JP2010521966A - α4β7インテグリンに結合するヒト化免疫グロブリンをコードする核酸 - Google Patents
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Abstract
本発明は、α4β7インテグリンに結合特異性を有し、マウスAct-1抗体の相補性決定領域(CDR)を含むヒト化免疫グロブリンをコードする単離核酸に関する。本発明はさらに、ヒト化重鎖をコードする単離核酸およびヒト化軽鎖をコードする単離核酸に関する。本発明はまた、ヒト化免疫グロブリン、ヒト化免疫グロブリン重鎖またはヒト化免疫グロブリン軽鎖をコードする核酸を含む組換えベクターおよび宿主細胞、ならびにヒト化免疫グロブリンの調製方法に関する。
Description
(関連出願)
本出願は、2007年3月20日に出願された米国仮特許出願第60/918,944号の恩恵を主張する。前記出願の全教示は参照により本明細書中に援用される。
本出願は、2007年3月20日に出願された米国仮特許出願第60/918,944号の恩恵を主張する。前記出願の全教示は参照により本明細書中に援用される。
(発明の背景)
インテグリンレセプターは、リンパ球の再循環および炎症部位への集合の両方を制御するために重要である(Carlos, T. M. およびHarlan, J. M., Blood, 84:2068-2101 (1994))。ヒトα4β7インテグリンはいくつかのリガンドを有し、そのうち1つは粘膜血管アドレシン(addressin)MAdCAM-1であり(Berlin, C., et al., Cell 74: 185-195 (1993);Erle, D.J., et al., J. Immunol. 153517-528 (1994))、腸間リンパ節およびパイエル板の高内皮小静脈に発現している(Streeter, P. R., et al., Nature 331: 41-46 (1998))。α4β7インテグリンはリンパ球の腸間粘膜リンパ組織への移動を仲介するホーミングレセプターとして作用する(Schweighoffer, T., et al., J. Immunol. 151:717-729 (1993))。また、α4β7インテグリンはフィブロネクチンおよび血管細胞接着分子-1(VCAM-1)と相互作用する。
インテグリンレセプターは、リンパ球の再循環および炎症部位への集合の両方を制御するために重要である(Carlos, T. M. およびHarlan, J. M., Blood, 84:2068-2101 (1994))。ヒトα4β7インテグリンはいくつかのリガンドを有し、そのうち1つは粘膜血管アドレシン(addressin)MAdCAM-1であり(Berlin, C., et al., Cell 74: 185-195 (1993);Erle, D.J., et al., J. Immunol. 153517-528 (1994))、腸間リンパ節およびパイエル板の高内皮小静脈に発現している(Streeter, P. R., et al., Nature 331: 41-46 (1998))。α4β7インテグリンはリンパ球の腸間粘膜リンパ組織への移動を仲介するホーミングレセプターとして作用する(Schweighoffer, T., et al., J. Immunol. 151:717-729 (1993))。また、α4β7インテグリンはフィブロネクチンおよび血管細胞接着分子-1(VCAM-1)と相互作用する。
潰瘍性大腸炎およびクローン病などの炎症性腸疾患(IBD)は、例えば胃腸管の炎症を含む衰弱性かつ進行性の疾患であり得る。IBD治療としては、抗炎症薬(コルチコステロイドおよびスルファサラジンなど)、免疫抑制薬(6-メルカプトプリン、シクロスポリンおよびアザチオプリンなど)および外科的手術(結腸切除など)が挙げられる。Podolsky, New Engl. J. Med., 325928-937 (1991)およびPodolsky, New Engl. J. Med, 325: 1008-1016 (1991)。
マウスモノクローナル抗体Act-1(mAb Act-1)などのヒトα4β7インテグリンに対する抗体は、α4β7インテグリンが粘膜リンパ節の高内皮小静脈上に存在する粘膜アドレシン細胞接着分子-1(MAdCAM-1)に結合することを妨害する。Act-1は、Lazarovits, A. I., et al., J. Immunol. 133: 1857-1862 (1984)により最初に単離された。ヒト化Act-1抗体は、et al., J. Immunol. 133: 1857-1862 (1984)である。炎症性腸疾患などの疾患を治療するためにヒトに投与することができるヒト化Act-1抗体が調製されている。(例えば、米国特許第7,147,851号および米国特許出願第11/599,151号参照)。ヒト化抗体は、一般的に哺乳動物宿主細胞中での重鎖および軽鎖をコードする組換え構築物の発現により産生される。この産生方法は、正確に集合し折りたたまれた抗体を生じるという利点を有する。しかし、哺乳動物系における発現収量はたびたび低く、充分な量の抗体を回収するために大量の培養を行う必要があるので、抗体産生のコストが高くなる。従って、ヒト化抗体を作製するための改良された構築物および方法が必要である。
(発明の概要)
本発明は、ヒト化抗体MLN02、ヒト化抗体MLN02のヒト化重鎖および/またはヒト化抗体MLN02のヒト化軽鎖をコードする単離核酸に関する。いくつかの態様において、本発明はヒト化抗体MLN02をコードする単離核酸である。該単離核酸は、ヒト化軽鎖をコードし、配列番号:9のヌクレオチド58〜714を含む第1のヌクレオチド配列、ただし、第1のヌクレオチド配列は配列番号:11のアミノ酸20〜238をコードするものとする、およびヒト化重鎖をコードし、配列番号:10のヌクレオチド58〜1410を含む第2のヌクレオチド配列、ただし、第2のヌクレオチド配列は配列番号:12のアミノ酸20〜470をコードするものとする、を含み得る。いくつかの態様において、第1のヌクレオチド配列は配列番号:1のヌクレオチド77〜1429または配列番号:3のヌクレオチド76〜1428を含み、および/または第2のヌクレオチド配列は配列番号:2のヌクレオチド79〜735または配列番号:4のヌクレオチド78〜734を含む。
本発明は、ヒト化抗体MLN02、ヒト化抗体MLN02のヒト化重鎖および/またはヒト化抗体MLN02のヒト化軽鎖をコードする単離核酸に関する。いくつかの態様において、本発明はヒト化抗体MLN02をコードする単離核酸である。該単離核酸は、ヒト化軽鎖をコードし、配列番号:9のヌクレオチド58〜714を含む第1のヌクレオチド配列、ただし、第1のヌクレオチド配列は配列番号:11のアミノ酸20〜238をコードするものとする、およびヒト化重鎖をコードし、配列番号:10のヌクレオチド58〜1410を含む第2のヌクレオチド配列、ただし、第2のヌクレオチド配列は配列番号:12のアミノ酸20〜470をコードするものとする、を含み得る。いくつかの態様において、第1のヌクレオチド配列は配列番号:1のヌクレオチド77〜1429または配列番号:3のヌクレオチド76〜1428を含み、および/または第2のヌクレオチド配列は配列番号:2のヌクレオチド79〜735または配列番号:4のヌクレオチド78〜734を含む。
