JP2010505404A - プロラクチンレセプターに対して高親和性を有するペプチド - Google Patents

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Abstract

本発明は、プロラクチンレセプターに結合するペプチドに関し、該ペプチドはプロラクチンレセプターに対して結合部位1(BS1)を介した改善された結合性を有する。一実施態様においては、前記改善された結合性は、61、71及び73位の変異によって達成される。

Description

本発明は、高い親和性でプロラクチンレセプターに結合するプロラクチン変異体、並びにかかる変異体を生産するための方法に関する。このようなプロラクチン変異体変異は、例えば乳癌の治療に使用されるプロラクチンアンタゴニストの生産に有用でありうる。
プロラクチン(PRL)は、主として乳分泌、生殖、浸透圧調節、及び免疫調節に関連した多様な生物学的機能を有するサイトカインである。PRLは199残基の4ヘリックス束タンパク質である(Somersら, Nature 372, 478-481 (1994))。ヘリックス束の4つの逆平行α-ヘリックスは、それらが一次配列のN末端から生じるので1−4と番号付けされ、すなわちヘリックス1(残基15−43)、ヘリックス2(残基78−103)、ヘリックス3(残基111−137)及びヘリックス4(残基161−193)であり、さらにPRLは、ヘリックス1'(残基59−63)及びヘリックス1''(残基69−74)と称され、ヘリックス1とヘリックス2を連結するループに存在する2つのマイナーヘリックスを含む(Teilumら J. Mol. Biol. 351, 810-823(2005)、図1を参照。
PRLは、乳腺上皮の強力な増殖因子であり、PRLは乳腺腫瘍の発症及び増殖に関連している。さらに、乳癌株化細胞はしばしばPRLレセプター(PRL-R)を過剰発現している。ドーパミンアゴニストによるPRLの下垂体分泌の阻害は、乳腺腫瘍には効果はなく、該腫瘍は、PRL自身の自己分泌生産により、ドーパミンアゴニストの影響を回避することが確立されている。よって、乳癌の治療の場合、レギュラーな下垂体PRL生産を阻害することは不十分であるが、PRLアンタゴニストが、腫瘍上のPRL-RへのオートクリンPRLの結合を防止するために必要である。
PRLは、結合部位1(BS1)と結合部位2(BS2)と称されるPRL上の2つの領域を介し2つのPRL-R分子に結合する。1:2のPRL:PRL-R複合体におけるレセプターの二量体化は、レセプターの活性化と、さらにはシグナル伝達に必要である。PRLについて高い親和性のあるBS1とだけ相互作用を介して形成されるPRL:PRL-Rの1:1複合体は不活性である。よって、BS1を介してのみ結合可能なPRLの変異体がアンタゴニスト特性を有するであろう(例えば、Clevengerら Endocr Rev 24, 1(2003); Goffinら Endocr Rev 26, 26(2005)を参照)。
PRLと成長ホルモンとの間には有意な相同性があるが、PRLは成長ホルモンレセプター(GH-R)には結合しない;しかしながら成長ホルモン(GH)は、GH上の重複はしないが異なる部位を介して、GH-RとPRL-Rの双方に結合可能である(Cunningham 及びWells, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88, 3407(1991))。
PRLアンタゴニストは、例えばBS2中の一又は複数の小さな疎水性残基を大きな極性残基へ変異させることにより(例えばG129R、特にGoffinら Endocr Rev 26, 26(2005)を参照)、又はBS2へのPRL-Rの結合を立体的に妨害等することにより、BS2を介したPRLへのPRL-Rの結合に干渉することで、つくり出されうる。かかる変異PRLは、ついで、BS1を介してPRL-Rにのみ結合し得、よって、達成したアンタゴニスト特性を有するであろう。
プロラクチンG129Rアンタゴニストがインビボで腫瘍増殖を阻害可能であることが示されているが(Chenら, Int. J. Oncology 20, 813-818(2002))、高レベルのプロラクチンレセプターアンタゴニストがインビボで効果を得るために必要であることがまた記載されている(文献(Goffinら, Endocrine Rev. 26, 400-422(2005))。薬物動態パラメータを改善することにより、薬剤として許容可能な又は所望される用量で、インビボにおいて効果を示す化合物を得ることができるであろう。
アンタゴニストがBS1に対して野生型PRLと好ましく競合するためには、BS1に対するアンタゴニストの結合親和性が維持されるか又は改善すらされなければならない。PRLアンタゴニストのBS1中の残基を、例えば、好ましい相互作用を増加させ、又はBS1のPRL-Rとの結合界面において新規な相互作用を生じせしめる目的で、変異させることができる。
BS1は、特に残基Val-23、His-30、Phe-37、Lys-69、Tyr-169、His-173、Arg-176、Arg-177、His-180、Lys-181、Tyr-185、及びLys-187を含むヘリックス1及びヘリックス4を境とする領域を含むことが、一般に記載されている(Teilumら J. Mol. Biol. 351, 810-823(2005))。これらの結果は、PRL-R結合に影響を及ぼす変異をスクリーニングしながらの、全てのPRL残基のランダム変異誘発によって得られている。これは、例えば変異の2次的影響のための、時間がかかり、かつ潜在的に人を誤らせるアプローチである。従って、PRL BS1が正確に同定されていないため、高い親和性のプロラクチンアンタゴニストの創製には問題がある。
プロラクチン分子の変異誘発は、例えば、Goffin Vら, Molecular Endocrinology 6, 1381-1392(1992)、及びKinet Sら, The Journal of Biological Chemistry 271, 14353-14360(1996)に記載されている。
本発明は、プロラクチンレセプターに結合するペプチドに関し、該ペプチドはプロラクチンレセプターに対し、結合部位1(BS1)を介した改善された結合性を有する。
一実施態様では、本発明は単離されたペプチドに関し、該ペプチドはヒトプロラクチンの変異体であり、プロラクチンレセプターに結合するもので、該変異体は、配列番号1の61、71及び73位に対応する位置に、一又は複数のアミノ酸変異を有する。
一実施態様では、本発明は、単離されたペプチドに関し、該ペプチドはヒト成長ホルモンの変異体であり、プロラクチンレセプターに結合するもので、該変異体は、配列番号1の61、71及び73位に対応する位置に、一又は複数のアミノ酸変異を有する。
vPRLの一次配列(野生型PRLの番号付けを使用)及び二次構造が、HX分析ペプチド(水平バーで示す)の上に示される。ECD-PRL-Rの存在下で1000sのHXの後に還元された重水素導入(>0.3Da)を示すことにより、BS1を含むことが同定されたペプチド(残基20−36、40−63、66−83、173−185及び189−199)をグレーで着色する。 プロラクチンとヒト成長ホルモンの配列アラインメントを示す。星印()は同一のアミノ酸を示し、コロン(;)は構造的及び化学的に類似したアミノ酸を示し、点(.)は同じクラス(この場合には疎水性又は親水性)に属するアミノ酸を示す。「プロラクチン」として列挙された配列は配列番号1であり、hGHとして列挙された配列は配列番号2である。 バイオコアアッセイで測定されたPRL-Rの部位1に対する数種のPRLP結合化合物の結合性についてのデータである。 0.5−10倍のPRLアゴニストの存在下でのPRL誘導性STAT3リン酸化による阻害パーセンテージを示す。プロテインAはPRL G129Rであり、プロテインBはPRL G129R S61Aである。プロテインA及びBは、以下のようにしてPRLと事前混合される:カラム1:プロテインA 10:1。カラム2:プロテインA 5:1。カラム3:プロテインA 1:1。カラム4:プロテインA0.5:1。カラム5:プロテインB 10:1。カラム6:プロテインB 5:1。カラム7:プロテインB 1:1。カラム8:プロテインB 0.5:1。 ウエスタンブロットによるSTAT5チロシンリン酸化を示す。 PRL S61A G129Rのアンタゴニスト効果を示すBaF/3増殖アッセイである。 PRL S61A G129RとそのN末端ペグ化アナログのBaF/3アッセイにおけるアンタゴニスト効果を示す代表的なグラフである。 PRL S61A G129RとそのN末端ペグ化アナログの存在下におけるBaF/3増殖の代表的グラフである。
(配列の記載)
配列番号1:ヒトプロラクチンのアミノ酸配列。
配列番号2:ヒト成長ホルモンのアミノ酸配列。
(発明の記載)
本発明は、プロラクチンレセプターに結合するペプチドに関し、該ペプチドはプロラクチンレセプターに対し、結合部位1(BS1)を介した改善された結合性を有する。
一実施態様では、本発明は単離されたペプチドに関し、該ペプチドはヒトプロラクチンの変異体であり、プロラクチンレセプターに結合するもので、該変異体は、配列番号1の61、71及び73位に対応する位置に、一又は複数のアミノ酸変異を有する。
一実施態様では、本発明は、単離されたペプチドに関し、該ペプチドはヒト成長ホルモンの変異体であり、成長ホルモンに結合するもので、該変異体は、配列番号1の61、71及び73位に対応する位置に、一又は複数のアミノ酸変異を有する。
一実施態様では、本発明は、単離されたペプチドに関し、該ペプチドはヒト成長ホルモンの変異体であり、プロラクチンレセプターに結合するもので、該変異体は、配列番号1の61、71及び73位に対応する位置に、一又は複数のアミノ酸変異を有する。
図2は、プロラクチンに対する成長ホルモンのアラインメントを示し、成長ホルモンのどの位置が配列番号1のどの位置に相当するかを示す。
「ペプチド」なる用語は、ペプチド結合により結合した2又はそれ以上のアミノ酸の配列を示すものであり、該アミノ酸は天然又は非天然であってもよい。本用語には、例えばシステイン架橋のような共有結合性相互作用、又は非共有結合性相互作用により互いに保持されている2又はそれ以上のポリペプチドからなるポリペプチド及びタンパク質なる用語が包含される。また、本用語は、例えば親油性基、PEG又は補欠分子族の結合により誘導体化されているペプチドを含むものであることが理解されなければならない。ペプチドなる用語には、任意の適切なペプチドが含まれ、別の定義がなされないか前後関係から矛盾しない限り、ポリペプチド及びタンパク質なる用語と同義に使用されうる;但し、各アミノ酸ポリマー含有分子のそれぞれのタイプには有意な差があり得、よって本発明の個々の実施態様を形成しうる(例えば、複数のポリペプチド鎖からなる抗体等のペプチドは、例えば単鎖抗体、ペプチドイムノアドヘシン、又は単鎖免疫原性ペプチドとは有意に異なる)ことは読者には理解される。したがって、ここでのペプチドなる用語は、一般的に(タンパク質分子中の関連鎖の数及びアミノ酸の数に関して)任意の適切なサイズ及び組成の任意の適切なペプチドを意味することが理解されるべきである。さらに、本発明の方法及びここに記載の組成物におけるペプチドは、別の定義がなされないか前後関係から矛盾しない限り、自然に生じない及び/又は非Lアミノ酸残基を含みうる。
ペプチドなる用語は、別の定義がなされないか又は前後関係から矛盾しない限り、(また、ポリペプチド及び/又はタンパク質なる用語の個々の実施態様として論議される場合)、誘導体化されたペプチド分子をまた含む。簡単に述べると、本発明の内容では、誘導体は、ペプチドのアミノ酸残基の一又は複数が化学的に修飾された(例えばアルキル化、アシル化、エステル形成、又はアミド形成)か、又は一又は複数の非アミノ酸の有機及び/又は無機の原子又は分子置換基(例えば、ポリエチレングリコール(PEG)基、親油性置換基(スペーサ残基又は基、例えばβ-アラニン、γ-アミノ酪酸(GABA)、L/D-グルタミン酸、コハク酸等によりペプチドのアミノ酸配列に結合していてもよいもの)、フルオロフォア、ビオチン、放射性核種等)が付随しており、またあるいは別法として、別の定義がなされないか又は前後関係から矛盾しない限り、必須ではない非天然の、及び/又は非Lアミノ酸残基を含んでいてもよいペプチドである(しかしながら、かかる誘導体は、それ自体で、本発明の独立した特徴であると考えられてもよく、かかる分子をペプチドの意味に含めるのは、ネイキッドペプチドとかかる誘導体の間の何らかの等価性を意味するというよりも本発明を記載する際の便宜のためである)。このようなアミノ酸残基の非限定的な例には、例えば2-アミノアジピン酸、3-アミノアジピン酸、β-アラニン、β-アミノプロピオン酸、2-アミノ酪酸、4-アミノ酪酸、6-アミノカプロン酸、2-アミノヘプタン酸、2-アミノイソ酪酸、3-アミノイソ酪酸、2-アミノピメリン酸、2,4-ジアミノ酪酸、デスモシン、2,2'-ジアミノピメリン酸、2,3-ジアミノプロピオン酸、N-エチルグリシン、N-エチルアスパラギン、ヒドロキシリジン、アロヒドロキシリジン、3-ヒドロキシプロリン、4-ヒドロキシプロリン、イソデスモシン、アロイソロイシン、N-メチルグリシン、N-メチルイソロイシン、6-N-メチルリジン、N-メチルバリン、ノルバリン、ノルロイシン、オルニチン、及びスタチンハロゲン化アミノ酸が含まれる。
