JP2011043459A - メカニカル検出器および測定方法 - Google Patents

メカニカル検出器および測定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】メカニカル検出における検出対象への振動の影響が抑制できるようにする。
【解決手段】同一の共振周波数を有する2つの振動子101および振動子102と、振動子101および振動子102の間で互いに振動を伝播させる相互作用部103と、振動子101および振動子102の間の位相が半周期ずれた反対称振動状態となる周波数の振動を、振動子101および振動子102に同時に加える加振部104と、振動子101および振動子102の少なくとも一方の変位を測定する振動測定部105とを備える。加振部104は、例えばPZTなどの圧電結晶膜141と、圧電結晶膜141に交流電圧を印加する交流電源142とから構成されている。加振部104では、交流電源142の出力を制御することで、圧電結晶膜141を上述した周波数で振動させる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、振動振幅や振動位相の変化を検知し、振動子に加わった微小な力あるいは他の物理量を高感度に検出(測定)するメカニカルな検出器および測定方法に関するものである。
メカニカル検出器は、民生機器用素子として用いられている。メカニカル検出器は、例えば、次のように作られる。リソグラフィーに代表される微細加工技術を用い、シリコンなどの固体材料の薄膜を梁状に加工し、メカニカル力検出器の梁を形成する。この梁は、ある共振周波数を持つ。この共振周波数は、梁の質量変化,梁に加えられた力などにより変化する。微小な機械振動子の共振の鋭さを意味するQ値は、大気中でも数十から数百であり、真空中では数千という高い値を持つ。従って、共振周波数の変化を検出することにより、梁の質量変化や、梁に加えられた力などを敏感(高感度)に検出することができる。このようなメカニカル検出器は、走査型プローブ顕微鏡のカンチレバーなど、民生機器用素子として広く用いられている(非特許文献1参照)。
ここで、メカニカル検出器を質量検出に用いた例について説明する。図5の斜視図に示すように、質量検出器は、シリコン基板501の上に形成したシリコン薄膜を加工することで形成した両持ちの梁502を備える。また、梁502を加振するための加振手段としての圧電結晶膜503をシリコン基板501の下に備え、圧電結晶膜503には、電源504により交流電圧が印加可能とされている。また、梁502の振動を検出する振動検出手段としてのレーザー変位検出器505を備える。レーザー変位検出器505としては、ドップラー干渉計や、原子間力顕微鏡に用いられる光てこ式変位検出器などが用いられる。
この質量検出器では、梁502に吸着した物質511の質量を測定する。物質511が吸着したことによる梁502の全体の質量変化を検出することで、物質511の質量を測定する。この機械式の質量検出器では、電源504により圧電結晶膜503に交流電圧を加えると、圧電結晶膜503は図の上下方向に膨張・圧縮を繰り返し、シリコン基板501を上下させる。この結果、シリコン基板501に接続している梁502も与えられた周波数で上下(振動)する。
図6に、梁502の振動振幅と電源504により加えた交流電圧の周波数の関係を示す。図6において、曲線(a)は検出する対象の物質511が吸着していない梁502のスペクトルであり、曲線(b)は、物質511が吸着した梁502のスペクトルである。物質511が梁502に吸着すると、梁502全体の質量が増加するため、共振周波数は低下し、共振のスペクトルは曲線(a)から曲線(b)へと低周波数側にシフトする。
例えば、加振周波数を図6中の加振周波数601に固定し、この状態における梁502の振動振幅を測定する。物質511が吸着していない梁502の振幅の大きさは振動振幅602で与えられる。これに対し、物質511が吸着した梁502では、スペクトルが低周波数側にシフトし、梁502の振幅の大きさは振動振幅603に変化する。従って、物質の吸着による質量変化を、振動振幅の変化として検出することが可能である。
この質量検出の本質は、共振幅の小さな機械振動子の共振周波数の変化を検出することにより、質量の検出を行うという点にある。同様の手法により、質量のみならず、力や電荷、磁化など、梁の共振周波数の変化を引き起こす任意の物理量を高感度に検出することが可能である。
Y.Martin, et al. ,"Atomic force microscope-force mapping and profiling on a sub 100-Å scale", J.Appl.Phys. ,vol.61, no.10, pp.4723-4729, 1987.
