JP2011046620A - ヘスペリジンとセルロースの混合粉砕物の製造方法 - Google Patents

ヘスペリジンとセルロースの混合粉砕物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】水への溶解性及び生体での吸収性に優れた低結晶性ヘスペリジン含有原料とセルロース含有原料の混合粉砕物の製造方法、該製造方法により得られる混合粉砕物、及び該混合粉砕物を含有するヘスペリジン含有組成物を提供する。
【解決手段】ヘスペリジンの結晶化度が50%以上、かつ水を除いた残余の成分中のヘスペリジン含有量が50質量%以上であるヘスペリジン含有原料とセルロース含有原料とを、媒体式粉砕機で混合粉砕する、低結晶性ヘスペリジン含有原料とセルロース含有原料の混合粉砕物の製造方法、該製造方法により得られる混合粉砕物、及び該混合粉砕物を含有するヘスペリジン含有組成物である。
【選択図】なし

Description

本発明は、水溶解性に優れた低結晶性ヘスペリジン含有原料とセルロース含有原料の混合粉砕物の製造方法、該製造方法により得られる混合粉砕物、及び該混合粉砕物を含有するヘスペリジン含有組成物に関する。
ヘスペリジン(Hesperidin)は、下記式(I)に示されるようにヘスペレチン(5,7,3'−トリヒドロキシ−4’−メトキシフラバノン)の7位の水酸基に、ルチノース〔L−ラムノシル−(α1→6)−グルコース〕がβ−結合した化合物である。
Figure 2011046620
このヘスペリジンは柑橘類の未熟な果皮等に含まれ、毛細血管の強化、出血予防、血圧調整等の生理作用を有するポリフェノールの1種であるビタミンPとして知られている。このヘスペリジンは、近年、花粉症やアトピー等のアレルギーに対する抗アレルギー剤としての効用、紫外線吸収作用、糖質の吸収阻害、活性酸素除去による抗癌作用、肌の活性化等の種々の有益な薬理作用を有することが報告されており、化粧品や医薬品だけでなく、美容健康食品として利用されている。
ヘスペリジンは、レモン、みかん等といった柑橘類に含まれ、その含有量は、柑橘類の種類により異なり、同じ種類の柑橘類であっても果皮、実といった部位によっても異なる。このため、ヘスペリジンを高濃度で含む食品の加工、製造方法が種々検討されている。
さらに、ヘスペリジンはアルカリ性水溶液には可溶であるが、水、酸には難溶であり、室温で50Lの水にわずかに1g(約0.002v/v%)程度しか溶けず、例えば、ヘスペリジンが缶詰の液汁に少量でも含まれていると、液汁が白濁して商品の外観や品質が損なわれるといった問題がある。そのため、ヘスペリジンは水に溶けやすいことが好ましく、水に対する溶解性の改善が望まれていた。
また、医薬分野において、難水溶性の医薬化合物は、その溶解度又は溶解速度が生体内での吸収に大きく影響するため、その溶解性を改善する方法が多く報告されている。
医薬化合物の溶解性を改善する方法としては、例えば、医薬化合物の表面積を増大させて、医薬化合物の微細化する方法が有効である。しかしながら、医薬化合物単一の微細化には、粒子の凝集や凝結による有効表面積の低下や、機械的微細化に限界があるため、満足のいく溶解性が得られない場合がある。
また、医薬化合物を非晶性物質に転換して、溶解性を向上させる方法もある。非晶性物質は、対応する結晶性物質よりも溶解に必要なエネルギーが小さいため溶解性が大きいことが知られている。
医薬化合物を微細化する方法としては、例えば、特許文献1には、湿式粉砕法で粉砕媒体の存在下で粉砕して表面変性剤を難溶性薬剤に吸着させて平均粒子サイズ400nm未満の微粒子をする方法が提案されている。この特許文献1には、従来の乾式粉砕法では材料が粉砕チャンバーに固まりつき、粉砕度の限界が10μmであると記載され、さらに粒子サイズを低減するには湿式粉砕が有利であるとも記載されている。
また、特許文献2には、難溶性薬物と、糖または糖アルコールとの混合物を衝撃粉砕して、平均粒径が1ミクロン以下の超微粒子とする方法が記載されている。しかし、特許文献2には結晶化度についての記載はない。
一方、難溶性の物質を非晶質化させて溶解性を向上させる方法としては、例えば、特許文献3には、結晶性セフジトレン ピボキシルを水溶性の高分子添加剤を含有する酸性水溶液に溶解し、この酸性水溶液を中和してセフジトレン ピボキシルと水溶性高分子とを共沈殿させた後に、採取、洗浄、乾燥する方法が提案されている。この方法によれば、水に対して高い溶解性を持ち、かつ、高い熱安定性をもつセフジトレン ピボキシルと、水溶性高分子添加剤との均質な混合物から構成された固体粒子からなる黄色粉末状組成物が得られる。
さらに、特許文献4には、ヘスペリジンにデンプン部分分解物(α-グルコシル糖化合物)共存下で糖転移酵素(α-グルコシル転移活性を有する酵素)を作用させて、下記一般式(II)で示されるα-グルコシルヘスペリジンを生成させて、水溶性を高めた酵素処理ヘスペリジンの製造方法が開示されている。しかし、この方法では多くの工程を経る必要があり、工程管理に時間と手間を要する。
Figure 2011046620
これらの従来方法のうち、湿式粉砕処理では薬物が汚染されやすく、また、水あるいは有機溶媒等により分解する薬物には適用できないという問題がある。さらに、酵素による反応では非常に時間が要するという問題がある。
このように従来の技術では、効率よく溶解性を向上させたヘスペリジンを製造することは、未だ不十分であった。また、ヘスペリジンの結晶性を低下させることによって、ヘスペリジンの利用分野の自由度を向上させることは、従来のヘスペリジンと比較して商品価値を大きく進歩させるものであり、この点においても改善が望まれていた。
特開平4−295420号公報 特許2642486号公報 国際公開第99/34832号 特開平3−7593号公報
