JP2010502184A - プロテアーゼ阻害剤の同定方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、NS3・4Aプロテアーゼ分子を用いてHCV NS3プロテアーゼ活性をアッセイするための方法を記載する。本発明はまた、NS3プロテアーゼの調節剤をスクリーニングおよび同定する方法を提供する。
Description
本発明は、2006年8月28日出願の米国仮特許出願第60/840,573号の利益を主張し、それは参照により本明細書中に包含させる。
発明の分野
本発明は、C型肝炎ウイルス(HCV)のNS3プロテアーゼの活性をアッセイするための方法およびHCV NS3プロテアーゼの阻害剤のスクリーニング方法に関する。
本発明は、C型肝炎ウイルス(HCV)のNS3プロテアーゼの活性をアッセイするための方法およびHCV NS3プロテアーゼの阻害剤のスクリーニング方法に関する。
背景
C型肝炎ウイルスによる感染は、切実なヒトの医学的問題である。HCVは、非A非B型肝炎のほとんどの症例の原因因子として認識されており、全世界で、概算で3%のヒト血清陽性率である[A. Alberti et al., “Natural History of Hepatitis C,” J. Hepatology, 31., (Suppl. 1), pp. 17−24 (1999)]。米国だけでも400万名近くが、感染している可能性がある[M.J. Alter et al., “The Epidemiology of Viral Hepatitis in the United States”, Gastroenterol. Clin. North Am., 23, pp. 437−455 (1994); M. J. Alter “Hepatitis C Virus Infection in the United States,” J. Hepatology, 31., (Suppl. 1), pp. 88−91 (1999)]。
C型肝炎ウイルスによる感染は、切実なヒトの医学的問題である。HCVは、非A非B型肝炎のほとんどの症例の原因因子として認識されており、全世界で、概算で3%のヒト血清陽性率である[A. Alberti et al., “Natural History of Hepatitis C,” J. Hepatology, 31., (Suppl. 1), pp. 17−24 (1999)]。米国だけでも400万名近くが、感染している可能性がある[M.J. Alter et al., “The Epidemiology of Viral Hepatitis in the United States”, Gastroenterol. Clin. North Am., 23, pp. 437−455 (1994); M. J. Alter “Hepatitis C Virus Infection in the United States,” J. Hepatology, 31., (Suppl. 1), pp. 88−91 (1999)]。
HCVゲノムは、構造NH2−C−E1−E2−p7−NS2−NS3−NS4A−NS4B−NS5A−NS5B−COOHを有する、3010−3033アミノ酸のポリタンパク質をコードする[Q.L. Choo, et al., “Genetic Organization and Diversity of the Hepatitis C Virus.” Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88, pp. 2451−2455 (1991); N. Kato et al., “Molecular Cloning of the Human Hepatitis C Virus Genome From Japanese Patiants with Non−A, Non−B Hepatitis,” Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87, pp. 9524−9528 (1990); A. Takamizawa et al., “Structure and Organization of the Hepatitis C Virus Genome Isolated From Human Carriers,” J. Virol., 65, pp. 1105−1113 (1991)]。HCV非構造(NS)タンパク質は、ウイルス複製に必須の触媒機構を提供すると考えられている。NSタンパク質は、ポリタンパク質のタンパク質分解的切断によって得られる[R. Bartenschlager et. al., “Nonstructural Protein 3 of the Hepatitis C Virus Encodes a Serine−Type Proteinase Required for Cleavage at the NS3/4 and NS4/5 Junctions,” J. Virol., 67, pp. 3835−3844 (1993);A. Grakoui et. al., “Characterization of the Hepatitis C Virus −Encoded Serine Proteinase: Determination of Proteinase−Dependent Polyprotein Cleavage Sites,” J. Virol., 67, pp. 2832−2843 (1993);A. Grakoui et. al., “Expression and Identification of Hepatitis C Virus Polyprotein Cleavage Products,” J. Virol., 67, pp. 1385−1395 (1993);L. Tomei et. al., “NS3 is a serine protease required for processing of hepatitis C virus polyprotein”, J. Virol., 67, pp. 4017−4026 (1993)]。
HCV NSタンパク質3(NS3)には、大部分のウイルス酵素の合成を補助するセリンプロテアーゼ活性が含まれ、故に、ウイルス複製および感染性に必須であると見なされる。黄熱病ウイルスNS3プロテアーゼにおける変異は、ウイルス感染性を減少することが知られている[Chambers, T.J. et al., “Evidence that the N−terminal Domain of Nonstructural Protein NS3 From yellow Fever Virus is a Serine Protease” Responsible for Site−Specific Cleavages in the Viral Polyprotein”, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87, pp. 8898−8902 (1990)]。NS3の最初の181アミノ酸(ウイルスポリタンパク質の残基1027−1207)は、HCVポリタンパク質の4つ全ての下流部位を処理するNS3のセリンプロテアーゼドメインを含むことが示されている[C. Lin et al., “Hepatitis C Virus NS3 Serine Proteinase: Trans−Cleavage Requirements and Processing Kinetics”, J. Virol., 68, pp. 8147−8157 (1994)]。NS3タンパク質はまた、ヘリカーゼおよびNTPaseドメインを有する。
HCV NS3 セリンプロテアーゼおよびそれと関係する補因子NS4Aは、ウイルス酵素の全過程を補助し、故に、ウイルス複製に必須であると見なされる。このプロセシングは、ウイルス酵素プロセシングにも関与する、ヒト免疫不全ウイルス アスパルチルプロテアーゼにより行われるのと同様であると考えられている。ウイルスタンパク質プロセシングを阻害するHIVプロテアーゼ阻害剤は、ヒトにおける強力な抗ウイルス剤であり、ウイルス生活環のこの段階を中断することは、結果として治療的活性剤であることを示す。結果として、類似のHCV NS3 セリンプロテアーゼおよびNS4Aは、創薬の魅力的な標的である。