ところで、上述した動作原理より明らかなように、この機械式検出器では、梁を振動させた状態で、検出対象の物理量を検出している。しかしながら、この振動は、例えば物質の吸着に影響を与え、あるいは、力を検出する場合には、力を及ぼす測定対象に擾乱を与えるなど、検出対象の物理量に擾乱を与える。このように、検出のための振動自体が、検出対象の物理量へ擾乱を与え、より高い精度で検出するためには、この擾乱が無視できないという問題がある。
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、メカニカル検出における検出対象への振動の影響が抑制できるようにすることを目的とする。
本発明に係るメカニカル検出器は、同一の共振周波数を有する2つの振動子と、2つの振動子の間で互いに振動を伝播させる相互作用手段と、2つの振動子の間の位相が半周期ずれた反対称振動状態となる周波数の振動を、2つの振動子に同時に加える加振手段と、2つの振動子の少なくとも一方の変位を測定する振動測定手段とを備える。
上記メカニカル検出器において、2つの振動子の少なくとも一方の共振周波数を制御する共振周波数制御手段を備えるようにするとよい。ここで、共振周波数制御手段は、電圧を印加可能とされた圧電部材から構成されていればよい。この場合、圧電部材は、化合物半導体のヘテロ構造を有するものであればよい。また、共振周波数制御手段は、振動子を加熱することで共振周波数を制御すればよい。また、共振周波数制御手段は、振動子に光を照射することで共振周波数を制御してもよい。
また、本発明に係る測定方法は、互いに振動を伝播する状態とされた同一の共振周波数を有する2つの振動子に、2つの振動子の間の位相が半周期ずれた反対称振動状態となる周波数の振動を同時に加えた状態で、2つの振動子の少なくとも一方の変位を測定する。
以上説明したように、本発明によれば、互いに振動を伝播する状態とされた同一の共振周波数を有する2つの振動子に、2つの振動子の間の位相が半周期ずれた反対称振動状態となる周波数の振動を同時に加え、振動子の変位を測定するようにしたので、メカニカル検出における検出対象への振動の影響が抑制できるようになるという優れた効果が得られる。
本発明の実施の形態1におけるメカニカル検出器の構成を示す斜視図である。 2つの振動子101,振動子102の共振周波数がほぼ等しい場合のスペクトル(a)と、振動子102に物質109が吸着して質量が変化し、2つの振動子の共振周波数が一致しなくなった状態のスペクトル(b)とを示す特性図である。 本発明の実施の形態2におけるメカニカル検出器の構成を示す斜視図である。 本発明の実施の形態3におけるメカニカル検出器の構成を示す斜視図である。 メカニカル検出器の構成を示す斜視図である。 図5を用いて説明するメカニカル検出器における振動子の共振周波数の変化を示した説明図である。
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
[実施の形態1]
はじめに、本発明の実施の形態1について説明する。図1は、本発明の実施の形態1におけるメカニカル検出器の構成を示す斜視図である。このメカニカル検出器は、同一の共振周波数を有する2つの振動子101および振動子102と、振動子101および振動子102の間で互いに振動を伝播させる相互作用部103と、振動子101および振動子102の間の位相が半周期ずれた反対称振動状態となる周波数の振動を、振動子101および振動子102に同時に加える加振部104と、振動子101および振動子102の少なくとも一方の変位を測定する振動測定部105とを備える。
本実施の形態における振動子101および振動子102は、シリコン基板106を加工することで形成されたものであり、所定の間隔を開けて配置された2つの支持部107の間に架設された梁構造体である。また、振動子101および振動子102の端部において、支持部107の上部に突出している庇状の部分で振動子101および振動子102が連結されている。本実施の形態では、この庇状の連結部分が、相互作用部103となる。なお、ここでは、材料としてシリコンを用いたが、機械的振動子としての使用に耐えうるあらゆる固体材料が利用可能であることはいうまでもない。
加振部104は、例えばPZTなどの圧電結晶膜141と、圧電結晶膜141に交流電圧を印加する交流電源142とから構成されている。加振部104では、交流電源142の出力を制御することで、圧電結晶膜141を上述した周波数で振動させる。なお、シリコン基板106は、圧電結晶膜141に接着固定されている。
