JP2011026284A - (メタ)アクロレインまたは(メタ)アクリル酸の製造方法 - Google Patents

(メタ)アクロレインまたは(メタ)アクリル酸の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2011026284A
JP2011026284A JP2009176614A JP2009176614A JP2011026284A JP 2011026284 A JP2011026284 A JP 2011026284A JP 2009176614 A JP2009176614 A JP 2009176614A JP 2009176614 A JP2009176614 A JP 2009176614A JP 2011026284 A JP2011026284 A JP 2011026284A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
raw material
reaction
isobutylene
meth
supply amount
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2009176614A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5479803B2 (ja
Inventor
Takuro Watanabe
拓朗 渡邉
Mieharu Sugiyama
美栄治 杉山
Masahide Kondo
正英 近藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Rayon Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Rayon Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Rayon Co Ltd filed Critical Mitsubishi Rayon Co Ltd
Priority to JP2009176614A priority Critical patent/JP5479803B2/ja
Publication of JP2011026284A publication Critical patent/JP2011026284A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5479803B2 publication Critical patent/JP5479803B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Abstract

【課題】気相接触酸化反応をスタートアップする際のホットスポットの温度を十分に抑制し、短時間でスタートアップを行うことができる(メタ)アクロレインまたは(メタ)アクリル酸の製造方法の提供。
【解決手段】触媒が充填された反応管を備えた反応器を用い、プロピレン、イソブチレン、TBAおよびMTBEからなる群より選ばれた少なくとも1種を反応原料として含む原料ガスを反応管に供給し、酸素含有ガスとの気相接触酸化反応を行うに際して、下記条件(1)、(2)を満たすように反応原料の供給量を段階的に増やして定常運転に移行させる。反応原料の供給量が、(1)定常運転時における供給量の10〜60%のときに、プロピレンおよび/またはイソブチレンの平均転化率が100〜98%であり、(2)定常運転時における供給量の90〜100%のときに、プロピレンおよび/またはイソブチレンの平均転化率が97%以下である。
【選択図】なし

