JP2010520358A - 溶液触媒を反応器表面に塗布するための方法 - Google Patents

溶液触媒を反応器表面に塗布するための方法 Download PDF

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Abstract

流動床重合反応装置系の少なくとも一つの内部表面(例えば、床壁)を、溶液触媒を(好ましくは少なくとも実質的に均一にかつ液体の状態で)各表面に塗布し、随意に(該溶液触媒の触媒成分が少なくとも1種のクロム含有化合物を含む場合)該塗布されたクロム含有触媒化合物の少なくともいくらかを制御された方法で酸化させることなどにより処理するための方法を提供する。

Description

関連出願の相互参照
本願は、2007年3月6日に出願された米国仮出願第60/905,274号及び2007年11月7日に出願された同61/002,159号の利益を請求する。これらの出願の開示をそれら全体の引用により含めるものとする。
発明の分野
本発明は、概して、溶液触媒を気相重合反応器の表面(例えば、床壁)に塗布して、その後その上に重合体被膜を形成させるために当該表面を下処理することによって当該表面を処理するための方法及び装置に関するものである。典型的な実施形態では、当該反応器は、少なくとも1種の触媒又は触媒系の存在下で少なくとも1種のオレフィンを重合させる際に使用される気相重合反応器である。
背景
本明細書において、流動床重合反応装置系(又は反応器)の「内部表面」という表現は、反応装置系(又は反応器)での重合反応作業中に反応物質、再循環ガス及び/又は重合生成物にさらされる反応装置系(又は反応器)の表面を意味する。
本明細書において、表現「床壁」は、流動床気相重合反応装置系(又は反応器)の通常の重合操作中に流動床と接触する当該反応装置系の内部表面の一以上の部分をいうために使用する。例えば、本発明の典型的な実施形態は、流動床重合反応器の床壁を処理してから、当該処理を受けた床壁上に重合体被覆を形成させることに関する。この処理は、触媒(溶液の状態)を床壁に塗布し、それにより、この塗布された触媒の存在下で特別の重合反応により重合体被覆が形成され得る。特別の重合反応とは、重合体被覆が形成された後にこの反応器内で実施されるような通常の重合反応のことではない。
本明細書において、「溶液触媒」という表現は、少なくとも1種の触媒の少なくとも1種の溶媒への溶液をいうために使用する。例えば、トルエン(又は別の溶媒)などの芳香族溶媒に溶解されたクロモセン(又は別の重合用触媒)が溶液触媒である。
本明細書において、「を含む」という用語は、「である又はを包含する」をいうために使用する。
単量体、例えば、オレフィン単量体の気相重合は、特に所定の触媒のタイプでは、反応容器の壁部に「シート」を形成する傾向がある。シーティングとは、反応器又は反応器のドームに溶融樹脂及び樹脂粒子が付着することをいう。これらのシートには、様々な大きさがある。シートは、厚さが1/4〜1/2インチの場合があり、また、長さが数インチ〜数フィートの場合がある。これらのシートは、3インチから18インチを超えるまでの幅を有する場合がある。これらのシートは、溶融重合体から構成されるコア(これは、当該シートの長手方向に配向される)を有する場合があり、また、それらの表面は、このコアに融合した粒状樹脂で覆われている。これらのシートの縁は、融合重合体の糸状体による毛状の外観を有する場合が多い。シーティングは、生成物吐出システムを急速に詰まらせ及び/又は流動化を中断させるため、コストがかかり時間も浪費する運転停止が必要となる。
気相方法は、チーグラー・ナッタ触媒、特にIII型及びIV型のチーグラー・ナッタ触媒、所定の二峰型触媒系、及びメタロセン触媒化合物を含有する触媒を使用して重合体を製造するときに特にシーティングしやすいことが分かっている。メタロセン触媒はユニークな特性を有する重合体を生じさせるものの、これらは、従来の重合系、特に反応器のシーティングの制御に関連する新たな課題も提供する。
反応器内における重合の間の反応器シーティングと過剰の静電荷(正又は陽のいずれか)との間には相関関係が存在する(例えば、米国特許第4,803,251号及び同5,391,657号を参照)。これは、静電気レベルの突然の変化、その直後の反応器壁部での温度変化から明らかである。触媒及び樹脂粒子上の静電荷レベルが臨界レベルを超えると、静電力により、当該粒子が反応器の接地用金属壁に追いやられる。これらの粒子が反応器の壁部に滞留することで、高温及び粒子融合のため溶融が促進される。通常は、これに続き、例えば、触媒供給の中断、生成物吐出システムの詰まり及び生成物中における融合凝集物の存在などの流動化パターンの中断が明らかになる。
反応器がシートを形成する傾向を低減させるためには、気相(流動床)重合反応器の床壁に重合体被覆が存在することが望ましいことが分かった。学説にとらわれることなく、反応器壁部の被覆(例えば、重合体被覆)の存在は、摩擦電気の荷電移動を抑制する(抑制されなければ、この摩擦電気の荷電移動は、流動床中の樹脂が金属製の反応器壁部と摩擦するときに生じるであろう)と考えられる。また、学説にとらわれるわけではないが、この摩擦電気の荷電移動の抑制は、樹脂への帯電の蓄積を最小限に抑える(又は減少させる)効果を有すると考えられる。樹脂への帯電の蓄積が反応器内でのシートの形成に寄与し得ることは周知である。
流動床重合反応器は、炭素鋼から構成される場合が多く、典型的には約30バール(約3.1メガパスカル)までの圧力での運転が定められており、しかも、炭素鋼から構成される内部表面を有する。この内部表面の通常の外観は、平坦で被覆されていない金属の外観である。しかしながら、常に(又はほぼ常に)重合体の薄い被覆が、稼働中の流動床重合反応器の床壁上に形成する。この被覆は、通常は薄く、しかも比較的透明であるため、その存在を視覚的に検出するのは困難であるが、その存在は、渦電流式のメーターで検出できる。この被覆は、通常、比較的低いMw(分子量)の重合体からなり、1〜20ミル(25〜500ミクロン)の厚さを有する。たとえ非常に薄くても、当該被覆は、流動床の静電気帯電特性に及ぼすその影響を通じて反応器の操作性にかなりの影響を与える。
一般に、流動床重合の間に、重合体及び他の材料の流動床は、摩擦電気効果として知られているプロセスを通して反応器の壁部と摩擦接触することにより帯電した状態になると認められている。この帯電機構は、次の2つの要因:必要な材料の性質及び接触の程度に依存する。電荷移動の基本的な原動力は、互いに接触する2種の材料の電気的特性の相違である。関連する材料に相違がなかった場合(例えば、互いに接触する2種の材料が同一であった場合、例えば、両者が炭素鋼であった場合)には、電荷移動は生じない(又は最小限しか生じない)と思われる。一般に、摩擦接触するこれら2種の材料が電気的特性の点でさらに大きく相違する場合(すなわち、帯電列が大きく異なる場合)には、さらに多量の電荷が移動する。
気相重合反応器では、その流動床は、2種の異なる材料の摩擦接触、典型的には床中の重合体樹脂と床壁の炭素鋼との摩擦接触により高度に荷電した状態になる可能性がある。床壁上の良質な重合体被覆は、帯電を実質的に低減させ、それによってシートが床壁上に形成する傾向を低減させるように作用することが知られている。この重合体被覆は、流動床中における重合体に性質がより近い(炭素鋼と比較して)ため、摩擦電気的プロセスにおける電荷移動の原動力を低減させると考える人もいる。理由が何であれ、床壁上の被覆(及び場合によっては反応装置系の他の内部表面)が流動床の静電気帯電特性にかなりの影響を及ぼしていることは明らかである。
床壁上の重合体被覆がその電荷減衰特性によって示されるときに「良好な」状態にある場合には、流動床反応装置系は、過度の静電気及びシーティングによる運転上の問題なしに長期間(数ヶ月又は数年)にわたって運転できる。この状態にある反応器は、良好な静電気基準を有すると考えられ、製造される生成物のタイプ(例えば、その分子量「Mw」及び密度)に比較的影響を受けにくく、しかも、典型的には、過度のレベルの静電荷又はシーティングを生じさせることなくポリエチレン(PE)樹脂等級の全範囲を生成するように稼働できる。
しかしながら、床壁の被覆が「不良な」状態にある場合には、流動床中にはかなりの量の静電活性が生じる可能性があるが、これは、多くの場合、シーティングに至る。この状態にある反応器は、その静電気帯電特性が、生成される生成物のMw及び密度に対して非常に敏感になるため、「影響を受けやすい」と考えられる。
床壁上の重合体被覆を良好から不十分に変化させる要因がいくつかの異なる側面から調査されてきた。例えば、当該被覆は、通常の重合操作及び維持の間に、アルミニウムアルキル化合物にさらされ、次いで水に繰り返し又は長期間さらされ、そして反応器をメンテナンスのために開放するときに空気にさらされることで劣化する可能性があることが知られている。劣化を生じさせることが知られているアルミニウムアルキル化合物としては、メチルアルモキサン及びエチルアルモキサン、トリエチルアルミニウム及びトリメチルアルミニウムが挙げられる。これらのアルモキサン類は、メタロセン重合に一般的に使用されており、結合トリメチルアルミニウムが挙げられる。トリメチルアルミニウム及びトリエチルアルミニウムは、チーグラー・ナッタ重合において助触媒として一般的に使用されている。水と有機アルミニウムとの反応が劣化の原因である。μ−オキソ化合物が形成され、これが迅速に失活して、ベーマイトと呼ばれる、化学的にはAl(O)OHで表される特定のアルミナの水和種を形成することが実験的に確認されている。
また、不純物に長期間さらされると、壁膜が劣化する可能性があることも推測される。これらの不純物としては、C6酸化物、例えばヘキサノール及び1,2−ヘキサンジオールが挙げられるが、これらの両方は、1−ヘキセンと酸素との反応生成物である。このように、床壁被覆の劣化は重合体被覆の酸化を伴う可能性があると仮定される。
ほとんどの場合、劣化を引き起こす的確な1以上の機構がいかなるものであるのか不明であるが、床壁上の重合体被覆が経時的に劣化し又は汚染され得ること、及び、これが反応器の操作性に大きな影響を及ぼし得ることはよく知られている。
実際には、反応器の静電基準線は突然に変化するものではない。むしろ、通常は、被覆の汚染や劣化が所定期間にわたって生じる。これが起こると、静電活性の問題とシーティングの問題とが徐々に発生し、そして所定の樹脂生成物の製造中に最初に出現する。通常、高い分子量及び高い密度を有するものとして特徴付けられるこれらの生成物を、感応反応器等級という。反応器壁の汚染の程度が比較的軽い場合には、静電気の問題及びシーティングの問題は、まず、最も高いMwの生成物と、高い密度等級のうちのいくつかとで見られる。静電基準がさらに低下すると(例えば、壁の被覆がさらに汚染された状態になると)、静電問題及びシーティング問題が1種以上の生成物で生じ始める。様々な樹脂等級に対するシーティングリスクの感度は、汚染された又は劣化した床壁被覆でしか出現しない。仮にこの被覆が良好な状態にあれば、静電気は全ての生成物についてほぼゼロのままである。
不良な(劣化した又は汚染された)床壁被覆を除去し、新たな重合体被覆と取り替えるための2種類の反応装置系再処理が商業的に使用されている。両方の再処理方法は、床壁を準備すること(典型的には既存の不良重合体被覆を除去することにより行う)及び当該壁に新たな重合体被覆をその場で創り出すことを伴う。これらの従来技術は、いくつかの触媒系ではある程度有効であることが分かっている。
従来の再処理方法の一種は、クロモセン処理として知られている。このような再処理を実行するために、不良な(例えば、汚染された)重合体被覆を床壁からグリットブラストにより除去する。次いで、この反応器を密閉し、そして窒素でパージして酸素及び湿気を除去する。次いで、この反応器に溶液触媒(溶液状態のクロモセン)を導入し、この触媒が反応器の壁部に付着する。次いで、反応器壁部上の触媒を制御酸化により活性化させ、パージし、次いでエチレン及びトリエチルアルミニウムなどのアルキルを導入して、反応器床壁上の電荷の蓄積及び今にも起こりそうなシート形成を低減させるのに有効であり得る新たな重合体樹脂被覆(好ましくは高分子量重合体被覆)を床壁上に形成させる。溶液触媒としては、様々なクロム化合物のうち任意のものが挙げられる(例えば、ビスシクロペンタジエニルクロム及び他のクロモセン)。例えば、米国特許第4,532,311号、同4,792,592号及び同4,876,320号には、クロム含有化合物を流動床反応器に導入してから特別の重合反応(当該クロムによって触媒される)を行って当該反応器の床壁上に高分子量被覆を形成させることによって流動床反応器内におけるシーティングを低減させる方法が開示されている。
従来の反応器再処理(予め形成された重合体被覆を再生させるためのもの)の別のタイプは、ハイドロブラスティングとして知られている。この方法では、汚染された又は損傷を受けた重合体被覆を高圧の水噴射により床壁から除去する。次いで、反応器を乾燥させ、窒素でパージし、そして通常の方法で再開始するが、ただし、高いメルトインデックスの物質(このメルトインデックス又は「MI」は、典型的には、I2法により測定されるときに10以上である)を生じさせる(重合により)ように比較的高い水素濃度で行う。生成されたメルトインデックスの高い樹脂、すなわちMwの低い樹脂は、容易に反応器床壁に付着して新たな重合体被覆を生成し、この重合体被覆は、当該反応器のその後の通常の重合操作の間にシーティングのリスクを低減させる。
次に、従来の典型的なクロモセン再処理方法について詳細に説明する。このような方法は、床壁を清浄化させ(例えば、グリットブラストにより)、そして当該反応器を密閉し、パージした後に、溶液状のクロム含有化合物(例えば、トルエンに溶解されたクロモセン)を反応器に注入し、そしてこの注入した化合物を循環させることで、当該触媒のいくらかを反応器の床壁上に付着させる工程を包含する。次いで、この付着した触媒を酸化させ、続いて当該反応器を洗浄のための解放する。この再処理方法の次の工程は、反応器を窒素でパージし、次いでエチレン及びアルキルを当該反応器に導入することによってこの付着した触媒を活性化させることである。クロム含有化合物(例えば、クロモセン)は、アルキルの存在下でエチレンを重合させて被覆を形成させる触媒として作用する。
従来のクロモセン処理方法では、クロモセン含有溶液(例えば、トルエンに溶解されたクロモセン)と反応器の床壁とを接触させて当該床壁上に当該クロモセンを付着させることが望ましい。一般に、溶媒中におけるクロモセンの濃度はこの方法には重要ではないが、この濃度は、典型的には、当該クロモセンが溶媒に完全に溶解するのを確実にするように選択されると考えられる。一般的に、約5〜8重量%のクロモセンを含有するトルエン溶液が使用される。
図1を参照すると、気相重合反応器4の内部表面上にクロモセンを付着させる従来の方法は、典型的には、1セットの触媒注入箇所2の各1カ所に供給管を介してクロモセン含有溶液を注入することにより行われる。図1において箇所2にこのような供給管の一つを示している。それぞれの注入点で、当該溶液は、単一ストレート管を介して又は端部に噴射ノズルを有する管を介して注入できる。窒素などの不活性ガスをサイクルコンプレッサ6により反応器4に循環させると同時に、当該溶液を所定期間(典型的には、少なくとも1〜3時間、場合によっては8時間程度)にわたって注入する。続いて、当該反応装置系は、この混合物を比較的長時間(例えば、約20時間)にわたり循環させる。このような従来の方法によって床壁上に付着するクロムのレベルは、典型的には、反応器の分配プレート10の下端部内及び底部上に付着するクロムのレベルよりも有意に低いことが分かった。この方法は、当該クロムを、分配プレート10上と、当該反応装置系の床壁以外の様々な部分、例えば、サイクルコンプレッサ6及びサイクル冷却器12とに優先的に付着させる。この従来技術の方法によって分配プレート10(及び反応装置系の床壁以外の他の部分)上に付着したクロムは、多くの場合、当該クロムを反応させて望ましい重合体被覆を形成させる前に、除去されなければならない。
クロモセン処理後に流動床重合反応器の床壁上に形成された重合体被覆は、反応装置系内での帯電を低減させ、それによってその後の通常の重合反応中にシート形成する可能性を低減させる絶縁層として機能することを目的とするものである。通常は薄い(例えば、約1〜約20ミル又は0.025〜0.50ミリメートル(ここで、1「ミル」は0.001インチである)が、このような重合体被覆が帯電を低減させるのに効果的であり、典型的には耐久性もある。多くの場合、典型的に薄いこのタイプの重合体被覆は、当該被覆が高密度で高分子量(非常に低いメルトインデックス)の重合体からなる場合(典型的な場合)には、別の再処理が必要になる前に少なくとも4年の耐用年数を有する。このように高い密度、高い分子量及び低いメルトインデックスを有する被覆は、典型的には、通常の重合操作の間に流動床中に一般的に存在する軟質重合体による摩耗に対してかなりの抵抗性がある。
従来のクロモセン再処理により流動床重合反応器の床壁上に形成された重合体被覆は、通常、床壁全体にわたって均一な厚さがあるわけではない。学説にとらわれず、本発明者は、従来の方法では床壁上の均質な重合体被覆が得られないと考える。というのは、当該クロム含有化合物は、床壁上に均一には付着しないからである。
従来のクロモセン再処理方法は、流動床重合反応器の床壁上に効果的でかつ確実な重合体被覆を形成させることが可能ではあるものの、これらの方法は、このような効果的でかつ確実な被覆を確実に形成させるわけではない。多くの場合、このような従来の方法は、効果的で確実な重合体被覆を形成することができず、その代わりに床壁上(又は床壁の部分上)には重合体をほとんど又は全く形成しない。効果的な重合体被覆がなければ、このような処理に失敗した反応器は、メタロセン触媒を使用した重合反応中に特に、帯電及びシーティングに影響を受けやすい。
本発明者は、従来の再処理方法の間におけるクロモセン溶液(又は他の溶液触媒)の従来の適用方法では、当該溶液触媒が床壁と接触する前に蒸発し(又は昇華を受け)、それにより当該触媒が液滴の状態で床壁に付着しないことを知見した。これは、従来の方法では効果的で確実な床壁上の重合体被覆を形成させなくする。
流動床重合反応器の床壁及び他の内部表面上に効果的で確実な重合体被覆を形成させるためのさらに確実な方法が必要とされている。
米国特許第4803251号明細書 米国特許第5391657号明細書 米国特許第4532311号明細書 米国特許第4792592号明細書 米国特許第4876320号明細書
汚れの問題は、重合反応装置系の内部表面に溶液触媒を塗布し、次いで重合反応(塗布した触媒により触媒される)を実行してそれぞれの表面上に重合体被覆を形成させる工程を含む方法を行うことにより生じる場合が多い。特に、重合体被覆の材料の過剰量が当該系の部材を汚す可能性がある。いくらかの反応装置系の部材(例えば、分配プレート及びコンプレッサの基部)が特にこのタイプの汚れを起こしやすい。このような方法を改変して重合体被覆の材料によるこのような反応装置系部材の汚れを低減させ又はなくすことができるならば、望ましいであろう。
概要
所定の実施形態では、本発明は、流動床重合反応装置系の少なくとも一つの内部表面(例えば、床壁)の処理方法であって、溶液触媒を少なくとも実質的に均質で溶液の状態(例えば、溶液触媒の液滴の状態)で該表面のそれぞれに塗布する工程を含むものである。典型的には、当該塗布された溶液触媒は乾燥して(又は当該溶液触媒を乾燥させて)それぞれの表面に触媒の乾燥被覆を残し、次いで重合反応(当該触媒により触媒される)を実施してそれぞれの表面上に、反応装置系でのその後の重合反応の間に当該反応装置系内での帯電を低減させる(それによってシーティングの可能性を低減させる)絶縁層として確実に機能する重合体被覆を形成させる。本発明に従って液体の状態の溶液触媒を塗布した後に溶液触媒の溶媒成分(例えば、トルエン)を乾燥させるのに最良の乾燥温度及び他の最良のパラメーターは、個別具体的な状況によって決まるであろう。広範囲の乾燥パラメーターのいずれか(例えば、乾燥温度)が当該個別具体的な状況に最も依存していると考えられる。