いくつかの可能性のあるHCVプロテアーゼ阻害剤が既報である[PCT公開番号WO02/18369、WO02/08244、WO00/09558、WO00/09543、WO99/64442、WO99/07733、WO99/07734、WO99/50230、WO98/46630、WO98/17679およびWO97/43310;米国特許番号第5,990,276号; M. Llinas−Brunet et al., Bioorg. Med. Chem. Lett., 8, pp. 1713−18 (1998); W. Han et al., Bioorg. Med. Chem. Lett., 10, 711−13 (2000); R. Dunsdon et al., Bioorg. Med. Chem. Lett., 10, pp. 1571−79 (2000); M. Llinas−Brunet et al., Bioorg. Med. Chem. Lett., 10, pp. 2267−70 (2000); and S. LaPlante et al., Bioorg. Med. Chem. Lett., 10, pp. 2271−74 (2000)]。それにもかかわらず、現在のHCVの理解は、何らかの他の満足のいく抗HCV剤または処置法をもたらさない。HCV疾患の確立された治療は、インターフェロン処置のみである。しかしながら、インターフェロンは、重大な副作用を有し[M. A. Wlaker et al., “Hepatitis C Virus: An Overview of Current Approaches and Progress,” DDT, 4, pp. 518−29 (1999);D. Moradpour et al., “Current and Evolving Therapies for Hepatitis C,” Eur. J. Gastroenterol. Hepatol., 11, pp. 1199−1202 (1999);H. L. A. Janssen et al. “Suicide Associated with Alfa−Interferon Therapy for Chronic Viral Hepatitis,” J. Hepatol., 21, pp. 241−243 (1994);P.F. Renault et al., “Side Effects of Alpha Interferon,” Seminars in Liver Disease, 9, pp. 273−277. (1989)]、症例の約25%のみの長期寛解をもたらす[O. Weiland, “Interferon Therapy in Chronic Hepatitis C Virus Infection”, FEMS Microbiol. Rev., 14, pp. 279−288 (1994)]。さらに、有効な抗HCVワクチンの見込みは、不明確なままである。
故に、より有効な抗HCV治療が必要である。そのような阻害剤は、プロテアーゼ阻害剤、特にセリンプロテアーゼ阻害剤、より具体的にはHCV NS3プロテアーゼ阻害剤として治療可能性を有し得る。特に、そのような化合物は、抗ウイルス剤、特に抗HCV剤として有用であり得る。そのため、より有効なHCV NS3プロテアーゼ阻害剤を同定し得るアッセイが必要とされる。
概要
本発明は、NS3・4Aプロテアーゼ分子を用いてHCV NS3プロテアーゼ活性をアッセイするための方法を提供する。本発明はまた、NS3プロテアーゼの調節剤をスクリーニングおよび同定する方法を提供する。
本発明は、NS3・4Aプロテアーゼ分子を用いてHCV NS3プロテアーゼ活性をアッセイするための方法を提供する。本発明はまた、NS3プロテアーゼの調節剤をスクリーニングおよび同定する方法を提供する。
第一局面において、本発明は、配列番号1を含む単離タンパク質を含むサンプルにHCV遺伝子型1aのNS5A/5B切断部位に基づくペプチド基質を添加することによりHCV NS3プロテアーゼの活性を測定する方法を提供する。基質および生成物をHPLCにより分離し、該生成物ピークを定量する。第一局面の態様において、該方法は、該サンプルに配列番号4を含むNS4A補因子ペプチドを添加することをさらに含む。他の態様において、該ペプチド基質は、配列番号2、配列番号5または配列番号6の配列を含み得る。
さらに別の態様において、該基質は配列番号2を含み、該生成物ピークは、210μmで収集される吸光度データを用いて定量される。C末端生成物ピークはまた、該基質が配列番号5を含むとき、約350μm励起/約490μm発光で収集される蛍光データを用いて定量され得る。該基質が配列番号6であるとき、該N末端生成物ピークは、約440μm励起/約520μm発光で収集される蛍光データを用いて定量され得る。
他の局面において、本発明は、C型肝炎ウイルスのNS3・4Aプロテアーゼの調節剤を同定する方法を提供する。この方法において、供試化合物が、配列番号1を含むタンパク質を含むサンプルに添加される。C型肝炎ウイルス遺伝子型1aのNS5A/NS5B切断部位に基づくペプチド基質が添加され、該基質および生成物は、HPLCを用いて分離され、そして該生成物ピークが定量される。一態様において、該方法は、該サンプルに配列番号4を含むNS4A補因子ペプチドを添加する工程をさらに含む。
さらに他の局面において、本発明は、供試化合物が、NS3プロテアーゼの活性またはNS4A補因子の活性を修飾するか否かを決定する方法を提供する。本方法において、供試化合物は、配列番号1を含むタンパク質を含むサンプルに添加される。NS4A補因子ペプチドが添加され、C型肝炎ウイルス遺伝子型1aのNS5A/NS5B切断部位に基づくペプチド基質も添加される。生成物の第一の量を、基質および生成物を逆相HPLCカラムで分離することにより測定し;そして、該生成物ピークを定量する。生成物の第一の量を、NS4A補因子ペプチド不含有にて測定される生成物の第二の量と比較する。一態様において、NS4A補因子ペプチドは配列番号4を含む。別の態様において、ペプチド基質は、配列番号2、配列番号5または配列番号6である。
またさらなる他の局面において、本発明は、配列番号1を含むタンパク質を含むサンプルおよびC型肝炎ウイルス遺伝子型1aのNS5A/NS5B切断部位に基づくペプチド基質を含むキットを提供する。一態様において、該キットは、配列番号4を含むNS4A補因子ペプチドをさらに含む。他の態様において、該ペプチド基質は、配列番号2、配列番号5または配列番号6であるか、またはそれらの組合せである。さらに他の態様において、該キットは、1種以上の公知のNS4A補因子の調節剤および1種以上の公知のNS3プロテアーゼの調節剤をさらに含む。
配列表
配列番号1 N末端ヒスチジンタグを含むNS3・4Aタンパク質配列
配列番号2 NS5AB基質
配列番号3 NS4A、KK4A補因子ペプチド
配列番号4 NS4A補因子ペプチド
配列番号5 NS5AB−EDANS基質
配列番号6 FITC−NS5AB−1基質
配列番号1 N末端ヒスチジンタグを含むNS3・4Aタンパク質配列
配列番号2 NS5AB基質
配列番号3 NS4A、KK4A補因子ペプチド
配列番号4 NS4A補因子ペプチド
配列番号5 NS5AB−EDANS基質
配列番号6 FITC−NS5AB−1基質
定義
本明細書で用いる“類似体”は、NS3プロテアーゼにより切断されるか、または該プロテアーゼの補因子として作用する能力のような所望の活性を有する、基質または補因子のような参照分子の誘導体を意味する。一般的に、用語“類似体”は、天然ペプチド配列、ならびに1個以上のアミノ酸付加、置換および/または欠失を含む構造を有する化合物を意味する。該アミノ酸変化は、天然に生じないアミノ酸を含む。
本明細書で用いる“類似体”は、NS3プロテアーゼにより切断されるか、または該プロテアーゼの補因子として作用する能力のような所望の活性を有する、基質または補因子のような参照分子の誘導体を意味する。一般的に、用語“類似体”は、天然ペプチド配列、ならびに1個以上のアミノ酸付加、置換および/または欠失を含む構造を有する化合物を意味する。該アミノ酸変化は、天然に生じないアミノ酸を含む。