Description

本発明は、(メタ)アクロレインまたは(メタ)アクリル酸の製造方法に関する。
(メタ)アクロレインまたは(メタ)アクリル酸は、プロピレン、イソブチレン、第三級ブチルアルコール(TBA)、またはメチル第三級ブチルエーテル(MTBE)(以下、これらをまとめて「反応原料」ともいう。)の気相接触酸化反応により製造される。該気相接触酸化反応に使用される触媒について、これまで数多くの提案がなされている。これらの提案は、主として触媒を構成する元素やその比率に関するものであった。
ところで、気相接触酸化反応(以下、単に「酸化反応」という。)は発熱反応であるため、触媒層で蓄熱が起こる。蓄熱の結果生じる局所的高温帯域はホットスポットと呼ばれ、この部分の温度が高すぎると過度の酸化反応を生じるので目的生成物の収率は低下する。このため、酸化反応の工業的実施において、ホットスポットの温度抑制は重大な問題である。特に生産性を上げるために原料ガス中における反応原料の濃度を高める場合や、酸化反応をスタートアップする際に、ホットスポットの温度が高くなる傾向にある。中でもスタートアップ中にホットスポットの温度が過度に上昇すると、触媒の暴走反応が起こる場合があり、反応条件やスタートアップ時間に関して大きな制約を強いられる。
従って、スタートアップ中のホットスポットの温度を抑制することは、工業的に高収率で(メタ)アタクロレインや(メタ)アクリル酸を生産する上で非常に重要である。
スタートアップ中のホットスポットの温度を抑制する方法として、これまでにいくつかの提案がなされている。例えば、特許文献1には、多管式反応器を使用して、プロピレンを気相接触酸化してアクロレインを製造する方法において、反応のスタートアップに際して、反応器への原料の単位時間当たりの供給量が、原料の単位時間当たりの許容最大供給量の30%以上に達してから、少なくとも20時間以上原料の単位時間当たりの供給量を許容最大供給量の30%以上80%未満に保つ方法が開示されている。
また、特許文献2には、固定酸化触媒が充填された反応器の触媒層に、イソブチレンおよび/またはTBAを4〜9容量%含む原料ガスを流通させる前に、前記触媒層に、酸素、窒素および水蒸気を含み、かつイソブチレンおよびTBAが0〜0.5容量%のガスを流通させながら250〜400℃の範囲まで昇温し、次いでイソブチレンおよび/またはTBAを1〜3.8容量%、酸素を7〜16容量%および水蒸気を5〜50容量%含むガスを250〜400℃で1時間以上流通させる方法が開示されている。
特開2005−336085号公報 特開2002−356450号公報
しかしながら、特許文献1、2に記載された方法では、スタートアップ中のホットスポットの温度を抑制する効果が必ずしも十分ではなく、加えてスタートアップに長時間を費やすことがあった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、気相接触酸化反応をスタートアップする際のホットスポットの温度を十分に抑制し、短時間でスタートアップを行うことができる(メタ)アクロレインまたは(メタ)アクリル酸の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の(メタ)アクロレインまたは(メタ)アクリル酸の製造方法は、少なくともモリブデンおよびビスマスを触媒成分として含む固体酸化触媒が充填され触媒層が形成された反応管を備えた固定床管型反応器を用い、プロピレン、イソブチレン、第三級ブチルアルコール、およびメチル第三級ブチルエーテルからなる群より選ばれた少なくとも1種を反応原料として含む原料ガスを前記反応管に供給し、酸素含有ガスとの気相接触酸化反応により(メタ)アクロレインまたは(メタ)アクリル酸を製造する方法において、前記原料ガスの供給開始から定常運転に移行するまでの間に、下記条件(1)および(2)を満たすように反応原料の供給量を段階的に増やし、その後、定常運転を行うことを特徴とする。
(1)反応原料の供給量が、定常運転時における供給量の10〜60%のときに、プロピレンおよび/またはイソブチレンの平均転化率が100〜98%である。
(2)反応原料の供給量が、定常運転時における供給量の90〜100%のときに、プロピレンおよび/またはイソブチレンの平均転化率が97%以下である。
また、前記原料ガスの供給開始から定常運転に移行するまでの間に、さらに下記条件(3)を満たすように反応原料の供給量を段階的に増やすことが好ましい。
(3)反応原料の供給量が、定常運転時における供給量の60%超、90%未満のときに、プロピレンおよび/またはイソブチレンの平均転化率が99〜97%である。
さらに、前記原料ガスは酸素含有ガスとして酸素および水蒸気を含み、定常運転時における当該原料ガス中の反応原料の濃度が4〜10容量%、酸素の濃度が7〜16容量%、水蒸気の濃度が5〜50容量%であることが好ましい。
また、前記固定床管型反応器は反応管の外側に熱媒浴を備え、反応管に形成された触媒層と、熱媒浴との温度差(触媒層の温度−熱媒浴の温度)が最大となる位置から、触媒層の原料ガス入口側の端部までの距離が、当該触媒層の全長の0.5倍以下であることが好ましい。
本発明の(メタ)アクロレインまたは(メタ)アクリル酸の製造方法によれば、気相接触酸化反応をスタートアップする際のホットスポットの温度を十分に抑制し、短時間でスタートアップを行うことができる。
実施例1における熱媒浴の温度、イソブチレンの供給量、イソブチレンの転化率、および触媒層と熱媒浴の温度差の最大値(ΔTmax)と、時間とのそれぞれ関係を示すグラフである。 実施例2における熱媒浴の温度、イソブチレンの供給量、イソブチレンの転化率、および触媒層と熱媒浴の温度差の最大値(ΔTmax)と、時間とのそれぞれ関係を示すグラフである。 比較例1における熱媒浴の温度、イソブチレンの供給量、イソブチレンの転化率、および触媒層と熱媒浴の温度差の最大値(ΔTmax)と、時間とのそれぞれ関係を示すグラフである。 比較例3における熱媒浴の温度、イソブチレンの供給量、イソブチレンの転化率、および触媒層と熱媒浴の温度差の最大値(ΔTmax)と、時間とのそれぞれ関係を示すグラフである。
本発明において、(メタ)アクロレインおよび(メタ)アクリル酸を合成する反応は、固定床管型反応器(以下、単に「反応器」という。)を用いて実施される。反応器としては特に限定されないが、工業的には内径10〜40mmの反応管を数千〜数万本備えた多管式反応器が好ましい。反応管には、固体酸化触媒が充填され、触媒層が形成される。
また、反応器は、反応管の外側に該反応管を加熱または除熱するための熱媒浴を備えることが好ましい。熱媒としては特に限定されないが、例えば、硝酸カリウムおよび亜硝酸ナトリウムを含む塩溶融物が挙げられる。
なお、本発明において「(メタ)アクロレイン」はメタクロレインとアクロレインの両方を示し、「(メタ)アクリル酸」はメタクリル酸とアクリル酸の両方を示す。