本発明はまた、ヒト化抗体MLN02のヒト化軽鎖をコードする単離核酸に関する。該単離核酸は、配列番号:9のヌクレオチド58〜714を含み得るが、該ヌクレオチドは配列番号:11のアミノ酸20〜238をコードするものとする。一態様において、該単離核酸は、配列番号:2のヌクレオチド79〜735または配列番号:4のヌクレオチド78〜734を含む。好ましくは、該単離核酸は配列番号:2のヌクレオチド79〜735を含む。
本発明はまた、ヒト化抗体MLN02のヒト化免疫グロブリン重鎖をコードする単離核酸に関する。該単離核酸は、配列番号:10のヌクレオチド58〜1410を含み得るが、該ヌクレオチドは配列番号:12のアミノ酸20〜470をコードするものとする。一態様において、該単離核酸は配列番号:1のヌクレオチド77〜1429または配列番号:3のヌクレオチド76〜1428を含む。好ましくは、該単離核酸は配列番号:1のヌクレオチド77〜1429を含む。
本発明はまた、ヒト化抗体MLN02(ヒト化軽鎖およびヒト化重鎖)、ヒト化抗体MLN02のヒト化重鎖またはヒト化抗体MLN02のヒト化軽鎖をコードする核酸を含む組換えベクター(例えば、発現ベクター、哺乳動物細胞発現ベクター)に関する。いくつかの態様において、該組換えベクターは、ヒト化軽鎖をコードし、配列番号:9のヌクレオチド58〜714を含む第1のヌクレオチド配列、ただし、第1のヌクレオチド配列は配列番号:11のアミノ酸20〜238をコードするものとする、およびヒト化重鎖をコードし、配列番号:10のヌクレオチド58〜1410を含む第2のヌクレオチド配列、ただし、第2のヌクレオチド配列は配列番号:12のアミノ酸20〜470をコードするものとする、を含む。他の態様において、該組換えベクターは、ヒト化抗体MLN02のヒト化免疫グロブリン軽鎖をコードし、配列番号:9のヌクレオチド58〜714を含む単離核酸を含む、ただし、該ヌクレオチドは配列番号:11のアミノ酸20〜238をコードするものとする。さらなる態様において、該組換えベクターは、ヒト化抗体MLN02のヒト化免疫グロブリン重鎖をコードし、配列番号:10のヌクレオチド58〜1410を含む単離核酸を含む、ただし、該ヌクレオチドは配列番号:12のアミノ酸20〜470をコードするものとする。
いくつかの態様において、本発明は、ヒト化抗体MLN02のヒト化免疫グロブリン重鎖をコードし、配列番号:1のヌクレオチド77〜1429または配列番号:3のヌクレオチド76〜1428を含む単離核酸を含む組換えベクターである。
いくつかの態様において、本発明は、ヒト化抗体MLN02のヒト化免疫グロブリン軽鎖をコードし、配列番号:2のヌクレオチド79〜735または配列番号:4のヌクレオチド78〜734を含む単離核酸を含む組換えベクターである。
いくつかの態様において、本発明は、ヒト化抗体MLN02をコードする組換えベクターであって、該組換えベクターはヒト化免疫グロブリン重鎖をコードする第1の核酸およびヒト化免疫グロブリン軽鎖をコードする第2の核酸を含み、第1の核酸は配列番号:1のヌクレオチド77〜1429を含み、第2の核酸は配列番号:2のヌクレオチド79〜735を含む。
いくつかの態様において、本発明は、ヒト化抗体MLN02をコードする組換えベクターであり、該組換えベクターはヒト化免疫グロブリン重鎖をコードする第1の核酸およびヒト化免疫グロブリン軽鎖をコードする第2の核酸を含み、第1の核酸は配列番号:3のヌクレオチド76〜1428を含み、第2の核酸は配列番号:4のヌクレオチド78〜734を含む。
本発明はまた、ヒト化抗体MLN02(ヒト化軽鎖およびヒト化重鎖)、ヒト化抗体MLN02のヒト化重鎖、またはヒト化抗体MLN02のヒト化軽鎖をコードする単離核酸を含む単離宿主細胞に関する。例えば、いくつかの態様において、単離宿主細胞は本発明の組換えベクター(例えば、発現ベクター、哺乳動物発現ベクター)を含む。
いくつかの態様において、単離宿主細胞は、ヒト化抗体MLN02をコードする単離核酸を含み、該核酸は、配列番号:9のヌクレオチド58〜714を含む第1のヌクレオチド配列、ただし、第1のヌクレオチド配列は配列番号:11のアミノ酸20〜238をコードするものとする、および配列番号:10のヌクレオチド58〜1410を含む第2のヌクレオチド配列、ただし、第2のヌクレオチド配列は配列番号:12のアミノ酸20〜470をコードするものとする、を含む。
いくつかの態様において、単離宿主細胞は、ヒト化抗体MLN02をコードする組換えベクターを含む。該組換えベクターは、配列番号:9のヌクレオチド58〜714を含む第1のヌクレオチド配列、ただし、第1のヌクレオチド配列は配列番号:11のアミノ酸20〜238をコードするものとする、および配列番号:10のヌクレオチド58〜1410を含む第2のヌクレオチド配列、ただし、第2のヌクレオチド配列は配列番号:12のアミノ酸20〜470をコードするものとする、を含む。
いくつかの態様において、単離宿主細胞はヒト化抗体MLN02のヒト化軽鎖をコードする単離核酸を含み、該単離核酸は、配列番号:9のヌクレオチド58〜714、ただし、該ヌクレオチドは配列番号:11のアミノ酸20〜238をコードするものとする、を含む。
いくつかの態様において、単離宿主細胞は、ヒト化抗体MLN02のヒト化軽鎖をコードする単離核酸を含む組換えベクターを含み、該単離核酸は、配列番号:9のヌクレオチド58〜714、ただし、該ヌクレオチドは配列番号:11のアミノ酸20〜238をコードするものとする、を含む。
いくつかの態様において、単離宿主細胞は、ヒト化抗体MLN02のヒト化免疫グロブリン重鎖をコードする単離核酸を含み、該単離核酸は、配列番号:10のヌクレオチド58〜1410、ただし、該ヌクレオチドは配列番号:12のアミノ酸20〜470をコードするものとする、を含む。
いくつかの態様において、単離宿主細胞は、ヒト化抗体MLN02のヒト化免疫グロブリン重鎖をコードする単離核酸を含む組換えベクターを含み、該単離核酸は、配列番号:10のヌクレオチド58〜1410、ただし、該ヌクレオチドは配列番号:12のアミノ酸20〜470をコードするものとする、を含む。
本発明はまた、本発明の宿主細胞(例えば、ヒト化抗体MLN02をコードする1つ以上の単離核酸を含む宿主細胞をヒト化抗体MLN02の発現に適した条件下で維持し、それによりヒト化抗体MLN02の鎖が発現され、ヒト化MLN02が産生される工程を含む、ヒト化抗体MLN02の作製方法に関する。
