JP2011046870A - インク組成物、インクセット、画像形成方法及び顔料分散液 - Google Patents

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Abstract

【課題】分散安定性が良好で、インクの吐出性およびカラー画像の耐擦性を両立しうるインク組成物、インクセットおよびこれを用いた画像形成方法を提供する。
【解決手段】下記一般式(I)で表される構造単位を含む第一の樹脂分散剤と下記一般式(II)で表される構造単位を含む第二の樹脂分散剤とによって被覆された顔料、有機溶媒、中和剤、及び水を含むインク組成物〔式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Arは無置換又は置換の芳香族環を表す。nは、平均の繰り返し数を表し、1〜6である。Rは水素原子又はメチル基を表し、Lは置換又は無置換のフェニレン基を表し、Lは単結合又は2価の連結基を表し、Arは炭素数8以上の縮環型芳香環、芳香環が縮環したヘテロ環、又は二個以上連結したベンゼン環から誘導される1価の基を表す。〕。
Figure 2011046870

【選択図】なし

Description

本発明は、インク組成物、インクセット、画像形成方法及び顔料分散液に関する。
インクジェット記録用の記録媒体としては、様々な記録媒体が検討されており、高品位の画像を形成し得る技術が求められている。また、インクにおいても、耐水性や耐光性などを与えるインク材料として、顔料などの色材の検討が行なわれている。
ところが、普通紙に記録を行なうにあたって、発色濃度、定着性、解像度などにおいて、充分な性能が得られていない場合がある。特に、インクジェット記録を高速化する場合が挙げられ、シャトルスキャン方式ではなく、1回のヘッド操作で記録可能なシングルパス方式で高速記録する場合の記録適性が求められるようになってきている。
様々な記録媒体に画像形成した場合において、紙上でにじみ、かぶりのない、高解像度、高濃度で均一な画像が得られ、ノズル先端でのインク乾燥による目詰まりが発生せず、常に吐出応答性、吐出安定性が良好であるインクジェット記録用インクを提供する方法として、HLB値の異なる2種類以上の分散剤を併用する方法が提案されている。(例えば、特許文献1参照)。この方法においては、適切なHLB値の条件を満たすインクによって、分散安定性の確保とノズル先端でのインク乾燥による目詰まりを解消することができるとされている。
また、水性顔料分散体として、重量平均分子量の異なる2種以上のアニオン性基含有有機高分子化合物を用いる方法が提案されている。(例えば、特許文献2参照)。この方法においては、分散性及び分散安定性に優れた水性顔料分散体を提供でき、該水性顔料分散体を用いた貯蔵安定性、鮮明性、透明性に優れた水性記録液を提供することができるとされている。
特許第3111893号 特開2000-160093号公報
しかし、上記の方法においては、形成される画像の耐擦性が十分ではなく、また、高速記録する場合、インクの分散安定性が十分でないため吐出方向性不良が生じ、白抜け等の故障が発生するという課題がある。
本発明は、上記に鑑みなされたものであり、特定構造の樹脂分散剤を2種類以上用いることにより、分散安定性が良好で、インクの吐出性およびカラー画像の耐擦性を両立しうるインク組成物、インクセットおよびこれを用いた画像形成方法を提供することを目的とする。
また本発明は、分散安定性に優れた顔料分散液を提供することを目的とする。
<1>下記一般式(I)で表される構造単位を含む第一の樹脂分散剤と下記一般式(II)で表される構造単位を含む第二の樹脂分散剤とで少なくとも被覆された顔料、有機溶媒、及び水を含むインク組成物。
Figure 2011046870
式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Arは無置換又は置換の芳香族環を表す。nは、平均の繰り返し数を表し、1〜6である。
Figure 2011046870
式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Lは置換又は無置換のフェニレン基を表す。Lは単結合又は2価の連結基を表す。Arは炭素数8以上の縮環型芳香環、芳香環が縮環したヘテロ環、又は二個以上連結したベンゼン環から誘導される1価の基を表す。
<2>前記一般式(I)中のArで表される前記芳香族環が、無置換又は置換のベンゼン環である前記<1>に記載のインク組成物。
<3>前記一般式(II)中のArが、アクリドン又はフタルイミドから誘導される1価の基である前記<1>または<2>に記載のインク組成物。
<4>前記第一の樹脂分散剤及び前記第二の樹脂分散剤の少なくとも一方は、親水性構造単位(A)と疎水性構造単位(B)とを含み、芳香族環の含有割合が樹脂分散剤の全質量の20質量%以下であって、前記親水性構造単位(A)の割合が樹脂分散剤の全質量の15質量%以下であり、前記親水性構造単位(A)が少なくとも(メタ)アクリル酸に由来の構造単位を含む前記<1>〜<3>のいずれかに記載のインク組成物。
<5>前記第一の樹脂分散剤及び前記第二の樹脂分散剤の少なくとも一方の重量平均分子量が3万以上である前記<1>〜<4>のいずれかに記載のインク組成物。
<6>前記顔料は、転相乳化法により前記第一の樹脂分散剤及び前記第二の樹脂分散剤の少なくとも一方で被覆された顔料である前記<1>〜<5>のいずれかに記載のインク組成物。
<7>更に界面活性剤を含む前記<1>〜<6>のいずれかに記載のインク組成物。
<8>更に樹脂粒子を含む前記<1>〜<7>のいずれかに記載のインク組成物。
<9>前記<1>〜前記<8>のいずれかに記載のインク組成物と、前記インク組成物と混合したときに該インク組成物中の成分を凝集させる凝集剤を含む処理液と、を含むインクセット。
<10>前記インク組成物の25℃でのpHが7.5以上であり、前記処理液の25℃でのpHが4以下である前記<9>に記載のインクセット。
<11>前記凝集剤が有機カルボン酸である前記<9>または<10>に記載のインクセット。
<12>前記<1>〜<8>のいずれかに記載のインク組成物を記録媒体上に、インクジェット法により付与するインク付与工程と、前記インク組成物と混合したときに該インク組成物中の成分を凝集させる凝集剤を含む処理液を記録媒体上に付与する処理液付与工程と、を有し、前記インク組成物と前記処理液とを接触させて画像を形成する画像形成方法。
<13>前記処理液付与工程により記録媒体上に処理液を付与した後、インク組成物を付与し、付与された処理液に前記インク付与工程により付与されたインク組成物を接触させることにより画像を形成する前記<12>に記載の画像形成方法。
<14>少なくとも、顔料と、下記一般式(I)で表される構造単位を含む第一の樹脂分散剤と、下記一般式(II)で表される構造単位を含む第二の樹脂分散剤と、を含む顔料分散液。
Figure 2011046870
式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Arは無置換又は置換の芳香族環を表す。nは、平均の繰り返し数を表し、1〜6である。
Figure 2011046870
式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Lは置換又は無置換のフェニレン基を表す。Lは単結合又は2価の連結基を表す。Arは炭素数8以上の縮環型芳香環、芳香環が縮環したヘテロ環、又は二個以上連結したベンゼン環から誘導される1価の基を表す。
<15>前記一般式(I)中のArで表される前記芳香族環が、無置換又は置換のベンゼン環である前記<14>に記載の顔料分散液。
<16>前記一般式(II)中のArが、アクリドン又はフタルイミドから誘導される1価の基である前記<14>または<15>に記載の顔料分散液。
<17>前記第一の樹脂分散剤及び前記第二の樹脂分散剤の少なくとも一方は、親水性構造単位(A)と疎水性構造単位(B)とを含み、芳香族環の含有割合が樹脂分散剤の全質量の20質量%以下であって、前記親水性構造単位(A)の割合が樹脂分散剤の全質量の15質量%以下であり、前記親水性構造単位(A)が少なくとも(メタ)アクリル酸に由来の構造単位を含む前記<14>〜<16>のいずれかに記載の顔料分散液。
<18>前記第一の樹脂分散剤及び前記第二の樹脂分散剤の少なくとも一方の重量平均分子量が3万以上である前記<14>〜<17>のいずれかに記載の顔料分散液。
<19>前記顔料は、転相乳化法により前記第一の樹脂分散剤及び前記第二の樹脂分散剤の少なくとも一方で被覆されている前記<14>〜<18>のいずれかに記載の顔料分散液。
本発明によれば、特定構造の樹脂分散剤を2種類以上用いることにより、分散安定性が良好で、インクの吐出性およびカラー画像の耐擦性を両立しうるインク組成物、インクセットおよびこれを用いた画像形成方法を提供することができる。
また本発明によれば、分散安定性に優れた顔料分散液を提供することができる。
以下、本発明のインク組成物、インクセット、画像形成方法及びこれらに好適な顔料分散液について詳細に説明する。
[インク組成物]
本発明に係るインク組成物は、少なくとも下記一般式(I)で表される構造単位を含む第一の樹脂分散剤と下記一般式(II)で表される構造単位を含む第二の樹脂分散剤とで少なくとも被覆された顔料(以下、「樹脂被覆顔料」ということがある。)、有機溶媒、及び水を含んでなり、好ましくは中和剤を含んでいる。
本発明において、下記一般式(I)で表される構造単位を含む第一の樹脂分散剤と、下記一般式(II)で表される構造単位を含む第二の樹脂分散剤は、後述する顔料分散液において顔料を均一に分散させるための分散剤として機能するものである。
Figure 2011046870
式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Arは無置換又は置換の芳香族環を表す。nは、平均の繰り返し数を表し、1〜6である。
Figure 2011046870
式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Lは置換又は無置換のフェニレン基を表す。Lは単結合又は2価の連結基を表す。Arは炭素数8以上の縮環型芳香環、芳香環が縮環したヘテロ環、又は二個以上連結したベンゼン環から誘導される1価の基を表す。
本発明における樹脂被覆顔料は、必ずしも顔料表面の全体が本発明における第一の樹脂分散剤又は第二の樹脂分散剤で被覆されている必要はなく、場合により顔料表面の少なくとも一部が被覆された状態であってもよい。
以下本明細書中において、第一の樹脂分散剤および第二の樹脂分散剤を単に、樹脂分散剤と称する場合がある。
<第一の樹脂分散剤:一般式(I)で表される構造単位>
Figure 2011046870
前記一般式(I)において、Rは水素原子又はメチル基を表し、好ましくはメチル基である。
Arは、無置換又は置換の芳香族環を表す。芳香族環が置換されている場合の置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、水酸基、又はシアノ基などを挙げることができ、縮環を形成していてもよい。縮環を形成している場合、例えば、炭素数8以上の縮環型芳香環、ヘテロ環が縮環した芳香環、又は2以上連結した芳香環が挙げられる。
前記「炭素数8以上の縮環型芳香環」は、少なくとも2以上のベンゼン環が縮環した芳香環、少なくとも1種の芳香環と該芳香環に縮環して脂環式炭化水素で環が構成された炭素数8以上の芳香族化合物である。具体的な例としては、ナフタレン、アントラセン、フルオレン、フェナントレン、アセナフテンなどが挙げられる。
前記「ヘテロ環が縮環した芳香環」とは、ヘテロ原子を含まない芳香族化合物(好ましくはベンゼン環)と、ヘテロ原子を有する環状化合物とが縮環した化合物である。ここで、ヘテロ原子を有する環状化合物は、5員環又は6員環であることが好ましい。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子が好ましい。ヘテロ原子を有する環状化合物は、複数のヘテロ原子を有していてもよい。この場合、ヘテロ原子は互いに同じでも異なっていてもよい。ヘテロ環が縮環した芳香環の具体例としては、フタルイミド、アクリドン、カルバゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾールなどが挙げられる。
Arで表される芳香族環は、エステル基とエチレンオキシド鎖とを介して樹脂分散剤の主鎖に結合し、芳香族環が主鎖に直接結合しないので、疎水性の芳香族環と親水性構造単位との間に適切な距離が維持され、樹脂分散剤は顔料との間で相互作用しやすく、強固に吸着して分散性が高められる。
中でも、Arとしては、無置換又は置換のベンゼン環、無置換のナフタレン環が好ましく、無置換のベンゼン環が特に好ましい。
nは、水性インク組成物に含まれる樹脂被覆顔料の樹脂分散剤におけるエチレンオキシ鎖を平均した繰り返し数を表す。nの範囲は、1〜6であり、好ましくは1〜2である。
前記一般式(I)で表される構造単位を形成するモノマーの具体例としては、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等、及び下記のモノマーなどを挙げることができる。
Figure 2011046870

前記一般式(I)で表される構造単位のうち、分散安定性の点で、Rがメチル基であって、Arが無置換のベンゼン環であって、nが1〜2である場合が特に好ましい。
第一の樹脂分散剤全質量における、一般式(I)で表される構造単位の含有割合は、30〜70質量%の範囲が好ましく、より好ましくは40〜50質量%の範囲である。この含有割合は、30質量%以上であると分散性に優れ、70質量%以下であると凝集体の付着・堆積を抑えると共に付着した凝集物の除去性(メンテナンス性)に優れ、白抜け等の画像故障の発生を抑制することができる。
以下、本発明における一般式(I)で表される構造単位を含む樹脂分散剤の具体例を示す。但し、本発明においては、下記に限定されるものではない。
Figure 2011046870
Figure 2011046870
Figure 2011046870
<第二の樹脂分散剤:一般式(II)で表される構造単位>
Figure 2011046870
一般式(II)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Lは置換又は無置換のフェニレン基を表す。Lは単結合又は2価の連結基を表す。Arは炭素数8以上の縮環型芳香環、芳香環が縮環したヘテロ環、又は二個以上連結したベンゼン環から誘導される1価の基を表す。