いくつかの実施形態では、処理される内部表面は、反応装置系の床壁である。典型的には、当該反応器は、分配プレートと再循環ラインとを備え、処理される少なくとも一つの内部表面は、該分配プレート、該再循環ライン及び該反応装置系の床壁のうちの少なくとも一つである又はこれらの少なくとも一つを備える。好ましい実施形態では、溶液触媒の液滴をそれぞれの内部表面(重合体被覆が形成されるべき内部表面)に塗布して当該それぞれの表面を液体状態の溶液触媒で少なくとも実質的に均一に被覆し、その後当該塗布された溶液触媒が蒸発し又は昇華を受ける。
所定の実施形態では、当該溶液触媒の触媒成分は、クロム含有化合物(「CCC」)である又はそれを含む。このような実施形態のいくつかでは、当該CCCはクロモセンである。いくつかの実施形態(当該溶液触媒がクロモセンを含むものなど)では、溶液触媒の溶媒成分はトルエンである。他の実施形態では、当該溶媒成分は、ベンゼン、イソペンタン、ヘキサン又は特定の用途(特定の触媒を塗布すること及び分散方法を使用することを含む)に好適な別の溶媒である。触媒がクロモセンである場合には、極性溶媒(例えば、水)を溶媒として使用することは許されない。触媒成分がCCCである好ましい実施形態では、形成される(当該触媒が触媒する重合反応により)重合体被覆はポリエチレンである。一般に、この溶媒は不活性であることが望ましく、また、溶液触媒は、この触媒をそれぞれの該当する表面に塗布し、そして所望の重合体被覆形成重合を開始した後までこの触媒が反応しないように、反応装置系内の不活性ガス環境中に導入することが望ましい。典型的には、この溶媒は、単に触媒を運び、また、当該触媒が反応器内に分散し、床壁に付着する(液体の状態で)ことを助けるように機能するに過ぎない。
本発明に従って反応装置系の内部表面に溶液触媒を液体の状態で塗布と、当該表面上に、当該溶液触媒を塗布前に蒸発又は昇華させた場合よりも厚い重合体被膜が形成し得る(この塗布した触媒によって触媒されるその後の重合反応の間に)。重合体被覆の厚みの増大は、当該被覆の形成後の重合操作(「通常の」重合操作)の間に当該被覆を当該系の帯電を最小化するのにさらに効果的なものにすることが予想される。さらに重要なことに、本発明の好ましい実施形態に従って液体の状態で触媒を塗布すると、被覆されるそれぞれの表面上に重合体被覆を形成させるその後のプロセスの間に、塗布された触媒の反応性が増大し、それにより、被覆されるそれぞれの表面の少なくともいくつかの領域上に不十分な厚みの重合体被覆が形成されるというリスクが低減する。本発明の好ましい実施形態に従って反応器表面に液体の状態で溶液触媒を塗布すると、当該表面上に効果的で確実な重合体被覆をより確実に形成させることができること、及び効果的で確実な重合体被覆を形成させるのに失敗する可能性が低減することが予想される。
本発明に従って反応器の表面に液体の状態で塗布されるクロモセン触媒は、当該触媒を従来通り(蒸気として)塗布した場合よりも小さな結晶構造を有すると推測される。この小さな結晶は、本発明に従って塗布された触媒が、その後の重合体被覆形成重合反応を触媒する際に、従来通りに塗布された場合よりも効果的であるという観察結果に寄与するいくつかの要因のうちの一つであることができる。
本発明の方法の実施形態のうちの2つは、従来の溶液触媒塗布方法の改良型である。それぞれ、重合反応装置系の床壁に(並びに、随意に当該反応装置系の少なくとも一つの他の内部表面、例えば、分配プレート及び/又は再循環ラインにも)溶液触媒を液体の状態で塗布する工程を含む。両方の場合において、当該塗布された溶液触媒は、クロモセンの芳香族溶媒溶液、例えばトルエン溶液(例えば、クロモセンの5〜8重量パーセントトルエン溶液)であることができる。従来の方法では、導入された溶液触媒は、床壁のほとんどの部分と接触する前に蒸発する。つまり、従来の方法は、上記本発明の実施形態に従う液体付着とは異なり蒸着により触媒を床壁に塗布するのである。
上記実施形態の一つでは、不活性ガスを含み、かつ、好ましくは重合体のない反応器の側部にある入口を通して溶液触媒(例えば、クロモセン溶液)を注入する。この部類におけるいくつかの好ましい実施形態では、反応器は窒素しか含まず、また、溶液触媒は、反応器の側部を通して延びる供給管を介して注入する(例えば、図1の管2)。他の好ましい実施形態では、液体の状態の溶液触媒は、反応器のガス再循環ライン(例えば、図3の管5)に注入することによって反応装置系に導入される。当該再循環ラインの断面積は小さいため(当該反応容器の断面積と比較して)、溶液触媒を直接再循環ラインに注入すると(それと同時に再循環ガス流れが再循環ラインを介して流れる)、通常、処理される反応装置系の各表面(床壁及び典型的には分配プレートと再循環ラインも含む)上に、液体の状態の溶液触媒を再循環ラインの出口(そこから再循環ガス流れが反応容器に流れる)から離れた位置で反応容器に直接注入した場合よりも溶液触媒の効果的な分配及び均一な被覆が得られる。溶液触媒を反応容器の側面にある供給管から反応容器に直接注入する従来の方法では、溶液触媒は、反応器壁部の側面と分配プレートとに流れ、そこで蒸発し(液体蒸発及び/又は昇華により)、その後反応器壁部の大部分に到達するため、当該触媒は、液体ではなく蒸気として床壁のほとんどの部分に接触する。本発明によれば、溶液触媒は、当該溶液の少なくとも実質的量が床壁と接触する前(また、随意に、重合体被覆で被覆される当該反応装置系の少なくとも一つの他の内部表面、例えば、分配プレート表面及び/又は再循環ライン表面と接触する前)に蒸発も昇華もしないような条件下で、及び、液体の状態の溶液触媒が床壁全体にわたって少なくとも実質的に均一に床壁に接触する(また、随意に、重合体被覆で被覆される他の表面のそれぞれと少なくとも実質的に均一に接触する)ような条件下で注入される。好ましくは、溶液の状態の溶液触媒を床壁と十分に均一に接触させた後に、反応器をガス抜きして、当該系内に残る(例えば液体の状態で残る)溶液触媒の溶媒成分(典型的にはトルエン)の少なくともいくらか(例えば、ほとんど又は全て)を除去する。液体の状態の溶液触媒の塗布後に当該溶媒を除去する(乾燥を含むことができる)ための最良のパラメーター(反応器の温度を含む)は、特定の状況次第であろう。
本発明の方法のいくつかの実施形態では(例えば、塗布される溶液触媒の触媒成分がクロモセン又は別のCCCであるいくつかの実施形態では)、溶液触媒の塗布及びその後の溶媒の十分な量の除去の後に、当該系に酸素を導入して、床壁及び随意に重合体被覆を受け入れる他の表面のそれぞれに付着した触媒を酸化させ、次いで、過剰の酸素を該系からパージする(例えば、高純度の窒素で)。典型的には、付着させたクロモセン(又は別の付着CCC)を制御された態様で酸化させる酸化工程後に、当該系から過剰の酸素をパージすること(例えば、高純度の窒素で)が必要である。
触媒成分がクロモセン(又は別のCCC)である溶液触媒を反応装置系の少なくとも一つの内部表面に塗布するいくつかの実施形態では、このような表面のそれぞれは、清浄化及び粗化され(例えば、グリットブラストにより)、次いで、酸化を受け(例えば、グリットブラストの間及び/又はグリットブラストの後に、例えば、グリットブラスト後の48時間間隔にわたって、反応装置系を開いて各表面を周囲空気に露出させることによって)、次いで、溶液触媒をそれぞれの清浄化され、粗化され、そして酸化された表面に塗布する。当該溶液触媒を各表面に塗布した後に(好ましくは本発明の任意の好ましい実施形態に従って)、通常、それぞれの表面上に保護用の重合体被覆が形成される(好ましくは、塗布されたCCCが制御酸化工程を受け、典型的には続いて当該系から過剰の酸素をパージした後に)。一般に、所望の重合体被覆は、それぞれの表面(典型的には床壁、また、随意に少なくとも1つの他の表面)上に、付着触媒が触媒する重合によって形成される(この場合、所望の重合体被覆はポリエチレンであり、付着触媒はCCCであり、当該重合は、典型的には、当該付着CCCの制御酸化、次いで当該系からの過剰酸素のパージの後に実行される)。重合体被覆の形成を開始させるために、エチレン及び触媒毒スカベンジャー/助触媒(例えば、トリエチルアルミニウム(TEAl)又は別のアルミニウムアルキル)が当該系に典型的に添加される。通常、クロモセン及び他のCCC触媒を使用してエチレンを重合させる(他の単量体ではない)。溶液触媒の塗布後の酸化工程は、通常、塗布触媒がクロモセンである場合に必要であるが、このような酸化工程は、他のCCC触媒(例えば、シリルクロメート)には必要ではないかもしれない。新たな単一部位CCC触媒を使用してエチレン以外の単量体を重合させることができるが、このような単一部位CCC触媒が塗布後酸化を受けることが必要であろうとは考えにくい。
他の実施形態では、溶液触媒(例えば、クロモセン溶液)は、不活性ガス(例えば、窒素)を含みかつ少なくとも実質的に重合体がない反応器に噴射される。このような実施形態のいくつかでは、当該溶液触媒は、当該溶液の小さな液滴(典型的には約20ミクロンの直径を有する)を生じさせる1個以上の噴霧ノズルにより噴射され、当該溶液は当該反応装置系全体にわたってガス流中に閉じこめられた状態になる。典型的には、溶液触媒の液滴は、実質的に純粋な窒素と、注入された触媒を溶解させる同一の溶媒(例えばトルエン)とを含む流動ガス流中に閉じこめられた状態になり、そして反応装置系全体に運ばれる。これらの液滴は、最終的に反応装置系の床壁、再循環ライン及び分配プレートと接触し、そして、溶液触媒は、床壁上に(及び、随意に、重合体被覆で被覆される他の表面のそれぞれ、例えば、再循環ライン及び分配プレートにも)少なくとも実質的に均一に液体の状態で付着する。溶液触媒を反応器に小さな液滴の状態で噴射する従来の方法では、溶媒(例えば、トルエン)は、反応器内で迅速に蒸発し(典型的には数秒以内)して触媒の乾燥粉末(例えば、クロモセン結晶)が生じる。この触媒粉末は、昇華の二段階方法(固体状態から蒸気まで)により反応器の金属表面に付着し、その後当該金属壁上に吸着すると考えられる。本発明によれば、溶液触媒は、反応装置系に、当該溶液の液滴の少なくとも実質的な量がその床壁と(及び随意に分配プレート及び再循環ラインとも)接触する前に蒸発しないような条件下で噴射され、それにより、溶液触媒の液滴が床壁及び随意に分配プレート及び再循環ラインに液体の状態で接触する(すなわち、実質的な量の溶液触媒が接触する)。好ましくは、溶液触媒の液滴が均一な又は実質的に均一な分布で床壁上に付着し(その表面全体にわたって)、また、随意に分配プレート及び再循環ライン上にも付着する。好ましくは、溶液触媒の液滴が該当する各表面と十分に均一に接触した後に、反応器のガス抜きをして溶媒(トルエンであることができる)のほとんどを乾燥させ、除去する。本発明に従って溶液触媒の液滴を塗布した後にその溶媒を乾燥及び除去するための最良のパラメーター(例えば、乾燥温度)は、特定の状況によって決まるであろう。いくつかの実施形態では、当該溶媒の十分な量を除去した後に、当該系に酸素を導入して、床壁と、随意に重合体被覆を受けるための他の各表面とに付着した触媒(例えば、クロモセン)を酸化させる。当該系から過剰の酸素をパージ(例えば、高純度の窒素で)した後(このようなパージが必要な場合)、又は過剰の溶媒を除去した後(例えば、酸化工程を実行しない場合)に、続いて、所望の重合体被覆を当該床壁上に(及び随意に他の各表面にも)当該付着触媒が触媒する重合によって形成させる。重合体被覆の形成を開始させるために、通常は、エチレン及び触媒毒スカベンジャー/助触媒(例えば、トリエチルアルミニウム(TEAl)又は別のアルミニウムアルキル)を当該系に添加する。
本発明の方法のいくつかの実施形態では、クロモセン溶液(又は他の溶液触媒)を、液体の状態の当該溶液触媒で反応器の床壁(及び随意に分配プレート及び再循環ライン)を少なくとも実質的に均一に湿らせるような方法で、反応器に注入する(例えば液滴の状態で)。この注入は、液体の状態の溶液触媒の乾燥速度が床壁の(及び随意に分配プレート及び再循環ラインの)少なくとも実質的に均一な湿潤を妨げない程度に十分に低いような条件下で行う。典型的には、十分に低い乾燥速度は、湿潤工程の間に反応器内で十分に低い温度を維持することによって、及び/又は、湿潤工程の間に、反応装置系の内容物(溶液触媒を含む)の露点温度を湿潤工程中に反応器の温度にまで(又はその温度より低いが、ただしそれに十分に近い温度にまで)上昇させるのに十分な反応器内の状態を保持することによって与えられる。
溶液触媒を塗布する間に、反応器床壁は、反応器全体にわたる平均温度よりも低い温度を有することができる(典型的には低い温度にする)。つまり、本発明のいくつかの実施形態に従って溶液触媒を液体の状態で反応器の床壁に塗布する間に、床壁での液体状溶液触媒の乾燥速度を、床壁全体を均一に(又は十分均一に)湿らせる程度に十分に低く維持する反応器の状態が床壁に存在すれば十分であるが、ただし、このような反応器の状態は、当該床壁から離れては存在しない(例えば、反応器の内容物の露点温度は、反応器全体にわたる平均温度よりも実質的に低い、或いは遙かに低い)。いくつかの実施形態では、この床壁での状態(ただし、必ずしも反応装置系全体である必要はない)を溶液触媒の床壁への液体状態での塗布中に積極的に維持して、床壁での液体状溶液触媒の乾燥速度を、床壁全体を均一に(又は実質的に均一に)湿らせる程度に十分に低く維持する。他の実施形態では、反応装置系全体の状態を、溶液触媒の床壁への液体状態での塗布及び/又は液体状溶液触媒が塗布される他の各内部表面への塗布の間に積極的に維持して、このような各表面での液体状溶液触媒の乾燥速度を、このような各表面を均一に(又は実質的に均一に)湿らせる程度に十分に低く維持する(例えば、湿潤工程中に、反応装置系の内容物(当該溶液触媒を含む)の露点温度を床壁の温度よりも高く(又はそれよりも低いが、ただしそれに十分に近く)維持する)。いくつかの実施形態では、床壁での状態を溶液触媒の床壁への液体状態での塗布中に積極的には維持せず、その代わりに当該床壁の温度は、床壁での液体状溶液触媒の乾燥速度を、床壁全体に均一な(又は実質的に均一な)湿潤を達成する程度に十分に低く維持するために十分に低い(かつ、受動的には依存する)(この場合には、当該溶液触媒は、床壁全体を適切に湿らせるような方法で、塗布、例えば複数のノズルを介して注入される)。
反応器の床壁(及び随意に分配プレート及び再循環ライン)を溶液触媒の液滴で適切に液体湿潤させるためには、液滴の迅速な乾燥を防ぐことが重要である。適切な液体湿潤前に反応装置系内でかなりの乾燥が生じた場合には、液滴の非常に多くが床壁又は関連のある他の表面と接触する前に乾燥粉末になるであろう。床壁(又は分配プレート若しくは再循環ライン)上の乾燥粉末は、所望の重合体被覆を形成する際に、液滴よりも確実性及び有効性が少ないであろう。溶液触媒がトルエンに溶解されたクロモセンであるいくつかの実施形態では、溶液触媒の液滴の十分に穏やかな乾燥は、液滴乾燥についての半減期を、当該系内における再循環ガス回転時間の少なくとも最低2倍に維持することによって達成される(ここで、「ガス回転時間」とは、反応装置系(反応器と再循環系とを含む)の全体積を、当該再循環系を介したガスの体積流量で割ったもののことである)。
いくつかの実施形態では、溶液触媒についての十分に緩慢な乾燥速度は、湿潤工程中に、反応装置系(溶液触媒を有する)に追加の溶媒を供給して当該反応装置系(溶液触媒を含む)の内容物の露点温度を反応器の温度に(又はそれよりも低い温度であるが、ただしそれに十分に近い温度に)上昇させることによって得られる。この追加の溶媒は、触媒を溶解させる同一の溶媒(例えば、典型的な実施形態ではトルエン)であることができる。好ましくは、当該追加の溶媒を当該溶媒触媒の注入前に反応器に予め装入しておく。或いは、追加の溶媒は、従来供給されていたものよりも希薄な溶液触媒を供給することによって与えられる。好ましくは、湿潤工程中に、必要なだけの追加の溶媒を供給して、露点温度を反応装置系内の最も冷たい箇所(典型的にはコンプレッサ入口)でのガス温度の5〜30℃以内に上昇させる。十分に高い露点温度は、溶液触媒の液滴の必要な緩慢乾燥を与えると共に、反応器の壁部部分上で液体が凝縮するのを防止するであろう。このような凝縮は、防止されなければ、反応器の壁部部分上に過剰濃度の触媒を生じさせるであろう。これらの実施形態を実行するのに必要な追加溶媒の量を最小にするために、反応器のガス温度を比較的低い(例えば、従来よりも低い)値に維持する。溶液触媒がトルエンに溶解されたクロモセンである場合には、好ましいガス温度範囲は、コンプレッサの入口で10〜40℃である。
本発明のいくつかの実施形態によれば、反応器の床壁(及び/又は分配プレート及び/又は再循環ライン或いは反応装置系の他の表面)を溶液触媒で液体湿潤させることは、当該反応装置系内で溶液触媒の液滴を形成させるによって達成される。次いで、これらの液滴は、反応装置系を通して比較的緩慢な乾燥環境内に閉じこめられる。本発明者は、液体溶液として床壁(又は分配プレート若しくは再循環ライン)上に付着した触媒が、蒸気相から又は従来の方法と同様に乾燥粉末として付着した触媒よりも、関連する各表面上に効果的で確実な重合体被覆を形成させるのに非常に効果的であることを見出した(一部、試験の結果として)。
いくつかの実施形態では、溶液触媒は、他の内部表面よりもむしろ床壁上に優先的に付着する。いくつかの実施形態では、溶液触媒を、反応装置系内に、床壁の下部に近い複数の箇所で導入する。例えば、溶液触媒は、上向きに設置された複数の注入装置(例えば、水平面の上約40〜約50度の範囲の角度に向けられた注入装置)により導入できる。その代わりに、この複数の注入装置は、円筒型(又は略円筒型)の床壁の周囲の水平面に、それぞれ、床壁の接線から内側に約40〜約50度の範囲の角度で設置できる。当該注入装置は、分配プレートの上約0.15〜約1.0メートル(又は約0.40〜約0.60メートル)に設置でき、随意に、各装置の出口は、床壁から約0.10〜約0.50メートル(又は約0.10〜約0.20メートル)離れて設置され、また、随意に、各注入装置は、約100〜約120度の円錐角を有する溶液触媒の略円錐噴射を放出するように配置される。いくつかの実施形態では、溶液触媒は、当該床壁に当該触媒を、実際に床壁と接触する液滴により直接供給するように、1個以上の注入装置から噴射される。いくつかの実施形態では、複数の注入装置は、反応器の壁部に対して接線方向に向けられ、床壁の下部に噴射された溶液触媒が反応器の周囲を少なくとも実質的に一周して直接激突するのを確保するように設置される(また、好ましくは、それによって当該注入装置からの噴射パターンのいずれの重複も最小限に抑えられる)。いくつかの実施形態では、床壁上への溶液触媒の良好な初回通過接触は、溶液触媒が再循環ガスと共に流れるときに反応器壁部の上方を移動する渦巻き状の溶液触媒含有雲状物を創り出すように、床壁周囲の複数の箇所で溶液触媒を導入することによって達成される。
本発明の別の側面は、流動床重合反応器の床壁上に重合体被覆を形成させるための方法であって、次の工程:
該床壁に溶液触媒を液体の状態で(例えば、液滴の状態)で該床壁にわたって少なくとも実質的に均一に塗布し、好ましくは、次いで、該塗布された溶液触媒を乾燥させ(又は該塗布された溶液触媒が乾燥し)、それによって乾燥触媒を該床壁上に残し;そして
