JP2011058094A - 酸化及び腐蝕耐性並びに延性合金組成物とその作成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】厳しい環境下で金属表面の酸化及び/又は腐蝕耐性と延性のバランスを取り、それらを向上させる簡単なシステム及びプロセスを提供すること。
【解決手段】 MCrAlY(ただし、Mはコバルト(Co)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)及びそれらの混合物からなる群から選択される。)と約10重量%以下のゲルマニウムとを含む組成物が提供される。その組成物によってコーティングされた被覆物品も提供される。
【選択図】 図3
【解決手段】 MCrAlY(ただし、Mはコバルト(Co)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)及びそれらの混合物からなる群から選択される。)と約10重量%以下のゲルマニウムとを含む組成物が提供される。その組成物によってコーティングされた被覆物品も提供される。
【選択図】 図3
Description
本発明は、高温環境で使用するのに適する金属組成物に関する。特に、本発明は、それ自体部品として、又は金属部品を酸化及び高温腐蝕から保護するのに使用することができる金属合金組成物を提供する。より具体的には、本発明は、合金の酸化及び高温腐蝕耐性並びに延性を同時に改良するゲルマニウムを含む金属合金組成物を提供し、それによって、延性(歪許容度)を犠牲にすることなくより良い温度及び腐蝕耐性を提供する。
タービンエンジンなどの厳しい環境では、金属オーバーレイ又はボンドコーティング(即ち、MCrAlY及び/又はアルミナイド)及び遮熱コーティング(TBC)が、高温ガスの熱及び腐蝕環境に対して下層の金属合金基材を保護する。TBCが存在すると、高温燃焼ガスと金属合金基材との間に熱降下障壁を形成し、熱、腐蝕及び/又は酸化が引き起こす可能性のある基材への損傷を防止、緩和、又は低減することができる。
酸化及び/又は腐蝕耐性を改善するためにAl、Si、Zr、Ptなどの合金元素がγ+β相を含むMCrAlY合金(M=Co、Ni、又はFe)に加えられると、新たなMCrAlYの歪対亀裂耐性(又は延性)がしばしば低下することが知られている。延性が低下すると、タービンが室温と高い作動温度との間を繰り返すことにより低温で疲労亀裂を生じることがある。
Creech他の米国特許第7157151号は、上質のコーティングシステムを金属基材へ適用するためのコーティングシステム及びプロセスを記載している。そのコーティングシステムは2層以上のコーティング層を備え、第1層はMCrAl(Y、Hf)タイプのコーティングを有して第2のコーティング組成物によって被覆され、その第2のコーティング組成物は、MCrAl(Y、Hf)とは異なる金属組成物を有し、白金、ケイ素を含む組成物、白金、ケイ素、アルミニウムを含む組成物、白金、ケイ素、クロムを含む組成物、アルミニウム、ケイ素を含む組成物及びアルミニウム、ケイ素、クロムを含む組成物の1種以上を有し、各々、クロム、ハフニウム、ランタン、マンガン、イットリウム及びそれら金属の混合物の1種以上を適宜組合せる。更に、金属組成物中の白金は、別の高価な貴金属によって全体を又は部分的に交換することができる。その結果得られるコーティング組成物は、次いで、拡散型多層耐蝕コーティングを生成するために熱処理される。合金化添加物に伴う難点は、有益な元素がMCrAlY材に添加されると、合金の室温延性が低下し、疲労亀裂が発生し、コーティングの厚みを貫通して基材に伝播し易くなることである。
従って、厳しい環境下で金属表面の酸化及び/又は腐蝕耐性と延性のバランスを取り、それらを向上させる簡単なシステム及びプロセスを実現することが必要である。本発明はその必要性を充足する。
本発明によれば、MCrAlYにゲルマニウムを10重量%以下の量で添加すると、MCrAlY−ゲルマニウム組成物は、ゲルマニウムを含まないMCrAlYよりも酸化及び腐蝕耐性が改善されることが判明した。そのMCrAlYでは、Mは、Co、Ni、Fe及びそれらの混合物からなる群から選択される。MCrAlYにゲルマニウムを添加すると、ゲルマニウムを含まないMCrAlYの延性と比較して、延性が全く低下しないことも判明した。MCrAlY組成物にゲルマニウムを添加すると、セラミック遮熱コーティング(TBC)の下に金属ボンドコートとして使用したとき、TBCの寿命を向上させることが更に判明した。更に、La、Ce、Hf、Ru、Re、Pd及びAlなど(それらに限定されないが)の他の有益な元素を更に添加することによって、MCrAlYGe組成物のより良好な特性を最適化することができる。