前記一般式(II)において、Rは水素原子又はメチル基を表し、好ましくはメチル基を表す。
は置換又は無置換のフェニレン基を表す。Lとしては、無置換のフェニレン基が好ましい。
は単結合又は2価の連結基を表す。前記2価の連結基としては、好ましくは炭素数1〜30の連結基であり、より好ましくは炭素数1〜25の連結基であり、更に好ましくは炭素数1〜20の連結基であり、特に好ましくは炭素数1〜15の連結基である。
中でも、最も好ましくは、炭素数1〜25(より好ましくは1〜10)のアルキレンオキシ基、イミノ基(−NH−)、スルファモイル基、及び、炭素数1〜20(より好ましくは1〜15)のアルキレン基やエチレンオキシド基[−(CHCHO)−,n=1〜6]などの、アルキレン基を含む2価の連結基等、並びにこれらの2種以上を組み合わせた基などである。
Arは、炭素数8以上の縮環型芳香環、芳香環が縮環したヘテロ環、又は二個以上連結したベンゼン環から誘導される1価の基を表す。
前記「炭素数8以上の縮環型芳香環」は、少なくとも2以上のベンゼン環が縮環した芳香環、少なくとも1種の芳香環と該芳香環に縮環して脂環式炭化水素で環が構成された炭素数8以上の芳香族化合物である。
具体的な例としては、ナフタレン、アントラセン、フルオレン、フェナントレン、アセナフテンなどが挙げられる。
前記「芳香環が縮環したヘテロ環」とは、ヘテロ原子を含まない芳香族化合物(好ましくはベンゼン環)と、ヘテロ原子を有する環状化合物とが縮環した化合物である。ここで、ヘテロ原子を有する環状化合物は、5員環又は6員環であることが好ましい。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子が好ましい。ヘテロ原子を有する環状化合物は、複数のヘテロ原子を有していてもよい。この場合、ヘテロ原子は互いに同じでも異なっていてもよい。
芳香環が縮環したヘテロ環の具体例としては、フタルイミド、アクリドン、カルバゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾールなどが挙げられる。
前記一般式(II)で表される構造単位を形成するモノマーの具体例としては、下記のモノマーなどを挙げることができるが、これに限定されるものではない。
Figure 2011046870
上記一般式(II)で表される構造単位中のArとしては、アクリドン又はフタルイミドから誘導される1価の基であることが、被覆された顔料の安定性の観点から好ましく、更に、アクリドンから誘導される1価の基であることが好ましい。
前記一般式(II)で表される構造単位のうち、顔料の分散安定性の点で、Rはメチル基であって、Lは無置換のフェニレン基であって、Lは2価の連結基(好ましくはメチレン)であって、Arはアクリドンから誘導される1価の基であることが好ましい。
第二の樹脂分散剤全質量における、一般式(II)で表される構造単位の含有割合は、5〜25質量%の範囲が好ましく、より好ましくは10〜18質量%の範囲である。
この含有割合は、5質量%以上であると白抜け等の画像故障の発生を顕著に抑制できる傾向となり、また、25質量%以下とすると共重合体の重合反応溶液(例えば、メチルエチルケトン)中での溶解性低下による製造適性上の問題が生じない傾向となり好ましい。
以下、本発明における一般式(II)で表される構造単位を含む樹脂分散剤の具体例を示す。但し、本発明においては、下記に限定されるものではない。
Figure 2011046870
Figure 2011046870
Figure 2011046870
本発明における第一の樹脂分散剤および第二の樹脂分散剤の少なくとも一方は、インク組成物中で安定的に存在することができ、凝集物の付着又は堆積を緩和し、付着した凝集物の除去の容易化の観点から、親水性構造単位(A)と疎水性構造単位(B)とを含み、樹脂分散剤全質量に対し、芳香族環の含有割合が20質量%以下の樹脂であることが好ましい。
ここで、前記疎水性構造単位(B)には、前記一般式(I)で表される構造単位および前記一般式(II)で表される構造単位から選択される少なくとも1つの構造単位が含まれる。
<疎水性構造単位(B)>
本発明における第一の樹脂分散剤および第二の樹脂分散剤の少なくとも一方は、前記一般式(I)で表される構造単位および前記一般式(II)で表される構造単位から選択される少なくとも1つの構造単位、及び、一般式(I)および一般式(II)で表される構造単位以外の他の疎水性構造単位(B)を更に有してもよい。
該疎水性構造単位(B)としては、親水性構造単位(A)に属しない(例えば親水性の官能基を有しない)、例えば(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド類、スチレン類、及びビニルエステル類などのビニルモノマー類、主鎖をなす原子に連結基を介して芳香環を有する疎水性構造単位、等に由来の構造単位を挙げることができる。これらの構造単位は、1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
前記(メタ)アクリレート類としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレートなどが挙げられ、中でも、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートが好ましく、特にメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレートが好ましい。
前記(メタ)アクリルアミド類としては、例えば、N−シクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−(2−メトキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアリル(メタ)アクリルアミド、N−アリル(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド類が挙げられる。
前記スチレン類としては、例えば、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、n−ブチルスチレン、tert−ブチルスチレン、メトキシスチレン、ブトキシスチレン、アセトキシスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、クロロメチルスチレン、酸性物質により脱保護可能な基(例えばt−Bocなど)で保護されたヒドロキシスチレン、ビニル安息香酸メチル、及びα−メチルスチレン、ビニルナフタレン等などが挙げられ、中でも、スチレン、α−メチルスチレンが好ましい。
前記ビニルエステル類としては、例えば、ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレート、ビニルメトキシアセテート、及び安息香酸ビニルなどのビニルエステル類が挙げられる。中でも、ビニルアセテートが好ましい。
前記「主鎖をなす原子に連結基を介して芳香環を有する疎水性構造単位」は、共重合体の主鎖を形成している原子に連結基を介して連結する芳香環の共重合体中における割合が15〜27質量%である構造単位が好ましく、15〜25質量%である構造単位がより好ましく、15〜20質量%である構造単位が更に好ましい。
芳香環は、連結基を介して共重合体の主鎖をなす原子と結合され、共重合体の主鎖をなす原子に直接結合しない構造を有するので、疎水性の芳香環と親水性構造単位との間に適切な距離が維持されるため、共重合体と顔料との間で相互作用が生じやすく、強固に吸着して分散性がさらに向上する。
前記「主鎖をなす原子に連結基を介して芳香環を有する疎水性構造単位」としては、下記一般式(III)で表される構造単位(前記一般式(I)又は前記一般式(II)で表される構造単位を除く)が好適に挙げられる。
Figure 2011046870
前記一般式(III)において、R11は、水素原子、メチル基、又はハロゲン原子を表す。
また、L11は、−COO−、−OCO−、−CONR12−又は−O−、を表し、R12は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基を表す。なお、L11で表される基中の*印は、主鎖に連結する結合手を表す。
12は、単結合、又は炭素数1〜30の2価の連結基を表し、2価の連結基である場合は、好ましくは炭素数1〜25の連結基であり、より好ましくは炭素数1〜20の連結基であり、更に好ましくは炭素数1〜15の連結基である。
中でも、特に好ましくは、イミノ基(−NH−)、スルファモイル基、及び、炭素数1〜20(より好ましくは1〜15)のアルキレン基やエチレンオキシド基[−(CHCHO)−,n=1〜6]などの、アルキレン基を含む2価の連結基等、並びにこれらの2種以上を組み合わせた基などである。
前記一般式(III)において、Ar11は、芳香環から誘導される1価の基を表す。
Ar11で表される芳香環としては、特に限定されないが、ベンゼン環、炭素数8以上の縮環型芳香環、ヘテロ環が縮環した芳香環、又は2個以上連結したベンゼン環が挙げられる。炭素数8以上の縮環型芳香環、及びヘテロ環が縮環した芳香環の詳細については既述の通りである。
以下、その他の疎水性構造単位を形成し得るモノマーの具体例を挙げる。但し、本発明においては、下記具体例に制限されるものではない。
Figure 2011046870
<親水性構造単位(A)>
親水性構造単位(A)としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸に由来の構造単位が好ましく、樹脂分散剤中にはアクリル酸に由来の構造単位もしくはメタクリル酸に由来の構造単位のいずれか又は両方を含むことが好ましい。このほかの親水性構造単位(A)としては、非イオン性の親水性基を有するモノマーに由来の構造単位が挙げられ、例えば、親水性の官能基を有する(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド類、及びビニルエステル類等の、親水性の官能基を有するビニルモノマー類を挙げることができる。
「親水性の官能基」としては、水酸基、アミノ基、(窒素原子が無置換の)アミド基、及び後述のポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のアルキレンオキシドが挙げられる。
非イオン性の親水性基を有する親水性構造単位を形成するモノマーとしては、エチレン性不飽和結合等の重合体を形成しうる官能基と非イオン性の親水性の官能基とを有していれば、特に制限はなく、公知のモノマーから選択することができる。具体的な例としては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、アミノエチルアクリレート、アミノプロピルアクリレート、アルキレンオキシド重合体を含有する(メタ)アクリレートを好適に挙げることができる。
非イオン性の親水性基を有する親水性構造単位(A)は、対応するモノマーの重合により形成することができるが、重合後のポリマー鎖に親水性の官能基を導入してもよい。
非イオン性の親水性基を有する親水性構造単位は、アルキレンオキシド構造を有する親水性の構造単位がより好ましい。アルキレンオキシド構造のアルキレン部位としては、親水性の観点から、炭素数1〜6のアルキレン部位が好ましく、炭素数2〜6のアルキレン部位がより好ましく、炭素数2〜4のアルキレン部位が特に好ましい。また、アルキレンオキシド構造の重合度としては、1〜120が好ましく、1〜60がより好ましく、1〜30が特に好ましい。
また、非イオン性の親水性基を有する親水性構造単位は、水酸基を含む親水性の構造単位であることも好ましい態様である。構造単位中の水酸基数としては、特に制限はなく、樹脂分散剤の親水性、重合時の溶媒や他のモノマーとの相溶性の観点から、1〜4が好ましく、1〜3がより好ましく、1〜2が特に好ましい。
上記において、例えば、親水性構造単位の含有割合は、前述した疎水性構造単位(B)の割合で異なる。例えば、樹脂分散剤がアクリル酸及び/又はメタクリル酸〔親水性構造単位(A)〕と前述の疎水性構造単位(B)とのみから構成される場合、アクリル酸及び/又はメタクリル酸の含有割合は、「100−(疎水性構造単位の質量%)」で求められる。
本発明における樹脂分散剤としては、親水性構造単位(A)と疎水性構造単位(B)(前記一般式(I)で表される構造単位、前記一般式(II)で表される構造単位、前記その他の疎水性構造単位(B)を含む)との組成は各々の親水性、疎水性の程度にも影響するが、親水性構造単位(A)の割合が15質量%以下であることが好ましい。このとき、疎水性構造単位(B)は、樹脂分散剤の質量全体に対して、80質量%を超える割合であるのが好ましく、85質量%以上であるのがより好ましい。
親水性構造単位(A)の含有量が15質量%以下であると、単独で水性媒体中に溶解する成分量が抑えられ、顔料の分散などの諸性能が良好になり、インクジェット記録時には良好なインク吐出性が得られる。
親水性構造単位(A)の好ましい含有割合は、樹脂分散剤の全質量に対して、0質量%を超え15質量%以下の範囲であり、より好ましくは2〜15質量%の範囲であり、更に好ましくは5〜15質量%の範囲であり、特に好ましくは8〜12質量%の範囲である。
親水性構造単位(A)は、一種単独で又は二種以上を混合して用いることができる。
本発明における樹脂分散剤は、上記の中でも、親水性構造単位(A)が(メタ)アクリル酸由来の基であって、疎水性構造単位(B)が(i)一般式(II)で表される構造単位(好ましくは前述のM−25/M−27、M−28/M−29由来の構造単位)及び(ii)一般式(I)で表される構造単位(好ましくはフェノキシエチル(メタ)アクリレート由来の構造単位)の少なくとも1種を含むことが好ましい。
特に、本発明における樹脂分散剤は、親水性構造単位(A)が(メタ)アクリル酸由来の基であって、疎水性構造単位(B)が上記(i)及び(ii)の少なくとも1種を含み、かつ(iii)前記以外の疎水性構造単位(B)(好ましくはメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、又はベンジルメタクリレート由来の構造単位)を更に含むことが好ましい。
本発明における樹脂分散剤の酸価としては、顔料分散性、保存安定性の観点から、30mgKOH/g以上100mgKOH/g以下であることが好ましく、30mgKOH/g以上85mgKOH/g以下であることがより好ましく、50mgKOH/g以上85mgKOH/g以下であることが特に好ましい。