工程(a)の後に、該反応器内において、該塗布された触媒が触媒する重合体被覆形成重合反応を実行し、それによって該床壁上に重合体被覆を形成させること
を含む方法である。
好ましくは、工程(b)で形成された重合体被覆は、該重合体被覆形成重合反応の後に該反応器内で実行されるその後の重合操作(本明細書においては、「通常の重合操作」ということがある。)の間に、該反応器内に樹脂シートが形成する傾向を実質的に低減させる程度に十分に厚い。いくつかの実施形態では、溶液触媒は、トルエンに溶解されたクロモセン(又は他のクロム含有化合物)である。好ましくは、工程(a)は、当該溶液触媒を当該床壁に塗布した後に当該反応器から溶媒を除去する工程も含む。いくつかの実施形態では、当該反応器は、分配プレート及び再循環ラインを有し、工程(a)は、溶液触媒を液体の状態で分配プレート及び再循環ラインの少なくとも一つ並びに該反応器の床壁に該分配プレート及び該再循環ラインの該少なくとも一つにわたって少なくとも実質的に均一に塗布する工程を含む。随意に、工程(a)と(b)を実施する間に、当該塗布された溶液触媒を酸化させ、次いで、該反応器を開放し、そして清浄にする。典型的には、反応器工程(b)を実施する間に、該反応器内には流動床は存在しない。随意に、当該方法は、工程(b)を実施した後に床壁上の重合体被覆のポリッシング工程も含む。
本発明の別の側面は、重合反応装置系であってその床壁(並びに、随意に当該系の少なくとも一つの他の内部表面、例えば、分配プレート及び/又は再循環ライン表面も)が本発明に従って重合体(例えば、高分子量重合体)で被覆されたものにおいて重合体生成物(例えば、メタロセン系触媒を使用して製造されたポリオレフィン生成物)を製造する方法である。当該重合体被覆は、本発明に従い、該重合体が被覆される反応装置系の床壁及び他の各内部表面に溶液触媒を少なくとも実質的に均一に溶液の状態で塗布する工程を含む方法によって形成されたものである。典型的には、この重合方法は、流動床反応装置系において、触媒又は触媒系の存在下で単量体及び随意に共単量体を重合させることによってポリオレフィンを生成する。いくつかの実施形態は、流動床反応器内において、重合の間にシーティングを引き起こす傾向がある触媒(又は触媒系)の存在下で、シート形成の可能性がある該反応器における少なくとも一部位での静電荷を、シート形成を引き起こすであろう静電荷レベルよりも下に維持することによって、α−オレフィンを重合させるための方法であり、ここで、該反応装置系の床壁(及び随意に少なくとも一つの他の内部表面も)は、溶液触媒(典型的にはクロム含有化合物を含む)を少なくとも実質的に均一にかつ液体の状態で該床壁に(及び随意に少なくとも一つの他の内部表面にも)塗布することなどにより、該床壁上に重合体被覆を形成させることによって予備処理されている。
流動床重合反応装置系を組み立てた後で、クロモセン処理(又はその少なくとも一つの内部表面上に重合体被覆を形成させる準備段階としての別の処理)を受ける前に、当該系の表面を亜鉛系ペイントで塗装を施して、当該処理の前に塗装表面上にさびが形成するのを防止する場合が多い。このような亜鉛コーティングは、当該系が処理を受け、次いで運転に入る前にかなりの時間にわたり保管されることが予想される場合に適用できる。本発明者は、流動床重合反応装置系の亜鉛被覆表面にクロモセン処理を実施すると、当該クロモセン処理は、驚くべきことに、その表面がそのままの(亜鉛被覆されていない)場合よりも重合体形成の予備段階としては有効性が低いことを見出した。本発明者は、表面がそのままの場合よりも少ない重合体が亜鉛被覆表面上に典型的に形成されること、亜鉛被覆表面上に形成される重合体は、メタロセン系触媒でPE樹脂を製造するための当該処理反応器の操作の間に望ましくないレベルの静電荷及びシーティングの発生を防止するにはさほど有効でない場合があること、及び当該系の帯電特性は、クロモセン処理の開始時に表面がそのままの状態であった場合よりも、生成される重合体の特性に影響を受けやすい場合があることを見出した。亜鉛被覆した反応器壁部のクロモセン再処理後には少しの重合体被膜しか形成され得ないが、この被膜の特性は、チーグラー・ナッタ系触媒のような影響の少ない触媒による操作にとっては妥当であると考えられる。
所定の実施形態では、本発明は、流動床重合反応装置系の内部表面の処理方法であり、該系は、該方法の実施の間に(又は該方法を実施した後の重合工程の間に)、過剰量の重合体被覆物質が該系の少なくとも一つの表面に形成される場合に汚れやすい少なくとも1個の要素(例えば、部材又は部品)を備え(該少なくとも一つの表面は、「影響を受けやすい」表面と呼ばれる該系の内部表面である)、ここで、該系は、過剰の重合体が形成される場合でも該系のいずれかの要素の汚れを生じさせない少なくとも一つの他の内部表面(「影響を受けない」表面という)も有する。つまり、この系は、任意の該「影響を受けやすい」表面上に形成された重合体被覆物質による汚れよりも、任意の該「影響を受けない」表面上に形成された重合体被覆物質(該方法の実施の間に又は該方法を実施した後の重合工程の間に)による汚れに、次の意味で影響を受けにくい:該反応装置系の「被覆後」操作(すなわち、影響を受けやすい表面と影響を受けない表面とのぞれぞれに重合体被覆を形成させた後の操作)の間に、該系は、第1厚さ(又は第1平均厚さ)の重合体被覆が影響を受けない表面上に形成された場合には許容できる程度に稼働できるが、ただし、該系は、該第1厚さの重合体被覆(又は第1平均厚さ)が少なくとも一つの該影響を受けやすい表面上に形成された場合には許容できる程度には稼働できない。言い換えれば、該系は、該第1厚さ又は平均厚さの重合体被覆が少なくとも一つの影響を受けやすい表面上に形成された場合に汚れ(該系の許容できる被覆後操作を阻害するタイプの汚れ)を受けやすいのに対し、該系は、同じ厚さ又は平均厚さの重合体被覆が影響を受けない表面のそれぞれに形成された場合にはこのような汚れを受けない。典型的な流動床重合反応装置系では、分配プレート、冷却器、再循環ガスライン及びコンプレッサ基部の表面は、「影響を受けやすい」表面である場合が多く、反応器の床壁は、「影響を受けない」表面である場合が多い(このような系では、分配プレート、冷却器、再循環ガスライン及びコンプレッサ基部は、反応器の床壁よりも過剰の重合体物質による汚れを受けやすい)。
前段落で述べた実施形態では、本発明は、流動床重合反応装置系の内部表面の処理方法であって、該表面は、少なくとも一つの影響を受けやすい表面(例えば、分配プレート表面、冷却器表面、コンプレッサ表面及び/又は再循環ライン表面)と、少なくとも一つの影響を受けない表面(例えば、反応器の床壁又はその部分)とを備え、該方法は、次の工程:(a)亜鉛コーティング(例えば、亜鉛系ペイントのコーティング)を少なくとも一つの影響を受けやすい表面に(例えば、該影響を受けやすい表面のそれぞれに)施すが、ただし、少なくとも一つの該影響を受けない表面には(例えば、該影響を受けない表面のいずれかには)施さず;そして、(b)工程(a)の後に、溶液触媒を少なくとも実質的に均質でかつ溶液の状態(例えば、溶液触媒の液滴の状態)で該影響を受けやすい表面のそれぞれと該影響を受けない表面のそれぞれとに塗布することを含む。このような実施形態のいくつかでは、当該溶液触媒の触媒成分は、CCCであり又はCCCを含む。例えば、当該溶液触媒の触媒成分は、いくつかの実施形態ではクロモセンであり又はクロモセンを含む。典型的には、当該塗布された溶液触媒を乾燥させて(又はこれが乾燥して)該影響を受けない表面のそれぞれに(及び典型的には該影響を受けやすい表面のそれぞれにも)触媒の乾燥被膜を残し、次いで重合反応(該触媒により触媒される)を実行して、該影響を受けない表面のそれぞれに(及び随意に該影響を受けやすい表面のそれぞれにも)、反応装置系でのその後の重合反応の間に該反応装置系内での帯電を低減させる(それによってシーティングの可能性を低減させる)絶縁層として確実に機能する重合体被覆を形成させる。好ましくは、これらの工程は、該反応装置系でのその後の重合反応の間に、影響を受けやすい表面のいずれかに望ましくない量の重合体を形成させることなく(すなわち、影響を受けやすい表面のいずれかを汚すことなく)、影響を受けない表面のそれぞれに形成された重合体被覆が該反応装置系内において帯電を低減させる(及びそれによってシーティングの可能性を低減させる)絶縁層として確実に機能するように実施される。これは、重合体被覆形成重合反応の後(及び被覆後重合反応を実施するための反応装置系のその後の操作の前)に該系を清浄にする(又は清浄化のために開放する)必要をなくし、及び/又は溶液触媒を塗布する工程(及び随意に該塗布触媒のその後の酸化)の後で、重合体被覆形成重合反応の前に、反応装置系を清浄にする(又は清浄化のために開放する)必要をなくす。例えば、該亜鉛コーティングは、影響を受けやすい表面のぞれぞれに許容できる量を超える量の重合体が形成するのを防止する(例えば、分配プレート及び/又はコンプレッサが重合体で汚れるのを防止する)ように施すことができる。該亜鉛コーティングは、影響を受けない各表面よりも、影響を受けやすい各表面で少ない重合体を形成するように(例えば、影響を受けやすい表面のそれぞれに形成された重合体被覆は、影響を受けない表面のそれぞれに形成された同被覆よりも薄く又は小さい平均厚さを有する)施すことができる(及び他の方法の工程を実施する)。
実施形態の別の部類では、本発明は、流動床重合反応装置系の少なくとも一つの内部表面(例えば、床壁)の処理方法であって、該表面のそれぞれに溶液触媒を塗布し、ここで、該溶液触媒の触媒成分は、少なくとも1種のクロム含有化合物(「CCC」)であり又はこれを含み、次いで、(随意に、任意の過剰の溶媒を除去した後に)該系に酸素を導入して、塗布されたCCCの少なくともいくらかの制御酸化を生じさせる(すなわち、塗布されたCCCの少なくともいくらかを制御された方法で酸化させる)工程を含む方法である。いくつかの実施形態では、該CCCはクロモセンを含む。この部類における好ましい実施形態では、該酸化工程中における該系の酸素濃度は、200ppm(100万分の1体積分率)を超えないように、より好ましくは100ppmを超えないように制限される。いくつかの実施形態では、該酸化工程は、好ましくは該酸化工程が約2時間未満(いくつかの実施形態では約1時間未満)に完了するように持続時間が制御される。典型的には、続いて重合反応(当該触媒により触媒される)を実施してそれぞれの表面に重合体被覆を形成させる。好ましくは、このようにして形成された被覆は、反応装置系でのその後の重合反応の間に、反応装置系での帯電を低減させる(及びそれによってシーティングの可能性を低減させる)絶縁層として確実に機能する。好ましくは、該溶液触媒は、それぞれの表面に、少なくとも実質的に均一にかつ液体の状態で(例えば、溶液触媒の液滴の状態)で塗布される。典型的には、酸化工程前に、当該塗布された溶液触媒を乾燥させて(又は当該触媒は乾燥して)それぞれの表面上に触媒の乾燥被膜を残す。
図1は、反応器4に溶液触媒を注入するための管2を備える従来技術の慣用型気相重合反応装置系の略図である。 図2は、反応器4に溶液触媒を注入するための噴霧ノズル3を備える気相重合反応装置系の一部の略図である。 図3は、再循環ライン11に溶液触媒を注入するための注入管5を備える気相重合反応装置系の一部の略図である。 図4は、溶液触媒を、注入装置300を介して反応器に導入する流動床重合反応装置系の一部の略図である。 図5は、流動床反応器内部に設置された複数の注入装置300の位置及び向きを示す、図4において部分的に示された反応装置系の別の部分の上面図である。 図6は、複数の実験において、複数の試験クーポンであってそれぞれのクーポンがその上に指示量(グラム)のクロモセン触媒を液体付着(ダイヤモンド形記号のプロットにより示される)又は蒸着(正方形の符号のプロットによって示される)のいずれかにより付着させることによって予備処理されたものに形成された重合体の質量(グラムで表す)のグラフ図である。 図7は、1セットの金属クーポン上の測定被膜厚のグラフである。
詳細な説明
本発明の化合物、成分、組成物及び/又は方法を開示し説明する前に、本発明は、特に示さない限り、特定の化合物、成分、組成物、反応物質、反応条件、配位子、メタロセン構造などに限定されず、それ自体は、特に特定しない限り変更可能であることを理解すべきである。また、ここで使用した用語は、単に特定の実施形態を説明するためのものにすぎず、限定を意図するものではないことも理解すべきである。
また、本明細書及び添付した請求の範囲において使用するときに、単数形の「a」、「an」及び「the」には、特に特定しない限り、複数の対象が含まれることにも留意しなければならない。
ここで使用するときに、元素の周期律表及びそれらの族については、特に注記しない限り、全て、HAWLEY’S CONDENSED CHEMICAL DICTIONARY,第13版,John Wiley & Sons,Inc.,(1997)(そこではIUPACから許可を得て複製されている)において発行されたNEW NOTATION(新表記法)を参照する(例えば、そこには、先のIUPAC形式を示すローマ数字も含まれている)。
簡潔にする目的で、「背景技術」で与えた定義を繰り返さないが、関連がある場合には引用によりこの節に含める。
所定の実施形態は、予め重合体が被覆された床壁(及び反応装置系の少なくとも一つの他の内部表面)を有する流動床反応器において、触媒又は触媒系の存在下でα−オレフィン(或いは他の単量体及び/又は共単量体)を重合させるための改良方法である。重合体被覆は、本発明に従い、該被覆が形成される該反応装置系の床壁及び他の各内部表面に、溶液触媒を液体の状態で少なくとも実質的に均一に塗布する工程を含む方法によって形成されたものである。この重合体被覆は、重合反応中に該反応装置系における帯電を低減させ、それによってシーティングの可能性を低減させる。いくつかの実施形態では、該重合体被覆は、該反応器の床壁上に約10ミル(0.25mm)を超える厚さを有し得る高分子量重合体被覆である。ここで、「高分子量重合体被覆」という語句は、不溶性重合体画分を少なくとも25重量%と、高温GPC(150℃のトリクロルベンゼン溶媒、2時間160℃で準備し175℃で2時間マイクロ波処理した試料を使用する)によって測定したときに、少なくとも100万ダルトン以上の分子量を示す少なくとも10重量%の重合体(該高分子量重合体被覆の総重量に基づく)を有する可溶性重合体画分とを含む被覆を意味する。
本発明の方法のいくつかの実施形態を図1〜5を参照しつつ説明する。
図1は、反応器4と、反応器4の側壁を介して延在する少なくとも1個の単純注入管2とを備える慣用型の重合反応装置系の簡略図である。該系の通常の重合操作の間、反応器4内で流動床を維持する。通常の重合操作中に流動床と接触する反応器4の内部表面を「床壁」という。通常の重合の前に、本発明の方法の実施形態を実施して該床壁(及び随意に該反応装置系の他の内部表面も)を重合体被覆で予備被覆することが望ましい。予備被覆方法の間に、溶液触媒を管2に介して導入し、そして、これを重合体で予備被覆される該系の床壁及び他の各内微表面に液体の状態で塗布し、次いで、該塗布触媒の存在下で特別の重合反応を実施して重合体被覆を形成させる。この特別の重合反応は、重合体被覆を形成させた後に該反応器内で通常実施される通常の重合反応ではない。
図1を参照すると、管2は、反応器4内の流動ガス流れに溶液触媒(例えば、クロモセン溶液)を注入するために設置されている。本発明の所定の実施形態では、このようなガス流れは、該溶液触媒を液体の状態で該系の床壁及び関連する他の各内部表面に塗布する間に、再循環ライン11の出口から反応器4を通って上方に流れる。管2は、典型的な実施の際には約1/8インチ〜1/4インチの範囲の内径を有し、かつ、該反応装置系の通常の重合操作でも使用される同一の触媒注入管であることができる。従来の溶液触媒の注入と、本発明に従う溶液触媒の注入との両方の間に、溶液触媒は、管2を介して反応器4に注入されるが、反応器4は重合体がなく、また、再循環ガスコンプレッサ6は、ガスを、再循環ライン11の出口から分配プレート10内の穴を通ってライン11の入口まで、反応器4を通って上方に流れさせる。溶液触媒がトルエンに溶解されたクロモセンである一実施形態では、溶液触媒の注入中における反応器4内の雰囲気は、5〜8barの圧力の窒素であり、再循環ガス熱交換器12(これは、通常、反応装置系の通常の重合操作の間に熱を除去するように機能する)は、該系に熱の流れを与えることによって、クロモセン溶液の注入中に該反応器内の温度を80〜90℃の範囲内に調節する。いくつかの実施形態では、少なくとも2個の注入管2は、反応器4の側壁を通って延在する(例えば、図5では注入装置300の位置及び向きで)。
他の実施形態では、溶液触媒は、1個以上の注入装置(例えば、1個以上の管)であってそれぞれがその出口に噴霧ノズルを有するものを介して反応装置系に供給される。このような装置の例は、図2において部分的に示されている装置であり、該装置は、図1の装置と同様であるが、ただし、図1の装置の単純注入管2を、それぞれ出口に噴霧ノズル3を有する注入装置(例えば、管)に置き換えている。重合体が被覆される図2の装置の各内部表面を処理するために、加圧した溶液触媒を噴霧ノズル3により反応器に噴射して小さな液滴7(典型的には約20ミクロンの直径を有する)を生じさせ、該液滴は、該反応装置系を通るガス流れ内に閉じこめられた状態になる。これらの液滴は、最終的に、反応装置系の床壁(すなわち、該反応装置系の通常の重合操作中に流動床と接触する該反応装置系の内部表面の部分)、再循環ライン11及び分配プレート10と接触する。好ましい実施形態によれば、この溶液触媒は、少なくとも実質的に均一に液体の状態で床壁に付着し、また、随意に、重合体被覆で被覆される他の表面のそれぞれ(例えば、再循環ライン11及び分配プレート10)にも少なくとも実質的に均一に液体の状態で付着する。
他の実施形態では、溶液触媒は、重合反応装置系のガス再循環ライン(例えば、図13の再循環ライン11)に、該再循環ラインと流体連通した注入装置(例えば、単純管)により導入される。このような装置の例は、図3で部分的に示す装置である。図3の装置は図1の装置と同様であるが、ただし、再循環ライン11に延びる出口を持つ単純管5(図3に示す)を有する注入装置を備える。管5は、1mm〜10mmの範囲の内径を有することができる。随意に、噴霧ノズルが管5の出口終端に装着されるが、これは、通常は必要ではない。というのは、十分に高速(例えば、15〜25m/秒)のガス流が再循環ライン11により維持できるので、噴射ノズルの必要がないからである。十分に高速度のガス流及び乱流は、噴霧ノズルがなくても、導入された溶液触媒の小さな液滴を形成させ、そして、このような溶液触媒の液滴は、該系全体にわたりガス流内に閉じこめられた状態になり、処理される各表面に到達するであろう。
他の実施形態は、溶液触媒を重合反応装置系に注入するために他の手段を用いる。溶液触媒(典型的には溶液状のクロム含有化合物)を液体の状態で床壁に反応器上への初回通過で最大に付着させるために、注入機能は、好ましくは、複数の位置で溶液触媒を導入する。ここで説明する実施形態のいずれかでは、溶液触媒は、複数の注入装置により反応装置系に注入できる。床壁に沿って溶液触媒の良好な初回通過付着を達成するために、溶液触媒は、反応器の壁部の上方を移動する渦巻状の触媒溶液含有曇状物を創り出すような態様で複数の位置で導入できる。注入装置(例えば、噴射ノズル)が溶液触媒を略円筒型の反応器に導入するここで説明する実施形態のいずれかでは、該注入装置間の間隔は、反応器の周囲を囲んで少なくとも実質的に等間隔であることができる。図4を参照すると、注入装置300(いくつかの実施形態では単純管であり、他の実施形態では出口端に噴霧ノズルを有する管である)は、隔壁継手204を介して溶液触媒(例えば、溶液状のクロム含有触媒)を含有する個々のシリンダ206a−206eに伝わる配管202に装着できる。この注入装置は、反応器を処理の準備の際に例えばグリットブラストにより清浄にした後に、該反応器の内部で組み立てることができる。
