JP2010280203A - 加飾シートおよび加飾シートの製造方法並びに加飾成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】エンボスシート表面の凹凸を損なわないように保護する保護層を設けた加飾シートを提供すること。
【解決手段】硬化後の硬度が鉛筆硬度でH以上のバインダー15と、そのバインダー15と同等以上の硬度を有し平均粒径が8μm以上で且つエンボスシート12の表面のRzの35%以下の大きさを有する耐摩粒子14を含有した保護層について、粘度が200mPa・s〜1000mPa・sで、チキソトロピーインデックス値が1.0以上1.5未満である保護層用塗液をスクリーン印刷にて塗布形成したものであり、エンボスシート12における凸部では保護層13の厚みが耐摩粒子14の粒径に対してその50%〜110%で、表面に耐摩粒子14の外形形状が表出しており、エンボスシート12の凹部では保護層13の厚みがエンボスシート12の最大高さ粗さRzの70%以下の厚みであることとした。
【選択図】図2

Description

本発明は、移動体通信機器、AV機器、車載電装機器、その他電気機器などの各種電子機器の外装に加飾用として用いられる加飾シートおよびその加飾シートの製造方法、並びにこうした加飾シートを用いた加飾成形体に関する。
移動体通信機器、AV機器などの各種電子機器は筐体やスイッチなどの外装部品を備えており、この外装部品には、文字、記号、数字、図柄などの表示要素や、金属調ヘアライン、木目調、カーボンクロス調などの模様が、「加飾」として施されている。さらにこうした外装部品の「加飾」には、表示要素や平面的な模様だけでなく、表面に凹凸を付与し、見た目だけでなく実際に見る角度や光の位置によって陰影が変化する立体的な外観を与える加飾シートが用いられることも多い。
凹凸が形成されたエンボスシートを用いた加飾シートは、表面が擦れ易いため、耐摩耗性や耐擦殺性などの耐久性が求められている。例えば、エンボスシートにおける表面の凹凸が摩耗してしまうと、凹凸の段差が小さくなって凹凸感が低下してしまう。また凹凸面に表示要素や模様などを与える装飾層を設けた場合にはその装飾層が剥がれてエンボスシートの凹凸面が露出し見映えが悪くなってしまう。こうした不具合を回避するために、エンボスシートの表面を保護層で覆い加飾シートの耐久性を高めることがなされている。
このような加飾シートの一例として、例えば、特開平9−24585号公報には、表面にエンボス模様を設けた透明なオレフィン系樹脂でなるエンボスシートの凹部に着色インキを埋め込み、そしてその表面側にウレタン系樹脂でなる樹脂層(保護層)をグラビア印刷法によって2μmの厚さで形成したエンボス化粧シートが開示されている。
特開平9−24585号公報
ところで、特許文献1のエンボス化粧シートはグラビア印刷法によって樹脂層を効率良く形成することができるが、樹脂層の層厚が2μm程度では耐摩耗性を高めるには不十分である。
また、バーコート法でエンボスシートにインキを塗布して保護層を形成することができるが、凹凸面の凹部にインキが溜まってしまい凹部の層厚が厚くなると共に凸部の層厚が薄くなり、凹凸感が損なわれて耐摩耗性も高め難いという問題がある。あるいはまた、塗装法でエンボスシートに塗料を塗布して保護層を形成することができるが、大きな塗装機が必要となり、さらにエンボスシートに付着しない塗料も多くなって製造コストが上がってしまう。加えて塗料には溶剤が多く含まれているため、耐溶剤性のエンボスシートが必要となり、エンボスシートの材料選択が限定されるという問題がある。
以上のような従来技術を背景としてなされたのが本発明である。すなわち、本発明の目的は、凹凸により立体的な外観を与える加飾シートにおいて、その凹凸感を損なうことがないような保護層を設ける技術を提供することにある。また基材となるエンボスシートの材料選択を限定することなく耐久性のある保護層を設ける技術を提供することにある。さらに、こうした加飾シートを安価に製造できる技術を提供することにある。加えて、こうした加飾シートを用いた加飾成形体を提供することにある。
表面が凹凸加工された凹凸面の最大高さ粗さRzが40μm〜120μmであるエンボスシートに、その表面の凹凸を損なわないように保護する保護層を設けた加飾シートについて、保護層が、耐摩粒子とその耐摩粒子をエンボスシート表面に止めるバインダーとを備えており、その保護層は、硬化後の硬度が鉛筆硬度でH以上のバインダーと、そのバインダーの硬度と同等以上の硬度を有し平均粒径が8μm以上で且つエンボスシート表面のRzの35%以下の大きさを有する耐摩粒子を含有し、粘度が200mPa・s〜1000mPa・sで、チキソトロピーインデックス値が1.0以上1.5未満である保護層用塗液をスクリーン印刷にてエンボスシート表面に塗布形成したものであり、エンボスシートにおける凹凸加工された凸部では保護層の厚みが耐摩粒子の粒径に対してその50%〜110%となる厚みで、且つ保護層の表面に耐摩粒子の外形形状が表出しており、エンボスシートにおける凹凸加工された凹部では保護層の厚みが、エンボスシートの最大高さ粗さRzの70%以下の厚みであることを特徴とする加飾シートを提供する。
エンボスシートにおける凹凸加工された凸部において、保護層の厚みが耐摩粒子の粒径の50%〜110%となる保護層を形成し、且つ保護層の表面に耐摩粒子の外形形状が表出しており、凹部においては、保護層の厚みがエンボスシートのRzの70%以下となる保護層を形成していることから、その凹部を確認することができ、凹凸感を損なわずに凹凸状態を維持してエンボスシートの表面を保護することができる。
そして、粘度が200mPa・s〜1000mPa・sであり、チキソトロピーインデックス値が1.0以上1.5未満である保護層用塗液をスクリーン印刷にてエンボスシート表面に塗布して保護層を形成したため、エンボスシートの凸部と凹部に対し確実に保護層を設けつつ、凹凸感を損なわずに凹凸状態を維持することができる。
この保護層は、硬化後の硬度が鉛筆硬度でH以上のバインダーと、そのバインダーの硬度と同等以上の硬度を有する耐摩粒子とでなるため、耐摩耗性に優れた保護層とすることができる。
また、耐摩粒子の平均粒径が8μm以上で且つエンボスシート表面のRzの35%以下の大きさであるため、エンボスシートの凹凸感を損なわないように保持することができる。
そして、エンボスシートの最大高さ粗さRzが40μm〜120μmであるため、凹凸が感じられる触感を与える加飾シートとすることができ、上記保護層を形成することで、この凹凸感を損なわずに耐摩耗性に優れた加飾シートを得ることができる。
なお、エンボスシートにおける凹凸加工された凸部と凹部とは、エンボスシートの凹凸を感じさせる表面の微視的形状において、山頂の周辺部を凸部、谷底の周辺部を凹部というものであるが、図3の領域R5で示すように、エンボスシートの凹凸面の山から谷、あるいは谷から山に至るまでの部分を3分割し、山側の三分の一の部分を凸部、谷側の三分の一の部分を凹部というものとする。
