JP2011025282A - 厚鋼板の冷却設備および冷却方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】厚鋼板表面の部分的な硬度上昇を抑制し、硬度むらがない厚鋼板を製造する冷却設備および冷却方法を提供する。
【解決手段】厚鋼板の熱間圧延ラインに設置される冷却設備であって、厚鋼板9の上下面に冷却水を供給するヘッダ3a,3bと、該ヘッダから突出して設けられ噴霧状の冷却水を噴射するスプレーノズル4a,4bとを備えたスプレー冷却設備1と、該スプレー冷却設備に続けて鋼板搬送方向下流側に配置され、厚鋼板上下面に冷却水を供給するヘッダ5a,5bと、該ヘッダから突出して設けられ棒状冷却水を噴射するラミナーノズル6a,6bとを備えたラミナー冷却設備2とを備え、前記スプレー冷却設備とラミナー冷却設備との間に、厚鋼板上面に滞留する冷却水を堰き止める水切りロール7を設けたことを特徴とする厚鋼板の冷却設備。
【選択図】図1

Description

本発明は、厚鋼板の冷却設備および冷却方法に関するものである。
熱間圧延によって厚板や薄板などの鋼板を製造するプロセスでは、例えば図7に示すような設備において、熱間粗圧延、仕上圧延を行った後、水冷または空冷を行って組織を制御している。水冷によって比較的低い温度、例えば450〜650℃程度に冷却すると、微細なフェライトやベイナイト組織が得られ、鋼板の強度を確保できるので、スプレー冷却水やラミナー冷却水などによって鋼板を冷却する技術が一般的である。
また近年では、高い冷却速度を得て組織をより微細化し、鋼板の強度を上げる技術の開発が盛んである。
例えば、大量の棒状のラミナー冷却水を供給して熱鋼板を冷却する技術として特許文献1の技術がある。これは、鋼板の上下面に多数設置したノズルから冷却水を高速で噴射するものであり、非常に高い冷却速度を得ることができ、材料特性に優れた製品を製造出来るとされている。
特開2002−239623号公報
しかしながら、従来の技術を使用する場合、ノズルから噴射された棒状冷却水が鋼板に直接供給される部分(以下、直射部とよぶ)とその周辺部分では冷却能力が大きく異なるため、鋼板幅方向に局所的な硬度むらが発生するという問題がある。
例えば、板厚が60mm以上ある厚鋼板では、所定の冷却開始温度から冷却終了温度まで冷却するには、冷却時間を長く設定する必要があるため、搬送速度を遅く(例えば0.5m/sに)しなければならない。
搬送速度が遅いほど、直射部を通過する時間が長くなって、表面で急冷され、例えば図5の冷却曲線図の(a)に示すように、マルテンサイト変態開始点以下まで一気に冷える。この時、直射部以外での冷却速度はそれほど高くないので、結果として図3の幅方向表面硬度分布図に示すような、硬度むらが生じてしまう場合がある。図中14はラミナーノズルから噴射された棒状冷却水が鋼板に直接供給される部分(直射部)を示す。その結果、表層に局所的に硬い部分が生じ、厚鋼板加工時の延性(伸び)が低下したり遅れ破壊が発生したりするという問題が生じている。
本発明は、上記に鑑み、熱間圧延後の厚鋼板の上下面に冷却水を供給する場合において、厚鋼板表面の部分的な硬度上昇を抑制し、硬度むらがない厚鋼板を製造する技術を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明では、熱間圧延後の厚鋼板に対し、まず幅方向全体に噴霧状のスプレー冷却を施し、厚鋼板表面を予備的に均一に冷却した後、棒状冷却水により厚鋼板中心まで加速冷却する。すなわち、本発明は以下の特徴を有する。
