JP2011063248A - 車両用空調装置 - Google Patents

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Yoshinori Isshi
好則 一志
Yoshinobu Yanagimachi
柳町  佳宣
Hiroyuki Hayashi
浩之 林
Yoshinori Kumamoto
佳典 熊本
Mitsuyo Omura
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Abstract

【課題】燃費の悪化を十分に抑制しつつ、車室内の暖房を実現できる車両用空調装置を提供する。
【解決手段】エンジンEGの冷却水を熱源として車室内へ送風される送風空気を加熱するヒータコア14と、ヒータコア14にて加熱された送風空気をさらに加熱するPTCヒータ15と、エンジンEGの作動を制御するエンジン制御手段70に対して、エンジンEGを作動させる作動要求信号を出力する要求信号出力手段50aと、車室内へ吹き出される空調風の温度のうちPTCヒータ15の作動が寄与した温度上昇量である吹出温上昇量ΔTptcを算出する吹出温上昇量算出手段S32とを備え、要求信号出力手段50aは、吹出温上昇量ΔTptcが増加するに伴って、エンジン制御手段70に対して作動要求信号を出力する頻度を低下させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、車両用空調装置に関するものである。
従来、特許文献1に、エンジンおよび走行用電動モータから走行用駆動力を得るハイブリッド自動車に適用可能な車両用空調装置において、エンジン冷却水を熱源とするヒータコア、および通電により発熱するPTCヒータの双方の加熱手段にて車室内へ送風される送風空気を加熱し、車室内の暖房を行うものが開示されている。
ここで、特許文献1のハイブリッド車両では、エンジン冷却水温度が閾値よりも低くなったときに、エンジンを停止した状態で走行用電動モータの駆動力のみによって走行する、いわゆるEV走行状態であってもエンジンを作動させて、エンジン冷却水の温度を上昇させている。さらに、特許文献1の車両用空調装置では、PTCヒータの発熱量の増加に伴って閾値を低下させることによって、エンジンの作動頻度を低下させ、エンジン冷却水の温度を上昇させるためのエンジンの作動に起因する燃費の悪化を抑制している。
特開2008−174042号公報
ここで、上記特許文献1の車両用空調装置では、EV走行中にエンジンを作動させるか否かの判定において、PTCヒータの発熱量を考慮しているが、PTCヒータの発熱量は、吹出口から車室内へ吹き出される空調風の温度のうち電気ヒータの作動が寄与した温度上昇量と完全には一致しない。このため、実際にはエンジンを作動させる必要のないときでも、エンジンを作動させてしまう可能性がある。その結果、燃費悪化の抑制効果を十分に得られなくなってしまう。
本発明は上記点に鑑みて、燃費の悪化を十分に抑制しつつ、車室内の暖房を実現できる車両用空調装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、内燃機関(EG)の冷却水を熱源として車室内へ送風される送風空気を加熱する加熱手段(14)と、加熱手段(14)にて加熱された送風空気をさらに加熱する補助加熱手段(15)と、内燃機関(EG)の作動を制御する内燃機関制御手段(70)に対して、内燃機関(EG)を作動させる作動要求信号を出力する要求信号出力手段(50a)と、車室内へ吹き出される空調風の温度のうち補助加熱手段(15)の作動が寄与した温度上昇量である吹出温上昇量(ΔTptc)を算出する吹出温上昇量算出手段(S32)とを備え、要求信号出力手段(50a)は、吹出温上昇量(ΔTptc)が増加するに伴って、内燃機関制御手段(70)に対して作動要求信号を出力する頻度を低下させることを特徴としている。
これによれば、補助加熱手段(15)による吹出温上昇量(ΔTptc)を直接算出するとともに、この吹出温上昇量(ΔTptc)が増加するに伴って、内燃機関制御手段(70)に対して作動要求信号を出力する頻度を低下させるので、内燃機関制御手段(70)が内燃機関(EG)を作動させてしまう頻度を確実に抑制できる。従って、内燃機関(EG)の作動頻度を確実に低下させて、車両全体としての燃費を向上できる。
さらに、吹出温上昇量(ΔTptc)が低下した場合には、内燃機関制御手段(70)に対して作動要求信号を出力する頻度を増加させるので、内燃機関制御手段(70)が内燃機関(EG)を作動させる頻度を増加させることができる。このため、補助加熱手段(15)の加熱能力が低下して、車室内を暖房するために不十分になっている場合には、冷却水の温度を上昇させて加熱手段(14)の加熱能力を上昇させることにより、送風空気の温度を上昇させて車室内の暖房を実現できる。その結果、燃費の悪化を十分に抑制しつつ、車室内の暖房を実現できる。
さらに、請求項2に記載の発明のように、請求項1に記載の車両用空調装置において、内燃機関(EG)から流出する冷却水の基準冷却水温度を算出する基準冷却水温度算出手段(S33)を備え、要求信号出力手段(50a)は、内燃機関(EG)から流出する冷却水の冷却水温度(TW)が基準冷却水温度より低いときに、内燃機関制御手段(70)に対して作動要求信号を出力するようになっており、基準冷却水温度算出手段(S33)は、吹出温上昇量(ΔTptc)が増加するに伴って、基準冷却水温度を低下させるようにしてもよい。
これによれば、補助加熱手段(15)による吹出温上昇量(ΔTptc)が増加するほど、冷却水温度(TW)が基準冷却水温度よりも低いと判断され難くなるので、内燃機関制御手段(70)に対して作動要求信号を出力する頻度が低下する。その結果、内燃機関(EG)の作動頻度が低下するので、燃費の悪化を十分に抑制しつつ、車室内の暖房を実現できる。
ここで、補助加熱手段(15)による吹出温上昇量(ΔTptc)は、補助加熱手段(15)を通過する補助加熱手段通過風量(Va)により変化する。そして、補助加熱手段通過風量(Va)は、送風機(12)の稼働率が同一であっても、吹出口モードによって異なる。その理由は、送風空気の圧力損失が吹出口モードによって異なるからである。
そこで、請求項3に記載の発明のように、請求項1または2に記載の車両用空調装置において、送風空気を送風する送風機(12)と、送風空気を車室内に吹き出す複数の吹出口(24〜26)と、複数の吹出口(24〜26)から吹き出される送風空気の吹出風量割合を切り替えることで、複数の吹出口モードを切り替える吹出口モード切替手段(24a〜26a)と、送風機(12)の稼働率および吹出口モードに基づいて、補助加熱手段(15)を通過する補助加熱手段通過風量(Va)を算出する補助加熱手段通過風量算出手段(S31、S32)とを備え、吹出温上昇量算出手段(S32)は、補助加熱手段通過風量(Va)に基づいて吹出温上昇量(ΔTptc)を算出するようにしてもよい。
これによれば、補助加熱手段通過風量算出手段(S31、S32)は、吹出口モードに基づいて補助加熱手段通過風量(Va)を算出するので、補助加熱手段(15)を実際に通過する送風空気の風量と、補助加熱手段通過風量算出手段(S31、S32)により算出された補助加熱手段通過風量(Va)とが乖離することを抑制できる。その結果、実際の補助加熱手段(15)による吹出温上昇量と、吹出温上昇量算出手段(S32)により算出された吹出温上昇量(ΔTptc)との乖離を抑制できるので、より確実に燃費の悪化を抑制できる。
