JP2010275534A - 相容化剤、熱可塑性樹脂組成物及び成形体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】生分解性樹脂(A)及びポリオレフィン系樹脂(B)の相溶化剤(C)であって、炭素数が2〜6のアルキル基を有するアルキルメタクリレート単位を50質量%以上含むアルキルメタクリレート系重合体を含む相容化剤(C)。生分解性樹脂(A)5〜95質量%及びポリオレフィン系樹脂(B)5〜95質量%を含む熱可塑性樹脂100質量部に対して、前記相溶化剤(C)を0.1〜20質量部含む熱可塑性樹脂組成物。前記熱可塑性樹脂組成物を成形して得られる成形体。
【選択図】なし
Description
更に、本発明は、前記熱可塑性樹脂組成物を成形して得られる成形体である。
アルキルメタクリレート単位のアルキル基の炭素数が2以上であると、生分解性樹脂(A)及びポリオレフィン系樹脂(B)中での相容化剤(C)の分散性が良好となり、得られる成形体の機械特性、耐熱性に優れる。また、アルキルメタクリレート単位のアルキル基の炭素数が6以下であると、アルキルメタクリレート系重合体を粉体化したときの粉体取扱性に優れる。
これらのアルキルメタクリレート単位の中でも、生分解性樹脂(A)及びポリオレフィン系樹脂(B)中での相容化剤(C)の分散性及びアルキルメタクリレート系重合体を粉体化したときの粉体取扱性に優れることから、アルキル基の炭素数が4のn−ブチルメタクリレート単位、i−ブチルメタクリレート単位、sec−ブチルメタクリレート単位、t−ブチルメタクリレート単位が好ましく、成形加工性に優れることから、n−ブチルメタクリレート単位及びi−ブチルメタクリレート単位がより好ましく、i−ブチルメタクリレート単位が更に好ましい。
アルキルメタクリレート系重合体中の炭素数が2〜6のアルキル基を有するアルキルメタクリレート単位の含有率が50質量%以上であると、生分解性樹脂(A)及びポリオレフィン系樹脂(B)中での相容化剤(C)の分散性に優れ、得られる成形体の機械特性、耐熱性に優れる。
アルキルメタクリレート(m1)のアルキル基の炭素数が2以上であると、生分解性樹脂(A)及びポリオレフィン系樹脂(B)中での相容化剤(C)の分散性が良好となり、得られる成形体の機械特性、耐熱性に優れる。また、アルキルメタクリレート(m1)のアルキル基の炭素数が6以下であると、アルキルメタクリレート系重合体を粉体化したときの粉体取扱性に優れる。
これらのアルキルメタクリレート(m1)の中でも、生分解性樹脂(A)及びポリオレフィン系樹脂(B)中での相容化剤(C)の分散性及びアルキルメタクリレート系重合体を粉体化したときの粉体取扱性に優れることから、アルキル基の炭素数が4のアルキルメタクリレートであるn−ブチルメタクリレート、i−ブチルメタクリレート、sec−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレートが好ましく、成形加工性に優れることから、n−ブチルメタクリレート及びi−ブチルメタクリレートがより好ましく、i−ブチルメタクリレートが更に好ましい。
炭素数が2〜6のアルキル基を有するアルキルメタクリレート(m1)の含有率が50質量%以上であると、生分解性樹脂(A)及びポリオレフィン系樹脂(B)中での相容化剤(C)の分散性が良好となり、得られる成形体の機械特性、耐熱性に優れる。
他の単量体(m2)の含有率が50質量%以下であると、生分解性樹脂(A)及びポリオレフィン系樹脂(B)中での相容化剤(C)の分散性が良好となり、得られる成形体の機械特性、耐熱性に優れる。
アルキルメタクリレート系重合体の質量平均粒子径が50nm以上であると、乳化剤による成形体の着色や機械特性低下の影響を抑制できる。また、アルキルメタクリレート系重合体の質量平均粒子径が500nm以下であると、高分子量のアルキルメタクリレート系重合体を得る際の分子量制御が容易となる。
アルキルメタクリレート系重合体の質量平均分子量が5千以上であると、得られる成形体の耐熱性に優れる。また、アルキルメタクリレート系重合体の質量平均分子量が2,000万以下であると、得られる成形体の引張伸び特性に優れる。
相容化剤(C)の配合量が0.1質量部以上であると、相容化剤(C)の配合効果が発現し、得られる成形体の機械特性、耐熱性に優れる。また、相容化剤(C)の配合量が20質量部以下であると、生分解性樹脂(A)及びポリオレフィン系樹脂(B)を含む熱可塑性樹脂本来の特性を損なわない。
これらの生分解性樹脂(A)の中でも、成形加工性、製造コスト、機械特性、耐熱性の観点から、脂肪族ポリエステル系樹脂が好ましい。
これらの脂肪族ポリエステル系樹脂の中でも、加工性、生分解性の観点から、半合成系重合体であることが好ましく、ポリ乳酸系重合体であることがより好ましい。特に、ポリ乳酸系重合体は、さつまいもやトウモロコシ等の非石油原料から乳酸が合成可能なため、石油資源を使用しない樹脂として、石油資源を使用した樹脂に置き換えていく動きに対応することができる。
