JP2010509221A - 多発性骨髄腫を治療するためにsahaおよびボルテゾミブを使用する方法 - Google Patents

多発性骨髄腫を治療するためにsahaおよびボルテゾミブを使用する方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、治療を必要としている対象に、スベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA)などのヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤または薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物の第1の量、およびボルテゾミブを含む、1つ以上の抗癌剤の第2の量を投与することにより、治療を必要とする対象の癌を治療する方法に関する。HDAC阻害剤および抗癌剤は、治療有効量を含むように投与され得る。さまざまな態様において、HDAC阻害剤と抗癌剤の効果は、相加的または相乗的となり得る。

Description

本出願は、2006年11月3日に出願した米国仮特許出願第60/856,462号明細書の優先権を主張する。
本文中で引用されている出願および特許のそれぞれ、さらには出願および特許のそれぞれにおいて引用されているそれぞれの文書または参考文献(それぞれの交付済みの特許の審査時を含む。「出願引用文書」)およびこれらの出願および特許のいずれかに対応するおよび/またはその優先権を主張する米国および外国出願または特許のそれぞれおよび出願引用文書のそれぞれの中で引用または参照されている文書のそれぞれは、参照により本明細書に明らかに組み込まれる。全体として、文書または参考文献は、本文の中で、請求項の前の参考文献一覧表の中でまたは本文それ自体の中で引用されており、これらの文書または参考文献(「本明細書引用参考文献」)のそれぞれは、本明細書引用参考文献(メーカーの仕様書、取扱説明書などを含む。)のそれぞれの中で引用されているそれぞれの文書または参考文献とともに、参照により本明細書に明らかに組み込まれる。参照により本文に組み込まれている文書は、本発明を実施する際に使用され得る。
本発明は、ボルテゾミブを含む1種以上の抗癌剤と組み合わせてスベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA)などのヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤を投与することにより多発性骨髄腫を治療する方法に関する。併用量は併せて治療有効量を含むことができる。
形質細胞のB細胞悪性腫瘍である多発性骨髄腫は、2番目に多い血液悪性腫瘍を表す。米国内の年間発病率は、100,000人当たり約4人である。毎年、約13,600例の多発性骨髄腫が診断されている。毎年、約11,200人がこの疾患により死亡し、これは全癌死亡者数の約2%を占める。
多発性骨髄腫は、モノクローナル免疫グロブリンの産生に関わる形質細胞の単一クローンの腫瘍性増殖により特徴付けられる。多発性骨髄腫細胞には、放射線療法および化学療法が最初に奏効するが、持続的な完全奏効はまれであり、最初に奏効した事実上すべての患者が最終的に再発を起こす。疾患が進行するにつれ、感染に対する抵抗力の低下、著しい骨格破壊(骨痛、病理学的骨折、高カルシウム血症を伴う。)、貧血、腎不全および過粘稠により、病的状態および最終的に死亡が引き起こされる。これまで、従来治療法では、長期の無病生存期間を得ることはできなかったため、この治癒しない疾患に対する新しい薬物療法を開発することには大きな意義がある。
癌治療は、腫瘍細胞の最終分化を誘発することにより試みられていることが多い(M.B.,Roberts,A.B.およびDriscoll,J.S.(1985)「Cancer:Principles and Practice of Oncology」Hellman,S.,Rosenberg,S.A.およびDeVita,V.T.,Jr.編、第2版(J.B.Lippincott、Philadelphia)、49頁)。細胞培養モデルにおいて、サイクリックAMPおよびレチノイン酸(Breitman,T.R.,Selonick,S.E.およびCollins,S.J.(1980)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:2936−2940頁、Olsson,I.L.およびBreitman,T.R.(1982)Cancer Res.42:3924−3927頁)、アクラルビシンおよび他のアントラサイクリン(Schwartz,E.L.およびSartorelli,A.C.(1982)Cancer Res.42:2651−2655頁)を含むさまざまな刺激に細胞を曝すことによる分化が報告されている。腫瘍性形質転換が必ずしも、癌細胞の分化能を破壊しないという証拠が豊富に挙げられている(Spornら、Marks,P.A.,Sheffery,M.およびRifkind,R.A.(1987)Cancer Res.47:659頁、Sachs,L.(1978)Nature(Lond)274:535頁)。
通常の増殖調整因子が奏効せず、また分化プログラムの発現において阻害されるように思われるが、それでも分化および複製停止を誘発し得る腫瘍細胞の多くの例がある。さまざまな薬剤が、さまざまな形質転換細胞系およびヒト原発性腫瘍外植片に分化の進んだ特性の発現を誘発させ得る。スベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA)などのヒストンデアセチラーゼ阻害剤は、腫瘍細胞の増殖停止、分化および/またはアポトーシスを誘発させる能力を有する薬剤のこのクラスに属する(Richon,V.M.,Webb,Y.,Merger,R.ら(1996)PNAS 93:5705−8頁)。これらの化合物は、動物において腫瘍増殖の阻害に有効な用量では毒性を有していないように思われるため、腫瘍細胞が悪性化する能力に固有の機序を標的とする(Cohen,L.A.,Amin,S.,Marks,P.A.,Rifkind,R.A.,Desai,D.およびRichon,V.M.(1999)Anticancer Research 19:4999−5006頁)。
HDACは、コアヌクレオソームヒストンの翻訳後アセチル化の間に標的作用を及ぼし、これはクロマチン構造に影響を与え、これにより遺伝子発現を調節する。凝縮した非アセチル化ヒストンの周りに巻き付いたDNAは、転写的に不活性であるが、N−末端ヒストンリシン残基のアセチル化はDNAを転写活性を促進する重要な転写因子に曝す(WorkmanおよびKingston、1998、Artsら、2003)。ヒストンのアセチル化と脱アセチル化との間の動的平衡は、ヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HATS)およびHDACにより調節される。ヌクレオソームヒストンに対するHDACの作用により、クロマチンがコイル状に密に巻かれ、細胞の生存、増殖、分化およびアポトーシスの調節に関わるものを含むさまざまな遺伝子の発現のサイレンシングが生じる(JonesおよびBaylin、2002)。HDACの作用は、ヒストン脱アセチル化に限定されない。HDACはさらに、腫瘍抑制因子の遺伝子を含む遺伝子のプロモーター領域に転写因子を動員するタンパク質複合体の一員として作用し、特定の細胞周期調節タンパク質のアセチル化状態に影響を及ぼす(Artsら、2003)。
蓄積した証拠から、インビトロでの複数の他の薬剤と併用した場合のHDAC阻害剤の有効性が実証されている。例えば、SAHAとDNA低メチル化剤(5−アザシチジンまたはデシタビン)の組合せは相乗的に作用し、さまざまな癌細胞系でアポトーシス、分化および/または細胞増殖停止を誘発する(Tabeら、2002、ZhuおよびOtterson、2003)。さらに、SAHAを代謝拮抗物質5−フルオロウラシルと併用した場合、野生型および変異p53結腸直腸癌細胞において超相加的から相加的までの増殖抑制効果が観察された(Di Gennaroら、2003)。SAHAをGleevec(登録商標)と併用すると、増大するBcr−Abl発現によりGleevec(登録商標)に耐性を有する慢性骨髄性白血病(CML)細胞に効果がある場合がある(Nimmanapalliら、2003、Yuら、2003)。これらの研究は、SAHAとある種の抗癌剤との併用は所望の治療効果をもたらす有効な併用であることを示唆する。
治療効果を高めることを目的とすることに加えて、併用療法の他の目的は、結果として得られる組合せ中の個々の成分の用量を減らすことにより、個々の成分の用量が多い場合に引き起こされる好ましくないまたは有害な副作用を少なくすることである。したがって、副作用の低減をもたらし、悪性腫瘍を治療し、制御するのに有効な併用療法を含む、例えば、多発性骨髄腫などの癌の治療に適した方法を発見することが急務となっている。
M.B.,Roberts,A.B.およびDriscoll,J.S.(1985)「Cancer:Principles and Practice of Oncology」Hellman,S.,Rosenberg,S.A.およびDeVita,V.T.,Jr.編、第2版(J.B.Lippincott、Philadelphia)、49頁 Breitman,T.R.,Selonick,S.E.およびCollins,S.J.(1980)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:2936−2940頁 Olsson,I.L.およびBreitman,T.R.(1982)Cancer Res.42:3924−3927頁 Schwartz,E.L.およびSartorelli,A.C.(1982)Cancer Res.42:2651−2655頁 Spornら、Marks,P.A.,Sheffery,M.およびRifkind,R.A.(1987)Cancer Res.47:659頁 Sachs,L.(1978)Nature(Lond)274:535頁 Richon,V.M.,Webb,Y.,Merger,R.ら(1996)PNAS 93:5705−8頁 Cohen,L.A.,Amin,S.,Marks,P.A.,Rifkind,R.A.,Desai,D.およびRichon,V.M.(1999)Anticancer Research 19:4999−5006頁
(発明の要旨)
本発明は、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤、例えば、スベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA)をボルテゾミブと併用して、相加的または相乗的な治療効果をもたらすことができるという知見に基づく。ボルテゾミブは、Velcade(登録商標)という名称で販売されている。
本発明は、治療を必要としている対象に、HDAC阻害剤、例えば、SAHAのある量と他の抗癌剤、例えば、ボルテゾミブのある量を投与することを含む多発性骨髄腫を治療するための方法に関する。本発明の特定の態様において、SAHAまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物は、少なくとも1つの治療サイクルについて21日間のサイクルの4−11日目に1日当たり200mgから800mgを経口投与され、ボルテゾミブまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物は、少なくとも1つの治療サイクルについて21日間のサイクルの1日目、4日目、8日目および11日目に1日当たり0.7−1.3mg/mを静脈内投与される。特定の実施形態では、多発性骨髄腫は、再発および難治性多発性骨髄腫である。
本発明は、さらに、HDAC阻害剤、例えば、SAHAのある量と抗癌剤、例えば、ボルテゾミブのある量を含む多発性骨髄腫を治療するうえで有用な医薬の組合せに関する。
他の実施形態では、これらの治療手順は、任意の順序で順次的に、任意の順序で交互に、同時にまたはこれらの任意の組合せで実行される。特に、HDAC阻害剤、例えば、SAHAの投与および抗癌剤、例えば、ボルテゾミブの投与は、同時に、連続して実施され得るまたは例えば、同時と連続の交互投与が実施され得る。
本発明は、さらに、対象にHDAC阻害剤、例えば、SAHAのある量、抗癌剤、例えば、ボルテゾミブのある量を投与することにより、腫瘍細胞の最終分化、細胞増殖停止および/またはアポトーシスを選択的に誘発し、それにより対象内の腫瘍細胞の増殖を阻害するための方法に関するものであり、ここで、HDAC阻害剤およびボルテゾミブは、細胞の最終分化、細胞増殖停止またはアポトーシスを誘発するのに有効な量、投与される。
一実施形態では、SAHAまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物は、21日間のうちの4−11日の少なくとも1治療期間の間、100mgの用量で1日2回投与される。
他の実施形態では、SAHAまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物は、21日間のうちの4−11日の少なくとも1治療期間の間、200mgの用量で1日2回投与される。
他の特定の実施形態では、SAHAまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物は、21日間のうちの4−11日の少なくとも1治療期間の間、300mgの用量で1日2回投与される。
他の特定の実施形態では、SAHAまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物は、21日間のうちの4−11日の少なくとも1治療期間の間、400mgの用量で1日1回投与される。
さらに他の実施形態では、SAHAまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物は、21日間のうちの4−11日の少なくとも1治療期間の間、400mgの用量で1日2回投与される。
他の実施形態では、SAHAまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物は、21日間のうちの4−11日の少なくとも1治療期間の間、500mgの用量で1日1回投与される。
他の実施形態では、SAHAまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物は、21日間のうちの4−11日の少なくとも1治療期間の間、600mgの用量で1日1回投与される。
さらに他の実施形態では、SAHAまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物の投与は、21日間のうちの4−11日の最大8治療期間にわたって繰り返される。
本発明の他の態様では、ボルテゾミブまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物は、21日間のうちの1日目、4日目、8日目および11日目に1mg/mの用量で1日1回投与される。
本発明のさらに他の態様では、SAHAまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物は、100mgの用量で1日2回投与され、または薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物は、1.0mg/mの合計1日用量で投与される。
本発明のさらに他の態様では、SAHAまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物は、100mgの用量で1日2回投与され、または薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物は、1.3mg/mの合計1日用量で投与される。
さらに他の実施形態では、SAHAまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物は、100mgの用量で1日2回投与され、ボルテゾミブまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物は、1.3mg/mの合計1日用量で投与される。
さらに他の実施形態では、SAHAまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物は、200mgの用量で1日2回投与され、ボルテゾミブまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物は、1.3mg/mの合計1日用量で投与される。
さらに他の実施形態では、SAHAまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物は、300mgの用量で1日2回投与され、およびまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物は、1.3mg/mの合計1日用量で投与される。
さらに他の実施形態では、SAHAまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物は、400mgの用量で1日2回投与され、ボルテゾミブまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物は、1.3mg/mの合計1日用量で投与される。
さらに他の実施形態では、SAHAまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物は、400mgの用量で1日1回投与され、ボルテゾミブまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物は、1.3mg/mの合計1日用量で投与される。
さらに他の実施形態では、SAHAまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物は、500mgの用量で1日1回投与され、ボルテゾミブまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物は、1.3mg/mの合計1日用量で投与される。
他の実施形態では、SAHAまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物は、600mgの用量で1日1回投与され、ボルテゾミブまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物は、1.3mg/mの合計1日用量で投与される。
さらに他の実施形態では、SAHAおよびボルテゾミブを使用して多発性骨髄腫を治療する方法は、デキサメタゾンまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物を経口投与することをさらに含み、デキサメタゾンまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物は、21日間のうちの5日間の少なくとも1治療期間の間、20mgの用量で1日1回投与される。
他の実施形態では、多発性骨髄腫を治療する方法は、デキサメタゾンを21日間のうちの4−8日の少なくとも1治療期間の間、20mgの用量で1日1回経口投与することを含む。