ポリペプチドおよびタンパク質について、類似体は一般的に、天然で保存されている置換基、すなわち、それらの側鎖に関係するアミノ酸ファミリー内で起こる置換基を含む。具体的には、アミノ酸は一般的に、4つのファミリー:(1)酸性−−アスパラギン酸およびグルタミン酸;(2)塩基性−−リシン、アルギニン、ヒスチジン;(3)非極性−−アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン;および(4)非荷電極性−−グリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、スレオニン、チロシン、に分類される。フェニルアラニン、トリプトファンおよびチロシンはしばしば、芳香族性アミノ酸に分類される。例えば、ロイシンのイソロイシンまたはバリンでの単離された置換、アスパラギン酸のグルタミン酸での単離された置換、スレオニンのセリンでの単離された置換、または構造的に関係するアミノ酸でのアミノ酸の同様の保存的置換が、生物学的活性に大きな影響を与えないことが当然予想される。興味のあるポリペプチドは、例えば、該分子の所望の機能がそのまま残存している限り、約5−10までの保存的または非保存的アミノ酸置換、または約15−25までの保存的もしくは非保存的アミノ酸置換、または5ないし25の何れかの整数の保存的または非保存的アミノ酸置換を含み得る。当業者は、当技術分野でよく知られているHopp/Woods and Kyte−Doolittle plotsを参照することにより、変化を許容し得る興味のある分子の位置を容易に決定し得る。
ポリペプチドについて言及するとき、“単離された”は、示した分子が、天然で見出されるか、または同タイプの他の生物学的高分子の実質的に不存在下で存在する該分子を有する全生物から単離および分離されることを意味する。
本発明と関係して用いる用語“ポリペプチド”または“タンパク質”は、その単量体が、アミド結合を介して共に結合される、アミノ酸残基である、ポリマーを意味する。該アミノ酸がアルファ−アミノ酸であるとき、L−光学異性体またはD−光学異性体の何れかが用いられ得る。本明細書で用いる用語“ポリペプチド”は、何らかのアミノ酸配列を包含し、糖タンパク質のような修飾配列を含むことを意図する。用語“ポリペプチド”は特に、天然に生じるタンパク質、ならびに組み換え的または合成的に合成されるものを包含することを意図し、それは、両構造が、同一の、または実質的に同一のアミノ酸配列を有するが、異なる三次元構造を有する、少なくとも2個の異なる構造で生じる。“断片”は、天然に生じるタンパク質の一部である。断片は、天然に生じるタンパク質と同一の、または実質的に同一のアミノ酸配列を有し得る。“実質的に同じ”または“実質的に類似”は、アミノ酸配列が、大部分が同一であるが、完全に同一ではないが、それが関係する配列の機能的活性を保持することを意味する。概して、2個のアミノ酸配列は、少なくとも85%同一であるとき、“実質的に同じ”または“実質的に相同性”である。
略語
EDANS 5−[(2’−アミノエチル)アミノ]ナフタレンスルホン酸
Abu アミノ酪酸
DTT ジチオスレイトール
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
NS3 C型肝炎ウイルス非構造タンパク質3
NS4A C型肝炎ウイルス非構造タンパク質4A
EDANS 5−[(2’−アミノエチル)アミノ]ナフタレンスルホン酸
Abu アミノ酪酸
DTT ジチオスレイトール
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
NS3 C型肝炎ウイルス非構造タンパク質3
NS4A C型肝炎ウイルス非構造タンパク質4A
詳細な説明
I.プロテアーゼアッセイおよびプロテアーゼ調節剤の同定
本発明の方法は、インビトロでのC型肝炎ウイルスのNS3プロテアーゼの活性を測定することにより、C型肝炎ウイルスのNS3プロテアーゼの調節剤、ならびに/またはNS3・4Aプロテアーゼおよび補因子の調節剤を同定する。該方法は、(a)NS3プロテアーゼ活性を有する単離したタンパク質を含むサンプルを提供し、(b)ペプチド基質を添加し、(c)所望によりNS4A補因子ペプチドを添加し、(d)該基質および生成物を分離し、そして該生成物ピークを定量する工程を含む。該方法は、アクティベーターおよび阻害剤を含む、NS3プロテアーゼの調節剤ならびに/またはNS3・4Aプロテアーゼおよびその補因子を決定するために用いられ得る。
I.プロテアーゼアッセイおよびプロテアーゼ調節剤の同定
本発明の方法は、インビトロでのC型肝炎ウイルスのNS3プロテアーゼの活性を測定することにより、C型肝炎ウイルスのNS3プロテアーゼの調節剤、ならびに/またはNS3・4Aプロテアーゼおよび補因子の調節剤を同定する。該方法は、(a)NS3プロテアーゼ活性を有する単離したタンパク質を含むサンプルを提供し、(b)ペプチド基質を添加し、(c)所望によりNS4A補因子ペプチドを添加し、(d)該基質および生成物を分離し、そして該生成物ピークを定量する工程を含む。該方法は、アクティベーターおよび阻害剤を含む、NS3プロテアーゼの調節剤ならびに/またはNS3・4Aプロテアーゼおよびその補因子を決定するために用いられ得る。
A.NS3プロテアーゼタンパク質
プロテアーゼタンパク質は、HCVのNS3ポリペプチド全体、NS3およびNS4Aポリペプチド、ならびにNS3、NS4AおよびNS4Bを含むより長いポリペプチドを含み得る。例えば、NS3ポリペプチドおよびNS4Aポリペプチドの1ないし53個のアミノ酸を含む断片を含む、より短いプロテアーゼポリペプチドも、該アッセイに用いられ得る。プロテアーゼタンパク質はまた、プロテアーゼ活性を有するより短いポリペプチド、例えば最初の181アミノ酸のNS3タンパク質またはNS3タンパク質のより長い断片を含み得る。NS3−4AポリペプチドおよびNS3−4A−4Bポリペプチドは、HCVポリタンパク質中で連続していてよいか、またはNS3およびNS4Aポリペプチドは、リンカーまたは他のペプチド配列により中断されていてよい。同様に、NS3およびNS4A−4Bポリペプチドは、連続または中断されたものであり得る。NS3およびNS4A間の切断部位は、発現によってNS4AがNS3との共有結合を残すように、それが発現される前に核酸配列において変異されていてよい。
プロテアーゼタンパク質は、HCVのNS3ポリペプチド全体、NS3およびNS4Aポリペプチド、ならびにNS3、NS4AおよびNS4Bを含むより長いポリペプチドを含み得る。例えば、NS3ポリペプチドおよびNS4Aポリペプチドの1ないし53個のアミノ酸を含む断片を含む、より短いプロテアーゼポリペプチドも、該アッセイに用いられ得る。プロテアーゼタンパク質はまた、プロテアーゼ活性を有するより短いポリペプチド、例えば最初の181アミノ酸のNS3タンパク質またはNS3タンパク質のより長い断片を含み得る。NS3−4AポリペプチドおよびNS3−4A−4Bポリペプチドは、HCVポリタンパク質中で連続していてよいか、またはNS3およびNS4Aポリペプチドは、リンカーまたは他のペプチド配列により中断されていてよい。同様に、NS3およびNS4A−4Bポリペプチドは、連続または中断されたものであり得る。NS3およびNS4A間の切断部位は、発現によってNS4AがNS3との共有結合を残すように、それが発現される前に核酸配列において変異されていてよい。
プロテアーゼタンパク質は、結合された異種タンパク質を含む融合タンパク質であり得る。例えば、N−またはC−末端ヒスチジンまたはGSTタグは、精製を目的としてプロテアーゼタンパク質に付加され得る。例えばプロテアーゼタンパク質を固体支持体上に固定するために、他のペプチドまたは要素も付加され得る。
プロテアーゼタンパク質をコード化するポリ核酸は、組み換えDNA技術を用いて発現ベクター中に挿入され、大腸菌のような細菌;出芽酵母のような酵母、他の酵母および真菌、バキュロウイルスベクターを用いる昆虫細胞、または培養細胞を含む他の発現系および哺乳動物系を含む芽、これらに限定されない多数の細胞または生物で発現され得る。上記のベクターおよび発現系は、当業者によく知られており、参照により本明細書中に包含されるCurrent Protocols in Molecular Biology, Vol. 2, Ed. Ausubel, et al., Greene Publish. Assoc. & Wiley Interscience, 1988; with supplements 2007に見出され得る。
B.基質
