JP2011020377A - インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】画像部のカックル状態を改善しつつ、インク水分の乾燥性能を向上させることができるインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法を提供することを目的とする。
【解決手段】記録媒体124上にインクを打滴し、画像を形成するインクジェットヘッド172と、インク打滴後の記録媒体124を搬送体176に載せ搬送する搬送手段と、
搬送体176と記録媒体124を、画像が形成された印字面側から加熱する加熱手段178と、を有し、搬送体176は、記録媒体124の印字面の反対側から負圧吸引するための複数の吸着穴を搬送体表面に有し、吸着穴の開口率が、搬送体176と記録媒体124の接触面積に対し、5%以上75%以下であることを特徴とするインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法である。
【選択図】図1
【解決手段】記録媒体124上にインクを打滴し、画像を形成するインクジェットヘッド172と、インク打滴後の記録媒体124を搬送体176に載せ搬送する搬送手段と、
搬送体176と記録媒体124を、画像が形成された印字面側から加熱する加熱手段178と、を有し、搬送体176は、記録媒体124の印字面の反対側から負圧吸引するための複数の吸着穴を搬送体表面に有し、吸着穴の開口率が、搬送体176と記録媒体124の接触面積に対し、5%以上75%以下であることを特徴とするインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法である。
【選択図】図1
Description
本発明はインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法に係り、特に、画像部のカックル状態を改善しつつ、インク水分の乾燥性を向上させることができるインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法に関する。
記録媒体の記録面にインク滴を着弾することにより記録を行うインクジェット記録装置が、プリンタ、ファクシミリ、複写装置などの画像記録装置あるいは画像形成装置として一般的に広く普及している。水性インクを用いるインクジェット記録方法では、記録媒体にインク滴を吐出して着弾させるため、紙などの記録媒体には、インク水分がしみ込むことによりカックル(記録媒体の吸収により、記録媒体が膨張変形する)と呼ばれる現象が生じ、この現象により記録品位を低下させている。
特に、インクジェットプリンタの高解像度化、高速記録化に伴い、インクジェットヘッドは吐出口が高密度に配列され、かつ、吐出口の数が多くなり、長尺化の傾向にある。このように、高密度に配列され、固定化された長尺ヘッドを用いて1回のパスで高速印刷を行うシステムの場合、従来に比べ記録媒体自体の浮きなどが記録に影響を及ぼすため確実に高精度で記録媒体を搬送する手段が必要であり、記録媒体を印字後にカックルを抑制し、高速化での乾燥性能の向上を図る必要がある。
このような問題に対して、例えば、下記の特許文献1では、印字後の記録媒体上のインクを短時間で確実に乾燥させるために、回転ドラムに記録媒体を吸着搬送しつつ乾燥する手段を備えた装置が記載されている。また、下記の特許文献2および3には、吸着部を規定した画像記録装置および画像形成装置が記載されている。さらに、特許文献4には、インクジェットヘッドと印字媒体とのギャップ距離を一定に確保、印字面に触れずに印字媒体を搬送し、印字可能な領域をできるだけ大きく取りつつ、さらに印字された記録液を速やかに乾燥させることを目的に、静電吸着板ないしは静電吸着フィルムに印字媒体を静電気力で吸着させ、吸着搬送を行い、面状ヒータなどを直接形成するか多少離れた位置にハロゲンランプなどの加熱手段を併設することが提案されている。
しかしながら、特許文献1は、カックルを制御する手段については記載されておらず、そのため、カックルを抑制するための好ましい構成については検討されていなかった。同様に、特許文献2は紙の搬送位置・サイズによる吸着性を目的としたものであり、特許文献3は、ベルトの走行安定性確保を目的としたものであり、カックル抑制や乾燥性能向上を目的としたものではないため、カックル抑制や乾燥性を向上させるために適した構成は検討されていなかった。また、特許文献4は、主に静電吸着力を使用する方式であり、紙の拘束力が不足し、吸水による記録媒体の膨張変形を充分に抑止できていなかった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、画像部のカックル状態を改善しつつ、インク水分の乾燥性能を向上させることができるインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法を提供することを目的とする。
本発明の請求項1は、前記目的を達成するために、記録媒体上にインクを打滴し、画像を形成するインクジェットヘッドと、前記インク打滴後の記録媒体を搬送体に載せ搬送する搬送手段と、前記搬送体と前記記録媒体を、前記画像が形成された印字面側から加熱する加熱手段と、を有し、前記搬送体は、前記記録媒体の印字面の反対側から負圧吸引するための複数の吸着穴を該搬送体表面に有し、該吸着穴の開口率が、該搬送体と該記録媒体の接触面積に対し、5%以上75%以下であることを特徴とするインクジェット記録装置を提供する。
請求項1によれば、記録媒体を印字面の反対側から負圧吸引しているため、記録媒体を搬送体に拘束した状態で乾燥することができるので、記録媒体の変形を抑制しつつ、インク中に含まれる水分の乾燥性能を向上させることができる。また、開口率を上記範囲とすることにより、吸着力および搬送体からの加熱により記録媒体の変形を抑止するとともに、充分な乾燥性能を得ることができる。開口率が5%未満であると、記録後の吸水による記録媒体の膨張変形を充分に抑止することができない。また、75%を越えると、記録媒体の裏面と搬送体表面との接触面積が低下し、充分な乾燥性能が得られないため好ましくない。
請求項2は請求項1において、前記吸着穴の開口率が10%以上50%以下であることを特徴とする。
請求項2は、吸着穴の開口率のさらに好ましい範囲を規定したものであり、開口率を上記範囲とすることにより、さらに、記録媒体の変形抑制性能、乾燥性能を向上させることができる。
請求項3は請求項1または2において、前記搬送体を、前記記録媒体が搬送される前に所定の温度に制御する制御手段を備えることを特徴とする。
請求項3によれば、記録媒体を搬送する前に、所定の温度に加熱しておくことができるので、記録媒体の乾燥を促進することができ、カックルを抑制することができる。
請求項4は請求項1から3いずれかにおいて、前記搬送体は、前記記録媒体の印字面の反対側から加熱する第2の加熱手段を備えることを特徴とする。
請求項4によれば、搬送体に記録媒体の印字面の反対側から第2の加熱手段で加熱しているため、搬送体の表面温度および記録媒体の温度低下を防止するとともに、温度の均一化を図ることができるので、水分を均一に乾燥させることができ、カックルを抑制することができる。
請求項5は請求項1から4いずれかにおいて、前記記録媒体の印字面が凸側に湾曲保持した状態で搬送することを特徴とする。
請求項5によれば、記録媒体の印字面を凸側に湾曲保持した状態で吸着搬送することにより、裏面への密着保持力を向上させることができるので、カックルなどの記録媒体の変形を抑止することができる。
請求項6は請求項1から5いずれかにおいて、前記インクの打滴時に、前記記録媒体を搬送する第2の搬送体を備え、前記搬送体と前記第2の搬送体が、それぞれ独立していることを特徴とする。
請求項6によれば、搬送体と第2の搬送体をそれぞれ独立した構造とすることにより、インク打滴時と、記録媒体の加熱時で、異なる条件で、吸引および加熱を行うことができるので、各々好ましい条件で行うことができる。
請求項7は請求項1から6いずれかにおいて、前記インク中の成分を凝集または増粘させる機能を有する処理液を前記記録媒体上に付与する処理液付与手段を備えることを特徴とする。
請求項7によれば、記録媒体にインクを付与する前に、インク中の成分を凝集または増粘させる機能を有する処理液を付与しているため、インク溶媒が記録媒体に浸透することを遅くすることができる。したがって、乾燥部における乾燥性能を向上させることができるので、記録媒体の変形を抑制することができる。
請求項8は請求項1から7いずれかにおいて、前記記録媒体がコート紙であることを特徴とする。
請求項8によれば、記録媒体としてコート紙を用いているので、インク溶媒がコート紙に浸透することを遅くすることができる。したがって、乾燥部における乾燥性能を向上させることができるので、記録媒体の変形を抑制することができる。
請求項9は請求項1から8いずれかにおいて、前記インクジェットヘッドがフルライン型のインクジェットヘッドであることを特徴とする。
本発明によれば、記録媒体の変形を抑制し、乾燥性能を向上させることができるので、高速印字が可能となり、フルライン型のインクジェットヘッドを用いた印字方法においても好適に用いることができる。