さらに、請求項4に記載の発明のように、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の車両用空調装置において、加熱手段(14)および補助加熱手段(15)を収容するケーシング(11)と、ケーシング(11)に形成され、送風空気が加熱手段(14)および補助加熱手段(15)を通過して流れる加熱用冷風通路(16)と、ケーシング(11)に形成され、送風空気が加熱手段(14)および補助加熱手段(15)をバイパスして流れる冷風バイパス通路(17)と、加熱用冷風通路(16)を流れる送風空気と、冷風バイパス通路(17)を流れる送風空気との風量割合を変化させて送風空気の温度を調整する温度調整手段(19)と、温度調整手段(19)の目標開度(SW)を決定する目標開度決定手段(S5)と、送風機(12)からの送風量および目標開度(SW)に基づいて、補助加熱手段(15)を通過する補助加熱手段通過風量(Va)を算出する補助加熱手段通過風量算出手段(S31、S32)とを備え、吹出温上昇量算出手段(S32)は、補助加熱手段通過風量(Va)に基づいて吹出温上昇量(ΔTptc)を算出するようにしてもよい。
ここで、補助加熱手段(15)を通過する補助加熱手段通過風量(Va)は、温度調整手段(19)の目標開度(SW)に基づいて変化する。このため、請求項4に記載の発明のように、補助加熱手段通過風量算出手段(S31、S32)を、温度調整手段(19)の目標開度(SW)に基づいて、補助加熱手段通過風量(Va)を算出するように構成することで、補助加熱手段(15)を実際に通過する送風空気の風量と、補助加熱手段通過風量算出手段(S31、S32)により算出された補助加熱手段通過風量(Va)とが乖離することを抑制できる。その結果、実際の補助加熱手段(15)による吹出温上昇量と、吹出温上昇量算出手段(S32)により算出された吹出温上昇量(ΔTptc)との乖離を抑制できるので、より確実に燃費の悪化を抑制できる。
また、請求項5に記載の発明では、走行用動力を出力するために用いられるエネルギー源を消費して発熱を伴いながら作動する発熱機器(EG)によって加熱された熱媒体を熱源として、車室内へ送風される送風空気を加熱する加熱手段(14)と、送風空気加熱手段(14)にて加熱された送風空気をさらに加熱する補助加熱手段(15)と、発熱機器(EG)の作動を制御する発熱機器制御手段(70)に対して作動要求信号を出力する要求信号出力手段(50a)と、車室内へ吹き出される空調風の温度のうち補助加熱手段(15)の作動が寄与した温度上昇量である吹出温上昇量(ΔTptc)を算出する吹出温上昇量算出手段(S32)とを備え、要求信号出力手段(50a)は、吹出温上昇量(ΔTptc)が増加するに伴って、発熱機器制御手段(70)に対して作動要求信号を出力する頻度を低下させることを特徴としている。
これによれば、車室内へ吹き出される空調風の温度のうち補助加熱手段(15)の作動が寄与した温度上昇量である吹出温上昇量(ΔTptc)を直接算出するとともに、この吹出温上昇量(ΔTptc)が増加するに伴って、発熱機器制御手段(70)に対して作動要求信号を出力する頻度を低下させるので、発熱機器制御手段(70)が発熱機器(EG)を作動させてしまう頻度を確実に抑制できる。従って、発熱機器(EG)の作動頻度を確実に低下させて、車両全体としての燃費を向上できる。
さらに、吹出温上昇量(ΔTptc)が低下した場合には、請求項1に記載の発明と同様に、発熱機器制御手段(70)に対して作動要求信号を出力する頻度を増加させるので、発熱機器制御手段(70)が発熱機器(EG)を作動させる頻度を増加させることができる。このため、補助加熱手段(15)の加熱能力が低下して、車室内を暖房するために不十分になっている場合には、冷却水の温度を上昇させて加熱手段(14)の加熱能力を上昇させることにより、送風空気の温度を上昇させて車室内の暖房を実現できる。その結果、燃費の悪化を十分に抑制しつつ、車室内の暖房を実現できる。
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
一実施形態の車両用空調装置の全体構成図である。 一実施形態の車両用空調装置の電気制御部を示すブロック図である。 一実施形態のPTCヒータの回路図である。 一実施形態の車両用空調装置の制御処理を示すフローチャートである。 一実施形態の車両用空調装置の制御処理の要部を示すフローチャートである。 一実施形態の車両用空調装置の制御処理の別の要部を示すフローチャートである。 一実施形態の車両用空調装置の制御処理の別の要部を示すフローチャートである。
以下、本発明の一実施形態について図に基づいて説明する。図1に、本実施形態における車両用空調装置の全体構成を示し、図2に、この車両用空調装置の電気制御部の構成を示す。本実施形態の車両用空調装置は、エンジン(内燃機関)EGおよび走行用電動モータから車両走行用の駆動力を得るハイブリッド車に搭載されるものである。
本実施形態のハイブリッド車両は、車両の走行負荷等に応じてエンジンEGを作動あるいは停止させて、エンジンEGおよび走行用電動モータの双方から駆動力を得て走行する走行状態や、エンジンEGを停止させて走行用電動モータのみから駆動力を得て走行する走行状態等を切り替えることができる。これにより、車両走行用の駆動力をエンジンEGのみから得る通常の車両に対して車両燃費を向上させている。
また、このようなエンジンEGの作動あるいは停止といったエンジンEGの作動は、後述するエンジン制御装置70によって制御される。さらに、本実施形態のエンジンEGから出力される駆動力は、車両走行用として用いられるのみならず、図示しない発電機を作動させるためにも用いられる。
そして、発電機にて発電された電力は図示しないバッテリに蓄えることができ、バッテリに蓄えられた電力は、走行用電動モータのみならず、車両用空調装置1を構成する各構成機器をはじめとする各種車載機器に供給できる。
次に、本実施形態の車両用空調装置1の詳細構成を説明する。本実施形態の車両用空調装置1は、図1に示す室内空調ユニット10、図2に示す空調制御装置50等を備えている。まず、室内空調ユニット10は、車室内最前部の計器盤(インストルメントパネル)の内側に配置されて、その外殻を形成するケーシング11内に送風機12、蒸発器13、ヒータコア14、PTCヒータ15等を収容したものである。
ケーシング11は、車室内に送風される送風空気の空気通路を形成しており、ある程度の弾性を有し、強度的にも優れた樹脂(例えば、ポリプロピレン)にて成形されている。ケーシング11内の送風空気流れ最上流側には、内気(車室内空気)と外気(車室外空気)とを切替導入する内外気切替箱20が配置されている。
より具体的には、内外気切替箱20には、ケーシング11内に内気を導入させる内気導入口21および外気を導入させる外気導入口22が形成されている。さらに、内外気切替箱20の内部には、内気導入口21および外気導入口22の開口面積を連続的に調整して、内気の風量と外気の風量との風量割合を変化させる内外気切替ドア23が配置されている。
したがって、内外気切替ドア23は、ケーシング11内に導入される内気の風量と外気の風量との風量割合を変化させる吸込口モードを切り替える風量割合変更手段を構成する。より具体的には、内外気切替ドア23は、内外気切替ドア23用の電動アクチュエータ62によって駆動され、この電動アクチュエータ62は、空調制御装置50から出力される制御信号によって、その作動が制御される。
また、吸込口モードとしては、内気導入口21を全開とするとともに外気導入口22を全閉としてケーシング11内へ内気を導入する内気モード、内気導入口21を全閉とするとともに外気導入口22を全開としてケーシング11内へ外気を導入する外気モード、さらに、内気モードと外気モードとの間で、内気導入口21および外気導入口22の開口面積を連続的に調整することにより、内気と外気の導入比率を連続的に変化させる内外気混入モードがある。
内外気切替箱20の空気流れ下流側には、内外気切替箱20を介して吸入した空気を車室内へ向けて送風する送風機(ブロワ)12が配置されている。この送風機12は、遠心多翼ファン(シロッコファン)を電動モータにて駆動する電動送風機であって、空調制御装置50から出力される制御電圧によって回転数(送風量)が制御される。
送風機12の空気流れ下流側には、蒸発器13が配置されている。蒸発器13は、その内部を流通する冷媒と送風空気とを熱交換させて送風空気を冷却する冷却用熱交換器である。蒸発器13は、圧縮機(コンプレッサ)31、凝縮器32、気液分離器33、膨張弁34等とともに、冷凍サイクル30を構成している。