さらに図4を参照すると、溶液触媒は、流動床反応器の床壁208の下部に極めて近い複数の位置で導入できる。この明細書の目的上、当該複数の位置は、選択した特定の注入装置及び使用した流量が溶液触媒を該床壁と実際に接触する液滴で該床壁に効果的に直接供給する程度に近い場合に、床壁208に極めて近いとみなされる。ここで説明する実施形態のいずれかでは、溶液触媒は、例えば、噴射ノズルにより、壁から距離「A」210に位置する箇所(ここで、「A」210は約0.1〜約0.5メートルであることができる。)で導入できる。他の実施形態では、「A」210は、約0.1〜0.2メートルの範囲であることができ、或いは約0.12メートルであることができる。
ここで使用するときに、床壁208の下部とは、流動床が反応器の壁部(又は複数の壁部)と接触する流動床反応器の最初の2.5メートルをいう。図4に部分的に示した気相反応器(分配プレート212を有する)では、これは、分配プレート212の上2.5メートルである。ここで説明する実施形態のいずれかでは、溶液触媒は、分配プレートの上約0.15〜約2.0メートル、分配プレートの上約0.15〜約1.0メートル、分配プレートの上約0.4〜0.6メートル又は分配プレートの上約0.5メートルに導入できる。
図5を参照すると、実施形態のいずれかでは、複数の注入装置300を使用して壁部302を有する反応器に溶液触媒を導入することができる。それぞれの注入装置300を反応器の壁部302に対して壁部の接線304から中に角度θ306で設置し、かつ、水平位置から(図5の平面から)上方に40〜50°の角度を付けて反応器壁部の上方を移動する渦巻き状の溶液触媒含有曇を促進させることができる。ここで説明する実施形態のいずれかでは、角度θ306は、約40〜約50oであることができる。他の実施形態では、角度θ306は、45〜50°の範囲であることができ、それぞれの注入装置300は、水平位置から上約45°の角度を付けることができる。
本発明の方法を実施するのに好適な溶液触媒(例えば、不活性溶媒中のクロム含有化合物)の分散を容易にする任意の注入装置を使用することができる。注入中の反応器の状態をシミュレートするための試験を実施して注入装置の選択を容易にすることに役立たせることができる。ここで説明する実施形態のいずれかでは、該注入装置は、それらの出口に噴射ノズル、例えば、110°V−ジェットノズル(スプレーイング・システムズ・カンパニーが供給するH1/4VV11006モデル)を有することができる。2.75BARのノズル差圧(DP)を使用して110°V−ジェットノズルによる所望の2kg/分の流速を達成することができる。
再度図5を参照すると、溶液触媒を導入するための複数の位置の間隔は、処理を受ける流動床反応器の直径と、注入装置の配置と、各注入装置の向き及び噴射パターン310とによって決まる。いくつかの実施形態では、該注入装置は、反応器の周囲全体にわたって実質的に幅広く注入装置から液体のしぶきを床壁302の下部に直接衝突させることを確実なものにするように設置される。いくつかの実施形態では、これらの注入装置は、それらの噴射パターンが大幅に重複するのを最小限にとどめるように設置される。ここで説明する実施形態のいずれかでは、注入装置は、噴射装置、例えば、約100〜120℃に及ぶ噴射パターン310をそれぞれ有する噴射ノズルであることができ、該注入装置のそれぞれの間のコード長308が約1.5〜約1.9メートルであるように設置できる。
ここで説明する実施形態のいずれかでは、溶液触媒は、複数の注入装置を介して導入でき、該複数の注入装置は、それぞれ約100〜120°の噴射角度310を有し、それぞれ床壁302から約0.10〜0.20メートル(寸法「A」312)に位置し、それぞれ隣接する注入装置間のコード長308が約1.5〜約1.9メートルであるように設置され、それぞれ壁部接線304から内側に向けて40〜50°(角度θ306)の角度が付けられ、それぞれ水平位置から上40〜50°の角度が付けられている。他の実施形態では、注入装置は、分配プレートの上約0.4〜0.6メートルに設置できる。
本発明に従って溶液触媒を反応装置系に導入する前に、当該系について処理の準備をすることができる。当該準備は、固定式ティーピー(Tee-Pee)(分配プレートにおける穴の上にある樹脂逆流防止器)を取り外し;拡大部、ドーム、反応器壁部、分配プレート及び下端部を洗浄し(例えば、グリットブラストにより);循環ガス配管を洗浄して(例えば、ハイドロブラスティングにより)重合体外皮を除去し;注入器具及び特定の部品(例えば、拡張式ベローズ、弁及びフローベンチュリー)を保護するのに必要な他の任意の器具類を設置することを含むことができる。
ここで説明する実施形態のいずれかでは、溶液触媒は、所要時間が使用する1個以上の注入装置、1個以上の注入装置の配置及び溶液触媒の組成などの要因に左右される時間間隔で該流体を注入することによって流動床反応器に導入される。溶液触媒の注入にとって最適な時間を決定することができる。該注入装置の噴射の特徴には、最適な流れパターンを与えるために、各注入装置に特徴的な流速が必要となる場合がある。注入間隔の所要時間は、選択される注入装置に必要な流量、溶液触媒の注入量、選択される注入装置の数及び1回につき使用される注入装置の数によって決まる。いくつかの実施形態では、溶液触媒は、1個の注入装置を介して一度に導入される;他方では、該触媒は、少なくとも2個の注入装置を介して一度に注入される。いくつかの実施形態では、溶液触媒は、1時間未満の所要時間(例えば、約15〜約30分の範囲の所要時間)の時間間隔で流動床反応器に導入される。
溶液触媒を流動床反応装置系に導入する間及び導入した後に、好ましくは、非反応性ガスを該系に循環させる。このガスは、溶液触媒を導入する前の第1期間に循環させることができ、かつ、溶液触媒を導入すると共に、該溶液触媒を分散させ、そして床壁上に少なくとも実質的に均一に液体の状態で付着させた後の第2期間にわたって循環を続行できる。好ましくは、該第2期間は、約5時間未満である(より好ましくは約1時間未満である)。いくつかの実施形態では、このガスは、約0.35〜約0.45メートル/秒の範囲の循環ガス速度(「CGV」或いは見掛けガス速度又は「SGV」)で約80〜90℃の温度で循環する。ここで、CGVは、 循環ガス流動化流れの体積流量を該反応器の流動床部分の断面積で割ったものを表す。
いくつかの実施形態では、溶液触媒は、循環ガス配管、サイクルコンプレッサ、サイクル冷却器及び分配プレートの底部などの反応ループ内の他の表面よりもむしろ流動床反応器の床壁に付着する。
いくつかの実施形態では、溶液触媒を床壁(及び重合体被覆を受ける他の各内部表面)上に少なくとも実質的に均一に付着させた後に、重合体被覆を形成させる前でかつ非反応性ガスの循環を続行している間に該反応系に酸素を注入することによって、この付着した触媒を「酸化」させる。典型的には、この酸化工程を約2時間未満(いくつかの実施形態では約1時間未満)で完了させる。付着触媒がCCCであるいくつかの場合には、該CCCは、シクロペンタジエン類の1種が置換し、しかもクロムが酸化するように、該酸化工程の間に酸素と反応する。その後の被覆形成重合反応の間に、助触媒(例えば、トリエチルアルミニウム(TEAl))は、このクロムを所望の原子価状態、例えば、+2〜3の原子価状態にまで還元させる。酸素暴露のレベルと期間の両方を最小限に抑えることによって、クロムの活性は、さらに高いレベルで維持され、また、不活性溶媒をパージする時間が短縮される。この高いクロム活性は、該触媒を単量体と反応させる時間よりも短時間で、さらに厚い重合体被覆(例えば、さらに厚い高分子量重合体被覆)を形成させることを可能にする。
ここで説明する実施形態のいずれかでは、該酸化工程中に反応器に添加される酸素の量は、酸素の添加量を、流動床反応器に導入されるクロムの量に対して実質的に化学量論量に制限することによって制限できる。他の実施形態では、酸素の量は、流動床反応器に導入されるクロムに対して実質的に化学量論的な量を超えることができる。他の実施形態では、反応器に添加される酸素の量は、該反応器中の酸素濃度を約200ppmv(100万分の1容積比)未満又は約100ppmv未満に制限することによって制限できる。他の実施形態では、添加される酸素は約100ppmv未満であることができ、該酸化工程の時間は約1時間未満である。さらなる実施形態では、該酸化工程は、酸化されていないクロムを該反応系から放出させないように、該反応系からいかなる非反応性ガスも抜くことなく完了できる。
いくつかの実施形態では、注入されるCCC1kg当たり1.0kgの空気を導入する。この空気は、加圧式エアブリージングシリンダ(このようなシリンダの1種は、典型的にはおよそ10kgの空気を収容する)から供給できる。他の実施形態では、初期量の空気を反応器に添加し、従来型の分析器が該反応器内の酸素レベルを測定し、次いで、およそ100ppmvの分析器の示度に到達するまで追加の空気を徐々に添加することができる。いくつかの実施形態では、該酸化工程は、非反応性ガスを約0.35〜約0.45メートル/秒のCGV及び約80〜約90℃の温度で循環させながら実施できる。
所定の実施形態では、該方法は、酸化工程の後でかつ重合体被覆形成重合反応の前に流動床反応装置系を洗浄のために開放することなく、本発明に従って液体の状態で付着し、そして酸化したCCC又は他の溶液触媒を反応させて床壁上(及び随意に少なくとも一つの他の内部表面上)に高分子量重合体被覆を形成させる工程を含む。これに対し、いくつかの従来の方法では、反応装置系を洗浄して循環パイプ、サイクルコンプレッサ、サイクル冷却器及び/又は分配プレートの表面上に付着した過剰のCCCを除去してから、該CCCを反応させて重合体被覆を形成させる。学説にとらわれることなく、この従来の方法は、CCCを床壁に優先的に付着させるのではなく、むしろ反応装置系全体にわたってかなりの量のCCCを循環させかつ付着させるため、このような洗浄が必要になると考えられる。床壁のみに重合体被覆を形成させることが望ましいいくつかの実施形態では、該重合体被覆は、反応装置系を最初に洗浄せずに形成できる。というのは、溶液触媒は、床壁に優先的に付着し、該系の他の内部表面には付着しないからである。つまり、実施形態の一例では、この付着した触媒を酸化させた後でかつ反応装置系を洗浄のために開放する前に、該触媒と単量体(例えば、エチレン)とを反応させて床壁上に重合体被覆(例えば、高分子量重合体被覆)を形成させる。
ここで説明する実施形態のいずれかでは、酸素及び不活性溶媒(付着した溶液触媒の溶媒成分)のレベルは、該付着触媒と単量体とを反応させて重合体被覆を形成させる前に、反応装置系をパージすることによって低減できる。例えば、流動床反応装置系は、該付着触媒と単量体とを反応させる前に約1ppmv未満の酸素及び約100ppmv未満の不活性溶媒までパージできる。
ここで説明する実施形態のいずれかでは、反応装置系の床壁(及び随意に少なくとも一つの他の内部表面上)に付着し、そして酸化した触媒は、ある種の単量体(例えば、エチレン)を重合させて床壁上(及び他の各内部表面上)に高分子量重合体被覆を形成させる重合反応を触媒することができる。随意に、該重合を助触媒の存在下で実施して高分子量重合体被覆を形成させる。この重合工程中に、反応装置系をまず約80〜90℃に加熱させることができ、そして、パージが完了した後に、反応器内の非反応性ガスの圧力を約5BARGに設定することができる。次に、単量体を供給して約4BARAの単量体分圧を確立することができる。いくつかの実施形態では、単量体が存在しない状態で助触媒が付着触媒と反応(これは、重合の有効性を減少させると考えられる)しないようにするために、助触媒を導入する前における反応器には約4BARAを超える単量体を存在させることができる。この助触媒は、有機金属化合物、例えば、トリエチルアルミニウム(TEAl)であることができ、約60分にわたり均一な速度で供給できる。反応器の圧力及び単量体分圧は、通常、反応装置系に定期的に供給される様々な装置のパージのため、助触媒の注入期間及び反応期間の間に上昇する。ここで説明する実施形態のいずれかでは、この供給期間は、反応器のガス抜きを実施することなく完了できる。いくつかの実施形態では、単量体(例えばエチレン)の分圧は、重合体反応中において約5〜約20BARAであることができる。他の実施形態では、反応系への供給流れ(単量体及び不活性パージ)を、反応器の全圧力が最大許容レベル(これは、ガス抜きを要し得る)に到達する前及び単量体分圧が約10BARAに到達する前に、助触媒の100%を装入するように平衡させる。
助触媒(例えば、TEAl)の供給量は、(随意に、優先度順に):付着触媒の少なくとも約75%を活性化させるのに十分な助触媒を与ることができる;反応器の壁部上にある任意の液体助触媒被膜が反応工程の中間点(時間基準)までに蒸発することを確保するために制限できる;反応工程の終了前の約5〜15時間又は約10時間前には助触媒の枯渇が生じないことを提供することができる(助触媒の装入量、排出速度及び不純物レベルに左右される);反応工程の終了時に残留助触媒を最小限に抑えることができる。いくつかの実施形態では、助触媒の供給量は、付着触媒1キログラム当たり約0.5〜約4.0キログラム(又は約1.0〜約2.0キログラム)であることができる。
過剰の反応器のガス抜き並びに反応系及び系供給物中における不純物レベルは、効果的な助触媒/触媒(例えば、TEAl/CCC)比を変える可能性がある。供給された一定量の助触媒については、助触媒は、該系からガス抜き及び毒物との反応によって効果的に除去される。例えば、ガス抜きにより、排出されるガスと共に助触媒が失われるため、付着クロムとの反応に利用できる活性な助触媒が少なくなる。効果的な助触媒/クロム比は、この助触媒の喪失により低下し、触媒活性が低下する。そのため、ここで説明する実施形態のいずれかでは、流動床反応器に導入される助触媒の量は、高い供給不純物及び/又は高いガス抜き速度のいずれかに応じて調節できる。本願の目的上、4ppmv以上の不純物レベルを高い不純物レベルとみなす。高いガス抜き速度は、反応系のサイズによって決まるであろう。反応系が4.9メートルの直径の反応容器である一実施形態では、約1,500kg/時間を超えるガス抜き速度が高いガス抜き速度である。
助触媒供給量を決定する別の方法は、経験に基づき又はいくつかの実験後に助触媒供給レベルを決定することである。例えば、いくつかの実施形態では、活性クロモセン1kg当たり約1.7〜約2.3kgのTEAlを反応器に装入することができる。他の実施形態では、反応器への供給物の全ては、2.0ppm未満の毒物を含む。他の実施形態では、高分子量重合体被覆を形成させつつ、反応系に含まれる約80〜90℃及び約16〜20BARGでのガスの質量の約10%のガス抜き比率を確立させることができる。さらに、ここで説明する実施形態のいずれかでは、TEAlの供給量は、反応の約30時間後にいかなる反応器表面上にも事実上液体のTEAlが存在し得ないように制御できる。他の実施形態では、助触媒、例えばTEAlの実質的に全てが反応の約50時間後に枯渇する。
助触媒の供給が完了した後に、重合体被覆形成重合反応は、非反応性ガス及び単量体を約40(又は60)時間を超えて循環させるソーキング工程をさらに含むことができる。ソーキング工程中に、助触媒の存在下で付着触媒(例えば、CCC)と単量体との反応を続行して重合体被覆を形成させる。該ソーキング工程中に、圧力を制御するために反応器のガス抜きが必要になる場合がある。反応系及び反応装置内の全ての器具への流れを最小限にとどめて必要なガス抜きを最小限に抑え、それによって助触媒が流動床反応器から失われるのを最小限に抑えることができる。ここで説明する実施形態のいずれかでは、該反応系は、非反応性ガスと単量体を約0.6〜約0.70メートル/秒のCGVで循環させつつ、約80〜90℃、約15〜約25BARGの圧力で保持することができる。
ここで説明する実施形態のいずれかでは、該ソーキング工程の次に、助触媒を不活性化させることができる。該助触媒は、流動床反応器に二酸化炭素(CO2)を供給することによって不活性化できる。このCO2は、流動床反応器内において約0.5モル%を超える濃度に達するように供給できる。さらに、このCO2は、少なくとも約1時間にわたって循環できる。
他の実施形態では、該助触媒は、流動床反応器を検査及び洗浄のために開放する前に加水分解できる。ここで説明する実施形態のいずれかでは、該流動床反応器は、水又は水蒸気を流動床反応器内において約300ppmvを超える又は約450ppmvを超える水の濃度に達するように添加し、そして少なくとも約1時間にわたって循環させることにより加水分解できる。
付着した溶液触媒(例えば、CCC)を反応させて床壁上(及び随意に少なくとも一つの他の内部表面上)に重合体被覆を形成させた後に、流動床反応器は、検査及び洗浄のために開放できる。助触媒は、反応器を開放し、これを空気にさらす前に、上記のとおりに不活性化できる。反応器を開放すると同時に、注入器具を取り外すことができ、適宜内部を検査及び洗浄することができ、そして、所定の測定値を得て床壁の表面が適切に処理されたことを確かめることができる。得ることができる測定値としては、電荷減衰測定値、クロムレベル測定値又は被覆厚さ測定値が挙げられる。適宜、床壁、拡大部、循環パイプ、サイクル冷却器及びサイクルコンプレッサを検査し、そして洗浄することができる。粗い表面を解体又は磨いて滑らかな表面を与えることができる。ここで説明する実施形態のいずれかでは、床壁を、例えば手で削ることによって磨いて滑らかな床壁を与えることができる。他の実施形態では、分配プレートを、例えば穿孔及び/又はグリットブラストにより洗浄して、その表面からクロム及び高分子量重合体のほとんど又は実質的に全てを除去することができる。他の実施形態では、この洗浄工程中に、溶液触媒を導入する前に取り外した固定ティーピーを新たなティーピー又は取り外し可能な床版型のそらせ板で置き換えることができる。
ここで説明する実施形態のいずれかでは、洗浄工程の後に、スクラブ床を流動床反応器に装填し、流動化させ、そして投棄して、該洗浄工程中に反応装置系内に残ったいかなる粗粒又は他の遊離物質の混入物も除去することができる。
本発明に従って予備処理された流動床反応器の床壁(及び随意に少なくとも一つの他の内部表面)上に重合体被覆を形成させた後で、かつ、該反応器を洗浄した後に、該反応器を定期商業運転する又は定期商業運転に戻すことができる。典型的には、広範囲の重合体商品のいずれかを、被覆形成及び洗浄の直後に、様々な触媒系(例えば、フィリップス型クロム触媒系、チーグラー・ナッタ触媒系又はメタロセン触媒系)のいずれかで触媒される重合反応により、該処理済みの反応装置系内で製造することができる。
流動床重合反応装置系を製造した後であって、クロモセン処理(又はその1つ以上の内部表面上に重合体被覆を形成させる準備としての別の処理)を受ける前に、該系の表面に亜鉛系ペイントを塗装してこの塗装表面にさびが形成しないようにしておいてから、これらの表面を処理することもある。このような亜鉛コーティングは、該系が、処理を受け、続いて運転に入る前にかなりの時間にわたって保存されることが予想される場合に施される。重合反応装置系の観察及び金属箔クーポン(いくつかは亜鉛系塗料が塗布されており、その他のものは塗布されていない)についての試験の結果として、本発明者は、重合反応装置系の亜鉛被覆表面についてクロモセン処理を実施する場合において、当該処理は、驚くべきことに、表面がそのまま(亜鉛被覆なし)であった場合よりも重合体形成の準備としては効果が小さいことを見出した。これらの試験の間に、これらのクーポンに標準的なクロモセン処理を施した。次いで、重合反応を実施して、これらの処理済みクーポン上に重合体被覆を生じさせた。次いで、該重合体被覆の分子量、元素組成、皮膜厚さ及び電気的性質を測定した。電気的性質は電荷減衰技術を使用して測定したが、この際に、コロナ電圧をそれぞれの被覆クーポンに印可し、次いで経時的な電圧保持を決定した。