請求項10は請求項1から9において、前記インクが熱可塑性樹脂微粒子を含むことを特徴とする。
請求項10によれば、インク中に熱可塑性樹脂微粒子を含んでいるため、乾燥を行うことにより、画像強度を向上させることができる。
請求項11は請求項10において、前記記録媒体の搬送方向に対して、前記加熱手段の次に、該記録媒体を加熱・加圧する定着手段を備えることを特徴とする。
請求項11によれば、加熱手段の次に、定着手段を備えているため、定着手段で熱を加えることにより、画像強度を向上させることができる。
請求項12は請求項1から9いずれかにおいて、前記インクがUV硬化性モノマーを含み、UV照射による定着手段を備えることを特徴とする。
請求項12によれば、インク中にUV硬化性モノマーを含み、UV照射により画像を定着させることができるので、画像強度を向上させることができるとともに、消費エネルギーを減らすことができる。
本発明の請求項13は、前記目的を達成するために、記録媒体上にインクを打滴し、画像を形成するインク吐出工程と、前記インク打滴後の記録媒体を搬送体に載せ搬送する搬送工程と、前記搬送体と画像形成後の前記記録媒体を、前記画像が形成された印字面側から加熱する乾燥工程と、前記搬送体を、前記記録媒体が搬送される前に所定の温度に制御する制御手段と、を有し、前記搬送体は、前記記録媒体の印字面の反対側から負圧吸引するための複数の吸着穴を該搬送体表面に有し、該吸着穴の開口率が、該搬送体と該記録媒体の接触面積に対し、5%以上75%以下であることを特徴とするインクジェット記録方法を提供する。
請求項13は、上記記載のインクジェット記録装置をインクジェット記録方法として展開したものであり、請求項13によれば、上記記載のインクジェット記録装置と同様の効果を得ることができる。
本発明のインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法によれば、記録媒体を印字面の反対側から負圧吸引しているため、記録媒体を搬送体に拘束した状態で乾燥することができる。したがって、記録媒体の変形を抑制しつつ、インク中に含まれる水分の乾燥性能を向上させることができる。
以下、添付図面に従って、本発明に係るインクジェット記録装置の好ましい実施の形態について説明する。
[インクジェット記録装置の全体構成]
図1は、本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置の構成図である。このインクジェット記録装置100は、描画部116の圧胴(描画ドラム170)に保持された記録媒体124(便宜上「用紙」と呼ぶ場合がある。)にインクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yから複数色のインクを打滴して所望のカラー画像を形成する圧胴直描方式のインクジェット記録装置であり、インクの打滴前に記録媒体124上に処理液(ここでは凝集処理液)を付与し、処理液とインク液を反応させて記録媒体124上に画像形成を行う2液反応(凝集)方式が適用されたオンデマンドタイプの画像形成装置である。
図1は、本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置の構成図である。このインクジェット記録装置100は、描画部116の圧胴(描画ドラム170)に保持された記録媒体124(便宜上「用紙」と呼ぶ場合がある。)にインクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yから複数色のインクを打滴して所望のカラー画像を形成する圧胴直描方式のインクジェット記録装置であり、インクの打滴前に記録媒体124上に処理液(ここでは凝集処理液)を付与し、処理液とインク液を反応させて記録媒体124上に画像形成を行う2液反応(凝集)方式が適用されたオンデマンドタイプの画像形成装置である。
図示のように、インクジェット記録装置100は、主として、給紙部112、処理液付与部114、描画部116、乾燥部118、定着部120、及び排出部122を備えて構成される。
(給紙部)
給紙部112は、記録媒体124を処理液付与部114に供給する機構であり、当該給紙部112には、枚葉紙である記録媒体124が積層されている。給紙部112には、給紙トレイ150が設けられ、この給紙トレイ150から記録媒体124が一枚ずつ処理液付与部114に給紙される。
給紙部112は、記録媒体124を処理液付与部114に供給する機構であり、当該給紙部112には、枚葉紙である記録媒体124が積層されている。給紙部112には、給紙トレイ150が設けられ、この給紙トレイ150から記録媒体124が一枚ずつ処理液付与部114に給紙される。
本例のインクジェット記録装置100では、記録媒体124として、紙種や大きさ(用紙サイズ)の異なる複数種類の記録媒体124を使用することができる。給紙部112において各種の記録媒体をそれぞれ区別して集積する複数の用紙トレイ(不図示)を備え、これら複数の用紙トレイの中から給紙トレイ150に送る用紙を自動で切り換える態様も可能であるし、必要に応じてオペレータが用紙トレイを選択し、若しくは交換する態様も可能である。なお、本例では、記録媒体124として、枚葉紙(カット紙)を用いるが、連続用紙(ロール紙)から必要なサイズに切断して給紙する構成も可能である。
(処理液付与部)
処理液付与部114は、記録媒体124の記録面に処理液を付与する機構である。処理液は、描画部116で付与されるインク中の色材(本例では顔料)を凝集させる色材凝集剤を含んでおり、この処理液とインクとが接触することによって、インクは色材と溶媒との分離が促進される。
処理液付与部114は、記録媒体124の記録面に処理液を付与する機構である。処理液は、描画部116で付与されるインク中の色材(本例では顔料)を凝集させる色材凝集剤を含んでおり、この処理液とインクとが接触することによって、インクは色材と溶媒との分離が促進される。
図1に示すように、処理液付与部114は、給紙胴152、処理液ドラム154、及び処理液塗布装置156を備えている。処理液ドラム154は、記録媒体124を保持し、回転搬送させるドラムである。処理液ドラム154は、その外周面に爪形状の保持手段(グリッパー)155を備え、この保持手段155の爪と処理液ドラム154の周面の間に記録媒体124を挟み込むことによって記録媒体124の先端を保持できるようになっている。処理液ドラム154は、その外周面に吸着穴を設けるとともに、吸着穴から吸引を行う吸引手段を接続してもよい。これにより記録媒体124を処理液ドラム154の周面に密着保持することができる。
処理液ドラム154の外側には、その周面に対向して処理液塗布装置156が設けられる。処理液塗布装置156は、処理液が貯留された処理液容器と、この処理液容器の処理液に一部が浸漬されたアニックスローラと、アニックスローラと処理液ドラム154上の記録媒体124に圧接されて計量後の処理液を記録媒体124に転移するゴムローラとで構成される。この処理液塗布装置156によれば、処理液を計量しながら記録媒体124に塗布することができる。
本実施形態では、ローラによる塗布方式を適用した構成を例示したが、これに限定されず、例えば、スプレー方式、インクジェット方式などの各種方式を適用することも可能である。
処理液付与部114で処理液が付与された記録媒体124は、処理液ドラム154から中間搬送部126を介して描画部116の描画ドラム170へ受け渡される。
(描画部)
描画部116は、描画ドラム(第2の搬送体)170、用紙抑えローラ174、及びインクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yを備えている。描画ドラム170は、処理液ドラム154と同様に、その外周面に爪形状の保持手段(グリッパー)171を備える。描画ドラム170に固定された記録媒体124は、記録面が外側を向くようにして搬送され、この記録面にインクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yからインクが付与される。
描画部116は、描画ドラム(第2の搬送体)170、用紙抑えローラ174、及びインクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yを備えている。描画ドラム170は、処理液ドラム154と同様に、その外周面に爪形状の保持手段(グリッパー)171を備える。描画ドラム170に固定された記録媒体124は、記録面が外側を向くようにして搬送され、この記録面にインクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yからインクが付与される。
インクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yはそれぞれ、記録媒体124における画像形成領域の最大幅に対応する長さを有するフルライン型のインクジェット方式の記録ヘッド(インクジェットヘッド)とすることが好ましい。インク吐出面には、画像形成領域の全幅にわたってインク吐出用のノズルが複数配列されたノズル列が形成されている。各インクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yは、記録媒体124の搬送方向(描画ドラム170の回転方向)と直交する方向に延在するように設置される。
