を有し、かつアニオン性基(酸性)を有する親水性且つ水不溶性ポリマーであるのが好ましい。この樹脂は、通常、数平均分子量が1、000〜100、000範囲程度のものが好ましく、3、000〜50、000範囲程度のものが特に好ましい。また、この樹脂は有機溶剤に溶解して溶液となるものが好ましい。樹脂の数平均分子量がこの範囲であることにより、顔料における被覆膜として、またはインク組成物における塗膜としての機能を十分に発揮することができる。樹脂は、アルカリ金属や有機アミンの塩の形で使用されることが好ましい。
カプセル化顔料の樹脂の具体例としては、熱可塑性、熱硬化性あるいは変性のアクリル系、エポキシ系、ポリウレタン系、ポリエーテル系、ポリアミド系、不飽和ポリエステル系、フェノール系、シリコーン系、フッ素系高分子化合物、塩化ビニル、酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のポリビニル系、アルキド樹脂、フタル酸樹脂等のポリエステル系、メラミン樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、アミノアルキド共縮合樹脂、ユリア樹脂、尿素樹脂等のアミノ系の材料、およびそれらの共重合体または混合物などのアニオン性基を有する材料などが挙げられる。
上記樹脂の中、アニオン性アクリル系樹脂は、例えば、アニオン性基を有するアクリルモノマー(以下、アニオン性基含有アクリルモノマーという)と、更に必要に応じてこれらのモノマーと共重合し得る他のモノマーを溶媒中で重合して得られる。アニオン性基含有アクリルモノマーとしては、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、およびホスホン基からなる群から選ばれる1個以上のアニオン性基を有するアクリルモノマーが挙げられ、これらの中でもカルボキシル基を有するアクリルモノマーが特に好ましい。
マイクロカプセル化顔料は、上記した成分を用いて、従来の物理的、化学的方法によって製造することができる。本発明の好ましい態様によれば、特開平9−151342号、特開平10−140065号、特開平11−209672号、特開平11−172180号、特開平10−25440号、または特開平11−43636号等の各公報に開示されている方法によって製造することができる。
具体的には、特開平9−151342号及び特開平10−140065号の各公報に記載の転相乳化法と酸析法等が挙げられる。
本発明において、顔料分散剤として用いられる水不溶性樹脂は、親水性構造単位(a)と疎水性構造単位(b)とを有する親水性且つ水不溶性の樹脂であることが好ましい。この水不溶性樹脂は、必要に応じて、親水性構造単位(a)及び疎水性構造単位(b)に包含されない他の構造単位が更に含まれてもよい。
親水性構造単位(a)は、親水性基含有のモノマーに由来するものであれば、特に制限はなく、1種の親水性基含有モノマーに由来するものでも、2種以上の親水性基含有モノマーに由来するものでもよい。前記親水性基としては、特に制限はなく、解離性基であっても、ノニオン性の親水性基であってもよい。
前記不飽和カルボン酸モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、2−メタクリロイルオキシメチルコハク酸等が挙げられる。前記不飽和スルホン酸モノマーとしては、例えば、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−スルホプロピル(メタ)アクリレート、ビス−(3−スルホプロピル)−イタコン酸エステル等が挙げられる。前記不飽和リン酸モノマーとしては、例えば、ビニルホスホン酸、ビニルホスフェート、ビス(メタクリロキシエチル)ホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、ジブチル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート等が挙げられる。
解離性基含有モノマーの中では、分散安定性、吐出安定性の観点から、不飽和カルボン酸モノマーが好ましく、アクリル酸及びメタクリル酸がより好ましい。
即ち、前記親水性構造単位(a)は、(メタ)アクリル酸に由来する構造単位を含むことが好ましい。
ここで、「親水性の官能基」としては、水酸基、アミノ基、(窒素原子が無置換の)アミド基、及び後述のポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のアルキレンオキシド、等が挙げられる。
親水性構造単位(a)は、一種単独で又は二種以上を混合して用いることができる。
疎水性構造単位(b)は、主鎖を形成する原子に連結基を介して結合された芳香環を有する構造単位を含むことが好ましい。
このような芳香環を持つ構造単位では、芳香環が、連結基を介して水不溶性樹脂の主鎖をなす原子と結合され、水不溶性樹脂の主鎖をなす原子に直接結合しない構造を有するので、疎水性の芳香環と親水性構造単位との間に適切な距離が維持されるため、水不溶性樹脂と顔料との間で相互作用が生じやすく、強固に吸着して分散性がさらに向上する。
また、L1は、*−COO−、*−OCO−、*−CONR2−、*−O−、又は置換もしくは無置換のフェニレン基を表し、R2は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基を表す。なお、L1で表される基中の*印は、主鎖に連結する結合手を表す。フェニレン基が置換されている場合の置換基としては、特に限定されないが、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、水酸基等、シアノ基等が挙げられる。
Ar1で表される芳香環としては、特に限定されないが、ベンゼン環、炭素数8以上の縮環型芳香環、ヘテロ環が縮環した芳香環、又は2個以上連結したベンゼン環が挙げられる。炭素数8以上の縮環型芳香環、及びヘテロ環が縮環した芳香環の詳細については既述の通りである。
