JP2010528616A - オルタナティブスプライシングとrnaのスプライシングを調節するリボスイッチに関連する方法と組成物 - Google Patents

オルタナティブスプライシングとrnaのスプライシングを調節するリボスイッチに関連する方法と組成物 Download PDF

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Abstract

オルタナティブスプライシングは、mRNA前駆体上のスプライス部位の選択的使用を含む過程である。オルタナティブスプライシングにより、1つの遺伝子から多数のタンパク質を産生可能であり、それにより、異なる機能を有するタンパク質を生成可能である。オルタナティブスプライシング事象は、種々の方法(エキソンスキッピング、相互排他エキソンの使用、および5’および/または3’スプライス部位の差分選択が含まれる)によって起こり得る。オルタナティブスプライシングを調節するリボスイッチに関する方法および組成物を開示する。

Description

(関連する出願への相互参照)
本願は、2007年5月29日に出願された米国仮特許出願第60/932,164号の利益を主張する。2007年5月29日に出願された米国仮特許出願第60/932,164号は、その全体が本明細書中に参考として援用される。
(連邦政府の後援による研究に係る陳述)
本発明は、NIHによって授与された補助金番号GM068819、GM07223およびDK07223および米国科学財団によって授与された補助金番号MCB−0236210のもと、政府の援助を受けてなされた。政府は本発明における特定の権利を保有する。
(発明の分野)
本開示の発明は、一般に、遺伝子発現分野、具体的には、遺伝子発現の調節領域に関する。
発明の背景
細胞が種々の遺伝子発現パターンの変化による複数の生化学シグナルおよび環境信号に応答しなければならないので、正確な遺伝子調節は生物系の本質的特徴である。最も公知の遺伝子調節機構は、化学的または物理的な刺激を感知し、その後に関連するDNAまたは伝令RNA配列との選択的相互作用によって遺伝子発現を調整するタンパク質因子の使用を含む。タンパク質は、複合体形状を採用することができ、生物系がその化学的および物理的環境を正確に感知することができる種々の機能を実行する。代謝産物に応答するタンパク質因子は、典型的には、DNAに結合することによって転写開始を調整するか(例えば、lacリプレッサータンパク質;非特許文献1)、RNAに結合することによって転写終結(例えば、PyrRタンパク質;非特許文献2)または翻訳(例えば、TRAPタンパク質;非特許文献3)のいずれかを調節するように作用する。タンパク質因子は、アロステリック調整または翻訳後改変などの種々の機構によって環境刺激に応答し、高応答性遺伝子スイッチとしての機能を果たすためにこれらの機能を活用するのに長けている(例えば、非特許文献4を参照のこと)。
遺伝子調節におけるタンパク質因子の広範な関与に加えて、RNAが遺伝子調節で積極的な役割を果たし得ることも公知である。最近の研究により、小さな非コードRNAが破壊のためのmRNAの選択的ターゲティングで役割を果たし、それにより、遺伝子発現が下方制御されるという実質的役割が明らかにされ始めている(例えば、非特許文献5およびそのリファレンスを参照のこと)。このRNA干渉過程は、短いRNAがワトソン−クリック塩基相補性を介して意図するmRNA標的を選択的に認識する能力を活用し、その後に結合したmRNAをタンパク質作用によって破壊する。新規であるが特異性の高いRNA結合部位を使用してタンパク質因子を生成するよりも進化過程によって新規の標的特異的RNA因子を生成することの方がはるかに容易であるので、RNAはこの系における理想的な分子認識のための作用因子である。
タンパク質が、酵素、受容体、および構造機能についての、生物学が有するほとんどの要件を満たすにもかかわらず、RNAはこれらの能力でも役立ち得る。例えば、RNAは、相当な酵素力および正確な分子認識を示す多数のリボザイムドメイン(非特許文献6;非特許文献7)および受容体ドメイン(非特許文献8;非特許文献9)を形成するのに十分な構造可塑性を有する。さらに、これらの活性を組み合わせて、エフェクター分子によって選択的に調整されるアロステリックリボザイム(非特許文献10;非特許文献11)を作製することができる。
オルタナティブスプライシングは、mRNA前駆体上のスプライス部位の選択的使用を含む過程である。オルタナティブスプライシングにより、1つの遺伝子から多数のタンパク質を産生可能であり、それにより、異なる機能を有するタンパク質を生成可能である。オルタナティブスプライシング事象は、種々の方法(エキソンスキッピング、相互排他エキソンの使用、および5’および/または3’スプライス部位の差分選択が含まれる)によって起こり得る。多数の遺伝子(例えば、ホメオ遺伝子(homeogene)、癌遺伝子、神経ペプチド、細胞外マトリックスタンパク質、筋収縮タンパク質)について、オルタナティブスプライシングを、発生または組織特異的様式で調節する。したがって、オルタナティブスプライシングは、遺伝子発現で重要な役割を果たす。最近の研究により、複合有機体(complex organism)の発現ストラテジーにおけるオルタナティブスプライシングの重要性が明らかになっている。
mRNA前駆体(pre−mRNA)のオルタナティブスプライシングは、哺乳動物遺伝子発現の調節で重要な役割を果たす。オルタナティブスプライシングの調節は種々の系列の細胞で起こり、多数の遺伝子の発現プログラムの一部である。最近、オルタナティブスプライシングが時折完全に異なる機能を有するタンパク質イソ型の産生を調節することが明らかとなった。細胞形質転換に対して異なる性質および時折拮抗的性質を有する癌遺伝子および癌原遺伝子のタンパク質イソ型は、オルタナティブスプライシングを介して産生される。この種の例は、非特許文献12;非特許文献13;非特許文献14;非特許文献15で見出される。また、オルタナティブスプライシングをしばしば使用して、Fas、Bcl−2、Bax、およびCed−4などのプログラム細胞死に関与するタンパク質の産生を調節する(非特許文献16)。pre−mRNAのオルタナティブスプライシングはリプレッサータンパク質を産生することができる一方で、異なる条件下で同一のpre−mRNAからアクチベーターを産生することができる(非特許文献17;非特許文献18)。
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コード領域に作動可能に連結されたリボスイッチを含むRNAをコードする核酸分子を含み、リボスイッチがRNAのスプライシングを調節し、リボスイッチおよびコード領域が非相同であり、スプライシングの調節がRNAのプロセシングに影響を及ぼす、調節可能な遺伝子発現構築物を本明細書中に開示する。リボスイッチは、RNAのオルタナティブスプライシングを調節することができる。リボスイッチは、アプタマードメインおよび発現プラットフォームドメインを含むことができ、アプタマードメインおよび発現プラットフォームドメインは非相同である。RNAは、イントロンをさらに含むことができる。リボスイッチは、RNAの3’非翻訳領域中に存在し得る。イントロンは、RNAの3’非翻訳領域中に存在し得る。RNAプロセシング部位は、イントロン中に存在し得る。イントロンのスプライシングによってRNAからRNAプロセシング部位を除去し、それにより、RNAのプロセシングに影響を及ぼすことができる。RNAのプロセシングに及ぼされる影響は、RNAプロセシング部位によって媒介されるRNAのプロセシングの排除を含むことができる。RNAのプロセシングに及ぼされる影響は、転写終結の変化を含むことができる。RNAのプロセシングに及ぼされる影響は、RNA分解の増加を含むことができる。RNAのプロセシングに及ぼされる影響は、RNAターンオーバーの増加を含むことができる。リボスイッチは、イントロンの3’スプライスジャンクションと重複することができる。イントロンのスプライシングにより、リボスイッチが活性化される能力が低減または排除され得る。スプライスジャンクションは、5’スプライスジャンクションであり得る。リボスイッチは、RNAのイントロン中に存在し得る。RNAプロセシングは、スプライシングの関与と無関係に、またはこれを使用せずに、調節され得るか影響を受けることもできる。
発現プラットフォームドメインは、イントロン中にスプライスジャンクションを含むことができる。発現プラットフォームドメインは、イントロンの末端にスプライスジャンクションを含むことができる(すなわち、5’スプライスジャンクションまたは3’スプライスジャンクション)。RNAは、イントロンをさらに含むことができ、発現プラットフォームドメインは、イントロン中に分岐部位を含む。スプライスジャンクションは、リボスイッチが活性化される場合に活性であり得る。スプライスジャンクションは、リボスイッチが活性化されない場合に活性であり得る。リボスイッチを、トリガー分子(チアミンピロリン酸(TPP)など)によって活性化することができる。リボスイッチは、TPP応答性リボスイッチであり得る。リボスイッチは、スプライシングを活性化することができる。リボスイッチは、スプライシングを抑制することができる。リボスイッチは、RNAのスプライシングを変化させることができる。RNAは、分岐構造を有することができる。RNAは、pre−mRNAであり得る。スプライシング調節を有するアプタマー領域は、例えば、P4ステムおよびP5ステム中に存在し得る。スプライシング調節を有するアプタマー領域は、例えば、ループ5中にも見出すことができる。スプライシング調節を有するアプタマー領域は、例えば、ステムP2中にも見出すことができる。したがって、例えば、発現プラットフォームドメインは、P4およびP5配列、ループ5配列、および/またはP2配列と相互作用することができる。かかるアプタマー配列は、一般に、トリガー分子がアプタマードメインに結合しない場合に限り、発現プラットフォームドメインとの相互作用に利用可能である。スプライス部位および/または分岐部位は、例えば、アプタマーの5’末端に対して−130と−160との間の位置に存在することができる。RNAは、第2のイントロンをさらに含むことができ、第2のイントロンの3’スプライス部位は、アプタマードメインの5’末端に対して−220と−270との間の位置に存在する。
RNAのプロセシングに影響を及ぼす方法であって、RNAにリボスイッチを含む構築物を導入する工程であって、リボスイッチがRNAのスプライシングを調節することができ、RNAがイントロンを含み、スプライシングの調節がRNAのプロセシングに影響を及ぼす、導入工程を含む方法も開示する。リボスイッチは、アプタマードメインおよび発現プラットフォームドメインを含むことができ、アプタマードメインおよび発現プラットフォームドメインは、非相同である。リボスイッチは、RNAのイントロン中に存在し得る。リボスイッチを、トリガー分子(TPPなど)によって活性化することができる。リボスイッチは、TPP応答性リボスイッチであり得る。リボスイッチは、スプライシングを活性化することができる。リボスイッチは、スプライシングを抑制することができる。リボスイッチは、RNAのスプライシングを変化させることができる。スプライシングは、非天然に起こり得る。スプライシング調節を有するアプタマー領域は、例えば、ループ5中に見出すことができる。スプライシング調節を有するアプタマー領域は、例えば、ステムP2中にも見出すことができる。スプライス部位は、例えば、アプタマーの5’末端に対して−130と−160との間の位置に存在することができる。構築物は、イントロンをさらに含むことができる。
(a)コード領域に作動可能に連結されたリボスイッチを含むRNAをコードする核酸分子を含む構築物を含む細胞であって、リボスイッチがRNAのスプライシングを調節し、リボスイッチおよびコード領域が非相同であり、スプライシングの調節がRNAのプロセシングに影響を及ぼす、細胞と、(b)有効量のリボスイッチのトリガー分子とを接触させ、それにより、遺伝子発現に影響を及ぼす、遺伝子発現に影響を及ぼす方法も開示する。リボスイッチは、TPP応答性リボスイッチであり得る。トリガー分子は、チアミンまたはTPPであり得る。
開示の方法および組成物のさらなる利点を以下の記載に一部示し、この記載から利点が一部理解される。あるいは、利点を、開示の方法および組成物の実施によって知ることができる。開示の方法および組成物の利点は、添付の特許請求の範囲で特に指摘した要素および組み合わせによって理解および達成される。上記の一般的記載および以下の詳細な記載の両方は例示および説明のみであり、特許請求の範囲に記載の本発明を制限するものではないと理解すべきである。
本明細書中に組み込まれ、且つ本明細書の一部を構成する添付の図面は、開示の方法および組成物のいくつかの実施形態を例示し、記載と共に、開示の方法および組成物の原理を説明するのに役立つ。
図1は、TPPアプタマーが植物種で保存され、広く行き渡っていることを示す。(A)種々の植物種由来のTPPアプタマー配列のアラインメントにより、配列および構造が高度に保存されていることが明らかとなる。ステムP1〜P5を形成するヌクレオチドを濃淡をつけて強調し、アスタリスクは、全例の間で保存されているヌクレオチドを特定する。配列は、以下に由来する:A.thaliana(Ath、NC003071;配列番号1)、Brassica sativa(Bsa、EF588038;配列番号2)、Brassica oleracea(Bol、BH250462;配列番号3)、Boechera stricta(Bst、DU681973;配列番号4)、Carica papaya(Cpa、DX471004;配列番号5)、Citrus sinensis(Csi、DY305604;配列番号6)、Nicotiana tabacum(Nta、EF588039;配列番号7)、Nicotiana benthamiana(Nbe、EF588040;配列番号8)、Populus trichocarpa(Ptr、JGI、populusゲノム、LG_IX:7897690−7897807;配列番号9)、Lotus japonicus(Lja、AG247551;配列番号10)、Lycopersicon esculentum(Les、EF588041;配列番号11)、Solanum tuberosum(Stu、DN941010;配列番号12)、Ocimum basilicum(Oba、EF588042;配列番号13)、Ipomoea nil(Ini、BJ566897;配列番号14)、Vitis vinifera(Vvi、AM442795;配列番号15)、Oryza sativa(Osa、NC008396;配列番号16)、Poa secunda(Pse、AF264021;配列番号17)、Triticum aestivum(Tae、CD879967;配列番号18)、Hordeum vulgare(Hvu、BM374959;配列番号19)、Sorghum bicolor(Sbi、CW250951;配列番号20)、Pinus taeda(Pta、CCGB、Contig116729 RTDS2_8_E12.g1_A021:551−686;配列番号21)、およびPhyscomitrella patens(Ppa、gnl|ti|856901678(配列番号22)、gnl|ti|893553357(配列番号23)、gnl|ti|876297717(配列番号24)、(Langら、2005))。I.nilの配列は、cDNA由来のスプライスバリアントを示し、したがって、アプタマーの5’末端を欠く。これらの配列の左側のP1配列は、Ppa2配列(GCGCCである)およびIni配列を除いてGCACCである。これらの配列の右側のP1配列は、Lja配列(GAGUGCである)およびLes配列(GCGUGCである)を除いてGUGUGCである。(B、C)植物(B;配列番号25および26)または細菌および古細菌種(C;配列番号27〜29)由来の全代表に基づいたTPPリボスイッチアプタマーのコンセンサス配列および二次構造モデルは類似する。相互情報量は、ボックスで囲った塩基対の発生する確率を反映する。P5ステム中のボックスで囲った塩基対についてのp値は、0.1、0.1、0.01、0.01、および0.01である(上から下)。P4ステム中のボックスで囲った塩基対についてのp値は、0.01、0.01、および0.1である(上から下)。P1ステムおよびP3aステム中のボックスで囲った塩基対についてのp値は、0.01である。P3ステム中のボックスで囲った塩基対についてのp値は、0.1、0.01、0.01、0.01、0.01、および0.01である(左から右)。 図2は、THIC 3’UTR構造が保存されていることを示す。(A)THIC遺伝子の3’領域の組成および由来する転写物の型は類似している。第1のボックスは、コード領域の最後のエクソンを示し、終止コドンUAAを示した。終止コドンにイントロンが続き(イントロンが終止コドンの直前に存在するL.esculentumを除く)、このイントロンは、典型的には、全転写物型(I、II、III)でスプライスされる。GUおよびAGという表記は、それぞれ5’および3’スプライス部位を特定する。1〜6の番号を付けた太線は、その長さが(B)に記載のように分析されたRNA転写物の6つの領域を示す。破線(dashed line)はスプライス事象を示し、菱形の記号は転写物プロセシング部位を示す。(B)(A)で定義した領域中のヌクレオチド数は、7つの植物種で類似している。領域6の重ねたバーは、異なる長さの転写物の同一部分(identificaiton)を示す。(C)ポリTプライマーを使用して生成したcDNA由来のTHIC 3’UTRのPCR増幅により、試験した全種でII型RNAのみが得られる。RT−PCR産物を、1.5%アガロースゲル電気泳動を使用して分離し、臭化エチジウム染色およびUV照射によって視覚化した。「M」は、100塩基対ずつ増加するDNAを含むマーカーレーンを示す。(D)I型およびIII型RNAの3’UTRに特異的なプライマー組み合わせを使用して(C)と同一のcDNAを使用してRT−PCR分析を行った。(E)異なるRTプライマーを使用して生成したA.thaliana cDNA由来のI型およびIII型RNA由来の3’UTRのRT−PCR産物。RTのために使用したプライマーは、示すように、ポリT、ランダムヘキサマー、またはTHICの注釈付き末端(アプタマー末端の221nt下流)付近またはさらなる下流(アプタマー末端の882nt下流)に結合する配列特異的プライマーであった。RTなし(No RT)は、テンプレート供給源として逆転写を使用しないでRNAを使用したコントロール反応を示す。 図3は、THIC転写物型がA.thalianaにおけるチアミンレベルの変化に対して異なって反応することを示す。(A)0、0.1、および1mMチアミンを補足した培地上で14日間成長させたA.thaliana実生(seedling)由来のTHIC転写物に対してqRT−PCR分析を行った。異なるプライマー組み合わせを使用して、全THIC転写物を検出し、I型、II型、およびIII型RNAを個別に検出した。cDNAを、ポリTプライマーまたはI型RNAの検出のためのランダムヘキサマーを使用して生成した。発現を、チアミンを補足しない培地(白抜きのバー)を使用して測定した値に対して各プライマー組み合わせについて正規化した。値は3つの独立した試験の平均であり、エラーバーは標準偏差を示す。(B)(A)に記載の同一サンプル由来のTHIC転写物のノーザンブロット分析。レーンあたり20μgの総RNAをロードし、THICのコード領域、I型およびIII型RNAの伸長した3’UTR、またはコントロール転写物EIF4A1に結合するプローブを使用して分析した。THICプローブのシグナルを、2kbと3kbとの間のサイズ範囲で示す。3’UTRプローブによって弱いシグナルが得られ、曝露時間は、他のプローブの1日曝露と比較して3日間に延長された。(C)A.thaliana由来のTHIC転写物に及ぼすチアミン処理の時間依存性の影響のqRT−PCR分析。実生を無チアミン培地上で14日間成長させ、その後に50μMチアミンおよび0.25mg/mlTween80を噴霧した。コントロール実生を、Tween80のみを含む溶液で処理した。サンプルを4時間後および26時間後に回収し、qRT−PCR分析に供した。ポリTプライマーを使用して生成したcDNA由来のTHIC転写物の量を分析し、チアミンを適用しなかったコントロールサンプルの値(白抜きのバー)に対して正規化した。値は3つの独立した実験の平均であり、エラーバーは標準偏差を示す。(D)野生型(WT)およびチアミンピロホスホキナーゼダブルノックアウト(TPK−KO)A.thaliana植物におけるTHIC転写物型レベルの相対的変化。実生を無チアミン培地上で12日間成長させ、THIC転写物型の量をqRT−PCRによって分析した。データをWTサンプルの値に対して正規化し、これは3つの反復由来の平均を反映し、エラーバーは標準偏差を示す。 図4は、THICの長い3’UTRによってアプタマー機能と無関係に遺伝子発現が低減することを示す。(A)A.thaliana由来のTHIC III型RNAにおけるスプライシング後に生成されたTPPアプタマーの二次構造モデル(配列番号30および31)。ステムP1およびP2中の灰色の影を付けたヌクレオチドは、元の非スプライシングアプタマーと比較して核酸塩基の変化が認められる。黒で囲んだヌクレオチドは、示すように、TPPに結合しない変異体M1およびM2を生成するように変化した。(B)(A)に示したスプライスされたアプタマーによるTPP結合のインライン探索分析(in−line probing analysis)。レーンは、未反応後(NR)、RNアーゼT1での部分消化後(T1)、またはアルカリ(OH)での部分消化後にロードしたRNAを含む。部位1および2を、(C)に示すように、定量してKを確立した。(C)(B)における部位1および2についての自発的に切断されたRNAの正規化画分対TPP濃度を示すプロット。(D)ホタルルシフェラーゼ(LUC)のコード領域の3’末端に融合したA.thalianaII型およびIII型RNAの3’UTRを含むレポーター構築物のin vivo発現分析。構築物M1およびM2は、III型RNAの3’UTRに基づくが、(A)に示す変異を含む。LUC−III M1’は、構築物LUC−III M1の逆3’UTR配列を含む。レポーター構築物を一過性Nicotiana benthamiana発現アッセイで分析し、値をRenilla由来の同時発現ルシフェラーゼ遺伝子に対して標準化した。発現を、II型RNAの3’UTRを含む融合構築物に対して正規化した。示したデータは、3つの独立した実験の平均値であり、エラーバーは標準偏差を示す。(E)一過性発現アッセイにおける発現後のA.thaliana(At)またはN.benthamiana(Nb)のいずれか由来のTHIC II型またはIII型RNAの3’UTRを含むEGFPレポーター融合物のqRT−PCR分析。発現を、同時発現したDsREDレポーター遺伝子に対して標準化し、II型3’UTRを含む構築物に対して正規化した。示したデータは、2つの代表的な実験の平均値であり、エラーバーは標準偏差を反映する。 図5は、リボスイッチ機能のin vivo分析を示す。(A)EGFPの3’末端に融合したAtTHICの完全な3’領域のレポーター融合物を発現する安定に形質転換したA.thaliana系(line)由来の葉を離脱し、葉柄と共に水中または0.02%チアミンを補足した水中でインキュベートした。処理開始から0時間後、48時間後、および72時間後にEGFP蛍光を評価した。3つの反復実験由来のデータのうちの1つの代表的な組を示し、数値は1つのトランスジェニック系由来の異なる葉を特定する。(B)3つの時点での(A)に示す葉のEGFP蛍光の定量。データは、各葉の平均蛍光強度および標準偏差を示す。プロットはまた、WT葉の平均バックグラウンド蛍光を示す。(C)水または0.02%チアミン中で72時間インキュベートした葉由来の総EGFPおよびTHIC転写物のqRT−PCR分析。転写物量を、内部標準転写物に対して標準化し、水処理サンプル中の転写物存在量に対して正規化した。値は、異なるトランスジェニック系を使用した4つの独立した実験の平均であり、エラーバーは標準偏差を示す。(D、E)外因性チアミンの非存在下で成長したA.thalianaレポーター形質転換体由来のEGFPおよびTHIC転写物型の異なる3’UTRのRT−PCR分析。cDNA生成のために、ポリTプライマー、ランダムヘキサマー、または2つの異なる遺伝子特異的プライマー(アプタマーの末端の221nt下流または882nt下流のいずれかに結合する)を表示のように使用した。順方向プライマーは、EGFP(左)またはTHIC(右)のコード領域の最後のエクソンの末端に特異的であったのに対して、逆方向プライマーは、ポリTプライマー(D)であったか、アプタマーの末端の221nt下流の領域に相同であった(E)。図2に記載のように、RT−PCR産物を分離し、視覚化した。Mは、100塩基対ずつ増加するDNAを含むマーカーレーンを示す。RTなし(No RT)は、テンプレート供給源として逆転写を使用しないでRNAを使用したコントロール反応を示す。I−1およびI−2は、それぞれスプライスされていない、またはスプライスされた終止コドン後の上流イントロンを有するI型RNAを示す。(E)中のポリT反応中の最も下のバンドは、RT反応由来の残存するポリTプライマーを有するTHIC II型RNAの増幅に起因する。さらなるマークしていないバンドは、全RT−PCR産物のクローニングおよび配列決定によって確認された非特異的増幅物に対応する。 図6は、リボスイッチ機能に及ぼすアプタマー変異の影響を示す。(A)A.thalianaゲノム配列に由来し、EGFPに融合したTHICの3’領域中に存在するWT TPPアプタマーの二次構造モデルおよび配列(配列番号32および33)。黒で囲んだヌクレオチドは、示すように、TPP結合を損なった変異体M2、M3、およびM4を生成するように変化した。(B)WTアプタマー配列または変異バージョンであるM2、M3、およびM4を含むレポーター構築物を発現するA.thaliana形質転換体由来の葉中のEGFP蛍光の定量。葉を切り取り、蛍光分析前にその葉柄と共に水または0.02%チアミン中で72時間インキュベートした。値は、異なるトランスジェニック系を使用した少なくとも3つの独立した実験の平均である。エラーバーは標準偏差を示す。(C)(B)に記載のA.thaliana形質転換体中のEGFP転写物およびTHIC転写物の量のqRT−PCR分析。転写物量(基準転写物を使用して標準化した)を、水処理したサンプル中の転写物の存在量に対して正規化した。値は、異なるトランスジェニック系を使用した2〜4つの独立した実験の平均である。エラーバーは標準偏差を示す。(D、E)変異M2またはM3を有するA.thaliana形質転換体由来のEGFP転写物およびTHIC転写物の3’UTRのRT−PCR分析。RT−PCR分析を、図5Dおよび5Eの説明に記載のように行った。順方向プライマーは、EGFPまたはTHICのコード領域の最後のエクソンの末端に相同であり、逆方向プライマーは、ポリTプライマー(D)であったか、アプタマーの末端の221nt下流の領域に相補的であった(E)。Kbpは、キロ塩基対を示す。 図7は、植物におけるリボスイッチ機能の機構を示す。(A)TPPにより、5’スプライス部位付近のRNA構造が変化し、この構造変化はTHIC III型RNAの形成に重要である。インライン探索のために、5’スプライス部位の14nt上流(+1)から開始し、A.thaliana由来のTPPアプタマー(ヌクレオチド−14〜261)の3’末端まで伸長する5’32P標識RNAを、10μM TPPの非存在下(−)または存在下(+)でインキュベートし、得られた自発的切断産物を、ポリアクリルアミドゲル電気泳動によって分離した。マーカーは、RNアーゼT1(T1)またはアルカリ(OH)で部分的に消化したRNAである。グラフは、示したレーン中の相対バンド強度を示す。(B)5’スプライス部位領域とTPPアプタマーのP4〜P5ステムとの間の塩基対合可能性(配列番号34〜47;相補ヌクレオチドに影を付けている)。一続きの相補ヌクレオチドは、利用可能な全ての他の植物THIC mRNA配列中にも存在する。(C)植物におけるTHIC TPPリボスイッチ機能のモデルは、転写物のスプライシングおよびオルタナティブ3’末端プロセシングの調節を含む。TPP濃度が低い場合(左)、ステムP4およびP5の一部は5’スプライス部位と相互作用し、それにより、スプライシングを防止する。5’スプライス部位とTPPアプタマーとの間に存在する転写物プロセシング部位が保持され、その使用により、高発現を可能にする短い3’UTRを有する転写物が形成される。高濃度のTPPの存在下で(右)、TPPは同時転写的にアプタマーと結合し、それによって構造が変化し、5’スプライス部位との相互作用が防止される。スプライシングが起こって転写物プロセシング部位が除去される。転写が継続され、伸長した3’UTR中のオルタナティブプロセシング部位によりTHIC III型RNAが生じる。長い3’UTRによってRNA分解が増加し、それによってTHIC発現が低減する。 図8は、異なる植物種由来のTHIC遺伝子中のTPPリボスイッチのゲノムDNA配列構成を示す(配列番号48〜54)。
は、THIC読み取り枠の終止コドンを特定する。
は、第1のイントロンの5’および3’スプライス部位を示す(斜体で示す)。
は、III型RNAの生成のために使用されるスプライス部位を特定する。II型RNAの3’UTRに下線を引き、アプタマー配列は太字にして下線を引いている。示した配列の3’末端は、Arabidopsis thalianaおよびOryza sativaの遺伝子注釈づけに対応する。他の植物種について、示した配列は、RT−PCRによって同定された3’末端に従う。
図8は、異なる植物種由来のTHIC遺伝子中のTPPリボスイッチのゲノムDNA配列構成を示す(配列番号48〜54)。
は、THIC読み取り枠の終止コドンを特定する。
は、第1のイントロンの5’および3’スプライス部位を示す(斜体で示す)。
は、III型RNAの生成のために使用されるスプライス部位を特定する。II型RNAの3’UTRに下線を引き、アプタマー配列は太字にして下線を引いている。示した配列の3’末端は、Arabidopsis thalianaおよびOryza sativaの遺伝子注釈づけに対応する。他の植物種について、示した配列は、RT−PCRによって同定された3’末端に従う。