圧縮機31は、エンジンルーム内に配置され、冷凍サイクル30において冷媒を吸入し、圧縮して吐出するものであり、吐出容量が固定された固定容量型圧縮機構31aを電動モータ31bにて駆動する電動圧縮機として構成されている。電動モータ31bは、インバータ61から出力される交流電圧によって、その作動(回転数)が制御される交流モータである。
また、インバータ61は、後述する空調制御装置50から出力される制御信号に応じた周波数の交流電圧を出力する。そして、この回転数制御によって、圧縮機31の冷媒吐出能力が変更される。したがって、電動モータ31bは、圧縮機31の吐出能力変更手段を構成している。
凝縮器32は、エンジンルーム内に配置されて、内部を流通する冷媒と、室外送風機としての送風ファン35から送風された車室外空気(外気)とを熱交換させることにより、圧縮された冷媒を凝縮液化させるものである。送風ファン35は、空調制御装置50から出力される制御電圧によって稼働率、すなわち、回転数(送風空気量)が制御される電動式送風機である。
気液分離器33は、凝縮液化された冷媒を気液分離して余剰液冷媒を蓄えるとともに、液冷媒のみを下流に流すものである。膨張弁34は、液冷媒を減圧膨張させる減圧手段である。蒸発器13は、冷媒と送風空気との熱交換により、減圧膨張された冷媒を蒸発気化させるものである。
また、ケーシング11内において、蒸発器13の空気流れ下流側には、蒸発器13通過後の空気を流す加熱用冷風通路16、冷風バイパス通路17といった空気通路、並びに、加熱用冷風通路16および冷風バイパス通路17から流出した空気を混合させる混合空間18が形成されている。
加熱用冷風通路16には、蒸発器13通過後の空気を加熱するための加熱手段としてのヒータコア14、およびヒータコア14通過後の空気を再加熱するための補助加熱手段としてのPTCヒータ15が、送風空気流れ方向に向かってこの順で配置されている。
ヒータコア14は、車両走行用駆動力を出力するエンジンEGの冷却水と蒸発器13通過後の空気とを熱交換させて、蒸発器13通過後の空気を加熱する加熱用熱交換器である。
具体的には、ヒータコア14とエンジンEGとの間に冷却水流路41が設けられて、ヒータコア14とエンジンEGとの間を冷却水が循環する冷却水回路40が構成されている。そして、この冷却水回路40には、冷却水を循環させるための電動ウォータポンプ42が設置されている。電動ウォータポンプ42は、空調制御装置50から出力される制御電圧によって回転数(冷却水循環量)が制御される電動式の水ポンプである。
また、PTCヒータ15は、PTC素子(正特性サーミスタ)を有し、このPTC素子に電力が供給されることによって発熱して、ヒータコア14通過後の空気を加熱する電気ヒータである。
ここで、図3に、本実施形態のPTCヒータ15の電気的構成を示す。本実施形態では、PTCヒータ15として、複数本、例えば、3本のPTCヒータ15a、15b、15cを用いている。空調制御装置50が、第1PTCヒータ15a、第2PTCヒータ15b、第3PTCヒータ15cの各PTC素子h1、h2、h3に対して設けられているスイッチ素子SW1、SW2、SW3のON/OFFを制御することで、各PTCヒータ15a、15b、15cへの通電・非通電を制御するようになっている。そして、空調制御装置50が、通電するPTCヒータ15の本数を変化させることによって、複数のPTCヒータ15全体としての加熱能力が制御される。
一方、冷風バイパス通路17は、蒸発器13通過後の空気を、ヒータコア14およびPTCヒータ15を通過させることなく、混合空間18に導くための空気通路である。したがって、混合空間18にて混合された送風空気の温度は、加熱用冷風通路16を通過する空気および冷風バイパス通路17を通過する空気の風量割合によって変化する。
そこで、本実施形態では、蒸発器13の空気流れ下流側であって、加熱用冷風通路16および冷風バイパス通路17の入口側に、加熱用冷風通路16および冷風バイパス通路17へ流入させる冷風の風量割合を連続的に変化させるエアミックスドア19を配置している。
したがって、エアミックスドア19は、混合空間18内の空気温度(車室内へ送風される送風空気の温度)を調整する温度調整手段を構成する。より具体的には、エアミックスドア19は、エアミックスドア用の電動アクチュエータ63によって駆動され、この電動アクチュエータ63は、空調制御装置50から出力される制御信号によって、その作動が制御される。
さらに、ケーシング11の送風空気流れ最下流部には、混合空間18から空調対象空間である車室内へ温度調整された送風空気を吹き出す吹出口24〜26が配置されている。この吹出口24〜26としては、具体的に、車室内の乗員の上半身に向けて空調風を吹き出すフェイス吹出口24、乗員の足元に向けて空調風を吹き出すフット吹出口25、および、車両前面窓ガラス内側面に向けて空調風を吹き出すデフロスタ吹出口26が設けられている。
また、フェイス吹出口24、フット吹出口25、およびデフロスタ吹出口26の空気流れ上流側には、それぞれ、フェイス吹出口24の開口面積を調整するフェイスドア24a、フット吹出口25の開口面積を調整するフットドア25a、デフロスタ吹出口26の開口面積を調整するデフロスタドア26aが配置されている。
これらのフェイスドア24a、フットドア25a、デフロスタドア26aは、吹出口モードを切り替える吹出口モード切替手段を構成するものであって、図示しないリンク機構を介して、吹出口モードドア駆動用の電動アクチュエータ64に連結されて連動して回転操作される。なお、この電動アクチュエータ64も、空調制御装置50から出力される制御信号によってその作動が制御される。
また、吹出口モードとしては、フェイス吹出口24を全開してフェイス吹出口24から車室内乗員の上半身に向けて空気を吹き出すフェイスモード、フェイス吹出口24とフット吹出口25の両方を開口して車室内乗員の上半身と足元に向けて空気を吹き出すバイレベルモード、フット吹出口25を全開するとともにデフロスタ吹出口26を小開度だけ開口して、フット吹出口25から主に空気を吹き出すフットモード、およびフット吹出口25およびデフロスタ吹出口26を同程度開口して、フット吹出口25およびデフロスタ吹出口26の双方から空気を吹き出すフットデフロスタモードがある。
次に、図2により、本実施形態の電気制御部について説明する。空調制御装置50は、CPU、ROMおよびRAM等を含む周知のマイクロコンピュータとその周辺回路から構成され、そのROM内に記憶された空調制御プログラムに基づいて各種演算、処理を行い、出力側に接続された送風機12、圧縮機31の電動モータ31b用のインバータ61、送風ファン35、各種電動アクチュエータ62、63、64、第1PTCヒータ15a、第2PTCヒータ15b、第3PTCヒータ15c、電動ウォータポンプ42等の作動を制御する。
また、空調制御装置50の入力側には、車室内温度Trを検出する内気センサ51、外気温Tamを検出する外気センサ52(外気温検出手段)、車室内の日射量Tsを検出する日射センサ53、圧縮機31吐出冷媒温度Tdを検出する吐出温度センサ54(吐出温度検出手段)、圧縮機31吐出冷媒圧力Pdを検出する吐出圧力センサ55(吐出圧力検出手段)、蒸発器13からの吹出空気温度(蒸発器温度)TEを検出する蒸発器温度センサ56(蒸発器温度検出手段)、圧縮機31に吸入される冷媒の温度Tsiを検出する吸入温度センサ57、エンジン冷却水温度TWを検出する冷却水温度センサ58等のセンサ群の検出信号が入力される。
なお、本実施形態の蒸発器温度センサ56は、具体的に蒸発器13の熱交換フィン温度を検出している。もちろん、蒸発器温度センサ56として、蒸発器13のその他の部位の温度を検出する温度検出手段を採用してもよいし、蒸発器13を流通する冷媒自体の温度を直接検出する温度検出手段を採用してもよい。
