JP2011056191A - 浮遊性有機化合物の分解方法および浮遊性有機化合物分解装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】浮遊性有機化合物を含有する被処理気体に、酸素存在下、中心波長が172nmの真空紫外光を照射し、浮遊性有機化合物を分解する方法において、被処理気体のほぼ全てを真空紫外光の照射範囲に導入し、浮遊性有機化合物の分解を真空紫外光の照射により発生した活性酸素種によりおこなうことを特徴とする浮遊性有機化合物の分解方法および浮遊性有機化合物を含有する被処理気体を導入する導入部24および処理後の気体が排出される排出部41を設けた反応容器3と、中心波長が172nmの真空紫外光を被処理気体に照射する照射手段3とを備え、上記条件を満たすよう反応容器3が形成された浮遊性有機化合物分解装置1。
【選択図】図1
Description
揮発性有機化合物は、常温常圧で大気中に容易に揮発する有機化学物質の総称で、洗浄剤、溶剤、燃料等として、産業界で幅広く使用されている。しかし、揮発性有機化合物が環境中に放出されると、光化学スモッグの原因となる光化学オキシダントの生成、土壌、地下水および飲料水の汚染などを通して、公害や健康被害を引き起こすことが知られている。また、揮発性有機化合物がシックハウス症候群やシックビル症候群の原因物質であることや、粒子状浮遊物質(PM)生成の原因物質であることが明らかにされ、揮発性有機化合物と各種健康被害との因果関係が社会的に注目を集めるようになったのを契機に、揮発性有機化合物を始めとする浮遊性有機化合物の排出規制が強化され、2004年改正大気汚染防止法により、主要な排出施設への規制が強化された。
しかし、現在わが国で排出される揮発性有機廃棄物の多くは、50〜100ppmと比較的低濃度の状態で大気中に存在している。このような自然領域を下回る低濃度の揮発性有機廃棄物を含む気体を燃焼法で処理することは、大量の助燃用の燃料を必要とするため処理効率が低い上に、高温下での燃焼に伴いNOxが副生するという課題がある。
一方、触媒法は、ガソリンエンジンの排気ガス浄化のための三元触媒として実用化しているが、貴金属の価格高騰に伴うコスト上昇や被毒等による触媒の劣化という課題が存在すると共に、希薄燃焼条件下で使用されるディーゼルエンジンの排気ガスの浄化には適用できないという大きな課題が存在する。
しかし、特許文献2記載の揮発性有機化合物処理装置は、揮発性有機化合物を分解するための電極に加え、吸着体と放電制御機構を別途必要とするため、小型化および軽量化が困難である。また、プラズマ放電により生成する窒素ラジカルが酸素と反応して、NOxやシアン化合物を生成するおそれがある。
また、TiO2のような光触媒は紫外領域(波長範囲380nm以下)の光で作動するが、TiO2は量子収率が1〜2%程度であるため、真空紫外領域の光(例えば、波長172nm)を照射しても、分解効果はほとんどないことが本発明者らの詳細な研究で明らかになっており、無用な光触媒の利用はコストがかかり装置が複雑になるだけで併用効果は期待できない。よって貴金属触媒や光触媒を必要としない廉価で高分解効率の光照射分解装置の開発が実用化のためには不可欠である。
また、本発明において「酸素存在下」とは、被処理気体が酸素を含んでいる状態をいい、酸素が別途添加された状態および大気のようにもともと酸素を含んでいる状態の両者を意味する。本発明において「被処理気体のほぼ全て」とは、被処理気体の80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上をいう。また、本発明において「照射範囲」とは、入射光の強度の1%以上の強度を有する真空紫外光で照射されている範囲をいう。
O2 + hν(172 nm)→ O(3P) + O(1D) (1)
O(3P) + O2 + M(M= N2 またはO2) → O3 + M (2)