図8は、異なる植物種由来のTHIC遺伝子中のTPPリボスイッチのゲノムDNA配列構成を示す(配列番号48〜54)。
は、THIC読み取り枠の終止コドンを特定する。
は、第1のイントロンの5’および3’スプライス部位を示す(斜体で示す)。
は、III型RNAの生成のために使用されるスプライス部位を特定する。II型RNAの3’UTRに下線を引き、アプタマー配列は太字にして下線を引いている。示した配列の3’末端は、Arabidopsis thalianaおよびOryza sativaの遺伝子注釈づけに対応する。他の植物種について、示した配列は、RT−PCRによって同定された3’末端に従う。
図8は、異なる植物種由来のTHIC遺伝子中のTPPリボスイッチのゲノムDNA配列構成を示す(配列番号48〜54)。
は、THIC読み取り枠の終止コドンを特定する。
は、第1のイントロンの5’および3’スプライス部位を示す(斜体で示す)。
は、III型RNAの生成のために使用されるスプライス部位を特定する。II型RNAの3’UTRに下線を引き、アプタマー配列は太字にして下線を引いている。示した配列の3’末端は、Arabidopsis thalianaおよびOryza sativaの遺伝子注釈づけに対応する。他の植物種について、示した配列は、RT−PCRによって同定された3’末端に従う。
図9は、A.thaliana由来のTHICプロモーターがチアミン補足後のTHIC発現の下方制御を担わないことを示す。A.thaliana由来のTHICプロモーターの1595bpフラグメントからなる構築物を、レポーター遺伝子β−グルクロニダーゼ(GUS)に融合し、A.thalianaに形質転換した。GUS転写物およびTHIC転写物の量をqRT−PCRによって分析し、チアミンを含まない培地または100μMチアミンを補足した培地上で成長させた9日齢の実生中の基準転写物eEF−1αの発現に対して正規化した。データは、3つの異なるトランスジェニック系および3つの独立した実験由来の平均値である。エラーバーは標準偏差を示す。 図10は、THICのサーカディアン発現を示す。(A)連続照明下で48時間インキュベートした植物由来の全THIC転写物のqRT−PCR分析。植物を、チアミンを含まない培地または100μMチアミンを補足した培地上で明暗周期(16時間/8時間)で11日間成長させた。12日目の朝、植物を連続照明に移し、サンプルを3時間毎に採取した。発現を、無チアミン培地上で成長させた植物由来の時点0でのサンプルの値に対して正規化した。エラーバーは3連のqRT−PCR分析の標準偏差を示す。エラーバーが存在しないものは、エラーバーがデータポイントの直径よりも小さいことを示す。(B)THIC III型RNAのqRT−PCR分析。植物材料およびデータ正規化は、(A)について記載の通りである。 図11は、レポーター遺伝子発現に及ぼす異なるTHIC転写物型由来の3’UTRの影響を示す。(A)EGFPおよびA.thaliana由来のTHIC−IIまたはTHIC−III RNA由来の3’UTRからなるレポーター融合構築物を一過性葉浸潤アッセイ(transient leaf infiltration assay)を使用して発現し、48時間後および96時間後に蛍光を測定した。結果は、ルシフェラーゼレポーター構築物を使用して認められた結果と類似していた。一過性発現系によって転写後遺伝子サイレンシング(PTGS)を行うことができることが公知である(JohansenおよびCarrington、2001;Voinnetら、2003)。PTGSの可能な影響を評価するために、2つの3’UTRバリアントの相対発現を、P19(遺伝子サイレンシングの公知のサプレッサー)の非存在下または存在下で決定した。THIC−IIの3’UTRを含む構築物についての値に対して蛍光を標準化した。データは4つの独立した実験の平均であり、エラーバーは標準偏差を示す。2つの構築物の活性の比は、P19の同時発現後に不変であった。これは、PTGSが認められた相違に関与しないことを示す。(B)葉浸潤アッセイにおける発現後のN.benthamiana THIC II型およびIII型RNA由来の3’UTRを含むEGFPレポーター構築物の相対蛍光。発現を、THIC II型RNAの3’UTRを含む構築物の値に対して正規化した。値は、2つの独立した実験の平均であり、エラーバーは標準偏差を示す。結果は、A.thaliana由来の3’UTRに基づいた構築物を使用して認められた結果と同等である。 図12は、アプタマーの5’隣接配列中のTPP誘導性調整を示す。5’スプライス部位の14nt上流から開始し、アプタマー(−14〜261)の末端まで伸長するRNAを、in vitro転写および32Pで標識した5’末端によって産生した。10μM TPPの非存在下または存在下でのインライン探索反応後、切断産物をpageによって分離した。マーカーを、RNアーゼT1処理(T1)または部分的アルカリ消化(OH)によって生成した。5’スプライス部位のG残基を、1位およびアプタマーSPANSnt146〜256と定義する。アプタマー外側のTPP依存性調整は、主に、5’スプライス部位の隣の領域中で認められる。しかし、さらなる構造の変化により、5’フランク中の他の場所でのリガンド依存性調整が5’スプライス部位構造の調節に重要であり得ることが明らかとなる。
発明の詳細な説明
以下の特定の実施形態の詳細な記載およびそこに含まれる実施例、ならびに添付の図面および前および後の記載を参照して、開示の方法および組成物をより容易に理解することができる。
伝令RNAは、典型的には、タンパク質または小さなRNA調節因子によって、および翻訳過程の間のリボゾームによって作用する遺伝子情報の受動的キャリアと考えられている。一定のmRNAが天然のアプタマードメインを保有し、これらのRNAドメインへの特異的代謝産物の直接結合によって遺伝子発現が調整されることが発見された。天然リボスイッチは、典型的には天然RNAと関連しない2つの驚くべき機能を示す。第1に、mRNAエレメントは異なる構造状態を採用することができ、一方の構造は、その標的代謝産物の正確な結合ポケットとしての機能を果たす。第2に、構造状態間の代謝産物誘導性アロステリック相互交換により、いくつかの異なる機構のうちの1つによって遺伝子発現レベルが変化する。リボスイッチを、典型的には、以下の2つの個別のドメインに分けることができる:1つは標的に選択的に結合するドメイン(アプタマードメイン)および他方は遺伝子調節に影響を及ぼすドメイン(発現プラットフォーム)。これらの2ドメイン間の動的相互作用により遺伝子発現が代謝産物依存性にアロステリック調節される。
異なるクラスのリボスイッチが同定されており、活性化化合物(本明細書中でトリガー分子と呼ぶ)を選択的に認識することが示されている。例えば、補酵素B12、グリシン、チアミンピロリン酸(TPP)、およびフラビンモノヌクレオチド(FMN)は、これらの化合物の代謝経路または輸送経路における重要な酵素をコードする遺伝子中に存在するリボスイッチを活性化する。各リボスイッチクラスのアプタマードメインは、高度に保存されたコンセンサス配列および構造に適合する。したがって、配列相同性検索を使用して、関連するリボスイッチドメインを同定することができる。リボスイッチドメインは、細菌、古細菌、および真核生物由来の種々の生物で発見されている。
12種より多いリボスイッチの構造クラスが10種の異なる代謝産物を感知する真正細菌で報告されている(Mandal 2004;Winkler 2005;Breaker 2006;Fuchs 2006;Roth)。キューオシン(queuosine)前駆体preQに選択性を示す真正細菌リボスイッチは、通常、異常に小さなアプタマードメインを含み(Nat.Struct.Mol.Biol.(2007))、多数の他のクラスは現在特徴づけられているところである。各リボスイッチのアプタマードメインは、そのヌクレオチド配列(Rodionov 2002;Vitreschak 2002;Vitreschak 2003)および折り畳まれた構造(Nahvi 2004;Batey 2004;Serganov 2004;Montange 2006;Thore 2006;Serganov 2006;Edwards 2006)によって識別され、これらは、遠縁の生物間でさえも依然として高度に保存されている。発現プラットフォームは、配列、構造、および調節機構が広範に異なり得るにもかかわらず、リボスイッチは、通常、アプタマーによる代謝産物結合に応答して遺伝子発現を調整する発現プラットフォームを含む。
例外的なアプタマー保存レベルにより、バイオインフォマティクスを使用して多様な生物中の類似の代表的なリボスイッチを同定することができる。現在、TPPリボスイッチアプタマーコンセンサスに従う配列のみが、3つ全ての生物の領域で同定されている(Sudarsan 2003)。真菌(Sudarsan 2003;Galagan 2005)(図5)および植物由来のいくつかの予想される真核生物TPPアプタマーがTPPに結合することが示されているにもかかわらず(Sudarsan 2003Yamauchi)、代謝産物結合が遺伝子発現を調節する正確な機構はこれまで知られていなかった。真菌では、各TPPアプタマーは、mRNAの5’非翻訳領域(UTR)またはタンパク質コード領域中のイントロン内に存在し、これは、mRNAスプライシングが代謝産物結合によって調節されることを意味する(Sudarsan 2003;Kubodera 2003)。植物では、各TPPアプタマーは、mRNAの3’非翻訳領域(UTR)またはタンパク質コード領域内に存在する。植物TPP応答性リボスイッチが、このリボスイッチが存在するRNAのプロセシングに影響を及ぼすことが発見された。
A.リボスイッチRNAの一般的構成
細菌リボスイッチRNAは、特定のmRNAの主なコード領域の5’非翻訳領域(5’−UTR)内に主に存在する遺伝子調節エレメントである。構造探索研究(以下でさらに考察)により、リボスイッチエレメントは一般に以下の2つのドメインから構成されることが明らかである:リガンド結合ドメインとしての機能を果たす天然のアプタマー(T.Hermann,D.J.Patel,Science 2000,287,820;L.Gold,et al.,Annual Review of Biochemistry 1995,64,763)および遺伝子発現に関与するRNAエレメント(例えば、シャイン−ダルガルノ(SD)エレメント;転写終結ステム)を妨害する「発現プラットフォーム」である。in vitroで合成したアプタマードメインが発現プラットフォームの非存在下で適切なリガンドに結合するという観察から、これらの結論を導いている(米国特許出願公開第2005−0053951号の実施例2、3、および6を参照のこと)。さらに、構造探索調査により、ほとんどのリボスイッチのアプタマードメインが個別に試験した場合に特定の二次構造および三次構造の折り畳みを採用し、全5’リーダーRNAの関係において試験した場合にアプタマー構造と本質的に同一であることが示唆される。これは、多くの場合、アプタマードメインが発現プラットフォームと無関係に折り畳まれるモジュラー単位であることを示す(米国特許出願公開第2005−0053951号の実施例2、3、および6を参照のこと)。
最終的に、アプタマードメインのリガンド結合状態または非結合状態は発現プラットフォームを介して解釈され、それは遺伝子発現の際に影響を及ぼす。モジュラーエレメントとしてのリボスイッチの投影は、アプタマードメインが種々の生物の間(およびTPPリボスイッチについて認められるように、界の間でさえも)で高度に保存されるのに対して(N.Sudarsan,et al.,RNA 2003,9,644)、発現プラットフォームは、付加された読み取り枠(open reading flame)の発現が調節される配列、構造、および機構で変化するという事実によってさらに支持される。例えば、B.subtilisのtenA mRNAのTPPリボスイッチへのリガンド結合によって転写が終結する(A.S.Mironov,et al.,Cell 2002,111,747)。この発現プラットフォームは、E.coli由来のthiM mRNA中のTPPリボスイッチの発現プラットフォームと比較して配列および構造が異なり、TPP結合はSD遮断機構によって翻訳を阻害する(米国特許出願公開第2005−0053951号の実施例2を参照のこと)。TPPアプタマードメインは容易に認識可能であり、これらの2つの転写単位の間で機能的特徴がほぼ同一であるが、これらを実施する遺伝子調節機構および発現プラットフォームは非常に異なる。
リボスイッチRNAのアプタマードメインは、典型的には、約70〜170nt長の範囲である(米国特許出願公開第2005−0053951号の図11)。in vitro進化実験でかなりより短く構造が複雑である多種多様な小分子結合アプタマーが同定されたことを考慮すると、この観察はいくらか予想外であった(T.Hermann,D.J.Patel,Science 2000,287,820;L.Gold,et al.,Annual Review of Biochemistry 1995,64,763;M.Famulok,Current Opinion in Structural Biology 1999,9,324)。人工アプタマーと比較した天然アプタマー配列の複雑さおよび情報量の実質的増加についての理由が依然として証明されていないにもかかわらず、この複雑さは、高い親和性および選択性で機能するRNA受容体を形成するのに必要であるとみられる。リガンド−リボスイッチ複合体の見かけ上のK値は、低ナノモル(nanomolar)から低マイクロモル(micromolar)までの範囲である。いくつかのアプタマードメインは、追加発現プラットフォームから単離した場合、インタクトなリボスイッチよりも改良された標的リガンドに対する親和性を示す(約10〜100倍)ことも注目に値する(米国特許出願公開第2005−0053951号の実施例2を参照のこと)。おそらく、完全にインタクトなリボスイッチRNAによって必要とされる複数の異なるRNA高次構造のサンプリングにはエネルギーコストがかかり、リガンド親和性の喪失が反映される。アプタマードメインは分子スイッチとしての機能を果たさなければならないので、これは、天然のアプタマーに対する機能的要求を付加することもでき、この付加は、そのより精巧な構造を合理化するのに役立ち得る。
B.TPPリボスイッチ
補酵素チアミンピロリン酸(TPP)は、ビタミンB1(多数のタンパク質触媒反応での不可欠な関連物質(participant))の活性形態である。3つ全ての生物の領域(細菌、植物、および真菌が含まれる)は、チアミンおよびそのリン酸化誘導体の移入または合成を担う遺伝子を調節するためのTPP感知リボスイッチを使用する。このことがこのリボスイッチクラスを代謝産物感知RNA調節系の最も広範に分布したメンバーにしている。構造により、折り畳まれたRNAが明らかになり、このRNAは、一方のサブドメインがTPPの4−アミノ−5−ヒドロキシメチル−2−メチルピリミジン部分のための挿入ポケットを形成するのに対して、他方のサブドメインがリガンドのピロリン酸部分と接触して架橋する2価の金属イオンおよび水分子を使用するより広いポケットを形成する。2つのポケットは、広がった高次構造中のTTPを認識する分子測定デバイスとして機能するように配置される。中央のチアゾール部分はRNAによって認識されず、このことは、何故抗菌化合物であるピリチアミンピロリン酸がこのリボスイッチを標的にして、チアミン代謝遺伝子の発現を下方制御するのかを説明している。天然のリガンドおよびその薬物様アナログの両方は、リボスイッチによって利用される二次構造エレメントおよび三次構造エレメントを安定化して、mRNAによってコードされるタンパク質の合成を調整する。さらに、この構造により、どのようにして折り畳まれたRNAがタンパク質遺伝因子によって形成される結合ポケットと競合する正確な結合ポケットを形成することができるのかについての実態が提供される。
3つのTPPリボスイッチを糸状菌Neurospora crassaにおいて試験し、mRNAスプライシングの調節によって遺伝子発現を1つが活性化し、2つが抑制することが見出された(Cheah 2007)。TPP代謝に関与するタンパク質をコードする前駆体NMT1 mRNAについてのリボスイッチ媒介性塩基対合の変化およびオルタナティブスプライシング調節に関与する詳細な機構が解明された(Cheah 2007)。これらの結果は、真核細胞が重要な生化学過程の調節に重要なRNAスプライシング事象を調節するために代謝産物結合RNAを使用することを証明する。
TPPリボスイッチが、試験した全植物種のチアミン生合成遺伝子THICの3’非翻訳領域(UTR)中に存在することが発見された。THIC TPPリボスイッチは、オルタナティブな3’UTR長を有する転写物の形成を調節し、これはmRNAの安定性およびタンパク質産生に影響を及ぼす。オルタナティブ3’末端プロセシングのリボスイッチ媒介性調節は、THIC発現のTPP依存性フィードバック調節に重要であることが証明されている。データにより、RNA折り畳みの代謝産物依存性の変化が、mRNAのスプライシングおよびオルタナティブ3’末端プロセシングを調節する機構が明らかとなる。
TPPリボスイッチは、種々の植物種中に存在し、チアミン代謝遺伝子THICの3’UTR中に存在する。オルタナティブな3’UTR長を有するTHIC転写物の形成は、リボスイッチ機能に依存し、細胞TPPレベルの変化に応答してTHIC発現のフィードバック調節を媒介する。データは、3’UTR長が転写物の安定性と相関し、それにより、オルタナティブ3’末端プロセシングによる遺伝子調節の基盤が確立されることを示す。植物におけるTPPリボスイッチ機能の詳細な機構を示し(実施例1)、この機構は、THIC mRNAのスプライシングおよび差分的3’末端プロセシングのアプタマー媒介性調節を含む。
植物種Arabidopsis thaliana、Oryza sativa、およびPoa secunda由来のTHIC遺伝子の3’UTR中に高度に保存されたTPP結合アプタマーが存在することが、以前に報告されている(Sudarsanら、2003)。代表的な植物TPPアプタマー群(collection)を、さらなる植物種由来のTHIC遺伝子の配列決定およびTPPアプタマーコンセンサスに従うヌクレオチド配列のデータベース検索の実施によって拡大した。cDNA配列を得た後、各種のゲノムDNA由来の対応する領域をクローン化し、配列決定し(詳細については、実験手順を参照のこと)、それによって、初期およびプロセシングされたmRNA分子の両方の配列が得られる。
植物由来の全ての利用可能なTPPアプタマー配列のアラインメントにより、高レベルのヌクレオチド配列保存およびステムP1〜P5からなる二次構造が明らかとなる(図1A)。植物(図1B)および糸状菌(Cheahら、2007)由来の真核生物TPPリボスイッチアプタマーをそれらの細菌および古細菌の対応物(図1C)(Winklerら、2002;Rodionovら、2002)と比較した場合の主な相違点は、代表的な細菌に頻繁に存在するP3aステムが一貫して存在しないこと、および真核細胞におけるP3ステムの長さが可変であることである。いずれの領域もTPP結合に関与せず(EdwardsおよびFerre−D’Amare、2006;Serganovら、2006;Thoreら、2006;Cheahら、2007)、したがって、これらの相違はリガンド結合特異性に影響を及ぼさないはずである。
TPPアプタマーは、単子葉植物、双子葉植物、および針葉樹Pinus taeda由来の全ての公知のTHICの例の3’UTR中に見出される。興味深いことに、蘚類Physcomitrella patensでは、TPPアプタマーはTHICの3’UTR中に存在し(Ppa1)、チアミン生合成遺伝子THI4に相同な2つの遺伝子の3’領域中にも存在する(Ppa2、Ppa3)。この後者の所見、および真菌が複数の異なる遺伝子に関連するTPPアプタマーも有するという所見(Cheahら、2007)は、真核生物が種々の濃度の重要な代謝産物に応答して複数の遺伝子を調節するために同一のリボスイッチクラスのバリアントを使用する可能性が高いことを示す。
植物由来のTPPアプタマーの特筆すべき特徴は、高レベルのヌクレオチド配列保存である。約80%のヌクレオチド(P3ステムを除く)が、全ての植物例で保存されている。対照的に、糸状菌では40%未満しか保存されていない。植物TPPアプタマー間のほとんどの相違はP3ステム中で見出され、長さおよび配列の両方が異なる。また、P3ステムの長さは、P.patens(図1A)で認められるように、同種の代表的なTPPアプタマー間で異なる。THIC中の伸長したP3ステムおよびTHI4中の非常に短いP3ステムの両方の存在は、このアプタマー成分に種特異的要件が存在しないことを示す。
植物におけるTPPリボスイッチ調節は、mRNA転写物のスプライシングおよびオルタナティブ3’末端プロセシングの代謝産物媒介性調節を含む(図7C)。細胞中のTPP濃度が低い場合、アプタマーは、5’スプライス部位と相互作用してスプライシングを防止する。このイントロンは、転写物の切断およびポリアデニル化を可能にする主なプロセシング部位を保有する。この部位由来のプロセシングにより、短い3’UTRを保有し、且つTHIC遺伝子を高発現するTHIC−II転写物が産生される。
TPP濃度が高い場合、アプタマーへのTPP結合により、5’スプライス部位への対合が防止される。結果として、5’スプライス部位が接近可能となり、主なプロセシング部位を除去するスプライシング事象で使用される。転写は、その後、1kbまで拡大し、下流に存在するプロセシング部位の使用により、はるかに長い3’UTRを保有するTHIC−III RNAが得られる。長い3’UTRによって転写物分解が増加し、THIC発現が低減する。以前の研究では、転写の拡大は転写物プロセシングの非存在下で起こり、したがって、これらのプロセスの相互関連性(interconnectivity)が明らかとなったことが示されている(Buratowski、2005;Proudfoot、2004;Proudfootら、2002)。
TPPリボスイッチは、米国特許出願公開第2005−0053951号(その全体が本明細書中で援用され、特に、TTPリボスイッチの構造、機能、および使用におけるその記載のための参考としても援用される)にも記載されている。米国特許出願公開第2005−0053951号の任意の主題および記載ならびに、特に、米国特許出願公開第2005−0053951号のTTPリボスイッチの構造、機能、および使用の任意の記載を、本明細書中に開示の他の主題に含めるか排除することができることを特に意図する。
他で特定しない限り、開示の方法および組成物は、特定の合成方法、特定の分析技術、または特定の試薬に制限されず、それ自体、変化することができると理解するべきである。本明細書中で使用した専門用語は特定の実施形態のみを記載することを目的とし、制限することを意図しないとも理解するべきである。
材料
開示の方法および組成物のために使用することができるか、これらと併せて使用することができるか、これらの調製で使用することができるか、または、これらの生成物である、材料、組成物、および成分を開示する。これらおよび他の材料を本明細書中に開示し、特にこれらの材料の組み合わせ、サブセット、相互作用、群などを開示する場合、これらの化合物の種々の個々および集合的組み合わせおよび順列(permutation)のそれぞれに関する特別な言及は明確に開示できず、それぞれ、本明細書中で具体的に意図および記載されると理解される。例えば、リボスイッチまたはアプタマードメインを開示および考察し、多数の分子(リボスイッチまたはアプタマードメインが含まれる)に作製することができる多数の改変物を考察する場合、それとは反対であると具体的に示されない限り、リボスイッチまたはアプタマードメインおよび可能な改変物の各々および全ての組み合わせおよび順列を特に意図する。したがって、分子A、B、およびCのクラスを開示し、ならびに分子D、E、およびFのクラス、および組み合わせ分子の例(A−D)も開示する場合、各々を個別に引用しない場合でさえも、各々を個別または集合的に意図する。したがって、この例では、A−E、A−F、B−D、B−E、B−F、C−D、C−E、およびC−Fの各組み合わせを特に意図し、A、B、およびC;D、E、およびF;ならびに組み合わせ例A−Dの開示から開示されると見なすべきである。同様に、これらの任意のサブセットまたは組み合わせも特に意図および開示される。したがって、例えば、A−E、B−F、およびC−Eの下位集団(sub−group)を特に意図し、A、B、およびC;D、E、およびF;および組み合わせ例A−Dの開示から開示されると見なすべきである。この概念を、本出願の全局面(開示の組成物を作製および使用する方法における工程が含まれるが、これらに限定されない)に適用する。したがって、実施することができる種々のさらなる工程が存在する場合、これらのさらなる工程の各々を開示の方法の任意の特定の実施形態または実施形態の組み合わせを使用して実施することができ、それぞれのかかる組み合わせが特に意図され、開示されると見なすべきであると理解される。
A.リボスイッチ
リボスイッチは、発現するRNA分子の一部であり、トリガー分子によって結合した場合に状態が変化する発現調節エレメントである。リボスイッチを、典型的には、以下の2つの個別のドメインに分けることができる:1つは標的に選択的に結合するドメイン(アプタマードメイン)および他は遺伝子調節に影響を及ぼすドメイン(発現プラットフォームドメイン)である。遺伝子発現が代謝産物依存性にアロステリック調節されるこれらの2ドメイン間の動的相互作用がもたらされる。単離および組換えリボスイッチ、かかるリボスイッチを含む組換え構築物、かかるリボスイッチに作動可能に連結された非相同配列、かかるリボスイッチを保有する細胞およびトランスジェニック生物、リボスイッチ組換え構築物、ならびに非相同配列に作動可能に連結されたリボスイッチを開示する。非相同配列は、例えば、目的のタンパク質またはペプチド(レポータータンパク質またはペプチドが含まれる)をコードする配列であり得る。好ましいリボスイッチは、天然に存在するリボスイッチであり得るか、これに由来し得る。例えば、アプタマードメインは、天然に存在するリボスイッチのアプタマードメインであり得るか、これに由来し得る。リボスイッチは、人工アプタマーを含むか、任意選択的に排除することができる。例えば、人工アプタマーには、in vitro進化および/またはin vitro選択を介してデザインまたは選択されるアプタマーが含まれる。リボスイッチは、天然に存在するリボスイッチのコンセンサス配列を含むことができる。種々のリボスイッチのコンセンサス配列は、米国特許出願公開第2005−0053951号に記載されている(図11中など)。植物TPP応答性リボスイッチのコンセンサス配列を図1Bに示し、特定の例を図1Aに示す。
コード領域に作動可能に連結されたリボスイッチを含むRNAをコードする核酸分子を含み、リボスイッチがRNAのスプライシングを調節し、リボスイッチおよびコード領域が非相同であり、スプライシングの調節がRNAのプロセシングに影響を及ぼす、調節可能な遺伝子発現構築物を本明細書中に開示する。リボスイッチは、RNAのオルタナティブスプライシングを調節することができる。リボスイッチは、アプタマードメインおよび発現プラットフォームドメインを含むことができ、アプタマードメインおよび発現プラットフォームドメインは非相同である。RNAは、イントロンをさらに含むことができる。リボスイッチは、RNAの3’非翻訳領域中に存在し得る。イントロンは、RNAの3’非翻訳領域中に存在し得る。RNAプロセシング部位は、イントロン中に存在し得る。イントロンのスプライシングによってRNAからRNAプロセシング部位を除去し、それにより、RNAのプロセシングに影響を及ぼすことができる。RNAのプロセシングに及ぼされる影響は、RNAプロセシング部位によって媒介されるRNAのプロセシングの排除を含むことができる。RNAのプロセシングに及ぼされる影響は、転写終結の変化を含むことができる。RNAのプロセシングに及ぼされる影響は、RNA分解の増加を含むことができる。RNAのプロセシングに及ぼされる影響は、RNAターンオーバーの増加を含むことができる。リボスイッチは、イントロンの3’スプライスジャンクションと重複することができる。イントロンのスプライシングにより、リボスイッチが活性化される能力が低減または排除され得る。スプライスジャンクションは、5’スプライスジャンクションであり得る。リボスイッチは、RNAのイントロン中に存在し得る。RNAプロセシングは、スプライシングの関与と無関係に、またはこれを使用せずに、調節され得るか影響を受けることもできる。
発現プラットフォームドメインは、イントロン中にスプライスジャンクションを含むことができる。発現プラットフォームドメインは、イントロンの末端にスプライスジャンクションを含むことができる(すなわち、5’スプライスジャンクションまたは3’スプライスジャンクション)。RNAはイントロンをさらに含むことができ、発現プラットフォームドメインはイントロン中に分岐部位を含む。スプライスジャンクションは、リボスイッチが活性化される場合に活性であり得る。スプライスジャンクションは、リボスイッチが活性化されない場合に活性であり得る。リボスイッチを、トリガー分子(チアミンピロリン酸(TPP)など)によって活性化することができる。リボスイッチは、TPP応答性リボスイッチであり得る。リボスイッチは、スプライシングを活性化することができる。リボスイッチは、スプライシングを抑制することができる。リボスイッチは、RNAのスプライシングを変化させることができる。RNAは、分岐構造を有することができる。RNAは、pre−mRNAであり得る。スプライシング調節を有するアプタマー領域は、例えば、P4ステムおよびP5ステム中に存在し得る。スプライシング調節を有するアプタマー領域は、例えば、ループ5中にも見出すことができる。スプライシング調節を有するアプタマー領域は、例えば、ステムP2中にも見出すことができる。したがって、例えば、発現プラットフォームドメインは、P4およびP5配列、ループ5配列、および/またはP2配列と相互作用することができる。かかるアプタマー配列は、一般に、トリガー分子がアプタマードメインに結合しない場合に限り、発現プラットフォームドメインとの相互作用に利用可能であり得る。スプライス部位および/または分岐部位は、例えば、アプタマーの5’末端に対して−130と−160との間の位置に存在することができる。RNAは、第2のイントロンをさらに含むことができ、第2のイントロンの3’スプライス部位は、アプタマードメインの5’末端に対して−220と−270との間の位置に存在する。