これらのクーポンに基づく試験(及び反応装置系に関する観察)から、反応装置系の表面上に被覆された(クロモセン処理、次いで被覆形成重合の結果として)重合体の分子量及び分子量分布は、該表面が該処理前に亜鉛被覆されているかどうかには依存しないことが示唆された。この結果は、実際の反応器表面であって、そのいくつかがクロモセン処理前に亜鉛コーティングを受け、そのいくつかがクロモセン処理前に亜鉛コーティングを受けていないものに形成された重合体被覆の削り屑を測定することによって確認した。しかしながら、これらのクーポン試験からは、典型的な場合において、亜鉛被覆(次いで処理された)表面上に形成される重合体が、クロモセン処理前に該表面がそのままであった場合よりも少ないことが示唆された(クロモセン処理前に亜鉛被覆表面を有するクーポン上に形成された重合体の量は、クロモセン処理前に亜鉛コーティングを受けていないクーポンよりも平均して約80%少なかった)。この後者の結果は、上記試験の間に得られた様々なクーポン上の被膜厚さ(ミルの単位で表す)の測定値を示す1セットの棒グラフの図7から明らかである。図7では、「対照−亜鉛なし」と示した4つの値は、4種のそのままの金属クーポンの第一セットについての測定被膜厚さであり;「対照−亜鉛」と示した2つの値は、亜鉛系塗料が塗布された2種の金属クーポンの第二セット(いずれもクロモセン処理を受けておらず又は重合反応中には存在していなかった)についての測定亜鉛コーティング厚さであり;「クロモセン処理−亜鉛なし」と示された4つの値は、4種の金属クーポンの第三セット上に、該クーポン上にクロモセン処理を実施し(まず、該クーポンに亜鉛コーティングを施すことなく)、次いでこの処理済みクーポン上で重合反応(付着触媒が触媒する)を実施することによって形成された重合体被覆の測定厚さであり;「クロモセン処理−亜鉛」と示された4つの値は、4種の亜鉛被覆金属クーポンの第四セット上に、同じクロモセン処理を該クーポン上で実施し、次いでこの処理済みの表面上で同じ重合反応(付着触媒が触媒する)を実施することによって形成された重合体被覆の測定厚さである。第四セットにおけるクーポン上に重合体被覆を形成させる前に、該第四セットにおけるクーポンに、第二セットのクーポンに塗布したのと同じ亜鉛系塗料を同じ方法で塗布した。図7から明らかなように、施された亜鉛コーティング(亜鉛系塗料の被膜)は、約3ミルの平均厚さを有しており、しかも、第三セットのクーポン上に形成された重合体被覆の平均厚さは、第四セットのクーポン上に形成された重合体被覆の平均厚さ(亜鉛被膜の厚さを除く)よりもかなり厚かった。
また、クーポンについての試験から、亜鉛被覆クロモセン処理反応装置系表面上に形成された重合体は、PE樹脂を生成させるための該反応装置系の操作中に望ましくない静電荷レベル及びシーティングの発生を防止することの有効性が、その表面が該処理の開始時にそのままの状態であった場合よりも典型的に低いこと、及び該装置の帯電特性は、該被覆表面がクロモセン処理の開始時に亜鉛被覆されていた場合の方が、その表面がクロモセン処理の開始時にそのままの状態であった場合よりも、生成される生成物の特性に影響を受けやすいことも明らかになった。
クロモセン処理前に亜鉛被覆されたクーポンを検討することによって、各クーポン上の亜鉛コーティングは、緻密な最下層と、より多孔質の上層とを有していたこと、クロモセン処理は、亜鉛コーティングの上層にかなりの量のクロモセン触媒を取り込ませることになったこと、及び、亜鉛コーティングの上層に取り込まれた触媒は、クロモセン処理後の重合操作の間にいかなるクーポン上への重合体被覆の形成にも関与しなかったことも分かった。
多くの場合、非亜鉛被覆重合反応装置系での重合体被覆形成重合操作(該系の通常の操作の前の)は、該系の部品に汚れを生じさせる。本発明者は、このような汚れが重合体被覆形成重合操作中に該系のいくつかの内部表面に過剰の重合体が形成することによって生じることを見出した。特に、分配プレート、冷却器、再循環ガスライン及びコンプレッサ基部は、その表面上での過剰の重合体の形成により汚れやすい。多くの場合、該系は、稼働状態に置くことができる前に、過剰の重合体物質を除去するために開放し、そして洗浄しなければならない。
所定の実施形態では、本発明は、流動床重合反応装置系で重合体被覆形成重合操作をする前に(又はその工程として)該系の内部表面を処理して、該重合体被覆形成重合操作中に生成される過剰の重合体による該系の汚れを実質的に低減させる(及び好ましくは防止する)ための改良方法である。該系は、該方法の実施中に(又は該方法の実施後の重合操作中に)過剰量の重合体被覆物質が該系の少なくとも1つの表面上に形成される場合に汚れを受けやすい少なくとも1個の要素(例えば、部材又は部品)を備え(該少なくとも一つの表面は、「影響を受けやすい」表面と呼ばれる該系の内部表面である)、また、該系は、過剰の重合体が形成される場合に該系のいかなる部材の汚れも生じさせない少なくとも一つの他の内部表面(「影響を受けない」表面と呼ばれる)も有する。つまり、該系は、任意の該「影響を受けやすい」表面上に形成された重合体被覆物質による汚れよりも、任意の該「影響を受けない」表面上に形成された重合体被覆物質(該方法の実施の間に又は該方法を実施した後の重合工程の間に)による汚れに対して、次の意味で影響を受けにくい:該反応装置系の「被覆後」操作(すなわち、影響を受けやすい表面と影響を受けない表面のぞれぞれとに重合体被覆を形成させた後の操作)の間に、該系は、第1厚さの重合体被覆(又は第1平均厚さ)が影響を受けない表面上に形成された場合には許容できる程度に稼働できるが、ただし、該系は、該第1厚さの重合体被覆(又は第1平均厚さ)が少なくとも一つの該影響を受けやすい表面上に形成された場合には許容できる程度には稼働できない。言い換えれば、該系は、該第1厚さ又は平均厚さの重合体被覆が少なくとも一つの影響を受けやすい表面上に形成された場合に汚れ(該系の許容できる被覆後操作を阻害するタイプの)を受けやすいのに対し、該系は、同じ厚さ又は平均厚さの重合体被覆が影響を受けない表面のそれぞれに形成された場合にはこのような汚れを受けない。典型的な流動床重合反応装置系では、分配プレート、冷却器、再循環ガスライン及びコンプレッサ基部の表面は、「影響を受けやすい」表面である場合が多く、反応器の床壁は、「影響を受けない」表面である場合が多い(このような系では、分配プレート、冷却器、再循環ガスライン及びコンプレッサ基部は、反応器の床壁よりも過剰の重合体物質による汚れを受けやすい)。
前段落で述べた実施形態では、本発明は、流動床重合反応装置系の内部表面の処理方法であり、該表面は、少なくとも一つの影響を受けやすい表面(例えば、分配プレート表面、冷却器表面、コンプレッサ表面、及び/又は再循環ライン表面)と、少なくとも一つの影響を受けない表面(例えば、反応器の床壁又はその部分)とを備え、該方法は、次の工程:(a)亜鉛コーティング(例えば、亜鉛系ペイントのコーティング)を少なくとも一つの影響を受けやすい表面に(例えば、該影響を受けやすい表面のそれぞれに)施すが、ただし、少なくとも一つの該影響を受けない表面には(例えば、該影響を受けない表面のいずれかには)施さず;そして、(b)工程(a)の後に、溶液触媒を少なくとも実質的に均質でかつ溶液の状態(例えば、溶液触媒の液滴の状態)で該影響を受けやすい表面のそれぞれと該影響を受けない表面のそれぞれとに塗布することを含む。このような実施形態のいくつかでは、当該溶液触媒の触媒成分は、CCCであり又はCCCを含む。例えば、当該溶液触媒の触媒成分は、いくつかの実施形態ではクロモセンであり又はクロモセンを含む。典型的には、当該塗布された溶液触媒を乾燥させて(又はこれが乾燥して)該影響を受けない表面のそれぞれに(及び典型的には該影響を受けやすい表面のそれぞれにも)触媒の乾燥被膜を残し、次いで重合反応(該触媒により触媒される)を実行して、該影響を受けない表面のそれぞれに(及び随意に該影響を受けやすい表面のぞれぞれにも)、反応装置系でのその後の重合反応の間に該反応装置系内での帯電を低減させる(それによってシーティングの可能性を低減させる)絶縁層として確実に機能する重合体被覆を形成させる。好ましくは、これらの工程は、該反応装置系でのその後の重合反応の間に、影響を受けやすい表面のいずれかに望ましくない量の重合体を形成させることなく(すなわち、影響を受けやすい表面のいずれかを汚すことなく)、影響を受けない表面のそれぞれに形成された重合体被覆が該反応装置系内において帯電を低減させる(及びそれによってシーティングの可能性を低減させる)絶縁層として確実に機能するように実施される。これは、重合体被覆形成重合反応の後(及び被覆後重合反応を実施するための反応装置系のその後の操作の前)に該系を清浄にする(又は清浄化のために開放する)必要をなくし、及び/又は溶液触媒を塗布する工程(及び随意に該塗布触媒のその後の酸化)の後で、重合体被覆形成重合反応の前に、反応装置系を清浄にする(又は清浄化のために開放する)必要をなくす。例えば、該亜鉛コーティングは、影響を受けやすい表面のぞれぞれに許容できる量を超える量の重合体が形成するのを防止する(例えば、分配プレート及び/又はコンプレッサが重合体で汚れるのを防止する)ように施すことができる。該亜鉛コーティングは、影響を受けない各表面よりも、影響を受けやすい各表面で少ない重合体を形成するように(例えば、影響を受けやすい表面のそれぞれに形成された重合体被覆は、影響を受けない表面のそれぞれに形成された同被覆よりも薄く又は小さい平均厚さを有する)施すことができる(及び他の方法の工程を実施する)。
本発明者は、鉄箔クーポンを使用して、該クーポン上へのクロモセンの付着と、触媒を付着させたクーポン(「処理済み」クーポン)をエチレン及び触媒毒スカベンジャー/助触媒(例えば、トリエチルアルミニウム(TEAl又は別のアルミニウムアルキル)にさらし、そして、該付着したクロモセン及び該触媒毒スカベンジャー/助触媒が触媒する重合反応を実施することによるその後の該クーポン上での重合体被覆形成とに及ぼす異なる方法の影響をシミュレートするための試験を行った。試験結果を図6及び以下の表1に示す。
金属箔クーポンは、以下に記載する2つの方法のうちの1つによりクロモセンで被覆した:蒸着又は液体付着。これらのクーポンは、長方形の形状であり、1×1.5インチ(2.2×3.3cm)であり、99.5純鉄(Fe)から構成されていた。
クーポン上への溶液触媒の蒸着は次のとおりに行った。クロモセンのトルエン溶液を、ドライボックス内で、80mgの固体粉末状クロモセンを2ミリリットルのトルエンに溶解させることによって調製した。次いで、この溶液を10cmの直径及び5cmの深さがある結晶皿に移した。このトルエンを窒素パージにより除去して結晶皿の底にクロモセンの薄い乾燥被膜を生じさせた。それらの風袋重量を記録した後に、6種の箔クーポンにアルミニウム箔を貼り付け、次いで、これを該皿の頂部に置き、該皿内で該クーポンの底部表面をクロモセンにさらした。このクロモセンを、該結晶皿を100℃のホットプレート上で30分間加熱することによってこの皿から昇華させた。次いで、これらのクーポンを結晶皿から取り出し、そして再度秤量して、表面上に付着した(又は吸着した)クロモセンの量を決定した。この方法によって調製された数種のクーポン上の測定クロモセン含有量は、図6においてプロットしたダイヤモンド形状の記号によって示されるように、およそ1〜7ミリグラムの範囲にあった。
該クーポン上への溶液触媒の液体付着は次のとおりに行った。クロモセンの8重量トルエン溶液を、窒素パージ済みドライボックス内で1.88gの固体粉末状クロモセンを25mLのトルエンに添加することによって調製した。この方法で調製された各クーポン試料について、この溶液(約7.5mgの溶解クロモセンを含有する)の0.1mLをシリンジで回収した。次いで、この溶液をクーポン試料(その風袋重量を記録した後)の上部表面に滴下添加して、均一に分布した溶液被覆を生じさせた。次いで、トルエンを窒素パージで除去した。次いで、このクーポンをビーカー内において70℃で20分間加熱した。次いで、このクーポンを再度秤量して、表面に付着したクロモセンの量を決定した。この方法によって調製された数種のクーポンについての測定クロモセン含有量は、図6においてプロットされた正方形の記号によって示されるように、約2〜11mgの範囲であった。
それぞれの重合実験前に、クロモセン被覆クーポン(蒸着又は液体付着方法のいずれかにより調製された)の様々なものを周囲の空気に30分間露出させて該クロモセンを酸化させた。次いで、このクーポンをオートクレーブ反応器内に置き、次いで、これを実質的に純粋なエチレンでパージして大気中の空気及び湿気を除去し、そして90℃に加熱した。次いで、反応器内のエチレン圧力を100psig(790kPa)に上昇させ、次いで、この反応器に1.0mmolのTEAlを装入して反応を開始させた。このエチレン圧力を直ちに150psig(1,130kPa)にまで上昇させ、そして16時間(又は場合によっては図6に示すように8又は38時間)にわたって保持して、鉄箔クーポンの表面上に重合体を成長させた(すなわち重合させた)。次いで、この反応器をガス抜きし、そして、このクーポンを取り出し、秤量して、生成された重合体の量を決定した。
図6は、2つの付着方法によって調製されたクロモセン処理クーポン上で生成された重合体の比較を示している。蒸着によって製造された試料は、図6においてダイヤモンド形状の記号として示されている。液体付着によって製造された試料は、正方形の記号として示されている。図6から、平均して非常に多くの重合体が溶液付着方法で生成されたことは明らかである。同等の重合条件(反応時間が16時間)で、溶液付着により処理されたクーポンが平均0.067gの重合体を生成したのに対し、蒸着により処理されたクーポンは、平均約0.012gの重合体を生成した。つまり、溶液触媒の液体付着を使用して被覆された重合体の量は、触媒の蒸着を使用して生成された量に対して大きな割合で(平均で)増加した。
溶液触媒の液体付着を使用してクーポン上に被覆された重合体の量の増加は、単に、該クーポンの表面上に付着したクロモセンが高濃度であることの結果ではなかった。図6から分かるように、増加量の重合体は、溶液付着方法により、試験されたクロム濃度の全範囲にわたって生成された。これは、液体付着によって付着したクロモセンが、蒸着によって付着したクロモセンよりも触媒活性が高い(何らかの理由で)ためであると考えられる。
図6から、生成された重合体の量(いずれかの方法による触媒付着を使用する)は、クーポン上に付着したクロモセンの量(すなわち、クロモセン塗布量)とは無関係であることは明らかである。換言すれば、触媒活性は、クロモセン塗布量ではなく、付着の方法に依存すると思われる。
クーポン上に被覆される重合体の量は、以下の表1に示すように、該クーポンがTEAl及びエチレンにさらされた時間に依存すると思われる。例えば、溶液触媒の液体付着の場合には、重合体被覆量は、反応時間を6時間から38時間に拡大したときに、0.110gから0.60gに増加した。
Figure 2010520358
ここで説明した実施形態のいくつかでは、溶液触媒は溶液状のクロム含有化合物である。このような実施形態のいくつかでは、クロムは、該反応器内において、+2又は3の原子価で存在することができる(クロムは、2〜3の原子価で供給でき又は導入後に2〜3の原子価に転換できる)。クロム含有化合物としては、次式を有するビス(シクロペンタジエニル)クロム(II)化合物を挙げることができるが、これに限定されない:
Figure 2010520358
式中、R’及びR”は同一の又は異なるC1〜C20炭化水素基であることができ、n’及びn”は、0〜5の同一の又は異なる整数であることができる。該R’及びR”炭化水素基は飽和又は不飽和であってよく、脂肪族基、脂環式基及び芳香族基、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、アリル、フェニル及びナフチル基を挙げることができる。好適であり得る他の特定の化合物としては、アセチルアセトン酸クロム(III)、硝酸クロム(III)、酢酸クロム(II)又は酢酸クロム(III)、塩化クロム(II)又は塩化クロム(III)、臭化クロム(II)又は臭化クロム(III)、弗化クロム(II)又は弗化クロム(III)、硫酸クロム(II)又は硫酸クロム(III)、及びクロムが+2又は3の原子価状態で存在することができるクロム化合物から製造された重合用触媒が挙げられる。
ここで説明する実施形態のいくつかは、反応装置系に、総重量に基づき約1〜約8重量パーセント(重量%)のクロム含有化合物を不活性溶媒に溶解してなる溶液触媒を導入する工程、及び溶液触媒を少なくとも実質的に均一にかつ液体の状態で反応装置系の床壁に(及び随意に少なくとも一つの他の内部表面にも)塗布する工程を含む。いくつかの実施形態では、該溶液触媒は、総重量を基にして、不活性溶媒中に約6重量%未満又は約5重量%未満のクロム含有化合物を含有することができる。使用できる不活性溶媒の一つがトルエンである。
この方法で使用されるクロム化合物の量は、所望の結果を達成するのに十分なものでなければならず、また、その量は、過度の実験を行うことなく決定できる。ここで説明する実施形態のいずれかでは、流動床反応器に導入されるクロム化合物の量は、処理される表面の平方フィート(0.015kg/m2)当たり約0.0031lbsを超えるクロム含有化合物であることができる。他の実施形態では、約0.0037lbs/ft2(0.018kg/m2)を超えるクロム含有化合物を導入できる。さらに他の実施形態では、処理される表面積の平方フィート(0.022kg/m2)当たり約0.0045lbsを超えるクロム含有化合物を流動床反応器に導入することができる。さらに他の実施形態では、約0.0037〜約0.0045lbs/ft2(0.018〜0.022kg/m2)のクロム含有化合物を導入することができる。いくつかの実施形態では、処理される内部表面積(図1に示したタイプの反応器の)は、分配プレート上の反応器の円筒形部分、拡大部分及び反応器の頂部である。
本発明の典型的な実施形態に従って形成される高分子量重合体被覆は、反応装置系の関連する内部表面上に、従来技術の方法によって形成されるものよりも均一に分布する(及び典型的にはそれよりも厚い)重合体の被覆である。ここで説明した実施形態のいくつかでは、該高分子量重合体被覆は、流動床反応器の床壁上では約10ミル(.010インチ又は0.25mm)を超える厚さであることができ、また、該床壁の実質的に全ての部分では約10ミル(0.25mm)を超える厚さであることができる。他の実施形態では、高分子量重合体被覆は、流動床反応器の床壁では約20ミル(.020インチ又は0.51mm)を超える厚さであることができ、また、床部分の床の実質的に全ての部分では約20ミル(0.51mm)を超える厚さであることができる。円筒形の直線部及び拡大部を有する典型的な流動床反応器では、床壁は、分配プレートから拡大部までの流動床反応器の円筒形直線部である。ここで説明する実施形態のいずれかでは、床壁は、拡大部、特に該拡大部の下部における内壁の部分を含むこともできる。ここで使用するときに、ある表面の「実質的に全ての部分」とは、基準となる表面の大部分をいうが、ただし全体ではない。これは、「床壁の実質的に全ての部分」を基準とする場合に、その特徴(被覆厚さ、クロム含有量その他のパラメーター)が主として該床壁のほとんどの部分で見いだされるが、必ずしも該壁部上の全ての点で見いだされる必要はないことを意味する。