一実施態様では、本発明のペプチドは、配列番号1の61、71及び73位に対応する位置に一又は複数のアミノ酸変異を有する、配列番号1と少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を有する。一実施態様では、本発明のペプチドは、配列番号1の61、71及び73位に対応する位置に一又は複数のアミノ酸変異を有する、配列番号1と少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を有する。
一実施態様では、本発明のペプチドは、配列番号1の61、71及び73位に対応する位置に一又は複数のアミノ酸変異を有する、配列番号2と少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を有する。一実施態様では、本発明のペプチドは、配列番号1の61、71及び73位に対応する位置に一又は複数のアミノ酸変異を有する、配列番号2と少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を有する。
「同一性」なる用語は、当該分野で知られているように、配列を比較することにより決定される、2又はそれ以上のペプチドの配列間の関係を意味する。当該分野において、「同一性」とは、2又はそれ以上のアミノ酸残基のストリング間の一致数により決定される、ペプチド間の配列関連性の度合いを意味する。「同一性」は、特定の数学的モデル又はコンピュータプログラム(すなわち「アルゴリズム」)により対処されるギャップアラインメント(存在する場合)を用いて2又はそれ以上の配列の短い方の同一適合性のパーセントを測定する。関連したペプチドの同一性は、既知の方法により即座に算出することができる。このような方法は、限定されるものではないが、 Computational Molecular Biology, Lesk, A. M編, Oxford University Press, New York, 1988; Biocomputing: Informatics and Genome Projects, Smith, D. W編, Academic Press, New York, 1993; Computer Analysis of Sequence Data, Part 1, Griffin, A. M.,及びGriffin, H. G編, Humana Press, New Jersey, 1994; Sequence Analysis in Molecular Biology, von Heinje, G., Academic Press, 1987; Sequence Analysis Primer, Gribskov, M. 及びDevereux, J編, M. Stockton Press, New York, 1991;及びCarilloら, SIAM J. Applied Math., 48:1073 (1988)に記載されているものを含む。
同一性を決定するための好ましい方法は、試験される配列間で最も大きな一致をもたらすように設計される。同一性を決定するための方法は、公に入手可能なコンピュータプログラムに記載されている。2つの配列間の同一性を決定するための好ましいコンピュータプログラム方法は、GAP(Devereuxら, Nucl. Acid. Res., 12:387(1984)を含むGCGプログラムパッケージ;Genetics Computer Group, University of Wisconsin, Madison, Wis.)、BLASTP、BLASTN、及びFASTA(Altschulら, J. Mol. Biol., 215:403-410(1990))を含む。BLASTXプログラムは、国立バイオテクノロジー情報センター(NCBI)及び他の供給源(BLAST Manual, Altschulら, NCB/NLM/NIH Bethesda, Md. 20894;Altschulら, 上掲)から公に入手可能である。よく知られているスミス・ウォーターマン・アルゴリズム(Smith Waterman algorithm)もまた同一性を決定するために使用することができる。
例えば、コンピュータアルゴリズムGAP(Genetics Computer Group, University of Wisconsin, Madison, Wis.)を使用して、パーセント配列同一性が決定されることになる2つのペプチドが、その各アミノ酸が最適に一致するように整列させられる(アルゴリズムにより決定される「一致スパン」)。ギャップオープニングペナルティ(平均ダイアゴナルの3倍と算出される;「平均ダイアゴナル」は使用される比較マトリックスのダイアゴナルの平均である;「ダイアゴナル」とは、特定の比較マトリックスによる、それぞれの完全アミノ酸一致に割り当てられるスコア又は数である)及びギャップ伸長ペナルティ(通常ギャップオープニングペナルティの{分率(1/10)}倍である)、並びに比較マトリックス、例えばPAM250又はBLOSUM62が、アルゴリズムと併せて使用される。標準的な比較マトリックス(PAM250比較マトリックス用には、Dayhoffら, Atlas of Protein Sequence and Structure, vol.5, supp.3(1978);BLOSUM62比較マトリックス用には、Henikoffら, Proc. Natl. Acad. Sci USA, 89:10915-10919(1992)を参照)も、アルゴリズムによって使用される。
ペプチド配列比較のために好ましいパラメータは、次のものを含む:
アルゴリズム:Needlemanら, J. Mol. Biol, 48:443-453(1970);比較マトリックス:Henikoffら, PNAS. USA, 89:10915-10919(1992)のBLOSUM62;GAPペナルティ:12、GAP長ペナルティ:4、類似性の閾値:0。
GAPプログラムは上述のパラメータとすると有用である。上述のパラメータは、GAPアルゴリズムを使用するペプチド比較(末端ギャップに対するペナルティを伴わない)のための初期設定パラメータである。
一実施態様では、本発明のペプチドは、配列番号1の61、71及び73位に対応する位置に一又は複数のアミノ酸変異を有する、配列番号1と少なくとも80%類似している配列であるアミノ酸配列を有する。一実施態様では、本発明のペプチドは、配列番号1の61、71及び73位に対応する位置に一又は複数のアミノ酸変異を有する、配列番号1と少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも99%類似している配列であるアミノ酸配列を有する。
一実施態様では、本発明のペプチドは、配列番号1の61、71及び73位に対応する位置に一又は複数のアミノ酸変異を有する、配列番号2と少なくとも80%類似している配列であるアミノ酸配列を有する。一実施態様では、本発明のペプチドは、配列番号1の61、71及び73位に対応する位置に一又は複数のアミノ酸変異を有する、配列番号2と少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも99%類似している配列であるアミノ酸配列を有する。
「類似性」なる用語は、「同一性」とは異なるが、同一性に関連した概念であり、同一適合性と同類置換適合性の双方を含む、配列関係を称する。2つのポリペプチド配列が、例えば(分率(10/20))同一のアミノ酸を含有し、残りが全て非同類置換であるならば、パーセント同一性及び類似性は、双方とも50%である。同じサンプルにおいて、同類置換された5を越える位置が存在するならば、パーセント同一性は50%のままであるが、パーセント類似性は75%((分率(15/20)))になる。よって、同類置換が存在するケースでは、2つのポリペプチドの間の類似性の程度は、それら2つのポリペプチドの間のパーセント同一性よりも高い。
配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドの保存的修飾(及びコード化核酸に対する対応の修飾)により、配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドのものと類似した機能的及び化学的特徴を有するペプチドが生産されるであろう。これに対して、配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドと比較した、本発明のペプチドの機能的及び/又は化学的特徴における実質的な修飾は、(a)例えばシート又はらせん型構造のような、置換の領域における分子骨格の構造、(b)標的部位における分子の電荷又は疎水性、又は(c)側鎖の嵩の維持に対するその効果が有意に異なっているアミノ酸配列の置換を選択することにより、達成されうる。
例えば「保存的アミノ酸置換」は、その位置で、アミノ酸残基の極性又は電荷にほとんど又は全く影響を与えないように、非天然残基により天然のアミノ酸残基を置換することを含みうる。さらに、ポリペプチドにおける任意の天然残基は、「アラニンスキャニング突然変異」について先に記載されているように、アラニンで置換されてもよい(例えば、アラニンスキャニング突然変異を検討しているMacLennanら, Acta Physiol. Scand. Suppl. 643, 55-67(1998); Sasakiら, Adv. Biophys. 35, 1-24(1998)を参照)。
(保存的であろうと非保存的であろうと)所望のアミノ酸置換は、かかる置換が所望される時点で当業者により決定されうる。例えば、アミノ酸置換は、本発明のペプチドの重要な残基を同定し、又は既に記載された変異に加えて、レセプターに対するここで記載されたペプチドの親和性を増加又は低下させるために使用することができる。
天然に生じる残基は共通の側鎖特性に基づいたクラスに分けられる:
1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、lie;
2)中性の親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;
3)酸性:Asp、Glu;
4)塩基性:His、Lys、Arg;
5)鎖配向に影響する残基:Gly、Pro;及び
6)芳香族:Trp、Tyr、Phe。
かかる変化をつくる場合、アミノ酸の疎水性親水性指標が考慮されうる。各アミノ酸にはその疎水性及び電荷特性に基づき、疎水性親水性指標があてがわれており、これらは、イソロイシン(+4.5);バリン(+4.2);ロイシン(+3.8);フェニルアラニン(+2.8);システイン/シスチン(+2.5);メチオニン(+1.9);アラニン(+1.8);グリシン(−0.4);スレオニン(−0.7);セリン(−0.8);トリプトファン(−0.9);チロシン(−1.3);プロリン(−1.6);ヒスチジン(−3.2);グルタマート(−3.5);グルタミン(−3.5);アスパラタート(−3.5);アスパラギン(−3.5);リジン(−3.9);及びアルギニン(−4.5)である。
タンパク質に相互作用的な生物学的機能を付与する際の疎水性親水性アミノ酸指標の重要性は当該分野で理解されている。Kyteら, J. Mol. Biol., 157, 105-131(1982)。ある種のアミノ酸は、類似した疎水性親水性指標又はスコアを有する他のアミノ酸に置換されてもよく、類似した生物活性をなお保持していることが知られている。疎水性親水性指標に基づいて変化を作製する際、その疎水性親水性指標が±2の範囲内にあるアミノ酸の置換が好ましく、また±1の範囲内にあるものが特に好ましく、さらには±0.5の範囲内にあるものがさらに特に好ましい。
アミノ酸の置換は、本願の場合のように、特にそれによりつくり出された生物学的機能的に等価なタンパク質又はペプチドが、免疫学的実施態様での使用のためのものである場合に、親水性に基づき効果的になされうることがまた理解される。その隣接するアミノ酸の親水性により支配される、タンパク質の最も大なる局所的平均親水性は、その免疫原性及び抗原性、すなわちタンパク質の生物学的特性に相関する。