描画ドラム170上に密着保持された記録媒体124の記録面に向かって各インクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yから、対応する色インクの液滴が吐出されることにより、処理液付与部114で予め記録面に付与された処理液にインクが接触し、インク中に分散する色材(顔料)が凝集され、色材凝集体が形成される。これにより、記録媒体124上での色材流れなどが防止され、記録媒体124の記録面に画像が形成される。
なお、本例では、CMYKの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色や色数の組合せについては本実施形態に限定されず、必要に応じて淡インク、濃インク、特別色インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタなどのライト系インクを吐出するインクジェットヘッドを追加する構成も可能であり、各色ヘッドの配置順序も特に限定はない。
描画部116で画像が形成された記録媒体124は、描画ドラム170から中間搬送部128を介して乾燥部118の乾燥ドラム176へ受け渡される。
(乾燥部)
乾燥部118は、色材凝集作用により分離された溶媒に含まれる水分を乾燥させる機構であり、図1に示すように、乾燥ドラム(搬送体)176、及び溶媒乾燥装置178を備えている。
乾燥部118は、色材凝集作用により分離された溶媒に含まれる水分を乾燥させる機構であり、図1に示すように、乾燥ドラム(搬送体)176、及び溶媒乾燥装置178を備えている。
乾燥ドラム176は、処理液ドラム154と同様に、その外周面に爪形状の保持手段(グリッパー)177を備え、この保持手段177によって記録媒体124の先端を保持できるようになっている。
溶媒乾燥装置178は、乾燥ドラム176の外周面に対向する位置に配置され、IRヒータ182と、IRヒータ182の間に配置された温風噴出しノズル180とで構成される。
温風噴出しノズル180から記録媒体124に向けて吹き付けられる温風の温度と風量、各IRヒータ182の温度を適宜調節することにより、様々な乾燥条件を実現することができる。
乾燥ドラム176は、その外周面に記録媒体124を保持して回転搬送させるドラムであり、モータドライバ(図示せず)によってその回転が駆動制御される。記録媒体124は、保持手段によって先端が保持された状態で、乾燥ドラム176を回転させることによって回転搬送される。その際、記録媒体124の記録面が外側を向くようにして搬送され、この記録面に対して温風噴出しノズル180、IRヒータ182による乾燥処理が行われる。
温風噴出しノズル180は、所定の温度(たとえば50℃〜70℃)に制御された温風を一定の風量(12m3/分)で記録媒体124に向けて吹き付けるように構成され、IRヒータ182はそれぞれ所定の温度(たとえば180℃)に制御される。これらの温風噴出しノズル180、IRヒータ182によって、乾燥ドラム176に保持された記録媒体124の印字面に含まれる水分が蒸発され、乾燥処理が行われる。その際、乾燥部118の乾燥ドラム176は、描画部116の描画ドラム170に対して構造上分離しているので、インクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yにおいて、熱乾燥によるヘッドメニスカス部の乾燥によるインクの不吐出を低減することができる。また、乾燥部118の温度設定に自由度があり、最適な乾燥温度を設定することができる。
なお、蒸発した水分は不図示の排出手段によりエアとともに機外に排出するとよい。また、回収されたエアを冷却器(ラジエータ)などで冷却して、液体として回収してもよい。
本発明においては、乾燥ドラム176は、その外周面に吸着穴を設けるとともに、吸着穴から吸引を行う吸引手段を有している。これにより記録媒体124を乾燥ドラム176の周面に密着保持することができる。また、負圧吸引を行うことにより、記録媒体を搬送体に拘束することができるので、記録媒体のカックルを防止することができる。
また、乾燥ドラム176は、その外周面を所定の温度に制御することが好ましい。記録媒体124の裏面から加熱を行うことによって乾燥が促進され、定着時における画像破壊を防止することができる。乾燥ドラム176の表面温度の範囲は、50℃以上が好ましく、より好ましくは60℃以上である。また、上限については、特に限定されるものではないが、乾燥ドラム176の表面に付着したインクをクリーニングするなどのメンテナンス作業の安全性(高温による火傷防止)の観点から75℃以下が好ましい。
また、乾燥ドラム176は、記録媒体124が搬送される前に所定の温度に加熱しておくことが好ましい。乾燥ドラム176を加熱しておくことで、乾燥を促進させることができるので、画像破壊を防止するとともに、カックルを防止することができる。加熱温度は、上記乾燥ドラム176の表面温度と同じ温度範囲とすることが好ましい。
加熱は、吸引した際の温度低下を防止するため、吸引した状態で所定の温度とすることが好ましい。また、吸引しないで加熱を行う場合は、吸引した際の温度低下を考慮して、所定の温度より高い温度になるように加熱することが好ましい。
また、図1に示す装置のように、記録媒体124の記録面が外側を向くように(即ち、記録媒体124の記録面が凸側となるように湾曲させた状態で)保持し、回転搬送しながら乾燥することで、記録媒体124のシワや浮きの発生を防止でき、これらに起因する乾燥ムラを確実に防止することができる。
搬送体の吸着力は、(開口面積)×(単位面積あたりの圧力)で表すことができる。吸着力は、記録媒体吸着保持領域における吸着穴の占める面積、即ち、開口率を高くすることで、吸着力をより高くすることができる。
吸着穴の開口率は、搬送体と記録媒体の接触面積に対して、5%以上75%以下とすることが好ましく、より好ましくは10%以上50%以下である。開口率を上記範囲とすることにより、カックルの抑制防止と乾燥性能の向上を実現することができる。この開口率が5%未満であると、記録後の吸水による記録媒体の膨張変形を充分に抑止することができない。また、75%を越えると、記録媒体裏面と搬送体表面の接触面積が低下するため、吸着保持状態であっても充分な乾燥性能を得ることができない。また、乾燥が促進されなくなるため、カックルも悪化する傾向にある。
開口率は、吸着孔の径、孔ピッチ、孔の形状・配置により制御することができる。孔径は、開口率を確保し吸着力をUPさせるために0.5mm以上とすることが好ましく、負圧吸引による記録媒体の凹み痕(吸着痕)がつかないように、1.5mm以下に設計することが好ましい。また、孔ピッチP’は、搬送体表面部の熱変形の防止や剛性確保のため、0.1mm以上とすることが好ましく、孔の間が離れすぎると記録媒体変形抑止効果が不足するため、吸着時に皺が発生するので、この皺を防止するため10mm以下に設計することが好ましい。
吸着穴の形状は、角(鋭角)形状があると、角部に応力が集中するので、角部を丸めた形状とすることが好ましい。また、回転搬送体では、吸着圧力による記録媒体の変形量は周方向よりも軸方向のほうが大きくなる。したがって、図5に示すように、吸着穴は、周方向を長軸方向、軸方向を短軸方向とした楕円形状又は長穴形状とすることで、記録媒体の周方向の変形と軸方向の変形を均等にすることもできる。
吸着穴の配置としては、特に限定されないが、多数の吸着穴を高密度に配置するためには、例えば、図6に示すような六方格子が好ましい。
次に、真空吸着方式の具体的な構造について説明する。
図2は、乾燥ドラム176の全体構造を示す斜視図である。同図に示すように、乾燥ドラム176は、不図示の回転機構に連結され、軸受け11A,11Bにより支持される回転軸12の周りを、該回転機構の動作によって回転可能に構成される回転体部材である。
また、乾燥ドラム176の記録媒体124(図1参照)が保持(固定)される記録媒体保持面(周面)13には、記録媒体保持領域14(ドットハッチで図示した領域)が設けられて、記録媒体保持領域14には多数の吸着穴(開口)が設けられている。一方、乾燥ドラム176の軸方向(回転軸12と平行方向)の略中央部は、吸着穴が設けられていない非開口部16となっている。なお、図示の都合上、図2には各吸着穴を個別に図示しないが、図5に符号50で吸着穴を図示する。
図2に示す乾燥ドラム176の内部には、該吸着穴と連通する真空流路が設けられており、該真空流路は、乾燥ドラム176の側面に設けられた真空配管系18(配管、ジョイント等)及び、乾燥ドラム176の回転軸12の内部に設けられた真空流路を介して乾燥ドラム176の外部に設けられた真空ポンプ(図2中不図示、図10に符号442で図示:吸着圧力発生手段)に接続されている。該真空ポンプを動作させて真空(負圧)を発生させると、吸着穴及び真空流路等を介して記録媒体124に吸着圧力が付与される。即ち、乾燥ドラム176は、エア吸着方式により記録媒体保持面13である周面に記録媒体124が保持されるように構成されている。
次に、乾燥ドラム176内部の真空流路の構造について説明する。
