JP2011051137A - 複合成型体 - Google Patents

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岩崎  博文
Yukimasa Kuroda
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Abstract

【課題】難燃性であるとともに、発泡成型樹脂の補強材表面への染み出しが防止されており、補強材が柔軟性を有し、且つ、異音発生を防止できる複合成型体を提供する。
【解決手段】発泡成型樹脂と、該発泡成型樹脂の補強材である捲縮長繊維スパンボンド不織布とを有する複合成型体であって、該捲縮長繊維スパンボンド不織布が、繊度0.5〜10dtex及び捲縮数2〜40個/25mmであるポリプロピレン系捲縮長繊維を少なくとも用いて構成されており、該捲縮長繊維スパンボンド不織布が、部分熱圧着率2〜15%で熱圧着されており、該捲縮長繊維スパンボンド不織布が、目付50〜200g/m2、厚み0.5〜2.0mm、通気性0.1〜150cm3/cm2/sec、及びJIS−K−7201に従って測定される酸素指数(LOI)20以上を有する、複合成型体。
【選択図】なし

Description

本発明は、発泡成型樹脂と、該発泡成型樹脂の補強材である捲縮長繊維スパンボンド不織布とを有する複合成型体に関する。本発明は、更に詳しくは、自動車、家具等のシート、クッション成型体等として使用でき、該補強材が発泡成型用の凹凸金型に馴染み易い柔軟性を有するとともに発泡成型樹脂の補強材表面への染み出しを防止できるものであり、更に、複合成型体と取付鋼材との間の摩擦等による異音発生を防止できる、複合成型体に関する。
従来、自動車、家具等のシート用クッション体としては、弾性、保湿性、軽量性等に優れたポリウレタンフォームが用いられている。ポリウレタンフォームは、例えば、成型用凹凸金型にポリウレタン樹脂原液を注入し、発泡成型して得られる。得られたクッション体は、バネ、フレーム、パイプ等の取付鋼材に取付けられるが、使用時の振動や着座時に、クッション体と取付鋼材との摩擦等により異音が発生するという問題があった。このような異音の発生を防止するため、成型時にフェルト、不織布等を使用してこれらの取付鋼材をクッション体の表面に一体化させる方法が提案されている。
特許文献1には、粗の構造の不織布と緻密な構造の不織布とからなる積層物を用いる方法が提案され、特許文献2には、目付110〜800g/m2の高目付の不織布を用いる方法が提供されている。
上記方法では、不織布表面への樹脂液の染み出しを防止でき、またクッション体に剛性を付与することはできる。しかし、上記方法では、不織布が凹凸金型に馴染みにくく、また異音発生防止効果が低い等の問題があった。
特許文献3には、部分熱圧着した捲縮長繊維不織布を発泡成型用補強材基布として用いる技術が提供されている。この技術は発泡成型に用いる樹脂の染み出しの抑制を目的とするが、発泡成型用補強材基布が、特に自動車内装材等の用途で求められる難燃性を有さない等の問題がある。
特開平6−171003号公報 特開平2−258332号公報 特開2000−62061号公報
本発明は、上記の課題を解決し、発泡成型樹脂と該発泡成型樹脂の補強材である不織布との複合成型体であって、難燃性であるとともに、発泡成型樹脂の補強材表面への染み出しが防止されており、補強材が発泡成型用の凹凸金型に馴染み易い柔軟性を有し、且つ、複合成型体と該複合成型体の取付鋼材との摩擦等による異音発生を防止できる複合成型体を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記の課題を解決するため鋭意検討した結果、嵩高性及び柔軟性に富む捲縮長繊維が部分圧着されてなる不織布を用いることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、以下の通りである。
[1]発泡成型樹脂と、該発泡成型樹脂の補強材である捲縮長繊維スパンボンド不織布とを有する複合成型体であって、
該捲縮長繊維スパンボンド不織布が、繊度0.5〜10dtex及び捲縮数2〜40個/25mmであるポリプロピレン系捲縮長繊維を少なくとも用いて構成されており、
該捲縮長繊維スパンボンド不織布が、部分熱圧着率2〜15%で熱圧着されており、
該捲縮長繊維スパンボンド不織布が、目付50〜200g/m2、厚み0.5〜2.0mm、通気性0.1〜150cm3/cm2/sec、及びJIS−K−7201に従って測定される酸素指数(LOI)20以上を有する、複合成型体。
[2]上記捲縮長繊維スパンボンド不織布が、難燃剤を0.1〜10質量%含有する、上記[1]に記載の複合成型体。
[3]上記捲縮長繊維スパンボンド不織布中の上記ポリプロピレン系捲縮長繊維の含有率が、70〜100質量%である、上記[1]又は[2]に記載の複合成型体。
[4]上記捲縮長繊維スパンボンド不織布が剛軟度15cm以下を有する、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の複合成型体。
[5]上記捲縮長繊維スパンボンド不織布が、破断伸度70%以上を有する、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の複合成型体。
[6]上記発泡成型樹脂が、ウレタン発泡成型樹脂である、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の複合成型体。