本発明はまた、本発明の単離核酸(例えば、ヒト化抗体MLN02をコードする単離核酸(例えば、MLN02のヒト化軽鎖およびヒト化重鎖)を提供して発現させ、それによりヒト化抗体MLN02の鎖が発現され、ヒト化抗体MLN02が産生される工程を含む、ヒト化抗体MLN02の作製方法に関する。
本発明はまた、本発明の組換えベクターを提供して組換えベクターを発現させ、それによりヒト化抗体MLN02の鎖が発現され、ヒト化抗体MLN02が産生される工程を含む、ヒト化抗体MLN02の作製方法に関する。
本発明はまた、MLN02の軽鎖または重鎖の作製方法に関する。例えば、MLN02の軽鎖または重鎖は、本明細書に記載されるように単離核酸を発現させることにより(例えば、宿主細胞を適当な条件下で維持することにより)産生することができる。
(発明の詳細な説明)
本明細書で使用する場合、用語「免疫グロブリン」は、抗体全体およびその抗原結合断片のことをいう。抗体の抗原結合断片としては、例えば単鎖抗体、Fv断片、Fab断片、Fab'断片およびF(ab')2断片が挙げられる。このような断片は、酵素切断または組換え技術により産生することができる。例えば、パパインまたはペプシン切断を使用して、FabまたはF(ab')2断片のそれぞれを生成することができる。天然の終止部位の上流に1つ以上の終止コドンを導入した抗体遺伝子を使用して、抗体を種々の切断形態で産生することもできる。例えば、F(ab')2断片の重鎖をコードする組換え構築物は、重鎖のCH1ドメインおよびヒンジ領域をコードするDNA配列を含むように設計することができる。好ましい抗原結合断片は、α4β7が1つ以上のそのリガンド(例えば、粘膜アドレシンMAdCAM-1、フィブロネクチン)に結合することを阻害する。
本明細書で使用する場合、用語「免疫グロブリン」は、抗体全体およびその抗原結合断片のことをいう。抗体の抗原結合断片としては、例えば単鎖抗体、Fv断片、Fab断片、Fab'断片およびF(ab')2断片が挙げられる。このような断片は、酵素切断または組換え技術により産生することができる。例えば、パパインまたはペプシン切断を使用して、FabまたはF(ab')2断片のそれぞれを生成することができる。天然の終止部位の上流に1つ以上の終止コドンを導入した抗体遺伝子を使用して、抗体を種々の切断形態で産生することもできる。例えば、F(ab')2断片の重鎖をコードする組換え構築物は、重鎖のCH1ドメインおよびヒンジ領域をコードするDNA配列を含むように設計することができる。好ましい抗原結合断片は、α4β7が1つ以上のそのリガンド(例えば、粘膜アドレシンMAdCAM-1、フィブロネクチン)に結合することを阻害する。
本明細書で使用する場合、用語「ヒト化免疫グロブリン」は、マウスAct-1抗体の重鎖CDR(CDR1、CDR2およびCDR3)および軽鎖CDR(CDR1、CDR2およびCDR3)、ならびにヒト起源の軽鎖および/または重鎖由来のフレームワーク領域および定常領域(例えば、フレームワーク変化を有するかまたは有さないCDR移植抗体)を含む1つ以上のヒト化免疫グロブリン鎖を含む免疫グロブリンのことをいう。CDR移植単鎖抗体も用語ヒト化免疫グロブリンに包含される。例えば、Cabilly et al., 米国特許第4,816,567号;Cabilly et al., 欧州特許第0,125,023 B1号;Boss et al., 米国特許第4,816,397号;Boss et al., 欧州特許第0,120,694 B1号;Neuberger, M.S. et al., WO 86/01533;Neuberger, M.S. et al., 欧州特許第0,194,276 B1号;Winter, 米国特許第5,225,539号;Winter, 欧州特許第0,239,400 B1号;Padlan, E. A. et al., 欧州特許出願第0,519,596 A1号を参照のこと。また、単鎖抗体に関してはLadner et al., 米国特許第4,946,778号;Huston, 米国特許第5,476,786号;およびBird, R.E. et al., Science, 242: 423-426 (1998))を参照のこと。
マウスAct-1モノクローナル抗体を産生するマウスACT-1ハイブリドーマ細胞株は、Millennium Pharmaceuticals, Inc., 75 Sidney Street, Cambridge, Mass. 02139, U.S.A.を代表して、2001年8月22日にブダペスト条約の規定の下でAmerican Type Culture Collection, 10801 University Boulevard, Manassas, Va. 20110-2209, U.S.A.に受託番号PTA-3663で寄託された。
MLN02は、α4β7インテグリンに結合するヒト化Act-1免疫グロブリンである(米国特許出願第11/599,151号参照、その全教示は参照によって本明細書中に援用される)。MLN02は、ヒト化重鎖(配列番号:12)およびヒト化軽鎖(配列番号:11)を含む。MLN02の未熟ヒト化重鎖(配列番号:12のアミノ酸1〜470)はシグナルペプチド(配列番号:12のアミノ酸1〜19)を含み、成熟重鎖は配列番号:12のアミノ酸20〜470からなる。MLN02の未熟ヒト化軽鎖(配列番号:11のアミノ酸1〜238)はシグナルペプチド(配列番号:11のアミノ酸1〜19)を含み、成熟軽鎖は配列番号:11のアミノ酸20〜238からなる。
本明細書に記載されるように、α4β7インテグリンに結合特異性を有するヒト化Act-1免疫グロブリンのヒト化軽鎖およびヒト化重鎖をコードする単離核酸を産生した。本発明の単離核酸は、ヒト化抗体MLN02の軽鎖(配列番号:11のアミノ酸20〜238;配列番号:11)および/または重鎖(配列番号:12のアミノ酸20〜470;配列番号:12)をコードする。(米国特許出願第11/599,151号参照)。本明細書に記載されるように、本発明の単離核酸は、US 7,147,851およびUS出願第11/599,151(それぞれ参照により本明細書に援用される)に開示されるものとは異なり、コードされる抗体または抗体鎖の発現または産生に利点をもたらすヌクレオチド配列を含む。
