JP2011058078A - スパッタリングターゲットとそれを用いたTa−W合金膜および液晶表示装置 - Google Patents

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敏也 坂本
Yukinobu Suzuki
幸伸 鈴木
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Abstract

【課題】Ta−W系スパッタリングターゲットにおいて、面内の抵抗ばらつきが小さいと共に、下地膜との密着力に優れたTa−W合金膜を再現性よく得ることを可能にする。
【解決手段】Ta−W系スパッタリングターゲットは、0.05〜2質量%の範囲のWを含有し、残部が実質的にTaからなると共に、ターゲット全体としてのW含有量のばらつきが±20%以内とされている。このようなTa−W系スパッタリングターゲットを用いて成膜したTa−W合金膜は、例えばTFD素子1の第1の電極3に適用される。TFD素子1は第1の電極3/陽極酸化膜4/第2の電極5によるMIM構造を有し、液晶表示装置のスイッチング素子等に適用される。
【選択図】図1

Description

本発明はTa−W合金系のスパッタリングターゲットとそれを用いたTa−W合金膜および液晶表示装置に関する。
近年、各種の電子機器に利用されている液晶表示装置(LCD)においては、薄膜ダイオード(TFD)や薄膜トランジスタ(TFT)等のスイッチング素子が用いられている。このようなスイッチング素子の具体的な構造としては、第1の電極となる金属膜の表面に陽極酸化等で酸化膜を絶縁膜として形成し、さらにその上に第2の電極となる金属膜を形成したMIM構造の薄膜ダイオードが知られている(特許文献1参照)。
TFDを構成する金属膜は一般にスパッタ法を適用して形成されており、その形成材料にはTa、Cr、Al、Ag等が用いられている。このような金属材料を用いたTFDの形態としては、Ta/Ta酸化物/Crの積層構造やTa/Ta酸化物/Agの積層構造等が知られている。小型LCDにはより一層の小型化、高精細化、低コスト化が求められており、それに見合った技術として抵抗率が小さい金属膜が要求されている。このような金属膜を実現する上で、Taに代えてTa−W合金膜が用いられている。
すなわち、Taは化学的に活性であるため、安定な特性を有するTa膜を作製することが難しく、例えば残留ガスとの反応が活発であるため、真空度の高い状態で成膜する必要があるという難点を有する。また、Ta膜はスパッタ条件によって体心立方晶となるα−Ta相と正方晶となるβ−Ta相の2つの異なる結晶構造ができるため、α相とβ相とが混合したTa膜となることが一般的である。しかし、β−Ta相は抵抗率が大きいため、α相とβ相とが混合したTa膜では抵抗率の低減に限界がある。そこで、抵抗率が小さいα−Ta相単相のTa膜の作製が望まれるが、スパッタ条件の点から容易ではない。
これに対して、TaにWを添加したTa−W合金膜は、比較的スパッタ条件に左右されることなく、α−Ta相(正方晶)を形成することが可能であるため、低抵抗な膜を再現性よく得ることができる。このようなTa−W合金膜を得るためのスパッタリングターゲットとしては、半導体デバイスの絶縁基板と配線層との間の拡散防止層(バリア材)の形成用であるものの、例えば特許文献2に49原子%以下(好ましくは5〜40原子%)のW等の粉末と51原子%以上のTa粉末とを、700℃以上の温度下にて50MPa以上の圧力で加圧焼結したスパッタリングターゲットが記載されている。