基質は、NS3プロテアーゼの天然の切断部位である、HCVプロテアーゼ部位NS5A/5B、NS4A/4BおよびNS4B/5Aの配列の一つを模倣するペプチドまたは修飾ペプチドであり得る(Grakoui et al., Virology, 67:2832−43, 1993)。基質は、プロテアーゼ切断可能なペプチド結合に天然で隣接するアミノ酸であり得る少なくとも3個のアミノ酸により両末端に位置する認識部位を含む。基質ペプチドは、8個程度の短いアミノ酸であり得るか、または20個より長いアミノ酸であり得る。プロテアーゼ認識部位の1個以上のコピーが基質ペプチド中に存在していてよく、それらは連続して存在していてよい。ペプチド中に少なくとも1個のエステル結合を有するペプチドであるデプシペプチド基質も用いられ得る。天然に生じないアミノ酸のような他の残基が、ペプチド基質においてアミノ酸に付加または置換され得る。基質ペプチドはまた、例えば微量アミノ酸およびデキストラ(dextra)−アミノ酸を含む、修飾体を包含していてもよい。修飾ペプチドは、化学的に合成され得る。
基質は、NS3プロテアーゼの天然の切断部位である、HCVプロテアーゼ部位NS5A/5B、NS4A/4BおよびNS4B/5Aの配列の一つを模倣するペプチドまたは修飾ペプチドであり得る(Grakoui et al., Virology, 67:2832−43, 1993)。基質は、プロテアーゼ切断可能なペプチド結合に天然で隣接するアミノ酸であり得る少なくとも3個のアミノ酸により両末端に位置する認識部位を含む。基質ペプチドは、8個程度の短いアミノ酸であり得るか、または20個より長いアミノ酸であり得る。プロテアーゼ認識部位の1個以上のコピーが基質ペプチド中に存在していてよく、それらは連続して存在していてよい。ペプチド中に少なくとも1個のエステル結合を有するペプチドであるデプシペプチド基質も用いられ得る。天然に生じないアミノ酸のような他の残基が、ペプチド基質においてアミノ酸に付加または置換され得る。基質ペプチドはまた、例えば微量アミノ酸およびデキストラ(dextra)−アミノ酸を含む、修飾体を包含していてもよい。修飾ペプチドは、化学的に合成され得る。
基質ポリペプチド、例えば配列番号2のNS5ABペプチドは、基質の切断を検出するために用いられるシグナル(検出可能シグナル)なしで用いられ得る。基質は、配列番号5のNS5AB−EDANSペプチドにおけるようなEDANS(1−ナフタレンスルホン酸−5(2−アミノエチルアミド)のような蛍光標識、配列番号6のFITC−NS5AB−1におけるようなFITC(フルオレセインイソチオシアネート)、または他の蛍光標識を有していてもよい。該標識は、基質のN−末端またはC−末端に結合されていてよいか、または内部残基に結合されていてよい。当業者に公知の他の蛍光標識も用いられ得る。
基質はまた、切断により検出され得る発色性基質を含む標識でもあり得る。例えば、C−末端のカルボキシル基は、Zhang et al., Analytical Biochemistry, 270:268−75, 1999に記載の通り、3−または4−ニトロフェノール、7−ヒドロキシ−4−メチル−クマリンおよび4−フェニルアゾフェノールを含む発色性アルコールとエステル化され得る。切断した基質は、分光光度法で検出される。例えば、3−ニトロフェノールおよび7−ヒドロキシ−4−メチル−クマリンは340μmで、4−フェニルアゾフェノールは370μmで、そして4−ニトロフェノールは400μmで検出され得る。他の発色性基質も使用され得る。
基質はまた、共鳴エネルギー転移(RET)対を形成する2個の標識で標識され得る。例えば、該基質は、発色団がフルオロフォアの蛍光をクエンチするため、切断可能な結合の反対側に位置する発色団およびフルオロフォアを含み得る。基質切断により、発色団およびフルオロフォアが分離され、そして蛍光が検出され得る。例えば、EDANSは、切断可能な結合の一方に存在してよく、そしてDABCYL(4−ジメチルアミノフェニルアゾベンゾイル)基は、他方のアミノ酸残基に結合されている。DABCYLは、EDANSの蛍光をクエンチするのに十分近位でなければならず、例えばDABCYLおよびEDANSは、約6個の残基またはそれ以上で隔てられ得る。RET対を含む基質を用いるNS3プロテアーゼアッセイは、参照により本明細書中に包含されるPCT公開番号WO05/043118に記載される。DABCYLはまた、MCA(メトキシクマリン酢酸)、TET(テトラクロロフルオレセイン)、JOE(カルボキシ−4’−5’−ジクロロ−2’,7’−ジメトキシフルオレセイン)、FAM(カルボキシフルオレセイン)ならびに他のフルオロフォアおよび発色団の蛍光をクエンチするために用いられ得る。
基質上の検出可能なシグナルには、エピトープ、抗体結合領域、酵素、タンパク質結合ドメインまたは核酸結合ドメインも含まれ得る。基質には、放射性標識も含まれ得る。
基質は、固体支持体に結合され得る。例えば、基質は、ペプチド基質のN−またはC−末端上のエピトープを認識する抗体でコーティングされた固体支持体に結合されていてよい。一態様において、FLAGタグは、基質のN−末端部分に結合されていてよく、かつウェルが抗FLAG抗体でコーティングされているマイクロタイタープレートに結合されていてよい。固体支持体はまた、ラテックス粒子、常磁性粒子、常磁性ラテックス粒子、膜、ポリスチレンマイクロビーズおよびガラスビーズであり得る。基質はまた、affigelのようなゲルクロマトグラフィーマトリクスに架橋して結合し得る。固体支持体に結合した基質は、上記の通りに標識され得る。
C.NS4A補因子
NS4A補因子は、NS3プロテアーゼの活性を増大するためにアッセイに添加され得る。補因子は、例えば配列番号1のNS4Aポリペプチドを含むものを含む、上記のNS3プロテアーゼポリペプチドの何れかに添加され得る。補因子は、全部で54アミノ酸のNS4Aペプチドであり得るか、またはそれより短いペプチドであり得る。より短いペプチドが用いられるとき、NS4A補因子は、NS4Aの中心部分であるNSA4のアミノ酸21−34を含む。例えば、補因子は、配列番号4を含むペプチドであってよく、それは、23個のアミノ酸長であり、NSA4の中心部分を含む。該補因子はまた、NSA4のアミノ酸21−34から構成され得る。NS4Aペプチドの14アミノ酸から全部で54アミノ酸のより長いペプチドもまた、用いられ得る。
NS4A補因子は、NS3プロテアーゼの活性を増大するためにアッセイに添加され得る。補因子は、例えば配列番号1のNS4Aポリペプチドを含むものを含む、上記のNS3プロテアーゼポリペプチドの何れかに添加され得る。補因子は、全部で54アミノ酸のNS4Aペプチドであり得るか、またはそれより短いペプチドであり得る。より短いペプチドが用いられるとき、NS4A補因子は、NS4Aの中心部分であるNSA4のアミノ酸21−34を含む。例えば、補因子は、配列番号4を含むペプチドであってよく、それは、23個のアミノ酸長であり、NSA4の中心部分を含む。該補因子はまた、NSA4のアミノ酸21−34から構成され得る。NS4Aペプチドの14アミノ酸から全部で54アミノ酸のより長いペプチドもまた、用いられ得る。
D.生成物の分離および定量
反応生成物の定量法は、用いる基質によって変わる。NS5AB[配列番号2]のような標識なしの基質について、生成物は、クロマトグラフィー、通常HPLCにより分離でき、そして生成物ピークが定量される。EDANSおよびFITCのような蛍光標識を有する基質について、生成物はまた、HPLCのようなクロマトグラフィーにより分離され、そして生成物ピークが定量され得る。
反応生成物の定量法は、用いる基質によって変わる。NS5AB[配列番号2]のような標識なしの基質について、生成物は、クロマトグラフィー、通常HPLCにより分離でき、そして生成物ピークが定量される。EDANSおよびFITCのような蛍光標識を有する基質について、生成物はまた、HPLCのようなクロマトグラフィーにより分離され、そして生成物ピークが定量され得る。
3−ニトロフェノールで標識されたペプチド基質のような発色性基質が用いられるとき、反応生成物は、上記の通り分光光度法で検出され得る。
ペプチド基質がRET対で標識されるとき、反応生成物は、適当な励起および発光波長を用いて蛍光により検出され得る。
E.調節剤
本発明は、構成要素が相互作用するのに十分な条件下で、供試化合物およびNS3プロテアーゼを含むポリペプチドを含むインキュベート要素を含む、NS3プロテアーゼ活性を調節する化合物を同定し、そしてプロテアーゼの活性に対する化合物の作用を決定するための方法を提供する。本明細書で用いる用語“作用する”は、NS3プロテアーゼ活性を調節し得る何らかの手段を包含する。かかる化合物には、下記の通り、例えばポリペプチド、ペプチド模倣体、化合物および生物学的因子が含まれる。
