JP2011012301A - 銅合金及び銅合金の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】微細な結晶組織を備える銅合金及び銅合金の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る銅合金は、2.0質量%以上3.2質量%以下のニッケル(Ni)と、0.3質量%以上0.8質量%以下のシリコン(Si)と、0.02質量%以上0.15質量%以下のマグネシウム(Mg)と、0.01質量%以上0.08質量%以下の鉄(Fe)と、0.006質量%以上0.014質量%以下の炭素(C)と、0.02質量%以上0.05質量%以下のジルコニウム(Zr)又はチタン(Ti)を含み、残部が銅(Cu)と不可避的不純物とからなる。
【選択図】図2

Description

本発明は、銅合金及び銅合金の製造方法に関する。特に、本発明は、Cu−Ni−Si系の銅合金及び銅合金の製造方法に関する。
コネクタ、リードフレーム、リレー、スイッチ等の電気・電子部品に用いられる材料は、強度、ばね性、導電率等に優れていることが要求される。そして、近年の電気・電子機器の小型化に伴い、電気・電子機器に用いられる銅合金には更に高い強度が求められている。このような高い強度に対応することのできる銅合金として、Cu−Ni−Si系のコルソン合金が知られている。しかしながらコルソン合金は、500℃〜650℃の中間温度域における伸び特性が悪いことから、コルソン合金からなる鋳塊を加熱、又は熱間圧延すると当該鋳塊内部、及び端面に割れが発生する場合があり、銅合金製品の生産性が低下する場合がある。
従来、0.5重量%〜3重量%のNiと、0.1重量%〜0.9重量%のSnと、0.08重量%〜0.8重量%のSiと、0.1重量%〜3重量%のZnと、0.007重量%〜0.25重量%のFeと、0.001重量%〜0.2重量%のPと、0.001重量%〜0.2重量%のMgと、0.0001重量%〜0.001重量%のCとを含み、残部がCuと不可避的不純物とからなる銅合金が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の銅合金は、上記構成を備えることにより、導電性に優れると共に、耐はんだ剥離性、耐熱クリープ特性、耐マイグレーション特性を有しており、更に、強度と打抜き加工性とにも優れた特性を発揮する。
特開平8−225869号公報
しかし、特許文献1に記載の銅合金は、銅合金鋳塊の結晶を微細化する元素(例えば、活性元素としてのMg)を添加しているものの、銅合金鋳塊の結晶組織の微細化に及ぼす影響は、銅合金鋳塊を製造する際における一次冷却、二次冷却による抜熱条件、すなわち、冷却条件による影響の方が、活性元素の添加による影響より優勢である。したがって、特許文献1に記載の銅合金等においては、冷却条件が変動すると添加元素の添加の効果が打ち消されることがあり、結晶の微細化の所望の効果が得られない場合がある。なお、所定の微細化剤、微細化元素を添加した銅合金鋳塊によれば、均一な等軸晶を有する銅合金鋳塊を製造することができるものの、微細化剤、及び微細化元素を添加した場合、製造される銅合金鋳塊中に鋳造欠陥(例えば、ポロシティ、巻込み)が生じる場合があり、鋳造欠陥が生じた銅合金鋳塊に圧延処理、熱処理を施すと、製品欠陥が発生する場合がある。
したがって、本発明の目的は、微細な結晶組織を備える銅合金及び銅合金の製造方法を提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するため、2.0質量%以上3.2質量%以下のニッケル(Ni)と、0.3質量%以上0.8質量%以下のシリコン(Si)と、0.02質量%以上0.15質量%以下のマグネシウム(Mg)と、0.01質量%以上0.08質量%以下の鉄(Fe)と、0.006質量%以上0.014質量%以下の炭素(C)と、0.02質量%以上0.05質量%以下のジルコニウム(Zr)又はチタン(Ti)を含み、残部が銅(Cu)と不可避的不純物とからなる銅合金が提供される。