しかしながら、従来のTa−W系ターゲットを用いて成膜したTa−W合金膜(スパッタ膜)は、Ta膜に比べて面内の抵抗ばらつきが大きく、部分的に抵抗の大きい箇所と小さい箇所が生じやすいという問題を有している。さらに、下地膜との密着力が弱い箇所が発生したり、またスパッタリング時のダスト発生率が高い等、Ta−W合金膜の製造歩留まりが悪いことが問題となっている。このため、Ta−W合金膜の低抵抗特性を生かしつつ、面内の抵抗ばらつきを低減することができ、かつ下地膜との密着力の向上やダスト発生率の低減を実現したTa−W合金系のスパッタリングターゲットが求められている。
特開2002−043657号公報 特開2000−355761号公報
本発明の目的は、面内の抵抗ばらつきが小さいと共に、下地膜との密着力に優れたTa−W合金膜を再現性よく得ることを可能にしたスパッタリングターゲット、さらにスパッタリング時のダスト発生率を低減したスパッタリングターゲット、およびそれを用いて成膜したTa−W合金膜を提供することにある。さらに、そのようなTa−W合金膜をMIM構造の薄膜ダイオードに適用することによって、特性や信頼性等を向上させた液晶表示装置を提供することを目的としている。
本発明の態様に係るスパッタリングターゲットは、0.05〜2質量%の範囲のWを含有し、残部が実質的にTaからなるスパッタリングターゲットであって、ターゲット全体としてのW含有量のばらつきが±20%以内であることを特徴としている。
本発明の態様に係るTa−W合金膜は、本発明の態様に係るスパッタリングターゲットを用いてスパッタ成膜してなるTa−W合金膜であって、0.05〜2質量%の範囲のWを含有し、残部が実質的にTaからなることを特徴としている。
本発明の態様に係る液晶表示装置は、スイッチング素子として金属膜/酸化膜/金属膜構造の薄膜ダイオードを具備する液晶表示装置において、前記薄膜ダイオードを構成する少なくとも一方の前記金属膜は本発明の態様に係るTa−W合金膜からなることを特徴としている。
本発明の態様に係るスパッタリングターゲットは、W含有量を制御すると共に、W含有量のばらつきを低減しているため、Wの面内分布を均一化したTa−W合金膜を再現性よく得ることが可能となる。これによって、Ta−W合金膜の面内の抵抗ばらつきを小さくすると共に、下地膜との密着力を高めることができる。そして、このようなTa−W合金膜を適用したMIM構造の薄膜ダイオードをスイッチング素子として使用することによって、特性や信頼性を向上させた液晶表示装置を提供することが可能となる。
本発明の実施形態によるTFD素子の構成を示す断面図である。
以下、本発明を実施するための形態について説明する。本発明の実施形態によるスパッタリングターゲットはTa−W材の焼結体や溶解材(溶解材に熱間加工や冷間加工等を施したものを含む)等からなる。スパッタリングターゲットを構成するTa−W材は、0.05〜2質量%の範囲のWを含有し、残部が実質的にTaからなる組成を有している。なお、Ta−W材は付随的な不純物を含有することが許容される。このようなTa−W材の組成は、スパッタ成膜した膜(Ta−W合金膜)の低抵抗化と下地膜との密着力向上とを両立させるものである。
すなわち、Ta−W材におけるW含有量が0.05質量%未満であると、純Taと同様にスパッタ条件によっては一部正方晶のβ−Ta相が形成されるため、スパッタ膜(Ta−W合金膜)の電気抵抗が高くなる。言い換えると、Wを0.05質量%以上含有するTa−W材からなるスパッタリングターゲットを用いることによって、低抵抗のα−Ta相に対する高抵抗のβ−Ta相の混入量が少ないTa−W合金膜、すなわち低抵抗化したTa−W合金膜を再現性よく得ることが可能となる。一方、W含有量が2質量%を超えるとスパッタ膜の内部応力が急激に増加して、下地膜との密着力が低下する。これはスパッタ膜(Ta−W合金膜)をTFD素子等の電子素子に適用した際に、TFD素子等の機能や信頼性を低下させる要因となる。