本発明は、水への溶解性及び生体内での吸収性に優れる低結晶性ヘスペリジン含有原料とセルロース含有原料の混合粉砕物の製造方法、該製造方法により得られる混合粉砕物、及び該混合粉砕物を含有するヘスペリジン含有組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、特定のヘスペリジン含有原料とセルロース含有原料とを混合粉砕することにより、前記課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明は、ヘスペリジンの結晶化度が50%以上、かつ水を除いた残余の成分中のヘスペリジン含有量が50質量%以上であるヘスペリジン含有原料とセルロース含有原料とを、媒体式粉砕機で混合粉砕する、低結晶性ヘスペリジン含有原料とセルロース含有原料の混合粉砕物の製造方法、該製造方法により得られる混合粉砕物、該混合粉砕物を含有するヘスペリジン含有組成物である。
本発明によれば、水への溶解性及び生体内での吸収性に優れた低結晶性ヘスペリジン含有原料とセルロース含有原料の混合粉砕物を効率よく製造する方法、該方法により得られる混合粉砕物、及び該混合粉砕物を含有するヘスペリジン含有組成物を提供することができる。
実施例3で得られたヘスペリジン含有原料とセルロース含有原料の混合粉砕物、及び比較例4で得られたヘスペリジン含有原料とセルロース含有原料の混合物をラットに投与後、0.5、1、2、4時間経過した血中ヘスペリジンの濃度を測定した結果を示すグラフである。 実施例1で得られた混合粉砕物中のヘスペリジンの結晶性が低いことを示すX線回折強度の測定結果のグラフである。 比較例4で得られた、混合物中のヘスペリジンの結晶性が残存することを示すX線回折強度の測定結果を示すグラフである。
本発明は、ヘスペリジンの結晶化度が50%以上、かつ水を除いた残余の成分中のヘスペリジン含有量が50質量%以上であるヘスペリジン含有原料と、セルロース含有原料とを、媒体式粉砕機で混合粉砕する、低結晶性ヘスペリジン含有原料とセルロース含有原料を含む混合粉砕物の製造方法に関する。以下、低結晶性ヘスペリジン含有原料とセルロース含有原料の混合粉砕物を、単に「混合粉砕物」又は「複合化粒子」ともいう。
[ヘスペリジン含有原料]
本発明に用いられるヘスペリジン含有原料は、該原料から水を取り除いた残余の成分中のヘスペリジンの含有量が50質量%以上、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上のものである。
前記ヘスペリジン含有原料には特に制限がなく、柑橘類等の自然界に広く分布する上記一般式(I)で示される多糖を主成分とするものであればよく、本発明においてもこれらを使用することが好ましい。ヘスペリジンの含有量の測定方法は、例えば特開2005−278640号公報に記載されているような方法によってメタノール等の溶剤を用いてヘスペリジンを抽出し、その含有量を高速液体クロマトグラフィ(HPLC)等によって算出することが可能である。
市販のヘスペリジン含有原料の場合、水を取り除いた残余の成分中のヘスペリジン含有量は、一般には85〜99質量%であり、他の成分としてタンパク質、無機物等を含む。
また、ヘスペリジン含有原料中の水分含量は、15質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下が更に好ましい。ヘスペリジン含有原料中の水分含量が15質量%以下であれば、後述する粉砕処理により容易に粉砕ができるとともに、ヘスペリジンの結晶化度を容易に低減化させることができる。
[ヘスペリジンの結晶化度]
本発明に用いられるヘスペリジンの結晶化度が50%以上であるヘスペリジン含有原料は、粉末X線回折によると、図3に示すようにヘスペリジンの結晶性を示す鋭い回折ピークを有している。これに対して、本発明により製造される混合粉砕物中の低結晶性ヘスペリジン含有原料は、図2に示すようにヘスペリジンの結晶性を示す回折ピークを実質的に有さず、全体が非晶質であることが示される。
ヘスペリジンの結晶化度は、X線回折法による回折強度値から算出される。具体的には、非干渉性散乱や格子の乱れ等の影響を考慮しないで、プロファイル・フィッティングの手法を用いて、結晶性回折線と非晶成分によるハロー部分とにピーク分離し、得られた各ピークの積分強度から、下記式(2)によりヘスペリジンの結晶化度を算出する。
ヘスペリジンの結晶化度(%)=[ΣIα/(ΣIα+ΣIam)]×100 (2)
[ΣIαは、結晶性回折線の各ピークの積分強度の和、ΣIamは、非晶成分によるハロー(アモルファス部)の回折線の各ピークの積分強度の和である。]
ヘスペリジンの結晶化度は、その値が大きいほど、結晶性が高く、非結晶部分が少ないため、溶解性が低下する。一般に柑橘類などの自然界に広く分布するヘスペリジン含有原料の上記式(2)から算出される結晶化度は、50%以上であり、これらはいわゆる結晶性のヘスペリジンである。
また、本発明によって得られる、低結晶性ヘスペリジン含有原料の「低結晶性」とは、ヘスペリジン含有原料のX線回折強度を測定したときに、回折角5〜45°に半値幅が5°以下の鋭い回折ピークを有さないものを意味する。また、この「低結晶性」は、上記式(2)から算出されるヘスペリジンの結晶化度が0%の完全非晶化の場合を含む。
[混合粉砕処理の前処理]
本発明における混合粉砕処理に用いるヘスペリジン含有原料の嵩密度は、粉砕、非晶化をより効率的に行う観点から、50kg/m3以上が好ましく、100kg/m3以上がより好ましく、200kg/m3以上が更に好ましい。この嵩密度が50kg/m3以上であれば、ヘスペリジン含有原料が適度な容積を有するために取扱い性が向上する。また、粉砕機への原料仕込み量を多くすることができるので、処理能力が向上する。一方、上記の嵩密度の上限は、生産性の観点から、1000kg/m3以下が好ましく、800kg/m3以下がより好ましく、700kg/m3以下が更に好ましい。