一態様では、MCrAlY(ただし、Mはコバルト(Co)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)及びそれらの混合物からなる群から選択される。)と10重量%以下のゲルマニウムとを含む合金組成物が提供される。
別の態様では、金属基材と、金属基材上に存在するコーティングとを備える被覆物品が提供され、そのコーティングは約10重量%以下の量のゲルマニウムを含むMCrAlY合金を含む。被覆物品の別の実施形態では、Hf及びPdも存在することができる。
本発明は、上記の米国特許第7157151号の多重コーティング層とは対照的に、単一の延性金属コーティングにおいて酸化及び腐蝕耐性並びにTBCの寿命の向上を達成する。
第1の態様では、本発明は、1)タービン部品などの金属基材に用いるのに適し、2)部品自体に使用するのに適した組成物を提供する。その組成物は、MCrAlYを含み、Mは、Co、Ni、Fe及びそれらの混合物、並びに約10重量%以下の量のゲルマニウムからなる群から選択される。Geを含む組成物は、Hf、Pd及びAlなどの追加の有益な1種以上の元素を更に有してもよい。
別の態様では、本発明は、金属基材と、金属基材上に存在するコーティングとを備える被覆物品を提供し、そのコーティングは約10重量%以下の量のゲルマニウムを含むMCrAlY合金を含む。
本発明によれば、MCrAlY中にゲルマニウムが存在すると延性が全く低下することなく耐酸化性が改善されることが発見された。これは又、周期表の同じ族に属するのでGeと同様に作用すると通常みなされるSiを含むコーティングより優れた著しい改善になる。
別の態様では、ゲルマニウムが10重量%以下の量で存在すると、GeなしのMCrAlY合金に加えると通常著しい延性低下を生じる他の有益な元素を大幅に添加することができることが判明した。その種有益な元素の例は、Al、Cr、Si、Mo、Hf、Ce、La、Mn、Y、貴金属及びそれらの混合物である。
別の態様では、本発明の組成物は、約1重量%の量のゲルマニウム、約12重量%の量のアルミニウム、約32重量%の量のニッケル、約22重量%の量のクロム、約0.5重量%の量のイットリウム及び残部のCoから構成される。
更に別の態様では、本発明の組成物は、Al、Cr、Si、Mo、Ce、Hf、La、Mn、Y、貴金属及びそれらの混合物から選択される元素を含む。
本発明の組成物は又、MCrAlYXを含むことができ、Mは、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)及びそれらの混合物から選択され、Xは、Ge、Hf及びPdからなる群から選択される。Pdは0.5〜10重量%の量で存在することができ、Hfは0.01〜0.6重量%の量で存在することができ、Yは0.01〜1重量%の量で存在することができる。
別の態様では、本発明の組成物は、MCrAlY組成物、ゲルマニウム、並びに、ハフニウム、ジルコニウム、チタン及びそれらの化合物から選択される4B族の金属、並びに、ルテニウム、レニウム、白金、パラジウム、ロジウム及びそれらの化合物から選択される貴金属を含み、Mは、ニッケル、又は、ニッケルと、コバルト、鉄及びコバルトと鉄との化合物から選択される金属との化合物であり、イットリウムの量は、組成物全体重量基準で0.1〜5重量%であり、ゲルマニウムの量は、組成物全体重量基準で0.1〜10重量%であり、4B族金属の量は、組成物全体重量基準で0〜3重量%であり、貴金属は0〜約10重量%であり、アルミニウムの量は、組成物全体重量基準で5〜20重量%である。その組成物は、通常、16〜50重量%のコバルト、20〜35重量%のニッケル、15〜25重量%のクロム、7〜15重量%のアルミニウム、0.15〜2重量%のイットリウム、0.1〜1重量%のハフニウム、1〜10重量%のパラジウム及び0.5〜2.5重量%のゲルマニウムを含み、ここで重量%は組成物全体重量が基準である。
本発明の組成物は、当業者には周知のように、従来の方法に用いることができる。通常、その組成物は、VPS、HVOF、EBPVD、ダイレクトプリンティング/ライティング、スパッタリング、スラリコーティング、ペイントスプレイ及び/又はめっき技法によってオーバーレイコーティングとして用いられ、それによって、タービン部品の耐酸化性を向上させることができる。或いは、その組成物は、遮熱コーティング(TBC)の下に、TBCの寿命を犠牲にすることなくボンドコートして適用することができ、場合によってはTBC寿命を向上させることもできる。
更に、初期の評価に基づけば、ボンドコートにGeを添加しても、遮熱コーティング(TBC)の寿命に悪影響を及ぼさないことが判明した。従って、ゲルマニウムを含む組成物は、コーティング、並びに超合金部品として有用である。
