JP2011026506A - 低揮発分発泡性ポリスチレン系樹脂粒子とその製造方法、低揮発分ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子及び低揮発分ポリスチレン系樹脂発泡成形体 - Google Patents

低揮発分発泡性ポリスチレン系樹脂粒子とその製造方法、低揮発分ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子及び低揮発分ポリスチレン系樹脂発泡成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】揮発性有機化合物の含有量が少ないにもかかわらず養生をしなくても、変形、収縮の少ない低密度の発泡成形体を得ること。
【解決手段】アクリル酸エステルとスチレン系単量体との共重合体を含有する発泡性ポリスチレン系樹脂粒子であって、ATR法赤外分光分析により該樹脂粒子の表面を分析し得られた赤外スペクトルのうち、1730cm−1での吸光度D1730と1600cm−1での吸光度D1600とを求め、D1730/D1600から算出される吸光度比(A)と、該樹脂粒子の中心部を分析し吸光度D1730と吸光度D1600とを求め、D1730/D1600から算出される吸光度比(B)とが、(A)<(B)、(A)が0.05未満であり、1気圧下における沸点が50〜290℃の揮発性有機化合物の含有量が1000ppm以下である低揮発分発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
【選択図】なし

Description

本発明は、食品容器や食品梱包,家電等の緩衝材として有用なポリスチレン系樹脂発泡成形体の製造に用いる発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法に関する。更に詳しくは、揮発性の炭化水素の含有量が少なく高発泡(低密度)の成形体を製造するのに最適な低揮発分発泡性ポリスチレン系樹脂粒子とその製造方法、低揮発分ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子及び低揮発分ポリスチレン系樹脂発泡成形体に関する。
発泡剤を1〜15質量%含んだ発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を、水蒸気等により軟化点以上に加熱すると、独立気泡を有する粒子状の予備発泡粒子が得られる。この予備発泡粒子を小さな孔やスリットを有する成形型のキャビティ中に充填して、水蒸気等で内部をさらに加熱する所謂型内成形によって、予備発泡粒子を膨張させて粒子間の隙間を埋めながら互いに融着させて目的の発泡成形体が得られる。このような発泡成形体は、形状の自由性及び独立気泡による断熱性、耐水性、緩衝性などに優れることから、食品用梱包材、家電製品用緩衝材、住宅などの断熱建材として広く用いられている。その中でも建材分野では、シックハウス(室内空気汚染)に係わるとされる揮発性有機化合物の含有量が少ないことが強く求められている。
シックハウスに係わる揮発性有機化合物としては、スチレン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族有機化合物のみならず、炭素数6(1気圧下における沸点68℃)から炭素数16(同沸点287℃)までの脂肪族炭化水素、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の環式脂肪族炭化水素や、酢酸メチル、酢酸ブチル等の酢酸エステルなどが挙げられている。
昨今では、魚箱や農産物梱包材、更には家電用梱包材にまで前記揮発性有機化合物の含有量が少ないことが強く求められてきている。
しかしこれらの揮発性有機化合物は、いずれも発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の発泡成形能力を高める効果を有しており、従来から発泡剤と併用して発泡助剤として使用されている。したがって、これらの含有量を低下させると、発泡性が低下することで発泡成形体の低密度化が困難になるだけでなく、発泡成形体中の予備発泡粒子間の融着性も悪くなるために、機械的強度が低下するという問題がある。
このような問題を改善する方法として、例えば特許文献1(特開平11−106548号公報)には、分子量が22〜35万のポリスチレン粒子中に、1〜300ppmの残留スチレンモノマーと、SP値が7〜10の可塑剤と、発泡剤とを含有させた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子が提案されている。しかし、このような樹脂粒子でも、特に密度を0.014g/cm以下に高発泡させると、得られる発泡成形体は収縮し易く、満足できる強度は得られない。
また、低密度の発泡成形体を製造するには高発泡倍数の予備発泡粒子を得ることが必要であり、このために予備発泡粒子をもう一度加熱発泡(多段発泡)させるか、あるいは加圧式(高温)予備発泡機を利用する方法が知られている。しかし、通常のポリスチレン系樹脂粒子をこれら方法で予備発泡樹脂粒子としても発泡余力が小さく、成形直後の段階で収縮、変形を起こす問題があり、発泡成形体の収縮、変形を回復させる目的で、通常、約50℃で乾燥室に半日程度保管する、いわゆる養生と呼ばれる操作が行なわれている。
更に、特許文献2(特開平6−100723号公報)には、重量平均分子量(Mw)が15〜25万のポリスチレンに発泡剤としてイソブタンを含有させ、かつステアリン酸トリグリセリド等のグリセリン脂肪酸エステルを含有させることが記載されている。しかしながら、樹脂を低分子量化することで高発泡を可能としているものの、発泡成形体の強度低下を避けることはできない。
また、特許文献3(特開平10−1561号公報)には、分子量が30〜40万のポリスチレンに、ステアリン酸トリグリセリド等の高級脂肪酸多価エステル、ブタンおよびペンタンを含有させることが記載されている。この方法によれば、比較的高分子量化(30万以上)することよって強度低下を抑制できるが、発泡性の低下や発泡成形体の融着性の低下を補うため、ブタンに対するペンタンの使用割合が高く、その結果として発泡成形体の強度が低下するという問題がある。