O2は172nmにおいて4.6 × 10-19cm2molecule-1という大きな吸収断面積を有しており、この値はArFエキシマーレーザーの193nmの値(3.2 × 10-22cm2molecule-1)の約1400倍である。そのため反応(1)と後続の(2)により極めて高濃度の活性酸素種を172nm光の照射領域に発生可能である。
なお、本発明では、上述の活性酸素種のすべてが、浮遊性有機化合物の分解に寄与するが、活性酸素種の浮遊性有機化合物の分解活性はそれぞれの汚染ガスの種類により異なり、脂肪族飽和炭化水素では一重項酸素が分解に寄与するのに対して、脂肪族不飽和炭化水素やアルデヒド類では三重項酸素とオゾン、芳香族化合物では三重項酸素が分解に大きく寄与する。
三重項酸素原子は芳香族炭化水素の分解活性が高い反面、真空紫外光の照射範囲およびそのごく近傍にしか存在できない。そのため、本発明の分解方法において被処理気体のほぼ全てを真空紫外光の照射範囲に導入することにより三重項酸素原子の存在可能範囲を大幅に拡大でき、ひいては浮遊性有機化合物、特に芳香族炭化水素の分解効率を大幅に向上できる。一方オゾンは寿命が長いために拡散により三重項酸素原子と比べて広い範囲に存在可能である。よって浮遊性有機化合物、特にアルデヒド類の分解効率を大幅に向上できる。
なお、ここで「真空紫外光を透過する部材」とは、反応容器において真空紫外光の入射面に用いた場合に、浮遊性有機化合物の分解に必要な強度の真空紫外光を反応容器中に照射させるために必要な透過率を有する部材をいう。
なお、本発明の装置において、真空紫外光を透過する透明な窓口に、浮遊性有機化合物の分解物(炭素、チャー)が付着し有機膜を形成することがあるが、このような有機膜が形成されたとしても直接光照射と活性酸素種の光洗浄効果によりすぐに分解されるため(セルフクリーニング機能)、反応容器内への光の照射が損なわれることを回避することができる。
あるいは、前記照射手段は、前記反応容器の内部に配置され、側面より前記真空紫外光を照射する筒状の形状を有していてもよい。
図1に示すように分解装置1は、被処理気体となる混合気体を供給する供給部2と、混合気体を処理する処理装置3と、分解処理された気体の成分を測定する排気部4とを備えている。
第1タンク21には、窒素(N2)ガスが貯蔵されている。第2タンク22には、酸素(O2)ガスが貯蔵されている。第3タンク23には、VOCガスが貯蔵されている。
窒素導入管314は、密閉容器313の内部空間に窒素ガスを導入するための配管である。窒素導入管314から供給される窒素(N2)ガスにより密閉容器313を充満させることで、エキシマランプ312からの照射光を減衰することなく反応容器32に到達させることができる。
排気管41は、主管の一端が蓋部323に接続され、他端は枝管となって一方がフーリエ変換赤外分光光度計42へ接続され、他方が四重極質量分析装置43へ接続され、処理後の気体が排出される排出部として機能する配管である。この排気管41の主管には、処理装置3の下方となる位置に、混合気体の排気の流れを止めたり、流したりするためのストップバルブである第3弁48が設けられている。また、排気管41の枝管には、フーリエ変換赤外分光光度計42と四重極質量分析装置43とのそれぞれの上流側に、混合気体の流入量を調整するためのニードルバルブである第4弁49および第5弁50が設けられている。
圧力計44は、ロータリーポンプである第1排気ポンプ45により吸引される混合気体の圧力を測定するものである。圧力計44と第1排気ポンプ45との間の配管には、第6弁51が設けられている。
第2排気ポンプ46はターボポンプであり、第3排気ポンプ47はロータリーポンプである。この第2排気ポンプ46および第3排気ポンプ47は、四重極質量分析装置43による酸素濃度の測定時に動作され、それ以外は停止状態で使用される。第1〜第3排気ポンプ45〜47へのそれぞれの配管には、ニードルバルブである第6〜8弁51〜53が設けられている。