RNAのプロセシングに影響を及ぼす方法であって、RNAにリボスイッチを含む構築物を導入する工程であって、リボスイッチがRNAのスプライシングを調節することができ、RNAがイントロンを含み、スプライシングの調節がRNAのプロセシングに影響を及ぼす、導入工程を含む方法も開示する。リボスイッチは、アプタマードメインおよび発現プラットフォームドメインを含むことができ、アプタマードメインおよび発現プラットフォームドメインは、非相同である。リボスイッチは、RNAのイントロン中に存在し得る。リボスイッチを、トリガー分子(TPPなど)によって活性化することができる。リボスイッチは、TPP応答性リボスイッチであり得る。リボスイッチは、スプライシングを活性化することができる。リボスイッチは、スプライシングを抑制することができる。リボスイッチは、RNAのスプライシングを変化させることができる。スプライシングは、非天然に起こり得る。スプライシング調節を有するアプタマー領域は、例えば、ループ5中に見出すことができる。スプライシング調節を有するアプタマー領域は、例えば、ステムP2中にも見出すこともできる。スプライス部位は、例えば、アプタマーの5’末端に対して−130と−160との間の位置に存在することができる。構築物は、イントロンをさらに含むことができる。
(a)コード領域に作動可能に連結されたリボスイッチを含むRNAをコードする核酸分子を含む構築物を含む細胞であって、リボスイッチがRNAのスプライシングを調節し、リボスイッチおよびコード領域が非相同であり、スプライシングの調節がRNAのプロセシングに影響を及ぼす、細胞と、(b)有効量のリボスイッチのトリガー分子とを接触させ、それにより、遺伝子発現に影響を及ぼす、遺伝子発現に影響を及ぼす方法も開示する。リボスイッチは、TPP応答性リボスイッチであり得る。トリガー分子は、チアミンまたはTPPであり得る。
リボスイッチは、RNAのスプライシングを変化させることができる。例えば、リボスイッチの活性化により、スプライシングを許容するか促進し、オルタナティブスプライシングを許容するか促進し、スプライシングもしくは優勢スプライシング(predominate splicing)を防止または低減させ、オルタナティブスプライシングを防止または低減させ、またはスプライシングもしくは優勢スプライシングを許容するか促進することができる。他の例として、非活性化されたリボスイッチまたはリボスイッチの非活性化により、オルタナティブスプライシングを許容するか促進し、スプライシングもしくは優勢スプライシングを防止または低減させ、オルタナティブスプライシングを防止または低減させ、またはスプライシングもしくは優勢スプライシングを許容または促進することができる。一般に、スプライシング調節形態を、RNA分子中のスプライスジャンクション、オルタナティブスプライスジャンクション、および分岐部位に対するリボスイッチの物理的関係によって決定することができる。例えば、リボスイッチの活性化/非活性化は、一般に、RNA中のオルタナティブな二次構造(例えば、塩基対合ステム)の形成および/または破壊を含み、この構造の変化を使用して、機能的RNA配列を隠すか露出することができる。リボスイッチの発現プラットフォームドメインは、一般に、かかる機能的RNA配列を含む。したがって、例えば、リボスイッチが活性化または非活性化されるかその逆となるようにスプライスジャンクションまたは分岐部位が交互に隠されるか露出するような方法で、リボスイッチの発現プラットフォームドメイン中にスプライスジャンクションまたは分岐部位を含めることにより、RNAのスプライシングを調節するか影響を及ぼすことができる。
スプライシングの調節により、スプライシングが調節されるRNAのプロセシングに影響を及ぼすことができる。例えば、RNA中のイントロンは、RNAプロセシングシグナルまたはRNAプロセシング部位を含むことができる。RNAのスプライシングにより、プロセシングシグナルまたはプロセシング部位を排除することができる。例えば、mRNAの3’UTR中の転写終結シグナルまたはRNA切断部位が、RNAからスプライスされるイントロン中に存在する場合、これをRNAから欠失することができる。したがって、本明細書中に記載のリボスイッチによるそのイントロンのスプライシングの調節は、RNAのプロセシングに影響を及ぼし得る。別の例として、RNAプロセシングシグナルまたはRNAプロセシング部位を、RNAプロセシング系のイントロンまたは異なるエレメントのスプライシングによって作製することができ、シグナルまたは部位を、イントロンのスプライシングによって作動可能な配置にするかそこから解除することができる。別の例として、RNAプロセシングシグナルまたはRNAプロセシング部位を、RNAの他のエレメントと作動可能に近接させるかそこから解除することができる。
スプライシングの調節による媒介を用いずに、リボスイッチによってRNAプロセシングに直接的に影響を及ぼすこともできる。例えば、RNAプロセシングシグナルまたはRNAプロセシング部位は、リボスイッチの発現プラットフォームドメイン中に存在し得る。この方法では、リボスイッチの活性化による発現プラットフォームの(およびそれによるRNAプロセシングシグナルまたはRNAプロセシング部位の)構造上の関係の変化により、RNAプロセシングシグナルまたはRNAプロセシング部位が操作する能力に影響を及ぼすことによってプロセシングに影響を及ぼすことができる。
リボスイッチは、RNAプロセシングに影響を及ぼすことができる。「RNAプロセシングに影響を及ぼす」は、リボスイッチが、RNAに対してRNAプロセシングを引き起こすことを可能にするか、刺激するか、低減させるか、防止するように直接または間接的に(例えば、スプライシングの調節によって)作用することができることを意味する。これは、例えば、任意のプロセシングを引き起こすことを可能にすることを含むことができる。これにより、リボスイッチを使用せずに起こるプロセシング事象数と比較して、プロセシングを1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100%またはそれを超えて増加または低減させることができる。
RNAプロセシングは、例えば、転写終結、RNAの3’末端の形成、ポリアデニル化、およびRNAの分解またはターンオーバーを含むことができる。本明細書中で使用する場合、RNAプロセシングシグナルまたはRNAプロセシング部位は、RNAプロセシングの事象または条件を媒介するか、シグナル伝達するか、そのために必要とされる配列、構造、または位置である。例えば、一定の配列または構造は、転写終結、RNA切断、またはポリアデニル化をシグナル伝達することができる。
リボスイッチは、スプライシングを活性化または抑制することができる。「スプライシングを活性化する」は、リボスイッチが直接的または間接的のいずれかでRNAに作用してスプライシングを起こさせることを意味する。これは、例えば、任意のスプライシングを起こさせること(スプライスなしに対する1つのスプライスなど)またはオルタナティブスプライシングを起こさせることを含み得る。これは、リボスイッチなしで起こるスプライシング事象数と比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100%またはそれを超えるスプライシングを増加することができる。
「スプライシングを抑制する」は、リボスイッチが直接的または間接的のいずれかでRNAに作用してスプライシングを抑制することを意味する。これは、例えば、任意のスプライシングの開始防止またはスプライシングの開始の減少(1つのスプライスに対するスプライスなしなど)またはオルタナティブスプライシングの開始の防止または減少を含み得る。これは、リボスイッチなしで起こるオルタナティブスプライシング事象数と比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100%のオルタナティブスプライシングを減少させることができる。
リボスイッチは、オルタナティブスプライシングを活性化または抑制することができる。「オルタナティブスプライシングを活性化する」は、リボスイッチが直接的または間接的のいずれかでRNAに作用してオルタナティブスプライシングを起こさせることを意味する。これは、リボスイッチなしで起こるオルタナティブスプライシング事象数と比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100%またはそれを超えるオルタナティブスプライシングを増加することができる。
「オルタナティブスプライシングを抑制する」は、リボスイッチが直接的または間接的のいずれかでRNAに作用してオルタナティブスプライシングを抑制することを意味する。これは、リボスイッチなしで起こるオルタナティブスプライシング事象数と比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100%のオルタナティブスプライシングを減少させることができる。
リボスイッチは、RNAによってコードされるタンパク質の発現に影響を及ぼすことができる。例えば、スプライシングまたはオルタナティブスプライシングの調節により、RNAが翻訳される能力に影響を与え得、コード領域を変化させる、または翻訳の開始または終結を変化させることができる。オルタナティブスプライシングは、例えば、開始コドンまたは終止コドン(または両方)を通常はプロセシングした転写物中に存在しないプロセシングした転写物中に出現させることができる。別の例として、オルタナティブスプライシングにより、通常の開始コドンまたは終止コドンを、プロセシングした転写物から除去することができる。RNAによってコードされたタンパク質発現を調節するためのリボスイッチ調節スプライシングの有用な使用様式は、リボスイッチをRNAの5’非翻訳領域中のイントロンに導入し、イントロン中の開始コドンがオルタナティブスプライシングされたRNA中の第1の開始コドンであるようにイントロン中に開始コドンを含めるかこれを使用することである。RNAによってコードされたタンパク質発現を調節するためのリボスイッチ調節スプライシングの別の有用な使用様式は、リボスイッチをRNAの5’非翻訳領域中のイントロンに導入し、読み取り枠がオルタナティブスプライシングされたRNA中に最初に出現するようにイントロン中に短い読み取り枠を含めるかこれを使用することである。
RNA分子は、分岐構造を有することができる。例えば、真菌のTPPリボスイッチでは(Cheah 2007)、TPP濃度が低い場合、新規に転写されたmRNAは第2の5’スプライス部位を塞ぐ構造を採用する一方で、スプライシングに利用可能な分岐部位を遊離する。5’スプライス部位由来のpre−mRNAスプライシングにより、mRNAのI−3形態が産生され、NMT1タンパク質が発現される。TPP濃度が高い場合、TPPアプタマーへのリガンド結合により、RNA折り畳みがアロステリックに変化して第2の5’スプライス部位付近の構造可塑性が増加し、分岐部位付近のヌクレオチドが塞がれる。
開示のリボスイッチ(その誘導体および組換え形態が含まれる)は、一般に、任意の供給源(天然に存在するリボスイッチおよびde novoでデザインしたリボスイッチが含まれる)に由来し得る。任意のかかるリボスイッチは、これらがオルタナティブスプライシングを調節すると決定されている限り、開示の方法で使用するか開示の方法と共に使用することができる。しかし、異なるリボスイッチ型を定義することができ、いくつかのかかるサブタイプは、特定の方法で有用であるか、特定の方法と共に有用であり得る(一般に、本明細書中の他所に記載)。リボスイッチ型には、例えば、天然に存在するリボスイッチ、天然に存在するリボスイッチの誘導体および改変形態、キメラリボスイッチ、および組換えリボスイッチが含まれる。天然に存在するリボスイッチは、天然で見出されるリボスイッチの配列を有するリボスイッチである。かかる天然に存在するリボスイッチは、天然で起こる天然に存在するリボスイッチの単離形態または組換え形態であり得る。すなわち、リボスイッチは、同一の一次構造を有するが、新規の遺伝子または核酸状況で単離または操作されている。キメラリボスイッチを、例えば、任意のリボスイッチのまたは特定のクラスもしくは型のリボスイッチのリボスイッチの一部および同一のリボスイッチのまたは任意の異なるクラスもしくは型のリボスイッチの異なるリボスイッチの一部;任意のリボスイッチのまたは特定のクラスもしくは型のリボスイッチのリボスイッチの一部および任意の非リボスイッチ配列または成分で構成することができる。組換えリボスイッチは、新規の遺伝子または核酸状況で単離または操作されているリボスイッチである。
リボスイッチは、1つまたは複数のアプタマードメインを有することができる。複数のアプタマードメインを有するリボスイッチ中のアプタマードメインは、トリガー分子の協同的結合を示すことができるか、トリガー分子の協同的結合を示すことができない(すなわち、アプタマーは協同的結合を示す必要がない)。後者の場合、アプタマードメインは、非依存性結合剤であるということができる。複数のアプタマーを有するリボスイッチは、1つまたは複数の発現プラットフォームドメインを有することができる。例えば、トリガー分子の協同的結合を示す2つのアプタマードメインを有するリボスイッチを、両方のアプタマードメインによって調節される1つの発現プラットフォームドメインに連結することができる。複数のアプタマーを有するリボスイッチは、リンカーを介して結合した1つまたは複数のアプタマーを有することができる。かかるアプタマーがトリガー分子の協同的結合を示す場合、リンカーは協同的リンカーであり得る。
xとx−1との間のヒル係数nを有する場合(xは、協同的結合について分析されるアプタマードメイン数(またはアプタマードメイン上の結合部位数)である)、アプタマードメインは協同的結合を示すということができる。したがって、例えば、リボスイッチが2と1との間のヒル係数を有する場合、2つのアプタマードメインを有するリボスイッチ(グリシン応答性リボスイッチなど)は協同的結合を示すということができる。使用した値xが協同的結合について分析したアプタマードメイン数(必ずしもリボスイッチ中のアプタマードメインの存在数ではない)に依存すると理解すべきである。一部のみしか協同的結合を示さない場合にリボスイッチが複数のアプタマードメインを有することができるので、これは理解される。
非相同アプタマードメインおよび発現プラットフォームドメインを含むキメラリボスイッチを開示する。すなわち、キメラリボスイッチは、ある供給源由来のアプタマードメインおよび別の供給源由来の発現プラットフォームドメインから構成される。非相同供給源は、例えば、異なる特異的リボスイッチ、異なるリボスイッチ型、または異なるリボスイッチクラスに由来し得る。非相同アプタマーは、非リボスイッチアプタマーにも由来し得る。非相同発現プラットフォームドメインは、非リボスイッチ供給源にも由来し得る。
改変リボスイッチまたは誘導体リボスイッチを、in vitro選択および進化技術を使用して産生することができる。一般に、リボスイッチに適用されるin vitro進化技術は、リボスイッチ配列の一部が変化している一方で、リボスイッチの他の部分が一定に保持されている改変(variant)リボスイッチ組の産生を含む。次いで、改変リボスイッチ組の活性化、非活性化、または遮断(または他の機能的もしくは構造的基準)を評価することができ、目的の基準を満たす改変リボスイッチを使用またはさらなる進化ラウンドのために選択する。改変体生成に有用な基盤リボスイッチは、本明細書中に開示の特異的およびコンセンサスリボスイッチである。コンセンサスリボスイッチを使用して、どのリボスイッチ部分がin vitro選択および進化のために変化するかについての情報を提供することができる。植物TPP応答性リボスイッチのコンセンサス配列を図1Bに示す。
調節が変化した改変リボスイッチも開示する。リボスイッチの調節を、リボスイッチ(キメラリボスイッチである)の発現プラットフォームドメインへのアプタマードメインの作動可能な連結によって変化させることができる。次いで、アプタマードメインは、例えば、アプタマードメインのためのトリガー分子の作用によってリボスイッチの調節を媒介することができる。アプタマードメインを、任意の適切な様式で(例えば、リボスイッチの通常または天然のアプタマードメインの新規のアプタマードメインとの置換によるものが含まれる)、リボスイッチの発現プラットフォームドメインに作動可能に連結することができる。一般に、アプタマードメインが由来するリボスイッチを活性化、誘導体化、または遮断することができる任意の化合物または条件を使用して、キメラリボスイッチを活性化、誘導体化、または遮断することができる。
不活化リボスイッチも開示する。リボスイッチの共有結合の変化(例えば、リボスイッチの一部の架橋または化合物のリボスイッチへのカップリング)によってリボスイッチを不活化することができる。この様式でのリボスイッチの不活化は、例えば、リボスイッチに対しトリガー分子の結合を防止するか、トリガー分子の結合の際にリボスイッチの状態の変化を防止するか、リボスイッチの発現プラットフォームドメインがトリガー分子の結合の際に発現に影響を及ぼすのを防止する変化に起因し得る。
バイオセンサーリボスイッチも開示する。バイオセンサーリボスイッチは、その同系のトリガー分子の存在下で検出可能なシグナルを産生する操作リボスイッチである。有用なバイオセンサーリボスイッチを、閾値レベルまたは閾値レベルを超えるトリガー分子で誘発することができる。バイオセンサーリボスイッチを、in vivoまたはin vitroでの使用のためにデザインすることができる。例えば、シグナルとしての機能を果たすかシグナル産生に関与するタンパク質をコードするレポーターRNAに作動可能に連結されたバイオセンサーリボスイッチを、細胞または生物にリボスイッチ/レポーターRNAをコードする核酸構築物を保有させるように操作することによってin vivoで使用することができる。in vitroで使用するバイオセンサーリボスイッチの例は、高次構造依存性標識(リボスイッチの活性化状態に応じて変化するシグナル)を含むリボスイッチである。かかるバイオセンサーリボスイッチは、好ましくは、天然に存在するリボスイッチからの或いはそれに由来するアプタマードメインを使用する。バイオセンサーリボスイッチを、種々の状況およびプラットフォームで使用することができる。例えば、バイオセンサーリボスイッチを、固体支持体(プレート、チップ、ストリップ、およびウェルなど)と共に使用することができる。
新規のトリガー分子を認識する改変リボスイッチまたは誘導体リボスイッチも開示する。新規のトリガー分子を認識する新規のリボスイッチおよび/または新規のアプタマーを、公知のリボスイッチのために選択するか、公知のリボスイッチからデザインするか、公知のリボスイッチから誘導することができる。例えば、リボスイッチ中のアプタマー改変体組を産生する工程、目的の化合物の存在下での改変リボスイッチの活性化を評価する工程、活性化された改変リボスイッチ(または、例えば、最高にまたは最も選択的に活性化されたリボスイッチ)の選択、および所望の活性、特異性、活性と特異性との組み合わせ、または特性の他の組み合わせの改変リボスイッチが得られるまでこれらの工程を繰り返すことによってこれを行うことができる。
一般に、発現プラットフォームドメイン中の調節された鎖をアプタマードメインの調節鎖に相補的であるようにデザインまたは適合させることによって、任意のアプタマードメインを任意の発現プラットフォームドメインと共に使用するために適合させることができる。あるいは、調節鎖が発現プラットフォーム中の機能的に重要な配列に相補的であるように、アプタマーの配列およびアプタマードメインの調節鎖を適合させることができる。
非相同リボスイッチおよびコード領域を含むRNA分子を開示する。すなわち、かかるRNA分子は、ある供給源由来のリボスイッチおよび別の供給源由来のコード領域から構成される。非相同供給源は、例えば、異なるRNA分子、異なる転写物、異なる遺伝子由来のRNAまたは転写物、異なる細胞由来のRNAまたは転写物、異なる生物由来のRNAまたは転写物、異なる種由来のRNAまたは転写物、天然の配列および人工または操作された配列、特異的リボスイッチ、異なるリボスイッチ型、または異なるリボスイッチクラスに由来し得る。
本明細書中に開示する場合、用語「コード領域」は、アミノ酸をコードする核酸の任意の領域をいう。これは、コドンまたはコドンのテンプレートを含む核酸鎖および二本鎖核酸分子の場合のかかる核酸鎖の相補物の両方を含むことができる。コード領域でない核酸領域を、非コード領域ということができる。転写される伝令RNA分子は、典型的には、5’末端および3’末端の両方に非コード領域を含む。真核生物mRNA分子は、イントロンなどの内部非コード領域も含むことができる。いくつかのRNA分子型は、tRNA分子およびrRNA分子などの機能的コード領域を含まない。
1.アプタマードメイン
アプタマーは、特定の化合物および化合物クラスに選択的に結合することができる核酸セグメントおよび構造である。リボスイッチは、トリガー分子の結合の際にリボスイッチの状態または構造が変化するアプタマードメインを有する。機能的リボスイッチでは、アプタマードメインに連結した発現プラットフォームドメインの状態または構造は、トリガー分子がアプタマードメインに結合した場合に変化する。リボスイッチのアプタマードメインは、任意の供給源(例えば、天然リボスイッチのアプタマードメイン、人工アプタマー、操作された、選択された、進化した、または誘導されたアプタマーまたはアプタマードメインが含まれる)に由来し得る。リボスイッチ中のアプタマーは、一般に、ステム構造の形成などによって連結した発現プラットフォームドメイン部分と相互作用することができる少なくとも1つの部分を有する。このステム構造は、トリガー分子の結合の際に形成されるか破壊されるかのいずれかである。
種々の天然リボスイッチのコンセンサスアプタマードメインを、米国特許出願公開第2005−0053951号の図11および本明細書中の他所に示す。これらのアプタマードメイン(本明細書中に具体化された全てのダイレクト改変体(direct variant)が含まれる)を、リボスイッチ中で使用することができる。コンセンサス配列および構造は、配列および構造の変形を示す。示した変形内のアプタマードメインを本明細書中でダイレクト改変体という。これらのアプタマードメインを、改変(modified)または改変(variant)アプタマードメインが産生されるように改変することができる。保存的改変には、対の中のヌクレオチドが相補性を維持するような塩基対合ヌクレオチドの任意の変化が含まれる。中等度の改変には、示した長さ範囲の20%以下のまたは等しい(長さまたは長さの範囲を示す)ステムまたはループの長さの変化が含まれる。コンセンサス構造が特定の長さのステムまたはループを示す場合、または、長さの範囲が列挙または表示される場合、ループおよびステムの長さを、「示す」と見なす。中等度の改変には、示した長さ範囲の40%以下のまたは等しい(長さまたは長さの範囲を示さない)ステムまたはループの長さの変化が含まれる。中等度の改変には、アプタマードメインの非特定部分の機能的改変体も含まれる。
開示のリボスイッチのアプタマードメインを、任意の他の目的、および任意の他の状況のためにアプタマーとして使用することもできる。例えば、アプタマーを使用して、リボザイム、他の分子スイッチ、および構造の変化がRNAの機能に影響を及ぼし得る任意のRNA分子を調節することができる。
2.発現プラットフォームドメイン
発現プラットフォームドメインは、リボスイッチを含むRNA分子の発現に影響を及ぼすリボスイッチの一部である。発現プラットフォームドメインは、一般に、ステム構造の形成などによって連結したアプタマードメインの一部と相互作用することができる少なくとも1つの部分を有する。このステム構造は、トリガー分子の結合の際に形成されるか破壊されるかのいずれかである。ステム構造は、一般に、発現調節構造を形成するか、これの形成を防止するかのいずれかである。発現調節構造は、構造を含むRNA分子の発現を許容するか、防止するか、増強するか、阻害する構造である。例には、シャイン−ダルガノ配列、開始コドン、転写ターミネーター、および安定性シグナル(stability signal)、ならびにプロセシングシグナル(RNAスプライシングジャンクションおよび調節エレメントまたはポリアデニル化シグナルおよび3’末端シグナルなど)が含まれる。スプライシングの調節のために、発現プラットフォームドメイン中にスプライスジャンクション、オルタナティブスプライスジャンクション、および/またはイントロンの分岐部位を含めることが有用である。リボスイッチのアプタマードメイン中の配列とのかかるプラットフォーム発現ドメインの相互作用を、発現プラットフォームドメインとアプタマードメインとの間の相補配列によって媒介することができる。
B.調節構築物
本明細書中の他の場所に記載のように、リボスイッチを使用して、RNA分子の発現を調節し、影響を及ぼすことができる。発現プラットフォームドメインを、かかる制御および調節を可能にするか、媒介するか、容易にするように作動可能に連結することができる。発現プラットフォームドメイン配列中、その周辺、またはこれと共に特定の配列および構造を組み合わせることが有用であり得る。例えば、開示のTPPリボスイッチは、RNAの3’UTR中に存在し、且つ3’UTR中のイントロンと会合することができる。これらの配列の組み合わせを、リボスイッチ調節構築物または調節構築物ということができる。これに関連して、調節構築物は、リボスイッチ(アプタマードメインおよび発現プラットフォームドメインから構成される)、調節イントロン(発現プラットフォームドメインおよびアプタマードメインの一部を含むことができる)、および他のエクソン3’UTR配列を含むことができる。エクソン3’UTR配列は、リボスイッチ由来の配列を含んでいても含んでいなくてもよい。これは、例えば、リボスイッチおよび調節構築物のデザイン、イントロンのスプライシングが起こるかどうか、またはどのようにしてRNAプロセシングが影響を受けるのかに依存し得る。便宜上、選択肢の1つ、すなわちRNAの活性なおよび/または支配的な形態中の3’UTR配列を、活性な3’UTR配列ということができる。例として、THIC RNAの形態II中の3’UTR配列は、これらのRNAの活性な3’UTR配列である。開示のリボスイッチおよび構築物はRNAプロセシングを調節して影響を及ぼすことができるので、調節構築物は、リボスイッチ、イントロン、または活性な3’UTR配列の一部ではない他の配列を含むこともできる。例えば、開示のTHIC RNAは、活性な3’UTR配列の3’末端配列とリボスイッチのアプタマードメインとの間の配列を含む(図8を参照のこと)。かかる配列を、スペーサー3’UTR配列ということができる。
開示の構築物およびRNAは、リボスイッチ、イントロン、活性な3’UTR配列、およびスペーサー3’UTR配列を含むことができる。上記および本明細書中の他の場所に記載のように、これらのエレメントおよび配列のいくつかは重複し得る。かかる構築物の例を、実施例1に記載し、図8に示す。図8は、かかる調節構築物の天然に存在する形態の例を示す。同一の天然に存在する調節構築物由来のリボスイッチ、イントロン、活性な3’UTR配列、およびスペーサー3’UTR配列を使用することが有用である。したがって、例えば、天然に存在する遺伝子中の終止コドンからリボスイッチの3’末端までの全領域を、非相同コード配列に作動可能に連結された調節構築物中で共に使用することができる。かかる構築物の例を実施例1に記載する。あるいは、異なる調節構築物由来の異なる配列を置換することができるか、異なるか誘導されたリボスイッチまたはアプタマードメインを、他のイントロン、活性な3’UTR配列、および/またはスペーサー3’UTR配列と組み合わせることができる。例えば、コンセンサスまたは誘導されたアプタマードメインを、調節構築物中で使用することができる。
C.トリガー分子
トリガー分子は、リボスイッチを活性化することができる分子および化合物である。これには、リボスイッチの天然または通常のトリガー分子およびリボスイッチを活性化することができる他の化合物が含まれる。天然または通常のトリガー分子は、所与の天然のリボスイッチのためのトリガー分子であるかまたはいくつかの非天然リボスイッチの場合、リボスイッチがデザインされるためのトリガー分子か、それと共にリボスイッチが選択される(例えば、in vitro選択技術またはin vitro進化技術など)トリガー分子である。
D.化合物
リボスイッチを活性化、非活性化、または遮断することができる化合物およびかかる化合物を含む組成物も開示する。リボスイッチは、トリガー分子の結合または除去によって遺伝子発現を調節するように機能する。化合物を使用して、リボスイッチを活性化、非活性化、または遮断することができる。リボスイッチのトリガー分子(ならびに他の活性化化合物)を使用して、リボスイッチを活性化することができる。トリガー分子以外の化合物を使用して、一般に、リボスイッチを非活性化または遮断することができる。リボスイッチを、例えば、リボスイッチの存在からのトリガー分子の除去によって非活性化することもできる。リボスイッチを、例えば、リボスイッチを活性化しないトリガー分子のアナログの結合によって遮断することができる。
RNA分子(RNAのスプライシングまたはプロセシングの変化などによる)またはRNA分子(RNA分子はリボスイッチを含む)をコードする遺伝子の発現を変化させるための化合物も開示する。化合物のRNA分子との接触によってこれを行うことができる。リボスイッチは、トリガー分子の結合または除去によって遺伝子発現を調節するように機能する。したがって、リボスイッチを含む目的のRNA分子を、リボスイッチを活性化、非活性化、または遮断する条件に供して、RNAの発現を変化させるために用いることができる(RNAのスプライシングまたはプロセシングの変化などによる)。例えば、転写の終結またはRNAへのリボゾーム結合遮断の結果として発現を変化させることができる。トリガー分子の結合は、リボスイッチの性質に応じて、RNA分子の発現を減少または防止することができるか、RNA分子の発現を促進または増加することができる。