本発明では、例えば、ヘスペリジン含有原料を一般的な粉砕機や押出機等で前処理することで、ヘスペリジン含有原料の嵩密度及び平均粒径を所望の範囲にすることができ、好適である。
また、ヘスペリジン含有原料を単独で前処理してもよく、又はヘスペリジン含有原料とセルロース含有原料の混合物を前処理してもよい。
前記ヘスペリジン含有原料を衝撃式の粉砕機や押出機で処理することにより、圧縮せん断力を作用させ、ヘスペリジン含有原料の結晶構造を機械的に破壊して、ヘスペリジン含有原料を粉末化させることができる。
圧縮せん断力を作用させて粉砕する方法として、従来よく用いられる公知の衝撃式の粉砕機(あるいは破砕機)を用いることができる。衝撃式の粉砕機としては、例えば、ハンマーミル(ダルトン)、自由型粉砕機ピンミル(奈良機械)、フィッツミル(ダルトン)、パワーミル(パウレック)、コーミル(Quadro)等が挙げられ、所望の平均粒径及び嵩密度を有する粉砕原料が得られ、取扱い性を向上させることができる。
押出機としては、単軸、二軸のどちらの形式でもよいが、搬送能力を高める等の観点から、二軸押出機が好ましい。
二軸押出機としては、シリンダの内部に2本のスクリューが回転自在に挿入された押出機であり、従来から公知のものが使用できる。2本のスクリューの回転方向は、同一でも逆方向でもよいが、搬送能力を高める観点から、同一方向の回転が好ましい。
また、スクリューの噛み合い条件としては、完全噛み合い、部分噛み合い、非噛み合いの各形式の押出機のいずれでもよいが、処理能力を向上させる観点から、完全噛み合い型、部分噛み合い型が好ましい。
押出機としては、強い圧縮せん断力を加える観点から、スクリューのいずれかの部分に、いわゆるニーディングディスク部を備えることが好ましい。ニーディングディスク部とは、複数のニーディングディスクで構成され、これらを連続して、一定の位相で、例えば90°ずつに、ずらしながら組み合わせたものであり、スクリューの回転にともなって、狭い隙間にヘスペリジン含有原料を強制的に通過させることで極めて強いせん断力を付与することができる。スクリューの構成としては、ニーディングディスク部と複数のスクリュエレメントとが交互に配置されることが好ましい。二軸押出機の場合、2本のスクリューが、同一の構成を有することが好ましい。
処理方法としては、ヘスペリジン含有原料を押出機に投入し、連続的に処理する方法が好ましい。せん断速度としては、10sec-1以上が好ましく、20〜30000sec-1がより好ましく、50〜3000sec-1が特に好ましい。その他の処理条件としては、特に制限はなく、好ましくは処理温度が5〜200℃である。
また、押出機によるパス回数としては、1パスでも十分効果を得ることができるが、ヘスペリジンの結晶化度を低下させる観点から、1パスで不十分な場合は、2パス以上行うことが好ましい。また、生産性の観点からは、1〜10パスが好ましい。パスを繰返すことにより粗大粒子が粉砕され、粒径のばらつきが少ない粉末状のヘスペリジン含有原料を得ることができる。2パス以上行う場合、生産能力を考慮し、複数の押出機を直列に並べて処理を行ってもよい。
[セルロース含有原料]
本発明に用いるセルロース含有原料は、混合粉砕法によりヘスペリジン含有原料との混合粉砕物を形成するための担体としての役割を有する。
本発明に用いるセルロース含有原料は、該原料から水を除いた残余の成分中のセルロース含有量が20質量%以上、好ましくは40質量%以上、より好ましくは60質量%以上のものである。本発明におけるセルロース含有量とは、セルロース量及びヘミセルロース量の合計量を意味する。
前記セルロース含有原料には特に制限はなく、各種木材チップ、各種樹木の剪定枝材、間伐材、枝木材等の木材類;木材から製造されるウッドパルプ、綿の種子の周囲の繊維から得られるコットンリンターパルプ等のパルプ類、稲わら、コーヒー殻、茶殻、紅茶殻、とうもろこし茎等の植物茎・葉類;籾殻、パーム殻、ココナッツ殻等の植物殻類等が挙げられる。これらの中では、パルプ類や木材類が好ましい。
市販のパルプの場合、水を除いた残余の成分中のセルロース含有量は、通常75〜99質量%であり、他の成分としてリグニン等を含む。
セルロース含有原料中の水分含量は、15質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下が更に好ましい。セルロース含有原料中の水分含量が15質量%以下であれば、容易に粉砕ができるとともに、後述する粉砕処理により結晶化度を容易に低減させることができる。
本発明の混合粉砕処理に用いるセルロース含有原料としては、効率よく複合化粒子を形成させる観点から、低結晶性セルロース含有原料を用いることが好ましい。本発明における低結晶性セルロース含有原料の「低結晶性」とは、上記のセルロースの結晶構造においてアモルファス部の割合が多い状態を示し、下記式(1)から得られる結晶化度が好ましくは33%以下であり、0%である場合を含む。
本発明におけるセルロースの結晶化度とは、天然セルロースの結晶構造に由来するI型の結晶化度を示し、粉末X線結晶回折スペクトルから求められる回折強度値からSegal法により算出したもので、下記式(1)により定義される。
セルロースI型結晶化度(%)=〔(I22.6−I18.5)/I22.6〕×100 (1)
〔I22.6は、X線回折における格子面(002面)(回折角2θ=22.6°)の回折強度、I18.5は、アモルファス部(回折角2θ=18.5°)の回折強度を示す〕