反応装置系の床壁上に(及び随意に少なくとも一つの他の内部表面にも)重合体被覆を形成させることに成功したことは、該床壁の被覆の平均厚さを測定することによっても評価できる。ここで説明した実施形態のいくつかでは、流動床反応器の床壁上に形成された高分子量重合体被覆は、約10ミル(0.25mm)を超える、又は約20ミル(0.51mm)を超える、又は約25ミル(0.64mm)を超える、又はさらに約30ミル(0.76mm)を超える平均厚さを有する。
また、反応装置系の床壁上(及び随意に少なくとも一つの他の内部表面上にも)重合体被覆を形成させることに成功したことは、この重合体被覆がどの程度電荷の生成に抵抗し、電荷を保持し又は逃すのかを測定することによっても評価できる。荷電、電荷保持及び電荷消散を評価する任意の方法を使用して該被覆を評価することができる。一方法は、高分子量重合体被覆の電荷減衰性能を測定することである。電荷減衰性能は、被覆が該被覆の表面上に与えられたコロナ帯電を消散させる速度と、所定期間後に表面上に存在する残留電荷のレベルとを評価する。コロナ帯電付着は、初期表面電圧及び荷電極性の制御された所定の条件下で実際の帯電事象をシミュレートする手段となる。コロナ放電は、本体の近傍に局在した電場がガス状媒体の電気絶縁破壊電圧を超過するときに、該ガス状媒体中で生じる。該コロナ放電は、一般に、受容面に対する高電圧の短いパルスとして発生する。電荷移動により、該受容面に高い初期電圧が生じる。この電圧レベルは、時間経過と共に減衰するので、電荷減衰曲線と呼ばれている。この電荷減衰曲線は、一般に、表面電圧の初期の急速な低下後のプラトー電圧を示す。残留電荷は、コロナ帯電が表面上に与えられた後の所定期間に測定されるプラトー電圧である。ある表面の電荷減衰は、任意の好適な市販装置、例えば、JCI 155電荷減衰メータ(英国チェルテハムのJCI)によって測定できる。極性が変化する場合があるので、特に述べない限り、ここで基準とする全ての電圧の判断は、電圧の絶対値である。
ここで使用するときに、「残留電荷」又は「電荷減衰」とは、表面に印可されたコロナ電圧が部分的に消散した後の被覆の表面上の電圧の絶対値のことである。特に10ミル(0.25mm)以下の厚さの被覆に対処する場合には、電荷減衰の測定値を基準の被膜厚さに正規化することが望ましい場合がある。ここで説明した実施形態のいくつかでは、電圧測定値は、10ミル(0.25mm)の被覆厚さに正規化できる。電圧測定値は、コロナ電圧を印可した後の所定時間、例えば、該電圧がある程度安定化する(顕著なプラトーに到達する)のに十分な時間である300秒で得られる。残留電荷の測定値は、任意の好適な器具、例えばJCI電荷減衰メータで取得できる。コロナ放電電圧は、試験器具によっては変動し得る。ここで説明する実施形態のいずれかでは、印可されたコロナ電圧は、約−10,000〜約+10,000ボルトであることができる。ここで説明した実施形態のいくつかでは、残留電荷測定値は、コロナ電圧を印可した後300秒で取得できる。電圧測定値は、次の方程式を使用して10ミル(0.25mm)の厚さに正規化できる:
正規化電荷=実際の電荷×(10/T)n
(ここで、T=被膜の実際の厚さ(ミル)であり、nは典型的には0.5〜1.5である。)。
本発明の方法のいくつかの実施形態は、流動床反応器の壁上に、約150ボルトを超える電荷減衰を有する高分子量重合体被覆を形成し、また、該電荷減衰は約400ボルトを超えることができる。他の実施形態では、高分子量重合体被覆は、該床壁の実質的に全ての部分上に約150ボルトを超える電荷減衰を有することができ、また、該電荷減衰は、該床壁の実質的に全ての部分上で約400ボルトを超えることができる。さらに他の実施形態では、分配プレート上の0.3〜2.4メートルの高分子量重合体被覆は、約1,000ボルトを超える電荷減衰を有することができ、また、これは約1,200ボルトを超えることができる。
実施形態の一部類は、流動床反応器において重合中にシーティングを生じさせやすい触媒(又は触媒系)の存在下でα−オレフィンを重合させるための方法を、該反応器内におけるシート形成が見込まれる部位での静電荷を、シート形成を生じさせるであろう静電荷レベルよりも低く維持することにより改良することを提供する。この改良は、反応装置系の床壁を(及び随意に少なくとも一つの他の内部表面も)、溶液触媒(典型的にはクロム含有化合物を含む)を少なくとも実質的に均一にかつ液体の状態で該床壁に(及び随意に少なくとも一つの他の内部表面にも)塗布することなどにより、その上に重合体被覆を形成させることによって予備処理することである。いくつかの実施形態では、該溶液触媒はクロム含有化合物を含み、また、クロム含有化合物中のクロムは、該溶液を塗布したときに2〜3の原子価状態で存在する。
ここで説明する実施形態は、触媒又は触媒系と単量体又は単量体/共単量体とを接触させる重合方法(例えば、気相流動床重合方法)を実施するための反応装置系を準備するのに使用するために好適であり得る。このような方法としては、1種以上のオレフィンであって、その少なくとも1種がエチレンであるものの気相流動床重合(例えば、米国特許第4,543,399号、同4,588,790号、同5,028,670号、同5,317,036号、同5,352,749号、同5,405,922号、同5,436,304号、同5,453,471号、同5,462,999号、同5,616,661号及び同5,668,228号に記載されるような)及び、気相と液相とを含む循環流体を使用した重合方法(例えば、気相流動床方法)を挙げることができる。場合によっては、これらの方法は、2〜30個の炭素原子、好ましくは2〜12個の炭素原子、又は2〜8個の炭素原子を有する1種以上のオレフィン単量体(例えば、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、4−メチル−1−ペンテン、ヘキセン−1、オクテン−1及びデセン−1の2種以上のオレフィン単量体)について気相重合を実施することによって重合体生成物を生成させる。これらの方法に有用な他の単量体としては、エチレン系不飽和単量体、4〜18個の炭素原子を有するジオレフィン類、共役又は非共役ジエン類、ポリエン類、ビニル単量体及び環状オレフィン類を挙げることができる。本発明に有用な単量体としては、ノルボルネン、ノルボルナジエン、イソブチレン、イソプレン、ビニルベンゾシクロブタン、スチレン、アルキル置換スチレン、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン及びシクロペンテンを挙げることができるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、エチレンの共重合体は、エチレンと、3〜15個の炭素原子、4〜12個の炭素原子、又は4〜8個の炭素原子を持つ少なくとも1種のα−オレフィンを有する共単量体とを気相方法で重合させる場合に製造される。
いくつかの実施形態では、本発明の気相方法の反応器の圧力は、約100psig(690kPa)〜約600psig(4138kPa)、約200psig(1379kPa)〜約400psig(2759kPa)、又は約250psig(1724kPa)〜約350psig(2414kPa)まで変更可能である。重合中の反応器の温度は、約30℃〜約120℃、約60℃〜約115℃、約70℃〜110℃、又は約70℃〜約95℃まで変更可能である。
本発明のいつくかの実施形態に従って予備処理された反応器内で実施できる他の気相方法としては、シリーズ又は多段重合方法、並びに米国特許第5,627,242号、同5,665,818号及び同5,677,375号並びにEP−A−0 794 200号、EP−B1−0649992号、EP−A−0802202号及びEP−B−634421号に記載されたタイプの気相方法が挙げられる。
本発明の実施形態に従って予備処理された反応器で実施できる他の気相方法は、プロピレン単独を重合させる又はプロピレンをエチレン及び/又は4〜12個の炭素原子を有するオレフィンなどの1種以上の他の単量体と共に重合させる方法である。ポリプロピレン重合体は、米国特許第5,296,434号及び同5,278,264号に記載されたような特に架橋したメタロセン触媒を使用して製造できる。当該方法で製造できるプロピレン系重合体としては、アタクチックポリプロピレン、アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン及びプロピレンランダム、ブロック又はインパクト共重合体が挙げられる。
本発明の実施形態に従って予備処理された反応装置系において重合体生成物を重合させるために使用される触媒としては、α−オレフィンを重合させるのに好適な任意の触媒系が挙げられる。当該触媒系は二峰型触媒系であることができる。当該触媒系において使用できる触媒化合物としては、第15族元素含有金属化合物;メタロセン化合物;フェノキシド触媒化合物;及び従来型の遷移金属触媒が挙げられる。ここで使用した化学化合物に対する言及の全ては、「Nomenclature of Organic Chemistry」,Oxford:Pergamon Press,1979;「A Guide to IUPAC Nomenclature of Organic Compounds,Recommendations 1993」,Oxford:Blackwell Scientific Publications,1993及び「Nomenclature of Inorganic Chemistry,Recommendations 1990」,Oxford:Blackwell Scientific Publications(1990)で定義された化学を説明する新たなIUPAC規則を参照している。二峰型触媒又はバイメタル触媒系は、例えば、米国特許第6,605,675号、同6,846,886号、同6,956,089号、同6,274,684号、同6,841,631号、同6,894,128号、同6,534,604号及び同6,689,847号並びに国際公開WO01/30861号及び同WO02/46243号に記載された触媒組成物のいずれかを含むことができる。該触媒系は、担持ビスアミド触媒(例えば、米国特許第6,271,325号に記載されるようなもの)を含む触媒系をさらに有することができる。
本発明のいくつかの実施形態に従って予備処理された反応装置系において重合体生成物を重合させるために有用なメタロセン触媒化合物及び同触媒系としては、例えば、米国特許第5,064,802号、同5,145,819号、同5,149,819号、同5,243,001号、同5,239,022号、同5,276,208号、同5,296,434号、同5,321,106号、同5,329,031号、同5,304,614号、同5,677,401号、同5,723,398号、同5,753,578号、同5,854,363号、同5,856,547号、5,858,903号、同5,859,158号、同5,900,517号、同5,939,503号及び同5,962,718号並びに国際公開WO93/08221号、WO93/08199号、WO95/07140号、WO98/11144号、WO98/41530号、WO98/41529号、WO98/46650号、WO99/02540号及びWO99/14221号並びに欧州公開EP−A−0578838号、EP−A−0638595号、EP−B−0513380号、EP−A1−0816372号、EP−A2−083984号、EP−B1−0632819号、EP−B1−0739361号、EP−B1−0748821号及びEP−B1−0757996号に記載されたもの、並びに例えば、WO92/00333号、WO94/07928号、WO91/ 04257号、WO94/03506号、WO96/00244号、WO97/15602号及びWO99/20637号並びに米国特許第5,057,475号、同5,096,867号、同5,055,438号、同5,198,401号、同5,227,440号及び同5,264,405並びにEP−A−0420436号に記載されたメタロセン化合物が挙げられる。
メタロセン触媒化合物としては、Ni2+及びPd2+の錯体を挙げることができる(例えば、Johnson外,「New Pd(II)−and Ni(II)−Based Catalysts for Polymerization of Ethylenes and a−Olefines」,J.Am.Chem.Soc.1995,117,6414−6415及びJohnson外,「Copolymerization of Ethylene and Propylene with Functionalized Vinyl Monomers by Palladium(II)Catalysts」,J.Am.Chem.Soc.,1996,118,267−268号、WO96/23010号、WO99/02472号、米国特許第5,852,145号、同5,866,663号及び同5,880,241号参照)。これらの錯体は、陽イオン状態にまで活性化され得ると記載された二ハロゲン化物錯体のジアルキルエーテル付加物又はアルキル化反応生成物のいずれかであることができる。メタロセン触媒は、第8〜10族金属化合物のジイミン系配位子であることができる(例えば、国際公開WO96/23010号及びWO97/48735号に記載されるようなもの)。該メタロセン触媒は、それらの構造異性体、光学異性体又は鏡像異性体(メソ及びラセミ異性体並びにそれらの混合物)を含むことができる。
従来の遷移金属触媒は、伝統的なチーグラー・ナッタ触媒及びフィリップス型クロム触媒である。本発明のいくつかの実施形態に従って予備処理された反応装置系において重合体生成物を重合させるために使用できる従来の遷移金属触媒化合物としては、元素の周期律表の第III〜VIII族、好ましくはIVB〜VIB族の遷移金属化合物が挙げられる。本発明のいくつかの実施形態に従って予備処理された反応装置系において重合体生成物を重合させるために好適なさらに別の従来の遷移金属触媒化合物及び触媒は、米国特許第4,124,532号、同4,302,565号、同4,302,566号及び同5,763,723号並びにEP−A2 0416815A2及びEP−A1 0420436に開示されている。他の触媒としては、AlCl3、バナジウム、束縛構造触媒、コバルト及び鉄触媒などの陽イオン性触媒を挙げることができる。

本発明をその特定の実施形態と共に説明してきたが、次の説明は、本発明を例示するものであり、その範囲を限定することを意図するものではないことを理解すべきである。他の側面、利点及び改変は、本発明の属する技術の分野において通常の知識を有する者であれば明らかであろう。
したがって、次の例は、当業者に本発明の化合物の製造方法及び使用方法の完全な開示と説明を与えるために提示するものであるが、本発明者が彼らの発明であると見なす範囲を限定することを意図するものではない。
例1:従来の方法
商用のポリエチレン重合反応装置系で実施する従来のクロモセン処理方法では、約8.2kgのクロモセンを反応器に8重量%トルエン溶液として導入すると同時に、不活性ガスを該系に循環させる。トルエン注入量(95kg)は、38℃の露点温度を生じさせるであろう(779m3の所定の反応器容量で)。これは、クロモセン処理中における反応装置系内のガス温度(80〜90℃)よりもかなり低いので、これらの液滴は急速に蒸発する。これらの液滴についての推定乾燥時間は数秒であるが、これは、ガス回転時間(40〜60秒)よりもかなり短い。乾燥時間が短いため、クロモセンのほとんどが乾燥粉末として該系を循環し、反応器の壁部を湿らせることができない。つまり、再循環ガスに曝される反応装置系のほとんどの内部表面は、該再循環サブシステムの床壁及び表面を含めて、溶液触媒により湿潤しない(又は少なくとも実質的に均一には湿潤しない)。
例2:トルエン予備装入工程を含む本発明の方法の実施形態
この実施形態は、露点温度(反応装置系の内容物の)を、300kgのトルエンを該反応装置系に予備装入することにより上昇させてからクロモセン溶液を導入する、例1の変形例である。この300kgの追加のトルエンは、クロモセンと共に添加された95kgと併せて、72℃の露点温度を生じさせる。これは、反応器のバルクガス温度(80〜90℃の範囲)に非常に近いため、クロモセン溶液の液滴を非常に緩やかに乾燥させるであろう。クロモセン溶液の液滴の乾燥は、液状クロモセン溶液の液滴による床壁(及びガス再循環サブシステムの他の表面)の適切な湿潤が生じる程度に十分に緩やかに生じる。
例3:より希薄なクロモセン/トルエン溶液の導入を含む本発明の方法の実施形態
この実施形態は、より希薄なクロモセンのトルエン溶液を反応装置系に導入する、例1の別の変形例である。この例では、同じ8.2kgのクロモセンを導入するが、ただし該クロモセンと395kgのトルエンとを予備混合させて2重量%溶液(例1のように8重量%溶液ではない)を生じさせる。これは、例2で添加したトルエンの量と同じなので、例2と同様の露点温度(72℃)を生じさせるであろう。つまり、このクロモセン溶液の液滴は、液状クロモセン溶液の液滴による床壁(及びガス再循環サブシステムの他の表面)の適切な湿潤が生じる程度に十分に緩やかに乾燥する。
例2及び3のいずれかの方法を実施すると、反応器内の露点温度が上昇する(追加のトルエンの存在のため)。露点温度が38℃から72℃まで上昇すると、温度差(反応器の温度−露点温度)は、47℃から13℃まで減少する。72℃では、露点温度は、該系において最も冷たい表面(通常は、温度が典型的には75〜78℃であるコンプレッサの入口)上での許容できない量の液体凝縮を防ぐのに十分に低い。これは、溶液触媒の液滴の乾燥を遅延させるために温度差の縮小という望ましい結果を生じさせ、それによって、溶液触媒による反応器の内部表面の液体湿潤を可能にすると同時に、過剰量のトルエンが蒸気相から表面上に凝縮する可能性を最小限に抑える。
例4:反応器ガス温度を低下させた本発明の方法の実施形態
上記例2及び3の両方では、溶液触媒の液滴の乾燥速度を、露点温度を上昇させることによって低下させる。これは、反応器ガスと露点温度との間に温度差を生じさせ、それによってこれらの液滴の乾燥速度が低下する。同様の結果は、反応器のガス温度を十分に低下させた条件下で溶液触媒を導入することによって得ることができる。この場合には、露点温度を上昇(多くのトルエンを添加することによって)させない。その代わりに、反応器のガス温度を例1と比較して低下させることで、クロモセン溶液の液滴は、液体状溶液触媒の液滴による床壁(及びガス再循環サブシステムの他の表面)の適切な湿潤が生じる程度に十分に穏やかに乾燥する。
例4では、従来の方法(95kgのトルエン中8.2kgのクロモセンの注入)と同一の溶液触媒の注入方法を使用して例1と同様の露点温度(38℃)を生じさせることができる。例4では、所望の小さい温度差は、45〜50℃の範囲のガス温度で反応装置系を操作することによって得られる。この範囲内の反応器温度での操作により、7〜12℃の比較的小さい温度差が生じる。
この場合には、反応装置系内における最も低い温度(典型的にはコンプレッサの入口)によって過剰量のトルエンの凝縮が生じないようにすることも重要である。45〜50℃の範囲の反応器ガス温度では、コンプレッサの入口の温度は、約40〜45℃の範囲内であろう。これは、露点温度(この場合38℃)よりも高いので、凝縮は生じないはずである。
例5:高い露点温度と低い反応器ガス温度