前記「ヘテロ環が縮環した芳香環」とは、ヘテロ原子を含まない芳香族化合物(好ましくはベンゼン環)と、ヘテロ原子を有する環状化合物とが縮環した化合物である。ここで、ヘテロ原子を有する環状化合物は、5員環又は6員環であることが好ましい。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子が好ましい。ヘテロ原子を有する環状化合物は、複数のヘテロ原子を有していてもよい。この場合、ヘテロ原子は互いに同じでも異なっていてもよい。ヘテロ環が縮環した芳香環の具体例としては、フタルイミド、アクリドン、カルバゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾールなどが挙げられる。
また、主鎖を形成する原子に連結基を介して結合された芳香環の割合は、耐擦性の向上の点で、水不溶性樹脂の全質量に対して15質量%以上27質量%以下が好ましく、15質量%以上25質量%以下がより好ましく、15質量%以上20質量%以下が特に好ましい。
前記範囲に調整すると、耐擦性、インク安定性、吐出信頼性が向上する。
前記(メタ)アクリレート類としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、(イソ)プロピル(メタ)アクリレート、(イソ又はターシャリー)ブチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
なお、酸価とは、水不溶性樹脂の1gを完全に中和するのに要するKOHの質量(mg)で定義され、JIS規格(JISK0070、1992)記載の方法により測定されるものである。
また、数平均分子量(Mn)では1,000〜100,000の範囲程度のものが好ましく、3,000〜50,000の範囲程度のものが特に好ましい。数平均分子量が前記範囲内であると、顔料における被覆膜としての機能又はインクの塗膜としての機能を発揮することができる。本発明における水不溶性樹脂は、アルカリ金属や有機アミンの塩の形で使用されることが好ましい。
具体的には、水不溶性樹脂は、モノマー混合物と必要に応じて有機溶媒及びラジカル重合開始剤とを含んだ混合物を、不活性ガス雰囲気下で共重合反応させることにより製造することができる。重合方法のうち、特にラジカル開始剤を用いた溶液重合法が好ましい。
溶液重合法で用いられる溶剤は、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ベンゼン、トルエン、アセトニトリル、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール等の種々の有機溶剤が挙げられる。溶剤は、1種単独で又は2種以上を併用してもよい。また、水との混合溶媒として用いてもよい。重合温度は、生成するポリマーの分子量、開始剤の種類などと関連して設定する必要があり、通常は0℃〜100℃程度であるが、50℃〜100℃の範囲で重合を行なうことが好ましい。反応圧力は、適宜選定可能であるが、通常は1kg/cm2〜100kg/cm2であり、特に1kg/cm2〜30kg/cm2程度が好ましい。反応時間は、5時間〜30時間程度である。得られた樹脂は、再沈殿などの精製を行なってもよい。
本発明において、(2)自己分散型顔料も好ましい例として挙げることができる。自己分散型顔料とは、顔料表面に多数の親水性官能基および/またはその塩(以降、分散性付与基という)を、直接またはアルキル基、アルキルエーテル基、アリール基等を介して間接的に結合させたもので、分散剤なしに水性媒体中に分散可能な顔料である。ここで「分散剤なしに水性媒体中に分散」とは、顔料を分散させるための分散剤を用いなくても水性媒体中に分散可能な状態をいう。
自己分散型顔料を着色剤として含有するインクは、通常の顔料を分散させるために含有させる前述のような分散剤を含む必要が無いため、分散剤に起因する消泡性の低下による発泡がほとんど無く吐出安定性に優れるインクが調製しやすい。
自己分散型顔料の表面に結合される分散性付与基としては、−COOH、−CO、−OH、−SO3H、−PO3H2及び第4級アンモニウム並びにそれらの塩が例示でき、これらは、原料となる顔料に物理的処理または化学的処理を施すことで、分散性付与基または分散性付与基を有する活性種を顔料の表面に結合(グラフト)させることによって製造される。前記物理的処理としては、例えば真空プラズマ処理等が例示できる。また前記化学的処理としては、例えば水中で酸化剤により顔料表面を酸化する湿式酸化法や、p−アミノ安息香酸を顔料表面に結合させることによりフェニル基を介してカルボキシル基を結合させる方法等が例示できる。
本発明においては、次亜ハロゲン酸及び/または次亜ハロゲン酸塩による酸化処理、またはオゾンによる酸化処理により表面処理される自己分散型顔料を好ましい例として挙げることができる。自己分散型顔料としては市販品を利用することも可能であり、マイクロジェットCW−1(商品名;オリヱント化学工業(株)製)、CAB−O−JET200、CAB−O−JET300(以上商品名;キャボット社製)等が例示できる。
本発明において「水不溶性樹脂によって被覆されている顔料」を作製する方法としては、前述のカプセル化法以外に、例えば、水不溶性樹脂を分散剤として用い、該分散剤により顔料を分散させて顔料分散物を調製することにより作製することもできる。
上記のようにすることで顔料粒子を微粒径にして存在させることができ、分散後には高い分散安定性が得られる。この場合、顔料は必ずしも粒子表面の全体が水不溶性樹脂で被覆されている必要はなく、場合により粒子表面の少なくとも一部が水不溶性樹脂で被覆された状態であってもよい。
前記顔料分散物の調製は、例えば、前述のとおり転相乳化法を用いて行うことができる。具体的には、前述の顔料と、分散剤としての前述の水不溶性樹脂と、水と、非水溶性揮発溶剤と、を混合し分散して分散物を得た後、得られた分散物から該非水溶性揮発溶剤を除去することにより行うことができる。このとき、塩基性化合物を添加して水不溶性樹脂のアニオン性基の一部、または全部を中和してもよい。中和条件を調整することで良好な分散性を実現することが可能である。塩基性化合物の例としては水酸化ナトリウム等が挙げられる。
また、このとき、非水溶性揮発溶剤とともに、後述するグリセリンのアルキレンオキシド付加物を添加してもよい。