さらに、空調制御装置50の入力側には、車室内前部の計器盤付近に配置された操作パネル60に設けられた各種空調操作スイッチからの操作信号が入力される。操作パネル60に設けられた各種空調操作スイッチとしては、具体的に、車両用空調装置1の作動スイッチ(図示せず)、エアコンのオン・オフ(具体的には圧縮機31のオン・オフ)を切り替えるエアコンスイッチ60a、車両用空調装置1の自動制御を設定・解除するオートスイッチ60b、運転モードの切替スイッチ(図示せず)、吸込口モードを切り替える吸込口モードスイッチ(図示せず)、吹出口モードを切り替える吹出口モードスイッチ(図示せず)、送風機12の風量設定スイッチ(図示せず)、車室内温度を設定する車室内温度設定スイッチ60c、冷凍サイクルの省動力化を優先させる指令を出力するエコノミースイッチ60d等が設けられている。
従って、本実施形態の車室内温度設定スイッチ60cは、車室内の目標温度(車室内設定温度)Tsetを設定する目標温度設定手段を構成しており、エコノミースイッチ60dは、乗員の操作によって、車室内の空調に必要とされる動力の省動力化を要求する指令を出力する省動力化要求手段を構成している。
さらに、空調制御装置50は、エンジンEGの作動を制御するエンジン制御装置70に電気的接続されており、空調制御装置50およびエンジン制御装置70は互いに電気的に通信可能に構成されている。これにより、一方の制御装置に入力された検出信号あるいは操作信号に基づいて、他方の制御装置が出力側に接続された各種機器の作動を制御することもできる。例えば、空調制御装置50がエンジン制御装置70へエンジンEGの作動要求信号を出力することによって、エンジンEGを作動させることができる。
空調制御装置50は、上述した各種空調制御機器を制御する制御手段が一体に構成されたものであるが、本実施形態では、特に、エンジン制御装置70に対して、エンジンEGの作動を要求する作動要求信号や、エンジンEGの停止を要求する作動停止信号等の要求信号を出力する構成を要求信号出力手段50aとする。また、要求信号出力手段50aを空調制御装置50に対して別体で構成してもよい。
次に、上記構成における本実施形態の作動を説明する。まず、エンジン制御装置70の基本的作動を説明する。車両スタートスイッチが投入されて車両が起動すると、エンジン制御装置70は、上述のエンジン制御用のセンサ群の検出信号に基づいて車両の走行負荷を検出し、走行負荷に応じてエンジンEGを作動あるいは停止させる。
さらに、エンジン制御装置70は、空調制御装置50の要求信号出力手段50aから出力される要求信号に基づいて、エンジンEGを作動あるいは停止させる。この要求信号出力手段50aから出力される要求信号に基づくエンジンEGの作動あるいは停止については後述する。
次に、図4〜7により、上記構成における本実施形態の作動を説明する。図4は、本実施形態の車両用空調装置1の制御処理を示すフローチャートである。なお、図4〜7中の各ステップは、空調制御装置50が有する各種の機能実現手段を構成している。
まず、図4のステップS1では、フラグ、タイマ等の初期化、および上述した電動アクチュエータを構成するステッピングモータの初期位置合わせ等のイニシャライズが行われる。なお、このイニシャライズでは、フラグや演算値のうち、前回の車両用空調装置1の作動終了時に記憶された値が維持されるものもある。
次のステップS2では、操作パネル60の操作信号を読み込んでステップS3へ進む。具体的な操作信号としては、車室内温度設定スイッチ60cによって設定される車室内設定温度Tset、吹出口モードの選択信号、吸込口モードの選択信号、送風機12の風量の設定信号等がある。
ステップS3では、空調制御に用いられる車両環境状態の信号、すなわち上述のセンサ群51〜58等の検出信号を読み込んで、ステップS4へ進む。ステップS4では、車室内吹出空気の目標吹出温度TAOを算出する。目標吹出温度TAOは、下記数式F1により算出される。
TAO=Kset×Tset−Kr×Tr−Kam×Tam−Ks×Ts+C…(F1)
ここで、Tsetは車室内温度設定スイッチ60cによって設定された車室内設定温度、Trは内気センサ51によって検出された車室内温度(内気温)、Tamは外気センサ52によって検出された外気温、Tsは日射センサ53によって検出された日射量である。Kset、Kr、Kam、Ksは制御ゲインであり、Cは補正用の定数である。
続くステップS5〜S12では、空調制御装置50に接続された各種機器の制御状態が決定される。
まず、ステップS5では、エアミックスドア19の目標開度SWを上記TAO、蒸発器温度センサ56によって検出された蒸発器13からの吹出空気温度TE、エアミックス前の温風温度TWDに基づいて算出する。
具体的には、目標開度SWは、次の数式F2により算出できる。
SW=[{TAO−(TE+2)}/{TWD−(TE+2)}]×100(%)…(F2)
ここで、エアミックス前の温風温度TWDとは、加熱用冷風通路16に配置された加熱手段(ヒータコア14、およびPTCヒータ15)の加熱能力に応じて決定される値であって、具体的には、次の数式F3により算出できる。
TWD=TW×0.8+TE×0.2+ΔTptc…(F3)
ここで、TWは冷却水温度センサ58によって検出されたエンジン冷却水温度、TEは蒸発器温度センサ56によって検出された蒸発器13からの吹出空気温度、ΔTptcはPTCヒータ15の作動による吹出温上昇量である。また、0.8はヒータコア14の熱交換効率αの一例であり、0.2はヒータコア14からの吹出空気温度に対する蒸発器13からの吹出空気温度TEの寄与度βの一例である。
吹出温上昇量ΔTptcは、吹出口から車室内へ吹き出される空調風の温度(吹出温)のうちPTCヒータ15の作動が寄与した温度上昇量である。この吹出温上昇量ΔTptcは、PTCヒータ15の消費電力W(Kw)、空気密度ρ(kg/m3)、空気比熱Cp、PTCヒータ15を通過する風量であるPTC通過風量Va(m3/h)を用いて、数式F4により演算できる。
ΔTptc=W/ρ/Cp/Va×3600…(F4)
ここで、PTCヒータ15の消費電力Wとしては、PTCヒータ15の定格消費電力を、PTCヒータ15に流入する空気の温度と、PTC素子の温度特性とに基づいて補正した値を用いることができる。
PTC通過風量Vaとしては、単純にブロワ風量を用いるのではなく、下記数式F5により演算したもの、すなわち、ブロワ風量に対して、前回のステップS5で算出したエアミックス開度SW_OLD(%)を考慮したものを用いる。
Va(m/h)=ブロワ風量(m/h)×f(SW_OLD/100)…(F5)
ここで、f(SW_OLD/100)としては、SW_OLD(%)が10以上100以下の間は、SW_OLD/100によって算出した結果を用い、SW_OLD(%)<10のとき、f(SW_OLD/100)を0.1とし、SW_OLD(%)>100のとき、f(SW_OLD/100)を1とする(後述するステップS32中に記載のf(SW/100)とSWとの関係図を参照)。
このようにして、実際のPTCヒータ15の作動による吹出温上昇量とずれないように、吹出温上昇量ΔTptcを演算することができる。なお、ΔTptcは、30秒の時定数をもって1秒毎に更新される。また、ステップS5を初めて実行する場合には、前回のエアミックス開度SW_OLD=100%として数式F5の演算を行う。
なお、SW=0(%)は、エアミックスドア19の最大冷房位置であり、冷風バイパス通路17を全開し、加熱用冷風通路16を全閉する。これに対し、SW=100(%)は、エアミックスドア19の最大暖房位置であり、冷風バイパス通路17を全閉し、加熱用冷風通路16を全開する。
次のステップS6では、送風機12により送風される空気の目標送風量を決定する。具体的には電動モータに印加するブロワモータ電圧をステップS4にて決定されたTAOに基づいて、予め空調制御装置50に記憶された制御マップを参照して決定する。
より具体的には、本実施形態では、TAOの極低温域(最大冷房域)および極高温域(最大暖房域)でブロワモータ電圧を最大値付近の高電圧にして、送風機12の風量を最大風量付近に制御する。また、TAOが極低温域から中間温度域に向かって上昇すると、TAOの上昇に応じてブロワモータ電圧を減少して、送風機12の風量を減少させる。