本発明の単離核酸は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞中での改良された発現のためにコドンバイアスを含み、例えばトランスフェクトされた細胞株またはmRNAの不安定性をもたらし得る配列エレメント(例えば、AREモチーフ、INSモチーフ、CRSモチーフ、潜在的スプライスドナーサイト、分岐点、内部TATAボックス、χ部位(chi-sites)、リボソーム進入部位、ATリッチ鎖(AT-rich stretches)、GCリッチ鎖、繰り返し配列およびRNA二次構造モチーフ、特定の制限サイト(cite)(例えば、BlpI、BsiWI、EcoRI、NotI、PvuK、XbzI))の範囲(incidence)を減少させ、発明者が望む量のCpGジヌクレオチドを提供するように設計された。タンパク質をコードする構築物中にCpGジヌクレオチドが存在することで転写されたmRNAの半減期が延長され得るが、CpGジヌクレオチドはまたDNAのメチル化部位をもたらし、メチル化によりDNAの転写が阻害または抑制され得る。従って、核酸中にメチル化部位を含むことで核酸を発現する宿主細胞の不安定化が生じ、核酸の発現の減少(例えば、細胞の継代による減少した発現)が生じる。
本発明の単離核酸は、CHO細胞などの哺乳動物細胞中でのMLN02の改良された発現および産生を提供し得、安定してMLN02を産生する宿主細胞を産生するために使用することができる。従って、本発明の核酸を使用して、MLN02を産生するコストを低減することができる(例えば、より少量の培養を使用でき、MLN02をより高収率で産生することができ、より短い培養時間を使用することができ、および/または該核酸を使用してより均一なタンパク質を産生することができ、それにより以降の過程を容易にすることができる)。安定してMLN02を産生する宿主細胞は、新しい産生方法(例えば、新しい宿主細胞)を確立する必要があるおよび規制された認可を取得する必要があるという可能性を減少させるなどのさらなる利点を提供する。
本発明の単離核酸は、ヒト化抗体MLN02のヒト化免疫グロブリン軽鎖、ヒト化抗体MLN02のヒト化免疫グロブリン重鎖、および/またはヒト化抗体MLN02のヒト化免疫グロブリン軽鎖およびヒト化抗体MLN02のヒト化免疫グロブリン重鎖をコードする。本発明の単離核酸は、シグナルペプチドを含む未熟ヒト化免疫グロブリン鎖(例えば、配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3、配列番号:4、配列番号:9、配列番号:10)をコードし得るか、またはシグナルペプチドを含まない成熟ヒト化免疫グロブリン鎖(例えば、配列番号:1のヌクレオチド77〜1429、配列番号:3の76〜1428、配列番号:2の79〜735、配列番号:4の78〜734、配列番号:9の58〜714、配列番号:10の58〜1410)をコードし得る。
核酸および組換えベクター
本発明はまた、MLN02、MLN02のヒト化免疫グロブリン重鎖もしくはヒト化免疫グロブリン軽鎖をコードする配列を含む単離されたおよび/または組換え核酸(例えば本質的に純粋なものを含む)に関する。
本発明はまた、MLN02、MLN02のヒト化免疫グロブリン重鎖もしくはヒト化免疫グロブリン軽鎖をコードする配列を含む単離されたおよび/または組換え核酸(例えば本質的に純粋なものを含む)に関する。
本明細書において「単離された」と称される核酸は、その供給源のゲノムDNAまたは細胞RNAN(例えば、細胞内に存在したまま、もしくはライブラリーなどの核酸の混合物中)の核酸から分離された核酸であり、本質的に純粋な核酸、化学合成、生物学的方法および化学的方法の組合せにより産生された核酸、ならびに単離された組換え核酸を含む、本明細書に記載される方法または他の適切な方法により得られる核酸を含む(例えば、Daugherty, B.L. et al., Nucleic Acids Res., 19(9): 2471 2476 (1991);Lewis, A.P. およびJ.S. Crowe, Gene, 101: 297-302 (1991)参照)。単離核酸は、プラスミドまたはウイルスベクターなどの適切なベクター中で単離することができる。
本明細書において「組換え」と称される核酸は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)および/または制限酵素を使用したベクターへのクローニングなどの人為的な組換え法に基づいた手法により生成される核酸を含む、組換えDNA法により産生された核酸である。「組換え」核酸は、細胞の天然の機構を通じて起こる組換え事象により生じるものもあるが、望ましい組換え事象を許容し、起こり得るように設計された核酸の細胞への導入後に選択される。
本発明は、より具体的には、MLN02、MLN02の軽鎖および/またはMLN02の重鎖をコードするヌクレオチド配列を含む、単離されたおよび/または組換え核酸に関する。
本発明の核酸は、MLN02、MLN02の軽鎖および/またはMLN02の重鎖の産生に使用することができる。例えば、MLN02の重鎖および/またはMLN02の軽鎖をコードする核酸(例えば、DNA)は、配列のさらなる操作または適切な宿主細胞中でのコードされたポリペプチドの産生のために、適切な構築物(例えば、組換えベクター)中に組み込まれる。該核酸は、少なくとも約0.5g/L、少なくとも約1.0g/L、少なくとも約1.5g/L、少なくとも約1.75g/L、少なくとも約2.0g/L、少なくとも約2.5g/L、少なくとも約2.75g/L、少なくとも約3.0g/L、少なくとも約4.0g/L、少なくとも約4.5g/L、または少なくとも約5.0g/Lの量のヒト化抗体MLN02を産生するために使用することができる。例えば、特定の態様において、本発明の核酸を適切な宿主細胞(例えば、CHO)中で発現させて、培養液1リットル当たり少なくとも約0.5gのMLN02を産生することができる。
MLN02、またはMLN02の重鎖もしくは軽鎖の発現に適した構築物またはベクター(例えば、発現ベクター(例えば、pIRES, Clontech))も提供される。単一コピーまたは複数コピーに維持されるベクター、または宿主細胞染色体に組み込まれるベクターなどの種々のベクターが利用可能である。該構築物またはベクターを適切な宿主細胞に導入し得、MLN02、またはMLN02の重鎖もしくは軽鎖を発現する細胞を産生させ、培養状態で維持することが可能である。
適切な発現ベクター、例えば哺乳動物細胞発現ベクターはまた、限定されることなく以下:複製起点、選択可能マーカー遺伝子、発現制御エレメント(例えば、プロモーター、エンハンサー、ターミネーター)および/または1つ以上の翻訳シグナルなどの1つ以上の発現調節因子、膜の標的化もしくは分泌のためのシグナル配列またはリーダー配列の1つ以上を含む多くの成分を含み得る。構築物またはベクターにおいて、シグナルペプチド配列は構築物もしくはベクターまたは他の供給源により提供され得る。例えば、免疫グロブリンの転写および/または翻訳シグナルを使用して発現を指令することができる。
適切な宿主細胞中での発現のためにプロモーターを提供し得る。プロモーターは構成的または誘導性であり得る。例えば、プロモーターが、コードされるポリペプチドの発現を誘導するように、ヒト化免疫グロブリンまたは免疫グロブリン鎖をコードする核酸にプロモーターを操作可能に連結し得る。種々の原核生物宿主に適したプロモーター(例えば、大腸菌についてlac、tac、T3、T7プロモーター)および真核生物宿主に適したプロモーター(例えば、酵母アルコールデヒドロゲナーゼ(ADH1)、SV40、CMV)が利用可能である。