セルロースI型結晶化度が33%以下であれば、ヘスペリジン含有原料との混合粉砕において、ヘスペリジン含有原料を効率的に低結晶化することができる。この観点から、結晶化度としては、20%以下が好ましく、15%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましく、分析でI型結晶が検出されない0%が特に好ましい。なお、上記式(1)で定義されたセルロースI型結晶化度では、計算上マイナスの値になる場合があるが、マイナスの値の場合は、セルロースI型結晶化度は0%とする。
一般に利用可能なセルロース含有原料のセルロースI型結晶化度は、上記式(1)によれば、概ね60〜80%の範囲に含まれる、これらはいわゆる結晶性のセルロースである。
[低結晶性セルロース含有原料の調製]
本発明で用いる低結晶性セルロース含有原料を調製する方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、特許第4160108号公報および特許第4160109号公報に記載されているように、セルロース含有原料を、押出機で処理して、更に粉砕機で処理する方法や、ロッドを充填した振動ミルでセルロース含有原料を処理する方法により、分子量すなわち重合度が高くかつ低結晶性のセルロース含有原料を簡便に調製することができる。
この方法に用いられる押出機処理は、上記と同様の方法及び条件で行うことができる。
粉砕機としては、媒体式粉砕機が好ましく用いられる。媒体式粉砕機には容器駆動式粉砕機と媒体撹拌式粉砕機とがある。
容器駆動式粉砕機としては転動ミル、振動ミル、遊星ミル、遠心流動ミル等が挙げられる。この中で、粉砕効率が高く、生産性の観点から、振動ミルが好ましい。媒体撹拌式粉砕機及び振動ミルの具体例としては、後述で例示するものを挙げることができる。
具体例としては、後述するものが同様に挙げられる。
処理方法としては、バッチ処理及び連続処理のどちらでもよいが、生産性の観点から連続処理が好ましい。
媒体がボールの場合には、ボールの外径としては、好ましくは0.1〜100mm、より好ましくは0.5〜50mmの範囲である。
粉砕機の媒体として用いるロッドは、後述するものを同様に用いることができる。
ボール、ロッド等の媒体の充填率は、粉砕機の機種により好適な範囲が異なるが、好ましくは10〜97%、より好ましくは15〜95%の範囲である。
粉砕機の処理時間としては、粉砕機の種類、ボール、ロッド等の媒体の種類、大きさ及び充填率等により一概に決定できないが、結晶化度を効率的に低下させる観点から、好ましくは0.01〜50hr、より好ましくは0.05〜20hr、更に好ましくは0.1〜10hrである。処理温度は特に制限がないが、熱による劣化を防ぐ観点から、好ましくは5〜250℃、より好ましくは10〜200℃である。
上記の処理方法により、低結晶性セルロース含有原料を効率よく得ることができ、前記の粉砕機による処理の際に、その内部に粉砕物が固着せずに、乾式にて処理することができる。
[混合粉砕処理]
本発明では、結晶性ヘスペリジン含有原料を、セルロース含有原料、好ましくは低結晶性セルロース含有原料とともに混合粉砕処理を行うことにより、混合粉砕物を形成してヘスペリジンの結晶化度を効率的に低減させることができる。
また、粉砕原料として、いわゆる結晶性セルロース含有原料を用いた場合には、混合粉砕処理を行うことにより、該原料のセルロースI型結晶化度が効率的に低減するとともに、ヘスペリジンの結晶化度を効率的に低減させることができる。
本発明の混合粉砕処理に用いるヘスペリジン含有原料とセルロース含有原料は、任意の割合で混合して用いることができる。
ヘスペリジン含有原料とセルロース含有原料の質量比(ヘスペリジン含有原料/セルロース含有原料)は、効率的にヘスペリジンの結晶化度を低減させる観点から、好ましくは1/99〜95/5であり、より好ましくは3/97〜90/10、更に好ましくは5/95〜75/25、特に好ましくは5/95〜50/50である。上記の質量比が、1/99以上であれば、ヘスペリジン含有原料の結晶化度を効率よく低減することが可能となり、95/5以下であれば、セルロース含有原料の担体としての効果を発揮することができ、効率良く混合粉砕物を得ることができる。
混合粉砕処理に用いるヘスペリジン含有原料とセルロース含有原料の混合物の平均粒径は、効率よくヘスペリジンの結晶化度を低減させる観点から、好ましくは0.001〜1mm、好ましくは0.01〜0.7mm、更に好ましくは0.02〜0.5mmである。
本発明の混合粉砕処理に用いるヘスペリジン含有原料とセルロース含有原料の混合物中の水分含量は、好ましくは15質量%以下、より好ましくは12質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。この水分含量が15質量%以下であれば、容易に混合粉砕できるとともに、粉砕処理による低結晶化速度が向上し、短時間で効率的にヘスペリジンの結晶化度を低下させることができる。一方、この水分含量の下限としては、生産性の観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、更に好ましくは0.3質量%以上である。
上記の水分含量とするための乾燥方法としては、公知の乾燥手段を適宜選択すればよく、例えば、熱風受熱乾燥法、伝導受熱乾燥法、除湿空気乾燥法、冷風乾燥法、マイクロ波乾燥法、赤外線乾燥法、天日乾燥法、真空乾燥法、凍結乾燥法等が挙げられる。
上記の乾燥方法において、公知の乾燥機を適宜選択して使用することができ、例えば、「粉体工学概論」(社団法人日本粉体工業技術会編集 粉体工学情報センター1995年発行) 176頁に記載の乾燥機等が挙げられる。
これらの乾燥方法及び乾燥機は、1種でも又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明では、結晶性ヘスペリジン含有原料を低結晶性のヘスペリジン含有原料にする混合粉砕法としては、媒体式粉砕機を用いて、圧縮、せん断、磨砕等の機械的エネルギーにより混合粉砕する方法、微細分散化する方法であれば、特に制限されない。例えば、媒体としてロッドまたはボールを充填した振動ミルや媒体撹拌式粉砕機で処理することで、該原料中のヘスペリジンの結晶化度を効率的に低結晶化させることができ、好適である。