多価アルコールとしては、例えば、ビスフェノールにエチレンオキシドを付加反応させた化合物等の芳香族多価アルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、グリセリン、ソルビタン、トリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコール等の脂肪族多価アルコール;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のエーテルグリコールが挙げられる。
ヒドロキシカルボン酸としては、例えば、グリコール酸、ヒドロキシブチルカルボン酸、特開平6−184417号公報に記載のヒドロキシカルボン酸が挙げられる。
ラクトンとしては、例えば、グリコリド、ε−カプロラクトングリコリド、ε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、δ−ブチロラクトン、β−又はγ−ブチロラクトン、ピバロラクトン、δ−バレロラクトンが挙げられる。
ラクチドとしては、例えば、L−ラクチド、D−ラクチド、DL−ラクチド、メソ−ラクチドが挙げられる。これらのラクチドは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらのポリオレフィン系樹脂(B)の中でも、汎用性、生産性、製造コストの観点から、PP、HDPE、LDPE、LLDPE、エチレン−プロピレンランダム共重合体又はブロック共重合体が好ましい。
成形体の機械特性を改質する改質剤であるグラフト重合体は、通常ゴム質重合体にビニル単量体をグラフト重合して得られる。
ゴム質重合体としては、例えば、ブタジエンゴムを含有するブタジエン系ゴム、ポリオルガノシロキサンを含有するシリコーン系ゴム、ポリアルキル(メタ)アクリレートゴムを含有するアクリル系ゴムが挙げられる。これらのゴム質重合体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ビニル単量体としては、例えば、芳香族ビニル単量体、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、シアン化ビニル単量体が挙げられる。これらのビニル単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
グラフト重合体を得るための重合系としては、特に制限されるものではないが、乳化重合が好ましい。
尚、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」又は「メタクリレート」を示す。
安定剤の配合量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.01〜1質量部であることが好ましく、0.05〜0.5質量部であることがより好ましい。安定剤の配合量が0.01質量部以上であると、安定剤の配合効果が発現する。また、安定剤の配合量が1質量部以下であると、製造コストが安価で、熱可塑性樹脂本来の特性を損なわない。
滑剤の配合量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.1〜2質量部であることが好ましい。滑剤の配合量が0.1質量部以上であると、滑剤の配合効果が発現する。また、滑剤の配合量が2質量部以下であると、製造コストが安価で、熱可塑性樹脂本来の特性を損なわない。
充填剤の配合量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.1〜50質量部であることが好ましく、1〜50質量部であることがより好ましい。充填剤の配合量が0.1質量部以上であると、充填剤の配合効果が発現する。また、充填剤の配合量が50質量部以下であると、製造コストが安価で、熱可塑性樹脂本来の特性を損なわない。
尚、実施例中の「部」及び「%」は、「質量部」及び「質量%」を示す。
アルキルメタクリレート系重合体のラテックス1gをアセトン10gで希釈した試料を、ガスクロマトグラフ(機種名「7890」、アジレント・テクノロジー(株)製)、カラム(商品名「HP−5」、内径0.25mm、長さ30m、膜厚0.25μm、アジレント・テクノロジー(株)製)を用い、ラテックス中に残存する単量体成分量を測定し、残存する単量体成分量から単量体成分の重合率を算出した。内部標準物質としては、メチルイソブチルケトンを用いた。
アルキルメタクリレート系重合体の質量平均分子量を、アルキルメタクリレート系重合体のテトラヒドロフラン可溶分を試料として、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(機種名「HLC−8220」、東ソー(株)製)、カラム(商品名「TSK−GEL SUPERMULTIPORE HZ−H」、東ソー(株)製)を用い、溶離液:テトラヒドロフラン、測定温度:40℃の条件で、標準ポリスチレンによる検量線から質量平均分子量を求めた。