また、表面が凹凸加工された凹凸面を有するエンボスシートに、その表面の凹凸を損なわないように保護する保護層を設けた加飾シートについて、保護層が、耐摩粒子とその耐摩粒子をエンボスシート表面に止めるバインダーとを備えており、エンボスシートにおける凹凸加工された凸部では、保護層の厚みが凸部に位置する耐摩粒子の粒径に対してその50%〜110%となる厚みで、且つ保護層の表面に耐摩粒子の外形形状が表出しており、エンボスシートにおける凹凸加工された凹部では保護層の厚みが、エンボスシートの最大高さ粗さRzの70%以下の厚みであることを特徴とする加飾シートを提供する。
表面が凹凸加工された凹凸面を有するエンボスシートに、その表面の凹凸を損なわないように保護する保護層を設けた加飾シートについて、保護層が、耐摩粒子とその耐摩粒子をエンボスシート表面に止めるバインダーとを備えており、エンボスシートにおける凹凸加工された凸部では、保護層の厚みが凸部に位置する耐摩粒子の粒径に対してその50%〜110%となる厚みで、且つ保護層の表面に耐摩粒子の外形形状が表出しており、エンボスシートにおける凹凸加工された凹部では保護層の厚みが、エンボスシートの最大高さ粗さRzの70%以下の厚みであることとしたため、その凹部を確認することができ、凹凸感を損なわずに凹凸状態を維持してエンボスシートの表面を保護することができる。
また、前記エンボスシートは、その凹凸加工された凹凸面の最大高さ粗さRzを40μm〜120μmとし、前記耐摩粒子は、平均粒径が8μm以上で且つエンボスシート表面のRzの35%以下の大きさである加飾シートとすることができる。
エンボスシートの凹凸面の最大高さ粗さRzを40μm〜120μmとしたため、凹凸が感じられる触感を与える加飾シートとすることができ、上記保護層を形成することで、この凹凸感を損なわずに耐摩耗性に優れた加飾シートを得ることができる。
バインダーの平均粒径を8μm以上で且つエンボスシート表面のRzの35%以下の大きさとしたため、エンボスシートの凹凸感を損なわないように保持することができる。
そして、前記バインダーは、その硬度が鉛筆硬度でH以上の有機高分子材であり、耐摩粒子は、その硬度がバインダーの硬度と同等以上の硬度とすることができる。
バインダーの硬度を鉛筆硬度でH以上とし、耐摩粒子の硬度をバインダーの硬度と同等以上の硬度としたため、耐摩耗性に優れた保護層を形成することができる。
保護層における耐摩粒子のバインダーに対する混合割合を10vol%〜50vol%とすることができる。
保護層における耐摩粒子のバインダーに対する混合割合を10vol%〜50vol%としたため、耐摩粒子により充分な耐久性を発揮することができ、また過剰なバインダーにより凹部に耐摩粒子が流されることがないため、凹凸感を損なわずに凹凸状態を維持することができる。
耐摩粒子がエンボスシートの表面に沿って分散配置し、エンボスシートの凸部では重なることなく配置して、保護層の表面に耐摩粒子の外形形状に沿った微小凹凸面を形成している加飾シートとすることができる。
耐摩粒子がエンボスシートの表面に沿って分散配置し、エンボスシートの凸部では重なることなく配置して、保護層の表面に耐摩粒子の外形形状に沿った微小凹凸面を形成したため、擦れ易い凸部に対しても保護層の耐摩粒子を配置することができ、加飾シートの耐摩耗性を高めることができる。さらに耐摩粒子は凸部に対して重なることなく配置するため、凹凸面における凸部の外形に沿うように保護層を形成することができる。
保護層を艶消し透明樹脂層とすることができる。保護層を艶消し透明樹脂層としたため、エンボスシートの凹凸感を損なわないように薄層に設けた保護層であっても、艶消し調の表面を形成することができる。また、透明樹脂層とすることで、保護層の裏面に装飾層を設ける場合であっても、その装飾層を十分に視認させることができる。
エンボスシートの凸部に配置される耐摩粒子は、その一部がバインダーより露出するものとすることができる。凸部において、耐摩粒子がバインダーより露出する保護層を設ければ、バインダーより耐摩耗性に優れた耐摩粒子が表面に表れることで、耐摩耗性に優れた保護層とすることができる。即ち、バインダーに対する擦れをできるだけ排除してバインダーを摩耗し難くすることができる。また、エンボスシートの凸部に配置される耐摩粒子は、その表面にバインダーの薄い皮膜を形成しつつ、保護層の表面に耐摩粒子の外形形状を露出させることもできる。耐摩粒子の表面にバインダーの被膜を形成すれば耐摩粒子の脱落をより起こしにくくすることができる。
エンボスシートの表面に前記凹凸面とは異なり、耐摩粒子の粒径に相応するシボ加工面を有する加飾シートとすることができる。
エンボスシートの表面に前記凹凸面とは異なり、耐摩粒子の粒径に相応するシボ加工面を設けたため、そのシボ加工面に保護層中の耐摩粒子が止まりやすく、エンボスシートの凸部に耐摩粒子を容易に設けることができる。
エンボスシートと保護層との間に装飾層を設けることができる。エンボスシートと保護層との間に装飾層を設けたため、エンボスシートの裏面に装飾層を設けた場合と比較して装飾層を視認し易くできる。そして、ウッド調や繊維調など、より本物に近い質感を与える優れたデザインの表面を得ることができる。
また、このようなエンボスシートの凹凸面に設ける装飾層は層厚を厚くすることが難しいことから耐摩耗性が不十分であるが、本願発明の保護層が装飾層を覆うことで、装飾層を剥がれ難くすることができる。
また本発明は、表面が凹凸加工された凹凸面の最大高さ粗さRzが40μm〜120μmであるエンボスシートに、その表面の凹凸を損なわないように保護する保護層を設けた加飾シートの製造方法について、硬化後の硬度が鉛筆硬度でH以上となるバインダーと、そのバインダーの硬度と同等以上の硬度を有し平均粒径が8μm以上で且つエンボスシート表面のRzの35%以下の大きさを有する耐摩粒子を含有させ、溶剤で調整して粘度を200mPa・s〜1000mPa・s、チキソトロピーインデックス値を1.0以上1.5未満とした保護層用塗液を調製し、前記エンボスシートの表面にスクリーン印刷で前記保護層用塗液を塗布して保護層を形成し、エンボスシートにおける凹凸加工された凸部では保護層の厚みが耐摩粒子の粒径に対してその50%〜110%となる厚みで、且つ保護層の表面に耐摩粒子の外形形状が表出したものであり、エンボスシートにおける凹凸加工された凹部では保護層の厚みがエンボスシートの最大高さ粗さRzの70%以下の厚みである加飾シートを製造することを特徴とする加飾シートの製造方法を提供する。
溶剤で調整して粘度を200mPa・s〜1000mPa・s、チキソトロピーインデックス値を1.0以上1.5未満とした保護層用塗液をスクリーン印刷して保護層を形成したため、エンボスシートにおける凹凸加工された凸部でも耐摩粒子の外形形状が表出した保護層を積層することができ、その凹部では必要以上に凹部を埋めることなくエンボスシート表面の凹凸感を損なわないようにすることができる。
また、硬化後の硬度が鉛筆硬度でH以上となるバインダーと、そのバインダーの硬度と同等以上の硬度を有する耐摩粒子とを有する保護層用塗液から保護層を形成したため、耐摩耗性に優れた保護層とすることができる。
エンボスシートにおける凹凸加工された凸部において、保護層の厚みが耐摩粒子の粒径の50%〜110%となる保護層を形成し、且つ保護層の表面に耐摩粒子の外形形状が表出しており、凹部においては、保護層の厚みがエンボスシートのRzの70%以下となる保護層を形成することから、その凹部を確認することができ、凹凸感を損なわずに凹凸状態を維持してエンボスシートの表面を保護することができる。