前記顔料分散物の調製時には、分散剤として前述の水不溶性樹脂を用いることができる。この際、該水不溶性樹脂以外のその他の顔料分散剤を併用してもよい。
前記その他の顔料分散剤としては、顔料を水相中で分散させる機能を持つ化合物の中から適宜選択することができる。顔料分散剤の例としては、ノニオン性化合物、アニオン性化合物、カチオン性化合物、両性化合物等が挙げられる。
前記顔料分散物を調製する際には、非水溶性揮発性溶剤の少なくとも一種を用いることができる。非水溶性揮発性溶剤は分散性への影響が少ないので、分散工程では良好な分散性を保ちながら、最終的に非水溶性揮発性溶剤を除去することで、良好な分散状態のまま濃厚化が可能であり、長期での保存安定性に優れた顔料分散物が得られる。また、インク組成物を調製して記録に用いる場合には、吐出安定性に優れ、カールの発生を抑えた画像記録が行なえる。
また、「揮発性」とは、沸点が200℃以下のこと指す。150℃以下がより好ましい。
なお、顔料粒子の平均粒子径及び粒径分布は、ナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150(日機装(株)製)を用いて、動的光散乱法により体積平均粒径を測定することにより求められる。
本発明のインク組成物は、ポリマー粒子の少なくとも1種を含有する。
ポリマー粒子としては、該粒子が水中に分散されたポリマーラテックスを好ましく用いることが出来る。
本発明におけるポリマー粒子の平均粒径は、10nm〜1μmの範囲が好ましく、10nm〜200nmの範囲がより好ましく、20nm〜100nmの範囲が更に好ましく、20nm〜50nmの範囲が特に好ましい。
また、ポリマー粒子の粒径分布に関しては、特に制限は無く、広い粒径分布を持つもの、又は単分散の粒径分布を持つもの、いずれでもよい。また、単分散の粒径分布を持つラテックスを、2種以上混合して使用してもよい。
1/Tg=Σ(Xi/Tgi) ・・・(1)
ここで、計算対象となるポリマーはi=1からnまでのn種のモノマー成分が共重合しているとする。Xiはi番目のモノマーの重量分率(ΣXi=1)、Tgiはi番目のモノマーの単独重合体のガラス転移温度(絶対温度)である。但し、Σはi=1からnまでの和をとる。尚、各モノマーの単独重合体ガラス転移温度の値(Tgi)は、Polymer Handbook (3rd Edition) (J.Brandrup, E.H.Immergut著(Wiley−Interscience、1989))の値を採用する。
本発明におけるポリマー粒子としては、吐出安定性、顔料を用いた場合の液安定性(特に分散安定性)、及び高速打滴印画適性の付与の観点から、自己分散性ポリマー粒子が好ましく、カルボキシル基を有する自己分散性ポリマー粒子がより好ましい。
本発明における自己分散性ポリマー粒子とは、他の界面活性剤の不存在下に、ポリマー自身が有する官能基(特に、酸性基またはその塩)によって、水性媒体中で分散状態となりうる水不溶性ポリマー(「第1のポリマー」ともいう。)であって、遊離の乳化剤を含有しない水不溶性ポリマーの微粒子を意味する。
本発明における水不溶性ポリマーにおいては、インク組成物に含有されたときのインク凝集速度とインク定着性の観点から、水不溶性ポリマーが固体状態で分散された分散状態となりうる水不溶性ポリマーであることが好ましい。
また、縮合系ポリマーと縮合系ポリマーを構成するモノマーの好適な例としては、特開2001−247787号公報に記載されているものを挙げることができる。
また、「脂環式(メタ)アクリレート」とは、脂環式炭化水素基を有するメタクリレート又はアクリレートを意味する。
本発明において前記親水性基は、自己分散促進の観点、形成された乳化又は分散状態の安定性の観点から、解離性基であることが好ましく、アニオン性の解離基であることがより好ましい。前記解離性基としては、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基などが挙げられ、中でも、インク組成物を構成した場合の定着性の観点から、カルボキシル基が好ましい。
解離性基含有モノマーとしては、例えば、不飽和カルボン酸モノマー、不飽和スルホン酸モノマー、不飽和リン酸モノマー等が挙げられる。
上記解離性基含有モノマーの中では、分散安定性、吐出安定性の観点から、不飽和カルボン酸モノマーが好ましく、アクリル酸及びメタクリル酸がより好ましい。
酸価が25以上であることで自己分散性の安定性が良好になり、また酸価が100以下であることで、凝集性が向上する点で好ましい。更に、自己分散性ポリマーの酸価は、前記水不溶性ポリマー(第2のポリマー)の酸価よりも小さいことが、顔料の分散安定性と反応液と接触したときの凝集速度の両立の観点から好ましく、それらの差が5〜70であることがより好ましく、10〜70が特に好ましい。
また前記重合性基は、縮重合性の重合性基であっても、付加重合性の重合性基であってもよい。本発明においては水性媒体中での粒子形状安定性の観点から、付加重合性の重合性基であることが好ましく、エチレン性不飽和結合を含む基であることがより好ましい。
本発明において前記芳香族基含有モノマーは、1種単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
単環式(メタ)アクリレートとしては、シクロプロピル(メタ)アクリレート、シクロブチル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘプチル(メタ)アクリレート、シクロオクチル(メタ)アクリレート、シクロノニル(メタ)アクリレート、シクロデシル(メタ)アクリレート等のシクロアルキル基の炭素数が3〜10のシクロアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
2環式(メタ)アクリレートとしては、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
3環式(メタ)アクリレートとしては、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