なお、ニードルバルブである第4弁49および第5弁50を閉じ、ニードルバルブである第8弁54および第9弁55を開くことにより、フーリエ変換赤外分光光度計42及び四重極質量分析装置43を介さず直接排気することも可能である。
本発明の実施の形態に係る分解装置1の分解性能との比較のために、図14に示した従来の分解装置100の分解性能についても検討を行った。なお、図14においては、図1に示す分解装置1と同じ構成のものは同符号を付して説明を省略する。
従来の分解装置100において、反応容器101は直径が約3.2cm、長さが23cm円筒形状に形成されている。エキシマランプ(入力電力20W、光強度50mW/cm2、照射窓面積8cm2、フォトン数3.44×1017個/s)102は、ヘッドオンタイプと称され、円柱状に形成された上面または底面となる一端面側から発光することで照光手段として機能するものである。エキシマランプ102が反応容器101の一端面に配置されていることで、照射光は反応容器の軸線方向に向かって出射されるので、照射面積は反応容器101の円形の断面積となる。
本実施の形態に係る分解装置1を用いて分解実験を行った。なお、本実施例では、処理空間Sが直径100mm、厚みが30mmとなる容器本体322を使用した。また、エキシマランプ312については、入力電力20W、光強度10mW/cm2、照射窓面積78.5cm2、フォトン数6.83×1017個/sのものを使用した。そして、供給部2の第1弁27と第2弁28を調整することにより、酸素O2濃度を20%、ベンゼンC6H6濃度を1000ppmとした混合気体を反応容器32に供給し、エキシマランプ312を点灯して、処理空間Sに照射した。このとき処理空間Sを閉鎖系とするために、第1〜第3排気ポンプ45〜47は動作させず、第3弁48は閉鎖した。比較例1の場合と同様、所定時間経過毎に第4弁49および第6弁51を開放し、第1排気ポンプ45を作動させて、一度排気管41とフーリエ変換赤外分光光度計42を真空状態にする。第6弁51を閉め第3弁48を開け、反応容器の内容物の一部をフーリエ変換赤外分光光度計42に導入する。反応物であるベンゼンおよび反応生成物(オゾンO3、一酸化炭素CO、二酸化炭素CO2、ギ酸HCOOH)の濃度を、予め作成した検量線を用いて求めた。
それぞれ、比較例1において使用した装置100および実施例1において使用した装置1を使用し、混合気体(酸素濃度5〜20%、ベンゼン濃度200または1000ppm)を所定の流速(250〜1000mL/min)で反応容器101および3に流すフロー系で実験を行った。エキシマランプ102、312による照射は、フロー開始後1分経過時に開始し、15分経過後に終了した。
(1)実施例1における反応物および生成物濃度の経時変化
図3のグラフに示すように、ベンゼンC6H6は照射開始後約1.5分で分解されたことがわかる。ベンゼン濃度の減少に伴い、一酸化炭素CO、二酸化炭素CO2およびギ酸HCOOHの濃度の濃度が増大している。これらのうち一酸化炭素およびギ酸については、照射開始後1.5分で濃度が最大となり、その後濃度が減少し、照射開始後3〜4分後に完全に消失している。二酸化炭素については、照射開始と共にその濃度が単調に増加し、照射開始後4〜5分後に定常状態に達していることがわかる。これらの結果から、ベンゼンの初期の分解産物として、一酸化炭素、ギ酸および二酸化炭素が生成し、このうち全二者については、さらに酸化を受け最終的には二酸化炭素に変換されると考えられる。
また、オゾンO3濃度が照射開始と共にほぼ直線的に増大し、照射開始後約1分でほぼ一定の値となっていることがわかる。
実施例1および比較例1における真空紫外光の照射時間と反応物の残留率との関係は、図4に示すとおりである。なお、酸素O2を20%および窒素N2を80%と、濃度が200ppmのベンゼンC6H6とからなる混合気体を用いて行った。実施例1の方が、はるかにベンゼンの分解速度が大きく、照射開始後2分以内(90秒)にベンゼンが完全に分解しているのに対し、比較例1においては、照射開始後20分経過後もなお約5%のベンゼンが残存していた。