また、耐摩粒子の平均粒径が8μm以上で且つエンボスシート表面のRzの35%以下の大きさであるため、エンボスシートの凹凸感を損なわないように保持することができる。
そして、エンボスシートの最大高さ粗さRzが40μm〜120μmであるため、凹凸が感じられる触感を与える加飾シートとすることができ、上記保護層を形成することで、この凹凸感を損なわずに耐摩耗性に優れた加飾シートを得ることができる。
スクリーン印刷法にて保護層を塗布形成するため、大がかりな装置を必要とせず、さらに保護層用塗液の付着効率も高く、保護層を安価に形成することができる。また、スクリーン印刷法にて保護層を塗布形成するため、塗装法に比べ保護層用塗液の溶剤量を少なくすることができる。そのため、溶剤によるエンボスシートの変形や劣化などを起こり難くすることができ、エンボスシートの材料選択肢を広げることができる。
また、表面が凹凸加工された凹凸面を有するエンボスシートに、その表面の凹凸を損なわないように保護する保護層を設けた加飾シートの製造方法について、バインダーと耐摩粒子を含有させ、溶剤で調整して粘度を200mPa・s〜1000mPa・s、チキソトロピーインデックス値を1.0以上1.5未満とした保護層用塗液を調製し、前記エンボスシートの表面にスクリーン印刷で前記保護層用塗液を塗布して保護層を形成し、加飾シートを製造することを特徴とする加飾シートの製造方法を提供する。
粘度を200mPa・s〜1000mPa・s、チキソトロピーインデックス値を1.0以上1.5未満とした保護層用塗液を調製し、前記エンボスシートの表面にスクリーン印刷で前記保護層用塗液を塗布して保護層を形成したため、エンボスシートにおける凹凸加工された凸部でも耐摩粒子の外形形状が表出した保護層を積層することができ、その凹部では必要以上に凹部を埋めることなくエンボスシート表面の凹凸感を損なわないようにすることができる。
さらにまた、表面が凹凸加工された凹凸面の最大高さ粗さRzが40μm〜120μmであるエンボスシートに、その表面の凹凸を損なわないように保護する保護層を設けた加飾シートの製造方法について、バインダーと、平均粒径が8μm以上で且つエンボスシート表面のRzの35%以下の大きさを有する耐摩粒子を含有させた保護層用塗液を調製し、前記エンボスシートの表面にスクリーン印刷で前記保護層用塗液を塗布して保護層を形成し、エンボスシートにおける凹凸加工された凸部では保護層の厚みが耐摩粒子の粒径に対してその50%〜110%となる厚みで、且つ保護層の表面に耐摩粒子の外形形状が表出したものであり、エンボスシートにおける凹凸加工された凹部では保護層の厚みがエンボスシートの最大高さ粗さRzの70%以下の厚みである加飾シートを製造することを特徴とする加飾シートの製造方法を提供する。
エンボスシートにおける凹凸加工された凸部において、耐摩粒子の粒径の50%〜110%の厚みで且つ表面に耐摩粒子の外形形状が表出した保護層を形成し、凹部においては、エンボスシートのRzの70%以下となる厚みの保護層を形成したため、その凹部を確認することができ、凹凸感を損なわずに凹凸状態を維持してエンボスシートの表面を保護することができる。
また、耐摩粒子の平均粒径が8μm以上で且つエンボスシート表面のRzの35%以下の大きさであるため、エンボスシートの凹凸感を損なわないように保持することができる。
そして、エンボスシートの最大高さ粗さRzが40μm〜120μmであるため、立体的な外観を与える加飾シートとすることができ、上記保護層を形成することで、この凹凸感を損なわずに耐摩耗性に優れた加飾シートを得ることができる。
そしてまた、これらの加飾シートを表面に有する加飾成形体を提供する。前記加飾シートを表面に有する加飾成形体は、エンボスシートの凹凸感を損なわずに凹凸状態を維持してエンボスシートの表面を保護でき、凹凸感に優れたデザイン性の高い加飾成形体とすることができる。
本発明の加飾シートとその製造方法および加飾成形体によれば、エンボスシートの凹凸面をそこなうことがないように保護層を設けることができ、耐摩耗性に優れた加飾シートや加飾成形体を得ることができる。
第1実施形態の加飾シートを示す平面図。 第1実施形態の加飾シートを示す縦断面図とその部分拡大断面図。 第1実施形態の加飾シートに用いるエンボスシートを示す縦断面図とその部分拡大断面図。 第2実施形態の加飾シートを示す縦断面図。 第3実施形態の加飾成形体が適用された携帯電話機の斜視図と部分拡大断面図。 従来の加飾成形体を示す縦断面図。
本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各実施形態で共通する構成については、同一の符号を付して重複説明を省略する。
第1実施形態〔図1〜図3〕
本実施形態の加飾シート11を図1、図2に示す。図1は加飾シート11の平面図、図2は加飾シート11の断面図である。本実施形態の加飾シート11は、凹凸加工が施されたエンボスシート12の表面に耐摩耗性を付与する保護層13が設けられている。図3にはそのエンボスシート12の断面図を示す。
エンボスシート: エンボスシート12は加飾シート11のベースとなる樹脂フィルムであり、図3で示すように、その表面に凹凸加工が施され、その凹凸がカーボン調やデニム調、木目調などとして表われる凹凸面16を形成している。即ち、このエンボスシート12の凹凸面16は加飾シート11の外形や触感に影響を及ぼしており、加飾シート11に所望の質感を与えている。
エンボスシート12における凹凸面16の最大高さ粗さRz(「Rz」とも記す)は、40μm〜120μmに形成されていることが好ましい。凹凸面16のRzが40μm未満では、凹凸面16の凹部16aを埋めることなく充分な耐摩耗性を備えた保護層13を形成することが困難となる。Rzが120μmを超えると、凸部と凹部との段差が大きくなりスクリーン印刷などの印刷法で保護層を形成する際に凹部内に保護層を塗布しにくくなる。
さらに、凹凸面16の表面は、図3における部分拡大図R4で示すように、微細な凹凸形状のシボ加工面17であることが好ましい。シボ加工面17は前述のRzの基準となる凹凸面16とは全く別のものであり、凹凸面16が大きな「うねり」の凹凸段差であるとすれば、シボ加工面17はその「うねり」の表面の微細な凹凸段差に相当する。
エンボスシート12の材質には、保護層13を形成する保護層用塗液を塗布した際にソルベントクラックが発生しない程度の耐溶剤を有する熱可塑性樹脂を用いることができる。例えば、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS)樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂などが挙げられる。
保護層: 保護層13は、エンボスシート12の表面を覆いその凹凸面16を保護する層である。この保護層13には耐摩粒子14とバインダー15とが含まれ、保護層13の表面には、図2で示すように、耐摩粒子14の外形形状が表出し、耐摩粒子14の外形形状に沿った微小凹凸面13aを形成している。そして、エンボスシート12の凸部16bでは、耐摩粒子14が重なることなく配置している。