振動測定部105は、例えば、よく知られた、レーザーを用いた変位計である。振動測定部105は、例えば、レーザーを照射した振動子101の変位(振幅や位相の変化)を検出する。
上述した本実施の形態におけるメカニカル検出器は、例えば、振動子102に吸着した物質109の質量を検出する質量検出装置として機能させることができる。
ここで、本発明における検出の原理について説明する。
バネ定数と質量の全く等しい2つの振動子を相互作用させることを考える。これらの相互作用の大きさをkc,2つの振動子(梁)のバネ定数をk0,質量をm、加振する力の振幅をFおよびG、加振する周波数をfとすると、同時に加振された2つの振動子の運動方程式は以下の(1)式で与えられる。
Figure 2011043459
ここで、xおよびyは2つの振動子の変位を表す。2つの振動子の重心変位をX=(y+x)/2、変位差をY=y−xとすると、これらの振動子の運動方程式は、以下の(2)式に示すように、独立した2つの運動方程式に書きなおすことができる。
Figure 2011043459
したがって、重心変位Xはバネ定数k0を持つ振動子、変位差Yはバネ定数がk0+2kcの振動子としてお互いに独立に振る舞うことがわかる。
ここで、重心変位Xの共振周波数は、以下の(3)式で与えられ、一方、変位差Yの共振周波数は、以下の(4)式で与えられ、異なる共振周波数を持つ。
Figure 2011043459
従って、周波数f1で加振すると重心変位Xのみが振動し、2つの振動子が同方向に運動する対称振動状態が励振される。一方、周波数f2で加振すると、変位差Yのみが振動する反対称振動状態が励振される。
ここで、2つの振動子の加振強度FおよびGを等しくおくと、(2)式より変位差Yは励振されないことがわかる。言い換えると、2つの振動子を同時に加振した場合、完全に等価な振動子の反対称振動状態は励振されない。これは、2つの振動子を同時に同じ強度で励振することは、これらの重心運動のみを励起することになるが、反対称振動状態では重心は静止しているため励振されないことを意味している。
しかしながら、上述した状態は、質量やバネ定数など2つの振動子の持つ物理量が異なる場合には成立しない。2つの振動子の持つ物理量が異なる状態では、2つの振動子を周波数f2で同時に加振すると、反対称振動状態が励振されるようになる。これは、(1)式において2つの振動子の質量を異ならした場合や、バネ定数を異ならした場合を調べてみることにより、容易に理解できる。
以上のことからわかるように、相互作用をしている2つの振動子の共振周波数が一致している場合、反対称振動状態に対応する周波数で加振しても、振動は引き起こされない。しかしながら、このような加振状態で、2つの振動子の共振周波数がずれた場合、反対称振動状態が励振される。
本発明では、このように相互作用した共振周波数が等しい2つの振動子に、反対称振動状態が励振可能な状態に同時に加振したとき、2つの振動子の共振周波数を異なる値にさせる質量変化あるいは外力などが与えられると、反対称振動状態が励起されることを用い、与えられた質量変化あるいは外力を検出するようにしたものである。言い換えると、本発明の測定方法は、互いに振動を伝播する状態とされた同一の共振周波数を有する2つの振動子に、2つの振動子の間の位相が半周期ずれた反対称振動状態となる周波数の振動を同時に加え、周波数の振動を同時に加えた状態で、2つの振動子の少なくとも一方の変位を測定するようにしたものである。
前述した1つの振動子を用いた技術では、振動子が大きな振動をしている状態における共振周波数の変化により、振動子に与えられた質量変化の検出を行っていた。これに対し、本発明では、振動子が振動していないもしくは極めて小さく振動している状態からの振幅の変化により検出を行っているため、被検出対象への振動の影響を著しく小さくできる点である。
このように、本発明の本質は、相互作用しあう2つのほぼ同等の振動子の反対称振動状態の振幅が、2つの振動子の共振周波数の差に極めて敏感である点を利用し、検出状態における振動子の振動振幅を低減し、検出される対象に対する振動の影響を小さくすることである。
上述した原理を、本実施の形態1におけるメカニカル検出器に対応させて説明する。2つの振動子101,振動子102の共振周波数がほぼ等しいと仮定すると、上述したように反対称振動状態の振動はほとんど励振されず、対称振動状態の振動のみが強く励振される。このような状況における振動子101の振動スペクトルを図2に示す。図2は、2つの振動子101,振動子102の共振周波数がほぼ等しい場合のスペクトル(a)と、振動子102に物質109が吸着して質量が変化し、2つの振動子の共振周波数が一致しなくなった状態のスペクトル(b)とを示している。