本発明に用いる固体酸化触媒(以下、単に「触媒」という。)としては、少なくともモリブデンおよびビスマスを触媒成分として含み、気相接触酸化反応(以下、単に「酸化反応」という。)に用いられる固体触媒であれば特に限定されない。例えば、従来から知られているモリブデンおよびビスマスを含む複合酸化物等を用いることができるが、下記の式(I)で表される複合酸化物が好ましい。
MoBiFe ・・・(I)
式(I)において、Mo、Bi、FeおよびOはそれぞれモリブデン、ビスマス、鉄および酸素を表し、Aはニッケルおよび/またはコバルト、Xはマグネシウム、亜鉛、クロム、マンガン、スズおよび鉛からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素、Yはリン、ホウ素、イオウ、テルル、ケイ素、ゲルマニウム、セリウム、ニオブ、チタン、ジルコニウム、タングステンおよびアンチモンからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素、Zはカリウム、ナトリウム、ルビジウム、セシウムおよびタリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を表す。
ただし、a、b、c、d、e、f、gおよびhは各元素の原子比を表し、a=12のとき、0.1≦b≦5、0.1≦c≦5、1≦d≦12、0≦e≦10、0≦f≦10、0.01≦g≦3であり、hは前記各元素の原子価を満足するのに必要な酸素の原子比である。特に好ましい各元素の原子比は、a=12のとき、0.2≦b≦3、0.5≦c≦4、2≦d≦10、0.1≦g≦2である。
触媒の調製方法としては特に限定されず、成分の著しい偏在を伴わない限り、従来からよく知られている種々の方法を用いることができる。
また、触媒の調製に用いる原料としては特に限定されず、各元素の硝酸塩、炭酸塩、酢酸塩、アンモニウム塩、酸化物、ハロゲン化物等を組み合わせて使用することができる。例えばモリブデンの原料化合物としてはパラモリブデン酸アンモニウム、三酸化モリブデン、モリブデン酸、塩化モリブデン等が挙げられる。ビスマスの原料化合物としては、硝酸ビスマス、酸化ビスマス、酢酸ビスマス、水酸化ビスマス等が挙げられる。触媒成分の原料化合物は、触媒成分を構成する各元素に対して1種を用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明に用いる触媒は無担体でもよいが、シリカ、アルミナ、シリカ・アルミナ、シリコンカーバイト等の不活性担体に担持させた担持触媒や、あるいはこれら不活性担体で希釈した触媒を用いることもできる。
上述した触媒を反応器に備わる反応管に充填し、触媒層を形成させる。
なお、本発明において「触媒層」とは、反応管内において少なくとも触媒が含まれている領域を指す。すなわち、触媒だけが充填されている領域だけでなく、触媒が不活性担体等で希釈されている領域も触媒層とする。ただし、反応管の両端部など、何も充填されていない空間部分や不活性担体等だけが充填されている領域は、触媒が実質的に含まれないので触媒層には含まない。
本発明においては、触媒層が形成された反応管を備えた反応器を用い、反応原料を含む原料ガスを反応管に供給し、酸素含有ガスとの酸化反応により、(メタ)アクロレインまたは(メタ)アクリル酸を製造する。
反応原料としては、プロピレン、イソブチレン、第三級ブチルアルコール(TBA)、およびメチル第三級ブチルエーテル(MTBE)からなる群より選ばれた少なくとも1種を用いる。
ところで、酸化反応により(メタ)アクロレインおよび(メタ)アクリル酸を製造する際は、通常、250〜400℃の範囲の反応温度で実施される。しかし、250〜400℃の範囲の反応温度に保たれた触媒層に、反応開始当初から多量の反応原料を供給すると、触媒層に最大温度の高いホットスポットが生じやすい。その結果、触媒の暴走反応が起こりやすくなり、反応を継続するのが困難となる。そのため、酸化反応を行う際は、反応原料の供給量を段階的に増やして定常運転に移行する操作(以下、「スタートアップ」という。)を行うのが一般的であるが、ホットスポットの温度上昇を抑え、目標の反応原料の供給量に達するまで(すなわち、定常状態に移行するまで)には長時間を費やす必要があった。
本発明者らはこの問題を解決すべく鋭意検討した結果、ホットスポットの温度を抑制するには、反応原料の転化率を下げることで反応熱を抑制するのが一般的であるところ、本発明では逆に反応原料の転化率を高め、ホットスポットの位置を制御することでホットスポットの温度を抑制できることを見出した。そして、酸化反応においてスタートアップを行う際の条件を規定することで、スタートアップ中のホットスポットの温度を十分に抑制でき、短時間でスタートアップを行うことができ、結果として(メタ)アクロレインおよび(メタ)アクリル酸を高い収率で製造できることを見出した。
すなわち、本発明は原料ガスの供給開始から定常運転に移行するまでの間に、下記条件(1)および(2)を満たすようにスタートアップすることを特徴とする。
(1)反応原料の供給量が、定常運転時における供給量の10〜60%のとき(以下、この間を「供給期間10〜60%」という。)に、プロピレンおよび/またはイソブチレンの平均転化率が100〜98%である。
(2)反応原料の供給量が、定常運転時における供給量の90〜100%のとき(以下、この間を「供給期間90〜100%」という。)に、プロピレンおよび/またはイソブチレンの平均転化率が97%以下である。
なお、本発明において「定常運転」とは、反応原料が目標の供給量に達し、一定で運転している状態のことである。また、「定常運転時における反応原料の供給量」とは、反応原料の供給量を増加させる工程を終了してから、酸化反応を停止するまでの間に供給される反応原料の供給量の平均値のことである。
また、本発明において「平均転化率」とは、指定された範囲の量の反応原料を供給する期間中のプロピレンおよび/またはイソブチレンの転化率の平均値のことである。すなわち、例えば条件(1)の場合は、供給期間10〜60%のときの、プロピレンおよび/またはイソブチレンの転化率の平均値のことである。
プロピレンおよび/またはイソブチレンの転化率は、熱媒浴の温度、反応圧力、反応原料の供給量など、反応条件を変更したときに測定するのが一般的であり、自動ガスクロマトグラフィー等で随時測定することが好ましい。そして、下記式(i)より転化率を求めることができる。
転化率(%)=A/B×100 ・・・(i)
ここで、「A」は反応したプロピレンおよび/またはイソブチレンのモル数、「B」は供給したプロピレンおよび/またはイソブチレンのモル数である。