この実施形態のスパッタリングターゲットを用いてスパッタ成膜してなるTa−W合金膜は、上記したスパッタリングターゲットの組成に基づいて、0.05〜2質量%の範囲のWを含有し、残部が実質的にTaからなる組成を有する。そして、このようなW含有量を満足するTa−W合金膜は、上述したように低抵抗でかつ下地膜との密着力に優れたものとなる。これはスパッタ膜(Ta−W合金膜)をTFD素子等の電子素子に適用する際に有効に機能する。スパッタリングターゲットおよびそれを用いて成膜したTa−W合金膜のW含有量は0.1〜1質量%の範囲とすることが好ましく、さらに好ましくは0.2〜0.7質量%の範囲である。
上述したW含有量を満足するTa−W系スパッタリングターゲットは、ターゲット全体としてのW含有量のばらつきが±20%以内とされている。スパッタリングターゲット中のW含有量のばらつきは、スパッタ膜(Ta−W合金膜)におけるWの面内分布に直に反映される。従って、スパッタリングターゲット中のW含有量のばらつきが大きいとスパッタ膜のW組成が部分的に不均一になり、抵抗の異なる箇所が形成される。TFD素子等の電子素子の素子機能に支障を及ぼさないW含有量のばらつき(ターゲット全体としてのW含有量のばらつき)は±20%以内であり、より好ましくは±10%以内である。
そこで、この実施形態のスパッタリングターゲットでは、ターゲット全体としてのW含有量のばらつきを±20%以内としている。このようなスパッタリングターゲットを用いることによって、抵抗のばらつきが小さいスパッタ膜(Ta−W合金膜)を再現性よく得ることが可能となる。ターゲット全体としてのW含有量のばらつきは±10%以内とすることがさらに好ましい。ここで、スパッタリングターゲットにおけるW含有量のばらつきは、後述する方法にしたがって測定したW含有量の各測定値(17点の測定点の各測定値)とそれらの平均値から、[(平均値−各測定値のうち平均値との差が最大の測定値)/平均値]×100(%)の式に基づいて求めた値を示すものとする。
さらに、この実施形態のスパッタリングターゲットにおいて、Ta−W材の平均結晶粒径は200μm以下とすることが好ましい。Ta−W系スパッタリングターゲットの平均結晶粒径が200μmを超えると、スパッタリング時にダストが発生しやすくなり、成膜した膜中のダスト混入量が増大して膜不良の原因となる。平均結晶粒径は150μm以下とすることがより好ましい。また、平均結晶粒径が200μm以下であっても、Ta−W系スパッタリングターゲット中の結晶粒径のばらつきが大きいとダスト発生の一因となるため、ターゲット全体としての結晶粒径のばらつきは±50%以内とすることが好まく、より好ましは±30%以内である。なお、結晶粒径のばらつきはW含有量のばらつきと同様にして求めるものとする。
この実施形態のスパッタリングターゲットにおいて、ターゲット全体としてのW含有量のばらつき、平均結晶粒径およびそのばらつきは、以下のようにして求めるものとする。まず、ターゲットが円盤状であれば放射状に8等分線を引き、ターゲットの中心部1箇所、ターゲットの外周から10mm内側の各箇所(8箇所)、中心部と外周部の中間の各箇所(8箇所)の計17箇所から試料を採取する。角型のターゲットであれば、四隅と各辺の中心に放射状に線を引き、同様に計17箇所から試料を採取する。各試料のW含有量をICP発光分析装置を用いて測定し、これら各試料のW含有量(各測定値)とそれらの平均値から、上記した式:[(平均値−各測定値のうち平均値との差が最大の測定値)/平均値]×100(%)に基づいて、W含有量のばらつきを求める。ターゲットのW含有量は上記した平均値を示すものとする。