また、ベクター(例えば、発現ベクター)は、典型的にベクターを有する宿主細胞の選択のための選択可能なマーカー、および複製可能なベクターの場合は複製起点を含む。抗生物質または薬物耐性を付与する産物をコードする遺伝子は一般的な選択可能なマーカーであり、原核生物細胞(例えば、β-ラクタマーゼ遺伝子(アンピシリン耐性)、テトラサイクリン耐性に対するTet遺伝子)および真核生物細胞(例えば、ネオマイシン(G418もしくはゲネチシン)、gpt(ミコフェノール酸)、アンピシリン、またはハイグロマイシン耐性遺伝子)において使用され得る。ジヒドロ葉酸還元酵素マーカー遺伝子により、種々の宿主においてメトトレキサートでの選択が可能になる。宿主の栄養素要求性マーカー(例えば、LEU2、URA3、HIS3)の遺伝子産物をコードする遺伝子が、選択可能なマーカーとして酵母においてしばしば使用される。ウイルス(例えば、バキュロウイルス)またはファージベクター、およびレトロウイルスベクターなどの宿主細胞のゲノム内に組み込まれ得るベクターの使用もまた構想される。
一局面において、本発明は、ヒト化抗体MLN02をコードする単離核酸に関する。単離核酸は、MLN02のヒト化軽鎖(例えば、配列番号:11のアミノ酸20〜238)をコードし、配列番号:9のヌクレオチド58〜714を含む第1のヌクレオチド配列;およびMLN02の重鎖(例えば、配列番号:12のアミノ酸20〜470)をコードし、配列番号:10のヌクレオチド58〜1410を含む第2のヌクレオチド配列を含む。例えば、いくつかの態様において、第1のヌクレオチド配列は、配列番号:1のヌクレオチド77〜1429もしくは配列番号:3のヌクレオチド76〜1428を含む、および/または第2のヌクレオチド配列は、配列番号:2のヌクレオチド79〜735もしくは配列番号:4のヌクレオチド78〜734を含む。特別な態様において、第1のヌクレオチド配列は配列番号:9のヌクレオチド58〜714を含むが、配列番号:11のアミノ酸20〜238は前記ヌクレオチド配列にコードされるものとする;第2のヌクレオチド配列は配列番号:10のヌクレオチド58〜1410を含むが、配列番号:12のアミノ酸20〜470は前記ヌクレオチド配列にコードされるものとする。
別の態様において、単離核酸は、配列番号:1のヌクレオチド77〜1429または配列番号:3のヌクレオチド76〜1428にコードされる成熟ヒト化重鎖;および配列番号:2のヌクレオチド79〜735または配列番号:4のヌクレオチド78〜734にコードされる成熟軽鎖をコードする。所望により、単離核酸は、未熟ヒト化重鎖をコードし得、配列番号:1もしくは配列番号:3を含む、および/または未熟ヒト化軽鎖をコードし得、配列番号:2もしくは配列番号:4を含む。
さらなる態様において、本発明は、MLN02のヒト化免疫グロブリン軽鎖(例えば、配列番号:11のアミノ酸20〜238)をコードし、配列番号:9のヌクレオチド58〜714を含む単離核酸に関する。特別な態様において、単離核酸は配列番号:9のヌクレオチド58〜714を含むが、配列番号:11のアミノ酸20〜238は前記ヌクレオチド配列にコードされるものとする。例えば、特別な態様において、単離核酸は配列番号:2のヌクレオチド79〜735または配列番号:4のヌクレオチド78〜734を含む。好ましくは、単離核酸は配列番号:2のヌクレオチド79〜735を含む。所望により、単離核酸は、さらにシグナル配列をコードし得る。例えば、単離核酸は配列番号:2または配列番号:4を含み得る。
さらなる態様において、本発明は、MLN02のヒト化免疫グロブリン重鎖(例えば、配列番号:12のアミノ酸20〜470)をコードし、配列番号:10のヌクレオチド58〜1410を含む単離核酸に関する。特別な態様において、単離核酸は配列番号:10のヌクレオチド58〜1410を含むが、配列番号:12のアミノ酸20〜470は前記ヌクレオチド配列にコードされるものとする。例えば、特別な態様において、単離核酸は、配列番号:1のヌクレオチド77〜1429または配列番号:3のヌクレオチド76〜1428を含む。好ましくは、単離核酸は、配列番号:1のヌクレオチド77〜1429を含む。所望により、単離核酸は、さらにシグナル配列をコードし得る。例えば、単離核酸は配列番号:1または配列番号:3を含み得る。
本発明はまた、ヒト化抗体MLN02(ヒト化軽鎖およびヒト化重鎖)、MLN02のヒト化重鎖またはMLN02のヒト化軽鎖をコードする核酸を含む組換えベクター(例えば、哺乳動物細胞発現ベクター、CHO発現ベクター(例えば、pLKTOK38D)などの発現ベクター)に関する。一態様において、組換えベクターは、ヒト化抗体MLN02のヒト化免疫グロブリン軽鎖をコードし(例えば、これをコードする単離核酸を含む)、配列番号:2のヌクレオチド79〜735または配列番号:4のヌクレオチド78〜734を含む。別の態様において、組換えベクターはヒト化抗体MLN02のヒト化免疫グロブリン重鎖をコードし(例えば、これをコードする単離核酸を含む)、配列番号:1のヌクレオチド77〜1429または配列番号:3のヌクレオチド76〜1428を含む。所望により、組換えベクターは、さらに、軽鎖および/または重鎖のシグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列を含み得る。好ましくは、組換えベクターは、MLN02のヒト化免疫グロブリン重鎖をコードし、配列番号:1のヌクレオチド77〜1429を含む第1のヌクレオチド配列、およびMLN02のヒト化免疫グロブリン軽鎖をコードし、配列番号:2のヌクレオチド79〜735のヌクレオチド配列を含む第2のヌクレオチド配列を含む。
MLN02の作製方法
本発明の別の局面は、ヒト化抗体MLN02の作製方法に関する。ヒト化抗体MLN02は、例えば、適当な宿主細胞におけるヒト化抗体MLN02をコードする(例えば、重鎖および軽鎖をコードする)1種類以上の単離核酸の発現によって作製され得る。
本発明の別の局面は、ヒト化抗体MLN02の作製方法に関する。ヒト化抗体MLN02は、例えば、適当な宿主細胞におけるヒト化抗体MLN02をコードする(例えば、重鎖および軽鎖をコードする)1種類以上の単離核酸の発現によって作製され得る。