なお、転化率は反応条件を変更する際にその値が大きく変化することがあるが、後述するΔTmaxの上昇を抑制する観点から、反応条件を変更する前の転化率から±10%以内の変化に留めることが好ましく、より好ましくは±5%である。また、反応条件の変更により一時的に変化した転化率は、反応条件を変更した後2時間以内に、反応条件を変更する前の転化率の±5%以内に戻ることが好ましい。このように転化率の変化を制御するには、例えば熱媒浴の温度を調整したり、反応圧力を調整したりすればよい。
条件(1)について、供給期間10〜60%のときのプロピレンおよび/またはイソブチレンの平均転化率が98%未満であると、ホットスポットの温度が原料ガス出口側で局所的に上昇し、触媒の暴走反応が起こりやすくなるため、短時間でのスタートアップが困難となる。プロピレンおよび/またはイソブチレンの平均転化率は、99.5〜98.1%が好ましい。
また、条件(1)において、供給期間10〜60%のときのプロピレンおよび/またはイソブチレンの転化率の下限値は、95%以上が好ましい。
条件(2)について、供給期間90〜100%のときのプロピレンおよび/またはイソブチレンの平均転化率が97%を超えると、ホットスポットの温度が上昇し、触媒の暴走反応が起こりやすくなるため、安定した運転が困難となる。プロピレンおよび/またはイソブチレンの平均転化率は、96.8%以下が好ましい。なお、平均転化率の下限値については、93%以上が好ましい。
また、条件(2)において、供給期間90〜100%のときのプロピレンおよび/またはイソブチレンの転化率の上限値は、98%以下が好ましく、下限値は、90%以上が好ましい。
このように、原料ガスの供給開始から定常運転に移行するまでの間に、上記条件(1)および(2)を満たすようにスタートアップすることで、反応原料の転化率を高め、ホットスポットの位置を制御することができる。
「反応原料の転化率を高める」とは、触媒層の原料ガス入口側の反応を促進することを意味する。逆に、反応原料の転化率が低い場合は、触媒層の原料ガス出口側で主に酸化反応が進行することとなる。そのため、ホットスポットの発生位置が触媒層の原料ガス出口側に移動しやすくなる。ホットスポットの発生位置が触媒層の原料ガス出口側に移動すると、該ホットスポットで局所的に発熱する傾向があり、触媒の暴走反応が起こりやすくなる。そのため、ホットスポットの温度が下がるまで反応原料の供給量を増やすことができないので、スタートアップが完了するまでに長時間を費やすこととなる。
しかし、本発明であれば、スタートアップ中の反応原料の転化率を高めるので、ホットスポットが原料ガス出口側に発生することを抑制できる(すなわち、触媒層の長さ方向においてホットスポットの発生位置を制御できる)。従って、触媒層の長さ方向の発熱を均一化でき、ホットスポットの温度が局所的に上昇することを抑制できる。そのため、反応原料の供給量を減らしたり供給量の上昇を止めたりする必要がなく、短時間でスタートアップできる。
本発明においては、原料ガスの供給開始から定常運転に移行するまでの間に、下記条件(3)を満たすようにスタートアップするのが好ましい。
(3)反応原料の供給量が、定常運転時における供給量の60%超、90%未満のとき(以下、この間を「供給期間60%超〜90%未満」という。)に、プロピレンおよび/またはイソブチレンの平均転化率が99〜97%である。
条件(3)について、供給期間60%超〜90%未満のときのプロピレンおよび/またはイソブチレンの平均転化率が97%未満であると、ホットスポットの温度が原料ガス出口側で局所的に上昇し、触媒の暴走反応が起こりやすくなるため、短時間でのスタートアップが困難となる。一方、プロピレンおよび/またはイソブチレンの平均転化率が99%を超えると、ホットスポットの温度が上昇し、触媒の暴走反応が起こりやすくなるため、安定した運転が困難となる。プロピレンおよび/またはイソブチレンの平均転化率は、98.5〜97.1%が好ましい。
また、条件(3)において、供給期間60%超〜90%未満のときのプロピレンおよび/またはイソブチレンの転化率の上限値は、99.5%以下が好ましく、下限値は、94%以上が好ましい。
なお、TBAやMTBAは、反応器に供給されると速やかに脱水されてイソブチレンに変換される。従って、反応原料としてTBAやMTBAを用いた場合は、イソブチレンを用いた場合と同様の結果が得られると予想される。
各供給期間におけるプロピレンおよび/またはイソブチレンの転化率は、例えば熱媒浴の温度を調整したり、反応圧力を調整したりすることで制御できるが、これらの方法に限定されない。
熱媒浴の温度は、280〜450℃が好ましく、300〜400℃がより好ましい。
反応圧力は、常圧から数気圧程度が好ましい。
熱媒浴の温度や反応圧力が高くなるに連れて、プロピレンおよび/またはイソブチレンの転化率は上がる傾向にある。
また、プロピレンおよび/またはイソブチレンの転化率は、原料ガス中の反応原料と酸素のモル比を調整することでも制御できる。
本発明に用いる原料ガスは、上述した反応原料と、酸素源として酸素含有ガスを含む。酸素含有ガスには、通常、酸素と水蒸気が含まれる。
特に、反応原料としてイソブチレンおよび/またはTBAを用いる場合、原料ガス中の酸素の濃度は、反応原料1モルに対して0.3〜4.0モルが好ましく、0.4〜3.0モルが好ましい。反応原料1モルに対する酸素の濃度が大きくなるに連れて、プロピレンおよび/またはイソブチレンの転化率は上がる傾向にある。
原料ガス中の酸素としては、分子状酸素として空気を用いるのが経済的に有利であるが、必要に応じて純酸素で富化した空気を用いてもよい。
また、原料ガスには、本反応に対して実質的に影響を与えない低級アルデヒド等の不純物を少量含んでいてもよいし、原料ガスを窒素、水蒸気、二酸化炭素等の不活性ガスを加えて希釈してもよい。
定常運転時における原料ガスの濃度は、反応原料の濃度が4〜10容量%、酸素の濃度が7〜16容量%、水蒸気の濃度が5〜50容量%であることが好ましく、反応原料の濃度が6〜8容量%、酸素の濃度が9〜15容量%、水蒸気の濃度が6〜40容量%であることがより好ましい。
定常運転時に供給される反応原料の供給量は、通常、反応原料の反応器への上限供給量の70%以上であり、(メタ)アクロレインまたは(メタ)アクリル酸の生産性を高めるためには、反応原料の供給量を増やすのが好ましい。
また、定常運転時に供給される原料ガスの流量は、反応管1本あたり、空間速度が300〜3000hr−1となるような流量が好ましく、より好ましくは500〜2000hr−1である。なお、スタートアップ中の原料ガスの流量は、反応原料の供給量が上述した条件(1)および(2)を満たせば、特に制限されない。
上述したように、本発明はスタートアップ中の反応原料の転化率を高めることで、触媒層の長さ方向においてホットスポットの発生位置を制御することが可能となる。具体的には、触媒層と熱媒浴との温度差(ΔT:触媒層−熱媒浴の温度)が最大となる位置(すなわち、ホットスポットの発生位置)から、触媒層の原料ガス入口側の端部までの距離(d)が、当該触媒層の全長の0.5倍以下となるような位置に、ホットスポットの発生位置を制御できる。距離(d)は、触媒層の全長の0.4倍以下が特に好ましい。距離(d)の下限値については特に制限されない。