EEO=(1000×P×t)/(V×log(C0/C))
式中、Pは照射強度[W]、tは経過時間[h]、Vは反応容器の容積[L]、C0はベンゼンの初濃度[ppm]、Cは時間t経過時のベンゼンの濃度[ppm]である。
実施例1および比較例1について得られたEEOの値(単位:W・h/order)は、それぞれ、2.876および25.65であった。これらの結果より、本発明の実施形態に係る分解装置1は、従来の実施形態に係る分解装置100の約8.9倍のエネルギー効率を有していることがわかる。
次に、分解装置1と従来の分解装置100とで比較実験を行った。比較実験は、酸素O2を20%および窒素N2を80%と、濃度が200ppmのベンゼンC6H6とを混合した気体を、流速1000mL/minで反応容器3または反応容器101に流し、残留濃度を測定するフロー系で行った。
図5に示すように、エキシマランプ312,102を点灯し始めてから、両装置とも、すぐにベンゼンC6H6の残留濃度が減少した。しかし、従来の分解装置100では約90%であったが、分解装置1では約50%であり、分解装置1の方が高い分解性能を示した。
結果は図6に示すとおりである。全ての生成物(オゾン、一酸化炭素、二酸化炭素およびギ酸)について、光照射後に一分程度で一定値となり照射終了後2分で光照射前の状態に戻った。
次に、混合気体(酸素O220%、窒素N280%、ベンゼンC6H6200ppm)の流速を、1000mL/minとする以外に、500mL/min、250mL/minとしたときの残留濃度を測定した。
図7に示すように、混合気体の流速が1000mL/minでは約50%であったが、500mL/minでは約75%、250mL/minでは100%の分解を行うことができた。このように混合気体を反応容器3に通過させる速度を遅くすることにより、分解性能を向上させることができることがわかる。流速が250mL/minの場合では、分解率の向上を反映して生成物中の二酸化炭素の割合が高くなることが確認された。このことから、反応容器中への被処理気体の滞留時間を長くして照射時間をある程度確保することにより分解性能を向上できることが示唆された。
次に、混合気体(流速1000mL/min、ベンゼンC6H6200ppm)の酸素濃度を、20%とし残余を窒素N2する以外に、10%、5%としたときのベンゼンC6H6の残留濃度を測定した。
図8に示すように、酸素濃度が20%ではベンゼンの残留濃度が50%であったが、酸素濃度が5%では残留濃度が30%〜35%と向上した。このように混合気体の酸素濃度が低いと、分解性能が高いことがわかる。
ベンゼンの分解効率には、酸素濃度以外に、例えば、被処理気体のフロー速度等の他の要因が影響を与えている可能性もあるが、例えば、被処理気体中の酸素による真空紫外光の吸収に伴う処理空間内部の真空紫外光強度の減少が、酸素濃度の増大に伴う分解効率の低下の一因となっていることも考えられる。
本実施の形態に係る分解装置1を用いて分解実験を、実施例1,2のベンゼンの代わりに、代表的アルデヒド化合物であるアクロレインについて行った。なお、本実施例では、処理空間Sが直径100mm、厚みが30mmとなる容器本体322を使用した。また、エキシマランプ312については、入力電力20W、光強度10mW/cm2、照射窓面積78.5cm2、フォトン数6.83×1017個/sのものを使用した。そして、供給部2の第1弁27と第2弁28を調整することにより、酸素O2濃度を20%、アクロレイン濃度を500ppmとした混合気体を反応容器32に供給し、エキシマランプ312を点灯して、処理空間Sに照射した。このとき処理空間Sを閉鎖系とするために、第1〜第3排気ポンプ45〜47は動作させず、第3弁48は閉鎖した。比較例1の場合と同様、所定時間経過毎に第4弁49および第6弁51を開放し、第1排気ポンプ45を作動させて、一度排気管41とフーリエ変換赤外分光光度計42を真空状態にする。第6弁51を閉め第3弁48を開け、反応容器の内容物の一部をフーリエ変換赤外分光光度計42に導入する。反応物であるアクロレインおよび反応生成物(オゾンO3、一酸化炭素CO、二酸化炭素CO2、ホルムアルデヒドHCHO、ギ酸HCOOH)の濃度を、予め作成した検量線を用いて求めた。
