JP2010286696A - 鍵盤 - Google Patents

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Abstract

【課題】鍵本体の適切な回動動作と回動機構の剛性を確保すると共に、回動機構の耐久性を高める。
【解決手段】リンク部40は、第1アーム41と第2アーム42とでなり、鍵本体20が基端部30に対して押離鍵方向に回動自在となるように両者を連結している。第1アーム41は、取り付け部43、上側基端部30Aに対して連結部F1、R1を介して連結され、これらが一体に形成されている。第2アーム42は、鍵本体20、下側基端部30Bに対して連結部F2、R2を介して連結され、これらが一体に形成されている。取り付け部43は、対応する鍵本体20に、ネジ44で固着される。第2アーム42は、鍵本体20と同じ材料で形成されるが、第1アーム41は鍵本体20とは別の材料で形成可能である。従って、第1アーム41と第2アーム42とは異なる材質で構成される。
【選択図】図10

Description

本発明は、回動支点を中心に前端部が回動する鍵本体を有し、電子鍵盤楽器等に好適な鍵盤に関する。
従来、電子鍵盤楽器等の鍵盤装置に回動型の鍵が広く採用される。回動機構としては、基端部と鍵本体とを薄板状の連結材(一般に「水平ヒンジ」と呼称される)で連結し、水平ヒンジの曲げ変形によって、基端部に対して鍵本体が上下方向に回動(揺動)自在とされるものが知られている(例えば、下記特許文献1)。
このような回動機構においては、鍵本体を適切に回動させるために、水平ヒンジが柔軟に撓む必要がある。回動機構の耐久性を高くする上でも、回動機構の撓む部分である水平ヒンジには、軟質の材料を採用することが本来望ましい。
特開2007−25575号公報
しかしながら、廉価な電子鍵盤楽器では特に、コスト低減や楽器の軽量化が重要であるため、回動機構についても、鍵本体や基端部と共に同一樹脂で一体成形により形成されることが通常である。
その一方、鍵本体自体は、あまり撓むことは好ましくないため、相当の硬度が必要で、好ましい硬さは回動機構における水平ヒンジと同じではない。しかし、上記のようなコスト低減や軽量化の要請から、品質上妥協できる範囲において、回動機構と鍵本体や基端部とに同一の材料が採用されることが多いのが実情である。
そのため、回動機構の耐久性を高める上では改善の余地があった。その一方、水平ヒンジは薄板状であるため、あまりに柔らかい材料を採用すると、剛性自体が低くなってしまう。また、回動機構を設計する上で、鍵本体の適切な回動動作は確実に確保する必要がある。
本発明は上記従来技術の問題を解決するためになされたものであり、その目的は、鍵本体の適切な回動動作と回動機構の剛性を確保すると共に、回動機構の耐久性を高めることができる鍵盤を提供することにある。
上記目的を達成するために本発明の請求項1の鍵盤は、基端部(30)と、前記基端部より前方に位置し、押下操作される鍵本体(20)と、少なくとも第1アーム(41)と第2アーム(42)とを有してなり、前記鍵本体が前記基端部に対して押離鍵方向に回動自在となるように前記鍵本体と前記基端部とを連結するリンク部(40)とを有し、前記第1アームは、前記鍵本体に対して、前側第1連結部(F1)を介して連結されると共に、前記基端部に対して、後側第1連結部(R1)を介して連結され、前記第2アームは、前記鍵本体に対して、前記前側第1連結部よりも低い位置にある前側第2連結部(F2)を介して連結されると共に、前記基端部に対して、後側第2連結部(R2)を介して連結され、前記第1アーム及び前記第2アームの少なくとも一方は、前記鍵本体よりも軟質の材料で形成されていることを特徴とする。
好ましくは、前記第1アームと前記第2アームとで、硬さが異なっている(請求項2)。
好ましくは、前記第1アームと前記第2アームのうち押鍵操作時により大きな曲げ応力が生じるアームに、他方のアームよりも軟質の材料が採用される(請求項3)。
好ましくは、前記第1アームと前記第2アームのうち、押鍵操作時に、より大きな引張力を受けるアームに、他方のアームよりも軟質の材料が採用される(請求項4)。
好ましくは、前記リンク部は、前記前側第1連結部及び前記前側第2連結部と共に一体に形成され且つ前記鍵本体とは別体に形成され、前記リンク部に設けた嵌合部(45)と前記鍵本体に設けた嵌合対応部(28)とが嵌合されて、前記リンク部と前記鍵本体とが一体化されている(請求項5)。
好ましくは、前記第1アーム及び前記後側第1連結部と、前記第2アーム及び前記後側第2連結部の、いずれかまたは双方は、前記基端部と一体に形成されている(請求項6)。
好ましくは、前記前側第1連結部、前記前側第2連結部、前記後側第1連結部、前記後側第2連結部はいずれも、薄板状に構成されるかまたは、白化処理により薄肉部として構成され、回転ヒンジとしての機能を有する(請求項7)。
なお、上記括弧内の符号は例示である。
本発明の請求項1によれば、鍵本体の適切な回動動作と回動機構の剛性を確保すると共に、回動機構の耐久性を高めることができる。
請求項2によれば、設計の自由度を大きくして、回動機構の耐久性を一層高めることができる。
請求項3によれば、曲げ応力が大きなアームの耐久性を高めることができる。
請求項4によれば、大きな引張力を受けるアームの耐久性を高めることができる。
請求項5によれば、組み付け作業効率を高めることができる。
請求項6によれば、部品点数を削減することができる。
請求項7によれば、押離鍵時におけるアームの撓み量が少なくて済み、回動機構の剛性が高まる。
