JP2011002001A - 防振装置の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】第1液体L1中で、第1取付け部材11と第2取付け部材12とが弾性体13で連結されてなる防振装置本体20、およびダイヤフラムのうちのいずれか一方に仕切り部材16を組み付けて、主液室14および副液室のうちのいずれか一方を備えた中間部材22を作製する中間部材作製工程と、第1液体中で、仕切り部材の連通路24に注出管Nを差し込んでこの注出管の先端部から第2液体L2を注出し、主液室および副液室のうちのいずれか一方の内部に第2液体を注入する第2液体注入工程と、第1液体中で、防振装置本体およびダイヤフラムのうちのいずれか他方を中間部材に組み付けて、液室内に第1液体および第2液体を封止する液中組立工程と、を備える防振装置の製造方法を提供する。
【選択図】図2
Description
ところで、このような防振装置の製造方法として、防振装置を液中で組み立てる方法が知られている。この方法は、まず、第1取付け部材と第2取付け部材とが弾性体を介して連結された防振装置本体を作製する工程を行う。次に、防振装置本体を、封入液を貯留したプールの中に入れ、このプール内(封入液中)で防振装置本体に仕切り部材およびダイヤフラムを組み付ける工程を行う。これにより、液室内に封入液を封止することができる。
本発明に係る防振装置の製造方法は、振動発生部および振動受部のうちのいずれか一方に連結される筒状の第1取付け部材、および他方に連結される第2取付け部材と、前記第1取付け部材と前記第2取付け部材とを弾性的に連結する弾性体と、前記第1取付け部材内の液室を、前記弾性体を壁面の一部とする一方側の主液室と他方側の副液室とに区画し、かつ主液室と副液室とを連通する連通路が形成された仕切り部材と、前記副液室の壁面の一部を形成するダイヤフラムと、を備え、前記液室に、互いに非相溶性を有する第1液体および第2液体を少なくとも含有する封入液が封入された液体封入型の防振装置の製造方法であって、第1液体中で、前記第1取付け部材と前記第2取付け部材とが前記弾性体で連結されてなる防振装置本体、および前記ダイヤフラムのうちのいずれか一方に前記仕切り部材を組み付けて、主液室および副液室のうちのいずれか一方を備えた中間部材を作製する中間部材作製工程と、第1液体中で、前記仕切り部材の連通路に注出管を差し込んでこの注出管の先端部から第2液体を注出し、主液室および副液室のうちのいずれか一方の内部に第2液体を注入する第2液体注入工程と、第1液体中で、前記防振装置本体および前記ダイヤフラムのうちのいずれか他方を前記中間部材に組み付けて、主液室および副液室のうちのいずれか他方を画成し、前記液室内に第1液体および第2液体を封止する液中組立工程と、を備えていることを特徴とする。
以下、本発明の第1実施形態に係る防振装置を、図面を参照して説明する。
図1に示すように、防振装置10は、振動発生部および振動受部のいずれか一方に連結される筒状の第1取付け部材11、および他方に連結される第2取付け部材12と、これらの第1取付け部材11と第2取付け部材12とを弾性的に連結する弾性体13と、第1取付け部材11の内部に形成された液室17を後述する主液室14と副液室15とに区画する仕切り部材16と、後述する副液室15の壁面の一部を形成するダイヤフラム19と、を備えている。
そして、この防振装置10が例えば自動車に装着された場合、第2取付け部材12が振動発生部としてのエンジンに連結される一方、第1取付け部材11が図示しないブラケット等を介して振動受部としての車体に連結されることにより、エンジンの振動が車体に伝達されるのを抑えられるようになっている。