実施例1において使用した装置1を使用し、混合気体(酸素濃度5〜20%、アクロレイン濃度500ppm)を所定の流速(1000mL/min)で反応容器101および3に流すフロー系で実験を行った。エキシマランプ101、312による照射は、フロー開始後1分経過時に開始し、15分経過後に終了した。
アクロレインに対する本発明の実施の形態に係る分解装置1の分解性能との比較のために、図14に示した従来の分解装置100の分解性能についても検討を行った。
(1)実施例3における反応物および生成物濃度の経時変化
図9のグラフに示すように、アクロレイン(C2H3CHO)は測定開始約30秒の時点で分解されたことがわかる。アクロレイン濃度の減少に伴い、二酸化炭素CO2の濃度が増大している。また一酸化炭素CO、ギ酸HCOOHについては発生後それぞれ減少し、ギ酸においては照射開始後60秒後には完全に消失している。二酸化炭素については、照射開始と共にその濃度が単調に増加し、照射開始後120秒以降は緩やかに増加していることがわかる。これらの結果から、アクロレインの初期の分解産物として、一酸化炭素、ギ酸および二酸化炭素が生成し、このうち全二者については、さらに酸化を受け最終的には二酸化炭素に変換されると考えられる。
また、オゾンO3濃度が照射開始と共にほぼ直線的に増大し、照射開始後約180秒で最大となっていることがわかる。
実施例3および比較例3における真空紫外光の照射時間と反応物の残留率との関係は、図10に示すとおりである。なお、酸素O2を20%および窒素N2を80%と、濃度が500ppmのアクロレイン(C2H3CHO)とからなる混合気体を用いて行った。実施例1の方が、はるかにアクロレインの分解速度が大きく、照射開始後30秒以内にアクロレインが完全に分解しているのに対し、比較例3においては、完全に分解するまでに照射開始後270秒かかった。よって分解装置1では従来の分解装置100と比較してアクロレインの分解速度が9倍以上速いことを確認した。
次に、酸素O2を20%および窒素N2を80%と、濃度が130ppmのアクロレイン(C2H3CHO)とを混合した気体を、流速1000mL/minで反応容器3に流し、残留濃度を測定するフロー系で行った。結果は図11に示すとおりである。エキシマランプ312を点灯し始めてから、光照射後に1〜2分程度でアクロレイン(C2H3CHO)が完全に分解するとともに、全ての生成物(オゾン、一酸化炭素、二酸化炭素およびギ酸)の濃度はほぼ一定値となり、照射終了後2分で光照射前の状態に戻った。
次に、混合気体(流速1000mL/min、アクロレイン(C2H3CHO)120または110ppm)の酸素濃度を、20%とし残余を窒素N2する以外に、10%、5%としたときのアクロレイン(C2H3CHO)の残留濃度を測定した。その結果を図12、13に示す。酸素濃度20%での実験結果と同様に、照射開始後1〜2分程度でアクロレインは完全に分解した。
メタン、エチレン、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、トルエン、オルトキシレン、メタキシレン、パラキシレンなどのVOCを常温常圧下で濃度100−1000ppm領域での分解実験を分解装置1を用いて実施し、これらもこの装置で分解可能なことを確認した。これらのVOCは最終的にはすべてCO2、H2Oに分解されるが、途中中間体として表1のような化合物がFT−IR分析からは観測された。また各物質の分解に寄与する主な活性酸素化学種をオゾンのみによる分解実験や一重項酸素の寄与が高い低圧実験結果を実施して得た結果は表1の通りである。なお◎が主要な活性種、○は分解速度は◎と比べて遅いが分解に寄与する活性種、×は分解に寄与しない活性種を表す。