いくつかの実施形態は、低い反応器ガス温度(例えば、例4のような)と溶媒量の増加(例えば、例2又は3のような)との両方を用いて、反応器壁部の最も冷たい部分上に凝縮を生じさせることなく、十分に小さい望ましい温度差を生じさせる。
所定の実施形態では、本発明は、流動床重合反応装置系の少なくとも一つの内部表面(例えば、床壁)の処理方法であって、次の工程:(a)該表面のそれぞれに溶液触媒を塗布し、ここで、該溶液触媒の触媒成分は、少なくとも1種のクロム含有化合物(「CCC」)であり又はこれを含み;そして、(b)工程(a)の後に、該反応装置系に酸素を導入して、該塗布されたCCCの少なくともいくつかの制御酸化を生じさせることを含む処理方法である。いくつかの実施形態では、該CCCはクロモセンである。いくつかの実施形態では、過剰の溶媒を反応装置系から工程(a)の後でかつ工程(b)の前に除去する。好ましい実施形態では、該酸化工程中における該系の酸素濃度は、200ppm(100万部の1容積比)を超えないように、より好ましくは100ppmを超えないように制限される。いくつかの実施形態では、該酸化工程は、持続期間が制御される。好ましくは、該酸化工程は、約2時間未満(又はいくつかの実施形態では約1時間未満)に完了する。該酸化工程は、所望量の酸素を反応器に導入し、しかも該酸素への露出の所望時間が満了した後に完了したものとみなされる。本明細書における用語「完了」の使用は、酸化が化学的に完了することや、存在するクロム(CCC)の全てが酸化されることを意味することを意図するものではない。
典型的には、塗布された触媒の酸化後に、重合反応(当該触媒により触媒される)を実施して各表面上に重合体被覆を形成させる。好ましくはこのようにして形成された各被覆は、反応装置系でのその後の重合反応の間に、反応装置系での帯電を低減させる(及びそれによってシーティングの可能性を低減させる)絶縁層として確実に機能する。好ましくは、該溶液触媒は、それぞれの表面に、少なくとも実質的に均一にかつ液体の状態で(例えば、溶液触媒の液滴の状態)で塗布される。典型的には、当該塗布された溶液触媒を乾燥させて(又はこれが乾燥して)、酸化工程前にそれぞれの表面上に触媒の乾燥被膜を残す。
いくつかの実施形態では、重合反応は、溶液触媒を塗布し、該塗布した触媒を酸化させた後可能な限りすぐに開始する(ただし、該塗布され酸化された触媒を酸化後でかつ重合の開始前に不活性雰囲気中で保持する場合を除く)。重合反応(当該触媒により触媒される)を実施して、触媒が塗布された各表面上に重合体被覆を形成させる。いくつかの実施形態では、重合反応を酸化工程の完了後2時間以内に開始する(ただし、該塗布され酸化された触媒を酸化後でかつ重合の開始前に不活性雰囲気中で保持する場合を除く)。他の実施形態では、該重合反応を該酸化工程の終了後48時間以内に開始する(ただし、該塗布され酸化された触媒を酸化後でかつ重合の開始前に不活性雰囲気中で保持する場合を除く)。他の実施形態では、溶液触媒を塗布し、該塗布した触媒を酸化させた後に重合反応の開始を遅らせる(例えば、反応器を稼働させる前に該反応器を輸送及び/又は保存するために)ことが必要になる場合がある。
好ましくは、該酸化工程中における該系の酸素濃度を制限して(例えば、100ppmを超えないように)、付着したCCC触媒の酸化を制限する。これは、付着したCCC触媒の過剰の酸化により、その後の重合体被覆の形成の間にクロム活性が不十分なもの(極めて低く)になることに本発明者が気付いたからである。溶液触媒の塗布及び該塗布された触媒の酸化後で、かつ、重合体被覆を形成させる前に、反応系の様々な部品から過剰のCCCを除去するいくつかの場合には、該反応系の処理表面は、塗布された触媒と単量体とを反応させて重合体被覆を形成させる前に開放されて空気にさらされる(洗浄を行うために)。学説にとらわれることなく、このように該反応系を空気にさらしたときには(本発明の制御酸化工程の後に)、付着したクロムのさらなる酸化が生じ、また、このようなさらなる酸化は、該酸化工程中における該系の酸素濃度を本発明に従って制限(例えば、100ppmを超えないように)しなければ、重合体被覆を形成させるときにクロム活性を不十分なものにするという意味で過剰であり得ると考えられる。
いくつかの実施形態では、本発明の制御酸化工程は、持続期間が制限される(例えば、添加された酸素を該系に循環させるのは2時間未満である)。本発明者が実施した実験から、酸化工程の持続時間を増やすと、その後の重合体被覆形成の間に、塗布された(次いで酸化された)CCC触媒の活性が典型的に低下すること、及び、酸化工程の持続時間が過剰であると、その後の重合操作の間に酸化CCC触媒の活性が不十分なものになる可能性があることが示された。表2は、このような結果から得られたデータを示している。
Figure 2010520358
表2の各列は、予め金属クーポンに塗布された(示された温度で塗布。ここで、「RT」は室温を意味する。)クロモセン触媒が触媒する重合反応によって該クーポン上に形成された重合体の量(g)を示している(ここで、この塗布された触媒は、重合反応前に、示された時間にわたり酸化された)。
次に、本発明の実施形態に従う気相流動床反応器(円錐形拡大部を有する)の処理を説明する。該反応器の直線部は、約4.9メートルの内径を有していた。該反応器は、約471平方メートルの処理される表面積(分配プレート上の反応器壁部、拡大部及び頭頂部)を備えていた。本発明の処理を実施する前に、該反応装置系を、まず過剰の重合体を除去することによって洗浄し、そして、該反応系に、10個の注入装置300(スプレーイング・システムズ・カンパニーが供給する110°V−ジェットノズル型H1/4VV11006)を備える図5に示したタイプの注入装置を設置した。溶液触媒の注入中における該溶液触媒注入装置及び反応装置系の形状及び他のパラメーター(好ましいパラメーターについての許容できる変動を含む)を表3にまとめる。
Figure 2010520358
この処理の次の工程は、反応装置系内の湿度が10ppmv(100万分の1容積比)を下回り、しかも酸素濃度が1ppmvを下回るまで、該反応装置系に酸素を循環させることによって該装置系を加圧し、そしてパージすることであった。次いで、クロモセンの5重量%トルエン溶液を表3に示した範囲内での条件下で注入した。注入の間に、クロモセンを10個の噴射ノズルに実質的に同時に供給した。全180kgのクロモセン溶液(9kgの活性クロモセン)を約15分以内で注入した。注入が完了した後に、クロモセン溶液を約1時間循環させた。次いで、この反応系をブリージングエアシリンダーから供給される酸素により100ppmvで1時間にわたり酸化させた。次に、この反応系を1.0ppmv未満の酸素及び約1.0ppmv未満のトルエンにまでパージした。この反応器の圧力及び温度を約5.0BARG及び85℃に調節した。次いで、エチレンを供給して約4.0BARAの分圧に安定させた。次に、15kgのTEAlを約190分間にわたって供給した。エチレン及びTEAlを約60時間循環させると共に、流入流れと該反応系からの排出を最小限に抑えた。次に、CO2を約0.5モル%の濃度となるように供給し、そして約60分間循環させた。次いで、この反応系を850ppmvの水で加水分解させた。次に、該反応系を検査のために開放し、そしてコンプレッサを洗浄し、サイクル冷却器を取り替え、そして分配プレートをサンドブラストした。反応器の壁部及び拡大部を手作業による削り取りで滑らかにした(「磨いた」)。
重合体被覆を検査したところ、厚くかつ均質であることが分かった。この高分子量重合体被覆の厚さの測定値を該反応器内の様々な箇所で取得した。反応器壁部は、約24ミル(0.61mm)の平均厚さ及び約20ミル(0.51mm)を超える最小厚さを有する高分子量重合体被覆があることが分かった。
「から本質的になる」という語句は、特定しない限り、本明細書において具体的に言及したかどうかを問わず、他の工程、要素又は材料を除外するものではなく(ただし、このような工程、要素又は材料が本発明の基本的かつ新規な特徴に影響を及ぼさない場合に限る。)、さらに、使用した要素及び材料と通常関連のある不純物を除外するものでもない。
簡潔にするために、ここでは所定の範囲しか明示的に開示していない。しかしながら、任意の下限値からの範囲を任意の上限値と組み合わせて明示的に規定されていない範囲を規定することができるだけでなく、任意の下限値からの範囲を任意の他の下限値と組み合わせて明示的に規定されていない範囲を規定することができ、同様に、任意の上限値からの範囲を任意の他の上限値を組み合わせて明示的に規定されていない範囲を規定することができる。さらに、所定の範囲内には、たとえ明示的に規定されていなくても、その端点間の全ての点又は個々の値が含まれる。つまり、全ての点又は個々の値は、任意の他の点又は個々の値と組み合わせて明示的に規定されていない範囲を規定するために、それ自体が下限値又は上限値としての役割を果たし得る。
全ての優先権書類は、援用が認められる全ての管轄について、その開示が本発明の記載と一致する範囲内で、引用により完全に援用する。さらに、本明細書で引用した全ての文書及び参考文献(試験手順、刊行物、特許、学術論文などを含む)は、援用が認められる全ての管轄について、その開示が本発明の記載と一致する範囲で、引用により援用する。
本発明を多数の実施形態及び実施例に関して説明してきたが、この開示の利益を得る当業者であれば、ここで開示した本発明の範囲及び精神から逸脱しない他の実施形態を想起できることが分かるであろう。
2 単純注入管
3 噴霧ノズル
4 反応器
5 注入管
6 再循環ガスコンプレッサ
10 分配プレート
11 再循環ライン
12 再循環ガス熱交換器
202 配管
204 隔壁継手
206 シリンダ
208 床壁
212 分配プレート
300 注入装置
302 壁部
304 接線
310 噴射パターン

Claims (104)

  1. 少なくとも1種の触媒を少なくとも1種の溶媒に溶解させてなる溶液触媒を使用して流動床重合反応装置系の少なくとも一つの内部表面を処理するための方法であって、次の工程:
    (a)該溶液触媒を該表面のそれぞれに少なくとも実質的に均一にかつ溶液の状態で塗布し;そして
    (b)該触媒によって触媒される重合反応を実施して、該表面のそれぞれに、該反応装置系でのその後の重合反応の間に該反応装置系内での帯電を低減させるための絶縁層となる重合体被覆を形成させること
    を含む、前記方法。
  2. 工程(a)の間に前記表面のそれぞれに溶液触媒の液滴を直接塗布してから該液滴を蒸発又は昇華させる、請求項1に記載の方法。
  3. 前記反応装置系が床壁を有し、しかも、工程(a)が前記溶液触媒を前記床壁に少なくとも実質的に均一にかつ液体の状態で塗布する工程を含む、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記反応装置系が床壁、分配プレート及びガス再循環ラインを有し、しかも、工程(a)が前記溶液触媒を該床壁、該分配プレート及び該再循環ラインに少なくとも実質的に均一にかつ溶液の状態で塗布する工程を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 前記溶液触媒が溶解クロム含有化合物を含む、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. 前記クロム含有化合物がクロモセンである、請求項5に記載の方法。
  7. 前記溶液触媒がトルエンに溶解されたクロモセンを含む、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
  8. 前記反応装置系がガス再循環サブシステムと反応器とを備え、該ガス再循環サブシステムが該反応器に結合した入口及び出口を有するガス再循環ラインを備え、しかも、工程(a)が次の工程:
    前記溶液触媒を該反応器に注入すると共に、該ガス再循環サブシステムが該再循環ラインの出口から不活性ガスを該反応器に与え、それによって、注入した溶液触媒が不活性ガス流れ中に閉じ込められた状態になること
    を含む、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
  9. 工程(a)が次の工程:
    前記溶液触媒を前記反応器に該反応器に延在する少なくとも1個の供給管を介して注入すること
    を含む、請求項8に記載の方法。
  10. 工程(a)が次の工程:
    前記溶液触媒を前記反応器に少なくとも1個の注入ノズルを介して注入し、それによって該ノズルのそれぞれから該反応器内に溶液触媒の液滴の噴霧を放出させること
    を含む、請求項8に記載の方法。
  11. 工程(a)が次の工程:
    前記溶液触媒を前記反応器に少なくとも2個の注入ノズルを介して注入し、それによってこれらのノズルのそれぞれから該反応器内に溶液触媒の液滴の噴霧を放出させること
    を含む、請求項8に記載の方法。
  12. 前記反応装置系が、反応器と、該反応器に結合した入口及び出口を有するガス循環ラインを備えるガス再循環サブシステムとを備え、しかも、工程(a)が前記溶液触媒を該再循環ラインに注入すると共に、該再循環ラインを介して不活性ガス流れを与え、それによって、注入した溶液触媒を該不活性ガス流れ中に閉じ込められた状態にする工程を含む、請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
  13. 前記反応装置系が床壁を有し、しかも、工程(a)が次の工程:
    前記溶液触媒の液滴の少なくとも一つの噴霧を、該反応装置系に、これらの液滴の多くが該床壁と接触する前に蒸発も昇華もしないような条件下で導入すること
    を含む、請求項1〜12のいずれかに記載の方法。
  14. 工程(a)が次の工程:
    前記溶液触媒を、前記反応装置系に、該溶液触媒が該内部表面のそれぞれを該溶液触媒によって少なくとも実質的に均一に湿らせるのを妨げない程度に十分に低い乾燥速度を有するような条件下で導入すること
    を含む、請求項1〜13のいずれかに記載の方法。
  15. 前記反応装置系がガス再循環サブシステムと反応器とを備え、該ガス再循環サブシステムが該反応器に結合した入口及び出口を有するガス再循環ラインを備え、前記溶液触媒がトルエンに溶解されたクロム含有化合物であり、しかも、工程(a)が次の工程:
    前記溶液触媒の液滴を該反応装置系に導入すると同時に、不活性ガスを所定のガス回転時間で該ガス再循環サブシステムを介してこれらの液滴が該ガス回転時間の少なくとも2倍の半減期で乾燥するような条件下で循環的に流すこと(ここで、該ガス回転時間は、該反応装置系の全体積を該ガス再循環サブシステムを介したガスの体積流量で割ったものである。)
    を含む、請求項14に記載の方法。
  16. 前記クロム含有化合物がクロモセンである、請求項15に記載の方法。
  17. 前記反応装置系が床壁を有し、しかも、工程(a)が次の工程:
    該反応装置系内において十分に低い温度を維持し、それによって、少なくとも前記溶液触媒の実質的量が該床壁と接触する前に蒸発も昇華もしないこと
    を含む、請求項14に記載の方法。
  18. 工程(a)中の前記反応器の内容物が所定の露点温度を有し、該内容物が前記溶液触媒を含み、しかも、工程(a)が次の工程:
    該溶液触媒により前記各内部表面を少なくとも実質的に均一に湿らせる間に、反応器の温度を含めた該反応装置系内の条件を、該露点温度を該反応器の温度に維持するのに十分な条件に維持すること
    を含む、請求項14に記載の方法。
  19. 工程(a)が次の工程:
    前記溶液触媒により前記各内部表面を少なくとも実質的に均一に湿らせる間に、前記反応装置系に追加の溶媒を添加して前記露点温度を前記反応器の温度に維持すること
    を含む、請求項18に記載の方法。
  20. 工程(a)が次の工程:
    前記溶液触媒を追加の溶媒で希釈して希釈溶液触媒を生成させ、そして、該希釈溶液触媒により前記各内部表面を少なくとも実質的に均一に湿らせる間に、該希釈溶液触媒を前記反応装置系に導入して前記露点温度を前記反応器の温度に維持すること
    を含む、請求項18に記載の方法。
  21. 前記反応装置系が床壁を有し、工程(a)中における該反応器の内容物が所定の露点温度を有し、該内容物が前記溶液触媒を含み、しかも、工程(a)が次の工程:
    反応器温度を含めた該反応装置系内の条件を、前記露点温度を該反応器温度に十分に近く維持するのに十分な条件に維持して、該床壁を湿らせる前に該溶液触媒の少なくとも実質的な量が蒸発又は昇華しないようにすること
    を含む、請求項14〜21のいずれかに記載の方法。
  22. 工程(a)が次の工程:
    前記反応装置系に追加の溶媒を供給して前記露点温度を前記反応器温度に十分に近く維持し、それにより前記溶液触媒の少なくとも実質的な量が前記床壁を湿らせる前に蒸発又は昇華しないようにすること
    を含む、請求項21に記載の方法。
  23. 工程(a)が次の工程:
    前記溶液触媒を前記反応装置系に導入する前に、該反応装置系に前記追加の溶媒を予備装入すること
    を含む、請求項22に記載の方法。
  24. 工程(a)が次の工程:
    前記溶液触媒を追加の溶媒で希釈して希釈溶液触媒を生成させ、そして、該希釈溶液触媒を前記反応装置系に導入して前記露点温度を前記反応器温度の十分に近くに維持し、それにより該溶液触媒の少なくとも実質的な量が前記床壁を湿らせる前に蒸発又は昇華しないようにすること
    を含む、請求項21に記載の方法。
  25. 工程(a)が次の工程:
    前記露点温度を前記反応装置系内の最も冷たい箇所の温度の5℃〜30℃の範囲内に維持するのに十分な該反応装置系内の条件を維持すること
    を含む、請求項21に記載の方法。
  26. 前記反応装置系が床壁、分配プレート及びガス再循環ラインを有し、しかも、工程(a)が、前記溶液触媒の液滴の少なくとも一つの噴霧を、該反応装置系に、少なくともこれらの液滴の実質的量が蒸発又は昇華する前に該床壁、該分配プレート及び該再循環ラインと直接接触するような条件下で導入する工程を含む、請求項1〜25のいずれかに記載の方法。
  27. (c)工程(a)の後でかつ工程(b)の前に、前記反応装置系をガス抜きして該反応装置系から前記溶媒の少なくともいくらかを除去する工程も含む、請求項1〜26のいずれかに記載の方法。
  28. (d)工程(c)の後でかつ工程(b)の前に、前記反応装置系に酸素を導入して、前記少なくとも一つの各表面に塗布された触媒の少なくともいくらかを酸化させる工程も含む、請求項1〜26のいずれかに記載の方法。
  29. 前記反応装置系が床壁を有する反応器を備え、しかも、工程(a)が前記溶液触媒を該反応装置系に該床壁の下部に近接した複数の箇所で導入する工程を含む、請求項1〜26のいずれかに記載の方法。
  30. 前記反応装置系が床壁を有する反応器を備え、該反応器が少なくとも略円筒形の部分を有し、しかも、工程(a)が前記溶液触媒を前記反応器に該反応器に対して相対的に設置された複数の注入装置を使用して導入して、該床壁の下部と噴射された溶液触媒とを、該反応器の該少なくとも略円筒形の部分の少なくとも実質的に全体にわたって直接衝突させることを確保する工程を含む、請求項1〜29のいずれかに記載の方法。
  31. 工程(a)が、前記溶液触媒を前記反応装置系の床壁に液体の状態で該床壁にわたって少なくとも実質的に均一に塗布し、次いで、該床壁上に乾燥触媒が残るまで、該塗布された溶液触媒を乾燥させる又は該塗布された溶液触媒が乾燥する工程を含む、請求項1〜29のいずれかに記載の方法。