本発明の複合成型体は難燃性であり、嵩高性及び柔軟性に富む捲縮長繊維を用いて補強材を構成しているため該補強材が発泡成型用凹凸金型に馴染み易く、更に、発泡成型樹脂の補強材表面への染み出しが防止されている。また、本発明によれば、発泡成型シート、クッション体等として形成される本発明の複合成型体と、該複合成型体の取付鋼材との摩擦等による異音の発生を防止できる。従って、本発明の複合成型体は、例えば車両用内装材等の広い用途に好適に利用できる。
本発明は、発泡成型樹脂と、該発泡成型樹脂の補強材である捲縮長繊維スパンボンド不織布とを有する複合成型体であって、該捲縮長繊維スパンボンド不織布が、繊度0.5〜10dtex及び捲縮数2〜40個/25mmであるポリプロピレン系捲縮長繊維を少なくとも用いて構成されており、該捲縮長繊維スパンボンド不織布が、部分熱圧着率2〜15%で熱圧着されており、該捲縮長繊維スパンボンド不織布が、目付50〜200g/m2、厚み0.5〜2.0mm、通気性0.1〜150cm3/cm2/sec、及びJIS−K−7201に従って測定される酸素指数(LOI)20以上を有する、複合成型体を提供する。本発明において補強材として用いられる捲縮長繊維スパンボンド不織布は、以下で詳述するように、難燃性を有し、柔軟性及び嵩高性に優れている。
捲縮長繊維スパンボンド不織布(本明細書において「捲縮長繊維不織布」ともいう)を構成するポリプロピレン系捲縮長繊維においては、繊度が0.5〜10dtex、好ましくは、1〜6dtexである。上記繊度が0.5dtex未満の場合、樹脂液の補強材表面への染み出しは少なくなるが、捲縮長繊維不織布の強度、伸度等の物性が低下し、またコスト高となる。一方上記繊度が10dtexを超える場合は、樹脂液の補強材表面への染み出しが生じ易く、剛軟度が大きくなり、硬い風合いで発泡成型用の凹凸金型に馴染み難く、成型加工性が低下し、クッション体等として形成される複合成型体の剛性が大きくなる等の問題が生じる。なお上記繊度は、顕微鏡で500倍の拡大写真を撮影し、繊維20本の数平均繊維径から算出される値である。
ポリプロピレン系捲縮長繊維は、ポリプロピレン構造を50質量%超含むものであればよい。ポリプロピレン系捲縮長繊維は紡糸性に優れるという利点を有する。ポリプロピレン系捲縮長繊維は、ポリプロピレンを含む芯鞘型複合繊維、サイドバイサイド型複合繊維等であってもよい。
捲縮長繊維不織布はポリプロピレン系捲縮長繊維のみを用いて構成されてもよいが、本発明の効果を損なわない範囲で他の構成成分を含んでもよい。他の構成成分としては、溶融紡糸可能なポリマーからなる繊維として、ポリエステル系繊維(例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリメチレンテレフタレート)、脂肪酸ポリエステル系繊維(例えばポリ乳酸)、ポリアミド繊維(例えばナイロン6、ナイロン610、ナイロン66)及びこれらポリマーの共重合体からなる繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維等を材料とする捲縮長繊維及び非捲縮長繊維が挙げられる。より具体的には、例えばカーボンニュートラル比率向上の目的で、上記他の構成成分としてポリ乳酸繊維を含有させることができる。
捲縮長繊維不織布中のポリプロピレン系捲縮長繊維の含有率は、70〜100質量%であることが好ましい。上記含有率が70質量%未満である場合、ポリプロピレン系捲縮長繊維を用いることによる柔軟性付与の効果が小さい傾向がある。上記含有率は、より好ましくは80〜100質量%、更に好ましくは90〜100質量%である。上記含有率は、捲縮長繊維不織布の製造時に、該不織布を構成する各成分の質量比を調整することにより実現できる。
また、ポリプロピレン系捲縮長繊維の繊維断面は、丸形断面若しくはY形、V形、U形、I形、C形、十字形、星形等の異形断面又はこれらの組合せであることができる。嵩高性、柔軟性及び立体障害性による樹脂の染み出し防止効果が良好に得られ、且つ、同一紡糸速度域で紡糸した場合に丸型断面形状では実現困難な5%中間応力の低減を実現可能であるという観点から、繊維断面は異形断面であることが好ましい。特に、ポリプロピレン樹脂に難燃剤、安定剤等を添加し、且つ、繊維断面を異型にすることにより、生産性を低下させることなく、同一紡糸速度領域において丸型断面形状では見られない5%中間応力の低減を実現できる。5%中間応力を低減できる理由は明確でないが、難燃剤、安定剤等を添加するとともに異型断面にすることにより、紡糸工程における繊維断面の構造差が発現しやすくなり、その結果、5%中間応力を低減できるものと推察される。繊維断面形状は、特に好ましくはL形及びV形である。
樹脂染み出し防止効果、5%中間応力低減効果、及び形状追随性が良好である点で、異型断面の周長は、異型断面と同一面積の丸断面の周長の1.3倍以上であることが好ましく、1.4倍以上であることがより好ましく、また、異型断面形状に外接する長方形の短辺に対する長辺の比で表される扁平度が好ましくは1.3以上、より好ましくは1.4以上、更に好ましくは、1.5以上である。
上記の断面の周長及び扁平度は、光学顕微鏡又は走査型電子顕微鏡(SEM)による断面写真から、画像解析、又は断面写真上に糸を貼り付けた後に糸長を計測することによる周長計測法等により算出できる。