距離(d)が触媒層の全長の0.5倍以下であれば、触媒層の長さ方向の発熱を均一化でき、ホットスポットの温度が局所的に上昇することをより効果的に抑制できる。そのため、反応原料の供給量を減らしたり供給量の上昇を止めたりする必要がなく、短時間でスタートアップできる。
なお、熱媒浴中の熱媒は、反応器の形態、反応条件、熱媒の流動状態によって温度に若干の不均一分布が生じる場合がある。この不均一分布の度合いが小さい場合は、熱媒浴の平均温度を「熱媒浴の温度」として採用してもよい。ただし、不均一分布の度合いが大きい場合は、触媒層の位置に応じて触媒層近傍の熱媒浴の温度を測定し、ΔTを求める。
触媒層の温度を測定する方法としては、例えば反応管に触媒を充填するに先立ち、反応管内に保護管を設置し、該保護間内に熱電対を挿入して、酸化反応中の各場所における触媒層の温度を測定する方法が挙げられる。この測定方法において、保護管の設置位置は、反応管の管軸方向に対して垂直な断面の中心付近が好ましい。また、保護管の長さは触媒層を超える長さが必要である。この測定方法によれば、触媒層のあらゆる位置の温度を簡便に測定できるので好ましい。
なお、工業的に用いられる多管式反応器の場合には、全ての反応管内の触媒層の温度を測定することは実際上困難であるため、実質的に反応器全体を代表する反応管を複数選択し、選択された反応管内の触媒層について温度を測定すればよい。
以上説明したように、本発明によれば、原料ガスの供給開始から定常運転に移行するまでの間に、上記条件(1)および(2)を満たすようにスタートアップするので、反応原料の転化率を高め、ホットスポットの位置を制御することができる。その結果、ホットスポットの温度が上昇するのを抑制できる。具体的には、上述した触媒層と熱媒浴との温度差(ΔT)の最大値(ΔTmax)を50℃以下程度に抑制できる。
従って、本発明の(メタ)アクロレインまたは(メタ)アクリル酸の製造方法は、スタートアップ中に反応原料の供給量を減らしたり供給量の上昇を止めたりする必要がなく、短時間でスタートアップでき、結果として(メタ)アクロレインおよび(メタ)アクリル酸を高い収率で製造できる。
以下、本発明について実施例を挙げて具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、実施例および比較例中の「部」は「質量部」を意味する。
<ΔTmaxの定義>
ΔTmaxは、以下のように定義される。
触媒層の温度は、反応管の管軸方向に対して垂直な断面の中心に設置した保護管に挿入した熱電対により測定した。なお、保護管は反応系と隔離されており、温度を測定する位置は挿入する熱電対の長さを調節して変えることができる。このとき測定した触媒層の温度と熱媒浴の温度との差(ΔT=触媒層の温度−熱媒浴の温度)を測定することでホットスポットを検出した。このとき検出されたΔT分布のうち、最も高温のΔTをΔTmaxとして示した。
また、ΔTmaxの位置は、触媒層の原料ガス入口側の端部から測定した距離(d)として示した。
<スタートアップの手順>
実施例および比較例におけるスタートアップは以下のように行った。
スタートアップ中はΔTmaxが高温になると触媒が暴走反応を起こすことがあるため、ΔTmaxが50℃を超えた場合は反応原料の供給量を上昇させず、ΔTmaxが50℃以下に下がったのを確認した後、反応原料の供給量を上昇させることとした。また、ΔTmaxの管理上限値を60℃とし、上限値を超える場合は直ちに反応原料の供給を止め、反応を停止することとした。
反応原料の供給量は、0%から定常運転時における供給量まで10%ずつ段階的に上昇させた。また、反応原料の供給量はΔTmaxが一定になった後、上昇させた。ここで「ΔTmaxが一定になる」とは、ΔTmaxの温度変化が、30分以上にわたり±1.0℃の範囲の状態を意味する。
なお、反応原料の供給量が定常運転時の供給量に達し、ΔTmaxが一定に後を定常運転とした。
<転化率の算出方法>
原料ガス及び反応生成ガスは、ガスクロマトグラフィーにより分析した。実施例および比較例の反応原料(イソブチレン)の転化率は、下記式(i)により算出した。
イソブチレンの転化率(%)=A/B×100 ・・・(i)
ここで、「A」は反応したイソブチレンのモル数、「B」は供給したイソブチレンのモル数である。
<触媒の調製>
純水1000部に、パラモリブデン酸アンモニウム500部、パラタングステン酸アンモニウム6.2部、硝酸セシウム23.0部、三酸化アンチモン34.3部および三酸化ビスマス28.5部を加え、加熱攪拌した(A液)。
別途、純水1000部に、硝酸第二鉄209.8部、硝酸ニッケル102.9部、硝酸コバルト412.1部、硝酸鉛15.7部および85%リン酸2.8部を順次加え、溶解した(B液)。
ついで、A液にB液を加えて水性スラリーとした後、この水性スラリーをスプレー乾燥機にて乾燥させ、平均粒径60μmの乾燥球状粒子とした。この乾燥球状粒子を300℃で1時間、510℃で3時間焼成を行い、球状粒子形状の触媒材料を製造した。
この触媒材料5000部に対して、ヒドロキシプロピルメチルセルロース150部およびカードラン50部を加え、乾式混合した。ここに純水1900部を混合し、混練り機で粘土状物質になるまで混合(混練り)した後、得られた混練物をピストン式押出し成形機を用いて外径5mm、内径2mm、高さ5mmのリング状に押出成形し、粒状の固体酸化触媒とした。
得られた固体酸化触媒の酸素以外の元素組成は、次の通りであった。なお、元素組成は触媒原料の仕込み量から求めた。
Mo120.1Bi0.7Fe2.2Sb1.0Ni1.5Co6.0Pb0.20.1Cs0.5
[実施例1]
<触媒の充填>
気相接触酸化反応には、内径26.5mm、長さ6mの反応管を1本備え、該反応管の外側に熱媒浴を有する固定床管型反応器を用いた。熱媒としては、硝酸カリウム50質量%および亜硝酸ナトリウム50質量%からなる塩溶融物を用い、熱媒浴の温度を180℃に設定した。
反応管の原料ガス入口側に、先に調製した固体酸化触媒500gと、SUS304製のラシヒリング(外径5mm、外径と内径の差0.4mm、長さ5mm)400gとを混合したものを充填した。さらにその上から固体酸化触媒800gを充填し、全長4085mmの触媒層を形成した。
この触媒層に、酸素9容量%、水蒸気10容量%、および窒素81容量%からなる酸素含有ガスを、空間速度240hr−1で流通させながら、熱媒浴の温度を350℃まで50℃/時間で昇温した。
<第1工程:供給期間10〜60%>
熱媒浴の温度を325℃に設定した。