本発明は、構成要素が相互作用するのに十分な条件下で、供試化合物およびNS3プロテアーゼを含むポリペプチドを含むインキュベート要素を含む、NS3プロテアーゼ活性を調節する化合物を同定し、そしてプロテアーゼの活性に対する化合物の作用を決定するための方法を提供する。本明細書で用いる用語“作用する”は、NS3プロテアーゼ活性を調節し得る何らかの手段を包含する。かかる化合物には、下記の通り、例えばポリペプチド、ペプチド模倣体、化合物および生物学的因子が含まれる。
インキュベートは、供試化合物とNS3プロテアーゼの接触を可能にする条件を含む。接触は、液相中および固相中を含む。一態様において、供試リガンド(複数可)/化合物(複数可)は、複数の化合物をスクリーニングするためのコンビナトリアルライブラリーであり得る。本発明の方法で同定される化合物は、さらに評価され得る。
故に、本発明の方法は、NS3プロテアーゼ活性に作用する化合物を同定するためのコンビナトリアル化学的方法を含む。本発明の方法を用いることにより、NS3プロテアーゼの活性を調節、活性化または阻害する分子および化合物を同定することが可能となる。
NS4Aタンパク質もアッセイに含まれ得るため、該アッセイはまた、NS3プロテアーゼの補因子としてNS4Aの機能を調節する化合物を同定し得る。本方法において、該アッセイは、NS4A補因子の有無において行われ、生成物は定量され、生成物の量が比較される。下記のアッセイ:(1)NS3Aプロテアーゼあり、NS4A補因子なし、かつ供試化合物なし、(2)NS3Aプロテアーゼあり、NS4A補因子あり、かつ供試化合物なし、(3)NS3Aプロテアーゼあり、NS4A補因子なし、かつ供試化合物あり、ならびに(4)NS3Aプロテアーゼあり、NS4A補因子あり、かつ供試化合物あり、の生成物を比較することにより、供試化合物が、NS3Aプロテアーゼ、NS4A補因子、またはそれらの組合せを調節するか否かを決定することができる。
標識したインビトロタンパク質−タンパク質結合アッセイ、NS3プロテアーゼ活性を測定するインビトロおよびインビボアッセイを含む多様なアッセイが、NS3プロテアーゼ活性を調節する分子および化合物をスクリーニングするために用いられ得る。一般的に、複数のアッセイ混合物が、種々の濃度に対する異なる応答を得るために、異なる候補分子または化合物濃度で並行して行われる。典型的に、これらの濃度の1つは、負の対照、すなわちゼロ濃度または検出レベル以下である。
候補化合物および分子は、50を超えて約2,500ダルトン未満の分子量を有する小さい有機化合物のような有機分子を含む多数の化合物クラスを包含する。候補化合物および分子は、タンパク質と構造的に相互作用する、特に水素結合するのに必要な官能基を含んでいてよく、一態様において、少なくとも1個のアミン、カルボニル、ヒドロキシルまたはカルボキシル基を含む。別の態様において、少なくとも2個の官能基が、候補化合物に包含される。さらに他の態様において、該候補分子および化合物は、1個以上の上記の官能基で置換された、環状炭素もしくはヘテロ環式構造および/または芳香族性もしくは多芳香族性構造を含む。候補分子および化合物はまた、ペプチド類、糖類、脂肪酸類、ステロイド、プリン類、ピリミジン類、誘導体、構造的類似体またはそれらの組合せを含むが、これらに限定されない生体分子にも見出される。候補分子および化合物は、合成または天然化合物のライブラリーを含む種々の供給源から得られる。例えば、多数の手段が、無作為化オリゴヌクレオチドおよびオリゴペプチドの発現を含む、多様な有機化合物および生体分子の無作為かつ直接的合成に利用される。あるいは、細菌、真菌、植物および動物抽出物の形態の天然化合物のライブラリーが利用可能であるか、または容易に製造される。さらに、天然または合成で製造されるライブラリーおよび化合物は、常套の化学的、物理的および生化学的手段により容易に修飾され、コンビナトリアルライブラリーを製造するために用いられ得る。公知の薬剤は、アシル化、アルキル化、エステル化およびアミド化のような直接的または無作為の化学修飾によって、構造類似体を生じ得る。
種々の他の試薬が、スクリーニングアッセイに包含され得る。これらには、最適なタンパク質−タンパク質結合を促進し、かつ/または非特異的もしくはバックグラウンド相互作用を減じるために用いられる、塩、天然タンパク質、例えばアルブミン、界面活性剤などの試薬が含まれる。プロテアーゼ阻害剤、ヌクレアーゼ阻害剤および抗菌剤のような該アッセイの効率を改善する試薬を用いてよい。要素の混合物は、必要な結合を提供するために添加される。インキュベーションは、何らかの適当な温度、典型的には4℃ないし40℃で行われる。インキュベーション時間は、最適活性について選択されるが、迅速なハイスループットスクリーニングを促進するために最適化もされ得る。いくつかのアッセイ条件の詳細が、下記の実施例に包含される。
II.プロテアーゼ活性の検出および調節剤の同定のためのキット
本発明の方法に用いるための材料は、キットの作製に理想的に適している。かかるキットは、バイアル、チューブなどの、該方法で使用される別個の要素の一つをそれぞれ含む1個以上の容器手段を収容するために区分化されている運搬手段を含み得る。例えば、該容器手段の一つは、NS3プロテアーゼポリペプチドを含むサンプルを含み得る。第二の容器手段は、NS3プロテアーゼのペプチド基質を含み得る。該構成要素は、要すれば、液体または凍結乾燥形態で存在していてよい。第三の容器手段は、NS4A補因子ペプチドを含み得る。キットはまた、NS3プロテアーゼを阻害することが知られている化合物およびNS3プロテアーゼを活性化する第二の化合物をそれぞれ包含する第四および第五の容器手段を含み得る。該キットはまた、NS4A補因子を阻害することが知られている化合物およびNS4A補因子を活性化する第二の化合物をそれぞれ包含する第六および第七の容器手段を含み得る。
本発明の方法に用いるための材料は、キットの作製に理想的に適している。かかるキットは、バイアル、チューブなどの、該方法で使用される別個の要素の一つをそれぞれ含む1個以上の容器手段を収容するために区分化されている運搬手段を含み得る。例えば、該容器手段の一つは、NS3プロテアーゼポリペプチドを含むサンプルを含み得る。第二の容器手段は、NS3プロテアーゼのペプチド基質を含み得る。該構成要素は、要すれば、液体または凍結乾燥形態で存在していてよい。第三の容器手段は、NS4A補因子ペプチドを含み得る。キットはまた、NS3プロテアーゼを阻害することが知られている化合物およびNS3プロテアーゼを活性化する第二の化合物をそれぞれ包含する第四および第五の容器手段を含み得る。該キットはまた、NS4A補因子を阻害することが知られている化合物およびNS4A補因子を活性化する第二の化合物をそれぞれ包含する第六および第七の容器手段を含み得る。
実施例
実施例1:HCV NS3セリンプロテアーゼドメインのコンストラクションおよび発現
HCV NS3プロテアーゼの残基Ala1−Ser181をコード化するDNA断片(GenBank CAB46913)を、HCV Con1レプリコンプラスミド、I377neo/NS3−3’/wt(本研究においてpBR322−HCV−Neoと改名された)[V. Lohmann et al., Science, 285, pp. 110−113 (1999)]からPCRにより得て、大腸菌中でC−末端ヘキサ−ヒスチジンタグを有するHCVタンパク質を発現させるために、pBEV11(S. Chamber, et al., personal communication)中に挿入した。すべてのコンストラクトをシークエンシングにより確認した。
実施例1:HCV NS3セリンプロテアーゼドメインのコンストラクションおよび発現
HCV NS3プロテアーゼの残基Ala1−Ser181をコード化するDNA断片(GenBank CAB46913)を、HCV Con1レプリコンプラスミド、I377neo/NS3−3’/wt(本研究においてpBR322−HCV−Neoと改名された)[V. Lohmann et al., Science, 285, pp. 110−113 (1999)]からPCRにより得て、大腸菌中でC−末端ヘキサ−ヒスチジンタグを有するHCVタンパク質を発現させるために、pBEV11(S. Chamber, et al., personal communication)中に挿入した。すべてのコンストラクトをシークエンシングにより確認した。