RNA分子またはRNA分子をコードする遺伝子の発現を調節するための化合物も開示する。リボスイッチの活性化、非活性化、または遮断によってリボスイッチを含む天然に存在する遺伝子またはRNAの発現を調節するための化合物も開示する。遺伝子がこの遺伝子を保有する細胞または生物の生存に不可欠である場合、リボスイッチの活性化、非活性化、または遮断により、細胞または生物が死滅、静止、または衰弱し得る。
リボスイッチの活性化、非活性化、または遮断によってリボスイッチを含む単離遺伝子、操作遺伝子、もしくは組換え遺伝子またはRNAの発現を調節するための化合物も開示する。本明細書中に開示のリボスイッチがオルタナティブスプライシング、活性化、非活性化、または遮断を調節するので、リボスイッチは遺伝子発現を調節することができる。かかる調節(regulation)の一次調節(control)としてのリボスイッチの利点は、リボスイッチトリガー分子が小さな非抗原性分子であり得ることである。
リボスイッチを活性化、非活性化、または遮断する化合物を同定する方法も開示する。例えば、リボスイッチを活性化する化合物を、試験化合物とリボスイッチとの接触させる工程およびリボスイッチの活性化を評価する工程によって同定することができる。リボスイッチが活性化される場合、試験化合物を、リボスイッチを活性化する化合物と同定する。リボスイッチの活性化を、任意の適切な様式で評価することができる。例えば、リボスイッチをレポーターRNAに連結することができ、レポーターRNAの発現、発現レベル、または発現レベルの変化を、試験化合物の存在下および非存在下で測定することができる。別の例として、リボスイッチは、高次構造依存性標識(リボスイッチの活性化状態に応じて変化するシグナル)を含むことができる。かかるリボスイッチは、好ましくは、天然に存在するリボスイッチに由来するか、これから誘導するアプタマードメインを使用する。認められるように、調節アッセイまたは測定を使用するか調節アッセイまたは測定を使用しないで、リボスイッチの活性化を評価することができる。
リボスイッチを非活性化する化合物の同定方法を、類似の方法で行うことができる。リボスイッチを遮断する化合物の同定を、任意の適切な様式で行うことができる。例えば、リボスイッチを活性化または非活性化することが公知の化合物の存在下および試験化合物の存在下でリボスイッチの活性化または非活性化を評価するためのアッセイを行うことができる。試験化合物の非存在下で観察されるように活性化または非活性化が認められない場合、試験化合物を、リボスイッチの活性化または非活性化を遮断する化合物と同定する。
リボスイッチを活性化、非活性化、または遮断する化合物の同定および同定された化合物の製造によって作製された化合物も開示する。例えば、本明細書中の他所に開示の化合物同定方法と同定された化合物の製造方法との組み合わせにより、これを行うことができる。例えば、試験化合物とリボスイッチとの接触、リボスイッチの活性化の評価、および試験化合物によってリボスイッチが活性化された場合の化合物としてのリボスイッチを活性化する試験化合物の製造によって化合物を作製することができる。
化合物によるリボスイッチの活性化、非活性化、または遮断のチェックおよびチェックした化合物の製造によって作製された化合物も開示する。例えば、本明細書中の他所に開示の化合物の活性化、非活性化、または遮断評価方法とチェックした化合物の製造方法との組み合わせによってこれを行うことができる。例えば、試験化合物とリボスイッチとの接触、リボスイッチの活性化の評価、および試験化合物によってリボスイッチが活性化された場合の化合物としてのリボスイッチを活性化する試験化合物の製造によって化合物を作製することができる。化合物がリボスイッチを活性化、非活性化、または遮断する能力についての化合物のチェックは、リボスイッチを活性化、非活性化、または遮断することを以前には知られていない化合物の同定および化合物がリボスイッチを活性化、非活性化、または遮断することが既に知られていた場合のリボスイッチを活性化、非活性化、または遮断する化合物の能力の評価の両方をいう。
リボスイッチを活性化するために使用することができる特異的化合物も開示する。TPP応答性リボスイッチにとって有用な化合物には、式:
(式中、化合物はTPP応答性リボスイッチまたはその誘導体に結合することができ、Rは正電荷であり、RおよびRは、それぞれ独立して、C、O、またはSであり、Rは、CH、NH、OH、SH、Hであるか、存在せず、Rは、CH、NH、OH、SH、またはHであり、RはCまたはNであり、
は、それぞれ独立して、単結合または二重結合を示す)を有する化合物が含まれる。Rがホスフェート、ジホスフェート、またはトリホスフェートである上記定義の化合物も意図する。
上記定義内のあらゆる化合物は、本明細書中に具体的に開示されていることを意図するか、見なされるべきである。さらに、上記定義内で同定することができるあらゆる下位集団は、本明細書中に具体的に開示されていることを意図するか、見なされるべきである。結果として、任意の化合物または化合物の下位集団が特に使用のために含まれるか使用から排除されるか、化合物リスト中に含まれるか化合物リストから排除されることを特に意図する。例えば、1つの選択肢として、各化合物が上記のように定義されるが、TPP、TP、またはチアミンではない化合物群が意図される。別の例として、各化合物が上記のように定義され、且つTPP応答性リボスイッチを活性化することができる化合物群が意図される。チアミンピロリン酸(TPP)は、TPP応答性リボスイッチのトリガー分子であり、TPP応答性リボスイッチを活性化することができる。ピリチアミンピロリン酸は、TPP応答性リボスイッチを活性化することができる。ピリチアミンおよびピリチアミンピロリン酸を、本明細書中に開示の化合物、トリガー分子、および方法に独立して且つ具体的に含めるか排除することができる。チアミンおよびチアミンピロリン酸を、本明細書中に開示の化合物、トリガー分子、および方法に独立して且つ具体的に含めるか排除することができる。
E.構築物、ベクター、および発現系
開示のリボスイッチを、任意の適切な発現系と共に使用することができる。組換え発現を、通常、プラスミドなどのベクターを使用して行う。ベクターは、リボスイッチコード配列および発現するRNA(例えば、タンパク質をコードするRNA)に作動可能に連結されたプロモーターを含むことができる。ベクターはまた、転写および翻訳に必要な他のエレメントを含むことができる。本明細書中で使用する場合、ベクターは、外因性DNAを含む任意のキャリアをいう。したがって、ベクターは、分解することなく細胞に外因性核酸を輸送する作用物質(agent)であり、送達された細胞中で核酸を発現させるプロモーターを含む。ベクターには、プラスミド、ウイルス核酸、ウイルス、ファージ核酸、ファージ、コスミド、および人工染色体が含まれるが、これらに限定されない。リボスイッチ調節構築物の輸送に適切な種々の原核生物および真核生物発現ベクターを産生することができる。かかる発現ベクターには、例えば、pET、pET3d、pCR2.1、pBAD、pUC、および酵母ベクターが含まれる。ベクターを、例えば、種々のin vivoおよびin vitro状況で使用することができる。
ウイルスベクターには、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス、ワクシニアウイルス、ポリオウイルス、AIDSウイルス、神経向性ウイルス(neuronal trophic virus)、シンドビスウイルスおよび他のRNAウイルス(HIVバックボーンを有するこれらのウイルスが含まれる)が含まれる。ベクターとしての使用が適切となるこれらのウイルスの性質を共有する任意のウイルスファミリーも有用である。Verma(1985)に記載のレトロウイルスベクターには、モロニーマウス白血病ウイルス(Murine Maloney Leukemia virus)(MMLV)、およびベクターとしてMMLVの所望の性質を発現するレトロウイルスが含まれる。典型的には、ウイルスベクターは、非構造初期遺伝子、構造後期遺伝子、RNAポリメラーゼIII転写物、複製およびキャプシド形成に必要な逆末端反復、およびウイルスゲノムの転写および複製を調節するためのプロモーターを含む。ベクターとして操作する場合、ウイルスは、典型的には、1つまたは複数の初期遺伝子を除去し、除去したウイルスDNAの代わりに遺伝子または遺伝子/プロモーターカセットをウイルスゲノム中に挿入する。
「プロモーター」は、一般に、転写開始部位に対して比較的固定した位置に存在する場合に機能するDNA配列である。「プロモーター」は、RNAポリメラーゼおよび転写因子の基本的相互作用に必要なコアエレメントを含み、上流エレメントおよび応答エレメントを含むことができる。
「エンハンサー」は、一般に、転写開始部位から固定していない距離で機能し、転写単位に対して5’側(Laimins,1981)または3’側(Lusky et al.,1983)であり得るDNA配列をいう。さらに、エンハンサーは、イントロン内に存在することができ(Banerji et al.,1983)、コード配列自体の内部にも存在することができる(Osborne et al.,1984)。これらは、通常、10bp長と300bp長との間であり、シスで機能する。エンハンサーは、近接するプロモーターからの転写を増加させるように機能する。エンハンサーはまた、プロモーターと同様に、転写調節を媒介する応答エレメントをしばしば含む。エンハンサーは、しばしば、発現調節を決定する。
真核生物宿主細胞(酵母細胞、真菌細胞、昆虫細胞、植物細胞、動物細胞、ヒト細胞、または有核細胞)で使用される発現ベクターはまた、mRNA発現に影響を及ぼし得る転写終結に必要な配列を含むことができる。これらの領域は、組織因子タンパク質をコードするmRNAの非翻訳部分中でポリアデニル化セグメントとして転写される。3’非翻訳領域は、転写終結部位も含む。転写単位がポリアデニル化領域も含むことが好ましい。この領域の利点の1つは、転写単位がmRNAのようにプロセシングおよび輸送される可能性が増加することである。発現構築物中でのポリアデニル化シグナルの同定および使用は十分に確立されている。相同ポリアデニル化シグナルを導入遺伝子構築物中で使用することが好ましい。
ベクターは、マーカー産物をコードする核酸配列を含む。このマーカー産物を使用して、遺伝子が細胞に送達されたかどうか、および一旦送達されると発現するかどうかを決定する。好ましいマーカー遺伝子は、β−ガラクトシダーゼおよび緑色蛍光タンパク質をコードするE.Coli lacZ遺伝子である。
いくつかの実施形態では、マーカーは選択可能なマーカーであり得る。かかる選択可能なマーカーが宿主細胞に首尾よく導入された場合、形質転換された宿主細胞は選択圧下においた場合に生存することができる。2つの広く使用されている異なるカテゴリーの選択レジメが存在する。第1のカテゴリーは、細胞の代謝および補充培地と無関係に増殖する能力を欠く変異細胞の使用に基づく。第2のカテゴリーは、任意の細胞型で使用される選択スキームをいい、変異細胞系統の使用を必要としない優性選択である。これらのスキームは、典型的には、宿主細胞の増殖を停止させるための薬物を使用する。新規の遺伝子を有するそれらの細胞は、薬物耐性を伝達するタンパク質を発現し、選択を生き抜く。かかる優性選択の例は、薬物であるネオマイシン(Southern and Berg,1982)、ミコフェノール酸(Mulligan and Berg,1980)、またはハイグロマイシン(Sugden et al.,1985)を使用する。
遺伝子材料(プラスミド、ウイルスベクター、ウイルス核酸、ファージ核酸、ファージ、コスミド、および人工染色体であるが、これらに限定されない)の直接移入の使用またはカチオニックリポソームなどの細胞またはキャリア中の遺伝子材料の移入を介して、遺伝子を移入することができる。かかる方法は当該分野で周知であり、本明細書中に記載の方法での使用に容易に適応することができる。移入ベクターは、細胞に遺伝子を送達させるために使用される任意のヌクレオチド構築物(例えば、プラスミド)または一般的な遺伝子送達ストラテジーの一部(例えば、組換えレトロウイルスまたはアデノウイルスの一部)(Ram et al.Cancer Res.53:83−88,(1993))であり得る。適切なトランスフェクション手段(ウイルスベクター、化学的トランスフェクタント、または物理的機械的方法(エレクトロポレーションおよびDNAの直接拡散など)が含まれる)は、例えば、Wolff,J.A.,et al.,Science,247,1465−1468,(1990);and Wolff,J.A.Nature,352,815−818,(1991)に記載されている。
1.ウイルスベクター
好ましいウイルスベクターは、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス、ワクシニアウイルス、ポリオウイルス、AIDSウイルス、神経向性ウイルス、シンドビスウイルスおよび他のRNAウイルス(HIVバックボーンを有するこれらのウイルスが含まれる)である。ベクターとしての使用が適切となるこれらのウイルスの性質を共有する任意のウイルスファミリーも好ましい。好ましいレトロウイルスには、モロニーマウス白血病ウイルス(MMLV)、およびベクターとしてMMLVの所望の性質を発現するレトロウイルスが含まれる。レトロウイルスベクターは、他のウイルスベクターより高い遺伝子負荷量(すなわち、導入遺伝子またはマーカー遺伝子)を輸送することができ、この理由のために、一般的に使用されるベクターである。しかし、これらは、非増殖細胞で有用ではない。アデノウイルスベクターは、比較的安定であり、作業が容易であり、高力価を有し、エアゾール処方物中で送達させることができ、非***細胞にトランスフェクトすることができる。ポックスウイルスベクターは、巨大であり、いくつかの遺伝子挿入部位を有し、熱安定性を示し、室温で保存することができる。好ましい実施形態は、ウイルス抗原によって誘発される宿主生物の免疫応答を抑制するように操作されたウイルスベクターである。この型の好ましいベクターは、インターロイキン8または10のコード領域を保有する。
ウイルスベクターは、細胞に遺伝子を導入するためのほとんどの化学的方法または物理的方法よりも高い処理能力(遺伝子導入能力)を有する。典型的には、ウイルスベクターは、非構造初期遺伝子、構造後期遺伝子、RNAポリメラーゼIII転写物、複製およびキャプシド形成に必要な逆末端反復、およびウイルスゲノムの転写および複製を調節するためのプロモーターを含む。ベクターとして操作する場合、ウイルスは、典型的には、1つまたは複数の初期遺伝子を除去し、除去したウイルスDNAの代わりに遺伝子または遺伝子/プロモーターカセットをウイルスゲノム中に挿入する。この構築物型は、約8kbまでの外来遺伝子材料を保有することができる。除去された初期遺伝子の必要な機能を、典型的には、トランスで初期遺伝子の遺伝子産物を発現するように操作された細胞系統によって供給される。
i.レトロウイルスベクター
レトロウイルスは、レトロウイルス科のウイルスファミリー(任意の型、亜科、属、向性が含まれる)に属する動物ウイルスである。レトロウイルスベクターは、一般に、Verma,I.M.,Retroviral vectors for gene transfer.In Microbiology−1985,American Society for Microbiology,pp.229−232,Washington,(1985)(本明細書中で参考として援用される)に記載されている。遺伝子治療のためのレトロウイルスベクターの使用方法の例は、米国特許第4,868,116号および同第4,980,286号;PCT出願国際公開第90/02806号および国際公開第89/07136号;およびMulligan,(Science 260:926−932(1993))(その教示が本明細書中で参考として援用される)に記載されている。
レトロウイルスは、本質的に、核酸カーゴ(nucleic acid cargo)に詰められたパッケージである。核酸カーゴは、パッケージングシグナルを保有し、これらのパッケージングシグナルは、複製された娘分子がパッケージコート内に効率的に詰められることを確実にする。パッケージシグナルに加えて、複製および複製されたウイルスのパッケージングのためにシスで必要な多数の分子が存在する。典型的には、レトロウイルスゲノムは、タンパク質コートの作製に関与するgag、pol、およびenv遺伝子を含む。これは、典型的には標的細胞に移入される外来DNAと置換されるgag、pol、およびenv遺伝子である。レトロウイルスベクターは、典型的には、パッケージコートへの組み込みのためのパッケージングシグナル、gag転写単位の開始をシグナル伝達する配列、逆転写に必要なエレメント(逆転写のtRNAプライマーに結合するプライマー結合部位が含まれる)、DNA合成中にRNA鎖のスイッチを導く末端反復配列、第2のDNA合成鎖の合成のためのプライミング部位としての機能を果たすプリンリッチ配列である5’→3’LTR、および宿主ゲノムに挿入するためのレトロウイルスのDNA状態を挿入することができるLTRの末端付近の特異的配列を含む。gag、pol、およびenv遺伝子の除去により、約8kbの外来配列がウイルスゲノムに挿入され、逆転写するようになり、複製の際に新規のレトロウイルス粒子に詰められる。この核酸量は、各転写物のサイズに応じて、1つから多数の遺伝子の送達に十分である。挿入物中に他の遺伝子と共に正または負の選択マーカーのいずれかを含めることが好ましい。
ほとんどのレトロウイルスベクター中の複製機構およびパッケージングタンパク質が除去されているので(gag、pol、およびenv)、典型的には、パッケージング細胞系統へのこれらの配置によってベクターを生成する。パッケージング細胞系統は、複製およびパッケージング機構を含むが、いかなるパッケージングシグナルも欠くレトロウイルスを使用してトランスフェクションまたは形質転換した細胞系統である。選択のDNAを保有するベクターをこれらの細胞系統にトランスフェクションする場合、目的の遺伝子を含むベクターを複製し、ヘルパー細胞によってシスで提供される機構によって新規のレトロウイルス粒子にパッケージングする。必要なシグナルを欠くので、この機構のゲノムはパッケージされない。
ii.アデノウイルスベクター
複製欠損アデノウイルスの構築は記載されている(Berkner et al., J.Virology 61:1213−1220(1987);Massie et al., Mol.Cell.Biol.6:2872−2883(1986);Haj−Ahmad et al., J.Virology 57:267−274(1986);Davidson et al., J.Virology 61:1226−1239(1987);Zhang ”Generation and identification of recombinant adenovirus by liposome−mediated transfection and PCR analysis” BioTechniques 15:868−872(1993))。ベクターとしてのこれらのウイルスの使用の利点は、これらのウイルスが最初の感染細胞内で複製することができるが新規の感染ウイルス粒子を形成できないので、他の細胞型に拡大することができる範囲が制限されていることである。組換えアデノウイルスは、気道上皮、肝細胞、血管内皮、CNS実質、および多数の他の組織部位への直接的なin vivo送達後に高効率の遺伝子移入を達成することが示されている(Morsy, J.Clin.Invest.92:1580−1586(1993);Kirshenbaum, J.Clin.Invest.92:381−387(1993);Roessler, J.Clin.Invest.92:1085−1092(1993);Moullier, Nature Genetics 4:154−159(1993);La Salle, Science 259:988−990(1993);Gomez−Foix, J.Biol.Chem.267:25129−25134(1992);Rich, Human Gene Therapy 4:461−476(1993);Zabner, Nature Genetics 6:75−83(1994);Guzman, Circulation Research 73:1201−1207(1993);Bout, Human Gene Therapy 5:3−10(1994);Zabner, Cell 75:207−216(1993);Caillaud, Eur.J.Neuroscience 5:1287−1291(1993);and Ragot, J.Gen.Virology 74:501−507(1993))。組換えアデノウイルスは、特異的細胞表面受容体への結合によって遺伝子形質導入を達成し、その後、野生型または複製欠損アデノウイルスと同一の様式で、受容体媒介エンドサイトーシスによってウイルスを内在化する (Chardonnet and Dales, Virology 40:462−477(1970);Brown and Burlingham,J.Virology 12:386−396(1973);Svensson and Persson, J.Virology 55:442−449(1985);Seth,et al., J.Virol. 51:650−655(1984);Seth,et al.,Mol.Cell.Biol. 4:1528−1533(1984);Varga et al., J.Virology 65:6061−6070(1991);Wickham et al., Cell 73:309−319(1993))。
好ましいウイルスベクターは、E1遺伝子が除去されたアデノウイルスに基づいたウイルスベクターであり、これらのヴィロン(viron)をヒト293細胞系統などの細胞系統中で生成する。別の好ましい実施形態では、E1およびE3遺伝子の両方をアデノウイルスゲノムから除去する。
別のウイルスベクター型は、アデノ随伴ウイルス(AAV)に基づく。この欠損パルボウイルスは、多数の細胞型に感染することができ、ヒトに非病原性を示すので、好ましいベクターである。AAV型ベクターは、約4〜5kbを輸送することができ、野生型AAVは、第19染色体に安定に挿入されることが公知である。この部位特異的組み込み特性を含むベクターが好ましい。このベクター型の特に好ましい実施形態は、Avigen,San Francisco,CA製のP4.1 Cベクターである。これは、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ遺伝子、HSV−tk、および/またはマーカー遺伝子(緑色蛍光タンパク質(GFP)をコードする遺伝子など)を含むことができる。
ウイルスおよびレトロウイルス中の挿入遺伝子は、通常、所望の遺伝子産物の発現の調節を補助するためのプロモーターおよび/またはエンハンサーを含む。プロモーターは、一般に、転写開始部位に関して比較的固定した位置に存在する場合に機能する配列またはDNA配列である。プロモーターは、RNAポリメラーゼおよび転写因子の基本的相互作用に必要なコアエレメントを含み、上流エレメントおよび応答エレメントを含むことができる。
2.ウイルスプロモーターおよびエンハンサー
哺乳動物宿主細胞中のベクターからの転写を調節する好ましいプロモーターを、種々の供給源(例えば、ポリオーマ、シミアンウイルス40(SV40)、アデノウイルス、レトロウイルス、B型肝炎ウイルス、および最も好ましくはサイトメガロウイルスなどのウイルスゲノム)、または非相同哺乳動物プロモーター(例えば、βアクチンプロモーター)から得ることができる。SV40ウイルスの初期および後期プロモーターを、SV40ウイルス複製起点も含むSV40制限フラグメントとして得ることが都合が良い(Fiers et al.,Nature,273: 113(1978))。ヒトサイトメガロウイルスの最初期プロモーターを、HindIII E制限フラグメントとして得ることが都合が良い(Greenway,P.J.et al.,Gene 18: 355−360(1982))。勿論、宿主細胞または関連種由来のプロモーターも本明細書中で有用である。
エンハンサーは、一般に、転写開始部位から固定していない距離で機能し、転写単位に対して5’側(Laimins,L.et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.78: 993(1981))または3’側(Lusky,M.L.,et al.,Mol.Cell Bio.3: 1108(1983))のいずれかであり得るDNA配列をいう。さらに、エンハンサーは、イントロン内に存在することができ(Banerji,J.L.et al.,Cell 33: 729(1983))、ならびにコード配列自体の内部にも存在することができる(Osborne,T.F.,et al.,Mol.Cell Bio.4: 1293(1984))。これらは、通常、10bp長と300bp長との間であり、シスで機能する。エンハンサーは、近接するプロモーターからの転写を増加させるように機能する。エンハンサーはまた、転写調節を媒介する応答エレメントをしばしば含む。プロモーターはまた、転写調節を媒介する応答エレメントを含む。エンハンサーは、しばしば、遺伝子の発現調節を決定する。哺乳動物遺伝子由来の多数のエンハンサー配列が現在知られているが(グロビン、エラスターゼ、アルブミン、α−フェトプロテイン、およびインスリン)、典型的には、真核細胞ウイルス由来のエンハンサーを使用する。好ましい例は、複製起点の後期側のSV40エンハンサー(bp100〜270)、サイトメガロウイルス初期プロモーターエンハンサー、複製起点の後期側のポリオーマエンハンサー、およびアデノウイルスエンハンサーである。
プロモーターおよび/またはエンハンサーを、その機能を誘発する軽度または特異的な化学事象のいずれかによって特異的に活性化することができる。系を、テトラサイクリンおよびデキサメタゾンなどの試薬によって調節することができる。ガンマ線照射などの照射への曝露またはアルキル化化学療法薬によってウイルスベクター遺伝子発現を増強する方法も存在する。
プロモーターおよび/またはエンハンサー領域が全ての真核細胞型で活性であることが好ましい。この型の好ましいプロモーターは、CMVプロモーター(650塩基)である。他の好ましいプロモーターは、SV40プロモーター、サイトメガロウイルス(全長プロモーター)、およびレトロウイルスベクターLTFである。
全ての特異的調節エレメントをクローン化し、これを使用して、黒色腫細胞などの特定の細胞型で選択的に発現する発現ベクターを構築することができることが示されている。グリア線維酸性タンパク質(glial fibrillary acetic protein)(GFAP)プロモーターを使用して、神経膠起源の細胞中の遺伝子が選択的に発現されている。
真核生物宿主細胞(酵母細胞、真菌細胞、昆虫細胞、植物細胞、動物細胞、ヒト細胞、または有核細胞)で使用される発現ベクターはまた、mRNA発現に影響を及ぼし得る転写終結に必要な配列を含むことができる。これらの領域は、組織因子タンパク質をコードするmRNAの非翻訳部分中でポリアデニル化セグメントとして転写される。3’非翻訳領域は、転写終結部位も含む。転写単位がポリアデニル化領域も含むことが好ましい。この領域の利点の1つは、転写単位がmRNAのようにプロセシングおよび輸送される可能性が増加することである。発現構築物中でのポリアデニル化シグナルの同定および使用は十分に確立されている。相同ポリアデニル化シグナルを導入遺伝子構築物中で使用することが好ましい。転写単位の好ましい実施形態では、ポリアデニル化領域は、SV40初期ポリアデニル化シグナルに由来し、約400塩基からなる。転写された単位は、他の標準的な配列のみを含むか、上記配列と組み合わせて構築物からの発現または構築物の安定性を改善することも好ましい。
3.マーカー
ベクターは、マーカー産物をコードする核酸配列を含み得る。このマーカー産物を使用して、遺伝子が細胞に送達され、一旦送達されると発現するかどうかを決定する。好ましいマーカー遺伝子は、β−ガラクトシダーゼおよび緑色蛍光タンパク質をコードするE.Coli lacZ遺伝子である。
いくつかの実施形態では、マーカーは選択可能なマーカーであり得る。哺乳動物細胞に適切な選択可能なマーカーの例は、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)、チミジンキナーゼ、ネオマイシン、ネオマイシンアナログG418、ヒドロマイシン(hydromycin)、およびピューロマイシンである。かかる選択可能なマーカーが哺乳動物宿主細胞に首尾よく移入された場合、形質転換された哺乳動物宿主細胞は選択圧下においた場合に生存することができる。2つの広く使用されている異なるカテゴリーの選択レジメが存在する。第1のカテゴリーは、細胞の代謝および補充培地と無関係に増殖する能力を欠く変異細胞系統の使用に基づく。2つの例は以下である:CHO DHFR細胞およびマウスLTK細胞である。これらの細胞は、チミジンまたはヒポキサンチンなどの栄養素を添加せずに増殖する能力を欠く。これらの細胞が完全なヌクレオチド合成経路に必要な一定の遺伝子を欠くので、これらの細胞は、補充培地中に欠けているヌクレオチドを供給しない限り生存できない。培地の補充の代替は、インタクトなDHFR遺伝子またはTK遺伝子を各遺伝子を欠く細胞に導入し、それによってその増殖要件を変化させることである。DHFR遺伝子またはTK遺伝子で形質転換しなかった各細胞は、非補充培地で生存できない。
第2のカテゴリーは、任意の細胞型で使用される選択スキームをいい、変異細胞系統の使用を必要としない優性選択である。これらのスキームは、典型的には、宿主細胞の増殖を停止させるための薬物を使用する。薬物耐性を伝達するタンパク質を発現する細胞は、選択を生き抜く。かかる優性選択の例は、薬物であるネオマイシン(Southern P.and Berg,P.,J.Molec.Appl.Genet.1: 327(1982))、ミコフェノール酸(Mulligan,R.C.and Berg,P.Science 209: 1422(1980))、またはハイグロマイシン(Sugden,B.et al.,Mol.Cell.Biol.5: 410−413(1985))を使用する。3つの例は、真核生物調節下で細菌遺伝子を使用して、適切な薬物G418もしくはネオマイシン(ジェネテシン)、xgpt(ミコフェノール酸)、またはハイグロマイシンに対する耐性を伝達する。他には、ネオマイシンアナログG418およびピューラマイシン(puramycin)が含まれる。