さらに他の実施形態では、SAHAは、21日間のサイクルの4−11日目に少なくとも1つの治療サイクルについて400mgを1日1回経口投与され、ボルテゾミブは、21日間のサイクルの1日目、4日目、8日目および11日目に少なくとも1つの治療サイクルについて1日当たり1.3mg/mを静脈内投与される。
断りのない限り、本明細書で使用されるすべての技術および科学用語は、本発明が関係している技術分野の当業者に通常理解される意味と同じ意味を有する。本明細書に記載されているものと類似のまたは同等の多数の方法および材料が本発明を実施する際に使用することができるが、好適な方法および材料については以下で説明される。本明細書で述べられている刊行物、特許出願、特許および他の参考文献はすべて、全体が参照により本明細書に明示的に組み込まれる。食い違いがある場合、本明細書が定義も含めて優先する。それに加えて、本明細書に記載されている材料、方法および例は、例示にすぎず、制限することを意図されていない。
本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および請求項から明らかであり、これにより包含される。
本明細書に記載されているようなHDAC阻害剤、SAHAおよび本明細書に記載されているようなボルテゾミブの投与を含む併用療法は、予想外に相乗的治療効果をもたらし得ることが見い出された。治療のそれぞれ(HDAC阻害剤の投与およびボルテゾミブの投与)は、治療効果のある治療を提供するために使用される。
本発明は、さらに、治療を必要としている対象に、一方の治療手順においてスベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA)または薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物のある量を投与し、他方の治療手順においてボルテゾミブなどの代謝拮抗剤のある量を投与する(ここで、これらの量は治療有効量を含むことができる。)ことにより、治療を必要とする対象の多発性骨髄腫を治療する方法にも関する。SAHAおよびボルテゾミブの癌治療効果は、例えば、相加的または相乗的である場合がある。
一態様では、この方法は、治療を必要としている患者に、第1の治療手順においてSAHAまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物の第1の量と、他の量のボルテゾミブとを投与することを含む。本発明は、さらに、癌または他の疾患の治療に有用な医薬の組合せに関する。一態様では、医薬の組合せは、HDAC阻害剤、例えば、SAHAまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物の第1の量およびボルテゾミブまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物などの抗癌剤の他の量を含む。第1および第2の量は、治療有効量を含むことができる。
本発明は、さらに、対象にHDAC阻害剤、例えば、SAHAのある量、抗癌剤、例えば、ボルテゾミブのある量を投与することにより腫瘍細胞の最終分化、細胞増殖停止および/またはアポトーシスを選択的に誘発し、それにより対象内の腫瘍細胞の増殖を阻害するための方法に関し、ここで、HDAC阻害剤およびボルテゾミブは、細胞の最終分化、細胞増殖停止またはアポトーシスを誘発するのに有効な量で投与される。
本発明は、さらに、細胞をHDAC阻害剤、例えば、SAHAのある量、抗癌剤、例えば、ボルテゾミブのある量を接触させることにより腫瘍細胞の最終分化、細胞増殖停止および/またはアポトーシスを選択的に誘発し、それにより腫瘍細胞の増殖を阻害するためのインビトロの方法に関し、ここで、HDAC阻害剤および第2の(および任意の第3のおよび/または第4の)抗癌剤は、細胞の最終分化、細胞増殖停止またはアポトーシスを誘発するのに有効な量で投与される。
本発明の併用療法には、2つの治療様式に伴う異なる毒性による治療上の利点がある。例えば、HDAC阻害剤による治療は、抗癌剤では認められない特有の毒性をもたらすことがあり、またその逆もいえる。そのようなものとして、このような異なる毒性により、前記毒性が存在しないまたは最小である用量で各治療を施すことができ、したがって、この併用療法は共に、併用薬の成分のそれぞれの毒性を回避しながら治療用量を提供する。さらに、併用治療の結果としてもたらされる治療効果が向上しているまたは相乗的である、例えば、相加的治療効果に比べて著しく良い場合、薬剤のそれぞれの用量はさらに減らすことができ、したがって随伴する毒性をさらに大幅に低くすることができる。
定義
本発明に関するさまざまな文法的形態における「治療(する)」という用語は、疾患状態、疾患の進行、病因物質(例えば、細菌もしくはウイルス)または他の異常な状態の有害作用を予防(すなわち、化学的予防)し、治癒し、回復し、弱め、緩和し、最小限に抑え、抑制しまたは停止することを意味する。例えば、治療は、疾患の症状(すなわち、必ずしもすべての症状ではなく)を緩和するまたは疾患の進行を弱めることを伴うことがある。本発明の方法の一部は、病原因子の物理的除去を伴うので、当業者であれば、これらの方法は、病原因子への暴露の前にまたは同時に本発明の化合物が投与される状況(予防的治療)および病原因子への暴露の後(さらにもっと後)に本発明の化合物が投与される状況において等しく効果を有することを理解する。
本明細書で使用されている癌の治療とは、哺乳類、例えば、ヒトにおいて、癌転移を含む癌の進行を部分的にもしくは完全に阻害し、遅らせもしくは予防すること、癌転移を含む癌の再発を阻止し、遅らせもしくは予防すること、または癌の発生もしくは発症を予防(化学的予防)することを意味する。それに加えて、本発明の方法は、ヒト癌患者の化学的予防治療を対象とする。しかし、この方法は、他の哺乳類の癌の治療に有効である可能性も高い。
本発明の「抗癌剤」は、そのような薬剤の薬学的に許容される塩もしくは水和物またはそのような薬剤の遊離酸、遊離塩基もしくは他の遊離形態を含む、本明細書に記載されている薬剤を包含し、非限定例として、A)極性化合物(Marksら(1987)、Friend,C.,Scher,W.,Holland,J.W.およびSato,T.(1971)Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)68:378−382頁、Tanaka,M.,Levy,J.,Terada,M.,Breslow,R.,Rifkind,R.A.およびMarks,P.A.(1975)Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)72:1003−1006頁、Reuben,R.C.,Wife,R.L.,Breslow,R.,Rifkind,R.A.およびMarks,P.A.(1976)Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)73:862−866頁)、B)ビタミンDおよびレチノイン酸の誘導体(Abe,E.,Miyaura,C.,Sakagami,H.,Takeda,M.,Konno,K.,Yamazaki,T.,Yoshika,S.およびSuda,T.(1981)Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)78:4990−4994頁、Schwartz,E.L.,Snoddy,J.R.,Kreutter,D.,Rasmussen,H.およびSartorelli,A.C.(1983)Proc.Am.Assoc.Cancer Res.24:18頁、Tanenaga,K.,Hozumi,M.およびSakagami,Y.(1980)Cancer Res.40:914−919頁)、C)ステロイドホルモン(Lotem,J.およびSachs,L.(1975)Int.J.Cancer 15:731−740頁)、D)増殖因子(Sachs,L.(1978)Nature(Lond.)274:535、Metcalf,D.(1985)Science、229:16−22頁)、E)プロテアーゼ(Scher,W.,Scher,B.M.およびWaxman,S.(1983)Exp.Hematol.11:490−498頁、Scher,W.,Scher,B.M.およびWaxman,S.(1982)Biochem.&Biophys.Res.Comm.109:348−354頁)、F)腫瘍プロモーター(Huberman,E.and Callaham,M.F.(1979)Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)76:1293−1297頁、Lottem,J.およびSachs,L.(1979)Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)76:5158−5162頁)、G)DNAまたはRNA合成の阻害剤(Schwartz,E.L.およびSartorelli,A.C.(1982)Cancer Res.42:2651−2655頁、Terada,M.,Epner,E.,Nudel,U.,Salmon,J.,Fibach,E.、Rifkind,R.A.およびMarks,P.A.(1978)Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)75:2795−2799頁、Morin,M.J.およびSartorelli,A.C.(1984)Cancer Res.44:2807−2812頁、Schwartz,E.L.,Brown,B.J.,Nierenberg,M.,Marsh,J.C.およびSartorelli,A.C.(1983)Cancer Res.43:2725−2730頁、Sugano,H.,Furusawa,M.,Kawaguchi,T.およびIkawa,Y.(1973)Bibl.Hematol.39:943−954頁、Ebert,P.S.,Wars,I.およびBuell,D.N.(1976)Cancer Res.36:1809−1813頁、Hayashi,M.,Okabe,J.およびHozumi,M.(1979)Gann 70:235−238頁)が挙げられる。
本明細書で使用されている「治療有効量」という用語は、併用療法における治療の組み合わせた量を定量化することを意図している。組み合わせた量は所望の生物学的反応を達成する。本発明では、所望の生物学的反応は、哺乳類、例えば、ヒトにおける、癌転移を含む癌の進行の部分的もしくは完全な阻止、遅延もしくは予防、癌転移を含む癌の再発の阻害、遅延もしくは予防または癌の発生もしくは発症の予防(化学的予防)である。
本明細書で使用されているように「併用療法」は「併用治療」、「組み合わせた治療」または「組合せ治療」と称することもあり、少なくとも2つの異なる治療薬を使用して個体を治療することを意味する。本発明の一態様によれば、個体は、本明細書に記載されているような第1の治療薬、例えば、SAHAまたは他のHDAC阻害剤により治療される。第2の治療薬は、別のHDAC阻害剤または本明細書で定義されているような臨床的に実証されている抗癌剤(ボルテゾミブなど)であってよい。組合せ治療は、第3のまたはさらに別の治療薬(本明細書で定義されているようなデキサメタゾンなど)を含んでよい。組合せ治療は、連続的にまたは同時に実施され得る。
本明細書で引用されている「HDAC阻害剤」(例えば、SAHA)は、合成の、遺伝子組換えのまたは天然に存在する阻害剤を、そのような阻害剤の薬学的な塩または水和物およびそのような阻害剤の遊離酸、遊離塩基または他の遊離形態を含めて、包含する。本明細書で使用されている「ヒドロキサム酸誘導体」は、ヒドロキサム酸誘導体であるヒストンデアセチラーゼ阻害剤のクラスを意味する。阻害剤の具体例を明細書に示す。
本明細書で使用されている「レチノイド」または「レチノイド剤」(例えば、3−メチルTTNEB)は、1つ以上のレチノイド受容体に結合する合成の、遺伝子組換えのまたは天然に存在する化合物を、そのような薬剤の薬学的に許容される塩または水和物およびそのような薬剤の遊離酸、遊離塩基または他の遊離形態を含めて、包含する。
「補助薬」は、抗癌剤の有効性を高めるために、または血球数低下、好中球減少症、貧血症、血小板減少症、高カルシウム血症、粘膜炎、傷やあざ、出血、毒性、疲労、疼痛、悪心および嘔吐などの抗癌剤に伴う症状を予防または治療するために使用される任意の化合物を意味する。
本明細書で使用されている「患者」または「対象」という用語は、治療の受容者を意味する。哺乳類および非哺乳類の患者が含まれる。特定の一実施形態では、患者は、ヒト、イヌ、ネズミ、ネコ、ウシ、ヒツジ、ブタまたはヤギなどの哺乳類である。特定の一実施形態では、患者は、ヒトである。
本明細書で使用されている「間欠的な」または「間欠的に」という用語は、規則正しい間隔または不規則な間隔で停止および開始を意味する。
「水和物」という用語は、限定はしないが、半水和物、一水和物、二水和物、三水和物などを含む。
ヒストンデアセチラーゼおよびヒストンデアセチラーゼ阻害剤
ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)は、ヌクレオソームコアヒストンのアミノ末端尾部内のリシン残基からのアセチル基の除去を触媒する酵素を含む。そのようなものとして、HDACはヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)と一緒になってヒストンのアセチル化状態を調節する。ヒストンアセチル化は、遺伝子発現に影響を及ぼし、ヒドロキサム酸ベースのハイブリッド極性化合物スベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA)などのHDACの阻害剤は、インビトロで形質転換細胞の増殖停止、分化および/またはアポトーシスを誘発し、インビボで腫瘍増殖を阻害する。
HDACは、構造的相同性に基づき3つのクラスに分けることができる。クラスIのHDAC(HDAC 1、2、3および8)は、酵母RPD3タンパク質に類似し、核の中にあり、転写コレプレッサーとの複合体中に見つかる。クラスIIのHDAC(HDAC 4、5、6、7および9)は、酵母HDA1タンパク質に類似し、核と細胞質の両方の細胞内局在性を有する。クラスIとクラスIIのHDACは両方とも、SAHAなどのヒドロキサム酸ベースのHDAC阻害剤により阻害される。クラスIIIのHDACは、酵母SIR2タンパク質に関係し、ヒドロキサム酸ベースのHDAC阻害剤により阻害されないNAD依存性酵素の構造的に遠いクラスを形成する。
ヒストンデアセチラーゼ阻害剤またはHDAC阻害剤は、インビボ、インビトロまたはこの両方でヒストンの脱アセチル化を阻害することができる化合物である。そのようなものとして、HDAC阻害剤は、少なくとも1つのヒストンデアセチラーゼの活性を阻害する。少なくとも1つのヒストンの脱アセチル化を阻害する結果、アセチル化ヒストンの増大が生じ、アセチル化ヒストンの蓄積は、HDAC阻害剤の活性の評価に適した生物学的マーカーとなる。したがって、アセチル化ヒストンの蓄積をアッセイできる手順が、注目する化合物のHDAC阻害活性を測定するために使用され得る。ヒストンデアセチラーゼ活性を阻害できる化合物は、さらに、他の基質に結合することもでき、そのようなものとして、酵素などの他の生物活性分子を阻害することができることは理解される。また、本発明の化合物は、上記のヒストンデアセチラーゼまたは他のヒストンデアセチラーゼのどれかを阻害することができることも理解される。
例えば、HDAC阻害剤を受ける患者では、好適な対照に対して、HDAC阻害剤により処置された末梢単核球および組織中へのアセチル化ヒストンの蓄積を測定することができる。
特定の化合物のHDAC阻害活性は、例えば、少なくとも1つのヒストンデアセチラーゼの阻害を示す酵素アッセイを使用してインビトロで測定できる。さらに、特定の組成物により処置された細胞中のアセチル化ヒストンの蓄積の測定は、化合物のHDAC阻害活性を決定できる。
アセチル化ヒストンの蓄積に関するアッセイは、文献においてよく知られている。例えば、Marks,P.A.ら、J.Natl.Cancer Inst.,92:1210−1215頁、2000、Butler,L.M.ら、Cancer Res.60:5165−5170頁(2000)、Richon,V.M.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.,USA、95:3003−3007頁、1998およびYoshida,M.ら、J.Biol.Chem.,265:17174−17179頁、1990を参照されたい。
例えば、HDAC阻害剤化合物の活性を測定する酵素アッセイは以下のように実施することができる。簡単に言うと、アフィニティー精製したヒトエピトープ標識(Flag)HDAC1に対するHDAC阻害剤化合物の効果は、阻害剤化合物の指示量とともに、約20分間氷上、基質の不在下で酵素調製物をインキュベートすることによりアッセイすることができる。基質([H]アセチル標識したマウス赤白血病細胞由来のヒストン)を加えて、全体積30μLで、37℃で20分間試料をインキュベートすることができる。次いで、反応を停止させ、遊離した酢酸塩を抽出し、シンチレーション計数によって放射能放出量を測定することができる。HDAC阻害剤化合物の活性を測定するのに有用な代替えアッセイは、米国ペンシルバニア州プリマスミーティング所在のBIOMOL(登録商標)Research Laboratories,Inc.から入手できる「HDAC Fluorescent Activity Assay;Drug Discovery Kit−AK−500」である。
インビボ試験は、次のように実施できる。動物、例えば、マウスにHDAC阻害剤化合物を腹腔内注射することができる。選択された組織、例えば、脳、脾臓、肝臓などを投与後、所定の時点で摘出することができる。ヒストンは、本質的にはYoshidaら、J.Biol.Chem.265:17174−17179頁、1990に記載されているように組織から単離できる。15%SDSポリアクリルアミドゲル上で等量のヒストン(約1μg)を電気泳動させて、Hybond−Pフィルター(Amersham社から入手可能)に転写することができる。フィルターを3%ミルクによりブロックし、ウサギ精製ポリクローナル抗アセチル化ヒストンH4抗体(αAc−H4)および抗アセチル化ヒストンH3抗体(αAc−H3)(Upstate Biotechnology,Inc.)をプローブに用いて調べることができる。アセチル化ヒストンのレベルは、西洋わさびペルオキシダーゼ複合ヤギ抗ウサギ抗体(1:5000)およびSuperSignal化学発光基質(Pierce)を使用して視覚化できる。ヒストンタンパク質のローディング対照として、平行ゲルを泳動し、クーマシーブルー(CB)で染色することができる。
それに加えて、ヒドロキサム酸ベースのHDAC阻害剤は、p21WAFl遺伝子の発現の上方制御を行うことが実証されている。p21WAFIタンパク質は、標準的な方法を使用し、さまざまな形質転換細胞で、HDAC阻害剤を用いた培養2時間以内で誘導される。p21WAFI遺伝子の誘導は、この遺伝子のクロマチン領域へのアセチル化ヒストンの蓄積を伴う。したがって、p21WAFIの誘導は、形質転換細胞中のHDAC阻害剤により引き起こされるG1細胞周期停止に関わるものとして認識され得る。