本発明の第1の実施の形態に係る鍵盤が適用される鍵盤装置の模式的な右側面図(図(a))、白鍵ユニットのうち1つの鍵本体の部分の平面図(図(b))である。 リンク部及びその近傍の拡大右側面図(図(a))、白鍵ユニットを成形する金型の特にリンク部を成形する部分の断面図(図(b))である。 従来の鍵盤における白鍵の右側面図(図(a))、本実施の形態の鍵盤の非押鍵状態時、押鍵状態時における白鍵の右側面図(図(b)、(c))、同実施の形態における仮想回動支点を説明するための白鍵の右側面図(図(d))である。 本発明の第2の実施の形態の鍵盤における仮想回動支点を説明するための白鍵の右側面図(図(a))、同鍵盤のリンク部及びその近傍の拡大右側面図(図(b))である。 主にリンク部及び連結部の位置を変形した回動機構の変形例を示す模式的な側面図((a)〜(f))である。 連結部自体を変形した回動機構の変形例を示す模式的な側面図((a)、(b))である。 変形例の回動機構を採用した鍵盤の部分平面図(図(a))、部分右側面図(図(b))、同鍵盤を成形する金型の特にリンク部を成形する部分の断面図(図(c))、他の変形例の回動機構を採用した鍵盤の部分平面図(図(d))である。 アーム数が3本である変形例の回動機構を採用した鍵盤の部分平面図(図(a))、部分右側面図(図(b))、図8(b)のC−C線に沿う断面図(図(c))、同鍵盤を成形する金型の特にリンク部を成形する部分の断面図(図(d))である。 アームが3枚であるリンク部を有する鍵盤の右側面図(図(a))、図9(a)のD−D線に沿う断面図(図(b))、アームが2枚であるリンク部を有する鍵盤の右側面図(図(c))、図9(c)のE−E線に沿う断面図(図(d))である。 回動機構を鍵本体とは別体に形成した鍵盤の部分平面図(図(a))、部分右側面図(図(b))、回動機構において上下のアームの材質を異ならせた鍵盤の部分右側面図(図(c)、(d))である。 回動機構を鍵本体とは別体に形成した鍵盤の部分断面図(図(a))、リンク部を、鍵本体、基端部のいずれとも別体に形成した鍵盤の部分右側面図((b)〜(d))である。 垂直ヒンジ部を採用する鍵盤の1つの鍵本体の部分の平面図(図(a))、右側面図(図(b))である。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
図1(a)は、本発明の第1の実施の形態に係る鍵盤が適用される鍵盤装置の模式的な右側面図である。同図において、本発明の鍵盤のうち、鍵本体20を有する1つの白鍵のみが示され、黒鍵や、発明に関係のない構成要素については図示が省略されている。この鍵盤は、例えば電子鍵盤楽器に適用される。フレーム10上に基板11が配設され、基板11上に鍵スイッチ12が配設される。以降、奏者側である図1(a)の左側を前側とし、左右方向については奏者からみた方向で呼称する。基端部30が、フレーム10の後部に固定されている。
図1(b)は、白鍵ユニットのうち1つの鍵本体20の部分の平面図である。この鍵盤は、特開平10−240228号公報等に示されるように、例えば1オクターブ毎に3つのユニットに分割されて、各ユニットの基端部が上下に積層されて、1オクターブ分の鍵に共通の基端部30となっているものとする。ここでの3つのユニットとは、D、F、A鍵を有する第1の白鍵ユニットと、C、E、G、B鍵を有する第2の白鍵ユニットと、5つの黒鍵を有する黒鍵ユニットである。
ただし、これは一例であり、鍵ユニットは分割されていなくてもよく、あるいは2分割されたものであってもよい。1つの鍵ユニットに含まれる鍵の数も限定されない。あるいは、鍵ユニットの形態をとらず、各鍵が独立し、基端部30が鍵毎に構成されるものであってもよい。また、本発明に関し、白鍵乃至白鍵ユニットに適用される部分のうち、黒鍵乃至黒鍵ユニットに適用可能な部分の構成についてはそれらにも同様に適用される。
図1(a)、(b)に示す白鍵ユニットUTは樹脂で一体に形成され、白鍵ユニットUTにおいて、鍵本体20は、リンク部40を介して基端部30に接続されている。すなわち、リンク部40は、鍵本体20が基端部30に対して押離鍵方向に回動自在となるように両者を連結している。鍵本体20が押下操作されると、対応する鍵スイッチ12が押圧され、鍵操作が検出される。その検出結果に基づいて、不図示の楽音発生部から電子楽音が発生するようになっている。
ところで、鍵本体20の非押鍵状態への復帰力は、鍵スイッチ12の弾性によって得ている。しかし、鍵本体20を復帰させる付勢手段はこれに限られない。例えば、上記特許文献1(特開平4−62593号公報)で示されるような、鉛直方向に設けたつるまきバネであってもよい。あるいは、特開2009−25536号公報に示されるように、鍵本体と連動して回動し、押鍵操作に慣性力を付与するハンマ体を設ける場合は、ハンマ体の復帰力を利用したものであってもよい。あるいは、同公報に示されるようなS字状バネを、専ら鍵本体の復帰用に利用してもよい。
リンク部40は、第1アーム41と第2アーム42とでなる。第1アーム41と第2アーム42とは、図1(b)に示すように、平面視において重ならないようになっており、この例では、第1アーム41が右側に配置されている。
図2(a)は、リンク部40及びその近傍の拡大右側面図である。図2(b)は、白鍵ユニットUTを成形する金型の特にリンク部40を成形する部分の断面図であり、図2(a)のA−A線に沿う断面に対応する。
上述のように、第1アーム41及び第2アーム42は、鍵本体20及び基端部30と一体に形成されるが、まず、図2(a)に示すように、第1アーム41の前端部、後端部がそれぞれ鍵本体20の後端、基端部30の前端に連結部F1、R1を介して連結されている。第2アーム42の前端部、後端部は、それぞれ鍵本体20の後端、基端部30の前端に連結部F2、R2を介して連結されている。
この例では、連結部F1、R1及び連結部F2、R2は、それぞれ第1アーム41及び第2アーム42の一部として構成されるが、鍵本体20の一部、基端部30の一部として把握することもでき、その解釈は問わない。鍵本体20を基端部30に対して回動自在にする機構が「回動機構」であり、この例では、第1アーム41、第2アーム42及び連結部F1、R1、F2、R2が、回動機構を構成する。
第1アーム41は一様の厚みの平板状であるが、連結部F1は、側面視で下方に開口した半円型の凹部として形成され、上記一様の厚みの部分よりも薄い薄肉部となっている。連結部F1は、薄肉であるため、回転モーメントを伝達しない回転ヒンジに近似した機能を果たし、第1アーム41と鍵本体20とを上下方向に回動自在に近い状態とすることができる。連結部R1も同様に構成され、第1アーム41と基端部30とを上下方向に回動自在に近い状態とすることができる。第2アーム42、連結部F2、R2についても第1アーム41、連結部F1、R1と同様に構成され、第2アーム42に対して鍵本体20、基端部30が相対的に上下方向に回動自在に近い状態とされる。
連結部F1、R1、F2、R2は、例えば、白鍵ユニットUTの射出成形工程の後において、局所的に圧力を加えて白化させる白化処理により形成される。これにより、剛性が高まっている。なお、連結部F1、R1、F2、R2が凹状に開口する方向は、下側でなく上側であってもよい。
