JP2011012136A - 発泡成形体及び発泡成形体からなる車両用ラゲージボックス - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 ポリプロピレン系樹脂とポリスチレン系樹脂とを含む改質ポリスチレン系発泡性樹脂粒子を用いて発泡成形された発泡成形体であって、密度ρが0.025〜0.050g/cm3となるように成形された際の密度ρと80℃における曲げ最大点応力σ(単位:MPa)との関係がσ20/ρ≧14.0を満たすことを特徴とする。
【選択図】なし
Description
一方、PS発泡成形体は、低密度であっても優れた剛性を示すため、軽量、且つ、剛性に優れた製品を形成することができるが、一般的に、PP発泡成形体よりも耐薬品性に劣るものであるため、自動車関連資材に使用する場合は、薬品との接触がない場所での使用に限られていた。
線吸収剤、顔料、着色剤などの添加物が含まれていてもよい。前記着色剤としては、無機系の顔料であっても、有機系の顔料であってもよい。無機系の顔料としては、例えば、黄鉛、亜鉛黄、バリウム黄などのクロム酸塩、紺青などのフェロシアン化物、カドミウムイエロー、カドミウムレッドなどの硫化物、鉄黒、紅殻などの酸化物、群青などのケイ酸塩、酸化チタンなどが挙げられる。また、有機系の顔料としては、例えば、モノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、アゾレーキ、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料などのアゾ顔料、フタロシアニン系、アントラキノン系、ペリレン系、ペリノン系、チオインジゴ系、キナクリドン系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、キノフタロン系などの多環式顔料などが挙げられる。
これら他の単量体は、実質的にポリスチレン系樹脂の質量に対して5質量%を超えない範囲で使用することが好ましい。なお、本明細書では、スチレン及びスチレンと共重合可能な単量体も含めてスチレン系単量体と称する。
(A)反応槽内において、分散剤を含む水性媒体(水性懸濁液)中に、PP樹脂粒子100質量部と、スチレン系単量体130質量部以上200質量部以下と、重合開始剤とを分散させる工程、
(B)得られた分散液を前記スチレン系単量体が実質的に重合しない温度に加熱して前記スチレン系単量体を前記PP樹脂粒子に含浸させる工程、
(C)前記PP樹脂粒子の融点をT℃としたとき、(T−10)℃〜(T+20)℃の温度で、前記スチレン系単量体の第1の重合を行う工程、
(D)前記第1の重合工程に続いて、スチレン系単量体と、重合開始剤とを加え、かつ、前記PP樹脂粒子の融点をT℃としたとき、(T−25)℃〜(T+10)℃の温度とすることにより、前記PP樹脂粒子への前記スチレン系単量体の含浸および第2の重合を行う工程。
ピレン系樹脂の融点をT℃としたとき、(C)工程(第1の重合)では、(T−10)℃
〜(T+20)℃の温度範囲とし、(D)工程(第2の重合)では、(T−25)℃〜(
T+10)℃の温度範囲とすることがよい。
<融点>
JIS K7122:1987「プラスチックの転移熱測定方法」記載の方法により融点を測定した。具体的には、示差走査熱量計装置DSC220型(セイコー電子工業社製)を用い、測定容器に試料を7mg充填して、窒素ガス流量30ml/minのもと、室温から220℃の間で昇温、降温、昇温の順位に昇降温を繰り返し、2回目の昇温時のDSC曲線の融解ピーク温度を融点とした。昇温及び降温速度としては、10℃/minとした。また、融解ピークが2つ以上ある場合、低い側のピーク温度を融点とした。
予備発泡樹脂粒子の嵩密度は下記の要領で測定した。
まず、予備発泡樹脂粒子を500cm3、メスシリンダ内に500cm3の目盛りまで充填した。なお、メスシリンダの500cm3の目盛りを水平方向から目視し、予備発泡樹脂粒子が一粒でも500cm3の目盛りに達しているものがあれば、その時点で予備発泡樹脂粒子のメスシリンダ内への充填を終了した。
次に、メスシリンダ内に充填した予備発泡樹脂粒子の質量を小数点以下2位の有効数字で秤量し、その質量をW(g)とした。
そして、下記の式により予備発泡樹脂粒子の嵩密度を算出した。
嵩密度(g/cm3)=W/500
予備発泡樹脂粒子の嵩発泡倍数は、次式により算出した。
嵩発泡倍数(倍)=1/密度(g/cm3)
発泡成形体の密度は下記の要領で測定した。
JIS K7122:1999「発泡プラスチック及びゴム−見掛け密度の測定」記載の方法で測定した。
50cm3以上(半硬質および軟質材料の場合は100cm3以上)の試験片を材料のセル構造を変えない様に切断し、その質量を測定し、次式により算出した。
密度(g/cm3)=試験片質量(g)/試験片体積(cm3)
なお、試験片状態の調節及び測定用試験片は、成形後72時間以上経過した発泡成形体から切り取り、温度23℃±2℃、湿度50%±5%の雰囲気条件、または、温度27℃±2℃、湿度65%±5%の雰囲気条件で16時間以上放置したものを用いた。測定結果については、下記表1に示す。
発泡成形体の発泡倍数は、次式により算出した。
発泡倍数(倍)=1/密度(g/cm3)
発泡成形体から縦100mm×横100mm×厚み20mmの平面長方形状の板状試験片を切り出し、23℃、湿度50%の条件下で24時間放置した。なお、試験片の上面全面が発泡成形体の表面から形成されるように試験片を発泡成形体から切り出した。