また、平均結晶粒径は上記した計17箇所から採取した各試料について、光学顕微鏡あるいは走査型電子顕微鏡を用いて、結晶粒径が最大10mm程度になる倍率で観察像を撮影し、30×30mmの範囲を任意に指定して大きい結晶粒から50〜200個を選択する。エッチング処理は試料の表面を研磨し、HF:HNO3:H2Oの混合溶液を使用して行うことが好ましい。個々の結晶粒径は長径と短径の平均値とする。1つの試料から選択した50〜200個の結晶粒から平均粒径を算出し、同様に計17個の試料の平均粒径を算出する。これら17個の試料の平均粒径をさらに平均した値を、スパッタリングターゲットの平均結晶粒径とする。結晶粒径のばらつきは、各試料の結晶粒径(50〜200個の結晶粒から算出した平均粒径)とそれらの平均値(平均結晶粒径)から、[(平均結晶粒径−各試料の結晶粒径のうち平均結晶粒径との差が最大の結晶粒径)/平均結晶粒径]×100(%)の式に基づいて求めるものとする。
上述した実施形態のTa−W系スパッタリングターゲットは、粉末冶金法や溶解法等を適用して作製することができる。粉末冶金法を適用する場合には、まず所定の純度を有するTa粉末とW粉末とを所望の組成比となるように配合し、ボールミル等の混合装置を用いて粉砕、混合する。混合方式は乾式および湿式のどちらでもよいが、工程が簡便な乾式混合を適用することが好ましい。使用する混合装置の容器材質やボール等のメディア材質は、作製するスパッタリングターゲットが所望の純度になれば特に限定されるものではない。ただし、混合時間は各原料粉末の混合状態、ひいてはW含有量のばらつきに大きく影響するため、例えばボールミルによる混合時間は24時間以上とすることが好ましく、さらに好ましくは36時間以上である。
さらに、TaとWの各原料粉末の粒子径もスパッタリングターゲットのW含有量のばらつきや平均結晶粒径およびそのばらつきに影響を及ぼす。W含有量のばらつきが小さく、かつ平均結晶粒径が200μm以下のスパッタリングターゲットを得るためには、平均粒子径が100μm以下のTa粉末およびW粉末を使用することが好ましい。これら各原料粉末の平均粒子径は50μm以下であることがより好ましい。例えば、平均粒子径が100μmを超える原料粉末を使用して、密度95%以上のスパッタリングターゲットを作製すると、ターゲット中のW含有量にばらつきが生じやすくなると共に、焼結時に粒成長することでターゲットの平均結晶粒径が200μmを超えやすくなる。
次に、上述したTa粉末とW粉末との混合粉末に、常圧焼結、ホットプレス、HIP等を施して焼結体を作製する。なお、これら焼結方法のうちでも、比較的高密度で高純度品が得られやすいHIPが適している。焼結の際の昇温速度は120℃/時間以下とすることが好ましい。昇温速度を120℃/時間以下とすることで焼結時の内部温度が均一になり、これによりターゲットの結晶粒径のばらつきを抑えることができる。焼結時の昇温速度は100℃/時間以下とすることがより好ましい。また、焼結後の冷却速度が速すぎると焼結体に割れやひび等の欠陥が生じやすくなるため、冷却速度は200℃/時間未満とすることが好ましく、より好ましくは100℃/時間未満である。
溶解法を適用する場合、ターゲット中のW含有量のばらつきを低減するために、上記した粉末冶金法と同様の方法で作製した焼結体を溶解原料として用いることが好ましい。溶解原料としての焼結体は高密度にする必要がないため、低コストの常圧焼結を適用することができる。このような焼結体を高周波溶解、EB溶解、アーク溶解等を適用して溶解インゴットを作製する。なお、これらのうち比較的に短時間でインゴットを作製することができ、また高純度品が得られやすいEB溶解を適用することが好ましい。
溶解インゴットは結晶粒径が粗大であるため、結晶粒径を微細にするために熱間加工や冷間加工等を施し、さらに再結晶化熱処理を行うことが好ましい。例えば、溶解インゴットの平均結晶粒径を200μm以下にするためには、加工率が50%以上の鍛造(圧延)加工を行い、さらに再結晶化のために1000〜1500℃の温度で1時間以上の熱処理を行うことが好ましい。1500℃を超える温度で熱処理を施すと、粒成長が促進されることで結晶粒が粗大化しやすくなる。再結晶化のための熱処理温度は1200℃以下とすることがより好ましい。上記した加工の回数は結晶粒径のばらつきに影響する。結晶粒径のばらつきを低減するためには、上記した操作を2回以上行うことが好ましい。
