JP2010276946A - 磁性トナー - Google Patents

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Abstract

【課題】トナーの耐ストレス性を向上し、トナー特性の変化量を低減させることで、長期使用時の画像濃度、ハーフトーン均一性に優れ、さらに低温定着性に優れたトナーを提供することにある。
【解決手段】 結着樹脂、磁性体及び離型剤を少なくとも有する磁性トナー粒子と、無機微粉体とを少なくとも有する磁性トナーであって、(1)前記磁性トナー粒子の粉体流動性測定装置により測定される攪拌速度が100回転の時のTotal Energy(TEA100)が、500mJ以上、1000mJ以下であり、(2)前記磁性トナーのオルトジクロロベンゼン可溶分をサイズ排除クロマトグラフィ−オンライン−多角度光散乱(SEC−MALLS)にて測定した際の重量平均分子量Mwが50000以上、200000以下であり、重量平均分子量Mwと慣性二乗半径Rwの比Rw/Mwが1.0×10−4以上、4.0×10−4以下であることを特徴とする磁性トナー。
【選択図】なし

Description

本発明は電子写真法、静電記録法などに用いられる磁性トナーに関するものである。
一般的な電子写真の画像形成方法としては、例えば、光導電性物質を利用し、種々の手段により静電潜像担持体上に電気的潜像を形成し、次いで該潜像を、現像装置により現像してトナー像とすることにより可視化する。次いで、必要に応じて紙のごとき転写材にトナー画像を転写した後、加熱、圧力あるいは加熱加圧により定着し、トナー画像を得るものである。このような画像形成装置としては、複写機、プリンター等がある。
このような電子写真法における現像装置としては、一般にトナー担持体としての現像スリーブの表面に、トナーコート量を規制するためのトナー規制部材としてのゴム製または金属製の現像ブレードを当接させる構成を備える装置が知られている。
この現像ブレードとトナーとの摩擦、及び/またはトナー担持体とトナーとの摩擦により、トナーに正または負の電荷を与える。さらに現像ブレードによってトナーが表面に薄く塗布されたトナー担持体によって、トナー担持体と対向した静電潜像担持体表面の静電潜像に飛翔・付着させて現像する手法が一般的に行われている。
このような現像の手法の中で、キャリアを必要とせず、装置の小型化が有利な点で磁性トナーを用いた磁性一成分現像方式が好ましく用いられる。
また近年の画像形成装置の技術方向としては、高速化、長期使用時の高信頼性、および定着性の向上が求められている。その中で磁性トナーに求められる特性としては、高速化、および長期使用時の信頼性の向上のために、磁性トナーの耐ストレス性等を向上させ、シェアを受けた際や長期使用時のトナー特性の変化量を小さくする必要がある。このために、具体的には、磁性トナー粒子に添加する外部添加剤が磁性トナー粒子に埋め込まれることを抑制させる。または磁性トナー粒子に埋め込まれたり、剥がれたりした際にも磁性トナー特性の変化量が小さくなるようにしなければならない。
一方で、定着性の向上のために磁性トナーに求められる特性としては、低温や軽圧で磁性トナーが変形するために磁性トナーの熱可塑性を向上させることが挙げられる。具体的には、結着樹脂の低分子量化や低Tg化、および離型剤の改良などがあり、中でも、現像性への弊害を小さくするために結着樹脂の低分子量化が有効な手法として挙げられる。
このように磁性トナーの耐ストレス性の向上、長期使用時の磁性トナー特性の変化量の低減、および定着性の向上を満足するために、磁性トナーとして様々な検討がなされている。
例えば、特許文献1では、磁性微粒子を含有する芯材の表面にポリエステルを偏在させ、さらに外殻を形成した磁性カプセルトナーが提案されており、現像性、転写性が良好で高品質の画像が得られ、かつ、定着性の優れた静電荷像現像用トナーが得られている。しかし、特に長期使用時のトナー特性の変化量については不十分なものがあり、また、耐ストレス性、および定着性との両立についても未だ改善の余地があった。
また特許文献2では、造粒工程や重合工程で水系分散媒体中にレドックス開始剤用還元剤を添加し、さらに還元剤を追加添加することで重合開始剤の反応効率を高める手法が提案されており、高解像度で高精細の画像形成に優れた乾式トナーが得られている。しかし、特に、耐ストレス性、および低温定着性との両立については不十分なものであり、未だ
改善の余地があった。
特許第3765593号公報 特開2004−184721号公報
本発明の目的は、上記の如き問題点を解決した磁性トナーを提供することにある。
すなわち、本発明の目的は磁性トナーの耐ストレス性を向上させ、磁性トナー特性の変化量を低減させることで、長期使用時の画像濃度、ハーフトーン均一性を向上させることにある。さらに低温定着性を向上させることにより、良好な画像特性を得ることにある。
結着樹脂、磁性体及び離型剤を少なくとも有する磁性トナー粒子と、無機微粉体とを少なくとも有する磁性トナーであって、
(1)前記磁性トナー粒子の粉体流動性測定装置により測定される攪拌速度が100回転の時のTotal Energy(TEA100)が、500mJ以上、1000mJ以下であり、
(2)前記磁性トナーのオルトジクロロベンゼン可溶分をサイズ排除クロマトグラフィ−オンライン−多角度光散乱(SEC−MALLS)にて測定した際の重量平均分子量Mwが50000以上、200000以下であり、
重量平均分子量Mwと慣性二乗半径Rwの関係において、Rw/Mwが1.0×10−4以上、4.0×10−4以下を満たすことを特徴とする磁性トナー。
本発明によれば、磁性トナーの耐ストレス性を向上させ、磁性トナー特性の変化量を低減させることで、長期使用時の画像濃度、ハーフトーン均一性が向上し、さらに低温定着性を向上させた磁性トナーを提供できる。
本発明の実施例に用いた画像形成装置の一例を示す概略図である。 現像部の拡大図である。 粉体流動性測定装置のプロペラ型ブレードの外観(a)とブレード最外縁部分のねじれ角度(b)の説明図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、磁性トナーに関するものであり、画像形成方法、及び定着方法に関しては、従来公知の電子写真プロセスが適用でき、特に限定されるものではない。
本発明は、結着樹脂、磁性体及び離型剤を少なくとも有する磁性トナー粒子と、無機微粉体とを少なくとも有する磁性トナーであって、
(1)前記磁性トナー粒子の粉体流動性測定装置により測定される攪拌速度が100回転の時のTotal Energy(TEA100)が、500mJ以上、1000mJ以下であり、
(2)前記磁性トナーのオルトジクロロベンゼン可溶分をサイズ排除クロマトグラフィ−オンライン−多角度光散乱(SEC−MALLS)にて測定した際の重量平均分子量Mwが50000以上、200000以下であり、
重量平均分子量Mwと慣性二乗半径Rwの関係において、1.0×10−4≦Rw/Mw≦4.0×10−4 式(1)を満たすことを特徴とする磁性トナーに関する。
本発明者らの検討によると、磁性トナーの耐ストレス性を向上し、長期使用時の磁性トナー特性の変化量を低減させるためには、単に磁性トナーの表面硬度を高めるだけでは不十分であることが分かった。
これまで磁性トナーの表面硬度を高める手法として、結着樹脂の強度を高める手法や、湿式製法では芯材に対しポリエステル等の外殻を形成する方法などが挙げられた。本発明者らもこのような従来の手法により磁性トナーを作製し、本発明が解決しようとしている課題に対して検討したところ、確かに耐ストレス性は向上し、長期使用時のトナー特性の変化量は低減する傾向であった。しかし、従来の手法により作製した磁性トナーでは、耐ストレス性について未だ不十分なものであり、磁性トナー劣化、いわゆる外部添加剤が剥離したり埋め込まれた状態となっていた。その結果、初期の磁性トナーに対して粉体流動性、および帯電量の低下が見られた。また、特に結着樹脂の強度を高めた磁性トナーでは定着性が悪化し、定着不良、および画像としてもガサつきが見られた。このことから、外部添加剤の剥離や埋め込みの更なる抑制や、もしくは、外部添加剤が剥離したり埋め込まれた状態でも初期の磁性トナーと同様な磁性トナー特性を発現する手法を見出す必要があり、併せて低温定着性を満足させる必要があることがわかった。
そこで本発明者らが鋭意検討したところ、まず外部添加剤が剥離したり、埋め込まれた状態でも初期のトナーと同様な物性を発現させることが重要であることがわかった。そのためには外部添加剤を添加していない磁性トナー粒子の状態での粉体流動性を高めることが最も効果的であることがわかった。また、磁性トナー粒子の状態での粉体流動性を高めることで、併せて、外部添加剤の剥離や埋め込みが抑制できるようになり、磁性トナーの粉体流動性を長期に渡り維持できることも明らかとなった。
まず磁性トナー粒子の粉体流動性を高めるために、磁性トナー粒子表面に強固な外殻が存在することが重要である。磁性トナー粒子がその表面に外殻を有することで粒子の硬度が増し、流動性が高くなる。また磁性トナー粒子がその表面に外殻を有することで外部添加剤の埋め込みが抑制できるため耐ストレス性の向上、長期使用時の磁性トナー特性の変化量低減を実現できる。
しかし、磁性トナー粒子の表面に強固な外殻を形成する際には、単に外殻の強度を高めたり、外殻を厚く形成するだけではなく、磁性トナー粒子間での外殻の層の厚さのバラツキを最小限にし、かつ、外殻の層において結着樹脂の露出がなく層の厚さが均一であることが重要であった。このような外殻を磁性トナー粒子の表面に形成するためには、例えば磁性トナーの湿式製法の場合、単純に外殻となる材料を混ぜて磁性トナー粒子を形成したり、芯材を形成したあとに外殻材料を添加するだけでは不十分であり、結着樹脂との相互関係をコントロールする必要がある。つまり、磁性トナーのオルトジクロロベンゼン可溶分の重量平均分子量Mw、慣性二乗半径Rwを調整し、適度に分岐構造を有した結着樹脂と外殻材料の種類及び量を制御することで、初めて外殻材料が磁性トナー粒子の表面を均一に覆い、さらに、外殻が適度な厚みを有するようになるため、均一かつ強固な外殻を磁性トナー粒子の表面に形成できるようになる。そうすることで、本発明の磁性トナー特性を発現することができる。すなわち、初期から粉体流動性が向上し、長期使用時においても粉体流動性を維持することができる。そのため耐ストレス性が向上し、長期使用時での磁性トナー特性の変化量を大幅に低減できるため、長期にわたり高い画像濃度、およびハーフトーン均一性の高い画像を得ることが可能となり、併せて低温定着性を向上させることができる。
このような良好な磁性トナー特性を示す指標を本発明者らが検討したところ、磁性トナー粒子の粉体流動性測定装置により測定される攪拌速度が100回転の時のTotal Energy(TEA100)を調整することが重要であることを見出した。先述したように磁性トナー特性の変化量を小さくするためには磁性トナーの流動性を高めることが重要である。初期の磁性トナーの流動性については磁性トナーの円形度等をコントロールすることに加え、磁性トナー粒子に外部添加する無機微粉体の種類や添加量により比較的容易に流動性を高めることが可能となる。しかし、長期使用時の流動性については外部添加する無機微粉体の種類や添加量の調整のみでは制御できず、外部添加剤が埋め込まれたり剥離した状態で流動性を保つことが重要である。すなわち、この長期使用時の流動性は、磁性トナー粒子自体の流動性に大きく関わり、磁性トナー粒子自体の流動性を高めることが重要となる。その指標となるのが磁性トナー粒子の粉体流動性測定装置により測定される攪拌速度が100回転の時のTEA100であり、長期使用時における現像器内のトナー担持体上で磁性トナーが流動している状態に対応する。また、後述する磁性トナーの粉体流動性測定装置により測定される攪拌速度が100回転の時のTotal Energy(TEB100)は、初期の現像器内のトナー担持体上で磁性トナーが流動している状態に対応している。さらに、磁性トナーの粉体流動性測定装置により測定される攪拌速度が10回転の時のTotal Energy(TEB10)は、初期の現像器内のトナー収納部での流動状態に対応している。