F.バイオセンサーリボスイッチ
バイオセンサーリボスイッチも開示する。バイオセンサーリボスイッチは、その同系トリガー分子の存在下で検出可能なシグナルを産生する操作されたリボスイッチである。有用なバイオセンサーリボスイッチを、閾値レベルまたは閾値レベルを超えるトリガー分子で誘発することができる。バイオセンサーリボスイッチを、in vivoまたはin vitroでの使用のためにデザインすることができる。例えば、シグナルとしての機能を果たすかシグナル産生に関与するタンパク質をコードするレポーターRNAに作動可能に連結することができるオルタナティブスプライシングを調節するリボスイッチを、細胞または生物にリボスイッチをコードする核酸構築物を保有させるように操作することによってin vivoで使用することができる。in vitroで使用するバイオセンサーリボスイッチの例は、高次構造依存性標識(リボスイッチの活性化状態に応じて変化するシグナル)を含むリボスイッチである。かかるバイオセンサーリボスイッチは、好ましくは、天然に存在するリボスイッチに由来するか誘導されたアプタマードメインを使用する。
G.レポータータンパク質およびペプチド
リボスイッチの活性化の評価またはバイオセンサーリボスイッチの評価のために、レポータータンパク質またはペプチドを使用することができる。レポータータンパク質またはペプチドをRNAによってコードすることができ、その発現はリボスイッチによって調節される。実施例は、いくつかの特異的レポータータンパク質の使用を記載している。レポータータンパク質およびペプチドの使用は周知であり、リボスイッチとの使用のために容易に適応することができる。レポータータンパク質は、検出することができるか検出可能なシグナルを産生する任意のタンパク質またはペプチドであり得る。好ましくは、タンパク質またはペプチドの存在を、標準的な技術(例えば、放射免疫アッセイ、放射性標識、免疫アッセイ、酵素活性のためのアッセイ、吸光度、蛍光、発光、およびウェスタンブロット)を使用して検出することができる。より好ましくは、レポータータンパク質レベルを、低レベルでさえも、標準的な技術を使用して容易に定量可能である。有用なレポータータンパク質には、ルシフェラーゼ、緑色蛍光タンパク質、およびそれらの誘導体(Photinus pyralis由来のホタルルシフェラーゼ(FL)およびRenilla reniformis由来のウミシイタケルシフェラーゼ(RL)など)が含まれる。
H.高次構造依存性標識
高次構造依存性標識は、標識が会合した分子または化合物(リボスイッチなど)の形態または高次構造の変化に基づいて蛍光強度または波長が変化する全ての標識をいう。プローブおよびプライマーとの関係において使用される高次構造依存性標識の例には、分子ビーコン、アンプリフォー(Amplifluor)、FRETプローブ、切断性FRETプローブ、TaqManプローブ、スコーピオンプライマー、蛍光三重鎖オリゴ(fluorescent triplex oligo)(三重鎖分子ビーコンまたは三重鎖FRETプローブが含まれるが、これらに限定されない)、蛍光水溶性複合ポリマー、PNAプローブ、およびQPNAプローブが含まれる。かかる標識を、特に、その機能の原理を、リボスイッチと共に使用するために適応させることができる。いくつかの高次構造依存性標識型は、Schweitzer and Kingsmore,Curr.Opin.Biotech.12:21−27(2001)中に概説されている。
ステム消光標識(stem quenched label)(高次構造依存性標識の一形態)は、ステム構造を形成する場合に標識からの蛍光が消光されるように消光部分が近接するような核酸上に配置された蛍光標識である。ステムが破壊される場合(標識を含むリボスイッチが活性化する場合など)、消光部分はもはや蛍光標識に近接せず、蛍光が増加する。この効果の例を、分子ビーコン、蛍光三重鎖オリゴ、三重鎖分子ビーコン、三重鎖FRETプローブ、およびQPNAプローブで見出すことができ、その操作原理をリボスイッチと共に使用するために適応させることができる。
ステム活性化標識(高次構造依存性標識の一形態)は、ステム構造の形成によって蛍光が増加するか変化する標識または標識対である。ステム活性化標識には、受容体および供与体が近接する場合(標識を含む核酸鎖がステム構造を形成する場合)に供与体から受容体への蛍光共鳴エネルギー転移によって受容体が蛍光を発するような受容体蛍光標識および供与体部分が含まれ得る。ステム活性化標識は、典型的には、核酸分子中でステム構造を形成する場合に受容体および供与体が近接するような核酸分子(リボスイッチなど)上に配置された標識対である。ステム活性化標識の供与体部分自体が蛍光標識である場合、この標識は、受容体に近接しない場合(すなわち、ステム構造を形成しない場合)に蛍光(典型的には、受容体の蛍光よりも異なる波長で)としてエネルギーを放出することができる。ステム構造を形成する場合、全体的な効果としては、供与体蛍光が減少し、受容体蛍光が増加する。FRETプローブはステム活性化標識の使用例であり、その操作上の原理をリボスイッチと共に使用するために適応することができる。
I.検出標識
リボスイッチの活性化、非活性化、もしくは遮断、またはリボスイッチの活性化、非活性化、もしくは遮断の際に産生された核酸またはタンパク質の発現の検出および定量を補助するために、検出標識を、検出プローブまたは検出分子に組み込むか、発現した核酸またはタンパク質に直接組み込むことができる。本明細書中で使用する場合、検出標識は、核酸またはタンパク質と直接または間接的に会合することができ、それにより、測定可能な検出シグナルが直接的または間接的のいずれかで得られる任意の分子である。多数のかかる標識は、当業者に公知である。開示の方法での使用に適切な検出標識の例は、放射性同位体、蛍光分子、リン光分子、酵素、抗体、およびリガンドである。
適切な蛍光標識の例には、イソチオシアン酸フルオレセイン(FITC)、5,6−カルボキシメチルフルオレセイン、テキサスレッド、ニトロベンズ2−オキサ−1,3−ジアゾール−4−イル(NBD)、クマリン、塩化ダンシル、ローダミン、アミノ−メチルクマリン(AMCA)、エオシン、エリスロシン、BODIPY(登録商標)、カスケードブルー(登録商標)、オレゴングリーン(登録商標)、ピレン、リサミン、キサンテン、アクリジン、オキサジン、フィコエリトリン、クォンタムダイTM(quantum dyeTM)などのランタニドイオンの大環状キレート、チアゾールオレンジ−エチジウムヘテロ二量体などの蛍光エネルギー転移染料、ならびにシアニン染料Cy3、Cy3.5、Cy5、Cy5.5およびCy7が含まれる。他の特定の蛍光標識の例には、3−ヒドロキシピレン5,8,10−トリスルホン酸、5−ヒドロキシトリプタミン(5−HT)、酸性フクシン、アリザリンコンプレクソン、アリザリンレッド、アロフィコシアニン、アミノクマリン、ステアリン酸アントロイル(anthroyl stearate)、アストラゾンブリリアントレッド4G、アストラゾンオレンジR、アストラゾンレッド6B、アストラゾンイエロー7GLL、アタブリン、オーラミン、オーロホスフィン、オーロホスフィンG、BAO9(ビスアミノフェニルオキサジアゾール)、BCECF、硫酸ベルベリン、ビスベンズアミド、ブランコホルFFG溶液、ブランコホルSV、ボディピー F1(Bodipy F1)、ブリリアントスルホフラビンFF、カルカインブルー(calcien blue)、カルシウムグリーン、カルコフロールRW溶液、カルコフロールホワイト、カルコホールホワイトABT溶液、カルコホールスタンダード溶液、カルボスチリル、カスケードイエロー、カテコールアミン、キナクリン(chinacrine)、コリホスフィンO、クマリン−ファロイジン、CY3.1 8、CY5.1 8、CY7、ダンス(1−ジメチルアミノナファリン5スルホン酸)、ダンサ(ジアミノナフチルスルホン酸)、ダンシルNH−CH3、ジアミノフェニルオキシジアゾール(DAO)、ジメチルアミノ−5−スルホン酸、ジピロメテンホウ素二フッ化物(dipyrrometheneboron difluoride)、ジフェニルブリリアントフラビン7GFF、ドーパミン、エリスロシンITC、オイクリシン、FIF(ホルムアルデヒド誘導蛍光)、フラゾオレンジ、フルオ3、フルオレスカミン、フラ−2、ゲナクリルブリリアントレッドB、ゲナクリルブリリアントイエロー10GF、ゲナクリルピンク3G、ゲナクリルイエロー5GF、gloxalic acid、グラニュラーブルー、ヘマトポルフィリン、インド−1、イントラホワイトCf液、リューコフォーPAF(Leucophor PAF)、リューコフォーSF、リューコフォーWS、リサミンローダミンB200(RD200)、ルシフェルイエローCH、ルシフェルイエローVS、マグダラレッド、マリーナブルー、マキシロンブリリアントフラビン10GFF、マキシロンブリリアントフラビン8GFF、MPS(メチルグリーンピロニンスチルベン)、ミトラマイシン、NBDアミン、ニトロベンゾキサジドール、ノルアドレナリン、ヌクレアーファストレッド、ヌクレアーイエロー、ナイロサンブリリアントフラビンE8G、オキサジアゾール、パシフィックブルー、パラローザニリン(ホイルゲン)、ホルウィットAR溶液、ホルウィットBKL、ホルウィットRev、ホルウィットRPA、ホスフィン3R、フタロシアニン、フィコエリトリンR、ポリアザインダセンポントクロームブルーブラック、ポルフィリン、プリムリン、プロシオンイエロー、ピロニン、ピロニンB、ピロザールブリリアントフラビン7GF、キナクリンマスタード、ローダミン123、ローダミン5GLD、ローダミン6G、ローダミンB、ローダミンB200、ローダミンBエキストラ、ローダミンBB、ローダミンBG、ローダミンWT、セロトニン、セブロンブリリアントレッド2B、セブロンブリリアントレッド4G、セブロンブリリアントレッドB、セブロンオレンジ、セブロンイエローL、SITS(プリムリン)、SITS(スチルベンイソチオスルホン酸)、スチルベン、スナーフ1、スルホローダミンB Can C、スルホローダミンGエキストラ、テトラサイクリン、チアジンレッドR、チオフラビンS、チオフラビンTCN、チオフラビン5、チオライト、チオゾールオレンジ、チノポールCBS、トゥルーブルー、ウルトラライト、ウラニンB、ユビテックスSFC、キシレンオレンジ、およびXRITCが含まれる。
有用な蛍光標識は、フルオレセイン(5−カルボキシフルオレセイン−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル)、ローダミン(5,6−テトラメチルローダミン)、ならびにシアニン染料Cy3、Cy3.5、Cy5、Cy5.5およびCy7である。これらの蛍光体の吸収および発光の極大は、FITC(490nm;520nm)、Cy3(554nm;568nm)、Cy3.5(581nm;588nm)、Cy5(652nm:672nm)、Cy5.5(682nm;703nm)およびCy7(755nm;778nm)であり、したがって、同時検出が可能である。フルオレセイン染料の他の例には、6−カルボキシフルオレセイン(6−FAM)、2’,4’,1,4,−テトラクロロフルオレセイン(TET)、2’,4’,5’,7’,1,4−ヘキサクロロフルオレセイン(HEX)、2’,7’−ジメトキシ−4’,5’−ジクロロ−6−カルボキシローダミン(JOE)、2’−クロロ−5’−フルオロ−7’,8’−融合フェニル−1,4−ジクロロ−6−カルボキシフルオレセイン(NED)および2’−クロロ−7’−フェニル−1,4−ジクロロ−6−カルボキシフルオレセイン(VIC)が含まれる。蛍光標識は、種々の商業供給者(Amersham Pharmacia Biotech,Piscataway,NJ;Molecular Probes,Eugene,OR;およびResearch Organics,Cleveland,Ohioが含まれる)から得ることができる。
目的とするさらなる標識には、それらが関連するプローブが標的分子に特異的に結合する場合にのみシグナルを提供するものが含まれ、かかる標識には、Tyagi & Kramer,Nature Biotechnology(1996)14:303および欧州特許第0070685 B1号に記載の「分子ビーコン」が含まれる。目的とする他の標識には、米国特許第5,563,037号、国際公開第97/17471号、および国際公開第97/17076号に記載されているものが含まれる。
標識ヌクレオチドは、合成の間に発現核酸へ直接組み込むための検出標識の有用な形態である。核酸に組み込むことができる検出標識の例には、BrdUrd(5−ブロモデオキシウリジン、Hoy and Schimke,Mutation Research 290:217−230(1993))、アミノアリルデオキシウリジン(Henegariu et al.,Nature Biotechnology 18:345−348(2000))、5−メチルシトシン(Sano et al.,Biochim.Biophys.Acta 951:157−165(1988))、ブロモウリジン(Wansick et al.,J.Cell Biology 122:283−293(1993))などのヌクレオチドアナログ、およびビオチン(Langer et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78:6633(1981))またはジゴキシゲニン(digoxygenin)(Kerkhof,Anal.Biochem.205:359−364(1992))などの適切なハプテンで改変したヌクレオチドが含まれる。適切な蛍光標識ヌクレオチドは、フルオレセイン−イソチオシアネートdUTP、シアニン−3−dUTPおよびシアニン−5−dUTPである(Yu et al.,Nucleic Acids Res.,22:3226−3232(1994))。DNAに好ましいヌクレオチドアナログ検出標識は、BrdUrd(ブロモデオキシウリジン、BrdUrd、BrdU、BUdR、Sigma−Aldrich Co)である。検出標識のDNAへの組み込みに有用な他のヌクレオチドアナログは、AA−dUTP(アミノアリル−デオキシウリジントリホスフェート、Sigma−Aldrich Co.)および5−メチル−dCTP(Roche Molecular Biochemicals)である。検出標識のRNAへの組み込みに有用なヌクレオチドアナログは、ビオチン−16−UTP(ビオチン−16−ウリジン−5’−トリホスフェート、Roche Molecular Biochemicals)である。フルオレセイン、Cy3およびCy5は、直接標識のためにdUTPに結合することができる。Cy3.5およびCy7は、ビオチン−またはジゴキシゲニン標識プローブの二次検出用のアビジンまたは抗ジゴキシゲニン結合体として利用可能である。
ビオチンなどの核酸に組み込まれる検出標識を、その後に当該技術で周知の感度のよい方法を使用して検出することができる。例えば、ビオチンは、ビオチンに結合しているストレプトアビジン−アルカリホスファターゼ結合体(Tropix,Inc.)を使用して検出することができ、その後に適切な基質(例えば、化学発光基質CSPD:3−(4−メトキシスピロ−〔1,2,−ジオキセタン−3−2’−(5’−クロロ)トリシクロ〔3.3.1.13,7〕デカン〕−4−イル)フェニルリン酸二ナトリウム;Tropix,Inc.)の化学発光により検出することができる。標識はまたは、例えば、化学シグナル増幅により、または発光シグナルを生じる酵素(例えば、化学発光1,2−ジオキセタン基質)もしくは蛍光シグナルを生じる酵素への基質を使用することにより検出することができる、アルカリホスファターゼ、ダイズペルオキシダーゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼおよびポリメラーゼなどの酵素であり得る。
2個以上のこれらの検出標識を組み合わせる分子も検出標識と見なされる。既知の検出標識のいずれかを、開示されているプローブ、タグ、分子、および方法と共に使用して、開示の方法で産生された活性化または非活性化リボスイッチ、または核酸、またはタンパク質を標識および検出することができる。検出標識により生成されたシグナルを検出および測定する方法も、当業者に公知である。例えば、放射性同位体を、シンチレーションカウンティングまたは直接可視化により検出することができ、蛍光分子を、蛍光分光光度計を使用して検出することができ、リン光分子を、分光光度計またはカメラによる直接可視化により検出することができ、酵素を、酵素により触媒された反応の産物の検出または可視化により検出することができ、抗体を、抗体に結合した二次検出標識を検出することによって検出することができる。本明細書で使用する場合、検出分子は、検出する化合物または組成物と相互作用し、1つまたは複数の検出標識をカップリングする分子である。
J.配列類似性
本明細書中で考察するように、用語相同性および同一性の使用は類似性と同一であることを意味すると理解される。したがって、例えば、用語相同性を2配列間(例えば、非天然配列)で使用する場合、これは必ずしもこれら2配列間の進化的関係を示しているわけではなく、むしろ、それらの核酸配列間の類似性または関連性に注目していると理解される。2つの進化的に関連した分子間の相同性の多数の決定方法を、これらが進化的に関連するかどうかと無関係に、配列類似性を測定するために任意の2つ以上の核酸またはタンパク質に日常的に適用する。
一般に、本明細書中に開示のリボスイッチ、アプタマー、発現プラットフォーム、遺伝子、およびタンパク質の任意の公知の改変体および誘導体または生じ得るものを定義する1つの方法は、公知の特異的配列に対する相同性に関する改変体および誘導体の定義によると理解される。本明細書中に開示の特定の配列のこの同一性も、本明細書中の他所で考察する。一般に、本明細書中に開示のリボスイッチ、アプタマー、発現プラットフォーム、遺伝子、およびタンパク質の改変体は、典型的には、定められた配列または天然配列に対して少なくとも約70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99%の相同性を有する。当業者は、2つのタンパク質または核酸(遺伝子など)の相同性の決定方法を容易に理解する。例えば、相同性がその最高レベルとなるような2つの配列のアラインメント後に相同性を計算することができる。
相同性の別の計算方法を、公開されたアルゴリズムによって行うことができる。比較のための最適な配列アラインメントを、Smith and Waterman Adv.Appl.Math.2:482(1981)の局所的相同性アルゴリズム、Needleman and Wunsch,J.MoL Biol.48:443(1970)の相同性アラインメントアルゴリズム、Pearson and Lipman,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.85:2444(1988)の類似性検索方法、これらのアルゴリズムのコンピュータ化された実行(Wisconsin Genetics Software Package,Genetics Computer Group,575 Science Dr.,Madison,WIのGAP、BESTFIT、FASTA、およびTFASTA)、または調査によって行うことができる。
例えば、Zuker,M.Science 244:48−52,1989,Jaeger et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:7706−7710,1989,Jaeger et al.Methods Enzymol.183:281−306,1989(少なくとも核酸アラインメントに関する材料について本明細書中で参考として援用される)に開示のアルゴリズムによって、核酸についての同型の相同性を得ることができる。典型的には任意の方法を使用することができると理解され、場合によってはこれらの種々の方法の結果が異なり得ると理解されるが、当業者は、これらの方法の少なくとも1つを使用して同一性を見出す場合、配列は定められた同一性を有するといわれると理解する。
例えば、本明細書中で使用する場合、別の配列に対して特定の相同率を有するものとして列挙される配列は、1つまたは複数の上記の計算方法のいずれかによって計算した列挙した相同性を有する配列をいう。例えば、本明細書中で定義するように、Zuker計算法を使用して第1の配列が第2の配列に対して80%相同性を有すると計算される場合、任意の他の計算法によって計算した場合に第1の配列が第2の配列に対して80%相同性を持たない場合でさえ、第1の配列は第2の配列に対して80%相同性を有する。別の例として、本明細書中で定義するように、Zuker計算法およびPearson and Lipman計算法の両方を使用して第1の配列が第2の配列に対して80%相同性を有すると計算される場合、Smith and Watermanの計算法、Needleman and Wunschの計算法、Jaegerの計算法、または任意の他の計算法によって計算した場合に第1の配列が第2の配列に対して80%相同性を持たない場合でさえ、第1の配列は第2の配列に対して80%相同性を有する。さらに別の例として、本明細書中で定義するように、各計算法を使用して第1の配列が第2の配列に対して80%相同性を有すると計算される場合、第1の配列は第2の配列に対して80%相同性を有する(しかし、実際には、異なる計算法により、しばしば、異なる相同率の計算値が得られる)。
K.ハイブリッド形成および選択的ハイブリッド形成
用語「ハイブリッド形成」は、典型的には、少なくとも2つの核酸分子(プライマーまたはプローブとリボスイッチまたは遺伝子など)の間の配列駆動相互作用を意味する。配列駆動相互作用は、2つのヌクレオチドまたはヌクレオチドアナログまたはヌクレオチド誘導体の間でヌクレオチド特異的様式にて起こる相互作用を意味する。例えば、Cと相互作用するGおよびTと相互作用するAは、配列駆動相互作用である。典型的には、配列駆動相互作用は、ヌクレオチドのワトソン−クリック面またはフーグスティーン面上で起こる。2つの核酸のハイブリッド形成は、当業者に公知の多数の条件およびパラメータに影響を受ける。例えば、塩濃度、pH、および反応温度の全てが2つの核酸分子がハイブリッド形成するかどうかに影響を及ぼす。
2つの核酸分子間の選択的ハイブリッド形成のパラメータは、当業者に周知である。例えば、いくつかの実施形態では、選択的ハイブリッド形成条件を、ストリンジェントなハイブリッド形成条件と定義することができる。例えば、ハイブリッド形成のストリンジェンシーを、ハイブリッド形成工程および洗浄工程のいずれかまたは両方の温度および塩濃度の両方によって調節する。例えば、選択的ハイブリッド形成を達成するためのハイブリッド形成条件は、高イオン強度溶液(6×SSCまたは6×SSPE)中でTm(分子の半分がそのハイブリッド形成パートナーから解離する融点)より約12〜25℃低い温度でのハイブリッド形成およびそれに続く洗浄温度がTmより約5℃〜20℃低いように選択された温度と塩濃度との組み合わせによる洗浄を含むことができる。温度および塩条件は、フィルター上に固定した参照DNAサンプルを目的の標識核酸とハイブリッド形成させ、次いで、異なるストリンジェンシー条件下で洗浄する予備実験において実験的に容易に決定される。ハイブリッド形成温度は、典型的には、DNA−RNAおよびRNA−RNAハイブリッド形成についてはより高い。上記の条件または当該分野で公知の条件を使用して、ストリンジェンシーを達成することができる(Sambrook et al.,Molecular Cloning: A Laboratory Manual,2nd Ed.,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,New York,1989;Kunkel et al.Methods Enzymol.1987:154:367,1987(少なくとも核酸のハイブリッド形成に関連する材料について本明細書中で参考として援用される))。DNA:DNAハイブリッド形成のための好ましいストリンジェントなハイブリッド形成条件は、約68°C(水溶液中)の6×SSCまたは6×SSPEおよびそれに続く68℃での洗浄であり得る。ハイブリッド形成および洗浄のストリンジェンシーを、必要に応じて、所望の相補度が減少するのに合わせて、さらに、変動性が検索される任意の領域のG−CまたはA−Tの豊富さに応じて減少させることができる。同様に、ハイブリッド形成および洗浄のストリンジェンシーを、必要に応じて、所望の相同性が増加するのに合わせて、さらに、高相同性が望まれる任意の領域のG−CまたはA−Tの豊富さに応じて増加させることができ、これらは全て当該分野で公知である。
別の選択的ハイブリッド形成を定義する方法は、他の核酸に結合した核酸の1つの量(比率)の検索による。例えば、いくつかの実施形態では、選択的ハイブリッド形成条件は、少なくとも約60、65、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100%の制限核酸が非制限核酸に結合する場合である。典型的には、非制限核酸は、例えば、10、または100、または1000倍過剰である。このアッセイ型を、制限核酸および非制限核酸の両方が、例えば、それらのkよりも10倍、または100倍、または1000倍を下回る条件下、または核酸分子の一方のみが10倍、または100倍、または1000倍である条件下、または核酸分子の一方または両方がそれらのkを超える条件下で行うことができる。
別の選択的ハイブリッド形成を定義する方法は、所望の酵素操作を促進するためにハイブリッド形成が必要な条件下で酵素的に操作される核酸の比率の検索による。例えば、いくつかの実施形態では、選択的ハイブリッド形成条件は、少なくとも約60、65、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100%の核酸が、酵素操作を促進する条件下で酵素的に操作される場合である。例えば、酵素操作がDNA伸長である場合、選択的ハイブリッド形成条件は、少なくとも約60、65、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100%の核酸分子が伸長される場合である。好ましい条件には、製造者によって示唆される条件または当該分野で操作を実行する酵素に適切であることが示された条件も含まれる。
相同性と同様に、2つの核酸分子の間のハイブリッド形成レベルを決定するための本明細書中に開示の種々の方法が多数存在すると理解される。これらの方法および条件により、2つの核酸分子間で異なる比率でハイブリッド形成を提供し得るが、他で示さない限り、任意の方法のパラメータを満たすことで十分であると理解される。例えば、80%ハイブリッド形成が必要である場合、およびこれらの方法のいずれか1つにおける必要なパラメータ内でハイブリッド形成が起こる限り、本明細書中に開示されると見なされる。
当業者は、組成物または方法が集合的または単独にハイブリッド形成の決定のためのこれらの基準のうちのいずれか1つを満たす場合、この組成物または方法は本明細書中に開示される組成物または方法であると理解すると理解される。
L.核酸
核酸ベースである種々の分子(例えば、リボスイッチ、アプタマー、ならびにリボスイッチおよびアプタマーをコードする核酸が含まれる)を本明細書中に開示する。開示の核酸は、例えば、ヌクレオチド、ヌクレオチドアナログ、またはヌクレオチド置換物から構成され得る。これらの分子および他の分子の制限されない例は、本明細書中に述べられている。例えば、ベクターを細胞中で発現させる場合、発現したmRNAは、典型的には、A、C、G、およびUで構成されると理解される。同様に、例えば、外因性送達によって核酸分子を細胞または細胞環境に導入する場合、細胞環境下で核酸分子の分解を減少させるヌクレオチドアナログから核酸分子が構成されることが有利であると理解される。
それらの関連する機能が維持される限り、リボスイッチ、アプタマー、発現プラットフォーム、および任意の他のオリゴヌクレオチドおよび核酸は、改変ヌクレオチド(ヌクレオチドアナログ)から構成され得るかまたはそれを含むことができる。多くの改変ヌクレオチドが知られており、オリゴヌクレオチドおよび核酸で使用することができる。ヌクレオチドアナログは、塩基、糖、またはリン酸部分にいくつかの修飾型を含むヌクレオチドである。塩基部分に対する改変には、A、C、GおよびT/U、ならびに異なるプリンまたはピリミジン塩基の天然および合成改変が含まれる(ウラシル−5−イル、ヒポキサンチン−9−イル(I)および2−アミノアデニン−9−イルなど)。改変塩基には、5−メチルシトシン(5−me−C)、5−ヒドロキシメチルシトシン、キサンチン、ヒポキサンチン、2−アミノアデニン、アデニンおよびグアニジンの6−メチルおよび他のアルキル誘導体、アデニンおよびグアニジンの2−プロピルおよび他のアルキル誘導体、2−チオウラシル、2−チオチミンおよび2−チオシトシン、5−ハロウラシルおよびシトシン、5−プロピニルウラシルおよびシトシン、6−アゾウラシル、シトシンおよびチミン、5−ウラシル(シュードウラシル)、4−チオウラシル、8−ハロ、8−アミノ、8−チオール、8−チオアルキル、8−ヒドロキシルおよび他の8−置換のアデニンおよびグアニン、5−ハロ、特に5−ブロモ、5−トリフルオロメチルおよび他の5−置換のウラシルおよびシトシン、7−メチルグアニンおよび7−メチルアデニン、8−アザグアニンおよび8−アザアデニン、7−デアザグアニンおよび7−デアザアデニン、ならびに3−デアザグアニンおよび3−デアザアデニンが含まれるが、これらに限定されない。さらなる塩基改変を、例えば、米国特許第3,687,808号、Englisch et al.,Angewandte Chemie,International Edition,1991,30,613およびSanghvi,Y.S.,Chapter 15,Antisense Research and Applications,pages 289−302,Crooke,S.T.and Lebleu,B.ed.,CRC Press,1993で見出すことができる。一定のヌクレオチドアナログ(5置換ピリミジン、6−アザピリミジン、およびN−2、N−6、およびO−6置換プリン(2−アミノプロピルアデニン、5−プロピニルウラシル、5−プロピニルシトシン、および5−メチルシトシンが含まれる)など)は、二重鎖形成の安定性を増大させることができる。他の改変塩基は、ユニバーサル塩基(universal base)として機能するものである。ユニバーサル塩基には、3−ニトロピロールおよび5−ニトロインドールが含まれる。ユニバーサル塩基は、通常の塩基の代わりになるが、塩基対合に対して偏りがない。すなわち、ユニバーサル塩基は、任意の他の塩基と塩基対合することができる。塩基改変は、しばしば、例えば2’−O−メトキシエチルなどの糖改変と組み合わせて、二重鎖の安定性の増加などの特有の特性を得ることができる。塩基改変の範囲を詳述し、記載する、多数の米国特許(第4,845,205号、第5,130,302号、第5,134,066号、第5,175,273号、第5,367,066号、第5,432,272号、第5,457,187号、第5,459,255号、第5,484,908号、第5,502,177号、第5,525,711号、第5,552,540号、第5,587,469号、第5,594,121号、第5,596,091号、第5,614,617号および第5,681,941号など)が存在する。これらの特許は、それぞれその全体が、特に、塩基改変、それらの合成、それらの使用、ならびにそれらのオリゴヌクレオチドおよび核酸への組み込みについて本明細書中で参照として援用される。