第一の発明は、厚鋼板の熱間圧延ラインに設置される冷却設備であって、厚鋼板の上下面に冷却水を供給するヘッダと、該ヘッダから突出して設けられ噴霧状の冷却水を噴射するスプレーノズルとを備えたスプレー冷却設備と、該スプレー冷却設備に続けて鋼板搬送方向下流側に配置され、厚鋼板の上下面に冷却水を供給するヘッダと、該ヘッダから突出して設けられ棒状冷却水を噴射するラミナーノズルとを備えたラミナー冷却設備とを備え、前記スプレー冷却設備とラミナー冷却設備との間に、厚鋼板上面に滞留する冷却水を堰き止める水切りロールを設けたことを特徴とする厚鋼板の冷却設備である。
第二の発明は、前記スプレー冷却設備の厚鋼板搬送方向長さを0.5〜2m、スプレーノズルから厚鋼板上下面に供給される噴霧冷却水の水量密度を0.4〜1.2m/m ・minとし、前記ラミナー冷却設備のラミナーノズルの内径を3〜8mm、該ラミナーノズルから厚鋼板上下面に供給される棒状冷却水の水量密度を0.6〜4.0m/m・minとすることを特徴とする第一の発明に記載の厚鋼板の冷却設備である。
第三の発明は、前記スプレー冷却設備内の厚鋼板表面にスプレーノズルから噴霧状の冷却水が直接供給される直射部の面積が、厚鋼板の上面側で70%以上、下面側で75%以上であり、かつ、厚鋼板下面側の前記直射部が厚鋼板の幅方向に連続していることを特徴とする第一または第二の発明に記載の厚鋼板の冷却設備である。
第四の発明は、搬送速度0.1〜0.6m/sの熱間圧延後の厚鋼板の表面に、厚鋼板搬送方向に0.5〜2mの長さに亘るスプレー冷却設備のスプレーノズルから噴霧冷却水を噴霧し、Ar変態点温度以上の温度から600℃までを、厚鋼板表層の平均冷却速度40〜120℃/sで冷却し、次いでラミナー冷却設備のラミナーノズルから棒状冷却水を噴射して厚鋼板表層の平均冷却速度60〜160℃/sで、マルテンサイト変態開始温度まで冷却することを特徴とする厚鋼板の冷却方法である。
第五の発明は、前記スプレー冷却設備内の厚鋼板表面に噴霧状の冷却水が直接供給される直射部の面積が、厚鋼板の上面側で70%以上、下面側で75%以上となり、かつ、厚鋼板下面側の前記直射部が厚鋼板幅方向に連続するように、前記スプレー冷却設備のスプレーノズルから噴霧冷却水を噴霧することを特徴とする第四の発明に記載の厚鋼板の冷却方法である。
なお、本発明における「厚鋼板表層の平均冷却速度」とは、厚鋼板表層から1mm深さの位置における平均冷却速度を指すものとする。
本発明の厚鋼板の冷却設備、冷却方法を用いることにより、厚鋼板表面の部分的な硬度上昇を抑制し、幅方向に均一な硬さとすることができるので、硬度むらがなく延性のよい厚鋼板を製造することができる。
本発明の一実施の形態に係る冷却設備の概要を示す側面図である。 本発明の上面冷却スプレーノズルの配列と噴射範囲の一例を示す図である。 従来の設備により製造した厚鋼板の幅方向表面硬度分布を示す図である。 本発明の設備により製造した厚鋼板の幅方向表面硬度分布を示す図である。 本発明の設備と従来の設備で冷却した時の連続冷却曲線の比較を示す図である。 本発明の一実施の形態に係る隔壁を備えたラミナー冷却設備の側面図である。 厚板圧延ラインの概略を説明する図である。
以下、厚板圧延プロセスにおける本発明の冷却設備の実施形態の一例を図面を参照して説明する。
図7は、本発明の実施に供する厚板圧延ラインの一例を示す概略図である。