具体的には、磁性トナー粒子のTEA100が、500mJ以上、1000mJ以下であることが必要である。TEA100が500mJ以上、1000mJ以下であると流動性は充分なものとなり、長期使用時の磁性トナー流動性の変化量を小さくすることが可能となる。TEA100を500mJ以上、1000mJ以下にするためには、磁性トナーの平均円形度を高めたり、磁性トナー粒子表面に外殻を形成するだけでは不十分であり、先述したように磁性トナー粒子表面の外殻を均一に厚く形成することが不可欠になる。なお、磁性トナー粒子表面の外殻は、上述した通り、磁性トナーのオルトジクロロベンゼン可溶分の重量平均分子量Mw、慣性二乗半径Rwを調整し、適度に分岐構造を有した結着樹脂と外殻材料の種類及び量を制御することで均一に厚く形成することができる。TEA100が1000mJより大きくなると流動性が低いことを示し、長期使用時の磁性トナー流動性の変化量が大きくなり、画質や画像濃度の低下の原因になる。一方、TEA100が500mJより小さくなると長期使用時の磁性トナー流動性は非常に高くなり磁性トナー物性の変化量が小さくすることが可能となるが、流動性が高すぎるために十分な帯電量が得られにくくなり、初期から画像濃度が低下しやすくなる。
また、磁性トナーのTEB100が300mJ以上、800mJ以下であることが好ましい。TEB100が300mJ以上になることで、磁性トナーの流動性が向上し、初期の現像性が向上する傾向にある。また、TEB100が800mJ以下であると、現像器内で磁性トナーが均一帯電する傾向にあり、画質が良化傾向となる。
次に、磁性トナー粒子および磁性トナーの粉体流動性測定装置により測定されたTotal Energyにおいて、(TEA100−TEB100)が300(mJ)以下であること、すなわち、(TEA100−TEB100)≦300(mJ) 式(2)を満足することが好ましい。(TEA100−TEB100)は磁性トナー粒子と磁性トナーのTotal Energyの差を示しており、現像器内のトナー担持体上における初期の磁性トナーおよび長期使用時の磁性トナーの流動性の差と対応する。(TEA100−TEB100)が300(mJ)以下であると、初期および長期使用時の流動性の差が小さくなるため、長期使用時のトナー物性の変化量が小さくなり、安定した画像濃度および画質を得ることができる。
また、TEB10/TEB100が1.00以上、1.50以下であること、すなわち
、1.00≦TEB10/TEB100≦1.50 式(3)を満足することが好ましい。TEB10/TEB100は攪拌速度が10回転の時と100回転の時のTotal Energyの比である。現像容器内では、攪拌部材や磁性トナー担持体等により異なった攪拌状態が存在する。その際に磁性トナーの流動性が一定に近いほど、均一にシェアが懸かりやすくなり、摩擦帯電が均一になりやすくなる。TEB10/TEB100が1.00以上、1.50以下であると、異なった攪拌状態での流動性の比が小さいため、均一にシェアが懸かりやすくなり、摩擦帯電が均一になり画質が良化し、長期使用時においても磁性トナー物性の変化量が小さくなり易い。
なお、上記TEB10及びTEB100は、磁性トナー粒子の外殻や、磁性トナーの円形度をコントロールすることに加え、磁性トナー粒子に外部添加する無機微粉体の種類、添加量、および添加条件により調整できる。
次に、磁性トナー粒子のメタノール/水混合溶媒に対する濡れ性が、波長780nmの光の透過率が50%となるメタノール濃度が20体積%以上、50体積%以下であることが好ましい。磁性トナー粒子のメタノール/水混合溶媒に対する濡れ性が、波長780nmの光の透過率が50%となるメタノール濃度が20体積%以上のときには、磁性トナー粒子の外殻材料が表面を均一に覆っていることを表しており、耐久安定性が向上しやすくなる。同様に磁性トナー粒子のメタノール/水混合溶媒に対する濡れ性が、波長780nmの光の透過率が50%となるメタノール濃度が50体積%以下のときには、離型剤等の外殻材料以外の材料が露出していないため耐ストレス性が向上しやすくなる。
なお、上記メタノール/水混合溶媒に対する濡れ性は、上述した磁性トナー粒子表面の外殻を調製する際に用いた方法により外殻の層厚や均一性を制御することにより調整することができる。
次に、耐ストレス性および長期使用時の磁性トナー特性の変化量を低減しつつ、低温定着性を満足するためには磁性トナーの分子量を調整することが不可欠である。具体的には、磁性トナーのオルトジクロロベンゼン可溶分をサイズ排除クロマトグラフィ−オンライン−多角度光散乱(SEC−MALLS)にて測定した際の重量平均分子量Mwが50000以上、200000以下であり、重量平均分子量Mwと慣性二乗半径Rwが、1.0×10−4≦Rw/Mw≦4.0×10−4 式(1)を満たすことが重要である。
従来、磁性トナーの分子量分布はトナーのテトラヒドロフラン可溶分をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて測定することにより求めている。本発明においてSEC−MALLSにより測定しているのは、結着樹脂の分子サイズがより重要であるためである。
ここでSEC−MALLSから求められる絶対分子量と慣性二乗半径について説明する。
SECで測定される分子量分布は、分子サイズであり、強度はその存在量である。それに対し、SEC−MALLS(分離手段としてSECと多角度光散乱検出器を結合し、絶対分子量及び分子の大きさ(慣性二乗半径)を測定可能となる)で得られる光散乱強度はその分子サイズにより強度が増加する。但し、SEC−MALLS測定において溶出時間によりピークが存在することは、その分子量にある分子の広がり(分子サイズ)を持ったポリマーが個数分布を持って存在することを意味するものである。
従来のSEC法では、測定する分子がカラムを通過する際、分子篩い効果を受け、分子サイズの大きいものから順次溶出し、分子量が測定される。この場合、分子量が等しい線状ポリマーと分岐ポリマーでは前者のほうが溶液中での分子サイズが大きいので早く溶出することになる。従って、SEC法で測定される分岐ポリマーの分子量は真の分子量より小さく測定される。
一方、本発明で用いる光散乱法では測定分子のRayleigh散乱を利用した。
散乱光の強度に及ぼす光の入射角と試料濃度の依存性を測定し、Zimm法、Berry法等で解析することで線状ポリマー、分岐ポリマー全ての分子形態において真の分子量(絶対分子量)が決定できる。(本発明では、SEC−MALLS測定法により絶対分子量をZimm法により算出した(後述))。これにより、磁性トナーの分子設計を精密に行うことが可能となった。
まず、SEC−MALLS測定法を用いて求められる重量平均分子量Mwが50000以上、200000以下であると、磁性トナーの熱可塑性が高くなり、低温でも磁性トナーの変形を促進し易くなり低温定着性が向上する。また磁性トナーの耐ストレス性も向上しやすくなり長期使用時の磁性トナー物性の変化量を低減し易くなる。
重量平均分子量Mwが50000より小さくなると、磁性トナーの熱可塑性が高くなるものの、磁性トナーの耐ストレス性が低下しやすくなり、長期使用時の磁性トナー物性の変化量が大きくなり易い。一方、重量平均分子量Mwが200000より大きくなると、磁性トナーの熱可塑性が低下し、定着性が不十分となり、画質が低下する。
なお、本発明では上記重量平均分子量Mwは、重合開始剤の種類、添加量、および重合温度により調整することができる。好ましい調整方法は、過酸化物系の重合開始剤を添加後に、重合性単量体の重合添加率が30〜60%の時点で、過酸化物系の重合開始剤を追加添加する、またはレドックス還元剤を追加添加することである。
次に、重量平均分子量Mwと慣性二乗半径Rwが、1.0×10−4≦Rw/Mw≦4.0×10−4であることが重要である。Rw/Mwとは、結着樹脂を形成する一分子あたりの広がりや分岐状態を表す。Rw/Mwが大きいということは、一分子量あたりの慣性二乗半径が大きいことを表し、すなわち分岐度が小さく直鎖状の分子であることを意味する。一方、Rw/Mwが小さいということは、分岐度が大きく立体的な分子であることを意味する。本発明では、Rw/Mwが1.0×10−4以上4.0×10−4以下である。Rw/Mwが1.0×10−4以上4.0×10−4以下であると、分子が好適な分子サイズとなり、トナー中に含有される各材料の分散性が良化するとともに、シャープメルト性も両立できるようになる。そのため、耐ストレス性、低温定着性を両立できるようになる。Rw/Mwが1.0×10−4より小さくなると、分子が分岐構造となり分子サイズが大きくなるため、トナー中に含有される各材料の分散性が低下しやすくなり、摩擦帯電が不均一になり、画質が低下し、併せて定着性も低下する。
一方、Rw/Mwが4.0×10−4より大きくなると、分岐度が小さく直鎖状の分子となるため定着性は良化傾向にあるが、分岐度が小さいために磁性トナーの硬度が低くなりやすく、耐ストレス性が低下する。
さらに、本発明で得られた新たな知見として、重量平均分子量Mwが50000以上、200000以下であり、重量平均分子量Mwと慣性二乗半径Rwが、1.0×10−4≦Rw/Mw≦4.0×10−4を満たし、外殻材料の種類、分子量、酸価などを制御することで、樹脂成分と外殻材料が相互作用し、外殻材料が磁性トナー粒子の表面を均一に覆うようになることを見出した。
そのメカニズムは次のように考えている。例えば、懸濁重合法により磁性トナー粒子を製造する際には、重合性モノマーに着色剤、離型剤、および外殻材料などを分散・溶解後に、それらを造粒工程において水系媒体中で液滴を形成し、反応工程で液滴を重合し、磁性トナー粒子を製造していく。この反応工程の初期段階において、外殻材料が磁性トナー粒子の表面に露出しつつ、平行して重合性単量体の重合が進み、結着樹脂が生成していく。ここで、液滴の重合速度や重合した結着樹脂の一分子あたりの広がりや立体性により、
外殻材料の運動性が異なってくる。
このようなメカニズムから、上記重量平均分子量Mwが50000以上、200000以下であり、重量平均分子量Mwと慣性二乗半径Rwが、1.0×10−4≦Rw/Mw≦4.0×10−4を満たすことが重要である。そうすることで反応工程の初期段階の樹脂成分と外殻材料が好適なバランスとなり、外殻材料が均一に磁性トナー粒子の表面に露出できたと示唆される。
一方で、重量平均分子量Mwが小さい時や、Rw/Mwが大きい場合では重合反応中の分子運動が大きくなるため外殻材料が磁性トナー粒子内部に取り込まれやすくなり、均一な磁性トナー粒子表面の外殻を形成しにくくなる。また、重量平均分子量Mwが大きい時や、Rw/Mwが小さくなると重合反応中の分子運動が小さくなりすぎるため、外殻材料との相互作用が小さくなり磁性トナー粒子間で外殻材料の被覆状態にばらつきが生じやすくなる。
Rw/Mwは以下の如く調整できる。上述の如きRw/Mwは結着樹脂の分岐度を表しており、本発明において結着樹脂は適度な分岐度を有する事が必須である。このため、例えば本発明の磁性トナーを懸濁重合(後述)により製造する場合、重合条件を調整する必要がある。具体的には、結着樹脂が分岐構造を有するために、重合中に水素引き抜き反応等を起こさせ、これにより分岐させる等の手段がある。
水素引き抜き反応を起こさせるためには、重合中にラジカル濃度を急激に上げる等の手段により達成する事が可能である。これらの手段として、例えば重合中に重合温度よりも10℃以上、より好ましくは15℃以上半減期温度の低い重合開始剤を追加添加する、あるいは、高い重合温度で酸化−還元反応(レドックス反応)を行なう等が上げられる。通常、酸化−還元反応は重合温度を下げ、穏やかな条件で重合を進める事が出来るというメリットがあるが、高い温度で酸化−還元反応を行なう事により重合が激しく進み、水素引き抜き反応が活発に起こるようになる。