前記アルキル基含有モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、並びにヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等の水酸基を有するエチレン性不飽和モノマー、並びにジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、等の(メタ)アクリルエステル系モノマー;N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、Nーヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシブチル(メタ)アクリルアミド等のN−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド、並びにN−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−(n−,イソ)ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−(n−,イソ)ブトキシエチル(メタ)アクリルアミド等のN−アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド等、等の(メタ)アクリルアミド系モノマーが挙げられる。
なお、重量平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフ(GPC)で測定される。GPCは、HLC−8220GPC(東ソー(株)製)を用い、カラムとして、TSKgeL SuperHZM−H、TSKgeL SuperHZ4000、TSKgeL SuperHZ2000(東ソー(株)製、4.6mmID×15cm)を3本用い、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いる。
また、水不溶性ポリマーは、ポリマーの親疎水性制御の観点から、芳香族基含有(メタ)アクリレート又は脂環式(メタ)アクリレートに由来する構成単位を共重合比率として15〜80質量%と、カルボキシル基含有モノマーに由来する構成単位と、アルキル基含有モノマーに由来する構成単位(好ましくは、(メタ)アクリル酸のアルキルエステルに由来する構造単位)とを含むことが好ましい。更には、フェノキシエチル(メタ)アクリレートに由来する構造単位及び/又はベンジル(メタ)アクリレートに由来する構造単位、あるいはイソボルニル(メタ)アクリレート及び/又はアダマンチル(メタ)アクリレート及び/又はジシクロペンタニル(メタ)アクリレートに由来する構造単位を共重合比率として15〜80質量%と、カルボキシル基含有モノマーに由来する構成単位と、アルキル基含有モノマーに由来する構成単位(好ましくは、(メタ)アクリル酸の炭素数1〜4のアルキルエステルに由来する構造単位)とを含むことがより好ましく、更には加えて、酸価が25〜100であって重量平均分子量が3000〜20万であることが好ましく、酸価が25〜95であって重量平均分子量が5000〜15万であることがより好ましい。
B−02:フェノキシエチルアクリレート/ベンジルメタクリレート/イソブチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(30/35/29/6)
B−03:フェノキシエチルメタクリレート/イソブチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(50/44/6)
B−04:フェノキシエチルアクリレート/メチルメタクリレート/エチルアクリレート/アクリル酸共重合体(30/55/10/5)
B−05:ベンジルメタクリレート/イソブチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(35/59/6)
B−06:スチレン/フェノキシエチルアクリレート/メチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(10/50/35/5)
B−07:ベンジルアクリレート/メチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(55/40/5)
B−08:フェノキシエチルメタクリレート/ベンジルアクリレート/メタクリル酸共重合体(45/47/8)
B−09:スチレン/フェノキシエチルアクリレート/ブチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(5/48/40/7)
B−10:ベンジルメタクリレート/イソブチルメタクリレート/シクロヘキシルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(35/30/30/5)
B−11:フェノキシエチルアクリレート/メチルメタクリレート/ブチルアクリレート/メタクリル酸共重合体(12/50/30/8)
B−12:ベンジルアクリレート/イソブチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(93/2/5)
B−13:スチレン/フェノキシエチルメタクリレート/ブチルアクリレート/アクリル酸共重合体(50/5/20/25)
B−14:スチレン/ブチルアクリレート/アクリル酸共重合体(62/35/3)
B−15:メチルメタクリレート/フェノキシエチルアクリレート/アクリル酸共重合体(45/51/4)
B−16:メチルメタクリレート/フェノキシエチルアクリレート/アクリル酸共重合体(45/49/6)
B−17:メチルメタクリレート/フェノキシエチルアクリレート/アクリル酸共重合体(45/48/7)
B−18:メチルメタクリレート/フェノキシエチルアクリレート/アクリル酸共重合体(45/47/8)
B−19:メチルメタクリレート/フェノキシエチルアクリレート/アクリル酸共重合体(45/45/10)
C−02:メチルメタクリレート/イソボルニルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(40/52/8)
C−03:メチルメタクリレート/イソボルニルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(10/13/2)