上述した粉末冶金法による焼結体や溶解法によるインゴットは、乾式または湿式の機械加工により所望の寸法に加工され、さらに必要に応じてスパッタリング中の熱を冷却するためのバッキングプレートに接合される。このようにして、実施形態のスパッタリングターゲットが得られる。バッキングプレートの材質はAlやCuが一般的である。また、バッキングプレートとの接合には、一般的な拡散接合やソルダ接合等を適用することができる。ソルダ接合を適用する場合には、公知のIn系やSn系の接合材を介してバッキングプレートと接合する。
また、スパッタリングターゲットの形状は、使用するスパッタリング装置により適宜に選択される。大型ターゲットの場合には、複数のターゲット片を例えば拡散接合して所望形状のターゲットとしてもよい。ただし、大面積のLCD等の形成に用いられる大型ターゲットを作製する場合には、溶解法で一括形成することがスパッタ時のダスト発生を抑制する上で好ましい。また、目的とするスパッタリングターゲットによって、必要とされる純度、組織、面方位等が異なることがあるため、これら要求特性に応じて製造方法を適宜設定することができる。
上述した実施形態のTa−W系スパッタリングターゲットは、例えば液晶表示装置のスイッチング素子等に適用されるTFD素子のような半導体素子の形成に好適に用いられるものである。具体的には、TFD素子の電極形成用として好適である。すなわち、実施形態のTa−W系スパッタリングターゲットをスパッタ成膜してなるTa−W合金膜は、前述したように膜組成(0.05〜2質量%W−Ta)とWの均一な面内分布等に基づいて、低抵抗でかつ下地膜との密着力に優れることから、金属膜/酸化膜/金属膜構造(MIM構造)を有するTFD素子の少なくとも一方の金属膜、特に基板上に形成される下側の金属膜として好適に用いられるものである。
この実施形態のTa−W合金膜は、具体的には1mΩ・m以下の抵抗率を有し、かつ抵抗率のばらつきが0.2mΩ・m以下という特性を有する。抵抗率のばらつきは0.15mΩ・m以下であることがより好ましく、さらに好ましくは0.1mΩ・m以下である。このような特性を有するTa−W合金膜を適用したTFD素子、さらにそのようなTFD素子をスイッチング素子として使用した液晶表示装置によれば、素子機能や信頼性、ひいては表示特性や信頼性等の向上を図ることができる。ここで、Ta−W合金膜の抵抗率は4点式抵抗計を使用して測定する。具体的には、スパッタリングターゲットと同様に計17箇所の抵抗率を測定し、その平均値をTa−W合金膜の抵抗率とする。また、抵抗率のばらつきは17箇所の抵抗率の最大値と最小値の差を示すものとする。
図1は本発明の実施形態によるTFD素子、すなわち上述した実施形態のTa−W系スパッタリングターゲットを用いて成膜したTa−W合金膜を適用したTFD素子の構成を示す断面図である。図1に示すTFD素子1は、ガラス基板等からなる基板2上に形成された第1の電極3を有しており、その表面には絶縁膜として陽極酸化膜4が形成されている。第1の電極3には、上述した実施形態のTa−W系スパッタリングターゲットを用いて成膜したTa−W合金膜が適用される。Ta−W合金膜からなる第1の電極3は陽極酸化しやすく、その表面に絶縁膜としての酸化膜4を形成しやすいという利点を有する。さらに、非線形特性が大きいTFD素子1を得ることができる。
上述したように、Ta−W合金膜からなる第1の電極3の表面には、Ta−W合金膜を陽極酸化して形成した酸化膜4が絶縁膜として形成されている。このような陽極酸化膜4上には第2の電極5となる金属膜が形成されており、これらによってMIM構造を有するTFD素子1が構成されている。第2の電極5としての金属膜には、例えばCr、Al、Ag、もしくはこれらの合金等を適用することができる。このような構成を有するTFD素子1をスイッチング素子として用いることによって、本発明の一実施形態による液晶表示装置が構成される。すなわち、この実施形態の液晶表示装置は、図1に示すTFD素子1をスイッチング素子として具備するものである。