反応原料としてイソブチレンと、酸素、水蒸気および窒素からなる酸素含有ガスとを含む原料ガスを反応管に供給し、イソブチレンの供給量を定常運転時における供給量の0〜60%まで増やした。供給期間10〜60%(すなわち、定常運転時における反応原料の供給量に対するスタートアップ中の反応原料の供給量の割合が10〜60%)のときのイソブチレン、酸素、水蒸気および窒素の濃度と、原料ガスの空間速度を表1に示す。
供給期間10〜60%のとき、イソブチレンの平均転化率99.4%であった。
また、供給期間10〜60%のときのΔTmax、ΔTmaxの位置、第1工程の所要時間を表2に示す。
<第2工程:供給期間60%超〜90%未満>
第1工程に引き続き、イソブチレンの供給量を定常運転時における供給量の60%超〜90%未満まで増やした。なお、熱媒浴の温度は325℃に設定した。供給期間60%超〜90%未満のときのイソブチレン、酸素、水蒸気および窒素の濃度と、原料ガスの空間速度を表1に示す。
供給期間60%超〜90%未満のとき、イソブチレンの平均転化率98.0%であった。
供給期間60%超〜90%未満のときのΔTmax、ΔTmaxの位置、第2工程の所要時間を表2に示す。
<第3工程:供給期間90〜100%>
第2工程に引き続き、イソブチレンの供給量を定常運転時における供給量の90〜100%まで増やした。なお、熱媒浴の温度は325℃に設定した。供給期間90〜100%のときのイソブチレン、酸素、水蒸気および窒素の濃度と、原料ガスの空間速度を表1に示す。
供給期間90〜100%のとき、イソブチレンの平均転化率96.8%であった。
供給期間90〜100%のときのΔTmax、ΔTmaxの位置、第3工程の所要時間を表2に示す。
また、各供給期間における、熱媒浴の温度、イソブチレンの供給量、イソブチレンの転化率、およびΔTmaxと、時間(原料ガスの供給開始からの経過時間)とのそれぞれ関係(推移)を図1に示す。
[実施例2]
第1工程〜第3工程において、熱媒浴の温度を322℃に設定した以外は、実施例1と同様にして第1工程〜第3工程を行った。
各供給期間におけるイソブチレンの平均転化率、ΔTmax、ΔTmaxの位置、および第1工程〜第3工程の所要時間を表2に示す。
また、各供給期間における、熱媒浴の温度、イソブチレンの供給量、イソブチレンの転化率、およびΔTmaxと、時間とのそれぞれ関係を図2に示す。
[比較例1]
熱媒浴の温度を308℃に設定し、供給期間10〜60%のときのイソブチレンの転化率が95%で一定になるように、イソブチレンの供給量を増やした際に熱媒浴の温度を調節した以外は、実施例1と同様にして第1工程を行った。
ついで、供給期間60%超〜90%未満のときのイソブチレンの転化率が95%で一定になるように、イソブチレンの供給量を増やした際に熱媒浴の温度を調節した以外は、実施例1と同様にして第2工程を行った。
ついで、供給期間90〜100%のときのイソブチレンの転化率が95%で一定になるように、イソブチレンの供給量を増やした際に熱媒浴の温度を調節した以外は、実施例1と同様にして第3工程を行った。
各工程終了時の熱媒浴の温度、各供給期間におけるイソブチレンの平均転化率、ΔTmax、ΔTmaxの位置、および第1反応〜第3反応の所要時間を表2に示す。
また、各供給期間における、熱媒浴の温度、イソブチレンの供給量、イソブチレンの転化率、およびΔTmaxと、時間とのそれぞれ関係を図3に示す。
[比較例2]
比較例1と同様にして第1工程を行った。
ついで、ΔTmaxが50℃を超えてもイソブチレンの供給量の上昇を続けた以外は、比較例1と同様にして第2工程、第3工程を行った。
その結果、イソブチレンの供給量が定常運転時の供給量の90%に達したときに、ΔTmaxが60℃を超えたため、原料ガスの供給を止め、反応器を停止した。反応器を開放して触媒を確認したところ、触媒の一部が変色し、失活していた。
[比較例3]
各供給期間におけるイソブチレンの転化率が97%で一定になるように、イソブチレンの供給量を増やした際に熱媒浴の温度を調節した以外は、比較例1と同様にして第1工程〜第3工程を行った。
各工程終了時の熱媒浴の温度、各供給期間におけるイソブチレンの平均転化率、ΔTmax、ΔTmaxの位置、および第1工程〜第3工程の所要時間を表2に示す。
また、各供給期間における、熱媒浴の温度、イソブチレンの供給量、イソブチレンの転化率、およびΔTmaxと、時間とのそれぞれ関係を図4に示す。
[比較例4]
比較例3と同様にして第1工程を行った。
ついで、ΔTmaxが50℃を超えてもイソブチレンの供給量の上昇を続けた以外は、比較例3と同様にして第2工程、第3工程を行った。
その結果、イソブチレンの供給量が定常運転時の供給量の90%に達したときに、ΔTmaxが60℃を超えたため、原料ガスの供給を止め、反応器を停止した。反応器を開放して触媒を確認したところ、触媒の一部が変色し、失活していた。
[比較例5]
第1工程を行わなかった以外は、実施例1と同様にして第2工程を行った。なお、「第1工程を行わない」とは、定常運転時におけるイソブチレンの供給量の60%に相当する量にて、原料ガスの供給を開始したことを意味する。
その結果、イソブチレンの供給量が定常運転時の供給量の90%に達したときに、ΔTmaxが60℃を超えたため、原料ガスの供給を止め、反応器を停止した。反応器を開放して触媒を確認したところ、触媒の一部が変色し、失活していた。
Figure 2011026284
Figure 2011026284
表2中、実施例1、2の「熱媒浴の温度」は、各工程において設定した熱媒浴の温度を示した。一方、比較例1、2の「熱媒浴の温度」は、各工程終了時の熱媒浴の温度を示した。
表2、および図1、2から明らかなように、実施例1、2の場合、ホットスポットの温度を十分に抑制でき、短時間でスタートアップを行うことができた。また、第3工程が終了した後、反応器を開放して触媒を確認したところ、異常は認められなかった。
一方、比較例1の場合、表2、および図3から明らかなように、第2工程においてイソブチレンの供給量が定常運転時における供給量の80%に達したときに、ΔTmaxが50℃を越えたため、ΔTmaxが50℃以下に下がるまでイソブチレンの供給量の上昇をやめざるをえず、第2工程の所要時間が23時間と大幅に長くなった。その結果、スタートアップが完了するまでに30時間も要した。なお、ΔTmaxの位置は、原料ガスの供給開始から20時間目に、その位置が原料ガス入口側に大きく移動した。
比較例3の場合、表2、および図4から明らかなように、第2工程においてイソブチレンの供給量が定常運転時における供給量の80%に達したときに、ΔTmaxが50℃を越えたため、ΔTmaxが50℃以下に下がるまでイソブチレンの供給量の上昇をやめざるをえず、第2工程の所要時間が18時間と大幅に長くなった。その結果、スタートアップが完了するまでに25時間も要した。なお、ΔTmaxの位置は、原料ガスの供給開始から21時間目に、その位置が原料ガス入口側に大きく移動した。
なお、比較例1、3において第3工程が終了した後、反応器を開放して触媒を確認したところ、異常は認められなかった。