保護層13の層厚は、エンボスシート12における凹凸加工された凸部16bでは、耐摩粒子14の粒径に対してその50%〜110%となる厚みであり、エンボスシート12における凹凸加工された凹部16aでは、エンボスシート12のRzの70%以下の厚みである。また、凸部16bでは、耐摩粒子14が無くバインダー15のみとなっている部分の層厚は、耐摩粒子14の粒径の50%〜90%である。
この保護層13のエンボスシート12への積層状態についてさらに詳細に説明すると、保護層13を構成している耐摩粒子14は、凹凸面16の凸部16bに対しては重ならないように配置されており、凸部16bにおける保護層13の厚さは耐摩粒子14の1つ分程度となる。即ち、凸部16bでの保護層13の厚みが耐摩粒子14の粒径の50%〜110%であるので、100%より小さい部位は耐摩粒子14が無くバインダー15だけの部位が存在しても良いことを意味し、110%を上限とするのは、耐摩粒子14が存在していても層厚方向に2個以上は重なっていないことを意味する。110%としたのは、耐摩粒子14の表面にバインダー15が覆っている場合がありうることを意味する。そして、耐摩粒子14が無い部位でもその粒径の50%〜90%となる厚みだけバインダー15が存在して耐摩粒子を保持している。
図2の領域R2では耐摩粒子14の表面にバインダー15が覆っている場合を示しているが、バインダー15の種類や保護層用塗液の粘度等によっては、領域R3で示したように耐摩粒子14の表面が剥き出しになる場合もあり得る。
凸部16bでバインダー15の層厚が耐摩粒子14の粒径の50%未満では耐摩粒子14の保持力が小さく、耐摩粒子14がバインダーから脱落し易い。また90%を超えると保護層13の表面に耐摩粒子14が表出しにくくなり、バインダーの割合が増えることからバインダーの流動に伴い耐摩粒子が凹部16aへ流れ易くなってしまう。即ち、バインダー15部分の層厚が耐摩粒子14の粒径の50%〜90%とするため、耐摩粒子14の保持力を高く保ちながら凸部と凹部に確実に保護層を形成できるのである。
そして、凹部16aにおける保護層13の層厚をエンボスシート12におけるRzの70%以下としたのは、70%を超えると凹部16aが埋まりすぎ凹凸感が損なわれることになるからである。
また、エンボスシート12の凹凸面16は、図3の部分拡大図を示す領域R1で示すように、微細な凹凸形状のシボ加工面17を有しており、このシボ加工面17の微細凹部17aに耐摩粒子14が嵌るように、好ましくは積層されている。このようにすれば、凸部16bに配置された耐摩粒子14を凹部16aに落ちにくくすることができ、凸部16bに耐摩粒子14を止めやすくすることができる。
保護層13を形成する耐摩粒子14は、保護層13の耐摩耗性を高める。耐摩粒子14の大きさは、平均粒径が8μm以上で且つエンボスシート12におけるRzの35%以下である。
耐摩粒子の平均粒径を8μm以上としたのは、平均粒径が8μmより小さいと、耐摩粒子の摩耗耐久性が低くなり、さらに凸部におけるバインダー15も薄くなることから、保護層13の耐摩耗性が不十分になるおそれがある。一方、充分な耐摩耗性を有するように保護層を塗布しようとすると、バインダーに耐摩粒子が埋もれてしまい、凹部へ流され易くなり、凹凸感を維持することが難しくなる。また、耐摩粒子の平均粒径をエンボスシートのRzの35%以下の大きさとしたのは、Rzの35%を超えると、凹部16aにおいて数個の耐摩粒子が重なっただけで凹凸段差が小さくなるほど、凹部が埋められてしまうからである。
即ち、一般的に、粘度等を調整し、また表面の艶消し(非光沢化)を図るために添加される添加剤の平均粒径は8μm未満であるが、こうした場合と比較して、比較的平均粒径の大きな耐摩粒子14を用いているため、保護層13を形成するための保護層用塗液の粘度を低く抑えることが可能である。また、同程度の添加量で比較すると平均粒径が小さな耐摩粒子を用いた場合に比べると添加量が減るため、保護層13中に耐摩粒子14が粗となる部分が多く生じ、艶消しにも大変効果的である。
耐摩粒子14の硬さは、バインダー15の硬化後の硬度と同等以上の硬度であり、バインダー15の硬度が鉛筆硬度でH以上であるため、少なくとも鉛筆硬度でH以上である。鉛筆硬度がHより軟らかければ、耐摩粒子自体が摩耗し易く、さらに保護層13が擦れた際に耐摩粒子14が変形してしまい、この変形の応力によって耐摩粒子14がバインダー15から脱落し易くなり、保護層13に耐摩耗性を付与しにくいからである。また、耐摩粒子14は凸部においてエンボスシートの表面に外形形状が表出するように配置されるため、特に高硬度の耐摩粒子を用いれば、より効果的に保護層の耐摩耗性を高めることができる。
特に、エンボスシート12の凸部16bにおいては、保護層13中のバインダー15の厚みが耐摩粒子14の粒径の50%〜90%の厚みとなって耐摩粒子14を固定している。そのため耐摩粒子14の脱落は保護層13の耐摩耗性を悪化させてしまう。よって耐摩粒子14の脱落を抑制することが優れた耐摩耗性の保護層13を実現するためのポイントとなる。なお、鉛筆硬度については、JIS K5600−5−4の規定に従って測定した値である。
耐摩粒子14の形状は、アスペクト比で0.5以上のものが好ましい。アスペクト比が0.5より小さいと、その短軸方向が保護層13の厚み方向になるように寝てしまい、耐摩粒子14の積層を起こし易くなる。
耐摩粒子14の材質は、エンボスシート12の外観を維持するために、透明性を有する有機高分子や無機物であることが好ましい。例えば、有機高分子としては、メラミン樹脂、架橋アクリル樹脂などが挙げられ、無機物としては、シリカ、ガラスビーズなどが挙げられる。酸化アルミニウムや酸化チタンなどは硬質で耐摩耗性が優れたものであるが白色であるため、白色の外観を得る場合には適用できるが、白色以外の外観を得る場合には適用し難く、汎用性の点で劣る。
バインダー15は、耐摩粒子14をエンボスシート12の凹凸面16に固定する樹脂でなり、その硬化後の硬度は、鉛筆硬度でH以上とする。Hよりも軟らかいと、保護層13の耐摩耗性が不十分となる。保護層13の耐摩耗性を高めるのは耐摩粒子14に起因するところが大きいが、バインダー15についても、鉛筆硬度がH以上と表面硬度の高い有機高分子を用いることで、保護層13の硬さを高めることができる。
バインダー15の材質は、エンボスシート12と密着性の良い有機高分子である。具体的には、熱可塑性樹脂、熱硬化型樹脂、活性エネルギー線硬化樹脂などを挙げることができ、これらの中でも鉛筆硬度や塗膜の機械的物性に優れる熱硬化型樹脂、活性エネルギー線硬化樹脂が好ましい。さらに、後述する保護層用塗液の調製のし易さから熱硬化型樹脂がより好ましい。例えば、熱可塑性樹脂としては、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂などが挙げられ、熱硬化型樹脂としては、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂などが挙げられ、活性エネルギー線硬化型樹脂としては、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレートなどが挙げられる。これら有機高分子の中でも特に硬さや耐摩耗性に優れるウレタン樹脂、アクリル樹脂などが好ましい。