これら手段においてはラジカル濃度を急激に上げるタイミングを変えることにより樹脂の分岐度を任意に変えることが可能である。具体的には、重合性単量体の転化率が30%以上60%以下の時点で酸化−還元反応を行なう、あるいは、半減期温度の低い重合開始剤を追加添加することが好ましい。
また、本発明の磁性トナーでは、磁性トナーのオルトジクロロベンゼン可溶分をサイズ排除クロマトグラフィ−オンライン−多角度光散乱(SEC−MALLS)にて測定した際の数平均分子量Mnと重量平均分子量MwがMw/Mn≦7.2を満たすことが好ましい。Mw/Mnが7.2以下であると、分子量分布がシャープになるため、外殻材料とのバランスが一定化しやすくなり、より均一な外殻を磁性トナー粒子の表面に形成しやすくなる。また結着樹脂の熱可塑性も向上し易くなり、低温定着性も良化しやすくなる。
なお、本発明において、数平均分子量Mnは、重合開始剤の種類、添加量、および重合温度により調整することができる。好ましい調整方法は、過酸化物系の重合開始剤を添加後に、重合性単量体の重合添加率が30〜60%の時点で、過酸化物系の重合開始剤を追加添加する、またはレドックス還元剤を追加添加することである。
次に、本発明の磁性トナーは平均円形度が高いことが好ましい。磁性トナーの平均円形度が高いことで、粉体流動性が高くなることに加えて、現像装置内で均一に摩擦帯電しやすくなるため初期および長期使用時の画像特性が高くなる傾向にある。
具体的には、磁性トナーの平均円形度を0.960以上にすることが好ましい。
平均円形度が0.960以上になることで初期の粉体流動性が高くなり、さらに長期使用時に外部添加剤が剥離したり、埋め込まれた状態となっても粉体流動性が維持し易くなる。また磁性トナーの平均円形度が高くなると、長期使用時に一様にシェアがかかるため外部添加剤の埋め込みが均一になりやすくなり、外添剤を有する磁性トナー粒子間での磁性トナー特性のばらつきが小さくなり易いため、安定化しやすくなる。なお、本発明において磁性トナーの平均円形度は、磁性トナー粒子の添加材料の種類や量、磁性トナー粒子の製造方法によって調整することができる。磁性トナー粒子の製造方法として、具体的には、乳化凝集法、溶解懸濁法、および懸濁重合法などの水系媒体中で磁性トナー粒子を製造する方法において、温度やpHを調整することが好ましい。また、粉砕法により磁性トナー粒子を製造する場合は、粉砕工程後に熱や溶媒などにより球形化処理を行うことが好ましい。
本発明の磁性トナーは、公知のいずれの方法によっても製造することが可能である。しかし、本発明に係わる磁性トナーの好適なTotal Energyや、好ましい条件である平均円形度0.960以上という物性を得る為には、分散重合法、会合凝集法、懸濁重合法等、水系媒体中で磁性トナー粒子を製造することが好ましい。特に、水系媒体中で重合性単量体組成物を重合させて製造する懸濁重合法は、本発明の好ましい条件を満たしやすく好適である。
懸濁重合法とは、重合性単量体および着色剤(更に必要に応じて重合開始剤、架橋剤、荷電制御剤、その他の添加剤)を均一に溶解または分散させて重合性単量体系とする。この重合性単量体系を分散安定剤を含有する連続層(例えば水相)中に適当な撹拌器を用いて分散し同時に重合反応を行なわせ、所望の粒径を有するトナー粒子を得るものである。
この懸濁重合法で得られる磁性トナー粒子(以後、重合磁性トナー粒子)は、個々の重合磁性トナー粒子の形状がほぼ球形に揃っているため、重合磁性トナー粒子に均一にストレスが懸かり易くなり、耐ストレス性が良好な磁性トナーが得られやすい。さらに粒度分布および帯電量分布も比較的均一となるため現像ニップ部におけるトナー量の規制や磁性トナーの均一な摩擦帯電特性に優れる。
しかしながら前述の如く、重合磁性トナー粒子中に通常の磁性体を含有させても、遊離の磁性体が多数存在し、重合磁性トナー粒子の摩擦帯電特性が低下する。また、重合磁性トナー粒子の粉体流動性も悪くなる傾向にあり、本発明の必須要件であるTotal Energyを満たすことは難しい。さらに、懸濁重合法による重合磁性トナー粒子の製造時に磁性体と水との相互作用が強いことにより、円形度が高い重合磁性トナー粒子が得られ難く、磁性トナーの粒度分布が広いものとなる。
これは、1.磁性体は一般的に親水性であるために重合磁性トナー粒子の表面に存在しやすいこと、2.水相撹拌時に磁性体が乱雑に動き、それに単量体から成る懸濁粒子表面が引きずられ、形状が歪んで円形になりにくいこと等が原因と考えられる。こういった問題を解決するためには、磁性体の有する表面特性の改質が重要である。
そこで、本発明の磁性トナーに使用される磁性体は、カップリング剤で疎水化処理されていることが好ましい。磁性体表面を疎水化する際、水系媒体中で、磁性体を一次粒径となるよう分散しつつカップリング剤を加水分解しながら表面処理する方法を用いることがより好ましい。さらには、水溶液中で製造した磁性体を洗浄後、乾燥させずに疎水化処理することが非常に好ましい。
水中での疎水化処理方法は気相中で処理するより、磁性体同士の合一が生じにくくより均一な処理が行える。また、乾燥工程を経ずに疎水化処理するものは、乾燥時に生じる凝
集が起こらないので、処理時にはほぼ一次粒径に分散されているので非常に均一な表面処理をすることが出来る。
本発明に係わる磁性体の表面処理において使用できるカップリング剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等が挙げられる。より好ましく用いられるのはシランカップリング剤であり、一般式(I)で示されるものである。
RmSiYn (I)
[式中、Rはアルコキシ基を示し、mは1〜3の整数を示し、Yはアルキル基、ビニル基、グリシドキシ基、メタクリル基の如き炭化水素基を示し、nは1〜3の整数を示す。ただし、m+n=4である。]
一般式(I)で示されるシランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
その処理量は磁性体100質量部に対して、シランカップリング剤の総量が0.5質量部以上、5.0質量部以下であることが好ましく、磁性体の表面積、カップリング剤の反応性等に応じて処理剤の量を調整することが好ましい。
本発明では、磁性体以外に他の着色剤を併用しても良い。併用し得る着色剤としては、磁性あるいは非磁性無機化合物、公知の染料及び顔料が挙げられる。具体的には、例えば、コバルト、ニッケルなどの強磁性金属粒子、またはこれらにクロム、マンガン、銅、亜鉛、アルミニウム、希土類元素などを加えた合金、ヘマタイトなどの粒子、チタンブラック、カーボンブラック、フタロシアニン等が挙げられる。これらもまた、表面を処理して用いることが好ましい。
本発明の磁性トナーに用いられる磁性体は、結着樹脂100質量部に対して、10質量部以上、200質量部以下を用いることが好ましい。さらに好ましくは20質量部以上、180質量部以下を用いることが良い。10質量部以上では磁性トナーの着色力が向上し、カブリの抑制傾向となる。
一方、200質量部以下となると、個々の磁性トナー粒子へ磁性体が均一に分散しやすくなる。
なお、磁性トナー中の磁性体の含有量の測定は、パーキンエルマー社製熱分析装置、TGA7を用いて測定することができる。測定方法は、窒素雰囲気下において昇温速度25℃/分で常温から900℃まで、磁性トナーを加熱し、100℃から750℃まで間の減量質量部を結着樹脂量とし、残存質量を近似的に磁性体量とする。
本発明の磁性トナーに用いられる磁性体は、例えばマグネタイトの場合、下記方法で製造される。
第一鉄塩水溶液に、鉄成分に対して当量または当量以上の水酸化ナトリウム等のアルカ
リを加え、水酸化第一鉄を含む水溶液を調製する。調製した水溶液のpHをpH7以上(好ましくはpH8以上、14以下)に維持しながら空気を吹き込み、水溶液を70℃以上に加温しながら水酸化第一鉄の酸化反応をおこない、磁性酸化鉄粉体の芯となる種晶をまず生成させる。
次に、種晶を含むスラリー状の液に前に加えたアルカリの添加量を基準として約1当量の硫酸第一鉄を含む水溶液を加える。液のpHを6以上、14以下に維持し、空気を吹込みながら水酸化第一鉄の反応をすすめ、種晶を芯にして磁性酸化鉄粉体を成長させる。この時、任意のpHを選択することにより、磁性体の形状をコントロールすることが可能である。酸化反応がすすむにつれて液のpHは酸性側に移行していくが、液のpHは6未満にしない方が好ましい。
酸化反応終了後、洗浄、濾過して得られた酸化鉄粉体を、乾燥せずに別の水系媒体中に再分散させた後、再分散液のpHを酸性領域にし、十分撹拌しながらシランカップリング剤を添加し、加水分解後、温度、pHを調整し、カップリング処理を行うことが好ましい。いずれにせよ、酸化反応終了後に乾燥工程を経ずに表面処理を行うことが肝要であり、カップリング処理前に乾燥させてしまうと、磁性体を均一に水系媒体中に分散させることが難しく、均一な処理が行えない。
第一鉄塩としては、一般的に硫酸法チタン製造に副生する硫酸鉄、鋼板の表面洗浄に伴って副生する硫酸鉄の利用が可能であり、更に塩化鉄等が可能である。
水溶液法による磁性酸化鉄の製造方法は一般に反応時の粘度の上昇を防ぐこと、及び、硫酸鉄の溶解度から鉄濃度0.5mol/l以上、2mol/l以下が用いられる。硫酸鉄の濃度は一般に薄いほど製品の粒度が細かくなる傾向を有する。また、反応に際しては、空気量が多い程、そして反応温度が低いほど微粒化しやすい。
このようにして製造された疎水性磁性体を材料とした磁性トナーを使用することにより、安定した磁性トナーの帯電性が得られ、転写効率が高く、高画質及び高現像安定性を達成できる。
このような磁性酸化鉄は、窒素吸着法によるBET比表面積が好ましくは2m/g以上、30m/g以下、特に3m/g以上、28m/g以下であり、更にモース硬度が5以上、7以下のものが好ましい。
また、磁性酸化鉄の形状としては、8面体、6面体、球状、針状、鱗片状などがあるが、8面体、6面体、球状、不定形の如き異方性の少ないものが画像濃度を高める上で好ましい。こういった形状は、SEMなどによって確認することができる。
磁性酸化鉄の粒度としては、0.03μm以上の粒径を有する粒子を対象とした粒度の測定において、個数平均粒径が0.1μm以上、0.3μm以下であり、かつ0.03μm以上、0.1μm以下の粒子が40個数%以下であることが好ましい。
本発明の磁性トナーは実質的に磁性粉体がトナー表面に露出していないことが好ましい。本発明において、実質的に磁性粉体がトナー表面に露出していないとは、X線光電子分光分析により測定されるトナー粒子の表面に存在する炭素元素の含有量(A)に対する鉄元素の含有量(B)の比(B/A)が、0.001未満であることで定義される。磁性粉体が実質的に露出しないことによって、磁性トナーの流動性及び摩擦帯電性が改善され、長期使用時において高い濃度推移、および画質が向上しやすくなる。
本発明の磁性トナーの投影面積相当径をCとし透過型電子顕微鏡(TEM)を用いたトナーの断面観察における酸化鉄とトナー表面との距離の最小値をDとしたとき、D/C≦0.02の関係を満たすトナーの個数が50%以上である事が好ましい。
D/C≦0.02の関係を満たすトナー数が50%以上であると、トナー中の磁性粉体の分散状態にばらつきが小さくなり、長期使用によるトナー物性の変化を抑制し易くなる。また、トナーの帯電均一性も向上しやすくなる。
本発明において、TEMによる具体的なD/Cの測定方法としては、常温硬化性のエポキシ樹脂中へ観察すべき粒子を十分に分散させた後に温度40℃の雰囲気中で2日間硬化させる。得られた硬化物を、そのまま、あるいは凍結してダイヤモンド歯を備えたミクロトームにより薄片状のサンプルとして観察する方法が好ましい。
該当する粒子数の割合の具体的な決定方法については、以下のとおりである。TEMにてD/Cを決定するための粒子は、顕微鏡写真での断面積から円相当径を求め、その値がコールターカウンターによって測定される個数平均粒径(D1)の±10%の幅に含まれるものを該当粒子とする。その該当粒子について、磁性粒子表面との距離の最小値(D)を計測し、D/Cを計算する。また、その該当粒子100個についてD/C値が0.02以下の粒子の割合を計算する。このときの顕微鏡写真は精度の高い測定を行うために、1万〜2万倍の倍率が好適である。本発明では、透過型電子顕微鏡(日立製H−600型)を装置として用い、加速電圧100kVで観察し、拡大倍率が1万倍の顕微鏡写真を用いて観察、測定する。