なお、酸価とは、樹脂分散剤の1gを完全に中和するのに要するKOHの質量(mg)で定義され、JIS規格(JISK0070、1992)記載の方法により測定されるものである。
本発明における樹脂分散剤の分子量としては、重量平均分子量(Mw)で3万以上が好ましく、3万〜15万がより好ましく、更に好ましくは3万〜10万であり、特に好ましくは3万〜8万である。分子量が3万以上であると、分散剤としての立体反発効果が良好になる傾向があり、分散安定性が良くなる。
また、数平均分子量(Mn)では1,000〜100,000の範囲程度のものが好ましく、3,000〜50,000の範囲程度のものが特に好ましい。数平均分子量が前記範囲内であると、顔料における被覆膜としての機能又はインク組成物の塗膜としての機能を発揮することができる。本発明における樹脂分散剤は、アルカリ金属や有機アミンの塩の形で使用されることが好ましい。
また、本発明における樹脂分散剤の分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)としては、1〜6の範囲が好ましく、1〜4の範囲がより好ましい。分子量分布が前記範囲内であると、インクの分散安定性、吐出安定性を高められる。
数平均分子量及び重量平均分子量は、TSKgel GMHxL、TSKgel G4000HxL、TSKgel G2000HxL(いずれも東ソー(株)製)のカラムを使用したGPC分析装置により、溶媒THFにて示差屈折計により検出し、標準物質としてポリスチレンを用いて換算することにより表される分子量である。
本発明における樹脂分散剤は、種々の重合方法、例えば溶液重合、沈澱重合、懸濁重合、沈殿重合、塊状重合、乳化重合により合成することができる。重合反応は、回分式、半連続式、連続式等の公知の操作で行なうことができる。重合の開始方法は、ラジカル開始剤を用いる方法、光又は放射線を照射する方法等がある。これらの重合方法、重合の開始方法は、例えば、鶴田禎二「高分子合成方法」改定版(日刊工業新聞社刊、1971)や大津隆行、木下雅悦共著「高分子合成の実験法」化学同人、昭和47年刊、124〜154頁に記載されている。
前記重合方法のうち、特にラジカル開始剤を用いた溶液重合法が好ましい。溶液重合法で用いられる溶剤は、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ベンゼン、トルエン、アセトニトリル、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール等の種々の有機溶剤が挙げられる。溶剤は、1種単独で又は2種以上を併用してもよい。また、水との混合溶媒として用いてもよい。重合温度は、生成するポリマーの分子量、開始剤の種類などと関連して設定する必要があり、通常は0℃〜100℃程度であるが、50〜100℃の範囲で重合を行なうことが好ましい。反応圧力は、適宜選定可能であるが、通常は1〜100kg/cmであり、特に1〜30kg/cm程度が好ましい。反応時間は、5〜30時間程度である。得られた樹脂は、再沈殿などの精製を行なってもよい。
<顔料>
本発明における顔料としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、有機顔料、無機顔料が含まれる。
有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、多環式顔料、染料キレート、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、などが挙げられる。これらの中でも、アゾ顔料、多環式顔料などがより好ましい。
前記アゾ顔料としては、例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料などが挙げられる。
前記多環式顔料としては、例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料などが挙げられる。
前記染料キレートとしては、例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなどが挙げられる。
無機顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエロー、カーボンブラックなどが挙げられる。これらの中でも、カーボンブラックが特に好ましい。なお、カーボンブラックとしては、例えば、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたものが挙げられる。
本発明において顔料は、1種単独で用いてもよいし、上記の各群内もしくは各群間より複数種選択してこれらを組み合わせて使用してもよい。
顔料(p)と本発明における樹脂分散剤(r)との比率(p:r)は、重量比で100:15〜100:140が好ましく、より好ましくは100:15〜100:50である。比率(p:r)は、樹脂分散剤が100:15の割合以上であると分散安定性と耐擦性が良化する傾向にあり、樹脂分散剤が100:140の割合以下であると分散安定性が良化する傾向がある。
本発明における樹脂被覆顔料(カプセル化顔料)は、樹脂分散剤及び顔料等を用いて従来の物理的、化学的方法によって製造することができる。例えば、特開平9−151342号、特開平10−140065号、特開平11−209672号、特開平11−172180号、特開平10−25440号、又は特開平11−43636号の各公報に記載の方法により製造することができる。具体的には、特開平9−151342号及び特開平10−140065号の各公報に記載の転相法と酸析法等が挙げられ、中でも、分散安定性の点で転相法が好ましい。
転相法は、基本的には、自己分散能又は溶解能を有する樹脂と顔料との混合溶融物を水に分散させる自己分散(転相乳化)方法である。また、この混合溶融物には、上記の硬化剤又は高分子化合物を含んでなるものであってもよい。ここで、混合溶融物とは、溶解せず混合した状態、溶解して混合した状態、又はこれら両者の状態のいずれの状態を含むものをいう。「転相法」のより具体的な製造方法は、特開平10−140065号に記載の方法が挙げられる。
本発明におけるインク組成物において、本発明における樹脂被覆顔料は、樹脂分散剤を用い、例えば、下記の工程(1)及び工程(2)を含む方法により樹脂被覆顔料の分散物を調製する調製工程を設けて得ることができる。また、本発明のインク組成物は、この調製工程を設け、得られた樹脂被覆顔料の分散物を水及び有機溶媒と共に用いて水性インクとする方法により調製することができる。
工程(1):一般式(I)で表される構造単位を含む樹脂分散剤、及び、一般式(II)で表される構造単位を含む樹脂分散剤、有機溶媒、中和剤、顔料、及び水を含有する混合物を攪拌等により分散して分散物を得る工程
工程(2):前記分散物から前記有機溶媒を除去する工程
攪拌方法には特に制限はなく、一般に用いられる混合攪拌装置や、必要に応じて超音波分散機や高圧ホモジナイザー、ビーズミル等の分散機を用いることができる。
ここで用いる有機溶媒としては、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、及びエーテル系溶媒が好ましく挙げられる。前記アルコール系溶媒としては、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、t−ブタノール、エタノール等が挙げられる。前記ケトン系溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。前記エーテル系溶媒としては、ジブチルエーテル、ジオキサン等が挙げられる。これらの溶媒の中では、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒とイソプロピルアルコール等のアルコール系溶媒が好ましく、メチルエチルケトンがさらに好ましい。
中和剤は、前記工程(1)に用いられることが好ましく、前記樹脂分散剤の酸性基の一部又は全部が中和されて、前記樹脂分散剤が水中で安定した乳化又は分散状態を形成するために用いられる。中和剤の詳細については、後述する。
前記工程(2)では、前記工程(1)で得られた分散物から、減圧蒸留等の常法により有機溶媒を留去して水系へと転相することで、顔料の粒子表面が樹脂分散剤で被覆された樹脂被覆顔料粒子の分散物を得ることができる。得られた分散物中の有機溶媒は実質的に除去されており、ここでの有機溶媒の量は、好ましくは0.2質量%以下であり、更に好ましくは0.1質量%以下である。
より具体的には、例えば、(1)酸性基を有する樹脂分散剤又はそれを有機溶媒に溶解した溶液と塩基性化合物(中和剤)とを混合して中和する工程と、(2)得られた混合液に顔料を混合して懸濁液とした後に、分散機等で顔料を分散して顔料分散液を得る工程と、(3)有機溶媒を例えば蒸留して除くことによって、顔料を、酸性基を有する特定樹脂分散剤で被覆し、水性媒体中に分散させて水性分散体とする工程とを含む方法である。
なお、より具体的には、特開平11−209672号公報及び特開平11−172180号の記載を参照することができる。
本発明において、分散処理は、例えば、ボールミル、ロールミル、ビーズミル、高圧ホモジナイザー、高速攪拌型分散機、超音波ホモジナイザ−などを用いて行なうことができる。
本発明における樹脂分散剤によって被覆された顔料の含有量としては、水性インク組成物の分散安定性、濃度の観点から、1〜10質量%が好ましく、2〜8質量%がより好ましく、2〜6質量%が特に好ましい。
<有機溶媒>
本発明におけるインク組成物は、有機溶媒の少なくとも1種を含有する。有機溶媒は、乾燥防止剤、湿潤剤あるいは浸透促進剤の目的で用いられる。乾燥防止剤としては、噴射ノズルのインク吐出口においてインクが付着乾燥して凝集体ができ、目詰まりするのを防止する目的で用いられ、乾燥防止剤や湿潤剤としては、水より蒸気圧の低い水溶性有機溶媒が好ましい。また、浸透促進剤としては、紙へのインク浸透性を高める目的で用いられる。
本発明におけるインク組成物に含有する有機溶媒としては、乾燥防止剤、湿潤剤又は浸透促進剤としての機能を考慮して公知の有機溶媒の中から適宜選択することができるが、水との相溶性の観点から、水溶性の有機溶媒が好ましい。
水溶性有機溶媒の例としては、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ジプロピレングリコール、2−ブテン−1,4−ジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,2−オクタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ペンタンジオール、4−メチル−1,2−ペンタンジオール等のアルカンジオール(多価アルコール類);エタノール、メタノール、ブタノール、プロパノール、イソプロパノールなどの炭素数1〜4のアルキルアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、1−メチル−1−メトキシブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテルなどのグリコールエーテル類;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルスルホキシド、ソルビット、ソルビタン、アセチン、ジアセチン、トリアセチン、スルホラン等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
また、グルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、アルドン酸、グルシトール、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、マルトトリオース等の糖類;糖アルコール類;ヒアルロン酸類;尿素類等のいわゆる固体湿潤剤を併用することも好ましい。
乾燥防止剤や湿潤剤の目的としては、多価アルコール類が有用であり、例えば、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、テトラエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、ポリエチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
浸透剤の目的としては、ポリオール化合物が好ましく、脂肪族ジオールとして例えば、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、3,3−ジメチル−1,2−ブタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジメチル−2,4−ペンタンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、5−ヘキセン−1,2−ジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールなどが挙げられる。これらの中でも、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールが好ましい例として挙げることができる。
前記有機溶媒は、1種単独で又は2種類以上を混合して使用することができる。
有機溶媒のインク組成物中における含有量としては、安定性及び吐出信頼性確保の観点から、インク組成物中、1〜60質量%が好ましく、より好ましくは5〜40質量%であり、特に好ましくは10〜30質量%である。
<中和剤>
本発明におけるインク組成物は、中和剤の少なくとも1種を含有するのが好ましい。中和剤は、樹脂分散剤で被覆された顔料粒子を作製する際に、樹脂分散剤に含まれる酸性基を中和するために用いられ、樹脂分散剤の酸価に対して0.5〜1.5当量となる量を用いることが好ましく、0.5〜1当量の範囲内であることが好ましい。
中和剤としては、例えば、アルコールアミン類(例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−エチル−1,3プロパンジオールなど)、アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)、アンモニウム水酸化物(例えば、水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム水酸化物)、ホスホニウム水酸化物、アルカリ金属炭酸塩などが挙げられ、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好適に用いられる。