さらに、TAOが極高温域から中間温度域に向かって低下すると、TAOの低下に応じてブロワモータ電圧を減少して、送風機12の風量を減少させる。また、TAOが所定の中間温度域内に入ると、ブロワモータ電圧を最小値にして送風機12の風量を最小値にするようになっている。
次のステップS7では、吸込口モード、すなわち内外気切替箱20の切替状態を決定する。この吸込口モードもTAOに基づいて、予め空調制御装置50に記憶された制御マップを参照して決定する。本実施形態では、基本的に外気を導入する外気モードが優先されるが、TAOが極低温域となって高い冷房性能を得たい場合等に内気を導入する内気モードが選択される。さらに、外気の排ガス濃度を検出する排ガス濃度検出手段を設け、排ガス濃度が予め定めた基準濃度以上となったときに、内気モードを選択するようにしてもよい。
次のステップS8では、吹出口モードを決定する。この吹出口モードも、TAOに基づいて、予め空調制御装置50に記憶された制御マップを参照して決定する。本実施形態では、TAOが低温域から高温域へと上昇するにつれて吹出口モードをフットモード→バイレベルモード→フェイスモードへと順次切り替える。
したがって、夏季は主にフェイスモード、春秋季は主にバイレベルモード、そして冬季は主にフットモードが選択される。さらに、湿度センサの検出値から窓ガラスに曇りが発生する可能性が高い場合には、フットデフロスタモードあるいはデフロスタモードを選択するようにしてもよい。
ステップS9では、圧縮機31の冷媒吐出能力(具体的には、回転数)を決定する。本実施形態の基本的な圧縮機31の回転数の決定手法は以下の通りである。
例えば、ステップS4で決定したTAO等に基づいて、予め空調制御装置50に記憶されている制御マップを参照して、蒸発器13からの吹出空気温度TEの目標吹出温度TEOを決定する。
さらに、この目標吹出温度TEOと吹出空気温度TEの偏差En(TEO−TE)を算出し、この偏差Enと、今回算出された偏差Enから前回算出された偏差En−1を減算した偏差変化率Edot(En−(En−1))とを用いて、予め空調制御装置50に記憶されたメンバシップ関数とルールとに基づいたファジー推論に基づいて、前回の圧縮機回転数fCn−1に対する回転数変化量ΔfCを求める。そして、前回の圧縮機回転数fCn−1に回転数変化量ΔfCを加算したものを今回の圧縮機回転数fCnとする。
次のステップS10では、外気温、エアミックス開度、冷却水温度に応じて、PTCヒータ15の作動本数を決定する。このステップS10の詳細については、図5のフローチャートを用いて説明する。まず、ステップS21では、外気温に基づいてPTCヒータ15の作動が不要か否かを判定する。具体的には、外気センサ52が検出した外気温が所定温度、本例では、26℃よりも高いか否かを判定する。
ステップS21にて、外気温が26℃よりも高いと判定された場合は、PTCヒータ15による吹出温アシストは必要無いと判断して、ステップS25に進み、PTCヒータ15の作動本数を0本に決定する。一方、ステップS21で、外気温が26℃よりも低いと判定された場合は、ステップS22に進む。
ステップS22、S23では、エアミックス開度SWに基づいてPTCヒータ15作動の要否を決定する。ここで、エアミックス開度SWが小さくなることは、加熱用冷風通路16にて送風空気を加熱する必要性が少なくなることを意味していることから、エアミックス開度SWが小さくなるに伴ってPTCヒータ15を作動させる必要性も少なくなる。
そこで、ステップS22では、ステップS5で決定したエアミックス開度SWを予め定めた基準開度と比較して、エアミックス開度SWが第1基準開度(本実施形態では、30%)以下であれば、PTCヒータ15を作動させる必要は無いものとして、PTCヒータ作動フラグf(SW)=OFFとする。
一方、エアミックス開度が第2基準開度(本実施形態では、40%)以上であれば、PTCヒータ15を作動させる必要が有るものとして、PTCヒータ作動フラグf(SW)=ONとする。なお、第1基準開度と第2基準開度との開度差は、制御ハンチング防止のためのヒステリシス幅として設定されている。
そして、ステップS23では、ステップS22で決定したPTCヒータ作動フラグf(SW)がOFFであれば、ステップS25に進み、PTCヒータの作動本数を0本に決定する。一方、PTCヒータ作動フラグf(SW)がONであれば、ステップS24へ進み、PTCヒータ15の作動本数を決定する。
ステップS24では、冷却水温度TWに応じてPTCヒータ15の作動本数を決定する。具体的には、冷却水温度TWが上昇過程にあるときは、冷却水温度TW≧第1所定温度T1であれば作動本数を0本とし、第1所定温度T1>冷却水温度TW≧第2所定温度T2であれば作動本数を1本とし、第2所定温度T2>冷却水温度TW≧第3所定温度T3であれば作動本数を2本とし、第3所定温度T3>冷却水温度TW≧第2所定温度T4であれば作動本数を3本とする。
一方、冷却水温度TWが下降過程にあるときは、第4所定温度T4≦冷却水温度TWであれば作動本数を3本とし、第4所定温度T4<冷却水温度TW≦第3所定温度T3であれば作動本数を2本とし、第3所定温度T3<冷却水温度TW≦第2所定温度T2であれば作動本数を1本とし、第2所定温度T1<冷却水温度TWであれば作動本数を0本としてステップS11へ進む。
なお、各所定温度には、T1>T2>T3>T4の関係があり、本実施形態では、具体的に、T1=67.5℃、T2=65℃、T3=62.5℃、T4=60℃としている。また、各所定温度の温度差は、制御ハンチング防止のためのヒステリシス幅として設定されている。
ステップS11では、空調制御装置50からエンジン制御装置70へ出力される要求信号を決定する。つまり、ステップS11では、エンジンEGの作動要求(エンジンON要求)の要否を決定する。このステップS11では、バッテリ残量および走行条件によってエンジンEGが停止している場合に、空調のためのエンジンEGの作動および停止を決定する。このステップS11の詳細については、図6のフローチャートを用いて説明する。
ここで、車両走行用の駆動力をエンジンEGのみから得る通常の車両では、常時エンジンEGを作動させているのでエンジン冷却水も常時高温となる。したがって、通常の車両ではエンジン冷却水をヒータコア14に流通させることで充分な暖房性能を発揮することができる。
これに対して、本実施形態のようなハイブリッド車両では、バッテリ残量に余裕があれば、走行用電動モータのみから走行用の駆動力を得て走行することができる。このため、高い暖房性能が必要な場合であっても、エンジンEGが停止しているとエンジン冷却水温度が40℃程度にしか上昇せず、ヒータコア14にて充分な暖房性能が発揮できなくなる。
そこで、本実施形態では、高い暖房性能が必要な場合であってもエンジン冷却水温度TWが予め定めた基準冷却水温度(後述するステップS33におけるエンジンON水温)よりも低いときは、エンジン冷却水温度TWを所定温度以上に維持するため、空調制御装置50からエンジンEGの制御に用いられるエンジン制御装置70に対して、エンジンEGを作動するように作動要求信号(エンジンON要求信号)を出力する。これにより、エンジン冷却水温度TWを上昇させて高い暖房性能を得るようにしている。
ただし、このようなエンジンON要求信号の出力は、車両走行用の駆動源としてエンジンEGを作動させる必要の無い場合であってもエンジンEGを作動させることになるので、車両燃費を悪化させる要因となる。このため、エンジンON要求信号を出力する頻度は極力低減させることが望ましい。
そこで、本実施形態では、まず、ステップS31で、ステップS6で決定したブロワモータ電圧とステップS8で決定した吹出口モードとに基づいて、ブロワ12からの総風量(以下、ブロワ風量と呼ぶ)を演算する。具体的には、図6のステップS31中に記載のように、吹出口モード毎に作成されたブロワモータ電圧とブロワ風量との関係を示すマップがECUに予め記憶されており、このマップに基づいて、ブロワ電圧Vの増加に伴って、送風機12からの送風量が増加するように決定する。