ヒト化抗体MLN02を産生する宿主細胞は、任意の適当な方法を用いて作製され得る。例えば、本明細書に記載の発現構築物(例えば、哺乳動物細胞発現ベクター)が適当な宿主細胞内に導入され得、得られた細胞は、構築物(1つまたは複数)またはベクター(1つまたは複数)の発現に適当な条件下で(例えば、培養状態、動物内、植物内で)維持され得る。適当な宿主細胞は、原核生物、例えば、大腸菌(例えば、菌株DH5αTM(Invitrogen,Carlsbad,CA)、B. subtilisおよび/または他の適当な細菌などの細菌細胞;真菌もしくは酵母細胞(例えば、Pichia pastoris、Aspergillus種、Saccharomyces cerevisiae、Schizosaccharomyces pombe、Neurospora crassa)などの真核生物細胞、または他の下等真核生物細胞、および昆虫(例えば、Drosophila Schnieder S2細胞、Sf9昆虫細胞(WO 94/26087 (O’Connor))、哺乳動物(例えば、COS-I (ATCC受託番号CRL-1650)およびCOS-7 (ATCC受託番号CRL-1651)などのCOS細胞、CHO(例えば、ATCC受託番号CRL-9096)、CHO DG44 (Urlaub、G.およびChasin,LA.,Proc. Natl. Acad. Sci. USA,77(7):4216-4220(1980)))、293 (ATCC受託番号CRL-1573)、HeLa (ATCC受託番号CCL-2)、CV1 (ATCC受託番号CCL-70)、WOP (Dailey,L.,et at.,J. Virol.,54:739-749(1985)、3T3、293T (Pear,W. S.,et al,Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.,90:8392-8396(1993))NSO細胞、SP2/0、HuT 78 細胞など、または植物(例えば、タバコ)などに由来するものなどの高等真核生物の細胞であり得る(例えば、Ausubel,F. M. et al.編Current Protocols in Molecular Biology、Greene Publishing Associates and John Wiley & Sons Inc.(1993)参照)。いくつかの態様において、宿主細胞は単離宿主細胞であり、多細胞生物(例えば、植物または動物)の一部ではない。好ましい態様において、宿主細胞は非ヒト宿主細胞である。
本発明はまた、本発明のベクター(例えば、発現ベクター)を含む細胞に関する。例えば、MLN02の重鎖および軽鎖をコードする核酸(すなわち、1種類以上の核酸)、またはかかる核酸(1つまたは複数)を含む構築物(すなわち、1種類以上の構築物)が適当な宿主細胞内に、選択した宿主細胞に適切な方法(例えば、形質転換、トランスフェクション、エレクトロポレーション、感染)によって、核酸(1つまたは複数)が1種類以上の発現制御エレメント(例えば、ベクター内の、細胞内プロセスによって作製された構築物内の、宿主細胞ゲノム内への組込まれた)に作動可能に連結されるように導入され得る。宿主細胞は、発現に適当な条件下で(例えば、誘導物質、適切な塩、増殖因子、抗生物質、栄養補給物などを加えた適当な培地の存在下)維持され得、それにより、コードされたポリペプチド(1つまたは複数)が産生される。所望により、コードされたタンパク質(例えば、ヒト化抗体MLN02)は、例えば、宿主細胞、培養培地または乳汁から単離され得る。このプロセスは、トランスジェニック動物または植物(タバコ)の宿主細胞内での発現を包含する(例えば、WO 92/03918参照)。
所望により、ヒト化免疫グロブリンまたは免疫グロブリン鎖が、融合タンパク質のN末端位置、C末端位置または内部で非免疫グロブリン部分(すなわち、自然界に見られる免疫グロブリンに存在しない部分)に連結された融合タンパク質が産生され得る。例えば、いくつかの態様は、pETベクター(例えば、pET-15b、Novagen)、ファージベクター(例えば、pCANTAB 5 E、Pharmacia)、または他のベクター(例えば、pRIT2T Protein A融合ベクター、Pharmacia)などの適当な発現ベクター内への免疫グロブリン配列をコードする核酸の挿入によって作製され得る。得られた構築物は、発現のための適当な宿主細胞内に導入され得る。発現時、いくつかの融合タンパク質が細胞溶解物から適当な親和性マトリックスによって単離または精製され得る(例えば、Current Protocols in Molecular Biology (Ausubel、F.M. et al.編,第2巻、増補26、pp.16.4.1-16.7.8(1991)参照)。
本発明は、ヒト化抗体MLN02(ヒト化軽鎖およびヒト化重鎖)、ヒト化抗体MLN02のヒト化重鎖および/またはヒト化抗体MLN02のヒト化軽鎖をコードする単離核酸を含む単離宿主細胞に関する。例えば、いくつかの態様において、宿主細胞は、本明細書で言及する本発明の組換えベクター(例えば、発現ベクター、哺乳動物発現ベクター、CHO発現ベクター)を含む。特定の態様において、宿主細胞は、CHO DG44などのCHO細胞である。
本発明はまた、本発明の宿主細胞(例えば、ヒト化抗体MLN02(例えば、ヒト化軽鎖およびヒト化重鎖、ヒト化重鎖、ヒト化軽鎖)をコードする1種類以上の単離核酸を含む宿主細胞)を、単離核酸の発現に適切な条件下で維持する工程を含む、ヒト化抗体MLN02の作製方法に関する。ヒト化抗体MLN02、重鎖、または軽鎖の発現のため、宿主細胞は任意の適当な条件下で維持され得る。例えば、宿主細胞は、基材上または懸濁液中で培養され得る。一態様において、宿主細胞は、MLN02鎖が発現され、ヒト化抗体MLN02が産生されるように適当な条件下で維持される。いくつかの態様において、該方法は、さらに、産生されたMLN02を単離する工程を含む。
特別な態様において、ヒト化抗体MLN02の作製方法により、少なくとも約0.5g/L、少なくとも約1.0g/L、少なくとも約1.5g/L、少なくとも約1.75g/L、少なくとも約2.0g/L、少なくとも約2.5g/L、少なくとも約2.75g/L、少なくとも約3.0g/L、少なくとも約4.0g/L、少なくとも約4.5g/L、または少なくとも約5.0g/L
の量でのMLN02の産生がもたらされる。
の量でのMLN02の産生がもたらされる。
(実施例)
CHO DG44細胞株は、ハムスタージヒドロ葉酸還元酵素遺伝子の内在性コピーを含まない二重欠失変異体である(Som. Cell Molec. Genet. 12:555-666、1986)。無血清培地中で懸濁状態で増殖するように適合させたこれらの細胞の亜株S1-CHO-DG44細胞を用いて、MLN02を産生する細胞株を作製した。S1-CHO-DG44細胞を解凍し、IS-CHO-V-GS培地中で維持した。
CHO DG44細胞株は、ハムスタージヒドロ葉酸還元酵素遺伝子の内在性コピーを含まない二重欠失変異体である(Som. Cell Molec. Genet. 12:555-666、1986)。無血清培地中で懸濁状態で増殖するように適合させたこれらの細胞の亜株S1-CHO-DG44細胞を用いて、MLN02を産生する細胞株を作製した。S1-CHO-DG44細胞を解凍し、IS-CHO-V-GS培地中で維持した。