また、上記銅合金は、スズ(Sn)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、及びホウ素(B)からなる群から選択される少なくとも1つの元素を総量で0.05質量%以上0.15質量%以下、更に含み、当該銅合金中における水素濃度が0.5ppm以下、酸素濃度が10ppm以下、硫黄濃度が0.2ppm以下であることが好ましい。
また、上記銅合金は、平均粒径が2mm以上5mm以下の等軸晶組織のみを有すると共に、当該銅合金の10cm中における等軸晶組織の数が、20個以上50個以下であることが好ましい。
また、上記銅合金は、0.01質量%以上0.06質量%以下のリン(P)と、1.0質量%以上2.5質量%以下の亜鉛(Zn)とを更に含むことが好ましい。
また、本発明は、上記目的を達成するため、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、シリコン(Si)、マグネシウム(Mg)、及び鉄(Fe)のそれぞれを溶解炉中で溶解して第1の溶湯を形成すると共に、第1の溶湯の表面をカーボンフラックスで被覆する溶解工程と、第1の溶湯を溶解炉から移送樋を介してタンディッシュに出湯する出湯工程と、第1の溶湯をタンディッシュで予め定められた時間、保持した後、第1の溶湯にジルコニウム(Zr)又はチタン(Ti)のいずれか、若しくは双方を添加して第2の溶湯を形成すると共に、第2の溶湯の表面をカーボンフラックスで被覆する添加工程と、タンディッシュから第2の溶湯を鋳型に注湯することで連続的に鋳造する鋳造工程とを備える銅合金の製造方法が提供される。
また、上記銅合金の製造方法は、鋳造工程は、タンディッシュから鋳型へ第2の溶湯を注湯する時の第2の溶湯の温度を、1150℃以上1170℃以下に制御することが好ましい。
また、上記銅合金の製造方法は、溶解工程及び添加工程は、カーボンフラックスとして、平均粒径が10μm以上25μm以下であると共に、80質量%以上90質量%以下の炭素(C)と、総量で10質量%以上20質量%以下のNaBO、Al、SiO、及びBからなる群から選択される少なくとも2種類の化合物とを含むことが好ましい。
また、上記銅合金の製造方法は、溶解工程は、リン(P)及び亜鉛(Zn)を更に含む第1の溶湯を形成することが好ましい。
本発明に係る銅合金及び銅合金の製造方法によれば、微細な結晶組織を備える銅合金及び銅合金の製造方法を提供できる銅合金及び銅合金の製造方法を提供できる。
本発明の実施の形態に係る銅合金の製造工程の概要図である。 本発明の実施の形態に係る銅合金の製造の流れを示す図である。
[実施の形態の要約]
本発明の実施の形態に係る銅合金は、例えば、Cu−Ni−Si系の銅合金(以下、「コルソン合金」という場合がある)において、2.0質量%以上3.2質量%以下のニッケル(Ni)と、0.3質量%以上0.8質量%以下のシリコン(Si)と、0.02質量%以上0.15質量%以下のマグネシウム(Mg)と、0.01質量%以上0.08質量%以下の鉄(Fe)と、0.006質量%以上0.014質量%以下の炭素(C)と、0.02質量%以上0.05質量%以下のジルコニウム(Zr)又はチタン(Ti)を含み、残部が銅(Cu)と不可避的不純物とからなる。
(銅合金)