2つの振動子の共振周波数が等しい場合、スペクトル(a)に示すように、対称振動状態に対応する周波数f1には大きな振幅のピークが現れるが、反対称振動状態に対応する周波数f2におけるピークは非常に小さい。これは、前述したように、2つの振動子を同時に加振しているため重心変位のみが励振されるためである。
一方、振動子102に物質109が吸着した場合、振動子102の質量が変化し、ふたつの振動子の共振周波数が一致しなくなるため、スペクトル(b)に示すように、周波数f2における反対称振動状態の振幅は大きくなる。したがって、加振部104による加振周波数をf2に固定すると、加振しているときの振動子101の振動振幅を測定することにより、振動子102への物質109の吸着が検出できる。また、このときの振動振幅は、1つの振動子を用いている場合に比較して非常に小さいため、吸着する物質109への振動の影響を小さくすることができる。このように、本発明によれば、被検出対象(物質109)に対する振動の影響が小さな検出器を作製することができる。
[実施の形態2]
次に、本発明の実施の形態2について説明する。
上記実施の形態1においては、2つの振動子の共振周波数がほぼ同じ(極めて近い)状態を例に説明している。ここで、振動子を構成する梁構造の形成を、公知のリソグラフィー技術などの加工方法を用いて行う場合、これらの現実的な加工精度では、通常、2つの振動子の間に数パーセントの共振周波数のずれが生じる。このような状態では、完全に共振周波数が等しい場合に比較し、検出時の振動子の振動が大きくなり、検出対象に対する振動の影響を低減させるという効果が低下する。
また、実施の形態1で例示した振動測定部105では、レーザーを用いた変位計を用いており、振動を検出するためのレーザー光の照射により、振動子の温度が上昇し、振動子の共振周波数が変化する場合がある。このような状態では、同じ共振周波数を有する2つの振動子を用いても、変位を測定する際に共振周波数が異なってしまうという問題が発生する。
これらの問題に対し、本実施の形態2では、図3に示すように、2つの振動子の少なくとも一方の共振周波数を制御する共振周波数制御部301を備えるようにした。図3は、本実施の形態におけるメカニカル検出器の構成を示す斜視図であり、共振周波数制御部301以外の構成は、前述した実施の形態1と同様である。
共振周波数制御部301は、例えば、レーザーであり、振動子101および振動子102に、これらの間の位相が半周期ずれた反対称振動状態となる周波数の振動を加えた検出状態において、共振周波数制御部301よりレーザー光を振動子102に照射する。レーザー光の照射は、振動子102の共振周波数が振動子101より高い場合に行い、レーザー光の照射により、振動子102を熱膨張させる。
両端が固定されている振動子102は、熱膨張することで圧縮歪が加わり共振周波数が低下する。これにより、検出時における2つの振動子の共振周波数を等しくし、検出対象となる物質109への振動の影響が無視できるまで、検出時における振動子101および振動子102の振動を減少させることが可能となる。
一方、もともと振動子101の共振周波数が振動子102より高い場合には、検出に用いている振動測定部105のレーザー光出力の強度を増加させるか、あるいは、共振周波数制御部301によるレーザー光を振動子101に照射すればよい。このようにして振動子101を加熱し、熱膨張させれば、上述同様に振動子101の共振周波数が低下するので、2つの振動子の共振周波数が等しくなるよう調整することが可能である。
なお、上述では、レーザー照射によって熱膨張を行う例を示したがこれに限るものではない。振動子の共振周波数の制御は、振動子を加熱すればよく、例えば、振動子に抵抗を有する配線を形成し、この抵抗配線に電流を流すことにより振動子の温度を上昇させるようにしてもよい。共振周波数制御手段としては、振動子の温度を上昇させるあらゆる手法を用いることができる点はいうまでもない。
[実施の形態3]
次に、本発明の実施の形態3について説明する。実施の形態1および実施の形態2においては、振動子の振動の検出ならびに共振周波数の調整にレーザー光を用いている。しかしながら、レーザー光自体は、光の照射に対して敏感な検出対象に影響を与える。またドップラー干渉計などの光学系は大きな空間を必要とするため、メカニカル検出器の微細化には不適である。これらの問題点は、以下に示す本実施の形態3における、電気的な振動の検出ならびに共振周波数の調整が可能な機構の導入により、解決することができる。
