JP2010502293A - 誘導型電源を用いる経皮薬物送達システム、装置及び方法 - Google Patents
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Abstract
作用側電極構造体と、対向電極構造体と、当該作用側及び対向電極構造体に電気的に接続されたインダクターを有し、生体界面に1以上の治療用活性物質の経皮的な送達を提供するイオントフォレーシス装置。インダクターは、印可される変動電磁界に応答して作用側及び対向電極構造体に電圧を提供するように動作可能である。
【選択図】 図1B
【選択図】 図1B
Description
[関連出願の相互参照]
本出願は、米国仮特許出願第60/842,694号(2006年9月5日提出)(この記載内容はその全体において参照により本明細書中で援用される)の米国特許法第119条(e)項下での利益を主張する。
本出願は、米国仮特許出願第60/842,694号(2006年9月5日提出)(この記載内容はその全体において参照により本明細書中で援用される)の米国特許法第119条(e)項下での利益を主張する。
本開示は一般的に、イオントフォレーシスの分野に関し、さらに特定的には、起電力の影響下で生体界面に鎮痛剤などの活性物質を送達するシステム、装置及び方法に関する。
イオントフォレーシスは、同様に荷電された活性物質及び/又はそのビヒクルを収容するイオントフォレーシスチャンバに印加される小さい電荷を用いることにより、活性物質(例えば荷電物質、イオン化化合物、イオン性薬物、治療薬、生体活性物質等)を生体界面(例えば皮膚、粘膜等)に運ぶために起電力及び/又は電流を用いる。
イオントフォレーシス装置は、典型的には、例えば化学電池やイオントフォレーシス装置に電気リードを介して接続された外部パワーステーションなどの電源の反対極又は端子に各々接続される作用側電極構造体及び対向電極構造体を包含する。各電極構造体は、典型的には、起電力及び/又は電流を印加するためのそれぞれの電極要素を包含する。このような電極要素はしばしば、犠牲要素又は化合物、例えば銀又は塩化銀を含む。活性物質は陽イオン性又は陰イオン性のいずれでもあり得、電源は、活性物質の極性に基づいて適切な電圧極性を印加するように構成され得る。イオントフォレーシスは、有益には、活性物質の送達速度を増強するか又は制御するために用いられ得る。活性物質は、貯留槽、例えばキャビティ中に貯留され得る(例えば米国特許第5,395,310号参照)。代替的には、活性物質は、多孔性構造又はゲルのような貯留槽中に貯留され得る。イオン交換膜は、活性物質貯留槽と生体界面との間の極性選択的障壁として役立つように配置され得る。典型的には、一の特定の型のイオン(例えば荷電した活性物質)に関してのみ透過性の膜は、皮膚又は粘膜からの逆荷電イオンの逆流を防止する。
イオントフォレーシス装置の商業的受入れは、種々の因子、例えば製造コスト、保存寿命、貯蔵中の安定性、活性物質送達の効率及び/又は適時性、生物学的能力、及び/又は廃棄問題に依存する。イオントフォレーシス装置の商業的受入れは、その多用途性及び使用容易性にも依存する。従って、イオントフォレーシス装置に給電するための新規のアプローチを有することが望ましい。
本開示は、上記の1又は複数の欠点を克服し、そしてさらなる関連の利点を提供することに関する。
1態様では、本開示は、生体界面への1以上の治療用活性物質の経皮的送達を提供するためのイオントフォレーシス装置に関する。当該イオントフォレーシス装置は作用側電極構造体、対向側電極構造体及びインダクターを有する。作用側電極構造体は、少なくとも1の活性物質貯留槽と、当該少なくとも1の活性物質貯留槽から1以上の活性物質を駆動するための起電力を提供するように動作可能な作用側電極要素を含む。対向電極構造体は、少なくとも1の対向電極要素を含む。インダクターは、当該インダクターに印加される変動電磁界に応答して少なくとも上記作用側電極要素及び対向電極要素に電圧を提供するために上記作用側電極要素及び対向電極要素に電気的に接続される。
他の態様では、本開示は、誘導型電源の影響下で生体に1以上の活性物質を送達するシステムに関する。当該システムは、誘導型電源及びイオントフォレーシス装置を有する。誘導型電源は、変動磁界を発生させるように動作可能な1次巻線を含む。イオントフォレーシス装置は、1以上の活性物質を貯留する少なくとも1の活性物質貯留槽、活性物質貯留槽に起電力を印加するように動作可能な作用側電極要素及び対向電極要素を含む。イオントフォレーシス装置は、更に、誘導型電源の変動磁界に応答して作用側電極要素及び対向電極要素に電圧を提供するための作用側電極要素及び対向電極要素に電気的に接続された2次巻線を含む。
他の態様では、本開示は、イオントフォレーシス送達装置に給電する方法に関する。当該方法は、イオントフォレーシス送達装置から分離されて収容される1次巻線に印加する電流を変化させて変動電磁界を発生させるステップと、イオントフォレーシス送達装置に収容される2次巻線が発生した変動磁界内に存在するように2次巻線を位置させるステップとを含む。
更に他の態様では、本開示は、誘導により給電されるイオントフォレーシス装置の形成方法に関する。当該方法は、対向する第1、第2表面を有する少なくとも第1基板上にインダクター要素を形成するステップと、イオントフォレーシス装置にインダクター要素を電気的に接続するステップとを有する。イオントフォレーシス送達装置は、作用側電極構造体及び対向電極構造体を有する。作用側電極構造体は、少なくとも1の活性物質貯留槽と、当該少なくとも1の活性物質貯留槽から1以上の活性物質を駆動するための起電力を提供するように動作可能な作用側電極要素を有し、対向電極構造体は、少なくとも1の対向電極要素を有する。インダクター要素は、外部の源からインダクター要素に印加される変動電磁界に応答してイオントフォレーシス送達装置の少なくとも作用側電極要素及び対向電極要素に電圧を提供するように動作可能である。
添付の図面中では、同一参照番号は類似の要素又は作用を示す。添付の図中の要素のサイズ及び相対位置は、必ずしもスケール通りには描かれていない。例えば、種々の要素の形状及び角度はスケール通りには描かれていないし、これらの要素のいくつかは、添付の図面を見やすくするために随意に拡大され、配置される。さらに、図示される要素の特定の形状は、その特定の要素の実際の形状に関する何らの情報をも伝えるよう意図されておらず、専ら添付の図面中での認識を容易にするために選択されている。
例示的な1実施形態に従う作用側電極構造体及び対向電極構造体を有するイオントフォレーシス装置及び誘導型給電システムのブロック図。
例示的な1実施形態に従う図1A及び2の誘導型給電システムの拡大視のブロック図。
活性物質を露出させるために外部リリースライナーが除去されて生体界面上に配置された例示的な他の実施形態に従う図1Aのイオントフォレーシス装置のブロック図。
図3Aは、例示的な1実施形態に従うインダクターの正面上部等角投影図。図3Bは、例示的な他の実施形態に従うインダクターの上部平面図。図3Cは、例示的な他の実施形態に従うインダクターの正面上部等角投影図。
図4A及び図4Bは、例示的な他の実施形態に従うインダクターの正面上部等角投影図。
例示的な1実施形態に従うイオントフォレーシス送達装置に給電する方法の流れ図。
例示的な1実施形態に従うイオントフォレーシス送達装置を製造する方法の流れ図。
下記において、或る種の特定の詳細は、種々の開示実施形態の十分な理解を提供するために含まれる。しかしながら、実施形態は1又は複数のこれらの特定の詳細なしに、或いは他の方法、構成成分、材料等を用いて実行され得ると当業者は認識する。他の場合、電圧及び/又は電流レギュレータを含むがこれに限られないイオントフォレーシス装置に関連する既知の構造物は、実施形態の不必要に曖昧な記述を避けるために図示されても詳細に示されてもいない。
文脈から他の解釈が必要とされない限り、以下の明細書及び添付の特許請求の範囲全体を通して、「含む(comprise)」という語及びその変形、例えば「含む(comprises)」及び「含む(comprising)」は、公然の包括的意味で、「包含するが、限定されない」と解釈されるべきである。
本明細書全体を通して、「1実施形態」又は「1つの実施形態」又は「他の実施形態」という言及は、実施形態に関連して記載される特定の関連のある特徴、構造又は特質が少なくとも1の実施形態に包含されるということを意味する。したがって本明細書全体を通して種々の箇所における「1実施形態における」又は「1つの実施形態における」又は「別の実施形態における」という語句の出現は、必ずしもすべてが同一実施形態を指すわけではない。さらに、特定の特徴、構造又は特質は、1又は複数の実施形態において任意の好適な態様で組合せられ得る。
本明細書及び添付の特許請求の範囲で用いる場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、複数の指示物を包含するということに留意すべきである。したがって例えば「インダクター(単数形)」を含めたイオントフォレーシス送達装置への言及は、単一のインダクター、或いは2以上のインダクターを包含する。「又は」という用語は一般的に、はっきりと別記しない限り、「及び/又は」を含めた意味で用いられるということにも留意すべきである。
