JP2010272337A - 燃料電池用気液分離器 - Google Patents
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Abstract
【課題】排出パイプの凍結閉塞を防止することができる燃料電池用気液分離器を提供することである。
【解決手段】燃料電池用気液分離器10は、燃料ガス循環路に設置され、導入される燃料ガスから水分を分離回収して一時的に貯留する本体容器11と、本体容器11の底面21又は底面21から離間した上方に排出口22が配置され、本体容器11に貯留された貯留水を排出するための排出パイプ12と、を備え、本体容器11は、排出口22の周囲に設けられた壁24により形成され、規定量の残留水が排出口22に流入することを堰き止める残留水貯留部23を有する。
【選択図】図3
【解決手段】燃料電池用気液分離器10は、燃料ガス循環路に設置され、導入される燃料ガスから水分を分離回収して一時的に貯留する本体容器11と、本体容器11の底面21又は底面21から離間した上方に排出口22が配置され、本体容器11に貯留された貯留水を排出するための排出パイプ12と、を備え、本体容器11は、排出口22の周囲に設けられた壁24により形成され、規定量の残留水が排出口22に流入することを堰き止める残留水貯留部23を有する。
【選択図】図3
Description
本発明は、燃料電池用気液分離器に係り、特に、車載用の燃料電池システムに設置される気液分離器に関する。
燃料電池は、水素と酸素を電気化学反応させて発電する高効率でクリーンな発電装置であって、燃料電池を搭載した車両が盛んに開発されている。車両に搭載される燃料電池は、複数の膜電極接合体とそれを分離する複数のセパレータとが交互に積層された燃料電池スタックとして使用されている。一般的に、燃料電池システムは、燃料電池スタックから排出された燃料オフガス(水素オフガス)を循環させる水素循環路を備えており、この水素循環路には、水素オフガス中に含まれる生成水等の水分を回収する気液分離器が設けられる。
気液分離器は、水素オフガス中の水分を分離回収して一時的に貯留する本体容器と、その貯留水を排出する排出パイプと、から構成される。排出パイプの下流側には、排気排水弁が設置され、この弁を所定のタイミングで開放することにより、水素濃度が低くなった水素オフガスの一部と共に貯留水を排出する。また、燃料電池システムの作動を停止するときには、スタック等に残留する水分を気液分離器に送り、水素循環路中の水素オフガス及び貯留水を全て排出する。しかし、それでもスタック等に水分が残留する場合があり、作動停止後に、残留した水分(以下、残留水とする)がシステムの下方にある気液分離器に貯留されることがある。そのような状態で、例えば、気温が氷点下になった場合には、残留水が凍結して排出パイプを閉塞させる可能性がある。
本発明に関連する技術として、例えば、特許文献1には、ガス流路内の水を貯留する貯留部と、貯留部内に流入するガスを貯留部外に排出するためのガス排出通路と、貯留水を吸入するための水吸入口及び他端にガス排出通路と接続される接続部を含み、水吸入口と接続部との間の少なくとも一部が貯留水の水面よりも高い位置を通る液体排出通路と、下流側に接続される排出バルブと、を備えた貯水装置が開示されている。また、特許文献1には、燃料電池の運転が停止されて気温が氷点下になった場合でも、排出バルブが凍結することを抑制できる、と記載されている。
特許文献2には、水分含有のオフガスを水分と気体とに分離する本体部と、分離された水分を排水する排出管と、分離された気体を排出する排出管と、からなり、本体部は外枠部材と内枠部材の2部材を有し、外枠部材と内枠部材との間に空間を設けた気液分離器が開示されている。また、特許文献2には、周囲温度が低温の場合には、オフガス中の水分の凍結を防止し、安定した気液分離性能を発揮できる、と記載されている。