白鍵ユニットUTは、図2(b)に示すように、例えば、可動側の上金型13と固定側の下金型14とによる射出成形によって形成される。第1アーム41と第2アーム42とは、平面視において重ならないので、上下方向からの金型移動での成形で形成可能である。
図2(a)に示すように、この例では、連結部F1、R1はそれぞれ連結部F2、R2よりも高い位置に設けられている。連結部F1と連結部F2との上下方向における間隔HFよりも、連結部R1と連結部R2との上下方向における間隔HRの方が小さい(間隔HF>間隔HR)。また、間隔HFは、鍵本体20の上下方向の厚みH0より十分に大きく、厚みH0の半分以上である。ここで、厚みH0は、厚みが一様でない鍵本体20においては、前端部の厚み、または、最も広範囲の領域で執る厚みの値とする。
連結部F1、R1、F2、R2は、完全な回転ヒンジではないが、理想的に完全な回転ヒンジと同様の機能を果たすと想定した場合の回転中心を、回転支点F1p、R1p、F2p、R2pと記す。
かかる構成において、鍵本体20が押下操作されると、固定的な基端部30に対して、第1アーム41、第2アーム42が、連結部R1、R2(回転支点R1p、R2p)を中心に下方に回動する。連結部F1、R1、F2、R2が回転ヒンジとして機能するため、第1アーム41、第2アーム42は曲げ応力を受けず撓まないと仮定し、動きを単純化して考察する。第1アーム41、第2アーム42の回動により、回転支点F1p、F2pの位置が変化する。鍵本体20がレスト位置にある非押鍵状態と鍵本体20がエンド位置にある押鍵状態(乃至押鍵終了状態)とで、回転支点F1p、F2pを区別するときは、図2(a)に示すように「r」、「e」を付加する。すなわち、レスト位置では回転支点F1p−r、F2p−r、エンド位置では回転支点F1p−e、F2p−eと記す。
回転支点F1pは、押鍵往行程において、回転支点F1p−rから、回転支点R1pを中心として回転支点R1pから回転支点F1pまでの距離を半径とする円弧上の軌跡を辿って回転支点F1p−eに変位する。同様に、回転支点F2pも回転支点F2p−rから回転支点F2p−eに変位する。その結果、この例では、押鍵往行程において、回転支点F1pの位置は後方に距離D1だけ移動し、回転支点F2pの位置は後方に距離D2だけ移動する。D1<D2であり、回転支点F1pよりも回転支点F2pの後退変位量の方が大きい。これによる鍵本体20の動きを従来の鍵盤と比較する。
図3(a)は、従来の鍵盤における白鍵の右側面図である。図3(b)、(c)は、本実施の形態の鍵盤の非押鍵状態時、押鍵状態時における白鍵の右側面図である。図3(d)は、本実施の形態における仮想回動支点を説明するための白鍵の右側面図である。連結部F1、R1、F2、R2については、回転ヒンジを理想として構成されているため、図3(b)〜(d)をはじめとして、以降の図においても模式的に○印で図示する場合があるが、実際の構成は図2(a)で図示したものと同じである。
まず、図3(a)に示すように、従来、回動支点P0で回動自在に支持された白鍵は、鍵本体20が単純に回動支点P0を中心に回動するだけである。以降、非押鍵状態と押鍵状態とで鍵本体20を区別するときは、それぞれ鍵本体20−r、鍵本体20−eと記す。鍵本体20の先端位置と、鍵本体20の上面である押鍵面のうち後半部の特定の位置とを比較すると、押鍵によるストロークをそれぞれst0、st1とする。
一方、本実施の形態の鍵盤では、鍵本体20の先端位置と上記特定の位置との押鍵によるストロークをST0、ST1とする(図3(c)参照)。ST0=st0であるが、st1<ST1となる。ST0とST1との差が、従来のst0とst1との差に比し小さくなっている。すなわち、押鍵面の奥側で特にストロークが小さくなり過ぎることが本実施の形態では緩和されている。
その一方、D1<D2であることから(図2(a)参照)、上記特許文献1(特開平4−62593号公報)で示されるような平行鍵盤のように、奥行き方向のどの位置でも同じストロークになるようなことはない。むしろ、鍵本体20の動きの変化は、アコースティックグランドピアノの鍵に近いものとなる。
図3(d)に示すように、本実施の形態における鍵本体20の非押鍵状態時と押鍵状態時との姿勢とを比較すると、鍵本体20は、実質的に、仮想回動支点SPを中心に回動(上下揺動)しているものと把握することもできる。仮想回動支点SPは、次のように定義することができる。
まず、鍵本体20において最も高頻度で押鍵操作される押鍵面上の位置である演奏部を、「押鍵点OP」とする。押鍵点OPは、押鍵往行程において押鍵点OP−rから押鍵点OP−eに変位する。押鍵点OP−rと押鍵点OP−eとを結ぶ線分23の垂直2等分線を垂直2等分線24とする。また、非押鍵状態時と押鍵状態時における鍵本体20の押鍵面の延長線をそれぞれ延長線21、22とする。延長線21、22の交点CPを通り、延長線21、22がなす鈍角の2等分線を2等分線25とする。垂直2等分線24と2等分線25との交点が、仮想回動支点SPとなる。
仮想回動支点SPは、連結部R1、R2よりもはるかに後方であって、基端部30よりも後方に位置する。これにより、鍵本体20が、アコースティックグランドピアノの鍵本体に比し短いものでありながら、アコースティックグランドピアノのような長い鍵本体で回動支点と押鍵点OPとの距離を長くとったのと同様の回動動作が実現される。
本実施の形態によれば、上下2つのアーム41、42を設け、間隔HF>間隔HR(図2(a)参照)となるように、第1アーム41、第2アーム42を連結部F1、R1、F2、R2を介して基端部30、鍵本体20に連結した。これにより、押鍵往行程において、回転支点F1pよりも回転支点F2pの後退変位量の方が大きいので、仮想回動支点SPが連結部R1、R2よりも後方の適度な位置に位置することになる。従って、回動支点が押鍵位置よりはるかに後方にある鍵とものと同様の回動動作となり、前後方向における異なる押鍵位置間でのストローク差を小さくすることができる。よって、短い鍵本体20であっても、回動型でありながら、鍵盤の奥行き寸法を拡大することなく押鍵感触を向上させることができる。