本明細書中で用いる場合、「膜」という用語は、透過性である場合も、透過性でない場合もある境界、層、障壁、又は物質を意味する。「膜」という用語はさらに、界面を指し得る。別記しない限り、膜は、固体、液体又はゲルの形態を取り得るし、そして明確な格子、非架橋構造又は架橋構造を有しても、有しなくてもよい。
本明細書中で用いる場合、「イオン選択膜」という用語は、イオンに対して実質的に選択性であり、或る種のイオンを通すが、他のイオンの通過を遮断する膜を意味する。イオン選択膜は、例えば電荷選択膜の形態を取り得、又は半透性膜の形態を取り得る。
本明細書中で用いる場合、「電荷選択膜」という用語は、主にイオンにより保有される極性又は電荷に基づき、イオンを実質的に通過及び/又は実質的に遮断する膜を意味する。電荷選択膜は典型的にはイオン交換膜を指し、そしてこれらの用語は、本明細書中で及び添付の特許請求の範囲において互換的に用いられる。電荷選択膜又はイオン交換膜は、陽イオン交換膜、陰イオン交換膜及び/又は両極性膜の形態を取り得る。陽イオン交換膜は、陽イオンの通過を実質的に許容し、そして陰イオンを実質的に遮断する。市販の陽イオン交換膜の例としては、NEOSEPTA、CM−1、CM−2、CMX、CMS及びCMB(株式会社トクヤマ)の呼称で入手可能なものが挙げられる。逆に陰イオン交換膜は、陰イオンの通過を実質的に許容し、そして陽イオンを実質的に遮断する。市販の陰イオン交換膜の例としては、NEOSEPTA、AM−1、AM−3、AMX、AHA、ACH及びACS(同じく株式会社トクヤマ)の呼称で入手可能なものが挙げられる。
本明細書及び添付の特許請求の範囲で用いる場合、「両極性膜」という用語は、2つの異なる電荷又は極性に対して選択的である膜を意味する。別記しない限り、両極性膜は、一体膜構造、多重膜構造又は積層膜の形態を取り得る。一体膜構造は、陽イオン交換物質又は基を含む第1の部分と、陰イオン交換物質又は基を含む第1の部分と向き合った第2の部分とを包含し得る。多重膜構造(例えば2重皮膜構造)は、陰イオン交換膜に積層されるか又はそうでなければ結合される陽イオン交換膜を含み得る。陽イオン及び陰イオン交換膜は最初に異なる構造物として出発し、そしてその結果生じる両極性膜の構造中でそれらの弁別性を保持し得るか、又は保持し得ない。
本明細書及び添付の特許請求の範囲で用いる場合、「半透性膜」という用語は、イオンのサイズ又は分子量に基づいて実質的に選択的である膜を意味する。したがって半透性膜は、第1の分子量又はサイズのイオンを実質的に通す一方で、第1の分子量又はサイズより大きい第2の分子量又はサイズのイオンの通過を実質的に遮断する。或る実施形態では、半透性膜は、第1の速度で或る分子の通過を許容し、或る他の実施形態では、第1の速度と異なる第2の速度で或る他の分子の通過を許容し得る。さらなる実施形態では、「半透性膜」は或る種の選択された分子のみの通過を許容する選択的透過性膜の形態を取り得る。
本明細書及び添付の特許請求の範囲で用いる場合、「多孔性膜」という用語は、問題のイオンに関して実質的に選択的ではない膜を意味する。例えば多孔性膜は、極性に基づいて実質的に選択的でなく、且つ対象の要素又は化合物の分子量又はサイズに基づいて実質的に選択的でないものである。
本明細書及び添付の特許請求の範囲で用いる場合、「ゲルマトリクス」という用語は、三次元網目構造、固体中の液体のコロイド懸濁液、半固体、架橋ゲル、非架橋ゲル、ゼリー様状態等の形態をとる貯留槽の型を意味する。いくつかの実施形態では、ゲルマトリクスは、絡み合い高分子(例えば円柱状ミセル)の三次元網目構造から生じ得る。いくつかの実施形態では、ゲルマトリクスは、ヒドロゲル、オルガノゲル等を包含し得る。ヒドロゲルは、例えばゲルの形態で実質的に水で構成される架橋親水性ポリマーの三次元網目構造を指す。ヒドロゲルは、正味正電荷又は負電荷を有し得るか、又は中性であり得る。
本明細書及び添付の特許請求の範囲で用いる場合、「貯留槽」という用語は、液体状態、固体状態、気体状態、混合状態及び/又は遷移状態で、要素、化合物、製剤組成物、活性物質等を保有するための任意の形態のメカニズムを意味する。例えば別記しない限り、貯留槽は、一構造物により形成される1又は複数のキャビティを含み得るし、そしてこのようなものが少なくとも一時的に要素又は化合物を保有し得る場合には、1又は複数のイオン交換膜、半透性膜、多孔性膜及び/又はゲルを含み得る。典型的には、貯留槽は、生体界面への起電力及び/又は電流による生物学的活性物質の放出の前に、このような物質を保有する役割を果たす。貯留槽は、電解質溶液も保有し得る。
本明細書及び添付の特許請求の範囲で用いる場合、「活性物質(active agent)」という用語は、任意の宿主、動物、脊椎動物又は無脊椎動物、例えば魚類、哺乳類、両生類、爬虫類、鳥類及びヒトからの生物学的応答を引き出す化合物、分子又は治療物質を指す。活性物質の例としては、治療用物質、薬学的物質、調合薬(例えば薬物、治療用化合物、薬学的塩等)、非調合薬(例えば化粧用物質等)、ワクチン、免疫学的作用物質、局所麻酔薬又は全身麻酔薬又は鎮痛剤、抗原又はタンパク質又はペプチド、例えばインスリン、化学療法薬、抗腫瘍薬が挙げられる。いくつかの実施形態では、「活性物質」という用語はさらに、活性物質、並びにその薬理学的活性塩、薬学的に許容可能な塩、プロドラッグ、代謝産物、類縁体等を指す。いくつかのさらなる実施形態では、活性物質としては、少なくとも1のイオン性、陽イオン性、イオン化可能及び/又は中性治療薬及び/又はそれらの薬学的に許容可能な塩が挙げられる。さらに他の実施形態では、活性物質は、水性媒質中で正に荷電され及び/又は正電荷を生じ得る1又は複数の「陽イオン性活性物質」を含み得る。例えば多数の生物学的活性物質は、陽性イオンに容易に転化可能であるか又は水性媒質中で正荷電イオン及び対イオンに解離し得る官能基を有する。その他の活性物質は、分極されるか又は分極可能であり、即ち別の部分に比べてある部分で極性を示す。例えばアミノ基を有する活性物質は、典型的には、固体状態でアンモニウム塩形態をとり、そして適切なpHの水性媒質中で遊離アンモニウムイオン(NH4 +)に解離することができる。「活性物質」という用語は、電気浸透圧流により送達され得る電気的に中性な作用物質、分子又は化合物も指す。電気的に中性な作用物質は、典型的には、例えば電気泳動中の溶媒の流れにより運ばれる。したがって適切な活性物質の選択は、当業者の知識内である。
いくつかの実施形態において、1又は複数の活性物質は、鎮痛薬、麻酔薬、麻酔薬ワクチン、抗生剤、アジュバント、免疫学的アジュバント、免疫原、寛容原、アレルゲン、トル様受容体アゴニスト、トル様受容体アンタゴニスト、免疫アジュバント、免疫調節物質、免疫応答物質、免疫刺激物質、特異的免疫刺激物質、非特異的免疫刺激物質、及び免疫抑制物質、又はこれらの組合せから選択されてもよい。
このような活性物質の非限定的な例としては、リドカイン、アルチカイン及び−カイン群の他のもの、モルヒネ、ヒドロモルホン、フェンタニル、オキシコドン、ヒドロコドン、ブプレノルフィン、メタドン及び同様のオピオイドアゴニスト、コハク酸スマトリプタン、ゾルミトリプタン、ナラトリプタンHCl、安息香酸リザトリプタン、リンゴ酸アルモトリプタン、コハク酸フロバトリプタン及び他の5−ヒドロキシトリプタミン1受容体サブタイプアゴニスト、レシキモド(resiquimod)、イミキモド(imiquidmod)並びに同様のTLR7及びTLR8のアゴニスト及びアンタゴニスト、ドンペリドン、塩酸グラニセトロン、オンダンセトロン及びこのような鎮吐剤、酒石酸ゾルピデム及び同様の睡眠剤、L−ドーパ及び他の抗パーキンソン病薬、アリピプラゾール、オランザピン、クエチアピン、リスペリドン、クロザピン及びジプラシドン並びに他の精神安定剤、エクセナチド等の糖尿病薬、並びに肥満及び他の疾患の治療用のペプチド及びタンパク質が挙げられる。
活性物質のさらなる非限定的な例としては、アンブカイン、アメトカイン、p−アミノ安息香酸イソブチル、アモラノン、アモキセカイン、アミロカイン、アプトカイン、アザカイン、ベンカイン、ベノキシネート、ベンゾカイン、N,N−ジメチルアラニルベンゾカイン、N,N−ジメチルグリシルベンゾカイン、グリシルベンゾカイン、β−アドレナリン受容体アンタゴニストベトキシカイン、ブメカイン、ブピバカイン(bupivicaine)、レボブピバカイン(levobupivicaine)、ブタカイン、ブタンベン、ブタニリカイン、ブテタミン、ブトキシカイン、メタブトキシカイン、カルビゾカイン(carbizocaine)、カルチカイン、セントブクリジン(centbucridine)、セパカイン(cepacaine)、セタカイン(cetacaine)、クロロプロカイン、コカエチレン、コカイン、プソイドコカイン、シクロメチカイン、ジブカイン、ジメチソキン、ジメトカイン、ジペロドン、ジクロニン、エコグニン(ecognine)、エコゴニジン(ecogonidine)、アミノ安息香酸エチル、エチドカイン、ユープロシン、フェナルコミン、フォモカイン、ヘプタカイン、ヘキサカイン、ヘキソカイン、ヘキシルカイン、ケトカイン、ロイシノカイン、レボキサドロール、リグノカイン、ロツカイン、マーカイン、メピバカイン、メタカイン、塩化メチル、ミルテカイン、ネパイン、オクタカイン、オルトカイン、オキセタゼイン、パレントキシカイン(parenthoxycaine)、ペンタカイン、フェナシン、フェノール、ピペロカイン、ピリドカイン、ポリドカノール、ポリカイン、プリロカイン、プラモキシン、プロカイン(ノボカイン(登録商標))、ヒドロキシプロカイン、プロパノカイン、プロパラカイン、プロピポカイン、プロポキシカイン、ピロカイン、カタカイン、リノカイン、リソカイン、ロドカイン、ロピバカイン、サリチルアルコール、テトラカイン、ヒドロキシテトラカイン、トリカイン(tolycaine)、トラペンカイン、トリカイン(tricaine)、トリメカイン、トロパコカイン、ゾラミン、これらの薬学的に許容可能な塩、及びこれらの混合物が挙げられる。