<水>
本発明におけるインク組成物は、水を含有するものであるが、水の量には特に制限はない。中でも、水の好ましい含有量は、10〜99質量%であり、より好ましくは30〜80質量%であり、更に好ましくは50〜70質量%である。
<界面活性剤>
本発明におけるインク組成物は、界面活性剤の少なくとも1種を含有することが好ましい。界面活性剤は、表面張力調整剤として用いられ、ノニオン系、カチオン系、アニオン系、ベタイン系の界面活性剤が挙げられる。
界面活性剤は、インクジェット法で良好に打滴するために、インク組成物の表面張力を20〜60mN/mに調整できる量を含有するのが好ましい。中でも、界面活性剤の含有量は、表面張力を20〜45mN/mに調整できる量が好ましく、より好ましくは25〜40mN/mに調整できる量である。
界面活性剤としては、分子内に親水部と疎水部を合わせ持つ構造を有する化合物等が有効に使用することができ、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤のいずれも使用することができる。
界面活性剤のインク組成物中における含有量は、特に制限はなく、1質量%以上が好ましく、より好ましくは1〜10質量%であり、更に好ましくは1〜3質量%である。
<樹脂粒子>
本発明のインク組成物は、定着性、耐擦性、打滴干渉回避のための凝集性付与の観点から、少なくとも1種の樹脂粒子を含むことが好ましい。
該樹脂粒子は上述した前記一般式(I)又は前記一般式(II)で表される構造単位を含む樹脂分散剤とは別に含有されるものである。
樹脂粒子は、後述する処理液又はこれを乾燥させた紙領域と接触した際に凝集、又は分散不安定化してインクを増粘させることにより、インク、すなわち画像を固定化させる機能を有する。このような樹脂粒子は、水及び有機溶剤に分散されているものが好ましい。
樹脂粒子としては、例えば、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン系樹脂、架橋アクリル樹脂、架橋スチレン系樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン系樹脂、パラフィン系樹脂、フッ素系樹脂等を用いることができる。アクリル系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、スチレン系樹脂、架橋アクリル樹脂、架橋スチレン系樹脂など、種々の樹脂粒子を用いることができる。特に、アクリル系樹脂粒子が好ましい。
アクリル系樹脂は、例えば、アニオン性基を有するアクリルモノマー(アニオン性基含有アクリルモノマー)及び必要に応じて該アニオン性基含有アクリルモノマーと共重合可能な他のモノマーを溶剤中で重合して得られる。前記アニオン性基含有アクリルモノマーとしては、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、及びホスホン基からなる群より選ばれる1以上を有するアクリルモノマーが挙げられ、中でもカルボキシル基を有するアクリルモノマー(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、エタアクリル酸、プロピルアクリル酸、イソプロピルアクリル酸、イタコン酸、フマル酸等)が好ましく、特にはアクリル酸又はメタクリル酸が好ましい。
樹脂粒子としては、具体的にはラテックスを好適に用いることができ、例えば、アクリル系ラテックス、酢酸ビニル系ラテックス、スチレン系ラテックス、ポリエステル系ラテックス等、種々のラテックスを好適に用いることができる。特に、アクリル系ラテックスが好ましい。
本発明における樹脂粒子としては、吐出安定性及び色材(特に顔料)を用いた場合の液安定性(特に分散安定性)の観点から、自己分散性ポリマー粒子が好ましく、カルボキシル基を有する自己分散性ポリマー粒子がより好ましい。自己分散性ポリマー粒子とは、他の界面活性剤の不存在下に、ポリマー自身が有する官能基(特に酸性基又はその塩)によって、水性媒体中で分散状態となり得る水不溶性ポリマーであって、遊離の乳化剤を含有しない水不溶性ポリマーの粒子を意味する。
ここで分散状態とは、水性媒体中に水不溶性ポリマーが液体状態で分散された乳化状態(エマルション)、及び、水性媒体中に水不溶性ポリマーが固体状態で分散された分散状態(サスペンジョン)の両方の状態を含むものである。
本発明における水不溶性ポリマーにおいては、液体組成物としたときの凝集速度と定着性の観点から、水不溶性ポリマーが固体状態で分散された分散状態となりうる水不溶性ポリマーであることが好ましい。
自己分散性ポリマー粒子の分散状態とは、水不溶性ポリマー30gを70gの有機溶剤(例えば、メチルエチルケトン)に溶解した溶液、該水不溶性ポリマーの塩生成基を100%中和できる中和剤(塩生成基がアニオン性であれば水酸化ナトリウム、カチオン性であれば酢酸)、及び水200gを混合、攪拌(装置:攪拌羽根付き攪拌装置、回転数200rpm、30分間、25℃)した後、該混合液から該有機溶剤を除去した後でも、分散状態が25℃で少なくとも1週間安定に存在することを目視で確認することができる状態をいう。
また、水不溶性ポリマーとは、ポリマーを105℃で2時間乾燥させた後、25℃の水100g中に溶解させたときに、その溶解量が10g以下であるポリマーをいい、その溶解量が好ましくは5g以下、更に好ましくは1g以下である。前記溶解量は、水不溶性ポリマーの塩生成基の種類に応じて、水酸化ナトリウム又は酢酸で100%中和した時の溶解量である。
前記水性媒体は、水を含んで構成され、必要に応じて親水性有機溶剤を含んでいてもよい。本発明においては、水と水に対して0.2質量%以下の親水性有機溶剤とから構成されることが好ましく、水から構成されることがより好ましい。
前記水不溶性ポリマーの主鎖骨格としては、特に制限は無く、例えば、ビニルポリマー、縮合系ポリマー(エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、セルロース、ポリエーテル、ポリウレア、ポリイミド、ポリカーボネート等)を用いることができる。その中で、特にビニルポリマーが好ましい。
ビニルポリマー及びビニルポリマーを構成するモノマーの好適な例としては、特開2001−181549号公報及び特開2002−88294号公報に記載されているものを挙げることができる。また、解離性基(あるいは解離性基に誘導できる置換基)を有する連鎖移動剤や重合開始剤、イニファーターを用いたビニルモノマーのラジカル重合や、開始剤或いは停止剤のどちらかに解離性基(あるいは解離性基に誘導できる置換基)を有する化合物を用いたイオン重合によって高分子鎖の末端に解離性基を導入したビニルポリマーも使用できる。
また、縮合系ポリマーと縮合系ポリマーを構成するモノマーの好適な例としては、特開2001−247787号公報に記載されているものを挙げることができる。
自己分散性ポリマー粒子は、自己分散性の観点から、親水性の構成単位と芳香族基含有モノマーに由来する構成単位とを含む水不溶性ポリマーを含むことが好ましい。
前記親水性の構成単位は、親水性基含有モノマーに由来するものであれば特に制限はなく、1種の親水性基含有モノマーに由来するものであっても、2種以上の親水性基含有モノマーに由来するものであってもよい。前記親水性基としては、特に制限はなく、解離性基であってもノニオン性親水性基であってもよい。
本発明において前記親水性基は、自己分散促進の観点、形成された乳化又は分散状態の安定性の観点から、解離性基であることが好ましく、アニオン性の解離基であることがより好ましい。前記解離性基としては、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基などが挙げられ、中でも、インク組成物を構成した場合の定着性の観点から、カルボキシル基が好ましい。
本発明における親水性基含有モノマーは、自己分散性と凝集性の観点から、解離性基含有モノマーであることが好ましく、解離性基とエチレン性不飽和結合とを有する解離性基含有モノマーであることが好ましい。
解離性基含有モノマーとしては、例えば、不飽和カルボン酸モノマー、不飽和スルホン酸モノマー、不飽和リン酸モノマー等が挙げられる。
不飽和カルボン酸モノマーとして具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、2−メタクリロイルオキシメチルコハク酸等が挙げられる。不飽和スルホン酸モノマーとして具体的には、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−スルホプロピル(メタ)アクリレート、ビス−(3−スルホプロピル)−イタコン酸エステル等が挙げられる。不飽和リン酸モノマーとして具体的には、ビニルホスホン酸、ビニルホスフェート、ビス(メタクリロキシエチル)ホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、ジブチル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート等が挙げられる。
上記解離性基含有モノマーの中では、分散安定性、吐出安定性の観点から、不飽和カルボン酸モノマーが好ましく、アクリル酸及びメタクリル酸がより好ましい。
本発明における自己分散性ポリマー粒子は、自己分散性と処理液と接触したときの凝集速度の観点から、カルボキシル基を有するポリマーを含むことが好ましく、カルボキシル基を有し、酸価(mgKOH/g)が25〜100であるポリマーを含むことがより好ましい。更に、前記酸価は、自己分散性と処理液と接触したときの凝集速度の観点から、25〜80であることがより好ましく、30〜65であることが特に好ましい。
特に、酸価は、25以上であると自己分散性の安定性が良好になり、100以下であると凝集性が向上する。
前記芳香族基含有モノマーは、芳香族基と重合性基とを含む化合物であれば特に制限はない。前記芳香族基は芳香族炭化水素に由来する基であっても、芳香族複素環に由来する基であってもよい。本発明においては水性媒体中での粒子形状安定性の観点から、芳香族炭化水素に由来する芳香族基であることが好ましい。
また前記重合性基は、縮重合性の重合性基であっても、付加重合性の重合性基であってもよい。本発明においては水性媒体中での粒子形状安定性の観点から、付加重合性の重合性基であることが好ましく、エチレン性不飽和結合を含む基であることがより好ましい。
本発明における芳香族基含有モノマーは、芳香族炭化水素に由来する芳香族基とエチレン性不飽和結合とを有するモノマーであることが好ましい。芳香族基含有モノマーは、1種単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記芳香族基含有モノマーとしては、例えば、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、スチレン系モノマー等が挙げられる。中でも、ポリマー鎖の親水性と疎水性のバランスとインク定着性の観点から、芳香族基含有(メタ)アクリレートモノマーが好ましく、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、及びフェニル(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも1種がより好ましく、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートが更に好ましい。
なお、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
本発明における自己分散性ポリマー粒子は、芳香族基含有(メタ)アクリレートモノマーに由来する構成単位を含み、その含有量が10質量%〜95質量%であることが好ましい。芳香族基含有(メタ)アクリレートモノマーの含有量が10質量%〜95質量%であることで、自己乳化又は分散状態の安定性が向上し、更にインク粘度の上昇を抑制することができる。
本発明においては、自己分散状態の安定性、芳香環同士の疎水性相互作用による水性媒体中での粒子形状の安定化、粒子の適度な疎水化による水溶性成分量の低下の観点から、15質量%〜90質量%であることがより好ましく、15質量%〜80質量%であることがより好ましく、25質量%〜70質量%であることが特に好ましい。
本発明における自己分散性ポリマー粒子は、例えば、芳香族基含有モノマーに由来する構成単位と、解離性基含有モノマーに由来する構成単位とを用いて構成することができる。更に、必要に応じて、その他の構成単位を更に含んでもよい。
前記その他の構成単位を形成するモノマーとしては、前記芳香族基含有モノマーと解離性基含有モノマーと共重合可能なモノマーであれば特に制限はない。中でも、ポリマー骨格の柔軟性やガラス転移温度(Tg)制御の容易さの観点から、アルキル基含有モノマーであることが好ましい。
前記アルキル基含有モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等の水酸基を有するエチレン性不飽和モノマー;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート;N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、Nーヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシブチル(メタ)アクリルアミド等のN−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド;N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−(n−,イソ)ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−(n−、イソ)ブトキシエチル(メタ)アクリルアミド等のN−アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
本発明における自己分散性ポリマー粒子を構成する水不溶性ポリマーの分子量範囲は、重量平均分子量で、3000〜20万であることが好ましく、5000〜15万であることがより好ましく、10000〜10万であることが更に好ましい。重量平均分子量を3000以上とすることで水溶性成分量を効果的に抑制することができる。また、重量平均分子量を20万以下とすることで、自己分散安定性を高めることができる。