メタンの場合は一重項酸素のみが分解に寄与するため、10kPaの低圧にすることにより一重項酸素の下記の失活反応(3)を抑制し、照射5分後で分解率を常圧の約50%と比べて2倍の100%まで上げることが可能である。
O(1D) + N2 → O(3P) + O(3P) (3)
一方、脂肪族不飽和炭化水素、アルデヒド類の分解には三重項酸素とオゾン、芳香族化合物では三重項酸素が特に有効である。よって対象とするVOCにより有効な活性種の濃度が高い酸素濃度、全圧力に設定することが分解率を高めるためには必要である。
2 供給部
21 第1タンク
22 第2タンク
23 第3タンク
24 導入管
25a〜25c 流量計
26 圧力計
27 第1弁
28 第2弁
3 処理装置
31 照射部
311 ケーシング
311a 支持板
311b 箱部
312 エキシマランプ
313 密閉容器
314 窒素導入管
32 反応容器
321 窓部
322 容器本体
323 蓋部
323a ボルト
4 排気部
41 排気管
42 フーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)
43 四重極質量分析装置
44 圧力計
45 第1排気ポンプ
45a ブースターポンプ
45b オゾン吸収体
46 第2排気ポンプ
47 第3排気ポンプ
48〜55 第3〜10弁
S 処理空間
Claims (9)
- 浮遊性有機化合物を含有する被処理気体に、酸素存在下、中心波長が172nmの真空紫外光を照射し、浮遊性有機化合物を分解する方法において、
前記被処理気体のほぼ全てを前記真空紫外光の照射範囲に導入し、前記浮遊性有機化合物の分解を前記真空紫外光の照射により発生した活性酸素種によりおこなうことを特徴とする浮遊性有機化合物の分解方法。 - 前記浮遊性有機化合物が、揮発性有機化合物であることを特徴とする請求項1記載の浮遊性有機化合物の分解方法。
- 前記浮遊性有機化合物が、芳香族炭化水素であることを特徴とする請求項2記載の浮遊性有機化合物の分解方法。
- 前記活性酸素種が、主として三重項酸素原子であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の浮遊性有機化合物の分解方法。
- 前記浮遊性有機化合物が、アルデヒド類であることを特徴とする請求項2記載の浮遊性有機化合物の分解方法。
- 前記活性酸素種が、主として三重項酸素原子とオゾンであることを特徴とする請求項5記載の浮遊性有機化合物の分解方法。
- 前記浮遊性有機化合物の分解が常温常圧の条件下でおこなわれることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項記載の浮遊性有機化合物の分解方法。
- 浮遊性有機化合物を含有する被処理気体を導入する導入部および処理後の気体が排出される排出部を設けた反応容器と、中心波長が172nmの真空紫外光を前記被処理気体に照射する照射手段とを備えた浮遊性有機化合物分解装置において、
前記反応容器は、前記照射手段より照射される前記真空紫外光の入射面が該真空紫外光を透過する部材からなり、かつ、その内部に収容される被処理気体のほぼ全てが前記真空紫外光の照射範囲内に存在するように形成されていることを特徴とする浮遊性有機化合物分解装置。 - 前記反応容器は、前記照射手段の照射面のほぼ全てと前記入射面とが重なり合うように、前記反応容器に隣接させて設けられていることを特徴とする請求項8記載の浮遊性有機化合物分解装置。
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