バインダー15に対する耐摩粒子14の混合比は、10vol%〜50vol%であることが好ましい。バインダー15に対する耐摩粒子14の混合比を10vol%〜50vol%としたため、エンボスシート12における凸部16bに耐摩粒子14を配置することができると共に、凹部16aに多くの耐摩粒子14が溜まることがないように耐摩粒子14を配置することができる。即ち、樹脂にフィラーを含有させる一般的な場合と比較すると、耐摩粒子14に対してバインダー15の混合量を少なめに配合している。こうした配合とすることで、エンボスシート12の凸部で耐摩粒子14が表面に表出し易くしている。
保護層13は、こうした耐摩粒子14とバインダー15をエンボスシート12の表面に塗布形成してなる。そのための保護層用塗液は、少なくともバインダー15に耐摩粒子14と溶剤を配合して調製する。
保護層用塗液の粘度は200mPa・s〜1000mPa・sとすることが好ましい。粘度が200mPa・sよりも低いと、低粘度すぎて印刷に適さない粘度範囲になってしまうと共に、溶剤量が多くなってしまうことからエンボスシート12における凹凸面16の凸部16bにおいて十分なバインダー15の層厚が得られ難くなってしまう。
また、エンボスシート12の材質によっては多量の溶剤によりエンボスシート12が撓んだり変形してしまうおそれがある。そうした一方で、一般的な印刷に適する1000mPa・sを超える粘度では、保護層用塗液中におけるバインダー15の割合が多く、バインダー15の層厚が厚くなり易く、また保護層用塗液の流れ性が悪くなり凹部16aに対してバインダー15が付着しにくくなる。即ち、バインダーの割合を比較的少なくすることでバインダーの流動とともに耐摩粒子が凹部へ流されることを抑制しているのである。
さらに、粘度を上記範囲に調整することで、前述のように凹部へも保護層が確実に塗布できるようにすると共に、凸部においては個々の耐摩粒子の間に表面張力によって一定量のバインダーが保持されるようにしているのである。このようにして、凸部においては耐摩粒子14の外形形状が表出した保護層を形成することができる。
上記粘度は、JIS K7117−2に基づいて測定したものであって、Borlin製E型回転粘度系VISCO88BVを用いた回転速度35rpmでの値である。
保護層用塗液のチキソトロピーインデックス値は1.0以上1.5未満であることが好ましい。ここで、チキソトロピーインデックス値とは、回転速度が10倍異なるものに対する粘度比であって、ニュートン流体では1となり、耐摩粒子を添加している組成物では1.0以上の値をとる。一般に印刷用の保護層用塗液ではチキソトロピーインデックス値を1.5から5程度に調製する。これは印刷されたパターンが保護層用塗液の流れによって乱れないようにするためである。しかし、保護層用塗液では、チキソトロピーインデックス値を1.5以上とすると、流れ性が抑えられエンボスシート12の凹部16aにまで保護層用塗液を付着させることが逆に困難になる。そのため、チキソトロピーインデックス値を1.0以上1.5未満としている。
チキソトロピーインデックス値については、JIS K6833−1の記載を参考にしており、回転速度35rpmの粘度と350rpmの粘度との比を計算し、チキソトロピーインデックス値とした。
耐摩粒子14とバインダー15でなる保護層用塗液について説明したが、保護層13に色味を与える着色材や、粘度調整剤、硬化剤など、耐摩粒子14やバインダー15、溶剤以外にもこうした種々の添加剤等を保護層用塗液に含ませることが可能である。
加飾シート11の製造方法について次に例示する。
エンボスシート12は、例えば、押出し成形で樹脂をシート化し、その表面にエンボスロールで凹凸面16を付与してエンボスシート12を製造する。エンボスロールの表面には必要によりサンドブラスト等によりシボ加工を施しておく。保護層用塗液は、バインダー15に耐摩粒子14と溶剤を配合し、粘度が200mPa・s〜1000mPa・sとなるように調製する。
そして、エンボスシート12の表面に、スクリーン印刷で保護層用塗液を塗布印刷し、保護層13を形成して加飾シート11を得る。
なお、スクリーン印刷法以外でもスプレー塗装など種々の方法で保護層13を形成することは可能であるが、設備の高額化、材料選択や塗布液調整や塗布量調整の困難化、歩留まり低下などの生産性の観点からスクリーン印刷法が好ましい。
加飾シート11および加飾シート11の製造方法によれば、保護層13の表面に微小凹凸面13aを形成しているため、保護層13の摩擦係数を小さくすることができ、保護層13の耐摩耗性を高めることができる。そして保護層13の耐摩粒子14はエンボスシート12の凹凸面16に沿って分散しているため、保護層13の全表面に微小凹凸面13aを形成することができ、保護層13の全表面において耐摩耗性を高めることができる。耐摩粒子14は擦れ易い凹凸面16の凸部16bに対しても配置されているため、凸部16bを覆う保護層13の耐摩耗性を高めることができる。さらに耐摩粒子14は凸部16bに対して重なることなく配置されているため、凹凸面16における凸部16bの外形に沿うような保護層13を形成することができ、凹凸面16の凹凸感を損ない難くすることができる。
第2実施形態〔図4〕
本実施形態の加飾シート21の断面図を図4に示す。本実施形態の加飾シート21は、先の実施形態の加飾シート11と異なり装飾層28を備えている。その他の構成部材や作用、効果等は加飾シート11と同じである。
装飾層28は、エンボスシート12における凹凸面16の表面に設けられ、加飾シート21に文字や記号、数字などの表示要素や着色、デザインパターンなどの模様等を付与して多様な質感を与える層である。
装飾層28の材質としては、エンボスシート12に対して密着性の良い装飾用組成物となる樹脂を用いることができ、この樹脂には、例えば、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレートなどが挙げられる。
装飾用組成物は、こうした樹脂に顔料などの着色材や、分散剤等を混合し溶剤で希釈
して得られる。
装飾層28は、例えば、エンボス加工したエンボスシート12の表面に、グラビアコーティングにより装飾用組成物を塗布し、厚さ1μm程度の層厚に形成することができる。保護層13の形成は、この装飾層28の表面にスクリーン印刷法にて保護層用塗液を塗布して行う。なお、装飾層28の形成は、グラビアコート以外にもスクリーン印刷などの種々の印刷法、スプレーコートなどの種々の塗工法を用いることができる。
また別の方法として、平坦なエンボスシート12に装飾層28を形成した後、エンボス加工して凹凸面16を形成することもできる。
こうして得られた加飾シート21は、凹凸感だけでなく、表示要素や模様等も付与されたデザイン性に優れた質感を有する加飾シート21である。また、エンボスシート12と保護層13との間に装飾層28を設けたことから、エンボスシート12の裏面に装飾層28を設けた場合と比較して、装飾層28を視認し易く、ウッド調やデニム調など本物に近いより優れた装飾感を得ることができる。また、装飾層28は保護層13に覆われるため、層厚が薄い装飾層28であっても、装飾層28を保護し剥がれ難くすることができる。
第3実施形態〔図5〕
本実施形態は、先の実施形態で示した加飾シート11,21を成形体の表面に設けた加飾成形体31に関するものである。