なお、重量平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフ(GPC)で測定される。GPCは、HLC−8020GPC(東ソー(株)製)を用い、カラムとして、TSKgel SuperHZM−H、TSKgel SuperHZ4000、TSKgel SuperHZ200(東ソー(株)製、4.6mmID×15cm)を3本用い、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いる。また、条件としては、試料濃度を0.45質量%、流速を0.35ml/min、サンプル注入量を10μl、測定温度を40℃とし、IR検出器を用いて行なう。また、検量線は、東ソー(株)製「標準試料TSK standard,polystyrene」:「F−40」、「F−20」、「F−4」、「F−1」、「A−5000」、「A−2500」、「A−1000」、「n−プロピルベンゼン」の8サンプルから作製する。
本発明における自己分散性ポリマー粒子を構成する水不溶性ポリマーは、ポリマーの親疎水性制御の観点から、芳香族基含有(メタ)アクリレートモノマーに由来する構造単位(好ましくは、フェノキシエチル(メタ)アクリレートに由来する構造単位及び/又はベンジル(メタ)アクリレートに由来する構造単位)を共重合比率として自己分散性ポリマー粒子の全質量の15〜80質量%を含むことが好ましい。
また、水不溶性ポリマーは、ポリマーの親疎水性制御の観点から、芳香族基含有(メタ)アクリレートモノマーに由来する構成単位を共重合比率として15〜80質量%と、カルボキシル基含有モノマーに由来する構成単位と、アルキル基含有モノマーに由来する構成単位(好ましくは、(メタ)アクリル酸のアルキルエステルに由来する構造単位)とを含むことが好ましく、フェノキシエチル(メタ)アクリレートに由来する構造単位及び/又はベンジル(メタ)アクリレートに由来する構造単位を共重合比率として15〜80質量%と、カルボキシル基含有モノマーに由来する構成単位と、アルキル基含有モノマーに由来する構成単位(好ましくは、(メタ)アクリル酸の炭素数1〜4のアルキルエステルに由来する構造単位)とを含むことがより好ましく、更には加えて、酸価が25〜100であって重量平均分子量が3000〜20万であることが好ましく、酸価が25〜95であって重量平均分子量が5000〜15万であることがより好ましい。
以下に、自己分散性ポリマー粒子を構成する水不溶性ポリマーの具体例として、例示化合物C−01〜C−19を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、括弧内は共重合成分の質量比を表す。
C−01:フェノキシエチルアクリレート/メチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(50/45/5)
C−02:フェノキシエチルアクリレート/ベンジルメタクリレート/イソブチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(30/35/29/6)
C−03:フェノキシエチルメタクリレート/イソブチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(50/44/6)
C−04:フェノキシエチルアクリレート/メチルメタクリレート/エチルアクリレート/アクリル酸共重合体(30/55/10/5)
C−05:ベンジルメタクリレート/イソブチルメタクリレート/メタクリル酸 共重合体(35/59/6)
C−06:スチレン/フェノキシエチルアクリレート/メチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(10/50/35/5)
C−07:ベンジルアクリレート/メチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(55/40/5)
C−08:フェノキシエチルメタクリレート/ベンジルアクリレート/メタクリル酸共重合体(45/47/8)
C−09:スチレン/フェノキシエチルアクリレート/ブチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(5/48/40/7)
C−10:ベンジルメタクリレート/イソブチルメタクリレート/シクロヘキシルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(35/30/30/5)
C−11:フェノキシエチルアクリレート/メチルメタクリレート/ブチルアクリレート/メタクリル酸共重合体(12/50/30/8)
C−12:ベンジルアクリレート/イソブチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(93/2/5)
C−13:スチレン/フェノキシエチルメタクリレート/ブチルアクリレート/アクリル酸 共重合体(50/5/20/25)
C−14:スチレン/ブチルアクリレート/アクリル酸 共重合体(62/35/3)
C−15:メチルメタクリレート/フェノキシエチルアクリレート/アクリル酸共重合体(45/51/4)
C−16:メチルメタクリレート/フェノキシエチルアクリレート/アクリル酸共重合体(45/49/6)
C−17:メチルメタクリレート/フェノキシエチルアクリレート/アクリル酸共重合体(45/48/7)
C−18:メチルメタクリレート/フェノキシエチルアクリレート/アクリル酸共重合体(45/47/8)
C−19:メチルメタクリレート/フェノキシエチルアクリレート/アクリル酸共重合体(45/45/10)
本発明における自己分散性ポリマー粒子を構成する水不溶性ポリマーの製造方法としては特に制限はなく、例えば、重合性界面活性剤の存在下に、乳化重合を行い、界面活性剤と水不溶性ポリマーとを共有結合させる方法、上記親水性基含有モノマーと芳香族基含有モノマーとを含むモノマー混合物を溶液重合法、塊状重合法等の公知の重合法により、共重合させる方法を挙げることができる。前記重合法の中でも、凝集速度とインク組成物としたときの打滴安定性の観点から、溶液重合法が好ましく、有機溶剤を用いた溶液重合法がより好ましい。
本発明における自己分散性ポリマー粒子は、凝集速度の観点から、有機溶剤中で合成されたポリマーを含み、該ポリマーはカルボキシル基を有し、(好ましくは酸価が20〜100であって)該ポリマーのカルボキシル基の一部又は全部は中和され、水を連続相とするポリマー分散物として調製されたものであることが好ましい。すなわち、本発明における自己分散性ポリマー粒子の製造は、有機溶剤中でポリマーを合成する工程と、前記ポリマーのカルボキシル基の少なくとも一部が中和された水性分散物とする分散工程とを設けて行なうことが好ましい。
前記分散工程は、次の工程(1)及び工程(2)を含むことが好ましい。
工程(1):ポリマー(水不溶性ポリマー)、有機溶剤、中和剤、及び水性媒体を含有する混合物を、攪拌する工程
工程(2):前記混合物から前記有機溶剤を除去する工程
前記工程(1)は、まずポリマー(水不溶性ポリマー)を有機溶剤に溶解させ、次に中和剤と水性媒体を徐々に加えて混合、攪拌して分散体を得る処理であることが好ましい。このように、有機溶剤中に溶解した水不溶性ポリマー溶液中に中和剤と水性媒体を添加することで、強いせん断力を必要とせずに、より保存安定性の高い粒径の自己分散性ポリマー粒子を得ることができる。
該混合物の攪拌方法に特に制限はなく、一般に用いられる混合攪拌装置や、必要に応じて超音波分散機や高圧ホモジナイザー等の分散機を用いることができる。
有機溶剤としては、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤及びエーテル系溶剤が好ましく挙げられる。
アルコール系溶剤としては、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、t−ブタノール、エタノール等が挙げられる。ケトン系溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。エーテル系溶剤としては、ジブチルエーテル、ジオキサン等が挙げられる。これらの溶剤の中では、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤とイソプロピルアルコール等のアルコール系溶剤が好ましい。また、油系から水系への転相時への極性変化を穏和にする目的で、イソプロピルアルコールとメチルエチルケトンを併用することも好ましい。該溶剤を併用することで、凝集沈降や粒子同士の融着が無く、分散安定性の高い微粒径の自己分散性ポリマー粒子を得ることができる。
中和剤は、解離性基の一部又は全部が中和され、自己分散性ポリマーが水中で安定した乳化又は分散状態を形成するために用いられる。本発明の自己分散性ポリマーが解離性基としてアニオン性の解離基(例えば、カルボキシル基)を有する場合、用いられる中和剤としては有機アミン化合物、アンモニア、アルカリ金属の水酸化物等の塩基性化合物が挙げられる。有機アミン化合物の例としては、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノプロピルアミン、ジプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチル−エタノールアミン、N,N−ジエチル−エタノールアミン、2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン等が挙げられる。アルカリ金属の水酸化物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。中でも、本発明の自己分散性ポリマー粒子の水中への分散安定化の観点から、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエチルアミン、トリエタノールアミンが好ましい。
これら塩基性化合物は、解離性基100モル%に対して、5〜120モル%使用することが好ましく、10〜110モル%であることがより好ましく、15〜100モル%であることが更に好ましい。15モル%以上とすることで、水中での粒子の分散を安定化する効果が発現し、100モル%以下とすることで、水溶性成分を低下させる効果がある。
前記工程(2)においては、前記工程(1)で得られた分散体から、減圧蒸留等の常法により有機溶剤を留去して水系へと転相することで自己分散性ポリマー粒子の水性分散物を得ることができる。得られた水性分散物中の有機溶剤は実質的に除去されており、有機溶剤の量は、好ましくは0.2質量%以下、更に好ましくは0.1質量%以下である。
樹脂粒子の重量平均分子量は1万以上、20万以下が好ましく、より好ましくは10万以上、20万以下である。
樹脂粒子の平均粒径は、10nm〜1μmの範囲が好ましく、10〜200nmの範囲がより好ましく、20〜100nmの範囲が更に好ましく、20〜50nmの範囲が特に好ましい。
樹脂粒子の含有率は、インク組成物全質量に対して、0.5〜20質量%が好ましく、3〜20質量%がより好ましく、5〜15質量%がさらに好ましい。
樹脂のガラス転移温度Tgは30℃以上であることが好ましく、40℃以上がより好ましく、50℃以上がさらに好ましい。
また、樹脂粒子の粒径分布に関しては、特に制限は無く、広い粒径分布を持つもの、又は単分散の粒径分布を持つもの、いずれでもよい。また、単分散の粒径分布を持つ樹脂粒子を、2種以上混合して使用してもよい。
<その他>
本発明におけるインク組成物は、上記の成分に加え、必要に応じて、例えば、紫外線吸収剤、褪色防止剤、防黴剤、防錆剤、酸化防止剤、乳化安定剤、防腐剤、消泡剤、粘度調整剤、分散安定剤、キレート剤等の他の成分を含有してもよい。
[インク組成物の物性]
本発明におけるインク組成物の表面張力(25℃)としては、20mN/m以上60mN/m以下であることが好ましい。より好ましくは、20mN以上45mN/m以下であり、更に好ましくは、25mN/m以上40mN/m以下である。
表面張力は、Automatic Surface Tensiometer CBVP−Z(協和界面科学株式会社製)を用い、水性インクを25℃の条件下で測定されるものである。
また、本発明におけるインク組成物の20℃での粘度は、1.2mPa・s以上15.0mPa・s以下であることが好ましく、より好ましくは2mPa・s以上13mPa・s未満であり、更に好ましくは2.5mPa・s以上10mPa・s未満である。
粘度は、VISCOMETER TV−22(TOKI SANGYO CO.LTD製)を用い、インク組成物を25℃の条件下で測定されるものである。
本発明におけるインク組成物は、多色のカラー画像(例えばフルカラー画像)の形成に用いることができる。フルカラー画像の形成には、マゼンタ色調のインク組成物、シアン色調のインク組成物、及びイエロー色調のインク組成物を用いることができ、さらに色調を整えるために、ブラック色調のインク組成物を用いることができる。
また、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の色調以外のレッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)、白色(W)の色調のインク組成物や、いわゆる印刷分野における特色のインク組成物等を用いることができる。
上記の各色調のインク組成物は、着色剤として用いる顔料の色相を所望により変更することにより調製できる。
[インクセット]
次に本発明に係るインクセットについて説明する。
本発明のインクセットは、少なくとも前記一般式(I)で表される構造単位を含む第一の樹脂分散剤と、前記一般式(II)で表される構造単位を含む第二の樹脂分散剤と、で被覆された顔料、有機溶媒、及び水を含む本発明のインク組成物と、前記インク組成物と混合したときに該インク組成物中の成分を凝集させる凝集剤を含む処理液と、を含む。
本発明のインクセットは、上述した本発明のインク組成物と、後述する処理液と、の接触時に凝集を起こさせて画像化するものであり、インク組成物及び処理液をそれぞれ1種含む形態であってもよいし、少なくとも一方を複数種含む形態であってもよい。