しかしながら、上記特許文献1、2に開示された気液分離器は、排出パイプの排出口が残留水に浸かり易い構造であるから、排出パイプの凍結閉塞防止の観点から改良の余地がある。
本発明の目的は、排出パイプの凍結閉塞を防止することができる燃料電池用気液分離器を提供することである。
本発明に係る燃料電池用気液分離器は、燃料ガス循環路に設置され、導入される燃料ガスから水分を分離回収して貯留する本体容器と、本体容器の底面又は底面から離間した上方に排出口が配置され、本体容器に貯留された貯留水を排出するための排出パイプと、を備えた燃料電池用気液分離器において、本体容器は、その底面に設けられ、規定量の残留水が排出パイプの排出口に流入することを堰き止める残留水貯留部を有することを特徴とする。
また、残留水貯留部は、排出パイプの排出口の周囲に設けられ、下方に窪んだ溝から構成されることが好ましい。
また、残留水貯留部は、排出パイプの排出口の周囲に設けられ、上方に向かって延びた壁により形成されることが好ましい。
本発明に係る燃料電池用気液分離器によれば、本体容器は、その底面に設けられ、規定量の残留水が排出パイプの排出口に流入することを堰き止める残留水貯留部を有するので、排出パイプの排出口が残留水に浸かることがなく(極めて浸かり難い)、例えば、燃料電池システムの作動停止時に気温が氷点下となった場合であっても、排出パイプの凍結閉塞を防止することができる。
また、残留水貯留部は、排出パイプの排出口の周囲に設けられ、下方に窪んだ溝から構成されるものとすれば、高い排水性能を維持しながら、規定量の残留水を堰き止めて排出パイプの凍結閉塞を防止することができる。
また、残留水貯留部は、排出パイプの排出口の周囲に設けられ、上方に向かって延びた壁により形成される構成とすれば、より多くの残留水を堰き止めることができる。
図面を用いて、本発明に係る実施の形態における燃料電池用気液分離器につき、以下詳細に説明する。なお、以下では、燃料電池用気液分離器は、一例として、車載用の燃料電池システムに設置される気液分離器として説明する。
一般的に、車載用の燃料電池システムは、燃料電池セルを複数積層した燃料電池スタックを備え、燃料電池スタックに燃料ガス(水素ガス)を供給する水素系と、酸化ガス(空気)を供給するエア系と、燃料電池スタックを冷却する冷却系と、を主要構成要素とする。燃料電池スタックは、複数の膜電極接合体とそれを分離する複数のセパレータとが交互に積層された構造を有する。一般的に、セパレータとは、導電性平板の表面と裏面とに、ガス流路と冷却水流路の溝が形成されたものであり、このガス流路に、アノード極側では水素ガスが、カソード極側では空気がそれぞれ供給される。
水素系は、燃料電池スタックに水素ガスを供給するための水素供給流路の最上流部に、水素が充填された高圧水素タンクを有する。高圧水素タンクと燃料電池スタックとの間には、燃料電池スタックに供給する水素ガスの圧力を調整するための水素調圧弁が設けられている。また、水素系は、通常、燃料電池スタックから排出された水素オフガスを循環させる水素循環路を備えており、この水素循環路には、水素オフガスから生成水等の水分を分離回収する気液分離器が設けられる。
なお、カソード極側で生成する生成水、カソード極側のガス流路を流れる空気(酸素、窒素)は、電解質膜を通過するため、水素オフガスには、未反応水素ガスだけでなく、これら生成水や酸素ガス、窒素ガス等が含まれる。したがって、循環している水素ガスの濃度は徐々に低下するので、発電運転中において所定のタイミングで気液分離器の下流側に設けられた排気排水弁を開放して、貯留水と共に水素濃度が低くなった水素オフガスの一部を排出する。
図1〜図4を用いて、第1の実施形態における燃料電池用気液分離器10(以下、気液分離器10とする)について説明する。気液分離器10は、上記の一般的な車載用の燃料電池システムに適用できるものである。ここで、図1は、気液分離器10を示す正面図であり(本明細書では、導入口13(水素循環路接続用フランジ16)側を背面とする)、図2は、気液分離器10の斜視図である。