ヌクレオチドアナログは、糖部分の改変を含むこともできる。糖部分の改変には、リボースおよびデオキシリボースの天然改変、ならびに合成改変が含まれる。糖改変には、2’位での以下の改変が含まれるが、これらに限定されない:OH;F;O−、S−またはN−アルキル;O−、S−またはN−アルケニル;O−、S−またはN−アルキニル;またはO−アルキル−O−アルキル(ここで、アルキル、アルケニルおよびアルキニルは、C1〜C10置換または非置換のアルキルまたはC2〜C10置換または非置換のアルケニルおよびアルキニルであり得る)。2’糖改変には、−O〔(CHO〕CH、−O(CHOCH、−O(CHNH、−O(CHCH、−O(CH−ONHおよび−O(CHON[(CHCH)](ここで、nおよびmは、1〜約10である)も含まれるが、これらに限定されない。
2’位での他の改変には、C1〜C10低級アルキル、置換低級アルキル、アルカリル、アラルキル、O−アルカリルもしくはO−アラルキル、SH、SCH、OCN、Cl、Br、CN、CF、OCF、SOCH、SOCH、ONO、NO、N、NH、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルカリル、アミノアルキルアミノ、ポリアルキルアミノ、置換シリル、RNA切断基、レポーター基、介入物質、オリゴヌクレオチドの薬物動態特性を改善する基、またはオリゴヌクレオチドの薬力学的特性を改善する基、および同様な特性を有する他の置換基が含まれるが、これらに限定されない。類似の改変を、糖の他の位置、特に3’末端ヌクレオチド上または2’−5’結合オリゴヌクレオチド内の糖の3’位、および5’末端ヌクレオチドの5’位で行うこともできる。改変糖には、架橋環酸素での改変(CHおよびSなど)を含むものも含まれる。ヌクレオチド糖アナログは、ペントフラノシル糖の代わりに、シクロブチル部分などの糖模倣物を有することもできる。かかる改変糖構造の調製を教示する多数の米国特許(第4,981,957号、第5,118,800号、第5,319,080号、第5,359,044号、第5,393,878号、第5,446,137号、第5,466,786号、第5,514,785号、第5,519,134号、第5,567,811号、第5,576,427号、第5,591,722号、第5,597,909号、第5,610,300号、第5,627,053号、第5,639,873号、第5,646,265号、第5,658,873号、第5,670,633号および第5,700,920号など)が存在し、それぞれその全体が、特に、改変糖構造、それらの合成、それらの使用、ならびにそれらのヌクレオチド、オリゴヌクレオチドおよび核酸への組み込みについての記載が、本明細書中で参考として援用される。
ヌクレオチドアナログは、リン酸部分を改変することもできる。改変リン酸部分には、2つのヌクレオチド間の架橋が、ホスホロチオエート、キラルホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホトリエステル、アミノアルキルホスホトリエステル、メチルおよび他のアルキルホスホネート(3’−アルキレンホスホネートおよびキラルホスホネートが含まれる)、ホスフィネート、ホスホルアミデート(3’−アミノホスホルアミデートおよびアミノアルキルホスホルアミデートが含まれる)、チオノホスホルアミデート、チオノアルキルホスホネート、チオノアルキルホスホトリエステル、およびボラノホスフェートを含むように改変できるものが含まれるが、これらに限定されない。2つのヌクレオチド間のこれらのリン酸または改変リン酸架橋は、3’−5’架橋または2’−5’架橋を介することができ、および架橋は、3’−5’から5’−3’までまたは2’−5’から5’−2’までなどの逆の極性を含むことができることが理解される。種々の塩、混合塩および遊離酸形態も含まれる。多数の米国特許が改変リン酸を含むヌクレオチドをどのように作製し、使用するかを教示しており、第3,687,808号、第4,469,863号、第4,476,301号、第5,023,243号、第5,177,196号、第5,188,897号、第5,264,423号、第5,276,019号、第5,278,302号、第5,286,717号、第5,321,131号、第5,399,676号、第5,405,939号、第5,453,496号、第5,455,233号、第5,466,677号、第5,476,925号、第5,519,126号、第5,536,821号、第5,541,306号、第5,550,111号、第5,563,253号、第5,571,799号、第5,587,361号および第5,625,050号が含まれるが、これらに限定されない(それぞれその全体が、特に、改変リン酸、それらの合成、それらの使用、ならびにそれらのヌクレオチド、オリゴヌクレオチドおよび核酸への組み込みについての記載が、本明細書中で参考として援用される)。
ヌクレオチドアナログは単一の改変しか含む必要がないが、1つの部分の中にまたは異なる部分の間に、複数の改変を含むこともできることが理解される。
ヌクレオチド置換物は、ヌクレオチドと同様の機能的性質を有するが、リン酸部分を含まない分子である(ペプチド核酸(PNA)など)。ヌクレオチド置換物は、ワトソン・クリックまたはフーグスティーン様式で相補核酸を認識し、それにハイブリダイズする(塩基対合する)分子であるが、リン酸部分以外の部分を介して一緒に結合する分子である。ヌクレオチド置換物は、適切な標的核酸と相互作用する場合、二重らせん型構造に調和することもできる。
ヌクレオチド置換物は、リン酸部分および/または糖部分が置換されたヌクレオチドまたはヌクレオチドアナログである。ヌクレオチド置換物は、標準的なリン原子を含まない。リン酸の置換物は、例えば、短鎖アルキルもしくはシクロアルキルヌクレオシド間架橋、混合ヘテロ原子およびアルキルもしくはシクロアルキルヌクレオシド間架橋、または1つまたは複数の短鎖ヘテロ原子もしくは複素環ヌクレオシド間架橋であり得る。これらには、モルホリノ架橋(ヌクレオシドの糖部分から部分的に形成されている);シロキサン骨格;硫化物、スルホキシドおよびスルホン骨格;ホルムアセチルおよびチオホルムアセチル骨格;メチレンホルムアセチルおよびチオホルムアセチル骨格;アルケン含有骨格;スルファミン酸骨格;メチレンイミノおよびメチレンヒドラジノ骨格;スルホン酸およびスルホンアミド骨格;アミド骨格を有するもの、ならびに混合N、O、SおよびCH成分部分を有する他のものが含まれる。多数の米国特許がこれらの種類のリン酸置換体をどのように作製し、使用するかを開示しており、第5,034,506号、第5,166,315号、第5,185,444号、第5,214,134号、第5,216,141号、第5,235,033号、第5,264,562号、第5,264,564号、第5,405,938号、第5,434,257号、第5,466,677号、第5,470,967号、第5,489,677号、第5,541,307号、第5,561,225号、第5,596,086号、第5,602,240号、第5,610,289号、第5,602,240号、第5,608,046号、第5,610,289号、第5,618,704号、第5,623,070号、第5,663,312号、第5,633,360号、第5,677,437号、および第5,677,439号が含まれるが、これらに限定されない(それぞれその全体が、特に、リン酸置換体、それらの合成、それらの使用、ならびにそれらのヌクレオチド、オリゴヌクレオチドおよび核酸への組み込みについての記載が、本明細書中で参考として援用される)。
また、ヌクレオチドの糖とリン酸の両方の部分を、例えばアミド型架橋(アミノエチルグリシン)(PNA)で置換することができることが、核酸置換物において理解される。米国特許第5,539,082号、同第5,714,331号および同第5,719,262号は、PNA分子をどのように作製し、使用するかを教示しており、それぞれ本明細書中で参考として援用される。(Nielsen et al.,Science 254:1497−1500(1991)も参照すること)。
オリゴヌクレオチドおよび核酸をヌクレオチドから構成することができ、異なるヌクレオチド型または同一のヌクレオチド型から構成することができる。例えば、オリゴヌクレオチドにおける1つまたは複数のヌクレオチドが、リボヌクレオチド、2’−O−メチルリボヌクレオチド、またはリボヌクレオチドと2’−O−メチルリボヌクレオチドの混合物であり得るか、ヌクレオチドの約10%〜約50%が、リボヌクレオチド、2’−O−メチルリボヌクレオチド、またはリボヌクレオチドと2’−O−メチルリボヌクレオチドの混合物であり得るか、ヌクレオチドの約50%以上が、リボヌクレオチド、2’−O−メチルリボヌクレオチド、またはリボヌクレオチドと2’−O−メチルリボヌクレオチドの混合物であり得るか、あるいは全てのヌクレオチドが、リボヌクレオチド、2’−O−メチルリボヌクレオチド、またはリボヌクレオチドと2’−O−メチルリボヌクレオチドの混合物であり得る。かかるオリゴヌクレオチドおよび核酸を、キメラオリゴヌクレオチドおよびキメラ核酸と呼ぶことができる。
M.固体支持体
固体支持体は、分子(トリガー分子など)およびリボスイッチ(または開示の方法で使用されるか開示の方法によって産生された他の成分)を会合することができる固体状態の基質または支持体である。リボスイッチおよび他の分子を、固体支持体と直接または間接的に会合することができる。例えば、分析物(例えば、トリガー分子、試験化合物)を、固体支持体表面に結合することができるか、固体支持体上に固定した捕捉剤(例えば、分析物に結合する化合物または分子)と会合することができる。別の例として、リボスイッチを、固体支持体表面に結合することができるか、固体支持体上に固定したプローブと会合することができる。アレイは、複数のリボスイッチ、プローブ、または他の分子がアレイ、グリッド、または他の組織化されたパターンに会合された固体支持体である。
固体支持体で使用する固体状態の基質には、成分を直接または間接的に会合することができる任意の固体材料が含まれ得る。これには、アクリルアミド、アガロース、セルロース、ニトロセルロース、ガラス、金、ポリスチレン、ポリエチレンビニルアセテート、ポリプロピレン、ポリメタクリレート、ポリエチレン、ポリエチレンオキシド、ポリシリケート、ポリカーボネート、テフロン(登録商標)、フルオロカーボン、ナイロン、シリコンラバー、ポリ酸無水物、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリオルソエステル、官能性シラン、ポリプロピルフメレート、コラーゲン、グリコサミノグリカン、およびポリアミノ酸などの材料が含まれる。固体状態の基質は、任意の有用な形態(薄膜、膜、ボトル、皿、ファイバー、織り繊維、成形ポリマー、粒子、ビーズ、微粒子、またはこれらの組み合わせが含まれる)を有することができる。固体状態の基質および固体支持体は、多孔質または非多孔質であり得る。チップは、矩形または四角の材料小片である。固体状態の基質の好ましい形態は、薄膜、ビーズ、またはチップである。有用な固体状態の基質の形態はマイクロタイターディッシュである。いくつかの実施形態では、マルチウェルガラススライドを使用することができる。
アレイは、固体支持体上の規定または所定の位置に固定した複数のリボスイッチ、トリガー分子、他の分子、化合物、またはプローブを含むことができる。固体支持体上のそれぞれの所定の位置は、一般に、1種の成分型を有する(すなわち、その位置の全成分は同一である)を有する。あるいは、固体支持体上の同一の所定の位置に複数の成分型を固定することができる。各位置は、所与の成分の複数のコピーを有する。固体支持体上の異なる成分の空間的分離により、個別に検出および同定が可能である。
有用であるにもかかわらず、固体支持体は単一の単位または構造である必要はない。リボスイッチ、トリガー分子、他の分子、化合物、および/またはプローブの組を、多数の固体支持体の一面に分布させることができる。例えば、ある極端な場合では、各成分を個別の反応管または反応容器中、または個別のビーズまたは微粒子上に固定することができる。
オリゴヌクレオチドの固体状態の基質への固定方法は十分に確立されている。オリゴヌクレオチド(アドレスプローブおよび検出プローブが含まれる)を、確立されたカップリング法を使用して基質にカップリングすることができる。例えば、適切な付着方法は、Pease et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91(11):5022−5026(1994)およびKhrapko et al.,Mol Biol(Mosk)(USSR)25:718−730(1991)に記載されている。カゼイン被覆スライド上の3’−アミンオリゴヌクレオチドの固定方法は、Stimpson et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 92:6379−6383(1995)に記載されている。オリゴヌクレオチドの固体状態の基質への有用な付着方法は、Guo et al.,Nucleic Acids Res.22:5456−5465(1994)に記載されている。
固体支持体上に固定した各成分(例えば、リボスイッチ、トリガー分子、または他の分子)を、固体支持体の異なる所定の領域に配置することができる。異なる位置は、異なる反応チャンバーであり得る。異なる所定の領域それぞれを、相互の異なる領域から物理的に分離することができる。固体支持体の異なる所定の領域の間の距離は、固定されていても変化しても良い。例えば、アレイでは、各成分を、相互に固定した距離に配置することができる一方で、ビーズに会合した成分は固定した空間的関係にない。特に、複数の固体支持体単位(例えば、複数のビーズ)の使用により、距離が変化する。
成分を、任意の密度で固体支持体上に会合または固定することができる。成分を、立方センチメートルあたり400種を超える異なる成分を含む密度で固体支持体に固定することができる。成分アレイは、多数の成分を有することができる。例えば、アレイは、固体支持体上に固定した少なくとも1,000種の異なる成分、固体支持体上に固定した少なくとも10,000種の異なる成分、固体支持体上に固定した少なくとも100,000種の異なる成分、または固体支持体上に固定した少なくとも1,000,000種の異なる成分を有することができる。
N.キット
上記の材料および他の材料を、開示の方法の実施または実施の補助に有用なキットとして任意の適切な組み合わせで一緒に包装することができる。所与のキット中のキット構成成分を、開示の方法で一緒に使用するためにデザインおよび適合することが有用である。例えば、化合物検出のためのキット、1つまたは複数のバイオセンサーリボスイッチを含むキットを開示する。キットはまた、リボスイッチの活性化の検出のための試薬および標識を含むことができる。
O.混合物
開示の方法の実施または実施のための調製によって形成された混合物を開示する。例えば、リボスイッチおよびトリガー分子を含む混合物を開示する。
方法が組成物、または成分、または試薬の混合または接触を含むときはいつでも、方法の実施により、多数の異なる混合物が作製される。例えば、方法が3つの混合工程を含む場合、工程を個別に実施する場合にこれらの各工程後に固有の混合物が形成される。さらに、工程の実施方法と無関係に、全工程の完了時点に混合物が形成される。本開示は、開示の方法の実施によって得られたこれらの混合物および任意の開示の試薬、組成物、または成分(例えば、本明細書中に開示)を含む混合物を意図する。
P.系
開示の方法の実施または実施における補助に有用な系を開示する。系は、一般に、構造、機械、およびデバイスなどならびに組成物、化合物、材料などの製品の組み合わせを含む。開示または開示から明らかなかかる組み合わせを意図する。例えば、バイオセンサーリボスイッチ、固体支持体、および信号読み取りデバイスを含む系を開示および意図する。
Q.データ構造およびコンピュータ制御
開示の方法で使用されるか、開示の方法によって生成されるか、開示の方法から生成されるデータ構造を開示する。データ構造は、一般に、組成物または媒体中に回収され、組織化され、保存され、そして/または統合された任意の形態のデータ、情報、および/またはオブジェクトである。電子的形態(RAM中または保存ディスク上など)で保存されたリボスイッチ構造および活性化の測定値は、1つのデータ構造型である。
開示の方法、その任意の一部、またはその調製を、コンピュータ制御によって調節、管理、または支援することができる。かかるコンピュータ制御を、コンピュータ制御されたプロセスまたは方法によって実施することができ、データ構造を使用および/または生成することができ、コンピュータプログラムを使用することができる。かかるコンピュータ制御、コンピュータ制御されたプロセス、データ構造、およびコンピュータプログラムが意図され、本明細書中に開示されると理解すべきである。
方法
RNAのプロセシングに影響を及ぼす方法であって、RNAにリボスイッチを含む構築物を導入する工程であって、リボスイッチがRNAのスプライシングを調節することができ、スプライシングの調節がRNAのプロセシングに影響を及ぼす、導入工程を含む方法を本明細書中に開示する。リボスイッチは、例えば、オルタナティブスプライシングを調節することができる。リボスイッチは、アプタマードメインおよび発現プラットフォームドメインを含むことができ、アプタマードメインおよび発現プラットフォームドメインが非相同である。リボスイッチはRNAのイントロンにあり得る。リボスイッチを、トリガー分子(TPPなど)によって活性化することができる。リボスイッチは、TPP応答性リボスイッチであり得る。リボスイッチは、オルタナティブスプライシングを活性化することができる。リボスイッチは、オルタナティブスプライシングを抑制することができる。スプライシングは非天然で起こり得る。オルタナティブスプライシング調節を有するアプタマー領域は、例えば、ループ5中に見出すことができる。オルタナティブスプライシング調節を有するアプタマー領域は、例えば、ステムP2中にも見出すことができる。スプライス部位は、例えば、アプタマーの5’末端に対して−130と−160との間の位置に存在することができる。
「RNAスプライシングの調節」は、RNAのスプライシングを調節し、それにより、異なるmRNA分子、潜在的には(しかし、常にではない)、異なるタンパク質を形成することができるリボスイッチを意味する。リボスイッチは、例えば、オルタナティブスプライシングを調節することができる。「RNAプロセシングに影響を及ぼす」は、RNAプロセシングに影響を及ぼし、それにより、異なるmRNA分子を形成させ、潜在的に(必ずではないが)RNA発現を変化させることができるリボスイッチを意味する。リボスイッチは、例えば、転写終結、RNAの3’末端の形成、またはRNAのポリアデニル化を調節することができる。
RNAのスプライシングを調節し、そして/またはRNAプロセシングに影響を及ぼすリボスイッチを活性化、非活性化、または遮断する方法をさらに開示する。かかる方法は、例えば、リボスイッチと、リボスイッチを活性化、非活性化、または遮断することができる化合物またはトリガー分子とを接触させる工程を含むことができる。リボスイッチは、トリガー分子の結合または除去によって遺伝子発現を調節するように機能する。化合物を使用して、リボスイッチを活性化、非活性化、または遮断することができる。リボスイッチのトリガー分子(ならびに他の活性化化合物)を使用して、リボスイッチを活性化することができる。トリガー分子以外の化合物を使用して、一般に、リボスイッチを非活性化または遮断することができる(TPPなど)。リボスイッチを、例えば、リボスイッチの存在からのトリガー分子の除去によって非活性化することもできる。したがって、開示のリボスイッチの非活性化方法は、例えば、リボスイッチの存在または接触からトリガー分子(または他の活性化化合物)を除去する工程を含むことができる。リボスイッチを、例えば、リボスイッチを活性化しないトリガー分子のアナログの結合によって遮断することができる。
化合物のRNA分子との接触によってスプライシングを調節するリボスイッチをRNA分子が含む、RNA分子の発現またはRNA分子をコードする遺伝子の発現を変化させる方法も開示する。リボスイッチは、例えば、RNA分子のオルタナティブスプライシングを調節し、そして/またはRNA分子のプロセシングに影響を及ぼすことができる。リボスイッチは、トリガー分子の結合または除去によって遺伝子発現を調節するように機能する。したがって、リボスイッチを含む目的のRNA分子を、リボスイッチを活性化、非活性化、または遮断する条件に供して、RNAの発現を変化させるために用いることができる。例えば、転写の終結またはRNAへのリボゾーム結合の遮断の結果として発現を変化させることができる。トリガー分子の結合は、リボスイッチの性質および生じるスプライシングまたはプロセシングの型に応じて、RNA分子の発現を減少または防止することができるか、またはRNA分子の発現を促進または増加することができる。
リボスイッチの活性化、非活性化、または遮断によってスプライシングを調節するリボスイッチを含む天然に存在する遺伝子またはRNAの発現を調節する方法も開示する。リボスイッチは、例えば、RNAのオルタナティブスプライシング(alternative spicing)を調節することができる。遺伝子がこの遺伝子を保有する細胞または生物の生存に不可欠である場合、リボスイッチの活性化、非活性化、または遮断により、細胞または生物が死滅、静止、または衰弱し得る。例えば、植物の生存に不可欠な天然に存在する遺伝子中の天然に存在するリボスイッチの活性化により、植物が死滅することがある(リボスイッチの活性化がオルタナティブスプライシングを調節し、そして/またはRNAプロセシングに影響を及ぼし、それにより、極めて重要なタンパク質を上方制御または下方制御する場合)。
スプライシングを調節するリボスイッチを活性化、非活性化、または遮断することができる化合物を選択および同定する方法も開示する。リボスイッチは、例えば、オルタナティブスプライシング(alternative spicing)を調節することができる。リボスイッチの活性化は、トリガー分子の結合の際のリボスイッチの状態の変化をいう。リボスイッチを、トリガー分子以外の化合物およびトリガー分子の結合以外の方法で活性化することができる。用語トリガー分子を、本明細書中で、リボスイッチを活性化することができる分子および化合物をいうために使用する。これには、リボスイッチおよびリボスイッチを活性化することができる他の化合物のための天然または通常のトリガー分子が含まれる。天然または通常のトリガー分子は、所与の天然のリボスイッチのトリガー分子またはいくつかの非天然リボスイッチの場合、リボスイッチがデザインされるか、リボスイッチが選択される(例えば、in vitro選択技術またはin vitro進化技術など)トリガー分子である。非天然トリガー分子を、非天然トリガー分子ということができる。
スプライシングを調節し、そして/またはRNAプロセシングに影響を及ぼすリボスイッチを活性化、非活性化、または遮断する化合物を同定する方法も開示する。例えば、リボスイッチを活性化する化合物を、試験化合物とリボスイッチとの接触およびRNAのスプライシングおよび/またはプロセシングの測定によるリボスイッチの活性化の評価、またはスプライシング事象および/またはプロセシング事象の結果として発現された異なるタンパク質レベルの測定によって、同定することができる。リボスイッチが活性化される場合、試験化合物を、リボスイッチを活性化する化合物と同定する。リボスイッチの活性化を、任意の適切な様式で評価することができる。例えば、リボスイッチをレポーターRNAに連結することができ、レポーターRNAの発現、発現レベル、または発現レベルの変化を、試験化合物の存在下および非存在下で測定することができる。別の例として、リボスイッチは、高次構造依存性標識(リボスイッチの活性化状態に応じて変化するシグナル)を含むことができる。かかるリボスイッチは、好ましくは、天然に存在するリボスイッチに由来するか、これから誘導したアプタマードメインを使用する。認められるように、調節アッセイまたは測定を使用するかあるいは調節アッセイまたは測定を使用しないで、リボスイッチ活性化の評価を実施することができる。リボスイッチを非活性化する化合物の同定方法を、類似の方法で行うことができる。
本明細書中の他の場所に開示の方法に加えて、スプライシングを調節し、そして/またはRNAプロセシングに影響を及ぼすリボスイッチを遮断する化合物の同定を、任意の適切な様式で行うことができる。例えば、リボスイッチを活性化または非活性化することが公知の化合物の存在下および試験化合物の存在下でリボスイッチの活性化または非活性化を評価するためのアッセイを行うことができる。試験化合物の非存在下において認められないのと同様に活性化または非活性化が認められない場合、試験化合物を、リボスイッチの活性化または非活性化を遮断する化合物と同定する。
オルタナティブスプライシングを調節するバイオセンサーリボスイッチを使用した化合物の検出方法も開示する。本方法は、試験サンプルとバイオセンサーリボスイッチとを接触させる工程およびバイオセンサーリボスイッチの活性化を評価する工程を含むことができる。バイオセンサーリボスイッチの活性化は、試験サンプル中のバイオセンサーリボスイッチのためのトリガー分子の存在を示す。バイオセンサーリボスイッチは、その同系トリガー分子の存在下で検出可能なシグナルを産生する操作されたリボスイッチである。有用なバイオセンサーリボスイッチを、トリガー分子の閾値レベルまたは閾値レベルを超えて誘発することができる。バイオセンサーリボスイッチを、in vivoまたはin vitroでの使用のためにデザインすることができる。例えば、オルタナティブ結合を調節するバイオセンサーリボスイッチを、細胞または生物にリボスイッチ/レポーターRNAをコードする核酸構築物を保有させるように操作することによってin vivoで使用することができるシグナルとしての機能を果たすかシグナル産生に関与するタンパク質をコードするレポーターRNAに作動可能に連結することができる。in vitroで使用するバイオセンサーリボスイッチの例は、高次構造依存性標識(リボスイッチの活性化状態に応じて変化するシグナル)を含むリボスイッチである。かかるバイオセンサーリボスイッチは、好ましくは、天然に存在するTPPリボスイッチに由来するか誘導したアプタマードメインを使用する。
リボスイッチを活性化、非活性化、または遮断する化合物の同定および同定された化合物の製造によって作製された化合物も開示する。例えば、本明細書中の他所に開示の化合物同定方法と同定された化合物の製造方法との組み合わせにより、これを行うことができる。例えば、試験化合物とリボスイッチとの接触工程、リボスイッチの活性化の評価工程、および試験化合物によってリボスイッチが活性化された場合の化合物としてのリボスイッチを活性化する試験化合物の製造工程によって化合物を作製することができる。
化合物によるリボスイッチの活性化、非活性化、または遮断のチェック工程およびチェックした化合物の製造工程によって作製された化合物も開示する。例えば、本明細書中の他所に開示したように化合物の活性化、非活性化、または遮断の評価方法とチェックした化合物の製造方法との組み合わせによってこれを行うことができる。例えば、試験化合物とリボスイッチとの接触工程、リボスイッチ活性化の評価工程、および試験化合物によってリボスイッチが活性化された場合の化合物としてのリボスイッチを活性化する試験化合物の製造工程によって化合物を作製することができる。化合物がリボスイッチを活性化、非活性化、または遮断する能力についての化合物のチェックは、リボスイッチを活性化、非活性化、または遮断することを以前に知られていない化合物の同定および化合物がリボスイッチを活性化、非活性化、または遮断することが既に知られていた場合のリボスイッチを活性化、非活性化、または遮断する化合物の能力の評価の両方をいう。
化合物の非存在下での同一のリボスイッチアッセイと比較して(すなわち、コントロールアッセイと比較して)、化合物の存在下のリボスイッチアッセイにおけるシグナルが少なくとも1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、50%、75%、100%、125%、150%、175%、200%、250%、300%、400%、または500%増加する場合に、化合物がリボスイッチを活性化すると同定することができるか、リボスイッチ活性化活性を有すると決定することができる。リボスイッチアッセイを、任意の適切なリボスイッチ構築物を使用して行うことができる。リボスイッチ活性化アッセイに特に有用なリボスイッチ構築物を、本明細書中の他所に記載している。1つまたは複数の特定のリボスイッチ、リボスイッチ構築物、またはリボスイッチクラスに関して、化合物を、リボスイッチを活性化するかリボスイッチ活性化活性を有すると同定することができる。便宜上、オルタナティブスプライシングを調節するリボスイッチを活性化すると同定された化合物を、そのように特定のリボスイッチについて同定することができる。