本発明においては、着色剤として含有される顔料を、前記一般式(I)で表される構造単位を含む第一の樹脂分散剤と、前記一般式(II)で表される構造単位を含む第二の樹脂分散剤と、で被覆した状態でインク液中に存在させることで、記録時にインク組成物及び処理液の2液が接触して凝集してできる凝集物の液体吐出部への付着又は堆積を緩和することができ、また、液体吐出部に凝集物が付着した場合の凝集物の除去を容易化することができる。これにより、吐出装置側のメンテナンス頻度の軽減とメンテナンス性の向上が図れると共に、インク吐出時のインク吐出方向性不良を抑制し、白抜け等の画像故障の発生を防止して画像の高解像度化を実現することができる。また、形成された画像の耐擦性に優れる。
<処理液>
本発明のインクセットにおける処理液は、前記本発明のインク組成物と混合したときに、インク組成物中の成分を凝集させる凝集剤を含んでなり、必要に応じて他の成分を用いて構成することができる。
処理液の例としては、インク組成物のpHを変化させて凝集物を生じさせることができる液体組成物が挙げられる。このとき、処理液のpH(25℃)は、6以下が好ましく、より好ましくはpHは4以下である。中でも、pH(25℃)は1〜4の範囲が好ましく、特に好ましくは、pHは1〜3である。この場合、インク組成物のpH(25℃)は、7.5以上(より好ましくは8以上)であることが好ましい。
中でも、本発明においては、画像濃度、解像度、及びインクジェット記録の高速化の観点から、前記インク組成物のpH(25℃)が7.5以上であって、処理液のpH(25℃)が4以下である場合が好ましい。
(凝集剤)
本発明における処理液は、インク組成物中の成分を凝集させる凝集剤として酸の少なくとも1種を含有する。インクジェット法で吐出された前記インク組成物に処理液が混合することにより、インク組成物中の成分が凝集され、特にインク組成物中で安定的に分散している顔料の凝集が促進される。
インク組成物中の成分を凝集させる凝集剤としては、処理液中に酸を含有することが必要であるが、その他として多価金属塩、ポリアリルアミン及びその誘導体などを挙げることができる。
酸としては、例えば、ポリアクリル酸、酢酸、グリコール酸、マロン酸、リンゴ酸、マレイン酸、アスコルビン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、スルホン酸、オルトリン酸、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ピリジンカルボン酸、クマリン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、もしくはこれらの化合物の誘導体、又はこれらの塩等の中から好適に選択することができる。
前記多価金属塩としては、周期表の第2属のアルカリ土類金属(例えば、マグネシウム、カルシウム)、周期表の第3属の遷移金属(例えば、ランタン)、周期表の第13属からのカチオン(例えば、アルミニウム)、ランタニド類(例えば、ネオジム)、の塩を挙げることができる。これら金属の塩としては、硝酸塩、塩化物、及びチオシアン酸塩がある。
前記酸としては、インク組成物中の成分の凝集速度向上の観点から、上記の中でも、有機カルボン酸が好ましく、更に2価又は3価の有機カルボン酸がより好ましく、更に、クエン酸、マロン酸、リンゴ酸、マレイン酸が特に好ましい。
前記凝集剤は、1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
インク組成物中の成分を凝集させる凝集剤としての酸の処理液中における含有量としては、10〜35質量%が好ましく、より好ましくは15〜35質量%であり、更に好ましくは20〜35質量%の範囲である。
[顔料分散液]
次に本発明に係る顔料分散液について説明する。
本発明の顔料分散液は、少なくとも前記した顔料と、前記した一般式(I)で表される構造単位を含む第一の樹脂分散剤と、前記した一般式(II)で表される構造単位を含む第二の樹脂分散剤と、を含む。
本発明の顔料分散液は、本発明のインク組成物において説明した第一の樹脂分散剤および第二の樹脂分散剤である構造の異なる少なくとも2種類の分散剤を用いることで、経時での粒子の沈降を改善し、分散安定性の高い顔料分散液となる。
顔料、一般式(I)で表される構造単位を含む第一の樹脂分散剤、および一般式(II)で表される構造単位を含む第二の樹脂分散剤等の詳細については、既述の通りであり、好ましい態様も同様である。
[画像形成方法]
次に本発明に係る画像形成方法について説明する。
本発明の画像形成方法は、前述したインク組成物を記録媒体上に、インクジェット法により付与するインク付与工程と、前記インク組成物と混合したときに該インク組成物中の成分を凝集させる凝集剤を含む処理液を記録媒体上に付与する処理液付与工程と、を有し、前記インク組成物と前記処理液とを接触させて画像を形成する構成としたものである。
本発明の画像形成方法においては、記録時にインク組成物と処理液の2液を接触させたときに凝集を起こさせて画像を記録する場合に、前記樹脂分散剤で被覆された顔料を着色剤として含む既述のインク組成物を用いることで、2液の接触できる凝集物の液体吐出部への付着又は堆積が緩和されると共に、付着した凝集物の除去が容易になるので、インク吐出時のインク吐出方向性不良を抑えて白抜け等の画像故障の発生を防止でき、かつ、耐擦性に優れた高解像度の画像を記録できる。また、吐出装置側のメンテナンス頻度の軽減とメンテナンス性の向上をも図ることができる。
インク付与工程では、インク組成物をインクジェット法により付与する。具体的には、所望の記録媒体、すなわち普通紙、樹脂コート紙、例えば特開平8−169172号公報、同8−27693号公報、同2−276670号公報、同7−276789号公報、同9−323475号公報、特開昭62−238783号公報、特開平10−153989号公報、同10−217473号公報、同10−235995号公報、同10−337947号公報、同10−217597号公報、同10−337947号公報等に記載のインクジェット専用紙、フィルム、電子写真共用紙、布帛、ガラス、金属、陶磁器等に、エネルギーを供与することによりインク組成物を吐出し、着色画像を形成する。なお、本発明に好ましいインクジェット法として、特開2003−306623号公報の段落番号0093〜0105に記載の方法が適用できる。
インクジェット法には、特に制限はなく、公知の方式、例えば、静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式、及びインクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット(バブルジェット(登録商標))方式等のいずれであってもよい。インクジェット法としては、特に、特開昭54−59936号公報に記載の方法で、熱エネルギーの作用を受けたインクが急激な体積変化を生じ、この状態変化による作用力によって、インクをノズルから吐出させるインクジェット法を有効に利用することができる。
尚、前記インクジェット法には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれる。
また、インクジェット法で用いるインクジェットヘッドは、オンデマンド方式でもコンティニュアス方式でも構わない。また、吐出方式としては、電気−機械変換方式(例えば、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型、シェアードウォール型等)、電気−熱変換方式(例えば、サーマルインクジェット型、バブルジェット(登録商標)型等)、静電吸引方式(例えば、電界制御型、スリットジェット型等)及び放電方式(例えば、スパークジェット型等)などを具体的な例として挙げることができるが、いずれの吐出方式を用いても構わない。
尚、前記インクジェット法により記録を行う際に使用するインクノズル等については特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができる。
処理液付与工程では、インク組成物の付与前又は付与後に、被記録媒体上に処理液を付与する。処理液の付与は、塗布法、インクジェット法、浸漬法などの公知の方法を適用して行なうことができる。塗布法としては、バーコーター、エクストルージョンダイコーター、エアードクターコーター、ブレッドコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター、バーコーター等を用いた公知の塗布方法によって行なうことができる。インクジェット法の詳細については、既述の通りである。
本発明においては、処理液付与工程で処理液を付与した後にインク付与工程を設ける態様が好ましい。すなわち、記録媒体上に、インク組成物を付与する前に、予めインク組成物中の成分を凝集させるための処理液を付与しておき、記録媒体上に付与された処理液に接触するようにインク組成物を付与して画像を形成する態様が好ましい。これにより、インクジェット記録を高速化でき、高速記録しても濃度、解像度の高い画像が得られる。
画像記録の際に、光沢性や耐水性を付与したり、耐候性を改善する目的で、ポリマー又はそのポリマーラテックスを併用してもよい。ポリマー又はポリマーラテックスを付与する時期については、水性インク組成物を付与する前及び後のいずれでもよく、また、同時付与されてもよい。したがって、ポリマー又はポリマーラテックスは、記録媒体に付与する態様で用いてもよいし、を別の液状物とする態様で用いてもよい。
具体的には、特開2002−166638号公報、特開2002−121440号公報、特開2002−154201号公報、特開2002−144696号公報、特開2002−080759号公報に記載の方法を好ましく用いることができる。
本発明の画像形成方法は、インク組成物を付与するインク付与工程、及び処理液を付与する処理液付与工程に加えて、さらに他の工程が設けられてもよい。他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、記録媒体に付与されたインク組成物中の有機溶媒を乾燥除去する乾燥除去工程、インク組成物中に含むことができる樹脂粒子を溶融定着する加熱定着工程、等が挙げられる。
本発明の画像形成方法の他の例としては、最初に画像形成する記録媒体として中間転写体を用い、本発明における樹脂分散剤と顔料と有機溶媒と水とを含有する既述のインク組成物を中間転写体上にインクジェット法により付与するインク付与工程と、インク組成物中の成分を凝集させる凝集剤として酸を含む処理液を中間転写体上に付与する処理液付与工程とを設け、インク組成物と処理液とを接触させて中間転写体上に画像を形成した後、中間転写体に形成された画像を所望とする最終の記録媒体に転写する転写工程を設けた方法が挙げられる。
この場合も、上記と同様に、例えば、乾燥除去工程、加熱定着工程などの他の工程を更に設けることができる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
なお、重量平均分子量は、前述の樹脂粒子の項に記載の方法にてゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定した。
(合成例1)
−樹脂分散剤P−1の合成−
攪拌機、冷却管を備えた1000mlの三口フラスコに、メチルエチルケトン88gを加えて窒素雰囲気下で72℃に加熱し、これにメチルエチルケトン50gにジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート0.85g、フェノキシエチルメタクリレート50g、メタクリル酸11g、及びメチルメタクリレート39gを溶解した溶液を3時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに1時間反応した後、メチルエチルケトン2gにジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート0.42gを溶解した溶液を加え、78℃に昇温して4時間加熱した。得られた反応溶液は過剰量のヘキサンに2回再沈殿させ、析出した樹脂を乾燥させて、フェノキシエチルメタクリレート/メチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(樹脂分散剤P−1)96.5gを得た。
得られた樹脂分散剤P−1の組成は、1H−NMRで確認し、GPCより求めた重量平均分子量(Mw)は37900であった。さらに、JIS規格(JIS K 0070:1992)記載の方法により、この樹脂分散剤の酸価を求めたところ、71.7mgKOH/gであった。
(合成例2)
−樹脂分散剤P−2〜P−5およびP−9〜P−11の合成−
前記樹脂分散剤P−1の合成において、フェノキシエチルメタクリレート、メタクリル酸、及びメチルメタクリレートについて、それぞれ下記表4に記載のモノマーの種類及び比率になるように変更したこと以外は、樹脂分散剤P−1の合成と同様にして、樹脂分散剤P−2〜P−5およびP−9〜P−11を合成した。
なお下記表4には樹脂分散剤P−1における方法と同様の方法で測定した重量平均分子量および酸価を記す。
(合成例3)
<モノマー合成例A(M−27、パラ置換体の合成)>
攪拌機、冷却管を備えた5Lの三口フラスコにアクリドン375g、水酸化ナトリウム84.8gを溶解したジメチルスルホキシド1800mLを入れ、室温で10分攪拌した。p−クロロメチルスチレン440gを10分かけて滴下し、ジメチルスルホキシド300mLで共洗した。55℃に加熱して7時間反応させた。反応終了後、メタノール750mLと水750mLの混合溶液を55℃で10分かけて滴下し、40℃で30分攪拌し、さらに30℃以下で1時間攪拌した。得られたスラリーを減圧濾過によって取り出し、5Lの三口フラスコに入れ、メタノール3Lを加えた。50℃で30分、45℃以下で30分、30℃以下で1時間攪拌し、減圧濾過によって、M−27を484gを得た。
<モノマー合成例B(M−25、メタ置換体の合成)>
上記モノマー合成例Aにおいて、p−クロロメチルスチレンの代わりにm−クロロメチルスチレンを用いた以外はモノマー合成例Aと同様にして、M−25を得た。
上記で得られたモノマーM-25及びM−27を1:1の比率で混合することで、モノマーのメタ置換体とパラ置換体の混合物を調製し、以下の分散剤の合成に用いた。
(合成例4)
−樹脂分散剤P−6〜P−8の合成−
攪拌機、冷却管を備えた300mlの三口フラスコに表4に示したモノマー組成のモノマー混合物90gとメチルエチルケトン126gを加え、窒素雰囲気下で75℃に加熱した。メチルエチルケトン8gに溶解させたジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート1.20gを三口フラスコに加え2時間反応させ、メチルエチルケトン0.6gに溶解させたジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート0.50gを加えてさらに2時間反応させた。メチルエチルケトン0.6gに溶解させたジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート0.50gを加え80℃に昇温し、4時間加熱攪拌して未反応モノマーをすべて反応させた。反応終了後、得られたポリマー溶液にメチルエチルケトン33gを加えて希釈した。