C−04:メチルメタクリレート/イソボルニルメタクリレート/ジシクロペンタニルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(20/62/10/8)
C−05:メチルメタクリレート/ジシクロペンタニルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(20/72/8)
すなわち、本発明における自己分散性ポリマー粒子の製造方法は、有機溶媒中で前記第1のポリマーを合成する工程と、前記第1のポリマーのカルボキシル基の少なくとも一部が中和された水性分散物とする分散工程とを含むことが好ましい。
工程(1):第1のポリマー(水不溶性ポリマー)、有機溶媒、中和剤、及び水性媒体を含有する混合物を、攪拌する工程。
工程(2):前記混合物から、前記有機溶媒を除去する工程。
該混合物の攪拌方法に特に制限はなく、一般に用いられる混合攪拌装置や、必要に応じて超音波分散機や高圧ホモジナイザー等の分散機を用いることができる。
アルコール系溶媒としては、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、t−ブタノール、エタノール等が挙げられる。ケトン系溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。エーテル系溶媒としては、ジブチルエーテル、ジオキサン等が挙げられる。これらの溶媒の中では、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒とイソプロピルアルコール等のアルコール系溶媒が好ましい。また、油系から水系への転相時への極性変化を穏和にする目的で、イソプロピルアルコールとメチルエチルケトンを併用することも好ましい。該溶剤を併用することで、凝集沈降や粒子同士の融着が無く、分散安定性の高い微粒径の自己分散性ポリマー粒子を得ることができる。
また、自己分散性ポリマー粒子の粒径分布に関しては、特に制限は無く、広い粒径分布を持つもの、又は単分散の粒径分布を持つもの、いずれでもよい。また、水不溶性粒子を、2種以上混合して使用してもよい。
尚、自己分散性ポリマー粒子の平均粒径及び粒径分布は、例えば、光散乱法を用いて測定することができる。
本発明の自己分散性ポリマー粒子は、例えば、水性インク組成物に好適に含有させることができ、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
本発明のインク組成物は、固体湿潤剤を含有しても良い。
本発明において固体湿潤剤とは、保水機能を有し、25℃で固体の水溶性化合物を意味する。固体湿潤剤は、保湿機能が高く、固体湿潤剤としてインクの望ましくない乾燥、凝固を防止する機能を有し、本発明のインク組成物に好適に使用することができる。
ここで、本発明のインク組成物に含まれる固体湿潤剤が2種以上である場合は、該2種以上の合計量が上記範囲にあればよい。
本発明のインク組成物は、水を溶媒として含むものであるが、水溶性有機溶剤の少なくとも1種を含有するのが好ましい。
前記水溶性有機溶剤の例としては、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ジプロピレングリコール、2−ブテン−1,4−ジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,2−オクタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ペンタンジオール、4−メチル−1,2−ペンタンジオール等のアルカンジオール(多価アルコール類);エタノール、メタノール、ブタノール、プロパノール、イソプロパノールなどの炭素数1〜4のアルキルアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、1−メチル−1−メトキシブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテルなどのグリコールエーテル類;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルスルホキシド、ソルビット、ソルビタン、アセチン、ジアセチン、トリアセチン、スルホラン等が挙げられる。これらは、1種のみならず2種以上を併用してもよい。
本発明における顔料分散物は、水を含有するものであるが、水の量には特に制限はない。中でも、水の好ましい含有量は、10〜99質量%であり、より好ましくは30〜80質量%であり、更に好ましくは50〜70質量%である。
本発明のインク組成物は、上記で説明した各成分に加え、必要に応じて、例えば、界面活性剤、紫外線吸収剤、褪色防止剤、防黴剤、pH調整剤、防錆剤、酸化防止剤、乳化安定剤、防腐剤、消泡剤、粘度調整剤、分散安定剤、キレート剤等の他の成分を含有してもよい。
本発明のインク組成物の表面張力は、インクジェット記録方法に用いられた場合、吐出安定性の点で、20mN/m以上60mN/m以下であることが好ましい。より好ましくは、20mN以上45mN/m以下であり、更に好ましくは、25mN/m以上40mN/m以下である。
本発明のインク組成物の20℃での粘度は、1.2mPa・s以上15.0mPa・s以下であることが好ましく、より好ましくは2mPa・s以上13mPa・s未満、更に好ましくは2.5mPa・s以上10mPa・s未満である。
また、本発明のインク組成物は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の色調以外のレッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)、白色(W)の色調のインクや、いわゆる印刷分野における特色のインク等として用いることができる。
本発明のインクセットは、更に、前記インク組成物と接触することで凝集体を形成可能な凝集液(以下、反応液ともいう。)の少なくとも1種を含むことが好ましい。