特開平11−106548号公報 特開平6−100723号公報 特開平10−1561号公報
本発明は、以上のような問題がなく、揮発性有機化合物の含有量が少ないにもかかわらず養生をしなくても、変形、収縮の少ない低密度の発泡成形体を得ることを課題とする。
前記目的を達成するため、本発明は、アクリル酸エステルとスチレン系単量体との共重合体を含有する発泡性ポリスチレン系樹脂粒子であって、ATR法赤外分光分析により前記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面を分析し得られた赤外スペクトルのうち、1730cm−1での吸光度D1730と1600cm−1での吸光度D1600とを求め、D1730/D1600から算出される吸光度比(A)とATR法赤外分光分析により前記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の中心部を分析し得られた赤外スペクトルのうち、1730cm−1での吸光度D1730と1600cm−1での吸光度D1600とを求め、D1730/D1600から算出される吸光度比(B)とが、(A)<(B)、且つ(A)が0.05未満である関係を満たし、更に、1気圧下における沸点が50〜290℃の揮発性有機化合物の含有量が1000ppm以下であることを特徴とする低揮発分発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を提供する。
本発明の低揮発分発泡性ポリスチレン系樹脂粒子において、前記吸光度比(B)が0.20〜0.60の範囲内であることが好ましい。
また本発明は、前記低揮発分発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を嵩密度が0.0125〜0.033g/cmの範囲となるように予備発泡して得られる、1気圧下における沸点が50〜290℃の炭化水素の含有量が1000ppm以下であることを特徴とする低揮発分ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子。
また本発明は、前記低揮発分ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子を成形型内に充填して加熱、発泡させて得られる、1気圧下における沸点が50〜290℃の揮発性有機化合物の含有量が1000ppm以下であることを特徴とする低揮発分ポリスチレン系樹脂発泡成形体を提供する。
また本発明は、
(1)ポリスチレン系樹脂種粒子を水中に分散させてなる分散液中に、ポリスチレン系樹脂種粒子100質量部に対し、スチレン系単量体7.0〜80.0質量部とアクリル酸エステル系単量体2.0〜12.0質量部とを供給し、これらの単量体を種粒子に吸収、重合させてポリスチレン系樹脂粒子を成長させる第1重合工程と、
(2)次いで、該分散液中にスチレン系単量体のみを供給し、これを種粒子に吸収、重合させてポリスチレン系樹脂粒子を成長させる第2重合工程と、
(3)第2重合工程を行ってポリスチレン系樹脂粒子を製造した後、又はポリスチレン系樹脂粒子の成長途上で発泡剤を含浸させて請求項1又は2記載の低揮発分発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得る工程とを有する低揮発分発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法を提供する。
本発明によれば、少ない揮発性有機化合物の含有量で低密度のポリスチレン系樹脂発泡成形体が得られ、使用中の発泡成形体から逸散する揮発性有機化合物が少なくなり、シックハウス問題等の昨今の環境問題に十分対応できる。
更に、低密度に発泡成形した場合であっても、収縮が少ない発泡成形体が得られる。
ATR法赤外分光分析による発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の吸光度比の測定において、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面の吸光度測定位置を示す概略図である。 ATR法赤外分光分析による発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の吸光度比の測定において、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の中心部の吸光度測定位置を示す概略図である。
本発明の低揮発分発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法としては、ポリスチレン系樹脂種粒子を水中に分散させてなる分散液中に、ポリスチレン系樹脂種粒子100質量部に対し、スチレン系単量体7.0〜80.0質量部とアクリル酸エステル系単量体2.0〜12.0質量部とを供給し、これらの単量体を種粒子に吸収、重合させてポリスチレン系樹脂粒子を成長させる第1重合工程と、次いで、該分散液中にスチレン系単量体のみを供給し、これを種粒子に吸収、重合させてポリスチレン系樹脂粒子を成長させる第2重合工程と、第2重合工程を行ってポリスチレン系樹脂粒子を製造した後、又はポリスチレン系樹脂粒子の成長途上で発泡剤を含浸させる工程とを行って低揮発分発泡性ポリスチレン樹脂粒子を得ることを特徴としている。