本発明の磁性トナーは定着性向上の為、離型剤を含有しても良く、結着樹脂100質量部に対し1質量部以上、30質量部以下を含有することが好ましく、より好ましくは、3質量部以上、25質量部以下である。
離型剤の含有量が1質量部以上であると低温オフセット性が向上する。30質量部以下であると長期使用時のトナー流動性が向上しやすくなる。
本発明に係わる磁性トナーに使用可能な離型剤としては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラクタム等の石油系ワックス及びその誘導体、モンタンワックスびその誘導体、フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス及びその誘導体、ポリエチレンに代表されるポリオレフィンワックス及びその誘導体、カルナバワックス、キャンデリラワックス等、天然ワックス及びその誘導体などで、誘導体には酸化物や、ビニル系モノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物を含む。さらには、高級脂肪族アルコール、ステアリン酸、パルミチン酸等の脂肪酸、あるいはその化合物、酸アミドワックス、エステルワックス、ケトン、植物系ワックス、動物性ワックスなども使用できる。
これらの離型剤成分の内でも、示差熱分析による吸熱ピークが40℃以上、110℃以下のもの、即ち、示差走差熱量計により測定されるDSC曲線において昇温時に40℃以上、110℃以下の領域に最大吸熱ピークを有するものが好ましい。さらには45℃以上、90℃以下の領域に有するものがより好ましい。上記温度領域に最大吸熱ピークを有することにより、良好な定着性を有すると共に、離型剤成分のしみ出し等を抑制出来るので好ましい。
離型剤の融点、離型剤の吸熱ピークトップの測定は示差走査熱量測定によって行うことができる。より具体的には、ASTM D 3417−99に準じて行い、例えばパーキンエルマー社製DSC−7、TAインストルメント社製DSC2920、TAインストルメント社製Q1000を用いる事が出来る。装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。測定サンプルにはアルミニウム製のパンを用い、対照用に空パンをセットし測定する。
なお、本発明の磁性トナーにおいては加熱すると結着樹脂と離型剤が相溶しやすいため
、モジュレーティッドモードを用い、以下の条件にて測定し、昇温時のDSC曲線から離型剤の融点を求めた。
<モジュレーティッドモード測定条件>
・20℃で1分間平衡を保つ。
・1.5℃/分のモジュレーションをかけ、180℃まで2℃/分で昇温する。
・180℃で10分間平衡に保つ。
・1.5℃/分のモジュレーションをかけ、2℃/分で20℃まで降温する。
本発明の磁性トナーには、荷電特性を安定化するために荷電制御剤を配合しても良い。荷電制御剤としては、公知のものが利用でき、特に帯電スピードが速く、かつ、一定の帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が好ましい。さらに、トナーを直接重合法を用いて製造する場合には、重合阻害性が低く、水系分散媒体への可溶化物が実質的にない荷電制御剤が特に好ましい。具体的な化合物としては、ネガ系荷電制御剤としてサリチル酸、アルキルサリチル酸、ジアルキルサリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸の如き芳香族カルボン酸の金属化合物、アゾ染料あるいはアゾ顔料の金属塩または金属錯体、スルホン酸又はカルボン酸基を側鎖に持つ高分子型化合物、ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーン等が挙げられる。ポジ系荷電制御剤として四級アンモニウム塩、該四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物、グアニジン化合物、イミダゾール化合物等が挙げられる。
電荷制御剤を磁性トナーに含有させる方法としては、磁性トナー粒子内部に添加する方法と外添する方法がある。これらの電荷制御剤の使用量としては、結着樹脂の種類、他の添加剤の有無、分散方法を含めた磁性トナー粒子の製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではない。これらの電荷制御剤を内部添加する場合は、好ましくは結着樹脂100質量部に対して0.1質量部以上、10質量部以下、より好ましくは0.1質量部以上、5質量部以下の範囲で用いられる。また、外部添加する場合、磁性トナー粒子100質量部に対し、好ましくは0.005質量部以上、1.0質量部以下、より好ましくは0.01質量部以上、0.3質量部以下である。
しかしながら、本発明の磁性トナーは、荷電制御剤の添加は必須ではなく、磁性トナーの層厚規制部材やトナー担持体との摩擦帯電を積極的に利用することで磁性トナー中に必ずしも荷電制御剤を含む必要はない。
本発明の磁性トナーに関わる重合トナーの製造において、重合性単量体系を構成する重合性単量体としては以下のものが挙げられる。
重合性単量体としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−エチルスチレン等のスチレン系単量体、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル類、アクリルアミド等の単量体が挙げられる。これらの単量体は単独、または混合して使用し得る。上述の単量体の中でも、スチレンまたはスチレン誘導体を単独で、あるいは他の単量体と混合して使用することがトナーの現像特性及び耐久性の点から好ましい。
本発明の磁性トナーにおいては、重合性単量体系に樹脂を添加して重合しても良い。例えば、単量体では水溶性のため水性懸濁液中では溶解して乳化重合を起こすため使用できないアミノ基、カルボン酸基、水酸基、スルフォン酸基、グリシジル基、ニトリル基等親水性官能基含有の重合性単量体成分をトナー中に導入したい時には、これらとスチレンあるいはエチレン等ビニル化合物とのランダム共重合体、ブロック共重合体、あるいはグラフト共重合体等、共重合体の形にして、あるいはポリエステル、ポリアミド等の重縮合体、ポリエーテル、ポリイミン等重付加重合体の形で使用が可能となる。こうした極性官能基を含む高分子重合体を磁性トナー粒子中に共存させると、前述のワックス成分を相分離させ、より内包化が強力となり、耐ブロッキング性、現像性の良好な磁性トナーを得ることができる。
これらの樹脂の中でも特にポリエステル樹脂を含有することにより、その効果は大きな物となる。これは次に述べる理由からと考えている。ポリエステル樹脂は比較的極性の高い官能基であるエステル結合を数多く含む為、樹脂自身の極性が高くなる。その極性の為、水系分散媒中では液滴表面にポリエステルが偏在する傾向が強くなり、その状態を保ちながら重合が進行し、磁性トナー粒子となる。ここで、結着樹脂との相互関係を制御することで、磁性トナー粒子の表面にポリエステル樹脂が偏在しやすくなり表面組成が均一なものとなり、その結果帯電性が均一になると共に、離型剤の内包性が良好なこととの相乗効果により非常に良好な現像性を得ることが出来る。
本発明に使用されるポリエステル樹脂は、例えば磁性トナーの摩擦帯電性、耐久性および定着性などの物性をコントロールする上で、飽和ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、あるいはその両者を適宜選択して使用することが可能である。
本発明に使用されるポリエステル樹脂は、例えば磁性トナーの摩擦帯電性、耐久性および定着性などの物性をコントロールする上で、飽和ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、あるいはその両者を適宜選択して使用することが可能である。
本発明に使用されるポリエステル樹脂は、アルコール成分と酸成分から構成される通常のものが使用できる。
本発明におけるポリエステル樹脂は全成分中45モル%以上、55モル%以下がアルコール成分であり、55モル%以上、45モル%以下が酸成分であることが好ましい。
本発明の磁性トナーにおいて磁性トナー粒子表面に存在し、得られる磁性トナー粒子が安定した帯電性を発現するために、ポリエステル樹脂は0.1〜30mgKOH/樹脂1gの酸価を有していることが好ましい。0.1mgKOH/樹脂1g未満だとトナー表面への存在量が絶対的に不足し、30mgKOH/樹脂1gを超えると磁性トナーの摩擦帯電性に悪影響を及ぼす。
本発明においては、得られる磁性トナー粒子の物性に悪影響を及ぼさない限り2種以上のポリエステル樹脂を併用したり、シリコーンやフルオロアルキル基含有化合物により変性したりして物性を調製することも好適に行われる。
また、このような極性官能基を含む高分子重合体を使用する場合、その重量平均分子量は5,000以上が好ましく用いられる。平均分子量が5,000未満、特に4,000以下では、本重合体が表面付近に集中し易いことから、現像性、耐ブロッキング性、耐久性が低下する傾向にあるので好ましくない。
ポリエステル樹脂の結着樹脂100質量部に対する含有量については、8質量部以上、30質量部以下であることが好ましい。
8質量部以上になることで、ポリエステル樹脂の外殻としての効果を発現しやすくなり
、帯電性が向上するとともに、耐ストレス性が良化する。一方、30質量部以下であると、製造安定性が向上し、トナーの円形度が高くなりやすくなるとともに磁性体等の分散性も向上する傾向にある。
また、材料の分散性や定着性、あるいは画像特性の改良等を目的として上記以外の樹脂を単量体系中に添加しても良く、用いられる樹脂としては、例えば、ポリスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、が単独或いは混合して使用できる。これら樹脂の添加量としては、重合性単量体100質量部に対し1〜20質量部が好ましい。
さらに、重合性単量体を重合して得られるトナーの分子量範囲とは異なる分子量の重合体を単量体中に溶解して重合すれば、分子量分布の広い、耐オフセット性の高いトナーを得ることが出来る。
本発明の磁性トナーの製造において使用される重合開始剤としては、重合反応時に半減期0.5〜30時間であるものを、重合性単量体100質量部に対し0.5〜20質量部の添加量で重合反応を行うことが好ましい。また本発明では結着樹脂は適度な分岐度を有する事が必須であり、重合中に水素引き抜き反応等を起こすことが好ましい。水素引き抜き反応を起こさせる手段として、例えば重合中に重合温度よりも10℃以上、より好ましくは15℃以上半減期温度の低い重合開始剤を追加添加する、あるいは、高い重合温度で酸化-還元反応(レドックス反応)を行う等が上げられる。
重合開始剤添加の時期としては、重合性単量体中に他の添加剤を添加する時同時に加えても良いし、水系媒体中に懸濁する直前に混合しても良い。また、造粒後、重合反応を開始する前や重合反応中に重合性単量体あるいは溶媒に溶解した重合開始剤を加えることも出来る。
本発明で使用される重合開始剤としては、従来公知のアゾ系重合開始剤、過酸化物系重合開始剤などを併用しても良い。アゾ系重合開始剤としては、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等が例示され、過酸化物系重合開始剤としてはt−ブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシネオヘプタノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシアセテート、t−ヘキシルパーオキシラウレート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシイソブチレート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、α,α’−ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチル
パーオキシ−2−エチルヘキサノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシ−m−トルオイルベンゾエート、ビス(t−ブチルパーオキシ)イソフタレート、t−ブチルパーオキシマレイックアシッド、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(m−トルオイルパーオキシ)ヘキサンなどのパーオキシエステル、ベンゾイルパーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイドなどのジアシルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネートなどのパーオキシジカーボネート、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキサン、1,1−ジ−t−ヘキシルパーオキシシクロヘキサン、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ジ−t−ブチルパーオキシブタンなどのパーオキシケタール、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイドなどのジアルキルパーオキサイド、その他としてt−ブチルパーオキシアリルモノカーボネート、過酸化水素等が挙げられる。
本発明に使用される還元剤としては、Fe2+塩や亜硫酸塩、アルコール、アミン(ポリアミン、第三アミン)、ナフテン酸塩、メルカプタンなどが挙げられる。この中で硫黄または窒素元素を含有しない有機化合物であることが好ましく、更には、アスコルビン酸の塩であることがより好ましい。
本発明における懸濁重合法を用いた際の特に好ましい重合開始剤の添加方法としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル添加後に重合性単量体の重合添加率が30〜60%の時点でt−ブチルパーオキシネオヘプタノエートを追加添加する。また、重合開始剤と還元剤としては、ジラウロイルパーオキサイド添加後に重合性単量体の重合添加率が30〜60%の時点でアスコルビン酸Naを追加添加する組み合わせである。
本発明の磁性トナーを製造する際は、架橋剤を添加しても良く、好ましい添加量としては、重合性単量体100質量部に対して0.001質量部以上、15質量部以下である。
ここで架橋剤としては、主として2個以上の重合可能な二重結合を有する化合物が用いられ、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等のような芳香族ジビニル化合物;例えばエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート等のような二重結合を2個有するカルボン酸エステル;ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホン等のジビニル化合物;及び3個以上のビニル基を有する化合物;が単独もしくは混合物として用いられる。
本発明の磁性トナーを重合法で製造する方法では、一般に上述のトナー組成物等を適宜加えて、ホモジナイザー、ボールミル、コロイドミル、超音波分散機等の分散機に依って均一に溶解または分散させる。得られた重合性単量体系を、分散安定剤を含有する水系媒体中に懸濁する。この時、高速撹拌機もしくは超音波分散機のような高速分散機を使用して一気に所望のトナー粒子のサイズとすることで、トナー粒子の粒径がシャープになる。造粒後は、通常の撹拌機を用いて、粒子状態が維持され且つ粒子の浮遊・沈降が防止される程度の撹拌を行えば良い。
本発明の磁性トナーを製造する場合には、分散安定剤として公知の界面活性剤や有機分散剤・無機分散剤が使用できる。中でも無機分散剤は、その立体障害性により分散安定性を得ているので反応温度を変化させても安定性が崩れ難く、洗浄も容易でトナーに悪影響を与え難いので、好ましく使用できる。こうした無機分散剤の例としては、燐酸三カルシウム、燐酸マグネシウム、燐酸アルミニウム、燐酸亜鉛、ヒドロキシアパタイト等の燐酸多価金属塩、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩、メタ硅酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の無機塩、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の無機化合物が挙げられる。
これらの無機分散剤は、重合性単量体100質量部に対して、0.2質量部以上、20質量部以下使用することが望ましい。また、上記分散安定剤は単独で用いても良いし、複数種併用してもよい。さらに、0.001質量部以上、0.1質量部以下の界面活性剤を併用しても良い。
これら無機分散剤を用いる場合には、そのまま使用しても良いが、より細かい粒子を得るため、水系媒体中にて該無機分散剤粒子を生成させて用いることが出来る。例えば、燐酸三カルシウムの場合、高速撹拌下、燐酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液とを混合して、水不溶性の燐酸カルシウムを生成させることができ、より均一で細かな分散が可能となる。この時、同時に水溶性の塩化ナトリウム塩が副生するが、水系媒体中に水溶性塩が存在すると、重合性単量体の水への溶解が抑制されて、乳化重合に依る超微粒トナーが発生し難くなるので、より好都合である。
界面活性剤としては、例えばドデシルベンゼン硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム等が挙げられる。
前記重合工程においては、重合温度は40℃以上、一般には50℃以上、90℃以下の温度に設定して重合を行なうことが好ましく、特に、用いる重合開始剤の10時間半減期温度より5℃以上、20℃以下の高温に設定することが好ましい。この温度範囲で重合を行なうと、内部に封じられるべき離型剤やワックスの類が、相分離により析出して内包化がより完全となる。残存する重合性単量体を消費するために、重合反応終期ならば、反応温度を90℃以上、150℃以下にまで上げることは可能である。
重合トナー粒子は重合終了後、公知の方法によって濾過、洗浄、乾燥を行い、本発明の磁性トナー粒子を得ることができる。また、製造工程に分級工程を入れ、粗粉や微粉をカットすることも可能である。
本発明において、磁性トナーの粉体流動性を制御するために磁性トナー粒子に、無機微粉体を添加することが必須条件である。その他に、有機微粉体、無機微粉体のいずれも添加することが可能で、公知のもの全てを用いることが出来る。
特に本発明で用いる無機微粉体として、疎水性シリカを少なくとも1種類以上含有していることが好ましい。
シリカの好ましい疎水化処理として、ヘキサメチルジシラザンで処理し、次いでシリコーンオイルで処理することにより調製する方法が挙げられる。
上記のようにシリカをシラン化合物で処理し、後にオイル処理することが疎水化度を効果的に上げることができ、好ましい。
本発明の磁性トナーは、必要に応じてシリカ以外の添加剤を外添してもよい。
例えば帯電補助剤、導電性付与剤、流動性付与剤、ケーキング防止剤、熱ロール定着時の離型剤、滑剤、研磨剤の働きをする樹脂微粒子や無機微粒子である。
樹脂微粒子としては、その平均粒径が0.03〜1.0μmのものが好ましい。
その他の微粒子としては、ポリ弗化エチレン、ステアリン酸亜鉛、ポリ弗化ビニリデンの如き滑剤(中でもポリ弗化ビニリデンが好ましい);酸化セリウム、炭化ケイ素、チタン酸ストロンチウムの如き研磨剤(中でもチタン酸ストロンチウムが好ましい);酸化チタン、酸化アルミニウムの如き流動性付与剤(中でも特に疎水性のものが好ましい);ケーキング防止剤;カーボンブラック、酸化亜鉛、酸化アンチモン、酸化スズの如き導電性付与剤が挙げられる。さらに、トナーと逆極性の白色微粒子及び黒色微粒子を現像性向上剤として少量用いても良い。
磁性トナー粒子に対する外部添加剤の添加量は0.1〜3.0質量%であることが好ましい。
磁性トナー粒子と無機微粉末はヘンシェルミキサーの如き混合機により十分混合し、本発明に係る磁性トナーを製造することができる。
本発明の磁性トナーを好適に用いることの出来る画像形成装置の一例を図に沿って具体的に説明する。
図2の画像形成装置において、100は感光ドラムで、その周囲に一次帯電ローラー117、現像器140、転写帯電ローラー114、クリーナ116、レジスタローラー124等が設けられている。そして感光体100は一次帯電ローラー117によって、例えば−700Vに帯電される(印加電圧は交流電圧−2.0kVpp、直流電圧−700Vdc)。そして、レーザー発生装置121によりレーザー光123を感光体100に照射することによって露光される。感光体100上の静電潜像は現像器140によって現像され、転写材を介して感光体に当接された転写帯電ローラー114により転写材上へ転写される。トナー画像をのせた転写材は搬送ベルト125等により定着器126へ運ばれ転写材上に定着される。また、一部感光体上に残されたトナーはクリーナ116によりクリーニングされる。現像器140は図3に示すように感光体100に近接してアルミニウム、ステンレスの如き非磁性金属で作られた円筒状のトナー担持体102(以下現像スリーブと称す)が配設されている。感光体100と現像スリーブ102との間隙は図示されないスリーブ/感光体間隙保持部材等により約300μmに維持されている。現像スリーブ内にはマグネットローラー104が現像スリーブ102と同心的に固定、配設されている。但し、現像スリーブ102は回転可能である。マグネットローラー104には図示のように複数の磁極が具備されており、S1は現像、N1はトナーコート量規制、S2はトナーの取り込み/搬送、N2はトナーの吹き出し防止に影響している。トナーは、トナー塗布ローラ141によって、現像スリーブ102に塗布され、付着して搬送される。搬送されるトナー量を規制する部材として弾性ブレード103が配設され、弾性ブレード103の現像スリーブ102に対する当接圧により現像領域に搬送されるトナー量が制御される。現像領域では、感光体100と現像スリーブ102との間に直流及び交流の現像バイアスが印加され、現像スリーブ上の現像剤は静電潜像に応じて感光体100上に飛翔し可視像となる。
本発明における各物性の測定法を以下に詳述する。
<重量平均粒径(D4)、個数平均粒径(D1)の測定方法>
磁性トナーの重量平均粒径(D4)および個数平均粒径(D1)は、以下のようにして算出する。測定装置としては、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの
解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いる。尚、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行なう。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
尚、測定、解析を行なう前に、以下のように前記専用ソフトの設定を行なった。
前記専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更」画面において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。「閾値/ノイズレベルの測定ボタン」を押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、「測定後のアパーチャーチューブのフラッシュ」にチェックを入れる。