第2取付け部材12は、前記中心軸線O方向に延在し前記振動発生部に連結される取付け筒部12aと、この取付け筒部12aの前記中心軸線O方向の他方側の他端部に前記他方側に向けて突設された補強筒部12bと、を備えている。取付け筒部12aの内周面には、雌ねじ部が形成されており、前記振動発生部は、該雌ねじ部に螺着されることで第2取付け部材12に連結される。また、取付け筒部12aは、前記中心軸線O方向の一方側の一端部が、第1取付け部材11の前記中心軸線O方向の一方側の一端開口面よりも前記中心軸線O方向の外側(一方側)に突出している。補強筒部12bは、有底筒状に形成されており、その底壁部が取付け筒部12aの前記中心軸線Oの他方側の開口部を閉塞している。また、補強筒部12bの周壁部は、前記中心軸線O方向の一方側から他方側に向かうに従って漸次拡径している。
そして、ダイヤフラムリング19aが、第1取付け部材11の大径部11bにおける前記中心軸線O方向の他方側の他端部がその全周にわたって径方向の内側に向けて屈曲されて形成されたカシメ部11dにカシメ固定されることで、ダイヤフラム19は、第1取付け部材11の他端開口部11Bを閉塞している。
そして、液室17は、仕切り部材16によって、弾性体13を壁面の一部に有しこの弾性体13の変形により内容積が変化する主液室14と、ダイヤフラム19を壁面の一部に有しこのダイヤフラム19の変形により内容積が変化する副液室15と、に区画されている。
このように形成された仕切り部材16において、各仕切り板16b、16cに形成された流通孔16gおよびメンブラン収容空間16fは、メンブラン収容空間16fを通って主液室14と副液室15とを連通する中央連通路(連通路)23を構成している。
なお図示の例では、第1仕切り板16bと弾性体13の前記他端面13aとの間には、隙間があいている。
図示の例では、仕切り部材本体16aの外周面には、前記制限通路24となる周溝が形成されており、この周溝が前記被覆膜13c(第1取付け部材11の大径部11b)によって径方向の外側から閉塞されることで制限通路24が形成されている。なお、制限通路24は、前記周溝の一方の周端部が前記中心軸線O方向の他方側に向けて開口して副液室15と連通するとともに、前記周溝の他方の周端部が径方向の内側に向けて開口して主液室14と連通している。
なお図示の例では、封入液Lは、少なくともこの防振装置10に路面の凹凸等により大きな振動(荷重)が入力されたときに、粒状になった無数の第2液体L2が第1液体L1中で互いに独立した状態で分散された態様になる。
このように形成された防振装置10においては、振動の入力に伴って弾性体13が変形して主液室14の内容積が変化することで、封入液Lが主液室14と副液室15との間で制限通路24を通って流通し、この流通時に生じる液柱共振により振動が吸収および減衰される。
具体的に説明すると、まず、弾性体13および被覆膜13cを形成するための図示しない防振装置本体金型の中に第1取付け部材11および第2取付け部材12をそれぞれ所定位置に配置するとともに、第1取付け部材11および第2取付け部材12にそれぞれ接着下地処理を施した後に接着剤を塗布する。その後、前記防振装置本体金型の中に未加硫ゴムを射出して弾性体13を成形するとともに、この弾性体13と一体に被覆膜13cを成形する。続いて、これらの弾性体13および被覆膜13cに硫黄ガス、圧力および熱をそれぞれ加えて加硫する。そして、前記防振装置本体金型の脱型を行うことにより、防振装置本体20が作製される。
具体的に説明すると、まず、仕切り部材本体16aおよび第1仕切り板16bと、第2仕切り板16cおよび収容筒部16eと、をそれぞれ一体に形成する。その後、第1仕切り板16b、第2仕切り板16cおよび収容筒部16eによって画成されるメンブラン収容空間16fにメンブラン16dを配置した状態で第1仕切り板16bと収容筒部16eとを互いに接合して仕切り部材16を作製する。
具体的に説明すると、ダイヤフラム19を形成するための図示しないダイヤフラム金型の中にダイヤフラムリング19aを所定位置に配置するとともに、ダイヤフラムリング19aの表面に接着下地処理を施した後に接着剤を塗布する。その後、前記ダイヤフラム金型の中に未加硫ゴムを射出してダイヤフラム19を成形した後、そのダイヤフラム19に硫黄ガス、圧力および熱をそれぞれ加えて加硫する。そして、前記ダイヤフラム金型の脱型を行うことにより、外周縁部にダイヤフラムリング19aが埋設されたダイヤフラム19が作製される。