アルキルメタクリレート系重合体(A)の質量平均粒子径を、粒度分布計(機種名「CHDF2000型」、MATEC社製)を用いて測定した。測定条件は、MATEC社が推奨する標準条件で行った。即ち、専用の粒子分離用キャピラリー式カートリッジ及びキャリア液を用い、液性:ほぼ中性、流速:1.4ml/分、圧力:約4000psi(2600KPa)、温度:35℃の条件で、アルキルメタクリレート系重合体(A)のラテックスを濃度約3%に希釈した試料0.1mlを測定に用いた。標準粒子径物質としては、粒子径既知の単分散ポリスチレンを20〜800nmの範囲で合計12点用いた。
成形体の引張破断伸度を、JIS K−7113に準じて測定した。尚、成形体として、射出成形により得られたJIS1号試験片(厚さ4mm)を用いた。
成形体の荷重たわみ温度を、荷重0.45MPaの条件で、ISO 75に準じて測定した。尚、成形体として、射出成形により得られた試験片(長さ12.7mm、高さ4mm、幅10mm)を用いた。
下記の単量体混合物を、ホモミキサーを用いて10,000rpmで6分間攪拌し、乳化混合物を得た。
単量体混合物:
i−ブチルメタクリレート 100部
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 1部
脱イオン水 300部
温度計、窒素導入管、冷却管及び攪拌装置を備えたセパラブルフラスコに、乳化混合物を投入し、容器内を窒素で置換した。次いで、内温を60℃まで昇温させて、過硫酸カリウム0.15部を加えた。その後、内温60℃で加熱攪拌を2時間継続して重合を終了し、アルキルメタクリレート系重合体のラテックスを得た。ガスクロマトグラフより、単量体の重合率は99%以上であった。得られたアルキルメタクリレート系重合体のラテックスを、酢酸カルシウム5部を含む熱水100部中に滴下してラテックスの凝固を行った。得られた凝固物を分離洗浄後、65℃で16時間乾燥して、アルキルメタクリレート系重合体を得た。得られたアルキルメタクリレート系重合体を相容化剤(C1)とした。
単量体成分、開始剤量、連鎖移動剤量を表1に記載のように変更したこと以外は、実施例1と同様にしてアルキルメタクリレート系重合体を得た。ガスクロマトグラフより、単量体の重合率はいずれも99%以上であった。得られたアルキルメタクリレート系重合体をそれぞれ相容化剤(C2)〜(C13)とした。
尚、連鎖移動剤は、n−オクチルメルカプタンを用いた。
i−BMA:i−ブチルメタクリレート
n−BMA:n−ブチルメタクリレート
MMA :メチルメタクリレート
GMA :グリシジルメタクリレート
n−BA :n−ブチルアクリレート
生分解性樹脂(A)としてポリ乳酸系樹脂(商品名「LACEA H100」、三井化学(株)社製)、ポリオレフィン系樹脂(B)としてポリプロピレン(商品名「ノバテックFY−4」、日本ポリプロ(株)製)、相容化剤(C)として実施例1〜11及び比較例1〜2で得られた(C1)〜(C13)を用い、表2〜表4に示す割合で配合し、内径30mm(φ30mm)、L(シリンダ有効長さ)/D(口径)=28.5の二軸押出成形機を用い溶融混練し、熱可塑性樹脂組成物のペレットを得た。その後、得られたペレットを、射出成形機(機種名「SE−100DU」、住友重機工業(株)製)を用いて、成形温度220℃の条件で射出成形を行い、成形体を得た。
Claims (7)
- 生分解性樹脂(A)及びポリオレフィン系樹脂(B)の相溶化剤(C)であって、
炭素数が2〜6のアルキル基を有するアルキルメタクリレート単位を50質量%以上含むアルキルメタクリレート系重合体を含む相容化剤(C)。 - 炭素数が2〜6のアルキル基を有するアルキルメタクリレート単位が、炭素数4のアルキル基を有するアルキルメタクリレート単位である請求項1記載の相容化剤(C)。
- 炭素数が2〜6のアルキル基を有するアルキルメタクリレート単位が、i−ブチルメタクリレート単位である請求項1又は2記載の相容化剤(C)。
- アルキルメタクリレート系重合体の質量平均分子量が、5千〜2000万である請求項1〜3記載の相溶化剤(C)。
- アルキルメタクリレート系重合体の質量平均分子量が、6万〜50万である請求項1〜4記載の相溶化剤(C)。
- 生分解性樹脂(A)5〜95質量%及びポリオレフィン系樹脂(B)5〜95質量%を含む熱可塑性樹脂100質量部に対して、請求項1〜5記載の相溶化剤(C)を0.1〜20質量部含む熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項6記載の熱可塑性樹脂組成物を成形して得られる成形体。
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