Claims (4)

  1. 少なくともモリブデンおよびビスマスを触媒成分として含む固体酸化触媒が充填され触媒層が形成された反応管を備えた固定床管型反応器を用い、プロピレン、イソブチレン、第三級ブチルアルコール、およびメチル第三級ブチルエーテルからなる群より選ばれた少なくとも1種を反応原料として含む原料ガスを前記反応管に供給し、酸素含有ガスとの気相接触酸化反応により(メタ)アクロレインまたは(メタ)アクリル酸を製造する方法において、
    前記原料ガスの供給開始から定常運転に移行するまでの間に、下記条件(1)および(2)を満たすように反応原料の供給量を段階的に増やし、その後、定常運転を行うことを特徴とする(メタ)アクロレインまたは(メタ)アクリル酸の製造方法。
    (1)反応原料の供給量が、定常運転時における供給量の10〜60%のときに、プロピレンおよび/またはイソブチレンの平均転化率が100〜98%である。
    (2)反応原料の供給量が、定常運転時における供給量の90〜100%のときに、プロピレンおよび/またはイソブチレンの平均転化率が97%以下である。
  2. 前記原料ガスの供給開始から定常運転に移行するまでの間に、さらに下記条件(3)を満たすように反応原料の供給量を段階的に増やすことを特徴とする請求項1に記載の(メタ)アクロレインまたは(メタ)アクリル酸の製造方法。
    (3)反応原料の供給量が、定常運転時における供給量の60%超、90%未満のときに、プロピレンおよび/またはイソブチレンの平均転化率が99〜97%である。
  3. 前記原料ガスは酸素含有ガスとして酸素および水蒸気を含み、定常運転時における当該原料ガス中の反応原料の濃度が4〜10容量%、酸素の濃度が7〜16容量%、水蒸気の濃度が5〜50容量%であることを特徴とする請求項1または2に記載の(メタ)アクロレインまたは(メタ)アクリル酸の製造方法。
  4. 前記固定床管型反応器は反応管の外側に熱媒浴を備え、反応管に形成された触媒層と、熱媒浴との温度差(触媒層の温度−熱媒浴の温度)が最大となる位置から、触媒層の原料ガス入口側の端部までの距離が、当該触媒層の全長の0.5倍以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の(メタ)アクロレインまたは(メタ)アクリル酸の製造方法。
JP2009176614A 2009-07-29 2009-07-29 (メタ)アクロレインまたは(メタ)アクリル酸の製造方法 Active JP5479803B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009176614A JP5479803B2 (ja) 2009-07-29 2009-07-29 (メタ)アクロレインまたは(メタ)アクリル酸の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009176614A JP5479803B2 (ja) 2009-07-29 2009-07-29 (メタ)アクロレインまたは(メタ)アクリル酸の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2011026284A true JP2011026284A (ja) 2011-02-10
JP5479803B2 JP5479803B2 (ja) 2014-04-23