図4は、本実施の形態3におけるメカニカル検出器の構成を示す斜視図である。このメカニカル検出器は、同一の共振周波数を有する2つの振動子401および振動子402と、振動子401および振動子402の間で互いに振動を伝播させる相互作用部403と、振動子401および振動子402の間の位相が半周期ずれた反対称振動状態となる周波数の振動を、振動子401および振動子402に同時に加える加振部404とを備える。これらの基本的な構成は、前述した実施の形態1,2と同様である。
本実施の形態では、振動子401および振動子402の少なくとも一方の変位を測定する振動測定手段、および共振周波数を制御する共振周波数制御手段として、まず、電極411,電極412,電極413,および電極414を備える。また、振動子401の共振周波数を調整するための、電極411に接続された電源421、および振動子402の共振周波数を調整するための、電極413に接続された電源422を備える。また、電極412に接続された増幅器423,および電極414に接続された増幅器424を備え、振動子401および振動子402の振動を検出可能としている。
ここで、本実施の形態において、振動子401および振動子402は、n−GaAs基板405の上に形成されたn−GaAs層406とAlGaAs層407とによるヘテロ構造を加工することで形成されたものであり、所定の間隔を開けて配置された2つの支持部の間に架設された梁構造体である。従って、振動子401および振動子402は、n−GaAs基板405により電気的に接続された状態となっている。また、振動子401および振動子402の端部において、振動子401,402を支持している支持部の上部に突出している庇状の部分で振動子401および振動子402が連結されている。本実施の形態でも、この庇状の連結部分が、相互作用部403となる。
電極411および電極412は、振動子401を構成しているAlGaAs層407の上に形成された、金からなるショットキー電極である。また、電極413および電極414は、振動子402を構成しているAlGaAs層407の上に形成された、金からなるショットキー電極である。
なお、加振部404は、例えばPZTなどの圧電結晶膜441と、圧電結晶膜441に交流電圧を印加する交流電源442とから構成されている。加振部404では、交流電源442の出力を制御することで、圧電結晶膜441を上述した周波数で振動させる。この圧電結晶膜441に、n−GaAs基板405が接着固定されている。
本実施の形態におけるメカニカル検出器では、まず、電源421あるいは電源422を用い、接地されたn−GaAs基板405を通じ、電極411あるいは電極413と、振動子下部の、導電層となるn−GaAs層406に電圧を印加する。この電圧印加で、圧電効果により振動子401および振動子402には、梁構造の延在している方向の応力が印加され、共振周波数を変化させることができる。このようにすることで、電源421あるは電源422の電圧を調整することにより、振動子401および振動子402の共振周波数を一致させることができる。
また、振動子401および振動子402が振動すると内部に応力が発生するため、電極412あるいは電極414と、振動子下部のn−GaAs層406との間に電圧が発生する。この電圧を、電極412あるいは電極414に接続している増幅器423あるいは増幅器424により増幅すれば、振動子401あるいは振動子402の振動を電気的に検出することができる。
従って、本実施の形態3のメカニカル検出器においても、互いに振動を伝播する状態とされた2つの振動子401,402の共振周波数を、電源421,電源422により一致させると共に、2つの振動子401,402の間の位相が半周期ずれた反対称振動状態となる周波数の振動を加振部404により当該2つの振動子に同時に加え、上述した圧電効果による電気信号を検出することで、2つの振動子の少なくとも一方の変位を測定することが可能となる。
この際、AlGaAs層407はバンドギャップが大きいため、圧電材料であると同時に絶縁層として作用する。このようなヘテロ構造における圧電効果を用いた単一両持ち振動子の振動検出と周波数変調は、発明者らによって既に提案されている(特開2009−135270号公報,WO2009/041362号公報)。本実施の形態では、このような圧電効果を用いて2つの振動子の共振周波数を一致させ、反対称振動の振幅を消失させることにより振動振幅の極めて小さな検出器を得る点に特徴がある。なお、図4では簡単のために、振動子に吸着した物質は省略してあるが、本実施の形態3におけるメカニカル検出器が、振動子に吸着する物質の高感度な検出に用いることができる点はいうまでもない。