本発明の実施の形態に係る銅合金は、例えば、Cu−Ni−Si系銅合金である。すなわち、本実施の形態に係る銅合金は、所定量のニッケル(Ni)と、所定量のシリコン(Si)と、母材としての銅(Cu)及び不可避的不純物とから形成される。また、本実施の形態に係る銅合金は、リン(P)、亜鉛(Zn)、マグネシウム(Mg)、鉄(Fe)、炭素(C)、ジルコニウム(Zr)、及びチタン(Ti)からなる群から選択される複数の材料を更に含むことができる。銅としては、無酸素銅が挙げられる。
具体的に、本実施の形態に係る銅合金は、2.0質量%以上3.2質量%以下のニッケル(Ni)と、0.3質量%以上0.8質量%以下のシリコン(Si)と、0.02質量%以上0.15質量%以下のマグネシウム(Mg)と、0.01質量%以上0.08質量%以下の鉄(Fe)と、0.006質量%以上0.014質量%以下の炭素(C)と、0.02質量%以上0.05質量%以下のジルコニウム(Zr)又はチタン(Ti)を含み、残部が銅と不可避的不純物とから形成される。
更に、本実施の形態に係る銅合金は、スズ(Sn)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、及びホウ素(B)からなる群から選択される1つ又は複数の元素を総量で0.05質量%以上0.15質量%以下、更に含むこともできる。本実施の形態に係る銅合金がP及びZnを含む場合、当該銅合金は、0.01質量%以上0.06質量%以下のリンと、1.0質量%以上2.5質量%以下の亜鉛とを含むことが好ましい。また、銅合金中における水素濃度は、銅合金を圧延して合金条にした場合に銅合金中の微小な割れに水素が入り込むことにより欠陥(火脹れ)が発生する原因になることを抑制すべく、0.5ppm以下にすることが好ましい。また、酸素濃度と水素濃度とは通常トレードオフの関係にあることから、銅合金中における酸素濃度についても、10ppm以下にすることが好ましい。更に、硫黄は結晶粒界に集積しやすく、かつ、融点も低い。したがって、本実施の形態においては、銅合金を加熱した場合に結晶粒界において硫黄が溶けて、粒界脆化の原因になることを抑制すべく、銅合金中における硫黄濃度は0.2ppm以下であることが好ましい。
また、本実施の形態に係る銅合金は、平均粒径が2mm以上5mm以下の等軸晶組織を有して形成されると共に、当該銅合金の10cm中における等軸晶組織の数が、20個以上50個以下になるように形成されることが好ましい。
(銅合金の製造方法)
図1は、本発明の実施の形態に係る銅合金の製造工程の概要を示し、図2は、本発明の実施の形態に係る銅合金の製造の流れの一例を示す。
本実施の形態に係る銅合金の銅合金鋳塊30は、銅合金製造装置1により製造される。銅合金製造装置1は、一例として、銅及び不可避的不純物と、銅合金鋳塊30に含まれる元素とを含む原料が溶解される溶解炉10と、溶解炉10内で溶解された原料からなる溶湯20が移送樋12を介して供給されるタンディッシュ14と、スパウト16を介してタンディッシュ14において所定の処理が施された溶湯20が供給される鋳型18とを備える。スパウト6を介して鋳型18に供給された溶湯20は、鋳型18との接触部分で冷却され、銅合金鋳塊30になる。なお、スパウト16から鋳型18に供給された直後においては、溶湯20は、溶解部分30aとして存在する。
具体的に、本実施の形態に係る銅合金の製造の流れの一例を、図2を参照しつつ説明する。
まず、製造すべき銅合金の原料を準備して、準備した原料を溶解炉10に投入する。例えば、銅、ニッケル、シリコン、マグネシウム、及び鉄等のそれぞれを溶解炉10に投入する。そして、溶解炉10を所定の温度に加熱して、原料を溶解炉10中で溶解することにより第1の溶湯としての溶湯20を形成する(溶解工程:ステップ10、以下、ステップを「S」と称する)。ここで、本実施の形態に係る溶解工程は、第1の溶湯の表面(すなわち、湯面)をカーボンフラックスで被覆する工程(第1被覆工程:S20)を含む。なお、溶解工程は、リン及び亜鉛を原料として溶解炉10中に更に投入することもできる。