次の親水性値がアミノ酸残基に対して割り当てられている:アルギニン(+3.0);リジン('3.0);アスパラタート(+3.0±1);グルタマート(+3.0±1);セリン(+0.3);アスパラギン(+0.2);グルタミン(+0.2);グリシン(0);スレオニン(−0.4);プロリン(−0.5±1);アラニン(−0.5);ヒスチジン(−0.5);システイン(−1.0);メチオニン(−1.3);バリン(−1.5);ロイシン(−1.8);イソロイシン(−1.8);チロシン(−2.3);フェニルアラニン(−2.5);トリプトファン(−3.4)。類似した親水性値に基づいて変化を作製する場合、その親水性値が±2の範囲内にあるアミノ酸の置換が好ましく、±1の範囲内にあるものが特に好ましく、±0.5の範囲内にあるものがさらに好ましい。また、親水性に基づき一次アミノ酸配列からのエピトープを同定しうる。これらの領域は「エピトープコア領域」とも称される。
本発明のペプチドは、天然に生じないアミノ酸をまた含みうる。
一実施態様では、本発明のペプチドは、配列番号1の73位に対応する位置に近接した位置にアミノ酸変異を有している。
一実施態様では、本発明のペプチドは、ヒトプロラクチンと比較して、プロラクチンレセプターに対して増加した親和性を有している。一実施態様では、プロラクチンレセプターに対する親和性は、ここに記載するアッセイ(I)に従って決定される。
一実施態様では、本発明のペプチドは、ヒトプロラクチンと比較して、結合部位1を介してプロラクチンレセプターに対して増加した結合性を有している。このことは、本発明のペプチドを取り、例えばG129R等、結合部位2に対する結合性を無効にするか又は有意に低下させる変異を導入し、プロラクチンレセプターに対するこの分子の結合性を測定し、この結合性を、本発明の変異を持たない他の類似分子の結合性と比較することである。本発明のペプチドと野生型プロラクチン(配列番号1)の間のBS1及び/又はBS2に対する結合性における差を決定するための類似方法を設計することは、当業者の知識の範疇にある。
一実施態様では、プロラクチンレセプターに対する前記ペプチドの結合性は、プロラクチンレセプターに結合する野生型ヒトPRLのものよりも、少なくとも3倍少ない解離定数(K)を有する。
一実施態様では、本発明のBS1に対して改善された結合性を有することに加えて、本発明のペプチドは、プロラクチンレセプターのアンタゴニストである。一実施態様では、前記拮抗作用はここに記載するアッセイ(II)を使用して決定される。一実施態様では、前記拮抗作用は、BS2に一又は複数の変異を導入し、BS2とPRL-Rの相互作用を防止又は低減することにより達成される。一実施態様では、少なくとも一又はそれ以上の拮抗変異は、Gly-129及びSer-179に対応するアミノ酸残基における変異から選択される。一実施態様では、少なくとも一又はそれ以上の拮抗変異は、G129R及びS179Dに対応する変異から選択される。一実施態様では、少なくとも一又はそれ以上の拮抗変異は、G129Rに対応する変異から選択される。一実施態様では、PRLにおける1から9位に対応するアミノ酸残基は欠失している。一実施態様では、PRLにおける1から11位に対応するアミノ酸残基は欠失している。一実施態様では、PRLにおける1から14位に対応するアミノ酸残基は欠失している。一実施態様では、前記拮抗作用は、PRLを、誘導体化することにより、例えばPEG分子又は他の大きな基にコンジュゲートすることにより達成され、その導入で、PRLに対する拮抗特性が損なわれる。このような一実施態様では、PEG分子のようなかかる基はPRLのN末端に付加される。
一実施態様では、本発明のペプチドは、プロラクチン分子の構造を安定化させる、一又は複数のアミノ酸変異を有する。一実施態様では、前記ペプチドは、プロラクチン分子の2次構造を安定化させる、一又は複数のアミノ酸変異をさらに有する(一実施態様では、安定化はHX-MS技術を使用して決定される)。一実施態様では、一又は複数の前記アミノ酸の変異(群)により、プロラクチンの4-ヘリックス束構造が安定化される。一実施態様では、一又は複数の前記アミノ酸の変異(群)により、PRLのヘリックス1、ヘリックス2、ヘリックス3及び/又はヘリックス4におけるヘリックスのキャッピングが改善される。一実施態様では、一又は複数のアミノ酸の変異(群)により、溶媒に暴露されるらせん状セグメントに塩橋が導入される。一実施態様では、2又はそれ以上の前記アミノ酸の変異(群)により、プロラクチンに非天然ジスルフィド結合が導入される。一実施態様では、一又は複数の前記アミノ酸変異(群)により、極性残基で、溶媒に暴露された疎水性残基が置換される。一実施態様では、一又は複数の前記アミノ酸変異(群)により、4-ヘリックス束構造の疎水性コア部でのパッキング相互作用が改善される。
HX−MS技術は、タンパク質の水素交換(HX)の後に、容易に質量分析(MS)を続けることができることを利用するものである。水素を含む水性溶媒を、重水素を含む水性溶媒で置き換え、タンパク質の与えられた部位に重水素原子を導入することで、1Daの質量増加が生じるであろう。この質量増加は、交換反応のクエンチされたサンプルにおいて質量分析により時間の関数としてモニターできる。
HX-MSの一用途は、タンパク質-タンパク質複合体形成時における還元型水素交換の領域を同定することにより、分子相互作用に関与する部位を探索することである。通常、結合界面は、溶媒の立体的排除のために水素交換における顕著な還元により明らかになるであろう。
タンパク質−タンパク質複合体形成は、時間の関数として、それぞれの結合パートナーの存在又は不在下で、いずれかのタンパク質メンバーに導入される重水素の全量を単に測定することにより、HX-MSにより検出され得る。さらに、重水素標識は、短いペプチドへの重水素化タンパク質サンプルのタンパク質分解性断片化により、いずれかのタンパク質の特定の領域に亜局在化され得、各ペプチドの重陽子量の分析により分かる。いずれかの結合パートナーの存在下で変化した重水素レベルを示すペプチドが結合界面を構成するか又は結合界面に構造的に結合する(HX-MS技術についての最近の概説については、Wales and Engen, Mass Spectrom. Rev. 25, 158(2006)を参照)。HX-MS技術の関連した応用例は、Hornら, Biochemistry 45, 8488-8498(2006)に見出される。
本発明のペプチド及び製薬用組成物は、プロラクチンアンタゴニストの投与により治療可能な疾患、例えば乳癌の治療に使用されうる。
ここで使用される「治療」及び「治療する」なる用語は、疾患又は疾病等の病状に抗することを目的として、患者を管理しケアすることを意味する。本用語には、徴候又は合併症を軽減し、疾患、疾病又は病状の進行を遅延させ、徴候及び合併症を軽減又は緩和し、及び/又は疾患、疾病又は病状を治癒又は除去し、並びに病状を予防するための活性化合物の投与等、患者が患っている病状に対する全範囲の治療を含むことを意図しており、ここで予防とは、疾患、病状又は疾病に抗することを目的として患者を管理しケアすることと理解され、徴候又は合併症の発症を防止する活性ペプチドを投与することが含まれる。治療される患者は、好ましくは哺乳動物、特にヒトであるが、イヌ、ネコ、ウシ、ヒツジ及びブタ等の動物をまた含みうる。それでもなお、治療及び予防(防止)療法は、本発明の別の態様を表すことが理解されなければならない。
ここで使用されるペプチドの「治療的有効量」とは、与えられた疾患及びその合併症の臨床症状を治癒し、軽減し又は部分的に抑止するのに十分な量を意味する。これを達成するのに適した量が「治療的有効量」であると定義される。各目的に対する有効量は、疾患又は傷害の種類及び重症度、並びに患者の体重及び一般的状態に依存するであろう。適切な用量の決定は、値のマトリックスを構築し、マトリックス中の異なった点を試験することにより、常套的な実験を使用して達成することができ、これは全て訓練を受けた医師又は獣医の通常の技量の範囲内であることが理解されよう。
ここで使用される場合、「核酸コンストラクト」なる用語は、cDNA、ゲノムDNA、合成DNA又はRNA由来の任意の核酸分子を示すことを意図している。「コンストラクト」なる用語は、一本鎖又は二本鎖であってよく、関心あるタンパク質をコードする完全な又は部分的な自然に発生するヌクレオチド配列をベースにしうる核酸セグメントを示すことを意図している。コンストラクトは、場合によっては、他の核酸セグメントを含んでいても。
本発明の核酸コンストラクトは、ゲノム又はcDNA由来のものが適しており、例えばゲノム又はcDNAライブラリーを調製し、標準的な技術(例えば、J. Sambrookら, 1989, Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 第2版, Cold Spring Harbor,New York)に従い、合成オリゴヌクレオチドプローブを使用するハイブリダイゼーションにより、ペプチドの全体又は一部をコードするDNA配列をスクリーニングし、当該分野で知られているようにして、関連のある変異を導入することにより、得ることができる。
また本発明の核酸コンストラクトは、確立された標準的な方法、例えばBeaucage及びCaruthers, Tetrahedron Letters 22, 1859-1869(1981)に記載されたホスホアミダイト(phosphoamidite)法、又はMatthesら, EMBO Journal 3, 801-805(1984)により記載された方法により合成的に調製することもできる。ホスホアミダイト法によれば、オリゴヌクレオチドは、例えば自動DNA合成機で合成され、精製され、アニーリングされ、ライゲーションされて、適切なベクター中にクローニングされる。
さらに、核酸コンストラクトは、標準的な技術に従い、合成、ゲノム又はcDNA由来(適切な場合)の断片、全核酸コンストラクトの種々の部位に相当する断片をライゲーションすることにより調製される混合された合成及びゲノム、混合された合成及びcDNA、又は混合されたゲノム及びcDNA由来のものであってもよい。
核酸コンストラクトは、例えば米国特許第4,683,202号、又はSaikiら, Science 239, 487-491(1988)に記載されたようにして、特定のプライマーを使用するポリメラーゼ連鎖反応によりまた調製することができる。
一実施態様では、本発明の核酸コンストラクトはDNAコンストラクトであり、該用語を以下では便宜的に専ら使用する。また以下の記載は、当業者には明らかであるように、適切な適応化のもとに本発明の他の核酸コンストラクトについても読むことができる。
一実施態様では、本発明は、本発明のDNAコンストラクトを含む組換えベクターに関する。本発明のDNAコンストラクトが挿入される組換えベクターは、簡便に組換えDNA手順を施しうる任意のベクターであってよく、多くの場合、ベクターの選択は、それが導入される宿主細胞に依存する。よって、ベクターは自己複製可能なベクター、すなわちベクターは染色体外体として存在し、その複製が染色体複製とは独立であるベクター、例えばプラスミドでありうる。あるいは、ベクターは、宿主細胞に導入されると、宿主細胞ゲノムに組込まれ、それが組込まれた染色体(群)と共に複製されるものであってもよい。
ベクターは本発明のペプチドをコードするDNA配列がDNAの転写に必要な付加的なセグメントに作用可能に結合している発現ベクターであってもよい。一般に、発現ベクターはプラスミド又はウイルスDNAから誘導され、又は双方の要素を含むものであってもよい。「作用可能に結合する」なる用語は、セグメントが、意図される目的に合わせて機能するように、例えば転写がプロモーターにおいて開始し、タンパク質をコードするDNA配列を介して進行するように、配列されていることを示している。
プロモーターは、選択の宿主細胞中で転写活性を示す任意のDNA配列であってよく、宿主細胞と相同か又は異種のタンパク質をコードする遺伝子から誘導されうる。
酵母宿主細胞での使用に適したプロモーターの例には、酵母解糖遺伝子(Hitzemanら, J. Biol. Chem. 255, 12073-12080(1980);Alber及びKawasaki, J. Mol. Appl. Gen. 1, 419-434(1982))、又はアルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子(Youngら, Genetic Engineering of Microorganisms for Chemicals(Hollaenderら編), Plenum Press, New York, 1982)、又はTPI1(米国特許第4,599,311号)又はADH2-4c(Russellら, Nature 304, 652 - 654(1983))プロモーターが含まれる。