なお、上述では、圧電材料としてGaAsおよびAlGaAsからなる単一ヘテロ構造を用いたが、これらと同様に圧電性を有するあらゆる材料が利用可能であることはいうまでもない。また、本実施の形態では、圧電効果を用いて共振周波数の調整ならびに振動の検出を行う例を示したが、振動子の外部に電極を設け、この電極と振動子の間にかけた電圧あるいは発生した電圧を用いて共振周波数の調整ならびに振動検出を行うことも可能であることはいうまでもない。
ところで、上述では、検出する対象が吸着した物質の質量の場合を示したが、これに限るものではない。例えば、振動子における物質の吸着する位置を固定し、予め質量既知の物質を吸着させることで、吸着した物質の質量と検出結果として得られる振動子の変位状態との相関を示す検量線が作成できれば、吸着した物質の量的変化(質量の変化)を測定することができる。
また、物質の有無に限らず、振動子に加わる、加速度、磁気、電荷、変位、分子、原子などあらゆる種類の物理量や微小物質・粒子の検出を行うことができる。
また、上述では、振動子の弾性変形として「たわみ」が生じる場合を用いたが、他の弾性変形である「ねじり」、「圧縮」,および「伸張」など、あらゆる種類の弾性変形を用いても同様に、測定対象への影響が抑制されたメカニカル検出器および測定方法を得ることが可能である。
また、上述では、2つの振動子を相互作用させる相互作用手段として、2つの振動子の支持部を連結する庇状の薄膜を用いるようにしたが、振動子の中央部など任意の場所を連結するようにしても同様の効果が得られる。また、任意の箇所で連結することで、双方の振動が相互作用しあう任意の構造に対しても同様の効果が得られるようになる。また、静電力や磁気力などにより、2つの振動子を相互作用させるようにしてもよい。
また、上述では、2つの振動子を同時に加振する手段として、圧電結晶の上に2つの振動子を固定するようにしたが、これに限るものではない。例えば、静電的な力やローレンツ力、磁気相互作用や誘電効果など、2つの振動子を同時に加振するいかなる手法も利用可能であることはいうまでもない。また、上述では、2つの振動子を用いるようにしたが、これに限るものはない。3つ以上の複数の振動子を用いるようにしてもよいことはいうまでもない。3つ以上の振動子を用いる場合、隣り合う2つの振動子の間で互いに振動が伝播する(相互作用する)状態となっていればよい。
101,102…振動子、103…相互作用部、104…加振部、105…振動測定部、106…シリコン基板、107…支持部、109…物質、141…圧電結晶膜、142…交流電源。

Claims (7)

  1. 同一の共振周波数を有する2つの振動子と、
    2つの前記振動子の間で互いに振動を伝播させる相互作用手段と、
    2つの前記振動子の間の位相が半周期ずれた反対称振動状態となる周波数の振動を、2つの前記振動子に同時に加える加振手段と、
    2つの前記振動子の少なくとも一方の変位を測定する振動測定手段と
    を備えることを特徴とするメカニカル検出器。
  2. 請求項1記載のメカニカル検出器において、
    2つの前記振動子の少なくとも一方の共振周波数を制御する共振周波数制御手段を備える
    ことを特徴とするメカニカル検出器。
  3. 請求項2記載のメカニカル検出器において、
    前記共振周波数制御手段は、電圧を印加可能とされた圧電部材から構成されていることを特徴とするメカニカル検出器。
  4. 請求項3記載のメカニカル検出器において、
    前記圧電部材は、化合物半導体のヘテロ構造を有するものであることを特徴とするメカニカル検出器。
  5. 請求項2記載のメカニカル検出器において、
    前記共振周波数制御手段は、前記振動子を加熱することで共振周波数を制御することを特徴とするメカニカル検出器。
  6. 請求項2記載のメカニカル検出器において、
    前記共振周波数制御手段は、前記振動子に光を照射することで共振周波数を制御することを特徴とするメカニカル検出器。
  7. 互いに振動を伝播する状態とされた同一の共振周波数を有する2つの振動子に、2つの前記振動子の間の位相が半周期ずれた反対称振動状態となる周波数の振動を同時に加え、
    前記周波数の振動を同時に加えた状態で、2つの前記振動子の少なくとも一方の変位を測定する
    ことを特徴とする測定方法。
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