図1、図2に示すように、気液分離器10は、導入される水素オフガスから水分を分離回収して一時的に貯留する本体容器11と、本体容器11に貯留された貯留水を排出するための排出パイプ12と、から構成される。気液分離器10の本体容器11は、上記のように、図示しない水素循環路に設けられ、また、排出パイプ12の下流側には、図示しない排気排水弁、さらに、希釈器、マフラーが設けられる。
本体容器11は、水素循環路の上流側に接続される導入口13と、水素循環路の下流側に接続される導出口14と、を有する。導入口13から水分を含む水素オフガスが導入されると、主に導入口13から前方に延びる導入流路15において水分が凝縮して水素オフガスから分離され、本体容器11内に貯留される。水分含量が減少した水素オフガスは、導出口14から導出されて、再び燃料電池スタックに供給される。
また、本体容器11は、導入口13が形成される導入口側部材11Aと、導出口14が形成される導出口側部材11Bと、から構成され、導入口側部材11A及び導出口側部材11Bの対向端部には、本体容器接続用フランジ20A、20Bがそれぞれ設けられる。導入口側部材11Aは、上流側の水素循環路と接続するための水素循環路接続用フランジ16が背面(後方)に設けられ、該水素循環路接続用フランジ16の中央に導入口13が、その両サイドに締結部材挿入孔17が、それぞれ形成されている。また、導出口側部材11Bは、下流側の水素循環路と接続するための水素循環路接続用フランジ18が上方に設けられ、該水素循環路接続用フランジ18の中央に導出口14が、その両サイドに締結部材挿入孔19が、それぞれ形成されている。
また、本体容器11は、貯留水の排水性を高めるため、排出パイプ12の排出口22の方向に水が流れるように、その底面21が側部から中央部に向かって下方に傾斜している。底面21は、車両の傾斜角度等を考慮して、左右方向だけでなく、前後方向にも傾斜している。また、本体容器11は、水分の分離性能を高めるために、導入口13から離れた導出口側部材11Bの上方に導出口14を設けると共に、上記のように、水素オフガスの流れ方向に沿って導入口13から延びた導入流路15を有する。
なお、本体容器11は、一般的に、ステンレス(SUS)製である(排出パイプ12も同様)。また、上記のように、本体容器11は、導入口側部材11A及び導出口側部材11Bから構成されるので、導入口側部材11A及び導出口側部材11Bのそれぞれに、後述する残留水貯留部23の構成要素を形成し、両部材を一体接合して残留水貯留部23を形成することができる。或いは、一方の部材にのみ残留水貯留部23を形成しておくこともできる。
排出パイプ12は、本体容器11に貯留された貯留水を排出するための排水管であり、また、水素オフガスを排出する排気管としても機能する排気排水管である。なお、排水管と排気管とを別に設けることもできる。排出パイプ12は、導出口側部材11Bの側面から挿入され、導入口側部材11A及び導出口側部材11Bの接合位置、即ち、本体容器11の中央部で折れ曲がって下方に延びる。折れ曲がって下方に延びた排出パイプ12は、本体容器11の上下方向に沿っており、底面21から離間した高さに排出口22が位置するように設置される。なお、以下では、排出口22の直下に位置する底面21を直下底面とし、少なくとも直下底面を含む所定範囲の底面領域を直下底面領域21Pとして説明する。
排出パイプ12の下流には、上記のように、排気排水弁が設けられる。本体容器11に貯留された貯留水は、この排気排水弁を開放することにより、水素オフガスの一部と共に排出パイプ12を通って排出される。即ち、気液分離器10は、本体容器11内の高い内圧と、内圧よりも低い大気圧(排気排出弁の下流側は大気圧)との圧力差を利用して排水する差圧方式であり、貯留水は排出口22から吸い上げられる。なお、本体容器11内の内圧が大気圧よりも高い状態で排気排水弁を開放すると、残留水貯留部23に貯まった貯留水の大部分は排出口22から排出される。その為、残留水貯留部23には、作動停止後に流れ込む残留水を貯めることができる。