本明細書及び添付の特許請求の範囲で用いる場合、「対象(subject)」という用語は、一般的に、任意の宿主、動物、脊椎動物又は無脊椎動物を指し、そして魚類、哺乳類、両生類、爬虫類、鳥類及び特にヒトを含む。
本明細書中で提示される見出しは、便宜上に過ぎず、当該実施形態の範囲又は意味を説明するものではない。
図1A,1B及び2は、誘導型電源の影響下で生体に1以上の活性物質を送達する例示的なシステム2を示す。システム2は、インダクター6を含む誘導型電源4とインダクター9を含むイオントフォレーシス10を有する。
誘導型電源4は、誘導結合を介して、1の要素から他の要素に共有される磁界3を通してエネルギーを移送するように動作可能である。1の要素を通る電流(i1)の変化は、他の要素における電流(i2)を誘起する。エネルギーの移送は部分的には要素間の相互誘導の結果により生じる。例えば、誘導型電源4は、誘導結合を介して、1次インダクター6から2次インダクター9に共有された磁界3を通してエネルギーを移送するように動作可能である。
1実施形態では、誘導型電源4は、1以上の変動する磁界3を生成するように動作可能な1以上のインダクター6を含み得る。インダクター6の例には、コイル、巻線、1次コイル、1次巻線、誘導コイル、1次インダクターなどが含まれる。1実施形態では、インダクター6は平面型インダクターの形態を取り得る。他の実施形態では、誘導型電源4は、変動する磁界3を生成するように動作可能な1次巻線6aの形態のインダクター6を含み得る。巻線6aは、導電材料のコイル内に1以上の完全な巻き(ターン/turns)を含む場合が有り、1以上の層を有し得る。好適な導電材料の例には、導電ポリマー、金属材料、銅、金、銀、銀又は錫で被覆された銅、アルミニウム、及び/又は、合金が含まれる。いくつかの実施形態では、巻線6aは、例えば、フラットワイヤー、ストランド、撚り合わせたストランド、シートなどを含む、例えばソリッドワイヤーを有し得る。
誘導型電源4は、更に、1次巻線6aに交流電流5又はパルス状直流電流(不図示)の少なくとも1つを提供するよう動作可能で有り得る。交流電流5又はパルス状直流電流に応答して、誘導型電源4の1以上の巻線6aは1以上の変動磁界3を生成し得る。
「デューティ−サイクル」は、パルス信号の期間(pulse signal period)に対するパルス信号の持続時間(pulse signal duration)の比を意味する。例えば、10μsのパルス信号持続時間と50μsのパルス信号の期間は、0.2のデューティーサイクルに対応する。1実施形態では、誘導型電源4は、1以上の活性物質36,40,42の治療的に有効量の送達に関連するデューティーサイクルを達成するように動作可能である。
イオントフォレーシス装置10は、作用側電極構造体12及び対向電極構造体14を含む。イオントフォレーシス装置10は更に、作用側電極構造体12及び対向電極構造体14と電気的に結合する1以上のインダクター9を含む電源8を含む。インダクター9は、誘導型電源4の変動磁界3に応答して作用側及び対向電極構造体12,14に電圧を提供するよう動作可能である。1実施形態では、インダクター9は、誘導型電源4の変動電磁界3に応答して作用側及び対向電極構造体12,14に電圧を供給するための作用側及び対向電極構造体12,14に電気的に結合した1以上の2次巻線9aを含み得る。イオントフォレーシス装置10は、イオントフォレーシスにより生体界面18(例えば、皮膚又は粘膜の部分)に作用側電極構造体12に含まれる1以上の活性物質36,40,42を供給するように動作可能である。
1以上の2次巻線9aは、コイル内に導電材料のコイル状の1以上の完全な巻きを含む場合が有り、1以上の層を有する場合が有る。好適な導電材料の例には、導電ポリマー、金属材料、銅、金、銀、銀又は錫で被覆された銅、アルミニウム、及び/又は、合金が含まれる。いくつかの実施形態では、1以上の巻線9aは、例えば、フラットワイヤー、ストランド、撚り合わせたストランド、シートなどを含む、例えばソリッドワイヤーを有し得る。他の実施形態では、1以上の巻線9aは、インダクターを形成する巻線を含む1以上の積層体を有し得る。
1実施形態では、誘導型電源4及び電源8は、誘導型電源4に含まれる1次コイルと、イオントフォレーシス装置10に含まれる1以上の2次コイルを有する2部構成のトランスを有し得る。1次コイルを含む誘導型電源4により生成される変動磁界3の近傍に2次コイルを配置することで、2次コイル中に電流が誘起される。誘起された電流は、イオントフォレーシス装置10へ電力を供給することができる。
イオントフォレーシス装置10は、電極構造体12,14に配送される電圧、電流及び/又は電力を制御するためのディスクリートの及び/又は集積された回路要素15,17も含み得る。例えば、イオントフォレーシス装置10は、電極要素24,68に直流電流を供給するためのダイオードを含み得る。ある実施形態では、イオントフォレーシス装置10は、直流電流電圧を提供するための整流回路及び/又は電圧/電流レギュレータを含み得る。他の実施形態では、イオントフォレーシス装置10は、イオントフォレーシス装置10の安定状態での動作を維持するために電圧を減少及び供給するように動作可能な回路を含み得る。
電源8は更に、作用側及び対向電極構造体12,14と電気的に結合し、インダクター9からの充電を受けるようにこれと並列に電気的に接続された再充電可能な電源11を有し得る。インダクター9の例には、コイル、巻線、2次コイル、2次巻線、誘導コイル、2次インダクターなどが含まれる。1実施形態では、インダクター9は平面インダクターの形態を取り得る。
1実施形態では、電源8は、化学電池、スーパーキャパシタ又はウルトラキャパシタ、燃料電池、二次電池、薄膜二次電池、ボタン電池、リチウムイオン電池、亜鉛空気電池、ニッケル水素電池などの少なくとも1つを有し得る。ある実施形態では、再充電可能な電源は、イオントフォレーシス装置の安定状態での動作を維持するために電圧を増減させる。電源8は、例えば0.8V DCの公差の12.8V DCの電圧と0.3mAの電流を提供し得る。電源8は、選択的に、制御回路15を介して、例えば炭素繊維リボンを介して、作用側及び対向電極構造体12,14と電気的に接続し得る。
イオントフォレーシス装置10の作用側電極構造体12は、作用側電極構造体12の内部20から外部22に、作用側電極要素24、電解質28を貯留する電解質貯留槽26、内部イオン選択膜30、1以上の活性物質36を貯留する内部活性物質貯留槽34、付加的活性物質40を任意に貯蔵する任意の最外部イオン選択膜38、最外部イオン選択膜38の外表面44により担持される任意のさらなる活性物質42、並びに任意の外部リリースライナー46を含み得る。作用側電極構造体12は、作用側電極構造体12の2つの層の間に、例えば内部イオン選択膜30と内部活性物質貯留槽34との間に任意の内部封止ライナー(図示せず)をさらに包含し得る。内部封止ライナーは、存在する場合、生体界面18へのイオントフォレーシス装置の適用前に取り外される。上記の要素又は構造の各々を、以下で詳細に考察する。
作用側電極要素24は、電源8の第1の極8aに電気的に接続され、作用側電極構造体12内に配置されて作用側電極構造体12の他の種々の要素を介して活性物質36,40,42を移送するための起電力を印加する。
作用側電極要素24は、種々の形態を取り得る。1実施形態では、装置は、有益には、炭素ベースの作用側電極要素を使用し得る。このようなものは、例えば多重層、例えば炭素を含むポリマーマトリクス及び炭素繊維又は炭素繊維紙を含む導電性シートを含み、例えば同一出願人による係属中の特願2004/317317号(2004年10月29日提出)に記載されている。炭素ベースの電極は、それ自体が電気化学反応を受けないか又は電気化学反応に関与しない不活性電極である。したがって不活性電極は、浸食又は消耗されることなく、水の電気分解(例えば、水の酸化又は還元によるイオンを発生する)により電流を分配する(例えば水の還元又は酸化によりイオンを発生する)。不活性電極の付加的な例としては、ステンレススチール、金、白金、又は黒鉛が挙げられる。