凝集液は、前記インク組成物と接触した時に凝集体を形成可能な凝集剤(以下、凝集促進剤ともいう。)の少なくとも1種を含有する。記録媒体上でインク組成物と凝集剤とが混合することにより、インク組成物中で安定的に分散している顔料等の凝集が促進される。本発明における凝集剤としては、形成される画像品質の観点からカチオンポリマー、酸性化合物、および多価金属塩から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
上記カチオンポリマーとしては、第1級〜第3級アミノ基およびその塩、又は第4級アンモニウム塩基を有する単量体(カチオン性モノマー)の単独重合体や、該カチオン性モノマーと他のモノマー(非カチオン性モノマー)との共重合体又は縮重合体として得られるものが好ましい。また、これらのポリマーは、水溶性ポリマー又は水分散性ラテックス粒子のいずれの形態でも使用できる。
具体的には、ポリ(ビニルピリジン)塩、ポリアルキルアミノエチルアクリレート、ポリアルキルアミノエチルメタクリレート、ポリ(ビニルイミダゾール)、ポリエチレンイミン、ポリビグアニド、ポリグアニド、及びエピハロヒドリン誘導体とアミン誘導体とを含むコポリマー、及びそれらの組み合わせ等から選択される。
凝集液中のカチオンポリマーの含有率としては、凝集効果の観点から、凝集液の全質量に対して、5〜95質量%であることが好ましく、10〜80質量%であることがより好ましい。
中でも、本発明においては、画像濃度、解像度、及びインクジェット記録の高速化の観点から、前記インク組成物のpH(25℃)が7.5以上であって、凝集液のpH(25℃)が3〜5である場合が好ましい。
前記凝集成分は、1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
また、凝集液の表面張力としては、インク組成物の凝集速度の観点から、20mN/m〜60mN/mであることが好ましく、20mN/m〜45mN/mであることがより好ましく、25mN/m〜40mN/mであることがさらに好ましい。なお、表面張力は、Automatic Surface Tensiometer CBVP−Z(協和界面科学(株)製)を用いて25℃の条件下で測定されるものである。
本発明の画像形成方法は、インクジェット記録用インクセットを用いて、水性インク組成物をインクジェットヘッドから吐出して記録媒体にインクを付与するインク付与工程と、メンテナンス液により前記インクジェットヘッドに付着したインク組成物を除去するインク除去工程とを有する。
本発明におけるインク付与工程は、公知の液体付与方法を特に制限なく用いることができる。インク付与方法としては、例えば、一般的な筆記用具を用いたインク付与、ペンプロッターを用いたインク付与、およびインクジェット方式による付与等を挙げることができる。本発明においては、迅速記録性の観点から、インク組成物の付与はインクジェット方式による付与であることが好ましい。
インク除去工程では、ヘッドのノズル面からインク又はその固着物を除去するために、メンテナンス液をインクジェットヘッド(例えば、ヘッド周辺及びインク流路等;以下、ヘッド等ともいう。)に付与する。
前記メンテナンス液をヘッド等に付与することにより、ノズル面のインク由来のインク固着物は溶解、又は膨潤等して除去しやすくなる。
また、メンテナンス液を付与する前又は後に、ブレードによる掻き取り、布や紙類での払拭や、インク固形物由来のものを除去してもよい。好ましくは、メンテナンス液を付与後にワイパブレードを用いてノズル面を擦り(ワイピング)、インク固着物を掻き落とす方法、風圧やメンテナンス液等の液圧等により取り除く方法、及び布・紙類で払拭する方法が好ましく、中でも、ブレードによる掻き取り、布や紙類での払拭が好ましい。
前記ワイパブレードの材質は弾性を有するゴムが好ましく、具体的な材質としては、ブチルゴム、クロプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、二トリルゴム等が挙げられる。ワイパブレードに撥インク性を付与するためにフッ素樹脂等によりコーティングしてあるワイパブレードを用いても構わない。
本発明の画像形成方法では上記所定のインク組成物を用いるため、ノズル面のインク組成物由来のインク固着物を固体として容易に掻き取ることができる。
前記乾燥除去工程としては、記録媒体に吐出されたインク組成物中に含まれるインク溶媒(水及び溶剤)を乾燥除去する以外は特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記熱定着工程としてはインク組成物中に含まれるポリマー粒子を軟化させ、画像の耐擦性を付与する以外には特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
本発明における記録媒体としては特に制限は無く、例えば、普通紙、上質紙、塗工紙等を挙げることができる。
前記凝集液付与工程は、インク組成物を用いた既述のインク付与工程の前又は後に、記録媒体上に、既述のインク組成物と接触したときに凝集体を形成可能な凝集剤を含む凝集液を付与する工程を設け、インク組成物と凝集液を接触させて画像を形成する工程とすることが好ましい。
(自己分散性ポリマー粒子A−01の調製)
攪拌機、温度計、還流冷却管、及び窒素ガス導入管を備えた2リットル三口フラスコに、メチルエチルケトン360.0gを仕込んで、75℃まで昇温した。これにメチルメタクリレート162.0g、イソボルニルメタクリレート126.0g、「PME−100」(メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(n=2)、日油(株)製)50.4g、メタクリル酸21.6g、メチルエチルケトン72g、及び「V−601」(和光純薬工業(株)製)1.44gからなる混合溶液を、2時間で滴下が完了するように等速で滴下した。滴下完了後、「V−601」0.72g及びメチルエチルケトン36.0gからなる溶液を加え、75℃で2時間攪拌した後、さらに「V−601」0.72g及びメチルエチルケトン36.0gからなる溶液を加え、75℃で2時間攪拌した。その後、85℃に昇温してさらに2時間攪拌を続け、メチルメタクリレート/イソボルニルメタクリレート/PME−100/メタクリル酸共重合体(=45/35/14/6[質量比])共重合体の樹脂溶液を得た。