図3は、乾燥ドラム176の内部構造を示す分解斜視図である。同図に示すように、乾燥ドラム176は、多数の吸着穴が設けられている吸着シート20と、各吸着穴と連通する複数の吸着溝22(開口部を有する流路形成部)が所定の配列パターンに従って設けられている中間シート24と、を含み、更に、ドラム吸着溝26(圧力発生部)を備えたドラム本体30を含んで構成されている。
更にまた、ドラム本体30に設けられたドラム吸着溝26の端部には、ドラム本体30の内部に設けられる不図示の真空流路と連通するドラム吸着穴28が設けられている。
図3に示すように、乾燥ドラム176は、ドラム本体30のドラム吸着溝26と中間シート24の絞り部(流路制御部)の位置合わせがされ、ドラム本体30の周面に中間シート24を巻きつけて密着させて固定するとともに、吸着シート20に設けられる吸着穴が中間シート24の何れかの吸着溝22と連通するように、中間シート24の吸着溝22と吸着シート20の吸着穴の位置合わせがされ、中間シート24の上に吸着シート20を巻きつけて密着させて固定した構造を有している。
吸着シート20に設けられる吸着穴の配置パターンは、中間シート24の吸着溝22のパターンに対応していることが好ましい。なお、吸着穴のうち、吸着溝22と連通しないものがあってもよい。
次に、吸着シート20について詳述する。
図4は吸着シート20の斜視図であり、図5は図4に示す吸着シート20の一部拡大図である。
図4に示すように、吸着シート20の記録媒体保持領域14には多数の吸着穴(図4中不図示、図5に符号50で図示)が所定の配置パターンに従って設けられている。また、吸着シート20の乾燥ドラム176の軸方向の略中央部は、吸着穴50が設けられていない非開口部16となっている。更に、吸着シート20の搬送ドラム10の周方向の両端は、ドラム本体30に固定するための折り返し構造(L字曲げ構造)となっている。
図5には、多数の吸着穴50を高密度に配置するために、吸着穴50が千鳥配置された態様を示す。もちろん、吸着穴50の配置には千鳥配置以外の配置パターンを適用してもよい。
次に、吸着シート20及び中間シート24の固定方法について説明する。
先ず、中間シート24の上に吸着シート20を重ねてドラム本体30に巻きつける。吸着シート20及び中間シート24に位置合わせ用のマーク、形状を設けておくことで、容易に、かつ、正確に2枚のシートの位置を合わせることが可能となる。
次に、吸着シート20の一方の折り曲げ構造及び中間シート24の折り曲げ構造をドラム本体30のグリッパー32に挿入し、固定する。吸着シート20の折り曲げ構造と、中間シート24の折り曲げ構造に切り欠きを設けておき、グリッパー32に該切り欠きと嵌合する凸部を設けておくことで、吸着シート20の一方の折り曲げ構造及び中間シート24の折り曲げ構造をドラム本体30のグリッパー32に挿入したときの、吸着シート20、中間シート24及びドラム本体30の位置合わせを容易、かつ、正確に行うことができる。
吸着シート20の他方の折り曲げ構造をドラム本体30の引張機構33に取り付けるとともに、引張機構33によって周方向に沿ってテンションをかける。中間シート24の折り曲げ構造が設けられていない側の端部は、吸着シート20とドラム本体30の間にはさんで密着させる。
このようにして、ドラム本体30の周面の曲面に沿って、吸着シート20及び中間シート24を密着させた状態で固定することができる。
本例では、2枚のシート(吸着シート20及び中間シート24)を組み合わせて、真空流路の一部を形成する態様を例示したが、吸着シート20及び中間シート24を共通化した1枚のシートに吸着穴50、吸着溝22及び絞り部(図示されていない)を形成してもよい。例えば、1枚のシートの一方の面に吸着穴50の加工を行い、他方の面に吸着溝22及び絞り部の加工を行うことで、吸着シート20及び中間シート24を1枚のシートで実現することも可能である。
なお、真空吸着方式の具体的な構造については、乾燥ドラム176について説明を行ったが、真空吸着方式を有するドラムは、他のドラム、例えば、処理液ドラム154、描画ドラム170に設けることもできる。描画ドラム170を真空吸着方式のドラムとした場合、乾燥ドラム176の開口率は描画ドラム170の開口率より低くすることが好ましい。描画ドラム170の開口率を高くすることにより、吸引力を上げることで、記録媒体124の変形を抑制し、記録媒体124がインクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yと接触することを防止することができる。また、乾燥ドラム176においては、カックルを抑制することができる範囲で、開口率を小さくすることで、乾燥性能を向上させることが好ましい。
乾燥部の搬送体表面の加熱手段としては、記録後の記録媒体を乾燥するために設けられた加熱手段で行ってもよく、あるいは、搬送体表面に対向して、乾燥用の加熱手段と違う位置に設けられた加熱手段を用いてもよい。また、搬送体表面の裏側あるいは内部に、加熱手段を設けて、裏面から直接加熱することにより、搬送体表面の温度制御を容易に行うことができるので、好ましい。記録媒体搬送時に記録媒体への吸熱によって搬送体表面の温度が低下することを抑制したり、表面温度の均一化を図ることができる。
乾燥部118で乾燥処理が行われた記録媒体124は、乾燥ドラム176から中間搬送部130を介して定着部120の定着ドラム184へ受け渡される。
(定着部)
定着部120は、定着ドラム184、ハロゲンヒータ186、定着ローラ188、及びインラインセンサ190で構成される。定着ドラム184は、処理液ドラム154と同様に、その外周面に爪形状の保持手段(グリッパー)185を備え、この保持手段185によって記録媒体124の先端を保持できるようになっている。
定着部120は、定着ドラム184、ハロゲンヒータ186、定着ローラ188、及びインラインセンサ190で構成される。定着ドラム184は、処理液ドラム154と同様に、その外周面に爪形状の保持手段(グリッパー)185を備え、この保持手段185によって記録媒体124の先端を保持できるようになっている。
定着ドラム184の回転により、記録媒体124は記録面が外側を向くようにして搬送され、この記録面に対して、ハロゲンヒータ186による予備加熱と、定着ローラ188による定着処理と、インラインセンサ190による検査が行われる。
ハロゲンヒータ186は、所定の温度(例えば、180℃)に制御される。これにより、記録媒体124の予備加熱が行われる。
定着ローラ188は、乾燥させたインクを加熱加圧することによってインク中の自己分散性熱可塑性樹脂微粒子を溶着し、インクを皮膜化させるためのローラ部材であり、記録媒体124を加熱加圧するように構成される。具体的には、定着ローラ188は、定着ドラム184に対して圧接するように配置されており、定着ドラム184との間でニップローラを構成するようになっている。これにより、記録媒体124は、定着ローラ188と定着ドラム184との間に挟まれ、所定のニップ圧(例えば、0.15MPa)でニップされ、定着処理が行われる。
また、定着ローラ188は、熱伝導性の良いアルミなどの金属パイプ内にハロゲンランプを組み込んだ加熱ローラによって構成され、所定の温度(たとえば60〜80℃)に制御される。この加熱ローラで記録媒体124を加熱することによって、インクに含まれる熱可塑性樹脂微粒子のTg温度(ガラス転移点温度)以上の熱エネルギーが付与され、熱可塑性樹脂微粒子が溶融される。これにより、記録媒体124の凹凸に押し込み定着が行われるとともに、画像表面の凹凸がレベリングされ、光沢性が得られる。
なお、図1の実施形態では、定着ローラ188を1つだけ設けた構成となっているが、画像層厚みや熱可塑性樹脂微粒子のTg特性に応じて、複数段設けた構成でもよい。
一方、インラインセンサ190は、記録媒体124に定着された画像について、チェックパターンや水分量、表面温度、光沢度などを計測するための計測手段であり、CCDラインセンサなどが適用される。
上記の如く構成された定着部120によれば、乾燥部118で形成された薄層の画像層内の熱可塑性樹脂微粒子が定着ローラ188によって加熱加圧されて溶融されるので、記録媒体124に固定定着させることができる。また、定着ドラム184の表面温度を50℃以上に設定することで、定着ドラム184の外周面に保持された記録媒体124を裏面から加熱することによって乾燥が促進され、定着時における画像破壊を防止することができるとともに、画像温度の昇温効果によって画像強度を高めることができる。
また、インク中にUV硬化性モノマーを含有させた場合は、乾燥部で水分を充分に揮発させた後に、UV照射ランプを備えた定着部で、画像にUVを照射することで、UV硬化性モノマーを硬化重合させ、画像強度を向上させることができる。
(排出部)
図1に示すように、定着部120に続いて排出部122が設けられている。排出部122は、排出トレイ192を備えており、この排出トレイ192と定着部120の定着ドラム184との間に、これらに対接するように渡し胴194、搬送ベルト196、張架ローラ198が設けられている。記録媒体124は、渡し胴194により搬送ベルト196に送られ、排出トレイ192に排出される。