排気排水弁の開放操作は、燃料電池システムの制御装置によって、水素系中の圧力、車両の運転状況(発電状況)等に基づいて制御される。例えば、車両が低速走行状態であって発電量が小さいときには、本体容器11にたまる貯留水が少ないので、排気排水弁は開放され難い。一方、車両が高速走行状態であって発電量が大きなときには、貯留水の量も多くなるので、排気排出弁は開放され易くなる。また、上記のように、燃料電池システムの作動を停止するときには、水素循環路中の水素オフガス及び貯留水を全て排出する。しかしながら、それでもなおスタック等に水分が残留する場合があり、作動停止後に、残留水が気液分離器10に貯留されることがある。そのような状態で、例えば、気温が氷点下になった場合には、残留水が凍結して排出パイプ12を閉塞させる可能性がある。
気液分離器10は、排出パイプ12の凍結閉塞を防止するための構成として、本体容器11の底面であって、排出パイプ12の排出口22の周囲に設けられた残留水貯留部23を有する。より具体的には、残留水貯留部23は、直下底面領域21Pの周囲に設けられる。ここで、図3、図4を用いて、残留水貯留部23について詳細に説明する。図3は、図1のA−A線断面図であり、図4は、図1において、壁24の上部を紙面に対して垂直な方向に切断したときの断面を示す図である(排出口22の周囲の拡大図)。
残留水貯留部23は、規定量の残留水が排出パイプ12の排出口22に流入することを堰き止める機能を有する。即ち、本体容器11に流れ込む残留水が規定量以下であれば、残留水貯留部23によって、排出口22(具体的には、直下底面領域21P)への該残留水の流入が堰き止められる。したがって、残留水貯留部23の堰き止め可能容量、即ち、規定量としては、本体容器11に流れ込むことが想定される残留水の量以上であることが要求される。
残留水貯留部23は、図3に示すように、直下底面領域21Pの周囲に設けられた壁24により形成される。即ち、壁24の外周面と底面21に囲まれた部分が、残留水を堰き止めてトラップする残留水貯留部23となる。ここで、直下底面領域21Pとは、上記のように、少なくとも排出口22の直下底面を含む所定範囲の底面領域であって、この領域には残留水貯留部23は形成されない。直下底面領域21Pの範囲は、残留水貯留部23の形態等に応じて変更することができ、例えば、壁24を設ける場合には、少なくとも壁24と排出パイプ12とが接触せず、水の流通性を確保できるように、直下底面領域21Pの所定範囲が決定される。
なお、排水性能は、排出パイプ12の排出口22と直下底面との間の長さaによって変化し、通常、長さaが短い方が排水性能は高くなる。故に、直下底面領域21Pは、排水性能向上の観点からは小さい方が好ましく、残留水貯留部23は、直下底面領域21P(排出口22)に近接して設けられることが好ましい。例えば、後述する第2の実施形態のように、溝から残留水貯留部が構成される場合には、直下底面領域21Pを直下底面と同等の範囲とすることができる。また、図3に示す直下底面領域21Pは、平面形状であるが、例えば、上方に湾曲した形状や傾斜した形状とすることもできる。
残留水貯留部23を形成する壁24は、図3に示すように、直下底面領域21Pよりも上方に向かって延びた壁である。また、壁24は、図4に示すように、直下底面領域21Pの周囲において、排出パイプ12(パイプの中心軸)を中心とする円の円周に沿ってリング状に設けられる。このように、壁24が形成されると、壁24の外周面と壁24の外側の底面21に囲まれた部分(即ち、残留水貯留部23)に規定量以下の残留水がトラップされるので、該残留水が直下底面領域21P(排出口22)に流入することを防止することができる。