得られた共重合体の重量平均分子量(Mw)は、65000(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレン換算で算出)、酸価は39(mgKOH/g)、ガラス転移温度(Tg)は92℃であった。
下記スキームに従って水不溶性ポリマー分散剤として用いる水不溶性樹脂を合成した。
得られた樹脂の組成は1H−NMRで確認し、GPCより求めた重量平均分子量(Mw)は44600であった。さらに、JIS規格(JISK0070:1992)記載の方法により、このポリマーの酸価を求めたところ、65.2mgKOH/gであった。
上記で得られた水不溶性ポリマー分散剤の溶液を固形分換算で5.0g、シアン顔料ピグメント・ブルー15:3(大日精化(株)製)10.0g、メチルエチルケトン40.0g、1mol/L水酸化ナトリウム8.0g、イオン交換水82.0g、0.1mmジルコニアビーズ300gをベッセルに供給し、レディーミル分散機(アイメックス社製)で1000rpm、6時間分散した。得られた顔料分散液をエバポレーターでメチルエチルケトンが十分留去できるまで減圧濃縮し、顔料濃度が約12質量%になるまで濃縮した。
その後、顔料分散液に対して8000rpm、30分間の遠心処理を行い、沈殿物として残留した粗大粒子を除去した。上澄みの吸光度を測定し、顔料濃度を決定した。
上記のようにして、色材としてのシアン調製分散液を調液した。平均粒径は97nmで、経時粒径は99nmであった。
本実施例で用いる水溶性有機溶剤の詳細は、以下の通りである。
・GP250:サンニックス250(三洋化学工業(株)製、下記構造式で表されるオキシプロピレングリセリルエ−テル、SP値=26.4)
・TEGmBE:トリエチレングリコールモノブチルエーテル(和光純薬工業(株)製)、SP値=21.1)
・DEGmEE:ジエチレングリコールモノエチルエーテル(和光純薬工業(株)製)(SP値=22.4)
・TPGmME:トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(和光純薬工業(株)製)、SP値=20.4)
・TEG:トリエチレングリコール(和光純薬工業(株)製、SP値=27.8)
1.インク組成物の調製
上記で得られたシアン顔料分散液C、自己分散性ポリマー粒子A−01の分散物を用いて、下記のインク組成となるように各成分を混合し、水性インクを調液した。得られた水性インクは、プラスチック製のディスポーザブルシリンジに詰め、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)製の孔径5μmフィルタ(ミリポア社製のMillex−SV、直径25mm)にて濾過して完成インクとした。
・前記水不溶性ポリマー分散剤(固形分) 1.25%
・前記自己分散性ポリマー粒子A−01の水分散物(固形分) 8.0%
・サンニックスGP250(SP値26.4) 8.0%
・TPGmME(SP値20.4) 8.0%
・オルフィンE1010(界面活性剤、日信化学工業(株)製) 1.0%
・イオン交換水 71.25%
尚、インク組成物(原液)のpHは8.3とした。
下記組成の成分を混合して、凝集液を調製した。凝集液の粘度、表面張力、及びpH(25±1℃)を測定したところ、粘度4.9mPa・s、表面張力24.3mN/m、pH1.5であった。なお、粘度、表面張力、pHの測定は、上記と同様の方法で行なった。
・ジメチルアミン/エピクロロヒドリンコポリマー 5質量%
(重合比率1:1、重量平均分子量6000)
・DEGmEE(和光純薬工業(株)製) 20.0質量%
・Zonyl FSN−100(デュポン社製) 1.0質量%
・イオン交換水 74質量%
各成分の添加量数字は質量%を示す。また、pHは調液直後の値である。
−メンテナンス液1−
・DEGmBE 25%
・トリスヒドロキシメチルアミノメタン 0.9%
・1N塩酸 3%
・イオン交換水 71.1%
(pH 7.53)
塩酸の添加量は、酸当量でトリスヒドロキシメチルアミノメタンの約0.4当量に相当する。
・DEGmBE 25%
・トリスヒドロキシメチルアミノメタン 0.15%
・1N塩酸 1.0%
・イオン交換水 73.85%
(pH 7.51)
塩酸の添加量は、酸当量数でトリスヒドロキシメチルアミノメタンの約0.8当量に相当する。
・DEGmBE 25%
・トリスヒドロキシメチルアミノメタン 0.12%
・1N塩酸 0.8%
・イオン交換水 74.08%
(pH 7.39)
塩酸の添加量は、酸当量数でトリスヒドロキシメチルアミノメタンの約0.8当量に相当する。
・DEGmBE 25%
・イミダゾール 0.51%
・1N塩酸 1.2%
・イオン交換水 73.29%
(pH 7.53)
・DEGmBE 25%
・イミダゾール 0.34%
・1N塩酸 0.8%
・イオン交換水 73.86%
(pH 7.51)
塩酸の添加量は、酸当量でイミダゾールの約0.2当量に相当する。
・DEGmBE 25%
・イミダゾール 0.136%
・1N塩酸 0.32%
・イオン交換水 74.54%
(pH 7.49)
塩酸の添加量は、酸当量でイミダゾールの約0.2当量に相当する。
・DEGmBE 25%
・イミダゾール 0.102%
・1N塩酸 0.24%
・イオン交換水 74.66%
(pH 7.49)
塩酸の添加量は、酸当量でイミダゾールの約0.2当量に相当する。
・TEGmBE 25%
・トリスヒドロキシメチルアミノメタン 0.12%
・1N塩酸 0.8%
・イオン交換水 74.08%
(pH 7.38)
塩酸の添加量は、酸当量数でトリスヒドロキシメチルアミノメタンの約0.8当量に相当する。
・DEGmEE 25%
・イミダゾール 0.068%
・1N塩酸 0.16%
・イオン交換水 74.77%
(pH 7.28)
塩酸の添加量は、酸当量でイミダゾールの約0.2当量に相当する。
・TPGmME 25%
・イミダゾール 0.068%
・1N塩酸 0.16%
・イオン交換水 74.77%
(pH 7.40)
塩酸の添加量は、酸当量でイミダゾールの約0.2当量に相当する。
・TEG 25%
・トリスヒドロキシメチルアミノメタン 0.12%
・1N塩酸 0.8%