本発明で用いられる振動ミルとしては、中央化工機株式会社製の振動ミル、ユーラステクノ株式会社製のバイブロミル、株式会社吉田製作所製の小型振動ロッドミル1045型、ドイツのフリッチュ社製の振動カップミルP−9型、日陶科学株式会社製の小型振動ミルNB−O型等を用いることができる。
一方、媒体撹拌式粉砕機としては、タワーミル等の塔型粉砕機;アトライター、アクアマイザー、サンドグラインダー等の撹拌槽型粉砕機;ビスコミル、パールミル等の流通槽型粉砕機;流通管型粉砕機;コボールミル等のアニュラー型粉砕機;連続式のダイナミック型粉砕機等が挙げられる。この中で、粉砕効率が高く、生産性の観点から、撹拌槽型粉砕機が好ましい。媒体撹拌式粉砕機を用いる場合の撹拌翼の先端の周速は、好ましくは0.5〜20m/s、より好ましくは1〜15m/sである。
粉砕機の種類は「化学工学の進歩 第30集 微粒子制御」(社団法人 化学工学会東海支部編、1996年10月10日発行、槇書店)を参照することができる。
粉砕機の処理方法としては、バッチ式、連続式のどちらでも良い。
媒体式粉砕機に充填するロッドとは、棒状の媒体であり、ロッドの断面が四角形、六角形等の多角形、円形、楕円形等のものを用いることができる。
ロッドの材質は、特に制限がなく、例えば、鉄、ステンレス、アルミナ、ジルコニア、炭化珪素、窒化珪素、ガラス等が挙げられる。
粉砕機が振動ミルであって、媒体がロッドの場合には、ロッドの外径は、好ましくは0.5〜200mm、より好ましくは1〜100mm、更に好ましくは5〜50mmの範囲である。
ロッドの長さは、粉砕機の容器の長さよりも短いものであれば特に限定されない。ロッドの大きさが上記の範囲であれば、所望の粉砕力が得られるとともに、ロッドのかけら等が混入してヘスペリジン含有原料が汚染されることなく効率的にヘスペリジンを低結晶化させることができる。
ロッドの充填率は、振動ミルの機種により好適な範囲が異なるが、好ましくは10〜97%、より好ましくは15〜95%の範囲である。充填率がこの範囲内であれば、ヘスペリジン含有原料とロッドとの接触頻度を向上するとともに、媒体の動きを妨げずに、粉砕効率を向上させることができる。ここで、充填率とは、振動ミルの容積に対するロッドのみかけの体積をいう。
粉砕機が振動ミル又は媒体撹拌式粉砕機であって、媒体がボールである場合には、ボールの外径としては、好ましくは0.1〜100mm、より好ましくは0.5〜50mmの範囲である。ボールの大きさが上記の範囲であれば、所望の粉砕力が得られるとともに、ボールのかけら等が混入してヘスペリジン含有原料が汚染されることなく効率的にヘスペリジンを低結晶化させることができる。
ボールの充填率は、粉砕機の機種により好適な充填率が異なるが、好ましくは10〜97%、より好ましくは15〜95%の範囲である。充填率がこの範囲内であれば、ヘスペリジン含有原料を効率よく低結晶化することができる。
粉砕機の処理時間としては、粉砕機の種類、媒体の種類、大きさ及び充填率等により一概に決定できないが、ヘスペリジンの結晶化度を低下させる観点から、好ましくは0.01〜50時間、より好ましくは0.05〜20時間、更に好ましくは0.1〜10時間、特に好ましくは0.1〜8時間である。処理温度は特に制限がないが、熱による劣化を防ぐ観点から、好ましくは5〜250℃、より好ましくは10〜200℃である。
本発明の低結晶性ヘスペリジン含有原料とセルロース含有原料の混合粉砕物は、上記の混合粉砕法を用いて処理することにより効率良く得ることができ、前記の媒体式粉砕機による処理の際に、その内部に粉砕物が固着せずに、乾式にて処理することができる。
得られる混合粉砕物の水分含量は、取扱い性やヘスペリジンの溶解性の低下を抑制する観点から、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下である。
得られる混合粉砕物の平均粒径は、この複合化粒子を工業原料や医薬品等として用いる際の化学反応性及び取扱い性の観点から、好ましくは1〜150μm、より好ましくは10〜120μm、更に好ましくは30〜100μmである。特に平均粒径が10μm以上であれば、混合粉砕物を水等の液体と接触させたときに「ママコ」になることを抑えることができる。
得られる混合粉砕物の嵩密度は、取扱い性の観点から、好ましくは100〜1000kg/m3、より好ましくは300〜800kg/m3、更に好ましくは400〜700kg/m3である。
得られる混合粉砕物の安定性は、例えばICHの安定性試験ガイドライン(Q1A)に記載される一般的な加速試験(40℃、75%RH)を行った時の混合粉砕物の状態によって確認することができる。
[混合粉砕物/ヘスペリジン含有組成物]
本発明の混合粉砕物(複合化粒子)は、上記の製造方法により、低結晶性ヘスペリジン含有原料とセルロース含有原料からなる混合粉砕物を形成する。
また、本発明において、上記混合粉砕物に必要に応じて添加剤を加えてヘスペリジン含有組成物とすることもできる。
本発明の混合粉砕物及びヘスペリジン含有組成物の形態は、特に限定されず、顆粒状、粒状、錠剤、カプセル、ゲル状、ペースト状、乳状、懸濁状、液状等、用途に適した形態に成形することができる。
本発明の混合粉砕物及びヘスペリジン含有組成物は、毛細血管の強化、血中脂質の改善、血流改善、アレルギー疾患の改善、発癌抑制、又は栄養素としてのビタミンPの補充等を目的に医薬、食品及び、化粧品等の各種用途に利用することができる。
添加剤としては、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、矯味剤、界面活性剤、香料、滑沢剤、着色剤、抗酸化剤、隠蔽剤、静電気防止剤、流動化剤、湿潤剤、矯臭剤、溶出補助剤等が挙げられる。これらの添加剤は、1種または2種以上を配合して用いてもよい。