本発明の製造方法において、ポリスチレン系樹脂種粒子(以下、種粒子と略記する)の材料であるポリスチレン系樹脂としては、スチレン又はスチレン誘導体の単独または共重合体が挙げられる。ここで、スチレン誘導体としては、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン、エチルスチレン、i−プロピルスチレン、ジメチルスチレン、ブロモスチレン等が挙げられる。更に、前記ポリスチレン系樹脂としては、前記スチレン系モノマー成分を主成分とすれば、前記スチレン系モノマーと共重合可能なビニルモノマーを併用した共重合体であってもよく、このようなビニルモノマーとしては、例えば、o−ジビニルベンゼン、m−ジビニルベンゼン、p−ジビニルベンゼン等のジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、下記式1で示したポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート等の多官能性モノマー;α−メチルスチレン、(メタ)アクリロニトリル、メチル(メタ)アクリレート等が挙げられ、多官能性モノマーが好ましく、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、nが4〜16のポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼンがより好ましく、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレートが特に好ましい。なお、前記スチレンと共重合可能なモノマーは単独で用いられても併用されてもよい。
また、種粒子は一部、または全部にポリスチレン系樹脂回収品を用いることができる。更に種粒子の粒径は作成する発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の平均粒子径等に応じて適宜調整でき、例えば平均粒子径が1.0mmの発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を作成する場合には平均粒子径が0.4〜0.7mm程度の種粒子を用いることが好ましい。更に種粒子の重量平均分子量は特に限定されないが15万〜70万が好ましく、更に好ましくは20万〜50万である。
本発明の製造方法に使用するスチレン系単量体としては、スチレン、またはスチレン誘導体が挙げられる。ここで、スチレン誘導体としては、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン、エチルスチレン、i−プロピルスチレン、ジメチルスチレン、ブロモスチレン等が挙げられるが、これらの中でもスチレンが好ましい。
本発明の製造方法に使用するアクリル酸エステル系単量体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ペンチル、アクリル酸エチルヘキシル、アクリル酸ヘキシル等が挙げられ、これらの中でもアクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸エチルヘキシルが好ましい。
第1重合工程に用いられるスチレン系単量体の量は、種粒子100質量部に対して、7.0〜80.0質量部の範囲とする。7.0質量部未満の場合は成形時の耐熱性が低下し、80.0質量部を超えると発泡性が低下する。
また、第1重合工程で使用するアクリル酸エステル系単量体の量は、種粒子100質量部に対して2.0〜12.0質量部とする。2.0質量部未満では発泡性に劣り、12.0質量部を超えると成形品の強度が低下する。
本発明において発泡性ポリスチレン系樹脂粒子中に含有させる発泡剤は、従来からポリスチレン系樹脂の発泡に用いられているものであれば、特に限定されず、例えばイソブタン、n−ブタン、イソペンタン、ネオペンタン等の炭素数5以下の脂肪族炭化水素等の揮発性発泡剤(物理型発泡剤)が挙げられ、ブタン系発泡剤が好ましい。
更に、前記物理型発泡剤の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子中における含有量は、少ないと、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子から低密度のポリスチレン系樹脂発泡成形体を得ることができないと共に成形時の二次発泡力を高める効果が得られないためにポリスチレン系樹脂発泡成形体の外観性が低下し、又、多いと、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を用いたポリスチレン系樹脂発泡成形体の製造工程における冷却工程に要する時間が長くなって生産性が低下するので、2.5〜10.0質量%に限定され、2.7〜9.0質量%が好ましい。
なお、前記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子中における発泡剤の含有量は、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を150℃の熱分解炉に入れ、この熱分解炉で発生した炭化水素量をガスクロマトグラフにて測定することができる。
また、前記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子には極少量の発泡助剤も含有されるが、この発泡助剤としては、従来から発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に用いられているものであれば、特に限定されず、例えば、スチレン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族有機化合物、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の環式脂肪族炭化水素、酢酸エチル、酢酸ブチル等の一気圧下における沸点が200℃以下の溶剤が挙げられる。
なお、前記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子中における発泡助剤の含有量は、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子をジメチルホルムアミドに溶解させると共に内部標準液としてシクロペンタノールを加えてガスクロマトグラフにて測定することができる。