次に、本発明の具体的な実施例およびその評価結果について述べる。
(実施例1〜3、比較例1〜3)
まず、原料粉末として純度99.9%、平均粒子径50μmのTa粉末と純度99.9%、平均粒子径20μmのW粉末とを用意した。これらTa粉末とW粉末とを表1に示す組成比となるように調合した後、樹脂製のボールミル容器にアルミナボールと共に投入して36時間混合した。得られた各混合粉末を真空中にて1500℃×5時間の条件で常圧焼結した。これら各焼結体を溶解原料として用いて、EB溶解炉で溶解を行ってインゴットを作製した。得られた各インゴットに加工率50%の冷間鍛造と1200℃×5時間の条件による再結晶化熱処理を交互に2回行った後、機械加工により円盤状(直径5インチ×厚さ5mm)に加工した。このような各円盤をソルダ接合法で無酸素銅製バッキングプレートと接合して、目的とするスパッタリングターゲットをそれぞれ作製した。
なお、表1中の比較例1、2はスパッタリングターゲットのW含有量を本発明の範囲外とする以外は実施例1と同様にして作製したものである。比較例1のスパッタリングターゲットのW含有量は0.03質量%、比較例2のスパッタリングターゲットのW含有量は2.5質量%とした。また、比較例3はTa粉末とW粉末の混合時間を12時間とする以外は実施例2と同様にして作製したものである。
上述した実施例1〜3および比較例1〜3による各Ta−W系スパッタリングターゲットを用いて、背圧5×10-4Pa、出力DC200Wの条件下で直径5インチのガラス基板上にスパッタリングし、厚さ約100nmのTa−W合金膜を2枚作製した。1枚は抵抗率測定用とし、もう1枚は下地(ガラス基板)との密着力測定用とした。また、スパッタリングターゲットのW含有量(平均値)とそのばらつき、平均結晶粒径とそのばらつきは、成膜後の各スパッタリングターゲットから試料を切り出して評価した。測定方法は前述した通りである。それらの結果を表1に示す。
下地との密着力はピーリングテストにより評価した。ピーリングテストは、Ta−W合金膜の中心部に計25個の5mm角の部位をダイヤモンドカッタで形成し、これら各部位にスコッチテープを貼り付け、それを剥がすことにより実施した。スコッチテープと共に合金膜が剥がれた部位(一部も同様)の個数に基づいて密着力を評価した。剥がれた部位が0個の場合を○、1〜2個の場合を△、3個の以上の場合を×とした。
Figure 2011058078
表1から明らかなように、比較例1によるW含有量が0.05質量%未満のスパッタリングターゲットを用いた場合には、得られるTa−W合金膜の抵抗が高くなることが分かる。また、比較例2によるW含有量が2質量%を超えるスパッタリングターゲットを用いた場合には、得られるTa−W合金膜の密着力が劣ることが分かる。さらに、比較例3のようにW含有量のばらつきが大きいスパッタリングターゲットでは、得られるTa−W合金膜の抵抗率のばらつきが大きくなる。これらに対して、実施例1〜3による各スパッタリングターゲットを用いて成膜したTa−W合金膜は、抵抗率およびそのばらつきが小さく、さらに下地との密着力にも優れている。なお、各Ta−W合金膜はスパッタリングターゲットとほぼ同一の組成を有することが確認された。
(実施例4〜5)
実施例4では純度99.9%、平均粒子径50μmのTa粉末と純度99.9%、平均粒子径20μmのW粉末を使用した。実施例5では純度99.9%、平均粒径70μmのTa粉末と純度99.9%、平均粒径60μmのW粉末を使用した。これらをW含有量が0.5質量%となるように調合し、樹脂製のボールミル容器にアルミナボールと共に投入して36時間混合した。得られた各混合粉末を、真空中、昇温速度120℃/時間、1200℃×5時間の条件でHIP焼結した。得られた各焼結体を実施例1と同様にして円盤状に機械加工し、さらにソルダ接合法を用いて無酸素銅製バッキングプレートと接合することによって、目的とするスパッタリングターゲットを作製した。