前記専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定」画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行なう。そして、専用ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に約3.3lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行なう。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行ない、重量平均粒径(D4)および個数平均粒径(D1)を算出する。尚、前記専用ソフトでグラフ/体積%と設定し
たときの、「分析/体積統計値(算術平均)」画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)であり、前記専用ソフトでグラフ/個数%と設定したときの、「分析/個数統計値(算術平均)」画面の「平均径」が個数平均粒径(D1)である。
<磁性トナーの平均円形度>
トナー粒子の平均円形度は、フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000」(シスメックス社製)によって、校正作業時の測定及び解析条件で測定する。
具体的な測定方法は、以下の通りである。まず、ガラス製の容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水約20mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.2ml加える。更に測定試料を約0.02g加え、超音波分散器を用いて2分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、分散液の温度が10℃以上40℃以下となる様に適宜冷却する。超音波分散器としては、発振周波数50kHz、電気的出力150Wの卓上型の超音波洗浄器分散器(例えば「VS−150」(ヴェルヴォクリーア社製))を用い、水槽内には所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
測定には、対物レンズとして「UPlanApro」(倍率10倍、開口数0.40)を搭載した前記フロー式粒子像分析装置を用い、シース液にはパーティクルシース「PSE−900A」(シスメックス社製)を使用した。前記手順に従い調整した分散液を前記フロー式粒子像分析装置に導入し、HPF測定モードで、トータルカウントモードにて3000個のトナー粒子を計測する。そして、粒子解析時の2値化閾値を85%とし、解析粒子径を円相当径1.985μm以上、39.69μm未満に限定し、トナー粒子の平均円形度を求める。
測定にあたっては、測定開始前に標準ラテックス粒子(例えば、Duke Scien
tific社製の「RESEARCH AND TEST PARTICLES Latex Microsphere Suspensions 5200A」をイオン交換水で希釈)を用いて自動焦点調整を行う。その後、測定開始から2時間毎に焦点調整を実施することが好ましい。
なお、本願実施例では、シスメックス社による校正作業が行われた、シスメックス社が発行する校正証明書の発行を受けたフロー式粒子像分析装置を使用した。解析粒子径を円相当径1.985μm以上、39.69μm未満に限定した以外は、校正証明を受けた時の測定及び解析条件で測定を行った。
フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000」(シスメックス社製)の測定原理は、流れている粒子を静止画像として撮像し、画像解析を行うというものである。試料チャンバーへ加えられた試料は、試料吸引シリンジによって、フラットシースフローセルに送り込まれる。フラットシースフローに送り込まれた試料は、シース液に挟まれて扁平な流れを形成する。フラットシースフローセル内を通過する試料に対しては、1/60秒間隔でストロボ光が照射されており、流れている粒子を静止画像として撮影することが可能である。また、扁平な流れであるため、焦点の合った状態で撮像される。粒子像はCCDカメラで撮像され、撮像された画像は512×512の画像処理解像度(一画素あたり0.37×0.37μm)で画像処理され、各粒子像の輪郭抽出を行い、粒子像の投影面積Sや周囲長L等が計測される。
次に、上記面積Sと周囲長Lを用いて円相当径と円形度を求める。円相当径とは、粒子像の投影面積と同じ面積を持つ円の直径のことであり、円形度Cは、円相当径から求めた円の周囲長を粒子投影像の周囲長で割った値として定義され、次式で算出される。
円形度C=2×(π×S)1/2/L
粒子像が円形の時に円形度は1になり、粒子像の外周の凹凸の程度が大きくなればなるほど円形度は小さい値になる。各粒子の円形度を算出後、円形度0.200〜1.000
の範囲を800分割し、得られた円形度の相加平均値を算出し、その値を平均円形度とする。
<磁性トナー粒子および磁性トナーのTotal Energy>
本発明における、磁性トナー粒子における攪拌速度が100回転の時のTotal Energy(TEA100)、磁性トナーにおける攪拌速度が10回転の時のTotal
Energy(TEB10)、磁性トナーにおける攪拌速度が100回転の時のTotal Energy(TEB100)は、粉体流動性測定装置パウダーレオメータFT−4(Freeman Technology社製)(以下、FT−4と省略する場合がある)を用いることによって測定する。
具体的には、以下の操作により測定を行う。尚、全ての操作において、プロペラ型ブレードは、FT−4測定専用48mm径ブレード(図3参照;48mm×10mmのブレード板の中心に法線方向に回転軸が存在し、ブレード板は、両最外縁部分(回転軸から24mm部分)が、70°、回転軸から12mmの部分が35°といったように、反時計回りになめらかにねじられたもので、材質はSUS製。型番:C210。以下、ブレードと省略する場合がある)を用いる。
FT−4測定専用の直径50mm、容積160mlの円筒状のスプリット容器(型番:C203。容器底面からスプリット部分までの高さ82mm。材質は、ガラス。以下、容器と省略する場合がある)に23℃、60%環境に3日以上放置された磁性トナー粒子または磁性トナーを100g入れることでトナー粉体層とする。
(1)コンディショニング操作
(a)粉体層表面に対して時計回り(ブレードの回転により粉体層がほぐされる方向)の回転方向に、ブレードの回転スピードを、ブレードの最外縁部の周速60(mm/sec)とし、粉体層への垂直方向の進入速度を、移動中のブレードの最外縁部が描く軌跡と粉体層表面とのなす角が、5(deg)のスピード(以降、なす角と省略する場合がある)として、粉体層表面からトナー粉体層の底面から10mmの位置まで進入させる。その後、粉体層表面に対して時計回りの回転方向に、ブレードの回転スピードが60(mm/sec)、粉体層への垂直方向の進入速度を、なす角が、2(deg)となるスピードで、磁性トナー粉体層の底面から1mmの位置まで進入させる操作を行った後、粉体層表面に対して時計回りの回転方向に、ブレードの回転スピードが60(mm/sec)、粉体層からの抜き取り速度をなす角が、5(deg)のスピードで、磁性トナー粉体層の底面から100mmの位置まで移動させ、抜き取りを行う。抜き取りが完了したら、ブレードを時計回り、反時計回りに交互に小さく回転させることでブレードに付着した磁性トナーを払い落とす。
(b)一連の上記(1)−(a)の操作を5回行うことで、磁性トナー粉体層中に巻き込まれている空気を取り除き、安定した磁性トナー粉体層を作る。
(2)スプリット操作
上述のFT−4測定専用セルのスプリット部分で磁性トナー粉体層をすり切り、粉体層上部の磁性トナーを取り除くことで、同じ体積の磁性トナー粉体層を形成する。
(3)測定操作
(i)TEA100およびTEB100の測定
(a)上記(1)−(a)と同様のコンディショニング操作を一回行う。次に磁性トナー粉体層表面に対して反時計回り(ブレードの回転により粉体層が押し込まれる方向)の回転方向に、ブレードの回転スピードを100(mm/sec)とし、粉体層への垂直方向の進入速度を、なす角が、5(deg)となるスピードで、磁性トナー粉体層の底面
から10mmの位置まで進入させる。その後、磁性トナー粉体層表面に対して時計回りの回転方向に、ブレードの回転スピードを60(mm/sec)とし、磁性トナー粉体層への垂直方向の進入速度を、なす角が、2(deg)となるスピードで、磁性トナー粉体層の底面から1mmの位置まで進入させる操作を行った後、磁性トナー粉体層表面に対して時計回りの回転方向に、ブレードの回転スピードを60(mm/sec)とし、磁性トナー粉体層からの垂直方向の抜き取り速度をなす角が、5(deg)となるスピードで、磁性トナー粉体層の底面から100mmの位置まで抜き取りを行う。抜き取りが完了したら、ブレードを時計回り、反時計回りに交互に小さく回転させることでブレードに付着した磁性トナーを払い落とす。
(b)上記、一連の操作を7回繰り返し、7回目にブレードの回転スピードが100(mm/sec)で、磁性トナー粉体層の底面から100mmの位置から測定を開始する。底面から10mmの位置まで進入させた時に得られる、回転トルクと垂直荷重の総和を、TEA100またはTEB100とする。
(ii)TEB10の測定
(a)TEB100の測定を終了した磁性トナー粉体層を用い、まず上記(3)−(i)−(a)の操作を1回行う。
(b)次に、(3)−(i)−(a)における一連の操作において、ブレードの回転スピードを100(mm/sec)にして磁性トナー粉体層に進入させていたところを、70(mm/sec)に落として測定を行う。
(c)引き続き、(3)−(ii)−(b)と同様に40(mm/sec)、10(mm/sec)に順次回転数を落とした測定を行い、回転スピードが10(mm/sec)で磁性トナー粉体層の底面から100mmの位置から測定を開始し、底面から10mmの位置まで進入させた時に得られる、回転トルクと垂直荷重の総和を、TEB10とする。
<磁性トナー粒子のメタノール濡れ性測定>
本発明においては、磁性トナー粒子をメタノール/水混合溶媒に浸潤させたとき、透過率が50%となるメタノール濃度は、下記のようにして得たメタノール滴下透過率曲線から求める。
まず、水70mlを、直径5cm、厚さ1.75mmの円筒型ガラス容器中に入れ、その測定用サンプル中の気泡等を除去するために超音波分散器で5分間分散を行う。
次いで、磁性トナー粒子を目開き150μmのメッシュで振るい、メッシュを通った磁性トナー粒子0.1gを精秤して、上記水が入れられた容器の中に添加し、測定用サンプル液を調製する。
そして、測定用サンプル液を粉体濡れ性試験機「WET−100P」(レスカ社製)にセットする。この測定用サンプル液を、マグネティックスターラーを用いて、6.7s−1(400rpm)の速度で攪拌する。尚、マグネティックスターラーの回転子として、フッ素樹脂コーティングされた、長さ25mm、最大胴径8mmの紡錘型回転子を用いる。
次に、この測定用サンプル液中に、上記装置を通して、メタノールを1.3ml/minの滴下速度で連続的に添加する。波長780nmの光で透過率を測定し、透過率が50%となるメタノール濃度を、磁性トナー粒子のメタノール/水混合溶媒において、透過率が50%となるメタノール濃度とする。
<磁性トナーのSEC−MALLS測定>
本発明の磁性トナーの質量平均分子量Mnと重量平均分子量Mwと慣性二乗半径RwはSEC−MALLS測定により求めた。
磁性トナー0.03gをo−ジクロロベンゼン10mlに分散し溶解後、25℃で24
時間振投機で振投し、0.2μmフィルターで濾過し、その濾液を試料として用いる。
[分析条件]
分離カラム:Shodex(TSK GMHHR−H HT20)×2
カラム温度:135℃
移動相溶媒:o−ジクロロベンゼン
移動相流速:1.0ml/min.