HCV NS3セリンプロテアーゼドメインの発現コンストラクトを、BL21/DE3 pLysS 大腸菌細胞(Stratagene)中に形質変換した。新たに形質転換した細胞を、100μg/mlカルベニシリンおよび35μg/mLクロラムフェニコールを添加したBHI培地(Difco Laboratories)中、37℃にて、600μmでの光学密度が0.75まで増殖させた。1mM IPTGでの誘導を、24℃で4時間行った。細胞ペーストを遠心により集め、タンパク質精製前に−80℃で新鮮に冷凍した。全ての精製工程を、4℃で行った。次に、100gの細胞ペーストを、1.5Lの緩衝液A(50mM HEPES(pH8.0)、300mM NaCl、0.1%n−オクチル−β−D−グルコピラノシド、5mM β−メルカプトエタノール、10%(v/v)グリセロール)中に溶解し、30分間撹拌した。溶解物をMicrofluidizer(Microfluidics, Newton, Mass.)を用いてホモジナイズし、次いで、54,000×gで45分間超遠心した。5mMイミダゾールを含む緩衝液Aで予め平衡化した2mLのNi−NTA樹脂と共に、イミダゾールを5mMの終濃度になるまで上清に添加した。混合物を3時間振とうし、5mMイミダゾールを添加した緩衝液Aを20カラム容量用いて洗浄した。HCV NS3タンパク質を、300mMイミダゾールを含む緩衝液Aで溶出した。溶出液を濃縮し、緩衝液Aで予め平衡化したHi−Load 16/60 Superdex 200カラム上に充填した。適当な画分の精製HCVタンパク質を集め、−80℃で貯蔵した。
実施例2:HCV NS3プロテアーゼドメインペプチド切断アッセイ
本アッセイは、Landro, et al. (Landro JA, Raybuck SA, Luong YC, O’Malley ET, Harbeson SL, Morgenstern KA, Rao G and Livingston DL. Biochemistry 1997, 36, 9340−9348)に記載の方法の変法であり、HCV遺伝子型1aのNS5A/NS5B切断部位に基づくペプチド基質(NS5AB)を用いる。基質母液(25mM)を、0.2M DTTを含むDMSOで製造し、−20℃で貯蔵した。合成ペプチド補因子(KK4A)を、NS4Aの中心部の代わりに用いた。ペプチド配列を表1に示す。反応を、50mM HEPES pH7.8、100mM NaCl、20%グリセロール、5mM DTTおよび25μM KK4Aを含む緩衝液中、25μMないし50μM HCV NS3プロテアーゼドメインを用いて、96ウェルマイクロタイタープレート形式で行った。DMSOの最終濃度は、2%v/v以下であった。反応物をトリフルオロ酢酸(TFA)の添加によりクエンチし、2.5%の最終濃度を得た。
本アッセイは、Landro, et al. (Landro JA, Raybuck SA, Luong YC, O’Malley ET, Harbeson SL, Morgenstern KA, Rao G and Livingston DL. Biochemistry 1997, 36, 9340−9348)に記載の方法の変法であり、HCV遺伝子型1aのNS5A/NS5B切断部位に基づくペプチド基質(NS5AB)を用いる。基質母液(25mM)を、0.2M DTTを含むDMSOで製造し、−20℃で貯蔵した。合成ペプチド補因子(KK4A)を、NS4Aの中心部の代わりに用いた。ペプチド配列を表1に示す。反応を、50mM HEPES pH7.8、100mM NaCl、20%グリセロール、5mM DTTおよび25μM KK4Aを含む緩衝液中、25μMないし50μM HCV NS3プロテアーゼドメインを用いて、96ウェルマイクロタイタープレート形式で行った。DMSOの最終濃度は、2%v/v以下であった。反応物をトリフルオロ酢酸(TFA)の添加によりクエンチし、2.5%の最終濃度を得た。
SMSY生成物は、microbore分離装置を用いて基質およびKK4Aから分離された。用いた装置は、G1322A脱気装置、G1312AバイナリポンプまたはG1311Aクォータナリポンプの何れか、G1313A自動サンプルラー、G1316Aカラム恒温チャンバーおよびG1315Aダイオードアレイ検出器を備えるAgilent 1100であった。カラムは、流速0.2mL/分の、Phenomenex Jupiter、5μm C18、300Å、150×2mm、P/O 00F−4053−B0であった。該カラム恒温装置は、40℃であった。移動相は、HPLCグレードH2O/0.1%TFA(溶媒A)およびHPLCグレードCH3CN/0.1%TFA(溶媒B)であった。SMSY生成物ピークは、210μMで収集したデータを用いて定量した。
実施例3:NS3・4Aプロテアーゼのコンストラクションおよび発現
標準組み換えDNA技術を用いて、N−末端ヘキサ−ヒスチジン配列を含む、HCVサブタイプ株1a由来の残基Ala1027からCys1711であるNS3およびNS4Aのペプチド配列をコード化するcDNA断片を、バキュロウイルストランスファーベクターpVL1392(Webb NR and Summers MD (1990) Expression of proteins using recombinant baculoviruses, Techniques 2:173−188)中にクローニングした。NS3・4Aを含む組み換えバキュロウイルスを、DNAヨウトガ(Sf9)昆虫細胞中に線形オートグラファ・カルフォルニカ多核体ウイルス(Autographa californica nuclear polyhedrosis virus(AcMNPV))と共にpVL1392−His−NS3・4Aをコトランスフェクトして製造した。その後、組み換えバキュロウイルスクローンを含む形質転換した昆虫細胞を、プラーク精製により単離した。高力価クローン化バキュロウイルスを、タンパク質産生を目的としてSf9昆虫細胞を感染させるために常用した。産生において、Sf9細胞を、それらが2.0×106細胞/mL密度に達するまで、27℃で増殖させた。この時点で、該昆虫細胞をウイルスに感染させた。72時間後または70−80%の細胞が生存するとき、該培養物を採取し、細胞を直ちに精製した。
標準組み換えDNA技術を用いて、N−末端ヘキサ−ヒスチジン配列を含む、HCVサブタイプ株1a由来の残基Ala1027からCys1711であるNS3およびNS4Aのペプチド配列をコード化するcDNA断片を、バキュロウイルストランスファーベクターpVL1392(Webb NR and Summers MD (1990) Expression of proteins using recombinant baculoviruses, Techniques 2:173−188)中にクローニングした。NS3・4Aを含む組み換えバキュロウイルスを、DNAヨウトガ(Sf9)昆虫細胞中に線形オートグラファ・カルフォルニカ多核体ウイルス(Autographa californica nuclear polyhedrosis virus(AcMNPV))と共にpVL1392−His−NS3・4Aをコトランスフェクトして製造した。その後、組み換えバキュロウイルスクローンを含む形質転換した昆虫細胞を、プラーク精製により単離した。高力価クローン化バキュロウイルスを、タンパク質産生を目的としてSf9昆虫細胞を感染させるために常用した。産生において、Sf9細胞を、それらが2.0×106細胞/mL密度に達するまで、27℃で増殖させた。この時点で、該昆虫細胞をウイルスに感染させた。72時間後または70−80%の細胞が生存するとき、該培養物を採取し、細胞を直ちに精製した。
実施例4:NS3・4Aタンパク質の精製
NS3・4Aタンパク質(配列番号1)は、下記の通りに製造した。細胞ペーストを、1グラムの細胞ペースト当たり、少なくとも5倍量の溶解緩衝液(50mM Na2HPO4 pH8.0、10%グリセロール、300mM NaCl、5mM β−メルカプトエタノール、0.2mM PMSF、2.5μg/mLロイペプチン、1.0μg/mL E64、2.0μg/mLペプスタチン)中に溶解した。その後、該細胞ペーストをDounceホモジナイザーを用いて氷上でホモジナイズした。細胞を、microfluidizer(Microfluidics Corporation, Newton, MA)を一度通して機械的に破壊し、該細胞溶解物を氷上で収集した。細胞溶解物を4℃にて100,000×gで30分間遠心し、上清をデカントした。所望により、ペレットを洗浄緩衝液(溶解緩衝液+0.1%β−オクチルグルコピラノシド)中に再懸濁し、Dounceホモジナイザーを用いてホモジナイズし、4℃にて100,000×gで30分間遠心した。不溶性NS3・4Aを、2.5mL/g細胞ペーストを用いて、抽出緩衝液(溶解緩衝液+0.5%ラウリルマルトシド)中に再懸濁することによりペレットから抽出した。該混合物をDounceホモジナイザーを用いてホモジナイズし、4℃で3時間またはそれ以上混合した。該混合物を、4℃にて、100,000×gで30分間遠心した。上清をデカントし集めた。