代替的には、犠牲導電性物質、例えば化合物又はアマルガムの活性電極も用いられ得る。犠牲電極は水の電気分解を引き起こさず、それ自体は酸化されるか又は還元される。典型的には、陽極に関しては、金属/金属塩が用いられ得る。このような場合、金属は金属イオンに酸化されて、これは次に不溶性塩として析出される。このような陽極の一例としては、Ag/AgCl電極が挙げられる。逆反応は陰極で起こり、金属イオンが還元され、そして対応する陰イオンが電極の表面から放出される。
電解質貯留槽26は、種々の形態、例えば電解質28を保持し得る任意の構造をとり、そしていくつかの実施形態では、例えば電解質28がゲル形態、半固体形態又は固体形態である場合、電解質28自体でさえあり得る。例えば電解質貯留槽26は、特に電解質28が液体である場合、パウチ又はその他の容器、或いは孔、キャビティ又は隙間を有する膜の形態を取り得る。
1実施形態では、電解質28は、イオン性構成成分又はイオン化可能構成成分を水性媒質中に含むが、これは、作用側電極要素に向けて、又はそれから電流を伝達するよう作用し得る。適切な電解質としては、例えば塩の水溶液が挙げられる。好ましくは電解質28は、生理学的イオン、例えばナトリウム、カリウム、クロリド及びホスフェートの塩を含む。
電位が印加されると、不活性の電極要素が使用中である場合、水は作用側電極構造体及び対向電極構造体の両方で電解される。ある実施形態では、例えば作用側電極構造体が陽極である場合、水は酸化される。その結果、酸素が水から除去され、一方、陽子(H+)が産生される。1実施形態では、電解質28は、酸素ガスのバブルの生成を禁止し、効率を増進させ、及び/又は、送達速度を増大させるための酸化防止剤をさらに含み得る。生物学的適合性酸化防止剤の例としては、アスコルビン酸(ビタミンC)、トコフェロール(ビタミンE)又はクエン酸ナトリウムが挙げられるが、これらに限定されない。
上記のように、電解質28は、貯留槽26内に収容される水溶液の形態を取るか、或いは相当量の水を保有し得るヒドロゲル又は親水性ポリマー中の分散液の形態を取り得る。例えば適切な電解質は、0.5Mフマル酸二ナトリウム:0.5Mポリアクリル酸:0.15M酸化防止剤の溶液の形態を取り得る。
内部イオン選択膜30は一般に、このような膜が装置内に含まれる場合、電解質28及び内部活性物質貯留槽34を分離するように配置される。内部イオン選択膜30は、電荷選択膜の形態を取り得る。例えば活性物質36,40,42が陽イオン性活性物質を含む場合、内部イオン選択膜30は、陰イオンを実質的に通し、そして陽イオンを実質的に遮断するように選択的である陰イオン交換膜の形態を取り得る。内部イオン選択膜30は、有益には、電解質28と内部活性物質貯留槽34との間の望ましくない要素又は化合物の移動を防止し得る。例えば内部イオン選択膜30は、電解質28からのナトリウム(Na+)イオンの移動を防止又は阻害し、それによりイオントフォレーシス装置10の移動速度及び/又は生物学的適合性を増大し得る。
内部活性物質貯留槽34は概して、内部イオン選択膜30と最外部イオン選択膜38との間に配置される。内部活性物質貯留槽34は、種々の形態、例えば活性物質36を一時的に保有し得る任意の構造を取り得る。例えば内部活性物質貯留槽34は、特に活性物質36が液体である場合、パウチ又はその他の容器、或いは孔、キャビティ又は隙間を有する膜の形態を取り得る。内部活性物質貯留槽34はさらに、ゲルマトリクスを含み得る。
任意的に、最外部イオン選択膜38は一般に、作用側電極要素24から作用側電極構造体12を通って向かい合って配置される。最外部膜38は、図1A及び図2に図示した実施形態のように、イオン交換膜の形態をとることができ、当該イオン選択膜38の孔48(図を分かりやすくするために図1A及び図2では1つだけが示されている)はイオン交換物質又は基50(図を分かりやすくするために図1A及び図2では3つだけが示されている)を有している。起電力又は電流の影響下では、イオン交換物質又は基50は選択的に、活性物質36、40と同じ極性を有するイオンを実質的に通し、一方、反対極性を有するイオンを実質的に遮断する。したがって最外部イオン交換膜38は、電荷選択的である。活性物質36,40,42が陽イオン(例えばリドカイン)である場合、最外部イオン選択膜38は陽イオン交換膜の形態をとり、したがって陽イオン性活性物質の通過を許容する一方で、生体界面、例えば皮膚に存在する陰イオンの逆流を遮断する。
最外部イオン選択膜38は、任意的に活性物質40を貯蔵し得る。理論に縛られずに考えると、イオン交換基又は物質50は、起電力又は電流の非存在下で活性物質の極性と同じ極性を有するイオンを一時的に保持し、そして起電力又は電流の影響下で同様の極性又は電荷を有する代用イオンと置き換えられる場合、それらのイオンを実質的に放出する。
代替的には、最外部イオン選択膜38は、サイズに選択的である半透性又は微小孔膜の形態を取り得る。いくつかの実施形態では、このような半透性膜は、有益には、例えば外部リリースライナーが使用前に取り外されるまで、活性物質40を保有するために除去可能で取り外し可能な外部リリースライナーを用いることにより、活性物質40を貯蔵し得る。
最外部イオン選択膜38は、付加的活性物質40、例えばイオン化した又はイオン化可能な薬物又は治療薬、及び/又は、分極化された又は分極化可能な薬物又は治療薬を任意に予備装荷し得る。最外部イオン選択膜38がイオン交換膜である場合、相当量の活性物質40が最外部イオン選択膜38の孔、キャビティ又は隙間48中のイオン交換基50と結合し得る。
物質50のイオン交換基と結合できない活性物質42は、さらなる活性物質42として最外部イオン選択膜38の外表面44に付着し得る。代替的には又は付加的には、さらなる活性物質42は、例えば噴霧、フラッディング、コーティング、静電的堆積、蒸着及び/又は別の方法により、最外部イオン選択膜38の外表面44の少なくとも一部分の上に積極的に堆積及び/又は付着され得る。いくつかの実施形態では、さらなる活性物質42は、外表面44を十分に被覆し及び/又は十分な厚みを有することで明確な層52を形成し得る。他の実施形態では、さらなる活性物質42は、その語の通常の味での層を構成するほどには、容積、厚み又は被覆面積において十分でない場合もある。
活性物質42は、種々の高濃縮形態、例えば固体形態、ほぼ飽和された溶液形態又はゲル形態で堆積され得る。固体形態である場合、水和の供給源が提供され、作用側電極構造体12に組込まれるか、又は使用直前にその外部から適用され得る。
いくつかの実施形態では、活性物質36、付加的活性物質40及び/又はさらなる活性物質42は、同一又は類似の組成物又は要素であり得る。他の実施形態では、活性物質36、付加的活性物質40、及び/又はさらなる活性物質42は、互いに異なる組成物又は要素であり得る。したがって第1の型の活性物質が内部活性物質貯留槽34中に保存され得る一方で、第2の型の活性物質は最外部イオン選択膜38中に貯蔵され得る。このような実施形態では、第1の型又は第2の型の活性物質のいずれもが、さらなる活性物質42として最外部イオン選択膜38の外表面44上に堆積され得る。代替的には、第1の型及び第2の型の活性物質の混合物がさらなる活性物質42として最外部イオン選択膜38の外表面44上に堆積され得る。さらにそれに代わるものとして、第3の型の活性物質の組成物又は要素が、さらなる活性物質42として最外部イオン選択膜38の外表面44上に堆積され得る。別の実施形態では、第1の型の活性物質が活性物質36として内部活性物質貯留槽34中に保存され、そして付加的活性物質40として最外部イオン選択膜38中に貯蔵され得る一方で、第2の型の活性物質はさらなる活性物質42として最外部イオン選択膜38の外表面44上に堆積され得る。典型的には、1又は複数の異なる活性物質が用いられる実施形態では、活性物質36,40,42はすべて、共通の極性を有し、活性物質36,40,42が互いに競合しないようにする。他の組合せも可能である。
外部リリースライナー46は概して、最外部イオン選択膜38の外表面44により担持されるさらなる活性物質42の上に重なるか又はそれを覆って配置され得る。外部リリースライナー46は、起電力又は電流の印加前に、貯蔵中、さらなる活性物質42及び/又は最外部イオン選択膜38を保護し得る。外部リリースライナー46は、耐水性物質製の選択的に取り外し可能なライナー、例えば感圧性接着剤に一般的に関連するリリースライナーであり得る。外部リリースライナー46は、図1Aにおいては取り付けられた状態で、図2では取り外された状態で示されていることに留意されたい。
界面結合媒質(示されていない)は、電極構造体と生体界面18との間に用いられ得る。界面結合媒質は、例えば接着剤及び/又はゲルの形態を取り得る。ゲルは、例えば水和ゲルの形態を取り得る。適切な生体接着性ゲルの選択は、当業者の知識内である。
図1A及び図2に示した実施形態では、対向電極構造体14は、対向電極構造体14の内部64から外部66に向けて、対向電極要素68、電解質72を保存する電解質貯留槽70、内部イオン選択膜74、緩衝剤78を保存する任意の緩衝剤貯留槽76、任意の最外部イオン選択膜80、及び任意の外部リリースライナー82を含み得る。
対向電極要素68は、第1の電極8aと逆の極性を有する電源8の第2の電極8bと電気的に接続可能である。1実施形態では、対向電極要素68は不活性電極である。例えば対向電極要素68は、上記の炭素ベースの電極要素の形態を取り得る。