ここで示す加飾成形体31は、加飾シート11,21を接着剤でなる接着層33を介して携帯電話機30の筐体32となる樹脂成形体に固着することで得られる。図5には、携帯電話機30の斜視図と携帯電話機30の表面を形成する加飾成形体31の部分拡大断面図を示す。
加飾成形体31によれば、デザイン性に優れた成形体を得ることができる。
エンボスシート12と保護層13を備える加飾シート11,21や、これらの加飾シート11,21を成形体表面に固着した加飾成形体31について例示したが、モールド成形体の表面にエンボスシート12の凹凸面16と同様の凹凸面を直接形成し、その表面に保護層13を形成して、モールド成形体と保護層13を備える「加飾成形体」とすることもできる。
次に、実験例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。
1.加飾シートの製造
試料1
ABS樹脂からなるカーボン調のエンボスシート(12)を用意した。エンボスシート(12)の断面を電子顕微鏡で観察したところ厚みは350μmで、凹凸面(16)の最大高さ粗さRzは40μmであった。このエンボスシート(12)における凹凸面(16)の表面に、黒色メタリック調のウレタン系樹脂でなる装飾用組成物で約1μmの装飾層(28)を形成した。
次に、保護層(13)を形成する保護層用塗液を調製した。バインダー(15)となる樹脂成分としてはウレタン系インキ(セイコーアドバンス製SG429R、硬化後の鉛筆硬度は2H)を、耐摩粒子(14)としては鉛筆硬度が2Hを超える硬さのシリカ耐摩粒子(富士シリシア化学製サイリシア476、平均粒径=14μm)を、それぞれ用い、樹脂成分に対して耐摩粒子(14)を21vol%となるように配合した。このとき溶剤を通常の印刷用の配合より多くして、保護層用塗液の粘度を500mPa・sになるように調製した。なお、粘度はBorlin製E型回転粘度系VISCO88BVを用いて測定し、回転速度が35rpmのときの値を粘度値とした。また、回転速度35rpmのときの粘度と350rpmのときの粘度との比を計算し、チキソトロピーインデックス値とした。なお、粘度は、JIS K7117−2に基づいて測定しており、チキソトロピーインデックス値についてはJIS K6833−1の記載に基づき導入した。
この保護層用塗液をスクリーン印刷により、装飾層(28)の表面に印刷し、加飾シート(21)を得た。なお、印刷版はナイロン製270メッシュ、乳剤の厚みが12μmのものを用いた。得られた加飾シート(21)を試料1とした。
なお、耐摩粒子の配合容量割合は次のようにして算出した。まず、バインダーの配合体積を、配合重量部×固形分割合/比重から計算し、一方で耐摩粒子の配合体積を、配合重量部×単位重量当りの体積(多孔質については見かけ体積)から計算してそれぞれ求め、得られたバインダーと耐摩粒子の配合体積の総和を100として、それぞれの割合をvol%に変換して求めた。
試料2
エンボスシート(12)における凹凸面(16)のRzを70μmにした点以外は試料1と同様にして、別の加飾シート(21)を製造し、試料2とした。
試料3
エンボスシート(12)における凹凸面(16)のRzを90μmにした点以外は試料1と同様にして、別の加飾シート(21)を製造し、試料3とした。
試料4
エンボスシート(12)における凹凸面(16)のRzを120μmにした点以外は試料1と同様にして、別の加飾シート(21)を製造し、試料4とした。
試料5
エンボスシート(12)における凹凸面(16)のRzを50μmにし、耐摩粒子(14)を平均粒径11μmのシリカ耐摩粒子(富士シリシア化学製サイリシア780)に変更した以外は試料1と同様にして、別の加飾シート(21)を製造し、試料5とした。
試料6
耐摩粒子(14)を平均粒径8μmのシリカ耐摩粒子(富士シリシア化学製サイリシア450)にした点以外は試料1と同様にして、別の加飾シート(21)を製造し、試料6とした。
試料7
試料7が試料1と異なるのは、耐摩粒子(14)をアクリル樹脂ビーズ(根上工業製架橋アクリルビーズGR400透明、鉛筆硬度2H、平均粒径=14μm)にした点である。それ以外は試料1と同様にして別の加飾シート(21)を製造し、試料7とした。
試料8
試料8が試料1と異なるのは、エンボスシート(12)における凹凸面(16)のRzを60μmにした点である。それ以外は試料1と同様にして別の加飾シート(21)を製造し、試料8とした。
試料9
試料9が試料1と異なるのは、エンボスシートにおける凹凸面のRzを10μmにした点である。それ以外は試料1と同様にして別の加飾シート(21)を製造し、試料9とした。
試料10
試料10が試料1と異なるのは、エンボスシートにおける凹凸面のRzを170μmにした点である。それ以外は試料1と同様にして別の加飾シート(21)を製造し、試料10とした。
試料11
試料11が試料1と異なるのは、保護層が耐摩粒子を備えていない点である。それ以外は試料1と同様にして別の加飾シート(21)を製造し、試料11とした。
試料12
試料12が試料1と異なるのは、保護層が耐摩粒子を備えていない点である。さらに試料11よりバインダーの層厚を薄く形成した。それ以外は試料1と同様にして別の加飾シート(21)を製造し、試料12とした。
試料13
試料13が試料1と異なるのは、耐摩粒子を軟質のウレタン樹脂ビーズ(根上工業製架橋ウレタンビーズC400、鉛筆硬度B、平均粒径=14μm)にした点である。それ以外は試料1と同様にして別の加飾シート(21)を製造し、試料13とした。
試料14
試料14が試料1と異なるのは、耐摩粒子を軟質のウレタン樹脂ビーズ(根上工業製架橋ウレタンビーズC800、鉛筆硬度B、平均粒径=6μm)にした点である。それ以外は試料1と同様にして別の加飾シート(21)を製造し、試料14とした。
試料15
試料15が試料1と異なるのは、耐摩粒子を平均粒径2.7μmのシリカ耐摩粒子(富士シリシア化学製サイリシア530)にした点である。それ以外は試料1と同様にして別の加飾シート(21)を製造し、試料15とした。
試料16
試料16が試料1と異なるのは、耐摩粒子を平均粒径2.7μmのシリカ耐摩粒子(富士シリシア化学製サイリシア530)にした点である。さらに試料15よりバインダーの層厚を薄く形成した。それ以外は試料1と同様にして別の加飾シート(21)を製造し、試料16とした。
試料17
試料17が試料1と異なるのは、耐摩粒子を平均粒径0.016μmのシリカ耐摩粒子(日本アエロジル製アエロジルRY200S)にした点である。それ以外は試料1と同様にして別の加飾シート(21)を製造し、試料17とした。
試料18
試料18が試料1と異なるのは、保護層用塗液の粘度を1100mPa・sになるように調製した点である。それ以外は試料1と同様にして別の加飾シート(21)を製造し、試料18とした。
試料19
試料19が試料1と異なるのは、耐摩粒子をアクリル樹脂ビーズ(東洋紡製タフチックAR650MZ、鉛筆硬度2H、平均粒径=60μm)にした点である。それ以外は試料1と同様にして別の加飾シート(21)を製造し、試料19とした。
試料20
試料20が試料1と異なるのは、耐摩粒子をアクリル樹脂ビーズ(東洋紡製タフチックAR650MZ、鉛筆硬度2H、平均粒径=60μm)にした点である。さらに試料19よりバインダーの層厚を厚く形成した。それ以外は試料1と同様にして別の加飾シート(21)を製造し、試料20とした。