NS3・4Aタンパク質(配列番号1)は、下記の通りに製造した。細胞ペーストを、1グラムの細胞ペースト当たり、少なくとも5倍量の溶解緩衝液(50mM Na2HPO4 pH8.0、10%グリセロール、300mM NaCl、5mM β−メルカプトエタノール、0.2mM PMSF、2.5μg/mLロイペプチン、1.0μg/mL E64、2.0μg/mLペプスタチン)中に溶解した。その後、該細胞ペーストをDounceホモジナイザーを用いて氷上でホモジナイズした。細胞を、microfluidizer(Microfluidics Corporation, Newton, MA)を一度通して機械的に破壊し、該細胞溶解物を氷上で収集した。細胞溶解物を4℃にて100,000×gで30分間遠心し、上清をデカントした。所望により、ペレットを洗浄緩衝液(溶解緩衝液+0.1%β−オクチルグルコピラノシド)中に再懸濁し、Dounceホモジナイザーを用いてホモジナイズし、4℃にて100,000×gで30分間遠心した。不溶性NS3・4Aを、2.5mL/g細胞ペーストを用いて、抽出緩衝液(溶解緩衝液+0.5%ラウリルマルトシド)中に再懸濁することによりペレットから抽出した。該混合物をDounceホモジナイザーを用いてホモジナイズし、4℃で3時間またはそれ以上混合した。該混合物を、4℃にて、100,000×gで30分間遠心した。上清をデカントし集めた。
NS3・4Aタンパク質を、ニッケル−NTA金属親和性クロマトグラフィーを用いてさらに精製した。2M母液、pH8.0からのイミダゾール溶液を、イミダゾールの最終濃度が10mMであるように、集めた上清に添加した。該上清を、溶解緩衝液+10mMイミダゾールで予め平衡化したニッケル−NTA親和性樹脂を用いて、4℃で一晩、バッチ式でインキュベートした。5μgの期待量のNS3−4A当たり、1mLの樹脂を用いた。次に、該樹脂を重力または500×gで5分間の遠心により沈殿させた。該樹脂を重力流カラム中に注ぎ、10またはそれ以上のカラム容量のニッケル洗浄緩衝液(溶解緩衝液+0.1%ラウリルマルトシド+10mMイミダゾール)で洗浄した。該カラムを、3ないし4カラム容量のニッケル溶出緩衝液(ニッケル洗浄緩衝液+300mMイミダゾール)で溶出した。該溶出画分を氷上で集め、SDS−PAGEを用いて評価した。NS3・4Aのタンパク質分解を避けるため、100μM DFPプロテアーゼ阻害剤をゲルサンプルに添加し、次いで、SDSサンプル緩衝液を添加し、煮沸した。ピーク画分を集め、タンパク質濃度を、280μmで吸光度を測定して吸光係数(e)(NS3・4Aについては、1.01である。)で割ることにより決定した。
NS3・4Aタンパク質を、ゲル濾過クロマトグラフィーを用いてさらに精製した。Superdex 200 26/60 カラムを、Superdex緩衝液(20mM HEPES pH8.0、10%グリセロール、300mM NaCl、10mM β−メルカプトエタノール、0.05%ラウリルマルトシド)を3mL/分の速度で用いて平衡化した。ニッケル精製したNS3・4Aを、Centriprep 30で2mg/mL以上まで濃縮し、必要ならば、0.2μmシリンジフィルターを通して濾過し、10mLまでをSuperdex 200カラム上に充填した。0.3カラム容量を流入後、4−5mL画分を得た。画分をSDS−PAGEにより評価した。NS3・4Aタンパク質が2つのピークで溶出した。ピーク1は、凝集したNS3・4Aを含み、ピーク2は、活性タンパク質を含む。ピーク2の画分を集め、アリコートに分けて−70℃で凍結した。
実施例5:HCV NS3ペプチド切断アッセイ
本アッセイは、全長C型肝炎ウイルスタンパク質NS3・4Aによるペプチド基質の切断に従う。下記の表3に示す、HCV遺伝子型1aのNS5A/NS5B切断部位に基づく3個のペプチド基質のうち1個を用いて、酵素活性を測定する。全ての基質母液(25mM)を、0.2M DTTを含むDMSOで製造し、−20℃で貯蔵した。合成ペプチド補因子(NS4Aペプチド)を、NS4Aを補うために用いた。ペプチド配列を表3に示す。加水分解反応を、50mM HEPES pH7.8、100mM NaCl、20%グリセロール、5mM DTTおよび25μM NS4Aペプチドを含む緩衝液中、100μMないし125μM HCV NS3・4Aを用いて、96ウェルマイクロタイタープレート形式で行った。最終DMSO濃度は2%v/v以下であった。基質としてNS5ABまたはNS5AB−EDANSを用いる反応を、10%トリフルオロ酢酸(TFA)の添加によりクエンチし、2.5%の最終TFA濃度を得た。基質としてFITC−NS5AB−1を用いる反応を、0.4Mギ酸の添加によりクエンチし、0.08M酸の最終濃度を得た。
本アッセイは、全長C型肝炎ウイルスタンパク質NS3・4Aによるペプチド基質の切断に従う。下記の表3に示す、HCV遺伝子型1aのNS5A/NS5B切断部位に基づく3個のペプチド基質のうち1個を用いて、酵素活性を測定する。全ての基質母液(25mM)を、0.2M DTTを含むDMSOで製造し、−20℃で貯蔵した。合成ペプチド補因子(NS4Aペプチド)を、NS4Aを補うために用いた。ペプチド配列を表3に示す。加水分解反応を、50mM HEPES pH7.8、100mM NaCl、20%グリセロール、5mM DTTおよび25μM NS4Aペプチドを含む緩衝液中、100μMないし125μM HCV NS3・4Aを用いて、96ウェルマイクロタイタープレート形式で行った。最終DMSO濃度は2%v/v以下であった。基質としてNS5ABまたはNS5AB−EDANSを用いる反応を、10%トリフルオロ酢酸(TFA)の添加によりクエンチし、2.5%の最終TFA濃度を得た。基質としてFITC−NS5AB−1を用いる反応を、0.4Mギ酸の添加によりクエンチし、0.08M酸の最終濃度を得た。
酵素活性を、逆相HPLCを用いて基質および生成物を分離することにより評価した。用いた装置は、G1322A脱気装置、G1312AバイナリポンプまたはG1311Aクォータナリポンプの何れか、G1313A自動サンプルラー、G1316Aカラム恒温チャンバー、G1321A蛍光検出器およびG1315Aダイオードアレイ検出器を備えるAgilent 1100であった。カラム恒温器は40℃であった。基質NS5ABについて、カラムは、移動相としてHPLCグレードH2O/0.1%TFA(溶媒A)およびHPLCグレードCH3CN/0.1%TFA(溶媒B)を流速0.2mL/分で用いる、Phenomenex Jupiter、5μm C18、300Å、150×2mm、P/O 00F−4053−B0であった。C−末端生成物ピーク(NH2−SMSY−COOH)を、210μmで収集した吸光度データを用いて定量した。基質NS5AB−EDANSについて、カラムは、移動相としてHPLCグレードH2O/0.1%TFA(溶媒A)およびHPLCグレードCH3CN/0.1%TFA(溶媒B)を流速1.0mL/分で用いる、Phenomenex Aqua、5μm C18、125Å、50×4.6mm、P/O 00B−4299−E0であった。C−末端生成物ピーク(NH2−SMSYT−Asp(EDANS)−KKK−COOH)を、350μm励起/490μm発光で収集した蛍光データを用いて定量した。基質FITC−NS5AB−1について、カラムは、移動相として、HPLCグレードH2O(溶媒A)中、10mMリン酸ナトリウム pH7.0、およびHPLCグレードH2O(溶媒B)中、65%HPLCグレードCH3CN/35%10mMリン酸ナトリウム pH7.0を流速1.0mL/分で用いる、Phenomenex Prodigy、5μm ODS(2)、125Å、50×4.6mm、P/O 00B−3300−E0であった。N−末端生成物ピーク(FITC−Ahx−EDVV−(α)Abu−C−COOH)を、440μm励起/520μm発光で収集した蛍光データを用いて定量した。あるいは、非反応FITC−NS5AB−1基質に対するN−末端生成物の比は、Caliper LabChip 3000を用いて、100mM Tris pH7.0、10mM EDTA、0.01%(v/v)Brij−35、および0.1%(v/v)CR−3のチップ緩衝液を用いて、488μm励起/530μm発光で検出して決定した。
実施例6 K m およびV max の決定