A.(実施例1)mRNAのオルタナティブ3’末端プロセシングによる植物における遺伝子発現のリボスイッチ調節
生物の3つ全てのドメイン由来の生物で見出される最も一般的なリボスイッチクラスは、ビタミンB1の誘導体である補酵素チアミンピロリン酸(TPP)に反応する。TPPリボスイッチが試験した全植物種のチアミン生合成遺伝子THICの3’非翻訳領域(UTR)中に存在することが発見された。THIC TPPリボスイッチは、オルタナティブな3’UTR長を有する転写物の形成を調節し、mRNAの安定性およびタンパク質産生に影響を及ぼす。オルタナティブ3’末端プロセシングのリボスイッチ媒介性調節がTHIC発現のTPP依存性フィードバック調節に重要であることが証明されている。データにより、RNA折り畳みの代謝産物依存性の変化がmRNAのスプライシングおよびオルタナティブ3’末端プロセシングを調節する機構が明らかとなる。これらの所見は植物中のリボスイッチによる代謝産物検知の重要性を強調し、真核生物における遺伝子調節機構としてのオルタナティブ3’末端プロセシングの有意性をさらに明らかにする。
リボスイッチは、典型的には伝令RNAの非コード部分に存在する代謝産物検知遺伝子調節エレメントである。これまで、細菌において12の構造クラスのリボスイッチが、小さな有機化合物(補酵素、アミノ酸、およびヌクレオチド塩基が含まれる)(Mandal and Breaker,2004;Soukup and Soukup,2004;Winkler and Breaker,2005;Fuchsら,2006;Rothら,2007)またはマグネシウムイオン(Cromieら,2006)を検知すると特徴づけられている。ほとんどの例では、リボスイッチを、アプタマーおよび発現プラットフォーム領域に分けることができ、これらは、それぞれリガンド結合および遺伝子調節を担う2つの機能的に異なるが通常は物理的に重複したドメインを示す。
アプタマーによって形成された構造の複雑さおよびそのリガンド認識機構は、いくつかのリボスイッチクラス(グアニンおよびアデニン(Bateyら,2004;Serganovら,2004)、S−アデノシルメチオニン(Montange and Batey,2006)、TPP(Edwards and Ferre−D’Amare,2006;Serganovら,2006;Thoreら,2006)、およびグルコサミン−6−リン酸(Kline and Ferre−D’Amare,2006;Cochraneら,2007)に結合するクラスが含まれる)についてのX線結晶学によって解明された原子分解能モデル試験で明らかである。各アプタマークラスのリガンド結合コアおよび支持構造のヌクレオチド配列は、たった4つのヌクレオチド型を使用して特異的リガンドのための正確な受容体を形成する必要があることの結果として、異なる種間で高度に保存されている。対照的に、リボスイッチの発現プラットフォームは、種間または1つの生物における複数の代表的なリボスイッチクラスの間でさえも非常に変化し得る。
高レベルのアプタマー保存により、研究者は、新規のリボスイッチ候補を同定するため(例えば、Grundy and Henkin,1998;Gelfandら,1999;Barrickら,2004;Corbinoら,2005;Weinbergら,2007)および種々の生物における公知のリボスイッチクラスの分布を決定するため(例えば、Rodionovら,2002;Vitreschakら,2003;Nahviら,2004;Abreu−Goodger and Merino,2005)にバイオインフォマティクス法を使用することが可能である。今まで、これらの研究により、TPP検知リボスイッチクラスのメンバーのみが生物の3つ全てのドメインに存在することが明らかとなっている(Sudarsanら,2003)。真核生物では、TPPアプタマーは、植物および糸状菌由来のチアミン代謝遺伝子中で見出されたが、リボスイッチ機能の機構は依然として推測のままであった(Kuboderaら,2003;Sudarsanら,2003)。真菌Neurospora crassaでは、TPPアプタマーはNMT1 mRNAの5’領域内のイントロン中に存在し、最近、該アプタマーによるTPP結合がオルタナティブスプライシングの調節によってNMT1遺伝子発現を調節することが示されている(Cheahら,2007)。具体的には、リボスイッチによるTPP結合により、上流読み取り枠(主なORFの発現を不可能にするuORF)を保有するイントロン配列の除去が防止される。
TPPリボスイッチが種々の植物種中に認められ、チアミン代謝遺伝子THICの3’UTR中に存在することを本明細書中に報告する。オルタナティブな3’UTR長を有するTHIC転写物の形成は、リボスイッチ機能に依存し、細胞TPPレベルの変化に応答してTHIC発現のフィードバック調節を媒介する。データは、3’UTR長が転写物の安定性と相関し、それにより、オルタナティブ3’末端プロセシングによる遺伝子調節の基盤が確立されることを示す。植物におけるTPPリボスイッチ機能の詳細な機構を示し、この機構は、THIC mRNAのスプライシングおよび差分的3’末端プロセシングのアプタマー媒介性調節を含む。本研究は、生物の異なるドメイン由来の生物におけるリボスイッチ調節の多用途性をさらに明らかにし、これまで知られていなかった真核生物遺伝子調節の態様における本発明者らの知識を広げる。
1.結果と考察
i.TPPアプタマーは植物種で広範に分布する。
植物種Arabidopsis thaliana、Oryza sativa、およびPoa secunda由来のTHIC遺伝子の3’UTR中に高度に保存されたTPP結合アプタマーが存在することが以前に報告されている(Sudarsanら,2003)。代表的な植物TPPアプタマー群を、さらなる植物種由来のTHIC遺伝子の配列決定およびTPPアプタマーコンセンサスに従うヌクレオチド配列のデータベース検索によって拡大した。cDNA配列を得た後、各種のゲノムDNA由来の対応する領域をクローン化し、配列決定し(詳細については、実験手順を参照のこと)、したがって、初期およびプロセシングされたmRNA分子の両方の配列が得られる。
植物由来の全ての利用可能なTPPアプタマー配列のアラインメントにより、高レベルのヌクレオチド配列保存およびステムP1〜P5からなる二次構造が明らかとなる(図1A)。植物(図1B)および糸状菌(Cheahら,2007)由来の真核生物TPPリボスイッチアプタマーをその細菌および古細菌の対応物(図1C)(Winklerら,2002;Rodionovら,2002)と比較した場合の主な相違点は、代表的な細菌で頻繁に存在するP3aステムが一貫して存在しないことおよび真核細胞におけるP3ステムの長さが可変であることである。いずれの領域もTPP結合に関与せず(Edwards and Ferre−D’Amare,2006;Serganovら,2006;Thoreら,2006;Cheahら,2007)、したがって、これらの相違はリガンド結合特異性に影響を及ぼさないはずである。
TPPアプタマーは、単子葉植物、双子葉植物、および針葉樹Pinus taeda由来の全ての公知のTHICの例の3’UTR中に見出される。興味深いことに、蘚類Physcomitrella patensでは、TPPアプタマーはTHICの3’UTR中に存在し(Ppa1)、チアミン生合成遺伝子THI4に相同な2つの遺伝子の3’領域中にも存在する(Ppa2、Ppa3)。この後者の所見および真菌が複数の異なる遺伝子に関連するTPPアプタマーも有するという所見(Cheahら,2007)は、真核生物が種々の濃度の重要な代謝産物に応答して複数の遺伝子を調節するために同一のリボスイッチクラスのバリアントを使用する可能性が高いことを示す。
植物由来のTPPアプタマーの特筆すべき特徴は、高レベルのヌクレオチド配列保存である。約80%のヌクレオチド(P3ステムを除く)は、全ての植物例で保存されている。対照的に、糸状菌では40%未満が保存されている。植物TPPアプタマー間のほとんどの相違はP3ステム中で見出され、長さおよび配列の両方が変化する。また、P3ステムの長さは、P.patens(図1A)で認められるように、同種の代表的なTPPアプタマー間で変化する。THIC中の伸長したP3ステムおよびTHI4中の非常に短いP3ステムの両方の存在により、このアプタマー成分の種特異的要件が存在しないことが示唆される。
ii. THIC 3’UTRは長さおよび配列が変化する
6つの植物種からクローン化したかGenBank(O.sativa)から得たTHIC mRNAの3’領域のヌクレオチド配列を分析した(図8;詳細については実験手順も参照のこと)。興味深いことに、THIC遺伝子の3’領域のゲノム組成はこれら7つの種で保存されており、種々の3’UTR長を有する3つの主なプロセシングRNA転写物型の形成を常に見出される(図2A)。THIC ORFの終止コドンに、一般に、典型的には3つ全てのRNA型でスプライスするイントロンが続く。I型(THIC−I)RNAは、完全なアプタマーを保有し、その3’末端で種々の長さに伸長することができる。III型(THIC−III)RNAは、TPPアプタマーの一部を除去する別のイントロンのスプライシング後のI型に対応するのに対して、II型(THIC−II)RNAは、アプタマーの上流で終結する。
これらの種のTHIC 3’UTR内の種々の領域(1〜6と指定する)の長さの定量により、いくつかの領域(2〜5)がUTR内の重要な特徴を橋渡しするヌクレオチドの数を非常に保存していることが明らかになる(図2B)。対照的に、第1のイントロン(領域1)の長さならびにTHIC−IおよびTHIC−IIIのほとんどの3’部分(領域6)の長さは高度に変化する。例えば、THIC−IおよびTHIC−IIIは、その3’末端で1kbを超えて伸長することができる。一定の特徴的な3’UTRの間の距離の保存は、TPP媒介性遺伝子調節に重要であり得る。
逆転写およびポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)を使用して、THIC転写物型の量を定量することができる。ポリTプライマーおよびTHIC ORFに特異的なプライマー(全THIC転写物型を増幅する)を使用したRT−PCRにより、THIC−IIが主に増幅する(図2C)。これは、短い転写物の形態が試験した全種で最も豊富であることを証明する。THIC mRNAのコード領域に結合するプローブを使用したノーザンブロット分析により、A.thaliana由来のTHIC−IIのサイズに対応する1つの主なシグナルも得られる(以下のさらなる考察を参照のこと)。
THIC−IおよびTHIC−IIIを、伸長した3’領域に特異的であり、且つTHIC−II RNAを認識しない逆方向プライマーを使用したRT−PCRによって検出した(図2D)。各種の最も低いPCR産物バンドがTHIC−IIIに対応するのに対して、さらなるバンドは3’UTRの一方または両方のイントロンが依然として保持されているTHIC−Iに由来する産物を示すか、少数のスプライシングバリアントを示す。A.thaliana由来のTHIC−IおよびTHIC−IIIの3’UTRに特異的なプローブを使用したノーザンブロット分析により、これらの転写物型が低コピー数で存在することが確認され(以下のさらなる考察を参照のこと)、転写物の長さの不均一性も明らかとなった。
3’末端プロセシングがA.thalianaの種々の転写物型で異なるかどうかを評価するために、転写物の特異的領域を増幅可能なプライマーを使用してRT−PCRを行った。ポリTまたはランダムヘキサマープライマーのいずれかを使用して生成したcDNAは、THIC−II(データ示さず)およびTHIC−IIIの増幅の相違を示さなかった(図2E)。しかし、THIC−I PCR産物の相対存在量は、ポリT由来cDNAと比較して、ランダムヘキサマープライマーを使用して生成したcDNAからの増幅後に非常に増加した(図2E)。これは、ほとんどのTHIC−I RNAがポリアデニル化されず、それにより、非プロセシングTHIC前駆体転写物を示すことを示す。また、アプタマー配列のはるか下流に結合するプライマーを使用して生成したcDNAはPCR増幅産物を生成した(図2E)。これは、THIC−IおよびTHIC−IIIがA.thalianaにおけるTHICの注釈付き末端の1kbを超えて下流を伸長することができることを示す。非常に長い3’UTRを有する類似のTHIC mRNAも、GenBankにおける全長cDNA注釈づけにしたがってO.sativaについて認められた(AK068703、AK065235、AK120238)。長い3’UTRを有するmRNAの形成は、3’末端プロセシングおよび転写終結の低下を示す。
iii.チアミンはTHIC転写物レベルに影響を及ぼす
THIC転写物の量を定量的RT−PCR(qRT−PCR)を使用して定め、転写物レベルがチアミン濃度の増加に反応するかどうかを考慮した。A.thalianaの実生に種々の量のチアミンを補足し、異なるTHIC転写物型を特定のプライマー組み合わせを使用して検出した。THIC−IIを増幅するプライマー組み合わせは、第1の3’UTRイントロンのスプライシングを受けたTHIC−I RNAのサブセットに結合することもできる。しかし、後者の増幅産物の寄与は小さい。これは、ポリTプライマーを使用してcDNAを生成した場合、THIC−I転写物ははるかに少なく、ほとんど検出不可能であるからである(図2E)。
1mMチアミンを含む培地上での実生の成長後、THIC転写物の総量は、チアミンを補足せずに実生を成長させた場合に測定した総量の約20%に低減する(図3A)。THIC−II転写物は同等の低減を示すが、THIC−I転写物およびTHIC−III転写物の両方は、コピー数がほとんどまたは全く変化しない。同一サンプルのノーザンブロット分析を使用して、THIC−IIレベルが減少し、THIC−I量が比較的不変であり、THIC−III RNAレベルが比較的不変であることが確認された(図3B)。
転写レベルのチアミン媒介変化が起こる時間間隔を、A.thalianaの実生へのチアミン溶液の噴霧後のいくつかの時点でTHIC転写物のqRT−PCRを行うことによって評価した(図3C)。チアミン適用の4時間後、総THIC RNAおよびTHIC−II量は、チアミンを添加しないで測定した量の50%に低減した。26時間後、これらのレベルはなおさらに減少した。興味深いことに、チアミンを培地に添加した場合のこの分析で観察される小さなTHIC−IIIの増加(図3A)は、反応初期でより顕著である。異なる転写物型がチアミン処理に対して逆の反応を示すので、調節機構はRNAプロセシングに関与する可能性が最も高く、フィードバック機構がプロモーター調節レベルで作用しそうにない。実際、トランスジェニック系においてA.thaliana由来のTHICプロモーターによって駆動するレポーター遺伝子の発現は、チアミン補足後に変化しなかった(図9)。
細胞に取り込まれるほとんどのチアミンは、連続的リン酸化反応によってTPPに変換して、この補酵素の濃度が非リン酸化ビタミン濃度よりはるかに高くなると予想される(Ajjawiら,in prep)。したがって、植物アプタマーへのTPP結合が起こることが知られていることを考慮すると、認められた総THIC RNAレベルの減少は、ほぼ確実に、TPP濃度の増加に対するリボスイッチ媒介性応答を反映する(Sudarsanら,2003;Thoreら,2006)。この場合、TPP濃度が、チアミンを補足しない培地で成長した植物中のTPP濃度と比較して減少する場合、逆効果が生じるはずである(リボスイッチのダイナミックレンジがこのTPP濃度範囲に及ぶと予想される)。
これを、野生型(WT)A.thaliana植物におけるTHIC発現とチアミンピロホスホキナーゼ(TPK)のダブルノックアウトを保有する植物のTHIC発現との比較によって試験した。これらの変異体は、A.thalianaに存在する両TPKイソ型で欠損し、したがって、チアミンをTPPに変換できない(Ajjawiら,in prep)。TPKダブルノックアウト(TPK−KO)植物が発芽2週間以内に種子中の貯蔵されたTPPを大半消耗し、植物がその生活環を完了するためにTPP補足に依存することが示されている(Ajjawiら,in prep)。予想通り、12日齢TPK−KO実生由来のTHIC RNAのqRT−PCR分析により、WTと比較してTHIC−II量が増加し、THIC−IIIが顕著に減少することが明らかとなる(図3D)。
実生におけるTHIC発現が典型的な明暗周期から連続光までの植物の移行後に保持される概日リズムに続いて起こり、このリズムはチアミン処置に影響を受けないことに注目すべきである(図10)。総THIC RNAおよびTHIC−IIIの両方について、同一のリズム段階(rhythm phase)が認められた。これは、リボスイッチ媒介性フィードバック調節がTHIC発現の概日リズムに影響を及ぼさないことを証明する。
iv.3’UTRの長さが遺伝子発現レベルを規定する
異なるTHIC RNA型の存在および種々のチアミンレベルに応答したその存在量の変化により、TPPアプタマーがRNAプロセシングを調節し得、異なる3’UTRを有する転写物が差分的に発現し得ることが示唆される。A.thaliana由来の全長アプタマーが約50nMの見かけ上の解離定数(K)でTPPに結合し(Sudarsanら,2003)、その三次構造(Thoreら,2006)が細菌TPPアプタマーの三次構造と類似することが以前に示されている(Edwards and Ferre−D’Amare,2006;Serganovら,2006)。前駆体RNA(THIC−I)は完全なアプタマーを保有し、したがって、TPPに結合すると予想される。
対照的に、THIC−IIIはほとんどのコンセンサスTPPアプタマー配列を含むが、3’UTR中の第2のイントロンのスプライシングのために5’末端の最初の7つのヌクレオチドが除去され、異なるヌクレオチドに置換されている(図4A、灰色で影を付けた配列)。インライン探索(Soukup and Breaker,1999)を使用して、この変化したアプタマーがTPP結合活性を保持するかどうかを決定した。このアッセイは、代謝産物結合の際の自発的RNA分解パターンの変化のモニタリングによってTPPアプタマー構造の変化を明らかにするために以前に使用されている(Sudarsanら,2003;Winklerら,2002)。変化したTPPのアプタマーの見かけ上のKは約60μMであり(図4Bおよび4C)、これは、リガンド結合親和性が3桁を超えて喪失している。さらに、チアミンは変化したアプタマーに結合せず(データ示さず)、このアプタマーによって他のチアミン誘導体を結合することができる可能性は低い。これは、スプライシングの際に交換されるアプタマー領域はリガンド認識に直接関与しないからである(Edwards and Ferre−D’Amare,2006;Serganovら,2006;Thoreら,2006)。これらの所見は、一旦3’UTRの第2のイントロンのスプライシングが起こると、THIC−III中の残りのTPPアプタマーはもはや機能しないことを示す。
遺伝子発現に及ぼす2つの主なTHIC 3’UTR形態の影響の可能性を評価するために、A.thaliana由来のTHIC−II(188nt)およびTHIC−III(408nt)由来の3’UTR配列を、ルシフェラーゼ(LUC)のコード領域に融合し、これらの構築物を、構成性プロモーターおよびターミネーターエレメントの調節下にて植物中で発現させた。THIC−IIIは、3’末端で種々の長さに伸長することができるが、最も豊富で最短のバージョン(GenBankエントリーNM179804に対応する)を、発現分析のために使用した。THIC−III由来の3’UTRを含む融合構築物により、THIC−II由来の3’UTRを保有する構築物と比較して、約10%のLUC活性しか得られなかった(図4D)。III型構築物中のTPPアプタマーの変化に関与する可能性を、TPP結合を完全に無効にするが、LUC発現を低下させない変異M1およびM2の導入によって除外した。また、THIC−III 3’UTR配列の逆相補配列の使用によってLUC活性は有意に変化しなかった。これらのデータは、伸長し且つ変化していないTPPアプタマーは、III型RNA由来の3’UTRを含む構築物の抑制で役割を果たすことを示す。LUCの代わりにレポーター遺伝子EGFPを含む構築物を使用して同等の結果が得られ、サイレンシングサプレッサーP19の同時発現は、認められた相違がレポーターシステムにおけるサイレンシング効果に起因する可能性を排除した(図11)。
レポーター活性の相違も転写物量に反映されるのかどうかも評価した。qRT−PCRを使用して、A.thalianaまたはN.benthamianaのいずれか由来のTHIC−IIまたはTHIC−III由来の3’UTRを含むレポーター構築物の相対量を決定した(図4E)。両種由来のIII型RNAの長い3’UTRを含む構築物は、短いII型3’UTRを保有した構築物と比較して存在量が低かった。全レポーター構築物が構成性プロモーターおよびターミネーターの調節下で発現したので、転写の開始および終結は全構築物で同一なはずである。
所見により、長い3’UTRによって転写物ターンオーバーが増加することが示唆される。したがって、伸長した3’UTRを有するmRNAの産生を好むようなRNAプロセシングのリボスイッチ媒介性再指示によってTHIC発現が低減するはずである。この仮説は、酵母(Muhlrad and Parker,1999)および植物(Kerteszら,2006)において長い3’UTRがナンセンス変異依存分解機構(NMD)を誘導することを示す以前の研究と一致する。後者の研究では、3’UTRの長さとNMD効率との間に相関関係が認められたように、200ntを超える3’UTR長を有するmRNAの存在量の低減が認められた。さらに、結果から、この機構がmRNAの品質監視(quality surveillance)に関与するだけでなく(Fasken and Corbett,2005)、植物における遺伝子発現の調節でも役割を果たすことが示唆される。
v.チアミンフィードバック反応におけるリボスイッチ機能
スプライス修飾TPPアプタマーがプロセシングされたTHIC−III RNAの発現に影響を及ぼさないにもかかわらず、不変TPPアプタマーは、単独でTHIC mRNA転写物のプロセシングを調節して異なる3’UTR長を有するRNAを得ることができるリボスイッチの一部であり得る。安定に形質転換されたA.thaliana植物におけるTHICの完全なゲノム3’領域(終止コドンの約2.2kb下流)と融合されたEGFPを含むレポーター構築物の発現の分析によってこれを調査した。チアミン適用により、ロゼット期(rosette stage)由来の葉中のEGFP蛍光が減少した(図5Aおよび5B)。qRT−PCR分析を使用して、EGFPおよび内因性THIC転写物の両方の量がチアミン供給後のコントロールレベルの約20%まで低減し(図5C)、この量はA.thalianaの実生で認められた量と類似する(図3)ことが見出された。
形質転換体由来のEGFP融合物およびTHIC転写物の3’UTR配列を、RT−PCRによって増幅し(図5Dおよび5E)、クローン化し、配列決定した。配列分析により、EGFPおよびTHICの等価な転写物プロセシング型の形成が確認された(図2も参照のこと)。THICおよびEGFPの総転写物量の相違を、導入遺伝子調節のための強力なプロモーターの使用によって説明することができる。レポーター遺伝子構築物とTHICとの間のチアミン応答およびプロセシングされたRNAが同一であったので、EGFPに融合した領域の上流のさらなる配列が遺伝子調節機構に関与しないと結論づけた。
チアミン調節の影響がTPPリボスイッチによって媒介されるかどうかを決定するために、変異M2、M3、およびM4をアプタマーに導入して(図6A)、TPP結合親和性を低減させた。M2およびM4変異は、TPPアプタマーのステムP5およびP2の形成をそれぞれ妨害する。M3を使用して、TPPのピリミジン部分との直接相互作用に関与することが公知の3つのヌクレオチド(Edwards and Ferre−D’Amare,2006;Serganovら,2006;Thoreら,2006)を変異する。これらのバリアントを保有するTHICの3’領域をEGFPに融合し、A.thaliana植物に安定に形質転換した。
予想通り、変異アプタマーを保有するレポーター遺伝子構築物を含む植物は、WT構築物と比較して、チアミン適用に対する反応性の低減(M2)または完全な喪失(M3およびM4)を示す(図6B)。これらの所見を、qRT−PCRを使用した転写物の相対レベルの測定によって確認した(図6C)。さらに、P2形成を修復する(それにより、TPP結合が修復される)代償性変異(compensatory mutation)を含むM4のレポーター構築物バリアントは、WTに類似の活性を示す(データ示さず)。これらの結果は、アプタマーによるTPP結合が細胞におけるTPPレベルの変化に対する応答の媒介に不可欠であることを示す。しかし、M2構築物によって示された小さなチアミン応答性により、変異体がTPPに対するアプタマーの親和性の減少だけによることなくリボスイッチ機能に影響を及ぼし得ることが示唆される(以下のさらなる考察を参照のこと)。
EGFP−リボスイッチ融合物から生成されたmRNAの3’末端のRT−PCR分析により、WT構築物に典型的であるように、変異構築物がII型RNAの高い発現レベルを維持することが明らかとなる(図6D)。しかし、変異体とWTリボスイッチとの間のI型およびIII型RNAの2つの主な相違は明らかである。第1に、III型RNA量はM2構築物で実質的に低減し、M3構築物から検出不可能であった(図6E)。第2に、アプタマーのはるか下流に伸長する転写物の相当な減少が両変異体で認められた(図6E、882ntレーン、図5E中のWTも参照のこと)。これらの結果により、適切なリボスイッチ機能が異なる3’UTRの配列および長さを有するmRNAの産生に必要であり、この産生により、遺伝子発現がチアミン依存性に下方制御されることが明らかとなる。
vi.リボスイッチ機能の機構
インライン探索を使用して、どのようにしてTPPリボスイッチがA.thaliana由来のTHIC mRNAの3’末端プロセシングを調節することができるのかを調査した。第2の3’UTRイントロンの5’スプライス部位の14nt上流を含んでいるアプタマー構築物は、スプライス部位のすぐ8nt上流にTPP依存性の構造調整を示した(図7A)。具体的には、TPP付加により、5’スプライス部位付近のヌクレオチドの構造的柔軟性が増加する。したがって、リガンド結合により、スプライソソームへのスプライス部位の接近性を増大させ、それにより、このイントロンを除去することができる。
いくつかの植物種由来の5’スプライス部位ヌクレオチドとTHIC遺伝子のアプタマーヌクレオチドの調節配列間の塩基対合の潜在性を調査した。試験した全ての種では、P4−P5ステムの5’側は、5’スプライス部位のすぐ上流(時折、含まれる)のヌクレオチドに相補的である(図7B)。この塩基対合の潜在性の保存により、リボスイッチが低TPP濃度下で5’スプライス部位をマスクするか、高TPP濃度下でスプライス部位を露出する構造の相互排他的形成によってスプライシングを調節することが示唆される(図7C)。
このモデルは、本研究で得たin vitroおよびin vivoデータ(M2バリアントを使用して認められた部分的チアミン応答性が含まれる)と一致する。M2は、アプタマーのP5ステムを破壊する2つの変異を保有し(図6A)、これらの変異はそのTPPとの相互作用を弱めてチアミン応答性を破壊するはずである。しかし、これらの変異は5’スプライス部位領域との塩基対合も弱め、それにより、TPP親和性の低減が予想されるにもかかわらず、TPP結合がこのオルタナティブ対合と有効に競合し得る。植物TPPリボスイッチの1つの注目に値する特徴は、リボスイッチ調節下の5’スプライス部位がTPPアプタマー中の相補領域の200ntを超えて上流に存在するという点である(図2A)。相補領域間の配列の複雑な構造的構成(図12)は、これらの部位がその相互作用を容易にするために空間的に接近するために重要であり得、このことにより、種々の植物由来のTHIC UTRの特徴の間の長さの保存を説明することもできる(図2A)。
興味深いことに、TPPリボスイッチはまた、部分的に5’スプライス部位付近のヌクレオチドと非占有TPPアプタマーのP4−P5領域との間のリガンド媒介性塩基対合の形成によって真菌のNMT1遺伝子のオルタナティブスプライシングを調節する(Cheahら,2007)。これらの真核生物の例と対照的に、細菌は、典型的に、アプタマーの下流に存在する発現プラットフォームと調和するためにP1ステム中のヌクレオチドを使用する(Sudarsanら,2005;Winklerら,2002)。リガンド結合の際のTPPアプタマー構造の実質的変化を考慮して、P1ステムおよびP4−P5ステムの一部のみを使用して今まで研究されたTPPリボスイッチにおける発現プラットフォーム機能を調節することは驚くべきことである。これについての1つの理由は、迅速なリガンド検知を容易にするために一定のアプタマー下部構造の事前組織化(preorganization)が必要なことであり得る。
vii.植物におけるTPPリボスイッチ機能のモデル
以前の研究では、細菌で見出された転写ターミネーターに類似の転写ターミネーターが真核生物中にも存在し得ることが示された(Proudfoot,1989)。興味深いことに、植物における全ての公知のTPPリボスイッチの例において、ポリウリジン区域(tract)はアプタマーの直後に続き(図8を参照のこと)、このエレメントは、細菌における固有の転写ターミネーターに対するポリメラーゼ放出アナログに関与し得る(Yarnell and Roberts,1999;Gusarov and Nudler,1999)。しかし、真正細菌様転写終結が起こった場合に予想される産物と一致するRNA転写物は同定されなかった。
mRNA転写物のスプライシングおよびオルタナティブ3’末端プロセシングの代謝産物媒介性調節を含む植物におけるTPPリボスイッチ調節のための異なるモデルを提案する(図7C)。細胞中のTPP濃度が低い場合、アプタマーは、5’スプライス部位と相互作用してスプライシングを防止する。このイントロンは、転写物の切断およびポリアデニル化を可能にする主なプロセシング部位を保有する。この部位由来のプロセシングにより、短い3’UTRを保有し、且つTHIC遺伝子を高発現するTHIC−II転写物が産生される。