加熱炉から抽出されたスラブは圧延機によって粗圧延と仕上圧延が施され、所定の仕上温度、仕上板厚とされた後、オンラインにて加速冷却設備に搬送される。冷却前にプリレベラを通して厚鋼板の形状を整えてから加速冷却を行うのが冷却後の厚鋼板の形状には好適である。
そして、図1は本発明の一実施の形態における冷却設備の概要を示した側面図、図2はそのうちのスプレー冷却ノズルからの噴射状況を上面から展開した図である。
加速冷却設備では、厚鋼板搬送方向下流側に向けて、スプレー冷却設備1、ラミナー冷却設備2が順に配列されている。前記スプレー冷却設備1およびラミナー冷却設備2は、テーブルロール8間を1つのゾーンとして、例えば、それぞれ2ゾーン、12ゾーン配列されており、厚鋼板9の上下面に冷却水を供給している。
冷却水の噴射量と使用する冷却ゾーンを調節することによって、厚鋼板は所定温度まで冷却される。また、少なくともスプレー冷却設備1とラミナー冷却設備2との間に、厚鋼板上面に滞留する水をせき止める水切りロール7をテーブルロール8と対向する位置に備えている。
スプレー冷却設備1は、上面スプレー冷却ヘッダ3aと下面スプレー冷却ヘッダ3bを備えており、これらのヘッダには、噴霧状冷却水を噴射するスプレーノズル4a、4bを幅方向に一定のピッチで並べたノズル列が、厚鋼板の搬送方向に複数列並べられている。ノズル列が1列だけの場合、各ノズルの噴射領域が幅方向に重複する部分で冷却能力が大きくなり、幅方向で冷却の強弱ができて不均一な冷却となってしまう場合があるが、ノズル列を2列以上並べてノズルを千鳥配置にすると、各ノズル列での冷却の強弱を相殺できて、より均一な冷却が可能となるため、複数列とすることが好ましい。
ノズルのタイプとしては、例えば、図2に示すように、噴射領域が正方形となるスクエアタイプのノズルが使用されるが、使用できるノズルはこのタイプに限らず、冷却水量の分布が概ね平滑化できればよく、例えば噴射領域が楕円となるオーバルタイプのノズルを使用してもよい。
ラミナー冷却設備2では、上面ラミナー冷却ヘッダ5aと下面ラミナー冷却ヘッダ5bを備えており、これらのヘッダに、棒状冷却水を噴射するラミナーノズル(円管ノズル)6a、6bが幅方向に一定のピッチで並んだノズル列が、厚鋼板の搬送方向に複数列並べられている。
ここで、本発明における棒状冷却水とは、円形状(楕円や多角の形状も含む)のノズル噴出口からある程度加圧された状態で噴射される冷却水であって、ノズル噴出口からの冷却水の噴射速度が6m/s以上であり、ノズル噴出口から噴射された水流の断面がほぼ円形に保たれた連続性と直進性のある水流の冷却水のことをいう。すなわち、円管ラミナーノズルからの自由落下流や、スプレーのような噴霧状態で噴射されるものとは異なる。
次に、本発明のスプレー冷却設備1について詳細に説明する。
スプレー冷却設備1内では、スプレーノズル4a,4bから噴霧状の冷却水が噴射され、水切りロール7やテーブルロール8にはさまれた冷却ゾーンにほぼ均等な水量分布で鋼板上下面に供給される。スプレー冷却水を供給するゾーンの長さは、0.5〜2.0mとするのが好ましい。これは、一般的なテーブルロール間の距離の0.5〜2倍に相当する。
スプレー冷却設備が不必要に長いと設備コストがかかるうえ、ラミナー冷却設備がより搬送方向下流側に設置されることになるので、スプレー冷却を行わずに水量密度の高いラミナー冷却だけを行う鋼板を冷却する際の冷却開始が遅れ、冷却開始温度が低下して好ましくない。よってスプレー冷却設備の長さ(スプレー冷却水を供給するゾーンの長さ)は長くとも2.0mとする。