糸状菌宿主細胞での使用に適したプロモーターの例は、例えばADH3プロモーター(McKnightら, The EMBO J. 4, 2093-2099(1985))、又はtpiAプロモーターである。他の有用なプロモーターの例は、A. oryzaeのTAKAアミラーゼ、Rhizomucor mieheiのアスパラギン酸プロテイナーゼ、A. nigerの中性のα-アミラーゼ、A. nigerの酸安定性のα-アミラーゼ、A. niger又はA. awamoriのグルコアミラーゼ(gluA)、Rhizomucor mieheiのリパーゼ、A. oryzaeのアルカリ性プロテアーゼ、A. oryzaeのトリオースリン酸イソメラーゼ、又はA. nidulansのアセトアミダーゼ(acetamidase)をコードする遺伝子から誘導されたものである。一実施態様では、本発明のベクターのプロモーターは、TAKA-アミラーゼ又はgluAプロモーターから選択される。
細菌宿主細胞での使用に適したプロモーターの例には、Bacillus stearothermophilus のマルトゲン(maltogenic)アミラーゼ遺伝子、Bacillus licheniformisのα-アミラーゼ遺伝子、Bacillus amyloliquefaciensのBANアミラーゼ遺伝子、Bacillus subtilisのアルカリ性プロテアーゼ遺伝子、又はBacillus pumilusのキシロシダーゼ遺伝子のプロモーター、又はファージ ラムダP又はPプロモーター、又は大腸菌lac、trp、又はtacプロモーターが含まれる。
また、本発明のペプチドをコードするDNA配列は、必要ならば、適切なターミネーター、例えばヒト成長ホルモンターミネーター(Palmiterら, 前掲)又は(真菌宿主用)TPI1(Alber及びKawasaki, 前掲)又はADH3(McKnightら, 前掲)ターミネーターに作用可能に結合していてもよい。さらにベクターは、ポリアデニル化シグナル(例えば、SV40又はアデノウイルス5Elb領域からのもの)、転写エンハンサー配列(例えば、SV40エンハンサー)、及び翻訳エンハンサー配列(例えば、アデノウイルスVA RNAをコードするもの)等のエレメントを含んでいてもよい。
本発明の組換えベクターは、ベクターが当該宿主細胞中で複製できるようにするDNA配列をさらに含んでいてもよい。
宿主細胞が酵母細胞である場合、ベクターを複製させることができる適切な配列は酵母プラスミド2μm複製遺伝子REP1-3及び複製起点である。
宿主細胞が細菌細胞である場合、ベクターを複製させることができる配列は、遺伝子をコードするDNAポリメラーゼIII複合体及び複製起点である。
また、ベクターは、選択可能マーカー、例えばその産物が宿主細胞における欠陥を補完する遺伝子、例えばジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)をコードする遺伝子、又はSchizosaccharomyces pombeTPI遺伝子(P.R. Russell, Gene 40, 125-130(1985)に記載)、又は例えばアンピシリン、カナマイシン、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、ネオマイシン、ハイグロマイシン、又はメトトレキセート等の薬剤に対して耐性を付与するものを含んでいてもよい。糸状菌に対して、選択可能マーカーには、amdS、pyrG、argB、niaD及びsCが含まれる。
本発明のペプチドを宿主細胞の分泌経路へと方向付けるために、分泌シグナル配列(リーダー配列、プレプロ配列、又はプレ配列としても知られる)を組換えベクター中に提供してもよい。分泌シグナル配列は、正しいリーディングフレームでペプチドをコードするDNA配列と結合される。分泌シグナル配列は、ペプチドをコードするDNA配列の5'に通常位置させられる。分泌シグナル配列は、ペプチドに通常付随するものであってもよく、又は別の分泌ペプチドをコードする遺伝子からのものであってもよい。
酵母細胞からの分泌に関して、分泌シグナル配列は、発現したペプチドを細胞の分泌経路へ効率的に方向付ける任意のシグナルペプチドをコードしていてもよい。シグナルペプチドは、天然に生じるシグナルペプチド、又はその機能的な部分であってもよいし、又は合成ペプチドであってもよい。適切なシグナルペプチドは、α因子シグナルペプチド(米国特許第4,870,008号を参照)、マウス唾液アミラーゼのシグナルペプチド(O. Hagenbuchleら, Nature 289, 643-646(1981)を参照)、修飾されたカルボキシペプチターゼシグナルペプチド(L.A. Vallsら, Cell 48, 887-897(1987)を参照)、酵母BAR1シグナルペプチド(国際公開第87/02670号を参照)、又は酵母アスパラギン酸プロテアーゼ3(YAP3)シグナルペプチド(M. Egel-Mitaniら, Yeast 6, 127-137(1990)を参照)に見出される。
酵母での効率的な分泌のために、リーダーペプチドをコードする配列も、シグナル配列の下流とペプチドをコードするDNA配列の上流に挿入されうる。リーダーペプチドの機能は、発現されたペプチドを小胞体からゴルジ体へ、更に培養培地への分泌のために分泌小胞へ誘導することである(すなわち、細胞壁を越えて、又は少なくとも細胞膜を通過して酵母菌の細胞膜周辺腔へのペプチドの排出)。リーダーペプチドは酵母α-因子リーダーでありうる(その使用は例えば米国特許第4,546,082号、欧州特許第16201号、欧州特許第123294号、欧州特許第123544号、及び欧州特許第163529号に記載されている)。あるいは、リーダーペプチドは合成リーダーペプチドであってもよく、つまり天然には見い出せないリーダーペプチドであってもよい。合成リーダーペプチドは、例えば、国際公開第89/02463号又は国際公開第92/11378号に記載のようにして構築されうる。
糸状菌への使用のために、シグナルペプチドは、Aspergillus種のアミラーゼ又はグルコアミラーゼをコードする遺伝子、Rhizomucor mieheiのリパーゼ又はプロテアーゼ、又はHumicola lanuginosaのリパーゼをコードする遺伝子から簡便に誘導されうる。シグナルペプチドは、A. oryzaeのTAKAアミラーゼ、A. nigerの中性のα-アミラーゼ、A. nigerの酸安定性アミラーゼ、又はA. nigerのグルコアミラーゼをコードする遺伝子から誘導されうる。
本ペプチド、プロモーター、場合によってはターミネーター、及び/又は分泌シグナル配列をそれぞれコードするDNA配列をライゲーションし、複製に必要な情報を含む適切なベクターにそれらを挿入するのに使用される手順は、当業者によく知られている(例えば、Sambrookら, 前掲を参照)。
本発明の組換えベクター又はDNAコンストラクトが導入される宿主細胞は、本ペプチドを生成可能な任意の細胞であってよく、細菌、酵母、真菌、及び高等真核細胞が含まれる。
培養で本発明のペプチドを生産可能な細菌宿主細胞の例は、グラム陽性菌、例えばBacillusの菌株、特にB. subtilis、B. licheniformis、B. lentus、B. brevis、B. stearothermophilus、B. alkalophilus、B. amyloliquefaciens、B. coagulans、B. circulans、B. lautus、B. megatherium又はB. thuringiensisの菌株、又はStreptomycesの菌株、例えばS. lividans又はS. murinusの菌株、又はグラム陰性菌、例えば大腸菌である。細菌の形質転換は、プロトプラストの形質転換、又はそれ自体知られている方法でコンピテント細胞を使用することによりなされてもよい(Sambrookら, 上掲を参照)。他の適切な宿主には、S. mobaraensis、S. lividans、及びC. glutamicumが含まれる(Appl. Microbiol. Biotechnol. 64, 447-454(2004))。
大腸菌等の細菌中でペプチドを発現させる場合、ペプチドは、典型的には不溶性顆粒(封入体ともいう)として細胞質に保持されるか、又は細菌性分泌配列によって細胞膜周辺腔に誘導されうる。前者の場合、細胞は溶解され、顆粒が回収されて変性された後に、変性剤を希釈することによってペプチドが再フォールディングされる。後者の場合、ペプチドは、例えば超音波処理又は浸透圧ショックにより細胞を崩壊させて細胞膜周辺腔の内容物を放出させ、タンパク質を回収することによって細胞膜周辺腔から回収されうる。
適切な酵母細胞の例には、Saccharomyces種又はSchizosaccharomyces種の細胞、特にSaccharomyces cerevisiae又はSaccharomyces kluyveriの菌株が含まれる。異種DNAを用いて酵母細胞を形質転換し、そこから異種タンパク質を生産する方法は、例えば米国特許第号4,599,311号、米国特許第4,931,373号、米国特許第4,870,008号、同5,037,743号、及び米国特許第4,845,075号に記載されており、その全てが出典明示によりここに援用される。形質転換細胞は、選択可能マーカーにより決定されたフェノタイプ、一般的には薬剤耐性、又は特定の栄養素、例えばロイシンの不在下で増殖する能力によって選択される。酵母に使用されるベクターの例は、米国特許第4,931,373号に開示されているPOT1ベクターである。本発明のペプチドをコードするDNA配列は、例えば上述したように、シグナル配列と場合によってはリーダー配列に先行しうる。さらに、適切な酵母細胞の例は、Kluyveromyces、例えばK. lactis、Hansenula、例えばH. polymorpha、又はPichia、例えばP. pastorisの菌株である(Gleesonら, J. Gen. Microbiol. 132, 3459-3465(1986); 米国特許第4,882,279号を参照)。
他の真菌細胞の例は、糸状菌、例えばAspergillus種、Neurospora種、Fusarium種、又はTrichoderma種、特にA. oryzae、A. nidulans又はA. nigerの菌株である。ペプチドの発現のためにAspergillus種を使用することは、例えば欧州特許第272277号、及び欧州特許第230023号に記載されている。F. oxysporumの形質転換は、例えば Malardierら. Gene 78, 147-156(1989)に記載されたようにして実施されうる。
宿主細胞として糸状菌が使用される場合、便宜的に宿主染色体にDNAコンストラクトを組み込むことによって、本発明のDNAコンストラクトを用いて形質転換させ、組換え宿主細胞を得てもよい。このことは、DNA配列が細胞内で安定して維持されていると思われる場合になされるであろう。宿主染色体へのDNAコンストラクトの組み込みは、従来からの方法、例えば相同又は異種組換えに従い、実施されてよい。
ついで、上述した形質転換又は形質移入された宿主細胞は、本ペプチドの発現を可能にする条件下で、適切な栄養培地中で培養され、その後、得られたペプチドが培地から回収される。
細胞培養に使用される培地は、宿主細胞の増殖に適した任意の一般的な培地、例えば適切なサプリメントを含有する最小又は複合培地でありうる。適切な培地は商業的供給者から入手可能であり、又は公開されているレシピ(例えば、American Type Culture Collectionのカタログ)に従い調製されうる。ついで、細胞により生産されるペプチドは、遠心分離又は濾過による培地からの宿主細胞の分離、硫酸アンモニウム等の塩による上清又は濾液のタンパク質様成分の沈殿、当該ペプチドの種類に応じた、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー等の多様なクロマトグラフィー手順による精製を含む一般的な手順により培養培地から回収されうる。
ここに引用された刊行物、特許出願、及び特許を含む全ての文献は、本明細書の他の箇所で特定の文献が別個に援用されているかどうかにかかわらず、あたかも各文献が個々にかつ特に出典明示により援用され、その全体がここに記載されているかの如く、ここに出典明示によりその全体が同じ程度に援用される(法律により許容される最大範囲)。
本発明を記述する場合における「a」及び「an」及び「the」及び類似の指示対象の使用は、ここに特段の定義が示されたり、明瞭に内容に矛盾が生じていない限り、単数形と複数形の双方をカバーしていると解釈される。例えば、「化合物」なる語句は、特段の定義が示されない限り、本発明又は特に記載された態様の様々な「化合物」を意味するものと理解されなければならない。
特段の定義が示されない限り、ここで提供される全ての正確な値は、対応する近似値を代表する(例えば、特定の因子又は測定に対して提供される全ての正確な例示値は、適切な場合には「約」により修飾される、対応する近似測定値をまた提供すると考えることができる)。
要素又は要素群に関して「含有する」、「持つ」、「有する」、又は「含む」のような用語を使用する任意の態様又は本発明の態様のここに記載した説明は、特段の定義が示されないか又は明瞭に内容が矛盾しない限り、その特定の要素又は要素群「からなる」、「から本質的になる」、「含む」又は「含める」態様又は本発明の態様に対して裏付けを提供するものである(例えば、特定の成分を含有するここに記載の組成物は、特段の定義が示されないか又は明瞭に内容が矛盾しない限り、その成分からなる組成物を記述するものと理解されなければならない)。