壁24のサイズとしては、燃料電池システムの形態、例えば、燃料電池スタックのサイズ等に応じて変更することができ、残留水の量が多い場合には、凍結閉塞防止の観点から、高さを高く設定する必要がある。一方、残留水の量が少ない場合には、排水性向上の観点から、高さを低く設定することが好ましい。具体的に、壁24の上端は、図3に示すように、排出口22よりも上方に位置し、残留水の量によっても異なるが、壁24の高さは、長さa〜長さaの3倍程度であることが好ましい。なお、壁24の幅は、小さいことが好ましい。
壁24の形状としては、壁24を上方から見た形状については、円形状(リング形状)に形成されることが好ましい。また、上下方向に切断した断面(以下、上下断面とする)については、図4に示すように、遮水性を考慮して、上下方向に沿って垂直な凸形状を呈する。なお、上下断面形状としては、上方に向かって湾曲した形状、上方に向かって尖った三角形状等、種々の形状を適用することができる。例えば、壁24の外周面を傾斜させて上下断面形状が上方に向かって尖った三角形状とすれば、残留水貯留部23により堰き止められた貯留水(残留水)を排出しようとするときに、該貯留水の流通がスムーズになり排水性向上の観点から好ましい。
以上のように、気液分離器10は、直下底面領域21Pの周囲に設けられる壁24(残留水貯留部23)を有するので、直下底面領域21P(排出口22)への残留水の流入を防止することができる。なお、残留水貯留部45は、一部(規定量)の水を堰き止めるものであるため、燃料電池システムの発電時における排水性を阻害するものではない。即ち、気液分離器10によれば、残留水貯留部23の効果によって、排出口22と直下底面との間の長さaを短く設定して高い排水性能を維持しながら、排出パイプ12の凍結閉塞を防止することが可能となる。
なお、上記では、残留水貯留部23は、排出パイプ12を中心とする円の円周に沿って形成されるものとして説明したが、例えば、排水パイプ12の周囲に、多角形状(四角形等)や楕円形状に形成された残留水貯留部23とすることもできる。また、残留水は、主に、導入口13から本体容器11に流れ込むので、例えば、排出パイプ12よりも導入口13側の底面21において、正面側から背面側に亘って真直ぐ延びた形態等、直下底面領域21Pの周辺の一部に残留水貯留部23を設けることもできる。
図5、図6を用いて、第2の実施形態における燃料電池用気液分離器30(以下、気液分離器30とする)について説明する。ここで、図5は、第1の実施形態を示す図3に対応する気液分離器30の断面図であり、図6は、図4に対応する気液分離器30の断面図である。なお、第1の実施形態における気液分離器10と同一の構成要素については、同一の符号を付し、重複する説明を省略する(第3の実施形態についても同様)。
図5に示すように、気液分離器30は、本体容器31と、排出パイプ12と、から構成される。本体容器31の底面32の傾斜は大きく、排出口22の方向に貯留水が集まり易くなっており、排出パイプ12の周囲、具体的には、直下底面領域32Pの周囲に、下方に窪んだ溝から構成される残留水貯留部33が形成されている。図6に示すように、残留水貯留部33は、直下底面領域31Pの周囲において、排出パイプ12(パイプの中心軸)を中心とする円の円周に沿ってリング状に形成される。このように、残留水貯留部33が形成されると、下方に傾斜する底面32を沿って周囲から排出口22の付近に集まる残留水が直下底面領域31P(排出口22)に流入することを防止することができる。また、溝と直下底面領域32Pとの間には、壁が存在しないことから排水性がより向上する。
残留水貯留部33を構成する溝のサイズとしては、壁24と同様に、燃料電池システムの形態、に応じて変更することができ、例えば、残留水の量が多い場合には、遮水性(即ち、凍結閉塞防止)の観点から、その深さや幅を大きく設定する必要がある。一方、残留水の量が少ない場合には、排水性向上の観点から、溝の深さを浅く設定することが好ましい。また、例えば、残留水が多い場合には、溝と直下底面領域32Pとの間に壁を設けることもできる。