本実施の形態によればまた、リンク部40において、第1アーム41と第2アーム42が一体に形成されてなり、且つ、平面視において重なりがないので、鍵本体20及び基端部30と一体に金型で成形することが容易である。特に、側方からのスライド金型を用いることなく、上下方向からの成形が容易である。さらに、第1アーム41と第2アーム42とは上下に離間し、連結部F1、R1、F2、R2が側面視で四角形を形成するので、従来の薄板状の1枚の水平ヒンジのみで連結される構成に比し回動機構としての剛性が高い。よって、鍵本体20の適切な回動動作と回動機構の成形の容易性を確保すると共に、回動機構の剛性を高めることができる。
また、間隔HFは、鍵本体20の厚みH0の半分以上であるので、リンク部40が変形する場合に、それが鍵本体20の回動動作に与える影響を小さくすることができる。すなわち、連結部F1、R1、F2、R2の回転ヒンジとしての機能が弱いと、アーム41、42に撓みが生じることがある。しかし回転ヒンジとしての機能が強くても、アーム41、42は引張や圧縮を受けて弾性変形する。これらの微小な弾性変形が、鍵本体20の挙動に与える影響は、連結部F1、F2の間隔HF、連結部R1、R2の間隔HRが狭いほど大きくなるが、特に、間隔HFの影響が大きい。従って、間隔HFが厚みH0の半分以上確保されることで、アーム41、42の微小変形の影響を小さくすることができる。また、リンク部40の側面視で箱型に認識される4角形も、大きいほど、押鍵終了時の剛性感に寄与する。
また、リンク部40は、鍵本体20及び基端部30と共に一体に形成されるので、部品点数を削減することができる。
(第2の実施の形態)
図4(a)は、本発明の第2の実施の形態の鍵盤における仮想回動支点を説明するための白鍵の右側面図であり、図3(d)に対応する。図4(b)は、同鍵盤のリンク部40及びその近傍の拡大右側面図であり、図2(a)に対応する。
本発明の第2の実施の形態では、回動機構の構造だけが第1の実施の形態と異なる。回動機構において、リンク部40の第1アーム41、第2アーム42の長さや配設角度が第1の実施の形態とは異なる。
第1の実施の形態では、第1アーム41は前方ほど上方に傾斜し、第2アーム42は前方ほど下方に傾斜して、その結果、リンク部40は前方に開口していた。これに比し、第2の実施の形態では、図4(b)に示すように、第1アーム41は前側が上方に傾斜する程度が大きくなり、第2アーム42は水平となっている。これに伴い、連結部F1、R1、F2、R2の位置が異なっており、具体的には、連結部R1、R2の位置が第1の実施の形態(図2(a)の例)に比し下がっている。
また、鍵本体20の後端面は、非押鍵状態において前傾しており、それに伴って連結部F1の前後方向の位置が連結部F2よりもやや前側となっている。従って、第1アーム41の長さL1は、第1の実施の形態では第2アーム42と同じであったが、第2の実施の形態では第2アーム42の長さL2よりも長い(図4(b)参照)。長さL1、L2は、正確には、それぞれ連結部F1、R1間の距離、連結部F2、R2間の距離として定義される。アーム41、42の左右方向の位置関係は第1の実施の形態と同様である。
かかる構成において、押鍵往行程において、基端部30に対して第1アーム41、第2アーム42が、連結部R1、R2(回転支点R1p、R2p)を中心に下方に回動するのは第1の実施の形態と同じである。回転支点F1pは、回転支点F1p−rから回転支点F1p−eに変位し、回転支点F2pは回転支点F2p−rから回転支点F2p−eに変位する。その結果、この例では、押鍵往行程において、回転支点F1pの位置は、後方ではなく前方に距離D1だけ移動し、回転支点F2pの位置は後方に距離D2だけ移動する。
前後方向における回転支点F1pの変位方向は、第1の実施の形態では後方であったのが、第2の実施の形態では前方に変わっている。後方への変位量を正とすれば、回転支点F1pよりも回転支点F2pの方が、後退変位量が大きいという点では第1の実施の形態と同様となる。間隔HF>間隔HRである点、また、間隔HFは、鍵本体20の厚みH0の半分以上である点も第1の実施の形態と同様である。
図4(a)に示すように、第2の実施の形態においても、鍵本体20は、実質的に、仮想回動支点SPを中心に回動しているものと把握することができる。仮想回動支点SPは、第1の実施の形態(図3(d))に比し、より下側の位置となり、非押鍵状態時、押鍵状態時における鍵本体20の下縁の延長線38、39のいずれよりも下方に位置する。これにより、鍵本体20の回動動作がアコースティックグランドピアノに一層近づく。ここで、延長線38、39を定義する上で、鍵本体20の下縁位置が部位によって異なる場合は、前端部の下縁とする。
本実施の形態によれば、回動型の短い鍵本体であっても、鍵盤の奥行き寸法を拡大することなく、前後方向における異なる押鍵位置間でのストローク差を小さくして押鍵感触を向上させることに関し、第1の実施の形態と同様の効果を奏することができる。しかも、仮想回動支点SPの位置が鍵本体20の下縁の延長線38、39より低いので、押鍵感触をアコースティックグランドピアノに一層近いものにすることができる。また、L1>L2であることで、鍵本体20が適切に回動動作するように効率よく設計することが容易となる。
鍵盤の奥行き寸法を拡大することなく、前後方向における異なる押鍵位置間でのストローク差を小さくして押鍵感触を向上させる、という基本効果を得ることに限れば、図5、図6に例示するように、回動機構の変形例は各種考えられる。
図5(a)〜(f)、図6(a)、(b)は、回動機構の変形例を示す模式的な側面図である。図5(a)〜(f)では、主にリンク部40及び連結部の位置を変形した例を示し、図6(a)、(b)は、連結部自体を変形した例を示す。
上記基本効果が得られるようにするためには、連結部F2に対する連結部F1の前後方向における相対的位置が、非押鍵状態時に比し押鍵状態時に前寄りとなるように構成されていればよい。例えば、図2(a)の例では、D1<D2であり、連結部F2に対する連結部F1の相対的位置は、押鍵によってより前寄りとなる。また、図4(b)の例では、連結部F1が前方に変位し、連結部F2が後方に変位するので、やはり、連結部F2に対する連結部F1の相対的位置は、押鍵によってより前寄りとなる。
図5を参照すると、基本的には、図5(a)〜(c)に示すように、第1アーム41と第2アーム42とで前方に開口した「ハ」の字を呈すれば、上記基本効果を得るような設計が容易である。しかし、必ずしもハの字を呈することは必須でなく、図5(d)、(e)に示すように、アーム41、42が平行であっても、第1アーム41の方を長くすればよい。