MLN02の軽鎖および重鎖(配列番号:1および配列番号:2)をコードするDNA挿入物は、発現ベクターpTOK59D(米国特許第7,053,202号参照)内へのクローニングのための制限部位を含むように合成した。pEF1αプロモーター後、pTOK59D内へのクローニングのため、重鎖はEcoR IおよびXba I制限部位で消化し、軽鎖はNot IおよびXba I制限部位で消化した。Qiagen’s EndoFreeプラスミドDNA Megaキット(Qiagenカタログ番号12381)を用いて最終構築物の配列を確認し、調製し、トランスフェクションのためにPvu I制限酵素で線状にした。
S1-CHO-DG44細胞(3×106)を、異なる増殖段階(分割後、第2日および第3日)で異なる量の線状化DNA構築物(10μg、15μg、20μg、25μg、30μgおよび35μg)でトランスフェクトした。トランスフェクションは、エレクトロポレーション(Bio-Rad Gene Pulser IIエレクトロポレーション装置. 1000V、25υF、および∞オーム)によって行なった。トランスフェクト細胞は、選択培地に交換する前にIS-CHO-V-GS中で24〜48時間維持した。36のトランスフェクションを行ない、36個のトランスフェクションプールを得た。
産生MLN02 CHO細胞株プールを確立するため、トランスフェクト細胞をまず、ヌクレオシドを含まず、10%透析ウシ胎仔血清、および0.8mg/ml G418を含む選択培地αMEM(表1)中で2週間、次いで、二重選択培地5nM メトトレキサートと0.8mg/ml G418を含むαMEM (表1)中でさらに1〜2ヶ月培養した。ヒトIgG1 hFc Fluid Microvolume Assay Technology (FMAT)免疫競合アッセイ(図7、96ウェルプレート、Millennium Pharmaceuticals,Inc. Manufacturing Analytical Services用のプロトコル)を用いて各プールの抗体産生能を評価した。最大hFc産生能を有する3つの安定なプールを同定した。次いで、限定希釈によってこれらのプールをクローニングした。
各プールからのクローンを、20×96ウェル組織培養プレート内で、ヌクレオシドを含まず、10%透析ウシ胎仔血清、5 nM メトトレキサートと0.8mg/ml G418を含むαMEM選択培地(表1)の二重選択培地中0.7細胞/ウェルでクローニングする限定希釈を行なうことにより単離した。平板培養前に、計測および希釈のため、プールされた細胞のコンフルエントな単層を、ブタトリプシン-EDTA (Invitrogenカタログ番号25300-054)を用いて培養フラスコから取り出し、二重選択培地中に希釈した。
細胞を96ウェルプレート内で平板培養し、5nMメトトレキサートとG418を含むαMEM選択培地中で供給なしで2週間維持および培養した。次いで、FMAT hFc免疫競合アッセイのために、各ウェルの上清み50μlを、Rapidplate 96/384(Zymark)を用いてFMATプレートに直接移した。高いhFc産生能を有する96ウェルプレート内の単独コロニーを同定し(各プールで約24〜30クローン)、次いで、24ウェル細胞培養プレート、次いで6ウェル細胞培養プレートによって逐次拡大した。6ウェル組織培養プレートにおいてクローンが等価なコンフルエンスになったとき、FMAT hFc免疫競合アッセイにおいて、クローンの抗体力価を2つの異なる希釈液で測定した。最良の抗体力価を有する各プールから12クローンを選択し、T-25フラスコ内で、選択培地およびSigmaのタンパク質無含有無血清の化学的に規定された培地の両方において拡大した。選択培地中の細胞を、T-75フラスコ内でさらに拡大し、凍結させた。
抗体力価に基づき、無血清Sigma#21培地中での懸濁培養に適合させるための18の産生細胞株(クローン)を選択した。細胞のコンフルエントな単層を、ブタトリプシン-EDTA (Invitrogenカタログ番号25300-054)を用いて培養フラスコから取り出し、懸濁培養のために新たなT-25フラスコ内でSigma#21培地中に継代培養した。約3×105/mlの細胞密度において、メトトレキサートを培地中で5nMに維持したが(表1)、G418は沈降するため添加しなかった。次いで、これらの細胞を、産生能測定および凍結細胞バンクのための懸濁培養に適合させるために、125mlの振とうフラスコに移した。
選択された各産生細胞株の抗体産生能を、細胞カウントおよび抗体産生能測定用の試料を4日間毎日得ることにより測定した。各細胞株のPCD(Picogram per Cell per Day:ピコグラム/細胞/日)ならびに約20%の生存能での最終力価を測定することにより産生能を比較した。PCDを測定するため、播種の2日、3日および4日後の対数増殖期に細胞培養物のアリコートを振とうフラスコから毎日収集した。細胞密度および生存能を測定し、FMAT免疫競合アッセイを用いて上清み中のhFc濃度を測定した。各細胞株のPCDを、式:
PCD = (最終hFc産生能 - 初期hFc産生能)/[log(平均細胞数)*日数]
を用いて計算した。
PCD = (最終hFc産生能 - 初期hFc産生能)/[log(平均細胞数)*日数]
を用いて計算した。
高産生細胞株のPCDを表2に示す。最大産生細胞株を、該細胞を培養した7.5%DMSO、46.5%新鮮Sigma#21培地、46.5% Sigma#21条件培地中、5〜10×106細胞/mlで凍結した。凍結バイアルあたり1mlのアリコートを-80℃で一晩凍結し、次いで、保存のために液体窒素に移した。
MLN02の産生のためのCHO細胞株を作製した。FMATアッセイでは、5つのクローンは30μg/ml/細胞/日を超えるPCDを有する。振とうフラスコフィードバッチ培養で、クローン#27.11の最終力価は、FMATでは3mg/mlより大きく、プロテインAアッセイでは1.8mg/mlであった。
本明細書に引用したすべての特許、公開出願および参考文献の教示は、参照によりその全体が本明細書に援用される。
本発明を、その実施例態様を参照して具体的に示し、記載したが、形態および詳細における種々の変形が、添付の特許請求の範囲によって包含される本発明の範囲から逸脱せずになされ得ることは、当業者によって理解されよう。
寄託された微生物または他の生物学的材料に関する表示
(追加紙面)
C.追加表示(続き)
本PCT出願におけるオーストラリアの指定に関して、およびオーストラリア特許規則の規則3.25条3項に従って、出願人はここで、American Type Culture Collectionに受託番号PTA-3663で寄託された生物学的材料の試料の提供が、特許の付与前、または本出願の失効、拒絶もしくは取下げ前に、本発明に利害関係のない対象技術者であって試料の供給の請求に指定された者のみに行なわれることを通知する。