更に、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子には、加熱発泡時に用いられる水蒸気の圧力が低くても良好な発泡成形性を維持させるために、一気圧下における沸点が200℃を超える可塑剤、例えば、フタル酸エステル、グリセリンジアセトモノラウレート、グリセリントリステアレート、グリセリンジアセトモノステアレート等のグリセリン脂肪酸エステル、ジイソブチルアジペート等のアジピン酸エステル、ヤシ油等の可塑剤が2.0重量%未満含有されていてもよい。
なお、前記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子には、物性を損なわない範囲内において、結合防止剤、気泡調整剤、架橋剤、充填剤、難燃剤、難燃助剤、滑剤、着色剤等の添加剤を添加してもよく、又、ジンクステアレート等の粉末状金属石鹸類を前記発泡性スチレン樹脂粒子の表面に塗布しておけば、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の予備発泡工程においてポリスチレン系樹脂予備発泡粒子同士の結合を減少させることができて好ましい。
前記の難燃剤としては、ポリスチレン系樹脂粒子中に含浸させる条件下において他の媒体に溶解させない状態で存在した場合に粉末状であれば、特に限定されず、ヘキサブロモシクロドデカン、テトラブロモシクロオクタン、テトラブロモブタン、ヘキサブロモシクロヘキサンなどの臭素化脂肪族炭化水素系化合物、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールF、2,4,6−トリブロモフェノールなどの臭素化フェノール類、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ジグリシジルエーテルなどの臭素化フェノール誘導体などが挙げられ、臭素化脂肪族炭化水素系化合物が好ましく、テトラブロモシクロオクタン(以下、TBCOと記す。)がより好ましい。
本発明の製造方法で使用する重合開始剤としては、従来からスチレン系モノマーの重合に用いられているものであれば、特に限定されず、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ラウリルパーオキサイド、t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−t−ブチルパーオキシブタン、t−ブチルパーオキシ−3、3、5−トリメチルヘキサノエート、ジーt−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート等の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル等のアゾ化合物等が挙げられ、得られるポリスチレン系樹脂のZ平均分子量Mzや重量平均分子量Mwを調整して残存モノマーを低減させるために、10時間の半減期を得るための分解温度が80〜120℃にある異なった二種以上の重合開始剤を併用することが好ましい。なお、前記重合開始剤は単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
更に、本発明の製造方法において、スチレン系単量体の小滴及び種粒子を水性媒体中に分散させる為に用いられる懸濁安定剤としては、従来からスチレン系モノマーの懸濁重合に用いられているものであれば、特に限定されず、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子、第三リン酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウム等の難溶性無機化合物等が挙げられる。 そして、前記懸濁安定剤として難溶性無機化合物を用いる場合には、アニオン界面活性剤を併用するのが好ましく、このようなアニオン界面活性剤としては、例えば、脂肪酸石鹸、N−アシルアミノ酸またはその塩、アルキルエーテルカルボン酸塩などのカルボン酸塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキルナフタレンスルフォン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸エステル塩、アルキルスルホ酢酸塩、α−オレフィンスルフォン酸塩等のスルフォン酸塩;高級アルコール硫酸エステル塩、第二級高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩等の硫酸エステル塩;アルキルエーテルリン酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩等のリン酸エステル塩等が挙げられる。
前記ポリスチレン系樹脂粒子は球状であるのが好ましく、該樹脂粒子の粒径は、成形型内への充填性等を考慮すると、0.3〜2.0mmが好ましく、0.3〜1.4mmがより好ましい。
なお、前記ポリスチレン系樹脂粒子に発泡剤及び発泡助剤を含浸させる際の温度は、低いと、ポリスチレン系樹脂粒子に発泡剤及び発泡助剤を含浸させるのに要する時間が長くなって生産効率が低下することがあり、又、高いと、ポリスチレン系樹脂粒子同士が融着して結合粒が発生することがあるので、60〜120℃が好ましく、70〜100℃がより好ましい。
次に、前記製造方法で得られた本発明に係る低揮発分発泡性ポリスチレン系樹脂粒子について説明する。
本発明の低揮発分発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、スチレン単量体とアクリル酸エステル系単量体との共重合体を含有し、
ATR法赤外分光分析により前記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面を分析し得られた赤外スペクトルのうち、1730cm−1での吸光度D1730と1600cm−1での吸光度D1600とを求め、D1730/D1600から算出される吸光度比(A)とATR法赤外分光分析により前記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の中心部を分析し得られた赤外スペクトルのうち、1730cm−1での吸光度D1730と1600cm−1での吸光度D1600とを求め、D1730/D1600から算出される吸光度比(B)とが、(A)<(B)であり、且つ(A)が0.05未満である関係を満たし、更に、1気圧下における沸点が50〜290℃の揮発性有機化合物の含有量が1000ppm以下であることを特徴としている。