一方、スプレー冷却の適用を超低速搬送材、例えば0.1m/s程度で搬送するものだけに限ることにすれば、スプレー冷却設備の長さは短くてよいことになる。図1に示すようにスプレー冷却設備を1ゾーン設置することとし、さらに、テーブルロールピッチを詰めるなどして設備コストをなるべく低くしようとすると、スプレー冷却設備の長さは0.5m程度になる。
よって、スプレー冷却設備の長さは、0.5〜2.0mの範囲が好適である。
実際には、テーブルロール間距離(1m程度)を1ゾーンとして冷却制御することが多いので、スプレー冷却ゾーンを1〜2ゾーン設ければよく、1ゾーンの半分程度とするだけでも超低速搬送材に対しては硬度むら抑制効果が期待できる。
例えば、テーブルローラー間距離1m(1ゾーンの長さが1m)の搬送ラインで、60mm厚の鋼板を速度0.25m/sで搬送し、表面温度800℃の状態から表層の平均冷却速度50℃/sでスプレー冷却する場合を考える。
スプレー冷却設備を2ゾーンとすると、冷却時間は8秒間となるので、鋼板表面は400℃までスプレー冷却される。この間、ベイナイト変態やフェライト変態が開始するので、表層組織はフルマルテンサイト組織とはならず、特許文献1の技術を用いた場合よりも軟らかくなる。図2に示すように、冷却水量の分布がゾーン内でほぼ均等となるようにノズルを配置すれば、表面の組織もほぼ一様になり、硬度むらも生じないので延性のよい鋼板を製造することができる。
スプレー冷却設備を1ゾーンとすると、冷却時間は4秒間となるので、鋼板表面は600℃までスプレー冷却される。そして、スプレー冷却に続いて行うラミナー冷却では水量を抑えて、表層の平均冷却速度を160℃/s以下として、マルテンサイト変態開始温度まで冷却する。スプレー冷却では、600℃までほぼ一様に緩冷却され、ベイナイトやフェライト変態開始のための駆動力が蓄えられているから、その後のラミナー冷却が強くなければ、表層はフルマルテンサイト組織とはならず、硬度むらも生じないので延性のよい鋼板を製造することができる。
スプレー冷却では、Ar変態温度よりも高い温度から、少なくとも600℃まで、望ましくは400〜500℃程度まで、図5の(b)、(c)に示すように厚鋼板の表層の平均冷却速度が40〜120℃/sとなるように冷却する。平均冷却速度が40℃/s未満だと冷却に時間がかかる分、鋼板表面だけでなく板厚内部も一緒に緩冷却されるので、厚鋼板の強度を確保できない場合があるからである。一方、平均冷却速度が120℃/s超えでは、冷却速度が高すぎるので、ラミナー冷却の直射部と同様に表面硬度が許容上限を超える箇所が散発的に見られるようになる。
前記の冷却速度を得るため、水量密度は、0.4〜1.2m/m ・minとする。
スプレー冷却設備における厚鋼板の搬送速度は、0.1〜0.6m/sとする。搬送速度が0.1m/s未満では、搬送速度の設定精度が悪いので、冷却制御精度が悪くなるからである。一方、搬送速度を0.6m/s超えとしてもよいが、ラミナー冷却の直射部分を通過する時間が短く、この間の大きな温度降下がないので、もともと幅方向の硬度むらは発生しない。したがって、本発明は、厚鋼板の搬送速度0.6m/s以下の場合に硬度むら抑制の効果を発揮する。
さらに、スプレー冷却設備内では、なるべく平均的な冷却を行うことによって、硬度むらは発生しにくくなる。噴霧状の冷却水が厚鋼板表面に直接供給される直射部の面積は、スプレー冷却設備内で厚鋼板の上面側で70%以上、下面側で75%以上の面積とする。すなわち、図2において、2つのテーブルロール軸心13に挟まれた面積に対する噴射領域12の面積の比が、上面側で70%以上、下面側で75%以上とする。