TPP濃度が高い場合、アプタマーへのTPP結合により、5’スプライス部位への対合が防止される。結果として、5’スプライス部位が接近可能となり、主なプロセシング部位を除去するスプライシング事象で使用される。転写は、その後、1kbまで拡大し、下流に存在するプロセシング部位の使用により、はるかにより長い3’UTRを保有するTHIC−III RNAが得られる。長い3’UTRによって転写物分解が増加し、THIC発現が低減する。以前の研究では、転写の拡大は転写物プロセシングの非存在下で起こり、したがって、これらのプロセスの相互関連性(interconnectivity)が明らかとなったことが示されている(Buratowski,2005;Proudfoot,2004;Proudfootら,2002)。
どのようにして真核生物において転写物のプロセシングおよび転写終結が連携するのかについて2つの異なるモデルが提案されている。「アンチターミネーター(antiterminator)」モデルにより、終結部位の転写によって転写複合体の高次構造が変化し、それによって終結することが示唆される(Loganら,1987)。対照的に、「魚雷」モデルは、切断事象が転写終結の必要条件であることを示す(Connelly and Manley,1988)。他の転写終結機構も存在し得る。最近の報告では、いくつかの遺伝子中のプロセシング部位の下流で起こるさらなる同時転写切断事象が終結の調節で役割を果たし得ることが示されている(Dye and Proudfoot,2001;Proudfoot,2004;Proudfootら,2002)。さらに、自己触媒性RNA切断が転写物3’末端形成に関与し得ることが証明されている(Teixeiraら,2004;Vaderら,1999)。他の機構を除外することができないにもかかわらず、転写終結を調節するためにTHIC TPPリボスイッチがスプライシングおよびプロセシング部位の接近を調節するという所見は、魚雷モデルと一致する。
viii.結論
所見により、どのようにしてTPP検知リボスイッチが植物において遺伝子発現を調節することができ、どのようにしてフィードバック調節がTPPレベルを維持するのかということについての機構が明らかとなる。さらに、本研究は、リボスイッチを使用して遺伝子発現を調節する公知の多様な機構にさらに拡大される。A.thalianaにおけるTPPリボスイッチは、代謝産物結合を活用してRNAスプライシングを調節し、それによってオルタナティブ3’末端プロセシングの運命が決定され、最終的にmRNAの安定性を規定する。種々の植物のTHIC遺伝子内の重要な3’UTRの特徴の間の配列、構造エレメント、および間隔の広範な保存は、このリボスイッチ機構が多様な植物種で維持されることを示す。リボスイッチ媒介性調節と無関係に、オルタナティブ3’末端プロセシングの調節による遺伝子調節の可能性は高いようであり、したがって、この一般的機構は真核生物ではるかに一般的であり得る。
予備的所見は、植物においてTHIC過剰発現が有害な影響を引き起すことを示す。これは植物におけるチアミン産生調節の重要性を強調し、最近発見された植物耐病性のアクチベーターとしての役割にも関与し得る(Ahnら,2005;Ahnら,2007;Wangら,2006)。植物がビタミンB1の主な栄養源としての機能を果たすので、植物におけるチアミン生合成の調節についてのより深い理解はまた、代謝操作の目的に有用であり得る。
真菌および細菌中のその位置と比較した植物遺伝子の3’領域中のTPPリボスイッチの固有の位置は、異なる生物に必要な特異的調節への適応を反映し得る。ほぼ全ての公知のリボスイッチは、細菌の5’UTR中(Mandal and Breaker,2004;Soukup and Soukup,2004;Winkler and Breaker,2005)または真菌の5’UTRのイントロンまたはコード領域中(Cheahら,2007)に存在し、しばしば遺伝子発現をほぼ完全に抑制することができる。しかし、植物で認められるリボスイッチ調節レベルはよりわずかである。植物がチアミンを効率的に取り込むことができるにもかかわらず、ほとんどの要求は内因性合成によって供給されなければならない。植物の独立栄養性の生存様式と対照的に、真菌および細菌は、時折、取り込みによってチアミンのような化合物についての全ての要求を満たすことが可能な栄養豊富な条件下で増殖するので、異なる生物の領域由来の生物で見出される異なる範囲の調節についていくつかの論理的根拠が得られる。
2.実験手順
i.植物および植物組織
Arabidopsis thaliana生態型Columbia−0植物を、他で示さない限り、16/8時間(明/暗)の光周期、湿度60%、23℃において土壌を使用して栽培箱中で成長させた。実生実験のために、他で特定しない限り、植物を、2%スクロースおよび種々の濃度のチアミンを補足した基本MS培地(Murashige and Skoog,1962)にて連続光下で成長させた。葉浸潤アッセイのためのN.benthamiana植物を、土壌にて連続光下で3〜5週間成長させた。他の種由来の植物材料は、市販の種子から成長させた実生に由来した。
ii.RNAの単離およびRT−PCR分析
総RNAを、製造者の説明書にしたがってRNeasy Plantミニキット(QIAGEN)を使用して凍結植物組織から抽出した。2〜5μgの総RNAをDNアーゼ処理に供し、その後に製造者の説明書にしたがってSuperScript(商標)II逆転写酵素(Invitrogen)を使用して逆転写した。cDNA生成のために、遺伝子特異的プライマー(他で特定しない場合)またはポリTプライマー(DNA1)を使用した。cDNAを、THICおよびEGFPレポーター転写物のPCR増幅のためのテンプレートとして使用した。得られた全産物をTOPO−TAクローニングベクター(Invitrogen)にクローン化し、配列決定(HHMI Keck Foundation Biotechnology Resource Center at Yale University)によって分析した。
Applied Biosystems 7500リアルタイムPCRシステムおよびPower SYBR Green Master Mix(Applied Biosystems)を使用してqRT−PCRを行った。テンプレートを連続希釈して、全プライマー組み合わせについてのプライマー効率を決定した。各反応を三連で行い、増幅産物をアガロースゲル電気泳動および融解曲線分析によって試験した。相対標準曲線法(relative standard curve method)を使用してデータを分析し、標的転写物の存在量を、AT1G13320遺伝子(PP2A 触媒サブユニット)、AT5G60390遺伝子(EF−1α)、およびAt1G13440遺伝子(GAPDH)由来の以前に報告された基準転写物(Czechowskiら,2005)に対して正規化した。
iii.植物由来のTHIC転写物およびゲノム配列の増幅
THIC−II RNA由来の3’UTRを、ポリTプライマーおよび終止コドン付近のコード配列の保存部分をターゲティングする縮重プライマーを使用したRT−PCRの使用によってクローン化した。THIC−III転写物について、特異的プライマーの組み合わせを使用してポリT生成cDNA由来の2つのフラグメント中で3’UTRを増幅した。各3’UTRの5’部分を、コード領域をターゲティングする縮重プライマーおよびTPPアプタマーをターゲティングするプライマーを使用してPCR増幅した。3’UTRの3’部分を、アプタマーをターゲティングするプライマーおよびポリTプライマーの使用によって得た。PCR産物をクローン化し(TOPO−TA)、いくつかの独立したクローンを配列決定した。合わせた配列情報を使用して、対応するゲノム配列の増幅のためのプライマー対をデザインした。製造者の説明書にしたがってPlant DNAzol試薬(GibcoBRL)を使用してゲノムDNAを単離し、得られたPCR産物をクローン化し、配列決定した。
iv.ノーザンブロット分析
A.thaliana実生由来の転写物を、以前に記載のようにノーザンブロット分析によって分析した(Newmanら,1993)。プローブは、THICのコード領域,THIC I型およびIII型RNAの伸長3’UTR,またはコントロール転写物EIF4A1中の領域に特異的であった。
v.アグロバクテリウム媒介性葉浸潤アッセイ
一過性遺伝子発現分析のために、N.benthamiana葉を、(Cazzonelli and Velten,2006)により記載されたように葉浸潤アッセイによって形質転換した。種々のレポーター構築物を保有するアグロバクテリウム株をLB培地中で一晩成長させ、遠心分離し、ペレット化した細胞をHO中に再懸濁した。OD600を、異なる構築物を保有する細胞と同一の値(約0.8)に調整し、アグロバクテリアを構築物の同時形質転換のために同量で混合した。ホタル(Photinus pyralis)もしくはウミシイタケ(Renilla reniformis)由来のルシフェラーゼまたは蛍光タンパク質EGFPおよびDsRed2のいずれかを、レポータータンパク質として使用した。
ルシフェラーゼ活性を、デュアルルシフェラーゼレポーターアッセイシステム(Promega)を使用して測定した。葉材料を、典型的には、浸潤60時間後に回収し、液体窒素(約100mg/サンプル)中で凍結した。粉砕後、100μl 1×Passive Lysis Buffer(Promega)を添加し、サンプルと強く撹拌した。サンプルを氷上で1時間インキュベートし、その後に13,000gで20分間遠心分離した。得られた上清を40倍希釈し、プレート読み取り照度計(Wallac)へのデュアルルシフェラーゼアッセイ緩衝液のその後の添加によってルシフェラーゼ活性を測定した。ホタルルシフェラーゼ活性を、ウミシイタケ由来の同時発現ルシフェラーゼの活性に対して正規化したか(またはその逆)、Bradfordタンパク質アッセイ(BioRad)によって決定された総タンパク質量と比較した。
蛍光定量のために、Typhoon Trio+レーザースキャナ(Amersham Biosciences)を使用して、浸潤後のいくつかの時点で葉をスキャンした。EGFPの設定は、488nmでの励起および520nm BP 40での検出であった。DsRed2を、532nmで励起し、580nm BP30で検出した。葉は、スキャニングによって有意に損傷せず、励起後に葉柄と共に水中でインキュベートした。
vi.Floral Dip法によるA.thalianaの安定な形質転換
A.thalianaを、以前に記載のfloral dip法によって形質転換した(Clough and Bent,1998)。形質転換後、50 μg/ml−1カナマイシン(形質転換体を選択するため)および200μg/ml−1セフォタキシム(細菌増殖を防止するため)を含む培地上にて種子を無菌条件下で成長させた。生存植物を土壌に2〜3週間移し、さらなる成長後に導入遺伝子の発現を決定した。
vii.DNA構築物のクローニング
全レポーター構築物は、構成性CaMV35Sプロモーターを含むプラスミドpBinAR(Hoefgen and Willmitzer,1992)に基づいていた。Photinus pyralis(ホタル)由来ルシフェラーゼのコード配列をプライマーDNA44およびDNA45を使用して増幅し、BamHIおよびSalIでの制限後、pBinARの適切な部位にクローン化してpBinARFLUCを得た。pBinARFLUCでは、ルシフェラーゼのC末端でのペルオキシソームターゲティング配列を、アミノ酸配列「IAV」と置換して、ペルオキシソーム局在化を防止した。pBinARRiLUCを調製するために、ウミシイタケRenilla reniformis由来ルシフェラーゼのイントロン含有バージョン(Cazzonelli and Velten,2003)を、プライマーDNA46およびDNA47を使用して増幅し、制限後、pBinARのBamHI/SalI部位にクローン化した。レポーターとして蛍光タンパク質を含むプラスミドを調製するために、EGFPおよびDsRed2のコード配列を、プライマーDNA48/49およびDNA 50/51をそれぞれ使用して増幅した。BamHI/SalIでの制限後、産物をpBinARの適切な部位にクローン化した。
A.thaliana THIC II型およびIII型RNA由来の3’UTR配列を、プライマーDNA2/52およびDNA2/3をそれぞれ使用して増幅し、pBinARレポータープラスミドのSalI部位にクローン化した。N.benthamiana由来のTHIC配列に基づいた対応する構築物のクローニングのために、II型およびIII型RNA由来の3’UTRを、プライマーDNA 53/54およびDNA53/55をそれぞれ使用して増幅した。レポーター融合構築物中のTHIC 3’UTRの配列および配向を、配列決定によって確認した。
アプタマー変異体M1およびM2(III型RNAの文脈で)の生成のために、A.thaliana由来のTHIC−IIIの野生型 3’UTR配列を、DNA2およびDNA3を使用して増幅し、TOPO TAクローニングキット(Invitrogen)を使用してクローン化した。TOPO TAベクター中のTHIC−III 3’UTRに対してPCR変異誘発を行い、配列決定によってヌクレオチドの変化を確認した。次いで、3’UTR配列をSalIでの制限によってベクターから放出させ、レポータープラスミドの適切な部位にクローン化した。
そのゲノムの文脈においてリボスイッチを含む構築物を調製するために、THICの転写終止コドンから開始する2242bpフラグメントを、プライマーDNA60およびDNA61を使用してA.thalianaゲノムDNAから増幅し、TOPO TAベクターにクローン化した。pBinARがリボスイッチ機能を妨害し得るアグロバクテリウム由来オクトピンシンターゼ(OCS)ターミネーターを含むので、SalIおよびHindIIIでの制限によってOCS配列を除去し、適切な制限部位を有する2つの相補オリゴヌクレオチド(DNA62、DNA63)からなるリンカーを使用してベクターに再連結して、ベクターpBinAR−termを得た。ターミネーター配列を持たないこのベクターを、その後のクローニングのために使用した。EGFPのコード配列を、プライマーDNA48およびDNA49を使用して増幅し、BamHIおよびSalIでの制限後、pBinAR−termの適切な部位にクローン化した。第2の工程では、ゲノムTHICフラグメントを、SalI消化によってTOPO TAベクターから放出させ、pBinAREGFP−termのSalI部位にクローン化した。THICフラグメントの配列および配向を、配列決定によって確認した。アプタマー変異体M2、M3、およびM4の生成のために、THIC 3’フラグメントを含むTOPO TAプラスミドに対してPCR変異誘発を行い、配列確認後、SalIフラグメントをpBinAREGFP−termの適切な部位にクローン化した。また、THICフラグメントの配列および配向を配列決定によって確認した。
viii.RNAのインライン探索
本質的に以前に記載のようにインライン探索アッセイを行った(Sudarsanら,2003;Winklerら,2002)。cDNAからのPCR増幅によってin vitro転写のためのDNAテンプレートを得て、順方向プライマーへの含有によってT7プロモーターを導入した。in vitro転写、変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)によるRNA精製およびRNAの5’32P標識を、以前に記載のように行った(Seetharamanら,2001)。インライン探索分析のために、標識RNAを、種々の濃度のTPPの非存在下または存在下、50mM Tris−HCl(pH8.3、23℃)、20mM MgCl、および100mM KCl中にて室温で40時間インキュベートした。切断産物を変性10%PAGEによって分離し、PhosphorImager(GE Healthcare)によって視覚化し、ImageQuantソフトウェアを使用して定量した。見かけ上のK値(RNA構造を最大値の半分を調整するのに必要なTPPの濃度を反映する)を、RNA切断の正規化割合対TPP濃度の対数のプロッティングによって決定した。
「*」は、qRT−PCRにおけるプライマーとプローブとの組み合わせの効率を増加させるために導入されたヌクレオチドを識別する。順方向プライマーおよび逆方向プライマーを、それぞれ「for」および「rev」と指定する。
開示の方法および組成物が記載の特定の方法、プロトコール、および試薬に制限されず、これらは変化し得ると理解される。本明細書中で使用した専門用語が特定の実施形態の記載のみを目的とし、本発明の範囲を制限することを意図せず、本発明は添付の特許請求の範囲のみに制限されるとも理解すべきである。
本明細書中および添付の特許請求の範囲で使用する場合、他で明確に示さない限り、単数形「a」、「an」、および「the」には複数形が含まれることに留意しなければならない。したがって、例えば、「a riboswitch」は複数のかかるリボスイッチが含まれ、「the riboswitch」は1つまたは複数のリボスイッチおよび当業者に公知のその等価物などをいう。
「任意選択的な」または「任意選択的に」は、その後に記載する事象、環境、または材料が出現または存在してもしなくてもよいことを意味し、ならびに記載には、事象、環境、または材料が出現または存在する例およびそれが出現しないかまたは存在しない例が含まれることを意味する。
範囲を、本明細書中で、「約」1つの特定の値から、および/または「約」別の特定の値までと示すことができる。かかる範囲を示す場合、他で具体的に示さない限り、一方の特定の値からおよび/または他方の特定の値までの範囲も具体的に意図され、開示されると見なされる。同様に、値を先行詞「約」の使用によって近似値で示す場合、特定の値が別の具体的に意図される実施形態を形成し、他で具体的に示されない限り、開示されたと見なすべきであると理解される。他で具体的に示されない限り、各範囲の終点(endpoint)が他の終点に関して有意であり、且つ他の終点に依存しないとさらに理解される。最終的に、例示的に開示された範囲内の全ての各値および値の部分的範囲も具体的に意図され、他で具体的に示さない限り、開示されると見なすべきであると理解すべきである。特定の場合にこれらの実施形態のいくつかまたは全てが例示的に開示されるかどうかと無関係に、上記を適用する。
他で定義しない限り、本明細書中で使用した全ての技術用語および科学用語は、開示の方法および組成物が属する分野の当業者に一般的に理解される意味を有する。本明細書中に記載のものに類似するか等価な任意の方法および材料を本発明の方法および組成物の実施または試験で使用することができるにもかかわらず、特に有用な方法、デバイス、および材料は記載の通りである。本明細書中で引用した刊行物および刊行物が引用した材料は、特に本明細書中で参考として援用される。本発明は、先行発明によるかかる開示に先行する権利がないと承認していると解釈されない。いかなるリファレンスも先行技術を構成していると承認していない。リファレンスの考察はその著者の主張を記載し、出願人が引用した書類の正確性および適切性に挑む権利を留保する。多数の刊行物が本明細書で参照されているにもかかわらず、かかるリファレンスは任意のこれらの書類が当該分野の一般的知識の一部を形成することを承認しないことが明確に理解される。
本明細書の記載および特許請求の範囲を通して、用語「含む(comprise)」およびこの用語の変形形態(「含む(comprising)」および「含む(comprises)」など)は、「含むが、これらに限定されない」を意味し、例えば、他の添加物、成分、整数、または工程を排除することを意図しない。
当業者は、日常的な実験しか使用せずに、本明細書中に記載の方法および組成物の特定の実施形態に対する多数の等価物を認識するか、確認することができる。かかる等価物は、以下の特許請求の範囲に含まれることが意図される。
リファレンス

Claims (67)

  1. 調節可能な遺伝子発現構築物であって、
    コード領域に作動可能に連結されたリボスイッチを含むRNAをコードする核酸分子を含み、該リボスイッチがRNAのスプライシングを調節し、該リボスイッチおよび該コード領域が非相同であり、該スプライシングの調節が該RNAのプロセシングに影響を及ぼす、調節可能な遺伝子発現構築物。
  2. 前記リボスイッチがオルタナティブスプライシング(alternative spicing)を調節する、請求項1に記載の構築物。
  3. 前記リボスイッチがアプタマードメインおよび発現プラットフォームドメインを含み、該アプタマードメインおよび該発現プラットフォームドメインが非相同である、請求項1または2に記載の構築物。
  4. 前記RNAがイントロンをさらに含み、前記発現プラットフォームドメインがスプライスジャンクションを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の構築物。
  5. 前記スプライスジャンクションが前記イントロン中に存在する、請求項4に記載の構築物。
  6. 前記スプライスジャンクションがオルタナティブスプライスジャンクションである、請求項4または5に記載の構築物。
  7. 前記スプライスジャンクションが前記イントロンの末端に存在する、請求項4に記載の構築物。
  8. 前記スプライスジャンクションが、前記リボスイッチが活性化される場合に活性である、請求項4〜7のいずれか1項に記載の構築物。
  9. 前記スプライスジャンクションが、前記リボスイッチが活性化されない場合に活性である、請求項4〜7のいずれか1項に記載の構築物。
  10. 前記リボスイッチがトリガー分子によって活性化される、請求項1〜9のいずれか1項に記載の構築物。
  11. 前記トリガー分子がTPPである、請求項10に記載の構築物。
  12. 前記リボスイッチがTPP応答性リボスイッチである、請求項1〜11のいずれか1項に記載の構築物。
  13. 前記リボスイッチが前記イントロンのスプライシングを活性化する、請求項1〜12のいずれか1項に記載の構築物。
  14. 前記リボスイッチがオルタナティブスプライシングを活性化する、請求項1〜12のいずれか1項に記載の構築物。
  15. 前記リボスイッチが前記イントロンのスプライシングを抑制する、請求項1〜12のいずれか1項に記載の構築物。
  16. 前記リボスイッチがオルタナティブスプライシングを抑制する、請求項1〜12のいずれか1項に記載の構築物。
  17. 前記RNAが分岐構造を有する、請求項1〜16のいずれか1項に記載の構築物。
  18. 前記RNAがpre−mRNAである、請求項1〜17のいずれか1項に記載の構築物。
  19. 前記リボスイッチが前記RNAの3’非翻訳領域中に存在する、請求項1〜18のいずれか1項に記載の構築物。
  20. 前記イントロンが前記RNAの3’非翻訳領域中に存在する、請求項4〜19のいずれか1項に記載の構築物。
  21. RNAプロセシング部位が前記イントロン中に存在する、請求項4〜20のいずれか1項に記載の構築物。
  22. 前記イントロンのスプライシングによって前記RNAから該RNAプロセシング部位が除去され、それにより、該RNAのプロセシングに影響を及ぼす、請求項21に記載の構築物。
  23. 前記RNAのプロセシングに及ぼす前記影響が、該RNAプロセシング部位によって媒介される該RNAのプロセシングの排除を含む、請求項22に記載の構築物。
  24. 前記RNAのプロセシングに及ぼす前記影響が、転写終結の変化を含む、請求項22または23に記載の構築物。
  25. 前記RNAのプロセシングに及ぼす前記影響が、該RNA分解の増加を含む、請求項22〜24のいずれか1項に記載の構築物。
  26. 前記RNAのプロセシングに及ぼす前記影響が、該RNAターンオーバーの増加を含む、請求項22〜24のいずれか1項に記載の構築物。
  27. 前記リボスイッチが前記イントロンの3’スプライスジャンクションと重複する、請求項4〜26のいずれか1項に記載の構築物。
  28. 前記イントロンのスプライシングにより、前記リボスイッチが活性化される能力が低減または排除される、請求項27に記載の構築物。
  29. スプライシング調節を有する前記アプタマードメイン領域がP4ステムおよびP5ステム中に存在する、請求項3〜28のいずれか1項に記載の構築物。
  30. スプライシング調節を有する前記アプタマードメイン領域がループ5中にも存在する、請求項29に記載の構築物。
  31. スプライシング調節を有する前記アプタマードメイン領域がステムP2中にも存在する、請求項29または30に記載の構築物。
  32. スプライス部位が前記アプタマードメインの5’末端に対して−130と−160との間の位置に存在する、請求項3〜31のいずれか1項に記載の構築物。
  33. 前記RNAが第2のイントロンをさらに含み、該第2のイントロンの3’スプライス部位が前記アプタマードメインの5’末端に対して−220と−270との間の位置に存在する、請求項3〜31のいずれか1項に記載の構築物。
  34. 前記スプライスジャンクションが5’スプライスジャンクションである、請求項3〜31のいずれか1項に記載の構築物。
  35. RNAのプロセシングに影響を及ぼす方法であって、該RNAにリボスイッチを含む構築物を導入する工程であって、該リボスイッチがRNAのスプライシングを調節することができ、該RNAがイントロンを含み、該スプライシングの調節が該RNAのプロセシングに影響を及ぼす、導入工程を含む方法。
  36. 前記リボスイッチがアプタマードメインおよび発現プラットフォームドメインを含み、該アプタマードメインおよび該発現プラットフォームドメインが非相同である、請求項35に記載の方法。
  37. 前記発現プラットフォームドメインがスプライスジャンクションを含む、請求項36に記載の方法。
  38. 前記スプライスジャンクションが前記イントロン中に存在する、請求項35〜37のいずれか1項に記載の方法。
  39. 前記スプライスジャンクションがオルタナティブスプライスジャンクションである、請求項37または38に記載の方法。
  40. 前記スプライスジャンクションが前記イントロンの末端に存在する、請求項37に記載の方法。
  41. 前記スプライスジャンクションが、前記リボスイッチが活性化される場合に活性である、請求項37〜40のいずれか1項に記載の方法。
  42. 前記スプライスジャンクションが、前記リボスイッチが活性化されない場合に活性である、請求項37〜40のいずれか1項に記載の方法。
  43. 前記リボスイッチがトリガー分子によって活性化される、請求項35〜42のいずれか1項に記載の方法。
  44. 前記トリガー分子がTPPである、請求項43に記載の方法。
  45. 前記リボスイッチがTPP応答性リボスイッチである、請求項35〜44のいずれか1項に記載の方法。
  46. 前記リボスイッチがスプライシングを活性化する、請求項35〜45のいずれか1項に記載の方法。
  47. 前記リボスイッチがオルタナティブスプライシングを活性化する、請求項35〜45のいずれか1項に記載の方法。
  48. 前記リボスイッチがスプライシングを抑制する、請求項35〜45のいずれか1項に記載の方法。
  49. 前記リボスイッチがオルタナティブスプライシングを抑制する、請求項35〜45のいずれか1項に記載の方法。
  50. 前記スプライシングが天然に起こらない、請求項35〜49のいずれか1項に記載の方法。
  51. スプライシング調節を有する前記アプタマードメイン領域がループ5中に存在する、請求項36〜50のいずれか1項に記載の方法。
  52. 前記構築物が前記イントロンをさらに含む、請求項35〜51のいずれか1項に記載の方法。
  53. 前記リボスイッチが前記RNAの3’非翻訳領域中に存在する、請求項35〜52のいずれか1項に記載の方法。
  54. 前記イントロンが前記RNAの3’非翻訳領域中に存在する、請求項35〜53のいずれか1項に記載の方法。
  55. RNAプロセシング部位が前記イントロン中に存在する、請求項35〜54のいずれか1項に記載の方法。
  56. 前記イントロンのスプライシングによって前記RNAから該RNAプロセシング部位が除去され、それにより、該RNAのプロセシングに影響を及ぼす、請求項55に記載の方法。
  57. 前記RNAのプロセシングに及ぼす前記影響が、該RNAプロセシング部位によって媒介される該RNAのプロセシングの排除を含む、請求項56に記載の方法。
  58. 前記RNAのプロセシングに及ぼす前記影響が、転写終結の変化を含む、請求項56または57に記載の方法。
  59. 前記RNAのプロセシングに及ぼす前記影響が該RNA分解の増加を含む、請求項56〜58のいずれか1項に記載の方法。
  60. 前記RNAのプロセシングに及ぼす前記影響が該RNAターンオーバーの増加を含む、請求項56〜58のいずれか1項に記載の方法。
  61. 前記リボスイッチが前記イントロンの3’スプライスジャンクションと重複する、請求項37〜60のいずれか1項に記載の方法。
  62. 前記イントロンのスプライシングにより、前記リボスイッチが活性化される能力が低減または排除される、請求項61に記載の方法。
  63. スプライシング調節を有する前記アプタマードメイン領域がステムP2中に存在する、請求項36〜62のいずれか1項に記載の方法。
  64. 前記スプライス部位が前記アプタマードメインの5’末端に対して−130と−160との間の位置に存在する、請求項36〜63のいずれか1項に記載の方法。
  65. 前記RNAが第2のイントロンをさらに含み、該第2のイントロンの3’スプライス部位が前記アプタマードメインの5’末端に対して−220と−270との間の位置に存在する、請求項36〜63のいずれか1項に記載の方法。
  66. 前記スプライス部位が5’スプライス部位である、請求項36〜63のいずれか1項に記載の方法。
  67. 前記リボスイッチのトリガー分子と接触し、それにより、前記RNAのプロセシングに影響を及ぼす工程をさらに含む、請求項35〜66のいずれか1項に記載の方法。
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