試料21
試料21が試料1と異なるのは、保護層を設けない点である。それ以外は試料1と同様にして別の加飾シート(21)を製造し、試料21とした。
試料22
試料22が試料1と異なるのは、保護層が耐摩粒子を備えておらず、バインダーとして鉛筆硬度HBのウレタン系保護層用塗液(武蔵塗料製ネオラバサンN78100)にした点である。それ以外は試料1と同様にして別の加飾シート(21)を製造し、試料22とした。
試料23
試料23が試料1と異なるのは、保護層用塗液の粘度を180mPa・sになるように調製した点である。それ以外は試料1と同様にして別の加飾シート(21)を製造し、試料23とした。
2.試験方法
以上の試料1〜試料23について、以下に示す種々の値を測定、算出し、また、「耐摩耗性」と「保護層における凹凸の維持率」の2項目について評価した。これらの結果を表1、表2に示す。
「エンボスシートにおける凹凸面の最大高さ粗さ(Rz)」(表中:Rz);
電子顕微鏡によりエンボスシートの縦断面を観察し測定した。
「保護層用塗液の粘度」(表中:粘度);
Borlin製E型回転粘度計VISCO88BVによって、回転速度35rpmでの粘度を測定した。
「耐摩粒子とバインダーの鉛筆硬度」(表中:鉛筆硬度);
耐摩粒子については、同じ材質の板片について、JIS K5600−5−4の規定に従って測定した。バインダーについては、そのものをガラス上に印刷した塗膜についてJIS K5600−5−4の規定に従い同様に測定した。
「凹凸面の凸部におけるバインダーの厚さ」(表中:凸部の厚さ);
電子顕微鏡でエンボスシートの凹凸面を観察し、凸部において耐摩粒子がない部分のバインダーの厚さを測定した。
「凹凸面の凹部におけるバインダーの厚さ」(表中:凹部の厚さ);
電子顕微鏡でエンボスシートの凹凸面を観察し、凹部におけるバインダーの厚さを測定した。なお、凹部においては、ほとんど耐摩粒子が埋もれている状態であったため、バインダーの厚さは保護層の厚さにほぼ一致するものとなっていた。
「保護層用塗液のTI値」(表中:TI値);
複数の回転速度における粘度を測定し、回転速度と粘度の相関グラフを作成して、回転数35rpmのときと350rpmのときの粘度の値の比を算出した。
「耐摩粒子の平均粒径と凹凸面のRzとの比」(表中:粒径のRzとの比);
次に示す計算式(1)で算出した。
([耐摩粒子の平均粒径」/[凹凸面のRz])×100 ・・ 計算式(1)
「凹凸面の凸部におけるバインダーの厚さと耐摩粒子の平均粒径との比」(表中:凸部厚さの粒径との比);
次に示す計算式(2)で算出した。
([凸部におけるバインダーの厚さ]/[耐摩粒子の平均粒径])×100 ・・ 計算式(2)
「凹凸面の凹部におけるバインダーの厚さと凹凸面のRzとの比」(表中:凹部厚さ
のRzとの比);
次に示す計算式(3)で算出した。
([凹部におけるバインダーの厚さ]/[凹凸面のRz])×100 ・・ 計算式(3)
「耐摩耗性」(表中:耐摩耗性);
砂消しゴム(株式会社サクラクレパス社製RADIC、500B)を用いて、荷重500g、移動ストローク25mm、速度が往復60/分の条件で、各試料の表面を擦った。表において「良好」はエンボスシートが露出するまでに砂消しゴムの往復を100回以上要したことを示し、「不十分」は砂消しゴムの100回未満の往復でエンボスシートが露出したことを示す。
「保護層における凹凸の維持率」(表中:凹凸の維持率);
エンボスシートの凹凸面のRzに対して、保護層形成後のRzがどの程度変化しているかを算出した。100%で同一のRzの値となる。
3.試験結果
試料1〜試料8は、「耐摩耗性」が良好であり、「保護層の凹凸の維持率」は50%以上と優れた結果が得られた。これに対し、試料12〜試料14、試料16、試料17、試料19、試料21〜試料23は、「耐摩耗性」が不十分であり、試料9〜試料11、試料15、試料17〜試料19は、凹凸感が失われていた。試料20は、凹凸感が全く異なるものとなっていた。以下に試料10〜試料23についての詳細を説明する。
試料9はRzが10μmと小さいため、凹凸面の凹部が保護層で埋まってしまい「凹凸面のRzと凹凸面の凹部におけるバインダーの厚さの比」が220%となった。このため「保護層における凹凸の維持率」が10%と低く凹凸感が失われてしまった。
試料10はRzが170μmと大きいため、凹凸面の凹部に保護層が付着し難く「凹凸面の凹部におけるバインダーの厚さ」が3μmと薄かった。このため保護層が均一に形成できず、凹凸感が大きく変わっていた。
試料11は保護層に耐摩粒子を含んでいないため、凹凸面の凹部を保護層が埋めてしまい「凹凸面のRzと凹凸面の凹部におけるバインダーの厚さの比」が100%となった。このため「保護層における凹凸の維持率」が25%と低くなって凹凸感が失われてしまった。
試料12も試料11と同じく保護層に耐摩粒子を含んでおらず、凹凸感を維持するためバインダーの厚さを薄くしたが、凹凸感を維持した保護層は「凹凸面の凸部におけるバインダーの厚さ」が2μmと薄くなってしまった。このため「耐摩耗性」が不十分であった。
試料13は耐摩粒子の鉛筆硬度がBと軟らかいため、耐摩粒子が脱落し易かった。このため「耐摩耗性」が不十分であった。このことは砂消しゴムが保護層に接触した際に、耐摩粒子が変形して耐摩粒子とバインダーとの界面が剥離し易くなったと考えられる。
試料14は試料13と同じく耐摩粒子の鉛筆硬度がBと軟らかいが耐摩粒子の平均粒径を試料13より小さくした。しかし、耐摩粒子が脱落し易く、「耐摩耗性」が不十分であった。
試料15は耐摩粒子が2.7μmと小さいため、バインダーが凹凸面の凹部に流れて凹凸面の凹部が保護層で埋まってしまい「凹凸面のRzと凹凸面の凹部におけるバインダーの厚さの比」が88%となった。このため「保護層における凹凸の維持率」が38%と低くなって凹凸感が失われてしまった。また保護層用塗液の粘度が900mPa・sと1000mPa・s以下であっても、チキソトロピーインデックス値が1.6と大きいと流動性が低下して均一な塗膜を形成し難い。
試料16は試料15と同じく耐摩粒子が2.7μmと小さいためバインダーの厚さを薄くしたが、「凹凸面の凸部におけるバインダーの厚さ」が2μmと薄くなった。このため「耐摩耗性」が不十分であった。
試料17は耐摩粒子が0.016μmとさらに小さいため、バインダーが凹凸面の凹部に流れて凹凸面の凹部が保護層で埋まってしまい「凹凸面のRzと凹凸面の凹部におけるバインダーの厚さの比」が80%となった。このため「保護層における凹凸の維持率」が40%と低くなって凹凸感が失われてしまった。さらに「耐摩耗性」も不十分であった。
試料18は保護層用塗液の粘度が1100mPa・sと高く溶剤量が少なかったため、凹凸面の凹部が埋まってしまい「凹凸面のRzと凹凸面の凹部におけるバインダーの厚さの比」が88%となった。このため「保護層における凹凸の維持率」が48%と低くなって凹凸感が失われてしまった。