本発明の発明者のうちの数人に発行された米国特許第5,369,108号明細書、米国特許第5,932,616号明細書、米国特許第5,700,811号明細書、米国特許第6,087,367号明細書および米国特許第6,511,990号明細書は、腫瘍細胞の最終分化を選択的に誘発するのに有用な化合物を開示しており、これらの化合物は、メチレン基の柔軟な鎖によりまたは堅いフェニル基により分離される2つの極性末端基を有し、極性末端基の一方または両方が大きな疎水基となっている。これらの化合物の一部は、さらに酵素アッセイにおいて分化活性を約100倍高め、細胞分化アッセイにおいて分化活性を約50倍高める第1の疎水基と同じ分子末端に付加的な大きな疎水基を有する。これらの方法で使用される化合物を合成する方法および本発明の薬品組成物は、参照によりその内容全体を本明細書に組み込む前記の特許において詳しく説明されている。
したがって、本発明は広範囲に、1)ヒドロキサム酸誘導体、2)短鎖脂肪酸(SCFA)、3)環状テトラペプチド、4)ベンズアミド、5)求電子性のケトンおよび/またはヒストンデアセチラーゼを阻害することができる任意の他のクラスの化合物であるHDAC阻害剤を含む、ヒストンデアセチラーゼを阻害し、腫瘍細胞中での最終分化、細胞増殖停止および/またはアポトーシスを誘発しおよび/または腫瘍中の腫瘍細胞の分化、細胞増殖停止および/またはアポトーシスを誘発するために使用される組成物を含む。
このようなHDAC阻害剤の非限定例について以下に述べる。本発明は、本明細書に記載されているHDAC阻害剤の塩、結晶構造、非晶構造、水和物、誘導体、代謝産物、立体異性体、構造異性体およびプロドラッグを含むことが理解される。
A.スベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA)(Richonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95、3003−3007頁(1998))、m−カルボキシケイ皮酸ビスヒドロキサミド(CBHA)(Richonら、上記参照)、ピロキサミド、トリコスタチンA(TSA)およびトリコスタチンCなどのトリコスタチン類縁体(Kogheら、1998.Biochem.Pharmacol.56:1359−1364頁)、サリチルビスヒドロキサム酸(Andrewsら、International J.Parasitology 30、761−768頁(2000))、スベロイルビスヒドロキサム酸(SBHA)(米国特許第5,608,108号明細書)、アゼライン酸ビスヒドロキサム酸(ABHA)(Andrewsら、上記参照)、アゼライン酸−1−ヒドロキサメート−9−アニリド(AAHA)(Qiuら、Mol.Biol.Cell 11、2069−2083頁(2000))、6−(3−クロロフェニルウレイド)カーポイックヒドロキサム酸(3Cl−UCHA)、オキサムフラチン[(2E)−5−[3−[(フェニルスルホニル)アミノフェニル]−ペンタ−2−エン−4−イノヒドロキサム酸](Kimら、Oncogene、18:2461 2470頁(1999))、A−161906、スクリプタイド(Suら、2000 Cancer Research、60:3137−3142頁)、PXD−101(Prolifix)、LAQ−824、CHAP、MW2796(Andrewsら、上記参照)、MW2996(Andrewsら、上記参照)または米国特許第5,369,108号明細書、米国特許第5,932,616号明細書、米国特許第5,700,811号明細書、米国特許第6,087,367号明細書および米国特許第6,511,990号明細書に開示されているヒドロキサム酸のいずれかなどのヒドロキサム酸誘導体。
B.トラポキシンA(TPX)−環状テトラペプチド(シクロ−(L−フェニルアラニル−L−フェニルアラニル−D−ピペコリニル−L−2−アミノ−8−オキソ−9,10−エポキシデカノイル))(Kijimaら、J.Biol.Chem.268,22429−22435頁(1993))、FR901228(FK 228、デプシペプチド)(Nakajimaら、Ex.Cell Res.241,126−133頁(1998))、FR225497環状テトラペプチド(H.Moriら、PCT出願国際公開第00/08048号パンフレット(2000年2月17日))、アピシジン環状テトラペプチド[シクロ(N−O−メチル−L−トリプトファニル−L−イソロイシニル−D−ピペコリニル−L−2−アミノ−8−オキソデカノイル)](Darkin−Rattrayら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93,13143−13147頁(1996))、アピシジンIa、アピシジンIb、アピシジンIc、アピシジンIIaおよびアピシジンIIb(P.Dulskiら、PCT出願国際公開第97/11366号パンフレット)、CHAP、HC−トキシン環状テトラペプチド(Boschら、Plant Cell 7,1941−1950頁(1995))、WF27082環状テトラペプチド(PCT出願国際公開第98/48825号パンフレット)およびクラミドシン(Boschら、上記参照)などの環状テトラペプチド。
C.酪酸ナトリウム(Cousensら、J.Biol.Chem.254,1716−1723頁(1979))、イソ吉草酸塩(McBainら、Biochem.Pharm.53:1357−1368頁(1997))、吉草酸塩(McBainら、上記参照)、4−フェニル酪酸塩(4−PBA)(LeaおよびTulsyan,Anticancer Research、15、879−873頁(1995))、フェニル酪酸塩(PB)(Wangら、Cancer Research、59、2766−2799頁(1999))、プロピオン酸塩(McBainら、上記参照)、ブチルアミド(LeaおよびTulsyan、上記参照)、イソブチルアミド(LeaおよびTulsyan、上記参照)、フェニル酢酸塩(LeaおよびTulsyan、上記参照)、3−ブロモプロピオン酸塩(LeaおよびTulsyan、上記参照)、トリブチリン(Guanら、Cancer Research、60、749−755頁(2000))、バルプロ酸、バルプロ酸塩および Pivanex(商標)などの短鎖脂肪酸(SCFA)誘導体。
D.CI−994、MS−275[N−(2−アミノフェニル)−4−[N−(ピリジン−3−イルメトキシカルボニル)アミノメチル]ベンズアミド](Saitoら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 96、4592−4597頁(1999))およびMS−275の3’−アミノ誘導体(Saitoら、上記参照)などのベンズアミド誘導体。
E.トリフルオロメチルケトン(Freyら、Bioorganic & Med.Chem.Lett.(2002)、12、3443−3447頁、米国特許第6,511,990号明細書)およびN−メチル−α−ケトアミドなどのα−ケトアミドなどの求電子ケトン誘導体。
F.天然物、サマプリンおよびデプデシン(Kwonら、1998.PNAS 95:3356−3361頁)などの他のHDAC阻害剤。
ヒドロキサム酸ベースのHDAC阻害剤は、スベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA)、m−カルボキシケイ皮酸ビスヒドロキサマート(CBHA)およびピロキサミドを含む。SAHAはヒストンデアセチラーゼ酵素の触媒ポケットに直接結合することが明らかにされている。SAHAは培養中の形質転換細胞で細胞周期停止、分化および/またはアポトーシスを誘発し、齧歯類において腫瘍増殖を阻害する。SAHAは固形腫瘍および血液癌の両方でこれらの効果を誘発する際に有効である。SAHAは動物において腫瘍増殖を阻害するのに有効であり、しかも動物に対しては毒性がないことが明らかにされている。腫瘍増殖のSAHAによる阻害は、腫瘍におけるアセチル化ヒストンの蓄積に伴う。SAHAはラットの発癌物質誘発(N−メチルニトロソ尿素)乳腺腫瘍の発症および持続的増殖の阻害に有効である。130日間の試験実施中にSAHAを飼料中に混ぜてラットに投与した。したがって、SAHAは、作用機序がヒストンデアセチラーゼ活性の阻害を伴う非毒性経***性抗腫瘍剤である。
HDAC阻害剤は、参照によりその全内容を本明細書に組み込む、本発明者の数人に発行された米国特許第5,369,108号明細書、米国特許第5,932,616号明細書、米国特許第5,700,811号明細書、米国特許第6,087,367号明細書および米国特許第6,511,990号明細書に開示されている化合物を含み、限定されない例を以下に示す。
特異的HDAC阻害剤は、構造式
Figure 2010509221
によって表される、スベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA、N−ヒドロキシ−N’−フェニルオクタンジアミド)を含む。
そのような化合物の他の例および他のHDAC阻害剤は、すべてBreslowらへの1994年11月29日発行の米国特許第5,369,108号明細書、1997年12月23日発行の米国特許第5,700,811号明細書、1998年6月30日発行の米国特許第5,773,474号明細書、1999年8月3日発行の米国特許第5,932,616号明細書および2003年1月28日発行の米国特許第6,511,990号明細書、すべてMarksらへの1991年10月8日発行の米国特許第5,055,608号明細書、1992年12月29日発行の米国特許第5,175,191号明細書および1997年3月4日発行の米国特許第5,608,108号明細書およびYoshida,M.ら、Bioassays 17、423−430頁(1995)、Saito,A.ら、PNAS USA 96、4592−4597頁(1999)、Furamai,R.ら、PNAS USA 98(1)、87−92頁(2001)、Komatsu,Y.ら、Cancer Res.61(11)、4459−4466頁(2001)、Su,G.H.ら、Cancer Res.60、3137−3142頁(2000)、Lee,B.I.ら、Cancer Res.61(3)、931−934頁、Suzuki,T.ら、J.Med.Chem.42(15)、3001−3003頁(1999)、Sloan−Kettering Institute for Cancer ResearchおよびThe Trustees of Columbia Universityへの2001年3月15日公開のPCT出願国際公開第01/18171号パンフレット、Hoffmann−La RocheへのPCT出願国際公開第02/246144号パンフレット、NovartisへのPCT出願国際公開第02/22577号パンフレット、ProlifixへのPCT出願国際公開第02/30879号パンフレット、すべてMethylgene,Inc.へのPCT出願国際公開第01/38322号パンフレット(2001年5月31日公開)、PCT出願国際公開第01/70675号パンフレット(2001年9月27日公開)およびPCT出願国際公開第00/71703号パンフレット(2000年11月30日公開)、Fujisawa Pharmaceutical Co.,Ltd.への1999年10月8日公開のPCT出願国際公開第00/21979号パンフレット、Beacon Laboratories,L.L.C.への1998年3月11日公開のPCT出願国際公開第98/40080号パンフレットおよびCurtin M.(HDAC阻害剤の現在の特許状態Expert Opin.Ther.Patents(2002)12(9):1375−1384頁およびこの中で引用された参照文献)において見いだすことができる。
SAHAまたは他のHDACのいずれも、実験の詳細の項に概要を記載した方法または参照によりその全体を本明細書に組み込む、米国特許第5,369,108号明細書、米国特許第5,700,811号明細書、米国特許第5,932,616号明細書および米国特許第6,511,990号明細書の方法または当業者に知られている他の方法により合成され得る。
HDAC阻害剤の特定の非限定例が以下の表にまとめられている。本発明は、下記に示す化合物に構造的に類似し、ヒストンデアセチラーゼを阻害することができる、任意の化合物を包含することは理解されるべきである。
Figure 2010509221
Figure 2010509221
Figure 2010509221
立体化学
多くの有機化合物は、平面偏光の平面を回転させる能力を有する光学活性体として存在する。光学活性化合物を記述する際、接頭辞DおよびLまたはRおよびSは、分子のキラル中心の周りの絶対配置を示すために使用される。接頭辞dおよびlまたは(+)および(−)は化合物による平面偏光の回転の徴候を示すために使用され、(−)は化合物が左旋性であることを意味する。(+)または dが先頭に付いている化合物は右旋性である。所与の化学構造について、立体異性体と呼ばれるこれらの化合物は、互いに重ね合わせ不可能な鏡像であること以外は同じである。特定の立体異性体は鏡像異性体と呼ばれることもあり、そのような異性体の混合物は鏡像異性混合物と呼ばれることが多い。鏡像異性体の50:50混合物はラセミ混合物と呼ばれる。
本明細書に記載されている化合物の多くは、1つ以上のキラル中心を有することができ、したがって異なる鏡像異性体として存在し得る。所望であれば、キラル炭素はアスタリスク(*)で示すこともできる。本発明の式においてキラル炭素への結合が直線で示されている場合、キラル炭素の(R)および(S)の両方の配置ならびにこの鏡像異性体および混合物の両方が式内に含まれることが理解される。当業で使用されているように、キラル炭素の周りの絶対配置を明記することが望ましい場合、キラル炭素への結合の一方をくさびで示すことができ(平面よりも上の原子への結合)、他方を短い平行線の一連またはくさびで表すことができる(平面よりも下の原子への結合)。Cahm−Inglod−Prelog系を用いて、キラル炭素への(R)または(S)配置を割り当てることができる。
本発明のHDAC阻害剤が1つのキラル中心を含む場合、化合物は2つの鏡像異性体として存在し、本発明は鏡像異性体およびラセミ混合物と呼ばれる特定の50:50混合物などの鏡像異性体の混合物の両方を含む。鏡像異性体は、当業者に知られている方法により、例えば、結晶化によって分離することができるジアステレオ異性塩の形成(CRC Handbook of Optical Resolutions via Diastereomeric Salt Formation by David Kozma(CRC Press、2001)参照)、例えば結晶化、ガス−液体もしくは液体クロマトグラフィによって分離することができるジアステレオ異性誘導体もしくは複合体の形成、一方の鏡像異性体の鏡像異性体特異的試薬との選択的反応、例えば酵素によるエステル化またはキラル環境、例えばキラルリガンドが結合したシリカなどのキラル支持体上もしくはキラル溶媒存在下でのガス−液体もしくは液体クロマトグラフィなどにより、分割することができる。所望の鏡像異性体が上述の分離手順の任意の1つによって別の化学実体に変換される場合、所望の鏡像異性体を遊離するために、さらなる段階が必要であることは理解される。それとは別に、特定の鏡像異性体を、光学活性試薬、基質、触媒もしくは溶媒を用いた不斉合成によりまたは不斉変換により一方の鏡像異性体を他方に変換することにより、合成することもできる。
本発明の化合物のキラル炭素における特定の絶対配置の明示は、化合物の明示された鏡像異性体が鏡像異性体過剰(ee)である、すなわち実質的に他の鏡像異性体を含まないことを意味することが理解される。例えば、化合物の「R」体は実質的に化合物の「S」体を含まず、したがって「S」体よりも鏡像異性体過剰である。反対に、化合物の「S」体は実質的に化合物の「R」体を含まず、したがって「R」体よりも鏡像異性体過剰である。本明細書において使用されるような鏡像異性体過剰は、特定の鏡像異性体が50%を超えて存在することである。例えば、鏡像異性体過剰は約60%以上、約70%以上など、例えば約80%以上、約90%以上などであり得る。特定の絶対配置が明示されている特定の実施形態において、示された化合物の鏡像異性体過剰は、少なくとも約90%である。より特定の実施形態では、化合物の鏡像異性体過剰は少なくとも約95%、少なくとも約97.5%など、例えば少なくとも99%の鏡像異性体過剰である。
本発明の化合物が2つまたはそれ以上のキラル炭素を有する場合、これは2つよりも多い光学異性体を有する可能性があり、ジアステレオ異性体で存在し得る。例えば、2つのキラル炭素がある場合、化合物は、最大4つまでの光学異性体および2対の鏡像異性体((S,S)/(R,R)および(R,S)/(S,R))を有する可能性がある。鏡像異性体の対(例えば(S,S)/(R,R))は、互いに鏡像の立体異性体である。鏡像ではない立体異性体(例えば(S,S)および(R,S))はジアステレオマーである。ジアステレオ異性体対は当業者に知られている方法、例えばクロマトグラフィまたは結晶化により分離することができ、それぞれの対の個々の鏡像異性体は上述のように分離することができる。本発明は、そのような化合物の各ジアステレオ異性体およびこれらの混合物を含む。
本明細書の英語原文において用いられる「a」、「an」および「the」は、文脈からそうではないことが明らかでない限り、単数および複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「活性物質(an active agent)」または「薬理活性物質(a pharmacologically active agent)」への言及は、1つの活性物質ならびに2つまたはそれ以上の異なる活性物質の組合せを含み、「担体(a carrier)」への言及は、2つまたはそれ以上の担体の混合物ならびに1つの担体を含み、他も同様である。
本発明は、本明細書において開示されるHDAC阻害剤のプロドラッグを包含することも意図される。任意の化合物のプロドラッグは、よく知られている薬理学的技術を用いて製造することができる。
本発明は、上述の化合物に加えて、そのような化合物の同族体および類縁体の使用を包含することが意図される。この文脈において、同族体は上述の化合物に対する実質的な構造上の類似性を有する分子であり、類縁体は構造上の類似性にかかわらず実質的な生物学的類似性を有する分子である。
アルキル化剤
アルキル化剤の例は、限定はしないが、ビスクロロエチルアミン(ナイトロジェンマスタード、例えば、クロランブシル、シクロホスファミド、イホスファミド、メクロレタミン、メルファラン、ウラシルマスタード)、アジリジン(例えば、チオテパ)、アルキルアルコンスルホナート(例えば、ブスルファン)、ニトロソウレア(例えば、カルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾシン)、非古典的アルキル化剤(アルトレタミン、ダカルバジンおよびプロカルバジン)、白金化合物(カルボプラチンおよびシスプラチン)を含む。これらの化合物は、リン酸基、アミノ基、ヒドロキシル基、スルフヒドリル基、カルボキシル基およびイミダゾール基と反応する。