また、連結部F2は連結部F1より低い位置にある必要があるが、連結部R1、R2の上下位置関係は同じ(同高)か、または図5(f)に示すように逆転しても、上記基本効果を得るような設計は可能である。ただし、鍵本体20が適切に回動動作するように効率よく設計することが容易であるためには、図5(f)以外の例のように、連結部R1を連結部R2よりも高くして、間隔HF>間隔HRとするのが好ましい。また、非押鍵状態において、連結部F1は、連結部R1よりも上方に位置するように構成するのが好ましい。さらに、回動機構の剛性を高くするためにも、図5(f)以外の例のように、アーム41、42がクロスしない構成を採用するのが好ましい。
なお、上記基本効果を得ることに限れば、アーム41、42は、弾性によって撓む必要はないので、平板状である必要はない。例えば、棒状や、複雑な断面形状を有していてもよい。また、真っ直ぐでなく自由状態で湾曲していてもよい。
連結部F1、R1、F2、R2の構成については、回転ヒンジとしての機能を理想的に発揮する構造とするほど、アーム41、42に曲げが生じないようにすることができる。回転モーメントのみを伝達し摩擦もない理想的な回転ヒンジに近いほど、設計上、鍵本体20の押離鍵行程における姿勢の変化をより正確に規定でき、押鍵感触を一層所望のものに近づけることができる。しかも、押離鍵時におけるアーム41、42の撓み量が少なくて済むことで、回動機構としての剛性も高まる。従って、連結部F1、R1、F2、R2の回転ヒンジとしての機能は程度の問題であり、機能が低くいためにアーム41、42に曲げが生じたとしても、上記基本効果が小さくなるだけであって、効果を全く奏しなくなるわけではない。
連結部の変形例として、例えば、図6(a)に示すように、リンク部40と鍵本体20とを別体で構成してから組み付ける。すなわち、鍵本体20の後部上部に、左右方向に沿った円柱状の突条部26を形成する。一方、第1アーム41の前端部には、突条部26に嵌合的な凹部を有する側面視で欠円部のある円環状の嵌合部41aを形成する。そして、嵌合部41aの凹部と突条部26とを嵌合する。これら嵌合部41a及び突条部26が連結部F1を構成することになる。
すると、嵌合部41aは突条部26に対して摺動し、第1アーム41と鍵本体20とは回転自在に連結状態とされる。第1アーム41の後端部と基端部30との関係(連結部R1)においても同様の構成とする。また、第2アーム42の前後両端部と鍵本体20、基端部30と関係(連結部F2、R2)においても同様の構成とする。これにより、回転ヒンジとしての機能が一層高まり、鍵本体20の動きを設計上、一層正確に規定することができる。
また、図6(b)に示すように、鍵本体20及びリンク部40を一体に成形する射出成形の際に、第1アーム41と鍵本体20との間に第1アーム41よりも薄い薄肉状の部分を設け、ここを連結部F1としてもよい。他の連結部も同様である。これによれば、連結部の形成が容易である。
なお、各連結部には、蝶番のような構造を採用してもよい。
また、回動機構の構成としては、図7(a)〜(d)に示すように、さらに他の変形例も考えられる。
図7(a)、(b)は、変形例の回動機構を採用した鍵盤の部分平面図、部分右側面図である。なお、図7(b)において、連結部の詳細な形状の図示は省略されている。以降の図においても、連結部F1、R1、F2、R2の符号を付してある場合は、これら連結部の詳細な形状の図示が省略されていたとしても、それらの構成は、第1、第2の実施の形態と同様である。
図7(c)は、図7(a)、(b)に示す鍵盤を成形する金型の特にリンク部40を成形する部分の断面図であり、図7(b)のB−B線に沿う断面に対応する。図7(d)は、変形例の回動機構を採用した鍵盤の部分平面図である。
図7(a)、(b)に示す変形例では、リンク部40において、第1アーム41と第2アーム42とが平面視で同じ形状で且つ全体的に重なっている。アーム41、42は、いずれも左右方向の幅を大きくとれるので、図1〜図3の構成に比し回動機構の剛性が高く、特に鍵のねじれに強く、ローリング方向の剛性が高くなる。しかしその一方、金型により成形は少し難度が上がり、通常、図7(c)に示すように、上金型13と下金型14とは別に、側方からスライド金型15を挿脱してアーム41、42を形成する必要がある。
また、図7(d)に示す変形例では、アーム41、42の配置関係は図1〜図3と同じであるが、第1アーム41、第2アーム42が、鍵本体20の幅より側方にはみ出している。すなわち、第2アーム42の左縁から第1アーム41の右縁までの幅B1が、対応する鍵本体20の横幅B0よりも大きくなっている。これにより、回動機構の剛性が一層高まっている。ここで、幅B1との比較対象としての鍵本体20の横幅B0は、鍵本体20の奏者側の幅広部ではなく、後半部の幅狭部の横幅である。
これまでの実施の形態では、リンク部40は上下2本のアーム41、42で構成されるとしたが、アームの数は、3本以上であってもよい。その場合、各連結部の回転ヒンジ機能を適切に果たさせるようにするためには、複数のアームが側面視において重なるように配置するのが望ましい。アーム数が3本の例を図8、図9で示す。
図8(a)、(b)は、アーム数が3本である変形例の回動機構を採用した鍵盤の部分平面図、部分右側面図である。図8(c)は、図8(b)のC−C線に沿う断面図である。図8(d)は、図8(a)、(b)に示す鍵盤を成形する金型の特にリンク部40を成形する部分の断面図であり、図8(b)のC−C線に沿う断面に対応する。
図8(a)、(b)に示す変形例では、リンク部40は、平面視において、1つの第1アーム41を挟んで左右両側に第2アーム42が設けられる。上側の第1アーム41は、2つの第2アーム42とは平面視で重なっていない(図8(a))。2つの第2アーム42は、側面視で完全に重なっている(図8(b)、(c))。3つのアームにおける最大幅(B1)が、鍵本体20の横幅B0よりも大きい点は、図7(d)の例と同じである。
3つのアームは、平面視で重ならないので、図8(d)に示すように、上金型13と下金型14とによる上下方向からの成形によって、リンク部40を、鍵本体20及び基端部30と一緒に一体成形することが可能である。
この変形例によれば、第2アーム42が左右に離間して2枚あって、リンク部40が左右対称であるので、図1〜図3の例に比し、鍵本体20のねじれ(ローリング)に対して強くなり、鍵本体20の回動動作の精度を高めることができる。