賦形剤としては、例えば、糖類(例えば、ぶどう糖、果糖、麦芽糖、乳糖、異性化乳糖、還元乳糖、ショ糖、D−マンニトール、エリスリトール、マルチトール、キシリトール、パラチノース、トレハロース、ソルビトール、コーンスターチ、馬鈴薯デンプン、コムギデンプン、コメデンプン等)、無水ケイ酸、無水リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム等が挙げられる。
結合剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポビドン、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、部分α化デンプン、α化デンプン、アルギン酸ナトリウム、プルラン、アラビアゴム末、ゼラチン等が挙げられる。
崩壊剤としては、例えば、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルボキシルメチルスターチナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポピドン、ヒドロキシプロピルスターチ、コーンスターチ等が挙げられる。
矯味剤としては、例えば、白糖、D-ソルビトール、キシリトール、クエン酸、アスコルビン酸、酒石酸、リンゴ酸、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、ソーマチン、サッカリンナトリウム、グリチルリチン二カリウム、グルタミン酸ナトリウム、5'−イノシン酸ナトリウム、5’−グアニル酸ナトリウム等が挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、ポリソルベート(例えば、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート65、ポリソルベート80等)、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン共重合物、ラウリル硫酸ナトリウム等が挙げられる。
香料としては、レモン油、オレンジ油、メントール、はっか等が挙げられる。
滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ショ糖脂肪酸エステル、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸、タルク、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
着色剤としては、例えば、酸化チタン、食用黄色5号、食用青色2号、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄等が挙げられる。
抗酸化剤としては、例えば、アスコルビン酸ナトリウム、L−システイン、亜硫酸ナトリウム、ビタミンE等が挙げられる。
隠蔽剤としては、例えば、酸化チタン等が挙げられる。流動化剤としては、例えば、軽質無水ケイ酸塩、タルク、含水二酸化ケイ素等が挙げられる。
湿潤剤としては、例えば、ポリソルベート80、ラウリル酸硫酸ナトリウム、ショ糖脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)等が挙げられる。
溶出補助剤としては、例えば、乾燥メタクリル酸コポリマーLD、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート等が挙げられる。
上記で具体的に例示した添加剤以外にも、公知の文献、例えば、薬事日報社2005年刊「医薬品添加物辞典」(日本医薬品添加剤協会編集)等に記載されているような添加剤を用いてもよい。
本発明の混合粉砕物を錠剤やカプセル剤として用いる場合には、前記のように製造された後、所望によって任意の包装が施される。かかる包装は、個別に包装されていない非単位包装(例えば、バルク包装)等であってもよいが、例えば、熱密着性フィルムで医薬品をシールする、いわゆるヒートシールのような密封包装が好ましい。
密封包装としては、密封性を有するものであれば特に限定されないが、水蒸気等の気体の流出入を防ぐことのできる性質を有するものが好ましい。
そのような密封包装としては、アルミフィルム、高密度ポリエチレンフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、高密度ポリエチレンラミネート紙、ポリ塩化ビニリデンラミネート紙等が挙げられる。
また、該密封包装の形態としては、缶、瓶、袋(例えば、カートナー包装、シュリンク包装、ピロー包装等)等が挙げられる。
さらに、該密封包装の形態が袋であるとき、シングルチャック又はダブルチャックを有する袋であってもよい。なお、該密封包装には、例えば、日本薬局方規定の「気密容器」や「密封容器」を用いての包装も含まれる。ヒートシールには、PTP(Press Through Pack)包装やSP(Strip Package)包装等が含まれる。
上記の錠剤やカプセル剤が二次包装された内部の温度は、一般的に医薬品の保存時に用いられる乾燥剤、高分子ポリマーを構成成分とする吸水剤または保湿剤により制御することができる。
ヘスペリジン含有原料等の嵩密度、平均粒径、セルロース含有原料のセルロースI型結晶化度、ヘスペリジン含有原料の結晶化度、ヘスペリジンの結晶性、水分含量、ヘスペリジンの水への溶解性、並びにヘスペリジンの吸収性の測定は、下記の記載の方法で行った。
(1)嵩密度の測定