ポリプロピレン系捲縮長繊維としては、単一の種類又は繊度のものを用いてもよいが、異種又は異なる繊度のものを混合し、又は後述のように積層して用いてもよい。ポリプロピレン系捲縮長繊維は、紡糸性、生産性等のコストの観点から単一ポリマー成分で構成されることが好ましい。また、嵩高性、柔軟性等の観点から、該捲縮長繊維を積層して用いることが好ましい。
捲縮は、紡糸時に冷却域において繊維断面の構造差を形成することにより発現させることが可能である。また、ポリプロピレン系捲縮長繊維として潜在性捲縮長繊を用いて捲縮を発現させてもよい。
ポリプロピレン系捲縮長繊維の捲縮数は、2〜40個/25cmである。上記捲縮数は、部分熱圧着前、外部からの拘束力の無い状態で、2mg/dtexの加重下で観察される値である。ポリプロピレン系捲縮長繊維における捲縮は典型的には螺旋状である。上記捲縮数は、好ましくは、5〜30個/25mmである。上記捲縮数が2個/25cm以上であることにより、本発明における捲縮長繊維不織布の嵩高性が良好であり、クッション体等の複合成型体と、取付鋼材との摩擦により発生する異音の抑制効果及び樹脂の染み出し抑制効果を得ることができるとともに、柔軟性が良好で、成型金型に対する形状追随性が良好である。一方、上記捲縮数が40個/25cm以下であることにより、紡糸時の糸切れが減少し安定して生産できるという効果が得られる。
ポリプロピレン系捲縮長繊維がらせん状に捲縮されている場合、らせん捲縮径は、0.5〜1.0mmであることが好ましく、0.6〜1.0mmであることがより好ましい。上記らせん捲縮径が0.5mm未満である場合、捲縮の発現のための繊維断面における構造差が大きく強度が低下する傾向がある。一方、上記らせん捲縮径が1.0mmを超える場合、嵩高性が低下する傾向がある。
なお上記捲縮数及びらせん捲縮径は、不織布を部分熱圧着前に採取し、その中から20cmの単糸10本を変形させない様に採取した後、単糸の片方に繊維2mg/dtexの加重を吊り下げた状態で、25mmの間の捲縮数及び捲縮している部分の外径を拡大鏡を用いて数え、n=10の平均値として求められる値である。上記の捲縮数及びらせん捲縮径は、測定容易性の点から光学顕微鏡又は拡大鏡によって好ましく計測できる。
本発明において、捲縮長繊維不織布は部分熱圧着率が2〜15%となるように熱圧着されている。部分熱圧着率は、好ましくは3〜12%である。本明細書において、捲縮長繊維不織布の部分熱圧着率は、不織布の表面の単位面積当たりの熱圧着部分の面積比率である。該部分熱圧着率が2%未満では繊維相互の熱圧着頻度が少なく、取扱い性及び強度が十分得られない。一方、部分熱圧着率が15%を超えると、繊維相互の熱圧着頻度が多く、剛軟度が大きく硬い風合いで凹凸金型に形状追随し難い。上記部分熱圧着率は、不織布表面の光学顕微鏡若しくは走査型電子顕微鏡(SEM)による表面写真から、画像解析により直接的に熱圧着部分と非圧着部分との和に対する熱圧着部分の面積の百分率を求める方法、又は表面写真にて熱圧着されている部分を切り抜き熱圧着部分と非熱圧着部分との質量和に対する熱圧着部分の質量の百分率を求める方法により測定される値である。
なお、上記熱圧着部分の1箇所当たりの面積は0.1〜5.0mm2であることが好ましく、0.2〜3.0mm2であることがより好ましい。上記面積が0.1mm2未満である場合、繊維同士の結合が少なく、摩擦強度等の物理強度が低い傾向があり、5.0mm2を超える場合、熱圧着部分の面積が多く、風合いが硬い傾向がある。また熱圧着部分の最小間隔は1〜10mmであることが好ましく、2〜8mmであることがより好ましい。上記最小間隔が1mm未満である場合、熱圧着部分が多く風合いが硬い傾向があり、10mmを超える場合、繊維同士の結合が少なく、摩擦強度等の物理強度が低い傾向がある。また熱圧着部分は、不織布表面の全面に均等に分布させることが好ましい。
熱圧着部分の凹部(すなわち熱エンボスロール加工等による熱圧着によって形成される窪み)の深さは0.2〜2.0mmであることが好ましく、0.3〜1.5mmであることがより好ましい。上記深さが0.2mm未満である場合、熱圧着部分の結合が少ない傾向があり、2.0mmを超える場合、エンボスロール等による加工が難しい傾向がある。
上記の熱圧着部分の面積は、不織布表面の光学顕微鏡若しくは走査型電子顕微鏡(SEM)による表面写真から、画像解析により熱圧着部分の面積を求める方法、又は表面写真にて熱圧着されている部分を切り抜き質量測定から換算する方法により測定される値である。一方、最小間隔は、光学顕微鏡又は走査型電子顕微鏡(SEM)による不織布の表面写真から、1つの熱圧着部分と、その周りに存在する別の熱圧着部分との距離の内、最も間隔の短いものを求めるという方法で測定される値である。また、上記の凹部深さは、光学顕微鏡又は走査型電子顕微鏡(SEM)による、熱圧着部分の最小厚み部分(通常は熱圧着部分の中心部)を含む不織布断面の写真から、熱圧着部分の最小厚みと非熱圧着部分の厚みとの差の絶対値を求めることにより測定される値である。
熱圧着部の上記の面積、最小間隔及び凹部深さを実現するための方法としては、上記熱圧着部のサイズ及び形状に対応するサイズ及び形状の凸部を有するエンボスロールを用いた熱圧着を典型的に採用できる。
捲縮長繊維不織布の目付は、50〜200g/m2である。上記目付が50g/m2未満では、クッション体等の複合成型体を形成する場合に、樹脂液の染み出しが生じ易く、クッション体の補強材効果が少ない。また目付が200g/m2を超えると、樹脂液の染み出しは生じ難いが、成型用の凹凸金型に形状追随し難く、成型加工性に劣り、クッション体の剛性が大きくなる等の問題が生じる。上記目付は、好ましくは60〜150g/m2であり、より好ましくは、60〜100g/m2である。