電解質貯留槽70は、種々の形態、例えば電解質72を保持し得る任意の構造をとり、そしていくつかの実施形態では、例えば電解質72がゲル形態、半固体形態又は固体形態である場合、電解質72自体でさえあり得る。例えば電解質貯留槽70は、特に電解質72が液体である場合、パウチ又はその他の容器、或いは孔、キャビティ又は隙間を有する膜の形態を取り得る。
電解質72は概して、対向電極要素68と、対向電極要素68に隣接した最外部イオン選択膜80との間に配置される。上記のように、電解質72は、イオンを提供するか又は電荷を供与して、対向電極要素68上の気泡(電極の極性によって、例えば水素又は酸素)の形成を防止又は阻害し、そして酸又は塩基の形成を防止又は阻害するか、或いはそれを中和し、これにより効率が高められ、及び/又は、生体界面18における刺激発生の可能性が低減され得る。
内部イオン選択膜74は、電解質72と緩衝剤78との間に配置され得る。内部イオン選択膜74は、電荷選択膜、例えば第1の極性又は電荷を有するイオンの通過を実質的に可能にするが一方で、第2の反対極性を有するイオン又は電荷の通過を実質的に遮断する図示したイオン交換膜の形態を取り得る。内部イオン選択膜74は典型的には、最外部イオン選択膜80を通るイオンと逆の極性又は電荷を有するイオンを通す一方で、同様の極性又は電荷を有するイオンを実質的に遮断する。代替的には、内部イオン選択膜74は、サイズに基づいて選択的である半透性膜又は微小孔膜の形態を取り得る。
内部イオン選択膜74は、緩衝剤78への望ましくない要素又は化合物の移動を防止し得る。例えば内部イオン選択膜74は、電解質72から緩衝剤78中へのヒドロキシ(OH−)イオン又は塩化物(Cl−)イオンの移動を防止又は阻害し得る。
任意の緩衝剤貯留槽76は概して、電解質貯留槽と最外部イオン選択膜80との間に配置される。緩衝剤貯留槽76は、緩衝剤78を一時的に保有し得る種々の形態を取り得る。例えば緩衝剤貯留槽76は、キャビティ、多孔性膜又はゲルの形態を取り得る。緩衝剤78は、最外部イオン選択膜42を通して生体界面18への移動のためのイオンを供給し得る。その結果として、緩衝剤78は、例えば塩(例えばNaCl)を含み得る。
対向電極構造体14の最外部イオン選択膜80は、種々の形態を取り得る。例えば最外部イオン選択膜80は、電荷選択性イオン交換膜の形態を取り得る。典型的には対向電極構造体14の最外部イオン選択膜80は、作用側電極構造体12の最外部イオン選択膜38のイオンと逆の電荷又は極性を有するイオンに対して選択的である。したがって最外部イオン選択膜80は、陰イオン交換膜であり、これは実質的に陰イオンを通し、そして陽イオンを遮断し、それにより生体界面からの陽イオンの逆流を防止する。適切なイオン交換膜の例としては、上記の膜が挙げられる。
代替的には、最外部イオン選択膜80は、イオンのサイズ又は分子量に基づいて、イオンを実質的に通す及び/又は遮断する半透性膜の形態を取り得る。
外部リリースライナー82は概して、最外部イオン選択膜80の外表面84の上に重なるか又はそれを覆って配置され得る。外部リリースライナー82は、図1Aにおいては取り付けられた状態で、図2では取り外された状態で示されていることに留意されたい。外部リリースライナーは、起電力又は電流の印加前に、貯蔵中、最外部イオン選択膜80を保護し得る。外部リリースライナーは、耐水性物質製の選択的に取り外し可能なライナー、例えば感圧性接着剤に一般的に関連するリリースライナーであり得る。いくつかの実施形態では、外部リリースライナーは、作用側電極構造体12の外部リリースライナー46と同一の広がりを有し得る。
イオントフォレーシス装置10は、作用側電極構造体12及び対向電極構造体14を形成する種々の他の構造の露出側面に隣接する不活性成型物質86をさらに含み得る。成型物質86は、有益には、作用側電極構造体12及び対向電極構造体14の種々の構造に対する環境保護を提供し得る。作用側電極構造体12及び対向電極構造体14の覆いは、収容物質90である。
図2で最も良く分かるように、作用側電極構造体12及び対向電極構造体14は、生体界面18上に配置される。生体界面上の配置は、回路を閉じて、起電力を印加させ、及び/又は作用側電極構造体、生体界面18及び対向電極構造体14を介して、電流を電源8の一方の極8aから他方の極8bに流させ得る。
使用に際しては、最外部活性電極イオン選択膜38は、生体界面18と直接接触して置かれ得る。代替的には、界面結合媒質(示されていない)は、最外部活性電極イオン選択膜22と生体界面18との間に用いられ得る。界面結合媒質は、例えば接着剤及び/又はゲルの形態を取り得る。ゲルは、例えば水和ゲル又はヒドロゲルの形態を取り得る。用いられる場合、界面結合媒質は、活性物質36,40,42により透過可能である必要がある。
上記のように、1又は複数の活性物質36,40,42は、1又は複数のイオン性、陽イオン性、陰イオン性、イオン化可能及び/又は中性薬物又はその他の治療薬の形態を取り得る。したがって、電源8の極又は端子並びに最外部イオン選択膜38,80及び内部イオン選択膜30,74の選択性は、それに応じて選択される。
イオントフォレーシス中、電極構造体を通る起電力は、上記のように、生体界面を通して、生体組織中への、荷電活性物質分子並びにイオン及び他の荷電構成成分の移動をもたらす。この移動は、界面を越えた生体組織内の活性物質、イオン及び/又は他の荷電構成成分の蓄積をもたらし得る。イオントフォレーシス中、反発力に応じた荷電分子の移動のほかに、電極及び生体界面を通して組織中への溶媒(例えば水)の電気浸透流も存在する。ある実施形態では、電気浸透溶媒流は、荷電分子及び非荷電分子の両方の移動を増強する。電気浸透溶媒流による移動増強は、特に分子のサイズ増大に伴って起こり得る。
ある実施形態では、活性物質は、より高分子量の分子であり得る。ある態様において、分子は、極性高分子電解質であり得る。ある他の態様では、分子は親油性であり得る。ある実施形態では、このような分子は、活性電極内の条件下で、荷電されるか、低正味電荷を有するか、又は非荷電であり得る。ある態様において、このような活性物質は、イオントフォレーシス反発力の影響下で小さなより高度に荷電された活性物質の移動に比べて、イオントフォレーシス反発力下では十分に移動し得ない。したがってこれらの高分子量活性物質は、主に電気浸透溶媒流により、生体界面を介して下にある組織中に運搬され得る。ある実施形態では、高分子量の高分子電解質活性物質は、タンパク質、ポリペプチド又は核酸であり得る。他の実施形態では、活性物質は別の活性物質と混合されて、上記の起動方法のうちの1つにより生体界面を通って輸送され得る複合体を形成し得る。
図3A及び3Bに示されるように、イオントフォレーシス装置10(図1A及び1B)は、少なくとも第1表面102と、第1表面102に対向する第2表面104を有する基板100を有するインダクター9aを含み得る。第1表面102は、少なくとも1の基板100の第1表面102により担持される導電軌跡(conductive trace)106により部分的に形成されるインダクター9aを有する。1実施形態では、インダクター9aは、第1表面102により担持される導電軌跡106の形態の2次巻線を有し得る。ある実施形態では、導電軌跡106は、多角形ループ、正方形ループ、(図示のような)円形ループ、螺旋形状、同心幾何形状パターンなどを含む幾何的パターンの形態を取り得る。巻き形状(winding geometry)、巻き回数、導電軌跡106の厚み、導電軌跡の材料組成などを変えることでインダクター9aの誘導特性を変化させ得る。
図3Cに示されるように、イオントフォレーシス装置10(図1A及び1B)は、少なくとも第1表面102と、第1表面102に対向する第2表面104を有する基板100を有するインダクター9bを含み得る。
第1、第2表面102,104は、基板100の第2表面104により担持される導電軌跡108に電気接続部110を介して電気的に接続した基板102に担持される導電軌跡106により部分的に形成されるインダクター9bを含み得る。1実施形態では、基板100は、絶縁又は誘電材料を含み、軌跡106,108は導電材料を含む。他の実施形態では、導電軌跡106,108は、導電材料を有し、電気絶縁層又は被覆を含み得る。
第1、第2表面102,104は、基板100の第2表面104により担持される導電軌跡108に電気接続部110を介して電気的に接続した基板102に担持される導電軌跡106により部分的に形成されるインダクター9bを含み得る。1実施形態では、基板100は、絶縁又は誘電材料を含み、軌跡106,108は導電材料を含む。他の実施形態では、導電軌跡106,108は、導電材料を有し、電気絶縁層又は被覆を含み得る。
ある実施形態では、インダクター109は基板100に堆積され、エッチングされ、或いは、他の方法で適用され、特定の共振周波数で共振する共振回路を形成するように電気的に構成された導電軌跡106,108の形態を取り得る。