このように、ステップS31の送風量の決定にて、吹出口モードを考慮するのは、送風機12の送風能力が同一であっても、例えば、吹出口モードによって、ケーシング11内を流通する送風空気の圧力損失が異なるからである。本実施形態では、フェイスモード時にフットモード時よりも送風量が多くなるように、ケーシング11内の圧力損失が設定されている。
次に、ステップS32で、PTCヒータ15の作動による吹出温上昇量ΔTptcを演算する。この吹出温上昇量ΔTptcの演算は、前述のステップS5にて説明した数式F4によって求められる。従って、本実施形態の制御ステップS32は、吹出温上昇量算出手段を構成している。
ここで、数式F4に用いられるPTC通過風量Vaの算出について説明する。PTC通過風量Vaは、ステップS31にて決定された送風量に対して、エアミックス開度SW(%)を考慮して下記数式F6により算出する。従って、本実施形態の制御ステップS31、S32は、補助加熱手段通過風量算出手段を構成している。
Va=(送風機12からの送風量)×f(SW/100)…(F6)
なお、f(SW/100)は、単に、パーセンテージで示されるSWを100で除した値であるが、0.1≦f(SW/100)≦1の範囲となるように、(SW/100)の上限値および下限値を設けた関数である。
さらに、本実施形態では、0≦ΔTptc≦15の範囲となるように、数式F4にて得られた結果にも上限値および下限値とを設けている。これらの上限値および下限値の設定により、実際のPTCヒータ15の作動による吹出温上昇量とステップS32にて演算される吹出温上昇量ΔTptcとの乖離を抑制している。さらに、ΔTptcは、30秒の時定数をもって1秒毎に更新される。
このように、ステップS32のPTC通過風量Vaの算出にて、エアミックス開度SWを考慮するのは、送風機12の送風能力が同一であっても、エアミックス開度SWによって、PTCヒータ15を通過する風量が異なるからである。
続いて、ステップS33では、冷却水温度TWに基づくエンジンEGの作動要求信号あるいは作動停止信号の出力を行うか否かの判定に用いる判定閾値としてのエンジンON水温およびエンジンOFF水温を算出する。
エンジンON水温は、エンジン制御装置70に対してエンジンEGの作動要求信号を出力することを決定する判定基準となる冷却水温度であり、エンジンOFF水温は、エンジン制御装置70に対してエンジンEGの作動停止信号を出力することを決定する判定基準となる冷却水温度である。なお、エンジンON水温が、本発明の基準冷却水温度に相当している。従って、本実施形態の制御ステップS33は、基準冷却水温度算出手段に相当している。
ここで、エンジンOFF水温は、下記数式F7を用いて実吹出温がおおよそ目標吹出温度TAOとなるように演算された仮のエンジンOFF水温TWOと70℃とのうちの小さい方が採用される。一方、エンジンON水温は、頻繁にエンジンがON/OFFするのを防止するため、エンジンOFF水温よりも所定の値、本例では5℃低く設定される。つまり、この所定の値は、制御ハンチング防止のためのヒステリシス幅として設定されている。
TWO={(TAO−ΔTptc)−(TE×0.2)}/0.8…(F7)
なお、仮のエンジンOFF水温TWOは、エアミックス前の温風温度TWDが目標吹出温度TAOになるものと仮定したときに、必要とされる冷却水温度である。TEは、蒸発器温度センサ56が検出した蒸発器13からの吹出空気温度である。
ここで、数式F7は、ヒータコア14から吹き出された直後の送風空気の温度Taについての2つの下記数式F8、F9から導かれる。すなわち、数式F7は、数式F9の右辺を数式F8の左辺に代入し、TWOについて解くことで導かれる。
Ta=TWO×α+TE×β…(F8)
Ta=TAO−ΔTptc…(F9)
なお、数式F8のαはヒータコア14の熱交換効率であり、βはヒータコア14からの吹出空気温度Taに対する蒸発器13からの吹出空気温度TEの寄与度である。本例では、αを0.8、βを0.2としている。
続いて、ステップS34では、冷却水温度TWに応じて、エンジンEGの作動要求信号あるいは作動停止信号を出力するか否かの仮の要求信号フラグf(TW)を決定する。具体的には、冷却水温度TWがステップS33で決定されたエンジンON水温より低ければ、仮の要求信号フラグf(TW)=ONとしてエンジンEGの作動要求信号を出力することを仮決定し、冷却水温度TWがエンジンOFF水温より高ければ、仮の要求信号フラグf(TW)=OFFとしてエンジンEGの作動停止信号を出力することを仮決定する。
続いて、ステップS35では、ステップS8で決定された吹出口モード、ステップS10で決定されたPTCヒータ15の作動本数、ステップS4で算出された目標吹出温度TAO、ステップS34で決定された仮の要求信号フラグf(TW)に基づいて、実際にエンジン制御装置70に対して出力する要求信号を決定する。
具体的には、ステップS35では、吹出口モードがFACEモード以外の場合であれば、仮の要求信号フラグf(TW)に応じて、実際にエンジン制御装置70に対して出力する要求信号を決定する。
通常、暖房時の吹出口モードはFOOTモードかB/Lモードであるので、暖房時はFACEモード以外に該当する。この場合、冷却水温度TWがステップS33で算出されたエンジンON水温よりも低いと、足元から冷風が出て快適性を損ねてしまう。
したがって、吹出口モードがFOOTモードやB/Lモードであって、かつ、冷却水温度TWがステップS33で算出されたエンジンON水温より低い、すなわちステップS34で決定された仮の要求信号フラグf(TW)がONとなっている場合には、エンジン制御装置70に対してエンジンEGの作動要求信号を出力することを決定する。
また、吹出口モードがFOOTモードやB/Lモードであって、かつ、冷却水温度TWがステップS32で算出されたエンジンOFF水温よりも高い、すなわちステップS34で決定された仮の要求信号フラグf(TW)がOFFとなっている場合には、エンジンEGの作動停止信号を出力することを決定する。
ここで、ステップS33では、PTCヒータ15による吹出温上昇量ΔTptcを考慮して、エンジンOFF水温およびエンジンON水温を算出している、具体的には、PTCヒータ15による吹出温上昇量ΔTptcが大きいほど、エンジンOFF水温およびエンジンON水温が小さくなるように演算しているので、PTCヒータ15の作動時では、PTCヒータ15の停止時よりもエンジンON要求の頻度が低下し、燃費が向上する。
一方、吹出口モードがFACEモードの場合では、以下の通り、ステップS10で決定されたPTCヒータ15の作動本数、ステップS4で算出された目標吹出温度TAO、ステップS34で決定された仮の要求信号フラグf(TW)に基づいて、実際にエンジン制御装置70に対して出力する要求信号を決定する。
具体的には、PTCヒータ15の作動本数が所定本数(本例では1本)以上の場合には、仮の要求信号フラグf(TW)によらず、エンジンEGの作動停止信号を出力することを決定する。
ここで、FACEモード以外の他の吹出口モード時では、冷却水温度TWがエンジンOFF水温よりも低い場合に、エンジンEGの作動要求信号を出力することを決定するのに対して、FACEモード時では、冷却水温度TWに関わらず、エンジンEGの作動停止信号を出力することを決定するのは、FACEモード時では、冷却水温度TWが目標吹出温度TAOを得るのに必要な温度よりも低くても、乗員の快適性への影響は小さいからである。すなわち、FACEモードは、そもそも、FOOTモードやB/Lモードと比較して低い温度の空調風をフェイス吹出口24から吹き出す吹出口モードであり、FACEモード時に、目標吹出温度TAOよりも低い温度の風がフェイス吹出口24から乗員の上半身に向けて吹き出されても、乗員が不快に感じる可能性は小さいからである。