試料濃度 :約0.3%
注入量 :300μl
検出器1 :多角度光散乱検出器 Wyatt DAWN EOS
検出器2 :示差屈折率検出器 Shodex RI−71
[測定理論]
(LS)=(dn/dc)×C×Mw×KLS (1)
(LS);検出器の測定電圧値(v)
(dn/dc);試料1gあたりの屈折率の増分(ml/g)
C ;濃度(g/ml)
KLS ;測定電圧と散乱強度(還元レイリー比)の係数(装置定数)
(dn/dc)は本発明はポリスチレンの文献値から0.068ml/gとした。
SEC−MALLSでは、SECカラムの分子篩いにより分子サイズで分離され、Mw(絶対分子量)とC(濃度)が刻々変化し溶出されてくるため別途濃度検出器をMALLSと組み合わせ測定する必要がある。その信号強度を濃度Cに換算し重量平均分子量Mwを求める。本発明では、濃度検出器として示差屈折率検出器(RI)を使用し、RI検出器の信号強度(RI)を濃度Cに換算し用いる。
(RI)=(dn/dc)×C×KRI (2)
KRI;測定電圧と屈折率の係数(RI定数 ポリスチレン標準にて校正)
分子サイズ(慣性二乗半径)はDebye Plotにより算出した。
<磁性トナーのB/A測定>
本発明における磁性トナー粒子の表面に存在する炭素元素の含有量(A)に対する鉄元素の含有量(B)の比(B/A)は、ESCA(X線光電子分光分析)により表面組成分析を行い算出した。
本発明では、ESCAの装置および測定条件は、下記の通りである。
使用装置:PHI社(Physical Electronics Industries,Inc.)製 1600S型 X線光電子分光装置
測定条件:X線源 MgKα(400W)
分光領域800μmφ
本発明では、測定された各元素のピーク強度から、PHI社提供の相対感度因子を用いて表面原子濃度(原子%)を算出した。
測定試料としては、磁性トナーを用いるが、磁性トナー粒子に外添剤が添加されている場合には、イソプロパノールの如き磁性トナー粒子を溶解しない溶媒を用いて、磁性トナーを洗浄し、外添剤を取り除いた後に測定を行う。
<GPC測定>
本発明におけるポリエステル樹脂等の極性官能基を含む高分子重合体の分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。
まず、室温で24時間かけて、磁性トナーまたは樹脂をテトラヒドロフラン(THF)に溶解する。そして、得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マエショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得る。尚、サンプ
ル溶液は、THFに可溶な成分の濃度が約0.8質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
装置:HLC8120 GPC(検出器:RI)(東ソー社製)
カラム:Shodex KF−801、802、803、804、805、806、807の7連(昭和電工社製)
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0ml/min
オーブン温度:40.0℃
試料注入量:0.10ml
試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(例えば、商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500」、東ソ−社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
<極性官能基を含む高分子重合体の酸価>
酸価は試料1gに含まれる酸を中和するために必要な水酸化カリウムのmg数である。ポリエステル樹脂の酸価はJIS K 0070−1992に準じて測定されるが、具体的には、以下の手順に従って測定する。
(1)試薬の準備
フェノールフタレイン1.0gをエチルアルコール(95vol%)90mlに溶かし、イオン交換水を加えて100mlとし、フェノールフタレイン溶液を得る。
特級水酸化カリウム7gを5mlの水に溶かし、エチルアルコール(95vol%)を加えて1lとする。炭酸ガス等に触れないように、耐アルカリ性の容器に入れて3日間放置後、ろ過して、水酸化カリウム溶液を得る。得られた水酸化カリウム溶液は、耐アルカリ性の容器に保管する。前記水酸化カリウム溶液のファクターは、0.1モル/l塩酸25mlを三角フラスコに取り、前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液で滴定し、中和に要した前記水酸化カリウム溶液の量から求める。前記0.1モル/l塩酸は、JIS K 8001−1998に準じて作成されたものを用いる。
(2)操作
(A)本試験
ポリエステル樹脂の試料2.0gを200mlの三角フラスコに精秤し、トルエン/エタノール(2:1)の混合溶液100mlを加え、5時間かけて溶解する。次いで、指示薬として前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液を用いて滴定する。尚、滴定の終点は、指示薬の薄い紅色が約30秒間続いたときとする。
(B)空試験
試料を用いない(すなわちトルエン/エタノール(2:1)の混合溶液のみとする)以外は、上記操作と同様の滴定を行う。
(3)得られた結果を下記式に代入して、酸価を算出する。
A=[(C−B)×f×5.61]/S
ここで、A:酸価(mgKOH/g)、B:空試験の水酸化カリウム溶液の添加量(ml)、C:本試験の水酸化カリウム溶液の添加量(ml)、f:水酸化カリウム溶液のファクター、S:試料(g)である。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。「部」及び「%」とあ
るのは特に断りのない限り質量基準である。
<ポリエステル樹脂1の合成>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、下記成分を入れ、230℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら10時間反応させた。
ビスフェノールA EO 2モル付加物 350部ビスフェノールA PO 2モル付加物 326部テレフタル酸 278部
チタン系触媒(チタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)) 2部
次いで5〜20mmHgの減圧下に反応させ、酸価が2以下になった時点で180℃に冷却し、無水トリメリット酸62部を加え、常圧密閉下2時間反応後取り出し、室温まで冷却後、粉砕してポリエステル樹脂1を得た。得られたポリエステル樹脂1は、Mw=10500、Mn=3800、酸価6であった。
<ポリエステル樹脂2の合成>
ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物369.5g(以下BPA・POと略す、付加モル数は平均値で3)、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物146.4g(以下BPA・EOと略す)、テレフタル酸126.0g(以下TPAと略す)、ドデセニルコハク酸40.2g(以下DSAと略す)、無水トリメリット酸77.7g(以下TMAと略す)をガラス製2リットルの4つ口フラスコに入れる。温度計、ステンレス製攪拌棒、流下式コンデンサー、及び窒素導入管を取り付け、マントルヒーター中で、窒素気流下にて220℃にて反応せしめた。
重合度は、ASTM E28−67に準拠した軟化点より追跡を行い、軟化点が110℃に達したとき、反応を終了した。この樹脂をポリエステル樹脂2とする。
<磁性酸化鉄の製造例>
硫酸第一鉄水溶液中に、鉄イオンに対して1.0当量の苛性ソーダ溶液(Feに対しP換算で1質量%のヘキサメタリン酸ナトリウムを含有)を混合し、水酸化第一鉄を含む水溶液を調製した。水溶液をpH9に維持しながら、空気を吹き込み、80℃で酸化反応を行い、種晶を生成させるスラリー液を調製した。
次いで、このスラリー液に当初のアルカリ量(苛性ソーダのナトリウム成分)に対し1.0当量となるよう硫酸第一鉄水溶液を加えた。スラリー液をpH8に維持して、空気を吹込みながら酸化反応を進め、酸化反応の終期にpHを約6に調整した。シランカップリング剤として、n−C13Si(OCHを磁性酸化鉄100部に対し0.6部添加し、十分撹拌した。生成した疎水性酸化鉄粒子を常法により洗浄、濾過、乾燥した。凝集している粒子を解砕処理した後、温度70℃で5時間熱処理を行って、磁性酸化鉄を得た。
磁性酸化鉄の平均粒径は0.26μm、磁場79.6kA/m(1000エルステッド)における飽和磁化及び残留磁化が67.3Am/kg(emu/g)、4.0Am/kg(emu/g)であった。
<磁性トナー1の製造>
イオン交換水720部に0.1M−NaPO水溶液450部を投入し温度60℃に加温した後、1.0M−CaCl水溶液67.7部を添加して分散安定剤を含む水系媒体を得た。
スチレン 75部
n−ブチルアクリレート 25部
ジビニルベンゼン 0.5部
ポリエステル樹脂1 15部
負荷電制御剤・T−77(保土ヶ谷化学製) 1部
磁性酸化鉄 90部
上記処方をアトライター(三井三池化工機(株))を用いて均一に分散混合した。この単量体組成物を温度60℃に加温し、そこにHNP−9(ポリエチレンワックス、DSC吸熱メインピーク=78℃;日本精蝋社製)15質量部、ジラウロイルパーオキサイド6.5質量部を混合溶解し、重合性単量体組成物とした。
前記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、温度60℃、N雰囲気下においてTK式ホモミキサー(特殊機化工業(株))にて10,000rpmで15分間撹拌し、造粒した。
その後、温度70℃にてパドル撹拌翼で撹拌し反応工程を行った。重合性単量体の重合添加率が50%の時にアスコルビン酸ナトリウム2.0質量部を追加添加し、さらに反応
を行った。反応時間360分の時点で反応工程を終了した。
反応終了後、懸濁液を冷却し、塩酸を加えて分散剤を溶解し、濾過、水洗、乾燥して磁性トナー粒子1を得た。
磁性トナー粒子1を100部と、一次粒径12nmのシリカにヘキサメチルジシラザンで処理をした後シリコーンオイルで処理し、処理後のBET比表面積値が120m/gの疎水性シリカ微粉体1.0部をヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株))を用いて混合し、磁性トナー1を調製した。磁性トナー1の物性を表2に示す。
<磁性トナー2乃至23の製造>