なお、本実施の形態に係るカーボンフラックスは、平均粒径が10μm以上25μm以下であると共に、80質量%以上90質量%以下の炭素(C)と、総量で10質量%以上20質量%以下のNaBO、Al、SiO、及びBからなる群から選択される少なくとも2種類の化合物とを含む。なお、本実施の形態に係るカーボンフラックスは、炭素と2種類の化合物との合計量が100質量%以下になるようにする。
次に、溶湯20を溶解炉10から移送樋12を介してタンディッシュ14に出湯する(出湯工程:S30)。タンディッシュ14において溶湯20を予め定められた時間、保持する。すなわち、本実施の形態においては、タンディッシュ14に供給された溶湯20は、タンディッシュ14において一時的に保持される。ここで、タンディッシュ14に保持されている溶湯20に、所定量のジルコニウム又はチタンのいずれか、若しくはジルコニウムとチタンとの双方を添加して第2の溶湯を形成する(添加工程:S40)。ここで、本実施の形態に係る添加工程は、第2の溶湯の表面をカーボンフラックスで被覆する工程(第2被覆工程:S50)を含む。第2被覆工程において用いるカーボンフラックスは、第1被覆工程において用いるカーボンフラックスと同一のカーボンフラックスを用いることができる。なお、ダンディッシュ14に供給される前の第2の溶湯の温度は、1250℃程度である。
続いて、タンディッシュ14からスパウト16を介して、第2の溶湯の温度を1150℃以上1170℃以下に制御しつつ鋳型18に連続的に注湯する(鋳造工程:S60)。すなわち、第2の溶湯は、鋳型18に注湯される時点において、急冷される。続いて、鋳型18のタンディッシュ14とは反対方向において急冷された第2の溶湯を更に所定の冷却速度で冷却することにより、銅合金鋳塊が鋳造される(冷却工程:S70)。これにより、本実施の形態に係る銅合金としての銅合金鋳塊が製造される。
(カーボンフラックスについて)
本実施の形態に係る溶解工程及び添加工程はそれぞれ、第1被覆工程及び第2被覆工程を含む。第1被覆工程及び第2被覆工程はそれぞれ、第1の溶湯及び第2の溶湯が溶湯外部の空気中に含まれる酸素によって酸化されることを防止する。本実施の形態に係るカーボンフラックスは、NaBO、Al、SiO、及びBからなる群から選択される少な共2種類の化合物を含む。これらの化合物は、第1の溶湯及び第2の溶湯中に含まれるMgの酸化物(すなわち、MgO)、及びSiの酸化物(すなわち、SiO)等の酸化物が生成することを抑制する。これにより、本実施の形態に係る銅合金鋳塊の品質が向上する。
ここで、カーボンフラックスを構成するカーボン粉末の主成分である炭素は、銅との濡れ性(すなわち、親和性)が悪い。これにより、第1の溶湯及び第2の溶湯に添加したカーボンフラックスの大部分は、湯面に浮遊する。しかしながら、タンディッシュ14に添加するジルコニウム及び/又はチタンはいずれも炭素との親和性が強い。したがって、第1の溶湯にジルコニウム及び/又はチタンを添加することにより、第1の溶湯中に炭素を取り込みやすくすることができる。
また、タンディッシュ14において第1の溶湯にジルコニウム及び/又はチタンを添加することにより、溶解炉10においてこれらの元素を添加する場合に比べて、溶湯が酸化されることを抑制できると共に、溶湯の酸化による溶湯の組成変動を減少させることができる。更に、ジルコニウム及び/又はチタンを溶解炉10ではなくタンディッシュ14において添加することにより、銅合金鋳塊の品質に必ずしも良い影響を与えないZrC及び/又はTiCの生成数を低減することができる。