シスプラチン(例えば、Platinol(登録商標)−AQ、ニュージャージー州プリンストン所在のBristol−Myers Squibb Co.)は、シス位にある2つの塩素原子と2つのアンモニア分子によって囲まれた白金の中心原子を含む重金属錯体である。シスプラチンの抗癌剤機序は、はっきりとは理解されていないが、DNA付加物の形成を通じて作用することが一般に認められている。シスプラチンは、核DNAに結合し、通常の転写および/またはDNA複製機序に干渉すると考えられている。シスプラチン−DNA付加物が、細胞装置により効率よく処理されない場合、細胞死に至る。細胞は、アポトーシスまたはネクローシスを通じて死に、この両方の機序は、腫瘍細胞の集団内で機能し得る。シスプラチンの化学名は、シス−ジアンミンジクロロ白金(例えば、シス−ジアンミンジクロロ白金(II))であり、これは構造式
Figure 2010509221
により表される。
シクロホスファミド(例えば、Cytoxan(登録商標)、イリノイ州ディアフィールド所在のBaxter Healthcare Corp.社)は、ナイトロジェンマスタードに化学的に関連している。シクロホスファミドは、混合機能ミクロソームオキシダーゼ系により活性アルキル化代謝物に転換される。これらの代謝物は、急速に増殖する悪性細胞の増殖に干渉し得る。作用機序は、腫瘍細胞DNAの架橋を伴うと考えられる。Cytoxan(登録商標)という名称で市販されているシクロホスファミド一水和物は、構造式
Figure 2010509221
で表される、2−[ビス(2−クロロエチル)アミノ]テトラヒドロ−2H−1,3,2−オキサザホスホリン2−オキシド一水和物である。
オキサリプラチン(例えば、Eloxatin(商標)、ニューヨーク州ニューヨーク所在のSanofi−Synthelabo,Inc.)は、白金原子が1,2−ジアミノシクロヘキサン(DACH)と離脱基としてのシュウ酸塩リガンドとが錯体を形成する有機白金錯体である。オキサリプラチンは、生理溶液中で非酵素的変換を受け、インターおよびイントラストランド白金−DNA架橋を形成する活性誘導体に変わる。2つの隣接グアニン(GG)、隣接アデニン−グアニン(AG)および介在ヌクレオチド(GNG)により分離されるグアニンのN7位の間に架橋が形成される。これらの架橋は、癌細胞および非癌細胞中のDNA複製および転写を阻害する。オキサリプラチンの化学名は、シス−[(1 R,2 R)−1,2−シクロヘキサンジアミン−N,N’][シュウ酸塩(2−)−O,O’]白金であり、構造式
Figure 2010509221
により表される。
生理学的状態下において、これらの薬物はイオン化し、感受性のある核酸およびタンパク質にプラスに付着する帯電したイオンを発生し、細胞周期停止および/または細胞死をもたらす。アルキル化剤は、細胞周期の特定の時期と無関係に活性化を起こすため細胞周期非特異性薬剤である。ナイトロジェンマスタードおよびアルキルアルコンスルホナートは、G1期またはM期にある細胞に対して最も効果的である。ニトロソウレア、ナイトロジェンマスタードおよびアジリジンは、G1期およびS期からM期への進行を損なう。ChabnerおよびCollins編(1990)「Cancer Chemotherapy:Principles and Practice」Philadelphia:JB Lippincott。
アルキル化剤は、さまざまな腫瘍性疾患に対し活性があり、白血病およびリンパ腫さらには充実性腫瘍の治療において有意な活性を示す。臨床的にこのグループの薬物は、急性および慢性の白血病、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、原発性脳腫瘍、乳癌、卵巣癌、睾丸癌、肺癌、膀胱癌、頸癌、頭頸部癌および悪性黒色腫の治療において一般的に使用される。
抗生物質剤
抗生物質(例えば、細胞毒性抗生物質)は、DNAまたはRNA合成を直接的に阻害することにより作用し、細胞周期全体にわたって有効である。抗生物質の例としては、アントラサイクリン(例えば、ドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、イダルビシンおよびアントラセンジオン)、マイトマイシンC、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、プリカトマイシンが挙げられる。これらの抗生物質は、異なる細胞成分を標的にすることにより細胞増殖に干渉する。例えば、アントラサイクリンは転写活性のあるDNAの領域においてDNAトポイソメラーゼIIの作用に干渉し、DNA鎖切断をもたらすと一般に考えられている。
イダルビシン(例えば、Idamycin PFS(登録商標)、ミシガン州カラマズー所在のPharmacia & Upjohn Co.)は、核酸合成に阻害効果を有し、酵素トポイソメラーゼIIと相互作用するダウノルビシンのDNA挿入類縁体である。塩酸イダルビシンの化学名は、5,12−ナフタセンジオン,9−アセチル−7−[(3−アミノ−2,3,6−トリデオキシ−α−L−リキソヘキソピラノシル)オキシ]−7,8,9,10−テトラヒドロ−6,9,11−トリヒドロキシ塩酸塩,(7 S−シス)であり、構造式
Figure 2010509221
により表される。
ドキソルビシン(例えば、Adriamycin(登録商標)、オハイオ州ベッドフォード所在のBen Venue Laboratories,Inc.)は、ストレプトミセス・ペウセティウスvar.カエシウス(Streptomyces peucetius var.caesius)の培地から分離された細胞毒性アントラサイクリン抗生物質である。ドキソルビシンは、おそらくDNA二重ヘリックスに平面状のアントラサイクリン核を特異的に挿入するにより核酸に結合する。ドキソルビシンは、環原子7のところのグリコシド結合を通じてアミノ糖であるダウノサミンに結合されているナフタセンキノン核からなる。塩酸ドキソルビシンの化学名は、(8S,10S)−10−[(3−アミノ−2,3,6−トリデオキシ−a−L−リキソ−ヘキソピラノシル)−オキシ]−8−グリコロイル−7,8,9,10−テトラヒドロ−6,8,11−トリヒドロキシ−1−メトキシ−5,12−ナフタセンジオン塩酸塩であり、構造式
Figure 2010509221
により表される。
ブレオマイシンは、鉄をキレート化し、活性複合体を形成し、次いでDNAの塩基に結合し、鎖切断および細胞死をもたらすと一般に考えられている。
抗生物質は、乳癌、肺癌、胃癌、甲状腺癌、リンパ腫、骨髄性白血病、骨髄腫および肉腫を含む、一連の腫瘍性疾患に対する薬物療法として使用されてきた。
代謝拮抗剤
代謝拮抗剤(すなわち、代謝拮抗物質)は、癌細胞の生理機能および増殖に不可欠な代謝過程を妨げる薬物のグループである。活発に増殖する癌細胞は、大量の核酸、タンパク質、脂質および他の生命維持に不可欠な細胞構成要素の連続合成を必要とする。
代謝拮抗物質の多くは、プリンまたはピリミジンヌクレオシドの合成を阻害するまたはDNA複製の酵素を阻害する。一部の代謝拮抗物質は、さらに、リボヌクレオシドおよびRNAの合成および/またはアミノ酸代謝作用およびタンパク質合成にも干渉する。生命維持に不可欠な細胞構成要素の合成に干渉することにより、代謝拮抗物質は、癌細胞の増殖を遅らせるまたは停止させることができる。抗***剤は、このグループに含まれる。代謝拮抗剤の例は、限定はしないが、フルオロウラシル(5−FU)、フロクスウリジン(5−FUdR)、メトトレキサート、ロイコボリン、ヒドロキシウレア、チオグアニン(6−TG)、メルカプトプリン(6−MP)、シタラビン、ペントスタチン、リン酸フルダラビン、クラドリビン(2−CDA)、アスパラギナーゼおよびゲムシタビンを含む。
ゲムシタビン(例えば、Gemzar(登録商標)HCI、インディアナ州インディアナポリス所在のEli Lilly and Co.)は、抗腫瘍活性を示すヌクレオシド類縁体である。ゲムシタビンは、細胞の各期の特異性、DNA合成(S期)が行われている細胞を主に殺すことおよびさらにG1/S期境界を通して細胞の進行をブロックすることを示す。ゲムシタビンは、ヌクレオシドキナーゼにより細胞内で活性二リン酸塩(dFdCDP)および三リン酸塩(dFdCTP)ヌクレオシドに代謝される。ゲムシタビンの細胞毒性効果は、二リン酸塩および三リン酸塩ヌクレオシドの2つの作用の組合せにあり、DNA合成の阻害をもたらす。ゲムシタビンは、プログラム細胞死の特徴の1つであるヌクレオソーム間DNA断片化を誘発する。塩酸ゲムシタビンの化学名は、2’−デオキシ−2’,2’−ジフルオロシチジンモノ塩酸塩(β−異性体)であり、構造式
Figure 2010509221
により表される。
ボルテゾミブ(例えば、Velcade(登録商標)、マサチューセッツ州ケンブリッジ所在のMillennium Pharmaceuticals,Inc.)は、修飾ジペプチジルボロン酸である。ボルテゾミブは、哺乳類の細胞中の26Sプロテアソームの可逆的阻害剤である。26Sプロテアソームの阻害は、標的のタンパク質分解を妨げ、細胞内の複数のシグナリングカスケードに影響を及ぼす可能性がある。正常なホメオスタシス機構のこのような破壊は細胞死をもたらし得る。実験により、ボルテゾミブはインビトロで細胞毒性を有し、インビボでの細胞増殖を遅らせることが実証されている。ボロン酸モノマーであるボルテゾミブの化学名は、[(1R)−3−メチル−1−[[(2S)−1−オキソ−3−フェニル−2−[(ピラジニルカルボニル)アミノ]プロピル]アミノ]ブチル]ボロン酸であり、構造式
Figure 2010509221
により表される。
ペメトレキセド(例えば、Altima(登録商標)、インディアナ州インディアナポリス所在のEli Lilly and Co.)は、細胞複製に不可欠な葉酸塩依存性代謝過程を破壊することによりこの作用を及ぼす抗葉酸剤である。インビトロ試験により、ペメトレキセドは、チミジル酸生成酵素(TS)、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)およびグリシンアミドリボヌクレオチドホルミルトランスフェラーゼ(GARFT)を阻害し、またすべての葉酸塩依存性酵素がチミジンおよびプリンヌクレオチドの新規の生合成に関与する。ペメトレキセド二ナトリウム七水和物は、化学名L−グルタミン酸、N−[4−[2−(2−アミノ−4,7−ジヒドロ−4−オキソ−1H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−イル)エチル]ベンゾイル]−、二ナトリウム塩、七水和物を有し、構造式
Figure 2010509221
により表される。
アザシチジン(例えば、Vidaza(商標)、コロラド州ボールダー所在のPharmion Corp.社)は、骨髄中の異常造血細胞にDNA過剰メチル化および直接的細胞毒性を引き起こすシチジンのピリミジンヌクレオシド類縁体である。過剰メチル化は、DNA合成の大きな抑制を引き起こすことなく分化および増殖に関与する遺伝子に正常な機能を取り戻すことができる。アザシチジンの細胞毒性効果は、正常な増殖制御機序にもはや敏感でなくなった細胞を含む、急速***細胞の死をもたらす。アザシチジンの化学名は、4−アミノ−1β−D−リボフラノシル−s−トリアジン−2(1H)−オンであり、構造式
Figure 2010509221
により表される。
フラボピリドール(例えば、L86−8275、Alvocidib、ニュージャージー州ブリッジウォーター所在のAventis Pharmaceuticals,Inc.)は、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)の阻害剤として作用する合成フラボンである。CDKの活性化は、G1期からS期およびG2期からM期の移行を含む、細胞周期の異なる期の間の細胞の移行に必要である。フラボピリドールは、G1−S期およびG2−M期の細胞周期の進行をブロックし、インビトロでアポトーシスを誘発することが実証されている。Alvocidibに見られるようなフラボピリドールの化学式は、構造式
Figure 2010509221
により表されるような、(−)−2−(2−クロロフェニル)−5,7−ジヒドロキシ−8−[(3R,4S)−3−ヒドロキシ−1−メチル−4−ピペリジニル]−4H−1−ベンゾピラン−4−オン塩酸塩である。
フルオロウラシル(例えば、Fluorouracil Injection、カリフォルニア州アービン所在のGensia Sicor Pharmaceuticals,Inc.、Adrucil(登録商標)、ニューメキシコ州アルバカーキ所在のSP Pharmaceuticals社)は、フッ化ピリミジンである。同化経路中のフルオロウラシルの代謝が、チミジル酸へのデオキシウリジル酸のメチル化反応をブロックする可能性がある。このように、フルオロウラシルは、DNAの合成に干渉し、それほどではないにせよリボ核酸(RNA)の形成を阻害する。DNAおよびRNAは、細胞***および増殖に不可欠であるため、フルオロウラシルの効果は、細胞の不均衡な増殖および死を誘発するチミン欠乏を引き起こすものとしてよい。DNAおよびRNA阻害の効果は、比較的急速に増殖し、高速にフルオロウラシルを摂取する細胞において最も顕著である。フルオロウラシルの化学式は、構造式
Figure 2010509221
により表されるような、5−フルオロ−2,4(1H,3H)−ピリミジンジオンである。
代謝拮抗剤は、結腸癌、直腸癌、乳癌、肝臓癌、胃癌、膵臓癌、悪性黒色腫、急性および慢性白血病ならびに有毛細胞白血病を含むいくつかの一般的な癌形態の治療に広く使用されてきた。
ホルモン剤
ホルモン剤は、標的器官の成長および発達を調節する薬物のグループである。ホルモン剤の大半は、エストロゲン、プロゲストゲン、抗エストロゲン、アンドロゲン、抗アンドロゲンおよびプロゲスチンなどの、性ステロイドおよびこれらの誘導体および類縁体である。これらのホルモン剤は、性ステロイドの受容体の拮抗薬として働き、受容体発現および不可欠な遺伝子の転写を下方制御し得る。このようなホルモン剤の例には、合成エストロゲン(例えば、ジエチルスチベステロール)、抗エストロゲン(例えば、タモキシフェン、トレミフェン、フルオキシメステロールおよびラロキシフェン)、抗アンドロゲン(例えば、ビカルタミド、ニルタミドおよびフルタミド)、アロマターゼ阻害剤(例えば、アミノグルテチミド、アナストロゾールおよびテトラゾール)、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)類縁体、ケトコナゾール、酢酸ゴセレリン、ロイプロリド、酢酸メゲストロールおよびミフェプリストンがある。
プレドニゾン(例えば、Deltasone(登録商標)、ミシガン州カラマズー所在のPharmacia & Upjohn Co.)は、副腎皮質ステロイドおよび胃腸管中に吸収されやすい合成グルココルチコイドである。グルココルチコイドは、多様な刺激に対する身体の免疫応答を変更する。合成グルココルチコイドは、白血病およびリンパ腫の抗炎症作用および血小板減少症、赤芽球減少症および貧血症などの他の血液疾患の管理に主に使用される。プレドニゾンの化学名は、プレグナ−1,4−ジエン−3,11,20−トリオン,17,21−ジヒドロキシ−(1,4−プレグナジエン−17α,21−ジオール−3,11,20−トリオン、1−コルチゾン、17α,21−ジヒドロキシ−1,4−プレグナジエン−3,11,20−トリオンおよびデヒドロコルチゾンともいう。)であり、構造式
Figure 2010509221
により表される。
ホルモン剤は、乳癌、前立腺癌、メラノーマおよび髄膜腫を治療するのに用いられる。ホルモンの主要な作用は、ステロイド受容体を通して媒介されるため、60%の受容体陽性乳癌に第一選択のホルモン療法が奏効し、また受容体陰性腫瘍の10%未満に奏効した。ホルモン剤に伴う主要な副作用は発赤である。頻繁な兆候は、骨痛の急激な増強、皮膚病変周囲の紅斑および高カルシウム血症の誘発である。
特に、プロゲストゲンは、子宮内膜癌の治療に使用されるが、それは、これらの癌がプロゲストゲンによる拮抗のない高レベルのエストロゲンに暴露される女性に発症するからである。
抗アンドロゲンは、ホルモン依存性を有する前立腺癌の治療に主に使用される。これらは、テストステロンのレベルを下げ、これにより腫瘍の増殖を阻害するために使用される。
乳癌のホルモン療法は、新生乳腺細胞中のエストロゲン受容体のエストロゲン依存性活性化のレベルを下げることを伴う。抗エストロゲンは、エストロゲン受容体に結合することにより作用し、コアクチベータのリクルートを妨げ、したがってエストロゲンのシグナル発生を阻害する。
LHRH類縁体は、前立腺癌の治療において使用され、テストステロンのレベルを下げ、したがって腫瘍の増殖を低下させる。
アロマターゼ阻害剤は、ホルモン合成に必要な酵素を阻害することにより作用する。閉経後の女性では、エストロゲンの主要供給源は、アロマターゼによるアンドロステンジオンの変換を通じてのものである。
植物由来薬剤
植物由来薬剤は、植物から誘導されるまたはこれらの薬剤の分子構造に基づき修飾される薬物のグループである。細胞***に不可欠な細胞の構成要素の組み立てを妨げることにより細胞複製を阻害する。
植物由来薬剤の例は、蔓植物のアルカロイド(例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、ビンゾリジンおよびビノレルビン)、ポドフィロトキシン(例えば、エトポシド(VP−16)およびテニポシド(VM−26))およびタキサン(例えば、パクリタキセルおよびドセタキセル)を含む。これらの植物由来薬剤は、一般に、チュブリンに結合し、有糸***を阻害する抗***剤として作用する。エトポシドなどのポドフィロトキシンは、トポイソメラーゼIIと相互作用してDNA合成に干渉し、DNA鎖切断をもたらすと考えられている。
ビンクリスチン(例えば、硫酸ビンクリスチン、カリフォルニア州アービン所在のGensia Sicor Pharmaceuticals社)は、花を咲かす一般的なハーブ、ツルニチソウ(periwinkle plant)(ニチニチソウ(Vinca rosea Linn))から採取されるアルカロイドである。ビンクリスチンは、元々ロイロクリスチンと表記されており、LCRおよびVCRとも称されてきた。ビンクリスチンの作用機序は、結果として有糸***中期の細胞***を停止させる、紡錘体中の微小管形成の阻害に関係している。硫酸ビンクリスチンは、ビンカレウコブラスチン,22−オキソ−,硫酸塩(1:1)(塩)であり、構造式
Figure 2010509221
により表される。
エトポシド(例えば、VePesid(登録商標)(一般にVP−16として知られている。)、ニュージャージー州プリンストン所在のBristol−Myers Squibb Co.)は、ポドフィロトキシンの半合成誘導体である。エトポシドは、哺乳類の細胞中で有糸***中期停止およびG2期停止を引き起こすことが示されている。高濃度では、エトポシドは、有糸***に入る細胞の溶解をトリガーする。低濃度では、エトポシドは、前期に細胞が入るのを阻害する。エトポシドの支配的な高分子効果は、DNAトポイソメラーゼIIとの相互作用またはフリーラジカルの形成によるDNA鎖切断の誘発であると思われる。リン酸エトポシド(例えば、Etopophos(登録商標)、ニュージャージー州プリンストン所在のBristol−Myers Squibb Co.)は、エトポシドの水溶性エステルである。リン酸エトポシドの化学名は、4’−デメチルエピポドフィロトキシン9−[4,6−O−(R)−エチリデン−b−D−グルコピラノシド],4’−(二水素リン酸塩)であり、構造式