図1に示すように、定着部120に続いて排出部122が設けられている。排出部122は、排出トレイ192を備えており、この排出トレイ192と定着部120の定着ドラム184との間に、これらに対接するように渡し胴194、搬送ベルト196、張架ローラ198が設けられている。記録媒体124は、渡し胴194により搬送ベルト196に送られ、排出トレイ192に排出される。
また、図には示されていないが、本例のインクジェット記録装置100には、上記構成の他、各インクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yにインクを供給するインク貯蔵/装填部、処理液付与部114に対して処理液を供給する手段を備えるとともに、各インクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yのクリーニング(ノズル面のワイピング、パージ、ノズル吸引等)を行うヘッドメンテナンス部や、用紙搬送路上における記録媒体124の位置を検出する位置検出センサ、装置各部の温度を検出する温度センサなどを備えている。
なお、図1においてはドラム搬送方式のインクジェット記録装置について説明したが、本発明はこれに限定されず、乾燥部において、搬送体表面から負圧吸引を行うための吸着穴を備えることができればよく、搬送体と第2の搬送体が一体となったベルト搬送方式のインクジェット記録装置などにおいても用いることができる。
[インクジェットヘッドの構造]
次に、インクジェットヘッドの構造について説明する。各色に対応するインクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yの構造は共通しているので、以下、これらを代表して符号250によってヘッドを示すものとする。
次に、インクジェットヘッドの構造について説明する。各色に対応するインクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yの構造は共通しているので、以下、これらを代表して符号250によってヘッドを示すものとする。
図7(a)はヘッド250の構造例を示す平面透視図であり、図7(b) はその一部の拡大図である。また、図8はヘッド250の他の構造例を示す平面透視図、図9は記録素子単位となる1チャンネル分の液滴吐出素子(1つのノズル251に対応したインク室ユニット)の立体的構成を示す断面図(図7中のA−A線に沿う断面図)である。
図7に示したように、本例のヘッド250は、インク吐出口であるノズル251と、各ノズル251に対応する圧力室252等からなる複数のインク室ユニット(液滴吐出素子)253をマトリクス状に2次元配置させた構造を有し、これにより、ヘッド長手方向(紙送り方向と直交する方向)に沿って並ぶように投影(正射影)される実質的なノズル間隔(投影ノズルピッチ)の高密度化を達成している。
記録媒体124の送り方向(矢印S方向;副走査方向)と略直交する方向(矢印M方向;主走査方向)に記録媒体124の全幅Wmに対応する長さ以上のノズル列を構成する形態は本例に限定されない。例えば、図7(a)の構成に代えて、図8に示すように、複数のノズル251が2次元に配列された短尺のヘッドモジュール250’を千鳥状に配列して繋ぎ合わせることで記録媒体124の全幅に対応する長さのノズル列を有するラインヘッドを構成してもよい。
各ノズル251に対応して設けられている圧力室252は、その平面形状が概略正方形となっており(図7(a)、(b)参照)、対角線上の両隅部の一方にノズル251への流出口が設けられ、他方に供給インクの流入口(供給口)254が設けられている。なお、圧力室252の形状は、本例に限定されず、平面形状が四角形(菱形、長方形など)、五角形、六角形その他の多角形、円形、楕円形など、多様な形態があり得る。
各圧力室252は供給口254を介して共通流路255と連通されている。共通流路255はインク供給源たるインクタンク(不図示)と連通しており、インクタンクから供給されるインクは共通流路255を介して各圧力室252に供給される。
圧力室252の一部の面(図9において天面)を構成する振動板248には、個別電極257を備えた圧電素子258が接合されている。本例の振動板248は、共通電極259として機能するニッケル(Ni)導電層付きのシリコン(Si)から成り、各圧力室252に対応して配置されるアクチュエータ(ここでは、圧電素子)258の共通電極を兼ねる。なお、樹脂などの非導電性材料によって振動板を形成する態様も可能であり、この場合は、振動板部材の表面に金属などの導電材料による共通電極層が形成される。また、ステンレス鋼(SUS)など、金属(導電性材料)によって共通電極を兼ねる振動板を構成してもよい。
個別電極257に駆動電圧を印加することによって圧電素子258が変形して圧力室252の容積が変化し、これに伴う圧力変化によりノズル251からインクが吐出される。インク吐出後、圧電素子258が元の状態に戻る際、共通流路255から供給口254を通って新しいインクが圧力室252に再充填される。
かかる構造を有するインク室ユニット253を図7(b)に示す如く、主走査方向に沿う行方向及び主走査方向に対して直交しない一定の角度θを有する斜めの列方向に沿って一定の配列パターンで格子状に多数配列させることにより、本例の高密度ノズルヘッドが実現されている。即ち、主走査方向に対してある角度θの方向に沿ってインク室ユニット253を一定のピッチdで複数配列する構造により、主走査方向については、実質的に各ノズル251が一定のピッチP=d×cosθで直線状に配列されたものと等価的に取り扱うことができる。
なお、本例では、ヘッド250に設けられたノズル251から吐出させるインクの吐出力発生手段として圧電素子258を適用したが、圧力室252内にヒータを備え、ヒータの加熱による膜沸騰の圧力を利用してインクを吐出させるサーマル方式を適用することも可能である。
また、本発明の実施に際してヘッド250におけるノズル251の配列形態は図示の例に限定されず、様々なノズル配置構造を適用できる。例えば、図7で説明したマトリクス配列に代えて、一列の直線配列、V字状のノズル配列、V字状配列を繰り返し単位とするジグザク状(W字状など)のような折れ線状のノズル配列なども可能である。
上述のように、記録媒体124の画像形成領域の全幅をカバーするノズル列を有するフルラインヘッドがインク色毎に設けられる構成によれば、描画ドラム170によって記録媒体124を一定の速度で搬送し、この搬送方向(副走査方向)について、記録媒体124と各インクジェットヘッド172M、172K、172C、172Yを相対的に移動させる動作を1回行うだけで(即ち1回の副走査で)、記録媒体124の画像形成領域に画像を記録することができる。かかるフルライン型(ページワイド)ヘッドによるシングルパス方式の画像形成は、記録媒体の搬送方向(副走査方向)と直交する方向(主走査方向)に往復動作するシリアル(シャトル)型ヘッドによるマルチパス方式を適用する場合に比べて高速印字が可能であり、プリント生産性を向上させることができる。
なお、本発明の適用範囲はライン型ヘッドによる印字方式に限定されず、記録媒体124の幅方向(主走査方向)の長さに満たない短尺のヘッドを記録媒体124の幅方向に走査させて当該幅方向の印字を行い、1回の幅方向の印字が終わると記録媒体124の幅方向と直交する方向(副走査方向)に所定量だけ移動させて、次の印字領域の記録媒体124の幅方向の印字を行い、この動作を繰り返して記録媒体124の印字領域の全面にわたって印字を行うシリアル方式を適用してもよい。
[制御系の説明]
図10は、本実施形態のインクジェット記録装置の制御系の概略構成を示すブロック図である。
図10は、本実施形態のインクジェット記録装置の制御系の概略構成を示すブロック図である。
同図に示すように、インクジェット記録装置100は、システムコントローラ400、通信インターフェース402、画像メモリ404、給紙制御部406、処理液付与制御部410、描画制御部412、乾燥制御部414、定着制御部416、排出制御部418、操作部420、表示部422等を備えている。
システムコントローラ400は、インクジェット記録装置100の各部を制御する制御部であるとともに、各種の演算処理を行う演算処理部であり、CPU、ROM、RAM等を備えて構成されている。このシステムコントローラ400は、所定の制御プログラムに従ってインクジェット記録装置100の各部を制御する。ROMには、このシステムコントローラ400が実行する制御プログラムや制御に必要な各種データが格納されている。
通信インターフェース402は、ホストコンピュータ430から送られてくる画像データを受信するインターフェース部である。ホストコンピュータ430から送出された画像データは、この通信インターフェース402を介してインクジェット記録装置100に取り込まれる。
画像メモリ404は、画像データを一時的に記憶する記憶手段であり、システムコントローラ400を通じてデータの読み書きが行われる。通信インターフェース402を介してホストコンピュータ430から取り込まれた画像データは、この画像メモリ404に格納される。
給紙制御部406は、システムコントローラ400からの指令に応じて給紙部112を構成する各部(給紙胴152等)の駆動を制御する。