また、本実施の形態においては、第1の溶湯及び第2の溶湯の表面をカーボンフラックスで被覆する。例えば、第1の溶湯の表面、及び第2の溶湯の表面からの高さが1cmになるように、第1の溶湯の表面、及び第2の溶湯の表面をカーボンフラックスで被覆する。この場合、各溶湯の表面を被覆しているカーボンフラックスから炭素が溶湯中に拡散する。溶湯中に含まれる炭素の濃度は、溶湯の攪拌量を変化させることにより制御できる。攪拌は、溶湯とフラックスとをカーボン製のかき混ぜ棒でかき混ぜることにより実施できる。これにより、本実施の形態においては、溶解工程と添加工程とにおいて、第1の溶湯及び第2の溶湯を被覆するカーボンフラックスの量に応じて、当該量に応じた所定量の炭素を第1の溶湯及び第2の溶湯に含有させることができる。
(鋳造工程における第2の溶湯の温度について)
溶湯中に添加された炭素は、第1の溶湯及び第2の溶湯の融点が約3000℃と高温であるので、凝固核生成の起点になることがある。この場合、溶湯中に拡散した炭素元素を中心に溶湯が凝固する。そこで、本実施の形態においては、銅合金鋳塊の大部分を等軸晶組織にすることを目的として、一次冷却工程(すなわち、スパウト16から鋳型18に供給される時に、第2の溶湯を冷却する時の冷却工程であり、鋳型18を間接冷却して実施する工程である。例えば、一次冷却は、鋳型18を流水で冷却している状態で鋳型18中に溶湯を流し込み、凝固シェルを形成することを言う。)によって生じた凝固シェル(すなわち、図1の銅合金鋳塊30と溶解部分30aとの境目付近の領域)内に流れ込む第2の溶湯の温度に温度勾配がないことが好ましい。すなわち、一次冷却工程においては、速やかに第2の溶湯を凝固させることが好ましい。なお、一時冷却における冷却速度は、抜熱量として見積もると、単位時間当たり50W/cmから60W/cm程度である。
そこで、本実施の形態においては、タンディッシュ14からスパウト16を介して鋳型18に第2の溶湯を供給する場合に、第2の溶湯の温度が1150℃以上1170℃以下に冷やされるように制御する。これにより、本実施の形態においては、鋳型18において一次冷却されて形成されたチル晶(すなわち、急冷により生じる結晶組織であり、鋳型18の壁に接している凝固シェルの最も鋳型18に近い領域に形成される結晶組織)内に、二次冷却時の凝固過程において、微細な等軸晶が形成される。本実施の形態において「微細」とは、等軸晶の場合、直径が2mmから3mm程度の場合、柱状晶の場合、結晶の幅が3mmから4mm程度の場合をいう。なお、二次冷却とは、凝固した銅合金鋳塊に水を直接噴射して、凝固直後の銅合金鋳塊を冷却する工程である。
微細な等軸晶は、銅合金鋳塊に熱間圧延を施した場合における熱間割れの原因とされる溶質(すなわち、銅に添加した各元素)の偏析を抑制すると共に、粒界割れの発生を低減させる。これにより、本実施の形態に係る銅合金鋳塊においては、当該銅合金鋳塊に熱間圧延を施したとしても、熱間割れの発生が抑制される。また、当該銅合金鋳塊の凝固組織が微細であることから、当該銅合金鋳塊に加工を施して製造される銅合金製品機械的強度、及び加工性を向上させることができる。
(実施の形態の効果)
本発明の実施の形態に係る銅合金は、第2の溶湯をスパウト16から鋳型18に供給する際における温度を制御することにより均一で微細な結晶組織を有する銅合金鋳塊を製造することができる。これにより、本実施の形態に係る銅合金鋳塊に熱間圧延を施したとしても、銅合金における割れを低減させることができる。
本実施の形態に係る銅合金の製造方法によれば、第2の溶湯をスパウト16から鋳型18に供給する際における温度を制御することにより銅合金鋳塊の大部分を微細な等軸晶組織にすることができるので、製造される銅合金鋳塊中において大きな内部応力の発生、マクロ偏析の発生、ミクロ偏析の発生を抑制することができると共に、当該銅合金鋳塊の熱間加工における伸びも向上させることができる。