なお、この効果を得る上では、上下逆転させ、上側の第1アーム41を2つ設け、平面視において2つの第1アーム41の間に、下側の第2アーム42を1つ設けてもよい。また、鍵本体20のねじれに強くするためには、アームの数は4以上であってもよく、第1アーム41、第2アーム42の少なくとも一方について、左右方向における配置位置が相違し且つ上下方向の配置位置を同じくするものが複数存在するようにすればよい。
上述した図7(d)や図8に示した変形例では、リンク部40の幅B1が、対応する鍵本体20の横幅B0よりも大きいため、隣接する鍵本体20に対応するリンク部40との干渉を避ける必要がある。そのための構成の一例を図9で説明する。
図9(a)は、アームが3枚であるリンク部40を有する鍵盤の右側面図である。図9(b)は、図9(a)のD−D線に沿う断面図である。この変形例では、分割された鍵ユニットのうち、白鍵ユニットUTの鍵本体20Wと黒鍵ユニットUTBの鍵本体20Bとが隣接している例を示している。鍵本体20、リンク部40、第1アーム41、第2アーム42、基端部30については、白鍵と黒鍵とに対応させて、符号に「W」、「B」を付記して区別する。基端部30W、30Bが積層されたものが基端部30となっている。
鍵本体20Wと基端部30Wとを連結するリンク部40Wにおいて、1つの第1アーム41Wと2つの第2アーム42Wとの相対的な配置関係については図8に示す例と同じである。アーム41W、42Wが呈する側面視形状は、前方に開口したハの字型である。ただし、第2アーム42Wはほぼ水平となっている。
鍵本体20Bと基端部30Bとを連結するリンク部40Bにおいては、上側に、側面視で重なる位置に2つの第1アーム41Bが設けられ、平面視において2つの第1アーム41Bの間に、下側の第2アーム42Bが1つ設けられる。アーム41B、42Bが呈する側面視形状も、前方に開口したハの字型である。ただし、第1アーム41Bはほぼ水平となっている。
図9(b)に示すように、左右方向における2つの第2アーム42Wの最大幅は、鍵本体20Wの横幅よりも大きく、2つの第1アーム41Bの最大幅は、鍵本体20Bの横幅よりも大きい。しかし、第2アーム42Wのうち鍵本体20B側のものと、第1アーム41Bのうち鍵本体20W側のものとでは、平面視において重なっている部分がある。つまり、左右方向においてほぼ半分の領域でオーバーラップしている。しかも、上側のアーム同士である第1アーム41Wと第1アーム41Bとは、側面視で重ならないように配置され、下側のアーム同士である第2アーム42Wと第2アーム42Bとも側面視で重ならないように配置されている。
図9(c)は、アームが2枚であるリンク部40を有する鍵盤の右側面図である。図9(d)は、図9(c)のE−E線に沿う断面図である。この変形例では、リンク部40Wにおいて、第1アーム41Wと第2アーム42Wとが上下に各1つ配置され、リンク部40Bにおいて、第1アーム41Bと第2アーム42Bとが上下に各1つ配置される。アーム41W、42Wが呈する側面視形状、アーム41B、42Bが呈する側面視形状は、いずれも前方に開口したハの字型である。ただし、第2アーム42W及び第1アーム41Bはほぼ水平となっている。
図9(d)に示すように、第2アーム42Wと第1アーム41Bとでは、平面視において重なっている部分がある。その一方、側面視において、上側のアーム同士である第1アーム41Wと第1アーム41Bとは重ならず、下側のアーム同士である第2アーム42Wと第2アーム42Bとも重ならない。
このため、図9(a)、(b)、図9(c)、(d)のいずれの変形例でも、各アームは、隣接するリンク部40のいずれのアームとも干渉しないようになっている。これにより、隣接するリンク部40間でアーム同士が干渉することなくアームの横幅を大きくすることが可能となり、回動機構の剛性を一層高めることができる。このような効果を得る上では、図9の例に限られず、互いに隣接するリンク部40同士の関係において、一方のリンク部40の第1アーム41と他方のリンク部40の第2アーム42とが、側面視においては重ならず且つ平面視においては重なる部分があるように構成すればよい。
ところで、鍵盤において、鍵本体20Wと鍵本体20Bとが隣接する箇所は1箇所ではなく、他の箇所でも同じように干渉回避の構成が適用できる。また、鍵ユニットとして構成されず、各鍵が独立して構成される場合においても、隣接する鍵に対応するリンク部40間での干渉回避について、上記の構成を適用することができる。白鍵と黒鍵との間だけでなく、隣接する白鍵間でも適用可能である。
隣接する鍵に対応するリンク部40間での干渉回避に関して、第1アーム41との第2アーム42とのオーバーラップの態様としては、特開平10−240228号公報等に示されるような水平ヒンジ部同士のオーバーラップと同様の態様が適用可能である。
上記第1、第2の実施の形態をはじめとし、図6(a)に示した変形例を除けば、リンク部40は、鍵本体20及び基端部30と同一材料により一体に形成することが可能である。しかし、鍵本体20の適切な回動動作を確保して、上記基本効果を得ると共に、回動機構の剛性を確保することに限れば、図10、図11に例示するように、リンク部40は、鍵本体20、基端部30のいずれかまたは双方と別体に形成してから、組み付けにより一体的となるようにしてもよい。図10、図11に示す各例において、第1アーム41と第2アーム42の各数は一例であり、各1つでもよいし複数でもよい。
図10(a)、(b)は、回動機構を鍵本体20とは別体に形成した鍵盤の部分平面図、部分右側面図である。この例では、回動機構は基端部30と一体に形成されるが、鍵本体20とは別体に形成される。この例における第1アーム41と第2アーム42の配置位置や傾斜角度は図8の例と同じである。しかし、回動機構において、第1アーム41及び第2アーム42の前側に、側面視L字状の取り付け部43が一体に形成される。従って、アーム41、42は、鍵本体20ではなく取り付け部43に対して連結部F1、R1、F2、R2を介して連結されている。取り付け部43は、各リンク部40に対応して設けられ、対応する鍵本体20に、ネジ44で固着される。
この例では、基端部30及び回動機構については、鍵ごとに形成、あるいは複数鍵分を一体に形成することが可能であるが、鍵本体20については鍵ごとに形成することになる。従って、鍵ユニットの形態をとらない。