薬学的組成物
本発明は、10−15mg/ml〜200mg/ml、例えば10−10mg/ml〜5mg/mlの濃度で存在する本発明のペプチドを含有する医薬製剤を提供することであり、ここで該製剤は2.0〜10.0のpHを有する。場合によっては、該製剤は、上述した一又は複数のさらなる癌用薬剤を含有していてもよい。製剤はバッファー系、保存料、等張化剤、キレート剤、安定剤及び界面活性剤をさらに含有しうる。本発明の一実施態様では、医薬製剤は水性製剤、すなわち水を含有する製剤である。このような製剤は、典型的には溶液又は懸濁液である。本発明の一実施態様では、医薬製剤は水溶液である。「水性製剤」なる用語は、少なくとも50%w/wの水分を含有する製剤と定義される。同様に「水溶液」なる用語も、少なくとも50%w/wの水分を含有する溶液と定義され、「水性懸濁液」なる用語は、少なくとも50%w/wの水分を含有する懸濁液と定義される。
一実施態様では、医薬製剤は凍結乾燥製剤であり、医師又は患者は、使用前に溶媒及び/又は希釈液を添加する。
一実施態様では、医薬製剤は、事前の溶解の必要がない使用準備が整った乾燥製剤(例えば凍結乾燥又はスプレードライ)である。
一実施態様では、本発明は、本発明のペプチドの水溶液とバッファーを含有する医薬製剤に関し、ここで該OGPタンパク質は0.1−100mg/mlの濃度で存在しており、該製剤は約2.0〜約10.0のpHを有する。
本発明の一実施態様では、製剤のpHは、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、9.0、9.1、9.2、9.3、9.4、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、及び10.0からなる列挙から選択される。
本発明の一実施態様では、バッファーは、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、クエン酸塩、グリシルグリシン、ヒスチジン、グリシン、リジン、アルギニン、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸ナトリウム、及びトリス(ヒドロキシメチル)-アミノメタン、ビシン、トリシン、リンゴ酸、スクシナート、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、アスパラギン酸又はそれらの混合物からなる群から選択される。これらの特定のバッファーの各一が本発明の別の実施態様を構成する。
本発明の一実施態様では、製剤は、製薬的に許容可能な保存料をさらに含有する。本発明の一実施態様では、保存料は、フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、p-ヒドロキシ安息香酸メチル、p-ヒドロキシ安息香酸プロピル、2-フェノキシエタノール、p-ヒドロキシ安息香酸ブチル、2-フェニルエタノール、ベンジルアルコール、クロロブタノール、及びチオメロサール(thiomerosal)、ブロノポール、安息香酸、イミド尿素、クロロヘキシジン、デヒドロ酢酸ナトリウム、クロロクレゾール、p-ヒドロキシ安息香酸エチル、塩化ベンゼトニウム、クロルフェネシン(chlorphenesine)(3p-クロルフェノキシプロパン-1,2-ジオール)又はそれらの混合物からなる群から選択される。本発明の一実施態様では、保存料は、0.1mg/ml〜20mg/mlの濃度で存在している。本発明の一実施態様では、保存料は、0.1mg/ml〜5mg/mlの濃度で存在している。本発明の一実施態様では、保存料は、5mg/ml〜10mg/mlの濃度で存在している。本発明の一実施態様では、保存料は、10mg/ml〜20mg/mlの濃度で存在している。これらの特定の保存料の各一が、本発明の別の実施態様を構成する。製薬用組成物に保存料を使用することは、当業者によく知られている。簡便には、Remington:The Science and Practice of Pharmacy, 第20版, 2000が参照される。
本発明の一実施態様では、製剤は等張化剤をさらに含有する。本発明の一実施態様では、等張化剤は、塩(例えば塩化ナトリウム)、糖又は糖アルコール、アミノ酸(例えば、L-グリシン、L-ヒスチジン、アルギニン、リジン、イソロイシン、アスパラギン酸、トリプトファン、スレオニン)、アルジトール(例えばグリセロール(グリセリン)、1,2-プロパンジオール(プロピレングリコール)、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール)ポリエチレングリコール(例えばPEG400)、又はそれらの混合物からなる群から選択される。任意の糖、例えば単糖類、二糖類又は多糖類、又は水溶性グルカン類、例えばフルクトース、グルコース、マンノース、ソルボース、キシロース、マルトース、ラクトース、スクロース、トレハロース、デキストラン、プルラン、デキストリン、シクロデキストリン、可溶性デンプン、ヒドロキシエチルデンプン、及びカルボキシメチルセルロース-Naを使用してもよい。一実施態様では、糖添加剤はスクロースである。糖アルコールは、少なくとも一の-OH基を有するC4-C8炭化水素と定義され、例えばマンニトール、ソルビトール、イノシトール、ガラクチトール(galactitol)、ズルシトール、キシリトール、及びアラビトールを含む。一実施態様では、糖アルコール添加剤はマンニトールである。上述した糖又は糖アルコールは、個々に又は組合せて使用することができる。使用される量は、糖又は糖アルコールが液状調製物中で可溶性であり、本発明の方法を使用して得られた安定化効果に悪影響を及ぼさない限り、使用される量に決まった制限はない。一実施態様では、糖又は糖アルコールの濃度は、約1mg/ml〜約150mg/mlである。本発明のさらなる実施態様では、等張化剤は1mg/ml〜50mg/mlの濃度で存在する。本発明の一実施態様では、等張化剤は1mg/ml〜7mg/mlの濃度で存在する。本発明の一実施態様では、等張化剤は8mg/ml〜24mg/mlの濃度で存在する。本発明の一実施態様では、等張化剤は25mg/ml〜50mg/mlの濃度で存在する。これらの特定の等張化剤の各一が、本発明の別の実施態様を構成する。製薬用組成物に等張化剤を使用することは、当業者によく知られている。簡便には、Remington:The Science and Practice of Pharmacy, 第20版, 2000が参照される。
本発明の一実施態様では、製剤はキレート剤をさらに含有する。本発明の一実施態様では、キレート剤は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、クエン酸、及びアスパラギン酸の塩、及びそれらの混合物から選択される。本発明の一実施態様では、キレート剤は0.1mg/ml〜5mg/mlの濃度で存在する。本発明の一実施態様では、キレート剤は0.1mg/ml〜2mg/mlの濃度で存在する。本発明の一実施態様では、キレート剤は2mg/ml〜5mg/mlの濃度で存在する。これらの特定のキレート剤の各一が、本発明の別の実施態様を構成する。製薬用組成物にキレート剤を使用することは、当業者によく知られている。簡便には、Remington:The Science and Practice of Pharmacy, 第20版, 2000が参照される。
本発明の一実施態様では、製剤は安定剤をさらに含有する。製薬用組成物に安定剤を使用することは、当業者によく知られている。簡便には、Remington:The Science and Practice of Pharmacy, 第20版, 2000が参照される。
より詳細には、本発明の組成物は液体薬学的製剤として貯蔵中に凝集体形成を示すおそれのあるポリペプチドがその治療的に活性な成分に含まれる安定化された液体医薬組成物である。「凝集体形成」とは、可溶性のままでありうるオリゴマーか、溶液から沈殿する大きな目視できる凝集体の形成を生じるポリペプチド分子間の物理的相互作用のことである。「貯蔵中」とは、ひとたび調製された液体医薬組成物又は組成物が直ぐには患者に投与されないことを意図する。むしろ調製後に、液体形態、凍結状態、又は液体形態もしくは患者への投与に適した他の形態へ後で再構成するための乾燥形態の何れかで貯蔵のために包装される。「乾燥形態」とは、液体医薬組成物又は製剤が、フリーズドライ(つまり凍結乾燥;例えばWilliams及びPolli(1984)J. Parenteral Sci. Technol. 38:48-59を参照)、スプレードライ(Masters(1991) Spray-Drying Handbook(第5版;Longman Scientific and Technical, Essez, U.K.), pp.491-676;Broadheadら, (1992) Drug Devel. Ind. Pharm. 18:1169-1206;及びMumenthalerら, (1994) Pharm. Res. 11:12-20)、又はエアードライ(Carpenter及びCrowe (1988) Cryobiology 25:459-470;及びRoser (1991) Biopharm. 4:47-53)により乾燥されることを意図する。液体医薬組成物の貯蔵中におけるポリペプチドによる凝集体形成は、そのポリペプチドの生物学的活性に悪影響を及ぼし得、医薬組成物の治療効果を損なわしめる。さらに凝集体形成は、そのポリペプチド含有薬学的組成物を、注入系を使用して投与する場合、チューブ、膜、又はポンプの詰まりのような他の問題を生じうる。
本発明の医薬組成物は組成物の貯蔵の間におけるポリペプチドの凝集体形成を減少させるのに十分な量のアミノ酸塩基を更に含みうる。「アミノ酸塩基」とは、アミノ酸又はアミノ酸の組合せのことであり、任意の与えられたアミノ酸はその遊離塩基形態又はその塩形態で存在する。アミノ酸の組合せが使用される場合、アミノ酸の全てがその遊離塩基形態で存在し得、全てはその塩形態で存在し得、あるいは幾つかがその遊離塩基形態で存在し得る一方、他のものはその塩形態で存在する。一実施態様では、本発明の組成物を調製する際に使用するアミノ酸は、アルギニン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸のような荷電側鎖を担持しているものである。特定のアミノ酸(例えばメチオニン、ヒスチジン、イミダゾール、アルギニン、リジン、イソロイシン、アスパラギン酸、トリプトファン、スレオニン及びそれらの混合物)の任意の立体異性体(つまりL、D、又はその混合体)又はこれら立体異性体の組み合わせは、特定のアミノ酸がその遊離塩基形態又はその塩形態の何れかで存在している限り、本発明の医薬組成物中に存在しうる。一実施態様では、アミノ酸のL立体異性体が使用される。一実施態様では、D立体異性体が使用される。本発明の組成物はまたこれらのアミノ酸のアナログと共に製剤化されうる。「アミノ酸アナログ」とは、本発明の液体医薬組成物の貯蔵中にポリペプチドによる凝集体形成を減少させるという所望の効果をもたらす天然に生じるアミノ酸の誘導体のことである。適切なアルギニンアナログには、例えばアミノグアニジン、オルニチン及びN-モノエチルL-アルギニンが含まれ、適切なメチオニンアナログには、エチオニン及びブチオニンが含まれ、適切なシステインアナログにはS-メチル-Lシステインが含まれる。他のアミノ酸の場合と同様に、アミノ酸アナログはその遊離の塩基形態又はその塩形態で組成物中に導入される。本発明の更なる実施態様では、アミノ酸又はアミノ酸アナログは、タンパク質の凝集を防止又は遅延させるのに十分な濃度で使用される。
本発明の一実施態様では、治療剤として作用するポリペプチドが酸化を受けやすい少なくとも一のメチオニン残基を含むポリペプチドである場合、メチオニン(又は他の含硫アミノ酸又はアミノ酸アナログ)を添加してメチオニン残基がメチオニンスルホキシドへ酸化するのを阻害することができる。「阻害する」とは、メチオニンが酸化された種の経時的な蓄積の最小化のことである。メチオニンの酸化を阻害することはポリペプチドをその正しい分子形態に、より維持することとなる。メチオニンの任意の立体異性体(L又はD異性体)又はその組み合わせを使用することができる。添加される量は、メチオニンスルホキシドの量が規制機関に受け入れられるようにメチオニン残基の酸化を阻害するのに十分な量でなければならない。典型的には、これは、組成物が約10%以下から約30%以下のメチオニンスルホキシドしか含まないことを意味する。一般に、これは、メチオニン残基に加えられるメチオニンの比が約1:1から約1000:1、例えば10:1から約100:1の範囲であるようにメチオニンを添加することによって達成することができる