また、本実施の形態に係る銅合金の製造方法によれば、第2の溶湯をスパウト16から鋳型18に供給する際における温度を制御することにより微細な等軸晶組織を形成することができるので、均一凝固を目的として、鋳造時の鋳型の材質・形状、鋳造時の一次冷却、二次冷却速度を様々検討して、製造しようとする銅合金に最適な条件を決定すべく、多大な時間及びコストを要する鋳造シミュレーションの実施を要さない。これにより、本実施の形態に係る銅合金の製造方法によれば、銅合金鋳塊の製造コストを低減することができる。
また、本実施の形態に係る銅合金の製造方法によれば、第2の溶湯をスパウト16から鋳型18に供給する際における温度を制御することにより、均一で微細な結晶組織を有する銅合金鋳塊を製造できるので、銅合金鋳塊の内部歪みを低減できると共に、粗大な柱状結晶が実質的に存在しない。したがって、長い結晶粒界に起因する粒界割れを抑制することができる。そして、微細な等軸晶を含む銅合金鋳塊を提供できるので、単純に微細化剤、又は微細化元素を添加して製造される銅合金鋳塊に比べて、抜熱条件の変動による添加元素の効果の打ち消しがなく、結晶を所望のサイズに微細化させることができる。
更に、本実施の形態においては、微細化剤を添加しないので、微細化剤の添加に起因する鋳造欠陥の発生を排除できる。これにより、本実施の形態に係る銅合金の製造方法によれば、圧延工程、熱処理工程における製品欠陥の原因になる鋳造欠陥を低減させた銅合金鋳塊を製造することができ、その結果、製品欠陥の少ない銅合金鋳塊を提供できる。
実施の形態に基づいて製造した実施例1〜4に係る銅合金鋳塊と、比較例1〜2に係る銅合金鋳塊とについて説明する。
(銅合金鋳塊の製造)
実施例1に係る銅合金鋳塊として、2.4質量%のNiと、0.5質量%のSiと、0.02質量%のPと、0.15質量%のMgと、0.03質量%のZrと、0.006質量%のCとを含み、残部がCuと不可避的不純物とからなる実施例1に係る銅合金鋳塊を製造した。実施例1に係る銅合金鋳塊の大きさは、180t×500w×7000Lであり、タンディッシュ14からスパウト16を介して鋳型18に連続的に溶湯を供給することにより、実施例1に係る銅合金鋳塊を連続鋳造した。なお、実施例1に係る銅合金鋳塊の製造においては、溶湯とカーボンフラックスとを攪拌する回数を3回にした。
(銅合金鋳塊の評価)
製造した実施例1に係る銅合金鋳塊の鋳造方向に垂直な断面における結晶組織を観察した。具体的には、結晶組織の平均粒径、及び10cm当たりの結晶数(以下、「結晶組織数」という。)を測定した。結晶組織数の測定は、銅合金鋳塊の横断面スライスの結晶組織と、縦断面スライスの結晶組織とを撮影して得られる写真を用いて、単位面積当たりの結晶組織の数を計測することにより測定できる。また、製造した銅合金鋳塊を850℃に加熱した後、当該銅合金鋳塊に圧延を施した。そして、圧延時における当該銅合金鋳塊の割れ性、銅合金鋳塊中への溶湯被覆材としてのカーボンフラックスの巻込み、当該銅合金鋳塊に圧延を施して得られた銅条の表面100m当たりの表面欠陥数、及び600℃の状態における銅合金片(但し、銅条から5t×5w×130Lのサイズで作成した小片)の伸びと引張強度とを評価した。
実施例2に係る銅合金鋳塊の組成が、2.4質量%のNiと、0.5質量%のSiと、0.02質量%のPと、0.15質量%のMgと、0.03質量%のTiと、0.01質量%のCとを含み、残部がCuと不可避的不純物とからなる点を除き、実施例1に係る銅合金鋳塊と同様にして実施例2に係る銅合金鋳塊を製造した。また、実施例2に係る銅合金鋳塊の評価についても、実施例1に係る銅合金鋳塊の評価と同一の評価を実施した。なお、実施例2に係る銅合金鋳塊の製造においては、溶湯とカーボンフラックスとを攪拌する回数を8回にした。