試料19は耐摩粒子が60μmと大きく「凹凸面のRzと耐摩粒子の平均粒径との比」が150%と凹凸に対して極端に大きい粒子を用いた。試料1と同じ条件で塗布した保護層は「耐摩粒子の平均粒径と凹凸面の凸部におけるバインダーの厚さとの比」が22%と小さくなった。このため耐摩粒子の脱落が見られ、「耐摩耗性」が不十分であった。また凹凸面の凹部は耐摩粒子とバインダーとで埋まってしまい「凹凸面のRzと凹凸面の凹部におけるバインダーの厚さの比」が75%と大きくなった。このため「保護層における凹凸の維持率」が40%と低くなって凹凸感が失われてしまった。
試料20は試料19と同じく60μmと平均粒径の大きな耐摩粒子を用いて、凸部における耐摩粒子の脱落を抑制するためバインダーの厚さを厚くしたが、エンボスシートにおける凹凸感と異なる質感になってしまい、凹凸感を維持できなかった。
試料21は保護層を設けていないため、砂消しゴムでエンボスシートが摩耗し、「耐摩耗性」が不十分であった。
試料22はバインダーの鉛筆硬度がHBと軟らかいため、耐摩粒子が脱落し易く「耐摩耗性」が不十分であった。
試料23は保護層用塗液の粘度が180mPa・sと低いため保護層が均一に形成できず、「耐摩耗性」が不十分であった。
Figure 2010280203
Figure 2010280203
1 加飾シート(従来技術)
3 保護層(従来技術)
11 加飾シート(第1実施形態)
12 エンボスシート
13 保護層
13a 微小凹凸面
14 耐摩粒子
15 バインダー
16 凹凸面
16a 凹部
16b 凸部
17 シボ加工面
17a 微細凹部
21 加飾シート(第2実施形態)
28 装飾層
30 携帯電話機
31 加飾成形体(第3実施形態)
32 筐体
33 接着層

Claims (13)

  1. 表面が凹凸加工された凹凸面の最大高さ粗さRzが40μm〜120μmであるエンボスシートに、その表面の凹凸を損なわないように保護する保護層を設けた加飾シートにおいて、
    保護層が、耐摩粒子とその耐摩粒子をエンボスシート表面に止めるバインダーとを備えており、
    その保護層は、硬化後の硬度が鉛筆硬度でH以上のバインダーと、そのバインダーの硬度と同等以上の硬度を有し平均粒径が8μm以上で且つエンボスシート表面のRzの35%以下の大きさを有する耐摩粒子を含有し、粘度が200mPa・s〜1000mPa・sで、チキソトロピーインデックス値が1.0以上1.5未満である保護層用塗液をスクリーン印刷にてエンボスシート表面に塗布形成したものであり、
    エンボスシートにおける凹凸加工された凸部では保護層の厚みが耐摩粒子の粒径に対してその50%〜110%となる厚みで、且つ保護層の表面に耐摩粒子の外形形状が表出しており、
    エンボスシートにおける凹凸加工された凹部では保護層の厚みが、エンボスシートの最大高さ粗さRzの70%以下の厚みであることを特徴とする加飾シート。
  2. 表面が凹凸加工された凹凸面を有するエンボスシートに、その表面の凹凸を損なわないように保護する保護層を設けた加飾シートにおいて、
    保護層が、耐摩粒子とその耐摩粒子をエンボスシート表面に止めるバインダーとを備えており、
    エンボスシートにおける凹凸加工された凸部では、保護層の厚みが耐摩粒子の粒径に対してその50%〜110%となる厚みで、且つ保護層の表面に耐摩粒子の外形形状が表出しており、エンボスシートにおける凹凸加工された凹部では保護層の厚みが、エンボスシートの最大高さ粗さRzの70%以下の厚みであることを特徴とする加飾シート。
  3. エンボスシートの凹凸加工された凹凸面の最大高さ粗さRzが40μm〜120μmであり、前記耐摩粒子の平均粒径が8μm以上で且つエンボスシート表面のRzの35%以下の大きさである請求項2記載の加飾シート。
  4. 前記バインダーは、その硬度が鉛筆硬度でH以上の有機高分子材であり、耐摩粒子は、その硬度がバインダーの硬度と同等以上の硬度である請求項2または請求項3記載の加飾シート。
  5. 保護層における耐摩粒子のバインダーに対する混合割合が10vol%〜50vol%である請求項2〜請求項4何れか1項記載の加飾シート。
  6. 耐摩粒子がエンボスシートの表面に沿って分散配置し、エンボスシートの凸部では重なることなく配置して、保護層の表面に耐摩粒子の外形形状に沿った微小凹凸面を形成している請求項1〜請求項5何れか1項記載の加飾シート。
  7. 保護層が艶消し透明樹脂層である請求項1〜請求項6何れか1項記載の加飾シート。
  8. エンボスシートの表面に前記凹凸面とは異なり、耐摩粒子の粒径に相応するシボ加工面を有する請求項1〜請求項7何れか1項記載の加飾シート。
  9. エンボスシートと保護層との間に装飾層を設ける請求項1〜請求項8何れか1項記載の加飾シート。
  10. 表面が凹凸加工された凹凸面の最大高さ粗さRzが40μm〜120μmであるエンボスシートに、その表面の凹凸を損なわないように保護する保護層を設けた加飾シートの製造方法において、
    硬化後の硬度が鉛筆硬度でH以上となるバインダーと、そのバインダーの硬度と同等以上の硬度を有し平均粒径が8μm以上で且つエンボスシート表面のRzの35%以下の大きさを有する耐摩粒子を含有させ、溶剤で調整して粘度を200mPa・s〜1000mPa・s、チキソトロピーインデックス値を1.0以上1.5未満とした保護層用塗液を調製し、
    前記エンボスシートの表面にスクリーン印刷で前記保護層用塗液を塗布して保護層を形成し、
    エンボスシートにおける凹凸加工された凸部では保護層の厚みが耐摩粒子の粒径に対してその50%〜110%となる厚みで、且つ保護層の表面に耐摩粒子の外形形状が表出したものであり、
    エンボスシートにおける凹凸加工された凹部では保護層の厚みがエンボスシートの最大高さ粗さRzの70%以下の厚みである加飾シートを製造することを特徴とする加飾シートの製造方法。
  11. 表面が凹凸加工された凹凸面を有するエンボスシートに、その表面の凹凸を損なわないように保護する保護層を設けた加飾シートの製造方法において、
    バインダーと耐摩粒子を含有させ、溶剤で調整して粘度を200mPa・s〜1000mPa・s、チキソトロピーインデックス値を1.0以上1.5未満とした保護層用塗液を調製し、前記エンボスシートの表面にスクリーン印刷で前記保護層用塗液を塗布して保護層を形成し、加飾シートを製造することを特徴とする加飾シートの製造方法。
  12. 表面が凹凸加工された凹凸面の最大高さ粗さRzが40μm〜120μmであるエンボスシートに、その表面の凹凸を損なわないように保護する保護層を設けた加飾シートの製造方法において、
    バインダーと、平均粒径が8μm以上で且つエンボスシート表面のRzの35%以下の大きさを有する耐摩粒子を含有させた保護層用塗液を調製し、前記エンボスシートの表面にスクリーン印刷で前記保護層用塗液を塗布して保護層を形成し、
    エンボスシートにおける凹凸加工された凸部では保護層の厚みが耐摩粒子の粒径に対してその50%〜110%となる厚みで、且つ保護層の表面に耐摩粒子の外形形状が表出したものであり、
    エンボスシートにおける凹凸加工された凹部では保護層の厚みがエンボスシートの最大高さ粗さRzの70%以下の厚みである加飾シートを製造することを特徴とする加飾シートの製造方法。
  13. 請求項1〜請求項9何れか1項記載の加飾シートを表面に有する加飾成形体。
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