具体的に説明すると、プールP内に貯留された第1液体L1に防振装置本体20および仕切り部材16を浸漬するとともに、それぞれの内部や表面などに空気が残留しないように防振装置本体20を第1液体L1中で適宜揺動させる。またこの際、本実施形態では、ダイヤフラム19も併せて第1液体L1中に配置する。
以上により、第1液体L1中に防振装置本体20、仕切り部材16およびダイヤフラム19が配置される。なお図2では、図面の見易さのため、ダイヤフラム19の図示を省略している。
具体的に説明すると、まず、プールP内に貯留された第1液体L1中で、仕切り部材16に対して主液室14が鉛直下側に位置するように中間部材22の向きを調整する。次いで、注出管Nを制限通路24に差し込んで制限通路24の形状に応じて変形させながら制限通路24を通し、注出管Nの先端部を主液室14内に至らせる。この際、本実施形態では、注出管Nの先端部を、主液室14内で、収納凹部21の鉛直上側もしくは収納凹部21の内部に至らせる。また、注出管Nに、注出管Nの先端部から第2液体L2を注出させる図示しない注出器を接続する。そして、注出管Nを差し込むとともに注出管Nに前記注出器を接続した後、第2液体L2を、この注出管Nの先端部から注出して主液室14の収納凹部21内に注入する。
具体的に説明すると、まず、プールP内に貯留された第1液体L1中で、ダイヤフラム19を中間部材22の第1取付け部材11内に進入させる。そして、第1取付け部材11の大径部11bを縮径加工するとともに大径部11bの前記他端部を全周にわたって径方向の内側に屈曲させてカシメ部11dを形成してダイヤフラムリング19aをカシメ固定する。これにより、副液室15が画成されて前記液室17が密閉され、液室17内に第1液体L1および第2液体L2が封止される。
以上により、プールP内に貯留された第1液体L1中で防振装置10が形成される。
また、第2液体注入工程時に、注出管Nの先端部を主液室14の内部に至らせた状態で、第2液体L2をこの注出管Nの先端部から注出して主液室14の内部に注入するので、主液室14の内部に第2液体L2を確実に注入することができる。
以下、本発明の第2実施形態に係る防振装置の製造方法を、図面を参照して説明する。
なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
図4および図5に示すように、本実施形態の防振装置10の製造方法では、第2液体注入工程は、主液室14を圧縮する液室圧縮工程と、制限通路24に注出管Nを差し込んでこの注出管Nの先端部から第2液体L2を注出した後もしくは同時に主液室14の圧縮を解除する圧縮解除工程と、を備えている。
次いで、中間部材22の弾性体13を上方に押し上げて主液室14を圧縮する液室圧縮工程を行う。その後、注出管Nの先端部を制限通路24の主液室側端部内に鉛直上側から差し込み、第2液体L2を注出管Nの先端部から制限通路24内に注出する。この際、本実施形態では、注出管Nの先端部を、主液室14の内部に至らせるのではなく、制限通路24の主液室側端部に位置させた状態で、第2液体L2を注出管Nの先端部から制限通路24内に注出しており、注出管Nは、制限通路24の形状に応じて変形されていない。
なお、本実施形態では、注出管Nの先端部を主液室14の内部に至らせずに、注出管Nの先端部から第2液体L2を注出するものとしたが、これに限られるものではない。
例えば、前記各実施形態では、液中配置工程時にダイヤフラム19を第1液体L1に浸漬して第1液体L1中に配置するものとしたが、液中組立工程前にダイヤフラム19を第1液体L1中に配置すれば、これに限られるものではない。
また、前記各実施形態では、仕切り部材16の第1仕切り板16bと弾性体13の前記他端面13aとの間には、隙間があいているものとしたが、これに限られるものではない。