磁性トナー1の製造において、表1に示すように、ポリエステル樹脂1、磁性酸化鉄、および重合開始剤の量を変更し、さらには反応条件を変更して、磁性トナー2乃至23を得た。磁性トナー2乃至23の物性を表2に示す。
<磁性トナー24の製造>
スチレン 65.0部
2−エチルヘキシルアクリレート 35.0部
ジビニルベンゼン 0.8部
四三酸化鉄(M−0902:σs=93.9emu/g(5kOe),σr=7.7emu/g(5kOe),Hc=76Oe(5kOe),pH=7.5,吸油量;21ml/100g,三井金属鉱業(株)製) 98.0部
ポリエステル樹脂2 10部
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル3.5重量部を添加し、アトライター(「MA−01SC 型」、三井三池化工機(株)製)に投入し、10℃にて5時間分散し、重合性組成物を得た。
次いで、2リットルのガラス製セパラブルフラスコに予め調製したリン酸三カルシウム6重量%の水性コロイド溶液650gに対して前記の重合性組成物212.3gを添加した。TKホモミキサー(M型、特殊機化工業(株)製)を用いて室温にて、回転数10000rpmで2分間乳化分散させた。
次に、4つ口ガラス製の蓋をし、還流冷却管、温度計、窒素導入管、ステンレス製攪拌棒を取り付け、電熱マントルヒーター中に設置した。窒素下にて攪拌を続けながら、1段目の重合として85℃まで昇温し、10時間反応を行い種粒子とした。これを室温まで冷却して前駆体粒子を得た。
次に、該前駆体粒子の水系懸濁液中に超音波発振機(US−150,(株)日本精機製作所製)にて調製したスチレン13.0重量部、2−エチルヘキシルアクリレート7.0重
量部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.4重量部、ジビニルベンゼン0.22重量部、ラウリル硫酸ナトリウム0.1重量部、水20重量部からなる水乳濁液40.7重量部を滴下し、該前駆体粒子を膨潤させた。窒素下にて攪拌を続けながら2段目の重合として85℃まで昇温し、10時間反応せしめた。冷却後、10%塩酸水溶液にて分散媒を溶かし、濾過、水洗を経て風乾後45℃にて12時間、20mmHgで減圧乾燥し、風力分級機にて分級し、平均粒径6.5μmの磁性トナー粒子を得た。
この磁性トナー粒子100重量部に疎水性シリカ微粒子「アエロジルR−972」(日本アエロジル社製)0.4重量部を加えて混合し、磁性トナー24を得た。
<磁性トナー25の製造>
ポリエステル樹脂1 100質量部
磁性酸化鉄 90質量部
モノアゾ鉄錯体(T−77:保土ヶ谷化学社製) 2質量部
HNP9 5質量部
上記混合物をヘンシェルミキサーで前混合した後、110℃に加熱された2軸エクストルーダで溶融混練し、冷却した混練物をハンマーミルで粗粉砕してトナー粗粉砕物を得た。得られた粗粉砕物を、機械式粉砕機ターボミル(ターボ工業社製;回転子および固定子の表面に炭化クロムを含有したクロム合金めっきでコーティング(めっき厚150μm、表面硬さHV1050))を用いて機械式粉砕させて微粉砕した。得られた微粉砕物をコアンダ効果を利用した多分割分級装置(日鉄鉱業社製エルボジェット分級機)で微粉及び粗粉を同時に分級除去し、磁性トナー粒子を得た。
この磁性トナー粒子を100質量部と、個数平均1次粒径12nmのシリカをヘキサメチルジシラザンで処理後にシリコーンオイルで処理し、処理後のBET値が120m/gの疎水性シリカ微粉体1.0質量部をヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株))で混合し、重量平均粒径(D4)が6.4μmの磁性トナー25を得た。磁性トナー25の物性を表2に示す。
Figure 2010276946
Figure 2010276946
<実施例1>
画像形成装置としてLBP−3410をプロセススピードを220mm/secに改造して使用した。
この条件において、磁性トナー1を使用し、常温常湿度環境下(温度25.0℃、湿度
50%RH)において8ポイントのA文字を用い印字率を1%とした画像にて耐久試験を行った。間欠モードで1日あたり2000枚耐久を行い、5日かけて10000枚の耐久試験を行った。なお、記録媒体としてはA4の75g/mの紙を使用した。その結果、耐久試験を通して高い画像濃度が得られ、ハーフトーン均一性も良好であった。耐久終了時の画像濃度は1.5以上であり、高品位な画像を得ることができた。さらに同様に高温高湿環境下(温度32.5℃、湿度80%RH)において耐久試験を行った。その結果、耐久試験を通して高い画像濃度が得られ、ハーフトーン均一性も良好であった。耐久終了時の画像濃度は1.5以上であり、高品位な画像を得ることができた。
さらに同様の画像形成装置を、定着ユニットの定着温度が調整できるように改造し、磁性トナー1を使用し、常温常湿度環境下(温度25.0℃、湿度50%RH)にてXerox75g/m紙を用いて定着性評価を行った。その結果、定着下限温度が180℃未満であり、良好な低温定着性であった。結果を表3に示した。
ここで、本発明の実施例、ならびに、比較例中に記載の評価項目とその判断基準について述べる。
a)画像濃度
初期及び10000枚のプリントアウトを終了した後、ベタ画像部を形成し評価した。尚、画像濃度は画像濃度測定装置である「マクベス反射濃度計」(マクベス社製)を用いて、原稿濃度が0.00の白地部分のプリントアウト画像に対する相対濃度を測定した。画像濃度は、1.30以上であれば実用的に問題がない画像である。
b)ハーフトーンの均一性
1dot−2spaceのハーフトーン画像を用い、以下の基準で目視判断した。
A:ムラは生じておらず、均一性に優れたハーフトーン画像
B:若干ムラは生じているものの、均一なハーフトーン画像
C:ムラは生じているものの、実用上問題ないレベルのハーフトーン画像
D:ハーフトーンムラが生じており、実用上好ましくない画像
c)低温定着性
未定着画像のトナーのり量が0.6mg/cmとなるように調整した後、温度160以上230℃以下の範囲を温度5℃間隔で設定した定着温度で、A4紙中に5cm角のベタ画像を9点出力させた。その画像を4.9kPaの荷重をかけたシルボン紙で5回往復し、濃度低下率が15%以上となる温度を定着下限温度として評価した。
A:定着下限温度が、180℃未満
B:定着下限温度が、180℃以上、190℃未満
C:定着下限温度が、190℃以上、200℃未満
D:定着下限温度が、200℃以上
<実施例2乃至21>
磁性トナーとして、磁性トナー2乃至21を使用し、実施例1と同様の条件で現像耐久性評価及び定着性評価を行った。その結果、初期の画像特性も問題なく、耐久終了までいずれも大きな問題のない結果が得られた。常温常湿環境下での耐久評価結果および高温高湿環境下での耐久評価結果を表3に示す。
<比較例1乃至4>
磁性トナーとして、磁性トナー22乃至25を使用し、実施例1と同様の条件で現像耐久性評価及び定着性評価を行った。その結果、磁性トナー17では、高温高湿環境下の長期使用時(10000枚後)の画像濃度とハーフトーン均一性のレベルが悪かった。また磁性トナー18乃至21の評価においても長期使用時の画像劣化や定着下限温度が上昇しており実用上問題ある画像であった。常温常湿環境下での耐久評価結果および高温高湿環
境下での耐久評価結果を表3に示す。
Figure 2010276946
100 感光体、102 現像スリーブ(トナー担持体)、103 弾性ブレード(規制ブレード)、104 マグネットローラ、114 転写帯電ローラー、116 クリーナ、117 一次帯電ローラー、123 レーザー光、126 定着器、140 現像器、141 トナー塗布ローラ

Claims (8)

  1. 結着樹脂、磁性体及び離型剤を少なくとも有する磁性トナー粒子と、無機微粉体とを少なくとも有する磁性トナーであって、
    (1)前記磁性トナー粒子の粉体流動性測定装置により測定される攪拌速度が100回転の時のTotal Energy(TEA100)が、500mJ以上、1000mJ以下であり、
    (2)前記磁性トナーのオルトジクロロベンゼン可溶分をサイズ排除クロマトグラフィ−オンライン−多角度光散乱(SEC−MALLS)にて測定した際の重量平均分子量Mwが50000以上、200000以下であり、
    重量平均分子量Mwと慣性二乗半径Rwが下記式(1)を満たすことを特徴とする磁性トナー。
    1.0×10−4≦Rw/Mw≦4.0×10−4 式(1)
  2. 前記磁性トナーの平均円形度が0.960以上であることを特徴とする請求項1に記載の磁性トナー。
  3. 前記磁性トナー粒子および前記磁性トナーの粉体流動性測定装置により測定されたTotal Energyにおいて、攪拌速度が10回転の時の前記磁性トナーのTotal EnergyをTEB10とし、攪拌速度が100回転の時の前記磁性トナーのTotal EnergyをTEB100とした時、TEB100が300mJ以上、800mJ以下であり、下記式(2)および(3)を満足することを特徴とする請求項1または2に記載の磁性トナー。
    (TEA100−TEB100) ≦ 300(mJ) 式(2)
    1.00 ≦ TEB10/TEB100 ≦ 1.50 式(3)
  4. 前記磁性トナー粒子をメタノール/水混合溶媒に浸潤させたとき、透過率が50%となるメタノール濃度が20体積%以上、50体積%以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の磁性トナー。
  5. 前記磁性トナーのオルトジクロロベンゼン可溶分をサイズ排除クロマトグラフィ−オンライン−多角度光散乱(SEC−MALLS)にて測定した際の、数平均分子量Mnと重量平均分子量MwがMw/Mn≦7.2を満たすことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の磁性トナー。
  6. 前記磁性トナー粒子がポリエステル樹脂を有しており、該ポリエステル樹脂の結着樹脂100質量部に対する含有量が、8質量部以上、30質量部以下であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の磁性トナー。
  7. 前記磁性トナー粒子が水系媒体中で製造された磁性トナー粒子であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の磁性トナー。
  8. 前記磁性トナー粒子が、懸濁重合法で製造されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の磁性トナー。
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