得られた樹脂分散剤の組成はH−NMRで確認した。また重量平均分子量(Mw)は、TSKgel GMHxL、TSKgel G4000HxL、TSKgel G2000HxL(いずれも東ソー(株)製)のカラムを直列に接続したGPC分析装置により、溶媒THF、示差屈折計により検出し、標準物質としてポリスチレンを用いて求めた。さらに、JIS規格(JIS K 0070:1992)記載の方法により、これらの樹脂分散剤の酸価を求めた。結果は表4に記載した。
(実施例1)
−樹脂被覆顔料分散物の調製−
C.I.ピグメント・レッド122(クロモフタルジェットマゼンタDMQ、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製;マゼンタ顔料)10部と、上記の樹脂分散剤P−1を3部と、樹脂分散剤P−6を1.5部と、メチルエチルケトン17部と、1規定 NaOH水溶液7.3部と、イオン交換水61.2部と、をディスパー混合し、更に分散機(マイクロフルイダイザーM−140K、150MPa)で10パス処理した。続いて、得られた分散液を減圧下、55℃でメチルエチルケトンを除去し、さらに一部の水を除去することにより、顔料濃度が12.5質量%の樹脂被覆顔料粒子の分散物を得た。
−樹脂被覆顔料粒子の粒子径の測定−
得られた樹脂被覆顔料粒子の分散物について、ナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150(日機装(株)製)を用い、動的光散乱法により体積平均粒子径を測定した。測定は、樹脂被覆顔料粒子の分散物10μlに対してイオン交換水10mlを加えて測定用サンプル液を調製し、これを25℃に調温して行なった。測定結果は下記表に示す。
−自己分散性ポリマー粒子の調製−
攪拌機、温度計、還流冷却管、及び窒素ガス導入管を備えた2リットル三口フラスコに、メチルエチルケトン360.0gを仕込んで、75℃まで昇温した。反応容器内温度を75℃に保ちながら、フェノキシエチルアクリレート180.0g、メチルメタクリレート162.0g、アクリル酸18.0g、メチルエチルケトン72g、及び「V−601」(和光純薬工業(株)製)1.44gからなる混合溶液を、2時間で滴下が完了するように等速で滴下した。滴下完了後、「V−601」0.72g、メチルエチルケトン36.0gからなる溶液を加え、75℃で2時間攪拌後、さらに「V−601」0.72g、イソプロパノール36.0gからなる溶液を加え、75℃で2時間攪拌した後、85℃に昇温して、さらに2時間攪拌を続けた。得られた共重合体の重量平均分子量(Mw)は64000(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレン換算で算出、使用カラム:TSKgel SuperHZM-H、TSKgel SuperHZ4000、TSKgel SuperHZ200(東ソー社製))、酸価は38.9(mgKOH/g)であった。
次に、重合溶液668.3gを秤量し、イソプロパノール388.3g、1mol/L
NaOH水溶液145.7mlを加え、反応容器内温度を80℃に昇温した。次に蒸留水720.1gを20ml/minの速度で滴下し、水分散化せしめた。その後、大気圧下にて反応容器内温度80℃で2時間、85℃で2時間、90℃で2時間保った後、反応容器内を減圧にし、イソプロパノール、メチルエチルケトン、蒸留水を合計で913.7g留去し、固形分濃度28.0%の自己分散性ポリマー微粒子(C−01)の水分散物(エマルジョン)を得た。
−インク組成物の調製−
次に、得られた樹脂被覆顔料粒子の分散物を用い、以下の組成にてインク組成物を調製した。このインク組成物の25℃でのpHは、8.9であった。
<組成>
・前記樹脂被覆顔料粒子の分散物 ・・・40部
・自己分散性ポリマー微粒子(C−01) ・・・7部
・サンニックスGP250 ・・・9.5部
・ジエチレングリコールモノエチルエーテル ・・・8部
・オルフィンE1010(日信化学工業(株)製)・・・1部
・イオン交換水 ・・・34.5部
−処理液の調製−
以下の組成の成分を混合して、処理液を調製した。得られた反応液の物性値を測定したところ、粘度は4.9mPa・sであり、表面張力は24.3mN/mであり、pHは1.5であった。
<組成>
・クエン酸 ・・・16.7g
・Zonyl FSN−100(DU PONT社製;界面活性剤)・・・1g
・ジエチレングリコールモノエチルエーテル ・・・20g
・イオン交換水 ・・・全体で100gとなるように添加
(評価)
以上のようにして、マゼンタ色調のインク組成物と処理液とからなるインクセットを作製した。
〜インク組成物の評価〜
−分散安定性−
上記にて得られたインク組成物の調製直後の粒子径aを、上記の体積平均粒子径と同様の方法により測定し、粘度b及び粗大粒子数を下記の方法で測定した後、このインク組成物を60℃の恒温槽中で14日間保存し、保存後の粒子径a及び粘度bを同様の方法で測定した。さらに、保存後のインク組成物に含まれる0.5〜5μmの粗大粒子の個数をカウントした。そして、得られた粒子径及び粘度から、保存前後での粒径変化(|a−a|;nm)、粘度変化(|b−b|/b×100;%)を求め、下記の評価基準にしたがって評価した。なお、「| |」は絶対値を表す。結果は下記表に示す。
−粘度−
得られたインク組成物をVISCOMETER TV−22(TOKI SANGYO CO.LTD製)を用いて25℃の条件下で測定した。
−粗大粒子数−
フロー式粒子像分析装置FPIA3000(シスメックス(株)製)を用い、インク組成物中の0.8〜5μm以上の粗大粒子数を測定した。このとき、測定は、インク組成物0.2mlに1.8mlのイオン交換水を加えて測定用サンプルを調製し、25℃で測定した。得られた結果からインク1μl中の粗大粒子個数を算出した。
<評価基準>
A:粒子径変化が10nm以内、粘度変化が10%以内であり、0.8〜5μmの粗大粒子数が5000個以下である。
B:粒子径変化が10nmを超える点、粘度変化が10%を超える点、0.8〜5μmの粗大粒子数が5000個以上である点のいずれか1つの条件を満たす。
C:Bのうち、少なくとも2条件を満たす。
〜インクセットの評価〜
−白抜け−
インクジェット記録装置として、600dpi、256ノズルの試作プリントヘッドを備えたインクジェット装置を用意し、これに上記より得たインクセットを装填して、以下の方法により白抜けの発生を評価した。被記録媒体には、特菱アート両面N(三菱製紙(株)製)を用いた。
記録媒体として特菱アート両面N(三菱製紙(株)製)を、500mm/秒で所定の直線方向に移動可能なステージ上に固定し、これに上記で得た処理液をワイヤーバーコーターで約5μmの厚み(クエン酸0.84g/m)となるように塗布し、塗布直後に50℃で2秒間乾燥させた。その後、上記試作ヘッドにてベタ画像を印字した。印字直後、60℃で3秒間乾燥させ、更に60℃に加熱された一対の定着ローラ間を通過させ、ニップ圧0.25MPa、ニップ幅4mmにて定着処理を実施し、評価サンプルを得た。なお、定着ローラは、内部にハロゲンランプが内装されたSUS製の円筒体の芯金の表面がシリコーン樹脂で被覆された加熱ロールと、該加熱ローラに圧接する対向ロールとで構成されたものである。記録された画像(5cm×5cm)を観察した。そして、観察した画像を下記の評価基準にしたがって目視評価した。
<評価基準>
A:白抜けの発生はみられなかった。
B:白抜けの発生が2箇所以下であった。
C:白抜けの発生が3〜10箇所であった。
D:白抜けの発生が10箇所を超えていた。
−耐擦性の評価−
上記で得られたベタ画像を印字面を外側に向けて文鎮(重量470g、サイズ15mm×30mm×120mm)に巻きつけ、評価サンプルを未印字の特菱アート上で3往復擦った(荷重260kg/mに相当)。擦った後の印字面を目視により観察し、下記の評価基準にしたがって評価した。
<評価基準>
A:傷がつかない。
B:わずかに傷がつく。
C:傷がつくが実用上問題にならない程度である。
(実施例2)
C.I.ピグメント・レッド122(クロモフタルジェットマゼンタDMQ、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製;マゼンタ顔料)10部と、上記の樹脂分散剤P−2を3部と、樹脂分散剤P−6を1.5部と、メチルエチルケトン17部と、1規定 NaOH水溶液6.9部と、イオン交換水61.6部と、をディスパー混合し、更に分散機(マイクロフルイダイザーM−140K、150MPa)で10パス処理した。続いて、得られた分散液を減圧下、55℃でメチルエチルケトンを除去し、さらに一部の水を除去することにより、顔料濃度が12.5質量%の樹脂被覆顔料粒子の分散物を得た。
それ以外は実施例1と同様にして、マゼンタ色調のインク組成物と処理液とからなるインクセットを作製した。
(実施例3)
C.I.ピグメント・レッド122(クロモフタルジェットマゼンタDMQ、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製;マゼンタ顔料)10部と、上記の樹脂分散剤P−2を3部と、樹脂分散剤P−7を1.5部と、メチルエチルケトン17部と、1規定 NaOH水溶液7.1部と、イオン交換水61.4部と、をディスパー混合し、更に分散機(マイクロフルイダイザーM−140K、150MPa)で10パス処理した。続いて、得られた分散液を減圧下、55℃でメチルエチルケトンを除去し、さらに一部の水を除去することにより、顔料濃度が12.5質量%の樹脂被覆顔料粒子の分散物を得た。
それ以外は実施例1と同様にして、マゼンタ色調のインク組成物と処理液とからなるインクセットを作製した。
(実施例4)
C.I.ピグメント・レッド122(クロモフタルジェットマゼンタDMQ、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製;マゼンタ顔料)10部と、上記の樹脂分散剤P−3を3部と、樹脂分散剤P−6を1.5部と、メチルエチルケトン17部と、1規定 NaOH水溶液8.8部と、イオン交換水59.7部と、をディスパー混合し、更に分散機(マイクロフルイダイザーM−140K、150MPa)で10パス処理した。続いて、得られた分散液を減圧下、55℃でメチルエチルケトンを除去し、さらに一部の水を除去することにより、顔料濃度が12.5質量%の樹脂被覆顔料粒子の分散物を得た。
それ以外は実施例1と同様にして、マゼンタ色調のインク組成物と処理液とからなるインクセットを作製した。
(実施例5)
C.I.ピグメント・レッド122(クロモフタルジェットマゼンタDMQ、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製;マゼンタ顔料)10部と、上記の樹脂分散剤P−4を3部と、樹脂分散剤P−6を1.5部と、メチルエチルケトン17部と、1規定 NaOH水溶液9.2部と、イオン交換水59.3部と、をディスパー混合し、更に分散機(マイクロフルイダイザーM−140K、150MPa)で10パス処理した。続いて、得られた分散液を減圧下、55℃でメチルエチルケトンを除去し、さらに一部の水を除去することにより、顔料濃度が12.5質量%の樹脂被覆顔料粒子の分散物を得た。
それ以外は実施例1と同様にして、マゼンタ色調のインク組成物と処理液とからなるインクセットを作製した。
(実施例6)
C.I.ピグメント・レッド122(クロモフタルジェットマゼンタDMQ、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製;マゼンタ顔料)10部と、上記の樹脂分散剤P−1を3部と、樹脂分散剤P−8を1.5部と、メチルエチルケトン17部と、1規定 NaOH水溶液7.8部と、イオン交換水60.7部と、をディスパー混合し、更に分散機(マイクロフルイダイザーM−140K、150MPa)で10パス処理した。続いて、得られた分散液を減圧下、55℃でメチルエチルケトンを除去し、さらに一部の水を除去することにより、顔料濃度が12.5質量%の樹脂被覆顔料粒子の分散物を得た。
それ以外は実施例1と同様にして、マゼンタ色調のインク組成物と処理液とからなるインクセットを作製した。
(実施例7)
C.I.ピグメント・レッド122(クロモフタルジェットマゼンタDMQ、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製;マゼンタ顔料)10部と、上記の樹脂分散剤P−1を4部と、樹脂分散剤P−6を0.5部と、メチルエチルケトン17部と、1規定 NaOH水溶液7.5部と、イオン交換水61部と、をディスパー混合し、更に分散機(マイクロフルイダイザーM−140K、150MPa)で10パス処理した。続いて、得られた分散液を減圧下、55℃でメチルエチルケトンを除去し、さらに一部の水を除去することにより、顔料濃度が12.5質量%の樹脂被覆顔料粒子の分散物を得た。
それ以外は実施例1と同様にして、マゼンタ色調のインク組成物と処理液とからなるインクセットを作製した。
(実施例8)
C.I.ピグメント・レッド122(クロモフタルジェットマゼンタDMQ、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製;マゼンタ顔料)10部と、上記の樹脂分散剤P−1を3.5部と、樹脂分散剤P−6を1部と、メチルエチルケトン17部と、1規定 NaOH水溶液7.5部と、イオン交換水61部と、をディスパー混合し、更に分散機(マイクロフルイダイザーM−140K、150MPa)で10パス処理した。続いて、得られた分散液を減圧下、55℃でメチルエチルケトンを除去し、さらに一部の水を除去することにより、顔料濃度が12.5質量%の樹脂被覆顔料粒子の分散物を得た。
それ以外は実施例1と同様にして、マゼンタ色調のインク組成物と処理液とからなるインクセットを作製した。
(比較例1)
C.I.ピグメント・レッド122(クロモフタルジェットマゼンタDMQ、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製;マゼンタ顔料)10部と、上記の樹脂分散剤P−1を4.5部と、メチルエチルケトン17部と、1規定 NaOH水溶液7.6部と、イオン交換水60.9部とを混合し、ディスパー混合し、更に分散機(マイクロフルイダイザーM−140K、150MPa)で10パス処理した。続いて、得られた分散物を減圧下、55℃でメチルエチルケトンを除去し、さらに一部の水を除去することにより、顔料濃度が12.5質量%の樹脂被覆顔料粒子の分散物を得た。