この変形例によれば、リンク部40と鍵本体20とに同一の材料を採用する必要はない。鍵本体20としては高い剛性を確保したいが、リンク部40は耐久性も重要である。そこで、リンク部40には、鍵本体20よりも軟質の材料を採用する。実際には、基端部30から取り付け部43までが一体であるため、基端部30にも軟質の材料が適用されることになる。リンク部40が柔らかいため、回動機構の耐久性を高めることができる。
その一方、リンク部40は、従来の鍵で採用される薄板状の1枚の水平ヒンジに比し、上下にアームを有するリンク構造であるため、剛性自体が高い。そのため、比較的柔らかい材料を採用したとしても、剛性が直ちに低下し過ぎるということがない。
ここで、連結部F1、R1、F2、R2の構造により、それらが回転ヒンジとしての機能を十分に果たせないような場合は、押鍵時にアーム41、42や連結部F1、R1、F2、R2自体に曲げ応力が生じ、撓みが生じる。これらに生じる曲げ応力が大きい構造であるほど、リンク部40に軟質材を採用することのメリットは大きい。
リンク部40の材質を基端部30と異ならせたい場合は、上記した取り付け部43と同様の構造を回動機構のうち基端部30側に設ければよい。なお、リンク部40の材質を鍵本体20や基端部30と異ならせることは、回動機構として図6(a)に示す変形例を採用した場合にも適用可能である。
図10(c)は、回動機構において上下のアームの材質を異ならせた鍵盤の部分右側面図である。図10(c)に示す例における第1アーム41と第2アーム42の配置位置や傾斜角度は図10(a)、(b)の例と同じである。ただし、基端部30は、上側基端部30A及び下側基端部30Bを接着等で固定した上下2層構造となっている。
図10(c)に示すように、第1アーム41は、取り付け部43、上側基端部30Aに対して連結部F1、R1を介して連結され、これらが一体に形成されている。第2アーム42は、鍵本体20、下側基端部30Bに対して連結部F2、R2を介して連結され、これらが一体に形成されている。従って、第2アーム42は、鍵本体20と同じ材料で形成されるが、第1アーム41は鍵本体20とは別の材料で形成可能である。
取り付け部43は、第1アーム41に対応して設けられ、対応する鍵本体20に、ネジ44で固着される。この例では、上側基端部30Aを含む構成体と下側基端部30Bを含む構成体のいずれも、鍵ごと、あるいは複数鍵分を一体に形成することが可能である。
連結部F1、R1、F2、R2が回転ヒンジとしての機能を十分に果たす場合は、第1アーム41、第2アーム42はほとんど撓むことはなく、押鍵往行程においては、第1アーム41は引張力を、第2アーム42は圧縮力をそれぞれ受けることになる。
そこで、このような場合は、第1アーム41には、耐久性を確保するために、柔らかい材質を採用するのがよい。第2アーム42は、圧縮力を受け、しかも鍵本体20と一体であるので、硬い材料が適している。従って、上側基端部30Aや第1アーム41を含む構成体は、第2アーム42や下側基端部30Bを含む構成体に比し、軟質の材料を採用するのがよい。
第1アーム41と第2アーム42のいずれに、より軟質の材料を採用するかは、連結部F1、R1、F2、R2の構造(回転ヒンジ機能の高さ)や、両アームの長さの差によって異なる。具体的には、より大きな引張力を受けるアームに、他方のアームよりも軟質の材料を採用することで、大きな引張力を受けるアームの耐久性を高めることができる。また、アームの曲げ応力が比較的大きくなる構造の場合は、大きな曲げ応力が生じるアームほど、軟質の材料を採用するのがよい。また、連結部F1、R1、F2、R2が完全なヒンジ構造でなく、それら自体に曲げ応力が生じる場合も、各連結部と一体に形成されるアームに軟質の材料を採用するのがよい。
第2アーム42に軟質材を採用するのがよい場合として、次のような例が考えられる。例えば、第2アーム42の方が第1アーム41より短い場合(図5(d)、(e)、図10(d)等参照)、「回転角」については第1アーム41よりも第2アーム42の方が大きくなる。この場合において特に、連結部F1、R1、F2、R2の回転ヒンジとしての機能が十分でない場合は、第2アーム42に、より軟質の材料を採用するのがよい。ここで、回転角は、図2(a)における第2アーム42で説明すると、回転支点F2p−rと回転支点R2pとを結ぶ線分と、回転支点F2p−eと回転支点R2pとを結ぶ線分とが成す鋭角のことである。
このように、第1アーム41と第2アーム42との材質を異ならせることができるので、設計の自由度を大きくして、回動機構の耐久性を一層高めることができる。
回動機構において上下のアームの材質を異ならせるようにする観点に限れば、図10(c)の例に対して、図10(d)に示すように、取り付け部43の位置を下側に設けてもよい。すなわち、第1アーム41を鍵本体20及び上側基端部30Aと一体に形成すると共に、第2アーム42を下側基端部30B及び取り付け部43と一体に形成する構成も採用可能である。図10(d)の例におけるリンク部40の構成は、図5(d)に示す例と同じで、第1アーム41が第2アーム42より長い。
なお、第1アーム41と第2アーム42との材質を異ならせることは、回動機構として図6(a)に示す変形例を採用した場合にも適用可能である。
図10(a)〜(d)に示す例では、取り付け部43は、鍵本体20にネジ44で固着されたが、図11(a)の例のように、ネジ44を廃止する構成を採用してもよい。図11(a)は、回動機構を鍵本体20とは別体に形成した鍵盤の部分断面図である。
図11(a)に示す例では、取り付け部43に、係合爪を先端に有する嵌合部45を下方に向けて突設する。一方、鍵本体20には、嵌合部45に対して嵌合的な穴である嵌合対応部28が形成されている。取り付け部43の嵌合部45を嵌合対応部28に上方から挿通し、嵌合することで、取り付け部43が鍵本体20に固定される。この構成によれば、回動機構と鍵本体20とを一体化する組み付けの作業効率を高めることができる。
図10に示す例では、リンク部40は、鍵本体20または基端部30と一体に形成された。しかし、リンク部40の材質を鍵本体20や基端部30と異ならせる上では、図11(b)〜(d)に示すように、リンク部40は、鍵本体20、基端部30のいずれとも別体に形成し、それぞれ固着手段により固着するようにしてもよい。
例えば、図11(b)に示すように、側面視コ字状の取り付け部43、46を、それぞれリンク部40の前側、後側に一体に形成した回動機構を採用してもよい。取り付け部43は、鍵本体20にネジ44で上下から固着され、取り付け部46は、基端部30にネジ47で上下から固着される。