・イオン交換水 74.08%
(pH 7.35)
塩酸の添加量は、酸当量数でトリスヒドロキシメチルアミノメタンの約0.8当量に相当する。
・DEGmBE 25%
・トリエタノールアミン 0.3%
・1N塩酸 1.5%
・イオン交換水 73.85%
(pH 7.23)
塩酸の添加量は、酸当量数でトリエタノールアミンの約0.8当量に相当する。
−メンテナンス液A−
・DEGmBE 25%
・イオン交換水 75%
(pH 4.83)
・DEGmBE 25%
・1N水酸化ナトリウム 0.006%
・イオン交換水 74.99%
(pH 10.22)
・DEGmBE 25%
・トリエタノールアミン 0.3%
・イオン交換水 74.7%
(pH 8.44)
・トリエチレングリコール 10%
・エチレングリコール 25%
・エタノール 45%
・イオン交換水 20%
(pH 6.31)
・プロピレングリコール 25%
・イソプロピルアルコール 60%
・イオン交換水 15%
(pH 7.8)
・エチレングリコール 10%
・エタノール 20%
・イソプロピルアルコール 20%
・ジエチレングリコール 10%
・イオン交換水 40%
(pH 5.05)
・DEGmBE 1%
・TEG 30%
・オルフィンE1010 1.0%
・イオン交換水 68%
(pH 7.22)
作製した本発明のメンテナンス液及び比較のメンテナンス液をそれぞれ下記の環境下に保存し、保存後のpHを測定し、調製直後のpHと比較した。
保存条件1:60℃のインキュベーターで7日間
保存条件2:室温(約25℃)で28日間
ΔpH=(調製直後のpH)−(保存後のpH)
〜評価基準〜
A:ΔpHが0.2以内の場合
B:ΔpHが0.2より大きく0.5以下の場合
C:ΔpHが0.5より大きく2.0以下の場合
D:ΔpHが2.0より大きい場合
いずれの保存条件でも、本発明のメンテナンス液はpH変化が小さいのに対して、比較のメンテナンス液はpHが大きく変動した。
上記で得られたインク組成物、凝集液、及び各種メンテナンス液を組合せて、インクセットとした。
インクジェット記録装置として、リコー社製GELJET GX5000プリンターを改造したインクジェットプリンターを用い、打滴量3.5pL、インク塗設量が5g/m2となる量でインク組成物を下記(1)〜(3)の条件で吐出後に、前記インクジェットプリンターに装填された前記メンテナンス液をヘッドのノズル面にローラーにて付与した後、ワイパブレード(水素化NBR)でインクジェットヘッドのノズル面をワイピングし、その後の再吐出性評価の結果より、その合否を判定した。ついで下記評価基準に従ってメンテナンス性を評価した。
(1)60分連続吐出終了直後にブレードワイプを1回実施し、その後のインク吐出率が90%以上の場合、合格。
(2)1分間吐出後30分休止し、休止後にブレードワイプを1回実施し、その後のインク吐出率が90%以上の場合、合格。
(3)10分間吐出終了直後にブレードワイプを1回実施し、その後に形成された画像に画像ムラが見られない場合、合格。
実験開始時に全ノズルが吐出していることを確認し、メンテナンスを含めた実験終了後の吐出ノズル数をカウントして、下記の通り吐出率を算出した。
吐出率(%)=[メンテナンス後の吐出ノズル数]/[全ノズル数]×100(%)
A:3項目とも合格の場合
B:2項目が合格の場合
C:1項目のみ合格の場合
D:3項目とも不合格の場合
本発明のメンテナンス液を用いたインクセットは、いずれも優れたメンテナンス性を示し、吐出ヘッド部のクリーニングが良好に成されていて、ヘッドの目詰まり故障の発生が抑制された。
Claims (13)
- 少なくとも水、有機溶媒、塩基性化合物及び酸性化合物を含有し、pH6.0〜pH8.5であるインクジェット記録用メンテナンス液。
- 前記塩基性化合物のpKa値が6.0〜8.5の範囲にある請求項1に記載のインクジェット記録用メンテナンス液。
- 前記塩基性化合物を5mmol/L以上含有する請求項1又は請求項2に記載のインクジェット記録用メンテナンス液。
- 前記塩基性化合物が有機塩基性化合物であり、前記酸性化合物が無機酸である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のインクジェット記録用メンテナンス液。
- 前記水溶性有機溶媒のSP値が27.5以下である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のインクジェット記録用メンテナンス液。
- 前記酸性化合物を酸当量で前記塩基性化合物の0.05当量〜0.95当量含有する請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のインクジェット記録用メンテナンス液。
- pHが7〜pH10である水性インク組成物と、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のインクジェット記録用メンテナンス液とを有するインクジェット記録用インクセット。
- 前記水性インク組成物が少なくとも顔料とポリマー粒子とを含有する請求項8に記載のインクジェット記録用インクセット。
- 前記顔料が顔料分散剤により分散されたものである請求項9に記載のインクジェット記録用インクセット。
- 更に、前記水性インク組成物中の成分を凝集させる凝集剤を含む凝集液を有する請求項8〜請求項10のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクセット。
- 請求項8〜請求項11のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクセットを用いて、
水性インク組成物をインクジェットヘッドから吐出して記録媒体にインクを付与するインク付与工程と、
メンテナンス液により前記インクジェットヘッドに付着したインク組成物を除去するインク除去工程と、
を有する画像形成方法。 - 更に、前記水性インク組成物中の成分を凝集させる凝集剤を含む凝集液を前記記録媒体に付与する凝集液付与工程を有する請求項12に記載の画像形成方法。
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