嵩密度は、ホソカワミクロン株式会社製の「パウダーテスター」を用いて測定した。測定は、サンプルをシュートに通じ落下させ、規定の容器(容量100mL)に受け、該容器中のサンプルの質量を測定することにより算出した。
(2)平均粒径の測定
平均粒径は、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置「LA−920」(株式会社堀場製作所製)を用いて測定した。測定条件は、試料測定前に超音波で1分間処理し、測定時の分散媒体として水を用い、体積基準のメジアン径を、温度25℃にて測定した。
(3−1)セルロース含有原料のセルロースI型結晶化度の算出
セルロース含有原料のセルロースI型結晶化度は、サンプルのX線回折強度を、株式会社リガク製の「Rigaku RINT 2500VC X-RAY diffractometer」を用いて以下の条件で測定し、前記式(1)に基づいて算出した。
測定条件は、X線源:Cu/Kα−radiation,管電圧:40kV,管電流:120mA,測定範囲:回折角:5〜45°、X線のスキャンスピード:10°/minで測定した。測定用サンプルは、面積320mm2×厚さ1mmのペレットを圧縮し作製した。
(3−2)ヘスペリジン含有原料の結晶化度の算出
ヘスペリジン含有原料の結晶化度は、サンプルのX線回折強度を、上記と同様の装置及び条件で測定し、前記式(2)に基づいて算出した。
(3−3)ヘスペリジンの結晶性
ヘスペリジンの結晶性は、サンプルのX線回折強度を上記の条件で測定し、その回折ピークから、以下の基準により評価した。
低結晶性:回折角5〜45°に半値幅が5°以下の鋭い回折ピークを有さない。
結晶性:回折角5〜45°に半値幅が5°以下の鋭い回折ピークを有する。
(4)水分含量の測定
水分含量は、赤外線水分計(株式会社ケット科学研究所製、「FD−610」)を使用し、150℃にて測定を行った。
(5)ヘスペリジンの水への溶解性
実施例及び比較例で調製した混合粉砕物(複合化粒子)を用いて、ヘスペリジン40mgに対応する量を精密に採量し、40mLの水溶液中に投入した。この分散液を0.45μmメンブランフィルターでろ過し、そのろ液の波長283.5nmにおける吸光度を紫外可視分光光度計(株式会社島津製作所製、「UV−1700」)を用いて測定することによって、ヘスペリジンの水への溶解性を評価した。
波長283.5nmにおける吸光度が15%以上であれば、ヘスペリジンの水への溶解性が良好である。
(6)ヘスペリジンの吸収性
ヘスペリジンの生体内での吸収性を、結晶性のヘスペリジン含有原料とセルロース含有原料を混合させた混合物(比較例4)と混合粉砕によって得られた低結晶性ヘスペリジン含有原料とセルロース含有原料の混合粉砕物(実施例3)とをラットに投与後の血中ヘスペリジン濃度によって比較した。
すなわち、18時間絶食させた6週齢の雄性ラットに、結晶性のヘスペリジン含有原料とセルロース含有原料を混合させた混合物(比較例4)、と混合粉砕によって得られた低結晶性ヘスペリジン含有原料とセルロース含有原料の混合粉砕物(実施例3)とを、それぞれ1匹あたり30mg経口投与用のゾンデにより単回経口投与した。投与0.5、1、2、4時間後に頸静脈より採血し、遠心分離によって得られた血漿中のヘスペリジンをLC/MS/MS法により測定した。
投与後の血中ヘスペリジン濃度を測定した結果、混合粉砕によって得られた低結晶性ヘスペリジンとセルロース含有原料の混合粉砕物を投与させた方が高く、特に投与後1時間後には2倍以上も高かった。結果を図1に示す。
製造例1[低結晶性セルロースの調製]
セルロース含有原料として結晶性セルロース含有原料(平均粒径25μm、セルロースI型結晶化度77%、日本製紙ケミカル株式会社製「KC-フロック W−400G」)を用いて、棚乾燥機〔アドバンテック(ADVANTEC)社製 真空定温乾燥器「DRV320DA」〕を用いて、乾燥後のパルプの水分含量が、1.2質量%になるように乾燥した。
乾燥処理により得られた結晶性セルロース含有原料を、バッチ式振動ミル(中央化工機株式会社製、「MB−1」、容器全容量3.5L)に100g投入し、ロッドとして、直径30mm、長さ218mm、材質ステンレス、断面形状が円形のロッド13本を振動ミルに充填(充填率57%)して、振幅8mm、円回転1200cpmの条件で、60分間処理した。処理終了後、振動ミル内の壁面や底部に結晶性セルロース含有原料の固着物等はみられなかった。
得られた低結晶性セルロース含有原料の平均粒径は41μm、結晶化度は0%であった。
実施例1
ヘスペリジン含有原料として、ヘスペリジン(和光純薬工業株式会社、ヘスペリジン含有原料から水を除いた残余成分中のヘスペリジン含有量92質量%、ヘスペリジン中の水分含量3.4質量%、平均粒径6μm、嵩密度506kg/m3、結晶化度70.4%)と、製造例1得られた低結晶性セルロース含有原料を表1に示す割合で混合し、その混合原料(平均粒径41μm、水分含量7.6質量%)80gを振動ミル(中央化工機株式会社製、「MB−1」、容器全容量3.5L)に投入し、ロッド(断面形状:円形、直径:30mm、長さ:211mm、材質:ステンレス)13本を振動ミルに充填(充填率57%)して、振幅8mm、回転数1200cpmの条件で1時間処理を行った。
得られた低結晶性ヘスペリジン含有原料とセルロース含有原料の混合粉砕物中のヘスペリジンについて結晶性はみられず、その混合粉砕物の平均粒径は60μmであり、その温度は、粉砕処理に伴う発熱により45℃であった。粉砕処理後、振動ミル内の壁面や底部に混合粉砕物の固着物等はみられなかった。結果を表1に示す。
実施例2
表1に示すヘスペリジン含有原料を用いて、振動ミルの処理時間を表1に示す時間としたこと以外は、実施例1と同様に操作して低結晶性ヘスペリジン含有原料とセルロース含有原料の混合粉砕物を得た。結果を表1に示す。
実施例3