ここで、厚鋼板の上面側では、スプレー冷却後の冷却水は厚鋼板上の乗り水となるので、冷却面積はほぼ100%となる。したがって、各ノズルからの噴射領域に隙間を設け、乗り水がその隙間を通って厚鋼板幅方向両端から排出されるようにしてもよく、冷却水を直接供給する直射部の面積は70%以上あればよい。
これに対し、厚鋼板の下面側では、供給後の冷却水は下方へ落下するために、冷却水を直接供給する部分だけでしか冷却されないので、この直射部を上面側よりも多い75%以上となるようにする。なお、テーブルロールが陰となる部分もあるので、噴霧状の冷却水を直接供給する面積を100%とすることはかなり難しく、75%以上あればよい。さらに、幅方向に冷却水が供給されない部分があると冷却が幅方向に不均一となり硬度むらが発生するため、少なくともノズル列内では隣り合うノズル同士の直射部の領域をある程度重複させて幅方向に連続させることが好ましい。
一方、ラミナー冷却設備2では、内径3〜8mmの円管ノズルから鋼板上下面に棒状冷却水を供給する。内径が3mm未満だと、ノズル詰まりが発生しやすくなり、内径が8mmを超えると、冷却水の噴射速度が遅くなって、冷却能力が低下するので円管ノズルの内径は3〜8mmとした。
ラミナー冷却では、平均冷却速度を60〜160℃/sとして、マルテンサイト変態開始温度まで冷却を行う。平均冷却速度が60℃/s未満では、冷却速度が低く、強度を確保できない場合があり、平均冷却速度が160℃/s超えでは、冷却速度が高すぎるので、厚鋼板の表層がフルマルテンサイト組織になるおそれがあり、表面硬度が許容上限を超える箇所が散発的に見られるようになるからである。
前記の冷却速度を得るため、水量密度は、0.6〜4.0m/m ・minとする。
なお、本稿において厚鋼板表層での平均冷却速度とは、厚鋼板表面から1mm深さの位置で水冷開始から終了までの平均冷却速度として定義するもので、厚鋼板の厚み、搬送速度、冷却前後での温度の実績などから計算して求めればよい。ちなみに、厚鋼板の最表面にはスケール層や脱炭層があるので、それよりも少し内部である1mm深さでの硬度が品質管理されることが多いので、この位置での冷却速度を代表値として評価するのが好ましい。
以上説明したスプレー冷却設備1とラミナー冷却設備2の組合せにより、厚鋼板を低速で搬送しながら冷却する場合であっても、局所的な硬度むらの発生を抑制することができる。
ところで、ラミナー冷却設備2には、図6に示すように、上面ラミナー冷却ヘッダ5aと厚鋼板9との間に鋼板幅方向に渡って水平に設置された多数の貫通孔を有する隔壁21を備えることが好ましい。
隔壁21には、多数の貫通孔が碁盤の目状に多数形成されており、所定の貫通孔に、上ラミナーノズル6aが千鳥状に挿通され、上ラミナーノズル6aが挿通された貫通孔の下端開口部が給水口22とされている。また、上ラミナーノズル6aが挿通されていない貫通孔の下端開口部が排水口23とされている。そして、図6に示すように、上ラミナーノズル6aから給水口22を介して供給された冷却水24は、厚鋼板9の上面を冷却して高温の排水25となり、排水口23を介して隔壁21の上方に流れていくようになっている。
ここで、隔壁21がない場合、厚鋼板の上面に供給された冷却水24は、厚鋼板の上面を幅方向に流れて排水されることとなるため、特に板幅端部付近において、この排水の流れが、上ラミナーノズル6aからの冷却水24が厚鋼板の上面に達するのを阻害し、板幅端部付近の冷却能力が低下する。