この場合、第2液体注入工程時に、仕切り部材16の制限通路24あるいは中央連通路23を通して前記中間部材の副液室15の内部に第2液体L2を注入する。そして、液中組立工程時に、防振装置本体20を前記中間部材に組み付けて、主液室14を画成し、前記液室17内に第1液体L1および第2液体L2を封止する。
以上に示したような防振装置の製造方法によれば、前記各実施形態に示した防振装置の製造方法と同様の作用効果を奏する。なおこの場合、防振装置本体作製工程は、中間部材作製工程の後に行っても良い。またこの場合、第2液体注入工程は、注出管Nの先端部を副液室15の内部に至らせた状態で、第2液体L2をこの注出管Nの先端部から注出して副液室15の内部に注入しても良く、或いは、第2液体注入工程は、副液室15を圧縮する液室圧縮工程と、制限通路24に注出管Nを差し込んでこの注出管Nの先端部から第2液体L2を注出した後もしくは同時に副液室15の圧縮を解除する圧縮解除工程と、を備えていても良い。
また、封入液Lに含有される液体は、二種類の液体(第1液体L1、第2液体L2)に限らず、三種類以上の液体を含有する封入液であってもよい。
また、仕切り部材16には、連通路として制限通路24と中央連通路23とが形成されているものとしたが、連通路の形態はこれらに限られるものではない。
また、防振装置10として吊下式を示したが、主液室14が鉛直方向上側に位置しかつ副液室15が鉛直方向下側に位置するように取り付けられて用いられる圧縮式の防振装置にも適用可能である。
11 第1取付け部材
12 第2取付け部材
13 弾性体
14 主液室
15 副液室
16 仕切り部材
17 液室
19 ダイヤフラム
20 防振装置本体
22 中間部材
23 中央連通路(連通路)
24 制限通路(連通路)
L 封入液
L1 第1液体
L2 第2液体
N 注出管
Claims (3)
- 振動発生部および振動受部のうちのいずれか一方に連結される筒状の第1取付け部材、および他方に連結される第2取付け部材と、
前記第1取付け部材と前記第2取付け部材とを弾性的に連結する弾性体と、
前記第1取付け部材内の液室を、前記弾性体を壁面の一部とする一方側の主液室と他方側の副液室とに区画し、かつ主液室と副液室とを連通する連通路が形成された仕切り部材と、
前記副液室の壁面の一部を形成するダイヤフラムと、を備え、
前記液室に、互いに非相溶性を有する第1液体および第2液体を少なくとも含有する封入液が封入された液体封入型の防振装置の製造方法であって、
第1液体中で、前記第1取付け部材と前記第2取付け部材とが前記弾性体で連結されてなる防振装置本体、および前記ダイヤフラムのうちのいずれか一方に前記仕切り部材を組み付けて、主液室および副液室のうちのいずれか一方を備えた中間部材を作製する中間部材作製工程と、
第1液体中で、前記仕切り部材の連通路に注出管を差し込んでこの注出管の先端部から第2液体を注出し、主液室および副液室のうちのいずれか一方の内部に第2液体を注入する第2液体注入工程と、
第1液体中で、前記防振装置本体および前記ダイヤフラムのうちのいずれか他方を前記中間部材に組み付けて、主液室および副液室のうちのいずれか他方を画成し、前記液室内に第1液体および第2液体を封止する液中組立工程と、を備えていることを特徴とする防振装置の製造方法。 - 請求項1記載の防振装置の製造方法であって、
前記第2液体注入工程は、前記注出管の先端部を主液室および副液室のうちのいずれか一方の内部に至らせた状態で、第2液体をこの注出管の先端部から注出して前記一方の内部に注入することを特徴とする防振装置の製造方法。 - 請求項1又は2記載の防振装置の製造方法であって、
前記第2液体注入工程は、主液室および副液室のうちのいずれか一方を圧縮する液室圧縮工程と、前記連通路に前記注出管を差し込んでこの注出管の先端部から第2液体を注出した後もしくは同時に前記一方の圧縮を解除する圧縮解除工程と、を備えていることを特徴とする防振装置の製造方法。
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