実施例3に係る銅合金鋳塊の組成が、2.4質量%のNiと、0.5質量%のSiと、0.02質量%のPと、0.15質量%のMgと、0.05質量%のZrと、0.014質量%のCとを含み、残部がCuと不可避的不純物とからなる点を除き、実施例1に係る銅合金鋳塊と同様にして実施例3に係る銅合金鋳塊を製造した。また、実施例3に係る銅合金鋳塊の評価についても、実施例1に係る銅合金鋳塊の評価と同一の評価を実施した。なお、実施例3に係る銅合金鋳塊の製造においては、溶湯とカーボンフラックスとを攪拌する回数を15回にした。
実施例4に係る銅合金鋳塊の組成が、2.4質量%のNiと、0.5質量%のSiと、0.02質量%のPと、0.15質量%のMgと、0.05質量%のTiと、0.012質量%のCとを含み、残部がCuと不可避的不純物とからなる点を除き、実施例1に係る銅合金鋳塊と同様にして実施例4に係る銅合金鋳塊を製造した。また、実施例4に係る銅合金鋳塊の評価についても、実施例1に係る銅合金鋳塊の評価と同一の評価を実施した。なお、実施例4に係る銅合金鋳塊の製造においては、溶湯とカーボンフラックスとを攪拌する回数を21回にした。
(比較例1)
比較例1に係る銅合金鋳塊の組成が、2.4質量%のNiと、0.5質量%のSiと、0.02質量%のPと、0.15質量%のMgと、0.01質量%のZrと、0.003質量%のCとを含み、残部がCuと不可避的不純物とからなる点を除き、実施例1に係る銅合金鋳塊と同様にして比較例1に係る銅合金鋳塊を製造した。また、比較例1に係る銅合金鋳塊の評価についても、実施例1に係る銅合金鋳塊の評価と同一の評価を実施した。
(比較例2)
比較例2に係る銅合金鋳塊の組成が、2.4質量%のNiと、0.5質量%のSiと、0.02質量%のPと、0.15質量%のMgと、0.08質量%のZrと、0.021質量%のCとを含み、残部がCuと不可避的不純物とからなる点を除き、実施例1に係る銅合金鋳塊と同様にして比較例2に係る銅合金鋳塊を製造した。また、比較例2に係る銅合金鋳塊の評価についても、実施例1に係る銅合金鋳塊の評価と同一の評価を実施した。
表1に、実施例1〜4に係る銅合金鋳塊の評価結果、及び比較例1〜2に係る銅合金鋳塊の評価結果を示す。
Figure 2011012301
表1を参照すると、実施例1〜4に係る銅合金鋳塊においてはいずれも、銅合金鋳塊の伸び、引張強度共に良好であり、熱間加工を施しても割れは発生しなかった。一方、比較例1に係る銅合金鋳塊のC濃度は0.003質量%と低い濃度であり、結晶組織数、熱間加工性共に、良好ではなかった。
また、比較例2に係る銅合金鋳塊の炭素濃度は0.021質量%であった。比較例2においては、製造される銅合金鋳塊中の炭素濃度を増加させることを目的として、製造工程において用いるカーボンフラックスの量を実施例1〜4に係る製造工程に比べて増加させた。その結果、比較例2に係る銅合金鋳塊においては、カーボンフラックスの巻込みが発生した。この巻込みが起因になって、比較例2に係る銅合金鋳塊を圧延した時に圧延されて製造される板材中に欠陥が発生した。これにより、銅合金鋳塊中の炭素濃度、及び製造工程において用いるカーボンフラックスの量が所定量以上の場合、健全な銅合金鋳塊を製造できないことが示された。すなわち、表1を参照すると、銅合金鋳塊中の炭素濃度は、0.006質量%以上0.014質量%以下が好ましいことが示された。
また、実施例2に係る銅合金鋳塊と、実施例3に係る銅合金鋳塊とを比較すると、実施例3に係る銅合金鋳塊の炭素濃度が実施例2に係る銅合金鋳塊の炭素濃度よりも高いものの、両者の結晶組織数、熱間の伸び、引張強度はいずれも同程度であった。したがって、銅合金鋳塊の熱間加工性は、銅合金鋳塊中の炭素濃度を0.01質量%以上にすることが好ましいことが示された。なお、銅合金鋳塊中の炭素濃度を高くしすぎると、銅合金鋳塊中にC、ZrC、TiC等の介在物が混入する場合があるので、銅合金鋳塊中の炭素濃度は、0.01質量%がより好ましい。