図を具体的に参照すると、図1は、基準MCrAlYコーティング、並びに、1重量%のSi及び1重量%のGeを添加した同コーティングの1900°Fで2000時間の試験後の金属学的断面である。暗いβ相の減損(即ち、アルミニウムを含むβ相の量とコーティングの耐酸化性とは比例関係にある)は、Geを添加したコーティングが、添加物のない基準コーティング又は1重量%Siを添加したコーティングに比較して最も小さいことが分かる。
図2は、基準CoNiCrAlYへの合金添加物SiとGeとの歪許容度(即ち延性)への影響を比較したグラフである。Geを添加しても室温の延性が低下せず、好ましい添加であることが分かる。
図3は、基準及び変化型MCrAlYコーティングを硫酸環境(60%CaSO4+20%MgSO4+15%Na2SO4+5%K2SO4)中、1800°Fで2週間試験した高温耐蝕性の比較を示している。Geを添加すると基準MCrAlYの高温耐蝕性が向上し、同量のケイ素を添加すると耐蝕性が低下することが明らかである。図3は又、Geを含む合金のより良好な耐蝕性を、更に2%のAlを添加することによって更に向上させることができることを示す。
図4は、ボンドコートへのGeの添加がTBCの寿命に及ぼす影響を示す。2000°Fに45分保持する2000°Fでの熱サイクル試験において、TBCの寿命は、Geの量が増加すると改善された。
本発明が、最も実際的で好ましい実施形態であると現在考えられるものに関して説明されてきたが、本発明は、開示された実施形態に限定されるのではなく、逆に、添付の特許請求の範囲の主旨及び範囲に含まれる様々な変更形態及び同等な構成を包含するものであることを理解されたい。
Claims (15)
- MCrAlY(ただし、Mはコバルト(Co)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)及びそれらの混合物からなる群から選択される。)と10重量%以下のゲルマニウムとを含む組成物。
- MがNiである、請求項1記載の組成物。
- MがCoである、請求項1記載の組成物。
- MがFeである、請求項1記載の組成物。
- MがNi及びCoである、請求項1記載の組成物。
- MがFe、Ni及びCoである、請求項1記載の組成物。
- ゲルマニウムが1重量%の量で存在する、請求項1記載の組成物。
- ゲルマニウムが1重量%の量で存在し、アルミニウムが12重量%の量で存在し、ニッケルが32重量%の量で存在し、クロムが22重量%の量で存在し、イットリウムが0.5重量%の量で存在し、残部がCoである、請求項1記載の組成物。
- Al、Cr、Si、Mo、Ce、Hf、La、Mn、Y、貴金属及びそれらの混合物からなる群から選択される元素を更に含む、請求項1記載の組成物。
- MCrAlYXを含む組成物(ただし、Mは、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)及びそれらの混合物からなる群から選択され、XはGe、Hf、Pd及びそれらの混合物からなる群から選択される。)。
- Pdが0.5〜10重量%の量で存在し、Hfが0.01〜0.6重量%の量で存在し、Yが0.01〜1重量%の量で存在する、請求項10記載の組成物。
- MCrAlY(ただし、Mはコバルト(Co)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)及びそれらの混合物からなる群から選択される。)と10重量%以下のゲルマニウムとを含む組成物で金属基材を被覆してなる被覆物品。
- Hf及びPdが存在する、請求項12記載の被覆物品。
- MCrAlY組成物と、
ゲルマニウムと、
ハフニウム、ジルコニウム、チタン及びそれらの化合物からなる群から選択される第4B族の金属と、
ルテニウム、レニウム、白金、パラジウム、ロジウム及びそれらの化合物からなる群から選択される貴金属と
を含む組成物であって、
Mが、ニッケル、又は、ニッケルと、コバルト、鉄及びコバルトと鉄との化合物若しくはコバルトとニッケルとの化合物からなる群から選択される金属との化合物であり、
イットリウムの量が、組成物全体重量基準で0.1〜5重量%であり、
ゲルマニウムの量が、組成物全体重量基準で0.1〜10重量%であり、
4B族金属の量が、組成物全体重量基準で0〜3重量%であり、
貴金属が0〜10重量%であり、
アルミニウムの量が、組成物全体重量基準で5〜20重量%である
組成物。 - 16〜50重量%のコバルト、20〜35重量%のニッケル、15〜25重量%のクロム、7〜15重量%のアルミニウム、0.15〜2重量%のイットリウム、0.1〜1重量%のハフニウム、1〜10重量%のパラジウム及び0.5〜2.5重量%のゲルマニウムを含み、ここで重量%は組成物全体重量が基準である、請求項1記載の組成物。
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