これに対し、隔壁21があると、冷却後の排水25は厚鋼板の上面から隔壁21の上方へ速やかに排除されるので、上ラミナーノズル6aから噴出される冷却水24が順次厚鋼板に接触して十分な冷却能力が得られる。特に、貫通孔が給水口22と排水口23とに機能分担して設けられているため、冷却水及び冷却排水の流れが円滑となる。
さらに、上ラミナーノズルの先端は隔壁21の貫通孔に挿通されているため、隔壁21の上方を幅方向へ流れる排水25が上ラミナーノズル6aから噴出される冷却水24と干渉することがなく、幅方向に均一な冷却を行なうことができる。したがって、図3に示すような局所的な硬度上昇14を抑えるだけでなく、幅方向の温度分布が均一となり、幅方向全体に極めて均一な強度分布を得ることができる。
以下、本発明の一実施例として、厚板圧延のプロセスにおいて、降伏応力355MPaクラスで表面のビッカース硬さの上限が350の造船用鋼板の冷却を行う場合について、図面に基づいて説明する。
図7に概略を示す厚板圧延設備において、加熱炉から抽出されたスラブを圧延機によって、成形、幅出し圧延を行った後、粗圧延を行い、さらに仕上圧延を行って板厚を60mm、板幅を4.5mとした。仕上圧延直後に測定した鋼板表面温度、すなわち仕上温度は820℃であった。この後に、ホットレベラを通して、加速冷却設備において加速冷却を行った。冷却開始温度800℃から冷却終了温度(加速冷却設備出側で復熱後の温度を測定した値)400℃まで冷却を行った。この時の搬送速度は、0.2m/sであった。
本発明例として、図1に示す前記実施形態で説明した冷却設備を用いた。本発明例の冷却設備は、テーブルロール間(距離は1m)を1ゾーンとして、最上流の2ゾーンでスプレーノズルから鋼板上下面に噴霧状の冷却水を供給した。その後、10ゾーンでラミナーノズルから鋼板上下面に棒状冷却水を供給した。スプレー冷却ゾーンでは、鋼板上面に0.6m/m ・min、鋼板下面に0.9m/m ・min、ラミナー冷却ゾーンでは、鋼板上面に2.0m/m・min、鋼板下面に3.0m/m ・minの水量密度で冷却水を供給した。
スプレーノズルは、図2に示すように、噴射領域が正方形となるスクエアタイプのノズルを使用し、テーブルロール間距離1mのゾーン内でノズルを長手方向に2列並べた。1本のノズルで搬送方向400mm、幅方向400mmの領域に冷却水を供給し、この時、隣り合うノズルからの噴射領域が幅方向にある程度重複するようにした。
なお、噴霧状の冷却水が厚鋼板表面に直接供給される直射部の面積は、スプレー冷却設備内で厚鋼板の上下面ともに80%の面積であった。
ラミナー冷却ノズルは、内径5mm、外径9mm、長さ170mmとし、冷却水噴射速度を8.9m/sとした。鋼板幅方向のノズルピッチは50mmとして、テーブルロール間距離1mのゾーン内でノズルを長手方向に10列並べた。
2ゾーンでスプレー冷却を行った直後の表面温度は、(計算では)600℃であった。スプレー冷却ゾーンを通過する時間は5sだったので、表層の平均冷却速度は40℃/sであった。
その結果、荷重10kgのビッカース硬度計を用いて測定した厚鋼板表層の幅方向の表面硬度(表面から1mmの深さでのビッカース硬さ)分布は、図4のようにほぼ均一となり、最大で280となった。
また、図6に示すラミナー冷却設備に隔壁を備えた場合についても同様の冷却を行った結果、幅方向の表面硬度分布は、図4のようにほぼ均一となり、最大で280となった。また、幅方向の強度分布も極めて均一となった。