以上、本発明の実施の形態及び実施例を説明したが、上記に記載した実施の形態及び実施例は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態及び実施例の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
1 銅合金製造装置
10 溶解炉
12 移送樋
14 タンディッシュ
16 スパウト
18 鋳型
20 溶湯
30 銅合金鋳塊
30a 溶解部分

Claims (8)

  1. 2.0質量%以上3.2質量%以下のニッケル(Ni)と、0.3質量%以上0.8質量%以下のシリコン(Si)と、0.02質量%以上0.15質量%以下のマグネシウム(Mg)と、0.01質量%以上0.08質量%以下の鉄(Fe)と、0.006質量%以上0.014質量%以下の炭素(C)と、0.02質量%以上0.05質量%以下のジルコニウム(Zr)又はチタン(Ti)を含み、残部が銅(Cu)と不可避的不純物とからなる銅合金。
  2. スズ(Sn)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、及びホウ素(B)からなる群から選択される少なくとも1つの元素を総量で0.05質量%以上0.15質量%以下、更に含み、
    当該銅合金中における水素濃度が0.5ppm以下、酸素濃度が10ppm以下、硫黄濃度が0.2ppm以下である請求項1に記載の銅合金。
  3. 平均粒径が2mm以上5mm以下の等軸晶組織のみを有すると共に、当該銅合金の10cm中における前記等軸晶組織の数が、20個以上50個以下である請求項2に記載の銅合金。
  4. 0.01質量%以上0.06質量%以下のリン(P)と、1.0質量%以上2.5質量%以下の亜鉛(Zn)とを更に含む請求項3に記載の銅合金。
  5. 銅(Cu)、ニッケル(Ni)、シリコン(Si)、マグネシウム(Mg)、及び鉄(Fe)のそれぞれを溶解炉中で溶解して第1の溶湯を形成すると共に、前記第1の溶湯の表面をカーボンフラックスで被覆する溶解工程と、
    前記第1の溶湯を前記溶解炉から移送樋を介してタンディッシュに出湯する出湯工程と、
    前記第1の溶湯を前記タンディッシュで予め定められた時間、保持した後、前記第1の溶湯にジルコニウム(Zr)又はチタン(Ti)のいずれか、若しくは双方を添加して第2の溶湯を形成すると共に、前記第2の溶湯の表面をカーボンフラックスで被覆する添加工程と、
    前記タンディッシュから前記第2の溶湯を鋳型に注湯することで連続的に鋳造する鋳造工程と
    を備える銅合金の製造方法。
  6. 前記鋳造工程は、前記タンディッシュから前記鋳型へ前記第2の溶湯を注湯する時の前記第2の溶湯の温度を、1150℃以上1170℃以下に制御する請求項5に記載の銅合金の製造方法。
  7. 前記溶解工程及び前記添加工程は、前記カーボンフラックスとして、平均粒径が10μm以上25μm以下であると共に、80質量%以上90質量%以下の炭素(C)と、総量で10質量%以上20質量%以下のNaBO、Al、SiO、及びBからなる群から選択される少なくとも2種類の化合物とを含む請求項6に記載の銅合金の製造方法。
  8. 前記溶解工程は、リン(P)及び亜鉛(Zn)を更に含む前記第1の溶湯を形成する請求項7に記載の銅合金の製造方法。
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KR101635895B1 (ko) * 2016-03-03 2016-07-04 (주) 태화이엔지 고전도성 및 자계 고차폐성 구리합금 조성물

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