JP2010271394A - 加圧部材、加圧部材の製造方法、定着装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】断熱層2dは、熱硬化性樹脂2d1中に30μm以下の孔径を有する空孔2d2が多数、空孔率45〜65%となるように散在して形成されている。従って、空孔2d2の断熱層中の空孔率が50%程度でも容易に0.1W/mK以下の低い熱伝導率を有する断熱層2dを容易に得ることができる。その結果、この加圧ローラ2と圧接する定着ローラ1からの熱を芯部材2aに伝熱して放熱することを抑制し、定着ローラ1の発熱を有効に定着用熱量と使用することが可能となり、定着装置の立ち上がり時間を短縮することが可能となる。
【選択図】図7
Description
一方、図4は、従来の単泡構造の気泡10bを有するシリコーンゴム10aと炭素繊維10cを含有する弾性体層10を示す拡大図である。図4に示すように、単泡構造の弾性体層10は、連泡部がない気泡10bと炭素繊維10cをシリコーンゴム10a中に含んで構成されている。よって、このような従来の単泡構造の気泡を有する弾性体層10では、空孔間の気体の移動ができず、炭素繊維の剛直性がシリコーンゴムの特性に影響して耐久性が低下する。これに対して、本発明による連泡構造を有する弾性体層1bは、定着時に加圧ローラ2によって押圧された際に、気泡1b3が適切に変形可能となってニップ部Nにおける記録媒体上にトナー像を適切に挟圧し、良好な耐久性を発揮することができる。
低分子量ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粉末は、ルブロンL−5、L−2(以上、ダイキン工業社製)、MP1100、MP1200、MP1300、TLP−10F−1(以上、三井デュポンフロロケミカル社製)が知られている。テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)粉末は、532−8000(デュポン社製)が知られている。テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)としては、MP10、MP102、(以上、三井デュポンフロロケミカ社製)が知られている。特にMFR(メルトフローレート)が小さい流動性の低いものとして、MP103、MP300(以上、三井デュポンフロロケミカル社製)、AC−5600、AC5539(以上、ダイキン工業社製)等が本発明には適している。
〔試験1〕
ジャパンエポキシレジン社製のjER8282(未硬化エポキシ樹脂)100質量部に、日本フィライト社製のエクスパンセル461DE(既発泡粒子、概略直径:20μm)を空孔率40%(比較例1)、45%(実施例1)、50%(実施例2)、65%(実施例3)、70%(比較例2)、75%(比較例3)となるような断熱層配合量で混合したものと、日立化成社製の酸無水物MHAC−P(硬化剤)86質量部、四国化成社製のイミダゾール2E4MZ(硬化促進剤)1質量部とを混合した。混合には、倉敷紡績社製のマゼルスターを用いて行った。この混合物を加圧ローラの金型内に加圧ローラの芯部材を配設した注型用金型の間に流し込み、100℃で2時間30分加熱し、1次加熱処理を行った。
次に、250℃で8時間、2次焼成を行って断熱層を形成し、この断熱層上に30μmのPFAチューブを接着し、加圧ローラとした。この場合、加圧ローラの外径は、Φ40mmで断熱層の厚さは3mmとした。
次に、定着ローラについて説明する。硬化剤を含む付加型液状シリコーンの中に、松本油脂製薬社製のF−80ED(既発泡粒子、概略直径:100μm)と、日本グラファイトファイバー社製のXN−100−15M(150μm長のピッチ系炭素繊維)の粉体を分散したものを作製する。XN−100−15Mは、予め質量比で1/8の量のグリセリンと混合したものを用いた。混合には、倉敷紡績社製のマゼルスターを用いて行った。この未加硫付加型シリコーンゴムを、予め内面に接着層を形成したPFAチューブとその内側に0.5mm厚みの凸部補強(リブと呼ぶ)を設けた芯金1a(図5参照)をセットしその間に、注入液としてPFAチューブと芯金の間に注入する。このときに、120℃で加熱して1次加熱を行い、次に、200℃、4時間加熱して2次加熱を行った。このとき既発泡粒子が壊れ、かつ炭素繊維のまわりがシリコーンゴムと離型して気泡同士が連泡していた。一連の工程で、外径がΦ40mm、弾性体層の厚み3mmの定着ローラを作製した。
試験1の場合と同様にして、加圧ローラの作製において、試験1における断熱層配合組成のエクスパンセル461DE(既発泡粒子、概略直径:20μm)に代えて、松本油脂製薬社製F80SDE(既発泡粒子、概略直径:30μm)を使用して空孔率40%(比較例4)、45%(実施例4)、50%(実施例5)、65%(実施例6)、70%(比較例5)、75%(比較例6)となるような断熱層配合量で混合したものとして加圧ローラを作製した。
試験1の場合と同様にして、加圧ローラの作製において、試験1における断熱層配合組成のエクスパンセル461DE(既発泡粒子、概略直径:20μm)に代えて、松本油脂製薬社製F80DE(既発泡粒子、概略直径:100μm)を使用して空孔率40%(比較例7)、45%(比較例8)、50%(比較例9)、65%(比較例10)、70%(比較例11)、75%(比較例12)となるような断熱層配合量で混合したものとして加圧ローラを作製した。