このようにして得た各Ta−W系スパッタリングターゲットを用いて、実施例1と同様の条件で、直径5インチのガラス基板上にスパッタリングし、厚さ約100nmの金属膜を11枚作製した。1枚は抵抗測定用とし、残りの10枚はダスト測定用とした。また、スパッタリングターゲットのW含有量とそのばらつき、平均結晶粒径とそのばらつきは、成膜後の各スパッタリングターゲットから試料を切り出して評価した。これらの結果を表2に示す。なお、ダストの発生率は膜中に存在する大きさ0.3μm以上のダストを測定し、10回の成膜の平均値として示した。
(実施例6〜8)
実施例6では実施例4と同様の原料粉末を用い、同様の方法で混合した後、真空中、昇温速度300℃/時間、1200℃×5時間の条件でHIP焼結を行った。また、実施例7、8では、純度99.9%、平均粒径200μmのTa粉末と純度99.9%、平均粒径150μmのW粉末を、W含有量が0.5質量%となるように調合した。実施例7は実施例4と同様の方法で焼結体を作製した。実施例8は真空中、昇温速度300℃/時間、1200℃×5時間の条件でHIP焼結を行った。これら各焼結体を用いて、実施例4と同様の方法でスパッタリングターゲットを作製し、実施例1と同一条件で成膜したスパッタ膜とスパッタリングターゲットの評価を行った。これらの結果を表2に併せて示す。
Figure 2011058078
表2から明らかなように、平均結晶粒径が小さく、かつそのばらつきが小さいスパッタリングターゲットを用いることによって、ダストの発生率を低減することができる。これはスパッタ膜(Ta−W合金膜)の歩留り向上に大きく寄与する。
1…TFD素子、2…基板、3…Ta−W合金膜からなる第1の電極、4…陽極酸化膜、5…第2の電極。

Claims (6)

  1. 0.05〜2質量%の範囲のWを含有し、残部が実質的にTaからなるスパッタリングターゲットであって、ターゲット全体としてのW含有量のばらつきが±20%以内であることを特徴とするスパッタリングターゲット。
  2. 請求項1記載のスパッタリングターゲットにおいて、
    平均結晶粒径が200μm以下であることを特徴とするスパッタリングターゲット。
  3. 請求項2記載のスパッタリングターゲットにおいて、
    ターゲット全体としての結晶粒径のばらつきが±50%以内であることを特徴とするスパッタリングターゲット。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか1項記載のスパッタリングターゲットを用いてスパッタ成膜してなるTa−W合金膜であって、
    0.05〜2質量%の範囲のWを含有し、残部が実質的にTaからなることを特徴とするTa−W合金膜。
  5. 請求項4記載のTa−W合金膜において、
    抵抗率が1mΩ・m以下であり、かつ前記抵抗率のばらつきが0.2mΩ・m以下であることを特徴とするTa−W合金膜。
  6. スイッチング素子として金属膜/酸化膜/金属膜構造の薄膜ダイオードを具備する液晶表示装置において、
    前記薄膜ダイオードを構成する少なくとも一方の前記金属膜は、請求項4または請求項5記載のTa−W合金膜からなることを特徴とする液晶表示装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016074962A (ja) * 2014-10-08 2016-05-12 三菱マテリアル株式会社 W−Tiスパッタリングターゲット

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