ただし、実際のフェイス吹出口24からの吹出空気温度と目標吹出温度TAOとの差が大きすぎると、室温が下がり過ぎてしまい、その結果、目標吹出温度TAOが変わって、吹出口モードがFACEモードからB/Lモードに変更されてしまう。そこで、本実施形態の車両用空調装置1では、エンジンEGが停止して冷却水温度TWが低くても、室温が下がり過ぎないように、FACEモードであって、かつ、PTCヒータ15の作動時に、エンジンEGの作動要求信号を出力しないこととしている。
また、PTCヒータ15の作動本数が0本、すなわち、PTCヒータ15が停止しており、かつ、目標吹出温度TAOが所定温度(本例では20℃)未満の場合のように、目標吹出温度TAOが比較的低いときは、ヒータコア14による空気の加熱は必要無いため、エンジンEGの作動停止信号を出力することを決定する。
また、PTCヒータ15の作動本数が0本で、かつ、目標吹出温度TAOが所定温度(本例では20℃)以上の場合は、FACEモード以外の場合と同様に、仮の要求信号グラフf(TW)に基づいて、エンジン制御装置70に対して出力する要求信号を決定する。これにより、冷却水温度TWがエンジンON水温よりも低ければ、エンジンEGの作動要求信号を出力することを決定する。これは、PTCヒータ15の作動本数が0本で、かつ、目標吹出温度TAOが所定温度以上のときは、冷却水温度TWが低いと、時間の経過と共に少しずつ室温が低くなるので、室温の低下を抑制するためである。
ステップS12では、ヒータコア14とエンジンEGとの間で冷却水を循環させる電動ウォータポンプ42の作動の要否を決定する。このステップS12の詳細については、図7のフローチャートを用いて説明する。まず、ステップS41では、冷却水温度TWが吹出空気温度TEより高いか否かを判定する。
ステップS41にて、冷却水温度TWが吹出空気温度TE以下となっている場合は、ステップS44へ進み、電動ウォータポンプ42を停止(OFF)させることを決定する。その理由は、冷却水温度TWが吹出空気温度TE以下となっている場合に冷却水をヒータコア14へ流すと、ヒータコア14を流れる冷却水が蒸発器13通過後の空気を冷却してしまうことになるため、かえって吹出口24〜26からの吹出空気温度を低くしてしまうからである。
一方、ステップS41にて、冷却水温度TWが吹出空気温度TEより高い場合は、ステップS42へ進む。ステップS42では、送風機12が作動しているか否かが判定される。ステップS42にて、送風機12が作動していないと判定された場合は、ステップS44に進み、省動力化のために電動ウォータポンプ42を停止(OFF)させることを決定する。
一方、ステップS42にて送風機12が作動していると判定された場合は、ステップS43へ進み、電動ウォータポンプ42を作動(ON)させることを決定する。これにより、電動ウォータポンプ42が作動して、冷却水が冷媒回路内を循環するので、ヒータコア14を流れる冷却水とヒータコア14を通過する空気とを熱交換させて送風空気を加熱することができる。
次に、ステップS13では、上述のステップS5〜S12で決定された制御状態が得られるように、空調制御装置50より各種機器12、61、35、62、63、64、15a、15b、15c、42やエンジン制御装置70に対して制御信号および制御電圧が出力される。
これにより、要求信号出力手段50aからエンジン制御装置70に対して、エンジンの作動要求信号が出力されれば、走行条件によってエンジンEGが停止している場合であっても、エンジンEGが作動する。また、要求信号出力手段50aからエンジン制御装置70に対して、エンジンEGの停止要求信号が出力されれば、ヒータコア14の熱源を確保するためにエンジンEGが作動して場合であっても、エンジンEGを停止させることができる。
次に、ステップS14では、制御周期τの間待機し、制御周期τの経過を判定するとステップS2に戻るようになっている。なお、本実施形態は制御周期τを250msとしている。これは、車室内の空調制御は、エンジン制御等と比較して遅い制御周期であってもその制御性に悪影響を与えないからである。これにより、車両内における空調制御のための通信量を抑制して、エンジン制御等のように高速制御を行う必要のある制御系の通信量を十分に確保することができる。
本実施形態の車両用空調装置1は、以上の如く作動するので、送風機12から送風された送風空気が、蒸発器13にて冷却される。そして蒸発器13にて冷却された冷風は、エアミックスドア19の開度に応じて、加熱用冷風通路16および冷風バイパス通路17へ流入する。
加熱用冷風通路16へ流入した冷風は、ヒータコア14およびPTCヒータ15を通過する際に加熱されて、混合空間18にて冷風バイパス通路17を通過した冷風と混合される。そして、混合空間18にて温度調整された空調風が、混合空間18から各吹出口を介して車室内に吹き出される。
この車室内に吹き出される空調風によって車室内の内気温Trが外気温Tamより低く冷やされる場合には、車室内の冷房が実現されており、一方、内気温Trが外気温Tamより高く加熱される場合には、車室内の暖房が実現されることになる。
この際、本実施形態の車両用空調装置1では、ステップS11にて説明したように、FACEモード以外の他の吹出口モード時で、かつ、冷却水温度TWがエンジンON水温よりも低い場合、および、FACEモード時で、かつ、PTCヒータ15が1本以上作動している場合に、エンジンEGを作動させる頻度を低下させるように、要求信号出力手段50aがエンジン制御装置70に対して作動停止信号を出力する。
従って、エンジン制御装置70が、例えば、冷却水温度を上昇させてヒータコア14の加熱能力を向上させるためにエンジンEGを作動させてしまう頻度を抑制することができる。つまり、エンジンEGの作動頻度を確実に低下させて、車両全体としての燃費を向上できる。
また、本実施形態の車両用空調装置1では、ステップS33にて説明したように、PTCヒータ15による吹出温上昇量ΔTptcを考慮して、エンジンOFF水温およびエンジンON水温を算出している。より詳細には、PTCヒータ15による吹出温上昇量ΔTptcが大きいほど、エンジンOFF水温およびエンジンON水温が小さくなるように演算している。これにより、PTCヒータ15による吹出温上昇量ΔTptcが大きいほど、エンジンEGの作動頻度を低下させることができるので、車両全体としての燃費を十分に向上できる。
一方、PTCヒータ15による吹出温上昇量ΔTptcが低下した場合には、エンジンOFF水温およびエンジンON水温を上昇させるように演算しているので、PTCヒータ15による吹出温上昇量ΔTptcが小さいほど、エンジンEGの作動頻度を増加させることができる。このため、PTCヒータ15の加熱能力が低下して、車室内を暖房するために不十分になっている場合には、冷却水の温度を上昇させてヒータコア14の加熱能力を上昇させることにより、送風空気の温度を上昇させて車室内の暖房を実現できる。その結果、燃費の悪化を十分に抑制しつつ、車室内の暖房を実現できる。
さらに、本実施形態の車両用空調装置1では、ステップS32にて説明したように、PTCヒータ15による吹出温上昇量ΔTptcにはPTC通過風量Vaが加味されているので、PTC通過風量Vaが低風量の場合、エンジンOFF水温およびエンジンON水温を大きく低減でき、省燃費効果を大きくできる。
さらに、このPTC通過風量Vaには吹出口モードおよびエアミックス開度SWが加味されているので、実際のPTCヒータ15を通過する風量とステップS32にて演算されるPTC通過風量Vaとの乖離を抑制できる。その結果、実際のPTCヒータ15の作動による吹出温上昇量とステップS32にて演算される吹出温上昇量ΔTptcとの乖離を抑制できるので、より確実に燃費を向上させることができる。
(他の実施形態)
本発明は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、以下のように種々変形可能である。
(1)上述の実施形態では、制御ステップS32において、数式F4を用いてPTCヒータ15による吹出温上昇量ΔTptcを算出した例を説明しているが、これに限定されるものではない。
例えば、PTCヒータ15から吹き出された直後の送風空気の温度Tbを検出する検出手段を設け、PTCヒータ15による吹出温上昇量ΔTptcを算出する際に、下記の数式F10を用いてもよい。