溝の形状としては、溝を上方から見た形状については、リング形状(円形状)であることが好ましい。また、上下断面形状については、図3に示すように、水の流れ易さを考慮して、底面32の傾斜に沿ってその延長で形成された三角形状を呈している。なお、上下断面形状としては、台形形状、上下方向に沿った垂直な辺を有する凹形状、下方に向かって湾曲したU字形状等、種々の形状を適用することができる。
なお、溝の上下断面形状は、三角形状であるから、水が流れ込み易く、また、遮断された貯留水を排出しようとするときには、スムーズな流通が可能となって排水性が良好なものとなる。また、排水性をさらに向上させるために、より排出口22に近接した位置に溝(残留水貯留部33)を形成することもできる。例えば、底面32において、排出パイプ12の延長線上から残留水貯留部33を形成することができる(この場合、直下底面領域32Pの大きさは、直下底面の大きさと一致する)。
図7を用いて、第3の実施形態における燃料電池用気液分離器40(以下、気液分離器40とする)について説明する。ここで、図7は、第1の実施形態を示す図3に対応する気液分離器40の断面図である。
図7に示すように、気液分離器40は、本体容器41と、排出パイプ42と、から構成され、排出パイプ42は、本体容器41の底面44の中央部から下方に延びている。即ち、排出口43は、本体容器41の底面44の中央に設けられている。なお、底面44は、中央部に向かって下方に傾斜しているので、排出口43の方向に貯留水が集まるようになっている。
本体容器41は、排出口43の周囲に残留水貯留部45を有する。この残留水貯留部45は、排出口43の全周に亘って設けられた壁46により形成される。具体的には、壁46の外周面と壁46の外側の底面44とに囲まれた部分が、残留水をトラップする残留水貯留部45となる。壁46は、気液分離器10の壁24と同様に、排出口43を中心とする円の円周に沿って円形状に形成されている。このように、排出口43の周囲に壁46を設けることによって、排出口43が本体容器41の底面44に形成された場合であっても、排出口43への残留水の流入を防止することが可能である。
なお、気液分離器40では、貯留水が重力により排出パイプ42に沿って流れるため、排水性は良好である。一方、残留水が規定量を超えると直ちに排出パイプ42に流れ込み排気排水弁まで流れるため、壁46の高さの設定基準はより厳格なものとなる。また、図7に示す壁46は、排出口43から離間した位置から設けられているが、排出パイプ42の延長線上に沿った位置から壁46を設けることもできる。
10,30,40 気液分離器、11,31,41 本体容器、11A 導入口側部材、11B 導出口側部材、12,42 排出パイプ、13 導入口、14 導出口、15 導入流路、16,18 水素循環路接続用フランジ、17,19 締結部材挿入孔、20A,20B 本体容器接続用フランジ、21,32,44 底面、21P,32P 直下底面領域、22,43 排出口、23,33,45 残留水貯留部、24,46 壁。
Claims (3)
- 燃料ガス循環路に設置され、導入される燃料ガスから水分を分離回収して貯留する本体容器と、
本体容器の底面又は底面から離間した上方に排出口が配置され、本体容器に貯留された貯留水を排出するための排出パイプと、
を備えた燃料電池用気液分離器において、
本体容器は、
その底面に設けられ、規定量の残留水が排出パイプの排出口に流入することを堰き止める残留水貯留部を有することを特徴とする燃料電池用気液分離器。 - 請求項1に記載の燃料電池用気液分離器において、
残留水貯留部は、
排出パイプの排出口の周囲に設けられ、下方に窪んだ溝から構成されることを特徴とする燃料電池用気液分離器。 - 請求項1に記載の燃料電池用気液分離器において、
残留水貯留部は、
排出パイプの排出口の周囲に設けられ、上方に向かって延びた壁により形成されることを特徴とする燃料電池用気液分離器。
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