ATR法赤外分光分析とは、全反射吸収を利用する1回反射型ATR法により赤外吸収スペクトルを測定する分析方法である。
この分析方法は、高い屈折率を持つATRプリズムを試料に密着させ、ATRプリズムを通して赤外線を試料に照射し、ATRプリズムからの出射光を分光分析する方法である。ATR法赤外分光分析は、試料とATRプリズムを密着させるだけでスペクトルを測定できるという簡便さ、深さ数μmまでの表面分析が可能である等の理由で高分子材料等の有機物をはじめ、種々の物質の表面分析に広く利用されている。
本発明では、ATR法赤外分光分析により、低揮発分発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面と中心部とを分析し、得られた赤外吸収スペクトルのうち、1730cm−1での吸光度D1730と1600cm−1での吸光度D1600とを求める。そして前記各吸光度の値から樹脂粒子の表面の吸光度比(A)と粒子の中心部の吸光度比(B)とを算出する。
なお、赤外吸収スペクトルから得られる1600cm−1での吸光度D1600は、ポリスチレン系樹脂に含まれるベンゼン環の面内振動に由来する1600cm−1付近に現れるピーク高さをいう。
また、赤外吸収スペクトルから得られる1730cm−1での吸光度D1730は、アクリル酸エステル系樹脂に含まれるエステル基C=0間の伸縮振動に由来する1730cm−1付近に現れるピーク高さをいう。
また表面の吸光度比は、図1に示すように低揮発分発泡性ポリスチレン系樹脂粒子1の表面AについてATR法赤外分光分析により測定して求めた値であり、また中心部の吸光度比は、図2に示すように低揮発分発泡性ポリスチレン系樹脂粒子1をその中心を通って切断した断面の中心部BについてATR法赤外分光分析により測定して求めた値である。
本発明の低揮発分発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、前述したように算出された樹脂粒子の表面の吸光度比(A)と樹脂粒子の中心部の吸光度比(B)とが、(A)<(B)であり、且つ(A)が0.05未満である、との関係を満たすことを特徴としている。
即ち、本発明の低揮発分発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、粒子の直径方向において、含有されているスチレン−アクリル酸エステル共重合体成分の割合が、中心部で濃度が高く、表層側で低濃度となる。
本発明の低揮発分発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、前述したようにスチレン−アクリル酸エステル共重合体成分の分布構造を有していることから、発泡助剤の含有量が少なくても発泡性能が高く、低密度の発泡成形体が得られる。樹脂粒子の表面の吸光度比(A)と樹脂粒子の中心部の吸光度比(B)との関係((A)<(B))を満たさない場合は、得られる発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の発泡性能が劣り、低密度の発泡成形体が得にくくなる。
前記表面の吸光度比(A)は、0.05未満であり、0.04未満がより好ましい。表面の吸光度比(A)が0.05を超えると、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表層側でスチレン−アクリル酸エステル共重合体成分が高くなることから、高発泡倍数(低密度)の予備発泡粒子及び発泡成形体の製造は可能であるが、高発泡倍数で予備発泡した場合に発泡粒子の結合が多くなり生産性が低下するため好ましくない。
前記中心部の吸光度比(B)は0.20〜0.60の範囲が好ましく、更に好ましくは0.30〜0.60の範囲である。中心部の吸光度比(B)が0.20未満であると発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の発泡性能が劣り、揮発成分を多く使用する必要がある。また中心部の吸光度比(B)が0.60を超えると成形時に収縮が大きくなりやすく、発泡成形体の強度が低下する。
本発明の低揮発分発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、1気圧下における沸点が50〜290℃の揮発性有機化合物の含有量が1000ppm以下である。ここで「沸点が50〜290℃の揮発性有機化合物」とは、例えば、スチレン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素や、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の環式脂肪族炭化水素、等の有機化合物が挙げられる。
なお、本発明における揮発性有機化合物の含有量は、以下に示した2種類の測定方法(1)、(2)によって得られた値を合計して得ることができる。
<揮発性有機化合物の含有量の測定>
(1)炭素数6以上の揮発性有機化合物であって、ガスクロマトグラムに現れるスチレンのピークまでの有機化合物の測定
試料をDMF(ジメチルホルムアミド)に溶解し、内部標準液(シクロペンタノール)を加えてガスクロマトグラフィーにて測定した。ただし、特定できないピークについてはトルエンの検出量に換算して定量した。
ガスクロマトグラフィー:島津製作所(株)製 GC−14A
カラム:PEG−20M PT25% 60/80(2.5m)
測定条件:カラム温度 105℃
検出器温度 220℃
(2)ガスクロマトグラムに現れるスチレンの次のピークから炭素数16までの揮発性有機化合物の測定
試料をメチルエチルケトン(MEK)に溶解し、内部標準液(エイコサン)を加えてガスクロマトグラフィーにて測定した。ただし特定できないピークについてはトルエンの検出量に換算して定量した。
ガスクロマトグラフィー:島津製作所(株)製 GC−17A