  32. 工程(b)で形成された重合体被覆は、その後の重合操作の間に前記反応装置系内に樹脂シートが形成する傾向を実質的に低減させるのに十分な厚さである、請求項31に記載の方法。
  33. 次の工程を含む流動床重合反応装置系内で重合体生成物を製造する方法:
    (a)該反応装置系の少なくとも一つの内部表面を、少なくとも1種の触媒を少なくとも1種の溶媒に溶解させてなる溶液触媒を使用して、該溶液触媒を該表面のそれぞれに少なくとも実質的に均一にかつ溶液の状態で塗布することなどにより処理し、そして、該触媒が触媒する第1重合反応を実施して該表面のそれぞれに重合体被覆を形成させ;そして
    (b)工程(a)の後に、該反応装置系内で第2重合反応を実施して重合体生成物を生成させ、ここで、該第2重合反応は第2触媒及び第2触媒系のうちの一つによって触媒され、しかも、工程(a)で形成された重合体被覆は、該第2重合反応の実施の間に該反応装置系内での帯電を低減させる絶縁層となる。
  34. 工程(a)の間に前記表面のそれぞれに溶液触媒の液滴を直接塗布してから該液滴を蒸発又は昇華させる、請求項33に記載の方法。
  35. 前記反応装置系が床壁を有し、しかも、工程(a)が前記溶液触媒を前記床壁に少なくとも実質的に均一にかつ液体の状態で塗布する工程を含む、請求項33に記載の方法。
  36. 前記反応装置系が床壁、分配プレート及びガス再循環ラインを有し、しかも、工程(a)が前記溶液触媒を該床壁、該分配プレート及び該再循環ラインに少なくとも実質的に均一にかつ溶液の状態で塗布する工程を含む、請求項33に記載の方法。
  37. 前記溶液触媒が溶解クロム含有化合物を含む、請求項33〜36のいずれかに記載の方法。
  38. 前記クロム含有化合物がクロモセンである、請求項37に記載の方法。
  39. 前記溶液触媒がトルエンに溶解されたクロモセンを含む、請求項33〜38のいずれかに記載の方法。
  40. 工程(a)で形成された重合体被覆が高分子量重合体を含み、しかも、工程(b)で生成された重合体生成物が低分子量重合体である、請求項33〜39のいずれかに記載の方法。
  41. 工程(b)で生成された重合体生成物がポリオレフィンであり、しかも、前記第2重合反応が前記第2触媒及び前記第2触媒系の前記1種の存在下で単量体を重合させる、請求項33〜40のいずれかに記載の方法。
  42. 工程(b)で生成された重合体生成物がポリエチレンである、請求項41に記載の方法。
  43. 前記第2重合反応が、チーグラー・ナッタ、クロム、酸化クロム、AlCl3、コバルト、鉄、パラジウム、束縛構造触媒及びメタロセン触媒よりなる群から選択される第2触媒によって触媒される、請求項33〜42のいずれかに記載の方法。
  44. 工程(b)で生成された重合体生成物がポリオレフィンであり、しかも、前記第2重合反応が前記第2触媒及び前記第2触媒系の前記1種の存在下で単量体及び共単量体を重合させる、請求項33〜43のいずれかに記載の方法。
  45. 前記第2触媒がメタロセン系触媒であり、前記第2触媒系がメタロセン系触媒系である、請求項44に記載の方法。
  46. 工程(b)で生成された重合体生成物がポリエチレンである、請求項44に記載の方法。
  47. 前記第2重合反応が、チーグラー・ナッタ、クロム、酸化クロム、AlCl3、コバルト、鉄、パラジウム、束縛構造触媒及びメタロセン触媒よりなる群から選択される第2触媒によって触媒される、請求項44に記載の方法。
  48. 工程(a)が次の工程:
    前記溶液触媒を、前記反応装置系に、該溶液触媒が該溶液触媒による該内部表面のそれぞれの少なくとも実質的に均一な湿潤を妨げない程度に十分に低い乾燥速度を有するような条件下で導入すること
    を含む、請求項33〜47のいずれかに記載の方法。
  49. 前記反応装置系がガス再循環サブシステムと反応器とを備え、該ガス再循環サブシステムが該反応器に結合した入口及び出口を有するガス再循環ラインを備え、前記溶液触媒がトルエンに溶解されたクロム含有化合物であり、しかも、工程(a)が次の工程:
    前記溶液触媒の液滴を該反応装置系に導入すると同時に、不活性ガスを所定のガス回転時間で該ガス再循環サブシステムを介してこれらの液滴が該ガス回転時間の少なくとも2倍の半減期で乾燥するような条件下で循環的に流すこと(ここで、該ガス回転時間は、該反応装置系の全体積を該ガス再循環サブシステムを介したガスの体積流量で割ったものである。)
    を含む、請求項33〜48のいずれかに記載の方法。
  50. 前記クロム含有化合物がクロモセンである、請求項49に記載の方法。
  51. 前記反応装置系が床壁を有し、しかも、工程(a)が次の工程:
    該反応装置系内において十分に低い温度を維持し、それによって、少なくとも前記溶液触媒の実質的量が該床壁と接触する前に蒸発も昇華もしないこと
    を含む、請求項33〜50のいずれかに記載の方法。
  52. 工程(a)中の前記反応器の内容物が所定の露点温度を有し、該内容物が前記溶液触媒を含み、しかも、工程(a)が次の工程:
    該溶液触媒による前記内部表面のぞれぞれの少なくとも実質的に均一な湿潤の間に、反応器温度を含めた該反応装置系内の条件を、該露点温度を該反応器温度に維持するのに十分な条件に維持すること
    を含む、請求項33〜51のいずれかに記載の方法。
  53. 工程(a)が次の工程:
    前記溶液触媒により前記各内部表面を少なくとも実質的に均一に湿らせる間に、前記反応装置系に追加の溶媒を添加して前記露点温度を前記反応器温度に維持すること
    を含む、請求項33〜52のいずれかに記載の方法。
  54. 工程(a)が次の工程:
    前記溶液触媒を追加の溶媒で希釈して希釈溶液触媒を生成させ、そして、該希釈溶液触媒により前記各内部表面を少なくとも実質的に均一に湿らせる間に、該希釈溶液触媒を前記反応装置系に導入して前記露点温度を前記反応器温度に維持すること
    を含む、請求項52に記載の方法。
  55. 前記反応装置系が床壁を有し、工程(a)中における該反応器の内容物が所定の露点温度を有し、該内容物が前記溶液触媒を含み、しかも、工程(a)が次の工程:
    反応器温度を含めた該反応装置系内の条件を、前記露点温度を該反応器の温度に十分に近く維持するのに十分な条件に維持して、該床壁を湿らせる前に該溶液触媒の少なくとも実質的な量が蒸発又は昇華しないようにすること
    を含む、請求項33〜54のいずれかに記載の方法。
  56. 工程(a)が次の工程:
    前記反応装置系に追加の溶媒を供給して前記露点温度を前記反応器温度に十分に近く維持し、それにより前記溶液触媒の少なくとも実質的な量が前記床壁を湿らせる前に蒸発又は昇華しないようにすること
    を含む、請求項55に記載の方法。
  57. 工程(a)が次の工程:
    前記溶液触媒を前記反応装置系に導入する前に、該反応装置系に前記追加の溶媒を予備装入すること
    を含む、請求項56に記載の方法。
  58. 工程(a)が次の工程:
    前記溶液触媒を追加の溶媒で希釈して希釈溶液触媒を生成させ、そして、該希釈溶液触媒を前記反応装置系に導入して前記露点温度を前記反応器温度に十分に近く維持し、それにより該溶液触媒の少なくとも実質的な量が前記床壁を湿らせる前に蒸発又は昇華しないようにすること
    を含む、請求項55に記載の方法。
  59. 工程(a)が次の工程:
    前記露点温度を前記反応装置系内の最も冷たい箇所の温度の5℃〜30℃の範囲内に維持するのに十分な該反応装置系内条件を維持すること
    を含む、請求項55に記載の方法。
  60. 前記反応装置系の前記各内部表面が影響を受けない表面であり、 該反応装置系が少なくとも一つの影響を受けやすい表面も備え、しかも、
    (c)工程(a)の前に、少なくとも一つの影響を受けない表面ではなく、少なくとも一つの影響を受けやすい表面に亜鉛コーティングを施す工程も含み、しかも、工程(a)は、次の工程:
    該溶液触媒を該影響を受けない表面のそれぞれに少なくとも実質的に均一にかつ液体の状態で塗布し、そして
    該触媒によって触媒される前記第1重合反応を実施して該影響を受けない表面のそれぞれに重合体被覆を形成させること
    を含む、請求項33〜59のいずれかに記載の方法。
  61. 前記系のいずれの部材も過剰の重合体物質で汚れないように工程(a)及び(c)を実施する、請求項60に記載の方法。
  62. 工程(a)及び(c)を、工程(a)の間に、影響を受けない表面のそれぞれよりも影響を受けやすい表面のそれぞれの方で少ない重合体が形成されるように実施する、請求項60に記載の方法。
  63. 前記反応装置系が分配プレート表面、冷却器表面、コンプレッサ表面、再循環ライン表面及び反応器床壁を備え、前記少なくとも一つの影響を受けやすい表面が該分配プレート表面、該冷却器表面、該コンプレッサ表面及び該再循環ライン表面の少なくとも一つを備え、少なくとも一つの該内部表面が該反応器床壁の少なくとも一部分である、請求項60に記載の方法。
  64. 前記反応装置系の少なくとも一つの内部表面が少なくとも一つの影響を受けない表面及び少なくとも一つの影響を受けやすい表面を備え、工程(a)が次の工程:
    亜鉛コーティングを、少なくとも一つの影響を受けない表面ではなく少なくとも一つの影響を受けやすい表面に施し;
    前記溶液触媒を少なくとも実質的に均一にかつ液体の状態で該影響を受けない表面のそれぞれ及び該影響を受けやすい表面のそれぞれに塗布し;そして
    該触媒によって触媒される前記第1重合反応を実施して、該影響を受けない表面のそれぞれ及び該影響を受けやすい表面のぞれぞれに重合体被覆を形成させること
    を含む、請求項33〜63のいずれかに記載の方法。
  65. 工程(a)を、前記系のいずれの部材も過剰の重合体物質で汚れないように実施する、請求項64に記載の方法。
  66. 工程(a)を、前記影響を受けない表面のそれぞれよりも前記影響を受けやすい表面のそれぞれの方で少ない重合体が形成するように実施する、請求項64に記載の方法。
  67. 工程(a)を、前記影響を受けやすい表面のぞれぞれで形成された重合体被覆が、前記影響を受けない表面のぞれぞれで形成された重合体被覆よりも小さい平均厚さを有するように実施する、請求項64に記載の方法。
  68. 前記反応装置系が分配プレート表面、冷却器表面、コンプレッサ表面、再循環ライン表面及び反応器床壁を備え、前記少なくとも一つの影響を受けやすい表面が該分配プレート表面、該冷却器表面、該コンプレッサ表面及び該再循環ライン表面の少なくとも一つを備え、該少なくとも一つの影響を受けない表面が該反応器床壁の少なくとも一部分である又はそれを備える、請求項64に記載の方法。
  69. 流動床重合反応装置系の内部表面の処理方法であって、該表面が少なくとも一つの影響を受けやすい表面及び少なくとも一つの影響を受けない表面を備え、該方法が次の工程:
    (a)亜鉛コーティングを、少なくとも一つの影響を受けない表面ではなく少なくとも一つの影響を受けやすい表面に施し;そして
    (b)工程(a)の後に、溶液触媒を該影響を受けやすい表面のそれぞれ及び該影響を受けない表面のそれぞれに少なくとも実質的に均一にかつ液体の状態で塗布すること
    を含む、前記方法。
  70. 前記溶液触媒が溶解クロム含有化合物を含む、請求項69に記載の方法。
  71. 前記クロム含有化合物がクロモセンである、請求項70に記載の方法。
  72. 前記溶液触媒がトルエンに溶解されたクロモセンを含む、請求項69〜71のいずれかに記載の方法。
  73. 前記反応装置系が床壁を有し、しかも、工程(b)が次の工程:
    前記溶液触媒の液滴の少なくとも一つの噴霧を、前記反応装置系に、これらの液滴の多くが該床壁と接触する前に蒸発も昇華もしないような条件下で導入すること
    を含む、請求項69〜72のいずれかに記載の方法。
  74. 工程(b)が次の工程:
    前記溶液触媒を、前記反応装置系に、該溶液触媒が前記影響を受けやすい表面のそれぞれと前記影響を受けない表面のそれぞれとが該溶液触媒で少なくとも実質的に均一に湿潤することを妨げないように十分に低い乾燥速度を有するような条件下で導入すること
    を含む、請求項69〜73のいずれかに記載の方法。
  75. 前記反応装置系が床壁を有し、しかも、工程(b)が次の工程:
    該反応装置系内において十分に低い温度を維持し、それによって、少なくとも前記溶液触媒の実質的量が該床壁と接触する前に蒸発も昇華もしないこと
    を含む、請求項69〜74のいずれかに記載の方法。
  76. 前記反応装置系が床壁、分配プレート及びガス再循環ラインを有し、工程(b)が前記溶液触媒の液滴の少なくとも一つの噴霧を、該反応装置系に、少なくともこれらの液滴の実質的量が蒸発又は昇華する前に該床壁、該分配プレート及び該再循環ラインと直接接触する工程を含む、請求項69〜75のいずれかに記載の方法。
  77. 前記溶液触媒が溶媒に溶解された少なくとも1種の触媒を含み、しかも、工程(b)が、前記溶液触媒を前記反応装置系の床壁に液体の状態で該床壁にわたって少なくとも実質的に均一に塗布し、次いで、該床壁上に乾燥触媒が残るまで、該塗布された溶液触媒を乾燥させる又は該塗布された溶液触媒が乾燥する工程を含む、請求項69〜76のいずれかに記載の方法。
  78. 前記溶液触媒が溶媒に溶解された少なくとも1種の触媒を含み、該方法が次の工程:
    (c)該触媒によって触媒される重合反応を実施して前記影響を受けない表面のそれぞれに重合体被覆を形成させ、それによって前記反応装置系でのその後の重合反応の間に該反応装置系内での帯電を低減させるための絶縁層を生じさせること
    を含む、請求項69〜77のいずれかに記載の方法。
  79. 工程(a)、(b)及び(c)を、工程(c)の間に前記系のいずれの部材も過剰の重合体物質で汚れないように実施する、請求項78に記載の方法。
  80. 工程(a)、(b)及び(c)を、工程(c)の間に前記影響を受けない表面のそれぞれよりも前記影響を受けやすい表面のそれぞれの方で少なくとも重合体が形成するように実施する、請求項78に記載の方法。
  81. 前記溶液触媒が溶媒に溶解された少なくとも1種の触媒を含み、該方法が次の工程:
    (c)該触媒によって触媒される重合反応を実施して前記影響を受けない表面のぞれぞれと前記影響を受けやすい表面のそれぞれとに重合体被覆を形成させ、それによって前記反応装置系でのその後の重合反応の間に該反応装置系内での帯電を低減させるための絶縁層を生じさせること
    を含む、請求項69〜80のいずれかに記載の方法。
  82. 工程(a)、(b)及び(c)を、工程(c)の間に前記系のいずれの部材も過剰の重合体物質で汚れないように実施する、請求項81に記載の方法。
  83. 工程(a)、(b)及び(c)を、工程(c)の間に前記影響を受けない表面のそれぞれよりも前記影響を受けやすい表面のそれぞれの方で少なくとも重合体が形成するように実施する、請求項81に記載の方法。
  84. 工程(a)、(b)及び(c)を、工程(c)の間に前記影響を受けやすい表面のぞれぞれに形成された重合体被覆が工程(c)の間に前記影響を受けない表面のぞれぞれに形成された重合体被覆よりも小さい平均厚さを有するように実施する、請求項81に記載の方法。
  85. 前記反応装置系が分配プレート表面、冷却器表面、コンプレッサ表面、再循環ライン表面及び反応器床壁を備え、前記少なくとも一つの影響を受けやすい表面が該分配プレート表面、該冷却器表面、該コンプレッサ表面及び該再循環ライン表面の少なくとも一つであり又はその少なくとも一つを備え、しかも、該少なくとも一つの影響を受けない表面が該反応器床壁及び該反応器床壁の一部分のうちの一つである、請求項69〜84のいずれかに記載の方法。
  86. 前記反応装置系が分配プレート表面、冷却器表面、コンプレッサ表面、再循環ライン表面及び反応器床壁を備え、前記少なくとも一つの影響を受けやすい表面が該分配プレート表面、該冷却器表面、該コンプレッサ表面及び該再循環ライン表面の少なくとも一つであり又はその少なくとも一つを備え、前記少なくとも一つの影響を受けない表面が該反応器床壁の少なくとも一部分を備える、請求項69〜84のいずれかに記載の方法。
  87. 前記亜鉛コーティングが亜鉛系塗料を含む、請求項69〜86のいずれかに記載の方法。
  88. 流動床重合反応装置系の少なくとも一つの内部表面の処理方法であって、次の工程:
    (a)該表面のそれぞれに溶液触媒を塗布し、ここで、該溶液触媒の触媒成分が少なくとも1種のクロム含有化合物を含み;そして
    (b)工程(a)の後に、該反応装置系に酸素を導入して、工程(a)で塗布されたクロム含有化合物の少なくともいくつかの制御酸化を生じさせること
    を含む、前記処理方法。
  89. 前記反応装置系内における工程(b)中の酸素濃度を、200ppmvを超えないように制限する、請求項88に記載の方法。
  90. 前記反応装置系内における工程(b)中の酸素濃度を、100ppmvを超えないように制限する、請求項89に記載の方法。
  91. 工程(b)中における前記制御酸化工程は、持続時間が制御される、請求項88〜90のいずれかに記載の方法。
  92. 前記制御酸化工程を2時間未満で完了させる、請求項91に記載の方法。
  93. 前記制御酸化工程を1時間未満で完了させる、請求項91に記載の方法。
  94. 前記反応装置系内における工程(b)中の酸素濃度を、100ppmvを超えないように制限する、請求項93に記載の方法。
  95. 前記反応装置系内における工程(b)中の酸素濃度を、200ppmvを超えないように制限する、請求項91に記載の方法。
  96. 前記溶液触媒が溶媒を含み、前記方法が、工程(a)の後でかつ工程(b)の前に前記反応装置系から該溶媒の少なくともいくらかを除去する工程も含む、請求項88〜95のいずれかに記載の方法。
  97. 次の工程:
    (c)工程(b)後に、前記触媒によって触媒される重合反応を実施して、前記表面のそれぞれに、前記反応装置系でのその後の重合反応の間に該反応装置系内での帯電を低減させるための絶縁層となる重合体被覆を形成させること
    も含む、請求項88〜96のいずれかに記載の方法。
  98. 工程(a)が前記溶液触媒を前記表面のそれぞれに少なくとも実質的に均一にかつ溶液の状態で塗布する工程を含む、請求項88〜97のいずれかに記載の方法。
  99. 次の工程:
    (c)工程(b)後に、前記触媒によって触媒される重合反応を実施して、前記表面のそれぞれに、前記反応装置系でのその後の重合反応の間に該反応装置系内での帯電を低減させるための絶縁層となる重合体被覆を形成させること
    も含む、請求項98に記載の方法。
  100. 工程(a)の間に前記表面のそれぞれに溶液触媒の液滴を直接塗布してから該液滴を蒸発又は昇華させる、請求項98に記載の方法。
  101. 前記反応装置系が床壁を有し、しかも、工程(a)が前記溶液触媒を前記床壁に少なくとも実質的に均一にかつ液体の状態で塗布する工程を含む、請求項98に記載の方法。
  102. 前記反応装置系が床壁、分配プレート及びガス再循環ラインを有し、しかも、工程(a)が前記溶液触媒を該床壁、該分配プレート及び該再循環ラインに少なくとも実質的に均一にかつ溶液の状態で塗布する工程を含む、請求項98に記載の方法。
  103. 前記クロム含有化合物がクロモセンである、請求項88〜102のいずれかに記載の方法。
  104. 前記溶液触媒がトルエンに溶解されたクロモセンを含む、請求項88〜102のいずれかに記載の方法。
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