捲縮長繊維不織布の厚みは、0.5〜2.0mmである。上記厚みが0.5mm未満では、樹脂液の染み出しが生じ易く、複合成型体の補強材効果が少ない。また2.0mmを超えると、樹脂液は染み出し難いが、成型用の凹凸金型に形状追随し難く、成型加工性に劣り、複合成型体の剛性が大きくなる等の問題が生じる。上記厚みは、好ましくは0.7〜1.5mmである。上記目付及び厚みは、JIS−L−1906で規定されている方法で測定される値である。
上記捲縮長繊維不織布は、例えば、公知のスパンボンド法で、紡口直下の冷却条件により発現させた捲縮長繊維ウェブを熱エンボスロールで部分熱圧着させることにより、又は潜在捲縮長繊維ウェブを熱処理により捲縮させて熱エンボスロールで部分熱圧着させることにより製造することができる。
捲縮長繊維不織布の通気性は、0.1〜150cm3/cm2/secであり、好ましくは0.5〜130cm3/cm2/secである。上記通気性が0.1cm3/cm2/sec未満である場合、樹脂液は染み出し難いが、不織布が緻密化され、硬い風合いとなる。一方、上記通気性が150cm3/cm2/secを超える場合、樹脂液が染み出し易くなる。上記通気性は、JIS−L−1906のフラジュール形法に準じて求められる値である。
捲縮長繊維不織布は、JIS−K−7201に従って測定される酸素指数(LOI)が20以上であり、好ましくは21以上である。酸素指数が20未満では、自動車内装材料の燃焼試験(JIS D1201 FMVSS N0.302)の水平法の燃焼試験で不合格となる等、難燃性が十分でない。上記酸素指数の上限は特に限定されないが、生産性の観点から、上記酸素指数は40以下であることが好ましく、30以下であることがより好ましい。
上記酸素指数を20以上にする手段としては、例えば、ポリプロピレン系捲縮長繊維中に難燃剤を含有させること、安定剤を含有させること、難燃剤と安定剤とを併用すること、等が挙げられる。捲縮長繊維不織布中の難燃剤の含有量、より好ましくはポリプロピレン系捲縮長繊維中の難燃剤の含有量は、それぞれ、好ましくは0.1〜10.0質量%、より好ましくは0.2〜5.0質量%、更に好ましくは0.3〜3.0質量%である。難燃剤を含有するポリプロピレン系捲縮長繊維は、例えば予め難燃剤を練り込んだ樹脂を紡糸すること、捲縮長繊維の表面に難燃剤を塗布すること等によって製造でき、これにより難燃性に優れる捲縮長繊維不織布層が得られる。難燃剤の上記含有量がそれぞれ0.1質量%未満である場合、難燃性が低い傾向があり、10.0質量%を超える場合、難燃性は高くなるが、繊維の強度が低下する傾向がある。
難燃剤としては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリフエニルホスフェート、トリクレジルホスフェート等の非ハロゲン系リン酸エステル類、脂肪族ポリホスフェート、芳香族ポリホスフェート等の特殊リン酸エステル類、含ハロゲンリン酸エステル類、デカブロモジフェニルオキサイド、オクタブロモジフェニルオキサイド等のデカブロ系等の臭素系難燃剤、メラミン系難燃剤、燐酸グアニジン誘導体、燐窒素系化合物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム等の無機充填剤等の1種又は2種以上を使用できる。特に、過酸化処理した4―ブチルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルペリジンと、2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジンとの反応生成物にシクロヘキサンを反応させて得た反応生成物と、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミンとの反応生成物、及び、1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオンと1,3,5−トリアジン2,4,6−トリアミンとの化合物、ポリリン酸メラミン等のメラミン系難燃剤が好ましく用いられる。更に、ポリプロピレン樹脂の分解を防止する安定剤として、例えば、NOR(N―アルコキシ)立体障害性アミン等の安定剤等を併用することによっても難燃性を向上させることができる。
ポリプロピレン系捲縮長繊維は、通常ポリプロピレン樹脂に添加される各種の添加剤、例えばフェノール系、チオエーテル系等の酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、顔料、無機充填剤、有機充填剤等を本発明の目的を損なわない範囲で含有することができる。
捲縮長繊維不織布は、目的に応じた所望の組成を有するポリプロピレン系樹脂組成物、及び、必要に応じて通常ポリプロピレン系樹脂に添加される前述の各種添加剤のそれぞれ所定量を、通常の混合装置、例えばスーパーミキサー、リボンブレンダー、バンバリミキサー等を用いて混合し、通常用いられる単軸押出機、2軸押出機、ブラベンダー又はロール等で、溶融混練温度150℃〜250℃、好ましくは180℃〜230℃で溶融混練ペレタイズすることにより得ることができる。