本発明の一実施態様では、製剤は高分子量ポリマー又は低分子化合物の群から選択される安定剤をさらに含有する。本発明の一実施態様では、安定剤はポリエチレングリコール(例えばPEG3350)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン、カルボキシ/ヒドロキシセルロース又はその誘導体(例えばHPC、HPC-SL、HPC-L、HPMC)、シクロデキストリン、モノチオグリセロール、チオグリコール酸及び2-メチルチオエタノールのような硫黄含有物質、及び異なった塩(例えば塩化ナトリウム)から選択される。これらの特定の安定剤の各一が本発明の別の実施態様を構成する。
医薬組成物はまたその中の治療的に活性なポリペプチドの安定性をさらに向上させるさらなる安定剤を含有しうる。本発明にとって特に興味がある安定剤には、限定するものではないが、メチオニンの酸化からポリペプチドを保護するメチオニン及びEDTAと、凍結融解又は機械的せん断に伴う凝集からポリペプチドを保護する非イオン性界面活性剤が含まれる。
本発明の一実施態様では、組成物は界面活性剤をさらに含有する。本発明の一実施態様では、界面活性剤は、洗浄剤、エトキシル化ヒマシ油、ポリグリコール化グリセリド、アセチル化モノグリセリド、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシプロピレン・ポリオキシエチレンブロックポリマー(例えばプルロニック(登録商標)F68、ポロキサマー188及び407、トリトンX-100のようなポロキサマー類)、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン及びポリエチレン誘導体、例えばアルキル化及びアルコキシル化誘導体(トゥイーン類、例えばTween-20、Tween-40、Tween-80及びBrij-35)、そのモノグリセリド又はそのエトキシル化誘導体、ジグリセリド又はそのポリオキシエチレン誘導体、アルコール、グリセロール、レクチン及びリン脂質(例えばホスファチジルセリン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ジホスファチジルグリセロール、スフィンゴミエリン)、リン脂質誘導体(例えばジパルミトイルホスファチジン酸)及びリゾリン脂質誘導体(例えばパルミトイルリゾホスファチジル-L-セリン及びエタノールアミン、コリン、セリンもしくはスレオニンの1-アシル-sn-グリセロ-3-ホスフェートエステル)並びにリゾホスファチジル及びホスファチジルコリンのアルキル、アルコキシル(アルキルエステル)、アルコキシ(アルキルエーテル)誘導体、例えばリゾホスファチジルコリンのラウロイル及びミリストイル誘導体、ジパルミトイルホスファチジルコリン、及び極性頭部基、つまり、コリン、エタノールアミン、ホスファチジン酸、セリン、スレオニン、グリセロール、イノシトール、正荷電DODAC、DOTMA、DCP、BISHOP、リゾホスファチジルセリン及びリゾホスファチジルスレオニンの修飾体、及びグリセロリン脂質(例えばケファリン)、グリセロ糖脂質(例えばガラクトピラノシド)、スフィンゴ糖脂質(例えばセラミド、ガングリオシド)、ドデシルホスホコリン、ニワトリ卵白リゾレシチン、フシジン酸誘導体(例えばタウロ-ジヒドロフシジン酸ナトリウム等々)、長鎖脂肪酸及びその塩C6-C12(例えばオレイン酸及びカプリル酸)、アシルカルニチン及び誘導体、リジン、アルギニン又はヒスチジンのNα-アシル化誘導体、又はリジンもしくはアルギニンの側鎖アシル化誘導体、リジン、アルギニン又はヒスチジンと中性又は酸性アミノ酸の任意の組合せを含むジペプチドのNα-アシル化誘導体、中性アミノ酸と二つの荷電アミノ酸の任意の組合せを含むトリペプチドのNα-アシル化誘導体、DSS(ドキュセート・ナトリウム、CAS登録番号[577-11-7])、ドキュセート・カルシウム、CAS登録番号[128-49-4]、ドキュセート・カリウム、CAS登録番号[7491-09-0]、SDS(ドデシル硫酸ナトリウム又はラウリル硫酸ナトリウム)、カプリル酸ナトリウム、コール酸又はその誘導体、胆汁酸及びその塩及びグリシンもしくはタウリンコンジュゲート、ウルソデオキシコール酸、コール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、タウロコール酸ナトリウム、グリココール酸ナトリウム、N-ヘキサデシル-N,N-ジメチル-3-アンモニオ-1-プロパンスルホネート、アニオン性(アルキル-アリール-スルホネート)一価界面活性剤、両性イオン性界面活性剤(例えばN-アルキル-N,N-ジメチルアンモニオ-1-プロパンスルホネート類、3-コールアミド-1-プロピルジメチルアンモニオ-1-プロパンスルホネート、カチオン性界面活性剤(第4級アンモニウム塩基)(例えば臭化セチル-トリメチルアンモニウム、塩化セチルピリジニウム)、非イオン性界面活性剤(例えばドデシルβ-D-グルコピラノシド)、エチレンジアミンへプロピレンオキシド及びエチレンオキシドを連続添加して誘導される四官能性ブロックコポリマーであるポロキサミン(例えばテトロニックス(Tetronic's))から選択することができ、あるいは該界面活性剤はイミダゾリン誘導体又はその混合物の群から選択されうる。これらの特定の界面活性剤の各一は本発明の別の実施態様を構成する。
医薬組成物中における界面活性剤の使用は当業者によく知られている。簡便には、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 20版, 2000が参照される。
その他の成分が本発明の医薬製剤中に存在することもありうる。そのような更なる成分には、湿潤剤、乳化剤、抗酸化剤、充填剤、張度調節剤、キレート剤、金属イオン、油性媒体、タンパク質(例えばヒト血清アルブミン、ゼラチン又はタンパク質)及び双性イオン(例えばベタイン、タウリン、アルギニン、グリシン、リジン、ヒスチジンのようなアミノ酸)が含まれる。そのような更なる成分は、当然ながら、本発明の医薬製剤の全体の安定性に悪影響を及ぼしてはならない。
本発明のペプチドを含有する医薬組成物は、そのような治療を必要とする患者のいくつかの部位に投与され得、例えば局所的部位、例えば皮膚及び粘膜部位、吸収をバイパスする部位、例えば動脈、静脈、心臓への投与、及び吸収を含む部位、例えば皮膚、皮下、筋肉又は腹部への投与である。
本発明の医薬組成物の投与は、いくつかの投与経路、例えば舌、舌下、頬、口、経口、胃及び腸、鼻、肺を介して、例えば細気管支及び肺胞及び/又はそれらを組合せたもの、表皮、真皮、経皮、膣、直腸、眼を介して、例えば結膜、尿管、及び非経口を介して、そのような治療を必要としている患者に投与されうる。
本発明の組成物は、いくつかの投与形態、例えば溶液、懸濁液、エマルション、マイクロエマルション、多相エマルション、フォーム、膏薬、ペースト、プラスター、軟膏、錠剤、被覆錠剤、リンス、カプセル、例えば硬質ゼラチンカプセル及び軟質ゼラチンカプセル、坐薬、直腸用カプセル、ドロップ、ゲル、スプレー、パウダー、エアゾール、吸入剤、点眼剤、眼軟膏、眼用リンス、膣用ペッサリー、膣用リング、膣用軟膏、注入液、インサイツ形質転換溶液、例えばインサイツゲル化、インサイツ硬化、インサイツ沈殿、インサイツ結晶化のもの、輸液、及び移植片として投与されうる。
本発明の組成物は、本発明のペプチドの安定性をさらに高め、生物学的利用能を増加させ、溶解度を高め、副作用を低減させ、当業者によく知られている時間療法を達成し、また患者のコンプライアンスを高め、又はそれらの任意の組合せのために、例えば共有的、疎水的及び静電気的相互作用を介して、薬剤担体、薬剤デリバリー系及び先端薬剤デリバリー系にさらに配合され、又は結合されうる。担体、薬剤デリバリー系及び先進薬剤デリバリー系の例には、限定されるものではないが、ポリマー、例えばセルロース及び誘導体、多糖類、例えばデキストラン及び誘導体、デンプン及び誘導体、ポリ(ビニルアルコール)、アクリレート及びメタクリレートポリマー、ポリ乳酸及びポリグリコール酸及びそれらのブロックコポリマー、ポリエチレングリコール、担体タンパク質、例えばアルブミン、ゲル、例えばサーモゲル化系、例えば当業者によく知られているブロックコポリマー系、ミセル、リポソーム、ミクロスフィア、ナノ粒子、液晶及びそれらの分散液、脂質-水系における相挙動の当業者によく知られているL2相とそのディスパージョン、ポリマーミセル、多相エマルション、自己乳化、自己-マイクロ乳化、シクロデキストリン及びその誘導体、及びデンドリマーが含まれる。
本発明の組成物は、全ての装置が当業者によく知られたものである例えば定量吸入器、乾燥パウダー吸入器及びネブライザーを使用し、本発明のペプチドを肺に投与するための固形物、半固形物、パウダー及び溶液の製剤に有用である。
本発明の組成物は、制御された徐放性、持続性、遅延及び持続放出薬物デリバリー系の製剤に特に有用である。より詳細には、限定されるものではないが、組成物は、当業者によく知られている非経口用の制御放出及び徐放系(双方の系は、投与数を何倍も低下させる)組成物に有用である。さらにより好ましくは、皮下投与される制御放出及び徐放系である。本発明の範囲を限定するものではないが、有用な制御放出系及び組成物の有用な例は、ヒドロゲル、油性ゲル、液晶、ポリマーミセル、ミクロスフィア、ナノ粒子である。
本発明の組成物に有用な徐放系の製造方法は、限定されるものではないが、結晶化、凝縮、共結晶化、沈殿、共沈殿、乳化、分散、高圧ホモジナイズ、カプセル化、噴霧乾燥、マイクロカプセル化、コアセルベーション、相分離、ミクロスフィアを製造するための溶媒蒸発、押出及び超臨界プロセスを含む。一般的には、Handbook of Pharmaceutical Controlled Release(Wise, D.L.編 Marcel Dekker, New York, 2000)及びDrug and the Pharmaceutical Sciences vol.99:Protein Composition and Delivery(MacNally, E.J.編 Marcel Dekker, New York, 2000)を参照。
非経口投与は、シリンジ、場合によってはペン状シリンジによる皮下、筋肉内、腹膜内又は静脈内注射によって実施することができる。あるいは、非経口投与は輸液ポンプにより実施することができる。さらなる選択肢は、鼻用又は肺用スプレーの形態で本発明のペプチドを投与するための溶液又は懸濁液であってもよい組成物にある。さらなる選択肢としては、本発明のペプチドを含む医薬組成物を、例えば針のない注射、又はイオン導入パッチであってよいパッチによる経皮投与、又は頬等の経粘膜投与用に適合させることもできる。
「安定化された製剤」なる用語は、物理的な安定性が増し、化学的な安定性が増し、又は物理的及び化学的安定性が増した製剤を意味する。
ここで使用されるタンパク質製剤の「物理的安定性」という用語は、熱機械的ストレスへのタンパク質の暴露及び/又は疎水性表面及び界面のような不安定化している界面及び表面との相互作用の結果としてのタンパク質の生物学的に不活性な及び/又は不溶性の凝集体を形成するタンパク質の傾向を意味する。タンパク質水性組成物の物理的安定性は、適切な容器(例えばカートリッジ又はバイアル)中に満たした製剤を機械的/物理的ストレス(例えば攪拌)に様々な時間の間、異なった温度で暴露した後に視覚検査及び/又は濁度測定によって評価される。製剤の視覚検査は暗い背景中において鋭く集光された光下で実施される。製剤の濁りは例えば濁度を0から3の尺度(濁りを示さない製剤が視覚スコア0に相当し、昼光で可視できる濁りを示す製剤は視覚スコア3に相当する)でランク付けすることにより特徴付けされる。製剤は、昼光下で可視できる濁りを示す場合にタンパク質凝集に対して物理的に不安定であると分類される。あるいは、製剤の濁りは当業者によく知られている簡単な濁度測定によって評価することができる。タンパク質水性製剤の物理的安定性はタンパク質の立体構造状態の分光学的薬剤又はプローブを使用してまた評価することができる。プローブは好ましくはタンパク質の非天然配座異性体に優先的に結合する小分子である。タンパク質構造の小分子分光学的プローブの一例はチオフラビンTである。チオフラビンTはアミロイド線維の検出に広く使用されている蛍光染料である。原線維と、おそらくは他のタンパク質立体配置もまた存在すると、チオフラビンTが約450nmで新たな励起極大を引き起こし、線維タンパク質形態に結合したとき約482nmで増強した発光を生じる。未結合のチオフラビンTは本質的にはその波長で非蛍光である。
天然から非天然状態までのタンパク質構造における変化のプローブとして、他の小分子を使用することができる。例えば、タンパク質の露出した疎水性パッチに優先的に結合する「疎水性パッチ」プローブである。疎水性パッチは、一般には、その天然状態のタンパク質の3次構造内に埋められているが、タンパク質がアンフォールドされ又は変性が始まると、露出するようになる。これらの小分子の分光学的プローブは、芳香族の疎水性染料、例えばアントラセン、アクリジン、フェナントロリン等である。他の分光学的プローブは金属-アミノ酸複合体、例えば疎水性アミノ酸、例えばフェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、及びバリン等のコバルト金属複合体である。