Figure 2010509221
により表される。
エトポシドの化学名は、4’−デメチルエピポドフィロトキシン9−[4,6−O−(R)−エチリデン−b−D−グルコピラノシド]であり、構造式
Figure 2010509221
により表される。
植物由来薬剤は、多くの癌形態の治療に使用される。例えば、ビンクリスチンは、白血病、ホジキンおよび非ホジキンリンパ腫および小児腫瘍の神経芽腫、横紋筋肉腫およびウィルムス腫瘍の治療において使用される。ビンブラスチンは、リンパ腫、睾丸癌、腎細胞癌、菌状息肉腫およびカポジ肉腫に対して使用される。ドキセタキセルは、進行性乳癌、非小細胞肺癌(NSCLC)および卵巣癌に対して有望な活性を示している。
エトポシドは、さまざまな新生物に対して活性を有し、そのうち小細胞肺癌、睾丸癌およびNSCLCに最も奏効する。
生物剤
生物剤は、単独で使用するまたは化学療法および/または放射線療法と併用した場合に癌/腫瘍の退縮を誘発する生体分子のグループである。生物剤の例は、サイトカインなどの免疫調節タンパク質、腫瘍抗原に対するモノクローナル抗体、腫瘍抑制遺伝子および癌ワクチンを含む。
サイトカインは、強い免疫調節活性を有する。インターロイキン−2(IL−2、アルデスロイキン)およびインターフェロン−α(IFN−α)などの一部のサイトカインは、抗腫瘍活性のあることを実証しており、転移性腎細胞癌および転移性悪性黒色腫を持つ患者の治療に関して承認されている。IL−2は、T細胞媒介免疫反応の中心的役割を果たすT細胞増殖因子である。一部の患者に対するIL−2の選択的抗腫瘍効果は、自己と非自己とを区別する細胞媒介免疫反応の結果であると考えられている。
インターフェロン−αは、活性が重なる23を超える関連する亜型を含む。IFN−αは、多くの充実性および血液学的悪性腫瘍に対し活性のあることを示しており、後者は特に感受性がある。
インターフェロンの例は、インターフェロン−α、インターフェロン−β(線維芽細胞インターフェロン)およびインターフェロン−γ(線維芽細胞インターフェロン)を含む。他のサイトカインの例は、エリスロポエチン(エポエチン−α)、顆粒球−CSF(フィルグラスチン)および顆粒球、マクロファージ−CSF(サルグラモスチム)を含む。サイトカイン以外の他の免疫調節剤は、カルメット・ゲラン(bacillus Calmette−Guerin)、レバミソールおよびオクトレオチド、天然のホルモンソマトスタチンの作用を模倣する長時間作用型オクタペプチドを含む。
さらに、抗癌治療は、腫瘍ワクチン法で使用される抗体および試薬を用いる免疫療法による治療を含むことができる。この療法クラスにおける第1薬物は、単独の抗体または例えば、癌細胞に対する毒もしくは化学療法薬/細胞毒を担持した抗体である。腫瘍抗原に対抗するモノクローナル抗体は、腫瘍、特に腫瘍特異的抗原により発現される抗原に対し誘発される抗体である。例えば、モノクローナル抗体HERCEPTIN(登録商標)(トラスツズマブ)は、転移性乳癌を含むある種の***の腫瘍において過剰発現するヒト上皮増殖因子受容体2(HER2)に対する抗体である。HER2タンパク質の過剰発現は、クリニックにおける侵攻性の高い疾患および不良な予後に付随する。HERCEPTIN(登録商標)は、腫瘍がHER2タンパク質を過剰発現する転移性乳癌の患者の治療用の単剤として使用される。
腫瘍抗原に対するモノクローナル抗体の他の例は、リンパ腫細胞上のCD20に対する抗体であり、正常および悪性のCD20+pre−Bおよび成熟B細胞を選択的に枯渇させるRITUXAN(登録商標)(リツキシマブ)である。
RITUXANは、再発性または難治性の低悪性度もしくは濾胞性のCD20+、B細胞非ホジキンリンパ腫の患者の治療用に単剤として使用され、MXELOTARG(登録商標)(ゲムツズマブオゾガマイシン)およびCAMPATH(登録商標)(アレムツズマブ)は、使用できる腫瘍抗原に対するモノクローナル抗体のさらなる例である。
エンドスタチンは、血管形成を標的とするために使用されるプラスミノゲンの分解産物である。
腫瘍抑制遺伝子は、細胞増殖および***周期を阻害し、これにより新生物の発達を防止する機能を有する遺伝子である。腫瘍抑制遺伝子の突然変異により、細胞は阻害シグナルのネットワークの複数の構成要素のうちの1つ以上を無視し、細胞周期チェックポイントを克服して、その結果、制御細胞増殖−癌化率が高くなる。腫瘍抑制遺伝子の例は、Duc−4、NF−1、NF−2、RB、p53、WT1、BRCA1およびBRCA2を含む。
DPC4は、膵臓癌に関係し、細胞***を阻害する細胞質経路に関与する。NF−1は、細胞質阻害タンパク質である、Rasを阻害するタンパク質をコードする。NF−1は、神経系の神経線維腫および褐色細胞腫ならびに骨髄性白血病に関与する。NF−2は、神経系の髄膜腫、神経鞘腫および上衣腫に関与する核タンパク質をコードする。RBは、細胞周期の主要な阻害剤である核タンパク質である、pRBタンパク質をコードする。RBは、網膜芽細胞腫さらには骨肉腫、膀胱癌、小細胞肺癌および乳癌に関与する。P53は、細胞***を調節してアポトーシスを誘発し得るp53タンパク質をコードする。p53の突然変異および/または無活動は、さまざまな癌において見られる。WTIは、腎臓のウィルムス腫瘍に関与する。BRCA1は、乳癌および卵巣癌に関与し、BRCA2は、乳癌に関与する。腫瘍抑制遺伝子は、腫瘍抑制機能を実行する腫瘍細胞内に移動され得る。
癌ワクチンは、腫瘍に対する身体の特異的免疫反応を誘発する薬剤のグループである。研究開発および臨床試験中の癌ワクチンの大半は、腫瘍関連抗原(TAA)である。TAAは、腫瘍細胞上に存在し、正常細胞上には比較的存在していないまたは少ない構造(すなわち、タンパク質、酵素または炭水化物類)である。腫瘍細胞にかなり固有であることにより、TAAは、免疫系が認識しこの破壊を引き起こす標的を提供する。TAAの例は、ガングリオシド(GM2)、前立腺特異抗原(PSA)、α−フェトプロテイン(AFP)、癌胎児性抗原(CEA)(結腸癌および他の腺癌、例えば、乳癌、肺癌、胃癌および膵臓癌によって産生される。)、メラノーマ関連抗原(MART−1、gap100、MAGE 1,3チロシナーゼ)、パピローマウイルス属(papillomavirus)E6およびE7断片、自己腫瘍細胞および同種異系腫瘍細胞の全細胞または一部/溶解物を含む。
本発明とともに使用するレチノイドまたはレチノイド剤は、ビタミンAのすべての天然の、組換え型のおよび合成の誘導体または模倣薬、例えば、レチニルパルミテート、レチノイルベータ−グルクロニド(ビタミンA1ベータ−グルクロニド)、レチニルリン酸(ビタミンA1リン酸塩)、レチニルエステル、4−オキソレチノール、4−オキソレチンアルデヒド、3−デヒドロレチノール(ビタミンA2)、11−シス−レチナール(11−シス−レチンアルデヒド、11−シスまたはネオbビタミンA1アルデヒド)、5,6−エポキシレチノール(5,6−エポキシビタミンA1アルコール)、アンヒドロレチノール(アンヒドロビタミンA1)および4−ケトレチノール(4−ケト−ビタミンA1アルコール)、オールトランス型レチノイン酸(ATRA、トレチノイン、ビタミンA酸、3,7−ジメチル−9−(2,6,6,−トリメチル−1−シクロヘネン−1−イル)−2,4,6,8−ノナテトラエン酸[CAS番号302−79−4])、オールトランス型レチノイン酸の脂質薬剤(例えば、ATRA−IV)、9−シスレチノイン酸(9−シス−RA、アリトレチノイン、Panretin(登録商標)、LGD1057)、(e)−4−[2−(5,6,7,8−テトラヒドロ−2−ナフタレニル)−1−プロペニル]安息香酸、3−メチル−(E)−4−[2−(5,6,7,8−テトラヒドロ−2−ナフタレニル)−1−プロペニル]安息香酸、フェンレチニド(N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド、4−HPR)、レトレチナート(2,4,6,8−ノナテトラエン酸)、アシトレチン(Ro 10−1670)、タザロテン(エチル6−[2−(4,4−ジメチルチオクロマン−6−イル)−エチニル]ニコチン酸塩)、トコレチナート(9−シス−トレチノイントコフェリル)、アダパレン(6−[3−(1−アダマンチル)−4−メトキシフェニル]−2−ナフトエ酸)、モトレチニド(トリメチルメトキシフェニル−N−エチルレチンアミド)およびレチンアルデヒドを含む。
さらに、レチノイドとして、CD437(6−[3−(1−アダマンチル)−4−ヒドロキシフェニル]−2−ナフタレンカルボン酸およびAHPN)、CD2325、ST1926([E−3−(4’−ヒドロキシ−3’−アダマンチルビフェニル−4−イル)アクリル酸]、ST1878(メチル2−[3−[2−[3−(2−メトキシ−1,1−ジメチル−2−オキソエトキシ)フェノキシ]エトキシ]フェノキシ]イソブチラート)、ST2307、ST1898、ST2306、ST2474、MM11453、MM002(3−Cl−AHPC)、MX2870−1、MX3350−1、MX84およびMX90−1などのレチノイド関連分子も含まれる(Garattiniら、2004、Curr.Pharmaceut.Design 10:433−448頁、GarattiniおよびTerao、2004、J.Chemother.16:70−73頁)。本発明とともに使用するために、1つ以上のRXRに結合するレチノイド剤が含まれる。さらに含まれるのは、1つ以上のRXRに結合し、1つ以上のRARに結合しないレチノイド剤(すなわち、RXRへの選択的結合、レキシノイド)、例えばドコサヘキサン酸(DHA)、フィタン酸、メトプレン酸、LG100268(LG268)、LG100324、LGD1057、SR11203、SR11217、SR11234、SR11236、SR11246、AGN194204である(例えば、SimeoneおよびTari、2004、Cell Mal.Life Sci.61:1475−1484頁、RigasおよびDragnev、2005、The Oncologist 10:22−33頁、Ahujaら、2001、Mol.Pharmacol.59:765−773頁、GorgunおよびFoss,2002、Blood 100:1399−1403頁、Bischoffら、1999、J.Natl.Cancer Inst.91:2118−2123頁、Sunら、1999、Clin.Cancer Res.5:431−437頁、CrowおよびChandraratna、2004、Breast Cancer Res.6:R546−R555頁を参照)。さらに含まれるのは、9−シス−RAの誘導体である。特に、3−メチルTTNEBおよび関連する薬剤、例えば、Targretin(登録商標)、ベキサロテン、LGD1069、4−[1−(5,6,7,8−テトラヒドロ−3,5,5,8,8−ペンタメチル−2−ナフタレニル)エテニル]安息香酸または薬学的に許容される塩またはこれらの水和物が含まれる。
これらの方法をすべて、HDAC阻害剤、例えばSAHAとともに併用することは、本発明の範囲内にある。
他の薬剤
他の薬剤もまた、例えば、補助療法用に本発明と併用するのに役立ち得る。このような補助薬は、抗癌剤の有効性を高めるためにまたは血球数低下、超過敏反応、好中球減少症、貧血症、血小板減少症、高カルシウム血症、粘膜炎、傷やあざ、出血、毒性(例えば、ロイコボリン)、疲労、疼痛、悪心および嘔吐などの抗癌剤に伴う症状を予防または治療するために使用することができる。制吐剤(例えば、5−HT受容体遮断薬またはベンゾジアゼピン)、抗炎症剤(例えば、副腎皮質ステロイドまたは抗ヒスタミン剤)、栄養補助食品(例えば、葉酸)、ビタミン(例えば、ビタミンE、ビタミンC、ビタミンB、ビタミンB12)および制酸剤(例えば、H受容体遮断薬)は、癌治療に対する患者の忍容性を高めるために有用であり得る。H受容体遮断薬の例は、ラニチジン、ファモチジンおよびシメチジンを含む。抗ヒスタミン剤の例は、ジフェンヒドラミン、クレマスチン、クロルフェニラミン、クロルフェナミン、マレイン酸ジメチンデンおよびプロメタジンを含む。ステロイドの例は、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾンおよびプレドニゾンを含む。他の薬剤は、赤血球産生を刺激するエポエチンアルファ(例えば、Procrit(登録商標)、Epogen(登録商標))、好中球産生を刺激するG−CSF(顆粒球コロニー刺激因子、フィルグラスチム、例えば、Neupogen(登録商標))、マクロファージを含む、複数の白血球の産生を刺激するGM−CSF(顆粒球マクロファージコロニー刺激因子)および血小板の産生を刺激するIL−11(インターロイキン−11、例えば、Neumega(登録商標))などの増殖因子を含む。
ロイコボリン(例えば、ロイコボリンカルシウム、オハイオ州コロンバス所在のRoxane Laboratories,Inc.、フォリン酸、フォリン酸カルシウム、シトロボルム因子とも呼ばれる。)は、葉酸拮抗薬への解毒薬として使用され、またフルオロウラシルなどのいくつかの薬物の活性を増強することができる。ロイコボリンカルシウムは、N−[4−[[(2−アミノ−5−ホルミル−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−4−オキソ−6−プテリジニル)メチル]アミノ]ベンゾイル]−L−グルタミン酸のカルシウム塩である。
デキサメタゾン(例えば、Decadron(登録商標)、ニュージャージー州ホワイトハウスステーション所在のMerck & Co.,Inc.)は、アレルギー反応、例えば、薬物過敏反応を制御するために抗炎症剤として使用できる合成副腎皮質ステロイドである。さらに、デキサメタゾンは、抗癌剤の細胞毒活性に対し細胞を敏感にするために使用される。経口投与用のデキサメタゾン錠剤は、9−フルオロ−11β,17,21−トリヒドロキシ−16α−メチルプレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオンであり、構造式
Figure 2010509221
により表される。
静脈内投与用のリン酸デキサメタゾンは、9−フルオロ−11β,17−ジヒドロキシ−16α−メチル−21−(ホスホノオキシ)プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン二ナトリウム塩であり、構造式
Figure 2010509221
により表される。
ジフェンヒドラミン(例えば、Benadryl(登録商標)、ミシガン州ロチェスター所在のParkedale Pharmaceuticals,Inc.)は、アレルギー反応の改善に使用される抗ヒスタミン薬である。塩酸ジフェンヒドラミン(例えば、注射用のジフェンヒドラミンHCl)は、2−(ジフェニルメトキシ)−N,N−ジメチルエチルアミン塩酸塩であり、構造式
Figure 2010509221
により表される。
ラニチジン(例えば、Zantac(登録商標)、ノースカロライナ州リサーチトライアングルパーク所在のGlaxoSmithKline社)は、ヒスタミンH受容体におけるヒスタミンの競合的阻害剤であり、胃酸を減らすために使用され得る。塩酸ラニチジン(例えば、錠剤または注射)は、N[2−[[[5−[(ジメチルアミノ)メチル]−2−フラニル]メチル]チオ]エチル]−N’−メチル−2−ニトロ−1,1−エテンジアミン,HClであり、構造式
Figure 2010509221
により表される。
シメチジン(例えば、Tagamet(登録商標)、ノースカロライナ州リサーチトライアングルパーク所在のGlaxoSmithKline社)は、ヒスタミンH受容体におけるヒスタミンの競合的阻害剤であり、胃酸を減らすために使用され得る。シメチジンは、N”−シアノ−N−メチル−N’−[2−[[(5−メチル−1H−イミダゾール−4−イル)メチル]チオ]−エチル]−グアニジンであり、構造式
Figure 2010509221
により表される。
アプレピタント(例えば、EMEND(登録商標)、Merck & Co.,Inc.)は、サブスタンスP/ニューロキニン1(NK1)受容体拮抗薬および制吐薬である。アプレピタントは、5−[[(2R,3S)−2−[(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エトキシ]−3−(4−フルオロフェニル)−4−モルホリニル]メチル]−1,2−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オンであり、構造式
Figure 2010509221
により表される。
オンダンセトロン(例えば、Zofran(登録商標)、ノースカロライナ州リサーチトライアングルパーク所在のGlaxoSmithKline社)は、5−HT3セロトニン受容体および制吐薬の選択的遮断薬である。塩酸オンダンセトロン(例えば、注射用)は、(±)1,2,3,9−テトラヒドロ−9−メチル−3−[(2−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)メチル]−4H−カルバゾール−4−オン一塩酸塩二水和物であり、構造式
Figure 2010509221
により表される。
ロラゼパム(例えば、ロラゼパム注射、イリノイ州ディアフィールド所在のBaxter Healthcare Corp.社)は、抗けいれん効果を持つベンゾジアゼピンである。ロラゼパムは、7−クロロ−5(2−クロロフェニル)−1,3−ジヒドロ−3−ヒドロキシ−2H−1,4−ベンゾジアゼピン−2−オンであり、構造式
Figure 2010509221
により表される。
本発明では、さらに、デキサメタゾンをSAHAとボルテゾミブとの組合せに加えて奏効率を高め、抗骨髄腫剤の細胞毒活性に対して細胞を敏感にすることを企図する。デキサメタゾンは、多発性骨髄腫の治療における重要な薬物である。デキサメタゾンの追加は、少なくとも20%奏効率を高める。本発明の一態様では、SAHA/ボルテゾミブの投与を2サイクル実施し、部分寛解に達せず、悪化貧血、悪化腎不全、過粘稠度症候群の兆候および症状として定義される臓器障害のない患者は、5日間(4日目−8日目)毎日デキサメタゾン20mgを経口投与することにより治療することができる。
HDAC阻害剤の投与
投与経路
HDAC阻害剤(例えば、SAHA)は、当業者に知られている任意の周知の投与様式により投与され得る。投与経路の例は、限定はしないが、経口投与、非経口投与、腹腔内投与、静脈内投与、動脈内投与、経皮投与、局所投与、舌下投与、筋肉内投与、直腸投与、経頬投与、経鼻投与、リポソーム投与、吸入による投与、経膣投与、眼球内投与、カテーテルもしくはステントによる局所送達による投与、皮下投与、脂肪内投与、関節内投与、髄腔内投与または徐放投薬形態での投与を含む。SAHAまたはHDAC阻害剤の任意の1つを、用量および抗癌剤の効果と併せて疾患治療に有効な用量を決める投薬スケジュールに従って投与することができる。
もちろん、SAHAまたは他のHDAC阻害剤の任意の1つの投与経路は、抗癌剤の投与経路と無関係である。SAHAの特定の投与経路は、経口投与である。従って、この実施形態により、SAHAは、経口投与され、第2の薬剤(抗癌剤)については、経口投与、非経口投与、腹腔内投与、静脈内投与、動脈内投与、経皮投与、舌下投与、筋肉内投与、直腸投与、経頬投与、経鼻投与、リポソーム投与、吸入による投与、経膣投与、眼球内投与、カテーテルもしくはステントによる局所送達による投与、皮下投与、脂肪内投与、関節内投与、髄腔内投与または徐放投薬形態での投与を実施することができる。