あるいは、図11(c)に示すように、側面視L字状の取り付け部43A、46Aを、それぞれ第1アーム41の前側、後側に一体に形成すると共に、側面視L字状の取り付け部43B、46Bを、第2アーム42の前側、後側に一体に形成した回動機構を採用してもよい。取り付け部43A、43Bは、鍵本体20にネジ44で上下から固着され、取り付け部46A、46Bは、基端部30にネジ47で上下から固着される。
あるいは、図11(d)に示すように、図6(a)で例示したのと同じ連結部の変形例を、連結部F1、R1、F2、R2の全4箇所に適用してもよい。すなわち、鍵本体20に突条部26を上下に形成すると共に、基端部30に、突条部26と同様の突条部31を上下に形成する。また、第1アーム41の前側に嵌合部41aを形成すると共に、第1アーム41の後側に嵌合部41aと同様の嵌合部41bを形成する。さらに、第2アーム42の前後に、嵌合部41aと同様の嵌合部42a、42bを形成する。
嵌合部41a、42a及び嵌合部41b、42bを、それぞれ突条部26及び突条部31に嵌合することで、連結部F1、R1及び連結部F2、R2が構成される。
これら、図11(c)、(d)の例によれば、第1アーム41及び第2アーム42の各々に、鍵本体20または基端部30とは異なる独自の材質を採用することが可能となる。
ところで、図11(b)、(c)の例のように、リンク部40が鍵本体20及び基端部30とは別体に形成されるならば、回動機構(乃至リンク部40)は単独で一体成形が可能である。従って、その場合は、回動機構を一方向からの金型移動により容易に成形可能にする上では、平面視または側面視の少なくとも一方において第1アーム41と第2アーム42との重なりがない構成であればよい。
図11(b)、(c)に示す例においても、図11(a)と同じ嵌合機構を採用してもよい。また、図10、図11に示す各例において、リンク部40と鍵本体20や基端部30との結合の態様は、ネジ止めや嵌合に限られず、接着等、あらゆる固着手段を採用可能である。
ところで、上記説明したリンク部40を採用する鍵盤においては、鍵本体20は、上下に回動するが、左右方向への揺動は規制される。そこで、特開2007−25575号公報に示されるような、垂直ヒンジ部を採用してもよい。
図12(a)、(b)は、垂直ヒンジ部を採用する鍵盤の1つの鍵本体の部分の平面図、右側面図である。この例では、鍵本体20を左右方向に揺動自在にするための垂直ヒンジ部として、平面視H型のヒンジ部50が採用される。ヒンジ部50は、リンク部40と基端部30との間を連結するように、鍵本体20、リンク部40及び基端部30と一体に形成される。上下及び左右方向に平行な鉛直板部51、53の間に、上下及び前後方向に平行な縦型の板状部52が形成されている。縦型の板状部52の弾性によって、リンク部40を介して鍵本体20が基端部30に対して左右方向に揺動自在となる。
また、この鍵本体20を含む鍵盤装置には、鍵動作ガイド16が設けられ、各鍵本体20には、鍵動作ガイド16に対して摺動する被ガイド部29が形成される。板状部52の弾性によって、鍵本体20が左右方向に揺動可能である一方、鍵動作ガイド16と被ガイド部29との係合により、鍵本体20の前部の左右方向の位置が規制される。これにより、押離鍵動作が適切にガイドされる。
なお、ヒンジ部50は、リンク部40と鍵本体20との間に介在するように設けてもよい。また、ヒンジ部50は平面視H型であるが、最低限、板状部52を有する構成であればよい。
20 鍵本体、 28 嵌合対応部、 30 基端部、 40 リンク部、 41 第1アーム、 42 第2アーム、 45 嵌合部、 F1 連結部(前側第1連結部)、 R1 連結部(後側第1連結部)、 F2 連結部(前側第2連結部)、 R2 連結部(後側第2連結部)

Claims (7)

  1. 基端部と、
    前記基端部より前方に位置し、押下操作される鍵本体と、
    少なくとも第1アームと第2アームとを有してなり、前記鍵本体が前記基端部に対して押離鍵方向に回動自在となるように前記鍵本体と前記基端部とを連結するリンク部とを有し、
    前記第1アームは、前記鍵本体に対して、前側第1連結部を介して連結されると共に、前記基端部に対して、後側第1連結部を介して連結され、
    前記第2アームは、前記鍵本体に対して、前記前側第1連結部よりも低い位置にある前側第2連結部を介して連結されると共に、前記基端部に対して、後側第2連結部を介して連結され、
    前記第1アーム及び前記第2アームの少なくとも一方は、前記鍵本体よりも軟質の材料で形成されていることを特徴とする鍵盤。
  2. 前記第1アームと前記第2アームとで、硬さが異なっていることを特徴とする請求項1記載の鍵盤。
  3. 前記第1アームと前記第2アームのうち押鍵操作時により大きな曲げ応力が生じるアームに、他方のアームよりも軟質の材料が採用されたことを特徴とする請求項2記載の鍵盤。
  4. 前記第1アームと前記第2アームのうち、押鍵操作時に、より大きな引張力を受けるアームに、他方のアームよりも軟質の材料が採用されたことを特徴とする請求項2記載の鍵盤。
  5. 前記リンク部は、前記前側第1連結部及び前記前側第2連結部と共に一体に形成され且つ前記鍵本体とは別体に形成され、前記リンク部に設けた嵌合部と前記鍵本体に設けた嵌合対応部とが嵌合されて、前記リンク部と前記鍵本体とが一体化されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の鍵盤。
  6. 前記第1アーム及び前記後側第1連結部と、前記第2アーム及び前記後側第2連結部の、いずれかまたは双方は、前記基端部と一体に形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の鍵盤。
  7. 前記前側第1連結部、前記前側第2連結部、前記後側第1連結部、前記後側第2連結部はいずれも、薄板状に構成されるかまたは、白化処理により薄肉部として構成され、回転ヒンジとしての機能を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の鍵盤。
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