カラム:J&W scientific社製 DB−1(60m×0.32mmi.d. df=1.0μm)
測定条件:カラム温度[40℃で1分保持した後、4℃/分で280℃まで昇温]FID温度:280℃、キャリアガス He
本発明の低揮発分発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、前述した揮発性有機化合物の含有量が1000ppm以下であるので、これを予備発泡し、得られた予備発泡粒子を型内発泡成形して得られる発泡成形体は、揮発性有機化合物の揮発量が少なくなり、シックハウス(室内空気汚染)に係わる揮発性有機化合物の含有量低減が強く求められている住宅用断熱建材等の建材分野においても安心して使用可能な低揮発分ポリスチレン系樹脂発泡成形体を提供することができる。なお、本発明の低揮発分ポリスチレン系樹脂発泡成形体の用途は、前記建材分野に限定されるものではなく、魚箱などの食品用梱包材や家電製品用緩衝材などの各種分野においても適用可能であることは言うまでもない。
揮発性有機化合物の含有量が1000ppmを超えると、発泡成形体から放散される揮発性有機化合物が多くなり好ましくない。
本発明の低揮発分発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、前述した本発明に係る製造方法により効率良く製造することができるが、製造方法はそれに限定されない。
本発明の低揮発分発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、ポリスチレン系樹脂発泡成形体の製造において周知の手法に従って予備発泡して低揮発分ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子とし、更にこの予備発泡粒子を成形型のキャビティー内に充填し、加熱して型内発泡成形することにより、低揮発分ポリスチレン系樹脂発泡成形品を製造するために用いられる。
本発明の低揮発分ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子は、製造するべき発泡成形体の密度と同等の嵩密度となるように予備発泡される。本発明の低揮発分ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子において、その嵩密度は特に限定されないが、0.0125〜0.033g/cmの範囲とすることが好ましく、0.014〜0.025g/cmの範囲が好ましい。
なお、本発明において低揮発分ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子の嵩密度とは、JIS K6911:1995年「熱硬化性プラスチック一般試験方法」に準拠して測定されたものをいう。
<予備発泡粒子の嵩密度>
先ず、低揮発分ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子を測定試料としてWg採取し、この測定試料をメスシリンダー内に自然落下させ、メスシリンダー内に落下させた測定試料の体積VcmをJIS K6911に準拠した見掛け密度測定器を用いて測定し、下記式に基づいてポリスチレン系樹脂予備発泡粒子の嵩密度を測定する。
嵩密度(g/cm)=測定試料の質量(W)/測定試料の体積(V)
また、前記低揮発分ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子を型内発泡成形して得られた、本発明の低揮発分ポリスチレン系樹脂発泡成形体は、0.0125〜0.033g/cmの範囲の密度であることが好ましく、0.014〜0.025g/cmの範囲が好ましい。
なお、本発明において低揮発分ポリスチレン系樹脂発泡成形体の密度とは、JIS K7122:1999「発泡プラスチック及びゴム−見掛け密度の測定」記載の方法で測定した密度のことである。
<発泡成形体の密度>
50cm以上(半硬質および軟質材料の場合は100cm以上)の試験片を材料の元のセル構造を変えない様に切断し、その質量を測定し、次式により算出した。
密度(g/cm)=試験片質量(g)/試験片体積(cm
試験片状態調節、測定用試験片は、成形後72時間以上経過した試料から切り取り、23℃±2℃×50%±5%または27℃±2℃×65%±5%の雰囲気条件に16時間以上放置したものである。
以下、実施例によって本発明の具体例を示すが、以下の実施例は本発明の例示にすぎず、本発明は以下の実施例のみに限定されない。また、以下の実施例、比較例において、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の吸光度比の結果は、発泡剤含浸前のポリスチレン系樹脂粒子の吸光度比の結果と同様であった。
以下の実施例、比較例において、揮発性有機化合物の含有量の測定は、前述した<揮発性有機化合物の含有量の測定>の通り行った。
ポリスチレン系樹脂粒子の吸光度比、発泡成形体の曲げ強度、発泡成形体の外観及び総合評価は、次の測定方法及び評価基準により測定・評価した。
<吸光度比の測定>
吸光度比(D1730/D1600)は下記の要領で測定される。
即ち、無作為に選択した10個の各樹脂粒子の表面(図1中の符号A)、及び粒子を中心を通って切断した断面の中心部(図2中の符号B)について、ATR法赤外分光分析により粒子表面分析を行って赤外線吸収スペクトルを得る。
各赤外線吸収スペクトルから吸光度比(D1730/D1600)をそれぞれ算出し、表面Aに付いて算出した吸光度比の相加平均を吸光度比(A)とし、中心部Bについて算出した吸光度比の相加平均を吸光度比(B)とする。
吸光度D1730及び、D1600は、たとえばNicolet社から商品名「フーリエ変換赤外分光分析計 MAGMA560」で販売されている測定装置を用いて測定する。
尚、赤外吸収スペクトルから得られる1600cm−1での吸光度D1600は、ポリスチレン系樹脂に含まれるベンゼン環の面内振動に由来する1600cm−1付近に現れるピークの高さをいう。