図4A,4Bは、多重の巻線、ターン又はコイルを有するイオントフォレーシス装置10(図1A及び1B)のための例示的なインダクター9cを示す。インダクター9cは、少なくとも1の第1表面102Aと、第1表面102Aに対向する第2表面104Aを有する2以上の基板100aを含み得る。第1表面102aは、少なくとも1の基板100aの第1表面102aにより担持される導電軌跡106aにより部分的に形成されるインダクター巻線を含み得る。それぞれの導電軌跡106aは、電気接続部100aを介して隣接する導電軌跡106aに電気的に接続し、インダクター9cを形成し得る。1実施形態では、インダクター9cは少なくとも2つの巻線、ターン又はコイルを含む積層体の形態を取り得る。他の実施形態では、隣接して電気的に接続する導電軌跡106aは、隣接する絶縁性の基板100aにより分離されて多重巻線(multi-winding)インダクターを形成し得る。図4Bに示す例では、例示的なインダクター9cは多重巻線の積層体を含んでいる。
図5は、イオントフォレーシス送達装置に給電する例示的な方法200を示す。
方法200は、202において、生物的対象上にイオントフォレーシス装置の作用側及び対向電極構造体を配置するステップを有し得る。
方法200は、204において、変動電磁界を生じさせるために1次巻線に変動する電流を印加するステップを有する。1実施形態では、1次巻線に印加する電流を変動させることは、送達のプロファイルに従って電流を変動させることを含み得る。他の実施形態では、1次巻線に印加する電流を変動させることは、1以上の治療剤の最適な投与(dosing)及び送達を提供するための投与及び送達のプロファイルに従って電流を変化させることを含み得る。他の実施形態では、1次巻線に印加する電流を変動させることは、治療効果を達成するために必要な所定の投与量(dosage)の送達を達成するように電流を変動させることを含み得る。他の実施形態では、1次巻線に印加する電流を変動させることは、1以上の活性物質に基づく送達プロファイルに従って電流を変動させることを含み得る。更に他の実施形態では、1次巻線に印加する電流を変動させることは、生物的対象の身体的な特徴を示す少なくとも1のパラメータに基づく送達プロファイルに従って電流を変動させることを含み得る。
206において、イオントフォレーシス送達装置の2次巻線は、2次巻線が変動電磁界が生じたときに変動電磁界内に有るように配置される。
208において、方法200は更に、再充電可能な電源に電力を貯蔵するステップを有し得る。ある実施形態では、方法200は更に、貯蔵された電力に応じて生体に活性物質が供給されるように、変動電磁界を生じさせるために1次巻線に印加する電流を変動させる前に、再充電可能な電源への電力の貯蔵の後で生体上にイオントフォレーシス送達装置の作用側電極及び対向電極を配置するステップを有し得る。
いくつかの実施形態では、方法200は更に、電流の変動に応じて生体に活性物質が供給されるように、変動電磁界を生じさせるために1次巻線に印加する電流を変動させる前に、生体上にイオントフォレーシス送達装置の作用側電極及び対向電極を配置するステップを有し得る。
図6は、誘電により給電されるイオントフォレーシス装置を製作する例示的な方法300を示す。
方法300は、302において、第1表面と、第1表面に対向する第2表面を有する基板上にインダクター要素を形成するステップを含む。例えば、周知のリソグラフ技術がインダクター要素又は導電軌跡のレイアウトを基板の第1表面上に形成するために使用し得る。インダクター要素を形成するためのリソグラフのプロセスは、例えば、基板上へのレジストフィルムの塗布(例えば、フォトレジストフィルムのスピンコーティング)、インダクターレイアウト(例えば、1以上の導電軌跡の幾何学パターン)のイメージでのレジストの露光、レジストの熱処理、レジストの現像、基板上へのレイアウトの転写、及び、残差レジストの除去を含み得る。基板上へのレイアウトの転写は、サブトラクティブ転写、エッチング、アディティブ転写、選択堆積法、不純物ドーピング、イオンインプランテーションなどの技術の使用を含み得る。
1実施形態では、基板上にインダクター要素を形成するステップは、導電軌跡に印加される変動電磁界に応答して少なくとも作用側電極要素及び対向電極要素に電圧を提供するように動作可能な導電軌跡を少なくとも基板の第1表面上に堆積させることを含み得る。
1実施形態では、方法300は、302において、第1表面と第1表面に対向する第2表面とを有する第1基板上にインダクター要素を形成し、第1表面と第1表面に対向する第2表面とを有する少なくとも第2基板上にインダクター要素を形成することを含み得る。第1及び少なくとも第2基板上にインダクター要素を形成するステップは、第1基板の第1表面に第1の導電軌跡を体積させ、少なくとも第2基板の第1表面に第2の導電軌跡を体積させ、第1及び少なくとも第2基板を含む積層体を形成することを含み得る。第1及び第2の導電軌跡は、多重ループのインダクターを形成するように電気的に接続され、電気的に接続した第1及び第2の導電軌跡は、外部電源から第1及び第2の導電軌跡に印加される変動電磁界に応答して少なくとも作用側電極要素及び対向電極要素に電圧を印加するように動作可能である。
ある実施形態では、302において、基板上でのインダクター要素の形成は、基板の第1表面上で導電軌跡をパターニングするためのフォトレジストマスクを形成し、基板の第1表面上で導電軌跡をエッチングすることを含み得る。
304において、方法300は、少なくとも1の活性物質貯留槽及びこの少なくとも1の活性物質貯留槽から活性物質を駆動する起電力を提供するように動作可能な作用側電極要素を含む作用側電極構造体と、少なくとも1の対向電極要素を含む対向電極構造体を有するイオントフォレーシス装置にインダクター要素を電気的に接続するステップを含む。インダクター要素は、インダクターに印加される変動電磁界に応答して、少なくとも作用側電極要素及び対向電極要素に電圧を提供するように動作可能である。
306において、方法300は、インダクターに電気的に接続した再充電可能な電源を提供するステップを有し得る。1実施形態では、再充電可能な電源は、印可される変動電磁界に応答してインダクターにより提供される電力を貯蔵するように動作可能である。
要約に記載されたものを含めて上記の例証的実施形態についての記載は、網羅的であるように意図されないし、添付の特許請求の範囲を開示された正確な形態に限定するものでもない。例示の目的で特定の実施形態及び実施例を本明細書に記載しているが、本発明の精神及び範囲を逸脱しない限り、そして当業者に理解されるように、種々の等価の改変がなされ得る。本明細書中に提供される教示は、必ずしも一般的に上記した例示的なイオントフォレーシス活性物質システム及びイオントフォレーシス活性物質装置に限らず、他の物質送達システム及び装置に適用可能である。例えばいくつかの実施形態は、付加的構造を包含し得る。例えばいくつかの実施形態は、作用側電極要素20及び対向電極要素68に印加される電圧、電流又は電力を制御するための制御回路又はサブシステムを包含し得る。さらにまた例えばいくつかの実施形態は、最外部活性電極イオン選択膜22と生体界面18との間に介在される界面層を包含し得る。いくつかの実施形態は、付加的なイオン選択膜、イオン交換膜、半透性膜及び/又は多孔性膜、並びに電解質及び/又は緩衝剤のための付加的貯留槽を含み得る。
様々な導電性ヒドロゲルが既知であり、医療分野において被験体の皮膚に電気的なインターフェイスを与えるために、又は、対象への電気刺激を結合させるためのデバイスにおいて使用されている。ヒドロゲルが皮膚に潤いを与え、これによってヒドロゲルを介する電気刺激による火傷を防ぐ一方で、皮膚を膨潤させ、活性成分のより効果的な輸送を可能にする。このようなヒドロゲルの例は、米国特許第6,803,420号、同第6,576,712号、同第6,908,681号、同第6,596,401号、同第6,329,488号、同第6,197,324号、同第5,290,585号、同第6,797,276号、同第5,800,685号、同第5,660,178号、同第5,573,668号、同第5,536,768号、同第5,489,624号、同第5,362,420号、同第5,338,490号、及び同第5,240995号(これらの全体において参照により本明細書に援用される)に開示されている。このようなヒドロゲルのさらなる例は、米国特許出願第2004/166147号、同第2004/105834号、及び同第2004/247655号(これらの全体において参照により本明細書に援用される)に開示されている。様々なヒドロゲル及びヒドロゲルシートの有名な製品としては、Corplex(商標)(Corium製)、Tegagel(商標)(3M製)、PuraMatrix(商標)(BD製)、Vigilon(商標)(Bard製)、ClearSite(商標)(Conmed Corporation製)、FlexiGel(商標)(Smith & Nephew製)、Derma−Gel(商標)(Medline製)、Nu−Gel(商標)(Johnson & Johnson製)、及びCuragel(商標)(Kendall製)、又はSun Contact Lens Co., Ltdで市販されているアクリルヒドロゲルフィルムが挙げられる。