例えば、本発明のHDAC阻害剤は、錠剤、カプセル(それぞれ持続放出または時限放出製剤を含む。)、ピル、粉末、顆粒、エリキシル剤、チンキ剤、懸濁液、シロップおよび乳剤などの経口形態で投与され得る。同様に、HDAC阻害剤は、静脈内(例えば、ボーラス投与もしくは注入)、腹腔内、皮下、筋肉内または薬学分野の当業者によく知られている形態を使用する他の経路により投与できる。HDAC阻害剤の格別の投与経路は、経口投与である。
HDAC阻害剤は、さらに、デポ注射または埋め込み製剤の形態でも投与することができ、これは、活性成分の持続放出を可能にするような方法で製剤され得る。活性成分は、ペレットまたは小円筒形状に圧縮され、デポ注射または埋め込み物として皮下または筋肉内に埋め込むことができる。埋め込み物には、生体分解性ポリマーまたは合成シリコーン、例えば、シラスティック、シリコーンゴムまたはDow−Corning Corporationによって製造されている他のポリマーなどの不活性材料を使用することができる。
HDAC阻害剤は、さらに、小単層ベシクル、大単層ベシクルおよび多層ベシクルなどのリポソーム送達系の形態で投与することもできる。リポソームは、コレステロール、ステアリルアミンまたはホスファチジルコリンなどのさまざまなリン脂質から形成され得る。チロシンキナーゼ阻害剤のリポソーム製剤は、さらに、本発明の方法でも使用され得る。チロシンキナーゼ阻害剤のリポソーム製剤のいくつかの変更形態は、阻害剤に対する耐性を高めるために使用され得る。
HDAC阻害剤は、さらに、化合物分子の結合先となる個別の担体としてモノクローナル抗体を使用することにより送達できる。
HDAC阻害剤は、さらに、標的とすることが可能な薬物担体として可溶性ポリマーにより調製できる。このようなポリマーとして、ポリビニルピロリドン、ピラン共重合体、ポリヒドロキシプロピル−メタクリルアミド−フェノール、ポリヒドロキシエチル−アスパルタミド−フェノールまたはパルミトイル残基で置換されたポリエチレンオキシドポリリシンが挙げられる。さらに、HDAC阻害剤は、薬物の制御放出を行ううえで有用な生体分解性ポリマー、例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸とポリグリコール酸の共重合体、ポリイプシロンカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリラートおよびヒドロゲルの架橋または両親媒性ブロック共重合体により調製することができる。
特定の一実施形態において、HDAC阻害剤、例えば、SAHAは、微晶質セルロース、クロスカルメロースナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムなどの賦形剤を含むことができるゼラチンカプセルを使用して経口投与される。
用量および投薬スケジュール
タイプ、種、年齢、体重、性別および治療中の疾患の種類、治療対象の疾患の重症度(すなわち、病期)、投与経路、患者の腎臓および肝臓の機能ならびに使用される特定の化合物もしくはこれらの塩を含むさまざまな因子に応じて、HDAC阻害剤を使用する投与計画を選択することができる。投与計画は、例えば、疾患の進行を妨げ、阻害し(完全にもしくは部分的に)または停止するために使用され得る。
本発明によれば、HDAC阻害剤(例えば、SAHAまたは薬学的に許容される塩またはこれらの水和物)は、連続投薬または間欠投薬により投与できる。例えば、HDAC阻害剤の間欠投与は、1週間に1から6日間の投与であってよく、以上のサイクルでの投与を意味してもよく(例えば、2から8週間連続、毎日投与し、その後最大1週間まで投与を行わない休薬期間を置く)、または隔日投与を意味してもよい。これらの組成物を複数のサイクルで投与し、サイクルとサイクルとの間に休薬期間を置いてもよい(例えば、2から8週間にわたって治療し、治療と治療との間に最大1週間までの休薬期間を入れる)。
例えば、SAHAまたはHDAC阻害剤の任意の1つは、最大800mgまでの合計1日用量で投与することができる。HDAC阻害剤は、1日1回(QD)投与するまたは1日2回(BID)および1日3回(TID)などの複数の1日用量に分けることもできる。HDAC阻害剤は、最大800mg、例えば、200mg、300mg、400mg、600mgまたは800mgの合計1日用量で投与することができ、これは上述のように1回の1日用量で投与することができる以上回の1日用量に分けることができる。特定の態様において、投与は経口投与である。
SAHAまたはHDAC阻害剤の任意の1つを、用量および抗癌剤の効果と併せて癌治療に有効な用量を決める投薬スケジュールに従って投与することができる。HDAC阻害剤は、患者に応じて変わる合計1日用量で投与することができ、また異なる投薬スケジュールで投与することができる。例えば、SAHAまたはHDAC阻害剤のどれかは、25−4000mg/mの範囲の合計1日用量で患者に投与することができる。特に、SAHAまたはHDAC阻害剤の任意の1つは、最大800mgまでの合計1日用量で、特に、経口投与により、1日1回、2回または3回、連続的に(毎日)または間欠的に(例えば、1週間に3−5日)投与することができる。それに加えて、投与は連続的すなわち毎日または間欠的としてよい。
本発明の一態様は、治療を必要としている対象に、HDAC阻害剤、例えば、SAHAのある量とある量の他の抗癌剤、例えば、ボルテゾミブを投与することを含む多発性骨髄腫を治療するための方法に関する。本発明の特定の態様において、SAHAまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物は、21日間のサイクルの4−11日目に少なくとも1つの治療サイクルについて1日当たり200mgから800mgを経口投与され、ボルテゾミブまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物は、21日間のサイクルの1日目、4日目、8日目および11日目に少なくとも1つの治療サイクルについて1日当たり0.7−1.3mg/mを静脈内投与される。特定の実施形態では、多発性骨髄腫は、再発および難治性多発性骨髄腫である。
一実施形態では、SAHAまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物は、21日間のうちの4−11日の少なくとも1治療期間の間、100mgの用量で1日2回投与される。
他の実施形態では、SAHAまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物は、21日間のうちの4−11日の少なくとも1治療期間の間、200mgの用量で1日2回投与される。
他の実施形態では、SAHAまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物は、21日間のうちの4−11日の少なくとも1治療期間の間、300mgの用量で1日2回投与される。
さらに他の実施形態では、SAHAまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物は、21日間のうちの4−11日の少なくとも1治療期間の間、400mgの用量で1日2回投与される。
他の実施形態では、SAHAまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物は、21日間のうちの4−11日の少なくとも1治療期間の間、400mgの用量で1日1回投与される。
他の実施形態では、SAHAまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物は、21日間のうちの4−11日の少なくとも1治療期間の間、500mgの用量で1日1回投与される。
他の実施形態では、SAHAまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物は、21日間のうちの4−11日の少なくとも1治療期間の間、600mgの用量で1日1回投与される。
さらに他の実施形態では、SAHAまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物の投与は、21日間のうちの4−11日の最大8治療期間にわたって繰り返される。
本発明の他の態様では、ボルテゾミブまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物は、21日間のうちの1日目、4日目、8日目および11日目に1mg/mの用量で1日1回投与される。
本発明のさらに他の態様では、SAHAまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物は、100mgの用量で1日2回投与され、または薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物は、1.0mg/mの合計1日用量で投与される。
本発明のさらに他の態様では、SAHAまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物は、100mgの用量で1日2回投与され、または薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物は、1.0mg/mの合計1日用量で投与される。
さらに他の実施形態では、SAHAまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物は、100mgの用量で1日2回投与され、ボルテゾミブまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物は、1.3mg/mの合計1日用量で投与される。
さらに他の実施形態では、SAHAまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物は、200mgの用量で1日2回投与され、ボルテゾミブまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物は、1.3mg/mの合計1日用量で投与される。
さらに他の実施形態では、SAHAまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物は、300mgの用量で1日2回投与され、およびまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物は、1.3mg/mの合計1日用量で投与される。
さらに他の実施形態では、SAHAまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物は、400mgの用量で1日2回投与され、ボルテゾミブまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物は、1.3mg/mの合計1日用量で投与される。
さらに他の実施形態では、SAHAまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物は、400mgの用量で1日1回投与され、ボルテゾミブまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物は、1.3mg/mの合計1日用量で投与される。
さらに他の実施形態では、SAHAまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物は、500mgの用量で1日1回投与され、ボルテゾミブまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物は、1.3mg/mの合計1日用量で投与される。
他の実施形態では、SAHAまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物は、600mgの用量で1日1回投与され、ボルテゾミブまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物は、1.3mg/mの合計1日用量で投与される。
さらに他の実施形態では、SAHAおよびボルテゾミブを使用して多発性骨髄腫を治療する方法は、さらに、デキサメタゾンまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物を経口投与することを含み、デキサメタゾンまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物は、21日間のうちの5日間の少なくとも1治療期間の間、20mgの用量で1日1回投与される。
他の実施形態では、多発性骨髄腫を治療する方法は、デキサメタゾンを21日間のうちの4−8日の少なくとも1治療期間の間、20mgの用量で1日1回経口投与することを含む。
さらに他の実施形態では、SAHAは、21日間のサイクルの4−11日目に少なくとも1つの治療サイクルについて400mgを1日1回経口投与され、ボルテゾミブは、21日間のサイクルの1日目、4日目、8日目および11日目に少なくとも1つの治療サイクルについて1日当たり1.3mg/mを静脈内投与される。
それに加えて、HDAC阻害剤は、数週間にわたる上述のスケジュールのいずれかに従って連続的に投与され、その後休薬期間を置くことができる。例えば、HDAC阻害剤は、2から8週間にわたる上述のスケジュールの任意の1つに従って投与され、その後1週間の休薬期間を置くことができるまたは週3から5日間にわたって300mgの用量で1日2回投与され得る。他の特定の実施形態では、HDAC阻害剤は、連続する2週間の間に1日3回投与され、その後1週間の休薬期間を置く。
患者は、静脈内または皮下にHDAC阻害剤を、1日約3−1500mg/m、例えば、1日約3、30、60、90、180、300、600、900、1200または1500mg/mの十分な送達量だけ入れる。このような量は、多数の好適な方法、例えば、長い1つの期間にわたってまたは1日複数回大量の低濃度のHDAC阻害剤を投与され得る。これらの量は、1週間(7日間の期間)につき1日以上の連続した日数、複数の間欠的な日数またはこれらを組み合わせた日数にわたって投与することができる。それとは別に、短期間、例えば、1週間(7日間の期間)につき連続的な、間欠的なまたはこれらの組合せの1日以上の日数にわたって1日1回少量の高濃度のHDAC阻害剤を投与することができる。例えば、治療1回につき合計1500mg/mとして1日用量300mg/mを連続する5日間にわたって投与することができる。他の投薬計画では、連続する日数を5とし、合計3000mg/mおよび4500mg/mの全治療に対し治療を連続する2または3週間継続することもできる。
典型的には、約1.0mg/mLから約10mg/mL、例えば2.0mg/mL、3.0mg/mL、4.0mg/mL、5.0mg/mL、6.0mg/mL、7.0mg/mL、8.0mg/mL、9.0mg/mLおよび10mg/mLの濃度のHDAC阻害剤を含む静脈内製剤を調製して、上述の用量となる量だけ投与することができる。一例では、十分な量の静脈内製剤が、1日の合計用量が約300から約1500mg/mまでの範囲となるように1日のうちに患者に投与され得る。
皮下製剤は、当業で知られている手順に従って約5から約12までの範囲内のpHで調製することが可能であり、これは、後述のように、好適な緩衝剤および等張性薬剤を含む。これらは、1日1回以上回の皮下投与で、例えば、毎日1、2または3回の投与で1日用量のHDAC阻害剤を送達するように計画できる。
HDAC阻害剤は、さらに、好適な経鼻賦形剤を局所的に使用することによる経鼻形態で、または当業者によく知られている経皮貼布の形態を使用する経皮経路で投与され得る。経皮的送達系の形態で投与するために、用量投与は、もちろん、投与計画全体を通して間欠的ではなく連続的となるようにする。
HDAC阻害剤の特定の用量および投薬スケジュールの1つ以上は、さらに、併用療法において使用される抗癌剤の1つ以上にも適用可能であることは、当業者には明らかである。さらに、抗癌剤の特定の用量および投薬スケジュールは、さらに、可変であり、使用されている特定の抗癌剤に基づき最適な用量、投薬スケジュールおよび投与経路が決定され得る。さらに、本明細書に記載されているさまざまな投与様式、用量および投薬スケジュールは、単に、特定の実施形態を規定するだけであり、本発明の広い範囲を制限するものと解釈すべきではない。用量および投薬スケジュールの任意の置換、変更および組合せが、本発明の範囲内に含まれる。
抗癌剤の投与
HDAC阻害剤の特定の用量および投薬スケジュールの1つ以上は、さらに、併用療法において使用される抗癌剤の1つ以上にも適用可能である。
さらに、抗癌剤の特定の用量および投薬スケジュールは、さらに、可変であり、使用されている特定の抗癌剤に基づき最適な用量、投薬スケジュールおよび投与経路が決定される。
もちろん、SAHAまたは他のHDAC阻害剤の任意の1つの投与経路は、抗癌剤の投与経路と無関係である。SAHAの格別の投与経路は、経口投与である。そこで、この実施形態により、SAHAは、経口投与され、他の抗癌剤については、経口投与、非経口投与、腹腔内投与、静脈内投与、動脈内投与、経皮投与、舌下投与、筋肉内投与、直腸投与、経頬投与、経鼻投与、リポソーム投与、吸入による投与、経膣投与、眼球内投与、カテーテルもしくはステントによる局所送達による投与、皮下投与、脂肪内投与、関節内投与、髄腔内投与または徐放投薬形態での投与を実施することができる。
それに加えて、HDAC阻害剤および抗癌剤は、同じ投与様式により投与され得る、すなわちこれらの薬剤は両方とも、IVなどにより経口投与され得る。しかし、一方の投与様式、例えば、経口投与によりHDAC阻害剤を投与することおよび他方の投与様式、例えば、IVまたは上述の複数の投与様式のうちの他の方法により抗癌剤を投与することも本発明の範囲内にある。
一般に使用される抗癌剤および通常投与される1日用量は、限定はしないが、以下のものを含む。
Figure 2010509221
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本明細書に記載されている抗癌剤(またはそのような薬剤の薬学的に許容される塩または水和物またはそのような薬剤の遊離酸、遊離塩基または他の遊離形態)を使用する投与計画は、HDAC阻害剤に対し提供されるものを含む、本明細書の例示的な用量に従うことができる。タイプ、種、年齢、体重、性別および治療中の疾患の種類、治療対象の疾患の重症度(すなわち、病期)、投与経路、患者の腎臓および肝臓の機能ならびに使用される特定の化合物もしくはこれらの塩を含むさまざまな因子に応じて、用量を選択することができる。投与計画は、例えば、治療する、例えば、疾患の進行を妨げ、阻害し(完全にもしくは部分的に)または停止するために使用され得る。