本PCT出願におけるカナダの指定に関して、出願人はここで国際事務局に、本出願に基づいてカナダ特許が発行されるか、または本出願が拒絶されるか、または放棄されて復活しないか、または取り下げられるかのいずれかまで、特許庁長官だけが、American Type Culture Collectionに受託番号PTA-3663で寄託され、本出願において言及された生物学的材料の試料を、長官が指定した独立した専門家に提供する権限を有することを出願人が望むことを通知する。
(追加紙面)
C.追加表示(続き)
本PCT出願におけるオーストラリアの指定に関して、およびオーストラリア特許規則の規則3.25条3項に従って、出願人はここで、American Type Culture Collectionに受託番号PTA-3663で寄託された生物学的材料の試料の提供が、特許の付与前、または本出願の失効、拒絶もしくは取下げ前に、本発明に利害関係のない対象技術者であって試料の供給の請求に指定された者のみに行なわれることを通知する。
本PCT出願におけるカナダの指定に関して、出願人はここで国際事務局に、本出願に基づいてカナダ特許が発行されるか、または本出願が拒絶されるか、または放棄されて復活しないか、または取り下げられるかのいずれかまで、特許庁長官だけが、American Type Culture Collectionに受託番号PTA-3663で寄託され、本出願において言及された生物学的材料の試料を、長官が指定した独立した専門家に提供する権限を有することを出願人が望むことを通知する。
Claims (33)
- 第1のヌクレオチド配列および第2のヌクレオチド配列を含み、
前記第1のヌクレオチド配列は、ヒト化軽鎖をコードし、配列番号:9のヌクレオチド58〜714を含み、配列番号:11のアミノ酸20〜238をコードし、
前記第2のヌクレオチド配列は、ヒト化重鎖をコードし、配列番号:10のヌクレオチド58〜1410を含み、配列番号:12のアミノ酸20〜470をコードする、
ヒト化抗体MLN02をコードする単離核酸。 - 前記第1のヌクレオチド配列が、配列番号:2のヌクレオチド79〜735または配列番号:4のヌクレオチド78〜734を含む、請求項1記載の単離核酸。
- 前記第2のヌクレオチド配列が、配列番号:1のヌクレオチド77〜1429または配列番号:3のヌクレオチド76〜1428を含む、請求項1記載の単離核酸。
- 配列番号:9のヌクレオチド58〜714を含み、配列番号:11のアミノ酸20〜238をコードする、ヒト化抗体MLN02のヒト化免疫グロブリン軽鎖をコードする単離核酸。
- 配列番号:4のヌクレオチド78〜734を含む、請求項4記載の単離核酸。
- 配列番号:2のヌクレオチド79〜735を含む、請求項4記載の単離核酸。
- 配列番号:10のヌクレオチド58〜1410を含み、配列番号:12のアミノ酸20〜470をコードする、ヒト化抗体MLN02のヒト化免疫グロブリン重鎖をコードする単離核酸。
- 配列番号:3のヌクレオチド76〜1428を含む、請求項7記載の単離核酸。
- 配列番号:1のヌクレオチド77〜1429を含む、請求項7記載の単離核酸。
- 請求項1記載の単離核酸を含む組換えベクター。
- 請求項4記載の単離核酸を含む組換えベクター。
- 請求項7記載の単離核酸を含む組換えベクター。
- 前記単離核酸が、配列番号:2のヌクレオチド79〜735または配列番号:4のヌクレオチド78〜734を含む、請求項11記載の組換えベクター。
- 前記単離核酸が、配列番号:1のヌクレオチド77〜1429または配列番号:3のヌクレオチド76〜1428を含む、請求項12記載の組換えベクター。
- 重鎖をコードする第1の核酸および軽鎖をコードする第2の核酸を含み、前記第1の核酸が配列番号:1のヌクレオチド77〜1429を含み、前記第2の核酸が配列番号:2のヌクレオチド79〜735を含む、ヒト化抗体MLN02をコードする組換えベクター。
- 重鎖をコードする第1の核酸および軽鎖をコードする第2の核酸を含み、前記第1の核酸が配列番号:3のヌクレオチド76〜1428を含み、前記第2の核酸が配列番号:4のヌクレオチド78〜734を含む、ヒト化抗体MLN02をコードする組換えベクター。
- 請求項1記載の単離核酸を含む単離宿主細胞。
- 請求項10記載の組換えベクターを含む単離宿主細胞。
- 請求項4記載の単離核酸を含む単離宿主細胞。
- 請求項11記載の組換えベクターを含む単離宿主細胞。
- 請求項7記載の単離核酸を含む単離宿主細胞。
- 請求項12記載の組換えベクターを含む単離宿主細胞。
- 請求項15記載の組換えベクターを含む単離宿主細胞。
- 請求項16記載の組換えベクターを含む単離宿主細胞。
- 請求項17、18、23および24いずれか記載の宿主細胞を、MLN02鎖をコードする核酸の発現に適当な条件下で維持し、それによりヒト化抗体MLN02鎖が発現され、ヒト化抗体MLN02が産生される工程を含む、ヒト化抗体MLN02の作製方法。
- 請求項1記載の単離核酸を提供する工程、および前記単離核酸を発現させ、それによりヒト化軽鎖および重鎖が発現され、ヒト化抗体MLN02が産生される工程を含む、ヒト化抗体MLN02の作製方法。
- 請求項15または16記載の組換えベクターを提供する工程、および前記組換えベクターを発現させ、それによりヒト化軽鎖および重鎖が発現され、ヒト化抗体MLN02が産生される工程を含む、ヒト化抗体MLN02の作製方法。
- 請求項19または20記載の宿主細胞を、MLN02の軽鎖をコードする核酸の発現に適当な条件下で維持し、それによりMLN02のヒト化軽鎖が発現され、MLN02のヒト化軽鎖が産生される工程を含む、MLN02のヒト化軽鎖の作製方法。
- 請求項4記載の単離核酸を提供する工程、および前記単離核酸を発現させ、それによりヒト化軽鎖が発現され、MLN02のヒト化軽鎖が産生される工程を含む、MLN02のヒト化軽鎖の作製方法。
- 請求項11記載の組換えベクターを提供する工程、および前記組換えベクターを発現させ、それによりヒト化軽鎖が発現され、MLN02のヒト化軽鎖が産生される工程を含む、MLN02のヒト化軽鎖の作製方法。
- 請求項21または22記載の宿主細胞を、MLN02の重鎖をコードする核酸の発現に適当な条件下で維持し、それによりMLN02のヒト化重鎖が発現され、MLN02のヒト化重鎖が産生される工程を含む、MLN02のヒト化重鎖の作製方法。
- 請求項7記載の単離核酸を提供する工程、および前記単離核酸を発現させ、それによりヒト化重鎖が発現され、MLN02のヒト化重鎖が産生される工程を含む、MLN02のヒト化重鎖の作製方法。
- 請求項12記載の組換えベクターを提供する工程、および前記組換えベクターを発現させ、それによりヒト化重鎖が発現され、MLN02のヒト化重鎖が産生される工程を含む、MLN02のヒト化重鎖の作製方法。
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