ここで使用されるタンパク質製剤の「化学的安定性」なる用語は、天然タンパク質構造と比較して潜在的に少ない生物学的効力及び/又は潜在的に増加した免疫原性を持つ化学的変性産物の形成に至るタンパク質構造中の化学共有結合変化を意味する。天然タンパク質のタイプと性質及びタンパク質がさらされる環境に応じて、様々な化学的変性産物が形成されうる。最も可能性が高いことは化学的変性は完全には避けることができないことであり、当業者にはよく知られているように、化学的変性産物の量の増加がタンパク質組成物の貯蔵や使用中にしばしば見られる。殆どのタンパク質は、脱アミド化を受ける傾向があり、これはグルタミニル又はアスパラギニル残基の側鎖アミド基が加水分解されて遊離のカルボン酸を形成するプロセスである。他の変性経路は、アミド基転移及び/又はジスルフィド相互作用を通して二以上のタンパク質分子が互いに共有結合し、共有結合した二量体、オリゴマー及び多量体変性産物の形成に至る高分子量転換産物の形成を含む(Stability of Protein Pharmaceuticals, Ahern. T. J. & Manning M. C., Plenum Press, New York 1992)。(例えばメチオニン残基の)酸化は化学的変性の他の変形例として挙げることができる。タンパク質組成物の化学的安定性は、異なった環境条件への暴露後に様々な時点において化学的変性産物の量を測定することによって評価することができる(変性産物の形成は例えば温度上昇によってしばしば加速され得る)。それぞれ個々の変性産物の量は、様々なクロマトグラフィー法(例えばSEC-HPLC及び/又はRP-HPLC)を使用して分子サイズ及び/又は電荷に応じて変性産物を分離することにより決定されることが多い。
よって、上に概説したように、「安定化された製剤」とは増加した物理的安定性、増加した化学的安定性、又は増加した物理的及び化学的安定性を有する組成物を意味する。一般に、製剤は、有効期限に達するまで(推奨された使用及び貯蔵条件に応じて)使用及び貯蔵中に安定でなければならない。
本発明の一実施態様では、本発明のペプチドを含有する医薬製剤は、6週間を越える使用の間、また3年を越える貯蔵の間、安定している。
本発明の一実施態様では、本発明のペプチドを含有する医薬製剤は、4週間を越える使用の間、また3年を越える貯蔵の間、安定している。
本発明の一実施態様では、本発明のペプチドを含有する医薬製剤は、4週間を越える使用の間、また2年を越える貯蔵の間、安定している。
本発明の一実施態様では、本発明のペプチドを含有する医薬製剤は、2週間を越える使用の間、また2年を越える貯蔵の間、安定している。
以下は、本発明の例示的実施態様の非限定的な列挙である。
実施態様1:単離されたペプチドであって、該ペプチドはヒトプロラクチンの変異体であり、プロラクチンレセプターに結合し、該変異体は配列番号1の61、71及び73位に対応する位置に一又は複数のアミノ酸変異を有するペプチド。
実施態様2:単離されたペプチドであって、該ペプチドはヒトプロラクチンの変異体であり、プロラクチンレセプターに結合し、該ペプチドは、配列番号1の61、71及び73位に対応する位置に一又は複数のアミノ酸変異を有する、配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチド。
実施態様3:配列番号1の61位に対応する位置にアミノ酸変異を有する実施態様1又は実施態様2の単離されたペプチド。
実施態様4:配列番号1の61位に対応する位置のアミノ酸残基がアラニンで置換されている実施態様3の単離されたペプチド。
実施態様5:配列番号1の71位に対応する位置にアミノ酸変異を有する実施態様1から4のいずれかの単離されたペプチド。
実施態様6:配列番号1の71位に対応する位置のアミノ酸残基がアラニンで置換されている実施態様5の単離されたペプチド。
実施態様7:配列番号1の73位に対応する位置にアミノ酸変異を有する実施態様1から6のいずれかの単離されたペプチド。
実施態様8:配列番号1の73位に対応する位置のアミノ酸残基がロイシンで置換されている実施態様7の単離されたペプチド。
実施態様9:配列番号1の73位に対応する位置のアミノ酸残基がアラニンで置換されている実施態様7の単離されたペプチド。
実施態様10:前記ペプチドが、ヒトプロラクチンと比較して、プロラクチンレセプターに対して増加した親和性を有する、実施態様1から9のいずれかの単離されたペプチド。
実施態様11:プロラクチンレセプターに対する親和性が、ここに記載するアッセイ(I)に従い測定される実施態様10の単離されたペプチド。
実施態様12:ペプチドが、ヒトプロラクチンと比較して、結合部位1を介したプロラクチンレセプターに対して増加した結合性を有する実施態様1から11のいずれかの単離されたペプチド。
実施態様13:プロラクチンレセプターに対する前記ペプチドの結合性が、プロラクチンレセプターに結合する野生型ヒトPRLのものよりも、少なくとも3倍少ない解離定数(K)を有する実施態様1から12のいずれかの単離されたペプチド。
実施態様14:前記ペプチドがヒト成長ホルモンレセプターに結合可能である実施態様1から13のいずれかの単離されたペプチド。
実施態様15:ヒト成長ホルモンレセプターに対する結合性が、ここでアッセイ(I)と記載されるアッセイを使用して測定される実施態様14の単離されたペプチド。
実施態様16:プロラクチンレセプターのアンタゴニストである実施態様1から15のいずれかの単離されたペプチド。
実施態様17:前記拮抗作用が、ここに記載するアッセイ(II)を使用して測定される実施態様16の単離されたペプチド。
実施態様18:前記拮抗作用が、BS2に一又は複数の変異を導入し、BS2とPRL-Rの相互作用を防止又は低減することにより達成される実施態様16又は実施態様17の単離されたペプチド。
実施態様19:少なくとも一又はそれ以上の前記拮抗変異が、Gly-129及びSer-179に対応するアミノ酸残基における変異から選択される実施態様16から18のいずれかの単離されたペプチド。
実施態様20:少なくとも一又はそれ以上の前記拮抗変異が、G129R及びS179Dに対応する変異から選択される実施態様19の単離されたペプチド。
実施態様21:少なくとも一又はそれ以上の前記拮抗変異が、G129Rに対応する変異から選択される実施態様20の単離されたペプチド。
実施態様22:PRLにおける1から9位に対応するアミノ酸残基が欠失している実施態様21の単離されたペプチド。
実施態様23:PRLにおける1から14位に対応するアミノ酸残基が欠失している実施態様22の単離されたペプチド。
実施態様24:プロラクチンレセプターのアゴニストである実施態様1から15のいずれかの単離されたペプチド。
実施態様25:前記ペプチドが結合部位2で結合している実施態様24の単離されたペプチド。
実施態様26:前記ペプチドが、プロラクチン分子の構造を安定化させる一又は複数のアミノ酸変異を有する実施態様1から25のいずれかの単離されたペプチド。
実施態様27:前記変異体が、プロラクチン分子の2次構造を安定化させる一又は複数のアミノ酸変異を有する実施態様26の単離されたペプチド。
実施態様28:PRLの安定化がHX-MS技術を使用して決定される実施態様26又は実施態様27の単離されたペプチド。
実施態様29:一又は複数の前記アミノ酸の変異(群)により、プロラクチンの4-ヘリックス束構造が安定化される実施態様26から28のいずれかの単離されたペプチド。
実施態様30:一又は複数の前記アミノ酸の変異(群)により、PRLのヘリックス1、ヘリックス2、ヘリックス3及び/又はヘリックス4におけるヘリックスのキャッピングが改善される、実施態様26から29のいずれかの単離されたペプチド。
実施態様31:一又は複数の前記アミノ酸の変異(群)により、溶媒に暴露されるらせん状セグメントに塩橋が導入される実施態様26から30のいずれかの単離されたペプチド。
実施態様32:2又はそれ以上の前記アミノ酸の変異(群)により、プロラクチンに非天然ジスルフィド結合が導入される実施態様26から31のいずれか一つの単離されたペプチド。
実施態様33:一又は複数の前記アミノ酸変異(群)により、極性残基で、溶媒に暴露された疎水性残基が置換される、実施態様26から32のいずれかの単離されたペプチド。
実施態様34:一又は複数の前記アミノ酸変異(群)により、4-ヘリックス束構造の疎水性コア部でのパッキング相互作用が改善される実施態様26から33のいずれかの単離されたペプチド。
実施態様35:ペプチドが、ヒト成長ホルモンの変異体であり、成長ホルモンレセプターに結合し、該変異体が、配列番号1の61、71及び73位に対応する位置に一又は複数のアミノ酸変異を有する単離されたペプチド。
実施態様36:ペプチドが、ヒト成長ホルモンの変異体であり、プロラクチンレセプターに結合し、該ペプチドが、配列番号1の61、71及び73位に対応する位置に一又は複数のアミノ酸変異を有する、配列番号2のアミノ酸配列を含む、単離されたペプチド。
実施態様37:配列番号1の61位に対応する位置にアミノ酸変異を有する実施態様35又は実施態様36の単離されたペプチド。
実施態様38:配列番号1の61位に対応する位置のアミノ酸残基が、アラニンで置換されている実施態様37の単離されたペプチド。
実施態様39:配列番号1の71位に対応する位置にアミノ酸変異を有する実施態様35から38のいずれかの単離されたペプチド。
実施態様40:配列番号1の71位に対応する位置のアミノ酸残基が、アラニンで置換されている実施態様39の単離されたペプチド。
実施態様41:配列番号1の73位に対応する位置にアミノ酸変異を有する実施態様35から40のいずれかの単離されたペプチド。
実施態様42:配列番号1の73位に対応する位置のアミノ酸残基が、ロイシンで置換されている実施態様41の単離されたペプチド。
実施態様43:配列番号1の73位に対応する位置のアミノ酸残基が、アラニンで置換されている実施態様41の単離されたペプチド。
実施態様44:前記ペプチドが、配列番号1のアミノ酸残基20から36及び/又は40から63及び/又は173から185に対応する一又は複数の位置で変異している実施態様35から43のいずれかの単離されたペプチド。
実施態様45:前記ペプチドが、ヒト成長ホルモンと比較して、プロラクチンレセプターに対して増加した親和性を有する実施態様35から44のいずれかの単離されたペプチド。
実施態様46:プロラクチンレセプターに対する親和性が、ここに記載するアッセイ(I)に従い測定される実施態様45の単離されたペプチド。
実施態様47:ペプチドが、ヒトプロラクチンと比較して、結合部位1を介したプロラクチンレセプターに対して増加した結合性を有する実施態様1から46のいずれかの単離されたペプチド。
実施態様48:プロラクチンレセプターに対する前記ペプチドの結合性が、プロラクチンレセプターに結合する野生型ヒト成長ホルモンのものよりも、少なくとも3倍少ない解離定数(K)を有する実施態様35から47のいずれかの単離されたペプチド。
実施態様49:前記ペプチドが、ヒト成長ホルモンと比較して、成長ホルモンレセプターに対して増加した親和性を有する実施態様35から48のいずれかの単離されたペプチド。
実施態様50:成長ホルモンに対する親和性が、ここに記載するアッセイ(I)に従い測定される実施態様49の単離されたペプチド。
実施態様51:成長ホルモンレセプターに対する前記ペプチドの結合性が、成長ホルモンレセプターに結合する野生型ヒト成長ホルモンのものよりも、少なくとも3倍少ない解離定数(K)を有する実施態様35から50のいずれかの単離されたペプチド。
実施態様52:プロラクチンレセプターのアンタゴニストである実施態様35から51のいずれかの単離されたペプチド。
実施態様53:前記拮抗作用が、ここに記載するアッセイ(II)を使用して測定される実施態様52の単離されたペプチド。
実施態様54:前記拮抗作用が、BS2に一又は複数の変異を導入し、BS2とPRL-Rの相互作用を防止又は低減することにより達成される実施態様52又は実施態様53の単離されたペプチド。
実施態様55:少なくとも一又はそれ以上の前記拮抗変異が、配列番号2のGly120に対応するアミノ酸残基における変異から選択される実施態様52から54のいずれかの単離されたペプチド。
実施態様56:少なくとも一又はそれ以上の前記拮抗変異が、G120R又はG120Kから選択される実施態様55の単離されたペプチド。
実施態様57:プロラクチンレセプターのアゴニストである実施態様35から51のいずれかの単離されたペプチド。
実施態様58:前記ペプチドがBS2に結合している実施態様57の単離されたペプチド。
実施態様59:実施態様1から58のいずれかのペプチドをコードする単離された核酸。