捲縮長繊維不織布の剛軟度は、15cm以下であることが好ましい。上記剛軟度が15cmを超える場合、硬い風合いとなり、補強材が発泡成型用の凹凸金型に馴染み難く、成型加工性及び複合成型体の剛性が低くなる傾向がある。上記剛軟度は、より好ましくは12cm以下であり、更に好ましくは10cm以下である。一方、取り扱い性の観点から、上記剛軟度は、好ましくは1cm以上、より好ましくは2cm以上、更に好ましくは3cm以上である。なお、上記剛軟度は、JIS−L−1960、45°カンチレバー法に準じて測定される値である。
捲縮長繊維不織布の破断伸度は、70%以上であることが好ましい。上記破断伸度が70%以上である場合、凹凸金型への形状追随性が良好である。上記破断伸度は、より好ましくは75%以上であり、更に好ましくは80%以上である。一方、上記破断伸度は、形態保持の観点から、好ましくは200%以下であり、より好ましくは150%以下であり、更に好ましくは130%以下である。
捲縮長繊維不織布の目付換算の5%中間応力値は、0.6N/5cm以下であることが好ましく、この場合凹凸金型への形状追随性が良好である。上記目付換算の5%中間応力値とは、引張強力測定における5%伸長時の中間応力を目付で除した値として求められる。上記目付換算の5%中間応力値は、より好ましくは0.55N/5cm以下であり、更に好ましくは0.5N/5cm以下である。目付換算の5%中間応力値は下式で表される。
{目付換算の5%中間応力値(N/5cm)=(5%中間応力(N/5cm))/(目付(g/m2))}
捲縮長繊維不織布の上記破断伸度が70%以上であること、及び上記目付換算の5%中間応力値が0.6N/5cm以下であることは、補強材が成型金型の形状に馴染みやすく凹凸型に対する追従性に優れる点で、本発明の複合成型体を自動車の座席用ウレタンモールド成型の用途に用いる場合に特に好適である。
上記破断伸度及び5%中間応力値は、不織布のタテ方向(すなわち巻き取り方向すなわち不織布長さ方向)及びヨコ方向(すなわち該タテ方向に対して垂直の方向)の各々で、定長引張試験機を用いた引張強力測定により測定される値であり、破断伸度及び5%中間応力値の上記範囲は、タテ方向及びヨコ方向で測定される値の両者が上記範囲であることを意味する。
捲縮長繊維不織布の平均見かけ密度は、好ましくは、0.05〜0.18g/cm3であり、より好ましくは0.06〜0.15g/cm3である。上記平均見かけ密度が0.05g/cm3未満である場合、樹脂の染み出しが多くなる傾向があり、0.18g/cm3を超える場合、形状追従性が低下してしまう傾向がある。なお上記平均見かけ密度は、不織布の目付及び厚みから、下記式、
(平均見かけ密度)=(目付)/(厚み)
に従って算出される値である。平均見かけ密度は、繊維の繊度、捲縮数、目付等を変えることにより制御できる。
本発明の捲縮長繊維不織布は、2層以上の捲縮長繊維不織布層からなる積層構造であってもよい。この場合、各層は、互いに、同種又は異種のポリマー成分で構成された同一又は異なる繊度のものであることができる。本発明の捲縮長繊維不織布が2層以上の捲縮長繊維不織布層からなる場合、層ごとに部分熱圧着率が異なってもよく、各層の部分圧着率が、好ましくは2〜15%、より好ましくは3〜13%、更に好ましくは5〜12%とされる。しかし熱圧着は、典型的には後述するように熱エンボスロール加工等により行い、2層以上の捲縮長繊維不織布層が積層された状態で積層物全体を熱圧着することが好ましい。この場合各層の部分熱圧着率は一致する。
また、2層以上の捲縮長繊維不織布層の層間は、部分熱圧着率が2〜15%となるように熱圧着によって接合されていることが好ましい。上記部分熱圧着率が2%未満である場合、繊維相互の熱圧着頻度が少なく、取扱い性及び強度が低くなる傾向がある。一方上記部分熱圧着率が15%を超える場合、繊維相互の熱圧着頻度が多く、剛軟度が大きく硬い風合いで凹凸金型に形状追随し難い傾向がある。上記部分熱圧着率は、より好ましくは3〜13%であり、更に好ましくは5〜12%である。なお上記の層間の部分熱圧着は、典型的には、2層以上の捲縮長繊維不織布層が積層された積層物全体を熱圧着することにより、各層の部分熱圧着と同時に実現できる。
2層以上の捲縮長繊維不織布層からなる積層構造は例えば粗密構造であることができる。例えば、平均見かけ密度が0.03〜0.12g/cm3の粗な構造の層と、平均見かけ密度が0.08〜0.35g/cm3で上記粗な構造よりも密な構造の層とが積層された2層構造を形成することができる。
本発明の複合成型体における補強材は、上述の捲縮長繊維不織布の少なくとも一方の表面に積層された他の層を更に含むことができる。他の層としては、非捲縮長繊維不織布、合成樹脂フィルム等が挙げられる。非捲縮長繊維不織布は、発泡成型に用いる樹脂液の不織布表面への染み出しを抑制する効果を与える。非捲縮長繊維不織布を構成する非捲縮長繊維の繊度は、好ましくは0.5〜5dtex、より好ましくは0.7〜4dtexである。上記繊度が0.5dtex未満である場合は、柔軟性は高くなるが、嵩高性が低くなる傾向があり、5dtexを超える場合は、嵩高性が高くなるが、柔軟性が低くなる傾向がある。また、非捲縮長繊維の繊維断面は、密な構成とする観点から丸形断面であることが好ましい。
非捲縮長繊維は、繊維の分散性、繊維の緻密性等の観点から、成形加工時の樹脂の補強材表面への染み出し性を向上させる目的で用いることもできる。非捲縮長繊維は、捲縮を発現させない他は、前述の捲縮長繊維と同様の方法で製造できる。