また、赤外吸収スペクトルから得られる1730cm−1での吸光度D1730は、アクリル酸エステルに含まれるエステル基のC=0間の伸縮振動に由来する1730cm−1付近に現れるピークの高さをいう。
<発泡成形体の曲げ強度>
得られた発泡成形体について、JIS A9511:2006「発泡プラスチックス保温材」記載の方法に準じて曲げ強度を測定した。
即ち、テンシロン万能試験機UCT−10T(オリエンテック社製)を用い、試験体サイズは75mm×300mm×30mmとし、圧縮速度を10mm/min、先端治具は加圧くさび10R、支持台10Rで、支点間距離200mmの条件として測定し、次式にて曲げ強度を算出した。試験片の数は3個としその平均値を求めた。
曲げ強度(MPa)=3FL/2bh
(ここで、Fは曲げ最大荷重(N)を表し、Lは支点間距離(mm)、bは試験片の幅(mm)、hは試験片の厚み(mm)を表す。)
曲げ強度が0.30MPa以上を○(良好)とし、0.30MPa未満を×(不良)として評価した。
<発泡成形体の外観>
発泡嵩密度0.0167g/cmの予備発泡粒子をゲージ圧0.07MPaの水蒸気で加熱成形し、成形後に温度23℃、湿度50%で24時間放置して、密度0.0167g/cmの発泡成形体を得た。
本発明において、発泡成形体の外観(成形後24時間放置)に収縮が見られなかった場合を○(良好)とし、収縮が見られた場合を×(不良)として評価した。
<総合評価>
前記<発泡成形体の曲げ強度>及び<発泡成形体の外観>の各試験・評価項目において、全ての評価が○(良好)であった場合を◎(良好)とし、一つでも×(不良)があった場合を×(不良)として総合評価した。
[実施例1]
(種粒子の製造)
内容量100リットルの攪拌機付き重合容器に、水40000質量部、懸濁安定剤として第三リン酸カルシウム100質量部及びアニオン界面活性剤としてドデシルベンゼンスルフォン酸カルシウム2.0質量部を供給し攪拌しながらスチレンモノマー40000質量部並びに重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド96.0質量部及びt−ブチルパーオキシベンゾエート28.0質量部を添加した上で90℃に昇温して重合した。そして、この温度で6時間保持し、更に、125℃に昇温してから2時間後に冷却してポリスチレン系樹脂粒子(a)を得た。
前記ポリスチレン系樹脂粒子(a)を篩分けし、種粒子として粒子径0.5〜0.71mmのポリスチレン系樹脂粒子(b)を得た。
次に、内容量5リットルの攪拌機付き重合容器内に、水2000質量部、前記ポリスチレン系樹脂粒子(b)500重量部、懸濁安定剤としてピロリン酸マグネシウム6.0重量部及びアニオン界面活性剤としてドデシルベンゼンスルフォン酸カルシウム0.3重量部を供給して攪拌しながら72℃に昇温した。
(第1重合工程)
次に、重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド4.5質量部及びt−ブチルパーオキシベンゾエート1.1質量部をスチレンモノマー190質量部、アクリル酸ブチル30質量部の混合液に溶解させたものを前記5リットルの重合容器に供給してから、72℃で60分保持した。
(第2重合工程)
60分経過後に反応液を110℃まで150分で昇温しつつ、且つスチレンモノマー1280gを150分で重合容器内にポンプで一定量づつ供給した上で、120℃に昇温して2時間経過後に冷却し、ポリスチレン系樹脂粒子(c)を得た。
得られたポリスチレン系樹脂粒子(c)について、下記<吸光度比の測定>によって樹脂粒子の表面の吸光度比(A)と中心部の吸光度比(B)とを測定した。
その結果を表1に示す。また得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子についても、前記<吸光度比の測定>により吸光度比を測定することができる。
(発泡剤含浸)
続いて、別の内容量5リットルの攪拌機付き重合容器に、水2200重量部、ポリスチレン系樹脂粒子(c)1800質量部、懸濁安定剤としてピロリン酸マグネシウム6.0質量部及びドデシルベンゼンスルフォン酸カルシウム0.4質量部を供給して攪拌しながら70℃に昇温した。次に可塑剤としてジイソブチルアジペート7.2重量部を重合容器内に入れて密閉し100℃に昇温した。 次に、発泡剤としてn−ブタン160重量部をポリスチレン系樹脂粒子(c)が入った重合容器内に圧入して3時間保持した後、30℃以下まで冷却した上で重合容器内から取り出し乾燥させた上で13℃の恒温室内に5日間放置して発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得た。
この発泡性ポリスチレン系樹脂粒子中の揮発性有機化合物の含有量を前記測定方法により測定した。
(予備発泡)
続いて、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面に表面処理剤としてジンクステアレート及びヒドロキシステアリン酸トリグリセリドを被覆処理した上で予備発泡装置にて嵩密度0.0167g/cmに予備発泡した後に20℃で24時間熟成してポリスチレン系樹脂予備発泡粒子を得た。
(発泡成形体の製造)
そして、内寸300mm×400mm×30mmの直方体形状のキャビティを有する成形型を備えた発泡ビーズ自動成形機(積水工機製作所社製 商品名「エース3型」)のキャビティ内に前記ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子を充填し、ゲージ圧0.07Mpaの水蒸気で15秒間加熱成形を行った。次に、前記成形型のキャビティ内の発泡体を5秒間水冷した後、減圧下にて放冷(冷却工程)して、密度0.0167g/cmのポリスチレン系樹脂発泡成形体を得た。
成形後25℃で24時間放置し、成形体の外観及び曲げ強度を測定した。
[実施例2]
第1重合工程において使用するスチレンモノマーを45.0質量部、アクリル酸ブチル50質量部の混合液とし、更に第2重号工程に使用するスチレンモノマーを1405質量部とした以外は実施例1と同様にしてポリスチレン系樹脂発泡成形体を得た。
[実施例3]