ΔTptc=Tb−(TW×0.8+TE×0.2)…(F10)
なお、0.8はヒータコア14の熱交換効率αの一例であり、0.2はヒータコア14からの吹出空気温度に対する蒸発器13からの吹出空気温度TEの寄与度βの一例である。
さらに、ヒータコア14から吹き出された直後の送風空気の温度Taを検出する検出手段を設け、PTCヒータ15による吹出温上昇量ΔTptcを算出する際に、下記の数式F11を用いてもよい。
ΔTptc=Tb−Ta…(F11)
これにより、実際の送風空気の温度に基づいてPTCヒータ15による吹出温上昇量ΔTptcを算出できるので、複雑なPTCヒータ15による吹出温上昇量ΔTptcの推定において演算誤差が出なくなる。このため、制御ステップS33において、エンジンON水温およびエンジンOFF水温の算出精度を向上できる。その結果、エンジンON水温を可能な限り低下させて、燃費向上に寄与できる。
(2)上述の実施形態では、本発明の車両用空調装置をハイブリッド車に搭載される車両用空調装置に適用したが、本発明は、ハイブリッド車に限らず、停止時にエンジンを自動停止するアイドリングストップ車、燃料電池車、電気自動車等に搭載される車両用空調装置にも適用可能である。
燃料電池車に搭載される車両用空調装置は、上述した車両用空調装置に対して、図1中のエンジンEGを燃料電池に変更し、ヒータコアが燃料電池の冷却水を熱源として送風空気を加熱するように変更し、エンジン制御装置を燃料電池制御装置に変更したものである。この場合、燃料電池が本発明における発熱機器に相当し、燃料電池の冷却水が本発明の熱媒体に相当し、燃料電池制御装置が本発明の発熱機器制御装置に相当する。
また、電気自動車に搭載される車両用空調装置は、上述した車両用空調装置に対して、図1中のエンジンEGを水加熱式電気ヒータに変更し、ヒータコアを水加熱式電気ヒータによって加熱された温水を熱源として送風空気を加熱するように変更し、エンジン制御装置を水加熱式電気ヒータの作動を制御する水加熱式電気ヒータ制御装置に変更したものである。この場合、水加熱式電気ヒータが本発明における発熱機器に相当し、水加熱式電気ヒータによって加熱された温水が本発明の熱媒体に相当し、水加熱式電気ヒータ制御装置が本発明の発熱機器制御装置に相当する。
(3)上述の実施形態では、補助加熱手段としてPTCヒータ15を採用した例を説明したが、補助加熱手段はこれに限定されず、例えば、抵抗加熱方式、誘電加熱方式等のヒータを採用することができる。
(4)上述の実施形態では、本発明の車両用空調装置を、ハイブリッド車両のうちエンジンEGおよび走行用電動モータの双方から直接駆動力を得て走行可能な、いわゆるパラレル型のハイブリッド車両に適用した例を説明しているが、本発明の車両用空調装置の適用はこれに限定されない。例えば、エンジンEGを発電機の駆動源として用い、発電された電力をバッテリに蓄え、さらに、バッテリに蓄えられた電力を供給されることによって作動する走行用電動モータから駆動力を得て走行する、いわゆるシリアル型のハイブリッド車両に適用してもよい。
EG エンジン(発熱機器)
14 ヒータコア(加熱手段)
15 PTCヒータ(補助加熱手段)
50a 要求信号出力手段
70 エンジン制御装置(発熱機器制御手段)

Claims (5)

  1. 内燃機関(EG)の冷却水を熱源として車室内へ送風される送風空気を加熱する加熱手段(14)と、
    前記加熱手段(14)にて加熱された前記送風空気をさらに加熱する補助加熱手段(15)と、
    前記内燃機関(EG)の作動を制御する内燃機関制御手段(70)に対して、前記内燃機関(EG)を作動させる作動要求信号を出力する要求信号出力手段(50a)と、
    前記車室内へ吹き出される空調風の温度のうち前記補助加熱手段(15)の作動が寄与した温度上昇量である吹出温上昇量(ΔTptc)を算出する吹出温上昇量算出手段(S32)とを備え、
    前記要求信号出力手段(50a)は、前記吹出温上昇量(ΔTptc)が増加するに伴って、前記内燃機関制御手段(70)に対して前記作動要求信号を出力する頻度を低下させることを特徴とする車両用空調装置。
  2. 前記内燃機関(EG)から流出する前記冷却水の基準冷却水温度を算出する基準冷却水温度算出手段(S33)を備え、
    前記要求信号出力手段(50a)は、前記内燃機関(EG)から流出する前記冷却水の冷却水温度(TW)が前記基準冷却水温度より低いときに、前記内燃機関制御手段(70)に対して前記作動要求信号を出力するようになっており、
    前記基準冷却水温度算出手段(S33)は、前記吹出温上昇量(ΔTptc)が増加するに伴って、前記基準冷却水温度を低下させることを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
  3. さらに、前記送風空気を送風する送風機(12)と、
    前記送風空気を前記車室内に吹き出す複数の吹出口(24〜26)と、
    前記複数の吹出口(24〜26)から吹き出される前記送風空気の吹出風量割合を切り替えることで、複数の吹出口モードを切り替える吹出口モード切替手段(24a〜26a)と、
    前記送風機(12)の稼働率および前記吹出口モードに基づいて、前記補助加熱手段(15)を通過する補助加熱手段通過風量(Va)を算出する補助加熱手段通過風量算出手段(S31、S32)とを備え、
    前記吹出温上昇量算出手段(S32)は、前記補助加熱手段通過風量(Va)に基づいて前記吹出温上昇量(ΔTptc)を算出することを特徴とする請求項1または2に記載の車両用空調装置。
  4. さらに、前記送風空気を送風する送風機(12)と、
    前記加熱手段(14)および前記補助加熱手段(15)を収容するケーシング(11)と、
    前記ケーシング(11)に形成され、前記送風空気が前記加熱手段(14)および前記補助加熱手段(15)を通過して流れる加熱用冷風通路(16)と、
    前記ケーシング(11)に形成され、前記送風空気が前記加熱手段(14)および前記補助加熱手段(15)をバイパスして流れる冷風バイパス通路(17)と、
    前記加熱用冷風通路(16)を流れる前記送風空気と、前記冷風バイパス通路(17)を流れる前記送風空気との風量割合を変化させて前記送風空気の温度を調整する温度調整手段(19)と、
    前記温度調整手段(19)の目標開度(SW)を決定する目標開度決定手段(S5)と、
    前記送風機(12)からの送風量および前記目標開度(SW)に基づいて、前記補助加熱手段(15)を通過する前記補助加熱手段通過風量(Va)を算出する補助加熱手段通過風量算出手段(S31、S32)とを備え、
    前記吹出温上昇量算出手段(S32)は、前記補助加熱手段通過風量(Va)に基づいて前記吹出温上昇量(ΔTptc)を算出することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
  5. 走行用動力を出力するために用いられるエネルギー源を消費して発熱を伴いながら作動する発熱機器(EG)によって加熱された熱媒体を熱源として、車室内へ送風される送風空気を加熱する加熱手段(14)と、
    前記送風空気加熱手段(14)にて加熱された前記送風空気をさらに加熱する補助加熱手段(15)と、
    前記発熱機器(EG)の作動を制御する発熱機器制御手段(70)に対して作動要求信号を出力する要求信号出力手段(50a)と、
    前記車室内へ吹き出される空調風の温度のうち前記補助加熱手段(15)の作動が寄与した温度上昇量である吹出温上昇量(ΔTptc)を算出する吹出温上昇量算出手段(S32)とを備え、
    前記要求信号出力手段(50a)は、前記吹出温上昇量(ΔTptc)が増加するに伴って、前記発熱機器制御手段(70)に対して前記作動要求信号を出力する頻度を低下させることを特徴とする車両用空調装置。
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