表1に示すヘスペリジン含有原料を用い、粉砕機及び媒体の種類を、バッチ式媒体撹拌式ミル(「サンドグラインダー」:容器容積800mL、5mmΦジルコニアボールを720g充填、充填率25%、撹拌翼径70mm)に変えて、処理条件を撹拌回転数2000rpm、撹拌速度7.3m/sとし、処理時間を4時間としたこと以外は、実施例1と同様に操作して低結晶性ヘスペリジン含有原料とセルロース含有原料の混合粉砕物を得た。得られた混合粉砕物の温度は、処理に伴う発熱により30〜70℃であった。粉砕処理終了後、媒体撹拌式ミル内の壁面や底部に混合粉砕物の固着物等はみられなかった。
実施例4
セルロース含有原料として、表1に示す結晶性セルロース含有原料(平均粒径25μm、セルロースI型結晶化度77%、日本製紙ケミカル株式会社製「KCフロック W-400G」)を用いたこと以外は、実施例1と同様に操作をして低結晶性ヘスペリジン含有原料とセルロース含有原料の混合粉砕物を得た。結果を表1に示す。
実施例5
ロッドを充填した振動ミルの処理時間を4時間としたこと以外は、実施例4と同様に操作をして低結晶性ヘスペリジン含有原料とセルロース含有原料の混合粉砕物を得た。結果を表1に示す。
実施例6
振動ミルの処理時間を0.2時間としたこと以外は、実施例4と同様の操作をして低結晶性ヘスペリジン含有原料とセルロース含有原料の混合粉砕物を得た。結果を表1に示す。
実施例7
混合原料中の組成を表1に示すとおりとしたこと以外は、実施例1と同様の操作をして低結晶性ヘスペリジン含有原料とセルロース含有原料の混合粉砕物を得た。結果を表1に示す。
比較例1
実施例1で使用したヘスペリジン含有原料の水分含量、結晶性の有無、平均粒径、嵩密度、波長283.5nmの吸光度を測定した結果を表2に示す。
比較例2
実施例1で使用したヘスペリジン含有原料を用いて、処理時間を表2に示す時間としたこと以外は、実施例3と同様に混合粉砕処理を行なった。粉砕処理終了後、媒体撹拌式ミル内の壁面や底部に混合粉砕物の固着物等が見られた。得られた混合粉砕物は、大きさが5mm以上の塊状である結晶性のヘスペリジンであり、その平均粒径、嵩密度及び波長283.5nmでの吸光度を測定することはできなかった。結果を表2に示す。
比較例3
実施例1で使用したヘスペリジン含有原料とセルロース含有原料の混合原料80gをカッターミル(株式会社ダルトン製「P−02S型」)に投入し、回転数3000rpmの条件で0.3時間処理した。その結果、ヘスペリジンの結晶性が残っていた。その温度は、処理に伴う発熱により35℃であった。結果を表2に示す。
比較例4
実施例1で使用したヘスペリジン含有原料と低結晶性セルロースの混合物100gを、実施例1と同様の組成で用いて、混合機(株式会社カワタ製、SUPER MIXER PICCOLO SMP-2型、回転数:3000rpm)で0.02時間処理して、ヘスペリジン含有原料とセルロース含有原料の混合物を得た。結果を表2に示す。
比較例5
表2に示すヘスペリジン含有原料と低結晶性セルロースを、実施例7と同様の組成で用いて、比較例3と同様の条件で、カッターミルで処理して、ヘスペリジン含有原料とセルロース含有原料の混合粉砕物を得た。結果を表2に示す。
比較例6
表2に示すヘスペリジン含有原料と低結晶性セルロースの混合物100gを、実施例7の組成で用いて、混合機(株式会社カワタ製、SUPER MIXER PICCOLO SMP-2型、回転数:3000rpm)で0.02時間処理して、ヘスペリジン含有原料とセルロース含有原料の混合物を得た。結果を表2に示す。
Figure 2011046620
Figure 2011046620
表1及び表2から、実施例1〜7では、比較例1〜6と比べて、混合粉砕処理によりヘスペリジンの結晶性が低減し、得られた低結晶性ヘスペリジン含有原料とセルロース含有原料の混合粉砕物は、水への溶解性に優れることが分かる。
本発明の製造方法により得られる混合粉砕物、該混合粉砕物を含有するヘスペリジン含有組成物は、水へのヘスペリジンの溶解性、及び腸管からの吸収性が高く、毛細血管の強化、血中脂質の改善、血流改善、アレルギー疾患の改善、発癌抑制、又は栄養素としてのビタミンPの補充等を目的に医薬、食品及び、化粧品等の工業原料として特に有用である。

Claims (7)

  1. ヘスペリジンの結晶化度が50%以上、かつ水を除いた残余の成分中のヘスペリジン含有量が50質量%以上であるヘスペリジン含有原料とセルロース含有原料とを、媒体式粉砕機で混合粉砕する、低結晶性ヘスペリジン含有原料とセルロース含有原料の混合粉砕物の製造方法。
  2. 下記式(1)に示される結晶化度が33%以下のセルロース含有原料を粉砕原料に用いる、請求項1に記載の混合粉砕物の製造方法。
    セルロースI型結晶化度(%)=[(I22.6−I18.5)/I22.6]×100 (1)
    [I22.6は、X線回折における格子面(002面)(回折角2θ=22.6°)の回折強度、I18.5は、アモルファス部(回折角2θ=18.5°)の回折強度を示す]
  3. 媒体式粉砕機が、振動ミル又は媒体撹拌式粉砕機である、請求項1又は2に記載の混合粉砕物の製造方法。
  4. 粉砕原料に用いるヘスペリジン含有原料とセルロース含有原料の混合物の水分含量が15質量%以下である、請求項1〜3いずれかに記載の混合粉砕物の製造方法。
  5. 粉砕原料に用いるヘスペリジン含有原料とセルロース含有原料の混合物の平均粒径が、0.001〜1mmである、請求項1〜4のいずれかに記載の混合粉砕物の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法で得られた低結晶性ヘスペリジン含有原料とセルロース含有原料の混合粉砕物。
  7. 請求項6に記載の混合粉砕物を含有する、ヘスペリジン含有組成物。
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