他の実施形態では、ボルテゾミブまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物は、21日間のうちの1日目、4日目、8日目および11日目に0.7−1.3mg/mの用量で1日1回静脈内投与される。他の実施形態では、ボルテゾミブまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物は、21日間のうちの1日目、4日目、8日目および11日目に1.0mg/mの用量で1日1回投与される。さらに他の実施形態では、ボルテゾミブまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物は、21日間のうちの1日目、4日目、8日目および11日目に1.3mg/mの用量で1日1回投与される。
併用投与
本発明によれば、HDAC阻害剤および抗癌剤は、限定はしないが、再発性および難治性の多発性骨髄腫を含む、多発性骨髄腫の治療において使用され得る。
多発性骨髄腫は、モノクローナル性免疫グロブリンの産生に関わる形質細胞の単一クローンの腫瘍性増殖により特徴付けられる(Kyle、「Hematology:Basic Principles and Practice.」Second edition.1995の「Multiple Myeloma and Other Plasma Cell Disorders」を参照)。多発性骨髄腫細胞には、放射線療法および化学療法が最初に奏効するが、持続的な完全奏効はまれであり、最初に奏効する事実上すべての患者は最終的に再発を起こし、この疾患がもとで死亡する。これまでの従来治療法では、長期の無病生存期間を得ることはできなかったため、この治療不能の疾患に対する新しい薬物療法を開発することに大きな意義がある(NCCN Proceedings.Oncology.November 1998)。
本発明のさまざまな態様において、これらの治療手順は、任意の順序で順次的に、同時にまたはこれらの組合せで実行される。例えば、第1の治療手順、例えば、HDAC阻害剤の投与は、第2の治療手順、例えば、抗癌剤投与に先立って、抗癌剤の第2の治療の後、抗癌剤による第2の治療と同時にまたはこれらの組合せで行うことができる。
本発明の一態様では、全治療期間は、HDAC阻害剤に関して決定できる。抗癌剤は、HDAC阻害剤による治療の開始に先立ってまたはHDAC阻害剤による治療の後に投与できる。それに加えて、抗癌剤は、HDAC阻害剤投与期間中に投与され得るが、HDAC阻害剤治療期間全体にわたって投与する必要はない。同様に、HDAC阻害剤は、抗癌剤による治療の開始に先立ってまたは抗癌剤による治療の後に投与できる。それに加えて、HDAC阻害剤は、抗癌剤投与期間中に投与され得るが、抗癌剤治療期間全体にわたって投与する必要はない。それとは別に、治療計画は、一方の薬剤、すなわちHDAC阻害剤または抗癌剤による前治療の後、治療期間の間に他方の薬剤を加えることを含む。
特定の一実施形態では、HDAC阻害剤と抗癌剤との組合せは、相加的である、すなわち併用治療計画では、単独投与したときにそれぞれの成分の相加的効果をもたらす結果を生じる。この実施形態によれば、HDAC阻害剤の量および抗癌剤の量は併せて癌を治療する有効な量となる。
他の実施形態では、HDAC阻害剤と抗癌剤との組合せは、治療用量で単独投与するときのそれぞれの成分の相加的効果に比べて著しく優れた抗癌作用(例えば、細胞増殖停止、アポトーシス、分化の誘発、細胞死)を併用治療計画がもたらすときに治療的に相乗作用があると考えられる。標準的な統計分析を使用することで、これらの結果がいつ有意に優れているかを判定することができる。例えば、マンホイットニー検定または他の何らかの一般的に認められている統計分析手法を採用することができる。
併用療法は、癌細胞分化、細胞増殖停止および/またはアポトーシスの誘発を通じて作用し得る。全体的な抗腫瘍効果をそのまま発揮しつつ、その薬剤による単剤療法と比較して併用療法におけるそれぞれの薬剤の用量を減らせるため、治療のこの組合せは特に有利である。
本発明の一実施形態では、HDAC阻害剤は、代謝拮抗剤と組み合わせて投与することが可能である。特に、一実施形態では、SAHAまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物は、100mgの用量で1日2回投与され、ボルテゾミブまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物は、1.0mg/mの合計1日用量で投与される。
他の実施形態では、SAHAまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物は、100mgの用量で1日2回投与され、ボルテゾミブまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物は、1.3mg/mの合計1日用量で投与される。
さらに他の実施形態では、SAHAまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物は、200mgの用量で1日2回投与され、ボルテゾミブまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物は、1.3mg/mの合計1日用量で投与される。
他の特定の実施形態では、SAHAまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物は、300mgの用量で1日2回投与され、ボルテゾミブまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物は、1.3mg/mの合計1日用量で投与される。
さらに他の特定の実施形態では、SAHAまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物は、400mgの用量で1日2回投与され、ボルテゾミブまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物は、1.3mg/mの合計1日用量で投与される。
他の特定の実施形態では、SAHAまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物は、400mgの用量で1日1回投与され、ボルテゾミブまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物は、1.3mg/mの合計1日用量で投与される。
他の特定の実施形態では、SAHAまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物は、500mgの用量で1日1回投与され、ボルテゾミブまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物は、1.3mg/mの合計1日用量で投与される。
他の特定の実施形態では、SAHAまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物は、600mgの用量で1日1回投与され、ボルテゾミブまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物は、1.3mg/mの合計1日用量で投与される。
さらに他の実施形態では、SAHAは、21日間のサイクルの4−11日目に少なくとも1つの治療サイクルについて400mgを1日1回経口投与され、ボルテゾミブは、21日間のサイクルの1日目、4日目、8日目および11日目に少なくとも1つの治療サイクルについて1日当たり1.3mg/mを静脈内投与される。
医薬組成物
上述のように、HDAC阻害剤および/または抗癌剤を含む組成物は、経口投与、非経口投与、腹腔内投与、静脈内投与、動脈内投与、経皮投与、舌下投与、筋肉内投与、直腸投与、経頬投与、経鼻投与、リポソーム投与、吸入による投与、経膣投与、眼球内投与、カテーテルもしくはステントによる局所送達による投与、皮下投与、脂肪内投与、関節内投与、髄腔内投与または徐放投薬形態での投与に適した投薬形態に調製され得る。
HDAC阻害剤および抗癌剤は、同時投与の場合と同じ製剤に調製され得るまたは2つの別の投薬形態とすることができ、上述のように同時にまたは順次投与できる。
本発明は、さらに、HDAC阻害剤および/または抗癌剤の薬学的に許容される塩を含む医薬組成物をも包含する。
本明細書に記載されている、本発明の方法での使用に適した化合物の好適な薬学的に許容される塩は、従来の毒性のない塩であり、無機塩基との塩、例えば、アルカリ金属塩(例えば、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩など)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム塩、マグネシウム塩など)、アンモニウム塩、有機塩基を有する塩、例えば、有機アミン塩(例えば、トリエチルアミン塩、ピリジン塩、ピコリン塩、エタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン塩など)など、無機酸付加塩(例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩など)、有機カルボン酸またはスルホン酸付加塩(例えば、ギ酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩など)、塩基性または酸性アミノ酸との塩(例えば、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸など)などの塩基を有する塩または酸付加塩を含むことができる。
本発明は、さらに、HDAC阻害剤および/または抗癌剤の水和物を含む医薬組成物をも包含する。
それに加えて、本発明は、さらに、SAHAまたは他のHDAC阻害剤のいずれかの固体または液体の物理形態を含む医薬組成物を包含する。例えば、HDAC阻害剤は、結晶形態、非晶形態であってよく、また任意の粒子サイズを持つことができる。HDAC阻害剤粒子は、微粉とすることができるまたは凝集塊、粒子状顆粒、粉末、油、油状懸濁液または固体もしくは液体の物理形態の他の形態とすることができる。
経口投与の場合、医薬組成物は、液体または固体としてよい。好適な固形経口製剤には、錠剤、カプセル、ピル、顆粒、ペレットなどがある。好適な液体経口製剤には、溶液、懸濁液、分散液、乳液、油などがある。
担体または希釈液として一般に使用される不活性賦形剤は、例えば、ゴム、デンプン、砂糖、セルロース系物質、アクリル酸塩またはこれらの混合物などの、本発明の製剤中に使用され得る。組成物は、さらに、崩壊剤および潤滑剤を含むことができ、それに加えて、結合剤、緩衝剤、プロテアーゼ阻害剤、界面活性剤、可溶化剤、可塑化剤、乳化剤、安定化剤、増粘剤、甘味料、被膜剤またはこれらの組合せのうちから選択された1つ以上の添加剤を含むことができる。さらに、本発明の組成物は、制御放出または即時放出製剤の形態をとることができる。
HDAC阻害剤は、投与の意図された形態に関して適宜選択される好適な医薬品希釈剤、賦形剤または担体(本明細書では「担体」物質または「薬学的に許容される担体」と総称される。)と混合する活性成分として投与され得る。本明細書で使用されているように、「薬学的に許容される担体」は、医薬品投与と親和性のあるあらゆる溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤、抗真菌薬、等張剤、吸収遅延剤などを含むことが意図されている。好適な担体は、参照により本明細書に組み込む、当該分野における標準文献である「Remington’s Pharmaceutical Sciences」の最新版において説明されている。
液体製剤については、薬学的に許容される担体は、水性または非水性の溶液、懸濁液、乳剤または油とすることができる。非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールおよびオレイン酸エチルなどの注射可能有機エステルである。水性担体としては、食塩液および緩衝媒体を含む、水、アルコール/水溶液、乳剤または懸濁液がある。油の例は、石油、動物、植物または合成由来の油、例えば、ピーナッツ油、大豆油、鉱物油、オリーブ油、ヒマワリ油および魚肝油である。溶液または懸濁液は、さらに、注射用蒸留水、食塩液、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒などの殺菌希釈剤、ベンジルアルコールまたはメチルパラベンなどの抗菌剤、アスコルビン酸または重硫酸ナトリウムなどの抗酸化薬、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)などのキレート剤、酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩などの緩衝剤、および塩化ナトリウムまたはデキストロースなどの毒性を調整するための薬剤を含む。pHは、塩酸または水酸化ナトリウムなどの酸または塩基で調整することができる。
不揮発性油などのリポソームおよび非水性賦形剤も使用できる。医薬活性物質にこのような媒体および剤を使用することは、当業ではよく知られている。従来の媒体または剤が活性化合物と相容性でない場合を除き、組成物中にこれらの剤を使用することが考えられる。補助活性化合物も、これらの組成物中に組み込むことができる。
固体担体/希釈剤は、限定はしないが、ゴム、デンプン(例えば、コーンスターチ、アルファ化デンプン)、糖(例えば、乳糖、マンニトール、ショ糖、デキストロース)、セルロース系物質(例えば、微結晶性セルロース)、アクリル酸塩(例えば、ポリメチルアクリル酸塩)、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、タルクまたはこれらの混合物を含む。
それに加えて、これらの組成物は、さらに、結合材(例えば、アカシア、コーンスターチ、ゼラチン、カルボマー、エチルセルロース、グァーガム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポビドン)、崩壊剤(例えば、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、アルギン酸、二酸化ケイ素、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、グァーガム、グリコール酸ナトリウムデンプン、プリモゲル)、さまざまなpHおよびイオン強度の緩衝剤(例えば、トリス−HCI、酢酸塩、リン酸塩)、表面への吸収を妨げるアルブミンまたはゼラチンなどの添加剤、洗剤(例えば、Tween20、Tween80、プルロニックF68、胆汁酸塩)、プロテアーゼ阻害剤、界面活性剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)、透過促進剤、可溶化剤(例えば、グリセロール、ポリエチレングリコール)、流動促進剤(例えば、コロイド状二酸化ケイ素)、抗酸化薬(例えば、アスコルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム、ブチル化ヒドロキシアニソール)、安定化剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、増粘剤(例えば、カルボマー、コロイド状二酸化ケイ素、エチルセルロース、グァーガム)、甘味料(例えば、ショ糖、アスパルテーム、クエン酸)、香料添加剤(例えば、ペパーミント、メチルサリチル酸またはオレンジ香味料)、保存料(例えば、チメロサール、ベンジルアルコール、パラベン)、潤滑剤(例えば、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム)、流動補助剤(例えば、コロイド状二酸化ケイ素)、可塑化剤(例えば、フタル酸ジエチル、クエン酸トリエチル)、乳化剤(例えば、カルボマー、ヒドロキシプロピルセルロース、ラウリル硫酸ナトリウム)、ポリマーコーティング(例えば、ポロキソマーまたはポロキサミン)、コーティングおよび皮膜形成剤(例えば、エチルセルロース、アクリル酸塩、ポリメタクリル酸塩)および/またはアジュバントを含むことができる。
一実施形態では、活性化合物は、埋め込み物およびマイクロカプセル化送達系を含む、制御放出製剤などの、化合物が身体から急速に排出されるのを防ぐ担体とともに調製される。エチレン酢酸ビニル、ポリアンハイドライド、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステルおよびポリ乳酸などの生体分解性、生体適合性ポリマーを使用することができる。このような製剤を調製する方法は、当業者にとって明白である。これらの物質として、さらに、Alza Corporation社およびNova Pharmaceuticals,Inc社から市販されているものを利用できる。リポソーム懸濁液(ウイルス抗原に対するモノクローナル抗体を使用し感染細胞を標的とするリポソームを含む。)も、薬学的に許容される担体として使用することができる。これらの化合物は、当業者に知られている方法、例えば、米国特許第4,522,811号明細書で説明されているような方法に従って調製され得る。
投与しやすいように、また用量が均一になるように、用量単位形態の経口組成物を調製することが特に有利である。本明細書で使用されているような用量単位形態は、治療される対象に対し単位用量として適している物理的に不連続の単位を意味し、それぞれの単位は必要な医薬品担体に関連して所望の治療効果を生じるように計算された所定の量の活性化合物を含む。本発明の用量単位形態に対する指定は、活性化合物の独自の特性およびもたらされる特定の治療効果ならびに個体の治療用にこのような活性化合物を合成する技術に内在する制限により決定され、またこのような制限に直接的に依存する。
医薬組成物は、投与に関する説明書とともに容器、パックまたはディスペンサーに入れることができる。
活性成分を含む医薬組成物の調製は、当業ではよく理解されており、例えば、混合、顆粒化または錠剤形成の加工工程により行われる。活性治療成分は、多くの場合、薬学的に許容され、活性成分と親和性のある賦形剤と混合される。経口投与では、活性薬剤は、ビヒクル、安定化剤または不活性希釈剤などのこの目的のために慣例となっている添加剤と混合され、慣例の方法により、上述のような錠剤、コーティング錠、硬もしくは軟ゼラチンカプセル、水溶液、アルコール溶液または油性溶液などの投与に適した形態に転換される。
患者に投与される化合物の量は、患者に毒性を生じることになる量よりも少ない。いくつかの実施形態では、患者に投与される化合物の量は、化合物の毒性量に等しいまたはそれを超える患者の血漿中の化合物の濃度を生じる量よりも少ない。特定のいくつかの実施形態では、患者の血漿中の化合物の濃度は、約10nMに維持される。他の実施形態では、患者の血漿中の化合物の濃度は、約25nMに維持される。他の実施形態では、患者の血漿中の化合物の濃度は、約50nMに維持される。他の実施形態では、患者の血漿中の化合物の濃度は、約100nMに維持される。他の実施形態では、患者の血漿中の化合物の濃度は、約500nMに維持される。他の実施形態では、患者の血漿中の化合物の濃度は、約1,000nMに維持される。他の実施形態では、患者の血漿中の化合物の濃度は、約2,500nMに維持される。他の実施形態では、患者の血漿中の化合物の濃度は、約5,000nMに維持される。本発明を実施して患者に投与されるべき化合物の最適な量は、使用される特定の化合物および治療対象の癌の種類によって決まる。
製剤中の活性成分およびさまざまな賦形剤の割合は、異なることがある。例えば、組成は、活性薬剤の重量で20から90%の間または特に50−70%の間としてよい。