Family

ID=43635455

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009176614A Active JP5479803B2 (ja) 2009-07-29 2009-07-29 (メタ)アクロレインまたは(メタ)アクリル酸の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5479803B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20150274626A1 (en) * 2012-11-07 2015-10-01 Mitsubishi Rayon Co.,Ltd. Method for producing methacrolein and methacrylic acid

Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH04279542A (ja) * 1990-07-21 1992-10-05 Basf Ag プロペン又はイソブテンの接触的気相酸化によりアクロレイン又はメタクロレインを製造する方法
JP2002212127A (ja) * 2001-01-16 2002-07-31 Mitsubishi Rayon Co Ltd メタクロレインおよびメタクリル酸の製造方法
JP2002356450A (ja) * 2001-05-30 2002-12-13 Mitsubishi Rayon Co Ltd メタクロレインおよびメタクリル酸の製造方法
WO2005005344A1 (ja) * 2003-07-14 2005-01-20 Mitsubishi Rayon Co., Ltd. 接触気相酸化反応の反応ガス供給方法
JP2005170909A (ja) * 2003-12-15 2005-06-30 Mitsubishi Chemicals Corp (メタ)アクリル酸または(メタ)アクロレインの製造方法
JP2005213179A (ja) * 2004-01-29 2005-08-11 Mitsubishi Rayon Co Ltd 触媒層およびその形成方法、固定床管型反応器、メタクロレインまたはメタクリル酸の製造方法
JP2005336085A (ja) * 2004-05-26 2005-12-08 Mitsubishi Chemicals Corp (メタ)アクリル酸または(メタ)アクロレインの製造方法
WO2008143052A1 (ja) * 2007-05-14 2008-11-27 Mitsubishi Rayon Co., Ltd. メタクリル酸の製造方法
JP2012524105A (ja) * 2009-04-16 2012-10-11 サウディ ベーシック インダストリーズ コーポレイション アルカンから不飽和カルボン酸を製造するためのプロセス

Patent Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH04279542A (ja) * 1990-07-21 1992-10-05 Basf Ag プロペン又はイソブテンの接触的気相酸化によりアクロレイン又はメタクロレインを製造する方法
JP2002212127A (ja) * 2001-01-16 2002-07-31 Mitsubishi Rayon Co Ltd メタクロレインおよびメタクリル酸の製造方法
JP2002356450A (ja) * 2001-05-30 2002-12-13 Mitsubishi Rayon Co Ltd メタクロレインおよびメタクリル酸の製造方法
WO2005005344A1 (ja) * 2003-07-14 2005-01-20 Mitsubishi Rayon Co., Ltd. 接触気相酸化反応の反応ガス供給方法
JP2005170909A (ja) * 2003-12-15 2005-06-30 Mitsubishi Chemicals Corp (メタ)アクリル酸または(メタ)アクロレインの製造方法
JP2005213179A (ja) * 2004-01-29 2005-08-11 Mitsubishi Rayon Co Ltd 触媒層およびその形成方法、固定床管型反応器、メタクロレインまたはメタクリル酸の製造方法
JP2005336085A (ja) * 2004-05-26 2005-12-08 Mitsubishi Chemicals Corp (メタ)アクリル酸または(メタ)アクロレインの製造方法
WO2008143052A1 (ja) * 2007-05-14 2008-11-27 Mitsubishi Rayon Co., Ltd. メタクリル酸の製造方法
JP2012524105A (ja) * 2009-04-16 2012-10-11 サウディ ベーシック インダストリーズ コーポレイション アルカンから不飽和カルボン酸を製造するためのプロセス

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20150274626A1 (en) * 2012-11-07 2015-10-01 Mitsubishi Rayon Co.,Ltd. Method for producing methacrolein and methacrylic acid

Also Published As

Publication number Publication date
JP5479803B2 (ja) 2014-04-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6527499B2 (ja) 不飽和アルデヒドおよび/または不飽和カルボン酸の製造方法
JP3793317B2 (ja) 触媒及び不飽和アルデヒドおよび不飽和酸の製造方法
JPH0784400B2 (ja) 不飽和アルデヒドおよび不飽和酸の製造方法
JP2008535784A (ja) 不飽和アルデヒド及び/または不飽和酸の製造法
US20070155988A1 (en) Process for heterogeneously catalyzed gas phase partial oxidation of at least one organic starting compound
WO2015008814A1 (ja) 不飽和アルデヒドおよび/または不飽和カルボン酸の製造方法
WO2014014041A1 (ja) 不飽和アルデヒドおよび/または不飽和カルボン酸の製造方法
JP6694884B2 (ja) 不飽和アルデヒドおよび/または不飽和カルボン酸の製造方法
JP2021152049A (ja) 不飽和アルデヒドの製造方法
JP5680373B2 (ja) 触媒及びアクリル酸の製造方法
JP4824867B2 (ja) メタクロレインおよびメタクリル酸の製造方法
JP2005320315A (ja) 接触気相酸化反応
JP3939187B2 (ja) 不飽和アルデヒドの製造方法
JPWO2009057463A1 (ja) 気相接触酸化反応方法
WO2002098827A1 (fr) Procede relatif a l'elaboration de (meth)acrylaldehyde et/ou d'acide (meth)acrylique
JP5479803B2 (ja) (メタ)アクロレインまたは(メタ)アクリル酸の製造方法
JP4824871B2 (ja) アクロレインおよびアクリル酸の製造方法
JP5112849B2 (ja) 固定床反応器および不飽和カルボン酸の製造方法
JP5590382B2 (ja) 不飽和アルデヒド及び/又は不飽和カルボン酸の製造方法
JP5607865B2 (ja) メタクリル酸の製造方法
JP2005162744A (ja) 不飽和アルデヒド及び不飽和カルボン酸の製造方法
WO2024080203A1 (ja) 不飽和アルデヒドの製造方法および不飽和アルデヒドの製造装置
JP2008272637A (ja) メタクリル酸製造用触媒の製造方法、メタクリル酸製造用触媒、およびメタクリル酸の製造方法
JP2009084167A (ja) アクロレインおよび/またはアクリル酸の製造方法
JP5433321B2 (ja) (メタ)アクリル酸の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20120723

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20131016

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20131029

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20131120

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140128

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140213

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5479803

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250