処理液付与制御部410は、システムコントローラ400からの指令に応じて処理液付与部114を構成する各部(処理液ドラム154、処理液塗布装置156等)の駆動を制御する。
描画制御部412は、システムコントローラ400からの指示に従って描画部116を構成する各部(描画ドラム170、インクジェットヘッド172M、172K、172C、172Y等)の駆動を制御する。
乾燥制御部414は、システムコントローラ400からの指示に従って乾燥部118を構成する各部(乾燥ドラム176、溶媒乾燥装置178等)の駆動を制御する。また、乾燥ドラム176の温度を制御する。
定着制御部416は、システムコントローラ400からの指示に従って定着部120を構成する各部(定着ドラム184、ハロゲンヒータ186、定着ローラ188等)の駆動を制御する。
排出制御部418は、システムコントローラ400からの指示に従って排出部122を構成する各部(渡し胴194、搬送ベルト196等)の駆動を制御する。
操作部420は、所要の操作手段(操作ボタンやキーボード、タッチパネル等)を備え、その操作手段から入力された操作情報をシステムコントローラ400に出力する。
ポンプドライバ440は、乾燥ドラム176に記録媒体124を固定保持するための吸着圧力を発生させる真空ポンプ442の制御を行う。また、処理液ドラム154、描画ドラム170、定着ドラム184、中間搬送部126、128、130などに記録媒体124を固定保持するために真空ポンプ442を制御する。
システムコントローラ400が記録媒体124の種類の情報を取得すると、当該記録媒体124の情報がポンプドライバ440に送られる。ポンプドライバ440は、当該記録媒体124の情報に応じて吸着圧力を設定し、その設定および記録媒体吸着保持領域の開口率に従って真空ポンプ442のオンオフ及び発生圧力を制御する。
例えば、薄紙等の曲げ剛性の低い記録媒体124を用いる場合には、標準よりも吸着圧力を低く設定し、厚紙等の曲げ剛性の高い記録媒体124を用いる場合には、標準よりも吸着圧力を高く設定する。また、記録媒体124の厚みに応じて、厚い記録媒体124を用いる場合には、標準よりも吸着圧力を高く設定し、薄い記録媒体124を用いる場合には、標準よりも吸着圧力を低く設定する。なお、記録媒体124の種類(厚み、曲げ剛性)と吸着圧力を対応付けしてデータテーブル化しておき、所定のメモリに記憶しておくとよい。
表示部422は、所要の表示装置(LCDパネル等)を備え、システムコントローラ400からの指示に従って所要の情報を表示装置に表示させる。
上記のように、画像データは、ホストコンピュータ430から通信インターフェース402を介してインクジェット記録装置100に取り込まれ、画像メモリ404に格納される。システムコントローラ400は、この画像メモリ404に格納された画像データに所要の信号処理を施して、ドットデータを生成する。そして、生成したドットデータに従って描画部116のインクジェットヘッド172M、172K、172C、172Yの駆動を制御することにより、画像データが表す画像を記録媒体124に印刷する。
ドットデータは、一般に画像データに対して色変換処理、ハーフトーン処理を行って生成される。
色変換処理は、sRGBなどで表現された画像データ(たとえば、RGB8ビットの画像データ)をインクジェット記録装置で使用するインクの各色の色データ(本例では、KCMYの色データ)に変換する処理である。
ハーフトーン処理は、色変換処理により生成された各色の色データに対して誤差拡散等の処理で各色のドットデータ(本例では、KCMYのドットデータ)に変換する処理である。
システムコントローラ400は、画像データに対して色変換処理、ハーフトーン処理を行ってCMYKの各色のドットデータを生成する。そして、生成した各色のドットデータに従って、対応するインクジェットヘッド172M、172K、172C、172Yの駆動を制御することにより、画像データが表す画像を記録媒体124に印刷する。
[記録媒体]
本発明では、記録媒体の種類に依らず、高精度に画像を形成することができる。以下にあげる記録媒体を好適に使用することができ、インク溶媒の浸透が遅いコート紙に対して、特に好適に用いることができる。
本発明では、記録媒体の種類に依らず、高精度に画像を形成することができる。以下にあげる記録媒体を好適に使用することができ、インク溶媒の浸透が遅いコート紙に対して、特に好適に用いることができる。
市販の板紙、キャストコート紙、アート紙、コート紙、微コート紙、上質紙、コピー用紙、再生紙、合成紙、中質紙、感圧紙、エンボス紙、等のグロスあるいはマット紙が好適に使用され、インクジェット専用紙も使用できる。また樹脂フィルムや金属蒸着フォルム等も使用可能である。記録媒体の例としては、OKエルカード+(王子製紙社製)、SA金藤+(王子製紙社製)、サテン金藤N(王子製紙社製)、OKトップコート+(王子製紙社製)、ニューエイジ(王子製紙社製)、特菱アート両面N(三菱製紙社製)、特菱アート片面N(三菱製紙社製)、ニューVマット(三菱製紙社製)、オーロラコート(日本製紙社製)、オーロラL(日本製紙社製)、ユーライト(日本製紙社製)、リサイクルコートT-6(日本製紙社製)、リサイクルマットT-6(日本製紙社製)、アイベストW(日本板紙社製)、インバーコートM(SPAN CORPORATION社製)、ハイマッキンレーアート(五條製紙社製)、キンマリHi-L(北越製紙社製)、Signature True(Newpage corporation社製)、Sterling Ultra(Newpage corporation社製)、Anthem(Newpage corporation社製)、Hanno Art Silk(Sappi社製)、Hanno Art gross(Sappi社製)、Consort Royal Semimatt(Scheufelen社製)、Consort Royal Gross(Scheufelen社製)、Zanders Ikono Silk(m-real社製)、Zanders Ikono Gross(m-real社製)、の坪量60〜350g/m2のものが好適に使用される。
[インク]
本発明の実施に用いられるインクは、溶媒不溶性材料として、色材(着色剤)である顔料や熱可塑性樹脂微粒子などを含有する水性顔料インクが用いられる。
本発明の実施に用いられるインクは、溶媒不溶性材料として、色材(着色剤)である顔料や熱可塑性樹脂微粒子などを含有する水性顔料インクが用いられる。
溶媒不溶性材料の濃度は、吐出に適切な粘度20mPa・s以下を考慮して1wt%以上20wt%以下であることが好ましい。より好ましくは画像の光学濃度を得るために4wt%以上の顔料濃度である。
インクの表面張力は、吐出安定性を考慮して20mN/m以上40mN/m以下であることが好ましい。
インクに使用される色材は、顔料あるいは染料と顔料とを混合して用いることができる。処理液との接触時における凝集性の観点から、インク中で分散状態にある顔料の方がより効果的に凝集するため好ましい。顔料の中でも、分散剤により分散されている顔料、自己分散顔料、樹脂により顔料表面を被覆された顔料(マイクロカプセル顔料)、及び高分子グラフト顔料が特に好ましい。また、顔料凝集性の観点から、解離度の小さいカルボキシル基によって修飾されている形態がより好ましい。
本発明に用いる着色インク液には、処理液と反応する成分として、着色剤を含まない熱可塑性樹脂微粒子を添加することが好ましい。熱可塑性樹脂微粒子は、処理液との反応によりインクの増粘作用、凝集作用を強め、画像品位の向上させることができる。特に、アニオン性の熱可塑性樹脂微粒子をインクに含有せしめることにより、安全性の高いインクが得られる。
処理液と反応して、増粘・凝集作用を起こす熱可塑性樹脂微粒子をインクに用いることにより、画像の品位を高めることができると同時に、熱可塑性樹脂微粒子の種類によっては、熱可塑性樹脂微粒子が記録媒体で皮膜を形成し、画像の耐擦性、耐水性をも向上させる効果を有する。
ポリマーインクでの分散方法はエマルジョンに限定するものではなく、溶解していても、コロイダルディスパージョン状態で存在していてもよい。
熱可塑性樹脂微粒子は、乳化剤を用いて熱可塑性樹脂微粒子を分散させたものであっても、また、乳化剤を用いないで分散させたものであってもよい。乳化剤としては、通常、低分子量の界面活性剤が用いられているが、高分子量の界面活性剤を乳化剤として用いることもできる。外殻がアクリル酸、メタクリル酸などにより構成されたカプセル型の熱可塑性樹脂微粒子(粒子の中心部と外縁部で組成を異にしたコア・シェルタイプの熱可塑性樹脂微粒子)を用いることも好ましい。
インクに熱可塑性樹脂微粒子として添加する樹脂成分としては、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン系樹脂などが挙げられる。
熱可塑性樹脂微粒子への高速凝集性付与の観点から、解離度の小さいカルボン酸基を有するものがより好ましい。カルボン酸基はpH変化によって影響を受けやすいので、分散状態が変化しやすく、凝集性が高い。
熱可塑性樹脂微粒子のpH変化に対する分散状態の変化は、アクリル酸エステルなどのカルボン酸基を有する、熱可塑性樹脂微粒子中の構成成分の含有割合によって調整することができ、分散剤として用いるアニオン性の界面活性剤によっても調整可能である。