速度パラメータKmおよびVmaxを決定するために、HCV NS3プロテアーゼドメインまたはHCV NS3・4Aを、上記のアッセイ条件下でペプチド基質と反応させた。ペプチド基質濃度は、3μMないし200μMの間で変化させ、全ての基質濃度で20%未満の変換であった。反応時間に対する生成物ピーク面積の比(逆相HPLCにより決定される)により、酵素により触媒される加水分解の速度を得る。これらの速度 対 基質濃度データ点を、非線形回帰を用いてミカエルス・メンテン式に当てはめた。kcatの値は、計測器較正標準として公称プロテアーゼ濃度および完全に切断された基質ペプチドを用いてVmaxから決定された。
速度パラメータKmおよびVmaxを決定するために、HCV NS3プロテアーゼドメインまたはHCV NS3・4Aを、上記のアッセイ条件下でペプチド基質と反応させた。ペプチド基質濃度は、3μMないし200μMの間で変化させ、全ての基質濃度で20%未満の変換であった。反応時間に対する生成物ピーク面積の比(逆相HPLCにより決定される)により、酵素により触媒される加水分解の速度を得る。これらの速度 対 基質濃度データ点を、非線形回帰を用いてミカエルス・メンテン式に当てはめた。kcatの値は、計測器較正標準として公称プロテアーゼ濃度および完全に切断された基質ペプチドを用いてVmaxから決定された。
実施例7 化合物有効性の決定
見かけのKi値を評価するために、供試化合物および基質以外のすべての構成要素を、5ないし10分間、室温でプレインキュベーションした。その後、DMSO中に溶解した供試化合物を混合物に添加し、15分または60分のいずれかの間、30℃でインキュベートした。そのままのDMSOを阻害剤ないしの対照としてインキュベートした。切断反応を、Kmと等しいか、またはKmと等しいないし半分の濃度でペプチド基質を添加することにより開始し、30℃で20分間継続した。反応の終了時に、混合物をクエンチし、反応進行度を上記の通りに決定した。11種の化合物濃度を用いて、阻害のための酵素活性を滴定した。活性 対 阻害剤濃度データ点を、非線形回帰を用いて競合的強力結合酵素阻害を表すモリソン式(Sculley MJ and Morrison JF. Biochim. Biophys. Acta. 1986, 874, 44−53)に当てはめた。
見かけのKi値を評価するために、供試化合物および基質以外のすべての構成要素を、5ないし10分間、室温でプレインキュベーションした。その後、DMSO中に溶解した供試化合物を混合物に添加し、15分または60分のいずれかの間、30℃でインキュベートした。そのままのDMSOを阻害剤ないしの対照としてインキュベートした。切断反応を、Kmと等しいか、またはKmと等しいないし半分の濃度でペプチド基質を添加することにより開始し、30℃で20分間継続した。反応の終了時に、混合物をクエンチし、反応進行度を上記の通りに決定した。11種の化合物濃度を用いて、阻害のための酵素活性を滴定した。活性 対 阻害剤濃度データ点を、非線形回帰を用いて競合的強力結合酵素阻害を表すモリソン式(Sculley MJ and Morrison JF. Biochim. Biophys. Acta. 1986, 874, 44−53)に当てはめた。
多数の化合物を、上記の実施例2および実施例5に記載のアッセイにおいて試験した。化合物は、PCT国際公開番号WO07/025307(それは、参照によりその全体を本明細書中に包含される。)に記載されており、結果は、同上のPCT刊行物(PCT国際公開番号WO07/025307)の表10に記載される。
他の態様
上記の例および記載は、本発明を限定することを意味しない。本発明は、異なる特定の態様および例と関連して記載されているが、当業者は、種々の変更および修飾が、本発明の精神および範囲から逸脱しないで、常套の実験を介して行われ得ることを認識し得る。本発明は、上記の詳細な記載により限定されず、添付の特許請求の範囲およびその同等物により定義されることが、理解されるべきである。
上記の例および記載は、本発明を限定することを意味しない。本発明は、異なる特定の態様および例と関連して記載されているが、当業者は、種々の変更および修飾が、本発明の精神および範囲から逸脱しないで、常套の実験を介して行われ得ることを認識し得る。本発明は、上記の詳細な記載により限定されず、添付の特許請求の範囲およびその同等物により定義されることが、理解されるべきである。
上記で引用される全ての特許文献および刊行物は、その全体を参照により本明細書に包含される。
Claims (20)
- C型肝炎ウイルスのNS3プロテアーゼの活性を測定するための方法であって、
a)配列番号1を含む単離タンパク質を含むサンプルを提供し;
b)C型肝炎ウイルス遺伝子型1aのNS5A/NS5B切断部位に基づくペプチド基質を添加し;
c)該基質および生成物を逆相HPLCカラムで分離し;そして
d)該生成物ピークを定量する
工程を含む、方法。 - 配列番号4を含むNS4A補因子ペプチドを該サンプルに添加する工程をさらに含む、請求項1記載の方法。
- 該ペプチド基質が、配列番号2、配列番号5および配列番号6からなる群から選択される、請求項1または2記載の方法。
- 該ペプチド基質が配列番号2である、請求項3記載の方法。
- 該ペプチド基質が配列番号5である、請求項3記載の方法。
- 該ペプチド基質が配列番号6である、請求項3記載の方法。
- 該C末端生成物ピークが、約210μmで収集される吸光度データを用いて定量される、請求項4記載の方法。
- 該C末端生成物ピークが、約350μm励起/約490μm発光で収集される蛍光データを用いて定量される、請求項5記載の方法。
- 該N末端生成物ピークが、約440μm励起/約520μm発光で収集される蛍光データを用いて定量される、請求項6記載の方法。
- C型肝炎ウイルスのNS3プロテアーゼの調節剤を同定するための方法であって、
a)配列番号1を含むタンパク質を含むサンプルを提供し;
b)供試化合物を該サンプルに添加し;
c)C型肝炎ウイルス遺伝子型1aについてNS5A/NS5B切断部位に基づくペプチド基質を添加し;
d)該基質および生成物を逆相HPLCカラムで分離し;そして
e)該生成物ピークを定量する
工程を含む、方法。 - 該サンプルおよび供試化合物に配列番号4を含むNS4A補因子ペプチドを添加する工程をさらに含む、請求項10記載の方法。
- 該ペプチド基質が、配列番号2、配列番号5および配列番号6からなる群から選択される、請求項10または11記載の方法。
- 供試化合物が、NS3プロテアーゼの活性またはNS4A補因子の活性を修飾するか否かを決定する方法であって、
a)配列番号1を含むタンパク質を含むサンプルを提供し;
b)供試化合物を該サンプルに添加し;
c)NS4A補因子ペプチドを添加し;
d)C型肝炎ウイルス遺伝子型1aについてNS5A/NS5B切断部位に基づくペプチド基質を添加し;
e)該基質および生成物を逆相HPLCカラムで分離し;そして、該生成物ピークを提供することにより、生成物の第一の量を測定し;そして
f)生成物の第一の量を、NS4A補因子ペプチド不含有にて測定される生成物の第二の量と比較する
工程を含む、方法。 - 該NS4A補因子ペプチドが配列番号4を含む、請求項13記載の方法。
- 該ペプチド基質が、配列番号2、配列番号5および配列番号6からなる群から選択される、請求項13または14のいずれか一項記載の方法。
- a)配列番号1を含むタンパク質を含むサンプル、および
b)C型肝炎ウイルス遺伝子型1aのNS5A/NS5B切断部位に基づくペプチド基質
を含む、キット。 - 配列番号4を含むNS4A補因子ペプチドをさらに含む、請求項16記載のキット。
- 該ペプチド基質が、配列番号2、配列番号5および配列番号6、またはそれらの組合せからなる群から選択される、請求項16または17記載のキット。
- 1種以上の公知のNS3プロテアーゼの調節剤をさらに含む、請求項16、17または18記載のキット。
- 1種以上の公知のNS4A補因子の調節剤をさらに含む、請求項17、18または19記載のキット。
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CN100509784C (zh) * | 2003-12-11 | 2009-07-08 | 先灵公司 | 丙型肝炎病毒ns3/ns4a丝氨酸蛋白酶的抑制剂 |
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Also Published As
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