実施態様60:実施態様59の核酸コンストラクトを含むベクター。
実施態様61:実施態様59の核酸コンストラクト又は実施態様60のベクターを含む宿主細胞。
実施態様62:実施態様1から58のいずれかのペプチドに特異的に結合する抗体。
実施態様63:抗体が、配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドに結合していない実施態様62の抗体。
実施態様64:抗体が、配列番号2のアミノ酸配列を含むペプチドに結合していない実施態様62又は実施態様63の抗体。
実施態様65:実施態様1から58のいずれかのペプチドを含有する製薬用組成物。
実施態様66:乳癌を治療する方法であって、実施態様1から58のいずれかのペプチド、又は実施態様65の製剤を、それを必要とする患者に投与することを含む方法。
実施態様67:乳癌を治療する医薬の調製のための、実施態様1から58のいずれかのペプチドの使用。
実施態様68:乳癌及び前立腺癌の治療用のプロラクチンアンタゴニストを生成させるための、実施態様1から58のいずれかのペプチドの使用。
ここに引用された刊行物、特許出願及び特許を含む全ての文献は、各文献が、出典明示により個々にかつ特に援用され、その全内容がここに記載されているかの如く、その全体が出典明示によりここに援用される(法律により許容される最大範囲)。
全ての表題及び副題は、ここでは便宜的に使用され、何らの方法においても本発明を限定するものと解すべきではない。
ここに提供される任意かつ全ての例、又は例示的言語(例えば「等」)の使用は、単に本発明をより明らかにすることを意図しており、特に請求項に記載がない限り、本発明の範囲に限定をもたらすものではない。明細書中の如何なる語句も請求項に記載していない要素が本発明の実施に必須であることを示しているものと解してはならない。
ここでの特許文献の引用及び援用は単に便宜上なされているもので、そのような特許文献の有効性、特許性、及び/又は権利行使性についての見解を反映させるものではない。
この発明は、適用される法律に容認される、ここに添付の特許請求の範囲に記載された主題事項の全ての変更例及び均等物を含む。
実施例において使用される全てのプロラクチン分子は大腸菌で発現させた。
実施例1−アッセイ(I)
表面プラズモン共鳴測定により評価されるプロラクチンレセプター結合性
試験化合物、この場合はプロラクチンレセプターの細胞外ドメイン(ECD-PRL−R)(10mMの酢酸ナトリウム中に25μg/ml、pH3.0)を、5μl/分の流量でBiacore3000機器に注入し、アミンカップリング化学により、CM5センサーチップにカップリングさせた。ついで、プロラクチンとその変異体(バッファー中に500nM;20mMのHepes、pH7.4、0.1MのNaCl、2mMのCaCl及び0.005%のP20を含有)を、同じ流量で5分、固定化レセプター上に注入し、バッファーが注入されている間の10分の解離期間が続き、レセプター結合親和性を評価した。データ評価をBiaEvaluation4.1で実施した。実験の間に4.5MのMgClを用いて再生を達成した。数種のPRLP結合化合物の結合についてのデータを図3に示す。
実施例2−アッセイ(II)
ホスホ-STAT3 ELISAアッセイ
約80%の培養密度になるまで増殖させたT47D細胞を、トリプシンで剥離させ;完全増殖培地(RPMI、10%のFCS、2mMのL-グルタミン、0.2U/mlのウシインスリン)中で5×10/mlになるまで細胞密度を調節した。200μlのこの懸濁液を96ウェルプレートの各ウェルに配した。次の日、増殖培地を150μlの飢餓培地(10%のFCSを除いた増殖培地)に置き換えた。PRLR結合化合物で処理する前に、24時間、細胞を飢えさせた。飢餓培地において、PRLとインヒビターとを事前混合し、50μlを各ウェルに添加し、20nMのPRL、及び図4に示すような種々の濃度のインヒビターにした。プロテインAはPRL G129Rであり、プロテインBはPRL G129R S61Aである。加湿されたCOインキュベータにおいて、37℃で15分、細胞をインキュベートした。培地を取り除き、氷冷されたPBSで細胞を洗浄した。細胞の溶解とELISAを、BioSource STAT-3[pY705]ホスホELISAマニュアルに従い実施した。PRL誘導性STAT3リン酸化の阻害パーセンテージを図4に示し、見かけIC50を次の表に示す。
Figure 2010505404
実施例3−アッセイ(III)
リン-STAT5レセプターアッセイ
AU565細胞を、6ウェル皿で2日間培養した。PRLR結合化合物で処理する前に、<1%のFCSを含有する増殖培地で、細胞を18時間飢えさせた。図5に示すような、様々な濃度のインヒビターを添加した後、加湿されたCOインキュベータにおいて、37℃で15分、細胞をインキュベートした。細胞可溶化物を調製し、ウエスタンブロットにより、STAT5チロシンリン酸化を分析した。PRL S61A G129R(標識された0028)についての結果は、図5に見られる。
実施例4−アッセイ(IV)
PRLRアンタゴニストを試験するためのBaF3増殖アッセイ
hPRLRが安定に形質移入されたBaF/3細胞を、2mMのL-グルタミン、10%のFCS及び10ng/mlのwtPRLが補填された完全増殖RPMI1640培地に保持した。細胞は約3日目毎に***した。***時にプロラクチンを添加した。アッセイを実施する前に、24時間、PRLを除いた培地で、細胞を増殖させた。新鮮培地に、5×10細胞/mlになるまで、細胞を再懸濁させた。100μlの細胞を96ウェルプレートのウェルで養い、50μlのアゴニスト又はwtPRL(1nM)/種々の濃度のアンタゴニストを細胞に添加し、細胞を68時間インキュベートした。50μlのアラマーブルー(培地:アラマーブルー試薬=7:1)を各ウェルに添加し、ついで、細胞をさらに4時間インキュベートした。Ex 544nm;Em 590nmを使用し、BMG LABTECHマイクロプレートリーダーにおいて、蛍光を測定した。
Figure 2010505404
代表的な結果をまた図6、7及び8に示す。
α1-((3-(20kDa-mPEGイル)プロピル)メチオニル)PRL S61A G129Rの調製
PRL S61A G129R(10mg、433nmol)を、水(0.200ml)とエチルジイソプロピルアミン(0.004ml)の混合物に溶解させた。水酸化ナトリウム水を添加することによりpH6.8に調節され、25mMのMESからなるバッファー(0.300ml)を添加した。スクロース(0.80ml)の6M水溶液を添加した。水(0.015ml)に酢酸が入った10%溶液を添加することにより、混合物のpHを6.77に調節した。水酸化ナトリウム水を添加することによりpH6.8に調節され、25mMのMESからなるバッファー(0.300ml)に、3-(20kDa-mPEGイル)-プロパナル(propanal)(NOF Corporation, nrから商業的に入手可能:Sunbright ME-200AL、5mg、216nmol)の溶液を添加した。酢酸(0.003ml)の10%水溶液を添加することによりpHを6.68に調節した。水酸化ナトリウム水を添加することによりpH6.8に調節され、25mMのMESからなるバッファー(0.100ml)を添加した。混合物を室温で15分放置した。1Mのシアノ水素化ホウ素ナトリウムの水溶液(0.0025ml)を添加した。反応混合物を21℃でゆっくりと振盪した。1時間後、1Mのシアノ水素化ホウ素ナトリウムの水溶液(0.0025ml)を添加した。再度1時間後、1Mのシアノ水素化ホウ素ナトリウムの水溶液(0.0025ml)を添加した。再度1時間後、1Mのシアノ水素化ホウ素ナトリウムの水溶液(0.0025ml)を添加した。反応混合物を21℃で16時間、ゆっくりと振盪した。水酸化ナトリウムを添加することによりpH8.5に調節され、25mMのトリスからなるバッファーで希釈し、添加し、全量4mlを得た。反応混合物を濾過した。水酸化ナトリウムを添加することによりpH8.5に調節され、25mMのトリスからなるバッファー、及びHiPrep Desalting26/10カラムを使用し、ゲルクロマトグラフィーにかけた。タンパク質を含有するフラクションをプールした。水酸化ナトリウムを添加することによりpH8.5に調節され、25mMのトリスからなるバッファーにおいて、水酸化ナトリウムを添加することによりpH8.5に調節され、25mMのトリスと0.2Mの塩化ナトリウムからなる、0-75%の勾配のついた30CVのバッファーと、MonoQ10/100カラムを使用し、それらをアニオン交換クロマトグラフィーにかけた。SDS-ゲル電気泳動により推定されたそれらの純度に応じて、所望のタンパク質を含有するフラクションをプールした。プールを2つの部分に分けた。双方の部分を、HiPrep Desalting26/10カラム、及び50mMの炭酸水素アンモニウムを含有するバッファーを使用し、ゲル-クロマトグラフィーにかけた。所望のタンパク質を含有する全てのフラクションをプールした。PEG感受性染色並びに銀染色により染色された所望の生成物を、SDS-ゲルにより特徴付けた。PEG染色及び銀染色法の双方は、Nα1-(3-(20kDa-mPEGイル)プロピル)PRL S61 G129Rの予想に従ったMWでの、唯一の化合物を示した。溶液を凍結乾燥した。50mMの炭酸水素アンモニウムを含有するバッファーに、残留物を溶解させ、濾過したところ、全量で1.7mlが得られた。NanoDrop装置を使用し、吸光係数8.97を用い、280nmでの分光分析により濃度を測定した。0.27mg/mlのタンパク質濃度が見出された。よって、収率0.857mgのNα1-((3-(20kDa-mPEGイル)プロピル)メチオニル)PRL S61A G129R(「PRL S61A G129R PEG20k」)が見出された。

Claims (19)

  1. 単離されたペプチドであって、該ペプチドがヒトプロラクチンの変異体であり、プロラクチンレセプターに結合し、該変異体が配列番号1の61、71及び73位に対応する位置に一又は複数のアミノ酸変異を有するペプチド。
  2. 単離されたペプチドであって、該ペプチドがヒトプロラクチンの変異体であり、プロラクチンレセプターに結合し、該ペプチドが、配列番号1の61、71及び73位に対応する位置に一又は複数のアミノ酸変異を有する、配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチド。
  3. 配列番号1の61位に対応する位置にアミノ酸変異を有する請求項1又は2に記載の単離されたペプチド。
  4. 配列番号1の71位に対応する位置にアミノ酸変異を有する請求項1から3のいずれか一項に記載の単離されたペプチド。
  5. 配列番号1の73位に対応する位置にアミノ酸変異を有する請求項1から4のいずれか一項に記載の単離されたペプチド。
  6. 前記ペプチドが、ヒトプロラクチンと比較して、プロラクチンレセプターに対して増加した親和性を有する請求項1から5のいずれか一項に記載の単離されたペプチド。
  7. プロラクチンレセプターのアンタゴニストである請求項1から6のいずれか一項に記載の単離されたプペプチド。
  8. ペプチドが、ヒト成長ホルモンの変異体であり、成長ホルモンレセプターに結合し、該変異体が、配列番号1の61、71及び73位に対応する位置に一又は複数のアミノ酸変異を有する、単離されたペプチド。
  9. ペプチドが、ヒトプロラクチンと比較して、結合部位1を介したプロラクチンレセプターに対して増加した結合性を有する請求項1から8のいずれか一項に記載の単離されたペプチド。
  10. 請求項1から9のいずれか一項に記載のペプチドをコードする単離された核酸。
  11. 請求項10に記載の核酸コンストラクトを含むベクター。
  12. 請求項10に記載の核酸コンストラクト又は請求項11に記載のベクターを含む宿主細胞。
  13. 請求項1から9のいずれか一項に記載のペプチドに特異的に結合する抗体。
  14. 抗体が配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドに結合していない請求項13に記載の抗体。
  15. 抗体が配列番号2のアミノ酸配列を含むペプチドに結合していない請求項13又は14に記載の抗体。
  16. 請求項1から9のいずれか一項に記載のペプチドを含有する製薬用組成物。
  17. 乳癌を治療する方法であって、請求項1から9のいずれか一項に記載のペプチド、又は請求項16に記載の製剤を、それを必要とする患者に投与することを含む方法。
  18. 乳癌を治療する医薬の調製のための、請求項1から9のいずれか一項に記載のペプチドの使用。
  19. 乳癌及び前立腺癌の治療用のプロラクチンアンタゴニストを生成させるための、請求項1から9のいずれか一項に記載のペプチドの使用。
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