第1重合工程において使用するスチレンモノマーを380質量部、アクリル酸ブチル15.0質量部の混合液とし、更に第2重合工程で使用するスチレンモノマーを1105質量部とした以外は実施例1と同様にしてポリスチレン系樹脂発泡成形体を得た。
[実施例4]
第1重合工程において使用するアクリル酸エステルをアクリル酸2エチルヘキシルとした以外は実施例1と同様にしてポリスチレン系樹脂発泡成形体を得た。
[実施例5]
第3工程において、難燃剤としてテトラブロモシクロオクタンを1.0質量%使用する以外は実施例1と同様にしてポリスチレン系樹脂発泡成形体を得た。
[比較例1]
第1重合工程でアクリル酸ブチルを使用せず、スチレンモノマーを220質量部のみ使用した以外は実施例1と同様にしてポリスチレン系樹脂発泡成形体を得た。
[比較例2]
第1重合工程において使用するスチレンモノマーを25.0質量部、アクリル酸ブチル70.0質量部の混合液とし、第2重合工程で使用するスチレンモノマー1405質量部とした以外は実施例1と同様にしてポリスチレン系樹脂発泡成形体を得た。
[比較例3]
第1重合工程において使用するスチレンモノマーを425質量部、アクリル酸ブチル7.5質量部の混合液とし、加えて第2重合工程で使用するスチレンモノマーを1070質量部とした以外は実施例1と同様にしてポリスチレン系樹脂発泡成形体を得た。
前記実施例1〜5、比較例1〜3の製造条件の概要と、各試験・評価結果を表1,2にまとめて記す。
Figure 2011026506
Figure 2011026506
表1,2の結果より、本発明に係る実施例1〜5で得られた発泡成形体は、吸光度比(A)と(B)とが、(A)<(B)、且つ(A)が0.05未満である関係を満たしたものなので、揮発性有機化合物の含有量が1000ppm以下であっても、比較例1〜3で得られた発泡成形体と比べ、曲げ強度が高く、また収縮がないことから外観に優れていた。
一方、アクリル酸エステルを使用していない比較例1、吸光度比(A)が0.06と本発明の範囲(0.05未満)を超えた比較例2、及び吸光度比(A)が(B)よりも大きくなって本発明の条件((A)<(B))となっていない比較例3で得られた発泡成形体は、いずれも曲げ強度が低く、また収縮が大きくなって外観が劣るものとなった。
本発明によれば、少ない揮発性有機化合物の含有量で低密度のポリスチレン系樹脂発泡成形体が得られ、使用中の発泡成形体から逸散する揮発性有機化合物が少なくなり、シックハウス問題等の昨今の環境問題に十分対応できる。更に、低密度に発泡成形した場合であっても、収縮が少ない発泡成形体が得られる。
1…低揮発分発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、A…表面、B…中心部。

Claims (5)

  1. アクリル酸エステルとスチレン系単量体との共重合体を含有する発泡性ポリスチレン系樹脂粒子であって、ATR法赤外分光分析により前記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面を分析し得られた赤外スペクトルのうち、1730cm−1での吸光度D1730と1600cm−1での吸光度D1600とを求め、D1730/D1600から算出される吸光度比(A)とATR法赤外分光分析により前記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の中心部を分析し得られた赤外スペクトルのうち、1730cm−1での吸光度D1730と1600cm−1での吸光度D1600とを求め、D1730/D1600から算出される吸光度比(B)とが、(A)<(B)、且つ(A)が0.05未満である関係を満たし、更に、1気圧下における沸点が50〜290℃の揮発性有機化合物の含有量が1000ppm以下であることを特徴とする低揮発分発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
  2. 吸光度比(B)が0.20〜0.60の範囲内である請求項1に記載の低揮発分発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
  3. 請求項1又は2記載の低揮発分発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を嵩密度が0.0125〜0.033g/cmの範囲となるように予備発泡して得られる、1気圧下における沸点が50〜290℃の炭化水素の含有量が1000ppm以下であることを特徴とする低揮発分ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子。
  4. 請求項3記載の低揮発分ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子を成形型内に充填して加熱、発泡させて得られる1気圧下における沸点が50〜290℃の揮発性有機化合物の含有量が1000ppm以下であることを特徴とする低揮発分ポリスチレン系樹脂発泡成形体。
  5. (1)ポリスチレン系樹脂種粒子を水中に分散させてなる分散液中に、ポリスチレン系樹脂種粒子100質量部に対し、スチレン系単量体7.0〜80.0質量部とアクリル酸エステル系単量体2.0〜12.0質量部とを供給し、これらの単量体を種粒子に吸収、重合させてポリスチレン系樹脂粒子を成長させる第1重合工程と、
    (2)次いで、該分散液中にスチレン系単量体のみを供給し、これを種粒子に吸収、重合させてポリスチレン系樹脂粒子を成長させる第2重合工程と、
    (3)第2重合工程を行ってポリスチレン系樹脂粒子を製造した後、又はポリスチレン系樹脂粒子の成長途上で発泡剤を含浸させて請求項1又は2記載の低揮発分発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得る工程とを有する低揮発分発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法。
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