これに対し、比較例として、特許文献1に記載された従来のラミナー設備で、冷却を行った。ノズルの直下を通過した部分で、硬度が増加し、幅方向の表面硬度(表面から1mmの深さでのビッカース硬さ)分布は、図3のようになり、最大で380になった。硬さの許容上限を上回らないように、Cおよび合金成分を変更したので、製造コストが増加した。
1 スプレー冷却設備
2 ラミナー冷却設備
3 スプレー冷却ヘッダ
3a 上面スプレー冷却ヘッダ
3b 下面スプレー冷却ヘッダ
4 スプレーノズル
4a 上スプレーノズル
4b 下スプレーノズル
5 ラミナー冷却ヘッダ
5a 上面ラミナー冷却ヘッダ
5b 下面ラミナー冷却ヘッダ
6 ラミナーノズル
6a 上ラミナーノズル
6b 下ラミナーノズル
7 水切りロール
8 テーブルロール
9 厚鋼板
10 滞留水
11 ノズル
12 噴射領域
13 テーブルロール軸心
14 ラミナーノズル直射位置
21 隔壁
22 給水口
23 排水口
24 噴射冷却水
25 排出水

Claims (5)

  1. 厚鋼板の熱間圧延ラインに設置される冷却設備であって、厚鋼板の上下面に冷却水を供給するヘッダと、該ヘッダから突出して設けられ噴霧状の冷却水を噴射するスプレーノズルとを備えたスプレー冷却設備と、該スプレー冷却設備に続けて鋼板搬送方向下流側に配置され、厚鋼板の上下面に冷却水を供給するヘッダと、該ヘッダから突出して設けられ棒状冷却水を噴射するラミナーノズルとを備えたラミナー冷却設備とを備え、前記スプレー冷却設備とラミナー冷却設備との間に、厚鋼板上面に滞留する冷却水を堰き止める水切りロールを設けたことを特徴とする厚鋼板の冷却設備。
  2. 前記スプレー冷却設備の厚鋼板搬送方向長さを0.5〜2m、スプレーノズルから厚鋼板上下面に供給される噴霧冷却水の水量密度を0.4〜1.2m/m ・minとし、前記ラミナー冷却設備のラミナーノズルの内径を3〜8mm、該ラミナーノズルから厚鋼板上下面に供給される棒状冷却水の水量密度を0.6〜4.0m/m・minとすることを特徴とする請求項1に記載の厚鋼板の冷却設備。
  3. 前記スプレー冷却設備内の厚鋼板表面にスプレーノズルから噴霧状の冷却水が直接供給される直射部の面積が、厚鋼板の上面側で70%以上、下面側で75%以上であり、かつ、厚鋼板下面側の前記直射部が厚鋼板の幅方向に連続していることを特徴とする請求項1または2に記載の厚鋼板の冷却設備。
  4. 搬送速度0.1〜0.6m/sの熱間圧延後の厚鋼板の表面に、厚鋼板搬送方向に0.5〜2mの長さに亘るスプレー冷却設備のスプレーノズルから噴霧冷却水を噴霧し、Ar変態点温度以上の温度から600℃までを、厚鋼板表層の平均冷却速度40〜120℃/sで冷却し、次いでラミナー冷却設備のラミナーノズルから棒状冷却水を噴射して厚鋼板表層の平均冷却速度60〜160℃/sで、マルテンサイト変態開始温度まで冷却することを特徴とする厚鋼板の冷却方法。
  5. 前記スプレー冷却設備内の厚鋼板表面に噴霧状の冷却水が直接供給される直射部の面積が、厚鋼板の上面側で70%以上、下面側で75%以上となり、かつ、厚鋼板下面側の前記直射部が厚鋼板幅方向に連続するように、前記スプレー冷却設備のスプレーノズルから噴霧冷却水を噴霧することを特徴とする請求項4記載の厚鋼板の冷却方法。
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