それ以外は実施例1と同様にして、マゼンタ色調のインク組成物と処理液とからなるインクセットを作製した。
(比較例2)
C.I.ピグメント・レッド122(クロモフタルジェットマゼンタDMQ、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製;マゼンタ顔料)10部と、上記の樹脂分散剤P−6を4.5部と、メチルエチルケトン17部と、1規定 NaOH水溶液6.9部と、イオン交換水61.6部とを混合し、ディスパー混合し、更に分散機(マイクロフルイダイザーM−140K、150MPa)で10パス処理した。続いて、得られた分散物を減圧下、55℃でメチルエチルケトンを除去し、さらに一部の水を除去することにより、顔料濃度が12.5質量%の樹脂被覆顔料粒子の分散物を得た。
それ以外は実施例1と同様にして、マゼンタ色調のインク組成物と処理液とからなるインクセットを作製した。
(比較例3)
C.I.ピグメント・レッド122(クロモフタルジェットマゼンタDMQ、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製;マゼンタ顔料)10部と、上記の樹脂分散剤P−2を4.5部と、メチルエチルケトン17部と、1規定 NaOH水溶液6.9部と、イオン交換水61.6部とを混合し、ディスパー混合し、更に分散機(マイクロフルイダイザーM−140K、150MPa)で10パス処理した。続いて、得られた分散物を減圧下、55℃でメチルエチルケトンを除去し、さらに一部の水を除去することにより、顔料濃度が12.5質量%の樹脂被覆顔料粒子の分散物を得た。
それ以外は実施例1と同様にして、マゼンタ色調のインク組成物と処理液とからなるインクセットを作製した。
(比較例4)
C.I.ピグメント・レッド122(クロモフタルジェットマゼンタDMQ、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製;マゼンタ顔料)10部と、上記の樹脂分散剤P−7を4.5部と、メチルエチルケトン17部と、1規定 NaOH水溶液7.6部と、イオン交換水60.9部とを混合し、ディスパー混合し、更に分散機(マイクロフルイダイザーM−140K、150MPa)で10パス処理した。続いて、得られた分散物を減圧下、55℃でメチルエチルケトンを除去し、さらに一部の水を除去することにより、顔料濃度が12.5質量%の樹脂被覆顔料粒子の分散物を得た。
それ以外は実施例1と同様にして、マゼンタ色調のインク組成物と処理液とからなるインクセットを作製した。
(比較例5)
C.I.ピグメント・レッド122(クロモフタルジェットマゼンタDMQ、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製;マゼンタ顔料)10部と、上記の樹脂分散剤P−5を4.5部と、メチルエチルケトン17部と、1規定 NaOH水溶液5.5部と、イオン交換水63部とを混合し、ディスパー混合し、更に分散機(マイクロフルイダイザーM−140K、150MPa)で10パス処理した。続いて、得られた分散物を減圧下、55℃でメチルエチルケトンを除去し、さらに一部の水を除去することにより、顔料濃度が12.5質量%の樹脂被覆顔料粒子の分散物を得た。
それ以外は実施例1と同様にして、マゼンタ色調のインク組成物と処理液とからなるインクセットを作製した。
(比較例6)
C.I.ピグメント・レッド122(クロモフタルジェットマゼンタDMQ、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製;マゼンタ顔料)10部と、上記の樹脂分散剤P−8を4.5部と、メチルエチルケトン17部と、1規定 NaOH水溶液8.3部と、イオン交換水60.2部とを混合し、ディスパー混合し、更に分散機(マイクロフルイダイザーM−140K、150MPa)で10パス処理した。続いて、得られた分散物を減圧下、55℃でメチルエチルケトンを除去し、さらに一部の水を除去することにより、顔料濃度が12.5質量%の樹脂被覆顔料粒子の分散物を得た。
それ以外は実施例1と同様にして、マゼンタ色調のインク組成物と処理液とからなるインクセットを作製した。
(比較例7)
C.I.ピグメント・レッド122(クロモフタルジェットマゼンタDMQ、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製;マゼンタ顔料)10部と、上記の樹脂分散剤P−9を4.5部と、メチルエチルケトン17部と、1規定 NaOH水溶液6.9部と、イオン交換水61.6部とを混合し、ディスパー混合し、更に分散機(マイクロフルイダイザーM−140K、150MPa)で10パス処理した。続いて、得られた分散物を減圧下、55℃でメチルエチルケトンを除去し、さらに一部の水を除去することにより、顔料濃度が12.5質量%の樹脂被覆顔料粒子の分散物を得た。
それ以外は実施例1と同様にして、マゼンタ色調のインク組成物と処理液とからなるインクセットを作製した。
(比較例8)
C.I.ピグメント・レッド122(クロモフタルジェットマゼンタDMQ、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製;マゼンタ顔料)10部と、上記の樹脂分散剤P−10を4.5部と、メチルエチルケトン17部と、1規定 NaOH水溶液10.4部と、イオン交換水58.1部とを混合し、ディスパー混合し、更に分散機(マイクロフルイダイザーM−140K、150MPa)で10パス処理した。続いて、得られた分散物を減圧下、55℃でメチルエチルケトンを除去し、さらに一部の水を除去することにより、顔料濃度が12.5質量%の樹脂被覆顔料粒子の分散物を得た。
それ以外は実施例1と同様にして、マゼンタ色調のインク組成物と処理液とからなるインクセットを作製した。
(比較例9)
C.I.ピグメント・レッド122(クロモフタルジェットマゼンタDMQ、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製;マゼンタ顔料)10部と、上記の樹脂分散剤P−11を4.5部と、メチルエチルケトン17部と、1規定 NaOH水溶液13.8部と、イオン交換水54.7部とを混合し、ディスパー混合し、更に分散機(マイクロフルイダイザーM−140K、150MPa)で10パス処理した。続いて、得られた分散物を減圧下、55℃でメチルエチルケトンを除去し、さらに一部の水を除去することにより、顔料濃度が12.5質量%の樹脂被覆顔料粒子の分散物を得た。
それ以外は実施例1と同様にして、マゼンタ色調のインク組成物と処理液とからなるインクセットを作製した。
実施例1〜8および比較例1〜9で用いた樹脂分散剤を以下に示す。樹脂分散剤P−1〜P−8における括弧書きは、一般式(I)および一般式(II)で表される構造単位を含む樹脂分散剤の具体例として前記した化合物を表す。
表中、P−1〜P−5が一般式(I)で表される構造単位を含む樹脂分散剤であり、P−6〜P−8が一般式(II)で表される構造単位を含む樹脂分散剤である。
また表中、M−1とは、モノマー(M−25/M−27)混合物である。
Figure 2011046870
実施例2〜8および比較例1〜9についても実施例1と同様な評価方法で、分散安定性、白抜けの評価および耐擦性の評価を行った。結果を下記表に示す。
Figure 2011046870
表中、分散剤1とは一般式(I)で表される構造単位を含む樹脂分散剤であり、分散剤2とは一般式(II)で表される構造単位を含む樹脂分散剤である。
特定構造を有する2種類の樹脂分散剤を用いた実施例ではいずれも分散安定性、白抜け評価および耐擦性の評価が良好であることがわかる。
なお、上記の実施例ではインク組成物として、マゼンタ色調のインク組成物を調製した場合を中心に説明したが、マゼンタ色調のインク組成物に用いた顔料の種類(色相)を変更することにより、上記と同様にして、ブラックインク組成物、シアンインク組成物、及びイエローインク組成物等の種々の色相のインク組成物を得ることができ、また、2色以上のインク組成物をインクジェット装置に装填することにより、上記と同様して多色画像の記録が可能であり、上記実施例と同様の結果及び効果を得ることができる。

Claims (19)

  1. 下記一般式(I)で表される構造単位を含む第一の樹脂分散剤と下記一般式(II)で表される構造単位を含む第二の樹脂分散剤とで少なくとも被覆された顔料、有機溶媒、及び水を含むインク組成物。
    Figure 2011046870

    〔式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Arは無置換又は置換の芳香族環を表す。nは、平均の繰り返し数を表し、1〜6である。〕
    Figure 2011046870

    〔式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Lは置換又は無置換のフェニレン基を表す。Lは単結合又は2価の連結基を表す。Arは炭素数8以上の縮環型芳香環、芳香環が縮環したヘテロ環、又は二個以上連結したベンゼン環から誘導される1価の基を表す。〕
  2. 前記一般式(I)中のArで表される前記芳香族環が、無置換又は置換のベンゼン環である請求項1に記載のインク組成物。
  3. 前記一般式(II)中のArが、アクリドン又はフタルイミドから誘導される1価の基である請求項1または請求項2に記載のインク組成物。
  4. 前記第一の樹脂分散剤及び前記第二の樹脂分散剤の少なくとも一方は、親水性構造単位(A)と疎水性構造単位(B)とを含み、芳香族環の含有割合が樹脂分散剤の全質量の20質量%以下であって、
    前記親水性構造単位(A)の割合が樹脂分散剤の全質量の15質量%以下であり、前記親水性構造単位(A)が少なくとも(メタ)アクリル酸に由来の構造単位を含む請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のインク組成物。
  5. 前記第一の樹脂分散剤及び前記第二の樹脂分散剤の少なくとも一方の重量平均分子量が3万以上である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のインク組成物。
  6. 前記顔料は、転相乳化法により前記第一の樹脂分散剤及び前記第二の樹脂分散剤の少なくとも一方で被覆された顔料である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のインク組成物。
  7. 更に界面活性剤を含む請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のインク組成物。
  8. 更に樹脂粒子を含む請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のインク組成物。
  9. 請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載のインク組成物と、
    前記インク組成物と混合したときに該インク組成物中の成分を凝集させる凝集剤を含む処理液と、
    を含むインクセット。
  10. 前記インク組成物の25℃でのpHが7.5以上であり、前記処理液の25℃でのpHが4以下である請求項9に記載のインクセット。
  11. 前記凝集剤が有機カルボン酸である請求項9または請求項10に記載のインクセット。
  12. 請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載のインク組成物を記録媒体上に、インクジェット法により付与するインク付与工程と、前記インク組成物と混合したときに該インク組成物中の成分を凝集させる凝集剤を含む処理液を記録媒体上に付与する処理液付与工程と、を有し、前記インク組成物と前記処理液とを接触させて画像を形成する画像形成方法。
  13. 前記処理液付与工程により記録媒体上に処理液を付与した後、インク組成物を付与し、付与された処理液に前記インク付与工程により付与されたインク組成物を接触させることにより画像を形成する請求項12に記載の画像形成方法。
  14. 少なくとも、顔料と、下記一般式(I)で表される構造単位を含む第一の樹脂分散剤と、下記一般式(II)で表される構造単位を含む第二の樹脂分散剤と、を含む顔料分散液。
    Figure 2011046870

    〔式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Arは無置換又は置換の芳香族環を表す。nは、平均の繰り返し数を表し、1〜6である。〕
    Figure 2011046870

    〔式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Lは置換又は無置換のフェニレン基を表す。Lは単結合又は2価の連結基を表す。Arは炭素数8以上の縮環型芳香環、芳香環が縮環したヘテロ環、又は二個以上連結したベンゼン環から誘導される1価の基を表す。〕
  15. 前記一般式(I)中のArで表される前記芳香族環が、無置換又は置換のベンゼン環である請求項14に記載の顔料分散液。
  16. 前記一般式(II)中のArが、アクリドン又はフタルイミドから誘導される1価の基である請求項14または請求項15に記載の顔料分散液。
  17. 前記第一の樹脂分散剤及び前記第二の樹脂分散剤の少なくとも一方は、親水性構造単位(A)と疎水性構造単位(B)とを含み、芳香族環の含有割合が樹脂分散剤の全質量の20質量%以下であって、
    前記親水性構造単位(A)の割合が樹脂分散剤の全質量の15質量%以下であり、前記親水性構造単位(A)が少なくとも(メタ)アクリル酸に由来の構造単位を含む請求項14〜請求項16のいずれか1項に記載の顔料分散液。
  18. 前記第一の樹脂分散剤及び前記第二の樹脂分散剤の少なくとも一方の重量平均分子量が3万以上である請求項14〜請求項17のいずれか1項に記載の顔料分散液。
  19. 前記顔料は、転相乳化法により前記第一の樹脂分散剤及び前記第二の樹脂分散剤の少なくとも一方で被覆されている請求項14〜請求項18のいずれか1項に記載の顔料分散液。
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