本発明においては、捲縮長繊維不織布と非捲縮長繊維不織布とが前述したような粗密構造を形成していてもよく、例えば、捲縮長繊維不織布を上記粗な構造とし、非捲縮長繊維不織布を上記密な構造とすることができる。
上記合成樹脂フィルムは、補強材表面への樹脂の染み出しをより良好に防ぐという利点を与える。合成樹脂フィルムとしては、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−α―オレフィン共重合体、その他のエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリブテン系樹脂、オレフィン系樹脂として、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体等の1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。更に、オレフィン系樹脂に炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の無機充填剤を添加して延伸加工すること等により形成される微多孔質フィルム等も使用できる。
上記合成樹脂フィルムの厚みは、成形加工性の観点から、好ましくは20〜70μm、より好ましくは30〜60μmである。特に、好ましい熱シール加工を行うために、融点差が互いに10〜50℃である複数種のフィルムからなる積層フィルムを用いることが好ましい。積層フィルムとしては、例えば、低密度ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリアミド系樹脂等を含むものが用いられる。
合成樹脂フィルムは、捲縮長繊維不織布及び/又は非捲縮長繊維不織布に接して積層できるが、金型追従性の観点から、好ましくは捲縮長繊維不織布に接して積層される。好ましい層構成としては、捲縮長繊維不織布/合成樹脂フィルム/非捲縮長繊維不織布の順で積層された構成が挙げられる。
捲縮長繊維不織布と、非捲縮長繊維不織布及び/又は合成樹脂フィルムとの複合シートは、樹脂押し出しラミネート法、タンデム押し出しラミネート法、ウレタン系樹脂、エステル系樹脂等のドライラミネート法、ホットメルトパウダー樹脂ラミネート法、ホットメルト系樹脂のカーテンスプレー法等、更に、加熱ロールを接触させることによる熱ラミネート法等により形成できる。捲縮長繊維不織布又は非捲縮長繊維不織布と、合成樹脂フィルムとの間の接着力は、好ましくは、10N/25mm以上、より好ましくは、15N〜100N/25mmである。なお上記接着力は、180度はく離試験方法での測定値である。
本発明における発泡成型樹脂としては、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂等が挙げられ、柔軟性、耐久性、クッション性等の観点からウレタン発泡成型樹脂が特に好ましい。ウレタン発泡成型樹脂の具体例としては、ポリオール成分にイソシアネート類を100〜200℃の温度に加熱して反応させて発泡成型する等が挙げられる。
本発明の複合成型体は、捲縮長繊維不織布を発泡成型用金型の内側凹凸部に取付け、その後、ウレタン樹脂液等の発泡樹脂原液を注入して一体成型することにより、例えば自動車や家具等のシート用クッション体等として形成できる。本発明の複合成型体は、発泡成型樹脂、捲縮長繊維不織布、並びに任意の非捲縮長繊維不織布及び/又は合成樹脂フィルムのみで形成されてもよいし、用途に応じて他の部材が組み合わされたものでもよい。
本発明を実施例に基づいて説明する。測定方法は以下のとおりである。
(1)繊度(dtex):
顕微鏡で500倍の拡大写真を撮影し、繊維20本の数平均繊維径から繊度を算出した。
(2)捲縮数及びらせん捲縮径:
不織布を部分熱圧着前に採取し、その中から20cmの単糸10本を変形させない様に採取した後、単糸の片方に繊維2mg/dtexの加重を吊り下げた状態で、25mmの間の捲縮数及び捲縮している部分の外径を拡大鏡を用いて数え、n=10の平均値を捲縮数及びらせん捲縮径として求めた。
(3)目付(g/m2):
縦20cm×横25cmの試料を3箇所切り取って質量を測定し、3箇所の平均値を単位当たりの質量に換算して求めた。(JIS−L−1906に準拠)
(4)厚み(mm):
JIS−L−1906に準じて、直径10mmの加圧子で荷重10kPaにて10箇所測定して、その平均値を厚みとした。
(5)部分熱圧着部1個当たりの面積、部分熱圧着部の間隔及び部分熱圧着率:
<部分熱圧着部1個当たりの面積及び部分熱圧着部の間隔>
キーエンス社製(VE−8800)走査型電子顕微鏡を用いた不織布表面の拡大写真から部分熱圧着部を1ずつn=10で切り出し、質量を測定した後に面積換算し平均値を部分熱圧着部1個の当たりの面積として計測した。一方、1つの部分熱圧着部と、その周りに存在する最も近い他の部分熱圧着部との最小距離を求め、これを、異なる部分熱圧着部に対してn=10で求め、その平均値を部分熱圧着部の間隔として計測した。
<部分熱圧着率>
キーエンス社製(VE−8800)走査型電子顕微鏡を用いた不織布表面の拡大写真から、30倍の視野で、不織布の全面積に対する部分熱圧着部分の面積の割合を算出した。
部分熱圧着率=(部分圧着部分の全面積)/(不織布の全面積)
(6)通気性:
JIS−L−1906の一般長繊維不織布試験方法のフラジュール形法に準じて測定した。
(7)酸素指数:
JIS−K−7201の酸素指数測定方法に準じて測定した。