熱可塑性樹脂微粒子の樹脂成分は、親水性部分と疎水性部分とを併せ持つ重合体であるのが好ましい。疎水性部分を有することで、熱可塑性樹脂微粒子の内側に疎水部分が配向し、外側に親水部分が効率よく外側に配向され、液体のpH変化に対する分散状態の変化がより大きくなる効果があり、凝集がより効率よく行われる。
また、熱可塑性樹脂微粒子を、インク内に2種以上混合して含有させて使用してもよい。
本発明のインクに添加するpH調整剤としては中和剤として、有機塩基、無機アルカリ塩基を用いることができる。pH調整剤はインクジェット用インクの保存安定性を向上させる目的で、該インクジェット用インクがpH6〜10となるように添加するのが好ましい。
本発明のインクは、乾燥によってインクジェットヘッドのノズルが詰まるのを防止する目的から、水溶性有機溶媒を含有することが好ましい。このような水溶性有機溶媒には、湿潤剤及び浸透剤が含まれる。
水溶性有機溶媒としては、処理液の場合と同様に、例えば、多価アルコール類、多価アルコール類誘導体、含窒素溶媒、アルコール類、含硫黄溶媒等が挙げられる。
その他必要に応じ、界面活性剤、pH緩衝剤、酸化防止剤、防カビ剤、粘度調整剤、導電剤、紫外線吸収剤、等も添加することができる。
また、インク中にUV硬化性モノマーを含有させることで、乾燥部で水分を充分に揮発させた後に、UV照射ランプを備えた定着部で、画像にUVを照射することで、UV硬化性モノマーを硬化重合させ、画像強度を向上させることができる。
また、インク中にUV硬化性モノマーを含有させることで、乾燥部で水分を充分に揮発させた後に、UV照射ランプを備えた定着部で、画像にUVを照射することで、UV硬化性モノマーを硬化重合させ、画像強度を向上させることができる。
UV硬化性モノマーは、重合開始剤などから発生するラジカルなどの開始種により重合または架橋反応を生起し、これらを含有する組成物を硬化させる機能を有するものである。
UV硬化性モノマーは、ラジカル重合反応、二量化反応など公知の重合又は架橋反応を生起する重合性又は架橋性材料を適用することができる。例えば、少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物、マレイミド基を側鎖に有する高分子化合物、芳香核に隣接した光二量化可能な不飽和二重結合を有するシンナミル基、シンナミリデン基やカルコン基等を側鎖に有する高分子化合物などが挙げられる。中でも、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物がより好ましく、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、より好ましくは2個以上有する化合物(単官能又は多官能化合物)から選択されるものであることが特に好ましい。具体的には、本発明に係る産業分野において広く知られるものの中から適宜選択することができ、例えば、モノマー、プレポリマー(すなわち2量体、3量体及びオリゴマー)及びそれらの混合物、並びにそれらの共重合体などの化学的形態を持つものが含まれる。
UV硬化性モノマーは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明に用いることができるUV硬化性モノマーとしては、特に、ラジカル開始剤から発生する開始種により重合反応を起こさせる各種公知のラジカル重合性のモノマーを用いることが好ましい。
ラジカル重合性モノマーとしては、(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド類、芳香族ビニル類、ビニルエーテル類及び内部二重結合を有する化合物(マレイン酸など)等が挙げられる。ここで、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート」、「メタクリレート」の双方又はいずれかをさし、「(メタ)アクリル」は、「アクリル」、「メタクリル」の双方又はいずれかをさす。
<処理液について>
本発明の実施に際して用いる処理液(凝集処理液)として、インクのpHを変化させることにより、インクに含有される顔料および熱可塑性樹脂微粒子を凝集させ、凝集物を生じさせるような処理液が好ましい。
本発明の実施に際して用いる処理液(凝集処理液)として、インクのpHを変化させることにより、インクに含有される顔料および熱可塑性樹脂微粒子を凝集させ、凝集物を生じさせるような処理液が好ましい。
処理液の成分として、ポリアクリル酸、酢酸、グリコール酸、マロン酸、リンゴ酸、マレイン酸、アスコルビン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、スルホン酸、オルトリン酸、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ビリジンカルボン酸、クマリン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、若しくはこれらの化合物の誘導体、又はこれらの塩等の中から選ばれることが好ましい。
また、処理液の好ましい例として、多価金属塩あるいはポリアリルアミンを添加した処理液を挙げることができる。これらの化合物は、1種類で使用されてもよく、2種類以上併用されてもよい。
処理液はインクとのpH凝集性能の観点からpHは1〜6であることが好ましく、pHは2〜5であることがより好ましく、pHは3〜5であることが特に好ましい。
また、処理液は、乾燥によってインクジェットヘッドのノズルが詰まるのを防止する目的から、水、その他添加剤溶性有機溶媒を含有することが好ましい。このような水、その他添加剤溶性有機溶媒には、湿潤剤及び浸透剤が含まれる。これらの溶媒は、水,その他添加剤と共に単独若しくは複数を混合して用いることができる。
処理液には、定着性および耐擦性を向上させるため、樹脂成分を更に含有してもよい。樹脂成分は、処理液をインクジェット方式によって打滴する場合ヘッドからの吐出性を損なわないもの、保存安定性があるものであればよく、水溶性樹脂や樹脂エマルジョンなどを自由に用いることができる。
その他必要に応じ、界面活性剤、pH緩衝剤、酸化防止剤、防カビ剤、粘度調整剤、導電剤、紫外線吸収剤、等も添加することができる。
次に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
[インク組成物の調製]
顔料含有樹脂粒子の分散物 :39.2質量%
自己分散性熱可塑性樹脂微粒子の水分散物 :28.6質量%
GP−250(三洋化成工業) : 8.0質量%
トリプロピレンモノメチルエーテル : 8.0質量%
オルフィンE1010(日信化学工業(株)製) : 1.0質量%
尿素 : 5.0質量%
イオン交換水 : 残部
上記処方において、シアンインク組成物C−1、マゼンタインク組成物M−1、イエローインク組成物Y−1、ブラックインク組成物Bk−1を作製した。
顔料含有樹脂粒子の分散物 :39.2質量%
自己分散性熱可塑性樹脂微粒子の水分散物 :28.6質量%
GP−250(三洋化成工業) : 8.0質量%
トリプロピレンモノメチルエーテル : 8.0質量%
オルフィンE1010(日信化学工業(株)製) : 1.0質量%
尿素 : 5.0質量%
イオン交換水 : 残部
上記処方において、シアンインク組成物C−1、マゼンタインク組成物M−1、イエローインク組成物Y−1、ブラックインク組成物Bk−1を作製した。
[処理液の調整]
下記組成となるように、各成分を混合することで処理液を調製した、
マロン酸(和光純薬(株)製) :11.3質量%
リンゴ酸(和光純薬(株)製) :14.5質量%
DEGmBE(ジエチレングリコールモノブチルエーテル) : 7.5質量%
TEGmME(トリエチレングリコールモノメチルエーテル): 2.5質量%
イオン交換水 : 残部
[試験結果]
図1に記載の装置を用いて、孔の形状を真円状とし、孔径および孔ピッチを変えることによって開口率を制御した。シアンインク組成物C−1、マゼンタインク組成物M−1、イエローインク組成物Y−1、ブラックインク組成物Bk−1により、菊半サイズ(636mm×469mm)の記録媒体(OKトップコート+、坪量:104.7g/m2)(王子製紙(株))に対し、打滴量が13.4g/m2となるようにベタ画像を打滴して評価を行った。
下記組成となるように、各成分を混合することで処理液を調製した、
マロン酸(和光純薬(株)製) :11.3質量%
リンゴ酸(和光純薬(株)製) :14.5質量%
DEGmBE(ジエチレングリコールモノブチルエーテル) : 7.5質量%
TEGmME(トリエチレングリコールモノメチルエーテル): 2.5質量%
イオン交換水 : 残部
[試験結果]
図1に記載の装置を用いて、孔の形状を真円状とし、孔径および孔ピッチを変えることによって開口率を制御した。シアンインク組成物C−1、マゼンタインク組成物M−1、イエローインク組成物Y−1、ブラックインク組成物Bk−1により、菊半サイズ(636mm×469mm)の記録媒体(OKトップコート+、坪量:104.7g/m2)(王子製紙(株))に対し、打滴量が13.4g/m2となるようにベタ画像を打滴して評価を行った。