耐久性の確認として加速試験を行った。加速試験としては、外径をΦ40mmで厚さ1mmの中空の加熱ローラ(定着用回転体に相当)を前記加圧ローラに50Nの力をかけ前記中空ローラの中にハロゲンヒータを設け、200℃に設定し、表面の陥没が発生した時間を測定した。装置は、図示しないが、加圧ローラ側に加圧機構を設け、前記加熱ローラの軸位置は固定とし、加圧ローラの左右の端位置を加圧している方向でその位置をレーザ測長器で測長し、どちらかが、100μm変動した場合を終点時間とした。この装置では、ニップ部はほとんどできないため、圧力としては、通常のニップ圧力(10N/cm2)の1桁程度大きくなる。この測定を240時間行った。この時点まで変化の無かったものを○と記述した。
次に光沢ムラの評価として、記録媒体としてリコー社製(Type62000、A4転写紙)上に、20mm×20mmの(株)リコー製imagio MP C4500のマゼンタのベタの未定着トナー像を作成した。この20mm×20mmのベタ画像は、前後、20mm間隔でA4全体に作成した。この紙を、前記MF4570の定着ユニットに横通し、(横幅いっぱい)コニカミノルタ製光沢度計GM−60により60°の測定を行った。定着温度設定は、160℃である。光沢度ムラは、同時にニップ部Nを通過した8点の最大値から最小値を引いた値である。
耐久テストの実証のために、上記の実施例2と比較例2の加圧ローラを用い上記MF4570(リコー社製複写機)の複写機の定着ユニットを用いた定着試験機を作製し、リコー社製imagio MP C4500の未定着画像を通紙した。実施例2では、50000枚でも問題なかった。しかし、比較例2のものでは、7650枚で表面に亀裂が入り画像にその状態が転写された。
実施例2の加圧ローラの断熱層作製時におけるエポキシ樹脂の硬化処理を、100℃、150℃、200℃、250℃で8時間焼成を1回で行った。この場合、加圧ローラの断熱層に代えて、厚さ2mmで100mm×100mmのサンプルを作製し、このサンプルの空孔率をもとめた。結果、上記処理温度順に、50%、45%、20%、10%と既発泡粒子の破壊により、空孔率が小さくなっていった。また、光学顕微鏡での観察で、既発泡粒子の破壊がみられ、より大きな空孔になっているのが観察された。
1a 芯部材(芯金)
1b 弾性体層
1b1 空孔
1b2 連泡部
1b3 気泡
1b4 炭素繊維
1c 離型層
2 加圧ローラ
2a 芯部材
2c 離型層
2d 断熱層
2d1 エポキシ樹脂
2d2 空孔
3 ヒータ
4 バネ
101 感光体
102 帯電器
103 書込み装置
104 現像器
105 転写装置
106 クリーニング装置
107 定着装置
Claims (9)
- 弾性体層を有する定着用回転体に対して表面に未定着トナー像を有する記録媒体を圧接して当該未定着トナー像を当該記録媒体に定着させる加圧部材において、
前記加圧部材は、基材上に、孔径が30μm以下の空孔を有し、かつ空孔率が45〜65%の範囲内に設定された熱硬化性樹脂を主成分とした断熱層を形成したことを特徴とする加圧部材。 - 請求項1記載の加圧部材において、
前記空孔は、既発泡粒子によって形成されていることを特徴とする加圧部材。 - 請求項1又は2記載の加圧部材において、前記基材が、回転軸を有して回転可能な芯部材であることを特徴とする加圧部材。
- 請求項1乃至3のいずれか1項記載の加圧部材において、
前記記録媒体と当接する表面に、フッ素樹脂を含有する離型層を有することを特徴とする加圧部材。 - 未硬化樹脂中に前記既発泡粒子を含有させた被膜層を基材上に設け、当該被膜層を所定温度で加熱して前記未硬化樹脂を一次硬化させ、その後に前記所定温度より高温で加熱して2次硬化を行って、断熱層を形成した請求項1乃至3のいずれか1項記載の加圧部材を得ることを特徴とする加圧部材の製造方法。
- 未硬化樹脂中に前記既発泡粒子を含有させた被膜層を基材上に設け、当該被膜層を所定温度で加熱して前記未硬化樹脂を一次硬化させ、その後に前記所定温度より高温で加熱して2次硬化を行って断熱層を形成し、更に、前記断熱層上にフッ素樹脂を含有する離型層を接着して請求項4に記載の加圧部材を得ることを特徴とする加圧部材の製造方法。
- 加熱される定着用回転体と、当該定着用回転体に対して表面に未定着トナー像を有する記録媒体を圧接して当該未定着トナー像を当該記録媒体に定着させる加圧部材とを備えた定着装置において、
前記加圧部材は、請求項1乃至4のいずれか1項記載の加圧部材であることを特徴とする定着装置。 - 請求項7記載の定着装置において、
前記定着用回転体は、回転軸を有する芯部材の表面に、炭素繊維と連泡構造の気泡を含むシリコーンゴムを主成分とする弾性体層を形成した定着用回転体であることを特徴とする定着装置。 - 表面に静電潜像を形成する像担持体と、当該像担持体表面の静電潜像にトナーを供給して当該静電潜像をトナー像化する現像装置と、当該像担持体表面のトナー像を記録媒体表面に転写する転写装置と、当該転写装置によって記録媒体表面に転写されたトナー像を加熱、加圧して当該記録媒体表面に当該トナー像を定着させる定着装置とを備えた画像形成装置において、
前記定着装置は、請求項7又は8記載の定着装置であることを特徴とする画像形成装置。
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2009
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