(8)剛軟度:JIS−L−1906 45°カンチレバー法に準じて求めた。
(9)破断伸度(%):
定長引張試験機を用い、試料幅5cm長さ30cmを切り取り、つかみ間隔20cm、引張速度10cm/minで、引張伸度をタテ、ヨコ各々3箇所測定し、破断時の伸度のタテ、ヨコ各々3箇所の平均値を破断伸度とした。
(10)目付換算の5%中間応力値(N/5cm):
定長引張試験機を用い、試料幅5cm長さ30cmを切り取り、つかみ間隔20cm、引張速度10cm/minで、引張強力をタテ、ヨコ各々3箇所測定し、5%伸長時の応力のタテ、ヨコ各々3箇所の平均値を5%中間応力とし、これを目付けで除した値を目付換算の5%中間応力値とした。
(11)平均見かけ密度(g/cm3):
平均見かけ密度=(目付け)/(厚み)
の式に従って求めた。
[実施例1]
スパンボンド用溶融紡糸機を用いて、りん酸エステル系難燃剤{1、3−フェニレンビス(2,6ジメチルフェニルホスフェート):旭電化工業製}を1.5質量%含有させたポリプロピレン樹脂(PP、融点165℃)をハの字型の異形ノズル紡口から吐出し、紡口下130mmの位置から冷却装置で糸条を側面から冷却することにより、冷却差による糸の構造差を発現させて捲縮を発現させ、牽引装置にて、V形の繊維断面を有するポリプロピレン捲縮長繊維(繊度:3dtex、捲縮数:23個/25mm、らせん捲縮径:0.7mm)のウエブ(目付100g/m2)を得た。
上記の捲縮長繊維ウェブを、表面全体に1個当たりの面積が1.2mm2の凸部を4.6mmの最小間隔で千鳥配置したエンボスロールと表面平滑ロールとを組合せた部分熱圧着ロール(温度135℃、線圧300N/cm、部分熱圧着率8%)の間に通過させて、部分熱圧着された捲縮長繊維不織布を得た。
得られた捲縮長繊維不織布の特性は、熱圧着部1箇所当たりの面積:1.2mm2、熱圧着部の最小間隔:4.6mm、部分熱圧着率:8%、目付:100g/m2、厚み:0.82mm、通気性:35cm3/cm2/sec、酸素指数(LOI):25、剛軟度:7.5cm、破断伸度:タテ85% ヨコ110%、5%中間応力値:タテ方向35N/5cm、ヨコ方向7N/5cm、目付換算の5%中間応力値:タテ0.35N/5cm ヨコ0.07N/5cm、平均見かけ密度:0.12g/cm3であった。
得られた捲縮長繊維不織布を用いて、自動車用の座席シートの成型を行った。該不織布を発泡成型金型の内側に装着させた結果、柔らかい風合いがあり、金型への形状追随性が良く、金型への装着が良好に行えた。次いで、2液タイプのウレタン樹脂を金型に注入し、発泡成型を行った。得られた複合成型体を成型金型から離形して、不織布表面への樹脂の染み出しを観察したが、樹脂の染み出しがなかった。また、座席シートに座って移動する方法で摩擦による異音の発生有無を調べたところ、異音の発生はなく良好な複合成型品が得られたことが分かった。
[実施例2]
実施例1の捲縮長繊維不織布の製造において、難燃剤として、過酸化処理したN−ブチル−2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジンアミンと、2,4,6,−トリクロロ−1,3,5,−トリアジンとの反応生成物にシクロヘキサンを反応させて得られる生成物と、N,N’−ビス(3−アミノピロピル)エチレンジアミンとの反応生成物である難燃剤(チバ・スペシャルテイ・ケミカルズ社製)を1.0質量%含有させたこと、及び、ポリプロピレン捲縮長繊維ウェブが目付70g/m2、捲縮数:17個/25mm、らせん捲縮径:0.7mm、繊度2dtexのものとなるように、紡糸条件を変更したこと以外は、実施例1と同様にして捲縮長繊維不織布を得た。
得られた不織布の特性は、熱圧着部1箇所当たりの面積:1.2mm2、熱圧着部の最小間隔:4.6mm、部分熱圧着率:8%、目付:70g/m2、厚み:0.60mm、通気性:55cm3/cm/sec、酸素指数:24、剛軟度:5.3cm、破断伸度:タテ85% ヨコ110%、5%中間応力:タテ19N/5cm ヨコ4N/5cm、目付換算の5%の中間応力値:タテ0.27N/5cm ヨコ0.04N/5cm、平均見かけ密度:0.12g/cm3であった。
得られた捲縮長繊維不織布を用いて、自動車用の座席シートの成型を行った。該不織布を発泡成型金型の内側に装着させた結果、柔らかい風合いがあり、金型への形状追随性が良く、金型への装着が良好に行えた。次いで、2液タイプのウレタン樹脂を金型に注入し、発泡成型を行った。得られた複合成型体を成型金型から離形して、不織布表面への樹脂の染み出しを観察したが、樹脂の染み出しがなかった。また、座席シートに座って移動する方法で摩擦による異音の発生有無を調べたところ、異音の発生はなく良好な複合成型品が得られたことが分かった。
[実施例3及び4]
実施例2における難燃剤の含有量を0.5質量%(実施例3)、0.3質量%(実施例4)に変更したこと以外は、実施例2と同様の方法で(ポリプロピレン捲縮長繊維は、実施例3において、繊度:2dtex、捲縮数:16個/25cm、らせん捲縮径:0.7mmであり、実施例4において、繊度:2dtex、捲縮数:15個/25cm、らせん捲縮径:0.8mmであった)、捲縮長繊維ウェブ及び捲縮長繊維不織布を得た。得られた捲縮長繊維不織布の特性は以下の通りである。