IV投与では、妥当な緩衝能力が静脈内投与に対し許容されるpH範囲にあるグルクロン酸、L−乳酸、酢酸、クエン酸または薬学的に許容される酸/共役塩基が、緩衝剤として使用され得る。pHが酸または塩基、例えば、塩酸または水酸化ナトリウムで所望の範囲に調整された塩化ナトリウム溶液も使用することができる。典型的には、静脈内製剤のpH範囲は、約5から約12の範囲とすることができる。HDAC阻害剤がヒドロキサム酸部分を有するHDAC阻害剤を含む静脈内製剤に対する特定のpH範囲は、約9から約12とすることができる。
皮下製剤は、当業で知られている手順に従って約5から約12までの範囲内のpHで調製することが可能であり、これは、好適な緩衝剤および等張性薬剤を含む。これらは、1日1回以上回の皮下投与で1日用量の活性薬剤を送達するように調製され得る。製剤の適切な緩衝剤およびpHの選択は、投与されるHDAC阻害剤の可溶性に依存するが、当業者により容易に行える。pHが酸または塩基、例えば、塩酸または水酸化ナトリウムで所望の範囲に調整された塩化ナトリウム溶液も、皮下製剤に使用することができる。典型的には、皮下製剤のpH範囲は、約5から約12の範囲とすることができる。ヒドロキサム酸部分を持つHDAC阻害剤の皮下製剤に対する特定のpH範囲は、約9から約12とすることができる。
本発明の組成物は、さらに、好適な経鼻ビヒクルを局所的に使用することによる経鼻形態でまたは当業者によく知られている経皮貼布の形態を使用する経皮経路で投与され得る。経皮的送達系の形態で投与するために、用量投与は、もちろん、投与計画全体を通して間欠的ではなく連続的となるようにする。
本発明は、さらに、細胞を第1の量のスベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA)または薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物ならびに第2の量の抗癌剤を接触させることにより腫瘍細胞の最終分化、細胞増殖停止および/またはアポトーシスを選択的に誘発し、それにより腫瘍細胞の増殖を阻害するためのインビトロの方法を提供するが、ただし、第1および第2の量は併せて、細胞の最終分化、細胞増殖停止またはアポトーシスを誘発するのに有効な量を含む。
本発明の方法は、インビトロで実施され得るが、腫瘍細胞の最終分化、細胞増殖停止および/またはアポトーシスを選択的に誘発する方法の特定の実施形態は、インビボで、すなわち治療を必要とする腫瘍細胞または腫瘍細胞が潜んでいる対象に化合物を投与することにより細胞を接触させることを含むことが考えられる。
そのようなものとして、本発明は、さらに、対象に、第1の治療手順においてスベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA)または薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物の第1の量ならびに第2の治療手順において抗癌剤の第2の量を投与することにより対象中の腫瘍細胞の最終分化、細胞増殖停止および/またはアポトーシスを選択的に誘発し、それにより腫瘍細胞の増殖を阻害するための方法を提供するが、ただし、第1および第2の量は併せて、細胞の最終分化、細胞増殖停止またはアポトーシスを誘発するのに有効な量を含む。
本発明は、以下の実施例で説明される。この節は、本発明の理解を助けるため設けられているが、これ以降請求項において規定されているように本発明をいかなる形でも制限することを意図されず、制限するものと解釈すべきではない。
(実施例)
これらの実施例は、本発明のさまざまな実施形態をさらに詳しく説明するために提示される。これらの実施例は、付属の請求項で引用される本発明の範囲を制限するものといっさい解釈すべきではない。
再発性および難治性の多発性骨髄腫の患者においてボルテゾミブと併用する経口SAHAの第1相臨床試験
この試験の目的は、進行性多発性骨髄腫の患者におけるボリノスタットとボルテゾミブの経口併用に対する最大耐量(MTD)、薬物動態および薬動力学プロファイルを決定することであった。さらに、以下の患者においてデキサメタゾンをボリノスタットおよびボルテゾミブの組合せに加えた。
a)部分寛解に達しない患者
b)病状が安定している患者
c)疾患が進行している患者(貧血悪化、腎不全悪化、過粘稠度症候群の兆候および症状として定義された著しい末期臓器障害のない場合にのみ)。
さらに、この試験を用いて、併用したときのボリノスタットおよびボルテゾミブの、ボリノスタットおよびボルテゾミブの併用投与計画の安全性および忍容性を評価し、奏効率、奏効に要する時間ならびに反応および持続時間、ならびに進行までの時間を推定した。
これは、ボルテゾミブ療法に適切な患者への静脈内ボルテゾミブ注射と組み合わせたボリノスタットの多施設、非盲検、用量増加、第1相試験であった。この非無作為化試験では、1治療サイクル21日間として最大8サイクルまで、1治療サイクルの4−11日目にボリノスタットで患者を治療した。患者に対し用量レベル1−5で、1日目、4日目、8日目および11日目にボルテゾミブの静脈内(IV)ボーラス投与を行った。ボルテゾミブとボリノスタットとを併用する少なくとも2サイクルの治療を実施した、進行性疾患の患者を、スケジュールに従ってボリノスタットおよびボルテゾミブとともに各サイクルの4−8日目の毎日、デキサメタゾン20mg p.o.で治療した。
試験の始めに、以下の表1および表2に概要が示されているようにさまざまな用量で5つの患者3名のコホートを評価した。
Figure 2010509221
患者年齢の中央値は、55歳であった(範囲38−79)。多発性骨髄腫診断から試験登録時までの時間の中央値は5.3年(範囲:1.5−15年)であった。多発性骨髄腫イソタイプはIgG(n=10)、IgA(n=5)、軽鎖(n=4)および非分泌性(n=2)を含んでいた。
有害事象による治療遅延がない場合、治療は8サイクルの間または以下の条件の1つが当てはまるまで継続した。
a)疾患の進行
b)さらなる治療実施を阻む併発疾患
c)容認できない有害事象
d)患者が試験からの離脱を決定する
e)試験担当者の判断により、患者の症状の一般的または特定の変化のために、さらなる治療に対し患者が容認されなくなる
f)患者が完全寛解を達成した場合、患者は合計8サイクルの間試験を続ける。
さらなる試験では、多発性骨髄腫、再発性または難治性疾患の最大40人までの成人患者を登録した。1治療サイクルは3週間または21日であった。ボリノスタットカプセルを4−11日目に経口(p.o.)b.i.dで与え、各サイクルの2週間に対し週2回、ボルテゾミブ注射を静脈内(IV)ボーラス投与で行った。ボリノスタットおよびボルテゾミブが同時に投与された日に、ボルテゾミブの投与に先立ってボリノスタット用量を与えた。現在FDAが承認している再発性骨髄腫患者用のボルテゾミブ用量は1.0mg/mであるが、毒性が生じた場合、その後のボルテゾミブ用量は、0.7mg/mまで下げられることになっていた。併用療法が安全であると判明した場合、用量の増加が進められる。試験すべき他のボルテゾミブ用量は1.3mg/mであった。
試験登録時に、12人の患者は複雑核型を有し、19人の患者は最後の治療と試験登録との間で20日の中央値(15−39)を持つ最後の前治療時にPDを有していた。2人の患者のみが、サリドマイド維持療法で初回再発を生じた。ボリノスタット500mgを毎日投与する2人の患者においてサイクル1についてのMTDは、グレード4のQT間隔の延長およびグレード4の疲労と定義した。サイクル2の後、輸液補助および増殖因子を必要とする骨髄抑制および血小板減少症を含む複数のグレード3−4の毒性が観察された。また、グレード2以上非血液学的毒性は、疲労(n=5)、下痢(n=3)、心房細動(n=1)を含み、帯状発疹(n=1)および肺炎(n=2、細菌およびRSV)が観察された。奏効に関して評価された15人の患者について、1例でnCRおよび5例PRであった(全体的奏効率は40%)。さらに、6人の患者は病状が安定しており、3人の患者はPDを有していた。デキサメタゾンを研究中の患者に投与したが、奏効率の上昇はなかった。
1回の経口投与後のボリノスタットの薬物動態は、平均AUC(0.7±0.45−4.4±0.07)、Cmax(0.3±0.14−1.2±0.06)およびTmax(1.3±0.4−2.3±2.5)で100−500mgにおいて直線的であった。研究では、10人の患者が、研究登録前(中央値1.8×10、範囲:0.2−42.6)および第1のサイクルの11日目[中央値0.9×10、範囲:0.4−5.4]に骨髄から分離されたCD−138+骨髄腫細胞を有しており、薬動力学的データが提示された。以下の表3にまとめられているように、ボリノスタットとボルテゾミブに対するMTDは、1日当たり400mg×8日+1日目、4日目、8日目および11日目の1.3mg/mであった。この試験の結果、ボルテゾミブの後のボリノスタット投与は、薬物動態に影響を及ぼさないことがわかった。見込みのある結果を考慮し、この計画は第2相試験において評価される予定である。
Figure 2010509221
21日サイクルのうちの1日目、4日目、8日目および11日目にボルテゾミブを投与し、さらに4−11日目にボリノスタットを投与した。患者には最大8サイクルの治療を行った。奏効のなかった患者に対し第2サイクルでデキサメタゾンを加えた。*毒性と奏効をより適切に定めるためにMTDで6人の患者を治療した。
本発明は、具体的に示され、特定の実施形態を参照しつつ説明されているが、当業者であれば説明されている本発明の意味から逸脱することなく形態および細部にさまざまな変更を加えられることを理解する。本発明の範囲は、以下の請求項を包含する。

Claims (21)

  1. 多発性骨髄腫の治療を必要とする対象において多発性骨髄腫を治療する方法であり、前記対象に、i)構造式
    Figure 2010509221
    により表されるSAHA(スベロイルアニリドヒドロキサム酸)、
    または薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物、およびii)(1R)−3−メチル−1−[[(2S)−1−オキソ−3−フェニル−2−[(ピラジニルカルボニル)アミノ]プロピル]アミノ]ブチル]ボロン酸(ボルテゾミブ)または薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物を投与することを含み、SAHAまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物は、少なくとも1つの治療サイクルについて21日間のサイクルの4−11日目に1日当たり200mgから800mgを経口投与され、ならびにボルテゾミブまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物は、少なくとも1つの治療サイクルについて21日間のサイクルの1日目、4日目、8日目および11日目に1日当たり0.7−1.3mg/mを静脈内投与される、方法。
  2. SAHAまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物が、21日間のうちの4−11日の少なくとも1治療期間の間、100mgの用量で1日2回投与される、請求項1の方法。
  3. SAHAまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物が、21日間のうちの4−11日の少なくとも1治療期間の間、200mgの用量で1日2回投与される、請求項1の方法。
  4. SAHAまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物が、21日間のうちの4−11日の少なくとも1治療期間の間、300mgの用量で1日2回投与される、請求項1の方法。
  5. SAHAまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物が、21日間のうちの4−11日の少なくとも1治療期間の間、400mgの用量で1日2回投与される、請求項1の方法。
  6. SAHAまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物が、21日間のうちの4−11日の少なくとも1治療期間の間、400mgの用量で1日1回投与される、請求項1の方法。
  7. SAHAまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物が、21日間のうちの4−11日の少なくとも1治療期間の間、500mgの用量で1日1回投与される、請求項1の方法。
  8. SAHAまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物が、21日間のうちの4−11日の少なくとも1治療期間の間、600mgの用量で1日1回投与される、請求項1の方法。
  9. SAHAまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物の投与が、21日間のうちの4−11日の最大8治療期間にわたって繰り返される、請求項1の方法。
  10. SAHAまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物が、100mgの用量で1日2回投与され、ならびに[(1R)−3−メチル−1−[[(2S)−1−オキソ−3−フェニル−2−ピラジニルカルボニル)アミノ]プロピル]アミノ]ブチル]ボロン酸または薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物が、1.0mg/mの合計1日用量で投与される、請求項1の方法。
  11. SAHAまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物が、100mgの用量で1日2回投与され、ならびに[(1R)−3−メチル−1−[[(2S)−1−オキソ−3−フェニル−2−(ピラジニルカルボニル)アミノ]プロピル]アミノ]ブチル]ボロン酸または薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物が、1.3mg/mの合計1日用量で投与される、請求項1の方法。
  12. SAHAまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物が、200mgの用量で1日2回投与され、ならびに[(1R)−3−メチル−1−[[(2S)−1−オキソ−3−フェニル−2−ピラジニルカルボニル)アミノ]プロピル]アミノ]ブチル]ボロン酸または薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物が、1.3mg/mの合計1日用量で投与される、請求項1の方法。
  13. SAHAまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物が、300mgの用量で1日2回投与され、ならびに[(1R)−3−メチル−1−[[(2S)−1−オキソ−3−フェニル−2−ピラジニルカルボニル)アミノ]プロピル]アミノ]ブチル]ボロン酸または薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物が、1.3mg/mの合計1日用量で投与される、請求項1の方法。
  14. SAHAまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物が、400mgの用量で1日2回投与され、ならびに[(1R)−3−メチル−1−[[(2S)−1−オキソ−3−フェニル−2−ピラジニルカルボニル)アミノ]プロピル]アミノ]ブチル]ボロン酸または薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物が、1.3mg/mの合計1日用量で投与される、請求項1の方法。
  15. SAHAまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物が、400mgの用量で1日1回投与され、ならびに[(1R)−3−メチル−1−[[(2S)−1−オキソ−3−フェニル−2−(ピラジニルカルボニル)アミノ]プロピル]アミノ]ブチル]ボロン酸または薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物が、1.3mg/mの合計1日用量で投与される、請求項1の方法。
  16. SAHAまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物が、500mgの用量で1日1回投与され、ならびに[(1R)−3−メチル−1−[[(2S)−1−オキソ−3−フェニル−2−(ピラジニルカルボニル)アミノ]プロピル]アミノ]ブチル]ボロン酸または薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物が、1.3mg/mの合計1日用量で投与される、請求項1の方法。
  17. SAHAまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物が、600mgの用量で1日1回投与され、ならびに[(1R)−3−メチル−1−[[(2S)−1−オキソ−3−フェニル−2−(ピラジニルカルボニル)アミノ]プロピル]アミノ]ブチル]ボロン酸または薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物が、1.3mg/mの合計1日用量で投与される、請求項1の方法。
  18. デキサメタゾンまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物を経口投与することをさらに含み、デキサメタゾンまたは薬学的に許容されるこの塩もしくは水和物が、21日間のうちの5日間の少なくとも1治療期間の間、20mgの用量で1日1回投与される、請求項1の方法。
  19. デキサメタゾンを21日間のうちの4−8日の少なくとも1治療期間の間、20mgの用量で1日1回経口投与することをさらに含む、請求項1の方法。
  20. 多発性骨髄腫の治療を必要とする対象において多発性骨髄腫を治療する方法であり、前記対象に、i)構造式
    Figure 2010509221
    により表されるSAHA(スベロイルアニリドヒドロキサム酸)
    およびii)(1R)−3−メチル−1−[[(2S)−1−オキソ−3−フェニル−2−(ピラジニルカルボニル)アミノ]プロピル]アミノ]ブチル]ボロン酸(ボルテゾミブ)を投与することを含み、SAHAは、少なくとも1つの治療サイクルについて21日間のサイクルの4−11日目に400mgを1日1回経口投与され、ならびにボルテゾミブは、少なくとも1つの治療サイクルについて21日間のサイクルの1日目、4日目、8日目および11日目に1日当たり1.3mg/mを静脈内投与される、方法。
  21. デキサメタゾンを21日間のうちの4−8日の少なくとも1治療期間の間、20mgの用量で1日1回経口投与することをさらに含む、請求項20の方法。
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