次に、薬品としてガソリン1gを試験片の上面に均一に塗布し、23℃、湿度50%の条件で60分放置した。その後、試験片の上面から薬品を拭き取り、試験片の上面を目視にて観察して評価した。評価方法としては、試験片の上面に変化がないものを「○」、上面が軟化したものを「△」、上面が陥没(収縮)したものを「×」とし、評価結果を下記表1に示す。
JIS K7221−2:1999「硬質発泡プラスチック−曲げ試験−第2部:曲げ特性の測定」記載の方法に準じて曲げ最大点応力の測定を行った。具体的には、テンシロン万能試験機UCT―10T(オリエンテック社製)を用いて、試験体サイズは75×300×25mmとし、圧縮速度を10mm/分、先端冶具は加圧くさび10R、支持台10Rで、支点間距離は200mmとして測定した。測定時の温度としては、20℃及び80℃で測定を行った。測定結果については、下記表1に示す。
燃焼速度は、米国自動車安全基準FMVSS 302に準拠した方法で測定した。
試験片は、嵩発泡倍数30倍、350mm×100mm×12mmとし、少なくとも350mm×100mmの二面には表皮が存在するものとした。
燃焼速度の評価方法は、燃焼速度が80mm/min以下であるものを「○」、80mm/minを超えるものを「×」とし、測定結果を下記表1に示す。
(1)実施例1
ポリプロピレン系樹脂(プライムポリマー社製、商品名「F−744NP」、融点:140℃)1920gと、ファーネスブラック(三菱化学社製、商品名「#900」)80gを混合し、この混合物を押出機に供給して溶融混練してストランドカットにより造粒してペレット化することにより、ポリプロピレン系樹脂の質量に対してファーネスブラックを4質量%含有させた球状(卵状)のカーボン含有ポリプロピレン系樹脂粒子(以下、カーボン含有PP樹脂粒子と記す)を得た。なお、カーボン含有PP樹脂粒子の100粒あたりの重量は、80mmgとなるように調整し、平均粒子径は、約1mmとなるように調整した。
密度ρが0.0286g/cm3となるように発泡成形体を成形したこと以外は、実施例1と同様の試験を行なった。試験結果については、下記表1に示す。
密度ρが0.0222g/cm3となるように発泡成形体を成形したこと以外は、実施例1と同様の試験を行なった。試験結果については、下記表1に示す。
密度ρが0.020g/cm3となるように発泡成形体を成形したこと以外は、実施例1と同様の試験を行なった。試験結果については、下記表2に示す。
密度ρが0.050g/cm3となるように発泡成形体を成形したこと以外は、実施例1と同様の試験を行なった。試験結果については、下記表2に示す。
ポリプロピレン系樹脂のみからなる発泡性樹脂粒子を用いて、密度ρが0.033g/cm3となるように発泡成形体を成形したこと以外は、実施例1と同様の試験を行なった。試験結果については、下記表2に示す。
ポリスチレン系樹脂のみからなる発泡性樹脂粒子を用いて、密度ρが0.033g/cm3となるように発泡成形体を成形したこと以外は、実施例1と同様の試験を行なった。試験結果については、下記表2に示す。
実施例1〜3と比較例1とを比較すると、比較例1は、実施例1〜3よりも密度ρが低いため軽量な発泡成形体であるが、20℃及び80℃における曲げ最大応力σが実施例1〜3よりも低くなっており、実施例1〜3よりも剛性の劣る発泡成形体であると認められる。また、燃焼速度試験の結果をみると密度ρが低いため、実施例1〜3よりも燃焼速度が速くなることが認められる。
一方、実施例1〜3と比較例2とを比較すると、比較例2は、実施例1〜3よりも密度ρが高いため曲げ最大応力σが実施例1〜3よりも高くなっており、また、燃焼速度に関しても実施例1〜3と同等の結果となっている。しかしながら、比較例2は、密度ρが高いため実施例1〜3よりも重量が重くなることが認められる。
また、実施例1〜3と比較例3とを比較すると、比較例3の方が20℃及び80℃における曲げ最大応力σ及びσ/ρの値が低い値となっている。即ち、ポリプロピレン系樹脂のみからなる発泡性樹脂粒子を用いた発泡成形体よりも、本願の改質PS樹脂粒子を用いた発泡成形体の方が、同一の密度において高い剛性を示すものとなることが認められる。
また、実施例1〜3と比較例4とを比較すると、比較例4の方が20℃及び80℃における曲げ最大応力σ及びσ/ρの値が大きい値となっているが、耐薬品性の試験において良好な結果が得られなかった。即ち、ポリスチレン系樹脂のみからなる発泡性樹脂粒子を用いた発泡成形体よりも、本願の改質PS樹脂粒子を用いた発泡成形体の方が、耐薬品性に優れたものとなることが認められる。
以上のように、密度ρが本願発明の範囲内であると共に、密度ρと曲げ最大点応力σとの関係が本願発明の範囲内であることで、20℃及び80℃の雰囲気下においても、軽量(低密度)で且つ優れた剛性を示し、更に、優れた耐薬品性を示す発泡成形体となることが認められる。
Claims (4)
- FMVSS 302に準拠した方法で測定される燃焼速度が、80mm/min以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の発泡成形体。
- 請求項1乃至3の何れか一つに記載の発泡成形体からなることを特徴とする車両用ラゲージボックス。
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