上記したイオントフォレーシス装置は、有益には、種々の微細構造、例えばマイクロニードルと結合され得る。マイクロニードル及びマイクロニードルアレイ、それらの製造及び使用が記載されている。マイクロニードルは、独立して、又はアレイで、中空、固体及び透過性、固体及び半透性、或いは固体及び非透過性であり得る。固体、非透過性マイクロニードルはさらに、それらの外表面に沿って溝を含み得る。複数のマイクロニードルからなるマイクロニードルアレイは、種々の形状、例えば長方形又は円形で配列され得る。マイクロニードル及びマイクロニードルアレイは、種々の材料、例えばケイ素、二酸化ケイ素、成型プラスチック材料、例えば生分解性ポリマー又は非生分解性ポリマー、セラミック、並びに金属から製造され得る。マイクロニードルは、独立して、又はアレイで、中空開口部を通して、固体透過性物質又は半透性物質を通して、或いは外部溝を介して、流体を投与するか又はサンプリングするために用いられ得る。マイクロニードル装置は、例えば生体界面、例えば皮膚又は粘膜を介して、生きている身体に種々の化合物及び組成物を送達するために用いられる。ある実施形態では、化合物及び薬物は、生体界面に又は生体界面を介して送達され得る。例えば皮膚を介して化合物又は組成物を送達するのに際しては、個々の或いはアレイでの(単一又は複数の)マイクロニードルの長さ、及び/又は挿入深度は、化合物又は組成物の投与が表皮中だけ、表皮を通して真皮、又は皮下に投与されるかを制御するために用いられ得る。ある実施形態では、マイクロニードル装置は、高分子量活性物質、例えばタンパク質、ペプチド及び/又は核酸を含むもの並びにその対応する組成物の送達のために有用であり得る。例えば流体がイオン性溶液であるある実施形態では、(単一又は複数の)マイクロニードル又は(単一又は複数の)マイクロニードルアレイは電源とマイクロニードル(単数又は複数)の先端との間の電気的連続性を提供し得る。(単一又は複数の)マイクロニードル又は(単一又は複数の)マイクロニードルアレイは、本明細書中に記載されるようなイオントフォレーシス法により、化合物又は組成物を送達するか又はサンプリングするために有益に用いられ得る。
従って、ある実施形態では、例えばアレイ中の複数のマイクロニードルは、有益には、イオントフォレーシス装置の最外部生体界面の接触表面上に形成され得る。このような装置により送達されるか又はサンプリングされる化合物又は組成物は、例えば高分子量分子又は活性物質、例えばタンパク質、ペプチド及び/又は核酸を含み得る。
ある実施形態では、化合物又は組成物は、生体界面に、生体界面の中に、又は生体界面を介して、活性物質を送達するために、電源に電気的に接続された作用側電極構造体及び対向電極構造体を含むイオントフォレーシス装置により送達され得る。作用側電極構造体は、以下のものを包含する:電源の正電極に接続される第1の電極部材、第1の電極部材と接触し、そして第1の電極部材を介して電圧を印加される薬物溶液を有する活性物質貯留槽、マイクロニードルアレイであり得、活性物質貯留槽の前面に対面して配置される生体界面接触部材、並びにこれらの部材を収容する第1のカバー又は容器。対向電極構造体は、以下のものを包含する:電圧源の負電極に接続される第2の電極部材、第2の電極部材と接触し、そして第2の電極部材を介して電圧が印加される電解質を担持する電解質保持部、並びにこれらの部材を収容する第2のカバー又は容器。
ある他の実施形態では、化合物又は組成物は、生体界面に、生体界面の中に、又は生体界面を介して、活性物質を送達するために、電源に電気的に接続された作用側電極構造体及び対向電極構造体を含むイオントフォレーシス装置により送達され得る。作用側電極構造体は、以下のものを包含する:電源の正電極に接続される第1の電極部材、第1の電極部材と接触し、そして第1の電極部材を介して電圧を印加される電解質を有する第1の電解質貯留槽、第1の電解質貯留槽の前面に配置される第1の陰イオン交換膜、第1の陰イオン交換膜の前面に対して配置される活性物質貯留槽、マイクロニードルアレイであり得、活性物質貯留槽の前面に対面して配置される生体界面接触部材、並びにこれらの部材を収容する第1のカバー又は容器。対向電極構造体は、以下のものを包含する:電圧源の負電極に接続される第2の電極部材、第2の電極部材と接触し、そして第2の電極部材を介して電圧を印加される電解質を担持する第2の電解質保持部、第2の電解質保持部の前面に配置される陽イオン交換膜、陽イオン交換膜の前面に対して配置され、そして第2の電解質貯留槽及び陽イオン交換膜を介して第2の電極部材から電圧が印加される電解質を担持する第3の電解質貯留槽、第3の電解質貯留槽の前面に対して配置される第2の陰イオン交換膜、並びにこれらの部材を収容する第2のカバー又は容器。
マイクロニードル装置、それらの使用及び製造についての或る程度の詳細は、米国特許第6,256,533号、同第6,312,612号、同第6,334,856号、同第6,379,324号、同第6,451,240号、同第6,471,903号、同第6,503,231号、同第6,511,463号、同第6,533,949号、同第6,565,532号、同第6,603,987号、同第6,611,707号、同第6,663,820号、同第6,767,341号、同第6,790,372号、同第6,815,360号、同第6,881,203号、同第6,908,453号及び同第6,939,311号に開示されている。その中の教示のいくつか又はすべてが、マイクロニードル装置、それらの製造、並びにイオントフォレーシス用途におけるそれらの使用に適用され得る。
上記の様々な実施形態を組合せて、さらなる実施形態を提供することができる。本明細書で言及され、且つ/又は出願データシートに列挙されるすべての米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願及び非特許出版物は、下記に列記のものを非限定的に含めて、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
2006年9月5日に出願された米国仮出願第60/842,694号、特許第3040517号として2000年3月3日に発行され、特開平04−297277号公報を有する1991年3月27日に出願された特願平03−86002号公報、特開2000−229128号公報を有する1999年2月10日に出願された特願平11−033076号公報、特開2000−229129号公報を有する1999年2月12日に出願された特願平11−033765号公報、特開2000−237326号公報を有する1999年2月19日に出願された特願平11−041415号公報、特開2000−237327号公報を有する1999年2月19日に出願された特願平11−041416号公報、特開2000−237328号公報を有する1999年2月22日に出願された特願平11−042752号公報、特開2000−237329号公報を有する1999年2月22日に出願された特願平11−042753号公報、特開2000−288098号公報を有する1999年4月6日に出願された特願平11−099008号公報、特開2000−288097号公報を有する1999年4月6日に出願された特願平11−099009号公報、PCT公開番号WO03037425を有する2002年5月15日に出願されたPCT特許出願WO2002JP4696、2005年3月31日に公開された米国特許公開第2005−0070840A1号、2004年10月29日に出願された特願2004/317317号公報、2004年11月16日に出願された米国仮特許出願第60/627,952号、2004年11月30日に出願された特願2004−347814号公報、2004年12月9日に出願された特願2004−357313号公報、2005年2月3日に出願された特願2005−027748号公報、2005年3月22日に出願された特願2005−081220号公報。
2006年9月5日に出願された米国仮出願第60/842,694号、特許第3040517号として2000年3月3日に発行され、特開平04−297277号公報を有する1991年3月27日に出願された特願平03−86002号公報、特開2000−229128号公報を有する1999年2月10日に出願された特願平11−033076号公報、特開2000−229129号公報を有する1999年2月12日に出願された特願平11−033765号公報、特開2000−237326号公報を有する1999年2月19日に出願された特願平11−041415号公報、特開2000−237327号公報を有する1999年2月19日に出願された特願平11−041416号公報、特開2000−237328号公報を有する1999年2月22日に出願された特願平11−042752号公報、特開2000−237329号公報を有する1999年2月22日に出願された特願平11−042753号公報、特開2000−288098号公報を有する1999年4月6日に出願された特願平11−099008号公報、特開2000−288097号公報を有する1999年4月6日に出願された特願平11−099009号公報、PCT公開番号WO03037425を有する2002年5月15日に出願されたPCT特許出願WO2002JP4696、2005年3月31日に公開された米国特許公開第2005−0070840A1号、2004年10月29日に出願された特願2004/317317号公報、2004年11月16日に出願された米国仮特許出願第60/627,952号、2004年11月30日に出願された特願2004−347814号公報、2004年12月9日に出願された特願2004−357313号公報、2005年2月3日に出願された特願2005−027748号公報、2005年3月22日に出願された特願2005−081220号公報。