実施例3:熱圧着部1箇所当たりの面積:1.2mm2、熱圧着部の最小間隔:4.6mm、部分熱圧着率:8%、目付:70g/m2、厚み:0.6mm、通気性:54cm3/cm2/sec、酸素指数(LOI):22、剛軟度:5.5cm、破断伸度:タテ89% ヨコ116%、5%中間応力値:タテ23N/5cm、ヨコ3.5N/5cm、目付換算の5%中間応力値:タテ0.32N/5cm ヨコ0.05N/5cm、平均見かけ密度:0.12g/cm3
実施例4:熱圧着部1箇所当たりの面積:1.2mm、熱圧着部の最小間隔:4.6mm、部分熱圧着率:8%、目付:70g/m2、厚み:0.57mm、通気性:56cm3/cm2/sec、酸素指数(LOI):21、剛軟度:6.0cm、破断伸度:タテ86% ヨコ115%、5%中間応力値:タテ28N/5cm、ヨコ4N/5cm、目付換算の5%中間応力値:タテ0.4N/5cm ヨコ0.06N/5cm、平均見かけ密度:0.12g/cm3
実施例3及び4で得られた捲縮長繊維不織布をそれぞれ用いて、自動車用の座席シートの成型を行った。該不織布を発泡成型金型の内側に装着させた結果、柔らかい風合いがあり、金型への形状追随性が良く、金型への装着が良好に行えた。次いで、2液タイプのウレタン樹脂を金型に注入し、発泡成型を行った。得られた複合成型体を成型金型から離形して、不織布表面への樹脂の染み出しを観察したが、樹脂の染み出しがなかった。また、座席シートに座って移動する方法で摩擦による異音の発生有無を調べたところ、異音の発生はなく良好な複合成型品が得られたことが分かった。
[比較例1]
スパンボンド用溶融紡糸機を用いて、ポリプロピレン樹脂(PP、融点165℃)を紡口から吐出し、紡口下で冷却装置を用いて糸条を側面から冷却し、牽引装置により丸形の繊維断面を有する目付100g/m2のポリプロピレン非捲縮長繊維ウェブ(繊度3dtex)を得た。
表面全体に1個当たりの面積が1.2mm2の凸部を4.6mmの最小間隔で千鳥配置したエンボスロールと表面平滑ロールとを組合せた部分熱圧着ロール(温度135℃、線圧300N/cm、部分熱圧着率8%)の間に、上記の非捲縮長繊維ウェブを通過させて、部分熱圧着されたポリプロピレン非捲縮長繊維不織布を得た。
得られた非捲縮長繊維不織布の特性は、熱圧着部1箇所当たりの面積:1.2mm、熱圧着部の最小間隔:4.6mm、部分熱圧着率:8%、目付:100g/m2、厚み:0.42mm、通気性:25cm3/cm2/sec、酸素指数(LOI):17、剛軟度:13.5mm、破断伸度:タテ50% ヨコ65%、5%中間応力値:タテ85N/5cm、ヨコ35N/5cm、目付換算の5%中間応力値:タテ0.85N/5cm ヨコ0.35N/5cm、平均見かけ密度:0.24g/cm3である。
得られた不織布を用いて、自動車用の座席シートのモールド成型加工を行った。該不織布を発泡成型金型の内側に装着させた結果、風合いが硬く、金型への形状追従性が悪く、不織布の金型への装着性が悪いことから、成型加工性が悪かった。次いで、2液タイプのウレタン樹脂を金型に注入し、発泡成型を行った。得られた複合成型体を成型金型から離形して、不織布表面へのウレタン樹脂の染み出し有無を観察したところ樹脂の染み出しがなかった。しかし、特に形状のよくない複合成型品が得られた。
Figure 2011051137
本発明の複合成型体は難燃性であり、嵩高性及び柔軟性に富む捲縮繊維を用いて補強材を構成しているため、車両用の座席等の、発泡ウレタン樹脂がモールド成型されてなる、樹脂−補強材複合成型体として好ましく用いられる。本発明の複合成型体において用いる補強材は、凹凸金型に追従しやすく、且つ、発泡成型に用いる樹脂の補強材表面への染み出しを防止できる。よって本発明によれば、発泡成型シート、クッション体等の複合成型体と取付鋼材との摩擦等による異音の発生を防止できる。従って、本発明の複合成型体は、例えば車両用内装材等の広い用途に好適に利用できる。

Claims (6)

  1. 発泡成型樹脂と、該発泡成型樹脂の補強材である捲縮長繊維スパンボンド不織布とを有する複合成型体であって、
    該捲縮長繊維スパンボンド不織布が、繊度0.5〜10dtex及び捲縮数2〜40個/25mmであるポリプロピレン系捲縮長繊維を少なくとも用いて構成されており、
    該捲縮長繊維スパンボンド不織布が、部分熱圧着率2〜15%で熱圧着されており、
    該捲縮長繊維スパンボンド不織布が、目付50〜200g/m2、厚み0.5〜2.0mm、通気性0.1〜150cm3/cm2/sec、及びJIS−K−7201に従って測定される酸素指数(LOI)20以上を有する、複合成型体。
  2. 前記捲縮長繊維スパンボンド不織布が、難燃剤を0.1〜10質量%含有する、請求項1に記載の複合成型体。
  3. 前記捲縮長繊維スパンボンド不織布中の前記ポリプロピレン系捲縮長繊維の含有率が、70〜100質量%である、請求項1又は2に記載の複合成型体。
  4. 前記捲縮長繊維スパンボンド不織布が剛軟度15cm以下を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の複合成型体。
  5. 前記捲縮長繊維スパンボンド不織布が、破断伸度70%以上を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の複合成型体。
  6. 前記発泡成型樹脂が、ウレタン発泡成型樹脂である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の複合成型体。
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