画像データは50mm×400mmサイズのベタ画像を紙巾方向に50mm間隔に配置されたストライプ状のものを用いた。ベタ画像部を非画像部の枠で囲うような配置の画像データを打滴すると、画像部の伸び量が画像部外に逃げられず、紙の高さ方向に変形し易くなる。そのため、カックルが発生し易くなり、カックルに対して厳しい条件の画像となる。なお、乾燥部の搬送体の表面温度は、搬送体の表面に対向して記録媒体を乾燥するために設けられた加熱手段により、加熱を行った際の温度を測定した。
得られた画像について、画像部のカックル状態、乾燥量を評価した。評価は以下の基準で行った。
(カックル状態の評価)
50mm×400mmサイズのベタ画像に対して、目視で官能評価を実施した。
○ ・・・カックルは認められない
○△・・・一部あるいは全面的にカックルがあるが許容内
△ ・・・全面的にカックルがあり、気になり許容外
△×・・・全面的にカックルがあり、目立つ
× ・・・全面的にカックルがあり、非常に目立つ
(乾燥量の評価)
描画したベタ画像の中央部を24×32mmサイズで、打ち抜き機でくり抜き、カールフィッシャー装置CA−200型(三菱化学アナリテック(株))にて含水量を測定し、記録媒体中にもともとある含水量を差し引いた値を、「残水量」として測定した。
○ ・・・残水量2.0g/m2以下
○△・・・残水量2.5g/m2以下
△ ・・・残水量3.0g/m2以下
× ・・・残水量3.0g/m2よい多い
なお、○、○△を許容内、△、×を許容外として評価を行った。
50mm×400mmサイズのベタ画像に対して、目視で官能評価を実施した。
○ ・・・カックルは認められない
○△・・・一部あるいは全面的にカックルがあるが許容内
△ ・・・全面的にカックルがあり、気になり許容外
△×・・・全面的にカックルがあり、目立つ
× ・・・全面的にカックルがあり、非常に目立つ
(乾燥量の評価)
描画したベタ画像の中央部を24×32mmサイズで、打ち抜き機でくり抜き、カールフィッシャー装置CA−200型(三菱化学アナリテック(株))にて含水量を測定し、記録媒体中にもともとある含水量を差し引いた値を、「残水量」として測定した。
○ ・・・残水量2.0g/m2以下
○△・・・残水量2.5g/m2以下
△ ・・・残水量3.0g/m2以下
× ・・・残水量3.0g/m2よい多い
なお、○、○△を許容内、△、×を許容外として評価を行った。
評価結果を以下の表に示す。
表1に示すように、乾燥部の搬送体の表面温度を60℃に加熱した搬送体上にて吸着を実施した条件で、開口率が5〜75%の範囲の実施例は、カックル状態、乾燥量とも○△以上であり、開口率を10〜50%の範囲とすることで○の効果を得ることができた。
20…吸着シート、30…ドラム本体、50、50’…吸着穴、100…インクジェット記録装置、112…給紙部、114…処理液付与部、116…描画部、118…乾燥部、120…定着部、122…排出部、124…記録媒体、154…処理液ドラム、156…処理液塗布装置、170…描画ドラム、172M、172K、172C、172Y…インクジェットヘッド、176…乾燥ドラム、180…温風噴出しノズル、182…IRヒータ、184…定着ドラム、186…ハロゲンヒータ、188…定着ローラ、192…排出トレイ、196…搬送ベルト、440…ポンプドライバ、442…真空ポンプ
Claims (13)
- 記録媒体上にインクを打滴し、画像を形成するインクジェットヘッドと、
前記インク打滴後の記録媒体を搬送体に載せ搬送する搬送手段と、
前記搬送体と前記記録媒体を、前記画像が形成された印字面側から加熱する加熱手段と、を有し、
前記搬送体は、前記記録媒体の印字面の反対側から負圧吸引するための複数の吸着穴を該搬送体表面に有し、該吸着穴の開口率が、該搬送体と該記録媒体の接触面積に対し、5%以上75%以下であることを特徴とするインクジェット記録装置。 - 前記吸着穴の開口率が10%以上50%以下であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
- 前記搬送体を、前記記録媒体が搬送される前に所定の温度に制御する制御手段を備えることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録装置。
- 前記搬送体は、前記記録媒体の印字面の反対側から加熱する第2の加熱手段を備えることを特徴とする請求項1から3いずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
- 前記記録媒体の印字面が凸側に湾曲保持した状態で搬送することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
- 前記インクの打滴時に、前記記録媒体を搬送する第2の搬送体を備え、
前記搬送体と前記第2の搬送体が、それぞれ独立していることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。 - 前記インク中の成分を凝集または増粘させる機能を有する処理液を前記記録媒体上に付与する処理液付与手段を備えることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
- 前記記録媒体がコート紙であることを特徴とする請求項1から7いずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
- 前記インクジェットヘッドがフルライン型のインクジェットヘッドであることを特徴とする請求項1から8いずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
- 前記インクが熱可塑性樹脂微粒子を含むことを特徴とする請求項1から9いずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
- 前記記録媒体の搬送方向に対して、前記加熱手段の次に、該記録媒体を加熱・加圧する定着手段を備えることを特徴とする請求項10に記載のインクジェット記録装置。
- 前記インクがUV硬化性モノマーを含み、UV照射による定着手段を備えることを特徴とする請求項1から9いずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
- 記録媒体上にインクを打滴し、画像を形成するインク吐出工程と、
前記インク打滴後の記録媒体を搬送体に載せ搬送する搬送工程と、
前記搬送体と画像形成後の前記記録媒体を、前記画像が形成された印字面側から加熱する乾燥工程と、
前記搬送体を、前記記録媒体が搬送される前に所定の温度に制御する制御手段と、を有し、
前記搬送体は、前記記録媒体の印字面の反対側から負圧吸引するための複数の吸着穴を該搬送体表面に有し、該吸着穴の開口率が、該搬送体と該記録媒体の接触面積に対し、5%以上75%以下であることを特徴とするインクジェット記録方法。
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JP2009167979A JP2011020377A (ja) | 2009-07-16 | 2009-07-16 | インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法 |
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WO2012147760A1 (ja) | 2011-04-27 | 2012-11-01 | コニカミノルタホールディングス株式会社 | インクジェット記録装置 |
WO2017122596A1 (ja) * | 2016-01-12 | 2017-07-20 | 富士フイルム株式会社 | 画像形成システム |
JP2021041598A (ja) * | 2019-09-10 | 2021-03-18 | キヤノン株式会社 | 記録装置 |
JP7484488B2 (ja) | 2019-08-21 | 2024-05-16 | 株式会社リコー | 加熱装置、乾燥装置、液体を吐出する装置 |
-
2009
- 2009-07-16 JP JP2009167979A patent/JP2011020377A/ja active Pending
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WO2012147760A1 (ja) | 2011-04-27 | 2012-11-01 | コニカミノルタホールディングス株式会社 | インクジェット記録装置 |
WO2017122596A1 (ja) * | 2016-01-12 | 2017-07-20 | 富士フイルム株式会社 | 画像形成システム |
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US10449786B2 (en) | 2016-01-12 | 2019-10-22 | Fujifilm Corporation | Image forming system |
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