当業者が理解するように、本開示は、対象を本明細書に開示した任意の組成及び/又は方法で処置する方法を含む。
種々の実施形態の態様は、必要な場合、さらなる実施形態を提供するために、本明細書で特定した特許及び特許出願におけるものを含めて、種々の特許、出願及び出版物のシステム、回路及び概念を用いるように変形され得る。いくつかの実施形態は、上記の膜、貯留槽及びその他の構造のすべてを包含し得るが、他の実施形態は、膜、貯留槽又は他の構造のいくつかを省略し得る。さらなる他の実施形態は、一般的に上記した膜、貯留槽及び構造の付加的なものを用いることができる。さらなる実施形態は、一般的に上記した膜、貯留槽及び構造の付加的なものを用いながら、上記の膜、貯留槽及び構造のいくつかを省略することができる。
上記の詳細な記載にかんがみて、様々な変更が為され得る。概して、添付の特許請求の範囲においては、用いられる用語は、本明細書及び添付の特許請求の範囲に開示される特定の実施形態に限定するように解釈されるべきでなく、添付の特許請求の範囲に従って動作するすべてのシステム、装置及び/又は方法を含むように解釈されるべきである。したがって本発明は本開示により限定されなるものでなく、その範囲は添付の特許請求の範囲により専ら判定されるべきものである。
Claims (21)
- 変動磁界を発生させるように動作可能な1次巻線を有する誘導型電源と、
1以上の活性物質を貯留する少なくとも1の活性物質貯留槽、前記活性物質貯留槽に起電力を印加するように動作可能な作用側電極要素、対向電極要素及び前記誘導型電源の変動磁界に応答して前記作用側電極要素及び対向電極要素に電圧を提供するための前記作用側電極要素及び対向電極要素に電気的に接続された2次巻線を有するイオントフォレーシス装置を備え、
前記イオントフォレーシス装置が前記誘導型電源と物理的に分離されていることを特徴とする誘導型電源の影響下で生体に1以上の活性物質を送達するシステム。 - 前記誘導型電源が前記1次巻線に交流電流又はパルス状直流電流の少なくとも1つを提供するよう動作可能であることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
- 前記イオントフォレーシス装置が、前記作用側電極要素及び対向電極要素と電気的に接続された再充電可能な電源であって、前記2次巻線からの充電を受けるように前記2次巻線に電気的に並列に接続された再充電可能な電源を備えることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
- 前記再充電可能な電源が、前記イオントフォレーシス装置の安定状態での動作を維持するために電圧を増減させることを特徴とする請求項3に記載のシステム。
- 前記再充電可能な電源が、化学電池、スーパーキャパシタ又はウルトラキャパシタ、燃料電池、二次電池、薄膜二次電池、ボタン電池、リチウムイオン電池、亜鉛空気電池、ニッケル水素電池の少なくとも1つを有することを特徴とする請求項16に記載のシステム。
- 前記誘導型電源が1以上の活性物質の治療的に有効量の送達に関連するデューティーサイクルを達成するように動作可能であることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
- 前記誘導型電源が、少なくとも1以上の活性物質又は生体のために設定された送達プロファイルに基づくデューティサイクルをもって交流電流又はパルス状直流電流のすくなくとも一方を前記1次巻線に提供するよう動作可能であることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
- イオントフォレーシス送達装置に給電する方法であって、
前記イオントフォレーシス送達装置から分離されて収容される1次巻線に印加する電流を変化させて変動電磁界を発生させるステップと、
前記変動磁界が発生したときに2次巻線が前記変動磁界内にあるように前記イオントフォレーシス送達装置に収容される前記2次巻線を位置させるステップとを有することを特徴とする方法。 - 前記イオントフォレーシス送達装置の作用側電極及び対向電極を生物的対象上に位置させるステップを更に有することを特徴とする請求項8に記載の方法。
- 前記1次巻線に印加する電流の変化に応答して生物的対象に活性物質が供給されるように、前記1次巻線に印加する電流を変化させて前記変動電磁界を発生させる前に前記イオントフォレーシス送達装置の前記作用側電極及び対向電極を前記生物的対象上に位置させるステップを更に有することを特徴とする請求項8に記載の方法。
- 前記1次巻線に印加する前記電流を変化させるステップが、送達プロファイルに従って前記電流を変化させるステップを含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
- 前記1次巻線に印加する前記電流を変化させるステップが、前記活性物質の送達プロファイルに従って前記電流を変化させるステップを含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
- 前記1次巻線に印加する前記電流を変化させるステップが、前記生物的対象の身体的特徴を示す少なくとも1のパラメータに基づく送達プロファイルに従って前記電流を変化させるステップを含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
- 再充電可能な電源に電力を貯蔵するステップを更に有することを特徴とする請求項8に記載の方法。
- 貯蔵された電力に応じて活性物質が生物的対象に供給されるように、前記再充電可能な電源に電力を貯蔵した後であって、前記1次巻線に印加する電流を変化させて前記変動電磁界を発生させる前に、前記イオントフォレーシス送達装置の作用側電極及び対向電極を前記生物的対象上に位置させるステップを更に有することを特徴とする請求項8に記載の方法。
- 第1表面と、前記第1表面に対向する第2表面を有する少なくとも第1基板上にインダクター要素を形成するステップと、
少なくとも1の活性物質貯留槽と、前記活性物質貯留槽から活性物質を駆動するための起電力を提供するように動作可能な少なくとも1の作用側電極要素を含む作用側電極構造体と、少なくとも1の対向電極要素を含む対向電極構造体とを有するイオントフォレーシス装置に前記インダクター要素を電気的に接続するステップとを有する誘導により給電されるイオントフォレーシス装置の形成方法であって、
前記インダクター要素が、外部の源から前記インダクター要素に印加される変動電磁界に応答して少なくとも前記作用側電極要素及び対向電極要素に電圧を提供するように動作可能であることを特徴とする方法。 - 少なくとも第1基板上にインダクター要素を形成するステップが、前記第1基板の少なくとも前記第1表面に導電軌跡を堆積させるステップを含み、
前記導電軌跡が、前記導電軌跡に印加される変動電磁界に応答して少なくとも前記作用側電極要素及び前記対向電極要素に電圧を提供するように動作可能であることを特徴とする請求項16に記載の方法。 - 少なくとも第1基板上にインダクター要素を形成するステップが。前記第1基板上に前記インダクター要素の第1の部分を形成するステップを含み、
第1表面と前記第1表面に対向する第2表面とを有する第2基板上に前記インダクター要素の第2の部分を形成するステップを更に有することを特徴とする請求項16に記載の方法。 - 前記第1基板上に前記インダクター要素の第1の部分を形成し、前記第2基板上に前記インダクター要素の第2の部分を形成するステップが、
前記第1基板の前記第1表面上に第1の導電軌跡を堆積させるステップと、
前記第2基板の前記第1表面上に第2の導電軌跡を堆積させるステップと、
前記第1基板及び前記少なくとも第2基板を含む積層体を形成するステップを含み、
前記第1及び第2の導電軌跡が電気的に接続されて多重ループのインダクターを形成し、
前記電気的に接続された前記第1及び第2導電軌跡が、前記第1及び第2導電軌跡に印加される変動電磁界に応答して少なくとも前記作用側電極要素及び前記対向電極要素に電圧を提供するよう動作可能であることを特徴とする請求項16に記載の方法。 - 少なくとも第1基板上にインダクター要素を形成するステップが。
前記基板の前記第1表面上に前記導電軌跡をパターニングするためのフォトレジストマスクを形成するステップと、
前記基板の前記第1表面上の前記導電軌跡をエッチングするステップとを有することを特徴とする請求項16に記載の方法。 - 前記インダクター要素と並列に再充電可能な電源を電気的に接続するステップを更に有し、
前記再充電可能な電源が、印加される変動電磁界に応答して前記インダクター要素から提供される電力を貯蔵するように動作可能であることを特徴とする請求項16に記載の方法。
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